(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】表示装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20241202BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20241202BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20241202BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20241202BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
G09G3/36
G02F1/133 535
G02F1/13357
G09G3/20 611E
G09G3/20 612U
G09G3/20 621A
G09G3/20 621E
G09G3/20 621K
G09G3/20 631B
G09G3/20 641E
G09G3/34 J
(21)【出願番号】P 2020177597
(22)【出願日】2020-10-22
【審査請求日】2023-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】多田 満
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-098890(JP,A)
【文献】特開2019-105802(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0287182(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0141166(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0007896(US,A1)
【文献】特開2019-168594(JP,A)
【文献】特開2012-242682(JP,A)
【文献】特開2005-258403(JP,A)
【文献】特開2013-246277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/133
1/13357
G09G3/00-3/08
3/12
3/16-3/26
3/30
3/34-3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源を有する発光手段と、
入力映像信号に基づいて映像を表示する場合に前記発光手段からの光を変調することで前記映像を表示する表示手段と、
前記複数の光源のそれぞれの光量をサブフレームごとに決定する決定手段と、
前記決定手段が決定した前記光量に基づいて前記複数の光源をサブフレームごとに制御する制御手段と、
前記表示手段によって表示される映像に基づいて、前記複数の光源における複数の制御領域に対応する映像の範囲ごとに統計量をサブフレームごとに取得する取得手段と、を有し、
前記統計量は、前記表示手段によって表示される映像の輝度値に基づく値であり、
前記決定手段は
、サブフレームごとに取得された前記統計量
を前記複数の光源の最大輝度値によって除算した値に基づいて、前記複数の光源のそれぞれの光量をサブフレームごとに決定する
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記取得手段は、前記入力映像信号をフレームメモリに随時書き込みながらサブフレームごとに前記統計量を計算する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記入力映像信号を一時的に記憶する記憶手段を備え、
前記表示手段で前記映像を表示するタイミングと前記発光手段で発光するタイミングとが合うように調整する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記記憶手段の容量は、前記統計量をサブフレームごとに計算するために必要な容量以上である
ことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記入力映像信号を前記表示手段の応答性を加味した映像信号に変換する変換部を備え、
前記取得手段は、前記応答性を加味した映像信号に基づいて、前記統計量を取得する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記決定手段が決定した前記光量に基づくローカルディミング制御を行う
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記決定手段が決定した前記光量に基づいて前記入力映像信号を処理する処理手段を備える
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
複数の光源を有する発光手段と、入力映像信号に基づいて映像を表示する場合に前記発光手段からの光を変調することで前記映像を表示する表示手段と、を有する液晶表示装置の制御方法であって、
前記複数の光源のそれぞれの光量をサブフレームごとに決定する決定ステップと、
前記決定ステップで決定した前記光量に基づいて前記複数の光源をサブフレームごとに制御する制御ステップと、
前記表示手段によって表示される映像に基づいて、前記複数の光源における複数の制御領域に対応する映像の範囲ごとに統計量をサブフレームごとに取得する取得ステップと、を有し、
前記統計量は、前記表示手段によって表示される映像の輝度値に基づく値であり、
前記決定ステップでは
、サブフレームごとに取得された前記統計量
を前記複数の光源の最大輝度値によって除算した値に基づいて、前記複数の光源のそれぞれの光量をサブフレームごとに決定する
ことを特徴とする制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の制御方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、液晶表示装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置において高いコントラスト表示を実現させる方式の一つとして、入力される映像信号に合わせて光源の明るさを面内で変調するローカルディミング(以下LD)制御技術がある。あるいは、映像信号に合わせて画面全体の光源輝度を変調するグローバルディミング(以下GD)制御技術もある。
【0003】
一般に液晶表示装置は、すべての画素の階調(透過率)を一斉に書き換えることができないため、映像が入力されたフレーム期間にわたり、液晶パネル上部から下部にかけて画素の階調を書き換えてゆく順次走査を行っている。
【0004】
そして、光源はこの順次走査に合わせて、液晶パネルの上部から下部に向けて順次走査して発光を行うスキャン点灯を行っている。
【0005】
だが、光源であるLEDを1フレーム期間中に一回の明滅を行うだけだと、垂直同期期間ごとに発生するフリッカ(以下フレームフリッカ)が視認されてしまう。このフレームフリッカを低減するために、光源となるLEDの明滅制御を、フレーム期間ごとに決定した明るさに基づいて、複数のサブフレームに分けて点灯させることが行われている。
【0006】
この場合、バックライトの光源であるLEDから発せられたサブフレームごとの光量は、入力された1フレーム期間の映像信号から決定される。このため、一回のサブフレーム期間中に全ての光源のスキャン点灯を行ってしまうと、1フレーム期間かけて行う液晶の画素の順次走査が終了していない領域に対応する光源の光量も変化させてしまう。
【0007】
光源の点灯タイミングと液晶の書き換えタイミングとが一致していないと、表示される映像の輝度が入力映像輝度と異なる輝度で表示され、輝度誤差が発生してしまう。この輝度誤差が大きくなると、サブフレーム期間ごとに発生するフリッカ(以下サブフレームフリッカ)として視認されてしまう。
【0008】
特に、フレームフリッカを低減するために、複数回のサブフレーム発光している場合は、この輝度誤差が大きくなってしまい、サブフレームフリッカが発生する頻度が高くなってしまう。
【0009】
なお、液晶の応答変化に合わせてバックライトの点灯タイミングを制御することで意図しない光量を低減して動画応答性を改善する技術が開示されている(特許文献1)。また、サブフレーム期間の発光輝度を徐々に変化させることで、液晶の応答性の遅延による漏れ光量を低減する技術が開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2018-45089号公報
【文献】特開2019-168594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1は、サブフレーム単位で、発光させる光源領域の液晶に応じた光量算出を行えないため、順次走査する液晶のパネルの変化に応じたサブフレームごとの光量制御を行えない。このため、映像信号に合わせてバックライトの明るさを変化させるLD制御やGD制御を行うと、輝度誤差が発生して、サブフレームフリッカが視認されてしまう。
【0012】
特許文献2は、BL制御領域ごとに、サブフレームごとの輝度を徐々に変化させることしか行えず、順次走査する液晶のパネルの変化に応じたサブフレームごとの光量制御を行えない。このため、映像信号に合わせてバックライトの明るさを変化させるLD制御やGD制御を行うと、輝度誤差が発生して、サブフレームフリッカが視認されてしまう。
【0013】
本発明の目的は、光源の光量制御をサブフレームごとに液晶パネルの順次走査状況に応じて行うことで、サブフレーム発光させながらスキャン点灯させても、サブフレームフリッカが低減できる表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決するために、本発明の表示装置は、複数の光源を有する発光手段と、入力映像信号に基づいて映像を表示する場合に前記発光手段からの光を変調することで前記映像を表示する表示手段と、前記複数の光源のそれぞれの光量をサブフレームごとに決定する決定手段と、前記決定手段が決定した前記光量に基づいて前記複数の光源をサブフレームごとに制御する制御手段と、前記表示手段によって表示される映像に基づいて前記複数の光源における複数の制御領域に対応する映像の範囲ごとに統計量をサブフレームごとに取得する取得手段と、を有し、前記統計量は、前記表示手段によって表示される映像の輝度値に基づく値であり、前記決定手段は、サブフレームごとに取得された前記統計量を前記複数の光源の最大輝度値によって除算した値に基づいて、前記複数の光源のそれぞれの光量をサブフレームごとに決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の表示装置によれば、サブフレームフリッカが低減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施例1における表示装置の構成を示したブロック図である。
【
図4】光源制御情報bd算出タイミングの模式図である。
【
図7】信号処理ローカルディミング制御時の表示輝度の模式図である。
【
図8】信号処理ローカルディミング制御時の表示輝度の模式図である。
【
図9】実施例2における表示装置の構成を示したブロック図である。
【
図10】応答性テーブルデータ構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔実施例1〕
[表示装置の概要]
本実施形態では、サブフレーム期間ごとの映像信号の統計量から、サブフレーム期間ごとに発光部を光量制御する動作について説明する。
【0018】
本実施形態では、液晶に表示される映像信号に相関性がある統計量に基づいた光源の光量制御を実現することで、サブフレームフリッカが低減した映像表示が可能になる。
【0019】
また、本実施例1では、バックライト制御のみによるローカルディミング制御を行った場合によるサブフレームフリッカ低減制御について説明する。
【0020】
[表示装置の構成]
図1は、第1の実施形態に係る表示装置の構成を示す図である。表示装置は、表示部101、発光部102、サブフレーム生成部103、統計量検出部104、統計量更新部105、光量決定部106、LED駆動部107、メモリ部108を有する。
【0021】
表示部101は、入力された映像信号を表示する表示手段である。表示部101は、例えば、液晶パネルである。一般に液晶パネルは、映像信号を垂直同期期間ごとに1画面の映像を更新表示する際、入力された映像信号を画面上部から下部へかけて、順次液晶電圧を変化させ表示映像を更新する。
【0022】
つまり、液晶パネルは、一垂直同期期間かけて一枚の映像を更新している。
【0023】
発光部102は、表示部101に対して照射する光を発光する発光手段である。発光部102は例えば、光源としてLEDを用い、複数のBL制御エリア(分割領域)を有する。BL制御エリアは、LED駆動部107から出力された点灯制御信号Dに応じて駆動され、各BL制御エリアのLEDが独立に輝度制御される。
【0024】
図2に発光部102の分割したBL制御エリアの模式図を示す。この
図2ではBL制御エリア10201から10205の5つである。
【0025】
サブフレーム生成部103は、入力された映像信号の垂直同期信号から、サブフレーム同期信号VSを生成する手段である。サブフレーム生成部103は例えば、入力される映像信号の垂直同期信号が60Hzの場合、サブフレーム同期信号VSを300Hzとして生成する。本例では、入力された映像信号の5逓倍でサブフレーム同期信号VSを生成するとする。生成されたサブフレーム同期信号VSは統計量更新部105、光量決定部106、LED駆動部107へ出力される。
【0026】
統計量検出部(統計量取得部)104は、発光部102のBL制御領域に対応した映像信号の画像範囲ごとに、平均輝度値Yを検出する検出部である。本例では、発光部102が画面上部から下部にかけて、五つの領域に分けられているので、統計量検出部104では、映像信号を五つの領域ごと平均輝度値Yを取得する。
【0027】
平均輝度値Yは、発光する制御エリアの位置を示す行番号,列番号をm,nとしYmnと表記する。
【0028】
一般に映像信号は画面上部から下部へ向かって時系列で入力される。このため、平均輝度値Yは発光部102のBL制御領域ごとに算出可能となるタイミングがことなる。そのため、平均輝度値Yは、領域ごとに算出されたタイミングで、統計量更新部105へ出力される。
【0029】
本例では、サブフレーム生成部103が、5逓倍でサブフレーム同期信号VSを生成するため、一つのサブフレーム同期信号VS期間ごとに一つの平均輝度値Ymnが生成され、統計量更新部105へ出力される。
【0030】
統計量更新部105は、統計量検出部104から入力された平均輝度値Yを、サブフレーム生成部103から出力されたサブフレーム同期信号VS期間毎に、発光部102のBL制御エリア数だけ保持する。そして保持しておいた全てのBL制御エリアの平均輝度値Yをそのままサブフレーム平均輝度YSとして、光量決定部106へ出力する。
【0031】
サブフレーム平均輝度YSは、発光する制御エリアの位置を示す行番号,列番号をm,nとしYSmnと表記する。
【0032】
このサブフレーム平均輝度YSは、一垂直同期期間かけて入力される映像信号に基づいて、BL制御領域ごとに更新される。そして、サブフレーム同期信号VS期間ごとに、保持されたサブフレーム平均輝度YSを光量決定部106に出力する。
【0033】
図3に、入力された映像信号が、サブフレーム期間ごとに、液晶パネルにどのように表示されていくか、そして統計量更新部105がどのような平均輝度YSを出力するかを示した模式図である。
【0034】
本模式図では、メモリ部108の複数ラインの映像を保持するメモリにより、サブフレーム平均輝度YSを算出するタイミングと液晶に表示される映像信号の遅延が理想的に0になっている場合で説明する。
【0035】
まずフレーム期間ごとに、入力される映像信号を301、302、303に示す。映像信号301は、入力された1枚の映像を上下方向に5ブロックに分割し、上からA1,A2とし一番下の領域をA5画像とする。同様に映像信号302はB1~B5、映像信号303はC1~C5の映像領域に分割される。
【0036】
同期信号310は、垂直同期信号Vである。
【0037】
同期信号320は、サブフレーム同期信号VSである。
【0038】
本実施例では、垂直同期期間が3フレームの映像変化を示すが、サブフレーム同期信号期間は、1フレーム期間分の5つと、前後フレームで各1つずつのトータル7サブフレーム同期期間を示す。
【0039】
サブフレームごとに液晶パネルに表示される映像信号を330、331,332に示す。
【0040】
まず、映像信号301が入力された最後のサブフレーム同期期間では、映像信号301と同じ、映像信号330が液晶に表示されている。
【0041】
次のサブフレーム同期期間321では、次の垂直同期期間となり、映像信号302の最上部領域のB1のみが液晶に表示され、その他の領域では、前垂直同期期間映像のA2~A5が表示されている状態331である。
【0042】
また、その次のサブフレーム同期期間322では、B2領域までの信号が更新され、残りのA3~A5領域は更新されていない状態332である。
【0043】
このように、液晶パネルでは、サブフレーム同期期間ごとに、上部領域から映像が更新される。
【0044】
この統計量更新部105では、入力された映像信号を発光部102のBL制御エリアごとに、統計量検出部104から平均輝度Yを受信する。この平均輝度Yは、BL制御エリアごとに液晶パネルに表示されている映像信号と相関のある信号である。
【0045】
このため、サブフレーム同期期間321では、液晶パネルに表示されている信号331と相関のある平均輝度YS信号341が光量決定部106へ出力される。同様に次のサブフレーム同期期間322では、平均輝度YS342が出力される。
【0046】
光量決定部106は、入力されたサブフレーム平均輝度YSに応じて、発光部102の各制御エリアの、光源制御情報bdを決定する決定手段である。光源制御情報bdとは、発光部102の各制御エリアのLEDの明るさを制御する情報である。入力されたサブフレーム平均輝度YSから、各制御エリアの明るさを決定する。決定した各制御エリアの光源制御情報bdをLED駆動部107へ送信する。
【0047】
制御エリア毎に、光源制御情報bdに変換する方法を説明する。制御エリア毎のサブフレーム平均輝度YSmn、最大輝度値をYmaxとした場合、制御エリアごとの光源制御情報bdは下記の式(1)で計算できる。
bdmn = YSmn ÷ Ymax・・・式(1)
【0048】
ここで、制御エリアごとの光源制御情報bdとは、制御エリア毎のLEDの明るさを制御する情報である。発光部102の輝度制御単位を縦方向にm行、横方向にn列の分割とした場合、m行、n列目の制御エリアの光源明るさ情報をbdmnと示すこととする。
【0049】
また、最大輝度値Ymaxは、ローカルディミング制御をOFF状態にした時の最大輝度値である。
【0050】
よって、bdmnは、m行×n行の大きさをもつ行列である。また、この光源制御情報bdは、0~255までを範囲とする整数とし、値が大きいほど制御エリアが明るく発光することを示すこととする。
【0051】
図4に、
図3と同様の映像信号を入力した際に、算出される光源制御情報bdタイミングの模式図を示す。
【0052】
サブフレーム同期期間321では、平均輝度YS信号341から算出した光源輝度制御情報451が計算される。同様にサブフレーム同期期間322では、平均輝度YS信号342から算出した光源輝度制御情報452が計算される。
【0053】
このように光源制御情報bdは、液晶パネルに表示されている映像信号に相関性がある制御情報となる。
【0054】
LED駆動部107は、光量決定部106からの光源制御情報bdと、入力された映像信号の同期信号に基づいて、サブフレーム期間ごとに、光源制御情報bdを点灯制御信号Dとして出力する。点灯制御信号Dは発光部102へ出力される。
【0055】
メモリ部108は、入力された映像信号を一時的に記憶するためのメモリである。
【0056】
本実施例では、LED駆動部107から出力される点灯制御信号Dと、表示部101から映像信号が表示され始めるタイミングを調整するため、映像信号を一時的に記憶することで、タイミング調整を行う。このタイミング調整は、LED駆動部107が、予め求めておいた表示部101(液晶パネル)の応答性を考慮して、点灯制御信号Dを出力するタイミングを調整することで実行されてもよい。
【0057】
タイミング調整を行うために必要なメモリ容量は、発光部102の一領域に対応する垂直方向の画素数だけのラインメモリ容量以上が必要となる。
【0058】
[サブフレームフリッカを低減する方法]
まず、
図5、
図6を用いて、従来駆動と本発明の駆動によるサブフレームフリッカ発生の違いを説明する。
【0059】
図5は従来の入力された映像信号の垂直同期信号期間ごとに、統計量を検出して、ローカルディミング制御を行った場合に、最終的な表示輝度がどうなるかを示した模式図である。
【0060】
まずフレーム期間ごとに、入力される映像信号を501、502、503に示す。映像信号501は、入力された1枚の映像を上下方向に5ブロックに分割し、上からA1,A2とし一番下の領域をA5画像とする。また映像信号501は全面で黒表示となる。
【0061】
同様に映像信号502はB1~B5、映像信号503はC1~C5の映像領域に分割される。また映像信号502、503は、上部3領域が白信号に変化した信号である。
【0062】
同期信号510は、垂直同期信号Vである。
【0063】
同期信号520は、サブフレーム同期信号VSである。
【0064】
本実施例では、垂直同期期間が3フレームの映像変化を示すが、サブフレーム同期信号期間は、1フレーム期間分の5つと、前後フレームで各1つずつのトータル7サブフレーム同期期間を示す。
【0065】
サブフレームごとに液晶パネルに表示される映像信号を530、531,532に示す。
【0066】
まず映像信号501が入力された最後のサブフレーム同期期間では、映像信号501と同じ、映像信号530が液晶に表示されている。
【0067】
次のサブフレーム同期期間521では、次の垂直同期期間となり、映像信号502の最上部領域のB1のみが液晶に表示され、その他の領域では、前垂直同期期間映像のA2~A5が表示されている状態531である。
【0068】
発光部102の制御信号としては、映像信号502から算出した統計値をもとに制御信号を算出するため、明るい信号が入力された領域が明るく点灯する制御となる。つまり液晶表示部がまだ更新されていない領域5312、領域5313に対応した5412、5413領域が点灯してしまう。
【0069】
このため、液晶パネルを透過した最終的な輝度としては、領域5512、領域5513のような、本来表示されない輝度が表示されるサブフレームフリッカが発生してしまう。
【0070】
図6は、
図5と同様の映像信号を本発明でローカルディミング制御を行った場合に、最終的な表示輝度がどうなるかを示した模式図である。
【0071】
本発明では、サブフレーム同期期間ごとに、液晶表示映像531と相関関係のあるサブフレーム平均輝度YSに基づいて、光源制御情報bdを算出する。
【0072】
このため、発光部102の輝度としては、液晶表示部がまだ更新されていない領域5312、領域5313に対応した6412、6413領域は、点灯しない。
【0073】
このため、液晶パネルを透過した最終的な輝度としては、領域6512、領域6513のように、映像信号と同様の輝度が表示され、従来では発生していたサブフレームフリッカが発生しない。次以降のサブフレーム同期期間でも同様に映像信号に同期した最終輝度となる。
【0074】
[変形例1]
本実施例のローカルディミング制御では、発光部102のみを制御する方法について説明を行った。
【0075】
だが、光源と信号処理の両方を用いたローカルディミング制御にも適応することができる。一般にこの信号処理も行うローカルディミング制御の場合、輝度再現性を維持するために、発光部102の明るさを変化させた分だけ、信号処理で輝度を補正することが行われる。
【0076】
この信号処理を用いたローカルディミング制御を行った際の本発明の効果を
図7、
図8を用いて説明する。
【0077】
図7は、従来制御において入力された映像信号の垂直同期信号期間ごとに、統計量を検出して、信号処理を用いたローカルディミング制御を行った場合に、最終的な表示輝度がどうなるかを示した模式図である。
【0078】
まずフレーム期間ごとに、入力される映像信号は
図5と同様である。
【0079】
サブフレームごとに液晶パネルに表示される映像信号を730、731,732に示す。
【0080】
まず映像信号501が入力された最後のサブフレーム同期期間では、映像信号730が明るい信号として液晶に表示されている。これは、信号処理を用いたローカルディミング制御では、発光部102の明るさを暗くした分だけ、信号処理を明るく補正するためである。
【0081】
次のサブフレーム同期期間521では、次の垂直同期期間となり、映像信号502の最上部領域のB1のみが液晶に表示され、その他の領域では、前垂直同期期間映像のA2~A5が表示されている状態731である。
【0082】
発光部102の制御信号としては、映像信号502から算出した統計値をもとに制御信号を算出するため、明るい信号が入力された領域が明るく点灯する制御となる。
【0083】
だが、サブフレーム期間ごとに液晶表示部がまだ更新されていない領域7312、領域7313に対応した7412、7413領域も、明るく点灯してしまう。
【0084】
ローカルディミングの信号処理としては、この発光部の明るさが上昇することで、対応する発光領域の液晶表示信号が暗く表示される。
【0085】
だが、液晶パネルは1フレーム期間かけて信号を変化させていくため、サブフレーム同期期間521では、最上部領域しか明るさが変化していない。
【0086】
このため、液晶パネルを透過した最終的な輝度としては、領域7512、領域7513のような、本来表示されない輝度が表示されるサブフレームフリッカが発生してしまう。
【0087】
また、その次のサブフレーム同期期間322では、B2領域までの信号が更新され、残りのA3~A5領域は更新されていない状態332である。
【0088】
このように、液晶パネルでは、サブフレーム同期期間ごとに、上部領域から映像が更新されるため、サブフレーム期間ごとに、液晶パネルの変化に同期したローカルディミング制御を行わないとサブフレームフリッカが発生する。
【0089】
図8は、
図7と同様の映像信号を本発明で信号処理を伴うローカルディミング制御を行った場合に、最終的な表示輝度がどうなるかを示した模式図である。
【0090】
本発明では、サブフレーム同期期間ごとに、液晶表示映像531と相関関係のあるサブフレーム平均輝度YSに基づいて、光源制御情報bdを算出する。
【0091】
このため、発光部102の輝度としては、液晶表示部がまだ更新されていない領域7312、領域7313に対応した8412、8413領域は、点灯しない。
【0092】
このため、液晶パネルを透過した最終的な輝度としては、領域8512、領域8513のように、映像信号と同様の輝度が表示され、従来技術で発生していたサブフレームフリッカが発生しない。次以降のサブフレーム同期期間でも同様に映像信号に同期した最終輝度となる。
【0093】
信号処理をともなうローカルディミング制御においても、サブフレーム同期期間ごとに、液晶パネルに表示される映像信号と相関のある統計量をもとに、発光部および信号処理を行うことでサブフレームフリッカが低減する。
【0094】
[変形例2]
本実施例では、メモリ部について、LED駆動部107から出力される点灯制御信号Dと、表示部101から映像信号が表示され始めるタイミング調整に必要なメモリ容量確保して制御する方法の説明を行った。
【0095】
だが、一般に液晶パネルの特性として、液晶素子の応答性が悪く、その応答性もばらつきがあるということが知られている。このためメモリ部108がなくても、液晶の応答性自体がメモリ部108と同じような効果が得られる場合、メモリ部108をなくしてもよい。この場合でも本実施例の効果を得ることが可能となる。
【0096】
[変形例3]
本実施例では、メモリ容量がフレームメモリよりも小さいメモリ部108を用意するだけで本発明のサブフレームフリッカ低減効果を得ることが可能と説明した。
【0097】
一般に従来技術としては、フレームメモリを搭載し、フレーム期間単位で点灯タイミングを制御するローカルディミング制御を行うことが知られている。
【0098】
この場合ローカルディミング制御がフレーム期間単位で遅延してしまう。
【0099】
一方、表示装置では、例えばゲーム映像などのリアルタイム性が高い映像信号を表示させる場合、入力された映像信号が低遅延で表示されることが要求される。
【0100】
本実施例では、LED駆動部107から出力される点灯制御信号Dと、表示部101から映像信号が表示され始めるタイミング調整に必要なメモリ容量確保して制御する方法の説明を行った。
【0101】
つまり、数十ライン程度のメモリのみの低遅延処理で、サブフレームフリッカ低減効果のあるローカルディミング制御を行うことが可能である。
【0102】
ユーザがローカルディミング制御を行いながら、低遅延で表示させたい場合は、ローカルディミング制御を従来制御から、本発明の制御に切り替えればよい。
【0103】
つまりユーザは、表示装置に対して、メニュー操作などの外部制御方法を用いてローカルディミング制御方法を切り替えることで、低遅延なローカルディミング制御を実現することが可能となる。
【0104】
[変形例4]
本実施例では、統計量検出部104が、リアルタイムに入力される映像信号から、発光部102の5つのBL制御エリアに対応した、平均輝度Yを算出する方法について説明を行った。
【0105】
だが、一般に、発光部102のBL制御エリア分割数は多くても数千程度のため、ひとつのBL制御エリア内の画素数は数百画素にもなる。このため、一つのBL制御エリア内では、映像データの更新処理が行われていない画素と、更新処理が行われた画素のデータが存在してしまう。
【0106】
この課題に対応するため、統計量検出部104内部に、1フレーム前の映像データを記憶するフレームメモリを用意する。
【0107】
そして、このフレームメモリの映像データをリアルタイムに入力される映像データで随時書き込みながら、BL制御領域毎の平均輝度Yを検出する処理を行っても良い。
【0108】
この制御により、制御エリア内にある、映像データの更新処理が行われていない画素と、更新処理が行われた画素のデータを把握して、平均輝度Yを算出できる。
【0109】
つまり、制御エリア内の画素データの更新状態にばらつきが発生しても、統計量検出部104が更新状態を考慮した平均輝度Yを算出することで、表示部101の状態に応じた光源制御情報bdを算出できる。この制御により、サブフレームフリッカが低減する。
【0110】
[変形例5]
本実施例では、LD制御によるサブフレームフリッカを低減する制御についての説明を行った。
【0111】
これは画面全体の光源を一律同じように変化させるGD制御でも効果的な制御方法となる。
【0112】
ただし、GD制御では、画面全体で光源全体の明るさ値を制御する。この場合、サブフレーム期間ごとに液晶パネルに表示された映像信号と相関関係がある平均輝度Yに基づいて光源制御情報bdを決定する。
【0113】
このようにGD制御でも、サブフレーム期間ごとに変化する液晶パネルの順次走査状態に応じた光源輝度の制御が可能となる。
【0114】
つまりGD制御でもサブフレーム期間の光源制御を行うことで、サブフレームフリッカを低減することが可能となる。
【0115】
[表示装置による効果]
以上説明した、発光部の光量を決定する統計量を、サブフレーム単位で更新することで、一垂直同期期間かけて映像信号を更新してゆく液晶パネルと相関性がある統計量を計算できる。そして、サブフレーム単位で更新される統計量に基づいて発光部の光量を制御することで、液晶パネルの変化と同期した光源光量を制御することができる。つまりサブフレームフリッカを低減することが可能となる。
【0116】
〔実施例2〕
第1の実施形態では、サブフレーム期間ごとの映像信号の統計量から、サブフレーム期間ごとのに発光部で発光させる光量制御を行うことで、サブフレームフリッカを低減することを行った。
【0117】
これに対して、第2の実施形態は、統計量検出を液晶パネルの応答速度を加味するという点で、第一の実施形態と異なる。
【0118】
以下、第1実施形態と異なる部分について説明を行い、第1実施形態と同じ部分については適宜説明を省略する。
【0119】
図9は実施例2にかかわる表示装置の構成の一例を示すブロック図である。実施例1との違いは、液晶の応答を加味した映像信号に変換する液晶応答変換部201が追加となる。
【0120】
液晶応答変換部201は、入力映像信号を、表示部101で表示した際の、透過率変化の応答性を加味した映像信号に変換する変換部である。フレーム期間ごとに、入力された映像信号と、応答情報テーブルALをもとに透過率の時間変化量を加味した液晶応答映像信号LCを計算する。
【0121】
応答情報テーブルは、表示部101の映像信号変化に応じた透過率変化の応答性を記憶したテーブルデータである。
【0122】
図10に応答性テーブルデータ構造の模式図を示す。
図10の縦軸は現フレームの信号階調、横軸は1フレーム前の信号階調とする。
図10のテーブルデータは、現フレームの信号階調と1フレーム前の信号の関係から、入力信号が現フレームで、どのレベルまで変化するかを表した値である。
【0123】
この応答性テーブルデータを用いて、液晶応答映像信号LCは式(2)を用いて計算する。
LC[i] = AL[i][j] × i・・・(2)
AL[i][j]は、前フレームのデータがj階調で、現フレームのデータがi階調の場合の応答情報テーブルALの値である。
【0124】
この液晶応答映像信号LCを、映像信号として統計量検出部104へ出力する。
【0125】
このように、入力された映像信号を液晶の応答を加味した映像信号に変換することで、統計量検出部104から出力される平均輝度Yも液晶の応答性を加味した値となる。
【0126】
そして発光部102の明るさは、液晶パネルの応答性を加味した光源制御となる。
【0127】
発光部102が発した光が、液晶を透過して採取的に表示される輝度の制御誤差が小さくなり、意図しない輝度表示が低下することで、サブフレームフリッカを低減することが可能となる。
【0128】
つまり、液晶の応答性を加味することで、より正確な光源輝度制御を行えるようになり、実施例1と同様にサブフレームフリッカを低減することが可能となる。
【0129】
[表示装置による効果]
以上説明したように、液晶応答変換部201が、フレームごとの映像データの変化から液晶の応答性を加味した映像信号に変換する。この液晶の応答性を加味した映像信号から光源102の明るさとなる光源制御情報bdを制御することを行う。このサブフレームごとに液晶の応答性を加味した光源輝度を制御することで輝度制御誤差が低減し、サブフレームフリッカを低減させることが可能となる。
【0130】
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0131】
101 表示部
102 発光部
103 サブフレーム生成部
104 統計量検出部
105 統計量更新部
106 光量決定部
107 LED駆動部
108 メモリ部