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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】パネルシステム
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20241202BHJP
【FI】
E04B2/74 541A
E04B2/74 561H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020178889
(22)【出願日】2020-10-26
(65)【公開番号】P2022069933
(43)【公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】井澤 晶一
(72)【発明者】
【氏名】▲崎▼本 隆之
(72)【発明者】
【氏名】上田 洋士
(72)【発明者】
【氏名】石原 祐一
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-086365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/72 - 2/82
E04H 1/00 - 1/14
A47B 3/00 - 3/14
A47G 5/00 - 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視にて作業空間を囲む複数の内面を有し、複数の前記内面同士により前記作業空間に面する複数の角部が形成されていると共に、前記作業空間に接続された出入口開口が形成されたパネル構造体と、
前記作業空間に配置され、作業者の側方が前記出入口開口に向けられた使用姿勢に前記作業者を案内する案内什器とを備え、
前記案内什器は、前記複数の内面のうち前記出入口開口に接続された内面と、当該内面と共に前記角部を形成する内面とに沿って配され、
前記出入口開口から見て、前記案内什器よりも前記作業空間の奥側に前記案内什器が対向配置されていない1つ以上の前記角部が設けられており、
前記案内什器の背面が前記パネル構造体の前記角部に対向配置されており、
前記案内什器の背面は、平面視にて、第1外縁と、第2外縁とを有し、
前記第1外縁は、前記背面が対向配置された前記角部を形成する2つの前記内面の一方に対向し、
前記第2外縁は、前記背面が対向配置された前記角部を形成する2つの前記内面の他方に対向し、
前記背面は、前記背面が対向配置された前記角部に沿う案内什器側角部を有し、
前記案内什器側角部は、前記第1外縁の一部と前記第2外縁の一部とで形成され、
前記案内什器は、平面にて、前記第1外縁と前記第2外縁とを接続して前記案内什器側角部と反対側に位置する前縁を有する
ことを特徴とするパネルシステム。
【請求項2】
前記案内什器は、着座姿勢が前記使用姿勢であり、前記着座姿勢に前記作業者を案内する椅子であることを特徴とする請求項1記載のパネルシステム。
【請求項3】
前記案内什器は、天板上で作業する作業者の作業姿勢が前記使用姿勢であり、前記作業姿勢に前記作業者を案内するテーブルであることを特徴とする請求項1記載のパネルシステム。
【請求項4】
前記出入口開口に接続された両側方の前記内面の各々に沿って前記案内什器が配置されていることを特徴とする請求項1~3いずれか一項に記載のパネルシステム。
【請求項5】
前記作業空間にて前記角部に対向配置されると共に物品が載置可能な物品載置什器を備えることを特徴とする請求項1~4いずれか一項に記載のパネルシステム。
【請求項6】
前記パネル構造体は、前記出入口開口に接続されると共に前記出入口開口に向かうに連れて下降する傾斜上縁部を有することを特徴とする請求項1~5いずれか一項に記載のパネルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、オフィス、研究施設、病院、学校などでは、作業者の視線を遮り作業者が集中できる空間を形成するパネル構造体が設置される場合がある。例えば、特許文献1には、任意の部位にて湾曲可能なパネル体をスタンドによって立設姿勢で保持するパネル構造体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6556263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のようなパネル構造体で囲われた空間にて、作業者の視線が外部に奪われることをより抑制して集中力を高めることを可能とするためには、パネル構造体によって囲む空間を小さくすることが好ましい。例えば、パネル構造体で囲む空間を作業者が1人あるいは2人程度入ることができる小空間とすることが好ましい。
【0005】
しかしながら、パネル構造体で囲む空間を小さくした場合には、作業者の集中力を高めることができる反面、作業者が必要とする場合であっても外部の者とのコミュニケーションを図ることが困難となる。また、パネル構造体で囲む空間を小さくした場合であっても、作業スペースや物品載置スペースを効率的に確保する必要がある。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、パネル構造体にて作業者の集中力を高める空間を形成可能とすると共に、作業者が必要に応じて外部とのコミュニケーションを容易に図ることができ、さらにパネル構造体で囲まれた空間に効率的に作業や物品載置に使用可能なスペースを確保可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0008】
第1の発明は、パネルシステムであって、平面視にて作業空間を囲む複数の内面を有し、複数の上記内面同士により上記作業空間に面する複数の角部が形成されていると共に、上記作業空間に接続された出入口開口が形成されたパネル構造体と、上記作業空間に配置され、作業者の側方が上記出入口開口に向けられた使用姿勢に上記作業者を案内する案内什器とを備え、上記案内什器は、上記複数の内面のうち上記出入口開口に接続された内面と、当該内面と共に上記角部を形成する内面とに沿って配され、上記出入口開口から見て、上記案内什器よりも上記作業空間の奥側に上記案内什器が対向配置されていない1つ以上の上記角部が設けられているという構成を採用する。
【0009】
このような第1の発明によれば、パネル構造体によって囲むことによって作業者が集中力を高める作業空間を形成することができる。また、パネル構造体が作業空間を囲む複数の内面を有しており、これによって作業空間に面する複数の角部が形成されている。これらの角部を含む空間は作業空間の中央部から見て局所的に外側に向けて張り出した空間であり、作業スペースや物品載置スペースとして用いることが可能である。つまり、このような角空間が局所的に設けられることによって、パネル構造体で囲む作業空間を全体的に広げることなく作業スペースや物品載置スペースを確保することが可能となる。
【0010】
さらに、本発明によれば、案内什器が複数の内面のうち出入口開口に接続された内面と、この内面と共に角部を形成する内面とに沿って配されている。つまり、出入口開口の側方に配置された角空間である側方角空間に対して案内什器が配置されている。この案内什器は、作業者の側方が出入口開口に向かう使用姿勢に作業者を案内する。このため、作業空間にて案内什器を使用する作業者は、作業者の側方が出入口開口に向く姿勢に案内される。このため、作業者は必要を感じた場合に、横を向くことによってすぐに出入口開口を介して作業空間の外部の者とコミュニケーションをとることが可能となる。
【0011】
したがって、このような第1の発明によれば、パネル構造体にて作業者の集中力を高める空間を形成可能とすると共に、作業者が必要に応じて外部とのコミュニケーションを容易に図ることができ、さらにパネル構造体で囲まれた空間に効率的に作業や物品載置に使用可能なスペースを確保することが可能となる。
【0012】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記案内什器が、着座姿勢が上記使用姿勢であり、上記着座姿勢に上記作業者を案内する椅子であるという構成を採用する。
【0013】
このような第2の発明によれば、案内什器が椅子とされている。このため、作業者は、椅子に着座することによって、作業者の側方が出入口開口を向く姿勢となる。したがって、作業者に負担を感じさせることなく、作業者を側方が出入口開口に向く姿勢に案内することができる。
【0014】
第3の発明は、上記第1の発明において、上記案内什器が、天板上で作業する作業者の作業姿勢が上記使用姿勢であり、上記作業姿勢に上記作業者を案内するテーブルであるという構成を採用する。
【0015】
このような第3の発明によれば、案内什器がテーブルとされている。このため、作業者は、テーブルの天板上で作業することで、作業者の側方が出入口開口を向く姿勢となる。したがって、作業者に負担を感じさせることなく、作業者を側方が出入口開口に向く姿勢に案内することができる。
【0016】
第4の発明は、上記第1~第3いずれかの発明において、上記出入口開口に接続された両側方の上記内面の各々に沿って上記案内什器が配置されているという構成を採用する。
【0017】
このような第4の発明によれば、側方角空間が2つ設けられることとなり、これらの側方角空間の各々に案内什器が配置されている。このため、これらの2つの案内什器のいずれかあるいは両方を使用して作業を行うことで、作業者を側方が出入口開口に向くように姿勢に案内することができる。
【0018】
第5の発明は、上記第1~第4いずれかの発明において、上記案内什器の背面が上記パネル構造体の上記角部に対向配置されているという構成を採用する。
【0019】
このような第5の発明によれば、パネル構造体の曲げられた部位(角部を含む部位)は、曲げられていない部位と比較して安定性が高い。このため、このようなパネル構造体の曲げられた部位に案内什器の背面が対向配置されることで、案内什器が作業者の移動によって意図せずに背面側に移動されようとした場合に、案内什器を背面側からパネル構造体によって安定的に支持することが可能となる。
【0020】
第6の発明は、上記第1~第5の発明において、上記作業空間にて上記角部に対向配置されると共に物品が載置可能な物品載置什器を備えるという構成を採用する。
【0021】
このような第6の発明によれば、角部の1つに対向して物品載置什器が配置されている。このため、物品載置什器が配置されていない場合と比較して角空間の物品の載置スペースとしての使い勝手を向上させることが可能となる。
【0022】
第7の発明は、上記第1~第6いずれかの発明において、上記パネル構造体が、上記出入口開口に接続されると共に上記出入口開口に向かうに連れて下降する傾斜上縁部を有するという構成を採用する。
【0023】
このような第7の発明によれば、パネル構造体の上縁部の出入口開口に隣接箇所に出入口開口に向かって下降するように傾斜された傾斜上縁部が設けられている。このため、作業中の作業者の視線が届きにくい領域にてパネル構造体の一部を切欠くことができ、作業をしていない作業者が傾斜上縁部の設けられた部位を通じて外部とのコミュケーションが取りやすくなる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、角部を含む角空間が局所的に設けられることによってパネル構造体で囲む作業空間を全体的に広げることなく作業スペースや物品載置スペースを確保することができ、案内什器によって出入口開口を介して作業空間の外部の者とコミュニケーションをとることが容易な姿勢に案内される。したがって、本発明によれば、パネル構造体にて作業者の集中力を高める空間を形成可能とすると共に、作業者が必要に応じて外部とのコミュニケーションを容易に図ることができ、さらにパネル構造体で囲まれた空間に効率的に作業や物品載置に使用可能なスペースを確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施形態におけるパネルシステムの正面図である。
図2】本発明の第1実施形態におけるパネルシステムの平面図である。
図3】本発明の第1実施形態におけるパネルシステムの斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態におけるパネルシステムが備えるパネル構造体の正面図である。
図5】本発明の第1実施形態におけるパネルシステムが備えるパネル体の模式的な断面図である。
図6】本発明の第1実施形態におけるパネルシステムが備えるベース部材の断面図である。
図7】本発明の第1実施形態におけるパネルシステムが備える連結部を含むベース部材同士の連結部分の拡大斜視図である。
図8】本発明の第1実施形態におけるパネルシステムが備える連結部の斜視図である。
図9】本発明の第1実施形態におけるパネルシステムが備える連結部が設けられた部位におけるパネル構造体の拡大平面図である。
図10】本発明の第2実施形態におけるパネルシステムの斜視図である。
図11】本発明の第2実施形態におけるパネルシステムの平面図である。
図12】第1変形例における平板パネル体及び直線ベース部材の上方から見た全体斜視図である。
図13】第1変形例における平板パネル体及び直線ベース部材の下部を下方から見た分解斜視図である。
図14】第2変形例における平板パネル体及び直線ベース部材の上方から見た全体斜視図である。
図15】第2変形例における平板パネル体及び直線ベース部材の下部を下方から見た分解斜視図である。
図16】本発明の第3実施形態におけるパネルシステムの平面図である。
図17】本発明の第3実施形態におけるパネルシステムが備えるスペーサの概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明に係るパネルシステムの一実施形態について説明する。
【0027】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態のパネルシステムS1の正面図である。図2は、本実施形態のパネルシステムS1の平面図である。図3は、本実施形態のパネルシステムS1の斜視図である。本実施形態のパネルシステムS1は、作業者に対して作業に集中することが可能な作業空間を提供する什器システムであり、例えばオフィス、研究施設、病院、学校等の執務空間に設置される。このような本実施形態のパネルシステムS1は、図1図3に示すように、パネル構造体1と、椅子2(案内什器)と、テーブル3(案内什器)と、ワゴン4(物品載置什器)とを備えている。
【0028】
パネル構造体1は、平面視にて作業空間Kを囲むと共に作業空間Kに接続された出入口開口Eを有している。つまり、パネル構造体1によって囲まれた空間が作業空間Kとされており、この作業空間Kに対して水平方向にパネル構造体1を貫通する出入口開口Eを介して出入りが可能とされている。
【0029】
図4は、パネル構造体1の正面図である。この図に示すように、パネル構造体1は、3枚のパネル体1aと、パネル体1aの各々に対して設けられるベース部材1b(ガイド部材)と、ベース部材1b同士を接続する連結部1cとを備えている。
【0030】
パネル体1aは、ベース部材1bによって立設姿勢で支持される板状の部材である。図5は、パネル体1aの模式的な断面図である。この図に示すようにパネル体1aは、中心部材1a1と、内皮部材1a2と、外皮部材1a3と、面ファスナ1a4とを有している。中心部材1a1は、ベース部材1bの中身となる部材であり、内皮部材1a2及び外皮部材1a3によって覆われている。この中心部材1a1は、例えばポリエチレンフォーム等の発泡プラスチックによって形成されている。
【0031】
内皮部材1a2は、中心部材1a1と外皮部材1a3との間に介挿された部材であり、中心部材1a1を皮状に覆う。この内皮部材1a2は、中心部材1a1よりも伸縮性が低い繊維によって形成されており、中心部材1a1を一定の形状に保持している。このような内皮部材1a2は、例えば上記繊維の織物によって形成されている。外皮部材1a3は、内皮部材1a2よりも外側に配置されている。この外皮部材1a3は、パネル体1aの外観や手触り等を規定するための部材であり、例えば不織布によって形成されている。
【0032】
また、図5に示すように、パネル体1aは、縁部1a5と、縁部1a5を除いた基部1a6とで厚さ寸法が異なる。縁部1a5は、パネル体1aを厚さ寸法に圧縮することによって形成されており、他のパネル体1aとの連結部分ともなる。このような縁部1a5は、ベース部材1bによって立設姿勢とされたパネル体1aの水平方向における両端部に対して少なくとも設けられている。
【0033】
面ファスナ1a4は、縁部1a5の表裏の各々に対して設けられており、他のパネル体1aの縁部1a5に設けられた面ファスナ1a4に対して剥離可能に接着される。なお、例えば、ベース部材1bに支持されるパネル体1aの上下が予め定められている場合等には、縁部1a5の表裏のいずれか一方のみに面ファスナ1a4を設けるようにしても良い。このような面ファスナ1a4同士が接着されることによって、2つのパネル体1aが接続される。つまり、本実施形態においては、面ファスナ1a4が設けられることによって、他のパネル体1aに対して着脱可能とされた縁部1a5(着脱縁部)を有している。
【0034】
また、図4に示すように、各々のパネル体1aは、平面視で湾曲可能な湾曲部1a7と、湾曲部1a7に接続された平板部1a8とを備えている。湾曲部1a7は、上下方向に延びる溝部が平行に複数設けられた部位であり、平面視で湾曲可能とされた部位である。平板部1a8は、平面視にて湾曲部1a7の両側に設けられており、平板状に形状が固定された部位である。
【0035】
本実施形態においては、全てのパネル体1aにおいて湾曲部1a7が湾曲されており、このようなパネル体1a同士が接続されることによって、図2に示すように、作業空間Kに対して平面視にて3つの角空間K1が設けられている。つまり、本実施形態においては、作業空間Kに複数の角空間K1が設けられている。なお、図2に示すように、各々の角空間K1は、パネル構造体1の平面視にて角度の異なる内面11(パネル体1aの内側面)同士が接続されることによって形成された角部12を含む空間である。つまり、本実施形態においては、パネル構造体1が複数の内面11を有しており、これらの内面11が接続されることによって作業空間Kに面する複数の角部12が形成されている。なお、図2等に示すように、本実施形態においては、内面11と内面11とが湾曲して円滑に接続されており、屈曲部位のない角部12が形成されている。
【0036】
上述の3つの角空間K1のうち、出入口開口Eの側方に配置された角空間K1を側方角空間K2と称する。つまり、3つの角空間K1のうち、正面視にて出入口開口Eを左右方向から挟んで配置される2つの角空間K1が側方角空間K2とされている。残る1つの角空間K1は、側方角空間K2よりも出入口開口Eから見て作業空間Kの奥側に位置されている。この奥側の角空間K1は、奥側角空間K3と称する。本実施形態においては、例えば図2に示すように、2つの側方角空間K2のうち一方に椅子2が配置されており、他方にテーブル3が配置されている。また、奥側角空間K3には、ワゴン4が配置されている。つまり、椅子2及びテーブル3は、パネル構造体1の複数の内面11のうち出入口開口Eに接続された内面11と、この内面11と共に角部12を形成する内面11とに沿って配されている。また、出入口開口Eに接続された両側方の内面11の各々に沿って案内什器(椅子2及びテーブル3)が各々配置されている。
【0037】
ベース部材1bは、パネル構造体1において床面に対して接地される部材であり、金属等の剛性が高い材料によって形成されている。本実施形態において、各々のベース部材1bは、図3等に示すように、中央部が湾曲されている。各々のベース部材1bは、1つのパネル体1aを下方から支持すると共に立設姿勢で保持する。このようなベース部材1bの形状に沿ってパネル体1aが湾曲される。本実施形態においては、上述のように角空間K1を形成するために各々のパネル体1aが湾曲部1a7を有している。このため、本実施形態では、全てのベース部材1bが湾曲された部位を有している。ただし、パネル体1aの形状は一部が湾曲された形状に限定されない。このため、ベース部材1bの形状も一部が湾曲された形状に限定されるものではない。
【0038】
図6は、ベース部材1bの断面図である。図6に示すように、ベース部材1bは、上方に向けて開放された略U字形状とされており、前壁片1b1と、後壁片1b2と、底部1b3とを有している。底部1b3の前端に前壁片1b1が立設され、底部1b3の後端に後壁片1b2が立設され、前壁片1b1、後壁片1b2及び底部1b3によってU字形状が形成されている。
【0039】
また、ベース部材1bの下部には、ベース部材1bが延びる方向に沿って配列された複数の脚部1b4が設けられている。これらの脚部1b4は、底部1b3よりも下方に突出されており、床面に当接される。このように脚部1b4が床面と当接することによって、底部1b3と床面との間に隙間が形成され、底部1b3と床面との間に配線を挿通することが可能となる。つまり、本実施形態においては、ベース部材1bと床面との間に配線を挿通可能な隙間が設けられており、作業空間Kの外部から内部に配線を引き込む、あるいは作業空間Kの内部から外部に配線を引き出すことが可能とされている。
【0040】
このようなベース部材1bの前壁片1b1、後壁片1b2及び底部1b3で囲まれた空間に上方からパネル体1aが差し込まれ、前壁片1b1と後壁片1b2とでパネル体1aの基部1a6が前後方向から挟持されることでパネル体1aが下方から支えられると共に立設姿勢で保持される。
【0041】
連結部1cは、隣接配置されたベース部材1b同士を連結する部材である。図7は、連結部1cを含むベース部材1b同士の連結部分の拡大斜視図である。図8は、連結部1cの斜視図である。連結部1cは、例えば板金加工によって形成されており、図8に示すように、本体部1c1と、係止片1c2と、締結部1c3とを備えている。
【0042】
本体部1c1は、水平方向に長い板状の部位であり、隣接配置されたベース部材1bの繋ぎ目(境界線)を跨ぐように配置されている。つまり、本体部1c1は、図7に示すように、隣接配置されたベース部材1bの一方の端部から他方の端部に至る長さ寸法を有している。係止片1c2は、本体部1c1の上縁から水平方向に突出して設けられており、ベース部材1bの前壁片1b1に係止するための係止爪1c4を先端部に有している。このような係止片1c2が隣接配置されたベース部材1bの一方の前壁片1b1と他方の前壁片1b1とを跨ぐように2つの前壁片1b1に係止される。締結部1c3は、係止片1c2が前壁片1b1に係止されて本体部1c1が前壁片1b1の表面に当接された状態で、ベース部材1bの脚部1b4に対して対向配置可能な位置に設けられている。1つの連結部1cには、隣接配置されたベース部材1bの一方の脚部1b4に対向配置される締結部1c3と他方の脚部1b4に対向配置される締結部1c3との2つの締結部1c3が設けられている。各々の締結部1c3は、図7に示すように、ネジ1dによって、ベース部材1bの脚部1b4に締結されている。
【0043】
このように連結部1cが隣接配置される2つのベース部材1bに対して接続されることによって、2つのベース部材1bが連結される。なお、本実施形態においては、連結部1cが作業空間Kの内側に配置されている。しかしながら、これに限定されるものではなく、連結部1cを作業空間Kの外側に配置することも可能である。このような場合には、連結部1cの係止片1c2は、ベース部材1bの後壁片1b2に係止される。
【0044】
図9は、連結部1cが設けられた部位におけるパネル構造体1の拡大平面図である。この図に示すように、隣接するパネル体1aは、基部1a6の表面同士が同一面に位置され、また裏面同士が同一面に位置されるように、ベース部材1bによって支持されている。これらのパネル体1aの縁部1a5が湾曲され、面ファスナ1a4(図5参照)同士が接続されることによって、隣接するパネル体1aが接続されている。
【0045】
このようにパネル構造体1は、角空間K1が複数設けられた作業空間Kを形成している。また、パネル構造体1の上縁部は、平面視にて角空間K1が設けられた部位で湾曲しながら出入口開口Eに接続されている。このパネル構造体1の上縁部は、例えば図4に示すように、出入口開口Eに向かうに連れて下降する傾斜上縁部1eとされている。
【0046】
つまり、本実施形態においては、パネル構造体1の上縁部の全体が傾斜上縁部1eとされている。本実施形態では、奥側角空間K3の上方位置にてパネル構造体1の上縁部の高さ寸法が最も大きく、傾斜上縁部1eに沿って奥側角空間K3の上方位置から出入口開口Eに向かうに連れてパネル構造体1の高さ寸法が連続的に小さくなる。また、各々のパネル体1aの上縁部は、このようなパネル構造体1の傾斜上縁部1eを形成するために、出入口開口Eに向けて連続的に下降するように傾斜されている。このような傾斜上縁部1eが設けられることによって、出入口開口Eの付近においてパネル構造体1の高さ寸法が小さくなり、立ち上がった作業者が容易にパネル構造体1の外部(すなわち作業空間Kの外部)の者と、パネル構造体1を越えてコミュニケーションを図ることが可能となる。
【0047】
椅子2は、作業空間Kで作業を行う作業者が着座するための什器であり、作業空間Kの外側から出入口開口Eに正対した場合に、右手側の側方角空間K2に対して配置されている。この椅子2は、座2aと、脚部2bと、背凭れ2cとを有している。
【0048】
座2aは、着座姿勢の作業者を下方から支持する部位である。この座2aは、下方から脚部2bによって支持されている。脚部2bは、座2aの下方に配置されており、床面に対して当接される部位である。背凭れ2cは、座2aの後側の縁部から上方に向けて立設されており、着座姿勢の作業者を背側から支持する。このような椅子2を作業者が使用する場合には、作業者は、背凭れ2cが自らの後方に位置するように座2aに座る。つまり、椅子2は、背凭れ2c側に作業者の背面が向けられた着座姿勢へと作業者を案内する。
【0049】
このような椅子2は、着座姿勢が使用姿勢とされており、使用姿勢へと作業者を案内する案内什器である。つまり、本実施形態のパネルシステムS1においては、作業空間Kに設けられた角空間K1の1つである側方角空間K2に案内什器である椅子2が配置されている。このような側方角空間K2に椅子2が配置されているため、着座姿勢となるように椅子2に案内された作業者は、自らの側方が出入口開口Eに向かう姿勢となる。このように、椅子2は、作業者の側方が出入口開口Eに向かう着座姿勢となるように、作業者を案内する。
【0050】
なお、図2に示すように、椅子2は、側方角空間K2に配置された状態で、背面がパネル構造体1の曲げられた部位に対向配置されている。また、椅子2の背凭れ2cは、平面視にて、後方に向けて中央部が突出されると共に外縁がパネル構造体1に沿った形状とされている。このように椅子2は、側方角空間K2に配置された状態で、パネル構造体1との間のデッドスペースを小さく抑えることが可能な形状とされている。
【0051】
テーブル3は、作業空間Kにおいて天板3a上での作業を可能とするための什器であり、作業空間Kの外側から出入口開口Eに正対した場合に、左手側の側方角空間K2に対して配置されている。このテーブル3は、天板3aと、脚部3bとを有している。
【0052】
天板3aは、作業者に対して作業面を提供する板状の部位である。図2に示すように、本実施形態において天板3aは、平面視にて角部が湾曲された略二等辺三角形状とされており、二等辺三角形の底辺が正面側とされ、底辺に繋がっていない頂部が背面側とされている。脚部3bは、天板3aの下方に配置されており、床面に対して当接される部位である。このようなテーブル3を作業者が使用する場合には、二等辺三角形状の天板3aの底辺に正対した状態で作業を行う。つまり、テーブル3は、天板3aの正面側に作業者を正対させる作業姿勢への作業者を案内する。
【0053】
なお、本実施形態において、椅子2における着座姿勢とテーブル3における作業姿勢とは一致されている。つまり、椅子2に座って作業姿勢となった作業者は、同時にテーブル3での作業姿勢となっている。
【0054】
このようなテーブル3は、作業姿勢が使用姿勢とされており、使用姿勢へと作業者を案内する案内什器である。つまり、本実施形態のパネルシステムS1においては、作業空間Kに設けられた角空間K1の1つである側方角空間K2に案内什器であるテーブル3が配置されている。このような側方角空間K2にテーブル3が配置されているため、作業姿勢となるように案内された作業者は、自らの側方が出入口開口Eに向かう姿勢となる。このように、テーブル3は、作業者の側方が出入口開口Eに向かう作業姿勢となるように、作業者を案内する。
【0055】
なお、図2に示すように、テーブル3は、側方角空間K2に配置された状態で、背面がパネル構造体1の曲げられた部位に対向配置されている。また、テーブル3の天板3aは、平面視にて、後方に向けて中央部が突出されると共に外縁がパネル構造体1に沿った形状とされている。このようにテーブル3は、側方角空間K2に配置された状態で、パネル構造体1との間のデッドスペースを小さく抑えることが可能な形状とされている。
【0056】
ワゴン4は、物品を載置可能な物品載置什器であり、奥側角空間K3に配置されている。つまり、ワゴン4は、作業空間Kにて角部12に対向配置されている。このワゴン4は、下段部4aと、上段部4bと、支持壁4cとを有している。下段部4aは、ワゴン4の下部に設けられており、上面が物品載置スペースとされている。上段部4bは支持壁4cに支持されて下段部4aの上方に配置されており、上面が物品載置スペースとされている。つまり、本実施形態においてワゴン4は、下段部4aと上段部4bとの各々に物品を載置することが可能とされている。なお、図2に示すように、上段部4bには、物品載置スペースに露出状態で配置された2つのコンセントが設けられている。
【0057】
なお、図2に示すように、ワゴン4は、奥側角空間K3に配置された状態で、背面がパネル構造体1の曲げられた部位に対向配置されている。また、ワゴン4は、平面視にて、後方に向けて中央部が突出されると共に外縁がパネル構造体1に沿った形状とされている。このようにワゴン4は、奥側角空間K3に配置された状態で、パネル構造体1との間のデッドスペースを小さく抑えることが可能な形状とされている。
【0058】
このような本実施形態のパネルシステムS1で作業しようとする者は、出入口開口Eから作業空間Kに入り、椅子2に着座すると共に、自らのバック等の荷物をワゴン4に載置する。また、作業者は、椅子2に着座した状態で、テーブル3の天板3a上で作業を行う。ここで、本実施形態のパネルシステムS1の外部の者とコミュニケーションを取ろうとする場合には、作業者は側方を向いて顔を出入口開口Eに向けて外部の者とコミュニケーションを図ることができる。
【0059】
以上のような本実施形態のパネルシステムS1は、パネル構造体1が平面視にて作業空間Kを囲む複数の内面11を有している。また、パネル構造体1には、複数の内面11同士により作業空間Kに面する複数の角部12が形成されていると共に、作業空間Kに接続された出入口開口Eが形成されている。さらに、作業空間Kに配置され、作業者の側方が出入口開口Eに向けられた使用姿勢に作業者を案内する案内什器(椅子2及びテーブル3)を備え、案内什器が、複数の内面11のうち出入口開口Eに接続された内面11と、この内面11と共に角部12を形成する内面11とに沿って配されている。また、出入口開口Eから見て、案内什器よりも作業空間Kの奥側に案内什器が対向配置されていない1つ以上の角部12が設けられている。つまり、本実施形態においては、角部12を含む角空間K1が作業空間Kに複数設けられ、出入口開口Eの側方に配置された角空間K1である側方角空間K2を有し、作業者の側方が出入口開口Eに向けられた使用姿勢に作業者を案内する案内什器が側方角空間K2に設けられている。
【0060】
このような本実施形態のパネルシステムS1によれば、パネル構造体1によって囲むことによって作業者が集中力を高める作業空間Kを形成することができる。また、パネル構造体1が作業空間Kを囲む複数の内面11を有しており、これによって作業空間Kに面する複数の角部12が形成されている。これらの角部を含む角空間K1は作業空間Kの中央部から見て局所的に外側に向けて張り出した空間であり、作業スペースや物品載置スペースとして用いることが可能である。つまり、このような角空間K1が局所的に設けられることによって、パネル構造体1で囲む作業空間Kを全体的に広げることなく作業スペースや物品載置スペースを確保することが可能となる。
【0061】
さらに、本実施形態のパネルシステムS1によれば、案内什器が複数の内面11のうち出入口開口Eに接続された内面11と、この内面11と共に角部12を形成する内面11とに沿って配されている。つまり、出入口開口Eの側方に配置された角空間K1である側方角空間K2に対して案内什器が配置されている。この案内什器は、作業者の側方が出入口開口Eに向かう使用姿勢に作業者を案内する。このため、作業空間Kにて案内什器を使用する作業者は、作業者の側方が出入口開口Eに向く姿勢に案内される。このため、作業者は必要を感じた場合に、横を向くことによってすぐに出入口開口Eを介して作業空間Kの外部の者とコミュニケーションをとることが可能となる。
【0062】
したがって、このような本実施形態のパネルシステムS1によれば、パネル構造体1にて作業者の集中力を高める空間を形成可能とすると共に、作業者が必要に応じて外部とのコミュニケーションを容易に図ることができ、さらにパネル構造体1で囲まれた空間に効率的に作業や物品載置に使用可能なスペースを確保することが可能となる。
【0063】
また、本実施形態のパネルシステムS1においては、案内什器が、着座姿勢が使用姿勢であり、着座姿勢に作業者を案内する椅子2とされている。このため、作業者は、椅子2に着座することによって、作業者の側方が出入口開口Eを向く姿勢となる。したがって、作業者に負担を感じさせることなく、作業者を側方が出入口開口Eに向く姿勢に案内することができる。
【0064】
また、本実施形態のパネルシステムS1においては、案内什器が、天板3a上で作業する作業者の作業姿勢が使用姿勢であり、作業姿勢に作業者を案内するテーブル3とされている。このため、作業者は、テーブル3の天板上で作業することで、作業者の側方が出入口開口Eを向く姿勢となる。したがって、作業者に負担を感じさせることなく、作業者を側方が出入口開口Eに向く姿勢に案内することができる。
【0065】
また、本実施形態のパネルシステムS1においては、出入口開口Eの両側方の各々に側方角空間K2を有し、側方角空間K2の各々に案内什器が配置されている。このような本実施形態のパネルシステムS1によれば、側方角空間K2が2つ設けられており、これらの側方角空間K2の各々に案内什器が配置されている。このため、これらの2つの案内什器のいずれかあるいは両方を使用して作業を行うことで、作業者を側方が出入口開口Eに向くように姿勢に案内することができる。
【0066】
また、本実施形態のパネルシステムS1においては、案内什器の背面がパネル構造体1の曲げられた部位(角部12を含む部位)に対向配置されている。パネル構造体1の曲げられた部位は、曲げられていない部位と比較して安定性が高い。このため、このようなパネル構造体1の曲げられた部位に案内什器の背面が対向配置されることで、案内什器が作業者の移動によって意図せずに背面側に移動されようとした場合に、案内什器を背面側からパネル構造体1によって安定的に支持することが可能となる。
【0067】
また、本実施形態のパネルシステムS1においては、角空間K1として、側方角空間K2よりも出入口開口Eに対して作業空間Kの奥側に位置する奥側角空間K3を有している。このため、案内什器を使用して作業を行う作業者の奥側に作業スペースあるいは物品載置スペースを確保することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態のパネルシステムS1においては、奥側角空間K3に配置される(すなわち作業空間Kで角部12に対向配置される)と共に物品が載置可能なワゴン4を備えている。このため、ワゴン4が配置されていない場合と比較して奥側角空間K3の物品の載置スペースとしての使い勝手を向上させることが可能となる。
【0069】
また、本実施形態のパネルシステムS1においては、パネル構造体1が、出入口開口Eに接続されると共に出入口開口Eに向かうに連れて下降する傾斜上縁部1eを有している。このため、作業中の作業者の視線が届きにくい領域にてパネル構造体1の一部を切欠くことができ、作業をしていない作業者が立ち上がることで傾斜上縁部1eの設けられた部位を通じて外部とのコミュケーションが取りやすくなる。
【0070】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明をする。なお、本第2実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0071】
図10は、本実施形態のパネルシステムS2の斜視図である。また、図11は、本実施形態のパネルシステムS2の平面図である。これらの図に示すように、本実施形態のパネルシステムS2のパネル構造体1は、5つのパネル体1aを備えている。
【0072】
図10及び図11に示すように、本実施形態において5つのパネル体1aのうち4つは、上記第1実施形態のパネルシステムS1のパネル構造体1と同様に、湾曲部1a7及び平板部1a8とを有している。これらの4つのパネル体1aは、図11に示すように、作業空間Kに対して4つの角空間K1を形成している。
【0073】
本実施形態では、4つの角空間K1として、出入口開口Eの側方に配置された2つの側方角空間K2と、側方角空間K2よりも出入口開口Eから見て作業空間Kの奥側に配置された2つの奥側角空間K3とを備えている。つまり、上記第1実施形態においては奥側角空間K3が1つ設けられていたのに対して、本実施形態においては奥側角空間K3が複数設けられている。
【0074】
また、本実施形態において5つのパネル体1aのうち残りの1つは、湾曲部1a7を有していない平板状とされている。このような平板状のパネル体1a(以下、平板パネル体1fと称する)は、図10及び図11に示すように、出入口開口Eの奥側に配置されている。本実施形態においては、平板パネル体1fの両側に各々2枚のパネル体1aが配置されている。
【0075】
平板パネル体1fが平板状であるため、平板パネル体1fを支持するベース部材1bも平板パネル体1fと同様に、平面視において直線状とされている。このような平板パネル体1fは、ベース部材1bが直線状となっているため、湾曲した部位を有するベース部材1bに支持されたパネル体1aと比較して安定性に欠ける。ただし、平板パネル体1fは、隣接するパネル体1aに接続され、これらのパネル体1aによって支持されているため、安定的に立設姿勢が保持される。
【0076】
図11に示すように、本実施形態においては、湾曲部1a7を有する4つのパネル体1aと単一の平板パネル体1fとによって、4つの角空間K1を有する作業空間Kが形成されている。これらの角空間K1のうち、2つの側方角空間K2の各々には、椅子2が配置されている。また、これらの角空間K1のうち、2つの奥側角空間K3の各々には、ワゴン4が配置されている。さらに、2つのワゴン4の間には、2つのテーブル3が設けられている。
【0077】
このように本実施形態のパネルシステムS2においては、椅子2、テーブル3及びワゴン4のセットが2つ作業空間Kに配置されており、2人の作業者が作業空間Kにおいて同時に作業を行うことが可能となっている。このような本実施形態のパネルシステムS2においても、作業者は側方角空間K2に配置された椅子2に着座することによって、側方を出入口開口Eに向けることとなる。
【0078】
このような本実施形態のパネルシステムS2は、パネル構造体1によって囲むことによって2人用の作業空間Kを形成することができる。また、本実施形態のパネルシステムS2では、上記第1実施形態のパネルシステムS1と同様に、パネル構造体1の一部が曲げられることで形成される角空間K1が複数設けられている。このため、パネル構造体1で囲む作業空間Kを全体的に広げることなく作業スペースや物品載置スペースを確保することが可能となる。また、作業者は必要を感じた場合に、横を向くことによってすぐに出入口開口Eを介して作業空間Kの外部の者とコミュニケーションをとることが可能となる。 したがって、本実施形態のパネルシステムS2によれば、パネル構造体1にて作業者の集中力を高める空間を形成可能とすると共に、作業者が必要に応じて外部とのコミュニケーションを容易に図ることができ、さらにパネル構造体1で囲まれた空間に効率的に作業や物品載置に使用可能なスペースを確保することが可能となる。
【0079】
また、本実施形態のパネルシステムS2においては、奥側角空間K3が複数設けられている。このため、案内什器を使用して作業を行う作業者の奥側に作業スペースあるいは物品載置スペースを複数確保することが可能となる。
【0080】
図12及び図13は、平板パネル体1fと、平板パネル体1fを支持するベース部材1b(以下、直線ベース部材1gと称する)との第1変形例を示す図である。図12は、第1変形例における平板パネル体1f及び直線ベース部材1gの上方から見た全体斜視図である。図13は、第1変形例における平板パネル体1f及び直線ベース部材1gの下部を下方から見た分解斜視図である。
【0081】
第1変形例における平板パネル体1fは、中央部に対して、平板パネル体1fの両端を近づけるように寄せることによって、平板パネル体1fの表裏面方向に離間して膨らむ膨出部1f1を有している。この膨出部1f1は、図12に示すように上方に向かうに連れて幅が減少して窄む形状とされており、図13に示すように下端が開放端とされている。このような膨出部1f1は、平板パネル体1fの基部1a6が厚さ方向に2分割されており、これらの2分割された部位が離間されることによって形成された部位である。本実施形態においては、膨出部1f1となる基部1a6の部位の各々には、中央部に上下方向に延伸する屈曲部1f2が設けられている。この屈曲部1f2を頂部として、基部1a6が屈曲することによって、膨出部1f1が設けられている。
【0082】
なお、膨出部1f1の下端部の水平方向の両端の各々には、直線ベース部材1gの後述する支持脚1g2が挿通されるスリット1f3が設けられている。これらのスリット1f3は、各々が膨出部1f1の下縁部に至る長さ寸法で形成されており、下方から支持脚1g2を差し込むことが可能とされている。
【0083】
第1変形例における直線ベース部材1gは、上方に向けて開放された断面U字形状の本体部1g1と、本体部1g1の長さ方向における中央部に配置された支持脚1g2とを有している。本体部1g1は、平板パネル体1fの膨出部1f1が設けられていない部位の下縁部を挟持する部位であり、直線状に延伸されている。
【0084】
支持脚1g2は、本体部1g1から平面視にて本体部1g1の延伸方向と直交する方向に膨出して設けられている。このような支持脚1g2は、本体部1g1に対して2つ設けられており、互いが本体部1g1を中心とする対称形状となるように設けられている。各々の支持脚1g2は、本体部1g1に対して傾斜されると共に屈曲して接続された2つの斜辺部1g3によって形成されている。
【0085】
このような支持脚1g2は、斜辺部1g3が膨出部1f1の屈曲部1f2に当接するようにして膨出部1f1の内側に挿入され、膨出部1f1の下縁部を膨出部1f1の内側から支持する。このような支持脚1g2が内側に挿入されることによって、膨出部1f1の形状が膨出した状態で保持される。このように膨出部1f1が膨らみ、かつ、膨出部1f1の内部に支持脚1g2が挿入されることによって、平板パネル体1fは、他のパネル体1aに支えられることなく安定的に自立することができる。
【0086】
このような第1変形例の平板パネル体1f及び直線ベース部材1gを用いることによって、パネル構造体1を構成する全てのパネル体1aが自立することができるため、パネル構造体1をより安定させることが可能となる。
【0087】
なお、このような膨出部1f1と支持脚1g2とによってパネル体1aを自立させる構造は、例えばパネル体1aの平板部1a8の安定性を向上させる構造として、パネル体1aとベース部材1bに組み込んでも良い。
【0088】
図14及び図15は、平板パネル体1fと直線ベース部材1gとの第2変形例を示す図である。図14は、平板パネル体1f及び直線ベース部材1gの上方から見た全体斜視図である。図15は、平板パネル体1f及び直線ベース部材1gの下部を下方から見た分解斜視図である。
【0089】
第2変形例において膨出部1f1となる基部1a6の部位の各々には、上記第1変形例における屈曲部1f2が設けられていない。このため、本変形例では、膨出部1f1が円弧状に膨出している。また、第2変形例における直線ベース部材1gでは、各々の支持脚1g2が平面視で円弧状とされている。
【0090】
このような支持脚1g2は、膨出部1f1の内側に挿入され、膨出部1f1の下縁部を膨出部1f1の内側から支持する。このような円弧状の支持脚1g2が内側に挿入されることによって、膨出部1f1の形状が膨出した状態で保持される。このように膨出部1f1が円弧状に膨らむことで、作業空間Kに第1変形例の屈曲部1f2が設けられず、作業者の膨出部1f1に対する印象を柔らかくすることが可能となる。
【0091】
このような第2変形例の平板パネル体1f及び直線ベース部材1gを用いることによっても、パネル構造体1を構成する全てのパネル体1aが自立することができるため、パネル構造体1をより安定させることが可能となる。
【0092】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明をする。なお、本第3実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0093】
図16は、本実施形態のパネルシステムS3の平面図である。この図に示すように、本実施形態のパネルシステムS3は、上記第1実施形態のパネルシステムS1に加えて、スペーサ5を備えている。
【0094】
スペーサ5は、パネル構造体1の外壁面に固定されており、本実施形態のパネルシステムS3のパネル構造体1と外部部材との間で一定の隙間を形成するための部材である。スペーサ5の取り付け位置は、パネル構造体1の外壁面であれば特に限定されるものではないが、本実施形態においては、パネル構造体1のベース部材1bとされている。
【0095】
図17は、スペーサ5の概略構成を示す斜視図である。この図に示すように、スペーサ5は、スペーサ本体5aと、スペーサ係止部5bとを有している。スペーサ本体5aは、側面の1つがベース部材1bの外壁面と当接されたブロック状の部位である。このスペーサ本体5aは、ベース部材1bと当接する面の反対側の面で外部部材に当接することで、パネル構造体1と外部部材との間に一定の隙間を確保する。
【0096】
このスペーサ本体5aの高さ寸法は、ベース部材1bの高さ寸法と略同一とされている。なお、スペーサ本体5aの高さ寸法は、ベース部材1bの高さ寸法よりも小さくすることも可能である。スペーサ本体5aの高さ寸法がベース部材1bの高さ寸法よりも小さいことで、パネル体1aがベース部材1bに対して変位するように撓んだ場合であっても、パネル体1aがスペーサ本体5aと干渉することを防止することができる。
【0097】
スペーサ係止部5bは、スペーサ本体5aの上縁から水平方向に突出して設けられており、ベース部材1bの後壁片1b2に係止するための係止爪5b1を先端部に有している。このようなスペーサ係止部5bがベース部材1bの後壁片1b2に係止されることで、スペーサ5がベース部材1bに対して装着される。
【0098】
このようなスペーサ5を設置することによって、上述のように外部部材とパネル体1aとの間に一定の隙間を確保することができる。このため、作業者がパネル体1aに触れてパネル体1aが外側に一時的に撓むように変形した場合であっても、撓んだパネル体1aが外部部材に干渉することを防止できる。例えば、複数のパネルシステムS3を隣接して配置する場合であっても、スペーサ5を設置することによって、隣接配置されたパネルシステムS3のパネル体1a同士が接触することを防止することができる。このため、本実施形態のパネルシステムS3によれば、複数のパネルシステムS3を互いに干渉させることなく、隣接して配置することが可能となる。
【0099】
なお、本実施形態においては、上記第1実施形態のパネルシステムS1に対してスペーサ5を設置した構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。上記第2実施形態のパネルシステムS2に対してスペーサ5を設置する構成を採用することも可能である。
【0100】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0101】
例えば、上記実施形態においては、案内什器として椅子2及びテーブル3が設けられた構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。椅子2あるいはテーブル3のいずれかのみを備える構成を採用することも可能である。なお、テーブル3のみを設置する場合には、作業者が立った状態でテーブル3を使用できるように、天板3aが高く配置される。
【0102】
また、上記実施形態においては、3つあるいは4つの角空間K1が作業空間Kに設けられた構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。5つ以上の角空間K1が作業空間Kに設けられた構成を採用することも可能である。
【0103】
上述した実施形態に係るパネルシステムにおけるパネル構造体の一部または全部は、以下のように付記することができる。
[付記1]
平面視にて変形可能なパネル体と、
上記パネル体を保持するガイド部材と
を備え、
上記パネル体は、
平面視で湾曲可能な湾曲部と、
上記湾曲部に接続された平板部と
を有する
ことを特徴とするパネル構造体。
【0104】
このような付記1に係るパネル構造体によれば、平面視にて変形が可能なパネル体をガイド部材によって保持することができる。このため、パネル体の形状を安定的に保持することが可能となる。
【0105】
このような付記1におけるパネル体としては、上記実施形態で示したパネル体1aを用いることが可能である。上記実施形態におけるパネル体1aは、湾曲部1a7と平板部1a8とを備えており、平面視にて変形可能とされている。また、このような付記1におけるガイド部材としては、上記実施形態で示したベース部材1bを用いることが可能である。上記実施形態におけるベース部材1bは、平面視で一部が湾曲されたパネル体1aを保持する。
【0106】
なお、例えば付記1におけるガイド部材は、上記実施形態におけるベース部材1bに限定されるものではない。例えば、湾曲されたパネル体が平板状に復元しようとする復元力を有する場合には、平面視にて一部あるいは全体が湾曲されたパネル体を平面視にて外側から支えてパネル体が平板状に復元することを抑止するようにガイド部材を構成しても良い。
【0107】
また、付記1に係るパネル構造体によれば、パネル体が湾曲部を有しているために、パネル体を立設姿勢にて平面視で一部を容易に湾曲させることが可能となる。このため、パネル体とガイド部材とを組み合わせる場合におけるパネル体の変形作業を容易に行うことが可能となる。
【0108】
このような付記1におけるパネル体としては、上記実施形態におけるパネル体1aを用いることができる。パネル体1aは、上述のように湾曲部1a7と平板部1a8とを備えており、平面視にて変形可能とされている。
【0109】
[付記2]
上記パネル体は、他の上記パネル体に対して着脱可能な着脱縁部を有することを特徴とする付記1記載のパネル構造体。
【0110】
このような付記2に係るパネル構造体によれば、パネル体が他のパネル体に対して着脱可能な着脱縁部を備えている。このため、パネル体を他のパネル体に対して容易に着脱することが可能となる。
【0111】
このような付記2におけるパネル体としては、上記実施形態におけるパネル体1aを用いることができる。パネル体1aは、面ファスナ1a4が設けられた縁部1a5を備えており、このような面ファスナ1a4が設けられた縁部1a5が付記3における着脱縁部として機能する。
【符号の説明】
【0112】
1……パネル構造体、1a……パネル体、1a1……中心部材、1a2……内皮部材、1a3……外皮部材、1a4……面ファスナ、1a5……縁部、1a6……基部、1a7……湾曲部、1a8……平板部、1b……ベース部材(ガイド部材)、1b1……前壁片、1b2……後壁片、1b3……底部、1b4……脚部、1c……連結部、1c1……本体部、1c2……係止片、1c3……締結部、1c4……係止爪、1d……ネジ、1e……傾斜上縁部、1f……平板パネル体、1f1……膨出部、1f2……屈曲部、1f3……スリット、1g……直線ベース部材、1g1……本体部、1g2……支持脚、1g3……斜辺部、2……椅子(案内什器)、2a……座、2b……脚部、2c……背凭れ、3……テーブル(案内什器)、3a……天板、3b……脚部、4……ワゴン(物品載置什器)、4a……下段部、4b……上段部、4c……支持壁、5……スペーサ、5a……スペーサ本体、5b……スペーサ係止部、5b1……係止爪、11……内面、12……角部、E……出入口開口、K……作業空間、K1……角空間、K2……側方角空間、K3……奥側角空間、S1……パネルシステム、S2……パネルシステム、S3……パネルシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17