(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H10K 50/824 20230101AFI20241202BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20241202BHJP
H10K 50/842 20230101ALI20241202BHJP
H10K 59/122 20230101ALI20241202BHJP
H10K 59/80 20230101ALI20241202BHJP
【FI】
H10K50/824
G09F9/30 365
H10K50/842 428
H10K59/122
H10K59/80
(21)【出願番号】P 2020217104
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2023-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 逸
(72)【発明者】
【氏名】金城 拓海
(72)【発明者】
【氏名】西村 眞澄
【審査官】内村 駿介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-081562(JP,A)
【文献】特開2012-182121(JP,A)
【文献】特開2009-032673(JP,A)
【文献】特開2014-235885(JP,A)
【文献】特開2005-071656(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0053395(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0357388(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0332763(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00-102/20
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上に配置された下部電極と、
前記第1絶縁層の上に配置された第2絶縁層であって、前記下部電極に重畳する開口部を有し、格子状に形成された第2絶縁層と、
前記第2絶縁層の上に配置された給電線であって、第1方向に延出した第1配線部と、前記第1方向に交差する第2方向に延出した第2配線部と、前記第1配線部及び前記第2配線部の各々に繋がり且つ前記第1配線部及び前記第2配線部の各々の幅とは異なる幅を有する第3配線部と、を有する給電線と、
発光層を含み、前記開口部に配置され、前記下部電極を覆う有機層と、
前記第1配線部、前記第2配線部、及び、前記第3配線部の各々と接し、前記有機層を覆う上部電極と、
前記給電線の上に配置された隔壁と、
を備え
、
前記第3配線部は、前記第1配線部及び前記第2配線部の各々の幅より大きい幅を有し、
前記隔壁は、
前記開口部に面した側面を有する第1層と、
前記第1層に重畳し、前記側面から前記開口部に向かって張り出した第2層と、を有し、
前記第2層は、平面視で、前記第1配線部に重畳する第1部分と、前記第2配線部に重畳する第2部分と、前記第3配線部に重畳する第3部分と、を有し、
前記第3部分は、前記第1部分及び前記第2部分の各々に繋がり、前記第1部分及び前記第2部分の各々の幅より大きい幅を有し、前記開口部に面した円弧状の縁部を有している、表示装置。
【請求項2】
前記第3配線部は、略四角形状に形成されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
基材と、
前記基材の上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上に配置された下部電極と、
前記第1絶縁層の上に配置された第2絶縁層であって、前記下部電極に重畳する開口部を有し、格子状に形成された第2絶縁層と、
前記第2絶縁層の上に配置された給電線であって、第1方向に延出した第1配線部と、前記第1方向に交差する第2方向に延出した第2配線部と、前記第1配線部及び前記第2配線部の各々に繋がり且つ前記第1配線部及び前記第2配線部の各々の幅とは異なる幅を有する第3配線部と、を有する給電線と、
発光層を含み、前記開口部に配置され、前記下部電極を覆う有機層と、
前記第1配線部、前記第2配線部、及び、前記第3配線部の各々と接し、前記有機層を覆う上部電極と、
を備え、
前記第3配線部は、前記第1配線部及び前記第2配線部の各々の幅より小さい幅を有している
、表示装置。
【請求項4】
前記第3配線部は、略十字形状に形成されている、請求項
3に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。表示素子は、画素電極と共通電極との間に有機層を備えている。有機層は、発光層の他に、正孔輸送層や電子輸送層などの機能層を含んでいる。このような有機層は、例えば真空蒸着法によって形成される。
【0003】
例えば、マスク蒸着の場合、各画素に対応した開口を有するファインマスクが適用される。しかしながら、ファインマスクの加工精度、開口形状の変形等に起因して、蒸着によって形成される薄膜の形成精度が低下するおそれがある。このため、ファインマスクを適用することなく、所望の形状の有機層を形成することが要望されている。
【0004】
一例では、画素分割構造体を用いて有機層及び陰極(第2電極)を分割する技術が知られている。このような技術において、分割された陰極に対して所定の電位を供給するべく、陰極と給電用の配線とを確実に電気的に接続することが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-195677号公報
【文献】特開2004-207217号公報
【文献】特開2008-135325号公報
【文献】特開2009-32673号公報
【文献】特開2010-118191号公報
【文献】国際公開第2019/026511号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、表示素子の上部電極に対して所定の電位を供給することが可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る表示装置は、
基材と、前記基材の上に配置された第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上に配置された下部電極と、前記第1絶縁層の上に配置された第2絶縁層であって、前記下部電極に重畳する開口部を有し、格子状に形成された第2絶縁層と、前記第2絶縁層の上に配置された給電線であって、第1方向に延出した第1配線部と、前記第1方向に交差する第2方向に延出した第2配線部と、前記第1配線部及び前記第2配線部の各々に繋がり且つ前記第1配線部及び前記第2配線部の各々の幅とは異なる幅を有する第3配線部と、を有する給電線と、発光層を含み、前記開口部に配置され、前記下部電極を覆う有機層と、前記第1配線部、前記第2配線部、及び、前記第3配線部の各々と接し、前記有機層を覆う上部電極と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る表示装置DSPの一構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した画素PXの一例を示す平面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示した隔壁30を構成する第2層32の一例を示す平面図である。
【
図5】
図5は、
図2に示した給電線FLに重畳する隔壁30の一例を示す平面図である。
【
図6】
図6は、
図1に示した画素PXの他の例を示す平面図である。
【
図7】
図7は、隔壁30を構成する第2層32の他の例を示す平面図である。
【
図8】
図8は、隔壁30を構成する第2層32の他の例を示す平面図である。
【
図9】
図9は、
図6に示した給電線FLに重畳する隔壁30の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸、及び、Z軸を記載する。X軸に沿った方向をX方向または第1方向と称し、Y軸に沿った方向をY方向または第2方向と称し、Z軸に沿った方向をZ方向または第3方向と称する。X軸及びY軸によって規定される面をX-Y平面と称し、X軸及びZ軸によって規定される面をX-Z平面と称する。X-Y平面を見ることを平面視という。
【0011】
本実施形態に係る表示装置DSPは、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パソコン、携帯端末、携帯電話等に搭載される。なお、以下に説明する表示素子は照明装置の発光素子として適用することができ、表示装置DSPは照明装置等の他の電子機器に転用することができる。
【0012】
図1は、本実施形態に係る表示装置DSPの一構成例を示す図である。表示装置DSPは、絶縁性の基材10の上に、画像を表示する表示部DAを備えている。基材10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0013】
表示部DAは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SP1、SP2、SP3を備えている。一例では、画素PXは、赤色の副画素SP1、緑色の副画素SP2、及び、青色の副画素SP3を備えている。なお、画素PXは、上記の3色の副画素の他に、白色などの他の色の副画素を加えた4個以上の副画素を備えていてもよい。
【0014】
画素PXに含まれる1つの副画素SPの一構成例について簡単に説明する。
すなわち、副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動制御される表示素子20と、を備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4と、を備えている。画素スイッチ2及び駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイッチ素子である。
【0015】
画素スイッチ2について、ゲート電極は走査線GLに接続され、ソース電極は信号線SLに接続され、ドレイン電極はキャパシタ4を構成する一方の電極及び駆動トランジスタ3のゲート電極に接続されている。駆動トランジスタ3について、ソース電極はキャパシタ4を構成する他方の電極及び電源線PLに接続され、ドレイン電極は表示素子20のアノードに接続されている。表示素子20のカソードは、給電線FLに接続されている。なお、画素回路1の構成は、図示した例に限らない。
【0016】
表示素子20は、発光素子である有機発光ダイオード(OLED)である。例えば、副画素SP1は赤波長に対応した光を出射する表示素子を備え、副画素SP2は緑波長に対応した光を出射する表示素子を備え、副画素SP3は青波長に対応した光を出射する表示素子を備えている。画素PXが表示色の異なる複数の副画素SP1、SP2、SP3を備えることで、多色表示を実現できる。
【0017】
但し、副画素SP1、SP2、SP3の各々の表示素子20が同一色の光を出射するように構成されてもよい。これにより、単色表示を実現できる。
【0018】
また、副画素SP1、SP2、SP3の各々の表示素子20が白色の光を出射するように構成された場合、表示素子20に対向するカラーフィルタが配置されてもよい。例えば、副画素SP1は表示素子20に対向する赤カラーフィルタを備え、副画素SP2は表示素子20に対向する緑カラーフィルタを備え、副画素SP3は表示素子20に対向する青カラーフィルタを備える。これにより、多色表示を実現できる。
【0019】
あるいは、副画素SP1、SP2、SP3の各々の表示素子20が紫外光を出射するように構成された場合、表示素子20に対向する光変換層が配置されることで、多色表示を実現できる。
【0020】
表示素子20の構成については、後述する。
【0021】
図2は、
図1に示した画素PXの一例を示す平面図である。
1個の画素PXを構成する副画素SP1、SP2、SP3は、それぞれ第2方向Yに延びた略長方形状に形成され、第1方向Xに並んでいる。各副画素の外形は、表示素子20における発光領域EAの外形に相当するが、簡略化して示したものであり、必ずしも実際の形状を反映したものとは限らない。ここでは、発光領域EAが、第1方向Xに延びた短辺と、第2方向Yに延びた長辺とを有する長方形状に形成されている場合を想定している。
【0022】
後に詳述する絶縁層12は、平面視において、第1方向X及び第2方向Yにそれぞれ延びた格子状に形成され、副画素SP1、SP2、SP3の各々、あるいは、各副画素の表示素子20を囲んでいる。このような絶縁層12は、リブ、隔壁、バンクなどと称される場合がある。絶縁層12は、開口部OP1及びOP2を含む複数の開口部OPを有している。発光領域EAは、絶縁層12の開口部OPに形成される。発光領域EAの詳細については後述する。
【0023】
給電線FLは、絶縁層12の上面U1に配置されている。給電線FLは、第1配線部FL1と、第2配線部FL2と、第3配線部FL3と、を有している。これらの第1配線部FL1、第2配線部FL2、及び、第3配線部FL3は、一体的あるいは連続的に形成されている。
【0024】
第1配線部FL1は、第1方向Xに延出し、第2方向Yに沿って一定の幅W1を有している。このような第1配線部FL1は、格子状に形成された上面U1のうち、第1方向Xに沿って延出した部分に配置されている。1つの副画素に対して、一対の第1配線部FL1が発光領域EAを挟んで対向するように配置されている。
【0025】
第2配線部FL2は、第2方向Yに延出し、第1方向Xに沿って一定の幅W2を有している。このような第2配線部FL2は、格子状の上面U1のうち、第2方向Yに沿って延出した部分に配置されている。1つの副画素に対して、一対の第2配線部FL2が発光領域EAを挟んで対向するように配置されている。
【0026】
第3配線部FL3は、第1配線部FL1及び第2配線部FL2の各々に繋がっている。このような第3配線部FL3は、格子状の上面U1のうち、交差部分に配置されている。1つの副画素に対して、4つの第3配線部FL3が発光領域EAの4つのコーナー部にそれぞれ対向するように配置されている。
【0027】
換言すると、第1配線部FL1は第1方向Xに間隔を置いて並んだ2つの第3配線部FL3の間に配置され、また、第2配線部FL2は第2方向Yに間隔を置いて並んだ2つの第3配線部FL3の間に配置されている。
【0028】
第3配線部FL3は、第1配線部FL1の幅W1、及び、第2配線部FL2の幅W2とは異なる幅を有している。
図2に示す例では、第3配線部FL3は、第1方向Xに沿った幅WXと、第2方向Yに沿った幅WYと、を有する略四角形状に形成されている。幅WYは、幅W1より大きい(WY>W1)。幅WXは、幅W2より大きい(WX>W2)。
【0029】
表示素子20の上部電極E2は、一点鎖線で示すように、発光領域EAのみならず、発光領域EAと給電線FLとの間の絶縁層12に重畳している。しかも、上部電極E2は、第1配線部FL1、第2配線部FL2、及び、第3配線部FL3の各々と接している。これにより、上部電極E2には、給電線FLから所定の電位が供給される。
【0030】
図3は、
図2に示したA-B線に沿った断面図である。
ここで、第1方向Xに隣接する2つの表示素子に着目する。便宜上、図の左側に位置する表示素子を表示素子21と表記し、図の右側に位置する表示素子を表示素子22と表記する。
【0031】
表示素子21は、下部電極(第1下部電極)E11、有機層(第1有機層)OR1、及び、上部電極(第1上部電極)E21を備えている。
表示素子22は、下部電極(第2下部電極)E12、有機層(第2有機層)OR2、及び、上部電極(第2上部電極)E22を備えている。
【0032】
図1に示した画素回路1は、基材10の上に配置され、絶縁層11によって覆われている。
図3では、画素回路1に含まれる駆動トランジスタ3のみを簡略化して図示している。絶縁層(第1絶縁層)11は、表示素子21及び22の下地層に相当する。絶縁層(第2絶縁層)12は、絶縁層11の上に配置されている。絶縁層11及び12は、例えば、有機絶縁層である。
【0033】
下部電極E11及びE12は、絶縁層11の上に配置され、第1方向Xにおいて間隔を置いて並んでいる。下部電極E11及びE12は、それぞれ副画素毎あるいは表示素子毎に配置された電極であり、駆動トランジスタ3と電気的に接続されている。このような下部電極E11及びE12は、画素電極、アノードなどと称される場合がある。
【0034】
下部電極E11及びE12は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料によって形成された透明電極である。なお、下部電極E11及びE12は、銀、アルミニウムなどの金属材料によって形成された金属電極であってもよい。また、下部電極E11及びE12は、透明電極及び金属電極の積層体であってもよい。例えば、下部電極E11及びE12は、透明電極、金属電極、及び、透明電極の順に積層された積層体として構成されてもよいし、3層以上の積層体として構成されてもよい。
【0035】
絶縁層12は、下部電極E11と下部電極E12との間に配置されている。また、絶縁層12は、開口部OP1と、開口部OP2と、斜面S1及びS2と、上面U1と、を有している。
【0036】
開口部OP1は、下部電極E11に重畳する領域に形成され、絶縁層12を下部電極E11まで貫通した貫通孔である。下部電極E11の周縁部は絶縁層12によって覆われ、下部電極E11の中央部は開口部OP1において絶縁層12から露出している。
【0037】
開口部OP2は、下部電極E12に重畳する領域に形成され、絶縁層12を下部電極E12まで貫通した貫通孔である。下部電極E12の周縁部は絶縁層12によって覆われ、下部電極E12の中央部は開口部OP2において絶縁層12から露出している。
【0038】
上面U1、斜面S1及びS2は、絶縁層12のうち、開口部OP1と開口部OP2との間の表面に相当する。斜面S1は、開口部OP1に面している。斜面S2は、開口部OP2に面している。上面U1は、斜面S1及びS2の間に位置している。なお、上面U1、斜面S1及びS2は、例えば平坦面であるが、曲面であってもよい。
【0039】
有機層OR1は、発光層EL1を含んでいる。有機層OR1は、開口部OP1に配置され、下部電極E11を覆っている。
図3に示す例では、有機層OR1は、斜面S1に配置され、さらに、上面U1の一部にも配置されているが、給電線FLから離間している。
【0040】
有機層OR2は、発光層EL2を含んでいる。発光層EL2は、発光層EL1と同一材料によって形成されてもよいし(有機層OR1及び有機層OR2の発光色が同一)、発光層EL1とは異なる材料によって形成されてもよい(有機層OR1及び有機層OR2の発光色が異なる)。
【0041】
有機層OR2は、開口部OP2に配置され、下部電極E12を覆っている。
図3に示す例では、有機層OR2は、斜面S2に配置され、さらに、上面U1の一部にも配置されているが、給電線FLから離間している。上面U1において、有機層OR2は、有機層OR1から離間している。給電線FLは、上面U1において、有機層OR1と有機層OR2との間に位置している。
【0042】
なお、有機層OR1及びOR2は、さらに、各種機能層を含んでいてもよい。機能層は、例えば、ホール注入層、ホール輸送層、ホールブロック層、電子注入層、電子輸送層、電子ブロック層であるが、その他の機能層であってもよい。
【0043】
上部電極E21は、有機層OR1に積層され、有機層OR1の周縁部を含む有機層OR1の全体を覆っている。また、上部電極E21は、上面U1において、給電線FLに接している。有機層OR1のうち、絶縁層12を介することなく、下部電極E11と上部電極E21との間に位置する部分は、表示素子21の発光領域を形成することができる。有機層OR1のうち、斜面S1及び上面U1に配置された部分は、絶縁層12と上部電極E21との間に位置しているため、ほとんど発光しない。
【0044】
上部電極E22は、有機層OR2に積層され、有機層OR2の周縁部を含む有機層OR2の全体を覆っている。また、上部電極E22は、上面U1において、給電線FLに接している。上部電極E22は、上部電極E21から離間している。有機層OR2のうち、絶縁層12を介することなく、下部電極E12と上部電極E22との間に位置する部分は、表示素子22の発光領域を形成することができる。有機層OR2のうち、斜面S2及び上面U1に配置された部分は、絶縁層12と上部電極E22との間に位置しているため、ほとんど発光しない。
【0045】
これらの上部電極E21及びE22は、副画素毎あるいは表示素子毎に配置された電極であるが、それぞれ給電線FLに接しているため、互いに電気的に接続されている。このような上部電極E21及びE22は、共通電極、対向電極、カソードなどと称される場合がある。
【0046】
上部電極E21及びE22は、例えば、マグネシウム、銀などの金属材料によって形成された半透過性の金属電極である。なお、上部電極E21及びE22は、ITOやIZOなどの透明導電材料によって形成された透明電極であってもよい。また、上部電極E21及びE22は、透明電極及び金属電極の積層体であってもよい。
【0047】
隔壁30は、表示素子21と表示素子22との間に位置し、絶縁層12の上に配置されている。
図3に示す例では、隔壁30は、給電線FLの上に配置されている。より具体的に説明すると、隔壁30は、第1層31と、第2層32と、を有している。
【0048】
第1層31は、給電線FLに接し、有機層OR1と有機層OR2との間、及び、上部電極E21と上部電極E22との間に配置されている。第1層31は、開口部OP1に面する側面S11と、開口部OP2に面する側面S12と、側面S11と側面S12との間の上面U11と、を有している。第1層31は、給電線FLのうち、開口部OP1に面する領域、及び、開口部OP2に面する領域をそれぞれ露出している。つまり、給電線FLは、側面S11と有機層OR1との間に延出し、上部電極E21と接している。また、給電線FLは、側面S12と有機層OR2との間に延出し、上部電極E22と接している。このような第1層31は、導電体であってもよいし、絶縁体であってもよい。
【0049】
第2層32は、上面U11に接している。第2層32は、側面S11から開口部OP1に向かって張り出し、さらには、側面S12から開口部OP2に向かって張り出している。第2層32は、導電体であってもよいし、絶縁体であってもよい。また、第2層32は、第1層31と異なる材料で形成されていてもよいし、第1層31と同一の材料で形成されてもよい。
【0050】
このような隔壁30は、平面視においては、格子状に形成され、
図2に示した格子状の給電線FLに重畳している。
【0051】
有機層(第3有機層)OR3は、第2層32の上面U21を覆っている。有機層OR3は、上部電極(第3上部電極)E23によって覆われている。有機層OR3は、有機層OR1及びOR2と同様の材料によって形成されているが、有機層OR1及びOR2のいずれからも離間している。また、上部電極E23は、上部電極E21及びE22と同様の材料によって形成されているが、上部電極E21及びE22のいずれからも離間している。
【0052】
図4は、
図3に示した隔壁30を構成する第2層32の一例を示す平面図である。
第2層32は、第1部分321と、第2部分322と、第3部分323と、を有している。これらの第1部分321、第2部分322、及び、第3部分323は、一体的あるいは連続的に形成されている。
【0053】
第1部分321は、第1方向Xに延出している。一対の第1部分321は、開口部OP1を挟んで対向するように配置されている。
第2部分322は、第2方向Yに延出している。一対の第2部分322は、開口部OP1を挟んで対向するように配置されている。
【0054】
第3部分323は、第1部分321及び第2部分322の各々に繋がっている。4つの第3部分323は、開口部OP1の4つのコーナー部にそれぞれ対向するように配置されている。
【0055】
また、第3部分323は、開口部OP1に面した円弧状の縁部E323を有している。縁部E323は、第1部分321の開口部OP1に面した縁部E321、及び、第2部分322の開口部OP1に面した縁部E322よりも開口部OP1に近接している。場合によっては、縁部E323は、平面視で開口部OP1に重畳することもあり得る。
【0056】
図5は、
図3に示した隔壁30の一例を示す平面図である。なお、ここでは、隔壁30のうちの第2層32の外形を示し、また、給電線FLを点線で示している。
平面視において、第1部分321は第1配線部FL1に重畳し、第2部分322は第2配線部FL2に重畳し、第3部分323は第3配線部FL3に重畳している。
【0057】
第1部分321は、第2方向Yに沿ってほぼ一定の幅W11を有している。一例では、第1部分321は、第1配線部FL1よりも幅広に形成されているが、これに限らない。
第2部分322は、第1方向Xに沿ってほぼ一定の幅W12を有している。一例では、第2部分322は、第2配線部FL2よりも幅広に形成されているが、これに限らない。
【0058】
第3部分323は、第1方向Xに沿った幅WX1と、第2方向Yに沿った幅WY1と、を有している。幅WY1は、幅W11より大きい(WY1>W11)。幅WX1は、幅W12より大きい(WX1>W12)。
【0059】
このような形状の第3部分323においては、幅WX1及びWY1は、連続的に変化する。例えば、幅WX1は、第2部分322に近接する位置においては幅W12と同等であり、第2部分322から離間するにしたがって次第に拡大する。同様に、幅WY1は、第1部分321に近接する位置においては幅W11と同等であり、第1部分321から離間するにしたがって次第に拡大する。
【0060】
次に、上記した構造を有する表示素子21及び22の製造方法について簡単に説明する。
【0061】
例えば、下部電極E11及びE12を形成した後に、有機絶縁層を形成し、この有機絶縁層をパターニングすることで、絶縁層12を形成する。その後、金属層及び絶縁層の少なくとも一方を形成した後に、パターニングすることで、隔壁30を形成する。
【0062】
その後、例えば真空蒸着法により、有機層ORを構成する各層を形成する。このとき、開口部OP1及びOP2にそれぞれ有機層OR1及びOR2が形成されるとともに、隔壁30の上に有機層OR3が形成される。つまり、ファインマスクを使用することなく、互いに離間した有機層OR1及びOR2が形成される。
【0063】
その後、例えばスパッタリング法により、上部電極E2を形成する。このとき、開口部OP1及びOP2にそれぞれ上部電極E21及びE22が形成されるとともに、隔壁30の上に上部電極E23が形成される。つまり、ファインマスクを使用することなく、互いに離間した上部電極E21及びE22が形成される。
【0064】
上部電極E2を形成する材料の放射角は、有機層ORを形成する材料の放射角よりも大きい。このため、有機層ORを形成する材料は、隔壁30の第2層32の下方にはほとんど到達せず、給電線FLを露出する。一方で、上部電極E2を形成する材料は、隔壁30の第2層32で陰になる領域にも回り込む。これにより、給電線FLの第1配線部FL1、第2配線部FL2、及び、第3配線部FL3の各々に接した上部電極E21及びE22が形成される。
【0065】
以上説明したように、隣接する表示素子20の間には隔壁30が配置され、ファインマスクを介することなく形成した有機層ORは、隔壁30によって分割される。このため、所望の形状の有機層ORを備えた表示素子20が提供される。したがって、ファインマスクを適用する場合と比較して、製造コストを削減することができ、しかも、ファインマスクの位置合せ等の工程が不要となり、容易に所望の形状の有機層ORを形成することができる。また、表示素子20において、所定の領域に発光領域を形成することができ、加えて、絶縁層12に重なる領域での不所望な発光が抑制される。
【0066】
また、上部電極E2も有機層ORと同様に隔壁30によって分割されるが、各上部電極E2は、隔壁30の下方に位置する給電線FLに接する。また、上部電極E2を囲むように配置された給電線FLに対して、上部電極E2のうちの周縁部のほぼ全体が給電線FL(第1配線部FL1、第2配線部FL2、及び、第3配線部FL3)に接する。このため、上部電極E2と給電線FLとの接触面積を十分な大きさに確保することができ、上部電極E2の全面に所定の電位を供給することができる。
【0067】
図6は、
図1に示した画素PXの他の例を示す平面図である。
図6に示す例は、
図2に示した例と比較して、第3配線部FL3の形状が異なる。すなわち、給電線FLは、一体的あるいは連続的に形成された第1配線部FL1、第2配線部FL2、及び、第3配線部FL3を有している。第1配線部FL1及び第2配線部FL2については、
図2に示した例と同様に構成されている。
【0068】
第3配線部FL3は、第1配線部FL1及び第2配線部FL2の各々に繋がっている。
図6に示す例では、第3配線部FL3は、第1方向Xに沿った幅WXと、第2方向Yに沿った幅WYと、を有する略十字形状に形成されている。幅WYは、第1配線部FL1の幅W1より小さい(WY<W1)。幅WXは、第2配線部FL2の幅W2より小さい(WX<W2)。
【0069】
表示素子20の上部電極E2は、一点鎖線で示すように、発光領域EAのみならず、発光領域EAと給電線FLとの間の絶縁層12に重畳している。しかも、上部電極E2は、第1配線部FL1、第2配線部FL2、及び、第3配線部FL3の各々と接している。これにより、上部電極E2には、給電線FLから所定の電位が供給される。
【0070】
図7は、隔壁30を構成する第2層32の他の例を示す平面図である。
第2層32は、第1部分321と、第2部分322と、第3部分323と、を有している。これらの第1部分321、第2部分322、及び、第3部分323は、一体的あるいは連続的に形成されている。第1部分321の縁部E321、及び、第2部分322の縁部E322は、それぞれ開口部OP1に向かって凸の弓形に形成されている。縁部E321及び縁部E322は、第3部分323において互いに接続されている。
【0071】
開口部OP1に対して第1方向Xに隣接する他の開口部、開口部OP1に対して第2方向Yに隣接する他の開口部、及び、開口部OP1に対して斜め方向(対角方向)に隣接する他の開口部をそれぞれ囲む第2層32の平面形状は、開口部OP1を囲む第2層32の平面形状と同様である。
【0072】
図8は、隔壁30を構成する第2層32の他の例を示す平面図である。
図8に示す例は、
図4に示した例と
図7に示した例との組合せに相当する。
すなわち、開口部OP1に対して第1方向Xに隣接する他の開口部、及び、開口部OP1に対して第2方向Yに隣接する他の開口部をそれぞれ囲む第2層32の平面形状は、
図4に示した開口部OP1を囲む第2層32の平面形状と同様である。
また、開口部OP1に対して斜め方向(対角方向)に隣接する他の開口部をそれぞれ囲む第2層32の平面形状は、
図7に示した開口部OP1を囲む第2層32の平面形状と同様である。
【0073】
図9は、
図6に示した給電線FLに重畳する隔壁30の一例を示す平面図である。なお、ここでは、隔壁30のうちの
図7に示した第2層32の外形を示し、また、給電線FLを点線で示している。
平面視において、第1部分321は第1配線部FL1に重畳し、第2部分322は第2配線部FL2に重畳し、第3部分323は第3配線部FL3に重畳している。
【0074】
第1部分321は、第1方向Xに延出し、第2方向Yに沿って幅W11を有している。幅W11は、例えば連続的に変化し、第3部分323に近接するにしたがって次第に縮小する。第1部分321と第3部分323との接続部分においては、幅W11は最小となる。
【0075】
第2部分322は、第2方向Yに延出し、第1方向Xに沿って幅W12を有している。幅W12も例えば連続的に変化し、第3部分323に近接するにしたがって次第に縮小する。第2部分322と第3部分323との接続部分においては、幅W12は最小となる。
【0076】
このような他の例においても、上記したのと同様の効果が得られる。
【0077】
上記した本実施形態によれば、表示素子の上部電極に対して所定の電位を供給することが可能な表示装置を提供することができる。
【0078】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0079】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0080】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0081】
DSP…表示装置 10…基材 11…絶縁層(第1絶縁層)
12…絶縁層(第2絶縁層) OP1…開口部(第1開口部) OP2…開口部(第2開口部) 20、21、22…表示素子
E11…下部電極(第1下部電極) E12…下部電極(第2下部電極)
E21…上部電極(第1上部電極) E22…上部電極(第2上部電極)
OR1…有機層(第1有機層) OR2…有機層(第2有機層)
30…隔壁 31…第1層 S11、S12…側面
32…第2層 321…第1部分 322…第2部分 323…第3部分
FL…給電線 FL1…第1配線部 FL2…第2配線部 FL3…第3配線部