IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サレプタ セラピューティクス, インコーポレイテッドの特許一覧 ▶ マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】アンチセンス送達用キメラペプチド
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20241202BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20241202BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20241202BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20241202BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20241202BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20241202BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20241202BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20241202BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20241202BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
A61K31/7088
A61K38/16
A61K47/64
A61K48/00
A61P21/00
A61P21/04
A61P31/04
A61P31/12
C12N15/11 Z
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2020549641
(86)(22)【出願日】2019-03-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 US2019022475
(87)【国際公開番号】W WO2019178479
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】62/644,202
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501237039
【氏名又は名称】サレプタ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ペンテルート, ブラッドリー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ファドゼン, コリン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ホールデン, レベッカ エル.
(72)【発明者】
【氏名】ウォルフ, ジャスティン エム.
(72)【発明者】
【氏名】チュ, ジ-ニン
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ, モニカ
(72)【発明者】
【氏名】ハンソン, ガンナー ジェイ.
【審査官】西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-505741(JP,A)
【文献】国際公開第2014/124952(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/038933(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/017631(WO,A1)
【文献】特表2008-513012(JP,A)
【文献】特表2003-533986(JP,A)
【文献】特表2015-504650(JP,A)
【文献】特表2016-521119(JP,A)
【文献】国際公開第2007/009094(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K
C12N
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化101】

のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容可能な塩であって、
式中、
A’は、-NHCHC(O)NH、-N(C1-6-アルキル)CHC(O)NH
【化102】

から選択され、式中、
は、-C(O)(O-アルキル)-OHであって、式中、xは3~10であり、各アルキル基はそれぞれが独立してC2-6-アルキルであるか、
またはRは、-C(O)C1-6-アルキル、トリチル、モノメトキシトリチル、-(C1-6-アルキル)-R、-(C1-6-ヘテロアルキル)-R、アリール-R、ヘテロアリール-R、-C(O)O-(C1-6-アルキル)-R、-C(O)O-アリール-R、-C(O)O-ヘテロアリール-R、および
【化103】

から選択され、
式中、Rは、OH、SH、およびNHから選択され、またはRは、O、S、またはNHであり、それぞれが固体支持体に共有結合され;
各Rは独立してOHおよび-N(R)(R)から選択され、式中、各RおよびRは、独立して-C1-6-アルキルであり、
各Rは独立して核酸塩基または化学的保護基で官能化された核酸塩基であり、前記核酸塩基は、それぞれ独立してピリジン、ピリミジン、トリアジナン、プリン、およびデアザプリンから選択されるC3-6複素環リングを含み、
zは8~40であり、
E’はH、-C1-6-アルキル、-C(O)C1-6-アルキル、ベンゾイル、ステアロイル、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、トリメトキシトリチル、
【化104】

から選択され;
式中、
Qは、-C(O)(CHC(O)-または-C(O)(CH(CHC(O)-であり、
は、-(CHOC(O)N(Rであり、式中、Rは、-(CHNHC(=NH)NHであり;
Lは、-C(O)(CH1-6-C1-6-複素芳香族-(CH1-6C(O)-であって、式中、LはJのアミノ末端にアミド結合によって共有結合し;
Jは、2、3、4、または5つの共有結合した細胞膜透過ペプチドであり;
GはJのカルボキシ末端に共有結合してG’-NH-C(O)-を形成し、ここで、G’は、H、-C(O)C1-6-アルキル、ベンゾイル、およびステアロイルから選択され;
以下の条件のうち少なくとも一つが真である:
1)A’は、
【化105】

または
2)E’は、
【化106】

であり、
前記細胞膜透過ペプチドの少なくとも一つは両親媒性ペプチドであり、前記細胞膜透過ペプチドの少なくとも一つはオリゴアルギニンペプチドであり、
前記両親媒性ペプチドは、疎水性ペプチジルセグメントおよび親水性ペプチジルセグメントを含み、
前記オリゴアルギニンペプチドは、配列[(RYR)であり、ここで、Rはアルギニンであり、Yは独立してアミノヘキサン酸(X)またはβ-アラニン(β)であり、zは1であり、xは1、2、3、4、または5であり、
前記両親媒性ペプチドは、配列[(RY R) ]を含まず、
前記キメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、RNAの標的領域に相補的である、
キメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
Jは、二つの共有結合した細胞膜透過ペプチドであり、前記細胞膜透過ペプチドの一つは両親媒性ペプチドであり、前記細胞膜透過ペプチドの一つはオリゴアルギニンペプチドである、請求項1に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
Jは、二つの共有結合した細胞膜透過ペプチドであり、前記二つの細胞膜透過ペプチドは一つの両親媒性ペプチドおよび一つのオリゴアルギニンペプチドを含み、前記オリゴアルギニンペプチドはJのC末端であり、前記両親媒性ペプチドはJのN末端である、請求項1および2のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
前記オリゴアルギニンペプチドが配列[(RXR)(RβR)]または[(RβR)(RXR)]を含み、式中、Rはアルギニンであり、Xはアミノヘキサン酸であり、βはβ-アラニンであり、xは1または2である、請求項1~3のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項5】
前記オリゴアルギニンペプチドが、[(RXR)(RβR)](Bpep)である、請求項1~4のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項6】
前記疎水性ペプチジルセグメントが、グリシン、イソロイシン、アラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、またはトリプトファンから独立して選択される2~10のアミノ酸の配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項7】
前記両親媒性ペプチドが、pVEC、Penetratinまたはメリチン(mellitin)である、請求項1~5のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項8】
前記両親媒性ペプチドがPenetratinである、請求項1~5のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項9】
Jが、Penetratin-Bpep(RQIKIWFQNR RMKWKKRXRR βRRXRRβR)、pVEC-Bpep(LLIILRRRIR KQAHAHSKRX RRβRRXRRβR)、またはメリチン-Bpep(GIGAVLKVLT TGLPALISWI KRKRQQRXRR βRRXRRβR)である、請求項1~3のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項10】
Jが、Penetratin-Bpep(RQIKIWFQNR RMKWKKRXRR βRRXRRβR)、pVEC-Bpep(LLIILRRRIR KQAHAHSKRX RRβRRXRRβR)、またはメリチン-Bpep(GIGAVLKVLT TGLPALISWI KRKRQQRXRR βRRXRRβR)である、請求項1~3のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項11】
Jが、Penetratin-Bpep(RQIKIWFQNR RMKWKKRXRR βRRXRRβR)である、請求項1~3のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項12】
E’が、H、-C1-6-アルキル、-C(O)C1-6-アルキル、ベンゾイル、ステアロイル、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、トリメトキシトリチル、および
【化107】

から選択される、請求項1に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項13】
A’が、-N(C1-6-アルキル)CHC(O)NH
【化108】

から選択される、請求項1に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項14】
E’が、H、-C(O)CH、ベンゾイル、ステアロイル、トリチル、4-メトキシトリチル、および
【化109】

から選択される、請求項1に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項15】
A’が、-N(C1-6-アルキル)CHC(O)NH
【化110】

から選択され、
E’が、
【化111】

である、請求項1に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項16】
A’が、
【化112】

であり、
E’が、H、-C(O)CH、トリチル、4-メトキシトリチル、ベンゾイル、およびステアロイルから選択される、請求項1に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項17】
前記式Iのキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートが、:
【化113】

から選択されるキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートであって、
式中、E’がH、C1-6-アルキル、-C(O)CH、ベンゾイル、およびステアロイルから選択される、請求項1に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項18】
前記キメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートが、前記式(Ia)のものである、請求項17に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項19】
前記キメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートが、前記式(Ib)のものである、請求項17に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項20】
各RがN(CHである、請求項1~19のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項21】
各Rが核酸塩基であり、それぞれ独立してアデニン、グアニン、シトシン、5-メチル-シトシン、チミン、ウラシル、およびヒポキサンチンから選択される、請求項1~20のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項22】
Lが、-C(O)(CH1-6-トリアゾール-(CH1-6C(O)-である、請求項1~21のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項23】
Lが、
【化114】

である、請求項1~22のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項24】
G’が、H、C(O)CH3、ベンゾイル、およびステアロイルから選択される、請求項1~23のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項25】
G’が、Hまたは-C(O)CHである、請求項1~24のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項26】
G’が、Hである、請求項1~25のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項27】
G’が、-C(O)CHである、請求項1~25のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容可能な塩、および少なくとも一つの薬学的に許容可能な担体を含む、キメラ組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年3月16日に出願された米国仮出願番号第62/644,202号の優先権を主張するものであり、これは参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
アンチセンス技術は、選択的スプライシング産物を含む一つ以上の特定の遺伝子産物の発現を調節するための手段を提供し、多くの治療、診断、および研究用途において比類なく有用である。アンチセンス技術の背後にある原理は、標的核酸にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドなどのアンチセンス化合物が、多くのアンチセンスメカニズムのうちのいずれか一つを通して転写、スプラシング、または翻訳などの遺伝子発現活性を調節することである。アンチセンス化合物の配列特異性は、疾患に関与する遺伝子の発現を選択的に調節する治療薬としてはもちろん、ターゲットバリデーションおよび遺伝子機能のためのツールとして魅力的である。
【0003】
アンチセンス技術の分野における目覚ましい進歩が見られるが、改善されたアンチセンスまたはアンチジーン性能を有するペプチド-オリゴヌクレオチド-コンジュゲートに対するニーズが残っている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書では、共有結合によってキメラペプチド(CP)に結合したオリゴヌクレオチドを含むキメラペプチド-オリゴヌクレオチド-コンジュゲートが提供される。また、本明細書では、本明細書に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチド-コンジュゲートを対象に投与することを含む、それを必要とする対象における疾患を治療する方法が提供される。
【0005】
したがって、一態様において、本明細書では、式I:
【化1】
のキメラペプチド-オリゴヌクレオチド-コンジュゲート、またはその薬学的に許容可能な塩が提供され、
式中、
A’は、-NHCHC(O)NH、-N(C1-6-アルキル)CHC(O)NH
【化2】
から選択され、式中、
は、-C(O)(O-アルキル)-OHであって、式中、xは3~10であり、各アルキル基はそれぞれが独立してC2-6-アルキルであるか、
またはRは、-C(O)C1-6-アルキル、トリチル、モノメトキシトリチル、-(C1-6-アルキル)-R、-(C1-6-ヘテロアルキル)-R、アリール-R、ヘテロアリール-R、-C(O)O-(C1-6-アルキル)-R、-C(O)O-アリール-R、-C(O)O-ヘテロアリール-R、および
【化3】
から選択され、
式中、Rは、OH、SH、およびNHから選択され、またはRは、O、S、またはNHであり、それぞれが固体支持体に共有結合され;
各Rは独立してOHおよび-N(R)(R)から選択され、式中、各RおよびRは、独立して-C1-6-アルキルであり、
各Rは独立してH、核酸塩基、および化学的保護基で官能化された核酸塩基から選択され、核酸塩基は、それぞれ独立してピリジン、ピリミジン、トリアジナン、プリン、およびデアザプリンから選択されるC3-6複素環リングを含み、
zは8~40であり、
E’はH、-C1-6-アルキル、-C(O)C1-6-アルキル、ベンゾイル、ステアロイル、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、トリメトキシトリチル、
【化4】
から選択され;
式中、
Qは、-C(O)(CHC(O)-または-C(O)(CH(CHC(O)-であり;
は、-(CHOC(O)N(Rであり、式中、Rは、-(CHNHC(=NH)NHであり;
Lは、-C(O)(CH1-6-C1-6-複素芳香族-(CH1-6C(O)であって、式中、LはJのアミノ末端にアミド結合によって共有結合し;
Jは、2、3、4、または5つの共有結合した細胞膜透過ペプチドであり;
Gは、H、-C(O)C1-6-アルキル、ベンゾイル、およびステアロイルから選択され、式中、GはJのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合し;
以下の条件のうち少なくとも一つが真である:
1)A’は、
【化5】
または2)E’は、
【化6】
である。
【0006】
一実施形態では、Lは、-C(O)(CH)1-6-トリアゾール-(CH1-6C(O)である。
【0007】
いくつかの実施形態では、細胞膜透過ペプチドの少なくとも一つは、両親媒性ペプチドであり、細胞膜透過ペプチドの少なくとも一つは、オリゴアルギニンペプチドである。
【0008】
特定の実施形態では、細胞膜透過ペプチドの一つは、両親媒性ペプチドであり、細胞膜透過ペプチドの一つは、オリゴアルギニンペプチドである。
【0009】
一実施形態では、Jは、二つの共有結合した細胞膜透過ペプチドであり、細胞膜透過ペプチドの一つは、両親媒性ペプチドであり、細胞膜透過ペプチドの一つは、オリゴアルギニンペプチドである。
【0010】
一実施形態では、式Iのキメラペプチド-オリゴヌクレオチド-コンジュゲートは、式Ia:
【化7】
のキメラペプチド-オリゴヌクレオチド-コンジュゲート、またはその薬学的に許容可能な塩であり、
式中、Jは、上記で定義される通りである。
【0011】
いくつかの実施形態では、細胞膜透過ペプチドの少なくとも一つは、両親媒性ペプチドであり、細胞膜透過ペプチドの少なくとも一つは、オリゴアルギニンペプチドである。
【0012】
特定の実施形態では、細胞膜透過ペプチドの一つは、両親媒性ペプチドであり、細胞膜透過ペプチドの一つは、オリゴアルギニンペプチドである。
【0013】
特定の実施形態では、Jは、上記で定義される通り、二つの共有結合した細胞膜透過ペプチドである。
【0014】
別の実施形態では、式Iのキメラペプチド-オリゴヌクレオチド-コンジュゲートは、式Ib:
【化8】
のキメラペプチド-オリゴヌクレオチド-コンジュゲート、またはその薬学的に許容可能な塩であり、
式中、Jは、上記で定義される通りである。
【0015】
いくつかの実施形態では、細胞膜透過ペプチドの少なくとも一つは、両親媒性ペプチドであり、細胞膜透過ペプチドの少なくとも一つは、オリゴアルギニンペプチドである。
【0016】
特定の実施形態では、細胞膜透過ペプチドの一つは、両親媒性ペプチドであり、細胞膜透過ペプチドの一つは、オリゴアルギニンペプチドである。
【0017】
特定の実施形態では、上記で定義される通り、二つの共有結合した細胞膜透過ペプチドである。
【0018】
さらに別の態様では、本明細書において、本開示のキメラペプチド-オリゴヌクレオチド-コンジュゲートを対象に投与することを含む、それを必要とする対象における筋疾患、ウイルス感染、神経筋疾患、または細菌感染症を治療する方法が提供される。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
式I:
【化101】

のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容可能な塩であって、
式中、
A’は、-NHCH C(O)NH 、-N(C 1-6 -アルキル)CH C(O)NH
【化102】

から選択され、式中、
は、-C(O)(O-アルキル) -OHであって、式中、xは3~10であり、各アルキル基はそれぞれが独立してC 2-6 -アルキルであるか、
またはR は、-C(O)C 1-6 -アルキル、トリチル、モノメトキシトリチル、-(C 1-6 -アルキル)-R 、-(C 1-6 -ヘテロアルキル)-R 、アリール-R 、ヘテロアリール-R 、-C(O)O-(C 1-6 -アルキル)-R 、-C(O)O-アリール-R 、-C(O)O-ヘテロアリール-R 、および
【化103】

から選択され、
式中、R は、OH、SH、およびNH から選択され、またはR は、O、S、またはNHであり、それぞれが固体支持体に共有結合され;
各R は独立してOHおよび-N(R )(R )から選択され、式中、各R およびR は、独立して-C 1-6 -アルキルであり、
各R は独立してH、核酸塩基、および化学的保護基で官能化された核酸塩基から選択され、前記核酸塩基は、それぞれ独立してピリジン、ピリミジン、トリアジナン、プリン、およびデアザプリンから選択されるC 3-6 複素環リングを含み、
zは8~40であり、
E’はH、-C 1-6 -アルキル、-C(O)C 1-6 -アルキル、ベンゾイル、ステアロイル、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、トリメトキシトリチル、
【化104】

から選択され;
式中、
Qは、-C(O)(CH C(O)-または-C(O)(CH (CH C(O)-であり、
は、-(CH OC(O)N(R であり、式中、R は、-(CH NHC(=NH)NH であり;
Lは、-C(O)(CH 1-6 -C 1-6 -複素芳香族-(CH 1-6 C(O)であって、式中、LはJのアミノ末端にアミド結合によって共有結合し;
Jは、2、3、4、または5つの共有結合した細胞膜透過ペプチドであり;
Gは、H、-C(O)C 1-6 -アルキル、ベンゾイル、およびステアロイルから選択され、式中、GはJのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合し;
以下の条件のうち少なくとも一つが真である:
1)A’は、
【化105】

または
2)E’は、
【化106】

である、キメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容可能な塩。
(項目2)
Jは、2、3、4、または5つの共有結合した細胞膜透過ペプチドであり、前記細胞膜透過ペプチドは独立して両親媒性ペプチドまたはオリゴアルギニンペプチドである、項目1に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目3)
前記細胞膜透過ペプチドの一つは両親媒性ペプチドであり、前記細胞膜透過ペプチドの一つはオリゴアルギニンペプチドである、項目1または2に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目4)
前記細胞膜透過ペプチドの少なくとも一つは両親媒性ペプチドであり、前記細胞膜透過ペプチドの少なくとも一つはオリゴアルギニンペプチドである、項目1~3のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目5)
Jは二つの共有結合した細胞膜透過ペプチドである、項目1に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目6)
Jは、二つの共有結合した細胞膜透過ペプチドであり、前記二つの細胞膜透過ペプチドは独立して両親媒性ペプチドまたはオリゴアルギニンペプチドである、項目1~3に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目7)
Jは、二つの共有結合した細胞膜透過ペプチドであり、前記細胞膜透過ペプチドの一つは両親媒性ペプチドであり、前記細胞膜透過ペプチドの一つはオリゴアルギニンペプチドである、項目1~6のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目8)
Jは、二つの共有結合した細胞膜透過ペプチドであり、前記二つの細胞膜透過ペプチドは一つの両親媒性ペプチドおよび一つのオリゴアルギニンペプチドを含み、前記オリゴアルギニンペプチドはJのC末端であり、前記両親媒性ペプチドはJのN末端である、項目1~7のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目9)
Jは、アミド結合によって共有結合した二つの共有結合した細胞膜透過ペプチドである、項目1~8のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目10)
前記オリガルギニン(oligarginine)ペプチドが配列[(RY R) ]を含み、式中、Rはアルギニンであり、Yは独立してアミノヘキサン酸(X)またはB-アラニン(B)であり、zは1であり、xは1、2、3、4、または5である、項目1~9のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目11)
前記オリガルギニン(oligarginine)ペプチドが配列[(RXR)(RBR)] または[(RBR)(RXR)] を含み、式中、Rはアルギニンであり、Xはアミノヘキサン酸であり、BはB-アラニンであり、xは1または2である、項目1~10のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目12)
前記オリゴアルギニンペプチドが、[(RXR)(RBR)] (Bpep)である、項目1~11のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目13)
前記両親媒性ペプチドが、疎水性ペプチジルセグメントおよび親水性ペプチジルセグメントを含み、前記疎水性ペプチジルセグメントが、グリシン、イソロイシン、アラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、チロシン、またはトリプトファンから独立して選択される2~10のアミノ酸の配列を含み、前記親水性ペプチジルセグメントが、荷電アミノ酸、非荷電の極性アミノ酸、または疎水性アミノ酸から独立して選択される2~20のアミノ酸の配列を含み、前記親水性ペプチジルセグメントが、少なくとも一つの非疎水性アミノ酸を含む、項目1~12のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目14)
前記疎水性セグメントが、グリシン、イソロイシン、アラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、またはトリプトファンから独立して選択される2~10のアミノ酸の配列を含む、項目1~13のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目15)
前記疎水性セグメントが、アルギニン、リジン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、セリン、スレオニン、トリプトファン、アラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、バリン、プロリン、またはグリシンから独立して選択される2~20のアミノ酸の配列を含み、前記親水性ペプチジルセグメントが、少なくとも一つの非疎水性アミノ酸を含む、項目1~14のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目16)
前記両親媒性ペプチドが、pVEC、Penetratinまたはメリチン(mellitin)である、項目1~15のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目17)
前記両親媒性ペプチドがPenetratinである、項目1~16のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目18)
Jが、Penetratin-Bpep(RQIKIWFQNR RMKWKKRXRR BRRXRRBR)、pVEC-Bpep(LLIILRRRIR KQAHAHSKRX RRBRRXRRBR)、メリチン-Bpep(GIGAVLKVLT TGLPALISWI KRKRQQRXRR BRRXRRBR)、またはBpep-Bpep(RXRRBRRXRR BRRXRRBRRX RRBR)である、項目1~9のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目19)
Jが、Penetratin-Bpep(RQIKIWFQNR RMKWKKRXRR BRRXRRBR)、pVEC-Bpep(LLIILRRRIR KQAHAHSKRX RRBRRXRRBR)、またはメリチン-Bpep(GIGAVLKVLT TGLPALISWI KRKRQQRXRR BRRXRRBR)である、項目1~9のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目20)
Jが、Penetratin-Bpep(RQIKIWFQNR RMKWKKRXRR BRRXRRBR)である、項目1~9のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目21)
E’が、H、-C 1-6 -アルキル、-C(O)C 1-6 -アルキル、ベンゾイル、ステアロイル、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、トリメトキシトリチル、および
【化107】

から選択される、項目1に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目22)
A’が、-N(C 1-6 -アルキル)CH C(O)NH
【化108】

から選択される、項目1に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目23)
E’が、H、-C(O)CH 、ベンゾイル、ステアロイル、トリチル、4-メトキシトリチル、および
【化109】

から選択される、項目1に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目24)
A’が、-N(C 1-6 -アルキル)CH C(O)NH
【化110】

から選択され、
E’が、
【化111】

である、項目1に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目25)
A’が、
【化112】

であり、
E’が、H、-C(O)CH 、トリチル、4-メトキシトリチル、ベンゾイル、およびステアロイルから選択される、項目1に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目26)
前記式Iのペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートが、:
【化113】

から選択されるペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートであって、
式中、E’がH、C 1-6 -アルキル、-C(O)CH 、ベンゾイル、およびステアロイルから選択される、項目1に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目27)
前記ペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートが、前記式(Ia)のものである、項目1または26に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目28)
前記ペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートが、前記式(Ib)のものである、項目1または26に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目29)
各R がN(CH である、項目1~28のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目30)
各R が核酸塩であり、それぞれ独立してアデニン、グアニン、シトシン、5-メチル-シトシン、チミン、ウラシル、およびヒポキサンチンから選択される、項目1~29のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目31)
Lが、-C(O)(CH 1-6 -トリアゾール-(CH 1-6 C(O)-である、項目1~30のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目32)
Lが、
【化114】

である、項目1~31のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目33)
Gが、H、C(O)CH 3、 ベンゾイル、およびステアロイルから選択される、項目1~32のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目34)
Gが、Hまたは-C(O)CH である、項目1~33のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目35)
Gが、Hである、項目1~34のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目36)
Gが、-C(O)CH である、項目1~35のいずれか一項に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目37)
前記キメラオリゴヌクレオチド-ペプチドコンジュゲートが、コンジュゲートされていないオリゴヌクレオチドと比較して、取込みにおける少なくとも20倍の改善を示す、項目1に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目38)
前記キメラオリゴヌクレオチド-ペプチドコンジュゲートが、非キメラオリゴヌクレオチド-ペプチドコンジュゲートと比較して、取込みにおける少なくとも2倍の改善を示す、項目1に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目39)
前記キメラオリゴヌクレオチド-ペプチドコンジュゲートが、非キメラPenetratin-ペプチドコンジュゲートと比較して、取込みにおける改善を示す、項目1に記載のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩。
(項目40)
項目1~39のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、および少なくとも一つの薬学的に許容可能な担体を含む、キメラ組成物。
(項目41)
それを必要とする対象における疾患を治療する方法であって、項目1に記載のキメラ組成物の治療有効量を前記対象に投与することを含む方法。
(項目42)
前記疾患が神経筋疾患である、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記神経筋疾患がデュシェンヌ型筋ジストロフィーである、項目42に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1-1】図1A)は、本明細書に記載される四つの細胞膜透過ペプチドキメラのアミノ酸配列を示す。図1B)は、PMO-キメラコンジュゲートの一般的構造を示す。図1C)は、各PMO-ペプチドコンジュゲート5μMでの22時間にわたる連続的処置後、安定的にトランスフェクトされたHeLa 654細胞群の平均eGFP蛍光を表すプロットを示す。
図1-2】同上。
図2-1】図2A)は、eGFPアッセイで測定されたPMO-ペプチドコンジュゲート、ならびに反転して各キメラの活性を示す。図2B)は、PMO、PMO-P15、PMO-BpepまたはPMO-P15Bpep 5μMで22時間にわたって処置した細胞のeGFPの平均蛍光強度を示す。P15は、15個のプロリンアミノ酸残基からなるペプチドである。図2C)5μMのBpepあり・なしで、22時間にわたって5μMの各ベースPMO-CPPで処置したHeLa 654細胞のeGFP平均蛍光強度の比較を示す。
図2-2】同上。
図3図3A)は、37℃または4℃で処置された細胞のeGFP平均蛍光強度のプロットを示す。図3B)は、異なる濃度のクロルプロマジンで処置された細胞のeGFP平均蛍光強度のプロットを示す。
図4図4A)は、5μMのPMO-SulfoCy5-pVEC、PMO-SulfoCy5-Bpep、またはPMO-SulfoCy5-pVEC-Bpepで、37℃で22時間にわたって処置されたHeLa 654細胞のeGFPおよびSulfoCy5の各チャネルにおける平均蛍光強度を表すプロットを示す。図4B)は、処置後のHeLa 654細胞の生細胞共焦点顕微鏡画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ホスホロジアミデートモルホリノオリゴヌクレオチド(PMO)は、遺伝性疾患のための魅力的な治療分子である。ワトソン-クリック塩基対の標的を認識するように設計されたPMOは、その相補的なヌクレオチド配列について高レベルの特異性を呈する。標的化された配列の種類に応じて、PMOはタンパク質の翻訳の遮断、または遺伝子スプライシングの調節を含む様々な効果を媒介し得る。デュシェンヌ型筋ジストロフィーを治療するためにFDAによって条件付きで承認されたPMOのEteplirsenは、ジストロフィンをコードするPre-mRNAにおける突然変異含有エクソンを最終タンパク質転写物から除外し、タンパク質の機能性を回復させる。
【0021】
構造の面では、PMOは、リボシル環がモルホリノ環で置換された中性オリゴヌクレオチド類似体であり、負電荷を有するホスホジエステル骨格は、非荷電ホスホロジアミデートで置換されている。変更した骨格構造は、血清および細胞内ヌクレアーゼの両方の分解を防止する。しかしながら、比較的大きなサイズおよび電荷中性のPMOは、サイトゾルおよび核への非効率的な送達をもたらし得る。
【0022】
細胞膜透過ペプチド(CPP)は、PMOの核への送達を改善するための有望な戦略である。CPPは、理想的にサイトゾルにアクセスし、カーゴの細胞内送達を促進し得る5~40のアミノ酸の比較的短い配列である。CPPは、その物理化学的特性に基づいて異なる群に分類され得る。一般的なCPPクラスは、R12およびおよびBpep(RXRRβRRXRRβR、式中Xは、アミノヘキサン酸であり、βはβ-アラニンである)などの反復性アルギニン系ペプチドからなる。これらのオリゴアルギニンペプチドは多くの場合、ランダムコイルである。PMOにコンジュゲートしたとき、オリゴアルギニンペプチドは、PMO送達を促進する上で最も効果的なペプチドの一部である。Penetratin、pVEC、およびメリチンなどのその他のCPPは、本質的により両親媒性である。これらの配列はカチオン性残基を含むが、荷電および疎水性残基の定義された分離は、両親媒性ヘリックス形成を促進し得る。しかしながら、両親媒性CPPは、PMO有効性を著しく改善するとは認められていない。
【0023】
CPPまたはCPP-PMOコンジュゲートに対する細胞移入の普遍的機構は存在しない。機構は処置濃度および付着カーゴのタイプに大きく依存する場合が多い。特定の閾値濃度(一般的に低いマイクロモル濃度)を超えると、エネルギー依存性細胞質取込みは、エンドサイトーシスおよび細胞表面リサイクルの時間スケールよりも早く観察され得る。高速取込み速度により、小分子について観察されるものと類似した直接的な転位機構のエビデンスが得られる。しかしながら、低い生理学的に関連性のある濃度では、取込みは主にエンドサイトーシスである。エンドサイトーシスのカテゴリー内でさえも、CPPおよびCPP-PMOコンジュゲートは、一つまたは複数のエンドサイトーシスメカニズムを用いて細胞移入できる。これらのエンドサイトーシスメカニズムには、微飲作用、クラスリン媒介エンドサイトーシス、カベオラ媒介性エンドサイトーシス、およびクラスリン/カベオラに依存しないエンドサイトーシスが含まれる。CPP-PMOコンジュゲートは主に低濃度でエンドサイトーシスされ、PMO送達に不良なCPPはエンドソームに捕捉されるか、または核コンパートメントから除外される可能性が高い。
【0024】
本明細書において、PMO送達を改善するためのキメラペプチド-PMOコンジュゲートが提供される。これらのキメラペプチド-PMOコンジュゲートは、相互に共有結合してPMOでコンジュゲートされた二つまたは複数のCPPからなる。特にコンジュゲートされていないPMOと単一のCPP-PMOコンジュゲートと比較される場合、オリゴヌクレオチドの細胞取込みの増加が本明細書に記載される。
【0025】
定義
以下は、本開示を説明するために使用される様々な用語の定義である。これらの定義は、特定の場合において、個別にまたはより大きなグループの一部として限定されない限り、本明細書および請求項全体を通して使用される用語に適用される。
【0026】
「約(about)」という用語は、当業者によって理解され、それが使用される文脈においてある程度変化する。本明細書で使用される場合、量、持続時間、などの測定可能な値を参照するとき、用語「約(about)」は、そのような変化が開示された方法を実施するために適切であるため、±5%、±1%、および±0.1%を含む、±20%または±10%の変動を包含することを意味する。
【0027】
「アルキル(alkyl)」という用語は、特定の実施形態では、一つ~六つ、または一つ~八つの炭素原子を含む、飽和、直鎖-または分岐鎖の炭化水素部分を指す。C1-6-アルキル部分の例には、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシル部分が含まれ;C1-8-アルキル部分の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tertブチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、ヘプチル、およびオクチル部分が含まれる。
【0028】
アルキル置換基中の炭素原子の数は、「Cx-y」によって示され得、式中、xは最小であり、yは置換基中の炭素原子の最大数である。同様に、C鎖は、x炭素原子を含むアルキル鎖を意味する。
【0029】
「ヘテロアルキル(heteroalkyl)」という用語は単独で、または別の用語との組み合わせで、特に明記しない限り、明記されている数の炭素原子、およびO、N、およびSからなる群から選択される一つまたは複数のヘテロ原子を含む、安定な直鎖または分岐鎖アルキル基を指し、窒素および硫黄原子は酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は四級化されていてもよい。ヘテロ原子は、ヘテロアルキル基の残りの部分とそれが付着するフラグメントとの間を含む、ヘテロアルキル基の任意の位置に配置され得、ならびにヘテロアルキル基中の最も遠位の炭素原子に付着し得る。例には以下が含まれる:-O-CH-CH-CH、-CH-CH-CH-OH、-CH-CH-NH-CH、-CH-S-CH-CH、および-CH-CH-S(=O)-CH3。最大二つのヘテロ原子は、例えば、-CH-NH-OCH、または-CH-CH-S-S-CHのように連続し得る。
【0030】
「アリール(aryl)」という用語は、単独でまたはその他の用語と組み合わせて用いられる場合、特に明記しない限り、一つまたは複数のリング(一般に、一つ、二つ、または三つのリング)を含む炭素環式芳香族系を指し、こうしたリングは、ビフェニルなどのペンダント様式で結合してもよく、またはナフタリンなどのように融合してもよい。アリール基の例は、フェニル、アントラシル(anthracyl)、およびナフチルを含む。様々な実施形態では、アリール基の例は、フェニル(例えば、C-アリール)およびビフェニル(例えば、C12-アリール)を含む。いくつかの実施形態では、アリール基は6~16個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アリール基は6~12個の炭素原子を有する(例えば、C6-12-アリール)。いくつかの実施形態では、アリール基は6個の炭素原子を有する(例えば、C-アリール)。
【0031】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール(heteroaryl)」または「複素芳香族(heteroaromatic)」という用語は、芳香族特性を有する複素環を指す。ヘテロアリール置換基は、例えば、C1~9-ヘテロアリールが、ヘテロ原子の数を含まず、ヘテロアリール基に含有される炭素原子の数を示すように、炭素原子の数によって定義され得る。例えば、C1~9-ヘテロアリールは、追加的な一個~四個のヘテロ原子を含むことになる。多環式ヘテロアリールは、部分的に飽和した一つまたは複数のリングを含み得る。ヘテロアリールの非限定的な例は、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル(例えば、2-および4-ピリミジニルを含む)、ピリダジニル、チエニル、フリル、ピロリル(例えば、2-ピロリルを含む)、イミダゾリル、チアゾリル、ピラゾリル(例えば、3-および5-ピラゾリルを含む)、イソチアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、テトラゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリルおよび1,3,4-オキサジアゾリルを含む。
【0032】
多環性複素環およびヘテロアリールの非限定的な例は、インドリル(例えば、3-、4-、5-、6-および7-インドリル)、インドリニル、キノリル、テトラヒドロキノリル、イソキノリル(例えば、1-および5-イソキノリルを含む)、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリル、シンノリニル、キノキサリニル(例えば、2-および5-キノキサリニルを含む)、キナゾリニル、フサラジニル(phthalazinyl)、1,8-ナフチリジニル、1,4-ベンゾジオキサニル、クマリン、ジヒドロクマリン、1,5-ナフチリジニル、ベンゾフリル(例えば、3-,4-,5-,6-および7-ベンゾフリルを含む)、2,3-ジヒドロベンゾフリル、1,2-ベンジソキサゾリル(benzisoxazolyl)、ベンゾチエニル(例えば、3-,4-,5-,6-,および7-ベンゾチエニル)、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル(例えば、2-ベンゾチアゾリルおよび5-ベンゾチアゾリル)、プリニル、ベンゾイミダゾリル(例えば、2-ベンゾイミダゾリルを含む)、ベンゾトリアゾリル、チオキサンチニル(thioxanthinyl)、カルバゾリル、カルボニル、アクリジニル、ピロリジジニル(pyrrolizidinyl)、およびキノリジジニルを含む。
【0033】
「保護基(protecting group)」または「化学保護基(chemical protecting group)」という用語は、化合物の一部またはすべての反応部分を遮断して、保護基が除去されるまでそのような部分が化学反応に加わるのを防止する化学的部分を指し、例を挙げると、そのような部分は、T.W.Greene,P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd ed.John Wiley&Sons(1999)に記載されている。異なる保護基が用いられる場合、それぞれ(異なる)保護基が異なる手段によって除去可能であることが有利であり得る。完全に異なる反応条件下で切断された保護基は、こうした保護基の差分除去を可能にする。例えば、保護基は、酸、塩基、および水素化分解によって除去することができる。トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、アセタールおよびtert-ブチルジメチルシリルなどの基は酸不安定性であり、水素化分解で除去可能なCbz基、および塩基不安定性のFmoc基で保護されたアミノ基の存在下でカルボキシおよびヒドロキシ反応部分を保護するために使用され得る。カルボン酸部分は、限定するものではないが、メチル、またはエチルなどの塩基不安定基で遮断されてもよく、またヒドロキシ反応部分は、tert-ブチルカルバメートなどの酸不安定基、または酸および塩基の両方で安定であるが加水分解的に除去可能なカルバメートによって遮断されたアミンの存在下で、アセチルなどの塩基不安定部分で遮断され得る。
【0034】
カルボン酸およびヒドロキシル反応部分もまた、ベンジル基などの加水分解的に除去可能な保護基で遮断されてもよく、一方でアミン基はFmocなどの塩基不安定基で遮断されてもよい。式(I)の化合物の合成に対する特に有用なアミン保護基は、トリフルオロアセトアミドである。カルボン酸反応部分は、2,4-ジメトキシベンジルなどの酸化的に除去可能な保護基で遮断されてもよく、一方で既存のアミノ基はフッ化物不安定シリルカルバメートで遮断されてもよい。
【0035】
アリル遮断基は、酸-および塩基-保護基の存在下で有用であるが、それは前者が安定であり、その後、金属又はpi-酸触媒によって除去され得るためである。例えば、アリル遮断カルボン酸は、酸不安定t-ブチルカルバメートまたは塩基不安定酢酸アミン保護基の存在下、パラジウム(0)-触媒反応で脱保護され得る。また別の形態の保護基は、化合物または中間体が付着され得る樹脂である。残基が樹脂に付着している限り、その官能基は遮断され、反応できない。樹脂から放出されると、官能基は反応可能になる。
【0036】
「ヌクレオブーゼ(nucleobase)」、「塩基対形成部分(base pairing moiety)」、「核酸塩基対形成部分(nucleobase-pairing moiety)」、または「基(base)」という用語は、ヌクレオシド、ヌクレオチド、および/またはモルホリノサブユニットの複素環リング部分を指す。核酸塩基は自然発生的であり得、またはこれらの自然発生的な核酸塩基の修飾もしくは類似体であり得、例えば、核酸塩基の一つまたは複数の窒素原子は、それぞれ独立して炭素によって置換され得る。例示的な類似体としては、ヒポキサンチン(ヌクレオチドイノシンの塩基構成要素)、2,6-ジアミノプリン;5-メチルシトシン;C5-プロピニル修飾ピリミジン、10-(9-(アミノエトキシ)フェノキサジニル)(G-クランプ)などが挙げられる。
【0037】
塩基対形成部分のさらなる例には、限定するものではないが、ウラシル、チミン、アデニン、シトシン、グアニンおよびアシル保護基、2-フルオロウラシル、2-フルオロシトシン、5-ブロモウラシル、5-ヨードウラシル、2,6-ジアミノプリン、アザシトシン、偽イソシトシンおよび偽ウラシルなどのピリミジン類似体ならびに8-置換プリン、キサンチン、またはヒポキサンチン(後者二つは自然分解生成物である)などの他の修飾核酸塩基によって保護されたそれらの各アミノ基を有するヒポキサンチンが挙げられる。Chiu and Rana、RNA、2003、9、1034-1048、Limach et al.Nucleic Acids Research,1994,22,2183-2196 and Revankar and Rao,Comprehensive NaturalおよびRevankar and Rao,Comprehensive Natural Products Chemistry,vol.7,313に開示された修飾核酸塩基も意図され、その内容は参照により本明細書に援用される。
【0038】
塩基対形成部分のさらなる例には、限定するものではないが、一つまたは複数のベンゼン環が加えられた拡張サイズの核酸塩基が含まれる。Glen Research catalog(www.glenresearch.com)に記載された核酸塩基置換;Krueger AT et al.,Acc.Chem.Res.,2007,40,141-150;Kool,ET,Acc.Chem.Res.,2002,35,936-943;Benner S.A.,et al.,Nat.Rev.Genet.,2005,6,553-543;Romesberg,F.E.,et al.,Curr.Opin.Chem.Biol.,2003,7,723-733;Hirao,I.,Curr.Opin.Chem.Biol.,2006,10,622-627は、参照により本明細書に援用されるものであり、本明細書に記載されるオリゴマーの合成に有用であると考えられる。拡張サイズの核酸塩基の例を以下に示す。
【化9】
【0039】
「オリゴヌクレオチド(oligonucleotide)」または「オリゴマー(oligomer)」という用語は、複数の連結されたヌクレオシド、ヌクレオチド、またはヌクレオシドおよびヌクレオチドの両方の組み合わせを含む化合物を指す。本明細書で提供される特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドはモルホリノオリゴヌクレオチドである。
【0040】
「モルホリノオリゴヌクレオチド(morpholino oligonucleotide)」または「PMO」という語句は、一つのサブユニットのモルホリノ窒素を、隣接するサブユニットの5’-環外炭素に結合する、ホスホロアミダートまたはホスホロジアミダート結合によって結合したモルホリノサブユニットを有する修飾オリゴヌクレオチドを指す。各モルホリノサブユニットは、核酸塩基特異的水素結合によって、標的の核酸塩基に結合するのに有効な核酸塩基対部分を含む。
【0041】
「アンチセンスオリゴマー(antisense oligomer)」、「アンチセンス化合物(antisense compound)」および「アンチセンスオリゴヌクレオチド(antisense oligonucleotide)」という用語は互換的に使用され、それぞれ塩基対部分を有し、塩基対形成部分にワトソン-クリック塩基対形成によって核酸中の標的配列(典型的にはRNA)にハイブリダイズさせ、核酸:標的配列内のオリゴマーヘテロ二本鎖を形成させるサブユニット間結合によって結合された、サブユニットの配列を指す。オリゴマーは、標的配列に対して正確な(完全な)または近似の(十分な)配列相補性を有し得、オリゴマーの末端近くの配列の変形は、一般的に内部における変形より好ましい。
【0042】
こうしたアンチセンスオリゴマーは、mRNAの翻訳を遮断または阻害するように、または天然のまたは異常なPre-mRNAスプライシングプロセシングを阻害/変化させるように設計されうるが、これがハイブリダイズする標的配列を「対象とする」または「標的化する」と言うことができる。標的配列は、典型的には、mRNAのAUG開始コドン、翻訳抑制オリゴマー、またはプロセシング前mRNAのスプライシング部位、スプライシング抑制オリゴマー(SSO)を含む領域である。スプライシング部位の標的配列は、プロセシングされたmRNAの通常のスプライシング受容体接合部の下流に、その5’末端1~約25塩基対を有するmRNA配列を含み得る。様々な実施形態では、標的配列は、スプライシング部位を含むか、または完全にエクソンコード配列内に含まれるか、またはスプライシング受容体またはドナー部位にわたる、プロセシングされたmRNAの任意の領域であり得る。オリゴマーは、上述の方法で標的核酸に対して標的化される場合、より一般的に、タンパク質、ウイルス、または細菌などの生物関連標的を「標的とする(targeted against)」と言われる。
【0043】
アンチセンスオリゴヌクレオチドと標的RNAは、各分子の対応する位置の十分な数が相互に水素結合できるヌクレオチドによって占有されている場合、互いに相補的であり、そのため、安定で特異的な結合がオリゴヌクレオチドと標的の間で発生する。したがって、「特異的にハイブリダイズ可能(specifically hybridizable)」および「相補的(complementary)」とは、オリゴヌクレオチドと標的との間で安定で特異的な結合が発生するように、十分な程度の相補性または正確な対形成を示すために使用される用語である。オリゴヌクレオチドの配列は、特異的にハイブリダイズ可能となるその標的配列に対して100%相補的である必要はないことが当業者には理解される。オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの標的分子への結合が標的RNAの正常な機能を妨害する場合、特異的にハイブリダイズ可能であり、特異的結合が望まれる条件下、つまり、in vivoアッセイまたは治療的処置の場合は生理学的条件下、およびin vitroアッセイの場合は、アッセイが実施される条件下で、非標的配列へのアンチセンスオリゴヌクレオチドの非特異的結合を回避するのに十分な程度の相補性が存在する。
【0044】
オリゴヌクレオチドはまた、核酸塩基(当該技術分野では単に「塩基(base)」と称される)修飾または置換を含み得る。修飾または置換塩基を含むオリゴヌクレオチドは、核酸中で最もよく見られる一つまたは複数のプリンまたはピリミジン塩基がそれほど一般的ではない、または非天然の塩基で置換されたオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、核酸塩基は、プリン塩基のN9原子、またはピリミジン塩基のN1原子で、ヌクレオチドはヌクレオシドのモルホリン環に共有結合されている。
【0045】
プリン塩基は、一般式によって記載される通り、イミダゾール環に融合したピリミジン環を含む。
【化10】
【0046】
アデニンおよびグアニンは、核酸中で最も一般的に見られる二つのプリン核酸塩基である。これらは、限定するものではないが、N6-メチルアデニン、N2-メチルグアニン、ヒポキサンチン、および7-メチルグアニンを含む、その他の自然発生的プリンで置換され得る。
【0047】
ピリミジン塩基は、一般式によって記載される通り、6員ピリミジン環を含む。
【化11】
【0048】
シトシン、ウラシル、およびチミンは、核酸中で最も一般的に見られるピリミジン塩基である。これらは、限定するものではないが、5-メチルシトシン、5-ヒドロキシメチルシトシン、偽ウラシル、および4-チオウラシルを含む、その他の自然発生的ピリミジンで置換され得る。一実施形態では、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドはウラシルの代わりにチミン塩基を含む。
【0049】
その他の修飾または置換塩基は、限定するものではないが、2,6-ジアミノプリン、オロト酸、アグマチジン、リシジン、2-チオピリミジン(例えば、2-チオウラシル、2-チオチミン)、G-クランプおよびその誘導体、5-置換ピリミジン(例えば、5-ハロウラシル、5-プロピニルウラシル、5-プロピニルシトシン、5-アミノメチルウラシル、5-ヒドロキシメチルウラシル、5-アミノメチルシトシン、5-ヒドロキシメチルシトシン、スーパーT)、7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、7-アザ-2,6-ジアミノプリン、8-アザ-7-デアザグアニン、8-アザ-7-デアザアデニン、8-アザ-7-デアザ-2,6-ジアミノプリン、スーパーG、スーパーA、およびN4-エチルシトシン、またはその誘導体;N2-シクロペンチルグアニン(cPent-G)、N2-シクロペンチル-2-アミノプリン(cPent-AP)、およびN2-プロピル-2-アミノプリン(Pr-AP)、偽ウラシルまたはその誘導体;ならびに2,6-ジフロオロトルエンまたは非塩基部位などの無塩基のような、縮重またはユニバーサル塩基(例えば、1-デオキシリボース、1,2-ジデオキシリボース、1-デオキシ-2-O-メチルリボース;または環酸素が窒素で置換されたピロリジン誘導体(アザリボース))を含む。偽ウラシルは、ウラシルの自然発生的異性化バージョンであり、ウリジンにおける通常のN-グリコシドというよりむしろC-グリコシドによる。
【0050】
特定の修飾または置換核酸塩基は、本開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドの結合親和性を向上させるために特に有用である。これらは、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、ならびに2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシルおよび5-プロピニルシトリンを含むN-2、N-6、および0-6置換プリンを含む。様々な実施形態では、核酸塩基は、0.6~1.2℃の核酸二重安定性を向上させること示される5-メチルシトシン置換基を含み得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、修飾または置換核酸塩基は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの精製を容易にするために有用である。例えば、特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、三つ以上の(例えば、3、4、5、6つ以上)連続グアニン塩基を含み得る。特定のアンチセンスオリゴヌクレオチドでは、三つ以上の連続グアニン塩基のストリングは、オリゴヌクレオチドの凝集をもたらし、精製を複雑にし得る。こうしたアンチセンスオリゴヌクレオチドでは、連続したグアニンの一つまたは複数をヒポキサンチンで置換し得る。三つ以上の連続グアニン塩基のストリングにおける一つまたは複数のグアニンに対するのヒポキサンチン置換は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの凝集を減少させ、それによって精製を促進し得る。
【0052】
本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドは合成され、生物起源のアンチセンス組成物を含まない。本開示の分子は、例えば、取込み、分布、または吸収を助けるため、混合、カプセル封入、コンジュゲートされるか、さもなくば、リポソーム、受容体標的分子、経口、直腸、局所またはその他製剤などの、分子、分子構造または化合物の混合物、またはその組み合わせに関連し得る。
【0053】
「相補的(complementary)」および「相補性(complementarity)」という用語は、塩基対形成規則によって関連付けられるオリゴヌクレオチド(すなわち、ヌクレオチド配列)を指す。例えば、配列「T-G-A(5’-3’)」は、配列「T-C-A(5’-3’)」に対して相補的である。相補性は、「部分(partial)」であってもよく、その中では一部の核酸塩基のみが塩基対形成規則に従って一致する。あるいは、核酸間に「完全な(complete)」、「全体の」、または「完璧な(perfect)」(100%の)相補性があってもよい。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率および強度に顕著な影響を与える。多くの場合、完全相補性が望ましいが、一部の実施形態は、標的RNAに対して一つまたは複数のミスマッチ、好ましくは6、5、4、3、2、または1つのミスマッチを含み得る。こうしたハイブリダイゼーションは、アンチセンスオリゴマーの標的配列に対する「近似的(near)」または「実質的な(substantial)」相補性、ならびに完全な相補性によって生じ得る。いくつかの実施形態では、オリゴマーは、約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%または100%の相補性で標的配列にハイブリダイズし得る。オリゴマー内の任意の位置における変動が含まれる。特定の実施形態では、内部における変形よりもオリゴマーの末端付近の配列の変形が一般的に好ましく、また存在する場合、典型的には、5’末端、3’末端、または両方の末端の約6、5、4、3、2、または1つのヌクレオチドである。
【0054】
「ペプチド」という用語は、複数の結合したアミノ酸を含む化合物を指す。本明細書に提供されるペプチドは、細胞膜透過ペプチドと考えられ得る。
【0055】
「細胞膜透過ペプチド(cell penetrating peptide)」および「CPP」という用語は互換的に使用され、輸送ペプチド、キャリアペプチド、またはペプチド形質導入ドメインとも称されるカチオン性細胞膜透過ペプチドを指す。本明細書で提供されるペプチドは、所与の細胞培養群の細胞の100%以内の細胞膜透過を誘発する能力を有し、全身投与においてin vivoでの複数の組織内の高分子転位を可能にする。様々な実施形態では、本開示のCPP実施形態は、以下にさらに記載されるアルギニンに富むペプチドを含み得る。
【0056】
本明細書で使用される場合、「キメラペプチド(chimeric peptide)」という用語は、第三の部分に融合された異なるペプチドまたはそのフラグメントである、第二の部分に融合された第一のペプチドまたはそのフラグメントである第一の部分を含む、ポリペプチドを指す。キメラペプチドは、2、3、4、5つ、またはそれ以上の共有結合ペプチドを含み得る。ペプチドは、アミノ酸側鎖、N末端、C末端、またはそれらの任意の組み合わせを介して共有結合されてもよい。特定の実施形態では、ペプチドは、一つのペプチドのN末端を介して他方のC-ペプチドに共有結合している。特定の実施形態では、共有リンカーはアミド結合である。
【0057】
本明細書で使用される場合、「両親媒性ペプチド(amphipathic peptide)」という用語は、本質的に荷電したアミノ酸および本質的に非荷電のアミノ酸の分離領域を有するペプチドを指す。これらの領域は、それぞれ親水性ペプチジルセグメントおよび疎水性ペプチジルセグメントとして知られている。
【0058】
本明細書で使用される場合、「オリゴアルギニンペプチド(oligoarginine peptide)」という用語は、ペプチドが全てアルギニン、またはほとんどアルギニンアミノ酸残基から成るペプチドを指す。特定の実施形態では、ペプチドは完全にアルギニンアミノ酸残基から成る。特定の実施形態では、ペプチドは、限定するものではないが、アミノヘキサン酸またはβ-アラニンなどのアミノ酸リンカーと間隙を介した50~99%のアルギニンアミノ酸残基から成る。特定の実施形態では、ペプチドは、限定するものではないが、アミノヘキサン酸またはβ-アラニンなどのアミノ酸リンカーと間隙を介した75%のアルギニンアミノ酸残基から成る。
【0059】
「治療(treatment)」という用語は、疾患の改善に使用される一つまたは複数の特定の処置の適用を指す。特定の実施形態では、特定の処置は、一つまたは複数の医薬品の投与である。個人(例えば、ヒトなどの哺乳類)または細胞の「治療(treatment)」は、個人または細胞の自然経過を変更する試みにおいて使用されるあらゆる種類の介入である。治療は、限定するものではないが、医薬組成物の投与を含み、予防的に、または病理学的事象の開始もしくは病原体との接触の後に、行い得る。治療は、疾患または状態の症状または病理おける任意望ましい効果を含み、例えば、治療される疾患または状態の一つまたは複数の測定可能なマーカーの最小限の変化または改善を含み得る。また、治療される疾患または状態の進行度を低下させ、その疾患または状態の発症を遅延させる、またはその発症の重症度を低減することを対象とし得る「予防的(prophylactic)」治療も含まれる。
【0060】
「有効量(effective amount)」または「治療有効量(therapeutically effective amount)」は、所望の治療効果を生じるのに有効な、単回投与または連続投与のうちの一部として、哺乳動物対象に投与される、アンチセンスオリゴマーなどの治療化合物の量を指す。
【0061】
「改善(amelioration)」という用語は、状態または疾患の少なくとも一つの指標の重症度の低下を指す。特定の実施形態では、改善は、状態または疾患の一つまたは複数の指標の進行における遅延または緩和を含む。指標の重症度は、当業者に公知の主観的または客観的尺度によって決定され得る。
【0062】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な塩(pharmaceutically acceptable salts)」とは、本開示のオリゴヌクレオチドの誘導体を指し、親オリゴヌクレオチドは、既存の酸または塩基部分をその塩形態に変換することによって修飾される。適切な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418 and Journal of Pharmaceutical Science,66,2(1977)に記載されており、それぞれが参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0063】
キメラペプチド-オリゴヌクレオチド-結合体
本明細書において、キメラ細胞膜浸透ペプチドに化学的に結合するオリゴヌクレオチドが提供される。キメラ細胞膜透過ペプチドはオリゴヌクレオチドの活性、細胞分布、または細胞取込みを強化する。特に、キメラ細胞膜透過ペプチドは、両親媒性ペプチドおよびオリゴアルギニンペプチドを含む。オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布、または細胞取込みをさらに強化する一つまたは複数のヘテロアルキル部分(例えば、ポリエチレングリコール)にさらに化学結合され得る。一つの例示的実施形態では、キメラ細胞膜透過ペプチドは、そのN末端残基またはC末端残基で、オリゴヌクレオチドのいずれかの末端または両端に共有結合される。
【0064】
したがって、一態様において、本明細書では、式I:
【化12】
のキメラペプチド-オリゴヌクレオチド-コンジュゲートまたはその薬学的に許容可能な塩であり、
式中、
A’は、-NHCHC(O)NH、-N(C1-6-アルキル)CHC(O)NH
【化13】
から選択され、式中、
は、-C(O)(O-アルキル)-OHであって、式中、xは3~10であり、各アルキル基それぞれが独立してC2-6-アルキルであるか、
またはRは、-C(O)C1-6-アルキル、トリチル、モノメトキシトリチル、-(C1-6-アルキル)-R、-(C1-6-ヘテロアルキル)-R、アリール-R、ヘテロアリール-R、-C(O)O-(C1-6-アルキル)-R、-C(O)O-アリール-R、-C(O)O-ヘテロアリール-R、および
【化14】
から選択され、
式中、Rは、OH、SH、およびNHから選択され、またはRは、O、S、またはNHであり、それぞれが固体支持体に共有結合され;
各Rは独立してOHおよび-N(R)(R)から選択され、式中、各RおよびRは、独立して-C1-6-アルキルであり、
各Rは独立してH、核酸塩基、および化学的保護基で官能化された核酸塩基から選択され、核酸塩基は、それぞれ独立してピリジン、ピリミジン、トリアジナン、プリン、およびデアザプリンから選択されるC3-6複素環リングを含み、
zは8~40であり、
E’はH、-C1-6-アルキル、-C(O)C1-6-アルキル、ベンゾイル、ステアロイル、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、トリメトキシトリチル、
【化15】
から選択され;
式中、
Qは、-C(O)(CHC(O)-または-C(O)(CH(CHC(O)-であり、
は、-(CHOC(O)N(Rであり、式中、Rは、-(CHNHC(=NH)NHであり;
Lは、-C(O)(CH1-6-C1-6-複素芳香族-(CH1-6C(O)であって、式中、LはJのアミノ末端にアミド結合によって共有結合し;
Jは、2、3、4、または5つの共有結合した細胞膜透過ペプチドであり;
Gは、H、-C(O)C1-6-アルキル、ベンゾイル、およびステアロイルから選択され、式中、GはJのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合し;
以下の条件のうち少なくとも一つが真である:
1)A’は、
【化16】
または2)E’は、
【化17】
である。
【0065】
一実施形態では、Jは2、3、4、または5つの共有結合した細胞膜透過ペプチドであり、細胞膜透過ペプチドは独立して両親媒性ペプチドまたはオリゴアルギニンペプチドである。
【0066】
いくつかの実施形態では、細胞膜透過ペプチドの少なくとも一つは、両親媒性ペプチドであり、細胞膜透過ペプチドの少なくとも一つは、オリゴアルギニンペプチドである。
【0067】
特定の実施形態では、細胞膜透過ペプチドの一つは、両親媒性ペプチドであり、細胞膜透過ペプチドの一つは、オリゴアルギニンペプチドである。
【0068】
さらに別の実施形態では、Jは二つの共有結合した細胞膜透過ペプチドである。
【0069】
別の実施形態では、Jは二つの共有結合した細胞膜透過ペプチドであり、二つの細胞膜透過ペプチドは独立して両親媒性ペプチドまたはオリゴアルギニンペプチドである。
【0070】
さらに別の実施形態では、Jは、二つの共有結合した細胞膜透過ペプチドであり、細胞膜透過ペプチドの一つは、両親媒性ペプチドであり、細胞膜透過ペプチドの一つは、オリゴアルギニンペプチドである。
【0071】
さらに別の実施形態では、Jは二つの共有結合した細胞膜透過ペプチドであり、二つの細胞膜透過ペプチドは一つの両親媒性ペプチドおよび一つのオリゴアルギニンペプチドを含み、オリゴアルギニンペプチドはJのC末端であり、両親媒性ペプチドはJのN末端である。
【0072】
別の実施形態では、Jは、アミド結合によって共有結合された二つの共有結合した細胞膜透過ペプチドである。
【0073】
一実施形態では、オリガニンペプチドは配列[(RYR)]であり、式中、Rはアルギニンであり、Yは独立してアミノヘキサン酸(X)またはB-アラニン(B)、zは1であり、xは1、2、3、4、または5である。
【0074】
さらに別の実施形態では、オリガニンペプチドは配列[(RXR)(RBR)]または[(RBR)(RXR)]であり、式中、Rはアルギニンであり、Xはアミノヘキサン酸であり、BはB-アラニンであり、xは1または2である。
【0075】
別の実施形態では、オリゴアルギニンペプチドは、[(RXR)(RBR)](Bpep)である。
【0076】
一実施形態では、両親媒性ペプチドは疎水性ペプチジルセグメントおよび親水性ペプチジルセグメントを含み、疎水性ペプチジルセグメントが、グリシン、イソロイシン、アラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、チロシン、またはトリプトファンから独立して選択される2~10のアミノ酸の配列を含み、親水性ペプチジルセグメントが、荷電アミノ酸、非荷電の極性アミノ酸、または疎水性アミノ酸から独立して選択される2~20のアミノ酸の配列を含み、親水性ペプチジルセグメントが、少なくとも一つの非疎水性アミノ酸を含む。
【0077】
別の実施形態では、疎水性セグメントは、グリシン、イソロイシン、アラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、またはトリプトファンから独立して選択される2~10アミノ酸の配列を含む。
【0078】
一実施形態では、親水性セグメントが、アルギニン、リジン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、セリン、スレオニン、トリプトファン、アラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、バリン、プロリン、またはグリシンから独立して選択される2~20のアミノ酸の配列を含み、親水性ペプチジルセグメントが、少なくとも一つの非疎水性アミノ酸を含む。
【0079】
別の実施形態では、両親媒性ペプチドはpVEC、Penetratin、またはメリチン(mellitin)である。
【0080】
別の実施形態では、両親媒性ペプチドはPenetratinである。
【0081】
別の実施形態では、JはPenetratin-Bpep(RQIKIWFQNR RMKWKKRXRR BRRXRRBR)、pVEC-Bpep(LLIILRRRIR KQAHAHSKRX RRBRRXRRBR)、メリチン-Bpep(GIGAVLKVLT TGLPALISWI KRKRQQRXRR BRRXRRBR)、またはBpep-Bpep(RXRRBRRXRR BRRXRRBRRX RRBR)であり、式中、Xはアミノヘキサン酸であり、Bはβ-アラニンである。
【0082】
さらに別の実施形態では、JはPenetratin-Bpep(RQIKIWFQNR RMKWKKRXRR BRRXRRBR)、pVEC-Bpep(LLIILRRRIR KQAHAHSKRX RRBRRXRRBR)、またはメリチン-Bpep(GIGAVLKVLT TGLPALISWI KRKRQQRXRR BRRXRRBR)であり、式中、Xはアミノヘキサン酸であり、Bはβ-アラニンである。
【0083】
さらに別の実施形態では、JはPenetratin-Bpep(RQIKIWFQNR RMKWKKRXRR BRRXRRBR)であり、式中、Xはアミノヘキサン酸であり、Bはβ-アラニンである。
【0084】
さらなる一実施形態では、JはpVEC-Bpep(LLIILRRRIR KQAHAHSKRX RRBRRXRRBR)であり、式中、Xはアミノヘキサン酸であり、Bはβ-アラニンである。
【0085】
一実施形態では、E’は、H、-C1-6-アルキル、-C(O)C1-6-アルキル、ベンゾイル、ステアロイル、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、トリメトキシトリチルから選択される。
【化18】
【0086】
別の実施形態では、A’は、-N(C1-6-アルキル)CHC(O)NH
【化19】
から選択される。
【0087】
さらなる一実施形態では、E’は、H、-C(O)CH、ベンゾイル、ステアロイル、トリチル、4-メトキシトリチルから選択される。
【化20】
【0088】
一実施形態では、A’は、N(C1-6-アルキル)CHC(O)NH
【化21】
から選択され、
E’は、
【化22】
である。
別の実施形態では、A’は、
【化23】
であり、
E’は、H、-C(O)CH、トリチル、4-メトキシトリチル、ベンゾイル、およびステアロイルから選択される。
【0089】
一実施形態では、式Iのキメラペプチド-オリゴヌクレオチド-コンジュゲートは、式Ia:
【化24】
のキメラペプチド-オリゴヌクレオチド-コンジュゲートである。
【0090】
別の実施形態では、式Iのキメラペプチド-オリゴヌクレオチド-コンジュゲートは、式Ib:
【化25】
のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲートであり、
式中、E’はH、C1-6-アルキル,-C(O)CH,、ベンゾイル、およびステアロイルから選択される。
【0091】
式I、Ia、およびIbのさらに別の実施形態では、各RはN(CH)である。
【0092】
式 I、Ia、およびIbのさらに別の実施形態では、各Rは核酸塩基であり、核酸塩基はそれぞれ独立して、ピリジン、ピリミジン、トリアジナン、プリン、およびデアザプリンから選択されるC4-6-複素環リングを含む。
【0093】
式I、Ia、およびIbの別の実施形態では、各Rは核酸塩基であり、核酸塩基はそれぞれ独立して、ピリミジン、プリン、およびデアザプリンから選択されるC4-6-複素環リングを含む。
【0094】
式I、Ia、およびIbのさらに別の実施形態では、各Rは、アデニン、2,6-ジアミノプリン、7-デアザアデニン、グアニン、7-デアザグアニン、ヒポキサンチン、シトシン、5-メチル-シトシン、チミン、ウラシル、およびヒポキサンチンから独立して選択される核酸塩基である。
【0095】
式I、Ia、およびIbのさらに別の実施形態では、各Rは、アデニン、グアニン、シトシン、5-メチル-シトシン、チミン、ウラシル、およびヒポキサンチンから独立して選択される核酸塩基である。
【0096】
式I、Ia、およびIbの別の実施形態では、Lは-C(O)(CH1-6-トリアゾール-(CH1-6C(O)-である。
【0097】
式I、Ia、およびIbの別の実施形態では、Lは
【化26】
である。
【0098】
式I、Ia、およびIbの別の実施形態では、Gは、H、C(O)CH、ベンゾイルおよびステアロイルから選択される。
【0099】
式I、Ia、およびIbのさらに別の実施形態では、Gは、Hまたは-C(O)CHである。
【0100】
式I、Ia、およびIbのさらに別の実施形態では、GはHである。
【0101】
式I、Ia、およびIbのさらに別の実施形態では、Gは-C(O)CHである。
【0102】
式I、Ia、およびIbのさらに別の実施形態では、キメラオリゴヌクレオチド-ペプチドコンジュゲートは、コンジュゲートされていないオリゴヌクレオチドと比較して、取込みにおいて少なくとも20倍の改善を呈する。
【0103】
一実施形態では、キメラオリゴヌクレオチド-ペプチドコンジュゲートは、非キメラオリゴヌクレオチド-ペプチドコンジュゲートと比較して、取込みにおいて少なくとも2倍の改善を呈する。
【0104】
別の実施形態では、キメラオリゴヌクレオチド-ペプチドコンジュゲートは、対応する非キメラPenetratin-ペプチドコンジュゲートと比較して、取込みにおいて改善を呈する。
【0105】
本開示の代表的ペプチド-オリゴヌクレオチド-コンジュゲートは、とりわけ、以下の構造:
【化27】
のキメラペプチド-オリゴヌクレオチドコンジュゲート、またはその薬学的に許容可能な塩であり、式中、
GはHまたは-C(O)CHであり、
は、アデニン、グアニン、シトシン、5-メチル-シトシン、チミン、ウラシル、およびヒポキサンチンから独立して選択される核酸塩基であり、
zは8~40であり、
CPは、はPenetratin-Bpep(RQIKIWFQNR RMKWKKRXRR BRRXRRBR)、pVEC-Bpep(LLIILRRRIR KQAHAHSKRX RRBRRXRRBR)、メリチン-Bpep(GIGAVLKVLT TGLPALISWI KRKRQQRXRR BRRXRRBR)、またはBpep-Bpep(RXRRBRRXRR BRRXRRBRRX RRBR)から独立して選択され、式中、Xはアミノヘキサン酸であり、Bはβ-アラニンである。
【0106】
一実施形態では、Gはペプチドのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合される。
【0107】
本開示のキメラペプチド-オリゴヌクレオチド-コンジュゲートの一実施形態では、GはHである。
【0108】
本開示のキメラペプチド-オリゴヌクレオチド-コンジュゲートの別の実施形態では、Gは-C(O)CHである。
【0109】
式I、Ia、およびIbの一実施形態では、Lはペプチドのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合し、Gはペプチドのアミノ末端に共有結合する。
【0110】
本明細書で使用される場合、「GはJのカルボキシ末端にアミド結合によって共有結合する」とは、Jのカルボキシ末端(-COOH)が、N(H)基を介して可変Gに共有結合し、Jのカルボキシ末端のヒドロキシル基はN(H)で置換されていることを示す。たとえば、GがHの場合、次の構造はJおよびGによって形成される。
【化28】
【0111】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるキメラペプチド-オリゴヌクレオチド-コンジュゲートは、非溶媒和化される。別の実施形態では、キメラペプチド-オリゴヌクレオチド-コンジュゲートのうちの一つまたは複数が溶媒和形態である。当該技術分野で公知のように、溶媒は、水、エタノール等の薬学的に許容可能な任意の溶媒であり得る。
【0112】
式I、Ia、Ib、II、IIaおよびIVのキメラペプチド-オリゴヌクレオチド-コンジュゲートはそれらの中性形態で示されているが、いくつかの実施形態では、これらのペプチド-オリゴヌクレオチド-コンジュゲートは薬学的に許容可能な塩形態で使用される。
【0113】
オリゴヌクレオチド
モルホリノ系のサブユニットの重要な特性は、1)安定な、非荷電または正荷電のバックボーン鎖結合によってオリゴマー形態で結合する能力、2)形成されるポリマーが、比較的短いオリゴヌクレオチド(10~15塩基)でT値約45℃超の、標的RNAを含む、相補的塩基標的核酸とハイブリダイズできるように、ヌクレオチド基(例えば、アデニン、シトシン、グアニン、チミジン、ウラシル、5-メチル-シトシン、およびヒポキサンチン)を支持する能力、3)オリゴヌクレオチドが哺乳類細胞に能動的または受動的に輸送される能力、および4)RNAseおよびRNase H分解に抵抗するオリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド:RNAヘテロ二本鎖の能力を含む。
【0114】
オリゴマーと標的配列との間に形成された二本鎖の安定性は、結Tの関数であり、細胞の酵素的切断に対する二本鎖の感受性を示す。相補的配列RNAに関するオリゴマーのTは、Hames et al.,Nucleic Acid Hybridization,IRL Press,1985,pp.107-108によって、またはMiyada C.G.and Wallace R.B.,1987,Oligomer Hybridization Techniques,Methods Enzymol Vol.154 pp.94-107に記載されるものなどの従来的方法により測定され得る。特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、相補的配列RNAに関して、体温より高い、結合Tを有し得、いくつかの実施形態では、約45℃または50℃超である。60~80℃の範囲のTまたはそれより高い温度もまた含まれる。周知の原則によると、相補的塩基RNAハイブリッドに関するオリゴマーのTは、二本鎖におけるC:G塩基対の比を増加することによって、またはヘテロ二本鎖の長さ(塩基対の)を増加することによって、または両方を増加させることにより増加させ得る。同時に、細胞取込みを最適化する目的で、オリゴマーのサイズを制限することが有利であり得る。この理由から、本開示の化合物は、25塩基以下の長さで、高いT(45~50℃以上)を示す化合物を含む。
【0115】
オリゴヌクレオチドの長さは、Pre-mRNA分子内の意図された位置に選択的に結合することができる限り、長くなり変化し得る。こうした配列の長さは、本明細書に記載の選択手順に従って決定し得る。一般的に、オリゴヌクレオチドは、約8ヌクレオチド~最大約50ヌクレオチドの長さである。例えば、オリゴヌクレオチド(z)の長さは、8~38、8~25、15~25、17~21、20~25、20~30、18~23、19~24、21~26、22~27、23~28、24~29、25~30、26~31、または約18であり得る。いくつかの実施形態では、長さは、10、11、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、または31ヌクレオチドであり得る。しかしながら、これらの範囲内のヌクレオチドの任意の長さは、本明細書に記載の方法で使用され得ることが理解される。
【0116】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、塩基修飾または置換を含む。例えば、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドの結合親和性を向上させるために、特定の核酸塩基を選択し得る。これらは、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、ならびに2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル、5-プロピニルシトシンンおよび2,6-ジアミノプリンを含むN-2、N-6、および0-6置換プリンを含む。5-メチルシトシン置換は核酸二本鎖の安定性を0.6~1.2℃上昇させると示されており、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドに組み込まれてもよい。一実施形態では、オリゴヌクレオチドの少なくとも一つのピリミジン塩基は、5-置換ピリミジン塩基を含み、ピリミジン塩基は、シトシン、チミンおよびウラシルからなる群から選択される。一実施形態では、5-置換ピリミジン塩基は5-メチルシトシンである。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドの少なくとも一つのプリン塩基は、N-2、N-6置換プリン塩基を含む。一実施形態では、N-2、N-6置換プリン塩基は、2,6-ジアミノプリンである。
【0117】
(アンチセンスオリゴマーを含む)モルホリノ系オリゴマーおよびその合成は、例えば、米国特許第5,698,685号;第5,217,866号;第5,142,047号;第5,034,506号;第5,166,315号;第5,185,444号;第5,521,063号;第5,506,337号および米国特許出願第12/271,036号;第12/271,040号;国際公開第2009/064471号、国際公開第2012/043730号、国際公開第2017/205513号、国際公開第2017205879号、国際公開第2017/205880号、ならびにSummerton et al.1997,Antisense and Nucleic Acid Drug Development,7,187-195に詳細が記載され、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0118】
したがって、一態様において、本明細書では、式II:
【化29】
のオリゴヌクレオチド、またはその薬学的に許容可能な塩が提供され、
式中、
Aは、OH、-NHCHC(O)NH、-N(C1-6-アルキル)CHC(O)NH
【化30】
からなる群から選択され、
は-C(O)(O-アルキル)OHであり、xは3~10であり、各アルキル基は独立して-C2-6-アルキルであり、またはRは、-C(O)C1-6-アルキル、トリチル、モノメトキシトリチル、-C1-6-アルキル-R、-C1-6-ヘテロアルキル-R,-アリール-R,-ヘテロアリール-R,-C(O)O-C1-6-アルキル-R,-C(O)O-アリール-R、および-C(O)O-ヘテロアリール-Rからなる群から選択され、
は、OH、SH、およびNHからなる群から選択され、またはRは、O、S、またはNHであり、固体支持体に共有結合され、
各Rは、独立してOHまたは-NRであり、
各RおよびRはそれぞれ独立して-C1-6-アルキルであり、
各Rは、H、核酸塩基、および化学的保護基で官能化された核酸塩基からからなる群から独立して選択され、核酸塩基は独立して、ピリジン、ピリミジン、トリアジナン、プリン、およびデアザプリンから選択されるC3-6複素環リングを含み、
zは8~40であり、
Eは、H、-C1-6-アルキル、-C(O)C1-6-アルキル、ベンゾイル、ステアロイル、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、トリメトキシトリチルからなる群から選択され、
【化31】
Qは、-C(O)(CHC(O)-または-C(O)(CH(CHC(O)-であり、
は-(CHOC(O)N(Rであり、
は-(CHNHC(=NH)NHであり、
式IIの一実施形態では、Aは
【化32】
であり、
Eは、H、-C(O)CH、ベンゾイル、およびステアロイルからなる群から選択され、
は、-C(O)(O-アルキル)-OHであって、式中、各アルキル基はそれぞれ独立して-C2-6-アルキル、トリチル、および4-メトキシトリチルであり、
各Rは独立して核酸塩基であり、核酸塩基はそれぞれ独立して、ピリジン、ピリミジン、プリン、およびデアザプリンから選択されるC4-6-複素環リングを含む。
【0119】
式IIの別の実施形態では、RはC(O)(O-CHCH-OHであり、
各Rは独立して核酸塩基であり、核酸塩基はそれぞれ独立してピリミジンまたはプリンを含む。
【0120】
さらに別の実施形態では、式IIのオリゴヌクレオチドは式IIaのオリゴヌクレオチドである。
【化33】
【0121】
式IIおよびIIaの一実施形態では、各Rは独立して、アデニン、2,6-ジアミノプリン、グアニン、ヒポキサンチン、シトシン、5-メチル-シトシン、チミン、ウラシル、およびヒポキサンチンであり、
各Rは-N(CHである。
【0122】
表1では、本明細書に記載されるヌクレオチド部分の様々な実施形態が提供される。
表1:ヌクレオチド部分の様々な実施形態。
【表1】
【0123】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドは非溶媒和化される。別の実施形態では、一つまたは複数のオリゴヌクレオチドは溶媒和形態である。当該技術分野で公知のように、溶媒は、水、エタノール等の薬学的に許容可能な任意の溶媒であり得る。
【0124】
式IIおよびIIaのオリゴヌクレオチドはそれらの中性形態で示されているが、いくつかの実施形態では、これらのオリゴヌクレオチドは薬学的に許容可能な塩形態で使用される。
【0125】
キメラペプチド
本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドは、キメラペプチドに結合したオリゴヌクレオチド部分を含む。特に、キメラペプチドは二つの共有結合した細胞膜透過ペプチドであり、二つの細胞膜透過ペプチドは独立して両親媒性ペプチドまたはオリゴアルギニンペプチドである。
【0126】
いくつかの実施形態では、二つの細胞膜透過ペプチドは一つの両親媒性ペプチドおよび一つのオリゴアルギニンペプチドを含み、オリゴアルギニンペプチドはキメラペプチドのC末端であり、両親媒性ペプチドはキメラペプチドのN末端である。
【0127】
いくつかの実施形態では、細胞膜透過ペプチドの少なくとも一つは、両親媒性ペプチドであり、細胞膜透過ペプチドの少なくとも一つは、オリゴアルギニンペプチドである。
【0128】
特定の実施形態では、細胞膜透過ペプチドの一つは、両親媒性ペプチドであり、細胞膜透過ペプチドの一つは、オリゴアルギニンペプチドである。
【0129】
こうしたキメラペプチドの代表を以下に示す:
【化34】
【0130】
式中、N末端はオリゴヌクレオチドに共有結合する。
【0131】
特定の実施形態では、二つの共有結合した細胞膜透過ペプチドは、アミド結合によって共有結合している。
【0132】
いくつかの実施形態では、キメラペプチドは化合物の細胞への輸送を強化するのに有効であり得る。輸送部分は、一部の実施形態では、オリゴマーの末端に付着する。ペプチドは、所与の細胞培養群の細胞の30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%以内の、その間のすべての整数を含む、細胞膜透過を誘発する能力を有し、全身投与においてin vivoでの複数の組織内の高分子転位を可能にする。
【0133】
上述のような輸送部分は、付着した輸送部分が存在しない場合のオリゴマーの取込みに対し、付着したオリゴマーの細胞移入を大幅に強化することが示されている。取込みは、コンジュゲートされていない化合物に対して、少なくとも3倍、および一部の実施形態では50倍強化され得る。いくつかの実施形態では取込みが強化され得るが、いくつかの実施形態では、非キメラオリゴヌクレオチド-ペプチドコンジュゲートに対して、3倍強化され得る。
【0134】
キメラペプチドの使用は、本開示の実践において特に有用である。特定のキメラペプチドトランスポーターは、筋細胞を含む一次細胞へのアンチセンス化合物の送達時に非常に効果的であることが示されている。さらに、本明細書に記載されるキメラペプチドトランスポーターは、アンチセンスPMOにコンジュゲートされたとき、いくつかの遺伝子転写物のスプライシングを変化させる強化された能力を呈する。
【0135】
したがって、一態様では、2、3、4、または5つの共有結合した細胞膜透過ペプチド、またはその薬学的に許容可能な塩であるキメラペプチドが本明細書に提供される。
【0136】
一実施形態では、各キメラペプチドは2、3、4、または5つの共有結合した細胞膜透過ペプチドであり、細胞膜透過ペプチドは独立して両親媒性ペプチドまたはオリゴアルギニンペプチドである。
【0137】
別の実施形態では、各キメラペプチドは二つの共有結合した細胞膜透過ペプチドである。
【0138】
別の実施形態では、各キメラペプチドは二つの共有結合した細胞膜透過ペプチドであり、二つの細胞膜透過ペプチドは独立して両親媒性ペプチドまたはオリゴアルギニンペプチドである。
【0139】
別の実施形態では、各キメラペプチドは二つの共有結合した細胞膜透過ペプチドであり、細胞膜透過ペプチドの一つは、両親媒性ペプチドであり、細胞膜透過ペプチドの一つは、オリゴアルギニンペプチドである。
【0140】
さらに別の実施形態では、各キメラペプチドは二つの共有結合した細胞膜透過ペプチドであり、二つの細胞膜透過ペプチドは一つの両親媒性ペプチドおよび一つのオリゴアルギニンペプチドを含み、オリゴアルギニンペプチドはJのC末端であり、両親媒性ペプチドはJのN末端である。
【0141】
さらに別の実施形態では、各キメラペプチドは、アミド結合によって共有結合された二つの共有結合した細胞膜透過ペプチドである。
【0142】
別の実施形態では、オリガニンペプチドは配列[(RYR)]であり、式中、Rはアルギニンであり、Yは独立してアミノヘキサン酸(X)またはB-アラニン(B)、zは1であり、xは1、2、3、4、または5である。
【0143】
さらに別の実施形態では、キメラペプチドのオリガニンペプチドは配列[(RXR)(RBR)]または[(RBR)(RXR)]であり、式中、Rはアルギニンであり、Xはアミノヘキサン酸であり、BはB-アラニンであり、xは1または2である。
【0144】
さらに別の実施形態では、キメラペプチドのオリゴアルギニンペプチドは、[(RXR)(RBR)](Bpep)である。
【0145】
別の実施形態では、キメラペプチドの両親媒性ペプチドは疎水性ペプチジルセグメントおよび親水性ペプチジルセグメントを含み、疎水性ペプチジルセグメントが、グリシン、イソロイシン、アラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、チロシン、またはトリプトファンから独立して選択される2~10のアミノ酸の配列を含み、親水性ペプチジルセグメントが、荷電アミノ酸、非荷電の極性アミノ酸、または疎水性アミノ酸から独立して選択される2~20のアミノ酸の配列を含み、親水性ペプチジルセグメントが、少なくとも一つの非疎水性アミノ酸を含む。
【0146】
特定の実施形態では、疎水性セグメントは、グリシン、イソロイシン、アラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、またはトリプトファンから独立して選択される2~10アミノ酸の配列を含む。
【0147】
特定の実施形態では、疎水性セグメントが、アルギニン、リジン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、セリン、スレオニン、トリプトファン、アラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、バリン、プロリン、またはグリシンから独立して選択される2~20のアミノ酸の配列を含み、親水性ペプチジルセグメントが、少なくとも一つの非疎水性アミノ酸を含む。
【0148】
一実施形態では、キメラペプチドの両親媒性ペプチドはpVEC、Penetratin、またはメリチン(mellitin)である。
【0149】
一実施形態では、キメラペプチドの両親媒性ペプチドはPenetratinである。
【0150】
一実施形態では、キメラペプチドはPenetratin-Bpep(RQIKIWFQNR RMKWKKRXRR BRRXRRBR)、pVEC-Bpep(LLIILRRRIR KQAHAHSKRX RRBRRXRRBR)、メリチン-Bpep(GIGAVLKVLT TGLPALISWI KRKRQQRXRR BRRXRRBR)、またはBpep-Bpep(RXRRBRRXRR BRRXRRBRRX RRBR)である。
【0151】
一実施形態では、キメラペプチドはPenetratin-Bpep(RQIKIWFQNR RMKWKKRXRR BRRXRRBR)、pVEC-Bpep(LLIILRRRIR KQAHAHSKRX RRBRRXRRBR)、またはメリチン-Bpep(GIGAVLKVLT TGLPALISWI KRKRQQRXRR BRRXRRBR)である。
【0152】
一実施形態において、キメラペプチドは、Penetratin-Bpep(RQIKIWFQNR RMKWKKRXRR BRRXRRBR)である。
【0153】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるキメラペプチドは、非溶媒和化される。別の実施形態では、キメラペプチドのうちの一つまたは複数は溶媒和形態である。当該技術分野で公知のように、溶媒は、水、エタノール等の薬学的に許容可能な任意の溶媒であり得る。
【0154】
キメラペプチドはそれらの中性形態で示されているが、いくつかの実施形態では、これらのオリゴヌクレオチドは薬学的に許容可能な塩形態で使用される。
【0155】
方法
本明細書において、式I、Ia、またはIbのペプチド-オリゴヌクレオチド-コンジュゲートを対象に投与することを含む、それを必要とする対象における神経筋疾患、筋疾患、ウイルス感染、または細菌感染症を治療する方法が提供される。
【0156】
したがって、一態様では、本明細書において、本開示のキメラペプチド-オリゴヌクレオチド-コンジュゲートを対象に投与することを含む、それを必要とする対象における筋疾患、ウイルス感染、神経筋疾患、または細菌感染症を治療する方法が提供される。
【0157】
一実施形態では、神経筋疾患はデュシェンヌ型筋ジストロフィーである。
【0158】
別の実施形態では、ウイルス感染は、マールブルグウイルス、エボラウイルス、インフルエンザウイルス、およびデングウイルスからなる群から選択されるウイルスによって生じる。
【0159】
別の実施形態では、細菌感染は結核菌によって生じる。
【0160】
本明細書において考慮される対象は典型的にはヒトである。しかしながら、対象は治療が望まれる任意の哺乳類であり得る。したがって、本明細書に記載される方法は、ヒトおよび家畜用途の両方に適用し得る。
【0161】
投与/投薬
治療組成物の製剤化およびそれらのその後の投与(投薬)は、当業者の技能の範囲内である。投薬は、治療される病態の重症度および応答性に依存し、治療過程は数日~数ヶ月継続されるか、または病態の十分な減退が達成されるまで継続される。最適な投薬スケジュールは、患者の体内での薬物蓄積の測定値から計算され得る。
【0162】
当業者であれば、最適用量や投薬手法および繰り返し率を容易に決定し得る。最適用量は、個々のオリゴマーの相対的な有効性に応じて変化し得るが、一般的にin vitroおよびin vivo動物モデルにおいて有効的と見出されたEC50に基づいて推定され得る。一般的に、投与量は体重1kgあたり0.01μg~100gであり、毎日、毎週、毎月、毎年、またさらには2~20年に一回または複数回投与され得る。当業者であれば、体液または組織中の薬剤の測定された滞留時間および濃度に基づいて、投与のための繰り返し率を容易に推定し得る。治療成功後、患者は病態の再発を防止するための維持療法を受療ことが望ましい場合があり、体重1kgあたり0.01μg~100gの範囲の維持用量で、1日~20年間に一回または複数回投与される。
【0163】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド(式IIまたはIIaのオリゴヌクレオチド)が単独投与される。
【0164】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは治療有効量または投与量で投与される。「治療有効量(therapeutically effective amount)」は、それ単独で患者に投与された時、筋疾患、ウイルス感染、または細菌感染症を効果的に治療する式IIまたはIIaのオリゴヌクレオチドの量である。特定の対象において「治療有効量(therapeutically effective amount)」となる量は、その用量が当業者によって「治療上有効な量(therapeutically effective amount)」とみなされると考えられる場合でも、検討中の疾患または状態について同様に治療された対象の100%に有効ではない場合がある。治療有効量に対応するオリゴヌクレオチドの量は、疾患、疾患のステージ、治療される患者の年齢、およびその他の要因に強く依存する。
【0165】
異なる実施形態では、式IIまたはIIaのオリゴヌクレオチド、および使用される有効量に応じて、オリゴヌクレオチドは、筋疾患、ウイルス感染、または細菌感染に関与する遺伝子の発現を調節し得る。
【0166】
式IIまたはIIaのオリゴヌクレオチドの量が、筋疾患、ウイルス感染、または細菌感染の効果的治療をもたらしながら、分量は患者に対して過剰に毒性がないことが好ましい(すなわち、医療ガイドラインによって定められる用量毒性制限内であることが好ましい)。いくつかの実施形態では、筋疾患、ウイルス感染、または細菌感染の過剰な毒性を防止するか、もしくはより有効な治療を提供するか、またはその両方のために、総投与量の制限が提供される。典型的には、本明細書で検討される量は一日当たりの量であるが、半日および二日または三日サイクルも本明細書で検討される。
【0167】
筋疾患、ウイルス感染、または細菌感染症を治療するために異なる投与レジメンが使用され得る。いくつかの実施形態では、上述の例示的用量のいずれかなどの毎日の投与量が、三日、四日、五日、六日、七日、八日、九日、または十日間にわたって、一日一回、二回、三回、四回投与される。治療される疾患のステージおよび重症度に応じて、高用量でより短い治療期間(例えば、最大五日など)も採用され得、または低用量でより長い治療期間(例えば、十日以上、または数週間または一ヶ月以上など)も採用され得る。いくつかの実施形態では、一日一回または二回の投薬は、隔日投与される。
【0168】
純粋な形態または適切な医薬組成物での、式IIおよびIIaのオリゴヌクレオチド、またはそれらの薬学的に許容可能な塩または溶媒形態は、当技術分野で公知の、認可された投与方法または薬剤のいずれかを介して投与され得る。オリゴヌクレオチドは、例えば、経口、鼻腔、非経口(静脈内、筋肉内、または皮下)、局所、経皮、膣内、膀胱内、大槽内、または直腸内に投与し得る。剤形は、正確な用量の簡単な投与に適した単位剤形での、例えば、錠剤、丸薬、軟質弾性または硬質ゼラチンカプセル、粉末、溶剤、懸濁液、坐剤、エアロゾルなどの、固体、半固体、凍結乾燥粉末、または液体剤形とすることができる。特定の投与経路は経口であり、治療される疾患の重症度の程度によって、好都合に毎日の投与レジメンを調節し得る経路である。
【0169】
補助剤およびアジュバント剤は、例えば、保存剤、湿潤剤、懸濁液、甘味剤、香味剤、香料、乳化剤、および調剤を含み得る。微生物の作用の防止は、一般的に、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸など、様々な抗菌剤および抗真菌剤によって提供される。糖類、塩化ナトリウムなどの等張剤も含まれ得る。注射可能な医薬品の持続的吸収は、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなど、吸収を遅延する薬剤の使用によってもたらされ得る。補助剤はまた、例えば、クエン酸、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミン、ブチル化ヒドロキシトルエンなどの、湿潤剤、乳化剤、pH緩衝剤、および抗酸化剤を含み得る。
【0170】
固体剤形は、腸溶性コーティングおよび当技術分野で公知のその他のコーティングおよびシェルで調製され得る。これらは緩和剤(pacifying agents)を含むことができ、または、活性オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドを腸管のある一定の部分において遅延した方法で放出する組成物からなることができる。使用できる組み込まれた組成物の例は、高分子物質およびろうである。活性オリゴヌクレオチドはまた、適切な場合、上述の賦形剤のうちの一つまたは複数を有する、マイクロカプセル形態であってもよい。
【0171】
経口投与用の液体剤形は、薬学的に許容可能な乳剤、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤を含む。このような剤形は、例えば、本明細書に記載されるコンジュゲート、またはその薬学的に許容可能な塩、および任意選択で水、塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノールなどの担体中の補助剤;例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミドなどの可溶化剤および乳化剤;特に綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油などの油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル;またはこれらの物質の混合物などを溶解し、分散させて溶液または懸濁液を生成することによって調製される。
【0172】
一般的に、意図された投与方法に応じて、薬学的に許容可能な組成物は、薬学的に許容される組成物は、約1重量%~約99重量%の本明細書に記載のオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容される塩、および99重量%~1重量%の薬学的に許容される賦形剤を含む。一例では、組成物は本明細書に記載のオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容される塩約5重量%~約75重量%であり、残りは適切な医薬用賦形剤である。
【0173】
このような剤形を調製する実際の方法は、当業者に公知であるか、または明らかであろう。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、18th Ed.(Mack Publishing Company、Easton、Pa.、1990)参照。
【0174】
キット
その他の実施形態では、キットが提供される。本開示によるキットは、オリゴヌクレオチド、ペプチド、ペプチド-オリゴヌクレオチド-コンジュゲート、または本開示の組成物を含むパッケージを含む。いくつかの実施形態では、キットは、式I、Ia、またはIb、によるペプチド-オリゴヌクレオチド-コンジュゲート、または薬学的に許容可能な塩を含む。いくつかの実施形態では、キットは、式IIまたはIIaによるオリゴヌクレオチド、または薬学的に許容可能な塩を含む。いくつかの実施形態では、キットは、式IIIによるペプチド、または薬学的に許容可能な塩を含む。
【0175】
「パッケージ(package)」という語句は、本明細書に提示されるオリゴヌクレオチドまたは組成物を含む任意の容器を意味する。いくつかの実施形態では、パッケージは箱または包装であり得る。包装医薬品で使用するための包装材料は、当業者に周知である。医薬用包装材料の例は、限定するものではないが、ボトル、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、コンテナ、シリンジ、ボトル、ならびに選択された製剤および意図される投与方法および治療のために適切な任意の包装材料を含む。
【0176】
キットはまた、パッケージ内に含まれないが、例えばピペットのようにパッケージの外側に取り付けられる品目も含み得る。
【0177】
キットはさらに、本開示のオリゴヌクレオチドまたは組成物を患者に投与するための指示を含み得る。キットはまた、米国食品医薬品局などの規制当局により承認された本明細書のオリゴヌクレオチドの使用のための指示を含み得る。キットはまた、オリゴヌクレオチド用の標識または製品インサートを含み得る。パッケージまたは製品インサート、またはその両方は、それ自体が規制当局によって承認され得る。キットは、パッケージ内の固相中、または液相(提供されるバッファなど)中のオリゴヌクレオチドを含み得る。キットはまた、方法を実施するための溶液を調製するためのバッファ、および液体を一つの容器から別の容器に移すためのピペットを含み得る。
【実施例
【0178】
実施例は、例示の目的で、本開示のある特定の実施形態を説明するために以下に記載される。しかしながら、特許請求の範囲は、決して本明細書に記載される実施例によって制限されるものではない。開示された実施形態に対する様々な変更および修正が当業者に明らかであり、そのような変更および修正は、限定するものではないが、本開示の化学構造、置換基、誘導体、製剤または方法に関するものを含み、本開示の精神および添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく行われ得る。本明細書のスキームにおける構造の変数の定義は、本明細書に提示される式の対応する位置のそれに等しい。
【0179】
ランダムコイルのオリゴアルギニンCPPと両親媒性CPPからなるキメラペプチドは、PMO活性を向上させ得る。各CPPがエンドサイトーシスの異なるメカニズムを利用している場合、キメラは細胞移入の複数のメカニズムにアクセスし得る。さらに、異なるCPPは、エンドソーム脱出または核移入などの取込みの下流プロセスに有益な影響を与え得る。本明細書では、相加的というよりはむしろ相乗的な、生物学的アッセイでのPMO有効性における利益を呈する、両親媒性/オリゴアルギニンCPPキメラが示される。CPPキメラは、このアッセイにおいて、PMO活性の効果的なCPP標準(Bpep)よりも優れた性能を示す。
【0180】
キメラCPPがPMO有効性を改善するかどうかを評価するために、HeLa-654 eGFPアッセイでコンジュゲートを評価した。このアッセイでは、HeLa細胞は、ヒトβ-グロビン遺伝子の突然変異イントロン(IVS2-654)で中断されたeGFP配列で安定的に形質移入される。突然変異は、eGFP mRNA配列中のβ-グロビンフラグメントの保持をもたらす暗号スプライス部位を生成する。翻訳時、eGFPは非蛍光である。コンジュゲートで利用されるIVS2-654 PMOは、突然変異イントロンにハイブリダイズして、異常な遺伝子スプライシングを防止し、機能的な蛍光eGFPをコードするeGFP mRNA配列をもたらす。したがって、送達されるPMOの量は、機能的eGFPの量に相関する。
【0181】
HeLa-654 eGFP細胞は、血清含有培地中で、各コンジュゲート5μMで処置された。22時間後、細胞の蛍光はフローサイトメトリーによって解析された(図1C)。四つのCPPキメラすべてが、PMO送達において一貫して高性能のCPPである、Bpepより優れた性能を示した。最上位の性能のキメラであるPMO-Penetratin-Bpepは、未処理細胞のバックグラウンド蛍光と比較して、eGFPにおいて約70倍の増加を有した。参考までに、これは、コンジュゲートされていないPMOに対する20倍超の改善であり、PMO-Bpepに対する2倍の改善である。
【0182】
PMO-Penetratin-BpepおよびPMO-pVEC-Bpepの両方が相乗効果を示し、PMO-キメラCPPの活性はPMO-CPPの各々から個々に予想される活性の合計よりも大きかった。例えば、PMO-Penetratinは7倍の増加、およびPMO-BpepはeGFP蛍光において35倍の増加を示した。相加効果は、PMO-Penetratin-Bpepに対するeGFP蛍光の42倍の増加をもたらすことになる。しかしながら、PMO-Penetratin-Bpepキメラは、eGFP蛍光のほぼ70倍の増加を有したが、これは相加効果よりも約1.5倍優れた性能を示すことを意味する。同様の相乗効果がPMO-pVEC-Bpepについて観察されたが、ここで測定されたeGFP蛍光は部分の合計よりも1.5倍大きかった。
【0183】
興味深いことに、相乗的キメラの両方(PMO-Penetratin-BpepおよびPMO-pVEC-Bpep)について、ペプチドの順序を切り替えると、観察される平均蛍光が減少した(図2A)。この観察は、相乗効果を観察するためにはC末端構成要素としてBpepを有することが重要であることを示唆する。
【0184】
PMO活性の増加は、共有結合されるキメラの二成分ペプチドを必要とする、または必要としない場合がある。eGFPアッセイを、5μM Bpepの存在下および非存在下で、PMO-Penetratin、PMO-pVEC、PMO-メリチンおよびPMO-Bpepを用いて繰り返した。(図2C)。すべての場合において、PMO-CPPコンジュゲートは、Bpepの存在下および非存在下で同じ性能を示した。この結果は、二つのCPPを共有結合することが、活性の改善を観察するために必要であることを示す。eGFP HeLa細胞は、PMO活性に関する機能アッセイを提供し、さらに多くの機械的工程がこの最終的なリードアウトに貢献する。何らかの効果を生成するためには、PMOコンジュゲートのどれもが、細胞内に内在化され、エンドサイトーシスされた場合にはエンドソームを脱出し、核に局在化されねばならない。キメラの異なる部分は、これらの工程のうちの一つまたは複数における支援を受け得る。関与する生物学的プロセスの複雑さを考慮すると正確なメカニズムを決定的に示すことは困難であるが、追加の洞察を得るために徹底的に研究するために一つのモデルキメラが選択された。相乗効果を示し、血漿膜を破壊しなかったため、この目的のためにPMO-pVEC-Bpepが選択された。さらに、PMO-pVECの不良な性能は、PMO-pVEC-Bpepの強力な性能を驚くべき、かつ興味深い結果とならしめた。
【0185】
細胞取込み経路を評価するための実験によってメカニズム研究が実行された。エネルギー依存性経路が関与しているかどうかを調べるために、4℃対37℃で処置後、PMO活性を測定した。実験は、HeLa eGFP細胞を5μM PMO-pVEC、PMO-Bpep、またはPMO-pVEC-Bpepを用いて、4℃または37℃のいずれかで3時間にわたってインキュベートした、パルス追跡形式で実行された(図3A)。その後、処置培地を新鮮培地に交換し、追加で22時間にわたって細胞を増殖させた。MO-Bpepを除くすべての化合物について、4℃で処置した場合にeGFP蛍光の減少があった。この結果は、エネルギー依存性メカニズムがPMO-pVEC-Bpepキメラの取込みに関連することを示唆する。特にPMO-Bpepの結果は、4℃で処置中、細胞表面に結合するいずれかのコンジュゲートが、その後内部移行し、処置後に細胞が37℃で追加的に22時間にわたってインキュベートされたとき、eGFP発現を誘発し得ることが注目される。
【0186】
さらに、細胞へのPMO-pVEC、PMO-Bpep、およびPMO-pVEC-Bpepの内部移行に対する複数のエンドサイトーシス阻害剤の効果を研究した(図3B)。実験をパルス追跡形式で実施し、eGFP HeLa細胞を阻害剤でプレインキュベートした。30分のプレインキュベート後、ペプチドを加え、三時間後に処理培地を新鮮培地と交換し、細胞をさらに22時間増殖させた。大部分の阻害剤は効果を有しなかった。しかしながら、高濃度のクロルプロマジンでは、PMO-pVEC-Bpepキメラで処置された細胞内でeGFP蛍光が減少した。クロルプロマジンはクラスリン媒介エンドサイトーシスの阻害剤とみなされるが、それはプロセスの下流構成要素に影響を及ぼす可能性がある。
【0187】
キメラの取込みにおけるクラスリン媒介エンドサイトーシスの可能性のある役割を超えて、これらのデータは、PMO-pVECまたはPMO-Bpepのいずれかでも明らかな減少は観察されなかったため、キメラが一意の内部移行メカニズムにアクセスすること示す。
【0188】
最後に、構築物をeGFPに直交する小分子有機染料で標識して、化合物の取込みと機能的なエクソンスキッピング活性を同時に監視できるようにした。この形式の実験は、PMO有効性から細胞内部移行のデコンボリューションの助けとなり得る。これらの化合物を調製するために、pVEC、Bpep、およびpVEC-Bpepを配列のN末端にシステイン残基で合成し、その後、前述のように、末端を4-ペンチン酸でキャップした。RP-HPLCによる精製後、ペプチドを等モルのSulfo-Cyanine5マレイミドで水中に溶解し、RP-HPLCにより再度精製した。最後に、SulfoCy5-標識ペプチドはすべて、銅触媒クリックケミストリーを介してPMO-アジドにコンジュゲートされ、RP-HPLCによって精製された。
【0189】
SulfoCy5-標識された構築物を使用して、eGFP HeLa細胞を用いたフローサイトメトリー実験を実施した。細胞を結成含有培地中で各コンジュゲート5μMを用いて22時間にわたって処置し、その後フローサイトメトリーで解析した(図4A)。eGFP蛍光については、488nmの励起レーザーおよび530nmの放射フィルターを使用し、SulfoCy5については、561nmの励起レーザーと695nmの放射フィルターを使用した。チャネルの分離によって、両方のフルオロフォアからの蛍光が同時に記録可能となった。非標識化PMO-pVEC、PMO-Bpep、およびPMO-pVEC-Bpepを処置して、フルオロフォアが所与のコンジュゲートの効果を摂動したかどうかを判断した。すべての場合で、付着したフルオロフォアでeGFP蛍光がわずかに減少したが、フルオロフォアがコンジュゲートの有効性に影響を与えながらも、それが極めて均一であることを示唆している。
【0190】
SulfoCy5蛍光の観点から言えば、PMO-SulfoCy5-BpepはPMO-SulfoCy5-pVECまたはPMO-SulfoCy5-pVEC-Bpepよりも少ない蛍光を示した。しかしながら、PMO-SulfoCy5-Bpepは、eGFP発現を促進する比較的高い能力を有していた。この結果は、PMO-Bpepの全体的な細胞取込みがPMO-pVECよりも小さい一方、Bpepは有益な下流効果を有することを示唆する。改善されたエンドソーム脱出、核移入、RNA結合、またはスプライス修飾は、PMO-Bpepに対する比較的高いeGFP蛍光をもたらす可能性がある。一方、PMO-SulfoCy5-pVECは高いSulfoCy5蛍光を有したが、eGFP発現には乏しく、これは化合物が良好な細胞取込みを有するが、下流のどこかに限界を有することを示す。pVEC-Bpepキメラは最高のeGFP発現および最高のSulfoCy5蛍光の両方を示したが、SulfoCy5蛍光はpVECと同様のスケールであった。したがって、キメラの相乗効果に基づく仮説は、pVEC成分が、Bpepの有益な下流効果を妨げることなく細胞取込みを改善することである。
【0191】
この仮説をさらに試験し、エンドソームに局在化した物質の範囲について検討するために、HeLa eGFP細胞における生細胞共焦点顕微鏡撮像実験を行った。Rab5a-RFP融合タンパク質を初期エンドソームを標識するために使用する以外、フローサイトメトリーアッセイと同じ処置条件を使用した。治療後かつ撮像の16時間前に、HeLa eGFP細胞を、バキュロウイルスベクターを利用したRab5a-RFP融合構築物で一過性にトランスフェクトした。PMO-SulfoCy5-pVECが、エンドソームの混入によるeGFP発現の誘発に不十分な有効性を有する場合、RFP信号はSulfoCy5の信号と共存すると推論された。
【0192】
撮像データは、フローサイトメトリーデータと非常に良好に相関する(図4B)。PMO-SulfoCy5-pVECおよびPMO-SulfoCy5-pVEC-Bpepの両方を用いて、明るいSulfoCy5信号を点状に濃縮する。一部のSulfoCy5信号はRFP信号と共存し、初期エンドソームへの局在化を示す一方、他のSulfoCy5の点は後期エンドソームおよびリソソームである可能性が高い。これらの画像は、内部移行の主要メカニズムがエンドサイトーシスであり、かつエンドソームの混入が、顕著な細胞取込みにも関わらず、特定の構築物についてPMO活性を制限できるというさらなる根拠を提供する。
【0193】
本明細書では、個別のCPPが高分子送達の異なる要素に有用でありうるというメカニズム研究を示した。CPPからなるキメラペプチドは、PMO送達およびエクソンスキッピング効果の相乗的改善を示し得ることも示した。配列の相対位置は、取込みの程度に影響し、両方のペプチドはCPPでなければならず、それらは効果を観察するために共有結合していなければならない。
【0194】
実施例1:ペプチド調製および精製の一般的方法
高速フローペプチド合成
自動フローペプチド合成物を使用して0.1-mmolスケールでペプチドを合成した。ChemMatrix Rink Amide HYR樹脂(200mg)を90℃で維持された反応器に装填した。すべての試薬を、反応器に導入する前に90℃で維持されたステンレス鋼ループを通してHPLCポンプを用いて80mL/分で流した。各結合について、DMF中アミノ酸0.2MとHATU 0.2Mを含む溶液10mLを、ジイソプロピルエチルアミン200μLと混合し、反応器に送液した。Fmoc除去は、20%(v/v)ピペリジン10.4mLを使用して達成された。それぞれの工程間で、DMF15mLを使用して反応器を洗浄した。最終的な結合は、アミノ酸ではなく、4-ペンチン酸であったが、同じ条件を使用していた。合成の完了後、樹脂をDCMを用いて3回洗浄し、真空下で乾燥させた。
【0195】
ペプチド切断および脱保護
各ペプチドは、試薬K 6mL(トリフルオロ酢酸82.5%、フェノール5%、水5%、チオアニソール5%、および1,2-エタンジオール(EDT)2.5%)を用いた処置によって、同時グローバル側鎖脱保護および樹脂からの切断に供された。切断は、Pbfの完全な除去を確保するために、室温で16時間放置された。切断カクテルを濾過して樹脂を除去し、混合物を通してN2を泡立てることによって蒸発させた。次いで、約35mLの低温エーテルを加え、粗生成物を三分間遠心分離によってペレット化した。このエーテルの粉砕および遠心分離をさらに二回繰り返した。三回目の洗浄後、ペレットを水50%、アセトニトリル50%中で再溶解し、凍結乾燥した。
【0196】
ペプチド精製
溶媒A:TFA 0.1%を含有する水
溶媒B:TFA 0.1%を含有するアセトニトリル
凍結乾燥ペプチドを最小体積の移動相(A 95%、B 5%)に溶解した。溶液を質量ベースの精製システムに取付られた逆相HPLCカラム(Agilent Zorbax SB C18カラム:9.4×250mm、5μmまたはAgilent Zorbax SB C3カラム:9.4×250mm、5μm)に装填した。線形グラジエントは、0.5% B/分で、5% B~55% Bで実行された。機器からの各画分についての質量データを使用して、純粋な画分のみをプールし、凍結乾燥した。画分プールの純度はLC-MSによって確認された。
【0197】
実施例1のプロトコルを使用して、図1Aおよび表2のペプチドを合成した。
表2:細胞膜透過ペプチド
【表2】
【0198】
実施例2:ペプチドコンジュゲート
【化35】
【0199】
5-アジドペンタンをPMOに合成する手順
PMO IVS-654(R=5’-GCT ATT ACC TTA ACC CAG-3’;z=18)(200mg,32μmol)をDMSO 600μL中で溶解した。この溶液に、HBTU(DMF中、0.4M HBTU 320μL、128μmol)で活性化された4当量の5-アジドペンタン酸(13.6μL、128μL)およびDFA 244μL中のDIEA(22.3μL、128μmol)を含む溶液を加えた(最終反応量=1.2mL)。反応は、水1mL、および水酸化アンモニウム2mLで急冷する前に25分間にわたって行われた。水酸化アンモニウムは、反応の過程で形成されたエステルを加水分解する。1時間後、溶液を40mLに希釈し、逆相HPLC(Agilent Zorbax SB C3カラム:21.2×100mm、5μm)および線形グラジエント2~60% B(溶媒A:水、溶媒B:アセトニトリル)を用いて、58分間にわたって精製した(1% B/分)。機器からの各画分についての質量データを使用して、純粋な画分のみをプールし、凍結乾燥した。画分プールの純度はLC-MSによって確認された。凍結乾燥により、171mgの乾燥粉末(収率84%)を得た。
アジド/アルキンヒュスゲン環化付加によるPMO-ペプチドコンジュゲートの一般的手順
セプタムキャップを有する20mLシンチレーションバイアルを、ペプチドアルキン(1.1μmol)、ISV2-654アジド(0.95μmol)、および臭化銅(0.05mmol)で充填した。バイアルを5分間にわたって窒素でパージして、セプタムを通したDMFの約1mLの添加前に酸素の除去を確実にした。反応混合物を1分間ボルテックスした。2時間後、反応混合物を50Mmトリス(pH8)10mLで希釈し、逆相HPLCカラム(Agilent Zorbax SB C3 9.4×50mm、5μm)に装填した。クロマトグラフィーを、5~45% Bから線状グラジエントを用いて20分間にわたって実施した。溶媒A:酢酸アンモニウム5mM 水中のpH=8、溶剤B:酢酸アンモニウム5mM アセトニトリル90% 水10%中のpH=8。機器からの各画分についての質量データを使用して、純粋な画分のみをプールし、凍結乾燥した。画分プールの純度はLC-MSによって確認された。
【0200】
実施例3:フルオロフォアコンジュゲート
フルオロフォア標識されたPMO-ペプチドコンジュゲートについて、有機染料をPMOへのコンジュゲート前に付着させた。等モルのSulfoCy5マレイミドを、HO 1mL中のシステイン含有ペプチドにコンジュゲートした。30分後、反応物質は、pVECおよびpVEC-Bpepについて、80分超にわたり5~45% Bから線形グラジエントを用いて、またBpepについて、60分超にわたり1~31% Bから線形グラジエントを用いて、逆相HPLCによって精製された。移動相A:TFA 0.1%を含む水。移動相B:TFA 0.1%を含むアセトニトリル。
【0201】
実施例4:フローサイトメトリー
キメラペプチド-オリゴヌクレオチド-コンジュゲートのライブラリを試験するため、GFP蛍光のフローサイトメトリー分析を実施した。HeLa 654細胞は、37℃および5% COで、10%(v/v)ウシ胎児血清(FBS)および1%(v/v)ペニシリンストレプトマイシンで補充したMEM中で維持された。処置の18時間前、細胞は、10% FBSおよび1% ペニシリンスプレプトマイシンで補充したMEMの96ウェルプレート内に、ウェル当たり5,000細胞の密度で播種された。実験日、各PMO-ペプチドコンジュゲートのストックをリン酸緩衝血清(PBS)中で調製した。ストックの濃度は、260nmで吸光度を測定して、かつ168,700Lmol-1 cm-1の減衰係数を使用して決定された。細胞を、37℃および5% COで22時間にわたり、10% FBSおよび1%ペニシリンストレプトマイシンで補充されたMEM中の5μMの濃度で、各々のコンジュゲートとインキュベートした。次に、処置培地を吸引し、細胞をトリプシン-EDTA 0.25%とともに15分間、37℃および5% COでインキュベートし、PBSで1x洗浄し、2% FBSおよび2μg/mL ヨウ化プロピジウムでPBS中に再懸濁した。BD LSRIIフローサイトメーター上でフローサイトメトリー分析を実施した。細胞がヨウ化プロピオジウムに対して極めて陽性であるか、または主要な細胞群から十分に異なる前方/側方散乱測定値を有する細胞が確実に除外されるようにゲートがデータに適用された。各ヒストグラムは、PMO-メリチン-Bpepで処置された細胞を除いて、少なくとも3,000個のゲートイベントを含む。
【0202】
結果を図1C、2A、2B、2Cおよび表3に示す。
表3: コンジュゲートされていないPMOおよび単一CPP-PMOコンジュゲートと比較したキメラペプチド-オリゴヌクレオチド-コンジュゲート。
【表3】
【0203】
実施例5:阻害剤実験
多様なエンドサイトーシスのメカニズムを阻害するために、パルス追跡実験を実施した。手短に、HeLa 654細胞は、10% FBSおよび1% ペニシリンスプレプトマイシンで補充したMEMの96ウェルプレート内に、ウェル当たり5,000細胞の密度で播種された。翌日、各阻害剤を用いて指示された濃度で細胞を処置した。30分後、PMO-ペプチドコンジュゲートを5μMの濃度で各ウェルに添加した。37℃および5% COで約3時間インキュベーションした後、処置培地を新鮮な培地(阻害剤またはPMO-ペプチドなし)に置き換え、細胞を37℃および5% COでさらに22時間にわたり増殖させた。4℃の実験について、播種後、細胞を4℃で30分間プレインキュベートし、続いて、5μMの濃度で各ウェルにPMO-ペプチドコンジュゲートを添加した。4℃で約3時間インキュベーションした後、処置培地を新鮮な培地に置き換え、細胞を37℃および5% COでさらに22時間にわたり増殖させた。次いで試料調製およびフローサイトメトリーを上述のように実施した。20μM サイトカラシンDでの処置を除いて、各ヒストグラムは少なくとも3,000個のゲートイベントを含む。
【0204】
結果を図3Aおよび図3Bに示す。
【0205】
実施例6:生細胞共焦点撮像
HeLa 654細胞は、10% FBSおよび1% ペニシリンスプレプトマイシンで補充したMEMの#1.5カバーガラスガラスボトム 96ウェルプレート内に、ウェル当たり5,000細胞の密度で播種された。24時間後、PMO-SulfoCy5-ペプチドコンジュゲートを5μMの濃度で各ウェルに添加した。その6時間後(撮像の18時間前)、3μL CellLight(TM)初期エンドソーム-RFP、BacMam 2.0を各ウェルに添加した(細胞当たり30粒子に対応)。撮像準備のため、処置培地を吸引し、細胞をPBSで二回洗浄し、細胞をPBS中2μg/mL ヘキスト(Hoescht)で10分間染色し、続いてさらに2回PBSで洗浄した。最後に、細胞をRPIスピニングディスク共焦点顕微鏡上でPBS中で撮像した。
【0206】
結果を図4Aおよび4Bに示す。
【0207】
参照による援用
本明細書全体を通して引用されるすべての参考文献(参考文献、交付済み特許、公開済特許出願、および同時係属中の特許出願を含む)の内容は、本明細書においてそれらの全体が本明細書に援用される。別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、当業者に一般に公知の意味が付与される。
【0208】
均等物
当業者は、本明細書に記載される開示の特定の実施形態の多くの同等物を認識し、または通常の実験のみを用いて確認することができるだろう。または日常的な実験のみを使用して確認することができるであろう。こうした均等物は、以下の請求項に包含されることが意図される。
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図3
図4
【配列表】
0007596148000001.app