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特許7596158料金処理システム、エリアサーバ装置、及び料金処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】料金処理システム、エリアサーバ装置、及び料金処理方法
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20241202BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20241202BHJP
   G06Q 30/04 20120101ALI20241202BHJP
   G06Q 50/26 20240101ALI20241202BHJP
【FI】
G07B15/00 P
G07B15/00 510
G08G1/09 F
G06Q30/04
G06Q50/26
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021004003
(22)【出願日】2021-01-14
(65)【公開番号】P2022108834
(43)【公開日】2022-07-27
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 茂
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-107111(JP,A)
【文献】特開2022-141267(JP,A)
【文献】特開2012-003392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B15/00
G08G 1/00- 1/16
G06Q30/04
G06Q50/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエリアに分けられた有料道路における車両の通行料金を処理するための料金処理システムであって、
前記有料道路の各出口料金所に対応して設置され、出口料金所を通過する前記車両の車載器と通信し退場処理を行う出口料金所機器と、
前記複数のエリア各々に対応して設置された複数のエリアサーバ装置と、
を備え、
前記複数のエリアサーバ装置のうちの第エリアに対応して設置された第1エリアサーバ装置は、前記第1エリア内の第1出口料金所機器から、前記車載器との通信により取得した前記車両を識別するための契約情報及び前記出口料金所を識別する出口料金所番号を含む退場情報を受信し、前記契約情報を含み前記車両の走行経路を表す車両情報が未登録の場合、前記複数のエリアサーバ装置のうちの前記第1エリアサーバ装置を除く他のエリアサーバ装置に前記車両情報を要求する引継要求をブロードキャストし、前記他のエリアサーバ装置のうちの少なくとも1つのエリアサーバ装置から前記車両情報を含む引継応答を受信した場合、前記車両情報及び前記退場情報に基づいて前記車両の走行経路を決定し、前記走行経路及び前記第1エリアサーバ装置に記憶された料金テーブルに基づいて通行料金を算出し、前記通行料金についての情報を含む通行料金情報を前記第1出口料金所機器へ送信し、
前記第1出口料金所機器は、前記第1エリアサーバ装置から受信した前記通行料金についての情報を含む利用明細情報を前記車載器に送信する、
料金処理システム。
【請求項2】
前記料金処理システムは、前記第1エリア内に配置された第1境界ゲート機器をさらに備え、
前記第1エリアサーバ装置は、
前記第1境界ゲート機器から、前記第1エリアに越境してきた前記車両の前記車載器との通信により前記第1境界ゲート機器が取得した前記契約情報を含む中継情報を受信した場合、前記契約情報を含み前記車両の走行経路を表す前記車両情報が未登録の場合、越境元の隣接エリアサーバ装置に前記車両情報を要求する引継要求を送信し、前記車両情報を含む引継応答を受信しない場合、前記他のエリアサーバ装置に前記引継要求をブロードキャストし、前記他のエリアサーバ装置のうちの少なくとも1つから前記引継応答を受信した場合、前記中継情報を含む前記車両情報を登録する、請求項1に記載の料金処理システム。
【請求項3】
前記第1エリアサーバ装置が前記他のエリアサーバ装置のうちの少なくとも1つから前記引継応答を受信しない場合、前記第1エリアサーバ装置は、前記中継情報を前記車両情報として登録する、請求項2に記載の料金処理システム。
【請求項4】
前記第1エリアサーバ装置は、前記車両情報が登録され、前記車両情報が前記車両が通行した入口料金所を識別する入口料金所番号を含む入口情報を有している場合、前記車両の走行経路を決定する、請求項1に記載の料金処理システム。
【請求項5】
前記第1エリアサーバ装置は、前記車両情報が前記入口情報を有していない場合、通行料金不明であることを示す通行料金不明情報を前記第1出口料金所機器に送信し、
前記第1出口料金所機器は、前記通行料金不明情報に基づいて、前記第1出口料金所機器の発進制御器を制御して車両の通行を制御する、請求項4に記載の料金処理システム。
【請求項6】
前記第1エリアサーバ装置は、前記他のエリアサーバ装置のうちの少なくとも1つから前記引継応答を受信しない場合、通行料金不明であることを示す通行料金不明情報を前記第1出口料金所機器に送信し、
前記第1出口料金所機器は、前記通行料金不明情報に基づいて、前記第1出口料金所機器の発進制御器を制御して車両の通行を制御する、請求項1又は2に記載の料金処理システム。
【請求項7】
前記第1エリアサーバ装置は、前記他のエリアサーバ装置のうちの他のエリアサーバ装置から前記引継要求を受信し、前記車両情報が登録されている場合、前記他のエリアサーバ装置に前記車両情報を含む引継応答を送信し、前記車両情報を削除する、請求項1に記載の料金処理システム。
【請求項8】
複数のエリアに分けられた有料道路において、前記複数のエリア各々に対応して配置されたエリアサーバ装置であって、
前記有料道路の各出口料金所に対応して設置され、出口料金所を通過する車両の車載器と通信し退場処理を行う出口料金所機器から、前記車載器との通信により取得した前記車両を識別するための契約情報及び前記出口料金所を識別する出口料金所番号を含む退場情報を受信する機器通信部と、
前記契約情報を含み前記車両の走行経路を表す車両情報が未登録の場合に、前記車両情報を要求する制御部と、
前記車両情報の要求に基づき、前記複数のエリアサーバ装置のうちの前記エリアサーバ装置を除く他のエリアサーバ装置に前記車両情報を要求する引継要求をブロードキャストし、前記他のエリアサーバ装置のうちの少なくとも1つのエリアサーバ装置から前記車両情報を含む引継応答を受信するエリア間通信部と、
を備え、前記制御部は、前記車両情報及び前記退場情報に基づいて前記車両の走行経路を決定し、前記走行経路及び記憶部に記憶された料金テーブルに基づいて通行料金を算出し、前記機器通信部は、前記通行料金についての情報を含む通行料金情報を前記出口料金所機器へ送信する、エリアサーバ装置。
【請求項9】
前記機器通信部は、前記車両がエリアを越境したことを検知する境界ゲート機器から、前記車載器との通信により前記境界ゲート機器が取得した前記契約情報を含む中継情報を受信し、前記制御部は、前記車両の走行経路を表す車両情報が未登録の場合に、前記車両情報を要求し、前記エリア間通信部は、前記車両情報の要求に基づき、越境元の隣接エリアサーバ装置に前記車両情報を要求する引継要求を送信し、前記車両情報を含む引継応答を受信しない場合、前記複数のエリアサーバ装置に前記引継要求をブロードキャストし、前記記憶部は、前記複数のエリアサーバ装置のうちの少なくとも1つから前記引継応答を受信した場合、前記中継情報を含む前記車両情報を登録する、請求項8に記載のエリアサーバ装置。
【請求項10】
前記エリア間通信部が前記複数のエリアサーバ装置のうちの少なくとも1つから前記引継応答を受信しない場合、前記記憶部は、前記中継情報を車両情報として登録する、請求項9に記載のエリアサーバ装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記車両情報が登録され、前記車両情報が前記車両が通行した入口料金所を識別する入口料金所番号を含む入口情報を有している場合、前記車両の走行経路を決定する、請求項8に記載のエリアサーバ装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記車両情報が前記入口情報を有していない場合、前記機器通信部は、通行料金不明であることを示す通行料金不明情報を前記出口料金所機器に送信する、請求項11に記載のエリアサーバ装置。
【請求項13】
前記エリア間通信部が前記複数のエリアサーバ装置のうちの少なくとも1つから前記引継応答を受信しない場合、前記機器通信部は、通行料金不明であることを示す通行料金不明情報を前記出口料金所機器に送信する、請求項8又は9に記載のエリアサーバ装置。
【請求項14】
前記エリア間通信部が前記複数のエリアサーバ装置のうちの他のエリアサーバ装置から前記引継要求を受信した場合、前記制御部は、前記車両情報が登録されている場合、前記他のエリアサーバ装置に前記車両情報を含む引継応答を送信し、前記車両情報を削除する、請求項8に記載のエリアサーバ装置。
【請求項15】
複数のエリアに分けられた有料道路における車両の通行料金を処理し、前記複数のエリア各々に対応して設置された複数のエリアサーバ装置のうちの第1エリアサーバ装置が実行する料金処理方法であって、
前記有料道路の各出口料金所に対応して設置され、出口料金所を通過する前記車両の車載器と通信し退場処理を行う出口料金所機器から、前記車載器との通信により取得した前記車両を識別するための契約情報及び前記出口料金所を識別する出口料金所番号を含む退場情報を受信することと、
前記契約情報を含み前記車両の走行経路を表す車両情報が未登録の場合、前記複数のエリアサーバ装置のうち前記第1エリアサーバ装置を除く他のエリアサーバ装置に前記車両情報を要求する引継要求をブロードキャストすることと、
前記他のエリアサーバ装置のうちの少なくとも1つのエリアサーバから前記車両情報を含む引継応答を受信した場合、前記車両情報及び前記退場情報に基づいて前記車両の走行経路を決定することと、
前記走行経路及び前記第1エリアサーバ装置に記憶された料金テーブルに基づいて通行料金を算出することと、
前記通行料金についての情報を含む通行料金情報を前記出口料金所機器へ送信することと、
を備える料金処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、料金処理システム、エリアサーバ装置、及び料金処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路で広く普及しているETC(Electronic Toll Collection)(登録商標)システムでは、各インターチェンジ(IC)に設置された料金所の車線を通行する車両の車載器と料金所に設置された料金所機器とが無線通信することにより、料金所で車両を停止させずにノンストップでの料金収受を実現している。一方で、高速道路などの道路網は、全国規模でつながっており、新規路線の追加などでエリアが拡大して経路も複雑になってきている。このため、各車両について、通行した経路などの情報を管理して多様な料金体系に対応した料金処理を実現することが難しくなってきている。
【0003】
従来のETCシステムでは、入口料金所を通過した際に車載器(ICカード)に情報を記録し、出口料金所ではその情報を参照して通行料金を計算する。その後、これらの結果はサーバ装置へ通知され決済が行われる。この方法では、通行料金の計算に必要なプログラムやデータを出口料金所の出口料金所機器が保持する必要があり、通行料金制度を変更する際には、出口料金所の出口料金所機器を改修する必要がある。そのため、渋滞などに応じて通行料金をダイナミック(動的)に変化させるような運用は実現できない。
【0004】
また、別の方法としては、サーバ装置へオンライン照会することにより、通行料金を算出する方法が提案されている。しかし、ETCシステムでこのようなサービスを提供する場合、サーバ装置の負荷を低減させるために、料金所の数を減らした限られたエリアでのサービスに限定せざるを得ない状況にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-107111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の様に、従来のETCシステムでは、日本全国を対象とするような広域に対してサーバ装置へオンライン照会することにより、サーバ装置が通行料金を算出するなどの各種サービスを提供することは困難であるという課題がある。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決するものであり、日本全国を対象とするような広域に対してオンライン照会することにより、サーバ装置が通行料金を算出するなどの各種サービスを提供する料金処理システム、エリアサーバ装置、及び料金処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る、複数のエリアに分けられた有料道路における車両の通行料金を処理するための料金処理システムは、前記有料道路の各出口料金所に対応して設置され、出口料金所を通過する前記車両の車載器と通信し退場処理を行う出口料金所機器と、前記複数のエリア各々に対応して設置された複数のエリアサーバ装置と、を備え、前記複数のエリアサーバ装置のうちの第1エリアに対応して設置された第1エリアサーバ装置は、前記第1エリア内の第1出口料金所機器から、前記車載器との通信により取得した前記車両を識別するための契約情報及び前記出口料金所を識別する出口料金所番号を含む退場情報を受信し、前記契約情報を含み前記車両の走行経路を表す車両情報が未登録の場合、前記複数のエリアサーバ装置のうちの前記第1エリアサーバ装置を除く他のエリアサーバ装置に前記車両情報を要求する引継要求をブロードキャストし、前記他のエリアサーバ装置のうちの少なくとも1つのエリアサーバ装置から前記車両情報を含む引継応答を受信した場合、前記車両情報及び前記退場情報に基づいて前記車両の走行経路を決定し、前記走行経路及び前記第1エリアサーバ装置に記憶された料金テーブルに基づいて通行料金を算出し、前記通行料金についての情報を含む通行料金情報を前記第1出口料金所機器へ送信し、前記第1出口料金所機器は、前記第1エリアサーバ装置から受信した前記通行料金についての情報を含む利用明細情報を前記車載器に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係る料金処理システムの概略構成の一例を示す図である。
図2図2は、本実施形態に係るエリアサーバ装置、入口料金所機器、出口料金所機器、及び境界ゲート機器の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、オンライン照会によるETCシステムの一例を示す概念図である。
図4図4は、図3で示した、車両が第1エリアから入場し、第2エリアで退場する場合の第1エリア及び第2エリアの各機器の情報の送受信の一例を示すシーケンス図である。
図5図3は、オンライン照会によるETCシステムの一例を示す概念図である。
図6図6は、図5で示した、本実施形態に係る車両が第3エリアから入場し、第1エリアを通過して第2エリアで退場する場合の各エリアの機器の情報の送受信の一例を示すシーケンス図である。
図7図7は、エリアサーバ装置の処理動作の一例を示したフローチャートである。
図8図8は、エリアサーバ装置の処理動作の一例を示したフローチャートである。
図9図9は、エリアサーバ装置の処理動作の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら走行情報引継システム、エリアサーバ装置、走行情報引継方法について詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、同一の番号を付した部分については同様の動作を行うものとして、重ねての説明を省略する。
【0011】
まず、各実施形態に係る料金処理システムの概略について説明する。
料金処理システムが適用される有料道路は、同一発着(入口と出口とが同一)では同一料金とすることを基本(原則)としている。更に、渋滞対策などの様々な施策によって、特定の経路または料金(通行料金)を変動させる予め設定した経路(区間)や、通過日時などの条件を満たした車両に対して料金(通行料金)を値引く(または料金を加算する)施策を行っている。例えば、渋滞を軽減させるための施策として、有料道路における経路別の混雑度に応じて経路ごとの変動額(値引き金額又は加算金額など)が設定されるものとする。
【0012】
上記のような、経路、区間、または通過日時による変動課金を実施する場合、料金計算の元となる料金テーブルが、複雑かつ膨大になるため、運用に限界がある。このため、各実施形態に係る料金処理システムでは、料金処理の対象となる1つの有料道路網を複数のエリアに分けてエリアごとに経路などの情報を管理し、当該有料道路網から出場する場合に経路などに応じて変動する通行料金を算出する。複数のエリアは、有料道路を管理する道路事業者ごとに分かれるエリアだけではなく、1つの道路事業者の有料道路網(1つの有料道路)を複数のエリアに分けたものでもよい。
【0013】
本実施形態では、各エリアには、通行料金算出に関する処理を行う中央装置であるエリアサーバ装置を設置する。そして、通行料金算出は、入口料金所と出口料金所の対応関係で決まる基本料金を決定するための基本課金テーブルと、車両が入口料金所又は出口料金所を通過した日時、及び走行経路により決まる割引額(または割増額)を規定する変動課金テーブルの組合せで料金を決定する。
【0014】
以下、本実施形態として、エリアごとに設けたエリアサーバ装置を含む料金処理システムを実施するための形態について説明する。
【0015】
[実施形態]
(構成)
図1は、本実施形態に係る料金処理システムの概略構成の一例を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る料金処理システムは、1つの有料道路網を複数のエリアに分けて管理する。本実施形態の例では、料金処理システムは、複数のエリアとして第1エリア、第2エリア、及び第3エリアを備える。第1エリアは、料金所に設置された第1入口料金所機器2A、料金所に設置された第1出口料金所機器3A、及び第1エリア内の境界に設置された第1境界ゲート機器4Aを備える。同様に、第2エリアは、第2入口料金所機器2B、第2出口料金所機器3B、及び第2境界ゲート機器4Bを備え、第3エリアは、第3入口料金所機器2C、第3出口料金所機器3C、及び第3境界ゲート機器4Cを備える。なお、図1では3つのエリアを備え、各エリアに料金所及び境界ゲート機器4がそれぞれ1つ設置される例を示しているが、エリアの数、エリアに設置される料金所の数、及び境界ゲート機器4の数は、これらに限定するものでなく、任意の数で良い。さらに、第1エリアサーバ装置1A、第2エリアサーバ装置1B、及び第3エリアサーバ装置1Cを区別する必要が無い場合、単にエリアサーバ装置1と記載する。同様に、第1入口料金所機器2A、第2入口料金所機器2B、及び第3入口料金所機器2C、第1出口料金所機器3A、第2出口料金所機器3B、及び第3出口料金所機器3C、及び第1境界ゲート機器4A、第2境界ゲート機器4B、及び第3境界ゲート機器4Cも区別する必要がない場合それぞれ、単に入口料金所機器2、出口料金所機器3、及び境界ゲート機器4、と記載する。
【0016】
エリアサーバ装置1は、エリアごとに設置される。第1エリアサーバ装置1A、第2エリアサーバ装置1B、及び第3エリアサーバ装置1Cはそれぞれ、第1エリア、第2エリア、及び第3エリアそれぞれの入口料金所機器2、出口料金所機器3、及び境界ゲート機器4などの機器と通信することが可能な中央装置(サーバ装置)である。さらに第1エリアサーバ装置1A、第2エリアサーバ装置1B、及び第3エリアサーバ装置1Cは、各々と通信可能である。図1に示す例において、第1エリアサーバ装置1Aは、第1エリアにおいて各車両5が通行した経路情報や経路に応じた通行料金などを管理する。さらに、第1エリアサーバ装置1Aは、車両5が走行した日時や経路に応じて変動する変動金額などを管理する。また、第2エリアサーバ装置1B及び第3エリアサーバ装置1Cも第1エリアサーバ装置1Aと同様に通行料金及び変動金額を管理する。
【0017】
各エリア内には、それぞれ料金所が設置される。各料金所(IC)は、入口料金所機器2と出口料金所機器3とが設置される。ただし、ICは、入口料金所機器2としてだけ機能する入口専用料金所であっても良いし、出口料金所機器3としてだけ機能する出口専用料金所であっても良い。入口料金所機器2は、有料道路の入口となる入口料金所に入場する車両5のETCカード52がセットされる車載器51と通信することにより入場処理を行い、入場情報をエリアサーバ装置1に送信する。出口料金所機器3は、有料道路の出口となる出口料金所に入場する車両5の車載器51と通信することにより出場処理を行う。なお、出口料金所機器3は、出場処理の際、エリアサーバ装置1と通信することによりエリアサーバ装置1から車両5の走行経路に応じた通行料金についての情報を受信する。
【0018】
境界ゲート機器4は、各エリア間の接続地点である、エリアの境界に設置され、当該地点を上流から下流へ通過する車両5を検知する。例えば、第1境界ゲート機器4Aは、第1エリア内であって、第1エリアの隣接エリアである第3エリアから第1エリアに進入する地点に設置される。第1境界ゲート機器4Aは、車両5の車載器51と通信することにより、第3エリアから第1エリアに車両5が越境することを検知する。さらに第1境界ゲート機器4Aは、車両5が第1のエリアに越境したこと及び車両5を検知した日時等の情報を含む中継情報を第1エリアサーバ装置1Aに送信する。また、第2境界ゲート機器4B及び第3境界ゲート機器4Cは、上述した第1境界ゲート機器4Aと同様の動作をする。なお、境界ゲートは、エリアに隣接する隣接エリアから越境してくる地点に配置されているとする。また、第1エリア、第2エリア、及び第3エリアは、互いに隣接しているが、エリア範囲が重複していてもしていなくとも良い。
【0019】
車両5は、車載器51を備え、車載器51を介して入口料金所機器2、出口料金所機器3、及び境界ゲート機器4とそれぞれ無線通信することにより各種情報を送受信することが可能である。
【0020】
図2は、本実施形態に係るエリアサーバ装置1、入口料金所機器2、出口料金所機器3、及び境界ゲート機器4の構成の一例を示すブロック図である。
エリアサーバ装置1は、制御部11、記憶部12、機器通信部13、及びエリア間通信部14を備える。エリアサーバ装置1は、例えば、汎用のサーバ装置などによって構成される。なお、図2に示す例では、エリアサーバ装置1の構成として図示しているが、他のエリアである第2エリアサーバ装置1B及び第3エリアサーバ装置1Cもエリアサーバ装置1と同様の構成を有する。
【0021】
制御部11は、エリアサーバ装置1における制御及びデータ処理などを司る制御ユニットである。制御部11は、CPU、メモリおよびインタフェースなどを有する。CPUは、プログラムを実行することにより、車両5の通行料金の計算などの各種の処理機能を実現するプロセッサである。CPUは、インタフェースなどを介してエリアサーバ装置1を構成する各部に接続される。メモリは、CPUが実行するプログラムを記憶する不揮発性メモリ、一時的にデータを保持する揮発性メモリ、および、設定データなどを保存する書換え可能な不揮発性メモリなどの各種のメモリを含む。すなわち、制御部11は、CPUがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより各部を制御およびデータ処理を実行する。
【0022】
記憶部12は、メインメモリ等の読み出しや書込みが高速に行える記憶媒体を含む。記憶部12は、HDD或はSSDなどの大容量の記憶装置で構成されても良い 。記憶部12は、当該料金処理システムに関わる各種のデータを記憶する。例えば、記憶部12は、各種料金テーブルを記憶する。料金テーブルは、基本課金テーブル及び変動課金テーブルである。基本課金テーブルは、例えば、車両5が通行する入口料金所機器2、境界ゲート機器4、及び出口料金所機器3で定まる走行経路毎の料金テーブルである。さらに変動課金テーブルは、特定の走行経路、及び/又は車両5が料金所を通過する日時により決まる割引額を規定する料金テーブルである。さらに、記憶部12は、他エリアからの越境を含む入口から少なくとも自エリア内の出口料金所機器3までの経路、日時、及び/又は車種別の割引料金を記憶しても良い。また、記憶部12は、各機器を車両5が通過する際に、各機器についての情報及び各機器が車両5の車載器51から取得した車両5についての情報などを記憶する。ここで、記憶部12は、各機器から取得した情報を車両5の識別情報(カードID、車載器ID)などに対応づけて記憶する。
【0023】
機器通信部13は、外部の機器と通信するための通信インタフェースである。本実施形態において、機器通信部13は、エリア内の入口料金所機器2、出口料金所機器3、及び境界ゲート機器4と通信するための通信インタフェースである。なお、機器通信部13は、各種の機器に対応した複数種類の通信インタフェースを含むものであっても良い。
【0024】
エリア間通信部14は、他のエリアのエリアサーバ装置1と通信するための通信インタフェースである。例えば、第1エリアサーバ装置1Aのエリア間通信部14は、各エリアに対応して設置されたエリアサーバ装置1と通信するための通信インタフェースである。
【0025】
入口料金所機器2は、図2に示すように、制御部21、上位通信部22、車両通信部23、発進制御部24、及び路側表示部25などを有する。
【0026】
制御部21は、入口料金所機器2全体の制御及びデータ処理などを行う制御ユニットである。制御部21は、CPU、メモリ、及びインタフェースなどを有する。CPUは、プログラムを実行することにより各種の処理機能を実現するプロセッサである。CPUは、インタフェースなどを介して入口料金所機器2を構成する各部に接続される。メモリは、CPUが実行するプログラムを記憶する不揮発性メモリ、一時的にデータを保持する揮発性メモリ、および、設定データなどを保存する書換え可能な不揮発性メモリなどの各種のメモリを含む。
【0027】
上位通信部22は、上位装置としてのエリアサーバ装置1と通信するための通信インタフェースである。上位通信部22は、無線通信で他のエリアサーバ装置1と通信する通信インタフェースであっても良いし、通信回線を介してエリアサーバ装置1と通信する通信インタフェースであっても良い。そして、上位通信部22は、エリアサーバ装置1と各種情報を送受信する。
【0028】
車両通信部23は、車両5に搭載する車載器51と無線通信する通信インタフェースである。車両通信部23は、入口料金所機器2に接近する車両5(すなわち有料道路に入場しようとする車両5)に搭載された車載器51と無線通信する。車両通信部23は、車載器51と無線通信することにより、ETCカード52のカード番号であるカードID及び有効期限を含む契約情報を取得する。なお、車両通信部23は、車載器ID、車両5の車種を示す車種情報、ナンバープレートについての情報などの情報を取得しても良いのは勿論である。
【0029】
発進制御部24は、入口料金所からの車両5の有料道路への入場を制御する。発進制御部24は、入口料金所のレーンに設けた発進制御バーの開閉を制御する。例えば、発進制御部24は、車両5を一時停止させる場合あるいは車両5の通行(入場)を不可とする場合、発進制御バーを閉じて車両5の通行を物理的に阻止する。また、発進制御部24は、車両5の通行(入場)を許可する場合、発進制御バーを開放して車両5の通過を許可する。なお、入口料金所がフリーフロー(FF)料金所である場合又は渋滞緩和を優先する場合、入口料金所機器2は、発進制御部24に発進バーを設けないようにしても良い。
【0030】
路側表示部25は、入口料金所を通行する車両5に乗車する利用者に対して案内などを表示する。路側表示部25は、入口料金所のレーンを通行する車両5に向けて設置される。
【0031】
出口料金所機器3は、図2に示すように、制御部31、上位通信部32、車両通信部33、発進制御部34、及び路側表示部35などを有する。
【0032】
制御部31は、出口料金所機器3全体の制御及びデータ処理などを行う制御ユニットである。制御部31は、CPU、メモリ、及びインタフェースなどを有する。CPUは、プログラムを実行することにより各種の処理機能を実現するプロセッサである。CPUは、インタフェースなどを介して出口料金所機器3を構成する各部に接続される。メモリは、CPUが実行するプログラムを記憶する不揮発性メモリ、一時的にデータを保持する揮発性メモリ、および、設定データなどを保存する書換え可能な不揮発性メモリなどの各種のメモリを含む。
【0033】
上位通信部32は、上位装置としてのエリアサーバ装置1と通信するための通信インタフェースである。上位通信部32は、無線通信で他のエリアサーバ装置1と通信する通信インタフェースであっても良いし、通信回線を介してエリアサーバ装置1と通信する通信インタフェースであっても良い。そして、上位通信部32は、エリアサーバ装置1と各種情報を送受信する。
【0034】
車両通信部33は、車両5に搭載する車載器51と無線通信する通信インタフェースである。車両通信部33は、出口料金所機器3に接近する車両5(すなわち有料道路から退場しようとする車両5)に搭載された車載器51と無線通信する。車両通信部33は、車載器51と無線通信することにより、カードID及び有効期限を含む契約情報を取得する。なお、車両通信部23は、車載器ID、車両5の車種を示す車種情報、ナンバープレートについての情報などの情報を取得しても良いのは勿論である。
【0035】
発進制御部34は、出口料金所での車両5の退場を制御する。発進制御部34は、出口料金所のレーンに設けた発進制御バーの開閉を制御する。例えば、発進制御部34は、車両5を一時停止させる場合あるいは車両5の通行(退場)を不可とする場合、発進制御バーを閉じて車両5の通行を物理的に阻止する。また、発進制御部34は、車両5の通行を許可する場合、発進制御バーを開放して車両5の通行を許可する。なお、出口料金所がFF料金所である場合又は渋滞緩和を優先する場合、出口料金所機器3は、発進制御部34に発進バーを設けないようにしても良い。
【0036】
路側表示部35は、出口料金所を通行する車両5に乗車する利用者に対して案内などを表示する。路側表示部35は、出口料金所のレーンを通行する車両5に向けて設置される。
【0037】
境界ゲート機器4は、図2に示すように、制御部41、上位通信部42、及び車両通信部43などを有する。なお、図2に示す例では、エリア1内の第1境界ゲート機器4Aの構成の一例を図示しているが、第2エリアの第2境界ゲート機器4B及び第3エリアの第3境界ゲート機器4Cも第1境界ゲート機器4Aと同様の構成を有する。
【0038】
制御部41は、境界ゲート機器4全体の制御及びデータ処理などを行う制御ユニットである。制御部41は、CPU、メモリ、及びインタフェースなどを有する。CPUは、プログラムを実行することにより各種の処理機能を実現するプロセッサである。CPUは、インタフェースなどを介して境界ゲート機器4を構成する各部に接続される。メモリは、CPUが実行するプログラムを記憶する不揮発性メモリ、一時的にデータを保持する揮発性メモリ、及び設定データなどを保存する書換え可能な不揮発性メモリなどの各種のメモリを含む。
【0039】
上位通信部42は、境界ゲート機器4が設置されたエリアのエリアサーバ装置1と通信するための通信インタフェースである。上位通信部42は、無線通信でエリアサーバ装置1と通信する通信インタフェースであっても良いし、通信回線を介してエリアサーバ装置1と通信する通信インタフェースであっても良い。そして、上位通信部42は、エリアサーバ装置1と各種情報を送受信する。
【0040】
車両通信部43は、境界ゲート機器4を通過する車両5に搭載する車載器51と無線通信する通信インタフェースである。車両通信部43は、境界ゲート機器4が設置された地点を通過する車両に搭載された車載器51と無線通信する。車両通信部43は、車両5に搭載された車載器51と無線通信することにより、カードID及び有効期限を含む契約情報を取得する。なお、車両通信部23は、車載器ID、車両5の車種を示す車種情報、ナンバープレートについての情報などの情報を取得しても良いのは勿論である。また、車両通信部43は、取得した情報に加えて車両5が通過した日時及び境界ゲート機器4を識別する境界ゲート識別情報を上位通信部42に送信する。
【0041】
車両5は、車載器51を備え、車載器51にETCカード52が挿入される。車載器51は、車載器ID及び車両5の車種を示す車種情報、ナンバープレートについての記憶する。ETCカード52は、ETCカード52のカードID及び有効期限など契約情報を記憶する。車載器51は、入口料金所機器2の車両通信部23、出口料金所機器3の車両通信部33、及び境界ゲート機器4の車両通信部43との無線通信し、各機器と各種情報を送受信する。
【0042】
(動作)
図3は、オンライン照会によるETCシステムの一例を示す概念図である。図3に示される例は、車両5が第1エリアから入場し、第1エリアから第2エリアに越境した後、第2エリアで退場する場合について示した図である。なお、図3の例では、第1エリアは、第3エリア及び第2エリアとそれぞれ隣接している。
【0043】
図3に示すように、第1入口料金所機器2Aは、車両通信部23により、車両5の車載器51と通信することによりカードID及び有効期限についての情報を含む契約情報を取得し、上位通信部22により、契約情報を含む入場情報を第1エリアサーバ装置1Aへ通知する(301)。
【0044】
車両5が第1エリアから第2エリアに越境すると、第2エリアの第2境界ゲート機器4Bは、制御部41により車両5を検知する。さらに第2境界ゲート機器4Bは、車両通信部43による車両5との通信により、契約情報を取得し、上位通信部42により第2エリアサーバ装置1Bへ取得した契約情報を含む中継情報を送信する(302)。
【0045】
第2エリアサーバ装置1Bは、制御部11により、契約情報を参照して記憶部12に車両5の走行経路及び各機器を通過した日時などを示す車両情報が記憶されているかどうか判定する。しかしながら、第2エリアサーバ装置1Bは、記憶部12に車両5についての車両情報を記憶していない。つまり、記憶部12に車両5についての車両情報が未登録の場合に、第2エリアサーバ装置1Bは、エリア間通信部14により、第2境界ゲート機器4Bに隣接する第1エリアサーバ装置1Aに引継要求を送信し、第1エリアサーバ装置1Aから車両情報を含む引継応答を受信する(303)。
【0046】
車両5が出口料金所から退場する際、第2出口料金所機器3Bは、制御部31により、車両5を検知する。そして、第2出口料金所機器3Bは、車両通信部33によって車両5の車載器51と通信することにより、契約情報を取得し、上位通信部32により、契約情報を含む退場情報を第2エリアサーバ装置1Bへ通知する。第2エリアサーバ装置1Bは、制御部11により、退場情報、及び車両情報等に基づいて入口料金所から出口料金所までの走行経路を決定して通行料金を算出し、算出した通行料金についての情報を含む通行料金情報を第2出口料金所機器3Bへ送信する。その後、第2出口料金所機器3Bは、車両通信部33により、通行料金についての情報を含む利用明細情報を車両5の車載器51に送信した後、上位通信部32により、第2エリアサーバ装置1Bに記憶された車両情報を確定させるための支払確定情報を第2エリアサーバ装置1Bに送信する。
【0047】
図4は、図3で示した、車両5が第1エリアから入場し、第2エリアで退場する場合の第1エリア及び第2エリアの各機器の情報の送受信の一例を示すシーケンス図である。なお、図3で示される例は、車両5が通過する際、車両5の車載器51と第2境界ゲート機器4Bとの通信が良好である場合を示す。
【0048】
図4に示すように、車両5が入口料金所(第1入口料金所機器2A)に入場すると、第1入口料金所機器2Aは、制御部21により車両5を検知し、車両通信部23を介して車両5から契約情報などを取得する。ここで、契約情報は、例えば、ETCカード52のカード番号を表すカードID及び有効期限などである。また、第1入口料金所機器2Aは、車載器51のID及び車両5の車種情報などを取得可能であるのは勿論である。また、第1入口料金所機器2Aの制御部21は、車両5を検知すると、第1入口料金所機器2Aの制御部21は、発進制御部24及び路側表示部25を制御して車両5の入口料金所での通行を制御しても良い。第1入口料金所機器2Aは、上位通信部22により、取得した契約情報、入口料金所を識別する入口料金所番号、及び入口料金所機器2を車両5が通過した通過日時等を含む入口情報を含む入場情報を第1エリアサーバ装置1Aへ送信する(ST02)。
【0049】
第1エリアサーバ装置1Aは、機器通信部13により入場情報を受信し、制御部11により受信した入場情報を登録する(ST03)。第1エリアサーバ装置1Aは、制御部11により、受信した入場情報に含まれるカードID、有効期限、入口料金所番号、及び通過日時等を車両情報として記憶部12に登録する。また、記憶部12に登録された車両情報は、カードIDに関連づけられており、カードIDをキーにして検索可能である。なお、本実施形態では、カードIDに関連付けられているとしているが、これに限られず車両情報を一意に検索できる情報、例えば、車載器51のID等に関連づけられていても良い。
【0050】
その後、車両5は、第1エリアから第2エリアに越境し、第2エリアの境界に設置された第2境界ゲート機器4Bを通過する。
第2境界ゲート機器4Bは、制御部41により車両5を検知し、車両通信部43を介して車両5の車載器51と通信することにより、契約情報を取得する(ST04)。第2境界ゲート機器4Bは、制御部41により、取得した契約情報、第2境界ゲート機器4Bを識別する境界ゲート識別情報、及び車両5が第2境界ゲート機器4Bを通過した通過日時を含む中継情報を、上位通信部42を介して第2エリアサーバ装置1Bへ送信する(ST05)。
【0051】
第2エリアサーバ装置1Bは、エリア間通信部14により、引継要求を第1エリアサーバ装置1Aに送信する(ST06)。第2エリアサーバ装置1Bは、制御部11により、受信した中継情報に含まれるカードIDをキーにして記憶部12から車両情報を検索する。検索の結果、第2エリアサーバ装置1Bの制御部11は、車両情報が記憶部12に登録されていないと判定する。そこで、第2エリアサーバ装置1Bは、エリア間通信部14により、引継要求を車両5が越境元の第1エリアサーバ装置1Aに車両情報を要求する引継要求を送信する。ここで、引継要求は、車両5の車載器51に挿入されたETCカード52のカードIDを含む。
【0052】
第1エリアサーバ装置1Aは、エリア間通信部14により、受信した引継要求に応答して車両情報を含む引継応答を第2エリアサーバ装置1Bに送信する(ST07)。第1エリアサーバ装置1Aは、制御部11により、引継要求に含まれるカードIDをキーにして記憶部12から車両情報を検索する。第1エリアサーバ装置1Aは、検索の結果、記憶部12に車両情報が登録されているので、エリア間通信部14により、車両情報を含む引継応答を第2エリアサーバ装置1Bに送信する。また、第1エリアサーバ装置1Aは、車両情報を記憶部12に登録しておく必要がないので、記憶部12に登録された車両情報を削除する。なお、図4に示す例では第1エリアサーバ装置1Aが車両情報を有している例を示しているが、第1エリアサーバ装置1Aが車両情報を有していない場合、第1エリアサーバ装置1Aは、第2エリアサーバ装置1BにカードIDを含む否定応答を送信する。
【0053】
第2エリアサーバ装置1Bは、制御部11により、受信した引継応答に含まれる車両情報に中継情報を加えて新たに車両情報として記憶部12に記憶して越境登録する(ST08)。第2エリアサーバ装置1Bの制御部11は、受信した車両情報に、越境ゲート識別情報、車両5が第2境界ゲート機器4Bを通過した通過日時などの情報を車両情報に新たに加えて記憶部12に登録する。
【0054】
その後、車両5が第2エリアの第2出口料金所機器3Bを通過して有料道路から退場する。
第2出口料金所機器3Bは、制御部31により車両5を検知し、車両通信部33により車両5の車載器51と通信することにより、契約情報を取得する(ST09)。第2出口料金所機器3Bは、上位通信部32により、取得した契約情報、出口料金所を識別する出口料金所番号、及び第2出口料金所機器3Bを車両5が通過した通過日時を含む退場情報を第2エリアサーバ装置1Bへ送信する(ST10)。
【0055】
第2エリアサーバ装置1Bは、制御部11により、受信した退場情報及び記憶部12に記憶された車両情報に基づいて通行料金を算出する(ST11)。第2エリアサーバ装置1Bは、機器通信部13により退場情報を受信すると、制御部11により退場情報の契約情報に含まれるカードIDをキーにして記憶部12から車両情報を検索する。第2エリアサーバ装置1Bは、検索された車両情報に入口情報が含まれているので、制御部11により、車両情報に含まれる入口料金所番号、境界ゲート識別情報、及び退場情報に含まれる出口料金所番号に基づいて、有料道路の入口から出口まで車両5の走行経路を決定する。さらに第2エリアサーバ装置1Bの制御部11は、料金所機器及び境界ゲート機器4を車両5が通過した通過日時、走行経路、記憶部12に記憶された料金テーブルに基づいて通行料金を決定する。そして、第2エリアサーバ装置1Bは、機器通信部13により、通行料金についての情報及びカードIDを含む通行料金情報を第2出口料金所機器3Bに送信する(ST12)。
【0056】
第2出口料金所機器3Bは、上位通信部32により通行料金情報を受信し、車両通信部33により受信した料金所情報及び車両5が第2出口料金所機器3Bを通過した通過日時についての情報を含む利用明細情報を車両5の車載器51に送信する(ST13)。また、第2出口料金所機器3Bの制御部31は、通行料金情報に基づいて発進制御部34及び路側表示部35を制御して車両5の通行を制御する。さらに、第2出口料金所機器3Bは、上位通信部32により、カードID、料金処理が正常終了したことを示す情報、車両5が第2出口料金所機器3Bを通過した通過日時、及び通行料金についての情報を含む支払確定情報を第2エリアサーバ装置1Bに送信する(ST14)。支払確定情報を受信した第2エリアサーバ装置1Bの制御部11は、車両情報を確定する。なお、支払確定情報は、少なくともカードID及び料金処理が正常終了したことを示す情報を含んでいれば、その他の情報は、任意に含めることができる。
【0057】
なお、図4の例では示していないが、入口料金所機器2が車両5を検知できない又は車両5との通信に失敗し、車両情報に入口料金所番号等の入口情報が含まれていない場合が有る。この場合、第2エリアサーバ装置1Bは、機器通信部13により、車両5の走行経路を決定することができないので、通行料金不明であることを示す通行料金不明情報及びカードIDを第2出口料金所機器3Bへ通知する。上位通信部32により通行料金不明情報を受信すると、第2出口料金所機器3Bの制御部31は、発進制御部34を制御して車両5の通行を制御する。例えば、第2出口料金所機器3Bの制御部31は、発進制御部34を制御して一時停止させ、第2出口料金所に配備された係員によって通行料金処理を行っても良い。或いは、第2出口料金所機器3Bの制御部31は、車両5を第2出口料金所で一時停止させずに通過させても良い。この場合、後日、第2エリアサーバ装置1Bを管理する管理者等が車両5の利用者にいずれの入口料金所から入場したか問合せ、その問い合わせの結果及び車両情報に基づいてに走行経路及び通行料金を決定し、通行料金の決済を行うようにしても良い。また、第2出口料金所機器3Bは、上位通信部32により、カードID及び支払いが正常に行われなかったことを示す情報を含む支払確定情報を第2エリアサーバ装置1Bに送信する。第2エリアサーバ装置1Bは、制御部11により、受信した支払確定情報及び記憶部12に登録された車両情報に基づいて車両情報を確定する。
【0058】
図5は、オンライン照会によるETCシステムの一例を示す概念図である。図5に示される例は、車両5が第3エリアから入場し、第3エリアから第1エリアに越境し、第1エリアから第2エリアにさらに越境した後、第2エリアで退場する場合について示した図である。なお、図5の例では、第1エリアは、第3エリア及び第2エリアとそれぞれ隣接している。
【0059】
図5に示すように、第3入口料金所機器2Cは、車両通信部23により車両5の車載器51と通信することによりカードID及び有効期限についての情報を含む契約情報を取得し、上位通信部22により契約情報を含む入場情報を第1エリアサーバ装置1Aへ通知する(501)。
【0060】
車両5が第3エリアから第1エリアに越境すると、通常、第1エリアに配置されたの第1境界ゲート機器4Aの制御部41は、車両5を検知する。しかしながら、図5の例では、第1境界ゲート機器4Aは、車両通信部43による車載器通信エラーにより、車両5の契約情報を取得することができない。そして、車両5は、第1エリアから第2エリアに越境すると、第2エリアに配置された第2境界ゲート機器4Bは、制御部41により車両5を検知する。さらに第2境界ゲート機器4Bは、車両通信部43による車両5との通信により、契約情報を取得し、上位通信部42によって第2エリアサーバ装置1Bへ取得した契約情報を含む中継情報を送信する(502)。
【0061】
第2エリアサーバ装置1Bは、制御部11により、契約情報を参照して記憶部12に車両5の走行経路及び各機器を通過した日時などを示す車両情報が登録されているかどうか判定する。しかしながら、第2エリアサーバ装置1Bの記憶部12は、車両5についての情報を登録していない。すなわち第2エリアサーバ装置1Bの制御部11は、記憶部12に車両5についての情報が未登録である。この場合に、他のエリアサーバ装置に車両情報を要求する。即ち、第2エリアサーバ装置1Bは、エリア間通信部14により、制御部11からの車両情報の要求に基づき、第2境界ゲート機器4Bに隣接する第1エリアサーバ装置1Aに引継要求を送信する。しかしながら、第1エリアサーバ装置1Aは、車両情報を記憶していないので、エリア間通信部14により、否定応答を第2エリアサーバ装置1Bに送信する(503)。
【0062】
否定応答を受信した第2エリアサーバ装置1Bは、エリア間通信部14により、第2エリアサーバ装置1Bを除く全てのエリアのエリアサーバ装置1に引継要求をブロードキャストする(504)。なお、第1エリアサーバ装置1Aから既に否定応答を受信しているので、エリア間通信部14によって引継要求をブロードキャストする際、第1エリアサーバ装置1Aを除いても良い。引継要求を受信した各エリアサーバ装置1は、制御部11により、引継要求を参照して車両情報が記憶部12に記憶されているか判定する。図5に示す例の場合、第3エリアサーバ装置1Cが車両情報を有しているので、第3エリアサーバ装置1Cは、エリア間通信部14により、車両情報を含む引継応答を第2エリアサーバ装置1Bに送信する(505)。
【0063】
車両5が出口料金所から退場する際、第2出口料金所機器3Bは、制御部31により、車両5を検知する。そして、第2出口料金所機器3Bは、車両通信部33によって車両5の車載器51と通信することにより、契約情報を取得し、上位通信部32によって契約情報を含む退場情報を第2エリアサーバ装置1Bへ送信する(506)。第2エリアサーバ装置1Bは、制御部11により、契約情報、及び車両情報等に基づいて入口料金所から出口料金所までの走行経路を決定して通行料金を算出し、機器通信部13により、算出した通行料金についての情報を含む通行料金情報を第2出口料金所機器3Bへ送信する(507)。その後、第2出口料金所機器3Bは、車両通信部33により、通行料金についての情報を含む利用明細情報を車両5の車載器51に送信した後、上位通信部32により、第2エリアサーバ装置1Bに登録された車慮情報を確定させるための支払確定情報を第2エリアサーバ装置1Bに送信する(508)。
【0064】
図6は、図5で示した、本実施形態に係る車両5が第3エリアから入場し、第1エリアを通過して第2エリアで退場する場合の各エリアの機器の情報の送受信の一例を示すシーケンス図である。図6で示される例は、車両5が第1境界ゲート機器4Aを通過する際、車両5の車載器51と、第1境界ゲート機器4Aとの通信が不良である場合を示す。
【0065】
最初に、図6で示すST21~ST23の動作は、図4のST01~ST03と同じ動作であるため、ここでの説明を省略する。
その後、車両5は、第3エリアから第1エリアに越境し、第1エリアに設置された第1境界ゲート機器4Aを通過する。
第1境界ゲート機器4Aは、制御部41による車両5の検知に失敗する、又は車両5を検知して、車両通信部43によって車両5の車載器51と通信するが、契約情報の取得に失敗する(ST24)。第1境界ゲート機器4Aは、例えば、第1境界ゲート機器4Aの検知に不具合があり車両5の検知に失敗する場合、又は車両5が既定の速度を超過して第1境界ゲート機器4Aを通過して通信不良を引き起こす場合などにより、車両5の車載器51から契約情報を取得することができない。この場合、第1境界ゲート機器4Aは、車両5を認識することができないため、第1エリアサーバ装置1Aに契約情報を送信することができない。
【0066】
その後、車両5が第1エリアから第2のエリアに越境し、第2エリアに設置された第2境界ゲート機器4Bを通過する。
第2境界ゲート機器4Bは、制御部41により、車両5を検知し、車両5の車載器51と通信することにより、契約情報を取得する(ST25)。第2境界ゲート機器4Bは、上位通信部42により、取得した契約情報、第2境界ゲート機器4Bを識別する境界ゲート識別情報、及び第2境界ゲート機器4Bを車両5が通過した日時を含む中継情報を第2エリアサーバ装置1Bへ送信する(ST26)。
【0067】
第2エリアサーバ装置1Bは、機器通信部13により、中継情報を受信し、制御部11により、受信した中継情報に含まれるカードIDをキーにして記憶部12から車両情報を検索する。検索の結果、車両情報が記憶部12に登録されていない、すなわち車両情報が未登録であるので、エリア間通信部14は、制御部11からの車両情報の要求に基づき、引継要求を車両5が越境元の第1エリアサーバ装置1Aに車両情報を要求する引継要求を送信する(ST27)。
【0068】
第1エリアサーバ装置1Aは、記憶部12に車両情報が登録されていないため、エリア間通信部14により、第2エリアサーバ装置1Bに否定応答を送信する(ST28)。第1エリアサーバ装置1Aは、制御部11により、引継要求に含まれるカードIDをキーにして記憶部12から車両情報を検索する。しかしながら、第1境界ゲート機器4Aが車両5の検知に失敗しており、第1エリアサーバ装置1Aは、第1境界ゲート機器4Aから車両情報を受信していない。そのため、第1エリアサーバ装置1Aの制御部11は、記憶部12に車両情報が未登録である。そこで、第1エリアサーバ装置1Aは、エリア間通信部14により、カードIDを含む否定応答を第2エリアサーバ装置1Bに送信する。
【0069】
第2エリアサーバ装置1Bは、第1エリアサーバ装置1Aから否定応答を受信すると、エリア間通信部14により、第2エリアサーバ装置1Bを除く全てのエリアのエリアサーバ装置1に引継要求をブロードキャストする(ST29)。なお、第1エリアサーバ装置1Aから既に否定応答を受信しているので、第2エリアサーバ装置1Bがエリア間通信部14により、引継要求をブロードキャストする際、第1エリアサーバ装置1Aも除いても良い。図6では、簡単化のため、第3エリアサーバ装置1Cへの引継要求のみを示しているが、実際は、第2エリアサーバ装置1Bは、エリア間通信部14により、第1エリアサーバ装置1Aを除く全てのエリアサーバ装置1へ引継要求をブロードキャストする。
【0070】
第3エリアサーバ装置1Cは、エリア間通信部14により、引継要求を受信し、受信した引継要求に応答して車両情報を含む引継応答を第2エリアサーバ装置1Bに送信する(ST30)。第3エリアサーバ装置1Cは、制御部11により、引継要求に含まれるカードIDをキーにして記憶部12から車両情報を検索する。第3エリアサーバ装置1Cは検索の結果、記憶部12に車両情報が登録されているので、エリア間通信部14により、車両情報を含む引継応答を第2エリアサーバ装置1Bに送信する。また、第3エリアサーバ装置1Cは、車両情報を記憶部12に登録しておく必要がないので、記憶部12に登録された車両情報を削除する。引継要求を受信した第3エリアサーバ装置1Cを除く他のエリアサーバ装置1は、制御部11によりカードIDをキーにして記憶部12から車両情報を検索するが、車両情報が記憶部12に未登録であるので、エリア間通信部14により否定応答を第2エリアサーバ装置1Bに送信する。
【0071】
第2エリアサーバ装置1Bは、制御部11により、受信した引継応答に含まれる車両情報に中継情報を加えて新たに車両情報として記憶部12に登録して越境登録する(ST31)。第2エリアサーバ装置1Bは、制御部11により、受信した車両情報に、越境ゲート識別情報、車両5が第2境界ゲート機器4Bを通過した通過日時などの情報を新たに加えて記憶する。
【0072】
その後、車両5が第2エリアの第2出口料金所機器3Bを通過して有料道路から退場する。
図6で示すST32~ST37の動作は、図4のST09~ST14と同じ動作であるため、ここでの説明を省略する。
【0073】
なお、図6の例では示していないが、第2境界ゲートでも車両5を検知できない又は車両5との通信に失敗する場合が有る。この場合、第2エリアサーバ装置1Bは、機器通信部13により第2出口料金所機器3Bから退場情報を受信した際、記憶部12に車両情報が未登録である。そこで、第2エリアサーバ装置1Bは、エリア間通信部14により、第2エリアサーバ装置1Bを除く全てのエリアサーバ装置1に引継要求をブロードキャストする。ここで、第2エリアサーバ装置1B、車両5が第2出口料金所機器3Bを通過する間に通行料金を決定し、第2出口料金所機器3Bに通行料金情報を送信する必要がある。そのため、第2エリアサーバ装置1Bが第2エリアに隣接するエリアサーバ装置1に引継要求を送信し、それらの隣接するエリアサーバ装置1から否定応答を受信した後、その他のエリアサーバ装置1に引継要求をブロードキャストするのでは車両5が第2出口料金所機器3Bを通過するまでに処理が終わらない可能性が有る。そこで、退場情報を受信した際に、第2エリアサーバ装置1Bが車両情報を有していない場合、第2エリアサーバ装置1Bは、第2エリアサーバ装置1Bを除く全てのエリアのエリアサーバ装置1に引継要求をブロードキャストする。その後、第2エリアサーバ装置1Bは、制御部11により、引継応答を受信できるかどうか判定する。第2エリアサーバ装置1Bは、エリア間通信部14により、全てのエリアサーバ装置1のうちの少なく1つから引継応答を受信できた場合、制御部11により、受信した引継応答に含まれる車両情報及び退場情報に基づいて車両5の走行経路を決定し、通行料金を算出する。その後、第2エリアサーバ装置1Bは、図6で示したST35~ST37と同じ動作を行うので、ここでの説明を省略する。
【0074】
一方、第2エリアサーバ装置1Bが引継応答を受信しない場合、第2エリアサーバ装置1Bは、車両5の走行経路を決定することができない。そこで、第2エリアサーバ装置1Bは、機器通信部13により、通行料金不明であることを示す通行料金不明情報及びカードIDを第2出口料金所機器3Bへ通知する。第2出口料金所機器3Bの制御部31は、通行料金不明情報を受信すると、発進制御部24を制御して車両5の通行を一時停止させ、第2出口料金所に配備された係員によって通行料金処理を行っても良い。或いは、第2出口料金所機器3Bの制御部31は、車両5をそのまま通過させても良い。この場合、後日、第2エリアサーバ装置1Bを管理する管理者等が車両5の利用者にいずれの入口料金所から入場したか問合せ、その問い合わせの結果及び車両情報に基づいてに走行経路及び通行料金を決定し、通行料金の決済を行うようにしても良い。また、第2出口料金所機器3Bは、上位通信部32により、カードID及び支払いが正常に行われなかったことを示す情報を含む支払確定情報を第2エリアサーバ装置1Bに送信する。第2エリアサーバ装置1Bは、受信した支払確定情報を車両情報として登録する。
【0075】
図7乃至図9は、エリアサーバ装置1の処理動作の一例を示したフローチャートである。処理は、入口料金所機器2、出口料金所機器3、又は境界ゲート機器4のいずれかから情報を受信した時に開始する。
【0076】
エリアサーバ装置1は、制御部11により、受信した情報が入口料金所機器2から送信された入場情報であるかどうか判定する(701)。受信した情報が入口料金所機器2から送信された入場情報である場合、制御部11は、受信した入場情報に含まれる契約情報及び入口情報を車両情報として記憶部12に登録する(702)。なお、図8では、車両情報登録(入場)と記載している。
【0077】
受信した情報が入口料金所機器2から送信された入場情報でない場合、エリアサーバ装置1は、制御部11により、受信した情報が境界ゲートから送信された中継情報であるかどうかを判定する(703)。受信した情報が中継情報であると、エリアサーバ装置1は、エリア間通信部14により、越境元のエリアサーバ装置1に隣接するエリアサーバ装置1へ引継要求を送信する(704)。引継要求を送信した後、エリアサーバ装置1は、制御部11により、エリアサーバ装置1に隣接するエリアサーバ装置1から引継応答を受信したかどうか判定する(705)。引継応答を受信した場合、エリアサーバ装置1の制御部11は、受信した車両情報に、越境ゲート識別情報、車両5が境界ゲート機器4を通過した通過日時などの情報を新たに加えて記憶部12に登録する(706)。なお、図8では、車両情報登録(越境)と記載している。
【0078】
引継応答を受信しない場合、エリアサーバ装置1は、エリア間通信部14により、引継要求を送信した隣接エリアを除く全てのエリアのエリアサーバ装置1に引継要求をブロードキャストする(707)。引継要求を送信した後、エリアサーバ装置1は、制御部11により、全てのエリアサーバ装置1のうち少なくとも1つのエリアサーバ装置1から引継応答を受信したかどうか判定する(708)。引継応答を受信した場合、処理は、706へ進む。一方、引継応答を受信しない場合、エリアサーバ装置1の制御部11は、車両5がいずれの入口料金所より入場したか不明である旨の情報、境界ゲート機器4より受信した中継情報に含まれる契約情報、越境ゲート識別情報、及び車両5が境界ゲート機器4を通過した通過日時などの情報を車両情報として記憶部12に登録する(709)。なお、図8では、車両情報登録(入口不明)と記載している。
【0079】
703で、エリアサーバ装置1が受信した情報が境界ゲートから送信された中継情報でないと判定した場合、エリアサーバ装置1は、制御部11により、受信した情報が出口料金所機器3から送信された退場情報であるかどうかを判定する(710)。
【0080】
受信した情報が退場情報である場合、エリアサーバ装置1は、制御部11により、退場情報に含まれるカードIDをキーにして記憶部12から車両情報を検索する(711)。検索の結果、エリアサーバ装置1の制御部11は、記憶部12に車両情報が有るかどうか判定する(712)。記憶部12に車両情報が登録されている場合、エリアサーバ装置1は、制御部11により、車両情報に入口情報が含まれるかどうか、すなわち入口不明かどうか判定する(713)。車両情報に入口情報が含まれる場合、すなわち、車両5が入場した入口料金所が明確である場合、エリアサーバ装置1は、制御部11により、検索された車両情報及び退場情報に基づいて、有料道路の入口から出口までの車両5の走行経路を決定する。さらにエリアサーバ装置1の制御部11は、料金所機器及び境界ゲート機器4を車両5が通過した通過日時、走行経路、記憶部12に記憶された料金テーブルに基づいて通行料金を決定する。そして、エリアサーバ装置1は、機器通信部13により、通行料金についての情報を含む通行料金情報を出口料金所機器3に送信する(714)。そして、エリアサーバ装置1の制御部11は、退場情報、決定した通行料金についての情報を記憶部12に記憶された車両情報に新たに加えた車両情報を記憶部12に登録する(715)。なお、図8では、車両情報登録(出場中)と記載している。
【0081】
また、通行料金情報を受信した出口料金所機器3は、車両通信部33により、受信した通行料金情報及び車両5が出口料金所機器3を通過した通過日時についての情報を含む利用明細情報を車両5の車載器51に送信する。車載器51は、これらの情報をETCカード52に書き込む。
【0082】
713で、エリアサーバ装置1が車両情報に入口情報が含まれないと判定した場合、エリアサーバ装置1は、機器通信部13により、車両5の走行経路を決定することができないため、通行料金不明であることを示す通行料金不明情報及びカードIDを出口料金所機器3へ通知する(716)。そして、エリアサーバ装置1は、退場情報を記憶部12に登録された車両情報に新たに加えた車両情報を記憶部12に登録する(717)。なお、図8では、車両情報登録(入口不明)と記載している。
【0083】
出口料金所機器3の制御部31は、通行料金不明情報を受信すると、出口料金所機器3の制御部21は、発進制御部24を制御して車両5の通行を一時停止させ、出口料金所に配備された係員によって通行料金処理を行っても良い。或いは、出口料金所機器3は、車両5を出口料金所で一時停止させずに通過させても良い。この場合、後日、エリアサーバ装置1を管理する管理者等が車両5の利用者にいずれの入口料金所から入場したか問合せ、その問い合わせの結果及び車両情報に基づいてに走行経路及び通行料金を決定し、通行料金の決済を行うようにしても良い。
【0084】
712で、エリアサーバ装置1が記憶部12に車両情報が登録されていないと判定した場合、エリアサーバ装置1は、エリア間通信部14により、全エリアのエリアサーバ装置1に引継要求を送信する(718)。エリアサーバ装置1は、制御部11により、全エリアのエリアサーバ装置1のうちの少なくとも1つから引継ぎ応答を受信するかどうか判定する(719)。エリアサーバ装置1が引継応答を受信した場合、処理は、714及び715で記載した処理を行うので、ここでの説明を省略する。一方、エリアサーバ装置1が引継応答を受信しない場合、エリアサーバ装置1は、車両5の走行経路を決定することができないので、機器通信部13により、通行料金不明であることを示す通行料金不明情報及びカードIDを出口料金所機器3へ通知する。そして、受信した退場情報を車両識別情報として記憶部12に登録する(721)。なお、図8では、車両情報登録(入口不明)と記載している。
【0085】
710で、エリアサーバ装置1が受信した情報が出口料金所機器3から送信された退場情報でないと判定した場合、エリアサーバ装置1は、制御部11により、受信した情報が出口料金所機器3から送信された支払確定情報であるかどうかを判定する(721)。受信した情報が支払確定情報である場合、エリアサーバ装置1は、受信した支払確定情報及び記憶部12に登録された車両情報に基づいて車両情報を確定する(722)。
【0086】
722で、受信した情報が支払確定情報でない場合、エリアサーバ装置1は、制御部11により、受信した情報が他エリアのエリアサーバ装置1からの引継要求であるかどうか判定する(724)。受信した情報が引継要求でない場合、処理は終了する、一方、受信した情報が引継要求である場合、エリアサーバ装置1の制御部11は、引継要求に含まれるカードIDをキーにして記憶部12から車両情報を検索する(725)。そして、エリアサーバ装置1の制御部11は、記憶部12に車両情報が登録されているかどうか判定する(726)。車両情報が登録されている場合、つまり、車両情報が登録されている場合、エリアサーバ装置1は、エリア間通信部14により、車両情報を含む引継応答を引継要求を送信した他エリアのエリアサーバ装置1に送信する(727)。その後、エリアサーバ装置1は、記憶部12に登録された車両情報が不要であるので、車両情報を記憶部12から削除する(728)。一方、車両情報が登録されていない場合、エリアサーバ装置1は、カードIDを含む否定応答を引継要求を送信した他エリアのエリアサーバ装置1に送信する(729)。
【0087】
(作用効果)
以上説明した実施形態によれば、日本全国を対象とするような広域に対して、オンライン照会によるETCシステムを実現することができる。また、出口料金所機器3から車両5が退場する際、出口料金所機器3が配置されたエリアのエリアサーバ装置1は、車両情報を有しているかどうか判定する。もし、エリアサーバ装置1が車両情報を有していない場合、全てのエリアサーバ装置1に引継要求を送信することにより、より確実に車両情報を取得することが可能である。
【符号の説明】
【0088】
1…エリアサーバ装置
1A…第1エリアサーバ装置
1B…第2エリアサーバ装置
1C…第3エリアサーバ装置
2…入口料金所機器
2A…第1入口料金所機器
2B…第2入口料金所機器
2C…第3入口料金所機器
3…出口料金所機器
3A…第1出口料金所機器
3B…第2出口料金所機器
3C…第3出口料金所機器
4…境界ゲート機器
4A…第1境界ゲート機器
4B…第2境界ゲート機器
4C…第3境界ゲート機器
5…車両
51…車載器
52…ETCカード
11…制御部
12…記憶部
13…機器通信部
14…エリア間通信部
21…制御部
22…上位通信部
23…車両通信部
24…発進制御部
25…路側表示部
31…制御部
32…上位通信部
33…車両通信部
34…発進制御部
35…路側表示部
41…制御部
42…上位通信部
43…車両通信部


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9