(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/14 20060101AFI20241202BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241202BHJP
G03G 15/20 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
G03G21/14
G03G15/00 303
G03G15/20 555
(21)【出願番号】P 2021005527
(22)【出願日】2021-01-18
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧野 大輔
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-150017(JP,A)
【文献】特開2006-195422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/14
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成しながらプロセス速度に応じてシートを搬送する画像形成部と、
前記画像形成部に搬送されるシートの種別を検知する検知手段と、
ユーザによるシートの種別の情報を受け付ける受付手段と、
前記検知手段により検知されたシートの種別に応じて前記画像形成部を制御する第1モードと、前記受付手段により受け付けられたシートの種別に応じて前記画像形成部を制御する第2モードと、を実行可能な制御部と、を備え、
前記制御部は、前記受付手段によって受け付けられたシートの種別に対応する前記プロセス速度が、前記検知手段によって検知されたシートの種別に対応する前記プロセス速度よりも速い場合に、前記第2モードで前記画像形成部を制御する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1モードで前記画像形成部を制御する場合、前記検知手段によって検知されたシートの性質に応じて画像を形成する制御内容を設定し、
前記第2モードで前記画像形成部を制御する場合、前記受付手段によって受け付けられたシートの種別に対応する制御内容を設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成部は、
シートに画像を転写する転写部と、
シートに転写された画像を定着温度で加熱して定着する定着部と、を有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検知手段は、シートの表面粗さを検知し、
前記制御部は、前記第1モードで前記画像形成部を制御する場合に、前記検知手段が検知したシートの表面粗さに基づき前記定着温度を設定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記検知手段は、シートの単位面積当たりの重さを検知し、
前記制御部は、前記第1モードで前記画像形成部を制御する場合に、前記検知手段が検知したシートの単位面積当たりの重さに基づき前記定着温度を設定する、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2モードで前記画像形成部を制御する場合に、前記受付手段によって受け付けられたシートの種別に対応する前記定着温度を設定する、
ことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、
シートの種別に応じて複数種類の温度からいずれか1つの温度を前記定着温度として設定可能であり、
前記第2モードで前記画像形成部を制御する場合に、前記受付手段によって受け付けられたシートの種別に対応する前記複数種類の温度から最も高温の温度を前記定着温度として設定する、
ことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第1モードで前記画像形成部を制御する場合に、シートの種別に対応した前記プロセス速度を設定し、
前記受付手段によって受け付けられたシートの種別に対応した前記プロセス速度が
、設定可能な前記プロセス速度のうち最大の速度である第1速度よりも遅い場合に、前記第1モードで前記画像形成部を制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
シートの種別には、シートの厚さに係る情報が含まれ、
前記制御部が前記プロセス速度として前記第1速度に設定する場合には、前記受付手段によって受け付けられたシートの種別に対応したシートの厚さが第1の厚さであり、
前記制御部が前記プロセス速度として前記第1速度よりも遅い第2速度に設定する場合には、前記受付手段によって受け付けられたシートの種別に対応したシートの厚さが前記第1の厚さよりも厚い第2の厚さである、
ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記検知手段によって検知されたシートの種別に対応する前記プロセス速度が、前記受付手段によって受け付けられたシートの種別に対応する前記プロセス速度よりも速い場合に、前記第1モードで前記画像形成部を制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
シートに画像を形成しながらプロセス速度に応じてシートを搬送する画像形成部と、
前記画像形成部に搬送されるシートの種別を検知する検知手段と、
ユーザによるシートの種別の情報を受け付ける受付手段と、
前記プロセス速度を設定可能な制御部と、を備え、
前記制御部は、前記受付手段によって受け付けられたシートの種別に対応する前記プロセス速度が、前記検知手段によって検知されたシートの種別に対応する前記プロセス速度よりも速い場合に、前記受付手段によって受け付けられたシートの種別に対応する前記プロセス速度に設定する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、画像を形成するシートの種別について、装置に設けられたセンサによって検知して検知した種別に対応する推奨される設定で印字動作を行う構成が知られている。また、画像形成装置においては、画像を形成するシートの種別について、ユーザがシートの種別を選択することで、ユーザが選択した種別に対応する設定で印字動作を行う構成が知られている。ユーザがシートの種別を選択可能な場合においては、ユーザの選択と検知されたシートの種別とが異なる場合に、検知されたシートの種別に対応する設定で画像を形成する構成が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置においては、ユーザが選択したシートの種別が検知されたシートの種別よりも高い生産性で画像を形成可能な種別であった場合にも、検知されたシートの種別に対応する生産性で画像を形成する構成となっている。このため、特許文献1に記載の画像形成装置においては、ユーザが要望する生産性でシートに画像を形成することができない場合があり、ユーザの要求に十分に応えられない虞があった。
【0005】
本発明は、検知されたシートの種別に応じて良好な画像をシートに形成でき、かつユーザの要求にも十分に応えることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シートに画像を形成しながらプロセス速度に応じてシートを搬送する画像形成部と、前記画像形成部に搬送されるシートの種別を検知する検知手段と、ユーザによるシートの種別の情報を受け付ける受付手段と、前記検知手段により検知されたシートの種別に応じて前記画像形成部を制御する第1モードと、前記受付手段により受け付けられたシートの種別に応じて前記画像形成部を制御する第2モードと、を実行可能な制御部と、を備え、前記制御部は、前記受付手段によって受け付けられたシートの種別に対応する前記プロセス速度が、前記検知手段によって検知されたシートの種別に対応する前記プロセス速度よりも速い場合に、前記第2モードで前記画像形成部を制御する、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、シートに画像を形成しながらプロセス速度に応じてシートを搬送する画像形成部と、前記画像形成部に搬送されるシートの種別を検知する検知手段と、ユーザによるシートの種別の情報を受け付ける受付手段と、前記プロセス速度を設定可能な制御部と、を備え、前記制御部は、前記受付手段によって受け付けられたシートの種別に対応する前記プロセス速度が、前記検知手段によって検知されたシートの種別に対応する前記プロセス速度よりも速い場合に、前記受付手段によって受け付けられたシートの種別に対応する前記プロセス速度に設定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、検知されたシートの種別に応じて良好な画像をシートに形成でき、かつユーザの要求にも十分に応えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る画像形成装置の概略図である。
【
図2】第1の実施形態に係る定着装置の概略断面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る重さ検知部の概略構成図である。
【
図4】(a)は、第1の実施形態に係る表面性検知部の斜視図、(b)は、表面性検知部の断面図である。
【
図5】第1の実施形態に係る表面性検知部の上面図である。
【
図6】第1の実施形態に係る画像形成装置の制御ブロック図である。
【
図7】第1の実施形態に係る定着装置の制御ブロック図である。
【
図8】第1の実施形態に係る入力されたシートの種別に対応する搬送速度と定着温度とを示す図である。
【
図9】第1の実施形態に係る検知されたシートの種別に対応する定着温度を示す図である。
【
図10】第1の実施形態に係るCPUが第1モードで画像形成部を制御する場合と、第2モードで画像形成部を制御する場合と、を判定するために実行する制御処理を示すフローチャートである。
【
図11】第2の実施形態に係るCPUが第1モードで画像形成部を制御する場合と、第2モードで画像形成部を制御する場合と、を判定するために実行する制御処理を示すフローチャートである。
【
図12】第3の実施形態に係るCPUが第1モードで画像形成部を制御する場合と、第2モードで画像形成部を制御する場合と、を判定するために実行する制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
以下、本発明に係る実施形態において、
図1~
図10を参照しながら詳細に説明する。まず、第1の実施形態の画像形成装置の概略構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、電子写真方式の画像形成装置1の正面図である。なお、
図1に示す画像形成装置1は、多色画像をシートに形成可能な構成であるが、単色画像を形成する画像形成装置1であってもよい。
【0011】
[画像形成装置]
第1の実施形態の画像形成装置1は、タンデム式のカラーレーザビームプリンタであり、それぞれ色の異なる複数の現像剤の像を重ね合わせることで多色画像を出力する。現像剤は、例えば、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)といった4色のトナーである。転写材カセット2は、転写材としてのシートSを収納する。シートSは、転写材カセット2からピックアップローラ4によりピックアップされ、給紙ローラ5、レジストローラ6により搬送される。
【0012】
レジストローラ6によって搬送されたシートSは、シートSの表面粗さ、単位面積当たりの質量(以下、「単位面積当たりの重さ」と記載)を検知することでシートSの種別を検知する検知手段としての種別検知装置7に搬送される。種別検知装置7は、シートSの単位面積当たりの重さを検知する重さ検知部30と、シートSの表面性として表面粗さを検知する表面性検知部40と、を有する。種別検知装置7の詳細については、後述する。
【0013】
そして、シートSは、種別検知装置7から画像形成部100に搬送され、画像形成部100によって画像が形成及び定着される。画像形成部100は、シートSに画像を転写する転写部10と、シートSに転写された画像を定着する定着部としての定着装置20と、を有する。
【0014】
転写部10は、静電潜像やトナー像を担持する像担持体としての感光ドラム11と、感光ドラム11の表面を一様に所定の電位に帯電させる帯電ユニットとしての帯電ローラ12と、を有する。また、転写部10は、画像信号に応じて感光ドラム11の表面に光を照射し、感光ドラム11に静電潜像を形成する露光装置及び光学走査装置としてのレーザスキャナ13を有する。また、転写部10は、感光ドラム11上に形成された静電潜像をトナーによって現像して可視化する現像ローラ15を有するプロセスカートリッジ14を有する。また、転写部10は、感光ドラム11上に形成されたトナー像を中間転写体としての中間転写ベルト17に一次転写する一次転写ローラ16と、中間転写ベルト17を回転駆動させる駆動ローラ18と、を有する。また、転写部10は、中間転写ベルト17上に形成されたトナー像をシートSに転写する二次転写ローラ19と、を有する。
【0015】
転写部10では、駆動ローラ18と二次転写ローラ19との間に中間転写ベルト17を挟んで形成されるニップ部N1において、シートSが挟持されることで、中間転写ベルト17上に形成されたトナー像がシートSに転写される。また、転写部10では、ニップ部N1においてシートSが挟持され、定着装置20に向けて搬送される。
【0016】
定着装置20は、シートSに転写され未定着のトナー像を加熱及び加圧してシートSにトナー像を溶融及び固着させて画像を定着させる。定着装置20で画像が定着されたシートSは、排出ローラ対28によって不図示の排出トレイに排出される。
【0017】
[定着装置]
図2は、定着装置20の概略断面図である。第1の実施形態の定着装置20は、フィルム加熱方式の定着装置となっている。なお、定着装置20は、フィルム加熱方式に限らず、熱ローラ方式や電磁誘導加熱方式などの、その他の構成の定着装置であってもよい。また、以下の記載において、シートSの搬送方向と直交する方向を定着装置20の長手方向、シートSの搬送方向と平行な方向を定着装置20の短手方向とも記載し、定着装置20の長手方向の寸法を長さ、定着装置20の短手方向の寸法を幅とも記載する。
【0018】
定着装置20は、筒状の定着フィルム61と、定着フィルム61に向けて付勢された加圧ローラ63と、を有する。定着フィルム61は、熱容量が小さく、耐熱性及び熱可塑性を有する厚み30μmの薄層SUSから構成された基材上に、耐熱性を有する厚さ300μmのシリコーンゴム層の弾性層をコーティングした構成となっている。なお、定着フィルム61の基材を構成する材料には、ポリイミド、ポリアミドイミド等の樹脂フィルムや、薄膜金属スリーブを使用してもよい。また、定着フィルム61の弾性層の外周面上には、PFA、PTFE、FEP等のフッ素樹脂から構成された耐熱離型層が形成されていてもよい。
【0019】
定着フィルム61内には、定着フィルム61の内面と当接し定着フィルム61が従動回転する際に定着フィルム61の内面と摺動するガイド部材62が配置されている。ガイド部材62は、長手方向の断面形状が略半円形の樋型に形成されている。第1の実施形態のガイド部材62は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)を成型したものとなっている。なお、ガイド部材62を構成する材料は、PPSに限らず、後述する定着ニップ部N2の反対方向、つまり定着フィルム61の内方への放熱を防ぐために、断熱性に優れた材料から構成されることが好ましい。具体的には、液晶ポリマーや、フェノール樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等から構成されていてもよい。
【0020】
ガイド部材62の下面には、溝部62aが形成されており、溝部62aに発熱部材としてのヒータ60が支持されている。ヒータ60は、長手方向に延在するヒータ基板60aと、ヒータ基板60aの長手方向に沿って配設された発熱体としての通電発熱抵抗体60bと、通電発熱抵抗体60bを被覆する保護ガラス層60cと、を有している。また、ヒータ60の近傍には、シートSを定着ニップ部N2に通紙させた際にシートSが通過する領域(通紙領域)と上下方向で重複する位置に、ヒータ60の温度を検知する温度センサとしての温度検知部材64が配設されている。
【0021】
第1の実施形態のヒータ基板60aは、材料としてAl2O3を用いた薄板状のヒータ基板から構成されている。なお、ヒータ基板60aを構成する材料としては、AlNを用いていてもよい。
【0022】
通電発熱抵抗体60bは、Ag/Pdを主成分とした通電発熱抵抗体ペーストをヒータ基板60aの表面上にスクリーン印刷等でパターン形成されることで配設されている。通電発熱抵抗体60bは、ヒータ基板60aの長手方向両端部の内側に通電発熱抵抗体60bと一体に形成された給電用電極パターン(不図示)と電気回路(不図示)を構成している。通電発熱抵抗体60bは、給電用電極パターンを介して給電制御回路(不図示)から通電されることで発熱する。
【0023】
保護ガラス層60cは、定着フィルム61に対する通電発熱抵抗体60bの耐摩耗性を確保するために通電発熱抵抗体60bにコーティングされるガラスコーティング層である。ヒータ60は、保護ガラス層60cが定着フィルム61と対向する向きになるようにガイド部材62に支持される。
【0024】
加圧ローラ63は、定着フィルム61の下方で定着フィルム61と平行に配設されており、金属製の芯金63a上に弾性層63bを設け、弾性層63b上に離型層63cを設けた多層構造となっている。
【0025】
芯金63aは、硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材(SUM)から構成されている。なお、芯金63aには、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウムなどの金属材料などを用いることができる。弾性層63bは、シリコーンゴムから構成されている。なお、弾性層63bには、シリコーン系のソリッドゴム、スポンジゴム、あるいは弾性気泡ゴムなどを用いることができる。離型層63cは、PFAチューブから構成されている。なお、離型層63cには、フッ素樹脂材料を用いることができる。
【0026】
加圧ローラ63は、芯金63aの長手方向両端部が軸受(不図示)を介して定着装置20のフレーム(不図示)に回転自在に支持されている。加圧ローラ63は、芯金63aを回転自在に支持する長手方向両端部の軸受が不図示の加圧機構によって定着フィルム61に向けて所定の加圧力で付勢される。これにより、定着装置20では、ヒータ60と加圧ローラ63との間に定着フィルム61を挟んで所定幅の定着ニップ部N2が形成される。定着装置20では、定着ニップ部N2に未定着のトナー像を担持するシートSが通紙(導入)され、加熱及び加圧されることでシートSに画像が定着される。
【0027】
また、加圧ローラ63は、定着モータM1の動力がギア又はベルトによって駆動連結された芯金63aに伝達されることで、加圧ローラ63が駆動回転され、加圧ローラ63によって定着フィルム61が従動回転される。このため、加圧ローラ63は、シートSを搬送する場合におけるバックアップ部材としても機能している。
【0028】
温度検知部材64は、温度によって抵抗値が変化する半導体などの温度検知素子を有し、不図示の電気回路によってその抵抗値の変化をモニタすることで、ヒータ60の温度を検知可能に構成されている。また、温度検知部材64は、通紙領域と上下方向で重複する位置に配設されることで、画像を形成可能な最大幅のシートSを定着ニップ部N2に通紙させた場合にも、ヒータ60の温度が良好な定着性を得られる温度となるように、ヒータ60の温度を検知できる。
【0029】
[種別検知装置]
第1の実施形態の画像形成装置1は、種別検知装置7として、シートSの単位面積当たりの重さを検知する重さ検知部30と、シートSの表面粗さを検知する表面性検知部40と、を備えている。
図1に示すように、画像形成装置1では、表面性検知部40よりもシートSの搬送方向下流側に重さ検知部30が配設されている。なお、重さ検知部30と表面性検知部40とが配設される位置は、重さ検知部30が表面性検知部40よりも搬送方向上流側に配設されていてもよい。
【0030】
[重さ検知部]
図3は、重さ検知部30の概略構成図である。第1の実施形態の重さ検知部30では、シートSの搬送経路を挟むように送信部31と受信部32とが対向して配置されている。送信部31と受信部32とは、それぞれ機械的変位と電気信号との相互変換素子である圧電素子(ピエゾ素子)及び電極端子から構成されている。第1の実施形態の重さ検知部30では、32kHzの周波数特定を持つ超音波が送信部31及び受信部32によって送受信される。ここで、送信部31及び受信部32によって送受信される超音波の周波数は、予め設定されるものであり、送信部31及び受信部32の構成と、検知精度と、等に応じて適切な範囲の周波数を選択するように構成されていればよい。
【0031】
重さ検知部30では、送信部31の電極端子に所定周波数のパルス電圧が入力されることで圧電素子が発振して超音波が発生する。し、発生した超音波が空気中を伝播してシートSまで到達することで、超音波によってシートSが振動する。シートSが振動することで、重さ検知部30では、送信部31から発生した超音波がシートSを介して受信部32に伝播する。受信部32は、受信した超音波の振幅に応じた電圧が圧電素子から出力され、出力された電圧によってCPU22(
図6参照)にシートSの単位面積当たりの重さが判定される。
【0032】
重さ検知部30では、シートSが送信部31と受信部32との間を通過する際に、送信部31から超音波を照射し、受信部32で超音波を受信する。受信部32で受信された超音波のデータは、エンジンI/F部27(
図6参照)を通じて、シート判断処理部26(
図6参照)に送られることで、CPU22(
図6参照)の指示によって単位面積当たりの重さ(g/m
2)のデータに変換される。
【0033】
[表面性検知部]
図4(a)は、表面性検知部40の斜視図、
図4(b)は、表面性検知部40の断面図である。表面性検知部40は、シートSの表面に光を照射するLED41と、LEDがシートSに照射した光の反射成分を結像する結像レンズ42と、結像レンズ42によって結像された光を撮像するCMOSラインセンサ43と、を有する。また、表面性検知部40は、LED41及び結像レンズ42を保護する保護部材47と、一様な反射率を有し、LED41が光を照射可能な領域の両端に配設された内面基準板46a,46bと、を有している。
【0034】
LED41は、シートSの表面に対して約10°の角度で光を照射し、シートSの表面粗さに応じた明暗を発生させる。表面性検知部40では、シートSの表面粗さに応じた明暗(影)が結像レンズ42によって結像され、CMOSラインセンサ43によって撮像される。
【0035】
図4(b)に示すように、結像レンズ42及びCMOSラインセンサ43は、シートSの搬送方向と直交する方向に配設されている。これにより、表面性検知部40は、LED41から照射された光によって、シートSの表面から反射する反射光と、内面基準板46a,46bから反射する反射光と、を同時に撮像することができる。
【0036】
図5は、表面性検知部40の上面図である。
図5に示すように、表面性検知部40では、LED41の光軸中心OCを中心とし、シートSの表面粗さの判別に用いるための反射光を検知するシート有効画像範囲W1が設けられている。また、表面性検知部40では、LED41が光を照射可能な領域の両端部に、内面基準板46a,46bからの反射光を検知する内面基準板有効画像範囲W2,W3が設けられている。
【0037】
表面性検知部40では、搬送されるシートSが結像レンズ42及びCMOSラインセンサ43と対向するタイミングで、エンジンI/F部27(
図6参照)を通じてLED41から光が照射される。CMOSラインセンサ43は、シートSの表面から反射した反射光を撮像し、撮像されたシートSの反射光データをエンジンI/F部を通してCPU22のシート判断処理部26(
図6参照)に送る。CPU22(
図6参照)は、シート判断処理部26に送られた反射光データからシートSの表面性を判断する。
【0038】
[制御ブロック]
図6は、第1の実施形態の画像形成装置1の制御ブロック図である。ホストコンピュータHCは、通信線によって画像形成装置1の動作を制御するプリンタコントローラ21に接続されており、画像データをホストI/F部23を介してプリンタコントローラ21のCPU22に送信する。制御部としてのCPU22は、画像処理部24において、ホストI/F部23を介してホストコンピュータHCより受け取った画像データを処理し、エンジンI/F部27を介して画像形成エンジン部50に送信する。画像形成エンジン部50には、定着装置20と、種別検知装置7と、が含まれる。
【0039】
また、プリンタコントローラ21には、画像形成装置1の上部に設けられた印字入力部70(
図1参照)からユーザに入力されたシートSの印字設定が印字入力部I/F部25を介して入力される。印字入力部70からは、印字設定として転写材カセット2に収容されているシートSの種別を入力可能に構成されている。この、印字入力部70が、第1の実施形態におけるユーザによるシートの情報を受け付ける受付手段を構成する。
【0040】
CPU22は、印字入力部70から入力されたシートSの種別に係る情報や、種別検知装置7で判断されたシートSの情報を用いて、画像形成部100の制御を行う。具体的には、CPU22は、シートSの搬送速度(プロセス速度)と、定着装置20におけるヒータ60の温度(定着温度)と、を設定可能に構成されている。CPU22による画像形成部100の制御については、後述する。
【0041】
[定着装置の制御ブロック]
図7は、定着装置20の制御ブロック図である。定着制御部65は、をCPU22からエンジンI/F部27(
図6参照)を介して受信したプリント信号(画像形成信号)に基づき、加圧ローラ63(
図2参照)の回転速度と、ヒータ60の定着温度と、を制御する。定着制御部65は、プリント動作を開始するプリント信号に応じて定着モータM1を駆動し、加圧ローラ63を回転させることで、定着装置20に搬送されたシートSを所定の搬送速度で搬送する。
【0042】
また、定着制御部65は、プリント信号に応じた所定の温度制御シーケンスとして、給電制御回路80をON状態にし、給電制御回路80からヒータ60の給電用電極パターンを介して通電発熱抵抗体60bに通電することで、ヒータ60の温度制御を行う。定着制御部65は、温度検知部材64から出力されるヒータ60の通紙領域内の温度の情報を含む出力信号を受信し、ヒータ60の温度が所定の定着温度(目標温度)を維持できるように受信した出力信号に基づき給電制御回路80を制御する。
【0043】
[入力されたシートの種別に対応する搬送速度と定着温度]
図8は、印字入力部70から入力されたシートSの種別ごとに設定されている定着装置20における搬送速度と、ヒータ60の定着温度と、を示す図である。
図8に示すように、第1の実施形態の印字入力部70からは、シートSの種別として、薄紙と、普通紙と、厚紙P1と、厚紙P2と、厚紙P3と、の種別を入力可能に構成されている。各種別は、それぞれ単位面積当たりの重さが異なっており、単位面積当たりの重さが重くなるほど、シートの厚みが厚くなっている。
【0044】
薄紙は、単位面積当たりの重さが60~74g/m2のシートに設定される種別である。普通紙は、単位面積当たりの重さが75~90g/m2のシートに設定される種別である。厚紙P1は、単位面積当たりの重さが91~120g/m2のシートに設定される種別である。厚紙P2は、単位面積当たりの重さが121~160g/m2のシートに設定される種別である。厚紙P3は、単位面積当たりの重さが161~300g/m2のシートに設定される種別である。
【0045】
また、
図8に示すように、薄紙と普通紙とには、搬送速度として200mm/sが設定されている。また、厚紙P1には、搬送速度として150mm/sが設定され、厚紙P2には、搬送速度として100mm/sが設定され、厚紙P3には、搬送速度として65mm/sが設定されている。
【0046】
画像形成装置1では、搬送速度が同じ速度の場合、シートSの定着温度が高い程、シートSに与える熱量が多くなる。また、画像形成装置1では、定着温度が同温の場合、シートSの搬送速度が遅い程、シートSに与える熱量が多くなる。
【0047】
画像形成装置1では、シートSの表面粗さが同等の場合、シートSの単位面積当たりの重さが重い程、シートSに担持されたトナー像をシートSに定着させるために必要となる熱量が多くなる。このため、第1の実施形態の画像形成装置1では、
図8に示すように、単位面積当たりの重さに応じてシートSの種別が設定されているとともに、シートSの種別ごとに搬送速度及び定着温度が設定されている。
【0048】
ここで、
図8に示すように、画像形成装置1では、単位面積当たりの重さが最も軽い種別である薄紙と、単位面積当たりの重さが薄紙の次に軽い普通紙と、について、同じ搬送速度でかつ他の種別に設定された搬送速度よりも速い速度に設定されている。これは、薄紙と普通紙とについて、単位面積当たりの重さは異なるものの、同じ搬送速度であっても定着装置20の加熱温度を制御することでトナー像を定着するために必要となる熱量を十分に供給できるためである。この、薄紙及び普通紙に設定されている他の種別に設定された搬送速度よりも速い速度が、第1の実施形態における最大画像形成速度を構成する。
【0049】
また、画像形成装置1では、単位面積当たりの重さが普通紙の次に軽い種別である厚紙P1について、薄紙と同じ定着温度に設定されている。これは、薄紙と厚紙P1とについて、単位面積当たりの重さは異なるものの、同じ加熱温度であっても定着装置20の搬送速度を制御することでトナー像を定着するために必要となる熱量を十分に供給できるためである。
【0050】
このような構成であることから、シートSの搬送速度が種別ごとに設定されている搬送速度よりも遅い場合においては、種別ごとに設定されている定着温度よりも低い温度に制御することで、シートSに与える熱量が過剰になってしまうことを防ぐことができる。
【0051】
[種別検知装置に検知されたシートに対応する定着温度]
上述したように、種別検知装置7では、重さ検知部30によって単位面積当たりの重さが検知され、表面性検知部40によってシートSの表面粗さが検知される。第1の実施形態の画像形成装置1では、種別検知装置7によって検知されたシートSの単位面積当たりの重さと、シートSの表面粗さと、から、画像が形成されるシートSの種別が判断される。なお、以下の記載において、種別検知装置7によって検知されたシートSの種別について、検知種別とも記載し、印字入力部70から入力されたシートSの種別について、入力種別とも記載する。
【0052】
CPU22は、検知種別に基づき画像形成部100を制御する場合に、シートSの単位面積当たりの重さと、シートSの表面粗さと、に基づいて定着温度を制御するように構成されている。
【0053】
図9は、シートSの種別ごとにおけるシートSの単位面積当たりの重さと、シートSの表面粗さと、に応じた定着装置20の定着温度を示す図である。上述したように、画像形成装置1では、シートSの表面粗さが同等の場合、シートSの単位面積当たりの重さが重い程、シートSに担持されたトナー像をシートSに定着させるために必要となる熱量が多くなる。また、画像形成装置1では、シートSの単位面積当たりの重さが同等の場合、シートSの表面粗さが粗い程、シートSに担持されたトナー像をシートSに定着させるために必要となる熱量が多くなる。
【0054】
これらより、第1の実施形態のCPU22は、検知種別に応じて画像形成部100を制御してシートSに画像を形成する場合に、シートSの単位面積当たりの重さと、シートSの表面粗さと、を用いて定着温度を設定する。CPU22は、
図9に示すシートSの種別ごとに用意された複数種類の温度のうち、単位面積当たりの重さと表面粗さとを参照して1つの温度を定着温度として設定する。
【0055】
なお、CPU22は、検知種別に応じて画像形成部100を制御する場合と、入力種別に応じて画像形成部100を制御する場合と、のいずれにおいても、シートSの種別に対応する搬送速度でシートSを搬送する。
【0056】
このような構成であることから、第1の実施形態の画像形成装置1では、検知種別に応じて画像形成部100を制御することで、種別検知装置7が検知した単位面積当たりの重さと表面粗さとのデータを最大限利用して良好な画像を形成することができる。
【0057】
[画像形成部の制御方法]
次に、第1の実施形態のCPU22が、検知種別に応じて画像形成部100を制御する場合と、入力種別に応じて画像形成部100を制御する場合と、の詳細について説明する。
【0058】
上述したように、CPU22は、検知種別に応じて画像形成部100を制御する場合、種別検知装置7が検知したシートSの性質である単位面積当たりの重さと表面粗さとに応じて、画像を形成する制御内容として
図9に示した搬送速度及び定着温度を設定する。
【0059】
このため、画像形成装置1は、検知種別に応じて画像形成部100を制御した場合に、種別検知装置7が検知した単位面積当たりの重さと表面粗さとのデータを最大限利用して良好な画像を形成することができる。この、CPU22が実行可能な画像形成部100の制御のうち、検知種別に応じた画像形成部100の制御が、第1の実施形態における第1モードを構成する。
【0060】
また、CPU22は、印字入力部70から入力された入力種別に応じて画像形成部100を制御する場合、画像を形成する制御内容として
図8に示した搬送速度及び定着温度を設定する。
【0061】
このため、画像形成装置1は、入力種別に応じて画像形成部100を制御することで、検知種別に応じた制御を行う場合よりも画質の低下が生じる虞があるものの、入力種別に応じた搬送速度が維持されることでユーザの要求する生産性を満たすことができる。この、CPU22が実行可能な画像形成部100の制御のうち、入力種別に応じた画像形成部100の制御が、第1の実施形態における第2モードを構成する。
【0062】
図10は、第1の実施形態のCPU22が検知種別に応じて画像形成部100を制御する場合(第1モード)と、入力種別に応じて画像形成部100を制御する場合(第2モード)と、を判定するために実行する制御処理を示すフローチャートである。
【0063】
まず、CPU22は、入力種別に対応するシートSの搬送速度が最大画像形成速度か否かを判定する(S101)。この処理において、CPU22は、ユーザの入力に対応する搬送速度が最大画像形成速度か否かを判定することで、ユーザが要求する生産性が画像形成装置1における最大の生産性か否かを判定している。
【0064】
ステップS101の処理において、入力種別に対応するシートSの搬送速度が最大画像形成速度ではないと判定した場合(No)、CPU22は、入力種別に応じた搬送速度で画像形成部100を制御すると判定する(S102)。この処理において、CPU22は、ユーザが入力したシートSの種別が厚紙P1~P3のいずれかであることから、入力種別に対応する搬送速度で画像を形成することを決定する。
【0065】
ステップS102の処理を実行した場合、CPU22は、種別検知装置7によってシートSの単位面積当たりの重さと表面粗さとを検知する。CPU22は、入力種別と検知種別とが一致する場合、第1モードで制御することを決定し、種別検知装置7が検知したシートSの単位面積当たりの重さと、シートSの表面粗さと、に基づきヒータ60の定着温度を設定する。
【0066】
このように、第1の実施形態の画像形成装置1は、入力種別に対応するシートSの搬送速度が最大画像形成速度ではなく、かつ入力種別と検知種別とが一致する場合には、第1モードで画像形成部100を制御する。これにより、画像形成装置1は、入力種別に対応するシートSの搬送速度が最大画像形成速度ではない場合に、種別検知装置7が検知した単位面積当たりの重さと表面粗さとのデータを最大限利用して良好な画像を形成することができる。
【0067】
一方、CPU22は、入力種別と検知種別とが異なる場合には、第2モードで画像形成部100を制御することを決定し、
図8に示した入力種別に対応する定着温度を設定する。CPU22は、例えば、入力種別に対応するシートSの単位面積当たりの重さが、検知された単位面積当たりの重さよりも重い場合、過度な加熱によってシートSがカールしてしまうことを防ぐために、入力種別に対応する定着温度を設定する。また、CPU22は、入力種別に対応するシートSの単位面積当たりの重さが、検知された単位面積当たりの重さよりも軽い場合、ユーザが要求する生産性を維持するために、搬送速度を変更せずに入力種別に対応する定着温度を設定する。
【0068】
このようにして、CPU22は、入力種別に対応するシートSの搬送速度が最大画像形成速度ではないと判定した場合における画像形成部100の制御内容を決定し、第1モードと第2モードとのいずれで制御するかを判定する制御処理を終了する。
【0069】
ステップS101の処理において、入力種別に対応するシートSの搬送速度が最大画像形成速度であると判定した場合(Yes)、CPU22は、種別検知装置7によってシートSの単位面積当たりの重さと表面粗さとを検知する(S103)。
【0070】
次に、CPU22は、検知種別に対応する搬送速度が最大画像形成速度と同じか否かを判定する(S104)。この処理において、CPU22は、検知種別が搬送速度として最大画像形成速度が対応付けられている薄紙又は普通紙であったか否かを判定している。
【0071】
ステップS104の処理において、検知種別に対応する搬送速度が最大画像形成速度と同じであると判定した場合(Yes)、CPU22は、検知種別に応じて画像形成部100を制御して、シートSに画像を形成する(S105)。この処理において、CPU22は、第1モードで画像形成部100を制御することを決定し、種別検知装置7が検知したシートSの単位面積当たりの重さと、シートSの表面粗さと、に基づき、ヒータ60の定着温度を設定する。
【0072】
一方、ステップS104の処理において、検知種別に対応する搬送速度が最大画像形成速度とは異なると判定した場合(No)、CPU22は、入力種別に応じて画像形成部100を制御して、シートSに画像を形成する(S106)。この処理において、CPU22は、第2モードで画像形成部100を制御すると決定し、入力種別に対応する搬送速度を継続し、かつ
図8に示した入力種別に対応する定着温度を設定する。
【0073】
このようにして、CPU22は、入力種別に対応するシートSの搬送速度が最大画像形成速度ではあると判定した場合における画像形成部100の制御内容を決定し、第1モードと第2モードとのいずれで制御するかを判定する制御処理を終了する。
【0074】
このような制御処理を実行することから、画像形成装置1では、CPU22が搬送速度として最大画像形成速度である200mm/s(第1速度)に設定する場合、入力種別に対応するシートSの厚さが薄紙又は普通紙(第1の厚さ)である。また、画像形成装置1では、CPU22が搬送速度として最大画像形成速度よりも遅い第2速度(厚紙P1~P3に対応する搬送速度)に設定する場合、入力種別に対応するシートSの厚さが第1の厚さよりも厚い厚紙P1~P3(第2の厚さ)である。
【0075】
このため、第1の実施形態の画像形成装置1は、ユーザが入力したシートSの種別に対応する厚さによって、搬送速度を変更することで、シートSの厚さに応じてシートS上のトナー像を適切に加熱することができ、良好な画像を形成できる。
【0076】
以上のように、第1の実施形態の画像形成装置1は、第1モードで画像形成部100を制御することで、種別検知装置7が検知した単位面積当たりの重さと表面粗さとのデータを最大限利用して検知したシートSの種別に応じた良好な画像を形成できる。また、画像形成装置1は、入力種別に対応する搬送速度が最大画像形成速度であり、かつ検知種別に対応する搬送速度が最大画像形成速度よりも遅い場合に、第2モードで画像形成部100を制御する。これにより、画像形成装置1は、入力種別に対応する最大画像形成速度を維持することで、ユーザが設定した生産性を下回ることなく画像を形成でき、ユーザの要求にも十分に応えることができる。
【0077】
また、第1の実施形態の画像形成装置1は、入力種別に対応するシートSの搬送速度が、検知種別に対応するシートSの搬送速度よりも速い場合に、入力種別に対応するシートSの搬送速度に設定する。これにより、画像形成装置1は、入力種別に対応する搬送速度を維持することで、ユーザが設定した生産性を下回ることなく画像を形成でき、ユーザの要求にも十分に応えることができる。
【0078】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係る画像形成装置1について説明する。第2の実施形態の画像形成装置1は、検知種別に対応する搬送速度が、入力種別に対応する搬送速度よりも速い場合に、第1モードで画像形成部100を制御する構成となっている。この点において、第2の実施形態の画像形成装置1は、上述した第1の実施形態とは異なっている。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるため、第1の実施形態と共通する構成要素には同符号を付して説明を省略する。
【0079】
[画像形成部の制御方法]
図11は、第2の実施形態のCPU22が検知種別に応じて画像形成部100を制御する場合(第1モード)と、入力種別に応じて画像形成部100を制御する場合(第2モード)と、を判定するために実行する制御処理を示すフローチャートである。
【0080】
まず、CPU22は、種別検知装置7によってシートSの単位面積当たりの重さと表面粗さとを検知する(S201)。次に、CPU22は、検知種別に対応する搬送速度が入力種別に対応する搬送速度よりも速いか否かを判定する(S202)。この処理において、CPU22は、検知種別に対応する搬送速度と、入力種別に対応する搬送速度と、を比較する。
【0081】
ステップS202の処理において、検知種別に対応する搬送速度が入力種別に対応する速度よりも速いと判定した場合(Yes)、CPU22は、検知種別に応じて画像形成部100を制御して、シートSに画像を形成する(S203)。この処理において、CPU22は、第1モードで画像形成部100を制御することを決定し、検知種別に対応する搬送速度に設定する。また、CPU22は、種別検知装置7が検知したシートSの単位面積当たりの重さと、シートSの表面粗さと、に基づき、ヒータ60の定着温度を設定する。
【0082】
一方、ステップS202の処理において、検知種別に対応する搬送速度が入力種別に対応する搬送速度と同じ又は遅いと判定した場合(No)、CPU22は、入力種別に応じて画像形成部100を制御して、シートSに画像を形成する(S204)。この処理において、CPU22は、第2モードで画像形成部100を制御すると決定し、入力種別に対応する搬送速度に設定し、かつ
図8に示した入力種別に対応する定着温度を設定する。
【0083】
このようにして、CPU22は、検知種別に対応するシートSの搬送速度と、入力種別に対応するシートSの搬送速度と、を比較して画像形成部100の制御内容を決定し、第1モードと第2モードとのいずれで制御するかを判定する制御処理を終了する。
【0084】
以上のように、第2の実施形態の画像形成装置1は、第1モードで画像形成部100を制御することで、種別検知装置7が検知した単位面積当たりの重さと表面粗さとのデータを最大限利用して検知したシートSの種別に応じた良好な画像を形成できる。また、画像形成装置1は、検知種別に対応する搬送速度が入力種別に対応する搬送速度よりも速い場合には、第1モードで画像形成部100を制御することで、ユーザの要求以上の生産性を実現することで、ユーザの要求にも十分に応えることができる。
【0085】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態に係る画像形成装置1について説明する。第3の実施形態の画像形成装置1は、入力種別に対応する搬送速度が最大画像形成速度であり、かつ検知種別に対応する搬送速度が最大画像形成速度よりも遅い場合に、定着温度を入力種別に対応する温度から変更する構成となっている。この点において、第3の実施形態の画像形成装置1は、上述した第1の実施形態とは異なっている。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるため、第1の実施形態と共通する構成要素には同符号を付して説明を省略する。
【0086】
[画像形成部の制御方法]
図12は、第3の実施形態のCPU22が検知種別に応じて画像形成部100を制御する場合(第1モード)と、入力種別に応じて画像形成部100を制御する場合(第2モード)と、を判定するために実行する制御処理を示すフローチャートである。
【0087】
まず、CPU22は、入力種別に対応するシートSの搬送速度が最大画像形成速度か否かを判定する(S301)。この処理において、CPU22は、ユーザの入力に対応する搬送速度が最大画像形成速度か否かを判定することで、ユーザが要求する生産性が画像形成装置1における最大の生産性か否かを判定している。
【0088】
ステップS301の処理において、入力種別に対応するシートSの搬送速度が最大画像形成速度ではないと判定した場合(No)、CPU22は、入力種別に応じた搬送速度で画像形成部100を制御すると判定する(S302)。この処理において、CPU22は、ユーザが入力したシートSの種別が厚紙P1~P3のいずれかであることから、入力種別に対応する搬送速度で画像を形成することを決定する。
【0089】
ステップS302の処理を実行した場合、CPU22は、種別検知装置7によってシートSの単位面積当たりの重さと表面粗さとを検知する。CPU22は、入力種別と検知種別とが一致する場合、第1モードで制御することを決定し、種別検知装置7が検知したシートSの単位面積当たりの重さと、シートSの表面粗さと、に基づきヒータ60の定着温度を設定する。
【0090】
このように、第3の実施形態の画像形成装置1は、入力種別に対応するシートSの搬送速度が最大画像形成速度ではなく、かつ入力種別と検知種別とが一致する場合には、第1モードで画像形成部100を制御する。これにより、画像形成装置1は、入力種別に対応するシートSの搬送速度が最大画像形成速度ではない場合に、種別検知装置7が検知した単位面積当たりの重さと表面粗さとのデータを最大限利用して良好な画像を形成することができる。
【0091】
一方、CPU22は、入力種別と検知種別とが異なる場合には、第2モードで画像形成部100を制御することを決定する。第3の実施形態のCPU22は、入力種別に対応するシートSの単位面積当たりの重さが、検知された単位面積当たりの重さよりも重い場合、過度な加熱によるシートSのカールを防ぐために、
図8に示した入力種別に対応する定着温度を設定する。
【0092】
一方、CPU22は、入力種別に対応するシートSの単位面積当たりの重さが、検知された単位面積当たりの重さよりも軽い場合、ユーザが要求する生産性を維持するために、搬送速度を変更しない。また、CPU22は、入力種別に対応するシートよりも単位面積当たりの重さが重く画像の形成に多くの熱量を要する種別のシートSに画像を形成することから、
図9に示した定着温度のうち入力種別に対応するシートの種別において最大の定着温度を設定する。CPU22は、例えば、入力種別が厚紙P1であり、検知種別が厚紙P3であった場合、厚紙P1において最大の定着温度となっている190℃に定着温度を設定する。
【0093】
これにより、画像形成装置1は、入力種別に対応する搬送速度を維持することで、ユーザが設定した生産性を下回ることなく画像を形成でき、ユーザの要求にも十分に応えることができる。また、画像形成装置1は、入力種別に対応するシートよりも単位面積当たりの重さが重いシートである場合に、シートの種別に応じた複数種類の定着温度から最も高温の温度で加熱することで、ユーザの要求に十分に応えながら良好な画像を形成できる。
【0094】
このようにして、CPU22は、入力種別に対応するシートSの搬送速度が最大画像形成速度ではないと判定した場合における画像形成部100の制御内容を決定し、第1モードと第2モードとのいずれで制御するかを判定する制御処理を終了する。
【0095】
ステップS301の処理において、入力種別に対応するシートSの搬送速度が最大画像形成速度であると判定した場合(Yes)、CPU22は、種別検知装置7によってシートSの単位面積当たりの重さと表面粗さとを検知する(S303)。
【0096】
次に、CPU22は、検知種別に対応する搬送速度が最大画像形成速度と同じか否かを判定する(S304)。この処理において、CPU22は、検知種別が搬送速度として最大画像形成速度が対応付けられている薄紙又は普通紙であったか否かを判定している。
【0097】
ステップS304の処理において、検知種別に対応する搬送速度が最大画像形成速度と同じであると判定した場合(Yes)、CPU22は、検知種別に応じて画像形成部100を制御して、シートSに画像を形成する(S305)。この処理において、CPU22は、第1モードで画像形成部100を制御することを決定し、種別検知装置7が検知したシートSの単位面積当たりの重さと、シートSの表面粗さと、に基づき、ヒータ60の定着温度を設定する。
【0098】
一方、ステップS
304の処理において、検知種別に対応する搬送速度が最大画像形成速度とは異なると判定した場合(No)、CPU22は、入力種別に応じて画像形成部100を制御して、シートSに画像を形成する(S306)。この処理において、CPU22は、第2モードで画像形成部100を制御すると決定し、入力種別に対応する搬送速度を継続する。また、CPU22は、
図9に示した定着温度のうち入力種別に対応するシートの種別において最大の定着温度を設定する。CPU22は、例えば、入力種別が普通紙であり、検知種別が厚紙P1であった場合、普通紙における最大の定着温度となっている200℃に定着温度を設定する。
【0099】
このようにして、CPU22は、入力種別に対応するシートSの搬送速度が最大画像形成速度であると判定した場合における画像形成部100の制御内容を決定し、第1モードと第2モードとのいずれで制御するかを判定する制御処理を終了する。
【0100】
以上のように、第3の実施形態の画像形成装置1は、第1モードで画像形成部100を制御することで、種別検知装置7が検知した単位面積当たりの重さと表面粗さとのデータを最大限利用して検知したシートSの種別に応じた良好な画像を形成できる。また、画像形成装置1は、入力種別に対応する搬送速度が最大画像形成速度であり、かつ検知種別に対応する搬送速度が最大画像形成速度よりも遅い場合に、第2モードで画像形成部100を制御する。これにより、画像形成装置1は、最大画像形成速度を維持することで、ユーザが設定した生産性を下回ることなく画像を形成でき、ユーザの要求にも十分に応えることができる。また、画像形成装置1は、入力種別に対応するシートよりも単位面積当たりの重さが重いシートである場合に、シートの種別に応じた複数種類の定着温度から最も高温の温度で加熱することで、ユーザの要求に十分に応えながら良好な画像を形成できる。
【0101】
<他の実施形態>
なお、第1~第3の実施形態において、画像形成装置1は、印字入力部70から入力可能な印字設定として、シートSの種別に係る情報を入力可能に構成されているが、これに限定されない。画像形成装置1は、印字入力部70から入力可能な印字設定として、シートSの単位面積当たりの重さと、シートSの表面粗さと、を入力可能に構成されていてもよい。
【0102】
このように構成された場合、CPU22は、第2モードで画像形成部100を制御する場合に、印字入力部70から入力されたシートSの単位面積当たりの重さと表面粗さとに応じて定着温度を設定できる。このため、画像形成装置1は、第2モードで画像形成部100を制御する場合にも、入力された単位面積当たりの重さと表面粗さとに応じた定着温度を設定でき、ユーザの要求に十分に応えながら良好な画像を形成可能となる。
【0103】
また、第1~第3の実施形態において、CPU22は、第1モードで画像形成部100を制御する場合に、シートSの単位面積当たりの重さと、シートSの表面粗さと、を用いて定着温度を設定するが、これに限定されない。CPU22は、第1モードで画像形成部100を制御する場合に、シートSの表面粗さによらず、シートSの単位面積当たりの重さを用いて定着温度を設定するように構成されていてもよい。また、CPU22は、第1モードで画像形成部100を制御する場合に、シートSの単位面積当たりの重さによらず、シートSの表面粗さを用いて定着温度を設定するように構成されていてもよい。
【0104】
また、第1~第3の実施形態において、画像形成装置1は、装置に設けられた印字入力部70よりユーザによるシートの種別の情報を受け付けるように構成されているが、これに限定されない。画像形成装置1は、例えば、外部に設けられたコンピュータ等の外部端末よりユーザによるシートの種別の情報を受け付けるように構成されていてもよい。
【0105】
また、第1~第3の実施形態において、CPU22は、第1モードで画像形成部100を制御する場合に、シートSの単位面積当たりの重さと表面粗さとに応じて定着温度を設定するように構成されているが、これに限定されない。CPU22は、第1モードで画像形成部100を制御する場合に、定着温度に限らず、トナー濃度や転写部10における搬送速度等、画像形成部100が実行する画像形成に係る各種動作を種別検知装置7が検知した情報を用いて制御してもよい。
【0106】
また、第1~第3の実施形態において、画像形成装置1は、シートSの搬送経路のうちレジストローラ6と、転写部10と、の間に種別検知装置7が配設されているが、これに限定されない。画像形成装置1は、搬送経路のうち定着装置20よりもシートSの搬送方向上流の位置に種別検知装置7が配設されていればよい。
【0107】
また、第1~第3の実施形態において、画像形成装置1は、超音波を用いて単位面積当たりの重さを検知する重さ検知部30を備えているが、これに限定されない。画像形成装置1は、例えば、通紙中の定着装置20の消費電力からシートSの単位面積当たりの重さを検知するように構成されていてもよい。また、画像形成装置1は、例えば、定着フィルム61とヒータ60との温度差からシートSの単位面積当たりの重さを検知するように構成されていてもよい。
【0108】
また、第1~第3の実施形態において、CPU22は、シートSの種別に応じて、プロセス速度として定着装置20における搬送速度を制御するように構成されているが、これに限定されない。CPU22は、給紙ローラ5、レジストローラ6によって搬送される場合における搬送速度や、駆動ローラ18によって搬送される搬送速度についても、種別検知装置7によって検知された情報によって制御されるように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0109】
1…画像形成装置:7…検知手段(種別検知装置):10…転写部:20…定着部(定着装置):22…CPU(制御部):70…受付手段(印字入力部):100…画像形成部:S…シート