(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】配索材設計方法、配索材設計支援装置、及び電気系統配索材
(51)【国際特許分類】
G06F 30/18 20200101AFI20241202BHJP
G06F 30/15 20200101ALI20241202BHJP
【FI】
G06F30/18
G06F30/15
(21)【出願番号】P 2021019880
(22)【出願日】2021-02-10
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】桂巻 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】古田 拓
【審査官】松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-043161(JP,A)
【文献】特開平07-282125(JP,A)
【文献】特開2017-038460(JP,A)
【文献】特開2009-301365(JP,A)
【文献】特開2010-211652(JP,A)
【文献】特開2010-238048(JP,A)
【文献】特開平11-242693(JP,A)
【文献】特開昭59-053008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 -30/398
B60R 16/02 -16/03
H01B 7/00 - 7/42
H02G 3/04 - 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが電源線及び通信線を含む電気系統幹線接続用の配索材を配索対象物の所望の部位に配置する状態を決定するための配索材設計方法であって、
前記コンピュータが、
電源線及び通信線を含む複数種類の屈曲形態幹線部と、電源線及び通信線を含む複数種類の直線形態幹線部とを予め
データベースに保持し、
前記配索対象物上の平面領域において、前記複数種類の直線形態幹線部からいずれか1つを少なくとも1回選択し、
前記配索対象物上で凹凸又は曲面が存在する屈曲領域において、対象領域の屈曲形状に応じて、前記複数種類の屈曲形態幹線部からいずれか1つを少なくとも1回選択し、
選択された1つ又は複数の前記直線形態幹線部と、選択された1つ又は複数の前記屈曲形態幹線部とを互いに結合して電気系統幹線の少なくとも主要部位を構成する、
ことを特徴とする配索材設計方法。
【請求項2】
前記複数種類の直線形態幹線部として、事前に形状が固定され少なくとも長手方向の寸法が異なる複数種類の構成要素が予め
データベースに保持され、
前記複数種類の屈曲形態幹線部として、それぞれの形状変更が可能で基本形状が互いに異なる複数種類の構成要素が予め
データベースに保持され、
前記コンピュータが、
前記配索対象物上の領域毎の形状及び寸法の情報と、各前記直線形態幹線部の長手方向の寸法と、各前記屈曲形態幹線部の基本形状とに基づいて、前記配索対象物上の領域毎に、複数種類の前記直線形態幹線部、又は複数種類の前記屈曲形態幹線部のいずれか1つを選択する、
ことを特徴とする請求項1に記載の配索材設計方法。
【請求項3】
電源線及び通信線を含む電気系統幹線接続用の配索材を配索対象物の所望の部位に配置する状態を決定するための配索材設計支援装置であって、
予め用意された複数種類の屈曲形態幹線部の情報を取得する第1の情報取得部と、
予め用意された複数種類の直線形態幹線部の情報を取得する第2の情報取得部と、
前記配索対象物上の各領域の形状及び寸法の情報を取得する第3の情報取得部と、
前記配索対象物上の平面領域において、前記複数種類の直線形態幹線部からいずれか1つの選択入力を少なくとも1回受け付ける第1の選択入力部と、
前記配索対象物上で凹凸又は曲面が存在する屈曲領域において、対象領域の屈曲形状に応じて前記複数種類の屈曲形態幹線部からいずれか1つの選択入力を少なくとも1回受け付ける第2の選択入力部と、
選択された1つ又は複数の前記直線形態幹線部と、選択された1つ又は複数の前記屈曲形態幹線部との結合により電気系統幹線の少なくとも主要部位の構成を決定する構成決定部と、
を備えることを特徴とする配索材設計支援装置。
【請求項4】
それぞれが電源線及び通信線を含み、予め用意された複数種類の屈曲形態幹線部の中から選択された1つ以上の特定の屈曲形態幹線部と、
それぞれが電源線及び通信線を含み、予め用意された複数種類の直線形態幹線部の中から選択された1つ以上の特定の直線形態幹線部と、
前記特定の屈曲形態幹線部と、前記特定の直線形態幹線部とを互いに結合する幹線結合部と、
を備え、
前記複数種類の直線形態幹線部は、事前に形状が固定され少なくとも長手方向の寸法が異なる複数種類の構成要素として構成され、
前記複数種類の屈曲形態幹線部は、それぞれの形状変更が可能で基本形状が互いに異なる複数種類の構成要素として構成され、
配索対象物上の領域毎の形状及び寸法と、各前記直線形態幹線部の長手方向の寸法と、各前記屈曲形態幹線部の基本形状とに基づいて、前記配索対象物上の領域毎に、前記特定の屈曲形態幹線部、又は前記特定の屈曲形態幹線部が選択される、
ことを特徴とする電気系統配索材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配索材設計方法、配索材設計支援装置、及び電気系統配索材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に自動車などの車両においては、車載バッテリーなどの電源と、車両上の様々な電装品との間を接続したり、複数の電装品同士の間を接続するためにワイヤハーネスを用いている。車両に搭載されるこのようなワイヤハーネスは、様々な種類の多数の電線を束ねて一体的に構成した電線の集合体であり、複雑な形状を有している。また、このようなワイヤハーネスは、電線接続箇所の着脱を容易にするために、多数のコネクタがワイヤハーネスに備わっている。また、実際のワイヤハーネスは、自動車の車体各部の形状に沿うように各部の形状を整えて車体上で配索される。
【0003】
一方、特許文献1の車両用回路体は、ボディパネルの凹凸形状に沿わせて配索できるとともに、小型化を実現するための技術を示している。具体的には、第1配索材210がボディパネル1の平坦な箇所(ボディパネル1の凹部)に配置される位置にあり、第2配索材220がボディパネル1の車室側に向かって隆起する箇所(フロントクロスメンバ110)に配置される位置にあり、第2配索材220の第2電源ライン及び第2アースラインが、隆起する箇所(フロントクロスメンバ110)の形状に沿って変形する屈曲性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両に搭載されるワイヤハーネスのように一般的な配索材は、車両の種類、グレード、仕向地などの違いに合わせてそれぞれ全体の構成、配索経路及びその形状、部品の種類や数量などが異なる複雑な構成を有する。
【0006】
したがって、車両の種類などに合わせてそれぞれの配索材を個別に設計し、それぞれ異なる品番で管理する必要がある。そのため、それぞれの配索材の設計にかかる作業工数や、部品コスト、製造コストなどの低減が難しい。
【0007】
一方、特許文献1のように、種類の異なる複数の配索材を組み合わせて配索材の全体の回路を構成することも検討されている。
しかしながら、いずれにしても車両の種類の違いや、車両メーカの要望などに合わせてそれぞれ個別に回路や全体の構成を設計すると共に、多数の部品を組み合わせて全体を構成することになるので、配索材の設計にかかる作業工数や、部品コスト、製造コストなどを低減できない。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、配索材の部品を共通化する場合の設計作業を容易にするために役立つ配索材設計方法、配索材設計支援装置、及び電気系統配索材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明に係る配索材設計方法、配索材設計支援装置、及び電気系統配索材は、下記(1)~(4)を特徴としている。
(1) コンピュータが電源線及び通信線を含む電気系統幹線接続用の配索材を配索対象物の所望の部位に配置する状態を決定するための配索材設計方法であって、
前記コンピュータが、
電源線及び通信線を含む複数種類の屈曲形態幹線部と、電源線及び通信線を含む複数種類の直線形態幹線部とを予めデータベースに保持し、
前記配索対象物上の平面領域において、前記複数種類の直線形態幹線部からいずれか1つを少なくとも1回選択し、
前記配索対象物上で凹凸又は曲面が存在する屈曲領域において、対象領域の屈曲形状に応じて、前記複数種類の屈曲形態幹線部からいずれか1つを少なくとも1回選択し、
選択された1つ又は複数の前記直線形態幹線部と、選択された1つ又は複数の前記屈曲形態幹線部とを互いに結合して電気系統幹線の少なくとも主要部位を構成する、
ことを特徴とする配索材設計方法。
【0010】
(2) 前記複数種類の直線形態幹線部として、事前に形状が固定され少なくとも長手方向の寸法が異なる複数種類の構成要素が予めデータベースに保持され、
前記複数種類の屈曲形態幹線部として、それぞれの形状変更が可能で基本形状が互いに異なる複数種類の構成要素が予めデータベースに保持され、
前記コンピュータが、
前記配索対象物上の領域毎の形状及び寸法の情報と、各前記直線形態幹線部の長手方向の寸法と、各前記屈曲形態幹線部の基本形状とに基づいて、前記配索対象物上の領域毎に、複数種類の前記直線形態幹線部、又は複数種類の前記屈曲形態幹線部のいずれか1つを選択する、
ことを特徴とする上記(1)に記載の配索材設計方法。
【0011】
(3) 電源線及び通信線を含む電気系統幹線接続用の配索材を配索対象物の所望の部位に配置する状態を決定するための配索材設計支援装置であって、
予め用意された複数種類の屈曲形態幹線部の情報を取得する第1の情報取得部と、
予め用意された複数種類の直線形態幹線部の情報を取得する第2の情報取得部と、
前記配索対象物上の各領域の形状及び寸法の情報を取得する第3の情報取得部と、
前記配索対象物上の平面領域において、前記複数種類の直線形態幹線部からいずれか1つの選択入力を少なくとも1回受け付ける第1の選択入力部と、
前記配索対象物上で凹凸又は曲面が存在する屈曲領域において、対象領域の屈曲形状に応じて前記複数種類の屈曲形態幹線部からいずれか1つの選択入力を少なくとも1回受け付ける第2の選択入力部と、
選択された1つ又は複数の前記直線形態幹線部と、選択された1つ又は複数の前記屈曲形態幹線部との結合により電気系統幹線の少なくとも主要部位の構成を決定する構成決定部と、
を備えることを特徴とする配索材設計支援装置。
【0012】
(4) それぞれが電源線及び通信線を含み、予め用意された複数種類の屈曲形態幹線部の中から選択された1つ以上の特定の屈曲形態幹線部と、
それぞれが電源線及び通信線を含み、予め用意された複数種類の直線形態幹線部の中から選択された1つ以上の特定の直線形態幹線部と、
前記特定の屈曲形態幹線部と、前記特定の直線形態幹線部とを互いに結合する幹線結合部と、
を備え、
前記複数種類の直線形態幹線部は、事前に形状が固定され少なくとも長手方向の寸法が異なる複数種類の構成要素として構成され、
前記複数種類の屈曲形態幹線部は、それぞれの形状変更が可能で基本形状が互いに異なる複数種類の構成要素として構成され、
配索対象物上の領域毎の形状及び寸法と、各前記直線形態幹線部の長手方向の寸法と、各前記屈曲形態幹線部の基本形状とに基づいて、前記配索対象物上の領域毎に、前記特定の屈曲形態幹線部、又は前記特定の屈曲形態幹線部が選択される、
ことを特徴とする電気系統配索材。
【0013】
上記(1)の構成の配索材設計方法によれば、車両などの配索対象物の構造、各領域の形状、位置、大きさなどの違いに合わせて適切に電気系統幹線を構成するための設計が容易になる。特に、複数種類の屈曲形態幹線部、及び複数種類の直線形態幹線部のそれぞれの仕様を事前に決定し、様々な部位で共通に利用可能な部品として利用できるので、設計の際には、部品の種類の選択と複数の部品の組み合わせを決定するだけで、様々な種類の配索対象物の構造、各領域の形状、位置、大きさなどの違いに対応できる。
【0014】
上記(2)の構成の配索材設計方法によれば、長手方向の寸法が異なる複数種類の直線形態幹線部を予め用意することにより、寸法や大きさが異なる配索対象物の様々な直線配索部位に対する回路の配索を、少ない部品数で長さの過不足を生じること無く実現することが可能になる。また、形状変更が可能な複数種類の屈曲形態幹線部を予め用意することにより、凹凸や曲面形状、寸法、大きさなどが異なる配索対象物の様々な屈曲配索部位に対する回路の配索を、少ない部品数で形状の不整合を生じること無く実現することが可能になる。
【0015】
上記(3)の構成の配索材設計支援装置によれば、大きさや形状が互いに異なる複数の配索対象物のそれぞれに対して、配索材を適切に配索するための設計作業が容易になるよう支援することができる。すなわち、第3の情報取得部が取得した情報に基づいて配索対象物上の各領域が平面領域と屈曲領域のいずれに属するのかを自動的に識別可能である。また、各平面領域では前記第1の選択入力部が複数の直線形態幹線部のいずれか1つの選択入力を受け付けることで、適切な選択が容易になる。また、各屈曲領域では、前記第2の選択入力部が複数の屈曲形態幹線部の中から対象領域の屈曲形状に応じたいずれか1つの選択入力を受け付けることで、適切な選択が容易になる。更に構成決定部が、選択された1つ又は複数の直線形態幹線部と、選択された1つ又は複数の屈曲形態幹線部とを結合することで、電気系統幹線の構成を容易に決定できる。
【0016】
上記(4)の構成の電気系統配索材によれば、仕様が予め規格化された少数の部品の中から選択された1つ以上の特定の屈曲形態幹線部と、選択された1つ以上の特定の直線形態幹線部とを幹線結合部で結合して構成してあるので、部品の共通化が実現する。例えば、数種類の屈曲形態幹線部と、数種類の直線形態幹線部とをそれぞれ共通の部品として事前に用意しておくだけで、大きさや種類が異なる様々な配索対象物に対してそれぞれ適切な形態で配索可能な電気系統配索材を実現可能である。したがって、部品の共通化による部品コストの低減や、製造コストの低減が可能になる。また、配索対象物上の直線的な各領域の長さに合わせて適切な種類の直線形態幹線部を選択的に採用することで、このような配索領域における部品数を減らすと共に、長さの過不足が生じるのを避けることが可能になる。また、配索対象物上の凹凸や曲面がある領域では、その形状に似た近い基本形状を有する屈曲形態幹線部を選択的に採用することで、配索対象物の屈曲部位の形状と整合可能な配索形状を実現できる。したがって、少ない部品数で寸法や形状が互いに異なる様々な配索対象物に対応可能になり、事前に用意すべき共通部品である直線形態幹線部および屈曲形態幹線部の種類が増えるのも回避できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の配索材設計方法、および配索材設計支援装置は、配索材の部品を共通化する場合の設計作業を容易にするために役立てることができる。また、本発明の電気系統配索材は、共通化した部品だけで様々な種類の配索対象物に対応できるので、部品コストや製造コストを低減するのに効果的である。
【0018】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、設計された電気系統配索材の実際の配索形態における外観の例を示す斜視図である。
【
図2】
図2(a)、及び
図2(b)は、それぞれ1つの直線形態幹線部品、及び1つの屈曲形態幹線部品の外観の例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、電気系統配索材上の各部位と設計用部品ライブラリ上で選択される部品の種類との対応関係の例を示す斜視図である。
【
図4】
図4(a)、及び
図4(b)は、それぞれ1つの区間配索材の外観を示す分解斜視図、及び斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る電気系統配索材の設計手順の例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、制御ホックス情報、可変屈曲部品ライブラリ、及びソリッド直線部品ライブラリの構成例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、設計及び製造された電気系統配索材の納品形態における外観の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0021】
<電気系統配索材の外観>
図1は、設計された電気系統配索材の実際の配索形態における外観の例を示す斜視図である。
【0022】
図1に示すように、電気系統配索材10は、従来より一般的な車両に搭載されているワイヤハーネスと基本的には同様の機能を実現するものであるが、物理的な構造は、一般的なワイヤハーネスと異なっている。詳細については後述するが、本実施形態に係る電気系統配索材10は、それぞれが予め規格化された少ない種類の共通部品の中から選択した複数の部品を互いに結合して一体化することにより構成される。ここで使う共通の部品とは、例えば個別の電線のように汎用性の高いものとは異なり、例えばブロックのようにある程度まとまった形状を有する構造体のことである。
【0023】
本実施形態に係る電気系統配索材10は、車体上の複数箇所にそれぞれ配置される複数の制御ボックス21、22、23、及び24の間を、幹線として接続するように用いられることが想定される。
【0024】
また、本実施形態では、複数の制御ボックス21~24は、それぞれが電源を供給する機能、負荷と接続する機能、通信機能、及びコンピュータなどの制御機能を搭載していることを想定している。
【0025】
電気系統配索材10は、制御ボックス21、22の間を接続する区間配索材11、制御ボックス21、23の間を接続する区間配索材12、及び制御ボックス21、24の間を接続する区間配索材13を有している。区間配索材11~13は、電気的には共通の電気回路の幹線を形成している。これらの幹線の電気回路は、電源線と、グランド線(アース線)と、複数本の通信線とをそれぞれ含んでいる。つまり、電気系統配索材10は、複数の制御ボックス21~24のそれぞれの間で、幹線を介して電源電力の供給と、通信とを行うことができる。
【0026】
複数の制御ボックス21~24のそれぞれは、実際の車両の仕様に合わせて車体の所定部位に互いに分散した状態で配置されるので、
図1に示した電気系統配索材10の各区間配索材11、12、及び13は、それぞれ車体の形状に沿った経路で配索できる形状に形成される。実際の車体においては、配索経路上に平面、直線的な部位、曲面、凹凸のある部位などが存在するので、各区間配索材11、12、及び13の形状も
図1に示すように直線的な部位と、屈曲のある部位とを含んでいる。
【0027】
例えば、
図1に示した区間配索材11は、多数の配索部品11a~11iを互いに結合することにより構成されている。ここで、各配索部品11a、11c、11e、11g、及び11iは直線的な平面領域に存在し、他の各配索部品11b、11d、11f、及び11hは屈曲部位に存在している。
【0028】
そこで、後述する設計の際には、直線的な平面領域に存在する各配索部品11a、11c、11e、11g、及び11iについて、予め用意された部品の中から直線的な形状の部品を採用する。また、屈曲部位に存在している各配索部品11b、11d、11f、及び11hについては、屈曲形状の部品や形状がフレキシブルな部品を採用する。これにより、各区間配索材11~13は、配索対象の車体形状に合わせた形状に構成される。
【0029】
また、本実施形態では、区間配索材11の一端側は制御ボックス21の接続部21aに結合され、区間配索材11の他端側は制御ボックス22の接続部22aに結合される。また、区間配索材12の一端側は制御ボックス21の接続部21bに結合され、区間配索材12の他端側は制御ボックス23の接続部23aに結合される。更に、区間配索材13の一端側は制御ボックス21の接続部21cに結合し、区間配索材13の他端側は制御ボックス24の接続部24aに結合される。これにより、各区間配索材11~13と各制御ボックス21~24とが一体化され、電気系統配索材10の全体が形成される。なお、それぞれの結合箇所については、コネクタのような電気接続部品を用いてもよいが、本実施形態では直接的に結合することが想定される。
【0030】
<直線形態幹線部品、屈曲形態幹線部品の外観>
図2(a)、及び
図2(b)は、それぞれ1つの直線形態幹線部品31、及び1つの屈曲形態幹線部品32の外観の例を示す斜視図である。
【0031】
図2(a)に示すように、直線形態幹線部品31は、1列に並べて互いに平行に配置された5本の線状の導電体31aと、それらの周囲を覆う固形絶縁被覆31bとで構成されている。5本の導電体31aのそれぞれは、例えば銅線のような金属の単線、又は細い多数の電線の集合体により構成される。また、5本の導電体31aは、少なくとも電源線、グランド線、及び2本の通信線を含んでいる。電源線、及びグランド線は、大きな電流の通過を許容できるように通信線と比べて断面積が大きくなっている。5本の導電体31aのうちの残りの1本は、例えばバックアップ用の電源線として利用できる。
【0032】
この直線形態幹線部品31は、例えば、各導電体31aすなわち芯線と、その周囲の固形絶縁被覆31bとを、押し出し成形により一体に成形し製造することができる。固形絶縁被覆31bは、一般的な外装材のコルゲートやプロテクタと同じ程度の十分な硬度を有し(金属よりは柔らかい)、全体の形状が変化しないソリッド部品になるように構成される。
【0033】
直線形態幹線部品31は、別の部品として用意された固定部品33を
図2(a)のように外側にかぶせることにより、車体の表面に沿って対向する状態で車体上に固定されるようになっている。
【0034】
図2(b)に示した屈曲形態幹線部品32は、直線形態幹線部品31の導電体31aと同じように、1列に並べて互いに平行に配置された5本の線状の導電体32aと、それらの周囲を覆う柔軟性絶縁被覆32bとで構成されている。
【0035】
5本の導電体32aのそれぞれは、銅線のような金属の単線、又は細い多数の電線の集合体により構成される。また、5本の導電体32aは、少なくとも電源線、グランド線、及び2本の通信線を含んでいる。電源線、及びグランド線は、大きな電流の通過を許容できるように通信線と比べて断面積が大きくなっている。5本の導電体32aのうちの残りの1本は、例えばバックアップ用の電源線として利用できる。
【0036】
この屈曲形態幹線部品32は、各導電体32aすなわち芯線と、その周囲の柔軟性絶縁被覆32bとを、押し出し成形により一体に成形し製造することができる。柔軟性絶縁被覆32bは、曲面や屈曲部の表面形状に沿うように形状を変形できる程度に十分な柔軟性を有する樹脂材料により構成され、形状がフレキシブルな部品になるように構成されている。一例として、柔軟性絶縁被覆32bは、ウレタンにより構成されている。なお、屈曲した部位の表面形状に合わせて配索する作業が容易になるように、屈曲形態幹線部品32は、基本形状が所定の屈曲状態、あるいは曲面を有する状態になるように例えば
図2(b)のように予め成形されていてもよい。
【0037】
図3は、電気系統配索材10上の各部位と設計用部品ライブラリ40上で選択される部品の種類との対応関係の例を示す斜視図である。
【0038】
図3に示した電気系統配索材10は、
図2(a)に示した直線形態幹線部品31、及び
図2(b)に示した屈曲形態幹線部品32を、予め用意された共通の部品として使用できる。設計用部品ライブラリ40は、直線形態幹線部品31に相当する複数種類の直線形態幹線部品L1、L2、L3と、屈曲形態幹線部品32に相当する複数種類の屈曲形態幹線部品C1、C2、C3とを含む予め登録された部品データを保持している。
【0039】
設計用部品ライブラリ40における複数種類の直線形態幹線部品L1、L2、L3は、例えば長さが互いに異なる。なお、設計用部品ライブラリ40には、電線の太さ(断面積)や、部品幅、部品の厚みなどが異なる複数種類の直線形態幹線部品31が登録されるようにしてもよい。
【0040】
また、設計用部品ライブラリ40における複数種類の屈曲形態幹線部品C1、C2、C3は、基本形状における屈曲パターン、屈曲方向、屈曲の曲率などの少なくとも1つが異なる部品としてそれぞれ登録される。なお、設計用部品ライブラリ40には、電線の太さ(断面積)や、部品幅、部品の厚みなどが異なる複数種類の屈曲形態幹線部品32が登録されるようにしてもよい。
【0041】
図3に示すように、電気系統配索材10上の配索経路上には、それぞれ長さが異なる直線状の部位と、凹凸などに対応した屈曲部位とが含まれている。したがって、電気系統配索材10は、領域毎に、車体形状に合わせて設計用部品ライブラリ40上の部品の中から直線形態幹線部品L1~L3のいずれか、又は屈曲形態幹線部品C1~C3のいずれかを適宜選択することにより、最適化された複数の部品の組み合わせとして構成されるようになっている。
【0042】
したがって、本実施形態では、設計用部品ライブラリ40上に用意された複数の部品の中から電気系統配索材10の領域毎に適切な部品を選択し、複数の部品を組み合わせるようにデータを処理する作業が、電気系統配索材10を設計することを意味する。また、作業者が設計時に選択する各部品の種類を変更することにより、様々な種類の車両に適合する構成の電気系統配索材10を設計することが可能である。
【0043】
図4(a)、及び
図4(b)は、それぞれ1つの区間配索材45の外観を示す分解斜視図、及び斜視図である。
図4(b)に示す区間配索材45は、
図4(a)のように複数の部品、すなわち直線形態幹線部品46、屈曲形態幹線部品47、直線形態幹線部品48、屈曲形態幹線部品49、及び直線形態幹線部品50を結合部45a、45b、45c、及び45dで互いに結合することにより、一体化した幹線として構成される。
【0044】
図4(a)、及び
図4(b)に示すように、各直線形態幹線部品46、48、及び50として互いに長さが異なる適切な直線形態幹線部品L1~L3が選択されることにより、長さの過不足が生じることなく、しかも部品数が最小になるように、車体の大きさに合わせた区間配索材45が構成される。また、各屈曲形態幹線部品47、49として互いに基本形状等が異なる適切な屈曲形態幹線部品C1、C2等を選択することで、車体の形状に合わせやすい区間配索材45が構成される。
【0045】
なお、各屈曲形態幹線部品C1~C3の形状はフレキシブルであるので、基本形状に比べて多少異なる形状の車体に対しても、区間配索材45の凹凸形状や曲面形状を合わせることが容易である。
【0046】
<電気系統配索材の設計手順>
図5は、本発明の実施形態に係る電気系統配索材の設計手順の例を示すフローチャートである。
電気系統配索材10の設計作業は、配索材設計支援装置を用いて行うことができる。図示しないが、配索材設計支援装置のハードウェアは、例えば一般的なパーソナルコンピュータと同様である。また、配索材設計支援装置は、一般的な設計支援(CAD)システムと同様のソフトウェアの他に、
図5に示した処理手順を実行するために必要なアプリケーションソフトウェアを搭載している。
【0047】
つまり、電気系統配索材10を設計する際には、設計者が上記の配索材設計支援装置を操作することにより、コンピュータに支援されながら
図5の処理手順が進行し、電気系統配索材10の設計データが得られる。
【0048】
図5の処理手順においては、配索材設計支援装置は以下に示すような設計情報テーブルTB1~TB4を利用する。また、設計したデータを保存するためにデータベースDB1を利用する。
TB1:配索対象物である車両の車体形状や寸法などの情報を保持
TB2:各制御ボックス(21~24)を設置する位置や接続位置の情報を保持
TB3:予め登録された屈曲形態幹線部品C1~C3等の部品ライブラリのデータを保持
TB4:予め登録された直線形態幹線部品L1~L3等の部品ライブラリのデータを保持
【0049】
以下、
図5の処理手順について説明する。この処理を実行するのは配索材設計支援装置のコンピュータ(以下、単にコンピュータと記載する)である。
コンピュータは、最初に対象車両情報を設計情報テーブルTB1から取得し(S11)、次に制御ボックス情報を設計情報テーブルTB2から取得する(S12)。
【0050】
次に、コンピュータは、接続区間毎の配索経路をS13でそれぞれ特定する。
例えば、
図1に示した電気系統配索材10を設計する場合には、制御ボックス21の接続部21aと制御ボックス22の接続部22aとの区間と、制御ボックス21の接続部21bと制御ボックス23の接続部23aとの区間と、制御ボックス21の接続部21cと制御ボックス24の接続部24aとの区間をそれぞれ接続する必要があるので、これらを特定する。また、各区間の端部の位置はS12で取得した制御ボックス情報に基づいて特定でき、各区間の途中の配索経路の位置や形状は、S11で取得した対象車両情報における各部の形状や寸法に基づいて特定できる。
【0051】
コンピュータは、各区間の途中の配索経路における比較的小さい領域毎に、それが直線領域と屈曲領域のいずれに属するのかをS14で識別する。すなわち、該当する配索経路の領域に凹凸や曲面などがなければ、配索材を曲げる必要はないので直線領域と認識し、凹凸や曲面などがあって配索材を曲げる必要がある領域では屈曲領域と認識する。
【0052】
コンピュータは、屈曲領域と認識した場合には、S15からS16に進み、可変屈曲部品の選定を実行する。例えば、設計情報テーブルTB3に登録されている複数の屈曲形態幹線部品C1~C3の中から該当する領域の形状に最も適した部品を自動的に選択するか、又は選択候補の部品を画面上に表示して設計者による選択入力を受け付けて、その領域に割り当てる部品の種類を決定する。
【0053】
コンピュータは、直線領域と認識した場合には、S15からS17に進み、ソリッド直線部品の選定を実行する。例えば、設計情報テーブルTB4に登録されている複数の直線形態幹線部品L1~L3の中から該当する領域の長さに最も適した部品を自動的に選択するか、又は候補の部品を画面上に表示して設計者による選択入力を受け付けて、その領域に割り当てる部品の種類を決定する。
【0054】
コンピュータは、それぞれの区間の一端から他端までを接続するために必要な全ての部品の選択が終了したか否かをS18で識別し、終了していなければS14以降の処理を繰り返し実行する。
【0055】
コンピュータは、1つの区間について一端から他端までを接続するために必要な全ての部品の選択が終了した場合は、S19で該当する区間の配索材の構成、すなわち領域毎の部品の種類、接続順、接続位置などの設計データを決定し、その結果をデータベースDB1に登録する。
【0056】
例えば、コンピュータは、
図1に示した接続部21aと接続部22aとの間の区間についてS13~S19の処理を実行した場合には、区間配索材11を構成する各配索部品11a~11iをそれぞれ選択してそれらを順番に結合した状態の区間配索材11の設計データを作成できる。
【0057】
また、コンピュータは、決定した区間毎の配索材の構成を表す設計データをS20で画面上に表示し、設計者は、画面上で問題が無いかどうかを確認できる。
コンピュータは、電気系統配索材10を構成するために必要な全ての区間について設計データの作成が終了したか否かをS21で識別する。終了していなければ、S13以降の処理を再び繰り返す。終了した場合には、完成した全ての設計データをデータベースDB1上で保存する(S22)。
【0058】
例えば、
図1の電気系統配索材10を設計する場合には、区間配索材11、12、及び13のそれぞれを構成する各部品とそれらの接続関係を表すデータと、各制御ボックス21~24の位置及び各区間配索材11、12、及び13との接続状態を表す設計データが得られる。
【0059】
図6は、
図5中の設計情報テーブルTB2~TB4における制御ホックス情報、可変屈曲部品ライブラリ、及びソリッド直線部品ライブラリの構成例を示す模式図である。
図6に示した設計情報テーブルTB2の制御ボックス情報は、複数の制御ボックスのそれぞれについて、ボックスID、設置位置、第1接続位置、第2接続位置、及び第3接続位置の情報を個別に管理できるように構成されている。
【0060】
また、
図6に示した設計情報テーブルTB3の可変屈曲部品ライブラリは、複数の屈曲形態幹線部品のそれぞれについて、部品種類、基本形状、寸法、及び可変範囲の情報を管理できるように構成されている。
【0061】
また、
図6に示した設計情報テーブルTB4のソリッド直線部品ライブラリは、複数の直線形態幹線部品のそれぞれについて、部品種類、長さ、幅、及び厚みの情報を管理できるように構成されている。
【0062】
なお、
図6に示した情報の他に、例えばライブラリの各部品は、外装の硬さの情報や、各部品の導電体(芯線)寸法の情報を把握できるように管理してもよい。例えば、上位車種の場合は電装品の数が増えて消費電流の最大値や平均値が大きくなることが予想されるので、配索材を設計する際に電源線の芯線が太い部品や、幅が大きい部品を優先的に選択することが想定される。
【0063】
図7は、設計及び製造された電気系統配索材の納品形態における外観の例を示す斜視図である。
図7に示した電気系統配索材10Aは、例えば
図1に示した電気系統配索材10を製造した後で、変形が可能な屈曲形態幹線部品C1~C3を採用している複数の箇所で折り畳むことにより形成できる。
【0064】
図7に示した電気系統配索材10Aは、
図1に示した電気系統配索材10と比べてコンパクトな形状になっている。したがって、部品メーカが電気系統配索材10Aを車両メーカに納品する際に、輸送に伴う取り扱いが容易になる。また、占有する空間が小さくなるので同時に大量の輸送が可能であり、輸送コストの低減が可能になる。車両メーカにおいては、電気系統配索材10Aをフレキシブルな屈曲形態幹線部品C1~C3の箇所で展開することにより、
図1のような電気系統配索材10の形状に復元することができる。そして形状が復元された電気系統配索材10を車両に配索することができる。
【0065】
以上のように、本実施形態に係る電気系統配索材10は、大部分が形状や大きさの変化しないソリッド部品で構成されるので、これを設計する際に、これを車両に搭載する際の配索経路、及び占有する空間を決めることができる。つまり、電気系統配索材10を実際に製造する前の設計の段階で、これを配索する場所(車体上で占有する空間)を予約することができる。
【0066】
また、車種の違う複数の車両や、車両メーカが異なる複数の車両などに搭載する様々な種類の電気系統配索材10を、事前に用意した共通の部品(L1~L3、C1~C3)だけで設計及び製造できるので、共通化によるコスト削減の効果が高くなる。更に、共通の部品(L1~L3、C1~C3)のデータを事前に登録したライブラリを用いて
図5のような設計手順を実行することにより、設計者の設計にかかる工数を大幅に削減できる。
【0067】
また、事前に用意した共通の部品(L1~L3、C1~C3)を用いて様々な種類の電気系統配索材10を製造できるので、部品メーカが車両メーカから電気系統配索材10を受注する前であっても共通の部品だけを先に製造しておくことが可能になり、受注から出荷までの期間を大幅に短縮可能であり、出荷する製品に使用されない無駄な部品の在庫が増えるのを避けることもできる。
【0068】
ここで、上述した本発明の実施形態に係る配索材設計方法、配索材設計支援装置、及び電気系統配索材の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 電源線及び通信線を含む電気系統幹線接続用の配索材を配索対象物の所望の部位に配置する状態を決定するための配索材設計方法であって、
電源線及び通信線を含む複数種類の屈曲形態幹線部(屈曲形態幹線部品32)と、電源線及び通信線を含む複数種類の直線形態幹線部(直線形態幹線部品31)とを予め用意し、
前記配索対象物上の平面領域において、前記複数種類の直線形態幹線部からいずれか1つを少なくとも1回選択し(S17)、
前記配索対象物上で凹凸又は曲面が存在する屈曲領域において、対象領域の屈曲形状に応じて、前記複数種類の屈曲形態幹線部からいずれか1つを少なくとも1回選択し(S16)、
選択された1つ又は複数の前記直線形態幹線部と、選択された1つ又は複数の前記屈曲形態幹線部とを互いに結合して電気系統幹線の少なくとも主要部位を構成する(S21、S22)、
ことを特徴とする配索材設計方法。
【0069】
[2] 前記複数種類の直線形態幹線部として、事前に形状が固定され少なくとも長手方向の寸法が異なる複数種類の構成要素(直線形態幹線部品L1~L3)が予め用意され(設計情報テーブルTB4)、
前記複数種類の屈曲形態幹線部として、それぞれの形状変更が可能で基本形状が互いに異なる複数種類の構成要素(屈曲形態幹線部品C1~C3)が予め用意され(設計情報テーブルTB3)、
前記配索対象物上の領域毎の形状及び寸法の情報と、各前記直線形態幹線部の長手方向の寸法と、各前記屈曲形態幹線部の基本形状とに基づいて、前記配索対象物上の領域毎に、複数種類の前記直線形態幹線部、又は複数種類の前記屈曲形態幹線部のいずれか1つを選択する(S14~S17)、
ことを特徴とする上記[1]に記載の配索材設計方法。
【0070】
[3] 電源線及び通信線を含む電気系統幹線接続用の配索材を配索対象物の所望の部位に配置する状態を決定するための配索材設計支援装置であって、
予め用意された複数種類の屈曲形態幹線部の情報を取得する第1の情報取得部(設計情報テーブルTB3)と、
予め用意された複数種類の直線形態幹線部の情報を取得する第2の情報取得部(設計情報テーブルTB4)と、
前記配索対象物上の各領域の形状及び寸法の情報を取得する第3の情報取得部(S11)と、
前記配索対象物上の平面領域において、前記複数種類の直線形態幹線部からいずれか1つの選択入力を少なくとも1回受け付ける第1の選択入力部(S17)と、
前記配索対象物上で凹凸又は曲面が存在する屈曲領域において、対象領域の屈曲形状に応じて前記複数種類の屈曲形態幹線部からいずれか1つの選択入力を少なくとも1回受け付ける第2の選択入力部(S16)と、
選択された1つ又は複数の前記直線形態幹線部と、選択された1つ又は複数の前記屈曲形態幹線部との結合により電気系統幹線(10)の少なくとも主要部位の構成を決定する構成決定部(S19~S22)と、
を備えることを特徴とする配索材設計支援装置。
【0071】
[4] それぞれが電源線及び通信線を含み、予め用意された複数種類の屈曲形態幹線部の中から選択された1つ以上の特定の屈曲形態幹線部(47、49)と、
それぞれが電源線及び通信線を含み、予め用意された複数種類の直線形態幹線部の中から選択された1つ以上の特定の直線形態幹線部(46、48、50)と、
前記特定の屈曲形態幹線部と、前記特定の直線形態幹線部とを互いに結合する幹線結合部(結合部45a~45d)と、
を備え、
前記複数種類の直線形態幹線部は、事前に形状が固定され少なくとも長手方向の寸法が異なる複数種類の構成要素(直線形態幹線部品L1~L3)として構成され、
前記複数種類の屈曲形態幹線部は、それぞれの形状変更が可能で基本形状が互いに異なる複数種類の構成要素(屈曲形態幹線部品C1~C3)として構成され、
配索対象物上の領域毎の形状及び寸法と、各前記直線形態幹線部の長手方向の寸法と、各前記屈曲形態幹線部の基本形状とに基づいて、前記配索対象物上の領域毎に、前記特定の屈曲形態幹線部、又は前記特定の屈曲形態幹線部が選択される(S14~S17)、
ことを特徴とする電気系統配索材。
【符号の説明】
【0072】
10,10A 電気系統配索材
11,12,13 区間配索材
11a,11b,11c,11d,11e,11f,11g,11h,11i 配索部品
21,22,23,24 制御ボックス
21a,21b,21c,22a,23a,24a 接続部
31,L1,L2,L3 直線形態幹線部品
31a 導電体
31b 固形絶縁被覆
32,C1,C2,C3 屈曲形態幹線部品
32a 導電体
32b 柔軟性絶縁被覆
33 固定部品
40 設計用部品ライブラリ
45 区間配索材
45a,45b,45c,45d 結合部
46,48,50 直線形態幹線部品
47,49 屈曲形態幹線部品
TB1,TB2,TB3,TB4 設計情報テーブル
DB1 データベース