(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
B66C 23/26 20060101AFI20241202BHJP
B66C 23/84 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
B66C23/26 G
B66C23/84 Z
(21)【出願番号】P 2021025354
(22)【出願日】2021-02-19
【審査請求日】2024-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000140719
【氏名又は名称】株式会社加藤製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 光也
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-194064(JP,A)
【文献】実開平04-109990(JP,U)
【文献】米国特許第04248488(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/26
B66C 23/84
E02F 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、前記車体フレームに固定される固定ブロックと、を備える走行車体と、
旋回テーブルを備え、鉛直方向に沿う旋回軸の軸回りに前記走行車体に対して旋回可能な状態で、前記車体フレームの上面に設置される旋回体と、
前記旋回軸の前記軸回りに旋回可能な状態で前記旋回テーブルが取付けられ、鉛直上側に移動可能な第1の位置と前記鉛直上側への移動が規制される第2の位置との間で前記車体フレームに対して前記旋回軸の前記軸回りに回動可能な状態で、前記車体フレームの前記上面に取付けられる可動リングであって、前記旋回軸の前記軸回りに互いに対して離れた位置で外周側に突出する一対の可動ブロックを備えるとともに、前記一対の可動ブロックの間に前記外周側へ開口する空間が形成され、前記空間に前記固定ブロックが配置される状態で、前記車体フレームに取付けられる可動リングと、
前記可動リングが前記第2の位置に位置する状態において、前記一対の可動ブロックの間の前記空間に前記外周側から挿入可能であり、前記固定ブロックと一緒に前記一対の可動ブロックの間で挟まれることにより、前記旋回軸の前記軸回りについての前記第2の位置からの前記可動リングの回動を規制する挿入ブロックと、
を具備
し、
前記挿入ブロックは、長さ方向の一方側の端を形成する第1の端面と、前記長さ方向について前記第1の端面とは反対側の端を形成する第2の端面と、を備え、
前記挿入ブロックは、前記長さ方向に交差する幅方向の寸法が前記第1の端面から前記第2の端面に向かうにつれて減少するテーパ形状に形成され、
前記挿入ブロックは、前記第2の位置に位置する前記可動リングの前記一対の可動ブロックの間の前記空間に、前記幅方向が前記旋回軸の前記軸回りに沿い、かつ、前記第2の端面が前記第1の端面に対して前記外周側に位置する状態で、挿入される、
建設機械。
【請求項2】
前記固定ブロックは、前記可動リングが前記第2の位置に位置する状態において、前記一対の可動ブロックの一方である第1の可動ブロックと隣接し、
前記挿入ブロックは、前記可動リングが前記第2の位置に位置する状態において、前記一対の可動ブロックの前記第1の可動ブロックとは別の一方である第2の可動ブロックと前記固定ブロックとの間に挿入可能である、
請求項1の建設機械。
【請求項3】
前記走行車体は、前記車体フレームの前記上面に固定されるとともに、前記旋回体が前記車体フレームに設置された状態において前記旋回軸を囲む固定リングを備え、
前記可動リングは、前記固定リングに外周側から隣接する状態で、前記車体フレームに取付けられ、
前記可動リングが前記第2の位置に位置する状態において、前記固定リングが前記鉛直上側から前記可動リングに当接することにより、前記可動リングの前記鉛直上側への移動が規制される、
請求項
1又は2の建設機械。
【請求項4】
前記可動リングは、内周側へ突出する可動側突起を備え、
前記固定リングは、前記外周側へ突出する固定側突起を備え、
前記可動リングが前記第1の位置に位置する状態では、前記可動側突起は、前記旋回軸の軸回りについて、前記固定側突起からずれて位置し、
前記可動リングが前記第2の位置に位置する状態では、前記可動側突起は、前記固定側突起に対して鉛直下側に隣接し、前記固定側突起が前記鉛直上側から前記可動側突起に当接することにより、前記可動リングの前記鉛直上側への移動が規制される、
請求項
3の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鉛直方向に沿う旋回軸の軸回りに走行車体に対して旋回可能な状態で旋回体が走行車体の車体フレームの上面に設置されるクレーンが、建設機械として開示されている。このような建設機械では、旋回体が走行車体とは別体で作業現場に運搬され、作業現場において旋回体を車体フレームに設置する作業を行うことがある。車体フレームから旋回体を取外し可能な建設機械では、旋回体の旋回テーブルが、旋回ベアリング等を間に介して可動リングに取付けられ、旋回テーブルが、旋回軸の軸回りに旋回可能な状態で、可動リングに取付けられる。
【0003】
旋回体を車体フレームに設置する作業では、可動リングを、車体フレームの上面に取付ける。この際、可動リングは、鉛直上側に移動可能な第1の位置と鉛直上側への移動が規制される第2の位置との間で車体フレームに対して旋回軸の軸回りに回動可能な状態で、車体フレームに取付けられる。そして、可動リングを第1の位置から第2の位置へ回動させ、第2の位置において旋回軸の軸回りについての可動リングの回動を規制することにより、可動リングが車体フレームに固定される。可動リングが車体フレームに固定されることにより、旋回モータの駆動によって旋回体が走行車体に対して旋回する状態になり、旋回体が車体フレームに設置される。また、前述した手順と逆の手順で作業を行うことにより、旋回体が車体フレームから取外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1のような建設機械では、旋回体を走行車体の車体フレームに設置する作業、及び、旋回体を車体フレームから取外す作業が容易かつ迅速に行われることが、求められている。
【0006】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、旋回体を走行車体の車体フレームに設置する作業、及び、旋回体を車体フレームから取外す作業を容易かつ迅速に行うことが可能な建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明のある態様の建設機械は、車体フレームと、前記車体フレームに固定される固定ブロックと、を備える走行車体と、旋回テーブルを備え、鉛直方向に沿う旋回軸の軸回りに前記走行車体に対して旋回可能な状態で、前記車体フレームの上面に設置される旋回体と、前記旋回軸の前記軸回りに旋回可能な状態で前記旋回テーブルが取付けられ、鉛直上側に移動可能な第1の位置と前記鉛直上側への移動が規制される第2の位置との間で前記車体フレームに対して前記旋回軸の前記軸回りに回動可能な状態で、前記車体フレームの前記上面に取付けられる可動リングであって、前記旋回軸の前記軸回りに互いに対して離れた位置で外周側に突出する一対の可動ブロックを備えるとともに、前記一対の可動ブロックの間に前記外周側へ開口する空間が形成され、前記空間に前記固定ブロックが配置される状態で、前記車体フレームに取付けられる可動リングと、 前記可動リングが前記第2の位置に位置する状態において、前記一対の可動ブロックの間の前記空間に前記外周側から挿入可能であり、前記固定ブロックと一緒に前記一対の可動ブロックの間で挟まれることにより、前記旋回軸の前記軸回りについての前記第2の位置からの前記可動リングの回動を規制する挿入ブロックと、を備え、前記挿入ブロックは、長さ方向の一方側の端を形成する第1の端面と、前記長さ方向について前記第1の端面とは反対側の端を形成する第2の端面と、を備え、前記挿入ブロックは、前記長さ方向に交差する幅方向の寸法が前記第1の端面から前記第2の端面に向かうにつれて減少するテーパ形状に形成され、前記挿入ブロックは、前記第2の位置に位置する前記可動リングの前記一対の可動ブロックの間の前記空間に、前記幅方向が前記旋回軸の前記軸回りに沿い、かつ、前記第2の端面が前記第1の端面に対して前記外周側に位置する状態で、挿入される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、旋回体を走行車体の車体フレームに設置する作業、及び、旋回体を車体フレームから取外す作業を容易かつ迅速に行うことが可能な建設機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るクレーンを示す概略図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るクレーンにおいて車体フレームと旋回体との連結部分の構造を、旋回テーブルを省略して示す斜視図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係るクレーンにおいて可動リングが第1の位置に位置する状態での車体フレームと旋回体との連結部分の構造を、旋回テーブルを省略し、かつ、鉛直上側から視た状態で示す平面図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係るクレーンにおいて可動リングが第2の位置に位置する状態での車体フレームと旋回体との連結部分の構造を、旋回テーブルを省略し、かつ、鉛直上側から視た状態で示す平面図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係るクレーンにおいて可動リングが第1の位置に位置する状態での車体フレームと旋回体との連結部分の構造を、旋回テーブル及び旋回ベアリングを省略し、かつ、鉛直上側から視た状態で示す平面図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係るクレーンにおいて可動リングが第2の位置に位置する状態での車体フレームと旋回体との連結部分の構造を、旋回テーブル及び旋回ベアリングを省略し、かつ、鉛直上側から視た状態で示す平面図である。
【
図7】
図7は、
図4のA1-A1線に沿った断面を示す断面図である。
【
図8】
図8は、
図5においてある1つの突出板及びその近傍の範囲を拡大して示す平面図である。
【
図9】
図9は、
図6においてある1つの突出板及びその近傍の範囲を拡大して示す平面図である。
【
図10】
図10は、
図7においてある1つの突出板及びその近傍の範囲を拡大して示す断面図である。
【
図11】
図11は、第1の実施形態に係るクレーンの車体フレームと旋回体との連結部分において、ある1つの突出板及びその近傍の構成を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、第1の実施形態に係るクレーンの車体フレームと旋回体との連結部分において、ある1つの突出板及びその近傍の構成を、一対の可動ブロックの間で固定ブロック及び挿入ブロックが挟まれ、かつ、鉛直上側から視た状態で示す平面図である。
【
図13】
図13は、第1の実施形態に係るクレーンの車体フレームと旋回体との連結部分において、ある1つの突出板及びその近傍の構成を、一対の可動ブロックの間の空間に挿入ブロックが挿入され、かつ、鉛直上側から視た状態で示す平面図である。
【
図14】
図14は、第1の実施形態に係るクレーンの車体フレームと旋回体との連結部分において、
図11乃至
図13の突出板とは別のある1つの突出板及びその近傍の構成を、鉛直上側から視た状態で示す平面図である。
【
図15】
図15は、第1の実施形態に係るクレーンに設けられるある1つの挿入ブロックの構成を示す斜視図である。
【
図16】
図16は、第1の変形例に係るクレーンの車体フレームと旋回体との連結部分において、ある1つの突出板及びその近傍の構成を示す斜視図である。
【
図17】
図17は、第2の変形例に係るクレーンの車体フレームと旋回体との連結部分において、ある1つの突出板及びその近傍の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、建設機械の一例として、第1の実施形態に係るクレーン1を示す。
図1に示すように、クレーン1は、走行車体2及び旋回体3を備える。走行車体2は、運転室5及び車体フレーム6を備える。また、走行車体2では、車体フレーム6に二対のアウトリガ7が取付けられる。クレーン1を用いた作業時には、アウトリガ7を地盤に当接させることにより、クレーン1を支える。旋回体3は、走行車体2の車体フレーム6の上面に、鉛直上側から設置される。旋回体3は、鉛直方向(矢印Z1及び矢印Z2で示す方向)に沿う旋回軸Pの軸回りに走行車体2に対して旋回可能な状態で、前記車体フレーム6に設置される。本実施形態では、旋回体3は、車体フレーム6から取外し可能である。
【0012】
なお、
図1では、走行車体2の前方側(矢印X1側)が旋回体3の後方側と一致又は略一致し、かつ、走行車体2の後方側(矢印X2側)が旋回体3の前方側と一致又は略一致する状態で、示される。また、
図1では、紙面に対して直交する方向が、走行車体2の幅方向及び旋回体3の幅方向のそれぞれと、一致又は略一致する。
【0013】
旋回体3は、旋回テーブル11及び操作室12を備える。旋回体3では、旋回テーブル11の上面に、操作室12が設置される。また、クレーン1では、旋回体3にブーム13の基端部が連結される。ブーム13は、旋回体3に対して起伏可能であるとともに、旋回体3と一緒に旋回軸Pの軸回り旋回可能である。
図1の一例では、ブーム13は、長手方向に伸縮可能である。クレーン1を用いた作業時には、メインフック8及びサブフック14のいずれかをブーム13の先端部から吊下げる等して、作業が行われる。
【0014】
図2乃至
図7は、車体フレーム6と旋回体3との連結部分の構造を示す。
図2乃至
図7に示すように、車体フレーム6と旋回体3との連結部分には、旋回ベアリング15及び可動リング16が設けられる。旋回ベアリング15及び可動リング16は、旋回体3と一緒に車体フレーム6に設置され、旋回体3と一緒に車体フレーム6から取外される。可動リング16は、旋回ベアリング15を間に介して、旋回体3の旋回テーブル11に取付けられる。また、旋回ベアリング15及び可動リング16のそれぞれは、旋回軸Pを囲むリング状に形成され、旋回軸Pの軸回り(周方向)に沿って延設される。
【0015】
ここで、
図2は、斜視図であり、
図3乃至
図6は、鉛直上側から視た状態を示す。また、
図2乃至
図4では、旋回テーブル11を省略して示し、
図5及び
図6では、旋回テーブル11及び旋回ベアリング15を省略して示す。また、
図7は、
図4のA1-A1線に沿った断面を示し、旋回テーブル11及び旋回ベアリング15が示される。旋回ベアリング15は、内輪17及び外輪18を備える。旋回ベアリング15では、外輪18が外周側から内輪17に隣接し、外輪18は、旋回軸Pの軸回りに、内輪に対して旋回可能である。
【0016】
図2乃至
図7等に示すように、本実施形態では、旋回テーブル11が、複数のボルト21を介して、旋回ベアリング15の内輪17に固定され、可動リング16が、複数のボルト22を介して、旋回ベアリング15の外輪18に固定される。このため、旋回テーブル11は、旋回軸Pの軸回りに旋回可能な状態で、可動リング16に取付けられる。なお、旋回テーブル11は、内輪17に鉛直上側から隣接する状態で、内輪17に固定され、可動リング16は、外輪18に鉛直下側から隣接する状態で、外輪18に固定される。また、本実施形態では、ボルト21,22の中心軸は、鉛直方向に沿い、ボルト22は、ボルト21に対して外周側に配置される。また、旋回テーブル11と旋回ベアリング15との接続部分では、複数のボルト21が旋回軸Pの軸回りに沿って並んで配置され、可動リング16と旋回ベアリング15との接続部分では、複数のボルト22が旋回軸Pの軸回りに沿って並んで配置される。
【0017】
また、本実施形態では、旋回ベアリング15の外輪18の外周面に、ギア部23が形成される。ギア部23は、旋回軸Pの軸回りに沿って形成され、旋回軸Pの軸回り(周方向)について全周に渡って形成される。外輪18のギア部23には、ピニオンギア(図示しない)が噛み合う。旋回モータ(図示しない)が駆動された場合、旋回モータからの駆動力は、ピニオンギアを介して、旋回ベアリング15に伝達される。可動リング16が後述のようにした車体フレーム6の上面に固定され、旋回体3が車体フレーム6に設置された状態では、旋回モータの駆動によって旋回ベアリング15に駆動力が伝達されることにより、旋回テーブル11を含む旋回体3は、走行車体2及び可動リング16に対して、旋回軸Pの軸回りに旋回する。なお、ピニオンギア及び旋回モータは、旋回体3及び可動リング16等と一緒に、車体フレーム6に設置される。
【0018】
図8は、
図5の一部の範囲を拡大して示し、
図9は、
図6の一部の範囲を拡大して示す。そして、
図10は、
図7の一部の範囲を拡大して示す。
図5乃至
図10等に示すように、車体フレーム6の上面には、固定リング25が固定される。固定リング25は、リング状に形成される。旋回体3が車体フレーム6に設置された状態では、固定リング25は、旋回軸Pを外周側から囲む。また、可動リング16は、固定リング25に外周側から隣接する状態で、車体フレーム6に取付けられる。
【0019】
可動リング16の内周面には、複数の可動側突起26及び複数の可動側溝27が形成される。可動側突起26のそれぞれは、内周側へ突出し、可動側溝27のそれぞれは、外周側へ凹む。可動リング16の内周面では、周方向(旋回軸Pの軸回り)に沿って可動側突起26及び可動側溝27が交互に形成され、可動側突起26及び可動側溝27によって、周方向に沿った凸凹形状部分が形成される。本実施形態では、可動リング16において、周方向の全周に渡って、可動側突起26及び可動側溝27による凸凹形状部分が形成される。
【0020】
また、固定リング25の外周面には、複数の固定側突起31及び複数の固定側溝32が形成される。固定側突起31のそれぞれは、外周側へ突出し、固定側溝32のそれぞれは、内周側へ凹む。固定リング25の外周面では、周方向に沿って固定側突起31及び固定側溝32が交互に形成され、固定側突起31及び固定側溝32によって、周方向に沿った凸凹形状が形成される。本実施形態では、固定リング25において、周方向の全周に渡って、固定側突起31及び固定側溝32による凸凹形状部分が形成される。
【0021】
可動リング16が車体フレーム6に取付けられた状態では、可動側突起26及び可動側溝27による凸凹形状部分は、鉛直方向について、車体フレーム6の上面と固定側突起31及び固定側溝32による凸凹形状部分との間に位置する。したがって、可動側突起26及び可動側溝27による凸凹形状部分が固定側突起31及び固定側溝32による凸凹形状部分に鉛直下側から隣接する状態で、可動リング16が車体フレーム6に取付けられる。
【0022】
可動リング16では、周方向(旋回軸Pの軸回り)についての複数の可動側突起26の寸法が、互いに対して同一又は略同一になり、周方向についての複数の可動側溝27の寸法が、互いに対して同一又は略同一になる。また、固定リング25では、周方向についての複数の固定側突起31の寸法が、互いに対して同一又は略同一になり、周方向についての複数の固定側溝32の寸法が、互いに対して同一又は略同一になる。可動リング16の周方向についての可動側突起26のそれぞれの寸法は、固定リング25の周方向についての固定側突起31のそれぞれの寸法と、同一又は略同一になり、可動リング16の周方向についての可動側溝27のそれぞれの寸法は、固定リング25の周方向についての固定側溝32のそれぞれの寸法と、同一又は略同一になる。そして、可動リング16の周方向についての可動側突起26のそれぞれの寸法、及び、固定リング25の周方向についての固定側突起31のそれぞれの寸法は、可動リング16の周方向についての可動側溝27のそれぞれの寸法、及び、固定リング25の周方向についての固定側溝32のそれぞれの寸法に比べて小さい。
【0023】
車体フレーム6には、2つ突出板33が固定される。突出板33のそれぞれは、固定リング25の外周側へ、車体フレーム6から突出する。2つの突出板33は、固定リング25の周方向について、互いに対して離れて配置され、本実施形態では、固定リング25の周方向について、互いに対して180°又は略180°離れて配置される。旋回ベアリング15及び可動リング16が車体フレーム6に取付けられた状態では、突出板33のそれぞれは、旋回ベアリング15の外輪18に対して、外周側に(旋回軸Pから離れる側)に突出する。
【0024】
ここで、
図8乃至
図10では、2つの突出板33の一方である突出板33A及びその近傍の範囲が拡大して示される。また、
図11乃至
図13は、車体フレーム6と旋回体3との連結部分において、一方の突出板33A及びその近傍の構成を示し、
図14は、車体フレーム6と旋回体3との連結部分において、2つの突出板33の中で突出板33Aとは別の一方である突出板33B及びその近傍の構成を示す。
図11は、斜視図であり、
図12乃至
図14では、鉛直上側から視た状態が示される。また、
図12及び
図14では、一部を、鉛直方向に直交又は略直交する断面で示す。
【0025】
図2乃至
図14等に示すように、突出板33のそれぞれには、固定ブロック35及びガイド孔36が形成される。突出板33のそれぞれでは、固定ブロック35は、鉛直上側に突出する。また、固定ブロック35のそれぞれは、車体フレーム6に対して固定される。突出板33のそれぞれでは、ガイド孔36は、鉛直上側を向く面から鉛直下側を向く面まで貫通する。そして、突出板33のそれぞれでは、ガイド孔36は、固定リング25の周方向についての寸法が大きい長孔形状に、形成される。旋回ベアリング15及び可動リング16が車体フレーム6に取付けられた状態では、固定ブロック35及びガイド孔36のそれぞれは、旋回ベアリング15の外輪18に対して、外周側に位置する。なお、固定ブロック35の中で突出板33Aに形成される一方を固定ブロック35Aとし、固定ブロック35の中で突出板33Bに形成される一方を固定ブロック35Bとする。
【0026】
また、可動リング16には、二対の可動ブロック37,38が形成される。可動ブロック37,38のそれぞれは、可動リング16の外周側へ(旋回軸Pから離れる側へ)、可動リング16において突出する。また、可動ブロック37,38のそれぞれは、旋回ベアリング15の外輪18に対して、外周側へ突出する。ここで、二対の可動ブロック37,38の中の一対を可動ブロック37A,38Aとし、二対の可動ブロック37,38の中で可動ブロック37A,38Aとは別の一対を可動ブロック37B,38Bとする。可動ブロック37B,38Bは、可動リング16の周方向(旋回軸Pの軸回り)について、可動ブロック37A,38Aに対して離れて配置され、本実施形態では、可動リング16の周方向について、可動ブロック37A,38Aに対して180°又は略180°離れて配置される。
【0027】
また、一対の可動ブロック37A,38Aは、旋回軸Pの軸回り(周方向)について、互いに対して離れて配置され、可動ブロック37A,38Aの間には、外周側へ開口する空間40が形成される。同様に、一対の可動ブロック37B,38Bは、旋回軸Pの軸回り(周方向)について、互いに対して離れて配置され、可動ブロック37B,38Bの間には、外周側へ開口する空間40が形成される。前述のような構成であるため、旋回軸Pに沿う方向(鉛直方向)からの可動リング16の投影では、一対の可動ブロック37A,38A及びその近傍部分によってU字形状又は略U字形状が形成され、一対の可動ブロック37B,38B及びその近傍部分によってU字形状又は略U字形状が形成される。
【0028】
可動リング16が車体フレーム6に取付けられた状態では、可動ブロック37A,38Aは、旋回軸Pの軸回りについて、突出板33Aが配置される範囲に位置し、可動ブロック37B,38Bは、旋回軸Pの軸回りについて、突出板33Bが配置される範囲に位置する。また、可動リング16が車体フレーム6に取付けられた状態では、固定ブロック35Aは、一対の可動ブロック37A,38Aの間の空間40に位置し、突出板33Bの固定ブロック35Bは、一対の可動ブロック37B,38Bの間の空間40に位置する。可動リング16が車体フレーム6に取付けられた状態では、可動ブロック37Aは、ガイドピン41を介して、突出板33Aに鉛直上側から接続され、可動ブロック37Bは、ガイドピン41を介して、突出板33Bに鉛直上側から接続される。そして、突出板33A,33Bのそれぞれのガイド孔36に、ガイドピン41が鉛直上側から挿入される。
【0029】
可動リング16が車体フレーム6に取付けられた状態では、突出板33のそれぞれのガイド孔36において、ガイドピン41は、旋回軸Pの軸回り(周方向)に移動可能である。このため、可動リング16が車体フレーム6に取付けられた状態では、可動リング16は、車体フレーム6、固定リング25及び突出板33に対して、旋回軸Pの軸回りに回動可能である。この際、可動リング16は、旋回軸Pの軸回りについてのガイド孔36の寸法に対応する回動角度だけ回動可能であり、第1の位置と第2の位置との間の範囲で回動可能である。
図3、
図5、
図8及び
図11では、可動リング16が第1の位置に位置する状態が示され、
図2、
図4、
図6、
図7、
図9、
図10、
図12、
図13、
図14では、可動リングが第2の位置に位置する状態が示される。
【0030】
なお、可動リング16が回動可能な回動角度は、小さく、固定リング25において互いに対して隣り合う固定側突起31と固定側溝32との間の周方向についての角度に相当する。また、可動リング16は、旋回モータからの駆動力が旋回ベアリング15に伝達されることにより、回動する。この際、可動リング16は、車体フレーム6及び固定リング25に対して、旋回軸Pの軸回りに回動するとともに、旋回テーブル11に対して、旋回軸Pの軸回りに回動する。
【0031】
可動リング16が第1の位置に位置する状態では、可動側突起26のそれぞれは、固定側溝32の対応する1つに対して鉛直下側に隣接し、旋回軸Pの軸回りについて固定側突起31のいずれからもずれて配置される。このため、可動リング16が第1の位置に位置する状態では、可動側突起26のそれぞれは、固定側溝32の対応する1つを通って鉛直上側に移動可能になり、可動リング16は、車体フレーム6及び固定リング25に対して、鉛直上側へ移動可能となる。したがって、可動リング16が第1の位置に位置する状態では、可動リング16を鉛直上側へ移動させることにより、旋回体3は、旋回ベアリング15及び可動リング16と一緒に車体フレーム6から取外し可能である。
【0032】
一方、可動リング16が第2の位置に位置する状態では、可動側突起26のそれぞれは、固定側突起31の対応する1つに対して鉛直下側に隣接し、旋回軸Pの軸回りについて固定側溝32のいずれからもずれて配置される。そして、可動リング16が第2の位置に位置する状態では、固定側突起31のそれぞれは、可動側突起26の対応する1つに鉛直上側から当接し、固定リング25が可動リング16に鉛直上側から当接する。このため、可動リング16が第2の位置に位置する状態では、可動リング16の鉛直上側への移動が規制され、旋回体3及び旋回ベアリング15の鉛直上側への移動が規制される。
【0033】
また、可動リング16が第1の位置に位置する状態では、一対の可動ブロック37A,38Aの間の空間40において、固定ブロック35Aは、旋回軸Pの軸回りについて、可動ブロック37A,38Aの両方からある程度離れて位置する。ある一例では、可動リング16が第1の位置に位置する状態において、旋回軸Pの軸回りについての可動ブロック37Aと固定ブロック35Aとの間の間隔が、旋回軸Pの軸回りについての可動ブロック38Aと固定ブロック35Aとの間の間隔と、同一又は略同一になる。そして、可動リング16が第1の位置に位置する状態では、一対の可動ブロック37B,38Bの間の空間40において、固定ブロック35Bは、旋回軸Pの軸回りについて、可動ブロック37B,38Bの両方からある程度離れて位置する。ある一例では、可動リング16が第1の位置に位置する状態において、旋回軸Pの軸回りについての可動ブロック37Bと固定ブロック35Bとの間の間隔が、旋回軸Pの軸回りについての可動ブロック38Bと固定ブロック35Bとの間の間隔と、同一又は略同一になる。
【0034】
一方、可動リング16が第2の位置に位置する状態では、一対の可動ブロック37A,38Aの間の空間40において、固定ブロック35Aは、旋回軸Pの軸回りについて可動ブロック38Aが位置する側から、可動ブロック(第1の可動ブロック)37Aに隣接する。このため、可動リング16が第2の位置に位置する状態では、固定ブロック35Aは、可動ブロック(第2の可動ブロック)38Aに比べて、可動ブロック37Aに近い位置に位置する。また、可動リング16が第2の位置に位置する状態では、一対の可動ブロック37B,38Bの間の空間40において、固定ブロック35Bは、旋回軸Pの軸回りについて可動ブロック38Bが位置する側から、可動ブロック(第1の可動ブロック)37Bに隣接する。このため、可動リング16が第2の位置に位置する状態では、固定ブロック35Bは、可動ブロック(第2の可動ブロック)38Bに比べて、可動ブロック37Bに近い位置に位置する。
【0035】
また、本実施形態では、クレーン1に挿入ブロック42が2つ設けられる。可動ブロック38のそれぞれには、収納ブラケット43が取付けられる。可動ブロック(第2の可動ブロック)38のそれぞれでは、旋回軸Pの軸回りについて空間40とは反対側から、収納ブラケット43が取付けられる。挿入ブロック42のそれぞれは、収納ブラケット43の対応する1つに収納可能である。ここで、2つの挿入ブロック42の一方を挿入ブロック42Aとし、2つの挿入ブロック42の中で挿入ブロック42Aとは別の一方を挿入ブロック42Bとする。本実施形態では、可動ブロック38Aに取付けられる収納ブラケット43に挿入ブロック42Aが格納され、可動ブロック38Bに取付けられる収納ブラケット43に挿入ブロック42Bが格納されるものとする。
【0036】
図15は、1つの挿入ブロック42(42A又は42B)を示す。2つの挿入ブロック42のそれぞれは、
図15と同様の構成になる。
図15に示すように、挿入ブロック42のそれぞれでは、長さ方向(矢印L1及び矢印L2で示す方向)、長さ方向に交差する(直交又は略直交する)幅方向(矢印W1及び矢印W2で示す方向)、及び、長さ方向及び幅方向の両方に交差する(直交又は略直交する)高さ方向(矢印H1及び矢印H2で示す方向)が、規定される。
【0037】
挿入ブロック42のそれぞれは、端面45,46及び側面47,48を備える。挿入ブロック42のそれぞれでは、端面(第1の端面)45が、長さ方向の一方側(矢印L1側)の端を形成し、端面(第2の端面)46が、長さ方向について端面45とは反対側の端を形成する。また、挿入ブロック42のそれぞれでは、側面(第1の側面)47が、幅方向の一方側(矢印W1側)の縁を形成し、側面(第2の側面)48が、幅方向について側面47とは反対側の縁を形成する。挿入ブロック42のそれぞれは、幅方向の寸法(側面47,48の間の距離)が端面45から端面46に向かうにつれて減少するテーパ形状に、形成される。また、挿入ブロック42のそれぞれでは、側面47に、幅方向の外側へ向かって突出する係合突起51が形成され、側面48に、幅方向の外側へ向かって突出する係合突起52が形成される。挿入ブロック42のそれぞれでは、係合突起51,52のそれぞれは、端面45から端面46まで、長さ方向に沿って延設される。
【0038】
図8、
図9及び
図15等に示すように、挿入ブロック42のそれぞれには、ボルト53が取付けられる。また、挿入ブロック42のそれぞれには、端面45から端面46まで貫通する貫通孔55が形成される。そして、挿入ブロック42のそれぞれには、ナット56及び貫通孔55の順にボルト53が挿通された状態で、ボルト53が取付けられる。挿入ブロック42のそれぞれには、ボルト53の中心軸が長さ方向に沿う状態で、ボルト53が取付けられる。挿入ブロック42Aは、取付けられるボルト53を中心軸の軸回りに回転させることにより、ボルト53に対して、長さ方向(ボルト53の中心軸)に沿って移動する。同様に、挿入ブロック42Bは、取付けられるボルト53を中心軸の軸回りに回転させることにより、ボルト53に対して、長さ方向(ボルト53の中心軸)に沿って移動する。
【0039】
可動リング16が第2の位置に位置する状態では、挿入ブロック42Aは、固定ブロック35Aと可動ブロック(第2の可動ブロック)38Aとの間に挿入可能であり、挿入ブロック42Bは、固定ブロック35Bと可動ブロック(第2の可動ブロック)38Bとの間に挿入可能である。したがって、可動リング16が第2の位置に位置する状態では、空間40のそれぞれに、挿入ブロック42の対応する1つを挿入可能となる。なお、可動リング16が第1の位置に位置する状態では、可動ブロック37Aと固定ブロック35Aとの間の隙間、及び、可動ブロック38Aと固定ブロック35Aとの間の隙間のそれぞれに、挿入ブロック42Aを挿入不可能となる。同様に、可動リング16が第1の位置に位置する状態では、可動ブロック37Bと固定ブロック35Bとの間の隙間、及び、可動ブロック38Bと固定ブロック35Bとの間の隙間のそれぞれに、挿入ブロック42Bを挿入不可能となる。このため、可動リング16が第1の位置に位置する状態では、空間40のそれぞれに、挿入ブロック42を挿入不可能となる。
【0040】
可動リング16が第2の位置に位置する状態では、空間40のそれぞれにおいて、挿入ブロック42は、幅方向が旋回軸Pの軸回りに沿う状態で、挿入される。そして、空間40のそれぞれでは、挿入ブロック42は、端面(第2の端面)46が端面(第1の端面)45に対して外周側に位置する状態で、挿入される。また、空間40のそれぞれには、挿入ブロック42に対してボルト53の頭部及びナット56が外周側に位置する状態で、挿入ブロック42が挿入される。そして、空間40のそれぞれでは、挿入ブロック42が挿入された状態において、挿入ブロック42の側面47が可動ブロック38と対向し、挿入ブロック42の側面48が固定ブロック35と対向する。
【0041】
空間40のそれぞれでは、ボルト53の頭部とは反対側の端が可動リング16の外周面に当接する状態で、挿入ブロック42が挿入される。すなわち、空間40のそれぞれでは、挿入ブロック42が挿入された状態において、一対の可動ブロック37,38及びその近傍部分によって形成されるU字形状又は略U字形状の底部に、ボルト53が当接する。また、可動リング16が第2の位置に位置する状態では、空間40のそれぞれにおいて、挿入された挿入ブロック42を固定ブロック35と一緒に一対の可動ブロック37,38との間で挟むことが、可能である。
【0042】
本実施形態では、空間40のそれぞれにおいて挿入ブロック42及び固定ブロック35が可動ブロック37,38の間で挟まれることにより、旋回軸Pの軸回りについての第2の位置からの可動リング16の回動が、規制される。可動リング16の第2の位置からの回動が規制されることにより、可動リング16は、鉛直上側へ移動不可能な第2の位置でロックされる。これにより、可動リング16が車体フレーム6に固定され、車体フレーム6の上面に旋回体3が設置される。可動リング16が車体フレーム6に固定された状態では、前述したように、旋回モータからの駆動力が旋回ベアリング15に伝達されることにより、旋回体3が走行車体2及び可動リング16に対して旋回する。
【0043】
また、本実施形態では、
図11等に示すように、可動ブロック(第2の可動ブロック)38のそれぞれに、係合溝65が形成され、固定ブロック35のそれぞれに、係合溝66が形成される。可動ブロック38のそれぞれでは、空間40が位置する側を向く側面に、係合溝65が形成され、鉛直下側の端部に、係合溝65が形成される。可動ブロック38のそれぞれでは、係合溝65は、旋回軸Pの軸回り(周方向)について、空間40が位置する側とは反対側へ凹む。また、可動ブロック38のそれぞれでは、係合溝65は、可動リング16の径方向に沿った長溝形状に形成される。
【0044】
固定ブロック35のそれぞれでは、固定リング25の周方向の一方側を向く側面に、係合溝66が形成され、鉛直下側の端部に、係合溝66が形成される。可動リング16が前述のように車体フレーム6に取付けられた状態では、空間40のそれぞれにおいて、固定ブロック35の係合溝66が形成される側面は、可動ブロック38が位置する側を向く。また、可動リング16が車体フレーム6に取付けられた状態では、空間40のそれぞれにおいて、固定ブロック35の係合溝66は、旋回軸Pの軸回りについて、可動ブロック38が位置する側とは反対側へ凹む。また、固定ブロック35のそれぞれでは、係合溝66は、固定リング25の径方向に沿った長溝形状に形成される。
【0045】
空間40のそれぞれには、係合突起51が係合溝65に挿入され、かつ、係合突起52が係合溝66に挿入された状態で、挿入ブロック42が挿入される。すなわち、空間40のそれぞれでは、挿入ブロック42が挿入された状態において、係合突起51が係合溝65と係合し、係合突起52が係合溝66と係合する。このため、空間40のそれぞれでは、挿入された挿入ブロック42に、可動ブロック38及び固定ブロック35が鉛直上側から当接する。したがって、空間40のそれぞれでは、挿入された挿入ブロック42の鉛直上側への移動が規制される。
【0046】
また、本実施形態では、
図12等に示すように、可動ブロック37Aに、旋回軸Pの軸回りに沿った貫通孔58が形成される。可動ブロック37Aには、ボルト57が取付けられ、ボルト57は、旋回軸Pの軸回りについて、空間40とは反対側から貫通孔58に挿入される。また、ボルト57には、カラー59が取付けられ、カラー59によって、貫通孔58から空間40へのボルト57の突出が、防止される。貫通孔58から空間40へのボルト57の突出が防止されるため、可動リング16が第2の位置に位置する状態において、固定ブロック35Aへのボルト57の接触が防止される。
【0047】
また、本実施形態では、
図14等に示すように、可動ブロック37Bに、旋回軸Pの軸回りに沿った貫通孔61が形成される。そして、固定ブロック35Bには、固定リング25の周方向に沿って、孔62が形成される。可動ブロック37B,38Bの間の空間40において固定ブロック35Bが可動ブロック37Bに当接した状態では、貫通孔61は、孔62と連通する。そして、可動リング16が第2の位置に位置する状態では、ボルト(図示しない)を介して、可動ブロック37Bを固定ブロック35Bに対して固定可能である。この場合、貫通孔61及び孔62の順にボルトを挿入し、貫通孔61及び孔62に挿入したボルトを締付けることにより、可動ブロック37Bを固定ブロック35Bに固定する。可動ブロック37Bが固定ブロック35Bに対して固定されることにより、可動リング16の第2の位置からの回動が規制され、可動リング16は、鉛直上側へ移動不可能な第2の位置でロックされる。
【0048】
クレーン1を用いて作業を行う際には、旋回体3を走行車体2とは別体で作業現場に運搬し、作業現場において旋回体3を車体フレーム6に設置する作業を行うことがある。このような場合、まず、可動リング16を、第1の位置で車体フレーム6の上面に取付ける。この際、可動リング16の複数の可動側突起26のそれぞれは、固定リング25の複数の固定側溝32の対応する1つを通すように、ガイドピン41及びガイド孔36により、鉛直下側へ移動させる。この際、固定ブロック35A及び可動ブロック37Aに対する固定ブロック35B及び可動ブロック37Bの識別は、側面の銘板等に基づいて可能である。そして、旋回モータを駆動する等して、車体フレーム6に取付けられた可動リング16を、第1の位置から第2の位置へ回動させる。そして、可動リング16が第2の位置に位置する状態において、空間のそれぞれに外周側から挿入ブロック42を挿入する。そして、空間40のそれぞれにおい挿入した挿入ブロック42及び固定ブロック35を一対の可動ブロック37,38で挟むことにより、可動リング16の第2の位置からの回動が規制され、可動リング16が第2の位置で車体フレーム6に固定される。これにより、車体フレーム6に旋回体3が設置される。また、旋回体3を車体フレーム6から取外す場合は、旋回体3の車体フレーム6への設置とは逆の手順で作業を行うことにより、車体フレーム6から旋回体3を取り外す。
【0049】
前述のように本実施形態では、空間40のそれぞれに挿入ブロック42を外周側から挿入し、空間40のそれぞれにおいて挿入した挿入ブロック42を固定ブロック35と一緒に一対の可動ブロック37,38の間で挟むことにより、可動リング16を第2の位置で車体フレーム6に対して固定する。また、空間40のそれぞれにから可動ブロック37,38の間で挟まれた挿入ブロック42を抜取ることにより、可動リング16は、旋回軸Pの軸回りに第2の位置から回動可能である。ここで、空間40のそれぞれは、二対の可動ブロック37,38の対応する一対の間に形成され、外周側へ開口する。このため、空間40のそれぞれに挿入ブロック42を挿入する作業、及び、空間40のそれぞれから挿入ブロック42を抜取る作業を、作業者等は行い易くなる。
【0050】
また、空間40のそれぞれにおいて挿入ブロック42を固定ブロック35と一緒に可動ブロック37,38の間で挟む際には、挿入ブロック42に取付けられたボルト53を締付ける等して、挿入ブロック42の位置を調整する。この際、例えば、可動ブロック37Bと固定ブロック35Bとをボルトによって固定する場合にボルトの締付けトルク等に比べて、ボルト53の締付けトルクは、低減される。このため、空間40のそれぞれにおいて挿入ブロック42及び固定ブロック35を可動ブロック37,38の間で挟む作業を、作業者等は行い易くなる。
【0051】
したがって、本実施形態では、可動リング16を車体フレーム6に第2の位置で固定する作業、及び、可動リング16の車体フレーム6に対する固定を解除する作業を、作業者等が行い易くなる。このため、可動リング16を車体フレーム6に第2の位置で固定する作業、及び、可動リング16の車体フレーム6に対する固定を解除する作業を、容易かつ迅速に行うことが可能になる。これにより、旋回体3を走行車体2の車体フレーム6に設置する作業、及び、旋回体3を車体フレーム6から取外す作業を、容易かつ迅速に行うことが可能になる。
【0052】
また、本実施形態では、可動リング16が第1の位置に位置する状態においては、空間40のそれぞれに挿入ブロック42を挿入不可能で、可動リング16が第2の位置に位置する状態においてのみ、空間40のそれぞれに挿入ブロック42を挿入可能となる。このため、可動リング16は、鉛直上側へ移動不可能な第2の位置で適切にロックされる。
【0053】
また、
図13に示すように、ボルト53が緩むことにより、挿入ブロック42Aの端面45を可動リング16の外周面に当接しても、可動リング16は、可動ブロック37Aと固定ブロック35Aの間の隙間分しか、回動できない。このため、可動リング16は、第2の位置から第1の位置までは完全に移動できない。これにより、旋回体3の鉛直上側の移動が制限され、安全性が確保される。
【0054】
また、挿入ブロック42のそれぞれは、幅方向の寸法が端面45から端面46に向かうにつれて減少するテーパ形状に形成され、空間40のそれぞれには、端面(第2の端面)46が端面(第1の端面)45に対して外周側に位置する状態で、挿入ブロック42が挿入される。このため、空間40のそれぞれでは、固定ブロック35及び挿入ブロック42が可動ブロック37,38の間で挟まれた状態において、固定ブロック35と可動ブロック38の間から挿入ブロック42が抜けることが、有効に防止される。
【0055】
また、空間40のそれぞれでは、挿入ブロック42の係合突起51が可動ブロック38の係合溝65と係合し、かつ、挿入ブロック42の係合突起52が固定ブロック35の係合溝66と係合する状態で、挿入ブロック42が挿入され、挿入された挿入ブロック42の鉛直上側への移動が規制される。したがって、空間40そのそれぞれでは、固定ブロック35及び挿入ブロック42が可動ブロック37,38の間で挟まれた状態において、固定ブロック35と可動ブロック38の間から挿入ブロック42が抜けることが、さらに有効に防止される。空間40のそれぞれにおいて挿入ブロック42の抜けが有効に防止されることにより、可動リング16は車体フレーム6に対して第2の位置でさらに強固に固定される。
【0056】
また、可動リング16を車体フレーム6から取外す場合は、旋回モータを駆動する等して、可動リング16を第2の位置から第1の位置へ回動させる。この際、可動ブロック37のそれぞれに固定ブロック35の対応する1つが強固に固着している場合等は、カラー59を取外した状態でボルト57を可動ブロック37Aの貫通孔58に挿入し、ボルト57によって固定ブロック35Aを押圧する。これにより、可動リング16が第1の位置へ回動し易くなり、可動リング16を車体フレーム6から取外す作業における作業性が向上する。
【0057】
また、本実施形態では、可動リング16が第2の位置に位置する状態において、ボルト(図示しない)を介して可動ブロック37Bを固定ブロック35Bに対して固定可能である。そして、可動ブロック37Bを固定ブロック35Bに対して固定することによっても、可動リング16の第2の位置からの回動を規制可能である。したがって、旋回体3を車体フレーム6から長期間取外すことなく使用する場合等は、可動ブロック38Bを固定ブロック35Bに対して固定することによって、可動リング16を第2の位置でロックしてもよい。
【0058】
(変形例)
図16に示す第1の変形例では、前述した挿入ブロック42に加えて、追加ブロック67が設けられる。本変形でも、空間40のそれぞれにおいて挿入ブロック42及び固定ブロック35が可動ブロック37,38の間で挟まれることにより、可動リング16の第2の位置からの回動が規制される。本変形例では、空間40のそれぞれにおいて、挿入された挿入ブロック42に対して内周側に隣接する状態で、追加ブロック67を挿入可能である。すなわち、空間40のそれぞれでは、挿入ブロック42及び固定ブロック35が可動ブロック37,38の間で挟まれた状態において、挿入ブロック42の端面45と可動リング16の外周面との間の隙間に、追加ブロック67を挿入可能である。空間40のそれぞれには、
図16の点線で示す位置から実線で示す位置へ追加ブロック67を移動させることにより追加ブロック67が挿入され、鉛直上側から追加ブロック67が挿入される。なお、追加ブロック67は、挿入ブロック42Aと一緒に、可動ブロック38Aに取付けられる収納ブラケット43に格納可能である。
【0059】
本変形例では、空間40のそれぞれに、前述のように追加ブロック67が挿入される。このため、空間40のそれぞれでは、挿入ブロック42及び固定ブロック35が可動ブロック37,38の間で挟まれた状態において、挿入ブロック42に取付けられるボルト53が緩んでも、可動リング16が緩むことが有効に防止される。これにより、空間40そのそれぞれでは、固定ブロック35及び挿入ブロック42が可動ブロック37,38の間で挟まれた状態において、固定ブロック35と可動ブロック38の間から挿入ブロック42が抜けることが、さらに有効に防止される。
【0060】
また、
図17に示す第2の変形例では、旋回テーブル11が、複数のボルト21を介して、旋回ベアリング15の外輪18に固定され、可動リング16が、複数のボルト22を介して、旋回ベアリング15の内輪17に固定される。本変形例でも、旋回テーブル11は、旋回軸Pの軸回りに旋回可能な状態で、可動リング16に取付けられる。また、本変形例では、旋回ベアリング15の内輪17の内周面に、ギア部23が形成される。本変形例でも、ギア部23は、旋回軸Pの軸回りに沿って形成され、旋回軸Pの軸回り(周方向)について全周に渡って形成される。本変形例では、内輪17のギア部23には、ピニオンギア(図示しない)が噛み合う。そして、旋回モータ(図示しない)が駆動された場合、旋回モータからの駆動力は、ピニオンギアを介して、旋回ベアリング15に伝達される。本変形例でも、前述の実施形態等と同様にして、可動リング16が車体フレーム6に対して第2の位置で固定される。このため、本変形例でも、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0061】
また、前述の実施形態等では、固定ブロック35及び挿入ブロック42のそれぞれが2つずつ設けられ、可動ブロック37,38が二対設けられるが、これに限るものではない。ある変形例では、固定ブロック35及び挿入ブロック42のそれぞれが1つずつ設けられ、可動ブロック37,38が一対のみ設けられてもよい。この場合、前述した空間40は、1つのみ形成される。また、別のある変形例では、固定ブロック35及び挿入ブロック42のそれぞれが3つ以上ずつ設けられ、可動ブロック37,38が三対以上設けられてもよい。この場合、前述した空間40は、3つ以上形成される。ただし、いずれの場合においても、可動リング16が第2の位置に位置する状態において、1つ以上の空間40のそれぞれに、挿入ブロック42を挿入可能である。そして、1つ以上の空間40のそれぞれにおいて挿入された挿入ブロック42を固定ブロック35と一緒に一対の可動ブロック37,38の間で挟むことにより、旋回軸Pの軸回りについての第2の位置からの可動リング16の回動が、規制される。このため、いずれの変形例でも、前述した実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0062】
また、前述の実施形態等では、クレーン1における走行車体2の車体フレーム6と旋回体3との連結部分の構造について説明したが、前述した車体フレームと旋回体との連結部分の構造は、クレーン1以外の建設機械にも適用可能である。すなわち、旋回体が車体フレームから取外し可能であれば、前述の実施形態等の連結部分の構造と同様の構造を適用可能である。
【0063】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。
【符号の説明】
【0064】
1…クレーン、2…走行車体、3…旋回体、6…車体フレーム、11…旋回テーブル、15…旋回ベアリング、16…可動リング、25…固定リング、26…可動側突起、27…可動側溝、31…固定側突起、32…固定側溝、35(35A,35B)…固定ブロック、37(37A,37B)…可動ブロック(第1の可動ブロック)、38(38A,38B)…可動ブロック(第2の可動ブロック)、40…空間、42(42A,42B)…挿入ブロック、45…端面(第1の端面)、46…端面(第2の端面)。