IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ DNライティング株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-照明装置 図1
  • 特許-照明装置 図2
  • 特許-照明装置 図3
  • 特許-照明装置 図4
  • 特許-照明装置 図5
  • 特許-照明装置 図6
  • 特許-照明装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 17/00 20060101AFI20241202BHJP
   F21V 3/02 20060101ALI20241202BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20241202BHJP
   F21S 8/04 20060101ALI20241202BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241202BHJP
【FI】
F21V17/00 155
F21V3/02 500
F21V3/00 310
F21S8/04 130
F21Y115:10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021027796
(22)【出願日】2021-02-24
(65)【公開番号】P2022129191
(43)【公開日】2022-09-05
【審査請求日】2023-12-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1,刊行物発表 発行者 DNライティング株式会社 刊行物 DNL 総合カタログ LED CATALOG 2021 発行日 令和3年1月22日 2,ウエブサイト発表 掲載年月日 令和3年1月26日 掲載アドレス https://www.dnlighting.co.jp/index.html (1)WEBカタログのアドレス https://dnlighting.icata.net/iportal/CatalogViewInterfaceStartUpAction.do?method=startUp&mode=PAGE&volumeID=DNL00001&catalogId=730960000&pageGroupId=1&designID=DNL001&catalogCategoryId=&designConfirmFlg=&keyword= (2)PDFのアドレス https://www.dnlighting.co.jp/dcms_media/other/sougou_202101.pdf
(73)【特許権者】
【識別番号】000111166
【氏名又は名称】DNライティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】露木 裕
(72)【発明者】
【氏名】伊勢田 幸祐
(72)【発明者】
【氏名】宇藤山 肇
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-294030(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0471833(KR,Y1)
【文献】特開2010-009984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 17/00
F21V 3/02
F21V 3/00
F21S 8/04
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の長手方向に延びる1対の側壁間に開口を有する長尺の筐体と、
前記筐体内に保持された、前記長手方向に延びる長尺の照明体と、
前記開口を覆うように前記筐体に保持され、前記照明体から出射された光を透過させるカバーと、を備えてなる照明装置において、
前記照明体を前記筐体内に保持する部材に各々連結し、前記1対の側壁の各内面に前記長手方向に亘って弾力的に嵌合する1対の嵌合保持部材と、
一端が前記カバーに連結され、一部が一方の前記側壁の前記長手方向に延びた前記嵌合部を通過して、他端が該側壁と前記嵌合保持部材との間に配され、前記嵌合部に沿って前記長手方向に摺動可能とされた可撓性の剛性ワイヤと、
前記剛性ワイヤの他端に形成されて、該剛性ワイヤが前記嵌合保持部材と前記一方の側壁との間から離脱することを防止するストッパ手段と、
が設けられたことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記嵌合保持部材が、前記カバーに近い方の先端部から基端部に向かって次第に前記側壁から離れる斜め形状のものであって、前記先端部において前記側壁の内面に嵌合し、
前記ストッパ手段が、前記斜め形状の嵌合保持部材と、該嵌合保持部材から離れた前記側壁との間に配されている請求項に記載の照明装置。
【請求項3】
前記剛性ワイヤの一端が、前記一方の側壁と向かい合う位置の近傍において前記カバーに連結されている請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記剛性ワイヤが、クリップ手段を介して着脱可能に前記カバーに連結されている請求項1~のいずれか1項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照明装置に関し、特に詳細には、長尺の照明体が筐体内に保持されてなり、筐体の開口が照明光を透過させるカバーで覆われている照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、並設された複数のLED(発光ダイオード)や直管状の蛍光ランプ等の長尺の照明体が、長尺の筐体内に保持されてなる照明装置が広く知られている。その種の照明装置において、長尺の筐体を構成する2つの側板の間には照明光を通過させるための開口が設けられるが、多くの場合その開口は照明光を透過させるカバーによって覆われる。
【0003】
このカバーは、例えば光拡散透過体(ディヒューザー)を用いて概略板状に形成されることが多いが、筐体内の照明体の交換や点検等のために、筐体に対して取外し自在に保持されるのが一般的である。しかし、このカバーを筐体に対して取外し自在に保持させておくと、誤ってカバーを落としてしまうことが有り得る。
【0004】
そこで従来、このようなカバーの落下を防止するために、ワイヤや紐類さらにはチェーン等からなる連結具の一端をカバーに連結し、そしてその他端を筐体に連結しておく構成が提案されている。上記特許文献1には、そのような構成の一例が示されている。この連結具は、カバーを筐体に保持したり、筐体から取り外したりする作業をやり易くするために、つまりカバーを大きな自由度で動かせるように、ある程度長く形成しておくことが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3195062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述のような連結具を採用した従来の照明装置においては、連結具が照明光を遮って、照明装置の発光面に影が生じることがある。これは、ある程度長く形成された連結具が、カバーが筐体に保持された状態では筐体内で弛んで照明光の光路に入ってしまうことに起因する。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、カバーが筐体から落下することを防止可能で、また、その落下防止のために発光面に影が生じることも防止できる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による一つの照明装置は、
共通の長手方向に延びる1対の側壁間に開口を有する長尺の筐体と、
この筐体内に保持された、上記長手方向に延びる長尺の照明体と、
上記開口を覆うように筐体に保持され、上記照明体から出射された光を透過させるカバーと、
を備えてなる照明装置において、
一端が上記カバーに連結された可撓性の剛性ワイヤと、
上記筐体において一方の側壁の内面近傍に取り付けられ、上記剛性ワイヤの一部を略上記長手方向に配して、該剛性ワイヤを上記長手方向に移動自在に保持するワイヤ保持部と、
上記剛性ワイヤの他端に形成されて、該剛性ワイヤが上記ワイヤ保持部から離脱することを防止するストッパ手段と、
が設けられたことを特徴とするものである。
【0009】
上述のように長手方向に延びる状態に保持された照明体とは、直管状ランプのように1本の光源が長手方向に延びているものであってもよいし、あるいはLEDのような光源が複数長手方向に並置されてなるものであってもよい。これは、以下で説明する本発明による別の照明装置においても同様である。
【0010】
また、上記のワイヤ保持部としては、剛性ワイヤを挿通させる部材が複数、上記長手方向に並置されてなるものを好適に用いることができる。
【0011】
他方、本発明による別の照明装置は、
共通の長手方向に延びる1対の側壁間に開口を有する長尺の筐体と、
上記筐体内に保持された、上記長手方向に延びる長尺の照明体と、
上記開口を覆うように上記筐体に保持され、上記照明体から出射された光を透過させるカバーと、
を備えてなる照明装置において、
上記照明体を上記筐体内に保持する部材に各々連結し、上記1対の側壁の各内面に上記長手方向に亘って弾力的に嵌合する1対の嵌合保持部材と、
一端が上記カバーに連結され、一部が一方の上記側壁の上記長手方向に延びた上記嵌合部を通過して、他端が該側壁と上記嵌合保持部材との間に配され、上記嵌合部に沿って上記長手方向に摺動可能とされた可撓性の剛性ワイヤと、
上記剛性ワイヤの他端に形成されて、該剛性ワイヤが前記嵌合保持部材と前記一方の側壁との間から離脱することを防止するストッパ手段と、
が設けられたことを特徴とするものである。
【0012】
この本発明による別の照明装置においては、
上記嵌合保持部材が、カバーに近い方の先端部から基端部に向かって次第に側壁から離れる斜め形状のものであって、先端部において側壁の内面に嵌合し、
ストッパ手段が、上記斜め形状の嵌合保持部材と、該嵌合保持部材から離れた側壁との間に配されていることが望ましい。
【0013】
そして本発明によるいずれの照明装置においても、剛性ワイヤの一端は、上記一方の側壁と向かい合う位置の近傍においてカバーに連結されていることが望ましい。また剛性ワイヤは、クリップ手段を介して着脱可能にカバーに連結されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
まず、先に述べた本発明による一つの照明装置による効果について説明する。この照明装置においては、
一端が上記カバーに連結された可撓性の剛性ワイヤと、
上記筐体において一方の側壁の内面近傍に取り付けられ、上記剛性ワイヤの一部を略上記長手方向に配して、該剛性ワイヤを上記長手方向に移動自在に保持するワイヤ保持部と、
上記剛性ワイヤの他端に形成されて、該剛性ワイヤが上記ワイヤ保持部から離脱することを防止するストッパ手段と、
が設けられたことにより、カバーは剛性ワイヤおよびストッパ手段を介してワイヤ保持部と、つまり筐体と連結され、よって筐体から落下することが防止される。また、カバーを筐体に保持したり、筐体から取り外したりする作業をやり易くするために、剛性ワイヤがある程度長く形成されていても、剛性ワイヤは筐体内でワイヤ保持部の作用により一方の側壁の内面近傍において、筐体長手方向に延びる姿勢で保持される。そして、上記作業等のために筐体に対するカバーの位置が変化しても、剛性ワイヤは筐体内で上記姿勢を保って移動するので、剛性ワイヤが弛んで照明光の光路に入り発光面に影が生じることを防止できる。
【0015】
他方、本発明による別の照明装置においては、
上記照明体を上記筐体内に保持する部材に各々連結し、上記1対の側壁の各内面に上記長手方向に亘って弾力的に嵌合する1対の嵌合保持部材と、
一端が上記カバーに連結され、一部が一方の上記側壁の上記長手方向に延びた上記嵌合部を通過して、他端が該側壁と上記嵌合保持部材との間に配され、上記嵌合部に沿って上記長手方向に摺動可能とされた可撓性の剛性ワイヤと、
上記剛性ワイヤの他端に形成されて、該剛性ワイヤが前記嵌合保持部材と前記一方の側壁との間から離脱することを防止するストッパ手段と、
が設けられたことにより、カバーは剛性ワイヤ、嵌合保持部材およびストッパ手段を介して一方の側壁と、つまり筐体と連結され、よって筐体から落下することが防止される。
【0016】
また剛性ワイヤは、筐体の一方の側壁と嵌合保持部材との嵌合部を一部が通過しているのでそれらの間に保持される。そして、カバーを筐体に保持したり、筐体から取り外したりするためにカバーを筐体に対して動かすと、上記嵌合部を一部が通過している剛性ワイヤは、この嵌合部に沿って、つまり筐体の長手方向に延びる状態で保持されるようになる。そこで、剛性ワイヤが弛んで照明光の光路に入り発光面に影が生じることを防止できる。
【0017】
そして剛性ワイヤは、上記嵌合部に沿って筐体長手方向に摺動可能とされているので、筐体に対するカバーの長手方向に関する相対位置の自由度が大きくなる。つまりこの相対位置は、カバーの長手方向両端が筐体の長手方向両端と整合する(両者が互いに長手方向にずれない)のが最適位置であるが、例えばカバーを筐体に保持させる作業中にカバーがその最適位置から外れた位置に向けて大きく動かされても、剛性ワイヤが上述のように摺動して、カバーが上記最適位置から外れた位置まで動くことを許容する。それにより、カバーを筐体に保持させる作業等をより容易に行うことができる。
【0018】
なお、本発明の照明装置において特に剛性ワイヤの一端が、上記一方の側壁と向かい合う位置の近傍においてカバーに連結されている場合は、剛性ワイヤが一方の側壁に沿って延びる状態がより顕著となるので、以上説明した効果がより顕著なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態による照明装置の全体形状を示す分解斜視図
図2図1の照明装置の一部を示す立断面図
図3図1の照明装置を示す概略側面図
図4図1の照明装置に用いられたカバー連結具を示す斜視図
図5】本発明の第2実施形態による照明装置の全体形状を示す分解斜視図
図6図5の照明装置の一部を示す立断面図
図7図5の照明装置に用いられたカバー連結具を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の第1実施形による照明装置1を示す分解斜視図であり、図2はこの照明装置1を長手方向から見て(詳しくは、図1中の矢印X方向の左下側から右上側に見て)示す立断面図である。
【0021】
本明細書においては、照明装置1および照明装置1を構成する各構成要素について、図1中の矢印Xで示す方向を長手方向、長手方向に直交する図1中の矢印Yで示す方向を短手方向、長手方向および短手方向に直交する図1中の矢印Zで示す方向を上下方向と称する。また上下方向のうち、図1中の矢印Zの先に「上」と記している側を上、「下」と記している側を下と称し、短手方向のうち、図1中の矢印Yの先に「左」と記している側を左、「右」と記している側を右と称する。
【0022】
本実施形態の照明装置1は、天井や壁あるいは商品陳列棚等の被取付部に取り付けて使用される長尺の照明装置1であって、図示のように長尺の筐体10と、長尺の照明体20と、長尺の照明体保持部40と、長尺のカバー50と、サイドキャップ60とを備えている。
【0023】
[筐体]
筐体10は、長手方向に延びる長尺の筐体であって、遮光性の材料から形成されている。本実施形態では一例としてアルミニウムを押出成形して形成されている。筐体10は、長手方向に延びる底板11と、底板11の短手方向両端部すなわち左右の端部から各々上方に向けて立ち上がった左右の側板(側壁)12とを備えている。各側板12は、底板11と平行に長手方向に延びている。それにより筐体10は、左右の側板12の間において上面が開口した概略コ字状の断面形状を有している。上述した被取付部に取り付けられるのは、具体的にはこの筐体10である。
【0024】
筐体10は、長手方向の両端部において底板11に電線を挿通するための電線挿通切欠11aが形成されている点を除き、長手方向全長に亘って同一の断面形状(図2に示す形状)を有している。電線挿通切欠11aは、筐体10の長手方向両端部に、それぞれ底板11の端から長手方向内側に向かって所定長延びる切欠である。この電線挿通切欠11aは、より詳しくは、後述するサイドキャップ60を筐体10に取り付けたときにサイドキャップの電線挿通孔61aと整合する位置において、該電線挿通切欠11aと同じ大きさに形成されている。なお、電線挿通切欠11aは必要に応じて設ければよいものであり、例えば底板11の長手方向一端部にのみ設けられてもよい。
【0025】
図2に示されているように、左右の側板12の内面には、底板11側から上方に向かって順次、連結用突板条12a、照明体保持部40を挟持する照明体保持部用下突板条12bと照明体保持部用上突条12c、および、カバー50を係止するためのカバー係止用突条12dが、それぞれ筐体10の内部に突出し長手方向に延びる状態に形成されている。
【0026】
[照明体]
照明体20は、図1および図2に示すように、長手方向に延びる長尺の透明チューブ21の内部に、複数の光源としてのLED発光素子22が1列に配設されてなるものである。複数のLED発光素子22は、支持体としての長尺の印刷配線基板23の一表面上に、抵抗等その他の素子と共に、基板23の長手方向に所定間隔をおいて並べて設けられている。チューブ21は、例えばシリコン等の可撓性を有する半透明の軟質合成樹脂を用いて角筒状に形成され、その中空部分内にLED発光素子22を備えた基板23が挿入されている。照明体20は全体として可撓性を有し、上下方向に湾曲可能である。
【0027】
照明体20には、図1に示す通り、一端側に基板23に接続された電線24を介して入力側コネクタ25が接続され、他端側に同じく基板23に接続された電線26を介して送り側コネクタ27が接続されている。入力側コネクタ25と送り側コネクタ27とは互いに嵌合して電気的に接続可能に構成されている。図3には、上記入力側コネクタ25および送り側コネクタ27と筐体10との位置関係を示す、照明装置1の概略側面形状を示している。
【0028】
[照明体保持部]
照明体保持部40は、一例として弾性を有する薄い鋼鈑からなるものであり、筐体10の長手方向に延びる底板31と、この底板31の短手方向両端から概略斜め上方に起立した側板32と、同じく概略斜め上方に起立した側板33とを有する。側板33は概略全長(全高)に亘って一様に上記方向に起立しているのに対し、側板32は上記方向に起立してから一旦内側に折れ曲がり、次いで上記方向に延びている。側板32および33は、いずれも上端部が内側に折り曲げられている。なお図1では、これらの側板32および33については、概略形状を示している。側板32および33は、筐体10の長手方向に互いに所定間隔を置いて、交互に起立した状態に配されている。この照明体保持部40は、本実施形態では筐体10の長手方向略全長に亘って延びる1つのものとされているが、それよりも短く形成されたものが複数、筐体10の長手方向に並べて配設されてもよい。
【0029】
図2に示すように照明体保持部40は、照明体保持部用下突板条12bの上に底板31が載る状態に配置される。その後、底板31の上に照明体20の透明チューブ21が上から押し込まれると、相対向する2つの側板32の組複数によって透明チューブ21が弾力的に保持され、また左右に並んでいる複数の側板33がそれぞれ筐体10の側板12に圧接する。このようにして透明チューブ21が、つまりは照明体20が筐体10の左右の側板12の間に保持される。
【0030】
[カバー]
カバー50は、照明体20を覆い、照明体20から出射された照明光を透過させるとともに、透過する際に拡散させて外部に出射させるものである。カバー50は、長手方向に延びる硬質合成樹脂製の光拡散性と光透過性を有する光拡散透過体51と、光拡散透過体51の短手方向左右両端部からそれぞれ立ち下がって光拡散透過体51と平行に延びる硬質合成樹脂製の光反射体52とを有する。光拡散透過体51は乳白半透明で、その上面が発光面51aとなっている。光反射体52は白色で光不透過性(遮光性)の材料で形成されている。光拡散透過体51と光反射体52とは接合された状態で2色形成により一体成形されている。左右の光反射体52は、それぞれ短手方向中央かつ下方に向けて傾斜して延びており、外側面に長手方向に延びる取付用突条53を備えている。光反射体52は、白色かつ光不透過性の硬質合成樹脂により形成されており、その内面(短手方向内側の面)は光を反射する反射面54として機能する。
【0031】
[サイドキャップ]
筐体10の長手方向両端にはサイドキャップ60が取り付けられる。各サイドキャップ60は、基部61と、基部61の外端部から立ち上がった蓋板62とを有する。サイドキャップ60は例えば硬質合成樹脂から形成される。基部61は筐体内に嵌入されて筐体の底板11上に位置する部分であり、電線挿通孔61aが形成されると共に止めネジ61bが螺合されている。
【0032】
[カバー落下防止手段]
次に、カバー50の落下を防止する手段について、図4も参照して説明する。なおカバー50の落下とは、上述したような被取付部に取り付けられる筐体10からカバー50が離脱して落ちることである。つまり、例えば筐体10が現実上で下向きに照明光を発するように天井等に取り付けられる場合は、図1で説明すればカバー50が筐体10から上向きに離脱することである。
【0033】
本実施形態においてカバー落下防止手段を構成するカバー連結具は、図4に示す剛性ワイヤ70、剛性ワイヤ70の一端に取り付けられたクリップ71、剛性ワイヤ70の他端に固定されたストッパ72、および剛性ワイヤ70の一端と他端との間の部分を保持するワイヤ保持部73とから構成されている。剛性ワイヤ70は例えば複数の細い鋼線を撚って形成されたものであり、外力が作用しない限り自身の姿勢を維持する程度の剛性を備え、また、ある程度大きな外力が作用すると撓み得る可撓性も有する。クリップ71は一部が不連続とされた概略環状のもので、図1に示すように、カバー50の一方の光反射体52に形成された取付孔56に通して、該カバー50に取り付けられる。クリップ71は例えば弾性金属部材から形成されており、不連続の部分を弾性変形させて開くことにより、上述の取付孔56に通し、あるいは取付孔56から外すことができる。
【0034】
ワイヤ保持部73は、一例として1枚の金属板を加工して形成されたものであり、一方向に延びる基部73aと、この基部73aの一端部および他端部から各々折り曲がった1対の取付部73bと、ワイヤ挿通孔73cを有するワイヤ挿通部73dとを有する。ワイヤ挿通部73dは、1対の取付部73bのそれぞれの上部つまり基部73aに近い部分において、取付部73bから折り曲げて形成されている。本発明におけるストッパ手段としてのストッパ72は、例えば剛性ワイヤ70の他端部を挿通させた環状の金属部材をカシメ加工する等により形成され、上記のワイヤ挿通孔73cを通過できない幅広の形状とされている。
【0035】
ワイヤ保持部73は、図1に示すチューブ21が配置されている部分において、このチューブ21の側壁(本実施形態では図1中の手前側の側壁)と筐体10の側板12との間に取付部73bを挿入させて固定される。図1ではこのワイヤ保持部73を省略しているが、図2にはその配置状態が示されている。より詳しく説明すると本実施形態では、図1中の1つの側板33とその両隣(筐体10の長手方向における両隣)の側板32との間にそれぞれ取付部73bを挿入させる。あるいは、1つの側板32とその両隣の側板33との間にそれぞれ取付部73bを挿入させてもよい。それにより、折れ曲がった形状で弾性を有する取付部73bが、チューブ21の側壁外面と側板12の内面に弾力的に圧接して、ワイヤ保持部73が筐体10に保持される。この状態下では、ワイヤ保持部73の2つのワイヤ挿通部73dが、筐体10の長手方向に互いに所定間隔を置いて並ぶようになる。なお図2では、チューブ21の図中左側に側板32および33の取付け状態を示し、チューブ21の図中右側にワイヤ保持部73の取付け状態を示している。
【0036】
ワイヤ保持部73は以上の通りにして、チューブ21の図1中で手前側の側壁と、筐体10の図1中で手前側の側板12との間に保持されるが、それに限らずワイヤ保持部73は、チューブ21の図1中で奥側の側壁と、筐体10の図1中で奥側の側板12との間に保持させることも可能である。その場合、カバー50の光反射体52に形成する取付孔56は、図1に示す2つの光反射体52のうち、奥側の光反射体52に設ける。
【0037】
また図4では、取付部73bおよびストッパ72の図示の都合上、このような向きで剛性ワイヤ70およびワイヤ保持部73を示しているが、この図示とは反対の向きに剛性ワイヤ70を配してもよい。つまり、一つの変形例として、クリップ71が取り付けられた剛性ワイヤ70の一端が図4中でワイヤ保持部73の左下方に位置し、ストッパ72が固定された剛性ワイヤ70の他端が図4中でワイヤ保持部73の右上方に位置するようにして、剛性ワイヤ70を2つのワイヤ挿通部73dに挿通させてもよい。カバー50の光反射体52に形成された取付孔56が、図1に示すような位置に設けられている場合は、むしろ上記変形例のようにするのが好ましい。図2は、この変形例のように剛性ワイヤ70が配置されている場合を示している。
【0038】
[照明器具の組立て]
照明装置1の組立てについて説明する。まず、筐体10の長手方向両端にサイドキャップ60を取り付ける。サイドキャップ60の取り付けは、サイドキャップの基部61を筐体10内の底板11と連結用突板条12aとの間に挿入し、蓋板62が筐体10の長手方向端部に当接するまで押し込み、止めネジ61bを六角レンチで回して底板11に向けて突出させることにより、基部61の上面を連結用突板条12aの下面に圧接させて筐体10に連結固定することにより行う。
【0039】
次に、照明体20を筐体10内に組み込む。まず、照明体20を照明体保持部40の内部に、図2に示す状態となるよう嵌入して組み込む。この嵌入は、チューブ21が前述したように軟質合成樹脂により形成されて弾性変形可能であることから、チューブ21を圧縮変形させながら押し込むことにより容易に行うことができる。次いで、ワイヤ保持部73を前述した通りにして筐体10に組み込む。この際、剛性ワイヤ70は2つのワイヤ挿通部73dに挿通させておくが、クリップ71はカバー50の光反射体52に形成された取付孔56から離脱した状態としておく。
【0040】
次いで、上記取付孔56にクリップ71を通して係合させ、カバー50が剛性ワイヤ70、ワイヤ保持部73およびストッパ72を介して筐体10に連結された状態としておく。次いでカバー50を取り付ける。カバー50は、光反射体52の側から筐体10の上端開口に押し込む。それにより、左右の光反射体52が短手方向内側に向けて弾性変形しながら取付用突条53が筐体の左右側板のカバー係止用突条12eを乗り越え、乗り越えた後光反射体52が短手方向外側に開いて取付用突条53がカバー係止用突条12eの下側に嵌まり込み、図2に示すように筐体10に係止される。
【0041】
カバー50は、長手方向両端が筐体10の長手方向両端に位置し、筐体10の長手方向全域を覆っている。また、図2に示すように、光反射体52はそれぞれ筐体10内部において短手方向内側かつ下方に向けて斜めに傾斜して延びている。先に説明した図3は、上述のようにして組み立てられた本実施形態の照明装置1を側方、つまり図1中の短手方向右から左に向けて見た概念図である。
【0042】
カバー50を筐体10に組み付ける際、上述した通りカバー50は剛性ワイヤ70等を介して筐体10に連結されている。そこで、この組み付けの作業時に作業者が誤ってカバー50から手を離すようなことがあると、剛性ワイヤ70はワイヤ保持部73の2つのワイヤ挿通部73d内を滑り、ストッパ72が一方のワイヤ挿通部73dに当接して、剛性ワイヤ70がワイヤ保持部73から離脱することが防止される。こうして、カバー50が筐体10から落下することが防止される。この点は、カバー50を筐体10に組み付ける場合だけでなく、カバー50を筐体10から取り外す場合等においても同様である。
【0043】
また、剛性ワイヤ70はワイヤ保持部70の2つのワイヤ挿通部73dに挿通して、筐体10内で一方の側壁12(図1中で手前側の側壁12)の内面近傍において、筐体長手方向に延びる姿勢で保持されている。カバー50を筐体10に組み付けたり、筐体10から取り外したりする作業をやり易くするために、剛性ワイヤ70はある程度長く形成する必要がある。上記作業等のために筐体10に対するカバー50の位置が変化した場合、2つのワイヤ挿通部73dに挿通している剛性ワイヤ70は上記のように比較的長くても、筐体10内で上記姿勢を保って移動するので、剛性ワイヤ70が弛んで照明光の光路に入り発光面51aに影が生じることを防止できる。
【0044】
次に図5~7を参照して、本発明の第2実施形態による照明装置2について説明する。なおこれらの図5~7において、先に説明したものと同等の要素には同番号を付してあり、それらについての説明は、特に必要の無い限り省略する。
【0045】
図5は本発明の第2実施形による照明装置2を示す分解斜視図であり、図6はこの照明装置1を長手方向から見て(詳しくは、図5中の矢印X方向の左下側から右上側に見て)示す立断面図である。この照明装置2においては、照明体20を構成するチューブ21として、第1実施形態におけるものより幅が小さいものが適用されている。このチューブ21を筐体10内に保持する照明体保持部80は、下記構造を有するものである。すなわち照明体保持部80は硬質合成樹脂製であり、底板41と、底板41の短手方向両端から上方かつ短手方向外側に向けて斜めに延びる1対の側板42とを有している。両側板42の間には、底板41から上方に向けて延びる2枚の保持板43が形成されており、底板41と左右の保持板43とで照明体20が嵌入保持される主照明体保持空間44が形成されている。
【0046】
上記1対の側板42は、本発明における1対の嵌合保持部材を構成するものであり、カバー50に近い方の先端部から基端部に向かって次第に筐体10の側板(側壁)12から離れる斜め形状のものとされている。そして各側板42はその先端部において、上記側板12の内面に弾力的に嵌合している。また各側板42は、底板41と共に照明体20を保持している保持板43にそれぞれ連結している。
【0047】
本実施形態においてカバー落下防止手段を構成するカバー連結具は、図7に示す剛性ワイヤ70、剛性ワイヤ70の一端に取り付けられたクリップ71、および剛性ワイヤ70の他端に固定されたストッパ72とから構成されている。上記クリップ71は、カバー50の2つの光反射体52のうち奥側の光反射体52に形成された取付孔(図示せず)に通して、該カバー50に取り付けられている。
【0048】
一端がクリップ71に連結された剛性ワイヤ70は、一部が一方の側板42と一方の側板12との嵌合部を通り、他端はストッパ72と共に、上記一方の側板42と一方の側板12との間の空間に配されている。上記の嵌合部は、弾力的な嵌合を果たすものであるので、この嵌合部を通っている剛性ワイヤ70は、該嵌合部に沿って筐体10の長手方向に摺動可能となっている。
【0049】
剛性ワイヤ70は、筐体10の一方の側板12と一方の側板42との嵌合部を一部が通過しているので、この嵌合部に保持される。そして、前述したように作業者が誤ってカバー50から手を離したような場合は、剛性ワイヤ70が上記嵌合部内を滑って移動し、ストッパ72がこの嵌合部で止められて、カバー50の落下が防止される。
【0050】
また、カバー50を筐体10に保持したり、筐体10ら取り外したりするためにカバー50を筐体10に対して動かすと、上記嵌合部を一部が通過している剛性ワイヤ70は、この嵌合部に沿って、つまり一方の側板12の長手方向に延びる状態で保持されるようになる。そこで、剛性ワイヤ70が弛んで照明光の光路に入り発光面51aに影が生じることが防止される。
【0051】
また剛性ワイヤ70は、上記の嵌合部に沿って筐体長手方向に摺動可能とされているので、カバー50を筐体10に保持させたり筐体10から取り外したりする等の作業時に、カバー50を大きな自由度で動かせるようになる。つまりカバー50の筐体10に対する長手方向相対位置は、カバー50の長手方向両端が筐体10の長手方向両端と整合する(カバー50と筐体10とが互いに長手方向にずれない)のが最適位置であるが、上記作業中にカバー50がその最適位置から外れた位置に向けて大きく動かされても、剛性ワイヤ70が上述のように摺動して、カバー50が上記最適位置から外れた位置まで動くことを許容する。それにより、上記の作業をより容易に行うことができる。
【0052】
本実施形態においては、剛性ワイヤ70の一端を図5において手前側の光反射体52に連結し、そして剛性ワイヤ70の一部を、筐体10の手前側の側板12と手前側の側板42との嵌合部を通過させるようにしてもよい。
【0053】
また、本実施形態の照明装置2および第1実施形態の照明装置1において、2本の剛性ワイヤ70をカバー50に連結させ、それらの剛性ワイヤ70を図5図1中の手前側の側板12と奥側の側板12のそれぞれの近傍において筐体長手方向に配置するようにしてもよい。
【0054】
なお、本実施形態の照明装置2および第1実施形態の照明装置1においては、特に剛性ワイヤ70の一端が、上記一方の側板12と向かい合う位置の近傍においてカバー50に連結されているので、剛性ワイヤ70が一方の側板12に沿って延びる状態がより顕著で、以上説明した効果がより顕著なものとなっている。
【符号の説明】
【0055】
1、2 照明装置
10 筐体
11 底板
12 側板
20 照明体
31 照明体保持部の底板
32、33 照明体保持部の側板
40、80 照明体保持部
41 照明体保持部の底板
42 照明体保持部の側板
43 照明体保持部の保持板
50 カバー
51 光拡散透過体
51a 発光面
52 光反射体
56 取付孔
70 剛性ワイヤ
71 クリップ
72 ストッパ
73 ワイヤ保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7