(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】搬送装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20241202BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20241202BHJP
B65H 29/52 20060101ALI20241202BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
G03G21/16 138
G03G21/16 147
B41J29/00 A
B65H29/52
G03G15/00 480
(21)【出願番号】P 2021027932
(22)【出願日】2021-02-24
【審査請求日】2024-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】中島 慶太
(72)【発明者】
【氏名】片平 興
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-067430(JP,A)
【文献】特開2006-251159(JP,A)
【文献】特開2017-043489(JP,A)
【文献】特開2013-082530(JP,A)
【文献】特開2011-143995(JP,A)
【文献】特許第6303640(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2008/0138111(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
B41J 29/00
B65H 29/52
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送するように構成された搬送装置であって、
規制部を有する装置本体と、
前記シートをガイドするように構成された第1ガイド部を有する開閉扉と、
回動軸の周りに回動可能なように、前記開閉扉に支持された搬送ガイドであって、前記シートをガイドするように構成された第2ガイド部と、被規制部とを有し、前記第1ガイド部と前記第2ガイド部の間に前記シートが通過する第1経路が形成されるように、前記第2ガイド部が前記第1ガイド部と対向するように配置された搬送ガイドと、
前記シートを前記第1経路に向けて搬送するように構成された第1搬送ローラを含む搬送部と、
を有し、
前記開閉扉は、前記搬送ガイドが前記装置本体と前記開閉扉の間に収納される閉位置と、前記閉位置から退避した開位置と、に前記装置本体に対して移動可能に構成され、
前記開閉扉が前記開位置に位置された状態は、前記開閉扉が最も大きく開かれた状態であり、前記開閉扉が前記開位置に位置された状態で、前記第2ガイド部が前記第1ガイド部から離れる離れ方向に向けて前記搬送ガイドが回動した場合に、前記被規制部と前記規制部が当接して、前記搬送ガイドの回動が規制され、
前記回動軸の方向に直交する直交方向について、前記第2ガイド部と前記被規制部は、
前記回動軸に対して一方側に配置されることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記直交方向について、前記搬送ガイドは第1端部と前記第1端部の反対側の第2端部を有し、
前記直交方向について、前記回動軸は前記搬送ガイドの中央部よりも前記第1端部の近くに配置され、前記被規制部は前記搬送ガイドの前記中央部よりも前記第2端部の近くに配置されることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記搬送部は、前記第1搬送ローラによって搬送された前記シートを搬送するように構成された第2搬送ローラを含み、
前記第2搬送ローラが前記第1経路を通過した前記シートを搬送するように、前記第1経路は前記第1搬送ローラと前記第2搬送ローラの間に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記シートが積載可能な給紙トレイを備え、
前記給紙トレイは、前記第1搬送ローラに接触した状態で前記第2搬送ローラに接触することが可能な長さを有する前記シートを積載可能であることを特徴とする請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記第1搬送ローラは、第1回転方向と前記第1回転方向とは反対の第2回転方向とに回転可能であり、前記第1回転方向に回転することで前記シートを前記装置本体の外側に向けて搬送し、前記第2回転方向に回転することで前記シートを前記第1経路に向けて搬送することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記搬送ガイドは、前記第1搬送ローラに近づく方向に搬送される前記シートをガイドするように構成された第3ガイド部を有し、前記第3ガイド部は前記第2ガイド部の裏側に配置される、ことを特徴とする請求項5に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記搬送部は、前記装置本体から前記シートを排出するための排出部と、前記第1搬送ローラによって前記シートを前記第1経路に向けて搬送するための反転搬送部と、を含み、
前記装置本体は、前記シートを前記排出部に導く第1ガイド位置と、前記シートを前記反転搬送部に導く第2ガイド位置と、に選択的に移動可能な切替部材を支持する反転フレームを有し、
前記反転フレームは前記規制部を有することを特徴とする請求項5または6に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記第1経路における前記シートの搬送方向について、前記被規制部は、前記搬送ガイドの下流側の端部よりも、前記搬送ガイドの上流側の端部に近い位置に配置されることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項9】
前記開閉扉が前記閉位置と前記開位置の間に位置された状態で、前記離れ方向に向けて前記搬送ガイドが回動した場合に、前記被規制部と前記規制部が当接可能であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項10】
前記搬送ガイドは前記開閉扉に対して第1位置から第2位置の間を移動可能に構成され、前記搬送ガイドは、前記搬送ガイドと前記第1ガイド部の間に隙間が空いた状態で、前記第1位置と前記第2位置の間を移動可能であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項11】
前記開閉扉は被係合部を有し、
前記搬送ガイドは係合部を有し、
前記被係合部と前記係合部が係合した状態で、前記搬送ガイドが前記開閉扉に対して回動することが規制され、前記被係合部と前記係合部の係合が解除された状態で、前記搬送ガイドが前記開閉扉に対して回動することが許容されることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項12】
前記被規制部は、第1被規制部と第2被規制部とを含み、
前記開閉扉の前記閉位置からの開き角度が第1角度未満である状態で、前記離れ方向に向けて前記搬送ガイドが回動した場合に、前記第1被規制部と前記規制部が当接して、前記搬送ガイドの回動が規制され、
前記開閉扉の前記閉位置からの開き角度が前記第1角度以上である状態で、前記離れ方向に向けて前記搬送ガイドが回動した場合に、前記第2被規制部と前記規制部が当接して、前記搬送ガイドの回動が規制されることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の搬送装置と、
前記シートに画像を形成するための画像形成部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送する搬送装置及びシートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真複写機、電子写真プリンタ(LEDプリンタ、レーザビームプリンタ等)、ファクシミリ装置及びワードプロセッサ等の画像形成装置において、画像形成装置の内部でシートが詰まることがある。
【0003】
特許文献1には、用紙搬送装置が、筐体に回転可能に支持された開閉扉と、開閉扉に回転可能に支持された用紙搬送ユニットとを有し、開閉扉と用紙搬送ユニットの間をシートが通過する構成が開示されている。開閉扉と用紙搬送ユニットの間にシートが詰まった際には、開閉扉を開き、かつ開閉扉に対して用紙搬送ユニットが回転することで、開閉扉と用紙搬送ユニットの間からシートを取り除くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
開閉扉と搬送ガイドの間にシートが詰まった状態で開閉扉を開くと、搬送ガイドが開閉扉から離れる方向に向けて、搬送ガイドがシートから力を受ける場合がある。
【0006】
このとき、搬送ガイドの回動を開閉扉に設けられた規制部によって規制する場合、規制部が、搬送ガイドの回動中心(回動軸)に対して搬送ガイドがシートから力を受ける部分の反対側に配置される。その結果、搬送ガイドがシートから力を受けた際に、回動軸付近に作用する負荷が大きくなる。
【0007】
本発明は、開閉扉と搬送ガイドの間にシートが詰まった状態で開閉扉を開いた際に、搬送ガイドの回動軸の付近に大きな負荷が作用することを抑制できる搬送装置、およびそれを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本出願に係る発明の一つは、
シートを搬送するように構成された搬送装置であって、
規制部を有する装置本体と、
前記シートをガイドするように構成された第1ガイド部を有する開閉扉と、
回動軸の周りに回動可能なように、前記開閉扉に支持された搬送ガイドであって、前記シートをガイドするように構成された第2ガイド部と、被規制部とを有し、前記第1ガイド部と前記第2ガイド部の間に前記シートが通過する第1経路が形成されるように、前記第2ガイド部が前記第1ガイド部と対向するように配置された搬送ガイドと、
前記シートを前記第1経路に向けて搬送するように構成された第1搬送ローラを含む搬送部と、
を有し、
前記開閉扉は、前記搬送ガイドが前記装置本体と前記開閉扉の間に収納される閉位置と、前記閉位置から退避した開位置と、に前記装置本体に対して移動可能に構成され、
前記開閉扉が前記開位置に位置された状態は、前記開閉扉が最も大きく開かれた状態であり、前記開閉扉が前記開位置に位置された状態で、前記第2ガイド部が前記第1ガイド部から離れる離れ方向に向けて前記搬送ガイドが回動した場合に、前記被規制部と前記規制部が当接して、前記搬送ガイドの回動が規制され、
前記回動軸の方向に直交する直交方向について、前記第2ガイド部と前記被規制部は、前記回動軸に対して一方側に配置されることを特徴とする搬送装置である。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、開閉扉と搬送ガイドの間にシートが詰まった状態で開閉扉を開いた際に、搬送ガイドの回動軸の付近に大きな負荷が作用することを抑制できる搬送装置、およびそれを用いた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】実施例1に係る画像形成装置の断面図である。
【
図3】実施例1に係るドアと搬送ガイドについて説明する図である。
【
図4】実施例1に係るドアと搬送ガイドについて説明する図である。
【
図5】実施例1に係る両面搬送路における紙詰まりを説明する図である。
【
図6】実施例1に係るドアが開位置に位置し、搬送ガイドが回転した状態を示す図である。
【
図7】実施例1に係るドアが閉位置にある状態の、画像形成装置の断面図である。
【
図8】実施例1に係るドアと搬送ガイドの係合について説明する図である。
【
図9】実施例1に係るドアが開位置にある状態の、画像形成装置の断面図である。
【
図10】実施例2に係るドアが閉位置にある状態を示した説明図である。
【
図11】実施例2に係るドアが閉位置から第1の角度未満の角度で開かれた状態を示した説明図である。
【
図12】実施例2に係るドアが閉位置から第1の角度開かれた状態を示した説明図である。
【
図13】実施例2に係るドアが閉位置から第1の角度より大きな角度で開かれた状態を示した説明図である。
【
図14】実施例2に係るドアと搬送ガイドの斜視図である。
【
図15】比較例に係る画像形成装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して本発明の構成を例示する。なお、各実施例に記載されている部品の寸法、材質、形状、配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件などにより適宜変更されるべきものである。
【実施例1】
【0012】
図1を用いて、画像形成装置1について説明する。本実施例において、画像形成装置1は、電子写真方式を用いるレーザビームプリンタである。なお、本発明は電子写真複写機、LEDプリンタ、インクジェットプリンタ、ファクシミリ装置及びワードプロセッサ等の画像形成装置に用いることもできる。
【0013】
図1は画像形成装置1の断面図である。
図1に示す画像形成装置1は、装置本体100Aと、開閉扉としてのジャム処理ドア(ドア)52とを備える。ドア52は装置本体100Aに支持されており、装置本体100Aに対して移動可能に構成されている。画像形成装置1は、シート給紙部と、シートSに画像を形成する画像形成部と、定着装置10と、反転搬送部22、両面搬送部を備える。
【0014】
画像形成装置1は、シートSに画像を形成する画像形成部としてのプロセスカートリッジ2を備えている。プロセスカートリッジ2は、装置本体100Aに対して着脱可能に構成されている。装置本体100Aとドア52を、画像形成装置1の筐体と呼ぶこともできる。プロセスカートリッジ2は、画像形成装置1の筐体に着脱可能に構成されているということができる。本実施例においては、プロセスカートリッジ2が直接的にシートSに画像を形成するが、画像形成部は、中間転写体を介してシートSに画像を形成してもよい。
【0015】
プロセスカートリッジ2は静電潜像を担持する像担持体としての感光ドラム3、現像剤としてのトナーを担持する現像剤担持体としての現像ローラ2a、帯電部材としての帯電ローラ3a等のプロセス手段を備える。画像形成装置1は、プロセスカートリッジ2の上方に配置された露光装置としてのスキャナユニット4を備える。
【0016】
スキャナユニット4と、シート給紙部と、プロセスカートリッジ2と、定着装置10と、反転搬送部22、両面搬送部は、装置本体100Aの内部に収納されている。
【0017】
感光ドラム3の表面は、帯電ローラ3aによって所定の負極性の電位に帯電される。スキャナユニット4は、画像信号に基づいて感光ドラム3の表面を露光する。その結果、感光ドラム3の表面に静電潜像が形成される。現像ローラ2aから感光ドラム3に、負極性のトナーが供給され、静電潜像が現像される。
【0018】
シート給紙部は、画像形成装置1に装着されている給紙ローラ5と、シートSが積載可能な給紙トレイとしての給紙カセット6を備える。給紙カセット6は、画像形成装置1に対して着脱可能に構成されている。給紙ローラ5は、不図示の給紙駆動ユニットによって回転される。給紙カセット6に収納されているシートSは、給紙ローラ5の回転により、給紙カセット6から1枚ずつ分離され、搬送される。給紙カセット6から搬送されたシートSは、搬送ローラ対7によってレジストローラ対8に搬送される。レジストローラ対8によって斜行補正が行われた後、シートSは転写部に搬送される。
【0019】
転写部は、転写部材としての転写ローラ9を備える。転写ローラ9には、不図示の電圧印加手段によって正極性の電圧を印加される。これにより、感光ドラム3に担持されたトナー像が、感光ドラム3からシートSに転写される。
【0020】
シートSの搬送方向について、転写部の下流側には定着装置10が配置される。定着装置10は、シートSに転写された未定着のトナー像を、シートSに定着させる。定着装置10は、ヒータを内蔵した定着部材である加熱ローラ11と、加熱ローラ11に圧接して回転する加圧部材である加圧ローラ12とを有している。シートSは、加熱ローラ11と加圧ローラ12とで挟持されながら搬送される。加熱ローラ11と加圧ローラ12とで形成される定着ニップ部において、シートSに熱および圧力が与えられることで、トナー像がシートS表面に定着される。
【0021】
トナー像が定着されたシートSは、定着装置10によって搬送される。定着装置10によるシートSの搬送方向において、定着装置10の下流側には、第1搬送ローラ(排紙ローラ)23、排紙従動ローラ24、反転従動ローラ25と、切替部材としての両面フラッパ26が配置される。
【0022】
排紙ローラ23と排紙従動ローラ24によって、シートSを装置本体100Aから排出するための排紙ニップ部(排出部)が形成される。装置本体100Aの外側には、装置本体100Aから排出されたシートSを積載するためのトレイ(排出トレイ)30が備えられている。
【0023】
一方、排紙ローラ23によってシートSを両面搬送路Cに搬送するために、排紙ローラ23と反転従動ローラ25によって、反転ニップ部(反転搬送部)22が形成される。
【0024】
両面フラッパ26は、第1ガイド位置(排出位置)と、第2ガイド位置(反転位置)とに選択的に移動可能である。第1ガイド位置に位置された両面フラッパ26は、排紙ニップ部にシートSを導く。第2ガイド位置に位置された両面フラッパ26は、反転ニップ部にシートSを導く。
【0025】
図1では、第1ガイド位置に位置する両面フラッパ26は実線で描かれ、第2ガイド位置に位置する両面フラッパ26は点線で描かれる。
【0026】
シートSの片面に画像形成を形成する場合は、両面フラッパ26は第1ガイド位置に位置する。片面に画像が形成されたシートSは、定着装置10によって搬送され、両面フラッパ26によって排紙ニップ部に導かれる。排紙ローラ23は、図中反時計回りに回転し、シートSは装置本体100Aの外側に形成されたトレイ30上へ排出される。シートSの片面に画像を形成する動作を、片面画像形成動作(片面印刷)と呼ぶことができる。
【0027】
画像形成装置1は、シートSの両面に画像を形成する、両面画像形成動作(両面印刷)を行うことができる。両面印刷では、シートSの一方の面に画像を形成された後に、シートSの他方の面に画像が形成される。
【0028】
両面印刷が行われる場合、両面フラッパ26はまず第2ガイド位置に位置する。片面(表面)に画像が形成されたシートSは、定着装置10によって搬送され、両面フラッパ26によって反転ニップ部22に導かれる。このとき、排紙ローラ23は、図中時計回りに回転しており、シートSは画像形成装置100Aの外側に形成された排紙トレイ30に向けて一旦搬送される。シートSの後端が所定の位置に来るタイミングで、排紙ローラ23が停止する。そして、両面フラッパ26が第1ガイド位置に移動して、排紙ローラ23が反時計回りに回る。これにより、シートSは、それまでの後端が搬送方向の下流側に位置するようにして搬送される。この搬送を、シートSの反転搬送と呼ぶ。
【0029】
つまり、排紙ローラ23は、第1回転方向と第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転可能である。排紙ローラ23は、第1回転方向に回転してシートSを第1方向に搬送し、第1回転方向に回転してシートSを第2方向(第1方向とは反対の方向)に搬送する。排紙ローラ23は、第1回転方向に回転して、反転ニップ部22まで搬送されたシートSを装置本体100Aの外側に向けて搬送する。その後、排紙ローラ23は、第2回転方向に回転して、シートSを両面搬送路Cに向けて搬送する。
【0030】
画像形成装置1は、排紙ローラ23によって搬送されたシートSを搬送するように構成された反転搬送ローラ(第2搬送ローラ)31を含む。両面搬送路Cは、排紙ローラ23と反転搬送ローラ31の間に配置されている。反転搬送ローラ31は、両面搬送路Cを通過したシートSを搬送するように構成されている。
【0031】
反転搬送されたシートSは、反転搬送ローラ31を含む反転搬送ローラ対、再給紙ローラ32を含む再給紙ローラ対によって搬送され、表面と裏面とが反転された状態でレジストローラ対8に到達する。シートSの裏面に対する画像形成動作は、シートSの表面に対する画像形成動作と同じである。表面と裏面に画像が形成されたシートSは、定着装置10によって搬送され、第1ガイド位置に位置する両面フラッパ26によって排紙ニップ部に導かれる。排紙ローラ23は、図中反時計回りの第1方向に回転しており、シートSはトレイ30へ排出される。
【0032】
画像形成装置1の構成から、少なくともプロセスカートリッジ2を除いた部分を、シートSを搬送するための搬送装置と呼ぶことができる。つまり、画像形成装置1は、搬送装置と、プロセスカートリッジ2とを備える。搬送装置は、ドア52と、装置本体100Aと、後述する搬送ガイド51とを備える。
【0033】
また、搬送装置はシートSを搬送するための搬送部を備える。搬送部は、少なくとも排紙ローラ23を含む。本実施例では、搬送部は反転搬送ローラ31を含む。給紙ローラ5、搬送ローラ対7、レジストローラ対8、感光ドラム3、転写ローラ9、定着装置10、排紙従動ローラ24、反転従動ローラ25を、搬送部の一部と呼ぶこともできる。搬送部は、排紙ニップ部(排出部)と反転ニップ部(反転搬送部)22を含む、ということもできる。
【0034】
<紙詰まりの処理>
シートSが搬送路の内部で詰まるシート詰まり(ジャム)が起きた場合には、シートSを搬送路から取り除く必要がある。以下、ジャムを処理するための構成について、
図2、
図3、
図4を用いて説明する。
【0035】
図2は、本実施例に係る画像形成装置1の断面図である。
図2は、シートSの幅方向で、シートSの中央における断面図である。シートSの幅方向とは、シートSの搬送方向、およびシートSの厚み方向に直交する方向である。排紙ローラ23や反転搬送ローラ31等の回転軸は、シートSの幅方向に向けて延びている。
【0036】
図3、
図4は、本実施例に係るドア52と搬送ガイド51について説明する図である。
図3(a)、
図4(a)はドア52と搬送ガイド51について説明する断面図である。
図3(b)、
図4(b)はドア52と搬送ガイド51について説明する斜視図である。
【0037】
図2、
図3(a)、
図4(a)は、搬送ガイド51の回転軸の方向に沿って見た図である。本実施例においては、搬送ガイド51の回転軸の方向、ドア52の回転軸の方向、排紙ローラ23の回転軸の方向、反転搬送ローラ31の回転軸の方向は、平行である。
【0038】
上述のように、ドア52は、装置本体100Aに対して移動可能である。具体的には、ドア52は、装置本体100Aに対して、閉位置と、閉位置から退避した開位置との間で移動可能に構成されている。
図2では、ドア52が閉位置に位置されている。
図3(a)、
図3(b)、
図4(a)、
図4(b)では、ドア52が開位置に位置されている。
【0039】
図2に示すように、ドア52が閉位置にあるとき、後述する搬送ガイド51は、ドア52によって覆われている。言い換えれば、搬送ガイド51が、装置本体100Aとドア52の間に収納されている。
【0040】
装置本体100Aは排紙フレーム(反転フレーム)21を備える。排紙フレーム21は、排紙ローラ23、排紙従動ローラ24、反転従動ローラ25、両面フラッパ26を支持している。
【0041】
画像形成装置1は、ドア52の下部に、ドア支持部41を備える。ドア支持部41は、シートSの幅方向で、ドア52の両端に配置されている。装置本体100Aとドア52の一方に設けられた軸が、装置本体100Aとドア52の他方に設けられた穴に挿入されることで、ドア支持部41が形成されている。ドア52は、ドア支持部41の周りに回動して、装置本体100Aに対して開位置と閉位置とに移動する。ドア52は、装置本体100Aにより、回動軸41aの周りに回動可能に支持されている。本実施例では、ドア52に形成された穴52aに装置本体100Aの軸が挿入されることで、ドア支持部41が形成される(
図8(b)、
図8(c)参照)。
【0042】
画像形成装置1は、ドア52に回動可能に支持された搬送ガイド51を有する。搬送ガイド51の下部に、ガイド支持部51aが備えられる。ガイド支持部51aは、シートSの幅方向で、搬送ガイド51の両端に配置されている。搬送ガイド51とドア52の一方に設けられた軸が、搬送ガイド51とドア52の他方に設けられた穴に挿入されることで、ガイド支持部51aが形成されている。搬送ガイド51は、ドア52により、回動軸51a1の周りに回動可能に支持されている。ドア52と搬送ガイド51を合わせて、ドアユニット(ジャム処理ドアユニット)と呼ぶことができる。
【0043】
図2に示すように、ドア52は、シートSをガイドするように構成された第1ガイド部としてのシートガイド部52bを有する。搬送ガイド51は、シートSをガイドするように構成された第2ガイド部としてのシートガイド部51bを有する。ドア52のシートガイド部52bと、搬送ガイド51のシートガイド部51bは、互いに対向し、シートガイド部52bとシートガイド部51bの間に、搬送路(第1経路、第1搬送路)としての両面搬送路Cが形成される。反転搬送されたシートSは、両面搬送路Cを通過する。シートSは、シートガイド部51bとシートガイド部52bに接触可能である。
【0044】
ドア52が開位置に位置された状態で、搬送ガイド51はドア52に対して移動可能である。
【0045】
図3(a)、
図3(b)では、シートガイド部51bがシートガイド部52bに近づく方向に、搬送ガイド51が回転した状態が示されている。この状態で、例えば定着装置10と排紙ローラ23の間でジャムが起きた際に、搬送ガイド51と装置本体100Aの間からシートSを取り除くことができる。
【0046】
図4(a)、
図4(b)では、シートガイド部51bがシートガイド部52bから離れる方向(遠ざかる方向)に、搬送ガイド51が回転した状態が示されている。この状態で、例えば反転搬送中にジャムが起きた際に、搬送ガイド51とドア52の間からシートSを取り除くことができる。
【0047】
本実施例では、
図4(a)に示すように、搬送ガイド51は被規制部51cを有し、装置本体100Aの排紙フレーム21は規制部21aを有する。ドア52が開位置に位置された状態で、シートガイド部51bがシートガイド部52bから離れる方向(離れ方向)に向けて、搬送ガイド51が回転した場合、被規制部51cと規制部21aが当接する。その結果、離れ方向への搬送ガイド51の回転が規制される。
【0048】
<比較例に係る画像形成装置>
ここで、比較例に係る画像形成装置のドアの構成を、
図15を用いて説明する。
図15は、比較例に係る画像形成装置の説明図である。
図15(a)、
図15(b)、
図15(c)は比較例に係るドア152と搬送ガイド151について説明する断面図である。
【0049】
図15(a)に示すように、シートSを排出する場合には、経路(搬送路)Aに沿ってシートSが搬送される。両面印刷が行われる場合には、両面フラッパ26が、実線で示された位置から点線で示された位置に移動し、シートSは経路(搬送路)Bに沿って搬送される。シートSの後端が搬送ガイド151の端部151eを通過した後、排紙ローラ23は回転を停止し、両面フラッパ26が再び実線の位置まで回動した後、排紙ローラ23が逆回転する。その結果、シートSは両面搬送路Cへと搬送される。
【0050】
比較例に係る画像形成装置でジャムが発生した場合、実施例と同様に、シートSを取り除くために、ドア152を開き、各搬送路を開放することができる。
【0051】
図15(b)に示すように、反転搬送ローラ31付近でシートSのジャムが発生した場合、使用者は、ドア152を、回動中心152cを中心に回動させて開き、シートSを取り除く。ドア152を開ける前、シートSは、1点鎖線で示すS′の位置にあり、搬送ガイド151は151fに示す位置にある。
【0052】
ドア152を開けると、搬送ガイド151は、ドア152と共に151fの位置から151aまたは151bの位置まで移動する。両面搬送路CにシートSがある状態で、ドア152を開くと、シートSは搬送ガイド151によって、S′の位置から実線で示す位置まで引き出される。この際、シートSが排紙ローラ23と反転従動ローラ25に挟持されていると、搬送ガイド151でシートSを引き出すために必要な力が大きくなる。言い換えれば、搬送ガイド151がシートSから受ける反力が大きくなる。
【0053】
図15(c)に示すように、ドア152が開かれると、搬送ガイド151がシートSを押す力の反力F1が、搬送ガイド151に作用する。搬送ガイド151は、回動中心151cを中心にM方向に回動して151aから151bの位置に移動する。
【0054】
比較例の構成においては、搬送ガイド151の回動は、搬送ガイド151の被規制部151dが、ドア152に設けられた規制部152aに当接することで規制される。比較例において、搬送ガイド151の回転軸に直交する方向について、被規制部151dは回動中心151cの一方側に配置され、搬送ガイド151がシートSから反力F1を受ける部分は回転中心151cの他方側に配置される。
【0055】
被規制部151dと規制部152aが当接した後、さらにドア152を開けようとすると、搬送ガイド151には、規制部152aから受ける反力F2が作用する。
【0056】
搬送ガイド151の回動中心151cは、ドア152から離れた位置に配置すると装置の大型化につながるため、ドア152付近に配置される。その結果、回動中心151cから反力F1が作用する点までの距離L1より、回動中心151cから反力F2が作用する点までの距離L2が短くなる。反力F1と距離L1の積は、反力F2と距離L2の積に等しい。したがって、反力F2は、反力F1よりも大きくなる。
【0057】
反力F1と反力F2は、搬送ガイド151の回動中心151cに作用する。したがって、回動中心151cの周囲の剛性を高くすることが好ましい。しかし、回動中心151cの剛性を高くすることにより、搬送ガイド151のコストが上がる可能性がある。
【0058】
また、距離L2を長くするためには、被規制部151dを回動中心151cから離れた位置に配置する必要がある。しかし、被規制部151dを端部151eとは反対側に設ける必要があるため、搬送ガイド151が大型化する可能性がある。
【0059】
<搬送ガイドの規制>
次に、本実施例に係る搬送ガイド51の回動を規制する構成について説明する。
【0060】
上述のように、搬送ガイド51が、シートガイド部51bがシートガイド部52bから離れる方向(離れ方向)に回転すると、両面搬送路Cが開放される。両面搬送路Cを開放する方向への搬送ガイド51の回動は、搬送ガイド51に設けられた被規制部51cと、排紙フレーム21に設けられた規制部21aが当接することで規制される。
【0061】
シートSの幅方向において、被規制部51cは搬送ガイド51の両端に設けられている。と規制部21aは、搬送ガイド51の両端に設けられた被規制部51cに対応する位置に配置される。シートSの幅方向について、被規制部51cと、規制部21aは両面搬送路Cの外側に配置されている。
【0062】
回動軸51a1の方向に直交する方向を直交方向と呼ぶ。
図4(a)には、ドア52が開位置に位置され、搬送ガイド51の被規制部51cが規制部21aに当接した状態が示されている。回動軸51a1、被規制部51c、シートガイド部51b、ドア52の間の関係について説明する。
【0063】
直交方向について、シートガイド部51bと被規制部51cは、回動軸51a1に対して一方側に配置される。また、ドア52の少なくとも一部は、回動軸51a1に対して他方側に配置される。これにより、搬送ガイド51がシートSと規制部21aから反力を受けた際に、回動軸51a1付近に作用する負荷を低減することができる。
【0064】
さらに、
図4(a)に示した状態で、搬送ガイド51の回動軸51a1の方向に見て、被規制部51cと規制部21aが接触する点と、回動軸51a1を結ぶ直線を直線Lnとする。直線Lnの方向(直線Lnに沿った方向)について、シートガイド部51bと被規制部51cは、回動軸51a1に対して一方側に配置される。また、ドア52の少なくとも一部は、回動軸51a1に対して他方側に配置される。
【0065】
図4(a)に示した状態で、直交方向について、被規制部51cとドア52の間の距離は、回動軸51a1とドア52の間の距離よりも長い。直交方向について、シートガイド部51bとドア52の間の距離は、回動軸51a1とドア52の間の距離よりも長い。
【0066】
さらに、直交方向について、搬送ガイド51は第1端部と前記第1端部の反対側の第2端部を有する。直交方向について、回動軸51a1は搬送ガイド51の中央部よりも第1端部の近くに配置され、被規制部51cは搬送ガイド51の中央部よりも第2端部の近くに配置される。本実施例では、回動軸51a1は搬送ガイド51の下部に配置され、被規制部51cは、搬送ガイド51の上部に配置されている。両面搬送路CにおけるシートSの搬送方向について、被規制部51cは、搬送ガイド51の下流側の端部よりも、上流側の端部に近い位置に配置される。
【0067】
規制部21aに被規制部51cが当接した状態で、搬送ガイド51の上部を排紙フレーム21側に押された時、規制部21aと被規制部51cの当接部を中心としたモーメントが小さくなる。
【0068】
ドア52が開位置に位置した状態は、ドア52が最も大きく開かれた状態である。本実施例では、ドア52が閉位置から開位置の間のどこにいても、搬送ガイド51を離れ方向に回転した場合には、被規制部51cと規制部21aが当接する。つまり、ドア52が閉位置と開位置の間に位置された状態で、離れ方向に向けて搬送ガイド51が回転した場合に、被規制部51cと規制部21aが当接可能である。
【0069】
本実施例では、被規制部51cは、シートSの幅方向で搬送ガイド51の両端に設けられているが、搬送ガイド51の片方の端部に設けられていてもよい。
【0070】
<搬送ガイドにかかる負荷>
次に、搬送ガイド51に係る負荷について、
図5、
図6を用いて説明する。
【0071】
図5は、両面搬送路Cにおける紙詰まりを説明する図である。
図5(a)は、両面搬送路Cにおいて紙詰まりが発生し、ドア52が閉位置にある状態を示す図である。
図5(b)は、両面搬送路Cにおいて紙詰まりが発生し、ドア52が開位置にある状態を示す図である。
図6は、ドア52が開位置に位置し、搬送ガイド51がドア52から離れる方向に回転した状態を示す図である。
【0072】
図5(a)に示すように、反転搬送されるシートSの先端が両面搬送路Cを通過し、反転搬送ローラ31の上流側に到達した状態で、両面搬送路Cでジャムが発生する場合がある。シートSを取り除くため、画像形成装置1の使用者は、
図5(b)に示すように、ドア52を閉位置から開位置に移動する。
【0073】
ここで、シートSの長さは、両面搬送路CにおけるシートSの搬送方向についてのシートガイド部51bの下流端と排紙ローラ23の間の長さよりも長い。また、本実施例では、シートSは、排紙ローラ23に接触した状態で反転搬送ローラ31に接触することが可能な長さを有する。言い換えれば、給紙カセット6は、上記のような長さを有するシートSを積載可能(収納可能)である。
【0074】
図5(a)、
図5(b)に示すように、シートSが排紙反転部22に挟持された状態で、使用者がドア52を開ける場合、ガイド支持部51a付近に位置する搬送ガイド51の一部が、ドア52と共に移動する。
【0075】
その結果、シートSは、
図5(a)の位置から
図5(b)のP部の位置で引き出される。このとき、排紙反転部22とP部の間でシートSが引っ張られる。一方、シートSと当接することにより、搬送ガイド51のシートガイド部51bは、シートSから反力を受ける。その結果、搬送ガイド51は、両面搬送路Cが開放されるように、ドア52に対して相対的に回動する。そして、
図6に示すように、被規制部51cが規制部21aに当接する。
【0076】
図6に示すように、ドア52を開ける際に、被規制部51cが規制部21aに当接すると、搬送ガイド51が力F3で規制部21aを押圧し、規制部21aがF3の反力F3’で搬送ガイド51を押圧する。
【0077】
本実施例の構成によれば、搬送ガイド51の回動を規制するための部分をドア52に設ける構成(比較例)と比較して、ガイド支持部51aにかかる力は小さくなる。したがって、ガイド支持部51a周辺の剛性を小さくすることができ、部品コストを低減できる。
【0078】
また、
図5(b)のP部において、搬送ガイド51のドア52に対する開き角度によらず、シートガイド部52bとシートガイド部51bの間に空間が形成される。言い換えれば、搬送ガイド51はドア52に対して第1位置から第2位置の間を移動可能に構成され、搬送ガイド51は、搬送ガイド51とシートガイド部52bの間に隙間が空いた状態で、第1位置と第2位置の間を移動可能である。その結果、シートSがP部でシートガイド部52bとシートガイド部51bに挟まれることが防止される。
【0079】
<搬送ガイドとドアの連結>
搬送ガイド51のドア52を連結する構成について、
図7、
図8、
図9を用いて、さらに詳細に説明する。
【0080】
図7は、ドア52が閉位置にある状態の、画像形成装置1の断面図である。
図8は、ドア52と搬送ガイド51の係合について説明する図である。
図8(a)は搬送ガイド51の斜視図である。
図8(b)はドア52の斜視図である。
図8(c)はドア52と搬送ガイド51が係合した状態の斜視図である。
図9は、ドア52が開位置にある状態の、画像形成装置1の断面図である。
【0081】
図7に示すように、ドア52が閉じ位置にある状態で、搬送ガイド51の被規制部51cは、ドア52に設けられたガイドガイド規制部52dと排紙フレーム21の一部である規制部21aに挟み込まれて回動規制されている。その結果、排紙フレーム21に支持された両面フラッパ26と搬送ガイド51の間で、互いに対する位置精度を高く保つことができる。また、ドア52のシートガイド部52bと搬送ガイド51の間で、互いに対する位置精度を高く保つことができる。
【0082】
図8(a)に示すように、搬送ガイド51は突起部(係合部)51dを有する。
図8(b)に示すように、ドア52は穴(被係合部)52cを有する。穴52cと突起部51dが係合した状態で、搬送ガイド51がドア52に対して回動することが規制される。穴52cと突起部51dの係合が解除された状態で、搬送ガイド51がドア52に対して回動することが許容される。
【0083】
図8(c)に示すように、搬送ガイド51がドア52に対して閉位置にある場合、搬送ガイド51の突起部51dは、ドア52の穴52cに係合している。
【0084】
両面搬送路Cに詰まったシートSがある状態でドア52を開けると、搬送ガイド51には力F3が作用する。突起部51dが穴52cに対して係合する係合力(突起部51dが穴52cから外れるために必要な力)は、力F3より小さく設定されている。そのため、両面搬送路Cに詰まったシートSがある状態でドア52を開くと、突起部51dが穴52cから外れ、搬送ガイド51はドア52に対して開位置となる。
【0085】
一方、両面搬送路CにシートSがない状態で、ドア52を開けた場合には、突起部51dが穴52cに対して係合した状態が保たれる。したがって、搬送ガイド51は、ドア52に対して閉位置にある状態が保たれ、搬送ガイド51とドア52が一体的に移動する。
【0086】
図2、
図9に示すように、搬送ガイド51は、排紙ローラ23に向けて搬送されるシートSをガイドするように構成されたシートガイド部(第3ガイド部)51eを有する。シートSは、シートガイド部51eに接触可能である。シートガイド部51eはシートガイド部51bの裏側に配置される。シートガイド部51eでガイドされるシートSが排紙ローラ23と排紙従動ローラ24の間で詰まった場合、シートSを取り除くために、ドア52が開かれる。このとき、突起部51dが穴52cに対して係合した状態で、ドア52と搬送ガイド51が装置本体100Aに対して開かれる。つまり、使用者がシートSを取り除く作業が、搬送ガイド51によって妨げられることがない。
【実施例2】
【0087】
図10から
図14を用いて、実施例2に係る構成について説明する。なお、実施例2において、実施例1と共通する事項については、原則として説明は省略する。実施例1で説明した構成と同じ部分ついては、実施例1と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0088】
実施例1では、両面搬送路Cに詰まったシートSがある状態で、ドア52を開くと、ドア52の開き角度がどの大きさであっても、被規制部51cと規制部21aが当接する構成であった。つまり、被規制部51cと規制部21aが摺動した状態で、ドア52が閉位置から開位置に移動する場合があった。
【0089】
一方、後述するように、実施例2では、搬送ガイド61が二つの被規制部を有する。言い換えれば、搬送ガイド61の被規制部は、第1被規制部61e、第2被規制部61cを含む。ドア52の開き角度によって、規制部21aと摺動する箇所が、第1被規制部61eと第2被規制部61cの間で切り替わる。
【0090】
図10は、実施例2に係るドア52が閉位置にある状態を示した説明図である。
図10(a)は、同状態を示した断面図であり、
図10(b)は、同状態を示した斜視図である。
【0091】
図11は、実施例2に係るドア52が閉位置から第1の角度未満の角度で開かれた状態を示した説明図である。
図11(a)は、同状態を示した断面図であり、
図11(b)は、同状態を示した斜視図である。
【0092】
図12は、実施例2に係るドア52が閉位置から第1の角度開かれた状態を示した説明図である。
図12(a)は、同状態を示した断面図であり、
図12(b)は、同状態を示した斜視図である。
【0093】
図13は、実施例2に係るドア52が閉位置から第1の角度より大きな角度で開かれた状態を示した説明図である。
図13(a)は、同状態を示した断面図であり、
図13(b)は、同状態を示した斜視図である。
図13(a)、
図13(b)は、ドア52が閉位置から最も大きく開かれた状態を示している。
【0094】
図10(a)、
図11(a)、
図12(a)、
図13(a)は、ドア52の回転軸、および搬送ガイド61の回転軸の方向に見た図である。
【0095】
ドア52の閉位置からの開き角度が第1の角度未満である状態で、離れ方向に向けて搬送ガイド61が回転した場合に、第1被規制部61eと規制部21aが当接して、搬送ガイド61の回転が規制される。ドア52の閉位置からの開き角度が第1の角度以上である状態で、離れ方向に向けて搬送ガイド61が回転した場合に、第2被規制部61cと規制部21aが当接して、搬送ガイド61の回転が規制される。
【0096】
図10(a)、
図10(b)に示すように、ドア52が閉位置にあるとき、搬送ガイド61の第1被規制部61eはガイド規制部52dと規制部21aの間に挟み込まれており、搬送ガイド61の回動が規制されている。
【0097】
図11(a)、
図11(b)に示すように、ドア52が閉位置から第1角度未満の角度で開かれた状態で、搬送ガイド61が離れ方向に回転すると、第1被規制部61eが規制部21aと当接することで、搬送ガイド61の回動が規制される。
【0098】
図12(a)、
図12(b)に示すように、ドア52が閉位置から第1角度まで開かれると、ドア52の回動を規制するために規制部21aと当接する部分が、第1被規制部61eから第2被規制部61cに切り替わる。
【0099】
ドア52が閉位置から第1角度以上の角度で開かれた状態で、搬送ガイド61が離れ方向に回転すると、第2被規制部61cが規制部21aと当接することで、搬送ガイド61の回動が規制される。例えば、
図13(a)、
図13(b)に示すように、ドア52が、閉位置から最も大きく開かれた状態では、第2被規制部61cが規制部21aと当接することで、搬送ガイド61の回動が規制される。一方、第1被規制部61eは、規制部21aから離間している。
【0100】
このように、ドア52の開き角度によって、規制部21aと摺動する箇所が、搬送ガイド61の第1被規制部61eから第2被規制部61cに切り替わる。その結果、規制部21aと擦れることにより、第1被規制部61eや第2被規制部61cが削れることを抑制することができる。上述したように、ドア52が閉位置にあるとき、搬送ガイド61は、第1被規制部61eがイド規制部52dと規制部21aの間に挟み込まれることで位置決めされている。したがって、第1被規制部61eが削れることを抑制することにより、ドア52が閉位置にあるとき、搬送ガイド61を精度よく位置決めすることができる。
【0101】
実施例1と同様に、第1被規制部61e、第2被規制部61cを装置本体100Aの規制部21aで規制することにより、ドア52で規制する場合と比較して、ドア61の回動中心部61aの付近に作用する負荷を小さくすることができる。したがって、回動中心部61a周辺の剛性を高める必要がなく、部品コストを低減することができる。
【0102】
一方、実施例2では、ドア52に対する搬送ガイド61の回動を規制するための構成が、実施例1で示したものと異なる。実施例2における、ドア52に対する搬送ガイド61の回動を規制するための構成を、
図14を用いて説明する。
【0103】
図14は、実施例2に係るドア52と搬送ガイド61の斜視図である。
【0104】
図14に示すように、搬送ガイド61は、第2被規制部61cの裏側に、挟み込み部(係合部)61fを有する。ドア52は、リブ(被係合部)52eを有する。挟み込み部61fとリブ52eが係合した状態で、搬送ガイド61がドア52に対して回動することが規制される。挟み込み部61fとリブ52eの係合が解除された状態で、搬送ガイド61がドア52に対して回動することが許容される。
【0105】
搬送ガイド61がドア52に対して閉位置にある場合、挟み込み部61fとリブ52eが係合している。両面搬送路Cに詰まったシートSがある状態でドア52を開けると、搬送ガイド61には力F3が作用する(
図6参照)。挟み込み部61fがリブ52eを挟み込む力(挟み込み部61fがリブ52eから外れるために必要な力)は、力F3より小さく設定されている。そのため、両面搬送路Cに詰まったシートSがある状態でドア52を開くと、挟み込み部61fがリブ52eから外れ、搬送ガイド61はドア52に対して開位置となる。
【0106】
一方、両面搬送路CにシートSがない状態で、ドア52を開けた場合には、挟み込み部61fとリブ52eの係合した状態が保たれる。したがって、搬送ガイド61は、ドア52に対して閉位置にある状態が保たれる。
【0107】
その結果、実施例1と同様に、定着装置10から排紙ローラ23と排紙従動ローラ24の間の搬送路に詰まったシートSがあっても、使用者がシートSを取り除く作業が搬送ガイド61によって妨げられることがない。
【0108】
各実施例の構成は、必要に応じて適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0109】
1 画像形成装置
23 排紙ローラ
26 両面フラッパ(切替手段)
52 ドア(開閉扉)
52b シートガイド部(第1ガイド部)
51、61 搬送ガイド
51b シートガイド部(第2ガイド部)
51c、61c 被規制部
21a 規制部
100A 装置本体
S シート