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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20241202BHJP
   G03G 21/18 20060101ALI20241202BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
G03G21/16 120
G03G21/18 150
G03G21/18 157
G03G15/08 347
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021030081
(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2022131237
(43)【公開日】2022-09-07
【審査請求日】2024-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 正樹
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-014097(JP,A)
【文献】特開2010-143720(JP,A)
【文献】特開2005-148702(JP,A)
【文献】特開2013-029676(JP,A)
【文献】特開2007-328194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 21/18
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーが収容され供給口が設けられたトナー容器と、前記供給口を開放する開位置と前記供給口を閉鎖する閉位置との間を前記トナー容器に対して移動可能なシャッタと、を有するトナーカートリッジと、
前記トナーカートリッジを装着方向に装着可能な装置本体であって、前記トナーカートリッジの前記供給口から供給されたトナーを収容するトナー収容部を有する装置本体と、
を備える画像形成装置において、
前記トナーカートリッジの前記トナー容器は被係合部を有し、
前記装置本体は、
前記シャッタが前記開位置にあって前記供給口から前記トナー収容部にトナーを供給可能な第1位置と、前記シャッタが前記閉位置にあって前記装着方向に関し前記第1位置よりも上流側にある第2位置と、の間を前記トナーカートリッジが移動できるように前記トナーカートリッジをガイドするガイド部と、
前記第1位置から前記第2位置へ向かう方向に前記トナーカートリッジを押圧する押圧部材と、
前記トナーカートリッジの前記第1位置からの移動を規制するように前記トナーカートリッジの前記被係合部と係合する係合位置と、前記被係合部との係合が解除された係合解除位置と、の間を移動可能な係合部材と、
前記トナーカートリッジに前記トナーカートリッジの移動速度に依存する減衰力を付与する減衰力付与機構と、
を有し、
前記係合部材が前記係合位置から前記係合解除位置へ移動させられて、前記トナーカートリッジが前記押圧部材に押圧されることによって前記第1位置から前記第2位置へ向けて移動させられている間に、前記減衰力付与機構は前記トナーカートリッジに前記減衰力を付与するように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記減衰力付与機構は、前記装着方向に延びるように前記トナー容器に設けられたラック部と、前記装置本体に設けられたギアダンパーと、を含み、
前記係合部材が前記係合位置から前記係合解除位置へ移動させられて、前記トナーカートリッジが前記押圧部材に押圧されることによって前記第1位置から前記第2位置へ向けて移動させられている間に、前記ギアダンパーは前記トナーカートリッジの前記ラック部と噛み合うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記係合部材が前記係合位置から前記係合解除位置へ移動させられた場合に、前記トナーカートリッジが前記押圧部材に押圧されることで前記第2位置まで到達するように前記ギアダンパーのトルクが設定されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記押圧部材は、前記トナーカートリッジが前記第2位置にある時に前記トナーカートリッジを押圧しないように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記装置本体は、前記第1位置から前記第2位置へ向かう方向に前記押圧部材を付勢する付勢部材を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記トナーカートリッジは、前記装着方向において前記被係合部よりも上流側に第2被係合部を有し、
前記係合部材は、前記係合位置から前記係合解除位置へ移動させられて、前記トナーカートリッジが前記押圧部材に押圧されることによって前記第1位置から前記第2位置へ向かって移動した後に、前記係合解除位置から前記係合位置へ移動させられて、前記トナーカートリッジの前記第2被係合部と係合することで前記トナーカートリッジを前記第2位置で停止させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記装置本体は、
前記トナーカートリッジのトナー残量に相関する相関値を検出する検出部材と、
前記係合部材を前記係合位置と前記係合解除位置との間で移動させるように構成された
アクチュエータと、
前記アクチュエータを制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記検出部材の検出結果に応じて、前記係合部材が前記係合位置から前記係合解除位置へ移動するように前記アクチュエータを制御することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の、トナーカートリッジを含む画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザープリンタなどの画像形成装置で使用されるカートリッジにおいては、現像ローラ等を有する現像部からトナーを収容する部分を分離してトナーカートリッジとして独立させた構成が知られている。この構成は、トナーが無くなった場合にはこのトナーカートリッジのみを交換すれば良いのでコストダウンを実現できる。
【0003】
トナーカートリッジ内のトナーが無くなり、ユーザがトナーカートリッジの交換を選択した場合に、トナーカートリッジを装置本体内にあるトナー補給位置から挿入口側の取り出し位置へと移動させるトナーカートリッジ移動手段を備える構成が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5307200号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
移動手段によってトナーカートリッジを取り出し位置へ移動させた場合、トナーカートリッジに振動や衝撃を与える場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の側面は、トナーが収容され供給口が設けられたトナー容器と、前記供給口を開放する開位置と前記供給口を閉鎖する閉位置との間を前記トナー容器に対して移動可能なシャッタと、を有するトナーカートリッジと、前記トナーカートリッジを装着方向に装着可能な装置本体であって、前記トナーカートリッジの前記供給口から供給されたトナーを収容するトナー収容部を有する装置本体と、を備える画像形成装置において、前記トナーカートリッジの前記トナー容器は被係合部を有し、前記装置本体は、前記シャッタが前記開位置にあって前記供給口から前記トナー収容部にトナーを供給可能な第1位置と、前記シャッタが前記閉位置にあって前記装着方向に関し前記第1位置よりも上流側にある第2位置と、の間を前記トナーカートリッジが移動できるように前記トナーカートリッジをガイドするガイド部と、前記第1位置から前記第2位置へ向かう方向に前記トナーカートリッジを押圧する押圧部材と、前記トナーカートリッジの前記第1位置からの移動を規制するように前記トナーカートリッジの前記被係合部と係合する係合位置と、前記被係合部との係合が解除された係合解除位置と、の間を移動可能な係合部材と、前記トナーカートリッジに前記トナーカートリッジの移動速度に依存する減衰力を付与する減衰力付与機構と、を有し、前記係合部材が前記係合位置から前記係合解除位置へ移動させられて、前記トナーカートリッジが前記押圧部材に押圧されることによって前記第1位置から前記第2位置へ向けて移動させられている間に、前記減衰力付与機構は前記トナーカートリッジに前記減衰力を付与するように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、トナーカートリッジを移動手段によって取り出し位置へ移動させる構成において、トナーカートリッジに与える振動や衝撃を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1に係る画像形成装置の概略断面図である。
図2】実施例1に係る、装置本体の供給位置及び取り出し位置にあるトナーカートリッジ及び装置本体の概略断面図である。
図3】実施例1に係る、トナーカートリッジからトナー搬送パイプへのトナーの排出状況を検知するトナーセンサを示した図である。
図4】実施例1に係る、トナーカートリッジのシャッタ近傍の部分拡大図である。
図5】トナーカートリッジが装置本体の供給位置及び取り出し位置にある時の、実施例1に係る押し出し機構、トナー搬送パイプ、ブレーキ機構の斜視図である。
図6】トナーカートリッジが装置本体の供給位置及び取り出し位置にある時の、実施例1に係るトナーカートリッジと、押し出し機構と、トナー搬送パイプの断面図である。
図7】係合部材が係合位置及び係合解除位置にある時の、実施例1に係る移動機構の模式図である。
図8】トナーカートリッジの押し出し機構の動作に関する、実施例1に係るフローチャートである。
図9】実施例1に係る制御ブロック図である。
図10】実施例2に係るブレーキ機構を示す斜視図である。
図11】実施例2に係るトナーカートリッジ1のシャッタ近傍の拡大図である。
図12】実施例3に係るブレーキ機構を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施例1〕
本発明における第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0010】
(画像形成装置)
図1は、画像形成装置1000の概略図である。画像形成装置1000は、電子写真方式のカラーレーザープリンタであり、トナーカートリッジ1(1Y、1M、1C、1K)と、トナーカートリッジ1を着脱可能な装置本体100と、を備える。装置本体100は、シートSにトナー像を形成する画像形成部100Aを有する。この画像形成部100Aは、感光ドラム101と、現像ローラ118と、中間転写ベルト102と、一次転写ローラ106と、2次転写ローラ105と、を含む。
【0011】
感光ドラム101は、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色にそれぞれ対応する101Y、101M、101C、101Kの4つが設けられている。現像ローラ118及び一次転写ローラ106についてもそれぞれ118Y~118K及び106Y~106Kの4つが設けられている。
【0012】
画像形成部100Aにおいて画像形成動作が開始されると、レーザースキャナー103により画像信号に応じた光が感光ドラム101に照射され、感光ドラム101上に静電潜像が形成される。次に、4色の現像ローラ118はそれぞれ、現像容器104Y、104M、104C、104Kに収納されたトナーを担持するように構成されている。その現像ローラ118に担持されたトナーを感光ドラム101上の静電潜像に供給することで感光ドラム101上にトナー像を現像する。
【0013】
感光ドラム101上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト102に1次転写される。そして中間転写ベルト102上のトナー像は2次転写部へ搬送される。現像容器104のトナーが消費されると、トナーは逐次トナーカートリッジ1Y、1M、1C、1Bから汲み上げられて補充される。
【0014】
この画像形成部100Aの動作に連動してシート収納手段107からピックアップローラ108によりシートSが1枚ずつ給送される。このシートSは、フィードローラ109及びレジストローラ110によって中間転写ベルト102と2次転写ローラ105のニップ部である2次転写部に搬送される。そして、2次転写部で2次転写ローラ105によってトナー像が中間転写ベルト102からシートSへ転写される。トナー像が転写されたシートSは、その後、定着手段111へ搬送され、定着手段111において加熱、加圧されることでトナー画像がシートSに定着される。シートSは定着後、排出ローラ112によって排出トレイへ排出される。
【0015】
(トナー搬送構成)
図2(a)は、装置本体100の供給位置X1(第1位置)にトナーカートリッジ1が装着された状態を示した断面図である。図2(b)は、ドア3が開かれてトナーカートリッジ1が取出し位置Y1(第2位置)にある状態を示す断面図である。
【0016】
トナーカートリッジ1は、装置本体100に対して装着方向Mに装着できるように且つ離脱方向Dに離脱できる構成されている。装着方向Mと離脱方向Dは、感光ドラム101の回転軸線方向と平行であって互いに反対方向である。
【0017】
装置本体100は、ドア3と、ドアセンサ4(開閉センサ)と、ガイド部2と、トナー搬送パイプ8及び11と、トナー搬送スクリュー10及び12と、カートリッジ駆動モータ6と、本体駆動モータ9と、駆動手段14と、を有する。装置本体100は、開口211aであってトナーカートリッジ1を着脱するための開口211aが設けられた枠体2111を有する。
【0018】
ドア3は、図2(b)の枠体2111に設けられた開口211aを開閉する開閉部材である。開口211aは、トナーカートリッジ1を装置本体100に対して着脱するために設けられている。ドア3は、ヒンジ3aを中心に回動するように構成され、4つのトナーカートリッジ1(1Y~1K)で共通になっている。つまり、ドア3を開けることで4つのトナーカートリッジ1が部分的に外部に露出する。
【0019】
ドアセンサ4は、ドア3が開位置(図2(a))と閉位置(図2(b))のいずれにあるのかを検知するためのスイッチである。
【0020】
ガイド部2は、トナーカートリッジ1が供給位置X1と取り出し位置Y1との間を移動させられる間にトナーカートリッジ1をガイドする部分である。ガイド部2は、トナーカートリッジ1の装着方向Mに延びている。
【0021】
トナー搬送パイプ8(トナー収容部)は、トナーカートリッジ1からトナーの供給を受ける受入口8aが設けられ、トナー搬送スクリュー10によってトナー搬送パイプ11へ向けて搬送されるトナーが通過する搬送路を形成している。図5(a)のように、トナーカートリッジ1が供給位置X1にある時は、ト供給口5は、トナー搬送パイプ8の受入口8aが連通している。トナー搬送パイプ11は、トナー搬送スクリュー12によって鉛直上方向に搬送されるトナーが通過する搬送路を形成し、トナーTを現像容器104へ搬送する。本体駆動モータ9の駆動力は、駆動手段14を構成する平歯ギア14aとシャフト14bとネジ歯ギア14cを介してトナー搬送スクリュー12に伝達される。
【0022】
トナーカートリッジ1は、内部にトナーTを収容し、供給位置X1にある時にトナー搬送パイプ8へトナーを供給するための供給口5と、蛇腹式のポンプ7と、を有する。
【0023】
ポンプ7は、カートリッジ駆動モータ6の駆動力により回転駆動されるカム13によって圧縮と膨張が行われることによって空気を圧縮するように構成されている。ポンプ7は、図2(a)に示すようにトナーカートリッジ1が供給位置X1にある時に、圧縮された空気によって供給口5と受入口8aを介してトナー搬送パイプ8へトナーTを供給する。
【0024】
トナーカートリッジ1からトナー搬送パイプ8に供給されたトナーTは、本体駆動モータ9の駆動力によって駆動されるトナー搬送スクリュー10によって搬送されてトナー搬送パイプ11へ搬送される。トナー搬送パイプ11まで到達したトナーTは、平歯ギア14aとシャフト14bとネジ歯ギア14cを介して本体駆動モータ9の駆動力が伝達されたトナー搬送スクリュー12によって鉛直上方向へ搬送され、現像容器104にトナーが供給される。
【0025】
図9に制御ブロック図を示す。制御部211は、現像容器104へのトナー補給が必要になった場合に、カートリッジ駆動モータ6、本体駆動モータ9が駆動されるように制御する。
【0026】
(トナー残量検知)
トナーカートリッジ1のトナー残量検知について説明する。図3は、トナーカートリッジ1からトナー搬送パイプ8へのトナーTの排出状況を検知するためのトナーセンサ150(トナー検出部材)を示した図である。トナーカートリッジ1に収容されるトナーTがほとんどなくなった場合、トナーTが供給口5からトナー搬送パイプ8へほとんど排出されなくなる。トナー搬送パイプ8に設けられた光学式のトナーセンサ15によって供給口5から受入口8aを介してトナー搬送パイプ8へ排出されるトナーの状況をモニタすることで、トナーカートリッジ1のトナー残量を検知(検出)する。
【0027】
トナーセンサ150は、基板16aと、基板16aに設けられた発光素子15aと、基板16bと、基板16bに設けられた受光素子15bと、を有する。発光素子15aと受光素子15bは、トナー搬送パイプ8を挟んで対向するように設けられている。発光素子15aは、トナーカートリッジ1の供給口5から供給されたトナーTが通過するトナー搬送パイプ8内の領域に向けて発光するように配置されている。受光素子15bは、発光素子15aから発せられた光を受光できるよう配置されている。
【0028】
受光素子15bの受光時間は、トナーカートリッジ1のトナー残量に相関する相関値である。受光素子15bが発光素子15aから発せられた光を受光しないもしくは受光時間が所定時間よりも短い場合、光がトナーによって遮られている。つまり、トナーカートリッジ1からトナー搬送パイプ8へトナーが排出(供給)されているので、トナー残量があると判断できる。受光素子15bの受光時間が所定時間よりも長い場合は、光がトナーによって遮られていない。つまり、トナーカートリッジ1からトナー搬送パイプ8へトナーが供給(排出)されていないので、トナー残量がほとんどないと判断することができる。
【0029】
トナーセンサ150の結果に基づいてトナーカートリッジ1のトナー残量がないと判断されると、オペレーショパネルなどの表示部312を通してユーザにトナーカートリッジ1の交換を促す。
【0030】
(トナーカートリッジ押し出し機構)
装置本体100は、トナーカートリッジ1を供給位置X1から取り出し位置Y1へ押し出すように構成された押し出し機構99を有する。本実施例においては、押し出し機構99は、トナーセンサ15の結果に基づいてトナーカートリッジ1のトナー残量がないと判断され且つドアセンサ4がドア3のオープン状態が検知されたことを条件にトナーカートリッジ1を押し出す。トナーカートリッジ1が自動で取り出し位置Yへ押し出されることにより、ユーザは複数のトナーカートリッジ1(1Y~1K)のうち交換すべきものを容易に認識することができる。
【0031】
押し出し機構99に関連するトナーカートリッジ1の構造について説明する。図4(a)は、トナーカートリッジ1が取り出し位置Y1にある時のトナーカートリッジ1のシャッタ22近傍の部分拡大図である。図4(b)は、トナーカートリッジ1が供給位置X1にある時のトナーカートリッジ1のシャッタ22近傍の拡大斜視図である。
【0032】
図4に示すように、トナーカートリッジ1は、トナーを収容し、供給口5が設けられたトナー容器111と、シャッタ貫通孔22aが設けられたシャッタ22と、シャッタバネ23と、第1被係合部28と、第2被係合部29と、ラック部20と、を有する。これらは、トナーカートリッジ1の装着方向Mの下流側の端部の底面に設けられている。
【0033】
図4(a)において、シャッタ22のシャッタ貫通孔22aは、トナー容器111の供給口5と連通しない閉位置X2にある。シャッタ22が閉位置X2にある時は、トナーカートリッジ1の供給口5からトナーは排出されない。トナーカートリッジ1は、図4(a)の状態からガイド部2にガイドされつつ装着方向Mに移動させられると、シャッタ22の凹部22b(シャッタ被係合部)が装置本体100の凸部24(図5(a))と係合してシャッタ22が係止される。シャッタ22が係止された状態で、トナー容器111が装着方向Mへ移動すると、シャッタ22はトナー容器111に対して開位置Y2に移動する。シャッタ22が開位置Y2にある時、シャッタ貫通孔22aは、供給口5と連通し、トナーを排出できるようになる。
【0034】
図5(a)は、トナーカートリッジ1が装置本体100の供給位置Xにある時のトナーカートリッジ1の押し出し機構99の斜視図である。図5(b)は、トナーカートリッジ1が取出し位置Yにある時の押し出し機構99の斜視図である。図5(a)及び図5(b)においては、見やすくするためにトナーカートリッジ1は後述するラック部20を除いて省略している。
【0035】
押し出し機構99は、押圧部材17と、押圧バネ19(第1付勢部材)と、係合部材18と、を有する。
【0036】
押圧部材17は、トナーカートリッジ1が供給位置X1から取り出し位置Y1へ移動するようにトナーカートリッジ1の装着方向Mの下流側端面を押圧する押圧部17aを有する。押圧部17aはトナーカートリッジ1の装着方向Mの下流側の端面に接触する。押圧部材17は、トナーカートリッジ1が取り出し位置Y1に到達する前にストッパー200に係止される。
【0037】
押圧バネ19は、押圧部材17を離脱方向D(供給位置X1から取り出し位置Y1へ向かう方向)に付勢するように構成されている。トナーカートリッジ1は、押圧部材17を介して押圧バネ19の押圧力(付勢力)で離脱方向Dへ押圧されるように構成されている。
【0038】
押圧部材17は、トナー搬送パイプ8の受入口8aを開閉する本体シャッタとしても機能する。押圧部材17は、図5(a)に示すように、トナーカートリッジ1が供給位置X1にある時は受入口8aを開放する位置にある。これによって、受入口8aは、トナーカートリッジ1の供給口5からトナーの供給を受けることができる。また、押圧部材17は、図5(b)に示すように、トナーカートリッジ1が取り出し位置Y1にある時は、受入口8aを閉鎖する位置にある。押圧部材17は、押圧バネ19の押圧力によってストッパー200に係止された状態が維持される。
【0039】
次に、トナーカートリッジ1のロック機能を有する係合部材18の機能について説明する。図6(a)は、トナーカートリッジ1が装置本体100の供給位置X1にある時のトナーカートリッジ1と、押し出し機構99と、トナー搬送パイプ8の断面図である。図6(b)は、トナーカートリッジ1が装置本体100の供給位置Xと取り出し位置Yの間にある時のトナーカートリッジ1と、押し出し機構99と、トナー搬送パイプ8の断面図である。図6(c)は、トナーカートリッジ1が装置本体100の取り出し位置Yにある時のトナーカートリッジ1と、押し出し機構99と、トナー搬送パイプ8の断面図である。
【0040】
係合部材18は、図6(a)において、トナーカートリッジ1が供給位置X1で係止されるようにトナーカートリッジ1のトナー容器111の底面にある第1被係合部28と係合する係合位置X3にある。係合部材18が係合位置X3にある時は、ドア3を開いてもユーザがトナーカートリッジ1を取り出すことはできないように、トナーカートリッジ1が装置本体100にロック(移動規制)されている。図6(b)においては、係合部材18は、トナーカートリッジ1の第1被係合部28との係合が解除された係合解除位置Y3にある。従って、トナーカートリッジ1は押し出し機構99から押圧されて離脱方向Dへ移動することが許容される。図6(c)において、係合部材18は、トナーカートリッジ1が取り出し位置Y1で係止されるようにトナー容器111の底面にある第2被係合部29と係合する係合位置X3にある。係合部材18は、図6(b)の状態を経て、トナーカートリッジ1の第2被係合部29が係合部材18を通り過ぎる前に係合解除位置Y3から係合位置X3に復帰させられるので、第2被係合部29と係合することができる。図6(c)の状態において、ユーザがトナーカートリッジ1を引き出すと、係合部材18は、第2被係合部29の離脱方向Dの下流側にある斜面29aと当接して下方に押し下げられるため、トナーカートリッジ1を装置本体100から取り出すことができる。
【0041】
係合部材18の移動機構250について説明する。図7(a)は、係合部材18が係合位置X3にある時の移動機構250の模式図である。図7(b)は、係合部材18が係合解除位置Y3にある時の移動機構250の模式図である。係合部材18は、トナーカートリッジ1の装着方向M(離脱方向D)に交差する方向に移動可能に構成され、カムモータ71によって回転駆動される回転カム118と係合するように構成されたカムフォロア部18aを有する。図6(a)に示すように、係合部材18が係合位置X3にある時は、回転カム118がカムフォロア部18aに作用せず、係合部材18は、圧縮バネ116(第2付勢部材)の付勢力によって係合位置X3にある状態が維持されている。カムモータ71によって回転カム118が180°回転させられると、回転カム118がカムフォロア部18aに作用して、係合部材18は、圧縮バネ116の付勢力に抗して係合位置X3から係合解除位置Y3へ移動させられる。再び、回転カム118が180°回転させられると、カムフォロア部18aが回転カム118から開放されて、圧縮バネ116の付勢力によって係合部材18は、係合解除位置Y3から係合位置X3へ移動する。
【0042】
本実施例においては、移動機構250においてカムモータ71を用いたが、ソレノイドなどの他のアクチュエータを用いても良い。
【0043】
(押し出し機構の制御)
押し出し機構99の制御について説明する。図8は、押し出し機構99を動作に関するフローチャートである。図9は制御ブロック図である。
【0044】
図8に示すように、最初に複数のトナーカートリッジ1(1Y~1K)のうち、交換すべきものがあるかどうかを判断する(S1)。具体的には、図9の制御部211が、トナーセンサ150の検知結果(検出結果)に応じて交換すべきトナーカートリッジがあるかどうかを判断する。YESの場合は、ドア3が開位置にあるかどうかを判断する(S2)。具体的には、図9の制御部211がドアセンサ4の検知結果に応じて判断する。これもYESの場合に、押し出し機構99を動作させる。具体的には、制御部211がカムモータ71を制御して移動機構250を動作させて係合部材18を係合位置X3から係合解除位置Y3へ移動させる。S1及びS2においてNOの場合は、押し出し機構99を動作させない。
【0045】
(ブレーキ機構)
本実施例の特徴であるブレーキ機構について説明する。本実施例のブレーキ機構は、トナーカートリッジ1に設けられたラック部20と、装置本体100に設けられたギアダンパー21と、で構成される減衰力付与機構である。ギアダンパー21は、オイルやグリスの粘性でピニオンギアが回転する時に減衰力を与えるロータリ式ダンパーである。ギアダンパー21は、トナーカートリッジ1が供給位置X1から取り出し位置Y1まで移動する間にトナーカートリッジ1のラック部20とピニオンギアが噛み合う事で減衰力を発生させる。この減衰力はトナーカートリッジ1の速度に比例して大きくなる。
【0046】
トナーカートリッジ1が押圧部材17から押圧力を受けて離脱方向Dに移動している時に、トナーカートリッジ1に作用する力は、装置本体100のガイド部2から受ける摩擦力(装着方向M)と、押圧部材17から受ける押圧力(離脱方向D)と、ギアダンパー21の減衰力(装着方向M)である。
【0047】
ギアダンパー21の減衰力が付与されることによって、トナーカートリッジ1が押圧部材17によって押し出されて第2被係合部29に係合される時に発生する衝突音が抑制されたり、トナーカートリッジ1に加わる衝撃が抑えられる。トナーカートリッジ1が押し出された時の衝撃が大きい場合、シャッタ貫通孔22aの内周部に付着したトナーTを装置本体100のガイド部2へ落下させるなどのトナー汚れが発生する場合がある。従って、押し出し時にトナーカートリッジ1が受ける衝撃の抑制はトナー汚れ抑制に効果がある。
【0048】
更に、本実施例においては、押圧部材17からトナーカートリッジ1が受ける押圧力は、供給位置X1から取り出し位置Y1に向かうにつれて小さくなる。そして、その押圧力は、トナーカートリッジ1が取り出し位置Y1に到達する前であって押圧部材17が装置本体100のストッパー200に係止された後の期間ではゼロになる。図6(c)に示すように、トナーカートリッジ1が取り出し位置Y1にある時に、押圧部材17の押圧部17aと、トナーカートリッジ1の離脱方向Dの上流側端面と、の間には隙間Gがある。つまり、トナーカートリッジ1が取り出し位置Y1においては、トナーカートリッジ1には押圧部材17による押圧力は作用していない。一方、ギアダンパー21は、トナーカートリッジ1が供給位置X1と取り出し位置Y1とのいずれにあるときもラック部20と係合している。ギアダンパー21の減衰力は、トナーカートリッジ1が供給位置X1から取り出し位置Y1へ移動する間に作用するが、トナーカートリッジ1の速度が徐々に低下していくので、それに伴い減衰力も低下する。押圧部材17がストッパー200に係止されるタイミングで、トナーカートリッジ1の速度は急激に低下し、ギアダンパー21から受ける減衰力もそれに伴い急激に低下する。従って、係合部材18がトナーカートリッジ1の第2被係合部29に当接する取り出し位置Y1においては、トナーカートリッジ1の速度はかなり低減しているので衝突音や衝撃が抑制される。
【0049】
また、ギアダンパー21のトルクは、トナーカートリッジ1が押圧部材17を介して押圧バネ19の付勢力を受けることによって取り出し位置Y1まで到達する設定にされている。従って、押し出し機構99によって押し出されたトナーカートリッジ1は、安定的に取り出し位置Y1で停止する。
【0050】
ギアダンパー21の付随的な効果として、トナーカートリッジ1を装置本体100に装着する場合にもトナーカートリッジ1に減衰力が作用する。そのため、ユーザが勢いよくトナーカートリッジ1を装置本体100に押込んだ場合の衝撃を弱める役割も果す。従って、トナーカートリッジ1の装着時においてもトナー汚れ抑制に効果がある。
【0051】
〔実施例2〕
本発明における第2の実施形態について説明する。本実施例の実施例1の構成と異なるのは、ブレーキ機構のみであり、その他の構成は実施例1と同じあるので説明を省略する。図10は、第2の実施例のブレーキ機構を示した斜視図である。図11は、本実施例に係るトナーカートリッジ1のシャッタ22近傍の拡大図である。
【0052】
本実施例のブレーキ機構は、図10に示す装置本体100の摺擦部材30及び圧縮バネ31と、図11に示すトナーカートリッジ1の離脱方向Dに延びるリブ32(被摺擦部)と、を有する。
【0053】
摺擦部材30は、離脱方向Dと交差する方向に移動可能であって、圧縮バネ31によってトナーカートリッジ1の底面のリブ32と接触するように付勢されている。この摺擦部材30によって、トナーカートリッジ1に対して摩擦力を作用させることでトナーカートリッジ1に減速力が与えている。本実施例のブレーキ機構の場合、実施例1のギアダンパー21のようにグリスやオイルの粘性に頼る必要がなく、画像形成装置100が使用される環境温度による影響を受けにくい。従って、トナーカートリッジ1に安定した減速力を与えることが可能となる。
【0054】
〔実施例3〕
本発明における第3の実施形態について説明する。図13(a)は、本実施例の押し出し機構を示した斜視図である。実施例と異なる点は 押圧部材177がラック部177aを有し、ギアダンパー218と係合している点である。それ以外は、実施例1と同じであるので説明を省略する。押圧部材177は、トナーカートリッジ1を離脱方向Dに押し出すためにトナーカートリッジ1を押圧する部材であり、押圧バネ155により離脱方向Dに付勢されている。押圧部材177は、供給位置X1からストッパー200に係止されるまでの間にギアダンパー218から減速力を受けるので、トナーカートリッジ1の押圧部材177から受ける力も減衰する。その結果、ギアダンパー21の減衰力が付与されることによって、トナーカートリッジ1が押圧部材17によって押し出されて第2被係合部29に係合される時に発生する衝突音が抑制されたり、トナーカートリッジ1に加わる衝撃が抑えられるという効果がある。
【符号の説明】
【0055】
1 トナーカートリッジ
2 ガイド部
4 ドアセンサ
5 供給口
8 トナー搬送パイプ
8a 受入口
10 トナー搬送スクリュー
11 トナー縦搬送パイプ
12 トナー縦搬送スクリュー
15 トナー残量検知センサ
17 押圧部材
18 係合部材
19 押圧バネ
20 ラック部
21 ギアダンパー
28 第1被係合部
29 第2被係合部
100 装置本体
1000 画像形成装置
図1
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