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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】電気車制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20190101AFI20241202BHJP
   B60L 13/00 20060101ALI20241202BHJP
   B60L 50/53 20190101ALI20241202BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20241202BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20241202BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241202BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20241202BHJP
   B60L 7/14 20060101ALN20241202BHJP
【FI】
B60L3/00 C
B60L13/00 D
B60L50/53
B60L58/10
H02M7/48 M
H02J7/00 P
H02J7/34 J
B60L7/14
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021039229
(22)【出願日】2021-03-11
(65)【公開番号】P2022139026
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上村 悠介
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 智洋
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-095995(JP,A)
【文献】特開2012-121570(JP,A)
【文献】特開2011-101456(JP,A)
【文献】特開平05-130702(JP,A)
【文献】特開2016-134983(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0271056(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-3/12
7/00-13/00
15/00-58/40
H02J 7/00-7/12
7/34-7/36
H02M 7/42-7/98
H02P 21/00-25/03
25/04
25/10-27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1三相スイッチング回路を有するインバータ回路と、
第2三相スイッチング回路を有するチョッパ回路と、
前記チョッパ回路を介して充放電を行う蓄電池と、
前記インバータ回路において前記第1三相スイッチング回路に代えて、前記第2三相スイッチング回路を電気的に接続する切替回路と、を備え、
前記切替回路は、前記第2三相スイッチング回路を電気的に接続するのに先だって、前記第2三相スイッチング回路を前記蓄電池から遮断する、
電気車制御装置。
【請求項2】
前記インバータ回路は、電動機駆動用インバータ回路あるいは補助電源用インバータ回路である、
請求項1に記載の電気車制御装置。
【請求項3】
前記インバータ回路及び前記チョッパ回路は、一体に構成されている、
請求項1又は請求項2に記載の電気車制御装置。
【請求項4】
前記インバータ回路と前記チョッパ回路とは、別体に構成されており、
前記インバータ回路は、前記第1三相スイッチング回路または前記第1三相スイッチング回路の周辺回路が故障状態にある旨を前記チョッパ回路に通信により通知する、
請求項1又は請求項2に記載の電気車制御装置。
【請求項5】
複数の前記インバータ回路を備え、
前記切替回路は、複数の前記インバータ回路のうち、いずれかの前記第1三相スイッチング回路に代えて、前記第2三相スイッチング回路を電気的に接続する、
請求項1に記載の電気車制御装置。
【請求項6】
前記インバータ回路は、電動機駆動用インバータ回路及び補助電源用インバータ回路を含む、
請求項5に記載の電気車制御装置。
【請求項7】
少なくとも前記インバータ回路のうち一つ及び前記チョッパ回路は、一体に構成されている、
請求項5又は請求項6に記載の電気車制御装置。
【請求項8】
前記切替回路は、複数の接触器を備えている、
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の電気車制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電気車制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道車両において蓄電池及びチョッパ回路を使用して、回生電力を利用した蓄電池の充電及び蓄電した電力による力行時の電力アシストにより省電力性を向上可能な回路構成が適用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-046558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、鉄道車両において、電動機駆動用インバータ回路や補助電源用インバータ回路の故障した場合、運行の遅延や車内の空調機器等の電気機器の使用量制限に繋がるため、これに対して冗長性を確保することが重要視されている。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、回路構成の大幅な変更を伴うことなく故障時の冗長性向上を図ることが可能な電気車制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の電気車制御装置は、第1三相スイッチング回路を有するインバータ回路と、第2三相スイッチング回路を有するチョッパ回路と、チョッパ回路を介して充放電を行う蓄電池と、前記インバータ回路において第1三相スイッチング回路に代えて、第2三相スイッチング回路を電気的に接続する切替回路と、を備え、前記切替回路は、前記第2三相スイッチング回路を電気的に接続するのに先だって、前記第2三相スイッチング回路を前記蓄電池から遮断する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態の電気車制御装置の主回路の構成図である。
図2図2は、第2実施形態の電気車制御装置の主回路の構成図である。
図3図3は、第3実施形態の電気車制御装置の主回路の構成図である。
図4図4は、第4実施形態の電気車制御装置の主回路の構成図である。
図5図5は、第5実施形態の電気車制御装置の主回路の構成図である。
図6図6は、第6実施形態の電気車制御装置の主回路の構成図である。
図7図7は、第7実施形態の電気車制御装置の主回路の構成図である。
図8図8は、第8実施形態の電気車制御装置の主回路の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の電気車制御装置について図面を参照しながら説明する。
[1]第1実施形態
図1は、第1実施形態の電気車制御装置の主回路の構成図である。
電気車制御装置の主回路10は、大別すると、第1電気車制御装置11と、第2電気車制御装置12と、電動機13A、13Bと、を備えている。
なお、電動機の個数は、任意に設定が可能である。
【0008】
第1電気車制御装置11は、第1メイン接触器21と、平滑用コンデンサ22と、電動機駆動用インバータ回路23と、第1制御切替接触器24と、コントローラ25と、を備えている。
【0009】
さらに第1電気車制御装置11は、パンタグラフ14と接地15との間の電圧(入力電圧)を検出する直流電圧検出器(DCPT)DT1と、電動機駆動用インバータ回路23の電動機13A、13Bに対する出力電流を検出する電流検出器CT1、CT2を備えている。直流電流圧検出器DT1及び電流検出器CT1、CT2の検出出力は、コントローラ25に出力されて、第1電気車制御装置11の動作状態並びに電動機駆動用インバータ回路23及びその周辺回路の故障を検出することとなる。
【0010】
第2電気車制御装置12は、第2メイン接触器31と、平滑用コンデンサ32と、三相チョッパスイッチング回路33と、第2制御切替接触器34と、第3制御切替接触器35と、チョッパ用リアクトル36と、第1蓄電池用接触器37と、第2蓄電池用接触器38と、蓄電池39と、コントローラ40と、を備えている。
【0011】
さらに第2電気車制御装置12は、パンタグラフ14と接地15との間の電圧(入力電圧)を検出する直流電圧検出器DT2と、三相チョッパスイッチング回路33の第2制御切替接触器34あるいは第3制御切替接触器35に対する出力電流を検出する電流検出器CT3、CT4と、蓄電池39の電圧を検出する直流電圧検出器DT2と、蓄電池39に対する入出力電流を検出する電流検出器CT5と、を備えている。直流電流圧検出器DT2、DT3及び電流検出器CT3~CT5の検出出力は、コントローラ40に出力されて第2電気車制御装置12の動作状態を検出することとなる。
【0012】
上記構成において、第1メイン接触器21及び第2メイン接触器31は、同等の性能を有している。
また平滑用コンデンサ22及び平滑用コンデンサ32は、同等の性能を有している。
【0013】
さらに電動機駆動用インバータ回路23及び三相チョッパスイッチング回路33は、各相(U、V、W)毎に上アーム及び下アームを構成するIGBT等の3組(あるいは、3×n組:nは2以上の整数)のスイッチング素子を有する同様の構成(耐圧、供給可能電力量等)を採っている。従って、三相チョッパスイッチング回路33も電動機駆動用インバータ回路23と同様の制御を行うことで同等の性能を発揮することが可能である。
【0014】
またコントローラ25と、コントローラ40とは、図示しない通信ネットワークを介して相互に通信可能であり、制御切替接触器の投入状態や故障状態を相互に通知可能であり、それによる制御切替が可能となっている。
【0015】
次に第1実施形態の動作を説明する。
通常時においては、第1制御切替接触器24は、閉状態とされ、電動機駆動用インバータ回路23は電動機13A、13Bに電気的に接続されており、電動機駆動用インバータ回路23により電動機13A、13Bが駆動可能な状態となっている。
【0016】
一方、第2制御切替接触器34は、開状態とされている。
また、第3制御切替接触器35は、閉状態とされ、三相チョッパスイッチング回路33は、チョッパ用リアクトル36を介して、蓄電池39に電気的に接続されている。
【0017】
すなわち、通常時においては、三相チョッパスイッチング回路33及びチョッパ用リアクトル36で構成されるチョッパ回路により蓄電池39の充放電制御を行うことで電動機13A、13Bの回生電力を利用した蓄電池充電や力行時の電力アシストが可能となっている。
このとき、第2制御切替接触器34は、開状態であるため、三相チョッパスイッチング回路33と電動機駆動用インバータ回路23とが互いに干渉することがない。
【0018】
また、電動機駆動用インバータ回路23またはその周辺回路が故障した場合には、まず、第1電気車制御装置11のコントローラ25は、第1制御切替接触器24を開状態とすることで、電動機駆動用インバータ回路23と電動機13A、13Bの電気的接続を遮断する。
【0019】
一方、第2電気車制御装置12のコントローラ40は、コントローラ25から故障により第1制御切替接触器24を開状態としたことが通知されると、第3制御切替接触器35を開状態とすることで、三相チョッパスイッチング回路33に対して、チョッパ用リアクトル36及び蓄電池39が干渉しないようにする。
【0020】
そしてコントローラ40は、第2制御切替接触器34を閉状態とすることで三相チョッパスイッチング回路33を電動機13A、13Bと電気的に接続する。
この状態において、コントローラ40は、コントローラ25と同様の制御、すなわち電動機駆動用インバータ回路23と同様の制御を行うことで、電動機13A、13Bに駆動電力を供給して駆動する。
【0021】
以上の説明のように、本第1実施形態によれば、電動機駆動用インバータ回路23またはその周辺回路が故障した場合にも、三相チョッパスイッチング回路33を実効的に電動機駆動用インバータ回路23として機能させることが可能となる。
【0022】
したがって、通常時は電動機13A、13Bの回生電力を利用した蓄電池充電及び蓄電した電力による力行時の電力アシストにより省エネ性を向上できる。
また、電動機駆動用インバータ回路23またはその周辺回路が故障して電動機13A、13Bの駆動ができない場合において、三相チョッパスイッチング回路33を電動機駆動用インバータ回路23として機能させて電動機13A、13Bの駆動を行うことにより、加速の低下及び運行の遅延を防止することが可能となる。
すなわち、回路構成の大幅な変更を伴うことなく故障時の冗長性向上を図ることができる。
【0023】
[2]第2実施形態
図2は、第2実施形態の電気車制御装置の主回路の構成図である。
図2において、図1と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
本第2実施形態が、第1実施形態と異なる点は、第2実施形態の電気車制御装置10Aが第1電気車制御装置11及び第2電気車制御装置12に代えて、両電気車制御装置の機能を実現している点である。
第2実施形態の電気車制御装置10Aによれば、電動機駆動用インバータ回路23またはその周辺回路が故障した場合にも、三相チョッパスイッチング回路33を実効的に電動機駆動用インバータ回路23として機能させることが可能となる。
【0024】
したがって、通常時は電動機13A、13Bの回生電力を利用した蓄電池充電及び蓄電した電力による力行時の電力アシストにより省エネ性を向上できる。
また、電動機駆動用インバータ回路23またはその周辺回路が故障して電動機13A、13Bの駆動ができない場合において、三相チョッパスイッチング回路33を電動機駆動用インバータ回路23として機能させて電動機13A、13Bの駆動を行うことにより、加速の低下及び運行の遅延を防止することが可能となる。
すなわち、回路構成の大幅な変更を伴うことなく故障時の冗長性向上を図ることができる。
【0025】
[3]第3実施形態
図3は、第3実施形態の電気車制御装置の主回路の構成図である。
図3において、図1と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
本第3実施形態が、第1実施形態と異なる点は、補助電源の出力を行う第3電気車制御装置16を備えた点である。
すなわち、電気車制御装置の主回路10Bは、大別すると、第1電気車制御装置11と、第2電気車制御装置12と、電動機13A、13Bと、第3電気車制御装置16と、Δ-Y結線変圧器TR1と、を備えている。
なお、電動機の個数は、任意に設定が可能である。
第1電気車制御装置11及び第2電気車制御装置12は、第1実施形態と同様の構成であるので、第3電気車制御装置16の構成について説明する。
【0026】
第3電気車制御装置16は、第3メイン接触器61と、平滑用コンデンサ62と、補助電源用インバータ回路63と、第4制御切替接触器65と、補助電源用リアクトル66と、補助電源出力フィルタコンデンサ67と、コントローラ68と、を備えている。
【0027】
上記構成において、コントローラ68、コントローラ25及びコントローラ40は、図示しない通信ネットワークを介して相互に通信可能であり、制御切替接触器の投入状態や故障状態を相互に通知可能であり、それによる制御切替が可能となっている。
【0028】
さらに第3電気車制御装置16は、パンタグラフ14と接地15との間の電圧(入力電圧)を検出する直流電圧検出器DT4と、補助電源用インバータ回路63の出力電流を検出する電流検出器CT6、CT7と、Δ-Y結線変圧器TR1に対する出力電圧を検出する交流電圧検出器AT1と、Δ-Y結線変圧器TR1に対する入出力電流を検出する電流検出器CT8、CT95と、を備えている。直流電流圧検出器DT4、交流電圧検出器AT1及び電流検出器CT6~CT9の検出出力は、コントローラ68に出力されて第3電気車制御装置16の動作状態並びに補助電源用インバータ回路63及びその周辺回路の故障を検出することとなる。
【0029】
さらに補助電源用インバータ回路63及び三相チョッパスイッチング回路33は、各相(U、V、W)毎に上アーム及び下アームを構成するIGBT等の3組(あるいは、3×n組:nは2以上の整数)のスイッチング素子を有する同様の構成(耐圧、供給可能電力量等)を採っている。従って、三相チョッパスイッチング回路33も補助電源用インバータ回路63と同様の制御を行うことで同等の性能を発揮することが可能である。
【0030】
従って、補助電源用インバータ回路63またはその周辺回路が故障した場合には、まず、第3電気車制御装置16のコントローラ68は、第4制御切替接触器65を開状態とすることで、補助電源用インバータ回路63とΔ-Y結線変圧器TR1との電気的接続を遮断する。
【0031】
一方、第2電気車制御装置12のコントローラ40は、第3電気車制御装置16のコントローラ68から故障により第4制御切替接触器65を開状態としたことが通知されると、第3制御切替接触器35を開状態とすることで、三相チョッパスイッチング回路33に対して、チョッパ用リアクトル36及び蓄電池39が干渉しないようにする。
【0032】
そしてコントローラ40は、第2制御切替接触器34を閉状態とすることで三相チョッパスイッチング回路33を補助電源用リアクトル66及び補助電源出力フィルタコンデンサ67を介してΔ-Y結線変圧器TR1と電気的に接続する。
【0033】
この状態において、コントローラ40は、コントローラ68と同様の制御、すなわち補助電源用インバータ回路63と同様の制御を行うことで、補助電源用リアクトル66及び補助電源出力フィルタコンデンサ67を介してΔ-Y結線変圧器TR1に電力を供給する。
【0034】
以上の説明のように、本第3実施形態によれば、補助電源用インバータ回路63またはその周辺回路が故障した場合にも、三相チョッパスイッチング回路33を実効的に補助電源用インバータ回路63として機能させることが可能となる。
【0035】
したがって、補助電源用インバータ回路63またはその周辺回路が故障してΔ-Y結線変圧器TR1に電力の供給ができない場合において、三相チョッパスイッチング回路33を補助電源用インバータ回路63として機能させてΔ-Y結線変圧器TR1に電力の供給を行うことにより、補助電源供給先の負荷の動作停止を防止することが可能となる。
【0036】
すなわち、回路構成の大幅な変更を伴うことなく故障時の冗長性向上を図ることができる。
以上の説明においては、補助電源出力フィルタコンデンサ67は、Δ結線の場合であったが、スター結線であってもよい。
【0037】
また、以上の説明においては、変圧器として、Δ-Y結線変圧器TR1を用いていたが、これは一例であり、例えば、Y-Δ結線変圧器、Y-Y結線変圧器あるいはΔ-Δ結線変圧器を用いることも可能である。以下の各実施形態においても同様である。
【0038】
[4]第4実施形態
図4は、第4実施形態の電気車制御装置の主回路の構成図である。
図4において、図3と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
本第4実施形態が、第3実施形態と異なる点は、第4実施形態の電気車制御装置10Cの第2電気車制御装置12Aが第1電気車制御装置11及び第2電気車制御装置12に代わり、両電気車制御装置11,12の機能を実現している点である。
【0039】
この場合においても、第1実施形態と同様に、コントローラ25と、コントローラ40とは、図示しない通信ネットワークを介して相互に通信可能であり、制御切替接触器の投入状態や故障状態を相互に通知可能であり、それによる制御切替が可能となっている。
【0040】
第4実施形態の電気車制御装置10Cによれば、補助電源用インバータ回路63またはその周辺回路が故障した場合にも、三相チョッパスイッチング回路33を実効的に補助電源用インバータ回路63として機能させることが可能となる。
【0041】
したがって、補助電源用インバータ回路63またはその周辺回路が故障してΔ-Y結線変圧器TR1に電力の供給ができない場合において、三相チョッパスイッチング回路33を補助電源用インバータ回路63として機能させてΔ-Y結線変圧器TR1に電力の供給を行うことにより、補助電源供給先の負荷の動作停止を防止することが可能となる。
すなわち、回路構成の大幅な変更を伴うことなく故障時の冗長性向上を図ることができる。
【0042】
[5]第5実施形態
図5は、第5実施形態の電気車制御装置の主回路の構成図である。
図5において、図3と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
以上の各実施形態においては、三相チョッパスイッチング回路33が機能できるのは、いずれか一つのインバータ回路であったが、本第5実施形態においては、電動機駆動用インバータ回路23あるいは補助電源用インバータ回路63またはそれらの周辺回路が故障した場合に当該故障しているインバータ回路の機能を代替できる点が異なっている。
【0043】
この場合においても、第3実施形態と同様に、コントローラ68、コントローラ25及びコントローラ40は、図示しない通信ネットワークを介して相互に通信可能であり、制御切替接触器の投入状態や故障状態を相互に通知可能であり、それによる制御切替が可能となっている。
【0044】
次に第5実施形態の動作を説明する。
まず、電動機駆動用インバータ回路23またはその周辺回路が故障した場合には、まず、第1電気車制御装置11のコントローラ25は、第1制御切替接触器24を開状態とすることで、電動機駆動用インバータ回路23と電動機13A、13Bの電気的接続を遮断する。
【0045】
一方、第2電気車制御装置12のコントローラ40は、コントローラ25から故障により第1制御切替接触器24を開状態としたことが通知されると、第3制御切替接触器35を開状態とすることで、三相チョッパスイッチング回路33に対して、チョッパ用リアクトル36及び蓄電池39が干渉しないようにする。
【0046】
そしてコントローラ40は、第2制御切替接触器34を閉状態とすることで三相チョッパスイッチング回路33を電動機13A、13Bと電気的に接続する。
この状態において、コントローラ40は、コントローラ25と同様の制御、すなわち電動機駆動用インバータ回路23と同様の制御を行うことで、電動機13A、13Bに駆動電力を供給して駆動する。
【0047】
また、補助電源用インバータ回路63またはその周辺回路が故障した場合には、まず、第3電気車制御装置16のコントローラ68は、第4制御切替接触器65を開状態とすることで、補助電源用インバータ回路63とΔ-Y結線変圧器TR1の電気的接続を遮断する。
【0048】
一方、第2電気車制御装置12のコントローラ40は、コントローラ68から故障により第4制御切替接触器65を開状態としたことが通知されると、第3制御切替接触器35を開状態とすることで、三相チョッパスイッチング回路33に対して、チョッパ用リアクトル36及び蓄電池39が干渉しないようにする。
【0049】
そしてコントローラ40は、第5制御切替接触器34Aを閉状態とすることで三相チョッパスイッチング回路33を補助電源用リアクトル66を介して、Δ-Y結線変圧器TR1と電気的に接続する。
この状態において、コントローラ40は、コントローラ68と同様の制御、すなわち補助電源用インバータ回路63と同様の制御を行うことで、Δ-Y結線変圧器TR1に電力を供給する。
【0050】
以上の説明のように、本第5実施形態によれば、電動機駆動用インバータ回路23またはその周辺回路が故障した場合、あるいは、補助電源用インバータ回路63またはその周辺回路が故障した場合のいずれであっても、三相チョッパスイッチング回路33を実効的に電動機駆動用インバータ回路23あるいはと補助電源用インバータ回路63して機能させることが可能となる。
【0051】
したがって、本第5実施形態によれば、通常時は電動機13A、13Bの回生電力を利用した蓄電池充電及び蓄電した電力による力行時の電力アシストによる省エネ性を向上できる。
【0052】
また、電動機駆動用インバータ回路23またはその周辺回路が故障して電動機13A、13Bの駆動ができない場合において、三相チョッパスイッチング回路33により電動機13A、13Bの駆動を行うことにより、加速の低下または運行の遅延を防止することが可能となる。
【0053】
また、補助電源用インバータ回路63またはその周辺回路が故障して車内の空調機器等の電気機器へ電力供給できない場合でも三相チョッパスイッチング回路33によりΔ-Y結線変圧器TR1に電力を供給でき、電力使用量に制限がかかることもない。
【0054】
[6]第6実施形態
図6は、第6実施形態の電気車制御装置の主回路の構成図である。
図6において、図5と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
本第6実施形態が、第5実施形態と異なる点は、第6実施形態の電気車制御装置10Eの第2電気車制御装置12Bが第1電気車制御装置11及び第2電気車制御装置12に代わり、両電気車制御装置11,12の機能を実現している点である。
【0055】
この場合においても、コントローラ40と、コントローラ68とは、図示しない通信ネットワークを介して相互に通信可能であり、制御切替接触器の投入状態や故障状態を相互に通知可能であり、それによる制御切替が可能となっている。
【0056】
第6実施形態の電気車制御装置10Eによれば、電動機駆動用インバータ回路23またはその周辺回路が故障した場合、あるいは、補助電源用インバータ回路63またはその周辺回路が故障した場合のいずれにおいても、三相チョッパスイッチング回路33を実効的に電動機駆動用インバータ回路23または補助電源用インバータ回路63として機能させることが可能となる。
したがって、回路構成の大幅な変更を伴うことなく故障時の冗長性向上を図ることができる。
【0057】
[7]第7実施形態
図7は、第7実施形態の電気車制御装置の主回路の構成図である。
図7において、図5と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
本第7実施形態が、第5実施形態と異なる点は、第7実施形態の電気車制御装置10Fの第2電気車制御装置12Cが第2電気車制御装置12及び第3電気車制御装置16に代わり、両電気車制御装置12,16の機能を実現している点である。
【0058】
この場合においても、第1実施形態と同様に、コントローラ25と、コントローラ40とは、図示しない通信ネットワークを介して相互に通信可能であり、制御切替接触器の投入状態や故障状態を相互に通知可能であり、それによる制御切替が可能となっている。
【0059】
第7実施形態の電気車制御装置10Fによっても、電動機駆動用インバータ回路23またはその周辺回路が故障した場合、あるいは、補助電源用インバータ回路63またはその周辺回路が故障した場合のいずれにおいても、三相チョッパスイッチング回路33を実効的に電動機駆動用インバータ回路23または補助電源用インバータ回路63として機能させることが可能となる。
したがって、回路構成の大幅な変更を伴うことなく故障時の冗長性向上を図ることができる。
【0060】
[8]第8実施形態
図8は、第8実施形態の電気車制御装置の主回路の構成図である。
図8において、図5と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
本第8実施形態が、第5実施形態と異なる点は、第8実施形態の電気車制御装置10Gの第2電気車制御装置12Dが第1電気車制御装置11、第2電気車制御装置12及び第3電気車制御装置16に代わり、全電気車制御装置11、12,16の機能を実現している点である。
【0061】
第8実施形態の電気車制御装置10Gによっても、電動機駆動用インバータ回路23またはその周辺回路が故障した場合、あるいは、補助電源用インバータ回路63またはその周辺回路が故障した場合のいずれにおいても、三相チョッパスイッチング回路33を実効的に電動機駆動用インバータ回路23または補助電源用インバータ回路63として機能させることが可能となる。
したがって、回路構成の大幅な変更を伴うことなく故障時の冗長性向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0062】
10A~10G 電気車制御装置
11 第1電気車制御装置
12 第2電気車制御装置
12A 第2電気車制御装置
12B 第2電気車制御装置
12C 第2電気車制御装置
12D 第2電気車制御装置
13A、13B 電動機
14 パンタグラフ
15 接地
16 第3電気車制御装置
21 第1メイン接触器
22 平滑用コンデンサ
23 電動機駆動用インバータ回路(第1三相スイッチング回路)
24 第1制御切替接触器
25 コントローラ
31 第2メイン接触器
32 平滑用コンデンサ
33 三相チョッパスイッチング回路(第2三相スイッチング回路)
34 第2制御切替接触器
34A 第5制御切替接触器
35 第3制御切替接触器
36 チョッパ用リアクトル
37 第1蓄電池用接触器
38 第2蓄電池用接触器
39 蓄電池
40 コントローラ
61 第3メイン接触器
62 平滑用コンデンサ
63 補助電源用インバータ回路(第1三相スイッチング回路)
65 第4制御切替接触器
66 補助電源用リアクトル
67 補助電源出力フィルタコンデンサ
68 コントローラ
AT1 交流電圧検出器
CT1~CT8 電流検出器
DT1~DT4 直流電流圧検出器
TR1 Δ-Y結線変圧器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8