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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 19/00 20060101AFI20241202BHJP
   F16L 21/00 20060101ALI20241202BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
F16L19/00
F16L21/00 C
F16L57/00 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021042034
(22)【出願日】2021-03-16
(65)【公開番号】P2022142053
(43)【公開日】2022-09-30
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】長澤 翔
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 将弘
(72)【発明者】
【氏名】萩野 智和
【審査官】広瀬 雅治
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3210116(JP,U)
【文献】特開2016-070388(JP,A)
【文献】特開2019-070448(JP,A)
【文献】実開昭61-073986(JP,U)
【文献】特開2014-219060(JP,A)
【文献】特開2003-042370(JP,A)
【文献】中国実用新案第210770781(CN,U)
【文献】特開2012-107672(JP,A)
【文献】特開2012-107670(JP,A)
【文献】特開2011-153657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 19/00
F16L 21/00
F16L 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
継手本体と、
前記継手本体の内周面に形成された保持部と、
少なくとも一部が前記継手本体に収容されるインコアと、を備え、
前記インコアは前記保持部に着脱可能に保持される管継手であって、
前記保持部には前記継手本体の径方向内側に突出する凸部が形成されているとともに、前記インコアの鍔部は凹部を有し、
前記管継手は、前記継手本体中央部の径方向内側に突出するとともに、内周面を周方向に延在するように形成された係止部をさらに備え、
前記鍔部は、前記インコアの軸線方向に沿って、前記係止部と前記凸部との間に配置され、
前記凸部は、前記凹部に対して周方向にずらされていて、
前記インコアが前記継手本体から取り外されている状態から前記インコアを前記継手本体に取り付けるとき、前記凸部と前記凹部とを前記軸線方向に対向させた状態で前記インコアを前記継手本体に差し込むと、前記凹部が前記凸部を前記軸線方向に通過し、前記鍔部が前記凸部を前記軸線方向に乗り越えて前記係止部と前記凸部との間に移動する管継手
【請求項2】
少なくとも前記継手本体と前記インコアのいずれか一方は樹脂素材で形成されている請求項1記載の管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
外面止水継手のインコアは、管端内側に装着し、管と共に挿入するため、装着忘れを防ぐために施工直前まで継手本体と一体化してある。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-94989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的にはインコアは継手の中に収納してシール等で蓋をされている。
【0005】
しかしながら、前記従来の管継手では、施工時にインコアを取り出した後、蓋は不必要になり、ごみとなる。また、蓋がないと持ち運びの際に継手からインコアが落ちるリスクがあるという課題があった。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、蓋が不要で、蓋の取付け工程がなく、かつ、継手本体にインコアを保持可能な管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
<1>本発明の一態様に係る管継手は、継手本体と、前記継手本体の内周面に形成された保持部と、少なくとも一部が前記継手本体に収容されるインコアと、を備え、前記インコアは前記保持部に着脱可能に保持される。
【0008】
上記態様によれば、インコアが継手本体の内周面に形成された保持部によって保持されるため、蓋がなくても、持ち運びの際にインコアを継手から落ちないように収納することができる。インコア使用時には、使用者が、保持部からインコアを取り外すことができる。蓋が必要なく、施工時に蓋のごみが発生しないため、環境負荷を低減できる。さらに、製造時に蓋を取付ける工程が不要となり、作業効率が高くなる。
【0009】
<2>本発明の一態様に係る管継手は、前記保持部には雌ねじが形成され、前記インコアの外周面には、前記雌ねじが嵌め合わされる雄ねじが形成されていてもよい。
【0010】
上記態様によれば、継手本体の内周面に形成された保持部に雌ねじが形成されるとともに、インコアの外周面に雄ねじが形成されている。そのため、保持部に対し、インコアを回転させるだけで簡便に、インコアを継手本体から着脱可能に保持させることができる。さらに、保持部に形成する雌ねじと、インコアに形成する雄ねじの軸線方向に沿う方向の長さと、保持部に対してインコアを回転させる回転数を適宜調整することで、インコアが継手本体に保持される強さを調節できる。
【0011】
<3>本発明の一態様に係る管継手は、前記保持部は突起を有するるとともに、前記インコアの軸線方向における末端部には前記突起が嵌め合わされる切欠が形成されていてもよい。
【0012】
上記態様によれば、継手本体にインコアを挿入し、継手本体の内周面に形成された保持部に対して、インコアを、保持部と切欠が噛み合うように移動させるだけで、より簡便に、インコアを継手本体から着脱可能に保持させることができる。
【0013】
<4>本発明の一態様に係る管継手は、前記保持部は切欠であるとともに、前記インコアの軸線方向における末端部には突起が形成されていてもよい。
【0014】
上記態様によれば、継手本体にインコアを挿入し、継手本体の内周面に形成された保持部に対して、インコアを移動させるだけで、より簡便に、インコアを継手本体から着脱可能に保持させることができる。
【0015】
<5>本発明の一態様に係る管継手は、前記保持部に前記継手本体の径方向内側に突出する凸部が形成されているとともに、前記インコアの鍔部は凹部を有し、前記管継手は、前記継手本体中央部の径方向内側に突出するとともに、内周面を周方向に延在するように形成された係止部をさらに備え、前記鍔部は、前記軸線方向に沿って、前記係止部と前記凸部との間に配置され、前記凸部は、前記凹部に対して周方向にずらされていて、前記インコアが前記継手本体から取り外されている状態から前記インコアを前記継手本体に取り付けるとき、前記凸部と前記凹部とを軸線方向に対向させた状態で前記インコアを前記継手本体に差し込むと、前記凹部が前記凸部を軸線方向に通過し、前記鍔部が前記凸部を軸線方向に乗り越えて前記係止部と前記凸部との間に移動するように構成されていてもよい。
【0016】
上記態様によれば、インコアの鍔部が有する凹部と、継手本体の内周面に形成された凸部からなる保持部が重なるように軸線方向に沿ってインコアの鍔部から差し込むように挿入し、保持部に対して、インコアを凹部と凸部が重ならないように周方向に回転(移動)させる。これにより、インコアの鍔部が、係止部と凸部とによって軸線方向に挟み込むように係止され、強固かつ簡便に、インコアを継手本体から着脱可能に保持させることができる。
【0017】
<6>本発明の一態様に係る管継手は、少なくとも前記継手本体と前記インコアのいずれか一方は樹脂素材で形成されていてもよい。
【0018】
上記態様によれば、継手本体に押込むようにインコアを挿入することで、インコアが縮形し、継手本体とインコアを、弾性力によって係止することができる。
【0019】
<7>本発明の一態様である上記<6>に係る管継手は、前記保持部と、前記インコアの軸線方向における末端部の、少なくともいずれか一方は、周方向にわたって延在し径方向内側に向かって変形する形状であるテーパを有していてもよい。
【0020】
上記態様によれば、継手本体に押込むようにインコアを挿入することで、インコアが縮形し、継手本体とインコアを、弾性力によって係止することができる。
【0021】
<8>本発明の一態様である上記<6>に係る管継手は、前記内周面と、前記インコアの外周面の、いずれか一方には、前記内周面と前記外周面が接触可能となるように突出するリブが形成されていてもよい。
【0022】
上記態様によれば、継手本体に押込むようにインコアを挿入することで、リブが継手本体に押し潰されてインコアが縮形し、継手本体とインコアを、弾性力によって係止することができる。
【0023】
<9>本発明の一態様である上記<6>に係る管継手は、前記保持部は前記継手本体の径方向内側に突出する突起であるとともに、前記インコアの軸線方向における縁部には前記突起が嵌め合わされる切欠が形成されていてもよい。
【0024】
上記態様によれば、継手本体に押込むようにインコアを挿入すると、継手本体の径方向内側に突出する突起が、インコアの軸線方向における縁部に形成された切欠に押し込まれ、突起が縮形又は切欠が拡形し、継手本体とインコアを、弾性力によって係止することができる。
【0025】
<10>本発明の一態様である上記<6>に係る管継手は、前記内周面と、前記インコアの外周面と、の両方には、リブが形成され、前記リブは互いに接触可能なように突出していてもよい。
【0026】
上記態様によれば、継手本体に押込むようにインコアを挿入することで、インコアが縮形し、継手本体とインコアを、弾性力によって係止することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、蓋が不要で、蓋の取付け工程がなく、かつ、継手本体にインコアを保持可能な管継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】インコアを継手本体内部に収納し、シール等で蓋をした状態を示す、従来技術に係る概略図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るインコアと継手本体の断面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るインコアの末端部の断面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る継手本体の断面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係るインコアの軸線方向及び軸線方向に直交する方向から見た平面図である。
図6A】本発明の第2実施形態に係るインコア1の末端部の切欠と継手本体の突起の嵌合方法を示す概略図である。
図6B】本発明の第2実施形態に係るインコア末端部の切欠と継手本体の突起の嵌合方法を示す概略図である。
図6C】本発明の第2実施形態に係るインコア末端部の切欠と継手本体の突起の嵌合方法を示す概略図である。
図7】本発明の第2実施形態に係るインコアと継手本体の断面図である。
図8】本発明の第2実施形態に係るインコアの軸線方向及び軸線方向に直交する方向から見た平面図である。
図9】本発明の第2実施形態に係るインコア末端部の切欠と継手本体の突起の嵌合方法を示す概略図である。
図10】本発明の第3実施形態に係るインコアの軸線方向及び軸線方向に直交する方向から見た平面図である。
図11】本発明の第3実施形態に係るインコアと継手本体の断面図である。
図12】本発明の第3実施形態に係るインコアの形状と継手本体内側の形状の嵌合方法を示す概略図である。
図13】本発明の第4実施形態に係るインコアと継手本体の断面図である。
図14】本発明の第4実施形態に係る継手本体の断面図である。
図15】本発明の第5実施形態に係るインコアリブ部の断面図である。
図16】本発明の第5実施形態に係るインコアリブ部の断面図である。
図17】本発明の第5実施形態に係るインコアと継手本体の係止方法を示す断面図である。
図18】本発明の第5実施形態に係る継手本体リブ部の断面図である。
図19】本発明の第5実施形態に係るインコアと継手本体の係止方法を示す断面図である。
図20】本発明の第5実施形態に係るインコアと継手本体の係止方法を示す断面図である。
図21】本発明の第6実施形態に係るインコアと継手本体の断面図である。
図22】本発明の第6実施形態に係るインコアの軸線方向及び軸線方向に直交する方向から見た平面図である。
図23】本発明の第6実施形態に係るインコアと継手本体の係止方法を示す断面図である。
図24】本発明の第5実施形態に係るインコアと継手本体の係止方法を示す断面図である。
図25】本発明の第5実施形態に係るインコアと継手本体が係止された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、インコア1が継手本体2内部に収納され、シールS等により蓋をされていた状態から、シールSを剥がし、インコア1から取出された状態を示す、従来技術に係る概略図である。従来では、図1に示すように、持ち運びの際にインコア1が脱落することを防ぐためにシールS等を用いている。
【0030】
<第1実施形態>
以下、図2及び図3を参照し、本発明の第1実施形態に係る管継手を説明する。
図2は、本実施形態に係るインコア1と継手本体2の断面図である。図3は、本実施形態に係るインコア1の末端(末端部)の断面図である(図2に二点鎖線で示す枠内の拡大図である)。
図2に示すように、本実施形態に係る管継手Aは、継手本体2とインコア1を備えている。
【0031】
継手本体2は、筒状に形成されており、軸線方向における両側の端部(継手本体2の端部)から中央部(継手本体中央部6)にかけて、径寸法が異なるように形成されている。継手本体中央部6における内周面は、径方向内側に突出するようにくびれている。継手本体2は、軸線方向に沿った円筒形状の空間からなる中空形状となっている。また、継手本体中央部6における内周面には保持部3が形成されている。継手本体2の円筒形状の空間には、受口から継手本体奥に向けて順に、管の外面に食い込む抜止歯と、管の外面に当たるリング状の止水パッキンとが設けられる。ただし、図面ではこれら部品の図示を省略している。抜止歯と止水パッキンは、一つでもよいし、複数でもよい。
継手本体2に用いる材料は、樹脂であってもよいし、金属であってもよい。具体的には、樹脂であれば、架橋ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブデン、塩化ビニル、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ガラス繊維強化PPS、ポリフッ化ビニリデン及びポリアセタール等が挙げられる。金属であれば、銅合金等が挙げられる。
【0032】
インコア1は、筒状に形成されており、インコア胴部5と軸線方向における一方の端部に形成された鍔部8を含む。インコア1は、継手本体2同様に軸線方向に沿った円筒形状の空間からなる中空形状となっている。また、インコア1の外径は、継手本体2の内径よりも小さい。
インコア1に用いる材料は樹脂であってもよいし、金属であってもよい。樹脂及び金属の例は上記同様である。
インコア胴部5が管に挿し込まれた状態で、管を継手本体2に差し込むことで、管と継手本体2とは連結される。管の内径は、例えば10~20mm程度である。管の材料は、例えば、ポリエチレンやポリブデンなどのポリオレフィンである。
【0033】
保持部3は、インコア1を着脱可能に保持する。保持部3がインコア1を保持する強さは、インコア1に不用意な外力が加えられたときに、インコア1が離脱しない程度である。使用者が保持部3からインコア1を取り外そうとしたときに、インコア1および継手本体2を操作する(相対的に移動させる)ことで、インコア1は保持部3から離脱される。本実施形態において、継手本体中央部6における内周面に形成された保持部3は、雌ねじ3aである。また、インコア胴部5の鍔部8が形成された一方の端部に対する他方の端部(管端部4)における外周面には雄ねじ4aが形成されている。継手本体2が備える保持部3(雌ねじ3a)と、インコア1が備える雄ねじ4aは嵌合可能な寸法とされ、継手本体2とインコア1は着脱可能となっている。継手本体2が備える保持部3(雌ねじ3a)と、インコア1が備える雄ねじ4aは、軸線方向に直交する方向から見た断面視において、軸線方向における任意の領域を有する。
【0034】
上記任意の領域は、管継手Aの用途等に応じて適宜選択してよい。また、継手本体中央部6における内周面には、径方向内側に縮径するストッパー7が形成されている。継手本体2には、管継手による接続対象となるインコア1が差込まれた図示しないパイプが挿入される。ここで、挿入により、ストッパー7にパイプの端面が当接し、パイプが軸線方向に固定される。本実施形態では、ストッパー7の内周面に保持部3(雌ねじ3a)が形成されている。
【0035】
以上説明したように、本実施形態に係る管継手によれば、インコア1が継手本体2の内周面に形成された保持部3によって保持されるため、蓋がなくても、持ち運びの際にインコア1を継手本体2から落ちないように収納することができる。インコア1使用時には、使用者が、保持部3からインコア1を取り外すことができる。蓋が必要なく、施工時に蓋のごみが発生しないため、環境負荷を低減できる。さらに、製造時に蓋を取付ける工程が不要となり、作業効率が高くなる。
【0036】
さらに、継手本体2の内周面に形成された保持部3に雌ねじ3aが形成されるとともに、インコア1の外周面に雄ねじ4aが形成されている。そのため、保持部3に対し、インコア1を回転させるだけで簡便に、インコア1を継手本体2から着脱可能に保持させることができる。さらに、保持部3に形成する雌ねじ3aと、インコア1に形成する雄ねじ4aの軸線方向に沿う方向の長さと、保持部3に対してインコア1を回転させる回転数を適宜調整することで、インコア1が継手本体2に保持される強さを調節できる。
【0037】
<第2実施形態>
次に、本発明に係る第2実施形態に係る管継手を、図4から図9を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図4は、本実施形態に係る継手本体2の断面図である。図5は、本実施形態に係るインコア1の軸線方向及び軸線方向に直交する方向から見た平面図である。図6A図6Cは、本実施形態に係るインコア1の末端(末端部4)の切欠11と継手本体2の嵌合方法を示す概略図である。図7は、本実施形態に係るインコア1と継手本体2の断面図である。図8は、本実施形態に係るインコア1の軸線方向及び軸線方向に直交する方向から見た平面図である。図9は、本実施形態に係るインコア1の末端部4の切欠11と継手本体2の突起13の嵌合方法を示す概略図である。
【0038】
図4に示すように、本実施形態の継手本体中央部6における内周面に形成された保持部3には、径方向内側に突出する突起10形成されている。突起10(保持部3)は少なくとも2ヶ所に設けられる。各々の突起10は、継手本体中央部6における内周面と、軸線方向に直交する水平面が交わる、任意の位置に設けられる。すなわち、複数のは、継手本体中央部6における内周面の軸線方向同一位置に設けられる。
【0039】
図5に示すように、本実施形態のインコア胴部5の管端部4における縁には、に対応する切欠11が形成されている。切欠11は、同様の個数分に少なくとも2ヶ所、周方向においての位置に対応する位置に形成される。切欠11の形状はL字型であってもよいし、後述の嵌合保持法によって実質的にインコア1を継手本体2に保持できれば足りる。本実施形態では、各切欠11は、第1部分11aと、第2部分11bと、を備えている。第1部分11aは、軸線方向に直線状に延びる。第1部分11aの第1端11Aは、インコア1の軸線方向のインコア胴部5から管端部4に向かうように開口している。第2部分11bは、第1部分11aの第1端11A側から周方向に延びるように形成されている。
【0040】
(第2実施形態における嵌合保持方法)
図6A図6Cに示すように、軸線を中心とする周方向位置において、各々のと、各々の切欠11の、位置を該一致させた状態とする。次に、インコア1を軸線方向に沿うように継手本体2に向けて挿入し、回転させる。このとき、は、切欠11の第1部分12a内を第1端11Aから第2端11Bに移動した後、第2部分12b内を移動する。これにより、インコア1は、継手本体2に固定される。このとき、突起10は、必ずしも、第2端11Bに当接していなくてもよく、インコア1の継手本体2に対する軸線方向への移動が規制されていればよい。
【0041】
上記によれば、保持部3にはが形成され、インコア1には切欠11が形成されているとされているが、逆であってもよい。すなわち、保持部3には切欠12が形成され、インコア1には突起13が形成されていてもよい。この場合、切欠12は、継手本体2の内周面に形成された凹部(溝)によって形成される。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係る管継手によれば、継手本体2にインコア1を挿入し、継手本体2の内周面に形成された保持部3に対して、インコア1を、保持部3と切欠11が噛み合うように回転させるだけで、より簡便に、インコア1を継手本体2から着脱可能に保持させることができる。
【0043】
<第3実施形態>
次に、本発明に係る第3実施形態に係る管継手を、図10から図12を参照して説明する。
なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図10は、本実施形態に係るインコア1の軸線方向及び軸線方向に直交する方向から見た平面図である。図11は、本実施形態に係るインコア1と継手本体2の断面図である。図12は、本実施形態に係るインコア1の形状と継手本体2の内側の形状の嵌合方法を示す概略図である。
【0044】
図10に示すように、本実施形態のインコア1の鍔部8には、径方向内側に凹む凹部14を有する。凹部14は、少なくとも2ヶ所形成されている。本実施形態では、凹部14は、周方向に同等の間隔をあけて4か所形成されている。
【0045】
図11に示すように、本実施形態の継手本体中央部6の内周面には、径方向内側に突出するとともに、内周面を周方向に延在するように形成された係止部16が設けられている。さらに、継手本体中央部6の内周面の軸線方向において、係止部16に隣接するように凸部15が形成されている。凸部15は径方向内側に突出するとともに、少なくとも2ヶ所設けられている。凸部15は、軸線方向に直交する方向からみた平面視で、L字型に形成されていてもよい。本実施形態では、L字型の凸部15の第1端15aが係止部16に接続され、凸部15の第2端15bが、係止部16に対して軸線方向に離れている。
【0046】
凹部14と凸部15は同数形成される。凹部14と凸部15は周方向において、対応する位置に形成される。凹部14は、周方向において、実質的に等間隔に形成されることが好ましい。また、凸部15も同様である。等間隔に形成されることにより、後述の嵌合保持方法によって、安定して、継手本体2とインコア1が保持される。
【0047】
(第3実施形態における嵌合保持方法)
図12に示すように、インコア1の鍔部8の凹部14と、継手本体2の内周面に形成された凸部15からなる保持部3が軸線方向に沿って重なるようにした状態で、軸線方向に沿うように継手本体2に向けて差し込むように挿入する。次に、保持部3に対して、インコア1を、凹部14と凸部15が重ならないように周方向に回転(移動)させる。そうすると、鍔部8は、軸線方向に沿って、係止部16と凸部15の間に挟み込まれるように配置される。これにより、インコア1は、継手本体2に強固かつ簡便に、インコア1を継手本体から着脱可能に保持される。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係る管継手によれば、インコア1の鍔部8が有する凹部と、継手本体2の内周面に形成された凸部15からなる保持部3が重なるように軸線方向に沿ってインコア1の鍔部8から差し込むように挿入し、保持部3に対して、インコア1を凹部14と凸部15が重ならないように周方向に回転(移動)させる。これにより、インコアの鍔部8が、係止部16と凸部15と、によって軸線方向に挟み込むように係止され、強固かつ簡便に、インコア1を継手本体2から着脱可能に保持させることができる。
【0049】
<第4実施形態>
次に、本発明に係る第4実施形態に係る管継手を、図13図14を参照して説明する。
なお、この第4実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図13は、本実施形態に係るインコア1と継手本体2の断面図である。図14は、本実施形態に係る継手本体2の断面図である。
【0050】
本実施形態に係る管継手の継手本体2及びインコア1のうち、少なくともいずれか一方は、樹脂によって形成されている。また、継手本体2の保持部3及びインコア1の管端部4うち、少なくともいずれか一方には、テーパが形成されている。
【0051】
(インコア1のみにテーパ17が形成されている場合)
図13に示すように、インコア1の管端部4には、テーパ17が形成されている。テーパ17は、インコア1の管端部4に向かうに従い、縮径している。継手本体2には、テーパ18が形成されていない。このとき、インコア1の管端部外径L1は、継手本体2の継手本体中央部内径L2よりも小さく、継手本体中央部内径L2は、インコア胴部外径L3よりも小さい。
【0052】
(インコア1及び継手本体2の両方にテーパ(17、18)が形成されている場合)
図14に示すように、インコア1の管端部4と、継手本体2の保持部3にはテーパ(17、18)が形成されている。テーパ18は、継手本体2の継手受け口における、径方向内側に縮径している。このとき、管端部外径L1と継手本体中央部内径L2は該等しく、インコア胴部外径L3と継手本体中央部内径L2は該等しく、また、管端部4及び継手受け口に形成されたそれぞれのテーパ17、18の軸線方向長さは該等しい。
【0053】
(継手本体2のみにテーパ18が形成されている場合)
図示しないが、継手本体2の継手受け口にはテーパ18が形成されている。インコア1には形成されていない。このとき、継手本体中央部内径L2は、インコア胴部外径L3及び管端部外径L1よりも小さく、インコア胴部外径及び管端部外径は、継手本体中央部内径L2よりも小さい。
【0054】
以上説明したように、本実施形態に係る管継手によれば、継手本体2に押込むようにインコア1を挿入することで、インコア1が縮形し、継手本体2とインコア1を、弾性力によって係止することができる。
【0055】
<第5実施形態>
次に、本発明に係る第5実施形態に係る管継手を、図15から図20図24及び図25を参照して説明する。
なお、この第5実施形態においては、第4実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図15は、本実施形態に係るインコアリブ部19の断面図である。図16は、本実施形態に係るインコアリブ部19の断面図である。図17は、本実施形態に係るインコア1と継手本体2の係止方法を示す断面図である。図18は、本実施形態に係る継手本体リブ部20の断面図である。図19は、本実施形態に係るインコア1と継手本体2の係止方法を示す断面図である。図20は、本実施形態に係るインコア1と継手本体2の係止方法を示す断面図である。図24は、本実施形態に係るインコア1と継手本体2の係止方法を示す断面図である。図25は、本実施形態に係るインコア1と継手本体2が係止された状態を示す断面図である。
【0056】
(インコア1のみにリブ19が形成されている場合)
図15及び図16に示すように、インコア1の管端部4の外周面には、径方向外側に突出し、周方向に延在するリブ19(インコアリブ部19)が形成されている。継手本体2には、リブ20(後述する)が形成されていない。このとき、インコア1の管端部外径L1とインコア胴部外径L3は、インコアリブ部外径L4よりも小さく、インコアリブ部外径L4は、継手本体中央部内径L2よりも小さい。
図17に示すように、インコア1を、継手本体2(保持部3)に挿入すると、インコア1に形成されたリブ19が押し潰される。これにより、リブ19と、継手本体2の内周面に摩擦力が生じ、継手本体2にインコア1が係止される。
【0057】
(継手本体2のみにリブ20が形成されている場合)
図18から図20に示すように、継手本体2の継手本体中央部6の内周面には、径方向内側に突出し、周方向に延在するリブ20(継手本体リブ部20)が形成されている。インコア1には、リブ19が形成されていない。このとき、管端部外径L1及びインコア胴部外径L3は、継手本体リブ部内径L5よりも小さく、継手本体リブ部内径L5は、継手本体中央部内径L2よりも小さい。インコア1を、継手本体2に挿入すると、継手本体2に形成されたリブ20が押し潰される。これにより、インコア1の管端部4と継手本体2の内周面に摩擦力が生じ、継手本体2にインコア1が係止される。
【0058】
(インコア1及び継手本体2の両方にリブ(19、20)が形成されている場合)
上記のリブ19、20が、インコア1の管端部4及び継手本体2の継手受け口に形成されている。(図25参照)このとき、インコア胴部5及び管端部外径L1は、継手リブ部内径よりも小さく、継手リブ部内径は、インコアリブ部外径L4よりも小さく、インコアリブ部外径L4は、継手本体中央部内径L2よりも小さい。
このような構成では、図24に示すように、インコア1を挿入後、インコア1に形成されたリブ19と、継手本体2に形成されたリブ20が重なる。さらに、押し込むように挿入すると、インコア1に形成されたリブ19が、継手本体2に形成されたリブ20を乗り越える。これにより、インコア1は継手本体2から、外力なしで脱落しなくなる(収納状態)。また、上記寸法関係によれば、収納状態において、インコア1及び継手本体2に応力がかからず、ひずみが残留しにくい。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係る管継手によれば、継手本体2に押込むようにインコア1を挿入することで、リブ19が継手本体2に押し潰されてインコア1が縮形し、継手本体2とインコア1を、弾性力によって係止することができる。
【0060】
<第6実施形態>
次に、本発明に係る第6実施形態に係る管継手を、図21から図23を参照して説明する。
なお、この第6実施形態においては、第4実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図21は、本実施形態に係るインコア1と継手本体2の断面図である。図22は、本実施形態に係るインコア1の軸線方向及び軸線方向に直交する方向から見た平面図である。図23は、本実施形態に係るインコア1と継手本体2の係止方法を示す断面図である。
【0061】
図21及び図22に示すように、インコア1の管端部4には、軸線方向に沿った切欠22が形成されている。切欠22の、軸線方向において鍔部8に近い方の端部は、非楕円形とされる。切欠22の周方向の大きさは、軸線方法に沿って鍔部8に近づくに従い狭くなっている。継手本体2の継手受け口の内周面には、径方向内側に突出する突起21が形成されている。切欠22及び突起21は、それぞれ同数形成されるとともに、位置関係が挿入時に対応する。インコア1を、継手本体2に挿入するに従い、インコア1に形成された切欠22と、継手本体2に形成された突起21が嵌合し、インコア1は、継手本体2に保持される。
【0062】
突起21の外径は、切欠22の、軸線方向において鍔部8に近い方の端部の周方向における長さよりも、大きい。また、継手本体中央部内径L2と、インコア胴部外径L3及び管端部外径L1は、切欠22と突起21が実質的に噛み合う寸法とされていれば足りる。
【0063】
図23に示すように、インコア1を、切欠22と突起21が一致する位置となるように、継手本体2に挿入すると、切欠22と突起21が噛み合う。これにより、インコア1は継手本体2に係止される。
【0064】
以上説明したように、本実施形態に係る管継手によれば、継手本体2に押込むようにインコア1を挿入すると、継手本体2の径方向内側に突出する突起21が、インコア1の軸線方向における縁部に形成された切欠22に押し込まれ、突起21が縮形又は切欠22が拡形し、継手本体2とインコア1を、弾性力によって係止することができる。
【0065】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。輸送時や施工時でのインコア1の離脱防止の観点からは、シールSなどの蓋は不要だが、インコア内部や継手本体へのゴミの侵入を防ぐ観点からは、蓋を設けてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…インコア
2…継手本体
3…保持部
3a…雌ねじ
4…管端部(末端部)
4a…雄ねじ
5…インコア胴部
6…継手本体中央部
7…ストッパー
8…鍔部
9…パイプ挿入空間
10…突起
11…切欠
11a…第1部分
11b…第2部分
11A…第1端
11B…第2端
12…切欠
12a…第1部分
12b…第2部分
12A…第1端
12B…第2端
13…突起
14…凹部
15…凸部
15a…第1端
15b…第2端
16…係止部
17…テーパ
18…テーパ
19…リブ(インコアリブ部)
20…リブ(継手本体リブ部)
21…突起
22…切欠
L1…管端部外径
L2…継手本体中央部内径
L3…インコア胴部外径
L4…インコアリブ部外径
L4a…挿入後のインコアリブ部外径(第5実施形態、インコア1のみにリブが形成されている場合)
L5…継手本体リブ部内径
A…管継手
S…シール
О…軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25