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  • 特許-運転支援装置及び運転支援方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】運転支援装置及び運転支援方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/14 20200101AFI20241202BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
B60W50/14
G08G1/16 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021042800
(22)【出願日】2021-03-16
(65)【公開番号】P2022142578
(43)【公開日】2022-09-30
【審査請求日】2023-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺口 剛仁
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-152161(JP,A)
【文献】特開2019-139349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 - 60/00
G08G 1/00 - 99/00
B60K 35/00 - 37/20
G01C 21/00 - 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転を支援する運転支援装置であって、
前記車両の前方の対象位置の周囲の走行状況を取得する走行状況取得部と、
前記走行状況取得部により取得された前記走行状況に基づいて、前記対象位置において、前記車両の運転操作の種別である運転操作内容を、現在の運転操作内容とは異なる運転操作内容に変更する必要があるか否かを判定する運転変更必要性判定部と、
前記運転変更必要性判定部により前記運転操作内容を変更する必要があると判定される場合に、前記対象位置における前記運転操作内容を示す運転操作変更情報を生成する案内情報生成部と、
前記運転操作内容を変更するタイミングを示すタイミング情報を生成するタイミング情報生成部と、
前記運転操作変更情報及び前記タイミング情報を、前記車両の室内に設けられた出力装置に出力させる制御信号を生成する制御信号生成部と、を備え、
前記タイミング情報生成部は、前記走行状況に基づいて、前記車両が前記対象位置に位置する場合に、前記車両の運転者の視点から見たときの周囲環境の実景を示す周囲環境情報を、前記タイミング情報として生成する運転支援装置。
【請求項2】
前記運転変更必要性判定部は、
前記走行状況に基づいて、前記対象位置の前方に、前記運転操作内容に影響を与える対象物が存在するか否かを判定し、
前記車両の前方に、前記運転操作内容に影響を与える対象物が存在するか否かに関する判定結果により、前記対象位置において前記運転操作内容を変更する必要があるか否かを判定し、
前記タイミング情報生成部は、前記運転変更必要性判定部により前記対象位置において前記運転操作内容を変更する必要があると判定される場合には、前記走行状況に基づいて、前記車両が前記対象位置に位置するときに前記運転者の位置から見える実景内の前記対象物の位置及び大きさを表す画像情報を、前記タイミング情報として生成する請求項に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記案内情報生成部は、前記走行状況に基づいて、前記走行状況に適した前記運転操作内容を示す前記運転操作変更情報を生成し、
前記制御信号生成部は、前記運転操作変更情報を、前記出力装置に出力させる請求項1又は2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記案内情報生成部は、前記車両から離れた位置にいるユーザにより入力された運転操作情報に基づいて、前記運転操作変更情報を生成する請求項1又は2に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記走行状況取得部は、前記対象位置における前記運転操作内容が実行された場合には、実行後の前記走行状況を取得し、
前記タイミング情報生成部は、前記走行状況取得部により取得された実行後の前記走行状況に基づいて、前記周囲環境情報を生成し、
前記制御信号生成部は、生成された前記周囲環境情報を、前記出力装置に出力させる制御信号を生成する請求項に記載の運転支援装置。
【請求項6】
車両の運転を支援する運転支援方法であって、
前記車両の前方の対象位置の周囲の走行状況を取得し、
取得された前記走行状況に基づいて、前記対象位置において、前記車両の運転操作の種別である運転操作内容を、現在の運転操作内容とは異なる運転操作内容に変更する必要があるか否かを判定し、
前記運転操作内容を変更する必要があると判定される場合に、前記対象位置における前記運転操作内容を示す運転操作変更情報を生成し、
前記走行状況に基づいて、前記車両が前記対象位置に位置する場合に、前記車両の運転者の視点から見たときの周囲環境の実景を示す周囲環境情報を、前記運転操作内容を変更するタイミングを示すタイミング情報として生成し、
前記運転操作変更情報及び前記タイミング情報を、前記車両の室内に設けられた出力装置に出力させる制御信号を生成する運転支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置及び運転支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両が走行すべき走行経路を設定して経路誘導を行う装置であって、バーチャル先導車の画像を、運転者が視認している現実の風景内に表示させる車両用情報提供装置が知られている。
【0003】
特許文献1に係る技術は、車両が障害物に衝突する可能性があるとき、障害物に対して回避動作が必要であると判定して、バーチャル先導車の画像の表示位置を、障害物を回避できるように横方向に変位させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-107917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、運転者は、障害物の回避のために車両を横方向に移動させることが必要だと把握できるものの、車両を横方向に移動させるためにどのタイミングでどのような操作を行うかといった具体的な操作タイミング及び具体的な操作内容を把握できないという問題がある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、運転者が、車両の具体的な操作タイミング及び具体的な操作内容を把握できる運転支援装置及び運転支援方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車両の前方の対象位置の周囲の走行状況を取得し、走行状況に基づいて、対象位置において、車両の運転操作の種別である運転操作内容を、現在の運転操作内容とは異なる運転操作内容に変更する必要があるか否かを判定し、運転操作内容を変更する必要があると判定される場合に、対象位置における運転操作内容を示す運転操作変更情報、及び、運転操作内容を変更するタイミングを示すタイミング情報を生成し、運転操作変更情報及びタイミング情報を、車両の室内に設けられた出力装置に出力させる制御信号を生成することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、運転者が、車両の具体的な操作タイミング及び具体的な操作内容を把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態における運転支援システムの構成の一例を示す図である。
図2A図2Aは、車両200の周辺環境上の仮想車両の位置の一例を示す図である。
図2B図2Bは、車両200の周辺環境上の仮想車両の位置の一例を示す図である。
図3図3は、本実施形態の運転支援装置で生成される運転操作変更情報及びタイミング情報の表示の一例を示す図である。
図4図4は、本実施形態に係る運転支援方法の手順の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、本実施形態に係る運転支援方法の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
≪第1実施形態≫
本発明に係る運転支援装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る運転支援装置100を含む運転支援システム10の構成の一例を示すブロック図である。図1で示されるように、本実施形態では、運転支援システム10は、運転支援装置100と、車両200と、第2運転操作装置300と、第2情報出力装置310とを備える。運転支援装置100は、車両200から離れた位置にあって、車両200との間で通信を行い、情報の授受が可能なサーバである。運転支援装置100は、車両200に、車両200を手動運転する第1ユーザを支援するための運転支援情報を送信する。また、運転支援装置100は、第1ユーザの運転支援を行う第2ユーザに、車両200の進行方向の前方の位置における走行状況の情報を送信する。運転支援装置100が設置される遠隔地空間は、例えば、複数の車両を管理する管制センタである。第2ユーザは、例えば、管制センタのオペレータである。管制センタでは、第2情報出力装置310が、車両200の前方の位置の周囲の走行状況の情報を第2ユーザに出力する。
【0011】
第2ユーザは、車両200の前方の位置における走行状況の情報を確認しながら、第1ユーザに車両200の運転操作に関する運転支援情報の提供を行う。例えば、第1ユーザへの運転支援情報の提供のひとつとして、車両200の前方を走行する仮想車両を表す仮想車両画像を、車両200のフロントガラスに、車外の実景に重畳されるように表示する方法が挙げられる。第2ユーザは、当該仮想車両を操縦することで、車両200を先導し、仮想車両の挙動によって、第1ユーザに運転案内を行う。第2ユーザは、車両200の位置よりも進行方向の前方の位置で、周辺環境を見ながら走行状況の変化に応じて仮想車両を操縦するため、第1ユーザに対して、車両200の進行方向の前方の位置で必要となる運転内容を提供できる。
【0012】
一方で、第1ユーザは、車両200のフロントガラスに表示される仮想車両の動きを見ながら車両200を操縦する。また、第1ユーザへの運転支援情報の提供方法として、運転操作内容を変更する必要がある場合に、運転操作変更情報及びタイミング情報の画像を車両200のフロントガラスに表示する方法が挙げられる。運転操作変更情報は、具体的な運転操作内容を示す情報である。また、タイミング情報は、運転操作内容を変更するタイミングを示す情報である。本実施形態では、車両200の前方の位置で運転操作内容を変更する必要がある場合に、具体的な運転操作内容と、運転操作内容を変更するタイミングを表す画像を第1ユーザに表示する。第1ユーザが運転初心者である場合には、仮想車両の挙動を見ただけでは、どのタイミングでどのような運転操作を行えば良いのか分からないことがあるため、本実施形態では、運転操作の内容と、運転操作を行うタイミングとを第1ユーザに提示することによって第1ユーザの運転を支援する。また、本実施形態では、運転支援情報は、画像に限らず、音声であってもよい。
【0013】
運転支援装置100は、コントローラ110と、通信装置120とを備える。コントローラ110は、ハードウェア及びソフトウェアを有するコンピュータを備えており、このコンピュータはプログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、ROMに格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)を含むものである。なお、動作回路としては、CPUに代えて又はこれとともに、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。なお、運転支援装置100は、第2ユーザがいる遠隔地空間内に設置されることに限らず、異なる空間に設置されることとしてもよい。
【0014】
コントローラ110は、機能ブロックとして、少なくとも対象位置設定部111と、走行状況取得部112と、仮想情報生成部113と、運転変更必要性判定部114と、案内情報生成部115と、タイミング情報生成部116と、制御信号生成部117と、を含み、上記各機能を実現する又は各処理を実行するためのソフトウェアと、ハードウェアとの協働により各機能を実行する。具体的には、コントローラ110は、まず、車両200の進行方向の前方に対象位置を設定し、対象位置の周辺環境の走行状況を取得する。次に、コントローラ110は、走行状況の情報を用いて、対象位置の周辺環境を表す仮想周辺情報を生成し、仮想周辺情報を第2情報出力装置310に出力させる制御信号を送信する。そして、コントローラ110は、対象位置における走行状況に基づいて、対象位置で運転操作内容を変更する必要があるか否かを判定する。コントローラ110は、運転操作内容を変更する必要があると判定される場合には、運転操作情報に基づいて生成された運転操作変更情報を第1情報出力装置240に出力させる制御信号を生成する。また、コントローラ110は、タイミング情報を第1情報出力装置240に出力させる制御信号を生成する。なお、本実施形態では、コントローラ110が有する機能を7つのブロックとして分けた上で、各機能ブロックの機能を説明するが、コントローラ110の機能は必ずしも7つのブロックに分ける必要はなく、6つ以下の機能ブロック、あるいは、8つ以上の機能ブロックで分けてもよい。
【0015】
コントローラ110は、車両200の周囲の走行環境の実景内の対象位置に、仮想車両を表す仮想車両画像が重畳させるように表示させる。また、コントローラ110は、第2ユーザにより運転操作情報の入力があった場合には、運転操作情報に基づいて対象位置の位置を更新し、更新後の対象位置に仮想車両が重畳させるように表示させることで、仮想車両の表示位置を更新する。図2Aは、本実施形態における車両200の周辺環境上の仮想車両の位置を示す図である。図2Aでは、車両200の進行方向の前方に仮想車両Vaが位置している。車両V1、V2及びV3は、実際に車両200の周囲を走行している車両である。一方で、仮想車両Vaは、車両200の第1ユーザから見える車両200周囲の実景上で仮想車両Vaが走行しているように第1ユーザに表示されている。このとき、第2ユーザは、仮想車両Vaの位置から見える仮想車両Va周囲の実景を示す仮想画像を見ながら、仮想車両Vaの運転操作を行う。図2Aは、仮想車両Vaが中央の車線を走行しているように表示されている場合に、第2ユーザが、左側の隣接車線に仮想車両Vaを車線変更させる運転を行う場面である。図2Bは、第2ユーザが仮想車両Vaの車線変更に係る運転操作を実行した後の場面である。第2ユーザが仮想車両Vaの隣接車線への車線変更の運転操作を実行すると、運転操作に応じて対象位置が隣接車線上に更新され、隣接車線上の対象位置に仮想車両Vaが表示される。これにより、第1ユーザの視界では、仮想車両Vaが中央の車線から隣接車線に移動して隣接車線上を走行しているように見える。また、第2ユーザは、図2Bで示される仮想車両Vaの位置から見える仮想車両の周囲の実景を表す仮想周辺画像を見ながら、仮想車両Vaの運転操作を行う。以下、より具体的な制御方法について説明する。
【0016】
対象位置設定部111は、車両200の進行方向の前方に対象位置を設定する。対象位置は、車両200の周辺環境に設定される仮想視点の位置である。また、対象位置は、車両200の周辺環境における仮想車両の位置である。例えば、対象位置は、仮想車両の運転席の位置に相当する位置である。第2ユーザは、対象位置から仮想車両の周辺環境の景色を見ることができる。対象位置は、車両200の位置を基準とした、実空間上の座標位置として設定される。本実施形態では、第1ユーザが仮想先導車システムを起動した時に、対象位置設定部111は、初期設定の位置に対象位置を設定する。初期設定の位置は、あらかじめ定義された位置で、例えば、車両200の進行方向の前方で、車両200から所定距離離れた位置である。
【0017】
また、対象位置設定部111は、第2ユーザにより入力された運転操作情報に基づいて、対象位置を更新する。運転操作情報は、仮想車両を移動させるための情報である。運転操作情報は、車両のステアリング、アクセル及びブレーキ操作の情報を含む。運転操作情報は、一定の周期で、第2運転操作装置300を介してコントローラ110に出力されている。例えば、運転操作情報は、第2ユーザがステリング操作を行うことで出力されるステアリング操作の情報である。また、例えば、第2ユーザが仮想車両の車速を一定の速度に維持し続けている場合には、運転操作情報は、車速を一定の速度に維持するためのアクセル操作の情報である。対象位置設定部111は、仮想車両に対する運転操作情報に基づいて、仮想車両の位置に対応する対象位置を更新する。具体的には、対象位置設定部111は、対象位置の位置と、運転操作情報に基づいて、所定時間後(例えば、1秒後)の対象位置の位置を算出して、算出された所定時間後の対象位置に対象位置を更新する。例えば、対象位置設定部111は、まず、運転操作情報として取得される車両200の車速情報と操舵角情報に基づいて、所定時間後の移動距離と移動方向を算出する。次に、対象位置設定部111は、現在の対象位置を基準として、移動方向に、移動距離分移動させた位置を所定時間後の対象位置として算出する。そして、対象位置設定部111は、算出された所定時間後の対象位置に対象位置を更新する。
【0018】
走行状況取得部112は、対象位置の周辺環境の走行状況を取得する。具体的には、走行状況取得部112は、車両200の撮像画像取得部222により撮像された対象位置の周辺画像を取得する。走行状況取得部112は、対象位置の周辺に存在する他車両から、他車両のセンサ群により撮像された対象位置の周辺画像を取得してもよい。走行状況取得部112は、インフラセンサにより撮像された対象位置の周辺画像を取得してもよい。インフラセンサは、車両200が走行している道路沿いに設定されていて、インフラセンサの周辺の環境情報を検出する装置である。
【0019】
また、走行状況取得部112は、対象位置の周辺環境における音声情報を取得する。具体的には、走行状況取得部112は、車両200の外部音声取得部223により取得された、対象位置の周辺の音声情報を取得する。走行状況取得部112は、対象位置の周辺に存在する他車両から、他車両のセンサ群により検出された音声情報を取得してもよい。走行状況取得部112は、インフラセンサにより検出された、対象位置の周辺の音声情報を取得してもよい。また、走行状況取得部112は、周辺画像と音声情報の両方を取得することに限らず、周辺画像のみを取得することとしてもよい。
【0020】
仮想情報生成部113は、対象位置の周辺環境を表す仮想周辺画像を生成する。すなわち、仮想周辺画像は、仮想車両の位置における周辺環境を表す画像である。第2ユーザは、仮想周辺画像が表示されることで、あたかも仮想車両の運転席に座っているように仮想車両の周辺環境を視認することができる。仮想情報生成部113は、まず、車両200を基準とした周辺環境の3次元空間情報を取得し、周辺環境の3次元空間における対象位置の位置を算出し、対象位置の周辺画像を用いて対象位置における仮想周辺画像を生成する。3次元空間情報は、車両200の位置情報と、3次元地図情報とに基づいて、車両200の位置を基準とした周辺環境の3次元空間情報として取得される。また、3次元空間情報は、車両200のセンサ群220により取得したセンサ情報に基づいて、SLAMを用いて、車両200の位置の推定と、車両200の周辺環境に関する3次元の環境地図がリアルタイムに生成されることとしてもよい。また、仮想情報生成部113は、ライトフィールドレンダリング技術により、対象位置における仮想周辺画像を生成してもよい。具体的には、仮想情報生成部113は、複数の視点のカメラにより撮像された対象位置の周辺環境の周辺画像から、周辺環境の光線情報を取得し、対象位置に届く光線情報に基づいて対象位置における画像を合成することで、仮想周辺画像を生成する。
【0021】
仮想情報生成部113は、仮想周辺音声を生成する。仮想周辺音声は、対象位置において周辺環境から聞こえてくる仮想の音声である。仮想情報生成部113は、走行状況取得部112により取得された対象位置の周辺環境の音声情報に基づいて、対象位置の周辺環境における音源の位置に対応するように仮想音源の位置を設定し、仮想音源の位置に仮想音響の音像を定位させるように仮想音響の音声信号処理を行う。また、本実施形態では、仮想情報生成部113は、仮想周辺音声の生成を行わずに、仮想周辺画像の生成のみを行うこととしてもよい。
【0022】
また、仮想情報生成部113は、仮想車両画像を生成する。仮想車両画像は、例えば、車両の3Dオブジェクトにより構成される。仮想情報生成部113は、第1ユーザが仮想先導車システムを起動すると、仮想車両画像を生成する。また、本実施形態では、仮想情報生成部113は、仮想車両の画像に限らず、他の物体や図形を示す仮想画像を生成することとしてもよい。例えば、仮想情報生成部113は、車両200の走行方向を示す矢印の仮想画像を生成してもよい。
【0023】
運転変更必要性判定部114は、対象位置において、車両200の運転操作内容を、現在の運転操作内容とは異なる運転操作内容に変更する必要があるか否かを判定する。運転操作内容は、車両の運転操作を複数の区分に分類する種別である。運転操作内容は、「定常走行操作」、「旋回操作」、「加速操作」及び「減速操作」を含む。「定常走行操作」は、一定の範囲の速度及び進行方向を維持しながら車両を走行させるための操作である。「旋回操作」は、車両の進行方向を変えるための操作である。例えば、所定の操作量以上のステアリング操作が「旋回操作」に分類される。「加速操作」は、車両の車速を上げるための操作である。例えば、所定の踏込量以上のアクセル操作が「加速操作」に分類される。「減速操作」は、車両の車速を下げるための操作である。「減速操作」は、車両を停車させるための操作を含む。例えば、所定の踏込量以上のブレーキ操作が「減速操作」に区分される。
【0024】
本実施形態で、運転変更必要性判定部114は、対象位置の前方に対象物が存在するか否かによって、対象位置において、現在の運転操作内容とは異なる運転操作内容に変更する必要があるか否かを判定する。すなわち、運転変更必要性判定部114は、定常走行している車両200が対象位置に到達した時に、運転操作内容を変更する必要があるか否かを判定する。まず、運転変更必要性判定部114は、走行状況取得部112により取得された対象位置の走行状況に基づいて、対象位置から仮想車両の進行方向の前方に対象物が存在するか否かを判定する。対象物は、車両200の運転操作内容に影響を与えるものであって、例えば、駐車車両、歩行者、工事現場、信号、先行車両を含む。そして、運転変更必要性判定部114は、対象位置の前方に対象物が存在する場合には、対象位置において、車両200の運転操作内容を、現在の運転操作内容とは異なる運転操作内容に変更する必要があると判定する。例えば、車両200が定常走行している場合、運転変更必要性判定部114は、対象位置の前方に、駐車車両、歩行者、工事現場等の対象物が存在するとき、運転操作内容を、「定常走行操作」から「旋回操作」に変更する必要があると判定する。また、車両200が定常走行している場合、運転変更必要性判定部114は、対象位置の前方に、赤色に点灯している信号が存在する場合や、停止しようとする先行車両が存在するときには、運転操作内容を、「定常走行操作」から「減速操作」に変更する必要があると判定する。また、本実施形態では、運転操作内容を4つの種別に分けたが、これに限らず、5以上の種別、又は3以下の種別に分けることとしてもよい。
【0025】
また、運転変更必要性判定部114は、第1ユーザの運転操作情報と、第2ユーザの運転操作情報に基づいて、対象位置において、車両200の運転操作内容を、現在の運転操作内容とは異なる運転操作内容に変更する必要があるか否かを判定してもよい。具体的には、運転変更必要性判定部114は、第1ユーザの運転操作情報に基づいて車両200の現在の運転操作内容を特定し、第2ユーザの運転操作情報に基づいて対象位置における運転操作内容を特定する。例えば、運転操作内容は、運転操作情報から取得されるステアリング及びペダルの操作量が所定の条件を満たすか否かによって「定常走行操作」、「旋回操作」、「加速操作」又は「減速操作」として特定される。そして、運転変更必要性判定部114は、現在の運転操作内容と、対象位置における運転操作内容とを比較して、運転操作内容が異なる場合に、対象位置において、車両200の運転操作内容を、現在の運転操作内容とは異なる運転操作内容に変更する必要があると判定する。つまり、対象位置の走行状況に基づいて仮想車両を運転する第2ユーザが、第1ユーザによる現在の車両200の運転操作内容とは異なる運転操作内容を実行した場合には、運転変更必要性判定部114は、対象位置において、車両200の運転操作内容を、現在の運転操作内容とは異なる運転操作内容に変更する必要があると判定する。
【0026】
案内情報生成部115は、対象位置における運転操作内容を示す運転操作変更情報を生成する。具体的には、案内情報生成部115は、まず、対象位置における第2ユーザの運転操作情報に基づいて、対象位置における運転操作内容を特定する。そして、案内情報生成部115は、特定された運転操作内容を示す運転操作変更情報を生成する。例えば、案内情報生成部115は、まず、対象位置における第2ユーザの運転操作情報としてステアリング操作量の情報及びペダル踏込量の情報を取得して、ステアリング操作量及びペダル踏込量と、運転操作内容ごとに予め設定された所定の条件とを比較することで、所定の条件を満たす運転操作内容を対象位置における運転操作内容として特定する。運転操作内容は、上述の「定常走行操作」、「旋回操作」、「加速操作」及び「減速操作」を含む。さらに、「旋回操作」は、ステアリングの旋回方向として、左右いずれの方向であるかが特定される。
【0027】
また、運転操作内容の特定方法として、案内情報生成部115は、走行状況に基づいて、走行状況に適した運転操作内容を特定してもよい。具体的には、まず、案内情報生成部115は、走行状況取得部112により取得された走行状況に基づいて、対象位置における走行シーンを判別する。走行シーンは、走行状況に対応する走行シーンがあらかじめ設定されている。そして、案内情報生成部115は、走行シーンごとに予め設定された運転操作を対象位置における運転操作内容として特定する。また、案内情報生成部115は、複数の運転操作内容をマルコフモデルの状態として定義して、第2ユーザの運転操作情報を特徴量としてマルコフモデルを用いた状態の推定を行うことにより、対象位置における運転操作内容を特定してもよい。また、案内情報生成部115は、入力データとして第2ユーザの運転操作情報を入力して、出力データとして運転操作内容を出力する学習済みモデルを用いて、対象位置における運転操作内容を特定してもよい。また、案内情報生成部115は、入力データを第2ユーザの運転操作情報、出力データを運転操作内容とする教師データを用いてニューラルネットワークを学習させることで学習済みモデルを構築して、構築された学習済みモデルを用いて、対象位置における運転操作内容を特定してもよい。
【0028】
案内情報生成部115は、特定された運転操作内容を示す運転操作変更情報として、運転操作内容を表す画像を生成する。具体的には、案内情報生成部115は、特定された運転操作内容に応じて、運転操作内容ごとに予め設定された画像を生成する。例えば、特定された運転操作内容が、「旋回操作」である場合には、案内情報生成部115は、ステアリング操作を示すハンドルの画像と旋回方向を示す矢印の画像を生成する。このとき、右方向へのステアリング操作であれば、ハンドルと右方向への矢印の画像が生成される。また、案内情報生成部115は、運転操作の目標となる目標操舵角や目標車速の情報を示す画像を生成してもよい。目標操舵角や目標車速は、第2ユーザの運転操作情報として取得されているステアリング操作量やペダル踏込量から算出される。例えば、案内情報生成部115は、第2ユーザのペダル踏込量から算出される車速を目標車速として表示する画像を生成する。図3は、本実施形態で生成される運転操作変更情報及びタイミング情報の一例を説明する図である。図3では、仮想車両Vaの前方に歩行者Waが存在するため、第2ユーザが、歩行者Waを回避するために仮想車両を右方向に移動させている場面を表す図である。この場面では、まず、運転変更必要性判定部114は、対象物である歩行者Waが仮想車両の位置(対象位置)の前方に存在することから、対象位置において運転操作内容を変更する必要があると判定する。そして、案内情報生成部115は、第2ユーザの運転操作情報に基づいて、対象位置における運転操作内容は「右方向への旋回操作」であると特定し、運転操作変更情報として、図3に示されるような、ハンドルと右方向への旋回を示す画像を生成する。
【0029】
タイミング情報生成部116は、運転操作内容を変更するタイミングを示すタイミング情報を生成する。例えば、タイミング情報生成部116は、タイミング情報として、対象位置における周囲の走行環境の実景を表す画像を生成する。当該画像は、車両200が対象位置に到達した時に第1ユーザが視認できる周囲の景色を表す画像であるから、当該画像が事前に第1ユーザに表示されることで、第1ユーザは、車両200が対象位置に到達した時に周囲の走行環境がどのように見えるかを事前に把握できる。そして、実際に車両200が対象位置に到達して、タイミング情報で示される実景と同じ実景が実際に見えた時に、第1ユーザは、そのタイミングが、運転操作内容の変更を実行するタイミングであると把握できる。本実施形態では、タイミング情報生成部116は、仮想情報生成部113による仮想周辺画像の生成と同様の方法により、対象位置の走行環境の撮像画像を用いて、対象位置における周囲の走行環境の実景を表す画像を生成する。また、対象位置の前方に対象物が存在する場合には、タイミング情報は、対象位置の周囲の走行環境の実景上の対象物の位置及び大きさを示す画像を含む。これにより、表示される画像に映る対象物の位置及び大きさと同じ位置及び大きさで実景上の対象物が視界に映った時に、第1ユーザは、そのタイミングが、運転操作内容を変更するタイミングであると把握できる。
【0030】
図3では、タイミング情報として表示される対象物の画像の一例が示されている。図3は、仮想車両Vaの進行方向の前方に、歩行者Waが存在し、第2ユーザにより右方向に仮想車両Vaを移動させている場面を示している。この場面では、図3で示されるタイミング情報が第1ユーザに表示される。歩行者Wa′は、タイミング情報として表示される画像内に映る歩行者Waである。歩行者Wa′は、仮想車両Vaの位置から歩行者Waを見たときの位置及び大きさと同じ見え方で表示されている。これにより、第1ユーザは、表示される歩行者Wa′と同じ位置及び大きさで歩行者Waが視界に映った時に、第1ユーザは、そのタイミングが、運転操作内容を変更するタイミングであると把握できる。
【0031】
また、タイミング情報生成部116は、対象位置において、第1ユーザが必要な運転操作内容を実行した場合、実行後に取得される対象位置の走行状況に基づいて、対象位置の周囲の走行環境の実景を表す画像を生成する。対象位置は、第2ユーザの運転操作情報に基づいて更新されるため、第1ユーザが必要な運転操作内容を実行した後には、新たに更新された対象位置の周囲の走行環境を表す画像を表示することで、第1ユーザは、現在の対象位置の周囲の走行環境を把握できる。具体的には、タイミング情報生成部116は、実行後に走行状況取得部112により取得された対象位置の走行状況の撮像画像を用いて、対象位置における周囲の走行環境の実景を表す画像を生成する。
【0032】
また、制御信号生成部117は、対象位置設定部111により設定された対象位置に重畳するように仮想車両画像を第1情報出力装置240に表示させる制御信号を生成する。また、制御信号生成部117は、案内情報生成部115により運転操作変更情報が生成された場合には、運転操作変更情報を第1情報出力装置240に出力させる制御信号を生成する。また、制御信号生成部117は、タイミング情報生成部116によりタイミング情報が生成された場合には、タイミング情報を第1情報出力装置240に出力させる制御信号を生成する。制御信号生成部117は、制御信号が生成されると、制御信号を通信装置120に出力する。また、制御信号生成部117は、第2ユーザの音声情報に基づいて、運転支援に関する音声情報を第1情報出力装置240に出力させる制御信号を生成してもよい。また、制御信号生成部117は、仮想情報生成部113により生成された仮想周辺画像及び仮想周辺音声の情報を含む仮想周辺情報を、第2情報出力装置310に出力させる制御信号を生成する。
【0033】
通信装置120は、車両200の車載通信装置230と通信を行い、情報の授受を行う。具体的には、通信装置120は、車載通信装置230から車両200の周辺情報を受信し、車載通信装置230に運転支援情報を送信する。具体的には、通信装置120は、仮想車両画像を第1情報出力装置240に出力させる制御信号を車載通信装置230に送信する。また、通信装置120は、運転操作変更情報とタイミング情報を第1情報出力装置240に出力させる制御信号を車載通信装置230に送信する。
【0034】
次に、車両200について説明する。車両200は、車載コントローラ210と、センサ群220と、車載通信装置230と、第1情報出力装置240と、第1運転操作装置250と、地図データベース260とを備える。車載コントローラ210は、車両200の各装置、センサの機能を制御する。具体的には、車載コントローラ210は、センサ群220からセンサ情報を取得し、車載通信装置230に出力する。また、車載コントローラ210は、運転支援装置100から送信された運転支援情報を第1情報出力装置240に出力する。
【0035】
センサ群220は、車両200の周辺環境の状況に関する情報を取得する。センサ群220は、位置情報取得部221と、撮像画像取得部222と、外部音声取得部223と、対象物検出部224と、地図情報取得部225とを備える。位置情報取得部221は、車両200の現在位置を検出する。位置情報取得部221は、例えば、GPSであり、複数の衛星通信から送信される電波を受信器で受信することで、自車両の位置情報を取得する。また、位置情報取得部221は、周期的に複数の通信衛星から送信される電波を受信することで、自車両の位置情報の変化を検出できる。撮像画像取得部222は、車両200の周辺の走行環境を撮像する。撮像画像取得部222は、いわゆるCCDやCMOSなどの撮像素子、光学レンズ、光学フィルタ、電源等の周辺電子回路を備え、撮像素子により画像を撮像する周知の撮像装置である。撮像画像取得部222は、車両200の周辺環境を撮像するように配置されている。例えば、撮像画像取得部222は、車両200の前後左右に配置された複数台のカメラであり、様々な方向の車外の風景を撮像する。撮像画像取得部222は、奥行き情報を含む周辺画像を取得することとしてもよい。また、撮像画像取得部222は、周辺画像を所定の周期で繰り返し撮像する。撮像画像取得部222は、撮像された撮像画像を、車載コントローラ210に送信する。
【0036】
外部音声取得部223は、車両200の周辺環境における音声を集音する。外部音声取得部223は、例えば、車両の外側に設置される複数台のマイクロホンが設定されたマイクロホンアレーである。外部音声取得部223は、音の空間的な情報を取得して、音源の方向を推定する。外部音声取得部223は、集音した周辺音声を音声信号に変換した周辺音声情報を、車載コントローラ210に送信する。対象物検出部224は、車両200周辺の対象物を検出する。例えば、対象物検出部224は、ミリ波又は超音波を車両200周辺に照射して周囲の所定範囲を走査し、車両200周辺に存在する対象物を検出する。対象物は、車両200の周辺に存在する他車両、自転車、歩行者、交通制限、工事現場等を含む。対象物検出部224は、対象物と車両200との相対位置(方位)、対象物と車両200との間の距離を検出する。地図情報取得部225は、車両200の周辺環境を含む地図情報を取得する。具体的には、地図情報取得部225は、位置情報取得部221により取得された車両200の位置情報に基づいて、地図データベース260から、車両200の周辺環境を含む地図情報を取得する。地図情報取得部225は、外部の地図データベースから、地図情報を取得することとしてもよい。地図情報取得部225により取得された地図情報は、車載コントローラ210に出力される。
【0037】
車載通信装置230は、通信装置120と通信を行い、情報の授受を行う。具体的には、車載通信装置230は、通信装置120から、運転支援情報を受信し、通信装置120にセンサ情報や地図情報を送信する。
【0038】
第1情報出力装置240は、画像情報や音声情報を第1ユーザに出力する。第1情報出力装置240は、画像表示装置241と、音声出力装置242とを備える。第1情報出力装置240は、例えば、ARヘッドマウントディスプレイである。第1ユーザは、第1情報出力装置240を介して、現実の景色に仮想車両の画像が重畳表示された拡張現実(AR)を視認することができる。画像表示装置241は、車両200の周辺環境の実景上の対象位置に重畳されるように仮想車両画像を表示する。また、画像表示装置241は、運転操作変更情報とタイミング情報を示す画像を表示する。画像表示装置241は、例えば、透過型ディスプレイである。また、画像表示装置241は、ARヘッドマウントディスプレイのディスプレイに限らず、車両200のフロントガラスであってもよい。また、音声出力装置242は、第2ユーザによる運転支援に関する音声情報を出力することとしてもよい。音声出力装置242は、例えば、ARヘッドマウントディスプレイに備わるヘッドフォン、又は車両200に搭載されているスピーカーである。
【0039】
第1運転操作装置250は、第1ユーザが車両200の運転操作情報を入力するために用いられる。第1運転操作装置250は、少なくともステアリング・ホイール251と、ペダル252とを備える。ペダル252は、アクセルペダルとブレーキペダルを含む。第1ユーザがステアリング・ホイール251とペダル252を操作することで、運転操作情報が第1運転操作装置250に入力される。例えば、第1ユーザがステアリング・ホイール251及びペダル252を操作することで、操舵角情報やペダル踏込量情報を含む運転操作情報が第1運転操作装置250に入力され、入力された運転操作情報に基づいて車両200の走行が制御される。また、第1ユーザにより入力された運転操作情報は、車載通信装置230を介して運転支援装置100に送信される。
【0040】
地図データベース260は、道路情報等の情報を含む地図情報が予め格納されている。地図データベース260は、例えば、2次元地図情報及び3次元地図情報を含む。3次元地図情報は、土地の標高や、建築物の高さ等の3次元情報を含む地図情報である。また、3次元地図情報は、地図上の地形や建築物の3次元形状モデルを含む情報又は、形状モデルに地形や建築物の画像をテクスチャとして付加したモデルを含む情報であってもよい。
【0041】
第2運転操作装置300は、第2ユーザが仮想車両の運転操作情報を入力するために用いられる。第2運転操作装置300は、ステアリング・ホイール301と、ペダル302とを備える。第2運転操作装置300は、例えば、ステアリング・ホイール301とペダル302として、一般的な車両のハンドルやアクセルペダル等の形状や構造を備える。第2ユーザがステアリング・ホイール301とペダル302を操作することで、運転操作情報が第2運転操作装置300に入力される。運転操作情報は、仮想車両を移動させるための操舵角情報及びペダル踏込量情報を含む。例えば、第2ユーザが操縦装置のハンドルを操作することで、操舵角情報が第2運転操作装置300に入力される。また、第2運転操作装置300は、運転操作情報として音声情報の入力を受け付けることとしてもよい。例えば、第2運転操作装置300は、第2ユーザの発した音声を集音するマイクを含む。第2ユーザが音声を発すると、第2運転操作装置300に第2ユーザの音声情報が入力される。
【0042】
第2情報出力装置310は、第2ユーザに、対象位置の周囲の走行状況の情報を出力する装置である。第2情報出力装置310は、例えば、メガネ型又はゴーグル型のVRヘッドマウントディスプレイであって、第2ユーザの頭部に装着される。第2ユーザは、対象位置に設定される仮想車両周囲の走行状況が表示される仮想現実(VR)を視認することができる。第2情報出力装置310は、対象位置の周囲の走行状況を表す仮想周辺画像や、対象位置の周囲の音声を表す仮想周辺音声情報を出力する。これにより、第2ユーザは、あたかも自分が仮想車両に搭乗しているような景色を見ることができるとともに、あたかも自分が仮想車両に搭乗しているような音声を聞くことができる。第2情報出力装置310は、画像表示装置311と、音声出力装置312と、を備える。画像表示装置311は、例えば、非透過型ディスプレイである。音声出力装置312は、例えば、ヘッドフォン又はスピーカーである。画像表示装置311は、仮想情報生成部113により生成された仮想周辺画像を表示する。これにより、第2ユーザは、当該仮想周辺画像が表示されるディスプレイを介して、対象位置における仮想車両の周辺環境を見ることができる。音声出力装置312は、仮想周辺音声情報を出力する。これにより、第2ユーザは、ヘッドフォンを介して、対象位置における仮想車両の周辺の音声を聞くことができる。
【0043】
次に、図4及び図5を用いて、本実施形態に係る運転支援装置における運転支援方法の手順を説明する。図4は、本実施形態に係る運転支援方法の手順の一例を示すフローチャートである。図5は、本実施形態に係る運転支援方法の手順の一例を示すフローチャートである。図5のフローチャートは、図4のステップS10における制御のフローチャートを示している。本実施形態では、車両200の第1ユーザが、仮想先導車システムを起動して利用を開始すると、ステップS1から制御を開始する。
【0044】
ステップS1では、コントローラ110は、対象位置を初期設定の位置に設定する。初期設定の位置は、車両200の進行方向の前方に、車両200から所定距離離れた位置である。ステップS2では、コントローラ110は、対象位置に仮想車両画像を表示させる。具体的には、対象位置に仮想車両画像を表示させる制御信号を生成し、生成された制御信号を車両200に送信させる。車両200の第1情報出力装置240は、送信された制御信号に基づいて仮想車両画像を第1ユーザに表示する。
【0045】
ステップS3では、コントローラ110は、対象位置における走行状況を取得する。具体的には、コントローラ110は、車両200のセンサ群220、他車両のセンサ群、及びインフラセンサにより検出された、対象位置の周囲の走行環境の周辺画像及び周辺音声を取得する。ステップS4では、コントローラ110は、第2情報出力装置310を介して、第2ユーザに仮想周辺情報を出力する。具体的には、コントローラ110は、ステップS3で取得された対象位置における走行状況に基づいて、仮想周辺情報として仮想周辺画像及び仮想周辺音声を生成する。そして、コントローラ110は、仮想周辺画像及び仮想周辺音声を第2情報出力装置310に出力させる制御信号を生成し、生成された制御信号を第2情報出力装置310に出力する。第2情報出力装置310は、制御信号に基づいて仮想周辺画像及び仮想周辺音声を出力する。
【0046】
ステップS5では、コントローラ110は、第2運転操作装置300から出力された仮想車両の運転操作情報を取得する。仮想車両の運転操作情報は、第2ユーザが第2運転操作装置300に入力した情報である。ステップS6では、コントローラ110は、ステップS5で受信した運転操作情報に基づいて、対象位置を更新する。ステップS7~S9では、コントローラ110は、更新後の対象位置に対して、ステップS2~4と同様の処理を実行し、更新後の対象位置における仮想周辺情報を出力する。
【0047】
ステップS10では、コントローラ110は、運転変更必要性判定制御を行う。コントローラ110は、ステップS9の制御後、後述の図5のステップS101のフローに進む。ステップS10のフローが終了すると、図4のフローに戻り、ステップS11に進む。
【0048】
ステップS11では、コントローラ110は、仮想先導車システムが終了したか否かを判定する。仮想先導車システムが終了したと判定される場合には、フローを終了する。仮想先導車システムが終了したと判定されない場合には、ステップS4に戻り、以下、フローを繰り返す。また、本実施形態では、仮想先導車システムが起動している間は、一定の周期で、制御フローが繰り返し実行される。具体的には、コントローラ110は、一定の周期で、対象位置の周辺情報を取得し、取得された周辺情報に基づいて、仮想周辺情報を更新する。これにより、第2ユーザの仮想車両の操縦によってリアルタイムに変化する周辺環境に対応させて仮想車両の周辺環境を更新することができる。また、同様に、第1ユーザに表示している仮想車両画像についても、第2ユーザの操縦に応じてリアルタイムに仮想車両の位置を更新する。
【0049】
次に、図5を用いて、本実施形態に係る運転支援方法の手順を説明する。本実施形態では、図4のステップS9の制御後に、図5のステップS101から制御フローを実行する。
【0050】
ステップS101では、コントローラ110は、対象位置において、運転操作内容を、現在の運転操作内容とは異なる運転操作内容に変更する必要があるか否かを判定する。具体的には、コントローラ110は、対象位置における走行状況に基づいて、対象位置の前方に、車両の走行に影響を与える対象物が存在するか否かの判定を行う。そして、コントローラ110は、対象物の有無に係る判定結果によって、対象位置において、運転操作内容を、現在の運転操作内容とは異なる運転操作内容に変更する必要があるか否かを判定する。運転操作内容を変更する必要があると判定される場合には、ステップS102に進む。運転操作内容を変更する必要がないと判定される場合には、ステップS10におけるフローを終了し、図4のステップS11に進む。
【0051】
ステップS102では、コントローラ110は、対象位置における運転操作内容を示す運転操作変更情報を生成する。例えば、コントローラ110は、第2ユーザにより入力される運転操作情報に基づいて、対象位置における運転操作内容を特定し、特定された運転操作内容を示す運転操作変更情報を生成する。
【0052】
ステップS103では、コントローラ110は、運転操作内容を変更するタイミングを示すタイミング情報を生成する。例えば、コントローラ110は、対象位置の周囲の走行環境の実景を表す画像をタイミング情報として生成する。
【0053】
ステップS104では、コントローラ110は、ステップS102で生成された運転操作変更情報、及び、ステップS103で生成されたタイミング情報を第1情報出力装置240に出力させる制御信号を生成する。
【0054】
ステップS105では、車両200の第1情報出力装置240は、運転操作変更情報及びタイミング情報を第1ユーザに出力する。具体的には、まず、コントローラ110が、ステップS104で生成された制御信号を車載通信装置230に送信する。次に、車載コントローラ210は、車載通信装置230により受信された制御信号を第1情報出力装置240に出力する。そして、第1情報出力装置240は、入力された制御信号に基づいて、第1ユーザに運転操作変更情報とタイミング情報を出力する。ステップS105の制御後、図4に記載のステップS11に戻る。本実施形態では、一定の周期、又は、対象位置の更新ごとに、対象位置において、運転操作内容の変更が必要であるか否かを判定することで、リアルタイムに変化する走行環境に応じて、運転操作の変更が必要であるかを判定する。
【0055】
以上のように、本実施形態では、車両の前方の対象位置の周囲の走行状況を取得し、取得された走行状況に基づいて、対象位置において、車両の運転操作の種別である運転操作内容を、現在の運転操作内容とは異なる運転操作内容に変更する必要があるか否かを判定し、運転操作内容を変更する必要があると判定される場合に、対象位置における運転操作内容を示す運転操作変更情報を生成し、運転操作内容を変更するタイミングを示すタイミング情報を生成し、運転操作変更情報及びタイミング情報を、車両の室内に設けられた出力装置に出力させる制御信号を生成する。これにより、運転者が、車両の具体的な操作タイミング及び具体的な操作内容を把握できる。
【0056】
また、本実施形態では、走行状況に基づいて、車両が対象位置に位置する場合に、車両の運転者の視点から見たときの周囲環境の実景を示す周囲環境情報を、タイミング情報として生成する。これにより、運転者は、車両が対象位置に到達した時の周囲環境の見え方から、運転操作内容を変更するタイミングを知ることができる。
【0057】
また、本実施形態では、走行状況に基づいて、対象位置の前方に、運転操作内容に影響を与える対象物が存在するか否かを判定し、車両の前方に、運転操作内容に影響を与える対象物が存在するか否かに関する判定結果により、対象位置において運転操作内容を変更する必要があるか否かを判定し、対象位置において運転操作内容を変更する必要があると判定される場合には、走行状況に基づいて、車両が対象位置に位置するときに運転者の位置から見える実景内の対象物の位置及び大きさを表す画像情報を、タイミング情報として生成する。これにより、運転者は、車両が対象位置に到達した時に見える実景内の対象物の位置及び大きさから、運転操作内容を変更するタイミングを知ることができる。
【0058】
また、本実施形態では、走行状況に基づいて、走行状況に適した運転操作内容を示す運転操作変更情報を生成し、運転操作変更情報を、出力装置に出力させる。これにより、運転者は、事前に、対象位置における運転操作内容として適切な運転操作内容を知ることができる。
【0059】
また、本実施形態では、車両から離れた位置にいるユーザにより入力された運転操作情報に基づいて、運転操作変更情報を生成する。これにより、運転者は、ユーザの運転操作から生成される、自動生成によりも高度な運転操作内容を知ることができる。
【0060】
また、本実施形態では、対象位置における運転操作内容が実行された場合には、実行後の走行状況を取得し、取得された実行後の走行状況に基づいて、周囲環境情報を生成し、生成された周囲環境情報を、出力装置に出力させる制御信号を生成する。これにより、運転者は、対象位置における運転操作内容を実行した後の対象位置の走行状況について知ることができる。
【0061】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0062】
10…運転支援システム
100…運転支援装置
110…コントローラ
111…対象位置設定部
112…走行状況取得部
113…仮想情報生成部
114…運転変更必要性判定部
115…案内情報生成部
116…タイミング情報生成部
117…制御信号生成部
200…車両
210…車載コントローラ
220…センサ群
240…第1情報出力装置
300…第2運転操作装置
310…第2情報出力装置
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5