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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】銑鉄製造方法
(51)【国際特許分類】
   C21B 5/00 20060101AFI20241202BHJP
   C22B 1/14 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
C21B5/00 301
C21B5/00 311
C22B1/14
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021053067
(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022150455
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(72)【発明者】
【氏名】宮川 一也
(72)【発明者】
【氏名】燒谷 将大
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-102746(JP,A)
【文献】特開2009-149942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21B 1/00 - 15/04
C22B 1/00 - 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
羽口を有する高炉を用いて銑鉄を製造する銑鉄製造方法であって、
上記高炉内に鉱石原料を含む第1層とコークスを含む第2層とを交互に積層する工程と、
上記羽口から送風する熱風により補助燃料を上記高炉内へ吹込みつつ、積層された上記第1層の上記鉱石原料を還元及び溶解する工程と
を備え、
還元鉄を圧縮成形した還元鉄成形体を含む骨材が上記第1層に混合されており、
上記鉱石原料が鉄鉱石ペレットを主原料とし、
上記還元鉄成形体の平均塩基度が0.5以下であり、
上記鉄鉱石ペレットの平均塩基度が0.9以上であり、
鉱石原料の平均粒径に対する還元鉄成形体の平均粒径の比が、1.4以上10以下である銑鉄製造方法。
【請求項2】
羽口を有する高炉を用いて銑鉄を製造する銑鉄製造方法であって、
上記高炉内に鉱石原料を含む第1層とコークスを含む第2層とを交互に積層する工程と、
上記羽口から送風する熱風により補助燃料を上記高炉内へ吹込みつつ、積層された上記第1層の上記鉱石原料を還元及び溶解する工程と
を備え、
還元鉄を圧縮成形した還元鉄成形体を含む骨材が上記第1層に混合されており、
上記鉱石原料が鉄鉱石ペレットを主原料とし、
上記還元鉄成形体の平均塩基度が0.5以下であり、
上記鉄鉱石ペレットの平均塩基度が0.9以上であり、
上記還元鉄成形体の原単位に対する上記鉄鉱石ペレットの原単位の比率Rが、下記式1を満たす銑鉄製造方法。
【数1】
式1において、(C/S)は平均塩基度、(%SiO)はSiOの含有量(質量%)を表す。また、添え字のHBIは還元鉄成形体、Pは鉄鉱石ペレットを指す。なお、(C/S)criticalは、HBIの臨界塩基度を表す。
【請求項3】
上記鉱石原料における上記鉄鉱石ペレットの含有量が50質量%以上である請求項1又は請求項2に記載の銑鉄製造方法。
【請求項4】
上記鉄鉱石ペレットが自溶性である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の銑鉄製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銑鉄製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉内に鉱石原料を含む第1層とコークスを含む第2層とを交互に積層し、羽口から送風する熱風により補助燃料を高炉内へ吹込みつつ、上記鉱石原料を還元し、溶解することで銑鉄を製造する方法が公知である。このとき、上記コークスは、鉱石原料の溶解のための熱源、鉱石原料の還元材、溶鉄へ浸炭し融点を低下させるための加炭材、及び高炉内の通気性を確保するためのスペーサーの役割を果たしている。このコークスにより通気性を維持することで、装入物の荷下がりを安定させ、高炉の安定操業を図っている。
【0003】
高炉操業においては、コスト削減の観点からはこのコークスの割合が低いことが望ましい。しかし、コークスの割合を低くすると、上述のコークスの果たす役割も低下する。例えばコークスの割合を低減、すなわち鉱石原料の割合を増加させる方法として、高炉周辺部に小粒径の還元鉄を限定装入する高炉操業方法が提案されている(特開平11-315308号公報参照)。上記高炉操業方法では、還元の必要がない還元鉄を炉の周辺部にのみ装入することで、炉の中心部分でのコークスの熱源、還元材、加炭材及びスペーサーとしての役割を維持させつつ、原料の充填率を上げることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-315308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昨今のCO排出量削減の要求から、高炉操業においてコークスの使用量のさらなる削減が求められている。上記従来の高炉操業方法において、コークスの有する役割のうち、熱源、還元材及び加炭材については羽口から吹き込む補助燃料により代替可能である。一方、スペーサーの役割はコークスによってのみ担われている。上記従来の高炉操業方法では、還元鉄の装入位置が炉の周辺部のみに限定されている。また、コークスの使用量は、還元鉄の装入により相対的に減少するに留まる。従って、上記従来の高炉操業方法では、コークスの使用量の削減には限界があり、昨今のCO削減の要求に十分に応えられるものとは言えない。
【0006】
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、高炉の安定操業を維持しつつコークスの使用量を低減できる銑鉄製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る銑鉄製造方法は、羽口を有する高炉を用いて銑鉄を製造する銑鉄製造方法であって、上記高炉内に鉱石原料を含む第1層とコークスを含む第2層とを交互に積層する工程と、上記羽口から送風する熱風により補助燃料を上記高炉内へ吹込みつつ、積層された上記第1層の上記鉱石原料を還元及び溶解する工程とを備え、還元鉄を圧縮成形した還元鉄成形体を含む骨材が上記第1層に混合されており、上記鉱石原料が鉄鉱石ペレットを主原料とし、上記還元鉄成形体の平均塩基度が0.5以下であり、上記鉄鉱石ペレットの平均塩基度が0.9以上である。
【0008】
当該銑鉄製造方法では、鉱石原料を含む第1層が、骨材として還元鉄を圧縮成形した還元鉄成形体を含む。この還元鉄成形体により、溶解する工程で第1層の軟化融着時に熱風が通過し易くなるため、当該銑鉄製造方法では、通気性を確保するためのコークスの量が少なくて済む。また、当該銑鉄製造方法では、平均塩基度が0.5以下の還元鉄成形体を用いるので、比較的安価に還元鉄成形体を入手することができる。さらに、当該銑鉄製造方法では、平均塩基度が0.9以上の鉄鉱石ペレットを主原料として用いることで、塩基度が低い還元鉄成形体が溶解した際の粘性の増大を抑止し、溶け落ちを促進する。これにより主に融着帯の通気性が改善され、さらにコークスの使用量を低減することができる。従って、当該銑鉄製造方法を用いることで高炉の安定操業を維持しつつコークスの使用量を低減することができる。
【0009】
上記鉱石原料における上記鉄鉱石ペレットの含有量としては、50質量%以上が好ましい。このように上記鉄鉱石ペレットの含有量を上記下限以上とすることで、さらに通気性を改善することができる。
【0010】
上記鉄鉱石ペレットが自溶性であるとよい。このように上記鉄鉱石ペレットを自溶性とすることで、還元鉄成形体の溶け落ちが促進され、さらに通気性を改善することができる。
【0011】
上記還元鉄成形体の原単位に対する上記鉄鉱石ペレットの原単位の比率Rが、下記式1を満たすとよい。このように上記還元鉄成形体の原単位に対する上記鉄鉱石ペレットの原単位の比率Rが下記式1を満たすことで、還元鉄成形体の溶け落ちによる通気性改善効果を、より確実に発現させることができる。
【数1】
式1において、(C/S)は平均塩基度、(%SiO)はSiOの含有量(質量%)を表す。また、添え字のHBIは還元鉄成形体、Pは鉄鉱石ペレットを指す。なお、(C/S)criticalは、HBIの臨界塩基度を表す。
【0012】
ここで、「主原料」とは、質量換算で最も含有量の大きい原料をいう。「塩基度」とは、SiOの質量に対するCaOの質量の割合を指す。なお、「平均塩基度」とは、対象とする物質が複数の粒状物で構成されている場合にあっては、その複数の粒状物のSiOの総質量に対するCaOの総質量の割合を意味する。
【0013】
「臨界塩基度」とは、図3に示すように、HBIの平均塩基度をパラメータとして、試料充填層の圧損を連続測定し、その最大値(最大圧損)をプロットした際、最大圧損が低下し始める平均塩基度を指す。なお、上記試料充填層は、例えば図5に示すように、試料を充填する黒鉛坩堝71の内径がφ75mmである大型荷重還元実験炉7を用いて、上から上部コークス層72a(高さ20mm)、鉱石層72b(高さ110mm)及び下部コークス層72c(高さ40mm)により構成することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明の銑鉄製造方法を用いることで高炉の安定操業を維持しつつコークスの使用量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る銑鉄製造方法を示すフロー図である。
図2図2は、図1の銑鉄製造方法で使用する高炉内部を示す模式図である。
図3図3は、還元鉄成形体の平均塩基度と最大圧損との関係を示すグラフである。
図4図4は、図2の融着帯から滴下帯付近の模式的部分拡大図である。
図5図5は、実施例で用いた大型荷重還元実験炉の構成を示す模式的断面図である。
図6図6は、実施例での試料充填層を加熱する温度プロファイルを示すグラフである。
図7図7は、実施例での試料充填層の温度と供給するガス流量との関係を示すグラフである。
図8図8は、実施例の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の各実施形態に係る銑鉄製造方法について説明する。
【0017】
図1に示す銑鉄製造方法は、図2に示す高炉1を用いて銑鉄を製造する銑鉄製造方法であり、積層工程S1と、溶解工程S2とを備える。
【0018】
<高炉>
高炉1は、図2に示すように、炉下部に設けられた羽口1aと、出銑口1bとを有する。羽口1aは通常複数設けられる。高炉1は、固気向流型のシャフト炉であり、高温の空気に、必要に応じて高温又は常温の酸素を加えた熱風を羽口1aから炉内に吹き込んで、後述する鉱石原料11の還元及び溶融等の一連の反応を行い、出銑口1bから銑鉄を取り出すことができる。また、高炉1には、ベル・アーマー方式の原料装入装置2が装備されている。この原料装入装置2については、後述する。
【0019】
<積層工程>
積層工程S1では、図2に示すように、高炉1内に第1層10と第2層20とを交互に積層する。つまり、第1層10及び第2層20の層数は、それぞれ2以上である。
【0020】
(第1層)
第1層10は、鉱石原料11を含む。また、第1層10には、骨材12が混合されている。第1層10には、鉱石原料11及び骨材12に加えて、石灰石、ドロマイト、珪石等の副原料を一緒に装入してもよい。
【0021】
鉱石原料11は、鉄原料となる鉱石類を指す。鉱石原料11は、溶解工程S2で羽口1aより吹き込まれる熱風により昇温還元されて溶銑となる。当該銑鉄製造方法では、鉄鉱石ペレットを主原料とする。「鉄鉱石ペレット」とは、数十μmの鉄鉱石微粉を原料とし、高炉用に適した性状(例えばサイズ、強度、被還元性など)に、品質を向上させて作り込んだものである。なお、当該銑鉄製造方法において、鉄鉱石ペレットは焼結鉱の微粉を含まないことが好ましい。
【0022】
上記鉄鉱石ペレットの平均塩基度の下限としては、0.9であり、塩基性である1.0がより好ましく、1.4がさらに好ましい。上記鉄鉱石ペレットの塩基度が上記下限未満であると、還元鉄成形体の溶け落ちを促進し難くなり、通気性が低下するおそれがある。上記鉄鉱石ペレットの平均塩基度の上限は特に限定されないが、上記鉄鉱石ペレットの平均塩基度は、通常2.0以下である。
【0023】
鉱石原料11における上記鉄鉱石ペレットの含有量の下限としては、50質量%が好ましく、90質量%がより好ましく、100質量%、すなわち鉱石原料11が全て鉄鉱石ペレットであることがさらに好ましい。このように上記鉄鉱石ペレットの含有量を上記下限以上とすることで、さらに通気性を改善することができる。
【0024】
上記鉄鉱石ペレットが自溶性であるとよい。このように上記鉄鉱石ペレットを自溶性とすることで、還元鉄成形体の溶け落ちが促進され、さらに通気性を改善することができる。
【0025】
上記鉄鉱石ペレットが、気孔径が4μm以上の粗大開気孔の気孔率が21%以上であるとよい。このように気孔径が4μm以上の粗大開気孔の気孔率が21%以上である鉄鉱石ペレットを鉱石原料に含めることで、鉱石原料の還元率を高めることができるので、コークスの使用量をさらに低減することができる。ここで、「気孔径が4μm以上の粗大開気孔の気孔率」とは、気孔径が4μm以上の粗大開気孔が鉄鉱石ペレットの見かけの体積に対して占める体積の割合を言い、水銀圧入式ポロシメータ(例えば島津製作株式会社の「オートポアIII9400」)を用いて測定した鉄鉱石ペレットの開気孔率ε[%]、鉄鉱石ペレットの単位重量当たりの全細孔容積A[cm/g]、鉄鉱石ペレットの単位重量当たりの気孔径4μm以上の全細孔容積A+4[cm/g]とするとき、ε×A+4/A[%]で算出される量である。なお、開気孔とは、鉄鉱石ペレットの外部にまで通じている気孔を言い、閉気孔とは、鉄鉱石ペレットの内部で閉じている気孔を言う。
【0026】
上記鉄鉱石ペレットがMgOを含有することが好ましい。MgOは炉床レベルでのスラグの脱硫能を高めるとともに、高温での被還元性を高める作用を有している。このため、鉱石原料11の溶け落ちの挙動を還元鉄成形体のそれに近づけることで、還元鉄成形体の溶け落ちを促進する作用があると考えられる。鉱石原料11におけるMgOの含有量の下限としては、1質量%が好ましく、1.5質量%がより好ましい。一方、上記MgOの含有量の上限としては、4質量%が好ましく、3質量%がより好ましい。上記MgOの含有量が上記下限未満であると、還元鉄成形体の溶け落ちを促進する作用が十分に得られないおそれがある。逆に、上記MgOの含有量が上記上限を超えると、上記鉄鉱石ペレットの強度が低下するおそれがある。
【0027】
鉱石原料11は、上記鉄鉱石ペレット以外に焼結鉱、塊鉱石、炭材内装塊成鉱、メタル等を含み得る。なお、通気性改善の観点から、鉱石原料11における焼結鉱の含有量は10質量%以下が好ましく、0質量%、すなわち鉱石原料11が焼結鉱を含まないものとすることがより好ましい。
【0028】
なお、後述する骨材12に含まれる還元鉄成形体も鉄原料となり得るが、本明細書において還元鉄成形体は鉱石原料11には含めない。
【0029】
骨材12は、後述する融着帯Dの通気性を改善し、上記熱風を高炉1の中心部まで通気させるためのものである。骨材12は、還元鉄を圧縮成形した還元鉄成形体(HBI、Hot Briquette Iron)を含む。
【0030】
HBIは、還元鉄DRI(Direct Reduced Iron)を熱間状態で成形したものである。DRIが、気孔率が高く、海上輸送や屋外保存時に酸化発熱する欠点を有するのに対し、HBIは気孔率が低く、再酸化し難い。骨材12は、第1層10の通気性の確保を果たした後は、メタルとして機能し、溶銑となる。骨材12は金属化率が高く還元の必要がないので、この溶銑となる際に還元材をあまり必要としない。従って、CO排出量を削減できる。なお、「金属化率」とは、全鉄分に対する金属鉄の割合[質量%]をいう。
【0031】
上記還元鉄成形体の平均塩基度の上限としては、0.5であり、0.4がより好ましい。還元鉄成形体には、鉄鉱石由来のスラグ成分として、SiOやAlを含み一般に平均塩基度が低くなる傾向にある。当該銑鉄製造方法では、平均塩基度が上記上限以下の還元鉄成形体を使用するので、SiOやAlを除去したり、CaOを添加したりして塩基度を高めた高品位の還元鉄成形体を準備する必要がない。従って、低コストで銑鉄を製造することができる。一方、上記還元鉄成形体の平均塩基度の下限としては、特に限定されず、0であってもよい。
【0032】
上記還元鉄成形体の原単位に対する上記鉄鉱石ペレットの原単位の比率Rが、下記式1を満たすとよい。このように上記還元鉄成形体の原単位に対する上記鉄鉱石ペレットの原単位の比率Rが下記式1を満たすことで、還元鉄成形体の溶け落ちによる通気性改善効果を、より確実に発現させることができる。
【数2】
【0033】
上述の式1について詳説する。図3は、HBIの平均塩基度と、第1層10及び第2層20とを交互に積層した充填層の最大圧損との関係を示すグラフである。この最大圧損が小さいほど通気性が高いと判断できる。図3から、HBIの平均塩基度が一定値を超えると通気性の改善が認められることが分かる。この一定値が臨界塩基度である。この臨界塩基度以上のCaOが存在する場合、HBI中のSiOがカルシウムシリケート系融液に変化し、HBIから生成した溶鉄の粘性を低下させて溶け落ちを促進すると考えられる。言い換えると、HBIの溶け落ち促進効果を得るには、臨界塩基度以上のCaOが必要と言える。
【0034】
図3では、CaOはHBIより供給されているが、CaOは鉄鉱石ペレットから供給することも可能である。そうすると、HBIと鉄鉱石ペレットとを合わせたSiO量に対し、CaO量が臨界塩基度を超えていると、HBIの溶け落ちが促進され、上記充填層の通気性を高められると考えられる。
【0035】
HBIと鉄鉱石ペレットとを合わせたSiO量及びCaO量は、還元鉄成形体の原単位をMHBI(kg)、鉄鉱石ペレットの原単位をM(kg)として、下記式2で表される。
【数3】
【0036】
ここで、上述のようにCaO量/SiO量≧(C/S)criticalが成立するとHBIの溶け落ちが促進されると考えられるから、式2をこの不等式に代入して、R=M/MHBIについて解くと、上記式1が得られる。
【0037】
上記還元鉄成形体の装入量の下限としては、銑鉄1トン当たり100kgが好ましく、150kgがより好ましい。上記還元鉄成形体の装入量が上記下限未満であると、溶解工程S2で、融着帯Dでの骨材12の通気性確保機能が十分に働かないおそれがある。一方、上記還元鉄成形体の装入量の上限は、骨材過多となり骨材効果が小さくならない範囲で適宜決定されるが、上記還元鉄成形体の装入量の上限は、例えば銑鉄1トン当たり700kgとされる。
【0038】
鉱石原料11の平均粒径に対する上記還元鉄成形体の平均粒径の比の下限としては、1.3が好ましく、1.4がより好ましい。図4に示すように、第1層10の鉱石原料11の一部が溶解して滴下スラグ13として高炉1の下方へ移動し、鉱石原料11が軟化収縮した際にも、高融点の上記還元鉄成形体は軟化しない。鉱石原料11に対して一定以上大きい上記還元鉄成形体を骨材12として混合させると、上記還元鉄成形体の骨材効果が発現し易く、第1層10全体が層収縮することを抑止できる。従って、上記平均粒径の比を上記下限以上とすることで、図4の矢印で示すような熱風の流路を確保できるので、溶解工程S2での通気性を向上させることができる。一方、上記平均粒径の比の上限としては、10が好ましく、5がより好ましい。上記平均粒径の比が上記上限を超えると、上記還元鉄成形体を第1層10に均一に混合させ難くなり偏析が増大するおそれがある。なお、「平均粒径」とは、粒子径分布にて累積質量が50%となる粒径をいう。
【0039】
上記還元鉄成形体のタンブラー回転試験後の通気抵抗指数の上限としては、0.1が好ましく、0.08がより好ましい。上記還元鉄成形体は、一般に製造される工場と使用される工場とが異なり輸送される。この間に体積破壊し粒度分布は変化し得るから、上記タンブラー回転試験後においても通気抵抗指数が一定値以下となることが担保される還元鉄成形体を用いることで、現実の高炉操業において後述する塊状帯Eでの通気性を向上させることができる。一方、上記通気性抵抗指数の下限は、特に限定されず、定義上の理論限界値である0に近い値であってもよいが、通常0.03程度となる。なお、上記通気抵抗指数が所定値以下となる性状を有する還元鉄成形体が用いられていればよく、当該銑鉄製造方法においてタンブラー回転試験を要することを意味するものではない。
【0040】
ここで、還元鉄成形体の「タンブラー回転試験後の通気抵抗指数」は、以下のようにして算出される。まず、鉄鉱石類の回転強度測定法(JIS-M8712:2000)に準じてタンブラー回転試験を行い、還元鉄成形体の篩分けによる粒径分布を取得する。この粒度分布は、篩分けを行った篩目間の代表粒径(中央値)をd[cm]、代表粒径dに属する還元鉄成形体の重量分率をwとして表される。この粒度分布を用いて、調和平均径D[cm]、粒度構成指数Ispを下記式3により算出する。さらに、重力換算係数g[9.807(g・cm)/(G・sec)]を用いて、下記式3により通気抵抗指数Kを求める。なお、上記タンブラー回転試験でのタンブラーの回転条件は、24±1rpmで、600回転とされる。
【数4】
【0041】
また、上記還元鉄成形体が酸化アルミニウムを含む場合、上記還元鉄成形体中の上記酸化アルミニウムの含有量の上限としては、1.5質量%が好ましく、1.3質量%がより好ましい。上記酸化アルミニウムの含有量が上記上限を超えると、スラグ融点の高温化や粘度の増加により炉下部での通気性の確保が困難となるおそれがある。このため、還元鉄成形体中の酸化アルミニウムの含有量を上記上限以下とすることで、コークスの使用量が増大することを抑止できる。なお、上記酸化アルミニウムの含有量は0質量%、すなわち上記還元鉄成形体が酸化アルミニウムを含まないものであってもよいが、上記酸化アルミニウムの含有量の下限としては、0.5質量%が好ましい。上記酸化アルミニウムの含有量が上記下限未満であると、還元鉄成形体が高価なものとなり、銑鉄の製造コストが高くなるおそれがある。
【0042】
(第2層)
第2層20はコークス21を含む。
【0043】
コークス21は、鉱石原料11の溶解のための熱源、鉱石原料11の還元に必要な還元材であるCOガスの生成、溶鉄へ浸炭し融点を低下させるための加炭材、及び高炉1内の通気性を確保するためのスペーサーの役割を果たす。
【0044】
(積層方法)
第1層10及び第2層20を交互に積層する方法は、種々の方法を用いることができる。ここでは、図2に示すようなベル・アーマー方式の原料装入装置2(以下、単に「原料装入装置2」ともいう)を搭載した高炉1を例にとり、その方法について説明する。
【0045】
原料装入装置2は、炉頂部に備えられている。つまり、第1層10及び第2層20は、炉頂より装入される。原料装入装置2は、図2に示すように、ベルカップ2aと、下ベル2bと、アーマー2cとを有する。
【0046】
ベルカップ2aは、装入する原料を充填する。第1層10を装入する際は、第1層10を構成する原料をベルカップ2aに充填し、第2層20を装入する際は、第2層20を構成する原料を充填する。
【0047】
下ベル2bは下方に広がる円錐状であり、ベルカップ2a内に配設される。下ベル2bは上下に移動可能である(図2で、上方に移動した状態を実線、下方に移動した場合を破線で示している)。下ベル2bは、上方に移動した場合、ベルカップ2aの下部を密閉し、下方に移動した場合ベルカップ2aの側壁の延長上に隙間が構成されるようになっている。
【0048】
アーマー2cは、下ベル2bより下方で、高炉1の炉壁部に設けられている。下ベル2bを下方に移動した際、上記隙間から原料が落下するが、アーマー2cは、この落下する原料を反発させるための反発板である。また、アーマー2cは、高炉1の内部(中心部)に向かって出退可能に構成されている。
【0049】
この原料装入装置2を用いて、以下のようにして、第1層10を積層することができる。なお、第2層20についても同様である。また、第1層10及び第2層20の積層は、交互に行われる。
【0050】
まず、下ベル2bを上方に位置させ、第1層10の原料をベルカップ2aに装入する。下ベル2bが上方に位置する場合、ベルカップ2aの下部は密閉されるので、ベルカップ2a内に上記原料が充填される。なお、その充填量は、各層の積層量とする。
【0051】
次に、下ベル2bを下方へ移動させる。そうすると、ベルカップ2aとの間に隙間が生じるので、この隙間から上記原料は炉壁方向へ落下し、アーマー2cに衝突する。アーマー2cに衝突し、反発した上記原料は、炉内に装入される。上記原料には、アーマー2cでの反発により炉内方向に移動しつつ落下するので、落下した位置から炉内の中心側に向かって流れ込みながら堆積する。アーマー2cは、中心部に向かって出退可能に構成されているから、上記原料の落下位置は、アーマー2cを出退させることで調整することができる。この調整により第1層10を所望の形状に堆積させることができる。
【0052】
<溶解工程>
溶解工程S2では、羽口1aから送風する熱風により補助燃料を高炉内へ吹込みつつ、積層された第1層10の鉱石原料11を還元及び溶解する。なお、高炉操業は連続操業であり、溶解工程S2は連続して行われている。一方、積層工程S1は間欠的に行われており、溶解工程S2で第1層10及び第2層20の還元及び溶解処理の状況に応じて、新たに溶解工程S2で処理すべき第1層10及び第2層20が追加されていく。
【0053】
図2は、溶解工程S2での状態を示している。図2に示すように、羽口1aからの熱風により羽口1a付近には、コークス21が旋回し著しく疎な状態で存在する空洞部分であるレースウェイAが形成されている。高炉1内では、このレースウェイAの温度が最も高く2000℃程度である。レースウェイAに隣接して、高炉1の内部においてコークスの擬停滞域である炉心Bが存在する。また、炉心Bから上方に滴下帯C、融着帯D及び塊状帯Eがこの順で存在する。
【0054】
高炉1内の温度は頂部からレースウェイAに向かって上昇する。つまり、塊状帯E、融着帯D、滴下帯Cの順に温度が高く、例えば塊状帯Eで20℃以上1200℃以下程度であるのに対し、炉心Bは1200℃以上1600℃以下程度となる。なお、炉芯Bの温度は径方向で異なり、炉芯Bの中心部では滴下帯Cより温度が低くなる場合もある。また、炉内の中心部に熱風を安定して流通させることで、断面が逆V字型の融着帯Dを形成させ、炉内の通気性と還元性を確保している。
【0055】
高炉1内では、鉄鉱石原料11は、まず塊状帯Eで昇温還元される。融着帯Dでは、塊状帯Eで還元された鉱石が軟化収縮する。軟化収縮した鉱石は降下して滴下スラグとなり、滴下帯Cへ移動する。溶解工程S2で、鉱石原料11の還元は、主に塊状帯Eで進行し、鉱石原料11の溶解は、主に滴下帯Cで生じる。なお、滴下帯Cや炉心Bでは、降下してきた液状の酸化鉄FeOとコークス21の炭素とが直接反応する直接還元が進行する。
【0056】
還元鉄成形体を含む骨材12は、融着帯Dで骨材効果を発揮する。つまり、鉱石が軟化収縮した状態でも、高融点の上記還元鉄成形体は軟化せず、上記熱風を高炉1の中心部まで確実に通気させる通気路が確保される。
【0057】
上記還元鉄成形体は、高融点であるが、還元ガス中の一酸化炭素COやコークス中の炭素からの浸炭反応によって、低融点化されて1500℃程度の融着帯D下部の温度領域で
溶鉄となる。この時点でも還元鉄成型体に含まれるスラグ成分のSiOは固体状態で存在し、先に溶解した還元鉄成型体からの溶鉄と固液共存状態となり粘性が高い状態にあり、溶け落ちが停滞する。ここで、塩基度が高い還元鉄成型体の場合は、CaOがSiOと反応してカルシウムシリケート融液となって固液共存を解消し、溶け落ちを促進する。塩基度が低い、すなわちSiOを多く含む還元鉄成形体の場合も還元鉄成形体から供給されるSiOと、塩基度が高い、すなわちCaOを多く含む鉄鉱石ペレットから供給されるCaOとが反応してカルシウムシリケート融液を生成すると、固液共存状態が解消され、上記還元鉄成形体の溶け落ちが促進される。
【0058】
炉床部には、還元された鉄が溶融した溶銑Fが堆積しており、その溶銑Fの上部に溶融スラグGが堆積している。この溶銑F及び溶融スラグGは、出銑口1bから取り出すことができる。
【0059】
羽口1aから吹き込む補助燃料としては、石炭を粒径50μm程度に微粉砕した微粉炭、重油や天然ガス等を挙げることができる。上記補助燃料は、熱源、還元材及び加炭材として機能する。つまり、コークス21の果たす役割のうち、スペーサー以外の役割を代替する。
【0060】
<利点>
当該銑鉄製造方法では、鉱石原料11を含む第1層10が、骨材12として還元鉄を圧縮成形した還元鉄成形体を含む。この還元鉄成形体により、溶解工程S1で第1層10の軟化融着時に熱風が通過し易くなるため、当該銑鉄製造方法では、通気性を確保するためのコークスの量が少なくて済む。また、当該銑鉄製造方法では、平均塩基度が0.5以下の還元鉄成形体を用いるので、比較的安価に還元鉄成形体を入手することができる。さらに、当該銑鉄製造方法では、平均塩基度が0.9以上の鉄鉱石ペレットを主原料として用いることで、平均塩基度が低い還元鉄成形体が溶解した際の粘性の増大を抑止し、溶け落ちを促進する。これにより主に融着帯Dの通気性が改善され、さらにコークスの使用量を低減することができる。従って、当該銑鉄製造方法を用いることで高炉1の安定操業を維持しつつコークスの使用量を低減することができる。
【0061】
[その他の実施形態]
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0062】
上記実施形態では、積層される全ての第1層の鉱石原料が鉄鉱石ペレットを主原料とし、上記還元鉄成形体の平均塩基度が0.5以下であり、上記鉄鉱石ペレットの平均塩基度が0.9以上であることを前提に説明したが、本発明は、少なくとも1つの第1層の鉱石原料が鉄鉱石ペレットを主原料とし、上記還元鉄成形体の平均塩基度が0.5以下であり、上記鉄鉱石ペレットの平均塩基度が0.9以上である構成を含む。ただし、全第1層のうち、上記構成を有する第1層が90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、100%、すなわち全層が上記構成を有する第1層であることがさらに好ましい。
【0063】
上記実施形態では、本発明の銑鉄製造方法が、積層工程と溶解工程とのみを備える場合を説明したが、当該銑鉄製造方法は、他の工程を含んでもよい。
【0064】
例えば当該銑鉄製造方法は、上記高炉の中心部にコークス及び還元鉄成形体の混合物を装入する工程を備えてもよい。この場合、上記混合物における上記還元鉄成形体のうち、粒径5mm以上の還元鉄成形体が占める割合が90質量%以上であり、上記混合物における上記還元鉄成形体の含有量が75質量%以下であることが好ましい。上記熱風は、高炉の中心部まで到達すると、この中心部を上昇する。このように中心部に粒径の大きい還元鉄成形体を上記上限以下の含有量で含めることで、上記熱風の流れを妨げることなく顕熱を効果的に利用できる。従って、コークスの使用量をさらに低減することができる。ここで、高炉の「中心部」とは、炉口部の半径をZとするとき、中心からの距離が0.2Z以下の領域を指す。
【0065】
また、当該銑鉄製造方法は、還元鉄成形体に由来する粉体及び石炭を微粉砕する工程を備えてもよい。この場合、上記補助燃料として上記微粉砕工程で得られる微粉体を含めることが好ましい。還元鉄成形体は、搬送過程等により一部が破砕され粉体となる。このような粉体は高炉内の通気性を低下させるため、第1層として使用することは適当ではない。また、この粉体は比表面積が大きいため、酸化鉄へと再酸化する。この酸化鉄を含む補助燃料を羽口から吹き込むと通気性を改善することができる。従って、還元鉄成形体に由来する粉体を石炭とともに微粉砕し、微粉砕した上記粉体及び上記石炭を含む微粉体を羽口から吹き込む補助燃料として用いることで、還元鉄成形体の有効利用を図ることができるとともに、高炉内の通気性を改善することができる。
【0066】
上記実施形態の積層工程として、ベル・アーマー方式を用いる場合を説明したが、他の方式を用いることもできる。このような他の方式としてはベルレス方式を挙げることができる。ベルレス方式では、旋回シュートを用いて、その角度を調整しながら積層を行うことができる。
【実施例
【0067】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0068】
鉄鉱石ペレットの塩基度が通気性に与える影響について、高炉周辺部を模擬した大型荷重還元実験を行って、調査した。
【0069】
図5に、この実験に用いた大型荷重還元実験炉7を示す。試料を充填する黒鉛坩堝71の内径はφ75mmとした。試料充填層72は、上から上部コークス層72a(高さ20mm)、鉱石層72b(高さ110mm)及び下部コークス層72c(高さ40mm)により構成した。鉱石層72bが本発明の第1層10に相当し、上部コークス層72a及び下部コークス層72cが第2層20に相当する。
【0070】
鉱石層72bは、還元鉄成形体(HBI)と、鉱石原料との混合物とした。なお、鉱石層72bは全鉄分(T.Fe)を一定とした。
【0071】
用いたHBIの化学性状を表1に示す。HBIの平均塩基度は0.46である。また、HBIの装入量は、銑鉄1トン当たり250kgとした。
【0072】
【表1】
【0073】
鉱石原料として、(1)平均塩基度0.04の鉄鉱石ペレット(SiO含有量=5.44質量%、MgO含有量=0.54質量%)、(2)平均塩基度1.20の鉄鉱石ペレット(SiO含有量=4.23質量%、MgO含有量=2.11質量%)、(3)平均塩基度2.10の自溶性焼結鉱(SiO含有量=5.40質量%、MgO含有量=1.00質量%の3種類を用意した。
【0074】
上述の(1)~(3)の鉱石原料を用いた試料充填層72それぞれに対して、電気炉73を用いて図6に示す温度プロファイルで加熱しつつ、図7に示す組成のガス(還元ガス)を供給した。上記ガスは、大型荷重還元実験炉7の下部に設けられているガス供給管74から供給し、上部に設けられているガス排出管75から排出した。上記ガスの総供給量は40NL/minであり、温度管理は2つの熱電対76により行った。また、試料充填層72に加える荷重は1kgf/cmとした。この荷重は、荷重棒77を介して錘78の重さを加えることで付加した。
【0075】
上述の条件で試料充填層72の圧損を連続測定し、圧損の時間積分値(S値)を算出した。S値は、鉱石層72bの軟化溶融挙動の評価指標として用いることができ、小さいほど通気性が高いと考えられる。結果を図8に示す。
【0076】
図8の結果から、S値は、平均塩基度1.20の鉄鉱石ペレット<平均塩基度0.04の鉄鉱石ペレット<平均塩基度2.10の自溶性焼結鉱の順であり、平均塩基度が0.9以上の鉄鉱石ペレットを鉱石原料として用いることで、通気性が改善することが分かる。
【0077】
上述した式2に基づいて計算されるCaO量、SiO量から決まる平均塩基度(=CaO量/SiO量)は、(1)平均塩基度0.04の鉄鉱石ペレットを用いた場合で0.10、(2)平均塩基度1.20の鉄鉱石ペレットを用いた場合で1.13であった。用いたHBIの臨界塩基度は、0.88であり、上記式2に基づいて計算されるCaO量、SiO量から決まる塩基度をHBIの臨界塩基度とすること、すなわち上述の式1を満たすことで、通気性が改善すると言える。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の銑鉄製造方法を用いることで高炉の安定操業を維持しつつコークスの使用量を低減することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 高炉
1a 羽口
1b 出銑口
2 原料装入装置
2a ベルカップ
2b 下ベル
2c アーマー
10 第1層
11 鉱石原料
12 骨材
13 滴下スラグ
20 第2層
21 コークス
7 大型荷重還元実験炉
71 黒鉛坩堝
72 試料充填層
72a 上部コークス層
72b 鉱石層
72c 下部コークス層
73 電気炉
74 ガス供給管
75 ガス排出管
76 熱電対
77 荷重棒
78 錘
A レースウェイ
B 炉心
C 滴下帯
D 融着帯
E 塊状帯
F 溶銑
G 溶融スラグ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8