(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/306 20060101AFI20241202BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
H01L21/306 J
H01L21/304 643A
H01L21/304 648G
(21)【出願番号】P 2021059113
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】テン ポーリン
(72)【発明者】
【氏名】石井 弘晃
(72)【発明者】
【氏名】武明 励
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-062011(JP,A)
【文献】特開2000-138195(JP,A)
【文献】特開2016-139743(JP,A)
【文献】特開2019-047098(JP,A)
【文献】特開2015-070018(JP,A)
【文献】特開2013-171960(JP,A)
【文献】特開2016-063193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を水平に保持して前記基板の中心を鉛直に通る回転軸線を中心として回転する基板保持部と、
前記基板の上面の周縁部における第1の着液位置に向け第1処理流体を供給する第1ノズルと、
前記第1ノズルを水平移動する第1ノズル移動機構と、
前記基板の下面の周縁部における第2の着液位置に向け第2処理流体を供給する第2ノズルと、
前記第1の着液位置と、前記第2の着液位置とを制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記基板の中心から前記第1の着液位置までの第1距離、及び前記基板の中心から前記第2の着液位置までの第2距離が所定の値になるように、前記第1の着液位置と、前記第2の着液位置とを制御
し、前記基板の下面における前記第2の着液位置を変更することによって、前記基板の上面に対する前記第1処理流体による処理速度を変更する、基板処理装置。
【請求項2】
前記第1処理流体は、エッチング液である、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第2処理流体は、温水である、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2ノズルの位置の設定を変更して、前記基板の下面における前記第2の着液位置を変更することによって、前記基板の上面に対する前記第1処理流体による処理速度を変更する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第2の着液位置は、前記基板の端面から5mm以内である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第2の着液位置は、平面視において前記第1の着液位置よりも、前記基板の径方向内側である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第2の着液位置と前記基板の上面に対する前記第1処理流体による処理速度との関係を示す処理速度情報を記憶する記憶部と、
前記処理速度情報を表示する表示部と
をさらに備える、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記回転軸線に対して略直交する方向に前記第2ノズルを移動させることによって、前記第2の着液位置を変更する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
基板を水平に保持して前記基板の中心を鉛直に通る回転軸線を中心として回転する基板保持部と、
前記基板の上面の周縁部における第1の着液位置に向け第1処理流体を供給する第1ノズルと、
前記第1ノズルを水平移動する第1ノズル移動機構と、
前記基板の下面の周縁部における第2の着液位置に向け第2処理流体を供給する第2ノズルと、
前記第1の着液位置と、前記第2の着液位置とを制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記基板の中心から前記第1の着液位置までの第1距離、及び前記基板の中心から前記第2の着液位置までの第2距離が所定の値になるように、前記第1の着液位置と、前記第2の着液位置とを制御し、
前記第2ノズルは、前記回転軸線からの距離がそれぞれ異なる複数の吐出口を有し、
前記制御部は、前記複数の吐出口から、前記第2処理流体を吐出する吐出口を選択することによって、前記第2の着液位置を変更する
、基板処理装置。
【請求項10】
前記第2ノズルは、前記基板の径方向の外方に向けて斜め上に前記第2処理流体を吐出する、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
基板の周縁部をエッチング処理する基板処理方法であって、
前記基板の上面の周縁部における第1の着液位置に第1処理流体を供給する工程と、
前記基板の下面の周縁部における第2の着液位置に前記第1処理流体とは異なる第2処理流体を供給する工程と、
前記基板の中心から前記第1の着液位置までの第1距離、及び前記基板の中心から前記第2の着液位置までの第2距離が所定の値となるように、前記第1の着液位置と、前記第2の着液位置とを制御する制御工程と
を備え
、
前記制御工程は、前記基板の下面における前記第2の着液位置を変更することによって、前記基板の上面に対する前記第1処理流体による処理速度を変更する、基板処理方法。
【請求項12】
前記第1処理流体は、エッチング液である、請求項11に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記第2処理流体は、温水である、請求項11又は請求項12に記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記第2の着液位置は、前記基板の端面から5mm以内である、請求項11から請求項
13のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項15】
前記第2の着液位置は、平面視において前記第1の着液位置よりも、前記基板の径方向内側である、請求項11から請求項
14のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記制御工程では、前記第2の着液位置と前記基板の上面に対する前記第1処理流体による処理速度との関係を示す処理速度情報と、前記第1処理流体及び前記第2処理流体により予め処理した基板の上面の周縁部の状態とに基づいて、前記第2の着液位置を変更する、請求項11から請求項
15のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項17】
複数の処理ユニットによって複数の前記基板が処理され、
前記基板処理方法は、前記制御工程に先立って、前記各処理ユニットにおいて前記第1処理流体及び前記第2処理流体により予め処理した基板の上面の周縁部の状態を検出する工程をさらに含み、
前記制御工程では、少なくとも1つの前記処理ユニットにおいて処理された前記基板の状態の検出結果と、他の前記処理ユニットの前記第2の着液位置と前記基板の上面に対する前記第1処理流体による処理速度との関係を示す処理速度情報とに基づいて、前記他の処理ユニットの前記第2の着液位置を変更する、請求項11から請求項
16のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項18】
前記制御工程では、
前記少なくとも1つの処理ユニットにおいて処理された前記基板の状態の検出結果と、前記他の処理ユニットにおいて処理された前記基板の状態の検出結果との差分を算出し、
前記差分と前記他の処理ユニットの前記処理速度情報とに基づいて、前記他の処理ユニットの前記第2の着液位置を変更する、請求項
17に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程には、ウエットエッチングにより半導体ウエハ等の基板の表面に形成された膜のうちの周縁部分のみを除去する工程があり、この工程はベベルエッチングと呼ばれている。こうした工程は、基板処理装置において、ウエットエッチングにより半導体ウエハ等の基板の表面に形成された膜のうちの周縁部分にエッチング液を供給することにより行われる(例えば特許文献1参照)。特許文献1には、水平に保持された基板を回転し、基板の周縁部に薬液を供給して基板の表面周縁部をエッチングする方法及び装置が示されている。
【0003】
ベベルエッチングの処理対象となる基板には、周縁部を除く部分に基板パターンが設けられるデバイス領域が含まれる。ベベルエッチングにおいては、周縁部以外の領域にエッチングが及ばないように留意する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、基板の高集積化が進展するにつれ、基板表面にデバイス領域が占める範囲をより拡げようとする要求がある。これに伴い、ベベルエッチングによりエッチング処理を行う領域を基板の端面から10mm以内、場合によっては数mm以内に限定しつつ、かつ、確実に周縁部分の不要膜を除去するという要求が出ている。
【0006】
ここで、不要膜が残存している場合、後の工程において不要膜又は不要膜に起因する残存パーティクル等が後の工程の品質に悪影響を及ぼし得る。その反面、不要膜の除去エッチングが進み過ぎると、不要膜の周辺や下部の膜や基板にダメージを与えるおそれがある。こうしたことから、ベベルエッチングにより不要膜を除去するだけでなく、エッチング度合いをより精密に制御したいという要求が出ている。特に、ベベルエッチングによりエッチング除去される領域と、この領域に隣接する領域との間の境界領域についてエッチングレートを精密に制御し、境界領域での膜除去度合いを精密に制御したいという要求がある。
【0007】
従来の装置や方法においては、ベベルエッチングによりエッチング除去される領域は、薬液を基板の周縁のどこに供給するかにより制御される。エッチング度合いについては、ベベルエッチングの処理時間や、供給する薬液の温度制御などにより制御される。
【0008】
しかしながら、デバイスが高密度化しベベルエッチング処理を行う対象領域が一層狭まるにつれて、ベベルエッチングによりエッチング除去される領域と、この領域に隣接する領域との間の境界領域についてエッチングレートを精密に制御することが困難となってきている。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板の周縁部のベベルエッチングにおけるエッチングレートを精密に制御できる基板処理装置及び基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面による基板処理装置は、基板保持部と、第1ノズルと、第1ノズル移動機構と、第2ノズルと、制御部とを備える。前記基板保持部は、基板を水平に保持して前記基板の中心を鉛直に通る回転軸線を中心として回転する。前記第1ノズルは、前記基板の上面の周縁部における第1の着液位置に向け第1処理流体を供給する。前記第1ノズル移動機構は、前記第1ノズルを水平移動する。前記第2ノズルは、前記基板の下面の周縁部における第2の着液位置に向け第2処理流体を供給する。前記制御部は、前記第1の着液位置と、前記第2の着液位置とを制御する。前記制御部は、前記基板の中心から前記第1の着液位置までの第1距離、及び前記基板の中心から前記第2の着液位置までの第2距離が所定の値になるように、前記第1の着液位置と、前記第2の着液位置とを制御する。
【0011】
本発明の一態様においては、基板処理装置において、前記第1処理流体は、エッチング液であってもよい。
【0012】
本発明の一態様においては、基板処理装置において、前記第2処理流体は、温水であってもよい。
【0013】
本発明の一態様においては、基板処理装置において、前記制御部は、前記基板の下面における前記第2の着液位置を変更することによって、前記基板の上面に対する前記第1処理流体による処理速度を変更してもよい。
本発明の一態様においては、基板処理装置において、前記制御部は、前記第2ノズルの位置の設定を変更して、前記基板の下面における前記第2の着液位置を変更することによって、前記基板の上面に対する前記第1処理流体による処理速度を変更してもよい。
【0014】
本発明の一態様においては、基板処理装置において、前記第2の着液位置は、前記基板の端面から5mm以内であってもよい。
【0015】
本発明の一態様においては、基板処理装置において、前記第2の着液位置は、平面視において前記第1の着液位置よりも、前記基板の径方向内側であってもよい。
【0016】
本発明の一態様においては、基板処理装置において、前記第2の着液位置と前記基板の上面に対する前記第1処理流体による処理速度との関係を示す処理速度情報を記憶する記憶部と、前記処理速度情報を表示する表示部とをさらに備えてもよい。
【0017】
本発明の一態様においては、基板処理装置において、前記制御部は、前記回転軸線に対して略直交する方向に前記第2ノズルを移動させることによって、前記第2の着液位置を変更してもよい。
【0018】
本発明の一態様においては、基板処理装置において、前記第2ノズルは、前記回転軸線からの距離がそれぞれ異なる複数のノズルを有してもよい。前記制御部は、前記複数の吐出口から、前記第2処理流体を吐出する吐出口を選択することによって、前記第2の着液位置を変更してもよい。
【0019】
本発明の一態様においては、基板処理装置において、前記第2ノズルは、前記基板の径方向の外方に向けて斜め上に前記第2処理流体を吐出してもよい。
【0020】
本発明の他の局面による基板処理方法は、基板の周縁部をエッチング処理する。前記基板処理方法は、前記基板の上面の周縁部における第1の着液位置に第1処理流体を供給する工程と、前記基板の下面の周縁部における第2の着液位置に前記第1処理流体とは異なる第2処理流体を供給する工程と、前記基板の中心から前記第1の着液位置までの第1距離、及び前記基板の中心から前記第2の着液位置までの第2距離が所定の値となるように、前記第1の着液位置と、前記第2の着液位置とを制御する制御工程とを備える。
【0021】
本発明の一態様においては、基板処理方法において、前記第1処理流体は、エッチング液であってもよい。
【0022】
本発明の一態様においては、基板処理方法において、前記第2処理流体は、温水であってもよい。
【0023】
本発明の一態様においては、基板処理方法において、前記制御工程は、前記基板の下面における前記第2の着液位置を変更することによって、前記基板の上面に対する前記第1処理流体による処理速度を変更してもよい。
【0024】
本発明の一態様においては、基板処理方法において、前記第2の着液位置は、前記基板の端面から5mm以内であってもよい。
【0025】
本発明の一態様においては、基板処理方法において、前記第2の着液位置は、平面視において前記第1の着液位置よりも、前記基板の径方向内側であってもよい。
【0026】
本発明の一態様においては、基板処理方法において、前記制御工程では、前記第2の着液位置と前記基板の上面に対する前記第1処理流体による処理速度との関係を示す処理速度情報と、前記第1処理流体及び前記第2処理流体により予め処理した基板の上面の周縁部の状態とに基づいて、前記第2の着液位置を変更してもよい。
【0027】
本発明の一態様においては、基板処理方法において、複数の処理ユニットによって複数の前記基板が処理される。前記基板処理方法は、前記制御工程に先立って、前記各処理ユニットにおいて前記第1処理流体及び前記第2処理流体により予め処理した基板の上面の周縁部の状態を検出する工程をさらに含み、前記制御工程では、少なくとも1つの前記処理ユニットにおいて処理された前記基板の状態の検出結果と、他の前記処理ユニットの前記第2の着液位置と前記基板の上面に対する前記第1処理流体による処理速度との関係を示す処理速度情報とに基づいて、前記他の処理ユニットの前記第2の着液位置を変更してもよい。
【0028】
本発明の一態様においては、基板処理方法において、前記制御工程では、前記少なくとも1つの処理ユニットにおいて処理された前記基板の状態の検出結果と、前記他の処理ユニットにおいて処理された前記基板の状態の検出結果との差分を算出し、前記差分と前記他の処理ユニットの前記処理速度情報とに基づいて、前記他の処理ユニットの前記第2の着液位置を変更してもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、基板の周縁部のベベルエッチングにおけるエッチングレートを精密に制御することが可能な基板処理装置及び基板処理方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施形態の基板処理装置を示す模式的平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態の処理ユニットの内部を示す側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態の加熱部及び第2ノズルの構造を示す平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態の第1ノズル、第2ノズル及び加熱部等を示す平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態の処理ユニットのベベル処理を示す断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態の基板処理装置における第2処理流体の着液位置と第1処理流体によるエッチング量との関係を示すグラフの一例である。
【
図7】本発明の一実施形態の基板処理方法を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の変形例の基板処理装置の第2ノズルを説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、図中、理解を容易にするために、X軸、Y軸、及び、Z軸を適宜図示している。X軸、Y軸、及びZ軸は互いに直交し、X軸及びY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。また、図中、図面を見易くするために、断面を示すハッチングを省略する場合がある。さらに、基板Wの回転軸線AXに対する径方向を「径方向RD」と記載し、回転軸線AXに対する周方向を「周方向CD」と記載し、回転軸線AXに略平行な方向を「軸方向AD」と記載する。
【0032】
図1~
図7を参照して、本発明の一実施形態に係る基板処理装置500を説明する。基板処理装置500は基板Wを処理する。基板Wは、例えば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display:FED)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、又は、太陽電池用基板である。本実施形態では、基板Wは、半導体ウエハである。基板Wは、例えば、略円板状である。
【0033】
まず、
図1を参照して基板処理装置500を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置500を示す模式的平面図である。
図1に示すように、基板処理装置500は、インデクサユニットU1と、複数の処理ユニットU2と、搬送ロボットCRと、受渡部PSと、制御装置U3とを備える。制御装置U3は、インデクサユニットU1、複数の処理ユニットU2及び搬送ロボットCRを制御する。制御装置U3は、例えば、コンピュータである。インデクサユニットU1は、複数の基板収容器Cと、インデクサロボットIRとを含む。
【0034】
基板収容器Cの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサロボットIRは、複数の基板収容器Cのうちのいずれかの基板収容器Cから未処理の基板Wを取り出して、基板Wを受渡部PSに渡す。そして、受渡部PSには、基板収容器Cから取り出された基板Wが載置される。搬送ロボットCRは、受渡部PSから未処理の基板Wを受け取って、複数の処理ユニットU2のうちのいずれかの処理ユニットU2に基板Wを搬入する。
【0035】
そして、処理ユニットU2は、未処理の基板Wを処理する。処理ユニットU2は、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉型である。
【0036】
処理ユニットU2による処理後に、搬送ロボットCRは、処理済みの基板Wを処理ユニットU2から取り出して、基板Wを受渡部PSに渡す。そして、受渡部PSには、処理ユニットU2で処理された基板Wが載置される。インデクサロボットIRは、受渡部PSから処理済みの基板Wを受け取って、複数の基板収容器Cのうちのいずれかの基板収容器Cに基板Wを収容する。
【0037】
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る処理ユニットU2を説明する。
図2は、本実施形態の処理ユニットU2の内部を示す側面図である。
【0038】
図2に示す処理ユニットU2は、基板Wを処理流体によって処理する。処理流体は、例えば、処理液又は処理ガスである。
【0039】
処理流体は、基板Wに接触する流体である限りは、特に限定されない。処理流体としての処理液は、例えば、薬液又はリンス液である。
【0040】
薬液は、例えば、希フッ酸(DHF)、フッ酸(HF)、フッ硝酸(フッ酸と硝酸(HNO3)との混合液)、バファードフッ酸(BHF)、フッ化アンモニウム、HFEG(フッ酸とエチレングリコールとの混合液)、燐酸(H3PO4)、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(例えば、クエン酸、シュウ酸)、有機アルカリ(例えば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)、硫酸過酸化水素水混合液(SPM)、アンモニア過酸化水素水混合液(SC1)、塩酸過酸化水素水混合液(SC2)、イソプロピルアルコール(IPA)、界面活性剤、腐食防止剤、又は、疎水化剤である。
【0041】
リンス液は、例えば、脱イオン水、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、又は、希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水である。
【0042】
また、処理流体としての処理ガスは、例えば、基板Wと反応する反応ガス、又は、不活性ガスである。反応ガスは、例えば、オゾンガス、フッ素ガス、フッ化水素を含む気体、又は、IPAを含む気体である。不活性ガスは、例えば、窒素、ヘリウム、又は、アルゴンである。
【0043】
図2に示すように、処理ユニットU2は、チャンバ1と、スピンチャック3と、モータ筐体5と、モータ7と、加熱部9と、第1ノズル11と、第2ノズル13と、第3ノズル15と、第4ノズル17と、第1流体供給機構21と、第2流体供給機構23と、第3流体供給機構25と、第4流体供給機構27と、第1ノズル移動部31と、第2ノズル移動部33と、第3ノズル移動部35と、第4ノズル移動部37と、ガード41とを備える。なお、スピンチャック3は、本発明の「基板保持部」の一例である。第1ノズル移動部31は、本発明の「第1ノズル移動機構」の一例である。
【0044】
チャンバ1は略箱形状を有する。チャンバ1は、基板W、スピンチャック3、モータ筐体5、モータ7、加熱部9、第1ノズル11~第4ノズル17、第1流体供給機構21~第4流体供給機構27の一部、第1ノズル移動部31~第4ノズル移動部37、及び、ガード41を収容する。
【0045】
スピンチャック3は回転可能である。そして、スピンチャック3は、基板Wを水平に保持して基板Wの中心を鉛直に通る回転軸線AXを中心として回転する。具体的には、スピンチャック3は、チャンバ1内で基板Wを水平に保持しながら、回転軸線AXの回りに基板Wを回転させる。スピンチャック3は、モータ7によって駆動されて回転する。スピンチャック3は、真空吸着式のチャックである。スピンチャック3は、基板Wの下面Wb(上面Waと反対側の面)の中央部を吸着する。なお、本明細書において、基板Wの上面Waは、基板Wの表面である。また、基板Wの下面Wbは、基板Wの裏面である。
【0046】
スピンチャック3は、スピンベースSBと、スピン軸SSとを含む。スピンベースSBは、略円板状の部材である。スピンベースSBは、少なくとも1つの吸引孔(図示せず)を有する。吸引孔は、スピンベースSBの上面に配置される。吸引孔には、吸引ポンプ(図示せず)が接続される。吸引ポンプが吸引孔の内部の空気を吸引することによって、スピンベースSBの上面に基板Wが保持される。スピンベースSBは、基板Wの外径よりも小さい外径を有する。基板WがスピンベースSBに保持された状態で、基板Wの周縁部EGは、スピンベースSBの周縁よりも径方向RD外側に配置される。
【0047】
スピン軸SSは、スピンベースSBの下面の中央部に取り付けられる。スピン軸SSは、鉛直方向に延びる。スピン軸SSは、モータ7に連結される。モータ7が駆動することにより、スピンチャック3(スピン軸SS及びスピンベースSB)が回転軸線AXの回りに回転する。よって、スピンチャック3に保持された基板Wが回転軸線AXの回りに回転する。
【0048】
モータ筐体5は、中空の部材である。モータ筐体5は、モータ7を収容する。
【0049】
加熱部9は、基板Wを加熱する。加熱部9は、例えば、ヒータである。本実施形態では、加熱部9は、基板Wの少なくとも周縁部EGを加熱する。加熱部9は、例えば、基板Wの下方に配置される。加熱部9は、例えば、基板Wを下面Wb側から加熱する。加熱部9は、略円環状である。なお、加熱部9の詳細は、後述する。
【0050】
第1ノズル11は、基板Wの回転中に基板Wの上面Waの周縁部EGに向かって第1処理流体FL1を供給する。本実施形態では、第1処理流体FL1は処理液である。
【0051】
第1流体供給機構21は、第1ノズル11に第1処理流体FL1を供給する。第1流体供給機構21は、配管21aと、バルブ21bとを含む。配管21aは第1ノズル11に第1処理流体FL1を供給する。バルブ21bは、第1ノズル11に対する第1処理流体FL1の供給開始と供給停止とを切り替える。バルブ21bが開かれると、第1処理流体FL1が配管21aを通って第1ノズル11に供給される。その結果、第1ノズル11は、第1処理流体FL1を基板Wに向かって吐出する。
【0052】
第1ノズル移動部31は、略鉛直方向及び略水平方向に第1ノズル11を移動する。具体的には、第1ノズル移動部31は、アーム31aと、ノズル移動機構31bとを含む。アーム31aは略水平方向に沿って延びる。アーム31aの先端部には第1ノズル11が配置される。第1ノズル移動部31の詳細は後述する。
【0053】
第2ノズル13は、基板Wの回転中に基板Wの下面Wbの周縁部EGに向かって第2処理流体FL2を供給する。本実施形態では、第2処理流体FL2は処理液である。
【0054】
第2流体供給機構23は、第2ノズル13に第2処理流体FL2を供給する。第2流体供給機構23は、配管23aと、バルブ23bとを含む。配管23aは第2ノズル13に第2処理流体FL2を供給する。バルブ23bは、第2ノズル13に対する第2処理流体FL2の供給開始と供給停止とを切り替える。バルブ23bが開かれると、第2処理流体FL2が配管23aを通って第2ノズル13に供給される。その結果、第2ノズル13は、第2処理流体FL2を基板Wに向かって吐出する。
【0055】
第2ノズル移動部33は、略鉛直方向及び略水平方向に第2ノズル13を移動する。具体的には、第2ノズル移動部33は、アーム33aと、ノズル移動機構33bとを含む。アーム33aは略水平方向に沿って延びる。アーム33aの先端部には第2ノズル13が配置される。第2ノズル移動部33の詳細は後述する。
【0056】
第3ノズル15は、基板Wの回転中に基板Wの上面Waの中心部に向かって第3処理流体FL3を供給する。本実施形態では、第3処理流体FL3は処理ガスである。
【0057】
第3流体供給機構25は、第3ノズル15に第3処理流体FL3を供給する。第3流体供給機構25は、配管25aと、バルブ25bとを含む。配管25aは第3ノズル15に第3処理流体FL3を供給する。バルブ25bは、第3ノズル15に対する第3処理流体FL3の供給開始と供給停止とを切り替える。バルブ25bが開かれると、第3処理流体FL3が配管25aを通って第3ノズル15に供給される。その結果、第3ノズル15は、第3処理流体FL3を基板Wに向かって吐出する。
【0058】
第3ノズル移動部35は、略鉛直方向及び略水平方向に第3ノズル15を移動する。具体的には、第3ノズル移動部35は、アーム35aと、ノズル移動機構35bとを含む。アーム35aは略水平方向に沿って延びる。アーム35aの先端部には第3ノズル15が配置される。第3ノズル移動部35の詳細は後述する。
【0059】
第4ノズル17は、基板Wの回転中に基板Wの上面Waに向かって第4処理流体FL4を供給する。本実施形態では、第4処理流体FL4は処理ガスである。
【0060】
第4流体供給機構27は、第4ノズル17に第4処理流体FL4を供給する。第4流体供給機構27は、配管27aと、バルブ27bとを含む。配管27aは第4ノズル17に第4処理流体FL4を供給する。バルブ27bは、第4ノズル17に対する第4処理流体FL4の供給開始と供給停止とを切り替える。バルブ27bが開かれると、第4処理流体FL4が配管27aを通って第4ノズル17に供給される。その結果、第4ノズル17は、第4処理流体FL4を基板Wに向かって吐出する。
【0061】
第4ノズル移動部37は、略鉛直方向及び略水平方向に第4ノズル17を移動する。具体的には、第4ノズル移動部37は、アーム37aと、ノズル移動機構37bとを含む。アーム37aは略水平方向に沿って延びる。アーム37aの先端部には第4ノズル17が配置される。第4ノズル移動部37の詳細は後述する。
【0062】
ガード41は、基板Wから排出された処理流体(第1処理流体FL1~第4処理流体FL4)を受け止める。ガード41は略筒形状を有する。例えば、ガード41は、略円筒形状の円筒部41aと、張り出し部41bとを含む。張り出し部41bは、例えば、円筒部41aの上端から、径方向RD内側に向かって斜め上方に張り出している。
【0063】
次に、
図3及び
図4を参照して、加熱部9、第1ノズル移動部31、第2ノズル移動部33、第3ノズル移動部35及び第4ノズル移動部37について詳細に説明する。
図3は、本実施形態の加熱部9及び第2ノズル13の構造を示す平面図である。
図4は、本実施形態の第1ノズル11、第2ノズル13及び加熱部9等を示す平面図である。
【0064】
図3に示すように、加熱部9は、発熱体(図示せず)と、発熱体を収容する略円板状の収容部材9aとを含む。収容部材9aは、発熱領域9bを含む。発熱領域9bは、発熱体の熱によって高温になる領域である。発熱領域9bは、例えば、100℃以上になる。発熱領域9bは、略円環形状を有する。
【0065】
加熱部9は、切欠き部9cをさらに含む。切欠き部9cは、収容部材9aの外周部の一部を切り欠いた形状を有する。切欠き部9cには、第2ノズル13が配置される。切欠き部9cは、第2ノズル13が例えば略水平方向に移動できるように形成されている。例えば、
図3に示したように、切欠き部9cは、収容部材9aの外周面から径方向RD内側に延びている。よって、第2ノズル13は、切欠き部9c内において、径方向RDに移動可能である。
【0066】
図4に示すように、第1ノズル移動部31のノズル移動機構31bは、アーム31aを略水平面に沿って回動させる。その結果、第1ノズル11が略水平面に沿って移動する。ノズル移動機構31bは、例えば、アーム31aを略水平面に沿って回動させるための電動モータを含む。また、ノズル移動機構31bは、アーム31aを略鉛直方向に沿って昇降させる。その結果、第1ノズル11が略鉛直方向に沿って移動する。この場合、ノズル移動機構31bは、例えば、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与える電動モータとを含む。
【0067】
第2ノズル移動部33のノズル移動機構33b(
図2参照)は、アーム33aを略水平面に沿って、略径方向RDに移動させる。その結果、第2ノズル13が略径方向RDに移動する。言い換えると、第2ノズル13が基板Wの周縁部EGを横切るように移動する。本実施形態では、ノズル移動機構33bは、第2ノズル13を略径方向RDに約0.1mmピッチで移動することが可能である。ノズル移動機構33bは、例えば、アーム33aを略径方向RDに沿って移動させるための直動モータを含む。また、ノズル移動機構33bは、アーム33aを略鉛直方向に沿って昇降させる。その結果、第2ノズル13が略鉛直方向に沿って移動する。この場合、ノズル移動機構33bは、例えば、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与える電動モータとを含む。
【0068】
第3ノズル移動部35のノズル移動機構35bは、アーム35aを略水平面に沿って回動させる。その結果、第3ノズル15が略水平面に沿って移動する。ノズル移動機構35bは、例えば、アーム35aを略水平面に沿って回動させるための電動モータを含む。また、ノズル移動機構35bは、アーム35aを略鉛直方向に沿って昇降させる。その結果、第3ノズル15が略鉛直方向に沿って移動する。この場合、ノズル移動機構35bは、例えば、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与える電動モータとを含む。
【0069】
第4ノズル移動部37のノズル移動機構37bは、アーム37aを略水平面に沿って回動させる。その結果、第4ノズル17が略水平面に沿って移動する。ノズル移動機構37bは、例えば、アーム37aを略水平面に沿って回動させるための電動モータを含む。また、ノズル移動機構37bは、アーム37aを略鉛直方向に沿って昇降させる。その結果、第4ノズル17が略鉛直方向に沿って移動する。この場合、ノズル移動機構37bは、例えば、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与える電動モータとを含む。
【0070】
次に、
図4及び
図5を参照して、処理ユニットU2によるベベル処理を説明する。
図5は、本実施形態の処理ユニットU2のベベル処理を示す断面図である。
図5に示すように、第1ノズル11は、回転中の基板Wに対して、基板Wの上面Waの側から第1処理流体FL1を供給する。本実施形態では、第1ノズル11は、ベベル処理を実行する。ベベル処理とは、回転中の基板Wの表面の周縁部EGに向かって第1処理流体FL1を供給して、基板Wの周縁部EGを処理することである。本実施形態では、基板Wが加熱部9によって加熱された状態でベベル処理が実行される。本実施形態では、第1処理流体FL1は、処理液である。処理液は例えばエッチング液であり、エッチング液の例としては、硫酸、塩酸、フッ酸、過酸化水素、硫酸と過酸化水素の混合液、アンモニア化合物や、これらの混合液などが含まれる。ベベル処理の目的によっては、有機化合物系の膜を除去する目的で、有機系の処理液が用いられても良い。処理液は、SC1、SC2、FOM、オゾン含有DIWなどの洗浄液であっても良い。
【0071】
例えば、第1ノズル11は、回転中の基板Wの表面の周縁部EG上の所定位置に向かってエッチング液を供給することによって、基板Wの周縁部EGに存在する膜をエッチングする。本実施形態では、第1処理流体FL1の温度は、例えば、常温(約25℃)である。なお、本実施形態では、基板Wの周縁部EGは、例えば、基板Wの周縁から径方向RD内側に約5mmまでの環状の領域である。また、基板Wの周縁部EGに存在する膜としては、例えば、シリコン窒化膜等の窒化膜及び酸化膜が挙げられる。
【0072】
図4に示すように、第1ノズル11は、第1処理流体FL1を吐出する第1吐出口11aを含む。第1ノズル11は、モータ7によって回転している基板Wに対して、基板Wの上面Waの側から第1処理流体FL1を供給する。具体的には、第1ノズル11は、回転中の基板Wの上面Waの周縁部EGに向かって第1処理流体FL1を供給する。第1ノズル11は、基板Wの上面Waの周縁から径方向RD内側に約0.5mmの位置から、さらに径方向RD内側に約4.5mmの位置までの位置に向かって第1処理流体FL1を供給する。言い換えると、第1ノズル11は、基板Wの上面Waの周縁部EGのうち、径方向RD外側の約0.5mmの以外のいずれかの部分に向かって第1処理流体FL1を供給する。さらに言い換えると、第1ノズル11は、基板Wの上面Waの端面(周縁)から約0.5mm以上約5.0mm以下の位置に向かって第1処理流体FL1を供給する。この場合、第1ノズル11は、径方向RD外側で斜め下方に向かって第1処理流体FL1を吐出する。第1ノズル11は、例えば、鉛直方向に対して傾斜する流路を有する。流路の下端は、第1吐出口11aである。
【0073】
図5に示すように、第1ノズル11は、基板Wの上面Waの周縁部EGにおける所定位置(以下、着液位置P1とも記載する)に向けて第1処理流体FL1を供給する。従って、第1ノズル11から吐出された第1処理流体FL1は、基板Wの上面Waの周縁部EGの所定位置(着液位置P1)に供給される。なお、着液位置P1は、本発明の「第1の着液位置」の一例である。着液位置P1は、基板Wの上面Waのうち、第1ノズル11から供給された処理液が着液する位置である。なお、第1ノズル11と基板Wの上面Waとの間の距離L1と、基板Wの上面Waに対する第1処理流体FL1の入射角θ1とに基づいて、第1ノズル11の位置を設定することによって、着液位置P1を容易に所望の位置に配置することができる。
【0074】
図4に示すように、第3ノズル15は、第3処理流体FL3を吐出する第3吐出口(図示せず)を含む。具体的には、第3ノズル15は、他の部分よりも径の大きい大径部15aを含む。大径部15aは、略円板状である。大径部15aには、第3吐出口が複数形成されている。第3ノズル15は、回転中の基板Wの上面Waの中央部に向かって第3処理流体FL3を供給する。この場合、第3ノズル15は、径方向RD外側で斜め下方に向かって第3処理流体FL3を吐出する。第3ノズル15は、例えば、鉛直方向に対して傾斜する複数の流路を有する。流路の下端は、第3吐出口である。
【0075】
第3処理流体FL3は、処理ガス(例えば、窒素)である。なお、第3処理流体FL3として、例えば清浄空気を用いてもよい。第3ノズル15から吐出された第3処理流体FL3は、基板Wの中央部から周縁部EGに向かって放射状に広がる。第3処理流体FL3によって、基板Wの周縁部EGの第1処理流体FL1が基板Wの外部に効率よく排出される。
【0076】
第4ノズル17は、第4処理流体FL4を吐出する第4吐出口17aを含む。第4ノズル17は、回転中の基板Wの上面Waに向かって第4処理流体FL4を吐出する。第4処理流体FL4は、処理ガス(例えば、窒素)である。第4ノズル17は、基板Wの上面Waのうち、第1ノズル11から供給された処理液が着液する着液位置P1(
図5参照)よりも径方向RDの内側(回転軸線AX側)に処理ガスを供給する。この場合、第4ノズル17は、径方向RD外側で斜め下方に向かって第4処理流体FL4を吐出する。第4ノズル17は、例えば、鉛直方向に対して傾斜する流路を有する。流路の下端は、第4吐出口17aである。
【0077】
第4ノズル17から吐出された第4処理流体FL4は、基板Wの周縁部EGに向かって流れる。第4処理流体FL4によって、基板Wの周縁部EGに残留している第1処理流体FL1が基板Wの外部に効率よく排出される。
【0078】
第2ノズル13は、第2処理流体FL2を吐出する第2吐出口13aを含む。第2ノズル13は、回転中の基板Wに対して、基板Wの下面Wbの側から第2処理流体FL2を供給する。具体的には、第2ノズル13は、回転中の基板Wの下面Wbの周縁部EGに向かって第2処理流体FL2を供給する。第2ノズル13は、基板Wの下面Wbの周縁から径方向RD内側に約0.5mmの位置から、さらに径方向RD内側に約4.5mmの位置までの位置に向かって第2処理流体FL2を供給する。言い換えると、第2ノズル13は、基板Wの下面Wbの周縁部EGのうち、径方向RD外側の約0.5mmの以外のいずれかの部分に向かって第2処理流体FL2を供給する。さらに言い換えると、第2ノズル13は、基板Wの下面Wbの端面(周縁)から約0.5mm以上約5.0mm以下の位置に向かって第2処理流体FL2を供給する。この場合、第2ノズル13は、径方向RD外側で斜め上方に向かって第2処理流体FL2を吐出する。第2ノズル13は、例えば、鉛直方向に対して傾斜する流路を有する。流路の下端は、第2吐出口13aである。
【0079】
図5に示すように、第2ノズル13は、基板Wの下面Wbの周縁部EGにおける所定位置(以下、着液位置P2とも記載する)に向かって第2処理流体FL2を供給する。従って、第2ノズル13から吐出された第2処理流体FL2は、基板Wの下面Wbの周縁部EGの所定位置(着液位置P2)に供給される。なお、着液位置P2は、本発明の「第2の着液位置」の一例である。着液位置P2は、基板Wの下面Wbのうち、第2ノズル13から供給された処理液が着液する位置である。本実施形態では、第2処理流体FL2は、温水である。ただし、第2処理流体FL2は、水でなくてもよいし、常温であってもよい。なお、第2ノズル13と基板Wの下面Wbとの間の距離L2と、基板Wの下面Wbに対する第2処理流体FL2の入射角θ2とに基づいて、第2ノズル13の位置を設定することによって、着液位置P2を容易に所望の位置に配置することができる。
【0080】
また、着液位置P2は、平面視において着液位置P1よりも、基板Wの径方向RD内側であってもよい。
【0081】
距離L1、入射角θ1、距離L2及び入射角θ2は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、距離L1は、例えば約1mmであり、入射角θ1は、例えば45°である。また、距離L2は、例えば約2mmであり、入射角θ2は、例えば45°である。また、第1ノズル11の吐出量及び第2ノズル13の吐出量は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、第1ノズル11の吐出量と第2ノズル13の吐出量とは例えば同じ量である。
【0082】
第2処理流体FL2は、着液位置P2から、基板Wの下面Wbに沿って径方向RD外側に向かって流れる。このとき、基板Wの周縁部EGは、加熱部9によって加熱されている。基板Wの周縁部EGの温度は、例えば、数十度から百数十度になっている。従って、基板Wの下面Wbに供給された第2処理流体FL2は、基板Wから熱を奪って気化する。よって、基板Wの周縁部EGの温度が低下する。すなわち、第2処理流体FL2は、基板Wの周縁部EGの温度に影響を及ぼし、さらに、第1処理流体FL1による基板Wの上面Waの処理速度(エッチングレート)に影響を及ぼす。
【0083】
次に、
図6を参照して、第2処理流体FL2の着液位置P2と、第1処理流体FL1によるエッチング量との関係について説明する。
図6は、本実施形態の基板処理装置500における第2処理流体FL2の着液位置P2と第1処理流体FL1によるエッチング量との関係を示すグラフの一例である。
図6中、基準位置P3は、第2ノズル13を初期位置に配置した状態で第2ノズル13から吐出された第2処理流体FL2が着液する位置である。エッチング量とは、エッチングレートと、エッチング時間との積である。
図6では、基板Wの上面Waの周縁部EGに存在する膜として、シリコン窒化膜を用い、第1処理流体FL1として、フッ酸を用いている。なお、第2処理流体FL2の着液位置P2と第1処理流体FL1によるエッチング量との関係を示すグラフは、本発明の「処理速度情報」の一例である。以下、第2処理流体FL2の着液位置P2と第1処理流体FL1によるエッチング量との関係を示すグラフを、処理速度情報と記載する場合がある。
【0084】
図6に示すように、第2処理流体FL2の着液位置P2が基準位置P3から径方向RD内側に移動すると、基板Wの周縁部EGの温度が低下するため、第1処理流体FL1による基板Wの上面Waの処理速度(エッチングレート)が低下する。その一方、第2処理流体FL2の着液位置P2が基準位置P3から径方向RD外側に移動すると、基板Wの周縁部EGの温度が低下しにくくなるため、第1処理流体FL1による基板Wの上面Waの処理速度(エッチングレート)が高くなる。従って、第2処理流体FL2の着液位置P2を基準位置P3から径方向RDに沿って移動させることによって、第1処理流体FL1による基板Wの上面Waの処理速度(エッチングレート)を変更することが可能である。また、第2処理流体FL2の着液位置P2を変更する場合、基板Wの上面Waの処理速度は少しだけ変化する。すなわち、第2処理流体FL2の着液位置P2を変更することによって、基板Wの上面Waの処理速度を微調節することができる。なお、第2処理流体FL2の着液位置P2を径方向RDに移動させたとしても、パーティクル性能等の他のプロセス性能には、ほとんど影響しない。
【0085】
このように、第2処理流体FL2の着液位置P2を移動させることにより、パーティクル性能等の他のプロセス性能に影響を及ぼさない形で、基板Wの上面Waの処理速度を微調節することには、いくつかの利点がある。一つは、温度制御の安定性である。第2処理流体FL2の温度を調整するのではなく、第2処理流体FL2の着液位置P2を調整することにより、短時間で基板Wの上面Waの所定位置における温度を微調整することが可能となる。例えば、第1処理流体FL1の着液位置P1が固定された状態において、第2処理流体FL2の着液位置P2のみを移動させることで、第1処理流体FL1による基板Wの上面Waの処理速度を微調整することが可能である。
【0086】
図6に示したグラフは、例えば、第1処理流体FL1の種類,吐出量,吐出時間,濃度,温度、第2処理流体FL2の種類,吐出量,吐出時間,濃度,温度、膜の種類、及び、加熱部9の温度等の各種条件によって異なる。各種条件を変更する毎に、
図6に示したような処理速度情報が多数得られる。得られた処理速度情報は、記憶部U31に記憶されている。
【0087】
また、各種条件を同じにしたとしても、異なる処理ユニットU2間では、エッチングレート及びエッチング量が異なる。従って、処理ユニットU2毎に、多くの処理速度情報が存在する。
【0088】
次に、
図2を参照して、制御装置U3について説明する。制御装置U3は、記憶部U31と、表示部U32と、操作部U33と、制御部U34とを含む。記憶部U31は、記憶装置を含み、データ及びコンピュータプログラムを記憶する。記憶装置は、半導体メモリのような主記憶装置と、半導体メモリ及び/又はハードディスクドライブのような補助記憶装置とを含む。記憶装置は、リムーバブルメディアを含んでいてもよい。
【0089】
表示部U32は、例えば、表示パネルを有する表示装置を含む。表示部U32は、処理ユニットU2の例えば動作情報、設定情報及び報知情報を表示する。本実施形態では、表示部U32は、
図6に示したような各処理ユニットU2における着液位置P2とエッチング量との関係を示すグラフを表示する。
【0090】
操作部U33は、作業者による入力操作を受け付ける。操作部U33は、各処理ユニットU2の例えば処理条件を設定したり、変更したりするための複数のボタンを含む。なお、操作部U33は、例えばタッチパネルを含んでもよい。表示部U32は、例えば操作部U33としてのタッチパネルを含んでもよい。
【0091】
制御部U34は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサを含む。制御部U34のプロセッサは、記憶部U31の記憶装置が記憶しているコンピュータプログラムを実行して、処理ユニットU2を制御する。
【0092】
すなわち、制御部U34は、スピンチャック3、モータ7、加熱部9、第1流体供給機構21~第4流体供給機構27、及び、第1ノズル移動部31~第4ノズル移動部37を制御する。
【0093】
例えば、制御部U34は、第1ノズル移動部31~第4ノズル移動部37をそれぞれ制御して、第1ノズル11~第4ノズル17の位置を制御する。また、例えば、制御部U34は、第1流体供給機構21~第4流体供給機構27をそれぞれ制御して、第1処理流体FL1~第4処理流体FL4の供給の有無及び供給量を制御する。
【0094】
また、制御部U34は、着液位置P1と着液位置P2とを制御する。具体的には、制御部U34は、基板Wの中心から着液位置P1までの第1距離、及び基板Wの中心から着液位置P2までの第2距離が所定の値となるように、着液位置P1と着液位置P2とを制御する。例えば、基板Wの中心から着液位置P1までの第1距離は、基板Wの中心から第1ノズル11までの距離と、上述した距離L1及び入射角θ1等とに基づいて算出できる。同様に、基板Wの中心から着液位置P2までの第2距離は、基板Wの中心から第2ノズル13までの距離と、上述した距離L2及び入射角θ2等とに基づいて算出できる。
【0095】
また、制御部U34は、第2ノズル13の位置の設定を変更して、基板Wの下面Wbにおける第2処理流体FL2の着液位置P2を変更することによって、基板Wの上面Waに対する第1処理流体FL1による処理速度を変更する。従って、複数の処理ユニットU2間で膜に対する処理速度が異なる場合に、各処理ユニットU2の処理速度を制御することができる。よって、処理ユニットU2間における処理速度の差を抑制することができる。
【0096】
また、処理ユニットU2間での処理速度の差を抑制するために第2処理流体FL2の温度又は濃度を調節する必要がない。従って、例えば、パーティクル性能等の他のプロセス性能に影響が及ぶことを抑制できる。その結果、他のプロセス性能への影響を検証するために、膨大な時間を要することを抑制できる。
【0097】
また、表示部U32は処理速度情報を表示するため、作業者は、表示部U32で処理速度情報を確認しながら、第2処理流体FL2の着液位置P2を変更できる。
【0098】
また、制御部U34は、回転軸線AXに対して略直交する方向に第2ノズル13を移動させることによって、着液位置P2を変更する。従って、第2処理流体FL2の着液位置P2が径方向RDに沿って移動するため、第1処理流体FL1による基板Wの上面Waの処理速度(エッチングレート)を容易に変更できる。具体的には、制御部U34は、回転軸線AXから第2ノズル13までの距離が変化するように第2ノズル13を移動させることによって、着液位置P2を変更する。
【0099】
以上、
図1~
図6を用いて説明したように、制御部U34は、第1処理流体FL1の着液位置P1と、第2処理流体FL2の着液位置P2とを制御する。従って、基板Wの周縁部EGのベベルエッチングにおけるエッチングレートを精密に制御できる。
【0100】
また、上述したように、着液位置P2は、平面視において着液位置P1よりも、基板Wの径方向RD内側であってもよい。この場合、平面視においてエッチング液(第1処理流体FL1)が供給される位置よりも内側の基板Wの温度を制御することによって、ベベルエッチングにより除去される領域とこの領域に隣接する領域との間の境界領域におけるエッチングレートをより精密に制御することが可能となる。
【0101】
次に、
図7を参照して、本実施形態に係る基板処理方法を説明する。また、基板処理方法の説明において、
図1~
図6が適宜参照される。基板処理方法では、複数の処理ユニットU2によって複数の基板Wが処理される。
図7は、本実施形態の基板処理方法を示すフローチャートである。
【0102】
図7に示すように、基板処理方法は、ベベル処理を実行する工程S1、基板Wの周縁部EGの状態を検出する工程S2と、着液位置P2を変更する工程S3と、ベベル処理を実行する工程S4とを含む。また、基板処理方法は、第1処理流体FL1を供給する工程S41と、第2処理流体FL2を供給する工程S42とを含む。工程S1及び工程S2は、例えば、処理ユニットU2間の差(チャンバ間差とも言う)を確認するための工程である。工程S3は、例えば、処理ユニットU2間の差を補正するための工程である。工程S4は、例えば、製品としての基板Wにベベル処理を実行する工程である。なお、工程S2は、本発明の「周縁部の状態を検出する工程」の一例である。工程S3は、本発明の「制御工程」の一例である。工程S41は、本発明の「第1処理流体を供給する工程」の一例である。工程S42は、本発明の「第2処理流体FL2を供給する工程」の一例である。以下、詳細に説明する。
【0103】
工程S1において、制御部U34は、各処理ユニットU2によって、
図4及び
図5を用いて説明したベベル処理を実行する。このとき、同一の処理条件で、各処理ユニットU2によってベベル処理が実行される。すなわち、第1処理流体FL1の種類,吐出量,吐出時間,濃度,温度、第2処理流体FL2の種類,吐出量,吐出時間,濃度,温度、膜の種類、及び、加熱部9の温度等の各種条件は、各処理ユニットU2において同一に設定される。工程S1では、例えば、処理ユニットU2間の差を確認するための基板Wが用いられる。確認用の基板Wとしては、少なくとも周縁部EGの膜の材質及び厚み等が、製品としての基板Wと同じものが用いられる。なお、工程S1において、製品としての基板Wを用いてもよい。
【0104】
また、工程S1では、各処理ユニットU2において、第2ノズル13から吐出される第2処理流体FL2の着液位置P2は、例えば基準位置P3に設定される。
【0105】
工程S2において、ベベル処理された各基板Wの周縁部EGの状態を検出する。具体的には、各基板Wの上面Waの周縁部EGの膜の厚みを検出する。例えば、周縁部EGの膜の厚みを測定してもよい。また、周縁部EGの膜の色又は透明度から、膜の厚みを導出してもよい。
【0106】
本実施形態では、周縁部EGの状態の検出は、作業者が行う。作業者は、例えば、顕微鏡を用いて周縁部EGを視認したり、各処理ユニットU2が撮像した画像を確認したりすることによって、周縁部EGの状態を検出する。そして、作業者は、例えば、周縁部EGの膜の厚み、色又は透明度に基づいて、各基板Wの周縁部EGの膜の厚みが所望の範囲内に収まっているか否かを判定する。つまり、作業者は、各処理ユニットU2において処理条件を変更(補正)する必要があるか否かを判定する。
【0107】
工程S3において、作業者は、工程S2において処理条件を変更する必要があると判定した処理ユニットU2に対して、第2処理流体FL2の着液位置P2を変更する。以下、処理条件を変更する必要がある処理ユニットU2を、変更要ユニットU22と記載する場合がある。また、処理条件を変更する必要の無い処理ユニットU2を、変更不要ユニットU21と記載する場合がある。
【0108】
具体的には、作業者は、例えば、変更不要ユニットU21で処理された基板Wの膜の厚みと、変更要ユニットU22で処理された基板Wの膜の厚みとの差分を算出する。そして、作業者は、算出した差分と、表示部U32に表示される変更要ユニットU22の処理速度情報(具体的には、
図6に示すグラフ)とに基づいて、変更要ユニットU22の第2ノズル13の位置を変更する量を入力する。言い換えると、作業者は、算出した差分と、表示部U32に表示される変更要ユニットU22の処理速度情報(具体的には、
図6に示すグラフ)とに基づいて、変更要ユニットU22の第2処理流体FL2の着液位置P2の変更する量を入力する。このとき、作業者は、変更不要ユニットU21が複数ある場合は、1つの変更不要ユニットU21で処理された基板Wの膜の厚みを用いて差分を算出してもよいし、複数の変更不要ユニットU21で処理された基板Wの膜の厚みの平均値等を用いて差分を算出してもよい。
【0109】
例えば、変更要ユニットU22で処理された基板Wの膜の厚みが、変更不要ユニットU21で処理された基板Wの膜の厚みよりも5nm厚い場合、作業者は、変更要ユニットU22のエッチング量が5nm増加するように、着液位置P2を変更する。この場合、作業者は、変更要ユニットU22に対応する処理速度情報を用いて、第2処理流体FL2の着液位置P2を基準位置P3から径方向RD外側に移動させる距離を求める。そして、作業者は、求めた距離を操作部U33に入力する。このようにして、変更要ユニットU22における第2処理流体FL2の着液位置P2が変更される。
【0110】
一方、例えば、変更要ユニットU22で処理された基板Wの膜の厚みが、変更不要ユニットU21で処理された基板Wの膜の厚みよりも5nm薄い場合、作業者は、変更要ユニットU22のエッチング量を5nm減少するように、着液位置P2を変更する。この場合、作業者は、変更要ユニットU22に対応する処理速度情報を用いて、第2処理流体FL2の着液位置P2を基準位置P3から径方向RD内側に移動させる距離を求める。そして、作業者は、求めた距離を操作部U33に入力する。このようにして、変更要ユニットU22における第2処理流体FL2の着液位置P2が変更される。
【0111】
工程S3では、上述したように、基板Wの中心から着液位置P1までの第1距離、及び基板Wの中心から着液位置P2までの第2距離が所定の値となるように、着液位置P1と着液位置P2とを制御する。
【0112】
また、工程S3では、第2ノズル13の位置の設定を変更して、基板Wの下面Wbにおける第2処理流体FL2の着液位置P2を変更することによって、基板Wの上面Waに対する第1処理流体FL1による処理速度を変更する。
【0113】
工程S4において、制御部U34は、各処理ユニットU2において、ベベル処理を実行する。工程S4では、例えば、製品としての基板Wが用いられる。工程S4では、第2処理流体FL2の着液位置P2の位置を除き、同一の処理条件で、各処理ユニットU2によってベベル処理が実行される。
【0114】
具体的には、工程S4は、工程S41と工程S42とを少なくとも含む。工程S41において、制御部U34は、基板Wの上面Waの周縁部EGにおける着液位置P1に第1処理流体FL1を供給する。工程S42において、制御部U34は、基板Wの下面Wbの周縁部EGにおける着液位置P2に第1処理流体FL1とは異なる第2処理流体FL2を供給する。なお、工程S42の実行期間は、工程S41の実行期間の少なくとも一部と重なっている。
【0115】
工程S4では、全ての処理ユニットU2における処理速度が、所望の範囲内に収まる。
【0116】
なお、工程S1及び工程S4の処理中においては、第2ノズル13の位置の設定は変更されない。
【0117】
以上、
図7を参照して説明したように、本実施形態によれば、工程S3では、着液位置P2と処理速度との関係を示す処理速度情報と、工程S1において第1処理流体FL1及び第2処理流体FL2により予め処理した基板Wの上面Waの周縁部EGの状態とに基づいて、着液位置P2を変更する。従って、処理速度情報を用いることによって、処理ユニットU2毎に適した位置に着液位置P2を容易に変更することができる。
【0118】
また、本実施形態によれば、工程S3において、少なくとも1つの処理ユニットU2において処理された基板Wの状態の検出結果と、他の処理ユニットU2の処理速度情報とに基づいて、該他の処理ユニットU2の着液位置P2を変更する。従って、例えば、少なくとも1つの変更不要ユニットU21において処理された基板Wの状態の検出結果と、変更要ユニットU22の処理速度情報とに基づいて、変更要ユニットU22の着液位置P2を変更することができる。よって、変更要ユニットU22の処理速度を、変更不要ユニットU21の処理速度に容易に近づけることができる。
【0119】
また、本実施形態によれば、少なくとも1つの処理ユニットU2において処理された基板Wの状態の検出結果と、他の処理ユニットU2において処理された基板Wの状態の検出結果との差分を算出する。そして、算出した差分と該他の処理ユニットU2の処理速度情報とに基づいて、他の処理ユニットU2の着液位置P2を変更する。従って、例えば、少なくとも1つの変更不要ユニットU21において処理された基板Wの状態の検出結果と、変更要ユニットU22において処理された基板Wの状態の検出結果との差分を算出する。そして、差分と変更要ユニットU22の処理速度情報とに基づいて、変更要ユニットU22の着液位置P2を変更することができる。よって、変更要ユニットU22の処理速度を、変更不要ユニットU21の処理速度にさらに容易に近づけることができる。
【0120】
以下、
図8を参照して、本実施形態の変形例の基板処理装置500の第2ノズル13について説明する。
図8は、本発明の変形例の基板処理装置500の第2ノズル13を説明するための平面図である。
【0121】
図8に示すように、本実施形態の変形例の第2ノズル13は、複数の第2吐出口13aを有する。具体的には、複数の第2吐出口13aは、回転軸線AXからの距離がそれぞれ異なる。複数の第2吐出口13aは、例えば、径方向RDに沿って一直線上に配置される。ただし、第2吐出口13aは、一直線上に配置されなくてもよい。第2吐出口13aは、例えば、千鳥状に配置されていてもよいし、径方向RDに対して傾斜する方向に沿って配置されていてもよい。この場合、回転軸線AXと第2吐出口13aとの距離を、例えば、約0.1mmピッチに設定することも可能である。なお、第2吐出口13aは、本発明の「吐出口」の一例である。
【0122】
制御部U34は、複数の第2吐出口13aから、第2処理流体を吐出する第2吐出口13aを選択することによって、着液位置P2を変更する。従って、第2ノズル13を移動させることなく、着液位置P2を変更することができる。
【0123】
具体的には、例えば、第2流体供給機構23は、各第2吐出口13aに対応する複数のバルブ23bを含む。制御部U34は、複数のバルブ23bのうち1つのバルブ23bを開くことによって、複数の第2吐出口13aのうち1つの第2吐出口13aから第2処理流体FL2を吐出させる。
【0124】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0125】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0126】
例えば、上記の実施形態では、第2ノズル13を略径方向RDに沿って移動させることによって、着液位置P2を略径方向RDに移動させる例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、第1ノズル11、第3ノズル15及び第4ノズル17と同様に、ノズル移動機構33bを中心として第2ノズル13を回動させることによって、着液位置P2を径方向RDに移動させてもよい。
【0127】
また、上記の実施形態では、第2ノズル13を略水平面に沿って移動させることによって、着液位置P2を径方向RDに移動させる例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、第2ノズル13が斜め上方に向かって第2処理流体FL2を吐出する場合、第2ノズル13を略鉛直方向に沿って移動させ、距離L2を変化させることによって、着液位置P2を径方向RDに移動させてもよい。
【0128】
また、上記の実施形態では、第1ノズル11は斜め下方に向かって第1処理流体FL1を吐出し、第2ノズル13は斜め上方に向かって第2処理流体FL2を吐出する例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、第1ノズル11は鉛直下方に向かって第1処理流体FL1を吐出し、第2ノズル13鉛直上方に向かって第2処理流体FL2を吐出してもよい。
【0129】
また、上記の実施形態では、工程S2において、作業者が、基板Wの周縁部EGの膜の厚みを検出し、かつ、各処理ユニットU2において処理条件を変更する必要があるか否かを判定する例について示したが、本発明はこれに限らない。工程S2において、例えば、検出装置が、基板Wの上面Waの周縁部EGの膜の厚みを検出し、かつ、各処理ユニットU2において処理条件を変更する必要があるか否かを判定してもよい。すなわち、工程S2を基板処理装置500に自動で行わせてもよい。
【0130】
また、上記の実施形態では、工程S3において、作業者が、差分を算出し、距離を求め、かつ、求めた距離を入力する例について示したが、本発明はこれに限らない。工程S3において、例えば、制御部U34が、差分を算出し、距離を求め、かつ、求めた距離だけ第2ノズル13を移動させてもよい。すなわち、工程S3を基板処理装置500に自動で行わせてもよい。
【0131】
工程S2及び工程S3を基板処理装置500に行わせる場合、工程S1~工程S4を基板処理装置500に自動で行わせることができる。
【0132】
また、上記の実施形態では、変更不要ユニットU21において処理された基板Wの状態の検出結果と、変更要ユニットU22において処理された基板Wの状態の検出結果との差分を算出し、算出した差分と変更要ユニットU22の処理速度情報とに基づいて、変更要ユニットU22の着液位置P2を変更する例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、変更不要ユニットU21の処理速度情報と、変更要ユニットU22の処理速度情報との差分を算出し、算出した差分と変更要ユニットU22において処理された基板Wの状態の検出結果とに基づいて、変更要ユニットU22の着液位置P2を変更してもよい。この場合、例えば、設定された処理条件において変更要ユニットU22の処理速度情報から導出されるエッチング量が、変更不要ユニットU21の処理速度情報から導出されるエッチング量よりも5nm薄い場合、作業者は、エッチング量が5nm増加するように、変更要ユニットU22の処理速度情報を用いて、着液位置P2を基準位置P3から径方向RD外側に移動させる距離を求める。そして、作業者は、求めた距離を操作部U33に入力すればよい。
【0133】
作業者が入力する処理条件としては、通常、例えば、第1処理流体FL1の吐出量,吐出時間,温度、第2処理流体FL2の吐出量,吐出時間,温度、加熱部9の温度等が挙げられるが、さらに、第1処理流体FL1による処理速度(例えば、エッチングレート)又は処理量(例えば、エッチング量)を作業者が入力してもよい。この場合、制御部U34は、入力された値と各処理ユニットU2の処理速度情報とに基づいて、各処理ユニットU2に適した着液位置P2を求め、求めた位置に着液位置P2が一致するように、第2ノズル13の位置を変更してもよい。
【0134】
また、上記の実施形態では、処理速度情報の一例として、第2処理流体FL2の着液位置P2と第1処理流体FL1によるエッチング量との関係を用いる例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、処理速度情報として、基板Wの下面Wbのうち第2処理流体FL2が接触する領域の面積と、第1処理流体FL1によるエッチング量との関係を用いてもよい。言い換えると、処理速度情報として、基板Wのうち着液位置P2から径方向RD外側の面積と、第1処理流体FL1によるエッチング量との関係を用いてもよい。この場合も、上記の実施形態と同様、基板Wの上面Waに対する第1処理流体FL1による処理速度を制御できる。
【0135】
また、基準位置P3は、第1処理流体FL1の着液位置P1に比べて、径方向RD内側であることが好ましい。すなわち、第2処理流体FL2の着液位置P2は、第1処理流体FL1の着液位置P1に比べて、径方向RD内側であることが好ましい。この場合、第1処理流体FL1が基板Wの下面Wbに回り込むことを抑制できる。
【0136】
また、上記の実施形態では、第2処理流体FL2が処理液である例について示したが、第2処理流体FL2は処理ガスであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明は、基板処理装置及び基板処理方法に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0138】
3 :スピンチャック(基板保持部)
9 :加熱部
11 :第1ノズル
13 :第2ノズル
13a :第2吐出口(吐出口)
31 :第1ノズル移動部(第1ノズル移動機構)
500 :基板処理装置
AX :回転軸線
EG :周縁部
FL1 :第1処理流体
FL2 :第2処理流体
P1 :着液位置(第1の着液位置)
P2 :着液位置(第2の着液位置)
S2 :工程(周縁部の状態を検出する工程)
S3 :工程(制御工程)
S41 :工程(第1処理流体を供給する工程)
S42 :工程(第2処理流体を供給する工程)
U2 :処理ユニット
U31 :記憶部
U32 :表示部
U34 :制御部
W :基板
Wa :上面
Wb :下面