(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】噴射装置および噴射方法
(51)【国際特許分類】
B05B 9/04 20060101AFI20241202BHJP
【FI】
B05B9/04
(21)【出願番号】P 2021061296
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古石 朋久
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-057338(JP,A)
【文献】特開2016-217250(JP,A)
【文献】特開2016-222230(JP,A)
【文献】特開2018-076055(JP,A)
【文献】米国特許第05605286(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダに収容され、前記シリンダの内部で往復移動可能なピストンと、
少なくとも一部が前記シリンダに収容され、前記シリンダに対して進退移動可能なノズルと
を備え、
前記ノズルは、
前記ピストンと係止する係止部
を備え、前記ピストンが流体を噴射させる噴射方向へ移動するとき、前記係止部によって前記ピストンと係止された状態で前記シリンダから進出
し、所定位置まで進出したとき、前記係止部による前記ピストンとの係止が解除され、
前記ピストンは、
前記係止部による係止が解除された状態で前記噴射方向へさらに移動して流体を噴射させる、
噴射装置。
【請求項2】
前記ピストンは、
前記係止部が係止される被係止部
を備え、
前記ノズルは、
前記所定位置まで進出した状態で前記ピストンが前記噴射方向へさらに移動したときの押圧力によって、前記係止部の少なくとも一部が弾性変形して前記係止部が前記被係止部から外れることで、前記係止部による前記ピストンとの係止が解除される
、
請求項
1に記載の噴射装置。
【請求項3】
前記シリンダは、
前記所定位置まで進出したとき、前記ノズルの進出方向への移動を規制する規制部
を備える
、請求項
1または
2に記載の噴射装置。
【請求項4】
前記シリンダは、
前記ノズルの移動をガイドするガイド部を備え、
前記ノズルは、
前記ガイド部内を移動する突起部を備え、
前記規制部は、
前記ガイド部に形成されるとともに、前記ガイド部内を移動する前記突起部が当接することで前記ノズルの前記進出方向への移動を規制する
、
請求項
3に記載の噴射装置。
【請求項5】
前記ガイド部は、
前記突起部が移動するガイド溝を含み、
前記ガイド溝には、弾性変形して前記ノズルと前記ピストンとの係止を解除したときの前記係止部が位置する
、
請求項
4に記載の噴射装置。
【請求項6】
前記ピストンは、
ヘッド部と、
前記ヘッド部から前記噴射方向へ突出するように形成されるとともに、内部に流体の流路が形成される流路部と
を備え、
前記ノズルは、
前記流路部に接続されて前記流路部から流体が供給される
、
請求項1~
5のいずれか一つに記載の噴射装置。
【請求項7】
ピストンと、ノズルとを備えた噴射装置の噴射方法であって、
シリンダに収容され前記シリンダの内部で往復移動可能なピストンと、少なくとも一部が前記シリンダに収容され前記シリンダに対して進退移動可能なノズルとが係止部によって係止され、前記ノズルは、前記ピストンが流体を噴射させる噴射方向へ移動するとき、前記係止部によって前記ピストンと係止された状態で前記シリンダから進出する工程
と、
前記ノズルは、所定位置まで進出したとき、前記係止部による前記ピストンとの係止が解除され、前記ピストンは、前記係止部による係止が解除された状態で前記噴射方向へさらに移動して流体を噴射させる工程と
を含む
、噴射方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴射装置および噴射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車両の周辺を撮像する車載カメラのレンズに向けて気体や液体などの流体を噴射することで、レンズに付着した付着物を除去する装置が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来技術にあっては、ノズルがシリンダに対して進退移動可能に収容される。そして、ポンプからノズルの基端側へ流体が供給され、その流体の圧力によってノズルを洗浄位置まで進出させて流体を噴射するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術には、ノズルを適切に移動させて流体を効率よく噴射するという点で、さらなる改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ノズルを適切に移動させて流体を効率よく噴射することができる噴射装置および噴射方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、噴射装置において、ピストンと、ノズルとを備える。ピストンは、シリンダに収容され、前記シリンダの内部で往復移動可能に構成される。ノズルは、少なくとも一部が前記シリンダに収容され、前記シリンダに対して進退移動可能に構成される。また、前記ノズルは、前記ピストンと係止する係止部を備え、前記ピストンが流体を噴射させる噴射方向へ移動するとき、前記係止部によって前記ピストンと係止された状態で前記シリンダから進出する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ノズルを適切に移動させて流体を効率よく噴射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る噴射装置の搭載例を示す図である。
【
図9】
図9は、駆動部の構成や駆動部によるピストンの駆動を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する噴射装置および噴射方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
<噴射装置の搭載例について>
先ず、
図1を用いて、実施形態に係る噴射装置の搭載例について説明する。
図1は、実施形態に係る噴射装置の搭載例を示す図である。なお、
図1および後述する
図2~
図10Fは、いずれも模式図である。
【0012】
図1に示すように、噴射装置1は、例えば自動車などの車両2に搭載され、気体などの流体を噴射する。例えば、噴射装置1は、車両2の後部に配置され、車両2の後方を撮像するカメラ(リアカメラ)100に付着した付着物を、噴射した流体で除去する。一例として、噴射装置1は、車両2後部のライセンスプレート3の上部であり、かつ、車両2の左右方向の略中央である位置に配置される。また、上記した付着物は、水滴や雪、汚れなどである。
【0013】
なお、上記では、噴射装置1が流体を噴射する対象を車両2の後方撮像用のカメラ100(センサの一例)としたが、これに限定されるものではない。すなわち、噴射対象は、例えばレンズを介して映像を取得したり、車両周辺の物標の情報などを取得したりするセンサ(詳しくは光学センサ)などであればよい。具体的には、例えば車両前方を撮像するフロントカメラや車両側方を撮像するサイドカメラ、車両周辺の物標を検出するレーダ装置など種々のセンサを噴射対象とすることができる。なお、噴射装置1の噴射対象は、上記したセンサ等に限定されるものではなく、その他の種類のものであってもよい。
【0014】
また、噴射装置1が噴射する流体は気体である。かかる気体は、例えば空気であるが、これに限られず、その他の種類の気体であってもよい。また、噴射装置1が噴射する流体は、気体に限られず、例えば水やウォッシャ液などの液体であってもよい。
【0015】
<噴射装置の構成について>
以下、噴射装置1の構成などについて
図2以降を参照して詳説する。
図2は、噴射装置1の斜視図である。
図3は、噴射装置1の分解斜視図であり、
図4は、
図2のIV-IV線断面図である。なお、噴射装置1とカメラ100との位置関係等を説明するため、
図2にカメラ100を示している。
【0016】
また、
図2以降においては、理解の便宜のために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向で規定される3次元の直交座標系を図示している。かかる直交座標系は、後述の説明に用いる他の図面でも示す場合がある。また、直交座標系は、噴射装置1が図示された状態にあるときのX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向であり、噴射装置1の取り付け方向を限定するものではない。
【0017】
図2に示すように、噴射装置1は、例えばカメラ100の上方に設置され、カメラ100の検知面であるレンズ101に向けて流体(空気)を噴射する。なお、噴射装置1にあっては、後述するノズル40がシリンダ10から進出し、進出した位置でカメラ100のレンズ101に向けて流体を噴射するが、これについては後に詳説する。また、
図2に示す、カメラ100に対する噴射装置1の設置位置は、あくまでも例示であって限定されるものではない。
【0018】
図2~
図4に示すように、噴射装置1は、シリンダ10と、駆動部20(
図2で見えず)と、ピストン30(
図2で見えず)と、ノズル40とを備える。
【0019】
<シリンダおよびノズルについて>
先ず、シリンダ10およびノズル40について説明する。シリンダ10は、内部が中空に形成され、駆動部20やピストン30、ノズル40などを収容する。例えば、シリンダ10は、
図3および
図4に示すように、本体部11と、シリンダ室12と、ノズル収容部13と、蓋部14とを備える。なお、シリンダ10は、例えば樹脂などの材料を用いて製作されるが、これに限定されるものではない。
【0020】
本体部11は、例えば直方体状に形成され、
図4に示すように、内部に空間11aが形成される。本体部11の一方側(Y軸負方向側。後端側)の端部11bには、開口11b1が形成される。本体部11の開口11b1には、蓋部14が取り付けられ、これにより空間11aを閉塞する。また、本体部11の他方側(Y軸正方向側)の端部11c(
図3参照)には、空間11aと連通されたシリンダ室12が形成される。そして、本体部11には、駆動部20、および、ピストン30の一部(後述するピストン30の接続部34等)が収容される。
【0021】
シリンダ室12は、例えば円筒状に形成され、内部に空間12aが形成される。シリンダ室12の一方側(Y軸負方向側)の端部12bには、上記した本体部11が形成され、他方側(Y軸正方向側)の端部12cには、空間12aと連通されたノズル収容部13が形成される。
【0022】
シリンダ室12には、ピストン30が収容される。かかるピストン30は、シリンダ10の内部(詳しくはシリンダ室12)で往復移動可能となるように収容される。シリンダ室12においては、駆動部20によってピストン30が移動し、ピストン30の移動によって空間12aの空気が圧縮されて圧縮空気が生成されるが、これについては後述する。
【0023】
ノズル収容部13は、例えば円筒状に形成され、内部に空間13aが形成される。また、ノズル収容部13の外径は、シリンダ室12の外径より小さくなるように設定されるが、これに限定されるものではない。ノズル収容部13の一方側(Y軸負方向側)の端部13bには、上記したシリンダ室12が形成され、他方側(Y軸正方向側)の端部13cには、開口13c1が形成される。
【0024】
ノズル収容部13には、ノズル40が収容される。なお、
図4に示すように、ノズル40は、後述する噴射部42が開口13c1から露出するようにしてノズル収容部13に収容される、すなわち、ノズル40は、一部がシリンダ10に収容される。なお、ノズル40は、上記に限られず、全部がシリンダ10(詳しくはノズル収容部13)に収容されてもよい。言い換えると、ノズル40は、少なくとも一部がシリンダ10(ノズル収容部13)に収容されていればよい。
【0025】
また、ノズル40は、矢印A1,A2で示すように、シリンダ10に対して進退移動可能となるように収容される。例えば、ノズル40は、
図4に想像線で示すように、シリンダ10から進出する進出方向(矢印A1。Y軸正方向)へ移動可能となるように収容される。また、進出したノズル40は、シリンダ10へ後退する後退方向(矢印A2。Y軸負方向)へ移動可能となるように収容される。また、以下では、ノズル40がシリンダ10から最も進出した位置を進出位置、ノズル40がシリンダ10に対して最も後退した位置を後退位置と記載する場合がある。
【0026】
なお、ノズル収容部13には、ノズル40の移動をガイドするガイド部15が形成されるが、これについては
図7を用いて後述する。
【0027】
ここで、ノズル40について
図5および
図6を参照して説明する。
図5は、ノズル40の斜視図である。
図6は、ノズル40の拡大断面図である。
図5および
図6に示すように、ノズル40は、ノズル側流路部41と、噴射部42と、係止部43と、突起部44とを備える。
【0028】
ノズル側流路部41は、例えば円筒状に形成され、内部に空気の流路41aが形成される。例えば、ノズル側流路部41の一方側(Y軸負方向側)の端部41bには、開口41b1が形成されるとともに、ピストン30(詳しくは後述するピストン側流路部32(
図4参照))が接続される。また、ノズル側流路部41の他端側(Y軸正方向側)の端部41cには、噴射部42が形成される。
【0029】
噴射部42は、流体(空気)を噴射する部位である。例えば、噴射部42は、下方(Z軸負方向)側に向けて開口し、ノズル側流路部41の流路41aと連通する噴射口42aを備える。これにより、ノズル40においては、ノズル側流路部41の流路41aに、ピストン30の移動によって生成された圧縮空気が供給され、かかる圧縮空気が噴射部42の噴射口42aから噴射することとなる。
【0030】
なお、上記の例では、カメラ100が噴射装置1の下方に配置されるため(
図2参照)、噴射口42aの向きが下方となるようにしたが、噴射口42aの向きは、これに限定されるものではなく、例えばカメラ100との位置等に応じて適宜に変更されてもよい。
【0031】
係止部43は、ピストン30と係止する部位である。詳しくは、係止部43は、後述するピストン30の被係止部33(
図4参照)と係止する部位であり、具体的にはスナップフィットである。例えば、係止部43は、ノズル側流路部41において一方の端部41b側に設けられた切欠き45(
図5参照)に形成される。係止部43は、円筒状のノズル側流路部41において、周方向に略等間隔に複数個(たとえば2個)形成される。
【0032】
なお、上記では、係止部43は2個形成されるようにしたが、これに限られず、1個または3個以上形成されてもよい。また、係止部43が形成される位置も、図示に限定されるものではなく、任意に設定可能である。
【0033】
係止部43は、支柱部43aと、係止爪43bとを備える。支柱部43aは、係止爪43bを支持する。例えば、支柱部43aは、ノズル側流路部41の切欠き45において、一方の端部41b側(別言すればピストン30が接続される側(Y軸負方向))へ向けて延在するように形成される(立設される)。そして、支柱部43aの先端には、係止爪43bが形成される。
【0034】
係止爪43bは、径方向内側へ向けて突出するように形成され、かかる係止部43がピストン30の被係止部33(
図4参照)と係止する。なお、2個の係止爪43bは、互いに対向する位置に形成されるが、これに限定されるものではない。
【0035】
係止部43を含むノズル40は、可撓性を有する材料(例えば樹脂など)を用いて製作される。これにより、係止部43は可撓性を有し、よって係止部43は、
図6に矢印Bで示すように、径方向に向けて弾性変形可能とされる。
【0036】
なお、ノズル40は、ピストン30の位置に応じて係止部43が被係止部33と係止してピストン30と係止したり、ピストン30の位置に応じて係止部43が被係止部33から外れてピストン30との係止が解除されたりするが、これについては後述する。
【0037】
突起部44は、係止部43に形成される。詳しくは、突起部44は、係止部43の支柱部43aの基端付近に形成され、支柱部43aから径方向の外方に向けて突出するように形成される。
【0038】
上記した突起部44は、シリンダ10のガイド部15内を移動する。ここで、シリンダ10のガイド部15について
図4および
図7を参照して説明する。
図7は、
図3のVII-VII線断面図である。
【0039】
図4および
図7に示すように、シリンダ10のガイド部15は、ガイド溝15aを含む。例えば、ガイド溝15aは、ノズル40がノズル収容部13に収容されるときに、ノズル40の突起部44に対応する位置に形成される。具体的には、ガイド溝15aは、シリンダ10のノズル収容部13の内周面13dにおいて、円筒状のノズル収容部13の軸方向(長手方向。Y軸方向)に沿って延在するように複数(例えば2つ)形成される。なお、ガイド部15の位置や数は、ノズル40の突起部44の位置や数に応じて変更可能である。
【0040】
また、ガイド溝15aの一方側(Y軸負方向側)には、壁部15b1が形成され、他方側(Y軸正方向側)には、壁部15b2(
図4のみ図示)が形成される。そして、ピストン30は、突起部44が上記のように構成されたガイド部15内(正確にはガイド溝15a内)に位置するようにして、ノズル収容部13に収容される。従って、ガイド部15内(正確にはガイド溝15a内)をノズル40の突起部44が移動することで、詳しくは摺動することで、ガイド部15は、ノズル40の軸方向(長手方向。Y軸方向)の移動をガイドすることができる。
【0041】
また、ガイド部15の他方側の壁部15b2は、突起部44が当接することで、ノズル40の進出方向(Y軸正方向)への移動を規制するストッパとして機能する。従って、以下では、壁部15b2を規制部15b2と記載する場合がある。
【0042】
上記したノズル40の突起部44とシリンダ10の規制部15b2とは、ノズル40が進出方向へ移動して所定位置に到達したときに、突起部44と規制部15b2とが当接するような位置関係となるように形成される。
【0043】
ノズル40における所定位置とは、例えばノズル40と噴射対象とが適切な位置関係となるようなノズル40の位置であり、言い換えると、ノズル40から流体(空気)を噴射対象に対して適切に噴射可能な位置である(後述する
図10C,
図10E参照)。詳しくは、所定位置とは、例えばノズル40の噴射口42aが噴射対象であるカメラ100のレンズ101へ向くような位置(言い換えると、レンズ101を臨むような位置)であるが、これは例示であって限定されるものではない。また、所定位置は、ノズル40がシリンダ10から最も進出した進出位置と対応するが、これに限定されるものではない。
【0044】
<ピストンについて>
次に、ピストン30について
図4を参照しつつ説明する。ピストン30は、上記したように、シリンダ10の内部(シリンダ室12)において往復移動可能に収容される。なお、
図4に示すピストン30の位置は、移動前の位置、別言すれば初期位置である。また、ピストン30が初期位置にあるとき、ノズル40はシリンダ10に対して最も後退した後退位置となるが、これに限定されるものではない。
【0045】
ピストン30は、後述する駆動部20によって初期位置からY軸正方向へ移動すると、かかる移動によってシリンダ室12の空気を圧縮して圧縮空気を生成する。そして、生成された圧縮空気がノズル40から噴射される。
【0046】
以下では、ピストン30が流体(空気)を噴射させるときの移動方向(Y軸正方向)を「噴射方向」と記載する場合がある。なお、かかるピストン30が噴射方向へ移動するとき、空気を圧縮することから、噴射方向は「圧縮方向」であるともいえる。また、噴射方向は、シリンダ10の進出方向(矢印A1)と同一の方向である。
【0047】
以下、ピストン30の詳細な構成について
図8も参照して説明する。
図8は、ピストン30等の拡大斜視図である。
図4および
図8に示すように、ピストン30は、ヘッド部31と、ピストン側流路部32と、被係止部33と、接続部34とを備える。なお、ピストン30は、例えば樹脂などの材料を用いて製作されるが、これに限定されるものではない。
【0048】
ヘッド部31は、例えば円柱状に形成され、シリンダ10のシリンダ室12に摺動可能に収容される。なお、ヘッド部31の外周縁であって、シリンダ10のシリンダ室12と当接する部位には、パッキンなど空気漏れを抑制するためのシール部材が取り付けられてもよい。
【0049】
ピストン側流路部32は、例えば円筒状に形成され、ヘッド部31から噴射方向(Y軸正方向)へ突出するように形成される。言い換えると、ピストン側流路部32は、ヘッド部31の中心部から、ノズル40(
図4参照)が位置する方向(噴射方向)へ向けて延在するように形成される(立設される)。
【0050】
また、ピストン側流路部32は、内部に空気の流路32aが形成される。詳しくは、ピストン側流路部32には、スリット32bが形成される。なお、
図4および
図8の例では、スリット32bが複数(例えば4つ)形成されるが、これに限定されるものではなく、スリット32bの数や位置は、任意に設定可能である。
【0051】
また、ピストン側流路部32の噴射方向(Y軸正方向)側の端部32cには、流路32aとノズル側流路部41の流路41a(
図4参照)とを連通する開口32a1が形成される。
【0052】
ピストン側流路部32においては、上記のように構成されることで、ピストン30の移動によって生成された圧縮空気はスリット32bを通って流路32aに流入する。そして、流路32aに流入した圧縮空気は、開口32a1を介してノズル側流路部41の流路41aへ流れることとなる。なお、ピストン側流路部32は、流路部の一例である。
【0053】
被係止部33は、係止部43(
図4参照)が係止される部位である。例えば、被係止部33は、ピストン側流路部32の端部32c外周縁において周方向に沿って形成される溝である。なお、被係止部33の形状は、上記した溝に限定されるものではなく、係止部43と対応する位置に、例えば穴部など係止部43が係止可能な形状のものが形成されていればよい。
【0054】
なお、
図4に示すように、ピストン30が初期位置にある場合、被係止部33には、係止部43(正確には係止爪43b)が係止される、すなわち、ピストン30とノズル40とが係止部43によって係止される。
【0055】
また、ノズル40とピストン30とが組付けられるとき、ピストン30のピストン側流路部32がノズル40のノズル側流路部41の内側となるように配置される。言い換えると、ピストン30は、ピストン側流路部32の端部32cがノズル側流路部41の内側になるように配置されて、ノズル40と組付けられる。
【0056】
接続部34は、駆動部20と接続される部位である。例えば、接続部34は、ヘッド部31から、噴射方向とは反対方向(Y軸負方向。後端方向)へ向けて延在するように形成される。また、接続部34は、
図8に示すように、例えば板状に形成され、複数のラック歯34aが形成される。なお、かかるラック歯34aは、後述するモータ21に接続された小歯車21aの歯21a1(後述する
図9参照)が噛合可能に構成されるが、これについては後に詳説する。
【0057】
<駆動部について>
次に、駆動部20について
図4および
図9を参照しつつ説明する。
図9は、駆動部20の構成を説明する図であり、また、駆動部20によるピストン30の駆動を説明する図である。なお、
図9は、ピストン30の駆動(移動)の推移を模式的に示している。具体的には、
図9において上段は、ピストン30が初期位置であるときの状態を示し、駆動部20によってピストン30等の状態が中段、下段の順で推移するものとする。
【0058】
図4および
図9に示すように、駆動部20は、モータ21と、付勢部22とを備え、ピストン30を駆動させる。
【0059】
モータ21は、ピストン30を初期位置の状態に維持させるとともに、圧縮空気を生成した後のピストン30を初期位置に戻す動力を供給する。例えば、モータ21は、小歯車21aを備える。
【0060】
具体的には、
図9の上段に示すように、モータ21の図示しない出力軸には、小歯車21aが接続される。小歯車21aは、モータ21の出力軸の回転に伴って回転する。なお、モータ21と小歯車21aとの間に減速機などが接続されてもよい。
【0061】
小歯車21aは、例えば欠歯歯車である。従って、小歯車21aには、外周において歯21a1が形成される部分と、歯21a1が形成されない部分(以下、「欠歯部分21b」と記載する場合がある)とがある。
【0062】
また、ピストン30が初期位置にあるとき、すなわちピストン30の移動前の状態では、小歯車21aの歯21a1と、上記したピストン30の接続部34のラック歯34aとが噛合されるものする。
【0063】
上記のように構成されたモータ21は、例えば図示しない制御装置に接続され、制御装置からの制御信号に応じて作動し、ピストン30を駆動させるが、これについては後述する。
【0064】
付勢部22は、
図4および
図9の上段に示すように、ピストン30に対して噴射方向(Y軸正方向)への付勢力を作用させる。なお、付勢部22としては、例えばコイルばねを用いることができる。また、
図9では、理解の便宜のため、付勢部22を簡略化し、
図4等とは異なる位置に示している。
【0065】
付勢部22は、シリンダ10内において、一端がピストン30に接続される一方、他端がシリンダ10(例えば蓋部14)に接続されるとともに、ピストン30の移動方向に沿って配置される。そして、ピストン30が初期位置にあるとき、すなわちピストン30の移動前の状態では、圧縮された状態でシリンダ10内に配置される。このとき、モータ21の小歯車21aの歯21a1と、ピストン30の接続部34のラック歯34aとが噛合されているため、モータ21からピストン30に対し、付勢部22の付勢力に抗する方向(Y軸負方向)の力が作用し、よってピストン30の初期位置の状態が維持される。
【0066】
次に、初期位置にあるピストン30の駆動部20による駆動について説明する。具体的には、本実施形態にあっては、上記したように、ピストン30の移動によって圧縮空気を生成して噴射するように構成される。ピストン30は、かかる圧縮空気を生成するように駆動部20によって駆動される。
【0067】
例えば、噴射装置1が空気を噴射する場合、モータ21に対して制御装置から制御信号が入力される。なお、かかる制御信号は、例えば車両2(
図1参照)の乗員の要求による入力であってもよいし、定期的あるいは不定期な入力であってもよい。
【0068】
モータ21は、
図9の中段に示すように、制御信号に応じて作動する。例えば、モータ21は、小歯車21aを矢印C1方向(
図9で反時計回り)に回転させるように作動する。この小歯車21aの回転により、歯21a1がラック歯34aと噛合されなくなる、言い換えると、欠歯部分21bがラック歯34aと対応する位置となり、よってモータ21からピストン30に対し、付勢部22の付勢力に抗する方向(Y軸負方向)の力が作用しなくなる。
【0069】
これにより、ピストン30は、付勢部22からの付勢力を受けて、噴射方向(Y軸正方向)へ移動する(矢印D1参照)。このピストン30の移動によってシリンダ室12の空間12aの空気が圧縮されて圧縮空気が生成され、生成された圧縮空気は、ピストン側流路部32からノズル40(
図4参照)へ供給されて噴射される。
【0070】
図9の下段は、圧縮空気を生成した後のピストン30の状態を示し、モータ21は、かかるピストン30を初期位置に戻す動力を供給する。具体的には、モータ21は、小歯車21aを矢印C2方向(
図9で反時計回り)に回転させるように作動する。この小歯車21aの回転により、歯21a1がラック歯34aに噛合され、モータ21からピストン30に対し、付勢部22の付勢力に抗する方向(Y軸負方向)の力が作用する。これにより、ピストン30は、噴射方向とは反対方向(Y軸負方向)へ移動し(矢印D2参照)、その後、
図9の上段に示すような初期位置に戻って、次回の噴射に備える。
【0071】
なお、上記では、付勢部22が、コイルばねである例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば板ばねや皿ばねなどピストン30に対して付勢力を作用させるものであれば、その他の種類のものを用いてもよい。
【0072】
<噴射装置の動作について>
次に、上記のように構成された噴射装置1の動作例について、
図10A~
図10Fを参照して説明する。
図10A~
図10Fは、噴射装置1の動作例を説明する図である。
【0073】
図10Aは、ピストン30が初期位置にある状態を示している。このとき、ノズル40は、後退位置にあり、また、ピストン30に係止されている。具体的には、
図10Aに破線の閉曲線で囲んで示すように、ノズル40の係止部43の係止爪43bがピストン30の被係止部33に係止される。ここで、ノズル40の係止爪43bは、背面側がノズル収容部13の内周面13dに当接しているため、被係止部33から外れないようにすることができる、言い換えると、ノズル40をピストン30に確実に係止することができる。
【0074】
次に、噴射装置1による空気の噴射動作が開始される。具体的には、
図10Bに示すように、駆動部20によってピストン30が駆動される。詳しくは、上記したように、駆動部20のモータ21が作動し、小歯車21aの歯21a1がラック歯34aと噛合されなくなり(
図9参照)、ピストン30が噴射方向(Y軸正方向)へ移動する(矢印E1参照)。
【0075】
ここで、
図10Bに破線の閉曲線で囲んで示すように、ノズル40は、ピストン30に係止されたまま、すなわちノズル40の係止爪43bがピストン30の被係止部33に係止されたままであることから、ノズル40は、ピストン30の移動に伴ってシリンダ10から進出する方向(Y軸正方向)へ移動する(矢印E2参照)。
【0076】
このように、本実施形態において、ノズル40は、ピストン30が空気を噴射させる噴射方向へ移動するとき、係止部43によってピストン30と係止された状態でシリンダ10から進出する。
【0077】
これにより、本実施形態にあっては、ノズル40を適切に移動させることができ、結果として空気(流体)を効率よく噴射することができる。
【0078】
すなわち、例えば仮に、ノズルの基端側へ空気を供給して、その空気圧でノズルを進出させるように構成した場合、ノズルを進出させることのできる空気圧や空気量を確保する必要があるため、空気を供給する装置(ピストンやシリンダ)の大型化を招くおそれがある。また、例えば仮に、空気を供給する装置を小型にすると、ノズルを所定位置まで進出させることができなかったり、ノズルを空気圧で所定位置まで進出させたとしても、ノズルから噴射させる空気圧や空気量が不足して付着物を除去できなかったりするおそれがある。
【0079】
そこで、本実施形態に係るノズル40は、ピストン30が移動するとき、係止部43によってピストン30と係止された状態でシリンダ10から進出するようにした。すなわち、本実施形態に係るノズル40は、係止部43を備えることで、ピストン30のストローク動作と連動してシリンダ10から進出するようにしたので、ノズル40を適切に移動させることができる。また、適切に移動させたノズル40に空気を供給することで、空気(流体)を効率よく噴射することができる。
【0080】
また、
図10Bに示すノズル40にあっては、ガイド部15によってガイドされつつ進出方向へ移動する。具体的には、ノズル40は、突起部44がシリンダ10のガイド部15(正確にはガイド溝15a)を摺動することで、ガイドされてスムーズに進出方向へ移動することができる。
【0081】
次に、
図10Cに示すように、ピストン30は、付勢部22の付勢力によってさらに噴射方向(Y軸正方向)へ移動する(矢印E3参照)。そして、ノズル40が所定位置まで進出したとき、シリンダ10の規制部15b2によってノズル40の進出方向への移動を規制する。具体的には、ノズル40が所定位置まで進出し、突起部44が規制部15b2と当接することで、ノズル40の進出方向への移動を規制する。
【0082】
これにより、ノズル40をより適切に移動させることができる、すなわち、ノズル40を所定位置(例えば、噴射口42aが噴射対象であるカメラ100のレンズ101へ向くような位置)まで確実に進出させることができる。
【0083】
なお、ノズル40が所定位置にあって、突起部44が規制部15b2に当接するとき、
図10Cに破線の閉曲線で囲んで示すように、係止部43の係止爪43bがガイド部15のガイド溝15aに対応するように位置される。すなわち、係止部43は、係止爪43bを含めた背面側がガイド溝15aとなるため、ガイド溝15a側へ向けて弾性変形可能な位置となる。
【0084】
次に、
図10Dに示すように、ピストン30は、付勢部22の付勢力によってさらに噴射方向(Y軸正方向)へ移動する(矢印E4参照)。上記したように、ピストン30のピストン側流路部32がノズル40のノズル側流路部41の内側となるように配置されることから、ピストン30は、ノズル側流路部41内を移動し、係止部43を径方向外側へ押し広げることとなる。
【0085】
すなわち、ノズル40は、所定位置まで進出した状態でピストン30が噴射方向へさらに移動すると、ピストン30から係止部43に対して径方向外側への押圧力が作用する。
図10Dに破線の閉曲線で囲んで示すように、かかる押圧力によって、係止部43の少なくとも一部(例えば支柱部43a)が弾性変形して係止部43(ここでは係止爪43b)が被係止部33から外れ、よってノズル40は、係止部43によるピストン30との係止が解除される。
【0086】
これにより、ノズル40が所定位置に進出したままの状態で、ピストン30のみが噴射方向へさらに移動することが可能になる。すなわち、ピストン30は、さらなる噴射方向への移動によってシリンダ室12で圧縮空気を確実に生成することが可能になる。
【0087】
また、上記したようにノズル40とピストン30との係止が解除されるとき、ガイド溝15aには、弾性変形してノズル40とピストン30との係止を解除したときの係止部43(正確には係止爪43b)が位置するように構成される。
【0088】
すなわち、ガイド溝15aは、上記したノズル40の移動をガイドする機能、および、弾性変形する係止部43(正確には係止爪43b)が逃げるスペースとしての機能の両方を備えることができる。
【0089】
次に、
図10Eに示すように、ピストン30は、付勢部22の付勢力によってさらに噴射方向(Y軸正方向)へ移動する(矢印E5参照)。すなわち、ピストン30は、係止部43による係止が解除された状態で噴射方向へさらに移動する。
【0090】
このように、ピストン30がさらに移動することによって、シリンダ室12の空間12aの空気をさらに圧縮して圧縮空気を確実に生成することができる。
【0091】
そして、ピストン30の移動によって生成された圧縮空気は、矢印F1で示すように、スリット32bを通ってピストン側流路部32の流路32aに流入する。続いて、ピストン側流路部32を通過した圧縮空気は、矢印F2で示すように、ノズル側流路部41の流路41aへ流れて噴射口42aから噴射される。
【0092】
このように、ノズル40は、ピストン30のピストン側流路部32に接続されてピストン側流路部32から空気(流体)が供給されることから、所定位置に移動させたノズル40に対して空気を確実に供給でき、空気(流体)を効率よく噴射することができる。
【0093】
次に、
図10Fに示すように、ピストン30は、付勢部22の付勢力によってさらに噴射方向へ移動して、ヘッド部31がシリンダ室12の端部12cに到達する。これにより、ピストン30の噴射方向への移動が規制されるため、圧縮空気は生成されず、よって圧縮空気の噴射が完了する。
【0094】
このように、本実施形態にあっては、ピストン30の初期位置からのストロークが、ノズル40とピストン30とが係止部43によって係止されて一体で移動する領域(
図10A~
図10C参照)と、ノズル40が所定位置まで進出したときに、ノズル40とピストン30との係止が解除されてピストン30のみが移動する領域(
図10D~
図10F参照)とを含むようにした。
【0095】
言い換えると、ピストン30のストロークのうち、初期の段階ではノズル40と係止さされてノズル40を所定位置まで移動させつつ圧縮空気を生成する動作が行われ、ノズル40を所定位置まで移動させた後の段階では、初期の段階から続けて圧縮空気を生成して噴射する動作が行われるようにした。これにより、本実施形態にあっては、ノズル40を適切な位置である所定位置に移動させて、空気を効率よく噴射することができる。
【0096】
また、本実施形態に係るノズル40は、係止部43を備えてピストン30のストローク動作と連動してシリンダ10から進出するようにしたので、例えばノズル40を移動させるためだけの駆動源等(ノズル専用のモータなど)を不要にできる、すなわち部品点数の増加を招くことがなく、よって低コスト化を図ることが可能になる。
【0097】
また、本実施形態にあっては、ピストン30を噴射方向へ移動させる際、ピストン30に作用する負荷はシリンダ10との摩擦力等に限られるため、例えばばねの付勢力に抗してピストンを噴射方向へ移動させるような構成の噴射装置に比べて、ピストン30を効率よく移動させることができる。
【0098】
なお、噴射装置1は、空気の噴射が完了すると、モータ21を作動させて初期状態へ戻る動作を行う。すなわち、噴射が完了すると、モータ21は、ピストン30を初期位置に戻す動力を供給する。これにより、ピストン30は、噴射方向とは反対方向(Y軸負方向)へ移動し、初期位置へ戻って次回の噴射に備えることとなる。
【0099】
具体的に説明すると、ピストン30やノズル40は、上記した噴射時とは逆の動作を行う。すなわち、ピストン30は、
図10Fに示す噴射完了時の状態から、噴射方向とは反対方向(Y軸負方向)へ移動する。詳しくは、モータ21が作動して小歯車21aの歯21a1がラック歯34aに噛合され、モータ21からピストン30に対し、付勢部22の付勢力に抗する方向(Y軸負方向)の力が作用し、ピストン30がY軸負方向へ移動する(
図9の下段参照)。
【0100】
ピストン30の移動により、ピストン側流路部32は、ノズル側流路部41の内部から徐々に抜ける(
図10E、
図10D参照)。そして、ノズル40の係止爪43bがピストン30の被係止部33の位置となるまで、ピストン30が戻ると、弾性変形していた係止部43の係止爪43bは被係止部33に係止する、すなわち、ノズル40とピストン30とが係止する。
【0101】
そして、ピストン30が、さらにY軸負方向へ移動すると、ピストン30に係止されたノズル40も、所定位置から後退方向(Y軸負方向)へ移動する(
図10B参照)。そして、ピストン30が初期位置まで戻るとき、ピストン30も後退位置まで戻る(
図10A参照)。
【0102】
このように、本実施形態に係る噴射装置1にあっては、ノズル40を進出させるときは付勢部22の付勢力を利用し、ノズル40を後退させるときはモータ21の動力を利用するようにした。従って、本実施形態にあっては、ノズル40を、進出方向および後退方向の両方向とも強制的に移動させることが可能となり、よってノズル40を所定位置(進出位置)や後退位置へ確実に移動させることができる。
【0103】
上述してきたように、実施形態に係る噴射装置1は、ピストン30と、ノズル40とを備える。ピストン30は、シリンダ10に収容され、シリンダ10の内部で往復移動可能に構成される。ノズル40は、少なくとも一部がシリンダ10に収容され、シリンダ10に対して進退移動可能に構成される。また、ノズル40は、ピストン30と係止する係止部43を備え、ピストン30が流体を噴射させる噴射方向へ移動するとき、係止部43によってピストン30と係止された状態でシリンダ10から進出する。これにより、ノズル40を適切に移動させて流体を効率よく噴射することができる。
【0104】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0105】
1 噴射装置
10 シリンダ
15 ガイド部
15a ガイド溝
15b2 規制部
20 駆動部
30 ピストン
31 ヘッド部
32 ピストン側流路部
40 ノズル
43 係止部
44 突起部