(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】カード搬送ユニット
(51)【国際特許分類】
G06K 13/07 20060101AFI20241202BHJP
G06K 13/103 20060101ALI20241202BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
G06K13/07 Z
G06K13/103 Z
G06K7/10 264
(21)【出願番号】P 2021062703
(22)【出願日】2021-04-01
【審査請求日】2024-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】横山 智
(72)【発明者】
【氏名】太田 恵治
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-165471(JP,A)
【文献】特開2007-041635(JP,A)
【文献】特開平09-251520(JP,A)
【文献】特開2002-207968(JP,A)
【文献】特開2009-205235(JP,A)
【文献】特開2017-037613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 13/07
G06K 13/103
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード収容部から1枚ずつ繰り出されるカードをカード処理部へ搬送するカード搬送ユニットであって、
前記カード収容部とカード処理部との間に設けられたキャリッジ搬送路を移動するキャリッジと、
前記カードと非接触通信を行う非接触通信用アンテナを備える非接触カードリーダと、
前記キャリッジ搬送路に対向する位置に前記非接触通信用アンテナを保持する支持部材と、を有し、
前記キャリッジは、前記キャリッジの移動方向と交差するカード搬送方向に前記カードを搬送するカード搬送機構を備え、前記カード搬送機構はモータを備え、
前記モータは、前記カード搬送機構によって搬送される前記カードに対して前記非接触通信用アンテナとは反対側に配置されることを特徴とするカード搬送ユニット。
【請求項2】
前記キャリッジは、前記カード搬送機構および前記モータを支持するキャリッジフレームを備え、
前記キャリッジフレームは、前記カード搬送機構によって搬送される前記カードに対して前記非接触通信用アンテナ側に位置する部分が樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載のカード搬送ユニット。
【請求項3】
前記支持部材は、前記カード搬送方向と交差し且つ前記移動方向と交差する対向方向で前記キャリッジ搬送路と対向する対向部と、前記対向部の前記移動方向の両端に設けられた脚部と、を備え、
前記非接触カードリーダは、前記対向部に固定される基板を備え、
前記非接触通信用アンテナは、基板に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載のカード搬送ユニット。
【請求項4】
前記非接触通信用アンテナは、前記対向部に設けられた開口部を介して前記キャリッジ搬送路と対向することを特徴とする請求項3に記載のカード搬送ユニット。
【請求項5】
前記キャリッジを前記移動方向に案内するガイド軸を備え、
前記ガイド軸は、前記カード搬送機構によって搬送される前記カードに対して前記非接触通信用アンテナとは反対側に配置されることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のカード搬送ユニット。
【請求項6】
前記カード搬送機構は、
樹脂製の駆動ローラおよび前記駆動ローラの中心に固定される第1回転軸と、
前記駆動ローラとの間に前記カードを挟む樹脂製の従動ローラおよび前記従動ローラの中心に固定される第2回転軸と、
前記モータの出力軸の回転を前記第1回転軸に伝達する輪列と、備え、
前記輪列を構成する複数のギアは、樹脂からなることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のカード搬送ユニット。
【請求項7】
前記第1回転軸および前記第2回転軸は、前記非接触通信用アンテナと対向する領域から外れた位置に配置されることを特徴とする請求項6に記載のカード搬送ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気情報が記録されたカードを搬送するカード搬送ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、磁気情報が記録されたカードやICチップを有するICカード等のカードを発行するカード処理装置(カード発行装置)が記載される。特許文献1のカード処理装置は、多数のカードを重ねて収納するカード収容部(カードスタック部)と、カードに対する情報の読み書きを行うカード処理部と、カード収容部から取り出したカードをカード処理部に搬送するカード搬送部を備える。
【0003】
特許文献1のカード処理装置は、カード収容部が複数のカードスタック部を備える。カード搬送部は、カードスタック部の配列方向に延びるガイド軸と、ガイド軸に沿って移動するキャリッジを備えており、キャリッジには、カードを挟み込んで搬送するローラ対が搭載される。カードの発行動作では、カードスタック部の前方にキャリッジを移動させて停止させ、カードスタック部から繰り出されたカードをローラ対によってキャリッジの内部に引き込み、再びキャリッジを移動させてカード処理部の手前で停止させる。そして、ローラ対を駆動してカード処理部にカードを送り込む。カード処理部は、カードに記録された情報をカードリーダによって読み取り、必要な情報をカードに記録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非接触通信用アンテナによりカードから情報を読み取るカードリーダは、様々な仕様、形状のものが製造されている。しかしながら、カード処理部にカードリーダを組み込む場合、取付方法や配置スペースに制約があるため、カード処理部の構成に対応した専用のカードリーダでないと組み込むことが難しい。
【0006】
そこで、カード搬送部においてキャリッジと対向する位置に非接触通信用アンテナを設置して、キャリッジをカードが通過する間に非接触通信用アンテナでカードに記録された情報を読み取るようにすれば、カード処理部に組み込むためのカードリーダの制約をなくすことができる。従って、カードリーダの選定の自由度が高まる。
【0007】
しかしながら、キャリッジはカードの取り込みやカードの送り出しを行う機構を備えており、金属部品を含んでいる。そのため、キャリッジと対向する位置に非接触通信用アンテナを設置してカードに記録された情報を読み取るように構成した場合には、キャリッジに含まれる金属部品が情報の読み取りに悪影響を与えるおそれがある。
【0008】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、非接触カードリーダの選択の自由度を高めるとともに、非接触通信用アンテナによるカードからの情報の読み取りに対する悪影響を低減させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、カード収容部から1枚ずつ繰り出されるカードをカード処理部へ搬送するカード搬送ユニットであって、前記カード収容部とカード処理
部との間に設けられたキャリッジ搬送路を移動するキャリッジと、前記カードと非接触通信を行う非接触通信用アンテナを備える非接触カードリーダと、前記キャリッジ搬送路に対向する位置に前記非接触通信用アンテナを保持する支持部材と、を有し、前記キャリッジは、前記キャリッジの移動方向と交差するカード搬送方向に前記カードを搬送するカード搬送機構を備え、前記カード搬送機構はモータを備え、前記モータは、前記カード搬送機構によって搬送される前記カードに対して前記非接触通信用アンテナとは反対側に配置されることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、カード収容部とカード処理部との間でカードを搬送するカード搬送ユニットが、カード搬送機構を備えるキャリッジおよび非接触カードリーダを備えており、非接触カードリーダは、キャリッジ搬送路に対向する位置に配置される非接触通信用アンテナを備えている。従って、非接触カードリーダをカード処理部の内部に組み込むという制約がないので、カード処理部の構成に対応した専用の非接触カードリーダを用いる必要がない。よって、非接触カードリーダの選択の自由度が高い。また、非接触通信用アンテナは、カード搬送機構のモータに対してカードと反対側に配置されるので、大型の金属部品であるモータが非接触通信用アンテナの近傍に配置されることによる磁気情報の読み取りへの悪影響を回避できる。
【0011】
本発明において、前記キャリッジは、前記カード搬送機構および前記モータを支持するキャリッジフレームを備え、前記キャリッジフレームは、前記カード搬送機構によって搬送される前記カードに対して前記非接触通信用アンテナ側に位置する部分が樹脂からなることが好ましい。このようにすると、キャリッジフレームが非接触通信用アンテナによる磁気情報の読み取りに悪影響を及ぼすことを避けることができる。
【0012】
本発明において、前記支持部材は、前記カード搬送方向と交差し且つ前記移動方向と交差する対向方向で前記キャリッジ搬送路と対向する対向部と、前記対向部の前記移動方向の両端に設けられた脚部と、を備え、前記非接触カードリーダは、前記対向部に固定される基板を備え、前記非接触通信用アンテナは、基板に配置されることが好ましい。このようにすると、キャリッジの移動経路と干渉せず、且つ、カード収容部およびカード処理部と干渉しない位置に非接触通信用アンテナを配置できる。従って、支持部材および非接触通信用アンテナの配置スペースの制約を少なくすることができる。よって、支持部材の形状の自由度が高く、非接触カードリーダの選択の自由度が高い。また、支持部材の形状変更が容易であるため、非接触カードリーダの変更が容易である。
【0013】
本発明において、前記非接触通信用アンテナは、前記対向部に設けられた開口部を介して前記キャリッジ搬送路と対向することが好ましい。このようにすると、支持部材を金属で構成した場合でも、非接触通信用アンテナとカードとの間に金属が介在しない。よって、支持部材が非接触通信用アンテナによる磁気情報の読み取りに悪影響を及ぼすことを避けることができる。
【0014】
本発明において、前記キャリッジを前記移動方向に案内するガイド軸を備え、前記ガイド軸は、前記カード搬送機構によって搬送される前記カードに対して前記非接触通信用アンテナとは反対側に配置されることが好ましい。このようにすると、ガイド軸を金属製とした場合に、金属製のガイド軸がカードと非接触通信用アンテナとの間に介在しない。よって、ガイド軸が非接触通信用アンテナによる磁気情報の読み取りに悪影響を及ぼすことを避けることができる。
【0015】
本発明において、前記カード搬送機構は、樹脂製の駆動ローラおよび前記駆動ローラの中心に固定される第1回転軸と、前記駆動ローラとの間に前記カードを挟む樹脂製の従動ローラおよび前記従動ローラの中心に固定される第2回転軸と、前記モータの出力軸の回
転を前記第1回転軸に伝達する輪列と、備え、前記輪列を構成する複数のギアは、樹脂からなることが好ましい。このようにすると、カード搬送機構を構成する部品は、回転軸やギアの軸を除いて樹脂製となるので、カードの近傍に配置される金属部品が少ない。よって、金属部品が非接触通信用アンテナの近傍に配置されることによる磁気情報の読み取りへの悪影響が少ない。
【0016】
本発明において、前記第1回転軸および前記第2回転軸は、前記非接触通信用アンテナと対向する領域から外れた位置に配置されることが好ましい。このようにすると、回転軸を金属製とした場合に、回転軸がカードと非接触通信用アンテナとの間に介在しないので、非接触通信用アンテナによる磁気情報の読み取りへの悪影響を抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、カード収容部とカード処理部との間でカードを搬送するカード搬送ユニットが、カード搬送機構を備えるキャリッジおよび非接触カードリーダを備えており、非接触カードリーダは、キャリッジ搬送路に対向する位置に配置される非接触通信用アンテナを備えている。従って、非接触カードリーダをカード処理部の内部に組み込むという制約がないので、カード処理部の構成に対応した専用の非接触カードリーダを用いる必要がない。よって、非接触カードリーダの選択の自由度が高い。また、非接触通信用アンテナは、カード搬送機構のモータに対してカードと反対側に配置されるので、大型の金属部品であるモータが非接触通信用アンテナの近傍に配置されることによる磁気情報の読み取りへの悪影響を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明を適用したカード搬送ユニットを備えるカード発行装置の外観斜視図である。
【
図3】カード搬送部とカード収容部の平面図、および、非接触カードリーダを取り外したカード搬送部とカード収容部の平面図である。
【
図4】キャリッジ、カード、および非接触カードリーダの配置を示す平面図、ならびにキャリッジ、カード、ブラケット、および非接触カードリーダの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の説明において、XYZの3方向は互いに直交する方向である。また、X方向の一方側にX1を付し、X方向の他方側にX2を付し、Y方向の一方側にY1を付し、Y方向の他方側にY2を付し、Z方向の一方側にZ1を付し、Z方向の他方側にZ2を付して説明する。X方向は、カード発行装置1の前後方向である。X1方向はカード発行装置1の奥側であり、X2方向はカード発行装置1の前側である。また、Y方向はカード発行装置1の幅方向であり、Z方向は上下方向である。Z1方向は上側であり、Z2方向は下側である。
【0020】
(全体構成)
図1は、本発明を適用したカード搬送ユニットを備えるカード発行装置1の外観斜視図である。
図2は、
図1のカード発行装置1の断面図であり、
図1のA-A位置で切断した断面図である。カード発行装置1は、所定の情報が記録されたカード2を発行する。
図1に示すように、カード発行装置1は、カード2に対して情報の読み書きを行うカード処理部3と、発行前のカード2が収納されるカード収容部4と、カード収容部4から1枚ずつ送り出されるカード2をカード処理部3へ搬送するカード搬送部5を備える。
【0021】
カード2は、非接触通信用のアンテナが内蔵された非接触式ICカードである。カード2の表面には接触式のICチップが配置される。カード処理部3は、接触式のICチップに対する情報の読み書き、およびカード2の表面に印刷する機能を備えたプリンタ付きカードリーダである。カード搬送部5は、カード2をX方向に搬送する間に非接触通信によりカード2から情報を読み取る非接触カードリーダ8を備える。
【0022】
図1に示すように、カード処理部3、カード収容部4、およびカード搬送部5は、矩形のベース7に固定される。カード収容部4は、ベース7のX1側(奥側)の部分に配置される。カード搬送部5は、カード収容部4のX2側(前側)に配置され、カード処理部3は、カード搬送部5のX2側(前側)に配置される。
【0023】
カード収容部4は、複数のカードスタック部6を備えており、各カードスタック部6に積層して収納されたカード2を1枚ずつ送り出す。本形態では、カード収容部4には、カードスタック部6がX方向に2個並ぶ列がY方向に2列並んでいる。カード搬送部5は、カード収容部4のY1側の端からY2側の端までの範囲に配置され、カード2をY方向およびX方向に搬送する。カード処理部3は、カード搬送部5のY方向の略中央に配置される。カード搬送部5は、2列のカードスタック部6のいずれか一方からX2側(前側)に送り出されるカード2をX方向に搬送して取り込み、続いてY方向に搬送してカード処理部3のX1側(奥側)に移動させ、X方向に搬送してカード処理部3に送り出す。
【0024】
(カード処理部3)
図1、
図2に示すように、カード処理部3は、装置前端面に開口するカード発行口10と、カード搬送部5と対向するカード取込口11と、カード取込口11からカード発行口10へカード2を搬送するカード搬送路12を備える。カード搬送路12には、カード2を挟んで搬送する搬送ローラ対13が配置される。搬送ローラ対13は、駆動源であるモータ(図示せず)の回転に基づき、プーリおよびベルトを備えるベルト機構によって回転駆動される。
【0025】
図2に示すように、カード処理部3は、カード搬送路12のZ1側(上側)に配置される印字ヘッド14と、印字ヘッド14のX2側(前側)に配置される接触式カードリーダ15を備える。接触式カードリーダ15は、カード2のICチップに接触するIC接点を備える。また、カード処理部3は、印字ヘッド14のX1側(奥側)に配置されるカード反転機構16と、カード搬送路12のZ2側(下側)に配置されるカード回収部17を備える。カード処理部3は、カード搬送路12に取り込まれた不要カードを、カード反転機構16によりカード回収部17に送り込んで回収する。
【0026】
(カード収容部)
図3(a)は、カード搬送部5とカード収容部4の平面図であり、各カードスタック部6にカード2が収納されていない状態を示す。
図3(b)は、非接触カードリーダ8を取り外したカード搬送部5とカード収容部4の平面図であり、各カードスタック部6にカード2が収納されている状態を示す。
図1、
図2に示すように、カードスタック部6は、上端が開口する直方体状のカセット19を備える。カセット19は、カセットホルダ20に着脱可能に装着されている。
【0027】
カード収容部4において、X方向(前後方向)に並ぶ2個のカードスタック部6のうち、X2側(前側)に位置するカードスタック部6の底部には、カード2をX2方向へ送り出すカード送出機構21Aが設けられている。また、X1側(奥側)に位置するカードスタック部6の底部には、カード2をX2方向へ送り出すカード送出機構21Bが設けられている。
図3(a)に示すように、カード送出機構21Aおよびカード送出機構21Bは
、カセット19の底面に設けられたX方向に延びるスリット22と、スリット22に配置されるカード送出爪23を備える。カード送出爪23は、カセット19に積層されたカード2のうちで一番下に位置するカード2の縁にX1側から係合する。
【0028】
図2に示すように、X2側(前側)のカードスタック部6の底部に設けられたカード送出機構21Aは、カード送出爪23をX方向に移動させるチェーン駆動機構24と、チェーン駆動機構24を駆動するモータ25を備える。カード送出機構21Aのカード送出爪23は、チェーン駆動機構24のチェーンに固定される。
【0029】
X1側(奥側)のカードスタック部6に設けられたカード送出機構21Bは、カード送出爪23をX方向に移動させるベルト機構26と、ベルト機構26のX2側(前側)に配置される送出ローラ27と、ベルト機構26および送出ローラ27を駆動するモータ28を備える。カード送出機構21Bのカード送出爪23は、ベルト機構26のベルトに固定される。送出ローラ27は、カード送出機構21Aのチェーン駆動機構24とY方向に並んでいる。X1側(奥側)のカードスタック部6からカード2を送り出すときは、X2側(前側)のカード送出機構21Aは、送出ローラ27によって搬送されるカード2の通過位置よりもZ2側(下側)にカード送出爪23を退避させる。
【0030】
カード収容部4において、X2側(前側)のカードスタック部6のZ2側(下側)には、カード回収部29が設けられている。カード搬送部5からX1側に戻されるカード2は、カードスタック部6およびチェーン駆動機構24のZ2側(下側)に配置される案内部材30によってカード回収部29に送り込まれる。また、この案内部材30は、カード送出機構21A、21BによってX2側に送り出されるカード2をカード搬送部5に案内する。
【0031】
(カード搬送部)
本形態では、カード搬送部5は、カード処理部3およびカード収容部4に組み込まれていない別体のカード搬送ユニットを構成している。
図2、
図3(b)に示すように、カード搬送部5(カード搬送ユニット)は、カード処理部3とカード収容部4との間に設置されており、カード2をX方向に搬送するカード搬送機構31と、カード搬送機構31が設けられたキャリッジ34をY方向に搬送するキャリッジ搬送機構32を備える。キャリッジ搬送機構32は、カード処理部3とカード収容部4との間に設けられたキャリッジ搬送路33においてキャリッジ34をY方向に移動させる。
【0032】
図3(b)に示すように、キャリッジ搬送路33には、Y方向に平行に延びる2本のガイド軸35が配置される。キャリッジ34は、ガイド軸35によってY方向に案内される。
図2に示すように、キャリッジ搬送機構32は、キャリッジ搬送路33のZ2側(下側)に配置されるモータ36と、モータ36の回転に基づいて駆動されるベルト機構37を備える。キャリッジ34はベルト機構37のベルトに固定されている。
図1、
図3(b)に示すように、ガイド軸35、モータ36、およびベルト機構37は、金属製のフレーム38に支持される。
【0033】
図1、
図2、
図3(a)に示すように、カード搬送部5は、キャリッジ搬送路33を覆う金属製のブラケット39と、ブラケット39に固定される非接触カードリーダ8を備える。ブラケット39は、キャリッジ搬送路33にZ1側(上側)から対向する対向部40と、Y方向に延びる対向部40のY方向の両端から略直角に屈曲してZ1側(下側)に延びる一対の脚部41を備える。一対の脚部41の下端は、キャリッジ搬送機構32のフレーム38に固定される。非接触カードリーダ8は、対向部40に設けられた開口部42を塞ぐように取り付けられた基板80と、基板80に配置される非接触通信用アンテナ81およびICチップ82を備える。非接触通信用アンテナ81は、基板80の表面に形成さ
れた導電性金属からなるパターンである。また、基板80には、非接触通信用アンテナ81およびICチップ82に接続される図示しない配線パターン等が設けられている。
【0034】
図4(a)は、キャリッジ34、カード2、および非接触カードリーダ8の配置を示す平面図であり、ブラケット39の形状を破線で示している。
図4(b)は、
図4(a)のB-B位置で切断したキャリッジ34、カード2、ブラケット39、および非接触カードリーダ8の断面図である。
図4(a)に示すキャリッジ34の位置は、カード処理部3にカード2を受け渡すときにキャリッジ34が停止する位置(受け渡し位置)である。
図4に示す受け渡し位置にキャリッジ34を停止させてカード搬送機構31を駆動することにより、カード処理部3のカード搬送路12にカード2が送り込まれる。
【0035】
非接触通信用アンテナ81は、ブラケット39の対向部40に設けられた開口部42を介して、キャリッジ搬送路33とZ方向に対向する。
図4(a)に示す受け渡し位置にキャリッジ34が停止すると、
図4(b)に示すように、キャリッジ34に取り込まれたカード2は、非接触通信用アンテナ81とZ方向に対向する。カード搬送部5は、
図4(a)、に示す受け渡し位置にキャリッジ34を停止させてカード搬送機構31によってカード2をX2方向に搬送する間に、非接触カードリーダ8によってカード2に記録された情報を読み取る。
【0036】
(キャリッジ)
図5(a)は、キャリッジ34の平面図であり、
図5(b)は、キャリッジ34の正面図である。
図6(a)は、キャリッジの側面図であり、
図6(b)は、キャリッジ34を
図5(a)のB-B位置で切断した断面図であり、
図6(c)は、キャリッジ34を
図5(a)のC-C位置で切断した断面図である。
図7は、キャリッジ34の分解斜視図である。
図5、
図6、
図7に示すように、キャリッジ34は、樹脂製のキャリッジフレーム50を備えており、カード搬送機構31は、キャリッジフレーム50に固定されるモータ60と、キャリッジフレーム50に回転可能に支持される駆動ローラ61および従動ローラ62と、モータ60の回転に基づき駆動ローラ61を回転させる輪列63を備える。
【0037】
図5(b)に示すように、駆動ローラ61は、カード2にZ1側(上側)から接触し、従動ローラ62は、カード2にZ2側(下側)から接触する。駆動ローラ61の中心には、Y方向に延びる第1回転軸61aが固定され、従動ローラ62の中心には、Y方向に延びる第2回転軸62aが固定される。キャリッジフレーム50は、駆動ローラ61および従動ローラ62のX1側に配置される第1フレーム51と、駆動ローラ61および従動ローラ62のX2側に配置される第2フレーム52を備える。
【0038】
図6(b)、
図7に示すように、第1フレーム51は、駆動ローラ61および従動ローラ62にY2側から対向する側板部53と、側板部53からY2側へ突出して輪列63の周りを囲う突出壁54を備える。キャリッジフレーム50は、突出壁54のY2側の端部に当接して第1フレーム51に固定される樹脂製の第1カバー55を備えており、輪列63は、第1カバー55と第1フレーム51との間に収容される。
【0039】
カード搬送部5は、駆動ローラ61および従動ローラ62の組を2組備える。一方の組は、キャリッジ34のX1側の端部に配置され、カード収容部4から送り出されるカード2の端部を挟み込んでキャリッジ34に取り込む。他方の組は、キャリッジ34のX2方向の端部に配置され、カード処理部3に向けてカード2を送り出す。
【0040】
輪列63は、モータ60の出力軸に設けられたピニオン60aに噛み合う第1ギア64と、第1ギア64のX1側に配置される複数のギアからなる第1輪列65と、第1ギア64のX2側に配置される複数のギアからなる第2輪列66を備える。第1輪列65と第2
輪列66は、第1ギア64の回転中心を基準としてX方向に対称に構成される。第1輪列65は、第1フレーム51のX1側の端部に回転可能に支持される第1回転軸61aにモータ60の回転を伝達する。第2輪列66は、第1フレーム51のX2側の端部に回転可能に支持される第1回転軸61aにモータ60の回転を伝達する。従って、2組の駆動ローラ61および従動ローラ62の組は、同期して回転してカード2を搬送する。
【0041】
図5(b)に示すように、第1フレーム51の側板部53は、Y2方向に凹む第1案内溝53aを備える。第2フレーム52は、第1フレーム51の側板部53とY方向に対向する側板部56を備えており、側板部56は、第1案内溝53aと対向しY1方向に凹む第2案内溝56aを備える。カード2は、第1案内溝53aと第2案内溝56aによってY方向の両端をガイドされ、Y方向の略中央を駆動ローラ61および従動ローラ62によって挟まれて搬送される。
【0042】
図7に示すように、第2フレーム52は、第2案内溝56aのZ2側において側板部56からY2側へ突出するモータ保持部58を備える。従って、モータ60は、カード搬送機構31によって搬送されるカード2のZ2側の位置に保持される。
図4(b)に示すように、カード搬送機構31によって搬送されるカード2のZ1側に非接触通信用アンテナ81が配置されるため、モータ60は、カード2に対して非接触通信用アンテナ81とは反対側に配置される。
【0043】
図5(b)に示すように、第1フレーム51と第2フレーム52の間には、各従動ローラ62を駆動ローラ61側(Z1側)へ押圧する押圧機構67が配置される。押圧機構67は、第2回転軸62aのZ2側(下側)でY方向に延びる押圧ばね支持部材68と、従動ローラ62のY方向の両側で第2回転軸62aと押圧ばね支持部材68の間に圧縮状態で配置される押圧ばね69を備える。押圧ばね支持部材68および押圧ばね69は金属製である。押圧ばね支持部材68のY1側の端部は第2フレーム52に固定され、押圧ばね支持部材68のY2側の端部は第1フレーム51に固定される。
【0044】
図2、
図6(a)に示すように、キャリッジ34は、キャリッジフレーム50のZ1側の端部からX1側へ突出する第1検出板43と、キャリッジフレーム50のZ1側の端部からX2側へ突出する第2検出板44を備える。第1検出板43および第2検出板44は金属製であり、第1フレーム51および第2フレーム52に保持される。
図2に示すように、キャリッジ搬送路33には、第1検出板43を検出するフォトセンサ45と、第2検出板44を検出するフォトセンサ46が配置される。
図4に示すように、フォトセンサ45は、Y方向に並ぶ2列のカードスタック部6の各列に対応する位置に配置される。フォトセンサ46は、カード処理部3に対応する位置に配置される。カード搬送部5は、フォトセンサ45、46によってキャリッジ34のY方向の位置を検出して、キャリッジ34を搬送する。
【0045】
キャリッジ34は、カード検出部70を備えている。カード検出部70は、第2フレーム52にY1側から固定されるセンサ基板71と、センサ基板71に配置されるフォトセンサ72を備える。キャリッジフレーム50は、センサ基板71をY1側から覆う樹脂製の第2カバー59を備える。第2カバー59は、センサ基板71と共に第2フレーム52に固定される。
【0046】
フォトセンサ72は、センサ基板71のX方向の両端に1つずつ配置される。カード検出部70は、X1側のフォトセンサ72の信号に基づき、キャリッジ34にカード2が取り込まれるときにカード2を検出する。また、X2側のフォトセンサ72の信号に基づき、キャリッジ34からカード2を送出するときにカード2を検出する。センサ基板71には、フォトセンサ72からの信号に基づいてカード2の通過を判定するセンサ回路が設け
られている。
【0047】
(金属部品の配置)
上記のように構成されるキャリッジ34において、キャリッジフレーム50を構成する4つの部品(第1フレーム51、第2フレーム52、第1カバー55、第2カバー59)は、全て樹脂製である。従って、キャリッジフレーム50は全体が樹脂からなる。ここで、キャリッジフレーム50には、大部分が金属部品からなるモータ60と、金属部品からなる押圧機構67(押圧ばね支持部材68および押圧ばね69)と、金属部品である第1検出板43および第2検出板44が固定されているが、これらは全て、カード搬送機構31によって搬送されるカード2に対してZ2側(すなわち、カード2に対して非接触通信用アンテナ81とは反対側)に配置される。
【0048】
キャリッジフレーム50には、上記の金属部品以外に、カード搬送機構31を構成する他の部品と、フォトセンサ72を備えたセンサ基板71が固定される。カード搬送機構31を構成する部品のうち、駆動ローラ61および従動ローラ62はいずれも樹脂製であり、第1回転軸61aおよび第2回転軸62aは金属製である。
図5(b)に示すように、第1回転軸61aは、カード2に対してZ1側(すなわち、カード2に対して非接触通信用アンテナ81と同じ側)に配置される。しかしながら、
図4(a)に示すように、第1回転軸61aは、非接触通信用アンテナ81とZ方向に対向する領域から外れた位置に配置される。すなわち、2本の第1回転軸61aの一方は、非接触通信用アンテナ81とZ方向に対向する領域のX1側に配置され、2本の第1回転軸61aの他方は、非接触通信用アンテナ81とZ方向に対向する領域のX2側に配置される。また、第2回転軸62aについても、第1回転軸61aと同様に、非接触通信用アンテナ81とZ方向に対向する領域から外れた位置に配置される。
【0049】
カード搬送機構31の輪列63を構成する第1ギア64は樹脂製であり、第1ギア64の中心に配置される軸部材は金属である。第1輪列65および第2輪列66においても同様に、複数のギアは全て樹脂製であるが、各ギアの中心に配置される軸部材は全て金属製である。そして、キャリッジ34を構成する部材を組み立てるために使用されるねじは、全て金属製である。
【0050】
カード搬送部5は、キャリッジ34を案内するガイド軸35を備えており、ガイド軸35は金属製である。ここで、
図6(c)に示すように、2本のガイド軸35は、キャリッジフレーム50に保持されるモータ60のX方向の両側に配置されており、駆動ローラ61と従動ローラ62の間を通過するカード2よりもZ2側(下側)に配置される。従って、ガイド軸35は、カード搬送機構31によって搬送されるカード2に対してZ2側(すなわち、カード2に対して非接触通信用アンテナ81とは反対側)に配置される。
【0051】
(カード発行装置の動作)
カード発行装置1の動作の例を以下に説明する。なお、以下で説明する動作は、カード発行装置1の動作の一例であり、カード発行装置1の動作は下記に説明するものには限定されない。
【0052】
例えば、4つのカードスタック部6のそれぞれに異なる種類のカード2が収納されているものとする。いずれかの種類のカード2を発行するように、カード発行装置1が搭載される金融端末装置等の上位装置からカード発行指令が出されると、カード搬送部5は、カード発行指令で指定された種類のカード2が収納されたカードスタック部6のX2側の位置へキャリッジ34を移動させる。より具体的には、モータ36を駆動してキャリッジ34をY方向に移動させる。キャリッジ34が停止すべきカードスタック部6の位置に配置されるフォトセンサ45によって、キャリッジ34に設けられた第1検出板43が検出さ
れると、モータ36を停止させて、キャリッジ34を停止させる。
【0053】
キャリッジ34が停止すると、カード発行指令で指定されたカード2の種類に応じて、指定されたカード2が収納されたカードスタック部6に設けられたカード送出機構21Aまたはカード送出機構21Bを駆動し、カセット19の一番下に収納されたカード2をキャリッジ34に向かって送り出す。より具体的には、モータ25またはモータ28を駆動して、指定されたカード2が収納されるカードスタック部6のカード送出爪23をX2方向に移動させ、カード2をX2方向へ送り出す。
【0054】
カード収容部4からカード2が送り出されると、キャリッジ34のカード搬送機構31を駆動して、カード2をキャリッジ34の内部に引き込む。より具体的には、モータ60を駆動して駆動ローラ61を回転させ、駆動ローラ61と従動ローラ62によってカード2を挟んでキャリッジ34の内部に引き込む。
【0055】
カード2がキャリッジ34の内部に引き込まれると、キャリッジ搬送機構32のモータ36を駆動して、カード処理部3のX1側の受け渡し位置(
図4(a)参照)にキャリッジ34を移動させて停止させる。そして、カード搬送機構31のモータ60を駆動して、カード2をカード処理部3のカード取込口11に送り出す。このとき、X2方向へ搬送されるカード2に記録された情報を、非接触カードリーダ8により読み取る。
【0056】
カード処理部3は、カード搬送路12に沿ってカード2を搬送して、必要に応じて印字ヘッド14を駆動してカード2の表面に印刷を行うとともに、接触式カードリーダ15によりカード2に対する情報の読み書きを行う。そして、カード発行口10からカード2を送り出す。
【0057】
カード処理部3は、ユーザによりカード発行口10からカード2が挿入されると、当該カード2をカード搬送路12に取り込んでカード取込口11に向けて搬送する間に、接触式カードリーダ15によってカード2に記録された情報を読み取る。そして、挿入されたカード2が不要なカードであると判断すると、カード反転機構16により当該カード2をカード回収部17に送り込んで回収する。
【0058】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のカード発行装置1は、カード収容部4から1枚ずつ繰り出されるカード2をカード処理部3へ搬送するカード搬送部5を備えており、カード搬送部5は、カード収容部4とカード処理部3のいずれにも組み込まれていない独立したカード搬送ユニットとして構成されている。
【0059】
本形態のカード搬送部5(カード搬送ユニット)は非接触カードリーダ8を備えており、非接触カードリーダ8は、ブラケット39(支持部材)によってキャリッジ搬送路33に対向する位置に保持される非接触通信用アンテナ81を備えている。このような構成では、非接触カードリーダ8をカード処理部3の内部に組み込むという制約がないので、カード処理部3の構成に対応した専用の非接触カードリーダ8を用いる必要がない。従って、非接触カードリーダ8の選択の自由度が高い。また、ブラケット39の設計変更のみで非接触カードリーダ8の変更に対応できるので、非接触カードリーダ8の変更が容易である。さらに、カード収容部4からカード処理部3へカード2を搬送する間に情報を読み取ることができるので、非接触カードリーダ8による読み取りのためだけの専用のカード搬送路およびカード搬送機構を設ける必要がない。
【0060】
また、本形態では、非接触通信用アンテナ81は、キャリッジ34に搭載されるモータ60に対してカード2とは反対側(すなわち、カード2に対してZ2側)に配置されるの
で、大型の金属部品であるモータ60が非接触通信用アンテナ81の近傍に配置されることによる磁気情報の読み取りへの悪影響を回避できる。
【0061】
本形態のキャリッジ34は、カード搬送機構31およびモータ60を支持するキャリッジフレーム50を備える。キャリッジフレーム50は、カード搬送機構31によって搬送されるカード2に対して非接触通信用アンテナ81側(すなわち、カード2に対してZ1側)に位置する部分が樹脂からなる。従って、キャリッジフレーム50が非接触通信用アンテナ81による磁気情報の読み取りに悪影響を及ぼすことを避けることができる。
【0062】
ここで、本形態では、キャリッジフレーム50を構成する4つの部品(第1フレーム51、第2フレーム52、第1カバー55、第2カバー59)は、カード2に対して非接触通信用アンテナ81側の部分が樹脂であるだけでなく、部品全体が樹脂製であるが、本発明は、このような構成に限定されるものではない。すなわち、キャリッジフレーム50は、カード2に対して非接触通信用アンテナ81とは反対側(すなわち、カード2を案内する第1案内溝53aおよび第2案内溝56aに対してZ2側)の部分の一部が金属であってもよい。例えば、第1フレーム51および第2フレーム52のZ2方向の端部が金属であってもよい。
【0063】
また、本形態では、キャリッジフレーム50には、金属部品として、モータ60以外に、従動ローラ62を駆動ローラ61に向けて押圧する押圧機構67、および、キャリッジ34のY方向の位置を検出するための第1検出板43および第2検出板44が固定されているが、これらは、いずれもカード2に対して非接触通信用アンテナ81とは反対側(すなわち、カード2に対してZ2側)に配置される。従って、これらの金属部品が、非接触通信用アンテナ81によるカード2の磁気情報の読み取りに悪影響を及ぼすことを避けることができる。
【0064】
本形態では、非接触通信用アンテナ81を保持するブラケット39(支持部材)は、キャリッジ搬送路33にZ1側(上側)から対向する対向部40と、対向部40のY方向の両端に設けられた脚部41を備えている。非接触カードリーダ8は、ブラケット39の対向部40に固定される基板80を備え、非接触通信用アンテナ81は、基板80に配置される。本形態において、キャリッジ搬送路33のZ1側(上側)は、キャリッジ34の移動方向(Y方向)と交差するZ方向(対向方向)でキャリッジ搬送路33と対向する位置であるため、キャリッジ34の移動経路と干渉しない。また、キャリッジ搬送路33のZ1側(上側)は、カード搬送方向(X方向)と交差するZ方向(対向方向)でキャリッジ搬送路33と対向する位置であるため、カード収容部4およびカード処理部3と干渉しない。従って、このような配置とすることにより、ブラケット39および非接触通信用アンテナ81の配置スペースの制約を少なくすることができる。よって、ブラケット39の形状の自由度が高く、非接触カードリーダ8の選択の自由度が高い。また、ブラケット39の形状変更が容易であるため、非接触カードリーダ8の変更が容易である。
【0065】
本形態では、非接触通信用アンテナ81は、ブラケット39の対向部40に設けられた開口部42を介してキャリッジ搬送路33と対向する。従って、ブラケット39を金属で構成した場合でも、非接触通信用アンテナ81とカード2との間に金属が介在しないので、ブラケット39が非接触通信用アンテナ81による磁気情報の読み取りに悪影響を及ぼすことを避けることができる。
【0066】
本形態では、カード搬送部5は、キャリッジ34をY方向(キャリッジ34の移動方向)に案内するガイド軸35を備えており、ガイド軸35は、カード搬送機構31によって搬送されるカード2に対して非接触通信用アンテナ81とは反対側(すなわち、カード2に対してZ2側)に配置される。従って、金属製のガイド軸35がカード2と非接触通信
用アンテナ81との間に介在しないので、ガイド軸35が非接触通信用アンテナ81による磁気情報の読み取りに悪影響を及ぼすことを避けることができる。
【0067】
本形態では、カード搬送機構31は、樹脂製の駆動ローラ61および駆動ローラ61の中心に固定される第1回転軸61aと、駆動ローラ61との間にカード2を挟む樹脂製の従動ローラ62および従動ローラ62の中心に固定される第2回転軸62aと、モータ60の出力軸の回転を第1回転軸61aに伝達する輪列63と、備える。輪列63を構成する複数のギアは、樹脂からなる。このように、本形態では、カード搬送機構31を構成するローラ対および輪列63が軸部材を除いて樹脂製であるため、カード2の近傍に配置される金属部品が少ない。従って、金属部品が非接触通信用アンテナ81の近傍に配置されることによる磁気情報の読み取りへの悪影響が少ない。
【0068】
また、本形態では、カード2を搬送するローラ対が固定される第1回転軸61aおよび第2回転軸62aは非接触通信用アンテナ81とZ方向に対向する領域から外れた位置に配置される。従って、回転軸が金属製であっても、非接触通信用アンテナ81とカード2との間に回転軸が介在しないので、非接触通信用アンテナ81による磁気情報の読み取りへの悪影響を抑制できる。
【符号の説明】
【0069】
1…カード発行装置、2…カード、3…カード処理部、4…カード収容部、5…カード搬送部、6…カードスタック部、7…ベース、8…非接触カードリーダ、10…カード発行口、11…カード取込口、12…カード搬送路、13…搬送ローラ対、14…印字ヘッド、15…接触式カードリーダ、16…カード反転機構、17…カード回収部、19…カセット、20…カセットホルダ、21A、21B…カード送出機構、22…スリット、23…カード送出爪、24…チェーン駆動機構、25…モータ、26…ベルト機構、27…送出ローラ、28…モータ、29…カード回収部、30…案内部材、31…カード搬送機構、32…キャリッジ搬送機構、33…キャリッジ搬送路、34…キャリッジ、35…ガイド軸、36…モータ、37…ベルト機構、38…フレーム、39…ブラケット、40…対向部、41…脚部、42…開口部、43…第1検出板、44…第2検出板、45、46…フォトセンサ、50…キャリッジフレーム、51…第1フレーム、52…第2フレーム、53…側板部、53a…第1案内溝、54…突出壁、55…第1カバー、56…側板部、56a…第1案内溝、58…モータ保持部、59…第2カバー、60…モータ、60a…ピニオン、61…駆動ローラ、61a…第1回転軸、62…従動ローラ、62a…第2回転軸、63…輪列、64…第1ギア、65…第1輪列、66…第2輪列、67…押圧機構、68…押圧ばね支持部材、69…押圧ばね、70…カード検出部、71…センサ基板、72…フォトセンサ、80…基板、81…非接触通信用アンテナ、82…ICチップ