(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20241202BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20241202BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20241202BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
H01L29/78 652K
H01L29/78 653A
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/78 652T
H01L29/78 652F
H01L29/78 652M
H01L29/44 Y
H01L29/44 S
H01L29/44 L
(21)【出願番号】P 2021088891
(22)【出願日】2021-05-27
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【氏名又は名称】原 拓実
(74)【代理人】
【識別番号】100200148
【氏名又は名称】今野 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100139538
【氏名又は名称】高橋 航介
(74)【代理人】
【識別番号】100200115
【氏名又は名称】杉山 元勇
(74)【代理人】
【識別番号】100200137
【氏名又は名称】浅野 良介
(72)【発明者】
【氏名】雁木 比呂
(72)【発明者】
【氏名】田口 安則
(72)【発明者】
【氏名】井口 智明
(72)【発明者】
【氏名】小林 勇介
(72)【発明者】
【氏名】根本 宏樹
【審査官】西村 治郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-163019(JP,A)
【文献】国際公開第2016/114043(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0082591(US,A1)
【文献】特開2016-072482(JP,A)
【文献】特開2018-182258(JP,A)
【文献】特開2018-046253(JP,A)
【文献】国際公開第2016/132552(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 21/76
H01L 29/06
H01L 29/12
H01L 29/41
H01L 29/739
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
第2電極と、
前記第2電極から前記第1電極に向かう第1方向において、前記第1電極と前記第2電極の間に位置し、前記第2電極に電気的に接続された第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1方向において前記第1電極と前記第1半導体領域の間に位置し、前記第1半導体領域に接する第2導電形の第2半導体領域と、
前記第1方向において前記第1電極と前記第2半導体領域の間に位置し、前記第2半導体領域に接する前記第1導電形の第3半導体領域と、
を含む半導体層と、
前記第1方向において前記第1電極と前記第1半導体領域との間に位置し、前記第1方向に交差する第2方向において前記第2半導体領域と向かい合う第3電極と、
前記第3電極と、前記第1半導体領域、前記第2半導体領域、及び前記第3半導体領域と、の間に位置する第1絶縁領域と、
前記第3電極と、前記第1電極との間に位置する第2絶縁領域と、
前記第2方向における幅が第1幅である第1部分と、
前記第1部分に隣接し、前記第1方向において前記第1部分よりも前記第2電極側に位置し、前記第2方向における幅が前記第1幅よりも小さい第2幅である第2部分と、
前記第2部分に隣接し、前記第1方向において前記第2部分よりも前記第2電極側に位置し、前記第2方向における幅が前記第2幅よりも大きい第3幅である第3部分と、
を含む前記第1方向に連続した3以上の複数の部分を有し、前記第1方向において前記第3電極と前記第1半導体領域との間に位置する第4電極と、
前記第4電極と前記第1半導体領域との間に位置する第3絶縁領域と、
を有し、
前記第4電極の前記複数の部分は、前記第1部分に隣接し、前記第1方向において前記第1部分よりも前記第1電極側に位置し、前記第2方向における幅が前記第1幅よりも大きい第4幅である第4部分
と、
前記第4電極の前記複数部分は、前記第4部分に隣接し、前記第1方向において前記第4部分よりも第1電極側に位置し、前記第2方向における幅が前記第4幅よりも大きい第5幅である第5部分と、
を含む、半導体装置。
【請求項2】
第1電極と、
第2電極と、
前記第2電極から前記第1電極に向かう第1方向において、前記第1電極と前記第2電極の間に位置し、前記第2電極に電気的に接続された第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1方向において前記第1電極と前記第1半導体領域の間に位置し、前記第1半導体領域に接する第2導電形の第2半導体領域と、
前記第1方向において前記第1電極と前記第2半導体領域の間に位置し、前記第2半導体領域に接する前記第1導電形の第3半導体領域と、
を含む半導体層と、
前記第1方向において前記第1電極と前記第1半導体領域との間に位置し、前記第1方向に交差する第2方向において前記第2半導体領域と向かい合う第3電極と、
前記第3電極と、前記第1半導体領域、前記第2半導体領域、及び前記第3半導体領域と、の間に位置する第1絶縁領域と、
前記第3電極と、前記第1電極との間に位置する第2絶縁領域と、
前記第2方向における幅が第1幅である第1部分と、
前記第1部分に隣接し、前記第1方向において前記第1部分よりも前記第2電極側に位置し、前記第2方向における幅が前記第1幅よりも小さい第2幅である第2部分と、
前記第2部分に隣接し、前記第1方向において前記第2部分よりも前記第2電極側に位置し、前記第2方向における幅が前記第2幅よりも大きい第3幅である第3部分と、
を含む前記第1方向に連続した3以上の複数の部分を有し、前記第1方向において前記第3電極と前記第1半導体領域との間に位置する第4電極と、
前記第4電極と前記第1半導体領域との間に位置する第3絶縁領域と、
を有し、
前記第1幅は、前記第3幅よりも大きい半導体装置。
【請求項3】
第1電極と、
第2電極と、
前記第2電極から前記第1電極に向かう第1方向において、前記第1電極と前記第2電極の間に位置し、前記第2電極に電気的に接続された第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1方向において前記第1電極と前記第1半導体領域の間に位置し、前記第1半導体領域に接する第2導電形の第2半導体領域と、
前記第1方向において前記第1電極と前記第2半導体領域の間に位置し、前記第2半導体領域に接する前記第1導電形の第3半導体領域と、
を含む半導体層と、
前記第1方向において前記第1電極と前記第1半導体領域との間に位置し、前記第1方向に交差する第2方向において前記第2半導体領域と向かい合う第3電極と、
前記第3電極と、前記第1半導体領域、前記第2半導体領域、及び前記第3半導体領域と、の間に位置する第1絶縁領域と、
前記第3電極と、前記第1電極との間に位置する第2絶縁領域と、
前記第2方向における幅が第1幅である第1部分と、
前記第1部分に隣接し、前記第1方向において前記第1部分よりも前記第2電極側に位置し、前記第2方向における幅が前記第1幅よりも小さい第2幅である第2部分と、
前記第2部分に隣接し、前記第1方向において前記第2部分よりも前記第2電極側に位置し、前記第2方向における幅が前記第2幅よりも大きい第3幅である第3部分と、
を含む前記第1方向に連続した3以上の複数の部分を有し、前記第1方向において前記第3電極と前記第1半導体領域との間に位置する第4電極と、
前記第4電極と前記第1半導体領域との間に位置する第3絶縁領域と、
を有し、
前記第2部分以外の前記複数の部分は、前記第1方向において前記第2電極側から前記第1電極側に向かうにつれ、前記第2方向における幅が大きくなる、半導体装置。
【請求項4】
第1電極と、
第2電極と、
前記第2電極から前記第1電極に向かう第1方向において、前記第1電極と前記第2電極の間に位置し、前記第2電極に電気的に接続された第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1方向において前記第1電極と前記第1半導体領域の間に位置し、前記第1半導体領域に接する第2導電形の第2半導体領域と、
前記第1方向において前記第1電極と前記第2半導体領域の間に位置し、前記第2半導体領域に接する前記第1導電形の第3半導体領域と、
を含む半導体層と、
前記第1方向において前記第1電極と前記第1半導体領域との間に位置し、前記第1方向に交差する第2方向において前記第2半導体領域と向かい合う第3電極と、
前記第3電極と、前記第1半導体領域、前記第2半導体領域、及び前記第3半導体領域と、の間に位置する第1絶縁領域と、
前記第3電極と、前記第1電極との間に位置する第2絶縁領域と、
前記第2方向における幅が第1幅である第1部分と、
前記第1部分に隣接し、前記第1方向において前記第1部分よりも前記第2電極側に位置し、前記第2方向における幅が前記第1幅よりも小さい第2幅である第2部分と、
前記第2部分に隣接し、前記第1方向において前記第2部分よりも前記第2電極側に位置し、前記第2方向における幅が前記第2幅よりも大きい第3幅である第3部分と、
を含む前記第1方向に連続した3以上の複数の部分を有し、前記第1方向において前記第3電極と前記第1半導体領域との間に位置する第4電極と、
前記第4電極と前記第1半導体領域との間に位置する第3絶縁領域と、
を有し、
前記複数の部分のうち、前記第1方向において最も前記第1電極側に位置する部分は、第1方向において長さL1を有し、第2方向において幅W1を有し、
前記複数の部分のうち、前記最も前記第1電極側に位置する部分に隣接する部分は、第1方向において長さL2を有し、第2方向において幅W2を有し、
(W1/L1)/(W2/L2)>2.5かつW1>W2の関係を満たす、半導体装置。
【請求項5】
前記第4電極の前記複数の部分は、さらに前記第3部分に隣接し、前記第1方向において前記第3部分よりも第2電極側に位置し、前記第2方向における幅が前記第3幅よりも小さい第6幅である第6部分を含む、請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
第1電極と、
第2電極と、
前記第2電極から前記第1電極に向かう第1方向において、前記第1電極と前記第2電極の間に位置し、前記第2電極に電気的に接続された第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1方向において前記第1電極と前記第1半導体領域の間に位置し、前記第1半導体領域に接する第2導電形の第2半導体領域と、
前記第1方向において前記第1電極と前記第2半導体領域の間に位置し、前記第2半導体領域に接する前記第1導電形の第3半導体領域と、
を含む半導体層と、
前記第1方向において前記第1電極と前記第1半導体領域との間に位置し、前記第1方向に交差する第2方向において前記第2半導体領域と向かい合う第3電極と、
前記第3電極と、前記第1半導体領域、前記第2半導体領域、及び前記第3半導体領域と、の間に位置する第1絶縁領域と、
前記第3電極と、前記第1電極との間に位置する第2絶縁領域と、
前記第2方向における幅が第1幅である第1部分と、
前記第1部分に隣接し、前記第1方向において前記第1部分よりも前記第2電極側に位置し、前記第2方向における幅が前記第1幅よりも小さい第2幅である第2部分と、
前記第2部分に隣接し、前記第1方向において前記第2部分よりも前記第2電極側に位置し、前記第2方向における幅が前記第2幅よりも大きい第3幅である第3部分と、
を含む前記第1方向に連続した3以上の複数の部分を有し、前記第1方向において前記第3電極と前記第1半導体領域との間に位置する第4電極と、
前記第4電極と前記第1半導体領域との間に位置する第3絶縁領域と、
を有し、
前記第4電極の前記複数の部分は、さらに前記第3部分に隣接し、前記第1方向において前記第3部分よりも第2電極側に位置し、前記第2方向における幅が前記第3幅よりも小さい第6幅である第6部分を含み、
前記第4電極の前記複数の部分は、さらに前記第6部分に隣接し、前記第1方向において前記第6部分よりも第2電極側に位置し、前記第2方向における幅が前記第6幅よりも小さい第7幅である第7部分を含む、半導体装置。
【請求項7】
前記第4電極は、前記第3電極に電気的に接続された、請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記複数の部分は、前記第1方向において隣り合う部分の両方よりも前記第2方向における幅が小さい部分を2以上含む、請求項1から請求項
7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲート電極の下にフィールドプレート電極を備えたフィールドプレート構造のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体装置がある。フィールドプレート電極を設けることにより、MOSFETのドリフト領域内の電界強度が緩和される。これにより、MOSFETのドレイン・ソース間における破壊耐圧(以下、単に、耐圧)が向上する。また、耐圧の向上に伴い、ドリフト領域の不純物濃度を高く設定することができ、MOSFETのオン抵抗を低下させることができる。つまり、フィールドプレート構造のMOSFETによれば、MOSFETにおける耐圧の向上とオン抵抗の低減とを実現できる。
【0003】
しかし、フィールドプレート電極と半導体層との間に容量が発生するため、MOSFET出力電荷量とスイッチング損失が増加する。MOSFETなどの半導体装置において、耐圧の向上と出力電荷量の低減が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、高い耐圧と低い出力電荷量を両立する半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体装置は、第1電極と、第2電極と、第1半導体領域、第2半導体領域及び第3半導体領域を含む半導体層と、第3電極と、第1絶縁領域と、第2絶縁領域と、第2方向における幅が第1幅である第1部分、第1方向において前記第1部分よりも前記第2電極側に位置し、前記第2方向における幅が前記第1幅よりも小さい第2幅である第2部分、及び前記第2部分に隣接し、前記第1方向において前記第2部分よりも前記第2電極側に位置し、前記第2方向における幅が前記第2幅よりも大きい第3幅である第3部分を含む第1方向に連続した3以上の複数の部分を有する第4電極と、第3絶縁領域と、を有し、前記第4電極の前記複数の部分は、前記第1部分に隣接し、前記第1方向において前記第1部分よりも前記第1電極側に位置し、前記第2方向における幅が前記第1幅よりも大きい第4幅である第4部分と、第4部分に隣接し、第1方向において第4部分よりも第1電極側に位置し、第2方向における幅が第4幅よりも大きい第5幅である第5部分と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る半導体装置の断面図であり、
図2のB-B‘線における断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る半導体装置の平面図であり、
図1のA-A’線における平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る半導体装置の角部、厚み、幅、及び長さを示す断面図である。
【
図4】
図4は、参考例に係る半導体装置の断面図である。
【
図5】
図5(A)は、半導体装置の耐圧V
B(V)のシミュレーション結果をプロットしたグラフである。
図5(B)は、半導体装置の出力電荷量Q
OSS/A(nC/mm
2)のシミュレーション結果をプロットしたグラフである。
【
図6】
図6は、第1変形例に係る半導体装置の断面図である。
【
図7】
図7は、第2変形例に係る半導体装置の断面図である。
【
図8】
図8は、第3変形例に係る半導体装置の断面図である。
【
図9】
図9は、第4変形例に係る半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。また、実施形態では、特に断らない限り、n+形、n形の順でn形(第1導電形)の不純物濃度が低くなることを表す。
【0009】
図1~
図2をもとに実施形態に係る半導体装置1の構成を説明する。
図1は、第1実施形態に係る半導体装置の要部断面図であり、
図2のB-B‘線における断面図である。
図2は、第1実施形態に係る半導体装置の平面図であり、
図1のA-A’線における平面図である。
【0010】
第1実施形態に係る半導体装置1は、例えば、上下電極構造のMOSFETである。半導体装置1は、第1半導体領域20(以下、例えば、ドレイン領域21及びドリフト領域22)と、第2半導体領域30(以下、例えば、ベース領域30)と、第3半導体領域40(以下、例えば、ソース領域40)と、第2電極10(以下、例えば、ドレイン電極10)と、第1電極11(以下、例えば、ソース電極11)と、第1絶縁領域52(以下、例えば、ゲート絶縁膜52)と、第2絶縁領域55(以下、例えば、層間絶縁膜55)と、第3絶縁領域54(以下、例えば、フィールドプレート絶縁膜54)と、第4絶縁領域53(以下、例えば、絶縁領域53)と、第3電極50(以下、例えば、ゲート電極50)と、第4電極51(以下、例えば、フィールドプレート電極51)と、接続領域11cと、を備える。
【0011】
ここで、ドレイン電極10からソース電極11に向かう方向をZ方向、Z方向に交わる方向をY方向、Y方向及びZ方向に交わる方向をX方向とする。方向が交わるとは、方向が平行でないことであり、例えば、方向が直交することである。
【0012】
ドレイン電極10及びソース電極11は、X方向及びY方向に延びる。ドレイン電極10の材料及びソース電極11の材料は、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、金(Au)等の群から選ばれる少なくとも1つを含む金属である。
【0013】
半導体層15は、Z方向において、ドレイン電極10とソース電極11との間に位置する。半導体層15は、X方向及びY方向に延びる。半導体層15は、ドリフト領域22、ドレイン領域21、ベース領域30及びソース領域40を含む。半導体層15の主成分は、例えば、ケイ素(Si)、シリコン炭化物(SiC)、窒化ガリウム(GaN)等である。
【0014】
半導体層15は、第1導電形及び、第2導電形の半導体領域を含む。例えば、第1導電形はn形であり、第2導電形はp形である。実施形態において、第1導電形がp形で第2導電形がn形でも良い。以下では、第1導電形がn形で、第2導電形がp形とする。
【0015】
半導体層15に含まれるn形の導電形の不純物元素としては、例えば、リン(P)、ヒ素(As)等が適用される。半導体層15に含まれるp形の導電形の不純物元素としては、例えば、ホウ素(B)等が適用される。
【0016】
第1導電形(n+形)のドレイン領域21は、ドレイン電極10の上に設けられる。ドレイン領域21は、Z方向において、ドレイン電極10とソース電極11との間に位置する。ドレイン領域21は、X方向及びY方向に延びる。ドレイン領域21は、ドレイン電極10と電気的に接続されれる。
【0017】
第1導電形(n形)のドリフト領域22は、ドレイン領域21の上に設けられる。ドリフト領域22は、Z方向において、ドレイン領域21とソース電極11との間に位置する。ドリフト領域22は、第1ドリフト部分23と第2ドリフト部分24を有する。第1ドリフト部分23は、X方向及びY方向に延びる。複数の第2ドリフト部分24が、X方向に間隔を置いて設けられる。第2ドリフト部分24は、Y方向に延びる。第2ドリフト部分24は、Z方向において、第1ドリフト部分23から、ソース電極11側に向かって延びる。
【0018】
第2導電形(p形)のベース領域30は、第2ドリフト領域24の上に選択的に設けられる。複数のベース領域30が、X方向に間隔を置いて設けられる。ベース領域30は、Y方向に延びる。ベース領域30は、Z方向において、ドリフト領域22とソース電極11との間に位置する。ベース領域30は、後述する接続領域11cを介してソース電極11に接続される。
【0019】
第1導電形(n形)のソース領域40は、ベース領域30の上に選択的に設けられる。複数のソース領域40が、X方向に間隔を置いて設けられる。ベース領域30は、Y方向に延びる。ソース領域40は、Z方向において、ベース領域22とソース電極11との間に位置する。ソース領域40は、後述する接続領域11cを介してソース電極11に接続される。
【0020】
ゲート電極50は、Z方向において第1ドリフト領域23とソース電極11との間に位置する。ゲート電極50は、X方向において、第2ドリフト領域24、ベース領域30及びソース領域40とゲート絶縁膜52を介して向かい合う。ゲート電極50は、X方向において、隣り合った第2ドリフト領域24の間に位置する。ゲート電極50は、Y方向に延びる。ゲート電極50は、Z方向においてソース電極11側からドレイン電極10側に延びるトレンチ内に設けられる。また、複数のゲート電極50が、X方向において周期的に間隔を置いて配列される。ゲート電極50の材料は、例えば、ポリシリコンを含む。
【0021】
フィールドプレート電極51は、Z方向においてゲート電極50よりもドレイン電極10側に設けられる。フィールドプレート電極51は、X方向及びZ方向において、ドリフト領域21とフィールドプレート絶縁膜54を介して向かい合う。フィールドプレート電極51は、X方向において、例えば、周期的に間隔を置いて配列されている。フィールドプレート電極51は、X方向において、隣り合った第2ドリフト部分24の間に位置する。フィールドプレート電極51は、Y方向に延びる。フィールドプレート電極51は、Z方向においてソース電極11側からドレイン電極10側に延びるトレンチ内に設けられる。フィールドプレート電極51とゲート電極50とはZ方向において並ぶ。フィールドプレート電極51の詳細な形状は、後述する。
【0022】
絶縁領域59は、ゲート絶縁膜52、絶縁膜53、フィールドプレート絶縁膜54、及び層間絶縁膜55を含む。絶縁領域59は、同一材料で一体に形成されることもできるし、異なる材料で形成されてもよい。絶縁領域59は、例えば、シリコン酸化物やシリコン窒化物等の絶縁材料を含む。
【0023】
フィールドプレート絶縁膜54は、フィールドプレート電極51と第1ドリフト部分23及び第2ドリフト部分24との間に位置し、フィールドプレート電極51とドリフト層21とを電気的に分離する。フィールドプレート絶縁膜54は、フィールドプレート電極51を覆う。フィールドプレート絶縁膜54は、Z方向に延びる。
【0024】
絶縁膜53は、フィールドプレート電極51とゲート電極50との間に位置する。絶縁膜53は、フィールドプレート電極51とゲート電極50とを電気的に分離する。
【0025】
ゲート絶縁膜52は、X方向において、ゲート電極50と、ドリフト領域22、ベース領域30及びソース領域40との間に位置する。ゲート絶縁膜52は、ゲート電極50と、ドリフト領域22、ベース領域30及びソース領域40とを電気的に分離する。
【0026】
層間絶縁膜55は、Z方向において、ゲート電極50、ゲート絶縁膜52及びソース領域40と、ソース電極11と、の間に位置する。層間絶縁膜55は、ゲート電極50とソース電極11とを電気的に分離する。
【0027】
接続領域11cは、Z方向において、層間絶縁膜55を貫通して設けられる。接続領域11cは、ソース領域40及びドリフト領域30とソース電極11とを電気的に接続する。ソース電極11は、接続領域11cを含むことができる。接続領域11cは、ソース電極11と同一材料を含み、ソース電極11の一部として形成されることができる。接続領域11cは、ソース電極11と異なる材料を含んでもよい。
【0028】
次に、フィールドプレート電極51の詳細な形状について、
図3を用いて説明する。
図3は、実施形態に係る半導体装置の角部、厚み、幅、及び長さの位置を示す断面図である。
図3は、
図1と同等の範囲を示す断面図であるが、視認性向上のために一部のハッチング及び一部の符合を削除している。
【0029】
フィールドプレート電極51は、Z方向に連続する3以上の複数の部分を有する。実施形態の半導体装置1において、フィールドプレート電極51は、部分61~68の8個の部分を有する。部分61~68は、Z方向において隣接する部分と幅が異なる。ここで、幅とは、X方向における長さをいう。
【0030】
フィールドプレート電極51は、絶縁領域54に向かって突出した角部C0~C8を有する。角部の形状が丸くなまっている場合は、Z方向に延びる部分61~68とフィールドプレート絶縁膜52との境界線と、X方向に延びる部分61~68とフィールドプレート絶縁膜52との境界線と、の交点を角部としてよい。
【0031】
部分61~68は、それぞれ、X方向における幅W1~W8を有する。
図3に示すように、部分61~68がZ方向に沿って延びる場合、Z方向において任意の箇所のX方向の長さを幅としてよい。部分61~68がZ方向に対して傾斜して延びる場合、各部分のZ方向中央部分におけるX方向の長さを幅としてよい。あるいは、角部C0~C8を有する部分61~65,67,68は、角部C0~C8におけるX方向の長さを幅としてよい。
【0032】
部分61~68は、それぞれ、Z方向における長さL1~L8を有する。
【0033】
X方向における、部分61~68とドリフト領域22との距離、つまり部分61~68とドリフト領域22とに挟まれたフィールドプレート絶縁膜52の厚みは、それぞれ厚みT1~T8である。
【0034】
部分61は、フィールドプレート電極51に含まれる複数の部分の中で、Z方向において最もソース電極11側に位置する。部分61は、フィールドプレート電極51に含まれる複数の部分の中で、X方向において最も大きい幅、つまり幅W1を有する。部分61は、角部C0、C1を有する。
【0035】
部分62は、部分61に隣接し、Z方向において部分61よりもドレイン電極10側に位置する。部分62は、X方向における幅W2が部分61の幅W1よりも小さい。部分62は、角部C2を有する。
【0036】
部分63は、部分62に隣接し、Z方向において部分62よりもドレイン電極10側に位置する。部分63は、X方向における幅W3が部分62の幅W2よりも小さい。部分63は、角部C3を有する。部分63は、例えば、第5部分に相当する。
【0037】
部分64は、部分63に隣接し、Z方向において部分63よりもドレイン電極10側に位置する。部分64は、X方向における幅W4が部分63の幅W3よりも小さい。部分64は、角部C4を有する。部分64は、例えば、第4部分に相当する。
【0038】
部分65は、部分64に隣接し、Z方向において部分64よりもドレイン電極10側に位置する。部分65は、X方向における幅W5が部分64の幅W4よりも小さい。部分65は、角部C5を有する。部分65は、例えば、第1部分に相当する。
【0039】
部分66は、部分65に隣接し、Z方向において部分65よりもドレイン電極10側に位置する。部分66は、X方向における幅W2が部分61の幅W1よりも小さい。部分66は、角部を含まない。部分66は、例えば、第2部分に相当する。
【0040】
部分67は、部分66に隣接し、Z方向において部分66よりもドレイン電極10側に位置する。部分67は、X方向における幅W7が部分66の幅W6よりも大きい。部分67は、角部C6、C7を有する。部分67は、例えば、第3部分に相当する。
【0041】
部分68は、部分67に隣接し、Z方向において部分67よりもドレイン電極10側に位置する。部分68は、フィールドプレート電極51に含まれる複数の部分の中で、Z方向において最もドレイン電極10側に位置する。部分68は、X方向における幅W8が部分67の幅W1よりも小さい。部分68は、角部C8を有する。部分68は、例えば、第6部分に相当する。
【0042】
フィールドプレート電極51は、部分61~68の幅W1~W8について次の関係を満たす。
W8<W7
W6<W7
W8<W6<W5<W4<W3<W2<W1
【0043】
フィールドプレート絶縁膜52のZ方向に延びるため、幅W1~W8が大きい部分61~68に隣接する部分の厚みT1~T8は小さくなる。各厚みは、次の関係を満たす。
T7<T8
T7<T6
T1<T2<T3<T4<T5<T6<T8
【0044】
フィールドプレート電極51は、(表現1)「Z方向においてドレイン電極11側からソース電極に向かうにつれて、部分66を除く部分61~65、67、68の幅W1~W5、W7、W8が大きくなる」。
【0045】
(表現1)は、(表現2)「フィールドプレート電極51が有する複数の部分68~61の内、Z方向において隣り合う部分の少なくとも一方よりも大きな幅を持つ部分67、65~61は、Z方向においてドレイン電極10側からソース電極11に向かうにつれて大きな幅(W7<W5<W4<W3<W2<W1)を持つ」ことと言い換えることができる。
【0046】
また別の表現に言い換えると、(表現1)は、(表現3)「ドレイン電極11側からソース電極に向かうにつれて(Z方向)、フィールドプレート電極51が有する角部C8~C0における幅が単調に増加する(W8<W7<W5<W4<W3<W2<W1」ことと表現することもできる。幅が単調に増加するとは、幅が減少せずに大きくなることを差し、角部C6、C7における幅が同じW7であることを包含する。
【0047】
フィールドプレート絶縁膜54の厚みの観点で言い換えると、(表現1)は(表現4)「ドレイン電極10側からソース電極11に向かうにつれて(Z方向)、フィールドプレート電極51が有する角部C8~C0に接する位置におけるフィールドプレート絶縁膜54のX方向の厚みは単調に減少する(T8>T7>T5>T4>T3>T2>T1)」と表現することもできる。厚みが単調に減少するとは、厚みが増加せずに小さくなることを差し、角部C6、C7に接する部分の厚みが同じT7であることを包含する。
【0048】
フィールドプレート電極51の一部に注目すると、部分66及びZ方向において部分66よりもソース電極11側にある複数の部分61~65は、Z方向においてドレイン電極10側からソース電極11側に向かうにつれ段階的に幅が大きくなる。Z方向において部分66よりもドレイン電極10側にある複数の部分67、68は、Z方向においてドレイン電極10側からソース電極11側に向かうにつれ段階的に幅が大きくなる。
【0049】
半導体装置1の動作について説明する。半導体装置1は、
図1~
図3に示さない電源装置及び駆動装置から、ドレイン電極10、ソース電極11及びゲート電極50に電位が印加されることで動作する。以降、ソース電極11に印加される電位を基準(0V)とする。ソース電極11には0Vの電位が印加され、ドレイン電極10には例えば50Vがオフ時に印加される。スイッチング時には、電源装置内の寄生インダクタンスにより瞬間的にMOSFETが負担する電圧が増加するため、ドレイン電極10には例えば100Vが印可される。
【0050】
半導体装置1がオンの時、ゲート電極50に閾値電位(Vth)よりも高い電位が印加される。これによりベース領域30にチャネルが形成され、ドレイン電極10からドレイン領域21、ドリフト領域22、ベース領域30、ソース領域40を通ってソース電極11に電流が流れる。
【0051】
半導体装置1がオフの時、ゲート電極50には、閾値電位(Vth)より低い電位が印加される。ベース領域30にはチャネルが形成されず、ソース電極11とドレイン電極10との間に電流が流れない。
【0052】
半導体装置1が高い耐圧と低いオン抵抗を実現できることを説明する。
【0053】
半導体装置1がオフの時、隣り合うフィールドプレート電極51の間に位置する半導体領域、特にドリフト領域22は、ソースゲート間電圧に起因する電界が発生する。電界の集中は、半導体層15が破壊される一因である。ドリフト領域22とベース領域30と間には電位差が生じるため、特にドリフト領域22とベース領域30と界面には強い電界が発生する。ソース電極11側からドレイン電極10に向かって延びるフィールドプレート電極51は、ドリフト領域22にかかる電界を分散させること、及びドリフト領域22に空乏層を形成することによって半導体装置1の耐圧を向上させる。
【0054】
フィールドプレート電極51は、絶縁領域54に向かって突出した角部C0~C8を有するため、角部C1~C9近傍には電界が集中する。言い換えると、フィールドプレート電極51の幅が大きくなる角部C1~C8で、フィールドプレート電極51に沿って延びる(仮想的な)等電位線が部分的に密集する。密集した等電位線は、フィールドプレート電極51から遠ざかるようにフィールドプレート絶縁膜54からドリフト領域22にはじき出されるため、フィールドプレート電極51全体でみると電界が分散する。
【0055】
「Z方向において、ドレイン電極10側からソース電極11に向かうにつれて部分66を除く部分61~65、67、68の幅W1~W5、W7、W8が大きくなること」で、電界が効率よく分散されるため、半導体装置1は高い耐圧を実現することができる。さらに、半導体装置1は、ドリフト領域22に含まれる不純物量を増加させても、耐圧を確保できるため、オン抵抗の低減が可能となる。
【0056】
半導体装置1が低い出力電荷量を実現できることを説明する。
【0057】
「フィールドプレート電極51は、Z方向において隣り合う両方の部分(部分65、67)よりも幅が小さい部分66を有する(W5>W6、W7>W6)。」フィールドプレート電極51は、角部を持たない部分66とX方向におけるnドリフト領域22との距離が大きいため、部分66における容量を小さくすることができる。このため、半導体装置1は出力電荷量が抑えられ、スイッチング損失を低減することができる。
【0058】
参考例の半導体装置4の構成を説明する。
【0059】
図4は参考例に係る半導体装置4の断面図である。参考例の半導体装置4は、部分66の幅W6‘が半導体装置1とは異なる。参考例の半導体装置4は、部分66に隣接するフィールドプレート絶縁膜54の厚みがT6‘である。
【0060】
参考例において、フィールドプレート電極51が有する複数の部分68~61が、ドレイン電極10側からソース電極11に向かうにつれて(Z方向)大きな幅(W8<W7<W6‘<W5<W4<W3<W2<W1)を持つ。参考例において、角部C6は部分66に含まれる。参考例の半導体装置4は前述の(表現1)、(表現2)及び(表現3)を満たす構成である。参考例において、「フィールドプレート電極51は、Z方向において隣り合う両方の部分よりも幅が小さい部分」を有さない。
【0061】
半導体装置1の耐圧及び出力電荷量について、参考例と比較して説明する。
【0062】
次の条件で、半導体装置1、4の耐圧及び出力電荷量をシミュレーションした。
W1=1.400(nm)、W2=1.301(nm)、W3=1.188(nm)、W4=0.909(nm)、W5=0.550(nm)、W6=0.314(nm)、W6‘=0.480(nm)、W7=0.400(nm)、W8=0.358(nm)。
L1=0.438(nm)、L2=0.358(nm)、L3=0.410(nm)、L4=0.398(nm)、L5=0.523(nm)、L6=0.475(nm)、L7=0.516(nm)、L8=0.478(nm)。
T1=0.089(nm)、T2=0.139(nm)、T3=0.195(nm)、T4=0.335(nm)、T5=0.515(nm)、T6=0.632(nm)、T6`=0.549 (nm)、T7=0.589(nm)、T8=0.610(nm)。
【0063】
シミュレーションでは、ソース電極11とゲート電極50に0Vを印加した状態で、ドレイン電極10の電位を0Vから+50Vに増加させ、周波数1MHzで電位を振動させた時のソースドレイン間の静電容量を計算した。出力電荷量は、ソースドレイン間の静電容量に蓄積された単位面積あたりの電荷総量から算出した。
【0064】
図5(A)は、半導体装置1(実施形態)及び半導体装置4(参考例)の耐圧V
B(V)のシミュレーション結果をプロットしたグラフである。
図5(B)は、半導体装置1(実施形態)及び半導体装置4(参考例)の出力電荷量Q
OSS/A(nC/mm
2)のシミュレーション結果をプロットしたグラフである。
【0065】
実施形態の半導体装置1の耐圧Vは、110.0(V)であり、参考例の半導体装置4の耐圧の110.1(V)とほぼ同じ値を示した。半導体装置1は、半導体装置1と同じく(表現1)、(表現2)及び(表現3)を満たす構成の半導体装置4と比較して遜色ない、高い耐圧を示す結果が得られた。実施形態の半導体装置1の出力電荷量は11.36(nC/mm2)であり、参考例の半導体装置4の出力電荷量11.42(nC/mm2)よりも低い結果が得られた。
【0066】
このように、実施形態の半導体装置1は、高い耐圧と低い出力電荷量を両立できる。
【0067】
実施形態の変形について説明する。
【0068】
図6は、第1変形例に係る半導体装置の断面図である。第1変形例に係る半導体装置6は、フィールドプレート電極51とソース電極11とが電気的に分離され、フィールドプレート電極51とソース電極11とが電気的に接続される。
【0069】
図7は、第2変形例に係る半導体装置の断面図である。実施形態としてフィールドプレート電極51が有する部分の数及びその幅の数が8である例を説明したが、3以上のほかの数であってもかまわない。実施形態としてZ方向において隣り合う部分よりも幅が小さい部分が部分66である例を説明したが、Z方向において最も端に位置する部分以外であれば部分66でなくてもかまわない。例えば、
図7に示す第2変形例に係る半導体装置7のように、フィールドプレート電極51が有する部分の数及びその幅の数が7で、部分64の幅W4がW4‘<5かつW4‘<W3であってもよい。なお、半導体装置7のフィールドプレート電極51は、フィールドプレート電極51とnドリフト領域22との距離が部分66よりも近い部分64の幅W4が小さくなり、出力電荷量が小さくなる。変形例2において、部分61が第5部分に相当し、部分62が第4部分に相当し、部分63が第1部分に相当し、部分64が第2部分に相当し、部分65が第3部分に相当し、部分66が第6部分に相当し、部分67が第7部分に相当する。
【0070】
図8は、第3変形例に係る半導体装置の断面図である。Z方向において隣り合う両方の部分よりも幅が小さいフィールドプレート電極51の部分は、部分66の1つに限定されない。例えば、
図8に示す第3変形例の半導体装置8のように、フィールドプレート電極51がZ方向において隣り合う両方の部分よりも幅が小さい部分64、66を有してもよい。変形例の半導体装置8は、第1実施形の半導体装置1と比較して、多くの部分の幅が小さくなるため、低い出力電荷量を実現できる。また、半導体装置1と比較して耐圧を維持する角部の数が変わらず、半導体装置8も高い耐圧を実現できる。
【0071】
図9は、第4変形例に係る半導体装置の断面図である。第4変形例に係る半導体装置9のフィールドプレート電極51は、幅と長さについて次の関係を満たす。
(W1/L1)/(W2/L2)>2.5
【0072】
この関係を満たすことで、部分61がほかの部分62~68よりも極端にせりだした形状となり、電界の分散効果が強くなる。強い電界が発生するドリフト領域22とベース領域30の境界に近接する部分61で電界の分散効果を強めることで、半導体装置9は高い耐圧を得る。
【0073】
上記の実施形態の半導体装置は、第2ドリフト部分24、ベース領域30、ソース領域40、ゲート電極50等がY方向に延びるストライプ形状であるものとして説明したが、ゲート電極50がメッシュ形状やドット形状を有してもよい。
【0074】
上記の実施形態において、ベース領域30におけるp形のキャリア濃度は、1.0×1017/cm3以上1.0×1018/cm3以下であることが好ましい。ソース領域40におけるn形のキャリア濃度は1.0×1018/cm3以上1.0×1020/cm3以下であることが好ましい。ドレイン領域21におけるn形のキャリア濃度は、1.0×1018/cm3以上1.0×1020/cm3以下であることが好ましい。半導体領域における不純物の濃度は、その半導体領域におけるキャリア濃度と、実質的に同じで良い。
【0075】
実施形態において、半導体領域の形状などに関する情報は、例えば、電子顕微鏡観察などにより得られる。半導体領域における不純物濃度に関する情報は、例えば、EDX(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)、または、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)などにより得られる。半導体領域におけるキャリア濃度に関する情報は、例えば、SCM(Scanning Capacitance Microscopy)などにより得られる。
【0076】
上記実施形態とその変形例は、適宜組み合わせて実現できる。以上、説明した実施形態及びその変形例によれば、高い耐圧と低い出力電荷量を両立する半導体装置を提供できる。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、説明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0078】
1 半導体装置
10 ドレイン電極(第2電極)
11 ソース電極(第1電極)
11c 接続領域
21 ドレイン領域(第1半導体領域)
22 ドリフト領域(第1半導体領域)
30 ベース領域(第2半導体領域)
40 ソース領域(第3半導体領域)
50 ゲート電極(第3電極)
51 フィールドプレート電極(第4電極)
52 ゲート絶縁膜(第1絶縁領域)
53 絶縁膜(第4絶縁領域)
54 フィールドプレート絶縁膜(第3絶縁領域)
55 層間絶縁膜(第2絶縁領域)
61 部分
62 部分
63 部分(第5部分)
64 部分(第4部分)
65 部分(第1部分)
66 部分(第2部分)
67 部分(第3部分)
68 部分(第6部分)
C0~C8 角部
L1~L8 長さ
T1~T8 厚さ
W1~W8 幅