(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】作業機の油圧システム
(51)【国際特許分類】
F15B 21/0427 20190101AFI20241202BHJP
F15B 11/08 20060101ALI20241202BHJP
E02F 9/22 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
F15B21/0427
F15B11/08 A
E02F9/22 Z
(21)【出願番号】P 2021094550
(22)【出願日】2021-06-04
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】福田 祐史
(72)【発明者】
【氏名】冨田 淳
(72)【発明者】
【氏名】小西 裕也
(72)【発明者】
【氏名】谷 俊也
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 大輔
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-117254(JP,A)
【文献】特開2018-108806(JP,A)
【文献】特開2016-148446(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0030364(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 21/0427
F15B 21/045
F15B 11/02
F15B 11/08
F15B 13/02
E02F 9/22
F04B 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動油タンクに貯留された作動油を吸い込んで吐出する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプから吐出された作動油を供給対象に送る少なくとも1つの比例弁と、
前記比例弁が組み込まれた弁ボディと、
前記弁ボディに形成されていて、前記油圧ポンプから吐出された作動油を流入させるヒートアップ油路と、
前記ヒートアップ油路を通過した作動油が流れる作動油路と、
前記作動油路を流れる作動油を油圧機器に供給する開位置と前記油圧機器に供給しないと共に前記油圧機器からの作動油を戻す閉位置とに切り替え可能な複数の切替弁と、
前記各切替弁を介して戻る作動油を前記作動油タンクへ流す排油路と、
第1切替弁と第2切替弁とを含む前記複数の切替弁のうちの前記第1切替弁を介して作動油が供給される油圧機器である第1油圧機器と、
前記第1油圧機器と前記第1切替弁とを接続する第1油路と、
前記第2切替弁を介して作動油が供給される油圧機器である第2油圧機器と、
前記第2油圧機器と前記第2切替弁とを接続する第2油路と、
前記切替弁及び前記比例弁を操作する制御装置と、
前記制御装置によって前記切替弁及び前記比例弁の少なくとも1つが操作されることによって前記ヒートアップ油路に流入した作動油を戻す戻し回路と、
を備え、
前記戻し回路は、前記ヒートアップ油路からの作動油を、前記複数の切替弁よりも上流側において前記排油路へ流すことが可能に構成されたものではなく、
前記戻し回路は、
一端が前記第1油路に一端接続点で接続され他端が前記第2油路に他端接続点で接続された接続油路と、
前記接続油路に設けられ前記第2油路から前記第1油路へ向けて作動油が流れるのを阻止する逆止弁と、
前記接続油路における前記逆止弁と前記一端接続点との間に設けられた絞りと、
を含む接続回路を有していて、
前記第2切替弁が前記閉位置にある状態で前記制御装置によって前記第1切替弁が前記開位置に操作されることにより、前記ヒートアップ油路からの作動油を前記作動油路、前記第1切替弁、前記第1油路、前記接続回路、前記第2油路、前記第2切替弁及び前記排油路を介して前記作動油タンクに戻すように構成されている作業機の油圧システム。
【請求項2】
作動油タンクに貯留された作動油を吸い込んで吐出する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプから吐出された作動油を供給対象に送る少なくとも1つの比例弁と、
前記比例弁が組み込まれた弁ボディと、
前記弁ボディに形成されていて、前記油圧ポンプから吐出された作動油を流入させるヒートアップ油路と、
前記ヒートアップ油路を通過した作動油が流れる作動油路と、
前記作動油路を流れる作動油を油圧機器に供給する開位置と前記油圧機器に供給しないと共に前記油圧機器からの作動油を戻す閉位置とに切り替え可能な複数の切替弁と、
前記各切替弁を介して戻る作動油を前記作動油タンクへ流す排油路と、
第1切替弁と第2切替弁とを含む前記複数の切替弁のうちの前記第1切替弁を介して作動油が供給される油圧機器である第1油圧機器と、
前記第1油圧機器と前記第1切替弁とを接続する第1油路と、
前記第2切替弁を介して作動油が供給される油圧機器である第2油圧機器と、
前記第2油圧機器と前記第2切替弁とを接続する第2油路と、
前記切替弁及び前記比例弁を操作する制御装置と、
前記制御装置によって前記切替弁及び前記比例弁の少なくとも1つが操作されることによって前記ヒートアップ油路に流入した作動油を戻す戻し回路と、
を備え、
前記戻し回路は、前記ヒートアップ油路からの作動油を、前記複数の切替弁よりも上流側において前記排油路へ流すことが可能に構成されたものではなく、
前記戻し回路は、
一端が前記第1油路に一端接続点で接続され他端が前記第2油路に他端接続点で接続された接続油路と、
前記接続油路に設けられ前記第2油路から前記第1油路へ向けて作動油が流れるのを阻止する逆止弁と、
を含む接続回路と、
前記第1油路における前記一端接続点と前記第1切替弁との間に設けられた絞りと、
を有していて、
前記第2切替弁が前記閉位置にある状態で前記制御装置によって前記第1切替弁が前記開位置に操作されることにより、前記ヒートアップ油路からの作動油を前記作動油路、前記第1切替弁、前記第1油路、前記接続回路、前記第2油路、前記第2切替弁及び前記排油路を介して前記作動油タンクに戻すように構成されている作業機の油圧システム。
【請求項3】
高低2速に変速可能な走行装置を2速状態に切り替える2速切替弁と、
前記走行装置の制動を解除するブレーキ解除弁と、
作業装置を操作する作業用操作装置を操作不能にする作業ロック弁と、
を備え、
前記第1切替弁は、前記2速切替弁、前記ブレーキ解除弁、前記作業ロック弁のうちのいずれかであり、
前記第2切替弁は、前記2速切替弁、前記ブレーキ解除弁、前記作業ロック弁のうちの前記第1切替弁以外である請求項1または2に記載の作業機の油圧システム。
【請求項4】
作動油タンクに貯留された作動油を吸い込んで吐出する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプから吐出された作動油を供給対象に送る少なくとも1つの比例弁と、
前記比例弁が組み込まれ且つ前記比例弁
を介して戻る作動油が流れる排出油路が形成された弁ボディと、
前記弁ボディに形成されていて、前記油圧ポンプから吐出された作動油を流入させるヒートアップ油路と、
前記ヒートアップ油路を通過した作動油が流れる作動油路と、
前記作動油路を流れる作動油を油圧機器に供給する開位置と前記油圧機器に供給しないと共に前記油圧機器からの作動油を戻す閉位置とに切り替え可能な少なくとも1つの切替弁と、
前記切替弁を介して戻る作動油を前記作動油タンクへ流す排油路と、
前記切替弁及び前記比例弁を操作する制御装置と、
前記制御装置によって前記切替弁及び前記比例弁の少なくとも1つが操作されることによって前記ヒートアップ油路に流入した作動油を戻す戻し回路と、
前記比例弁から前記供給対象に作動油を供給する供給油路と、
を備え、
前記比例弁は、開き操作され且つ開度を調整することにより設定された圧力の作動油を前記供給対象に出力し、閉じた状態では前記供給油路からの作動油を戻し、
前記戻し回路は、前記ヒートアップ油路からの作動油を、前記切替弁よりも上流側において前記排油路へ流すことが可能に構成されたものではなく、
前記戻し回路は、
一端が前記供給油路に一端接続点で接続され他端が前記切替弁から前記油圧機器に作動油を供給する油路に他端接続点で接続された接続油路と、
前記接続油路に設けられ前記供給油路から前記油路へ向って作動油が流れるのを阻止する逆止弁と、
前記接続油路における前記他端接続点と前記逆止弁との間に設けられた絞りと、
を含む接続回路を有していて、
前記比例弁が閉じた状態で前記制御装置によって前記切替弁が前記開位置に操作されることで、前記ヒートアップ油路からの作動油を前記作動油路、前記切替弁、前記油路、前記接続回路、前記供給油路、前記比例弁及び前記排出油路を介して前記作動油タンクに戻すように構成されている作業機の油圧システム。
【請求項5】
作動油タンクに貯留された作動油を吸い込んで吐出する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプから吐出された作動油を供給対象に送る少なくとも1つの比例弁と、
前記比例弁が組み込まれ且つ前記比例弁
を介して戻る作動油が流れる排出油路が形成された弁ボディと、
前記弁ボディに形成されていて、前記油圧ポンプから吐出された作動油を流入させるヒートアップ油路と、
前記ヒートアップ油路を通過した作動油が流れる作動油路と、
前記作動油路を流れる作動油を油圧機器に供給する開位置と前記油圧機器に供給しないと共に前記油圧機器からの作動油を戻す閉位置とに切り替え可能な少なくとも1つの切替弁と、
前記切替弁を介して戻る作動油を前記作動油タンクへ流す排油路と、
前記切替弁及び前記比例弁を操作する制御装置と、
前記制御装置によって前記切替弁及び前記比例弁の少なくとも1つが操作されることによって前記ヒートアップ油路に流入した作動油を戻す戻し回路と、
前記比例弁から前記供給対象に作動油を供給する供給油路と、
を備え、
前記比例弁は、開き操作され且つ開度を調整することにより設定された圧力の作動油を前記供給対象に出力し、閉じた状態では前記供給油路からの作動油を戻し、
前記戻し回路は、前記ヒートアップ油路からの作動油を、前記切替弁よりも上流側において前記排油路へ流すことが可能に構成されたものではなく、
前記戻し回路は、
前記供給油路と、前記切替弁から前記油圧機器に作動油を供給する油路とを接続する接続油路と、
前記接続油路に設けられ前記油路から前記供給油路へ向って作動油が流れるのを阻止する逆止弁と、
前記逆止弁をバイパスするバイパス油路と、
前記バイパス油路に設けられた絞りと、
を含む接続回路を有していて、
前記比例弁が閉じた状態で前記制御装置によって前記切替弁が前記開位置に操作されることで、前記ヒートアップ油路からの作動油を前記作動油路、前記切替弁、前記油路、前記接続回路、前記供給油路、前記比例弁及び前記排出油路を介して前記作動油タンクに戻すように構成されてい
る作業機の油圧システム。
【請求項6】
作動油タンクに貯留された作動油を吸い込んで吐出する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプから吐出された作動油を供給対象に送る少なくとも1つの比例弁と、
前記比例弁が組み込まれた弁ボディと、
前記弁ボディに形成されていて、前記油圧ポンプから吐出された作動油を流入させるヒートアップ油路と、
前記ヒートアップ油路を通過した作動油が流れる作動油路と、
前記作動油路を流れる作動油を油圧機器に供給する開位置と前記油圧機器に供給しないと共に前記油圧機器からの作動油を戻す閉位置とに切り替え可能な少なくとも1つの切替弁と、
前記切替弁を介して戻る作動油を前記作動油タンクへ流す排油路と、
前記切替弁及び前記比例弁を操作する制御装置と、
前記制御装置によって前記切替弁及び前記比例弁の少なくとも1つが操作されることによって前記ヒートアップ油路に流入した作動油を戻す戻し回路と、
前記ヒートアップ油路を流れる作動油を前記比例弁から前記供給対象に供給する供給油路と、
を備え、
前記比例弁は、開き操作され且つ開度を調整することにより設定された圧力の作動油を前記供給対象に出力し、閉じた状態では前記供給油路からの作動油を戻し、
前記戻し回路は、前記ヒートアップ油路からの作動油を、前記切替弁よりも上流側において前記排油路へ流すことが可能に構成されたものではなく、
前記戻し回路は、
前記供給油路と、前記切替弁から前記油圧機器に作動油を供給する油路とを接続する接続油路と、
前記接続油路に設けられ前記油路から前記供給油路へ向って作動油が流れるのを阻止する逆止弁と、
前記逆止弁をバイパスするバイパス油路と、
前記バイパス油路に設けられた絞りと、
を含む接続回路を有していて、
前記切替弁が前記閉位置にある状態で前記制御装置によって前記比例弁が開き操作されることで、前記ヒートアップ油路に流入した作動油を前記比例弁、前記供給油路、前記接続回路、前記油路、前記切替弁及び前記排油路を介して前記作動油タンクに戻すように構成されてい
る作業機の油圧システム。
【請求項7】
作動油を吐出する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプから吐出された作動油を供給対象に送る少なくとも1つの比例弁と、
前記比例弁が組み込まれた弁ボディと、
前記弁ボディに形成されていて、前記油圧ポンプから吐出された作動油を流入させるヒートアップ油路と、
前記ヒートアップ油路を通過した作動油を油圧機器に供給する開位置と前記油圧機器に供給しないと共に前記油圧機器からの作動油を戻す閉位置とに切り替え可能な複数の切替弁と、
前記切替弁及び前記比例弁を操作する制御装置と、
前記制御装置によって前記切替弁及び前記比例弁の少なくとも1つが操作されることによって前記ヒートアップ油路に流入した作動油を戻す戻し回路と、
第3切替弁と第4切替弁とを含む前記複数の切替弁のうちの前記第3切替弁を介して作動油が供給される油圧機器である第3油圧機器と、
前記第3油圧機器と前記第3切替弁とを接続する第3油路と、
前記第4切替弁を介して作動油が供給される油圧機器である第4油圧機器と、
前記第4油圧機器と前記第4切替弁とを接続する第4油路と、
前記ヒートアップ油路を流れる作動油を前記比例弁から前記供給対象に作動油を供給する供給油路と、
を備え、
前記比例弁は、開き操作され且つ開度を調整することにより設定された圧力の作動油を前記供給対象に出力し、閉じた状態では前記供給油路からの作動油を戻し、
前記戻し回路は、
前記第3油路に接続されていて前記ヒートアップ油路からの作動油を前記第3油路から絞りを介して戻すブリード回路と、
前記第4油路と前記供給油路とを接続する接続回路とを有し、
前記制御装置によって、前記第3切替弁が開位置に操作される
ことで前記ヒートアップ油路に流入した作動油を前記ブリード回路を介して戻すと共に、前記第4切替弁が前記閉位置にある状態で前記比例弁が開き操作されることで、前記ヒートアップ油路に流入した作動油
を前記比例弁、前記供給油路、前記接続回路、前記第4油路及び前記第4切替弁を介して戻す作業機の油圧システム。
【請求項8】
前記比例弁の他に、1以上の他の比例弁が設けられ、
前記比例弁と前記1以上の他の比例弁は、前記ヒートアップ油路の上流側から下流側に向けて順に並べて配置され、且つ前記ヒートアップ油路からそれぞれ作動油が供給され、
前記比例弁は、前記比例弁と前記1以上の他の比例弁の中で、前記ヒートアップ油路の最も下流側に配置されている請求項6
または7に記載の作業機の油圧システム。
【請求項9】
走行装置と、
前記走行装置を油圧駆動する油圧駆動装置と、
前記油圧駆動装置をパイロット操作する走行操作装置と、
を備え、
前記比例弁は、前記供給対象である走行操作装置に作動油を供給する走行系圧力制御弁である請求項4~
8のいずれか1項に記載の作業機の油圧システム。
【請求項10】
作動油を吐出する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプから吐出された作動油を供給対象に送る少なくとも1つの比例弁と、
前記比例弁が組み込まれた弁ボディと、
前記弁ボディに形成されていて、前記油圧ポンプから吐出された作動油を流入させるヒートアップ油路と、
前記ヒートアップ油路を通過した作動油を油圧機器に供給する開位置と前記油圧機器に供給しないと共に前記油圧機器からの作動油を戻す閉位置とに切り替え可能な少なくとも1つの切替弁と、
前記切替弁及び前記比例弁を操作する制御装置と、
前記制御装置によって前記切替弁及び前記比例弁の少なくとも1つが操作されることによって前記ヒートアップ油路に流入した作動油を戻す戻し回路と、
を備え、
前記戻し回路は、
前記切替弁から前記油圧機器に作動油を供給する油路に接続されていて前記制御装置によって切替弁が開位置に操作されることで、前記油路から絞りを介して作動油を戻すブリード回路を有している作業機の油圧システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、スキッドステアローダ、コンパクトトラックローダ、バックホー等の作業機の油圧システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示された作業機の油圧システムが知られている。
特許文献1に開示された油圧システムは、作動油タンクに貯留された作動油を吸い込んで吐出する油圧ポンプと、該油圧ポンプから吐出された作動油を供給対象に送る比例弁と、該比例弁が組み込まれた弁ボディとを備えている。
特許文献1では、弁ボディに、油圧ポンプから吐出された作動油を流入させるヒートアップ油路を設け、該ヒートアップ油路から流出する作動油を作動油タンクに流す経路にヒートアップ用リリーフ弁を設け、ヒートアップ用リリーフ弁を介してヒートアップ油路に流入させた作動油を作動油タンクに流すことにより弁ボディ(比例弁)を暖機している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の油圧システムにあっては、油圧ポンプから吐出される作動油の圧力を設定するメインリリーフ弁の設定圧に対するヒートアップ用リリーフ弁の設定圧を、作動油が低温であるとヒートアップ用リリーフ弁が開き且つ作動油が所定温度以上になると閉じる設定圧としている。つまり、比例弁の暖機が必要なときのみヒートアップ油路内の作動油を排出できるように、メインリリーフ弁の設定圧に対してヒートアップ用リリーフ弁の設定圧を設定している。しかしながら、この設定が難しく、暖機の必要のないときにもヒートアップ用リリーフ弁から作動油が排出されてしまう場合がある。
【0005】
本発明は、前記問題点に鑑み、暖機の際におけるヒートアップ油路内の作動油の排出を確実にコントロールすることができる作業機の油圧システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る作業機の油圧システムは、作動油タンクに貯留された作動油を吸い込んで吐出する油圧ポンプと、前記油圧ポンプから吐出された作動油を供給対象に送る少なくとも1つの比例弁と、前記比例弁が組み込まれた弁ボディと、前記弁ボディに形成されていて、前記油圧ポンプから吐出された作動油を流入させるヒートアップ油路と、前記ヒートアップ油路を通過した作動油が流れる作動油路と、前記作動油路を流れる作動油を油圧機器に供給する開位置と前記油圧機器に供給しないと共に前記油圧機器からの作動油を戻す閉位置とに切り替え可能な複数の切替弁と、前記各切替弁を介して戻る作動油を前記作動油タンクへ流す排油路と、第1切替弁と第2切替弁とを含む前記複数の切替弁のうちの前記第1切替弁を介して作動油が供給される油圧機器である第1油圧機器と、前記第1油圧機器と前記第1切替弁とを接続する第1油路と、前記第2切替弁を介して作動油が供給される油圧機器である第2油圧機器と、前記第2油圧機器と前記第2切替弁とを接続する第2油路と、前記切替弁及び前記比例弁を操作する制御装置と、前記制御装置によって前記切替弁及び前記比例弁の少なくとも1つが操作されることによって前記ヒートアップ油路に流入した作動油を戻す戻し回路と、を備え、前記戻し回路は、前記ヒートアップ油路からの作動油を、前記複数の切替弁よりも上流側において前記排油路へ流すことが可能に構成されたものではなく、前記戻し回路は、一端が前記第1油路に一端接続点で接続され他端が前記第2油路に他端接続点で接続された接続油路と、
前記接続油路に設けられ前記第2油路から前記第1油路へ向けて作動油が流れるのを阻止する逆止弁と、前記接続油路における前記逆止弁と前記一端接続点との間に設けられた絞りと、を含む接続回路を有していて、前記第2切替弁が前記閉位置にある状態で前記制御装置によって前記第1切替弁が前記開位置に操作されることにより、前記ヒートアップ油路からの作動油を前記作動油路、前記第1切替弁、前記第1油路、前記接続回路、前記第2油路、前記第2切替弁及び前記排油路を介して前記作動油タンクに戻すように構成されている。
【0007】
また、作業機の油圧システムは、作動油タンクに貯留された作動油を吸い込んで吐出する油圧ポンプと、前記油圧ポンプから吐出された作動油を供給対象に送る少なくとも1つの比例弁と、前記比例弁が組み込まれた弁ボディと、前記弁ボディに形成されていて、前記油圧ポンプから吐出された作動油を流入させるヒートアップ油路と、前記ヒートアップ油路を通過した作動油が流れる作動油路と、前記作動油路を流れる作動油を油圧機器に供給する開位置と前記油圧機器に供給しないと共に前記油圧機器からの作動油を戻す閉位置とに切り替え可能な複数の切替弁と、前記各切替弁を介して戻る作動油を前記作動油タンクへ流す排油路と、第1切替弁と第2切替弁とを含む前記複数の切替弁のうちの前記第1切替弁を介して作動油が供給される油圧機器である第1油圧機器と、前記第1油圧機器と前記第1切替弁とを接続する第1油路と、前記第2切替弁を介して作動油が供給される油圧機器である第2油圧機器と、前記第2油圧機器と前記第2切替弁とを接続する第2油路と、前記切替弁及び前記比例弁を操作する制御装置と、前記制御装置によって前記切替弁及び前記比例弁の少なくとも1つが操作されることによって前記ヒートアップ油路に流入した作動油を戻す戻し回路と、を備え、前記戻し回路は、前記ヒートアップ油路からの作動油を、前記複数の切替弁よりも上流側において前記排油路へ流すことが可能に構成されたものではなく、前記戻し回路は、一端が前記第1油路に一端接続点で接続され他端が前記第2油路に他端接続点で接続された接続油路と、前記接続油路に設けられ前記第2油路から前記第1油路へ向けて作動油が流れるのを阻止する逆止弁と、を含む接続回路と、前記第1油路における前記一端接続点と前記第1切替弁との間に設けられた絞りと、を有していて、前記第2切替弁が前記閉位置にある状態で前記制御装置によって前記第1切替弁が前記開位置に操作されることにより、前記ヒートアップ油路からの作動油を前記作動油路、前記第1切替弁、前記第1油路、前記接続回路、前記第2油路、前記第2切替弁及び前記排油路を介して前記作動油タンクに戻すように構成されている。
【0008】
また、高低2速に変速可能な走行装置を2速状態に切り替える2速切替弁と、前記走行装置の制動を解除するブレーキ解除弁と、作業装置を操作する作業用操作装置を操作不能にする作業ロック弁と、を備え、前記第1切替弁は、前記2速切替弁、前記ブレーキ解除弁、前記作業ロック弁のうちのいずれかであり、前記第2切替弁は、前記2速切替弁、前記ブレーキ解除弁、前記作業ロック弁のうちの前記第1切替弁以外である。
【0009】
また、作業機の油圧システムは、作動油タンクに貯留された作動油を吸い込んで吐出する油圧ポンプと、前記油圧ポンプから吐出された作動油を供給対象に送る少なくとも1つの比例弁と、前記比例弁が組み込まれ且つ前記比例弁を介して戻る作動油が流れる排出油路が形成された弁ボディと、前記弁ボディに形成されていて、前記油圧ポンプから吐出された作動油を流入させるヒートアップ油路と、前記ヒートアップ油路を通過した作動油が流れる作動油路と、前記作動油路を流れる作動油を油圧機器に供給する開位置と前記油圧機器に供給しないと共に前記油圧機器からの作動油を戻す閉位置とに切り替え可能な少なくとも1つの切替弁と、前記切替弁を介して戻る作動油を前記作動油タンクへ流す排油路と、前記切替弁及び前記比例弁を操作する制御装置と、前記制御装置によって前記切替弁及び前記比例弁の少なくとも1つが操作されることによって前記ヒートアップ油路に流入した作動油を戻す戻し回路と、前記比例弁から前記供給対象に作動油を供給する供給油路と、を備え、前記比例弁は、開き操作され且つ開度を調整することにより設定された圧力の作動油を前記供給対象に出力し、閉じた状態では前記供給油路からの作動油を戻し、前記戻し回路は、前記ヒートアップ油路からの作動油を、前記切替弁よりも上流側において前記排油路へ流すことが可能に構成されたものではなく、前記戻し回路は、一端が前記供給油路に一端接続点で接続され他端が前記切替弁から前記油圧機器に作動油を供給する油路に他端接続点で接続された接続油路と、前記接続油路に設けられ前記供給油路から前記油路へ向って作動油が流れるのを阻止する逆止弁と、前記接続油路における前記他端接続点と前記逆止弁との間に設けられた絞りと、を含む接続回路を有していて、前記比例弁が閉じた状態で前記制御装置によって前記切替弁が前記開位置に操作されることで、前記ヒートアップ油路からの作動油を前記作動油路、前記切替弁、前記油路、前記接続回路、前記供給油路、前記比例弁及び前記排出油路を介して前記作動油タンクに戻すように構成されている。
【0010】
また、作業機の油圧システムは、作動油タンクに貯留された作動油を吸い込んで吐出する油圧ポンプと、前記油圧ポンプから吐出された作動油を供給対象に送る少なくとも1つの比例弁と、前記比例弁が組み込まれ且つ前記比例弁を介して戻る作動油が流れる排出油路が形成された弁ボディと、前記弁ボディに形成されていて、前記油圧ポンプから吐出された作動油を流入させるヒートアップ油路と、前記ヒートアップ油路を通過した作動油が流れる作動油路と、前記作動油路を流れる作動油を油圧機器に供給する開位置と前記油圧機器に供給しないと共に前記油圧機器からの作動油を戻す閉位置とに切り替え可能な少なくとも1つの切替弁と、前記切替弁を介して戻る作動油を前記作動油タンクへ流す排油路と、前記切替弁及び前記比例弁を操作する制御装置と、前記制御装置によって前記切替弁及び前記比例弁の少なくとも1つが操作されることによって前記ヒートアップ油路に流入した作動油を戻す戻し回路と、前記比例弁から前記供給対象に作動油を供給する供給油路と、を備え、前記比例弁は、開き操作され且つ開度を調整することにより設定された圧力の作動油を前記供給対象に出力し、閉じた状態では前記供給油路からの作動油を戻し、前記戻し回路は、前記ヒートアップ油路からの作動油を、前記切替弁よりも上流側において前記排油路へ流すことが可能に構成されたものではなく、前記戻し回路は、前記供給油路と、前記切替弁から前記油圧機器に作動油を供給する油路とを接続する接続油路と、前記接続油路に設けられ前記油路から前記供給油路へ向って作動油が流れるのを阻止する逆止弁と、前記逆止弁をバイパスするバイパス油路と、前記バイパス油路に設けられた絞りと、を含む接続回路を有していて、前記比例弁が閉じた状態で前記制御装置によって前記切替弁が前記開位置に操作されることで、前記ヒートアップ油路からの作動油を前記作動油路、前記切替弁、前記油路、前記接続回路、前記供給油路、前記比例弁及び前記排出油路を介して前記作動油タンクに戻すように構成されている。
また、作業機の油圧システムは、作動油タンクに貯留された作動油を吸い込んで吐出する油圧ポンプと、前記油圧ポンプから吐出された作動油を供給対象に送る少なくとも1つの比例弁と、前記比例弁が組み込まれた弁ボディと、前記弁ボディに形成されていて、前記油圧ポンプから吐出された作動油を流入させるヒートアップ油路と、前記ヒートアップ油路を通過した作動油が流れる作動油路と、前記作動油路を流れる作動油を油圧機器に供給する開位置と前記油圧機器に供給しないと共に前記油圧機器からの作動油を戻す閉位置とに切り替え可能な少なくとも1つの切替弁と、前記切替弁を介して戻る作動油を前記作動油タンクへ流す排油路と、前記切替弁及び前記比例弁を操作する制御装置と、前記制御装置によって前記切替弁及び前記比例弁の少なくとも1つが操作されることによって前記ヒートアップ油路に流入した作動油を戻す戻し回路と、前記ヒートアップ油路を流れる作動油を前記比例弁から前記供給対象に供給する供給油路と、を備え、前記比例弁は、開き操作され且つ開度を調整することにより設定された圧力の作動油を前記供給対象に出力し、閉じた状態では前記供給油路からの作動油を戻し、前記戻し回路は、前記ヒートアップ油路からの作動油を、前記切替弁よりも上流側において前記排油路へ流すことが可能に構成されたものではなく、前記戻し回路は、前記供給油路と、前記切替弁から前記油圧機器に作動油を供給する油路とを接続する接続油路と、前記接続油路に設けられ前記油路から前記供給油路へ向って作動油が流れるのを阻止する逆止弁と、前記逆止弁をバイパスするバイパス油路と、前記バイパス油路に設けられた絞りと、を含む接続回路を有していて、前記切替弁が前記閉位置にある状態で前記制御装置によって前記比例弁が開き操作されることで、前記ヒートアップ油路に流入した作動油を前記比例弁、前記供給油路、前記接続回路、前記油路、前記切替弁及び前記排油路を介して前記作動油タンクに戻すように構成されている。
【0011】
また、作業機の油圧システムは、作動油を吐出する油圧ポンプと、前記油圧ポンプから吐出された作動油を供給対象に送る少なくとも1つの比例弁と、前記比例弁が組み込まれた弁ボディと、前記弁ボディに形成されていて、前記油圧ポンプから吐出された作動油を流入させるヒートアップ油路と、前記ヒートアップ油路を通過した作動油を油圧機器に供給する開位置と前記油圧機器に供給しないと共に前記油圧機器からの作動油を戻す閉位置とに切り替え可能な複数の切替弁と、前記切替弁及び前記比例弁を操作する制御装置と、前記制御装置によって前記切替弁及び前記比例弁の少なくとも1つが操作されることによって前記ヒートアップ油路に流入した作動油を戻す戻し回路と、第3切替弁と第4切替弁とを含む前記複数の切替弁のうちの前記第3切替弁を介して作動油が供給される油圧機器である第3油圧機器と、前記第3油圧機器と前記第3切替弁とを接続する第3油路と、前記第4切替弁を介して作動油が供給される油圧機器である第4油圧機器と、前記第4油圧機器と前記第4切替弁とを接続する第4油路と、前記ヒートアップ油路を流れる作動油を前記比例弁から前記供給対象に作動油を供給する供給油路と、を備え、前記比例弁は、開き操作され且つ開度を調整することにより設定された圧力の作動油を前記供給対象に出力し、閉じた状態では前記供給油路からの作動油を戻し、前記戻し回路は、前記第3油路に接続されていて前記ヒートアップ油路からの作動油を前記第3油路から絞りを介して戻すブリード回路と、前記第4油路と前記供給油路とを接続する接続回路とを有し、前記制御装置によって、前記第3切替弁が開位置に操作されることで前記ヒートアップ油路に流入した作動油を前記ブリード回路を介して戻すと共に、前記第4切替弁が前記閉位置にある状態で前記比例弁が開き操作されることで、前記ヒートアップ油路に流入した作動油を前記比例弁、前記供給油路、前記接続回路、前記第4油路及び前記第4切替弁を介して戻す。
【0012】
また、作業機の油圧システムは、前記比例弁の他に、1以上の他の比例弁が設けられ、前記比例弁と前記1以上の他の比例弁は、前記ヒートアップ油路の上流側から下流側に向けて順に並べて配置され、且つ前記ヒートアップ油路からそれぞれ作動油が供給され、前記比例弁は、前記比例弁と前記1以上の他の比例弁の中で、前記ヒートアップ油路の最も下流側に配置されている。
【0013】
また、作業機の油圧システムは、走行装置と、前記走行装置を油圧駆動する油圧駆動装置と、前記油圧駆動装置をパイロット操作する走行操作装置と、を備え、前記比例弁は、前記供給対象である走行操作装置に作動油を供給する走行系圧力制御弁である。
また、作業機の油圧システムは、作動油を吐出する油圧ポンプと、前記油圧ポンプから吐出された作動油を供給対象に送る少なくとも1つの比例弁と、前記比例弁が組み込まれた弁ボディと、前記弁ボディに形成されていて、前記油圧ポンプから吐出された作動油を流入させるヒートアップ油路と、前記ヒートアップ油路を通過した作動油を油圧機器に供給する開位置と前記油圧機器に供給しないと共に前記油圧機器からの作動油を戻す閉位置とに切り替え可能な少なくとも1つの切替弁と、前記切替弁及び前記比例弁を操作する制御装置と、前記制御装置によって前記切替弁及び前記比例弁の少なくとも1つが操作されることによって前記ヒートアップ油路に流入した作動油を戻す戻し回路と、を備え、前記戻し回路は、前記切替弁から前記油圧機器に作動油を供給する油路に接続されていて前記制御装置によって切替弁が開位置に操作されることで、前記油路から絞りを介して作動油を戻すブリード回路を有している。
【発明の効果】
【0014】
上記の構成によれば、制御装置によって切替弁及び比例弁の少なくとも1つが操作されることによってヒートアップ油路に流入した作動油を戻すようにしているので、比例弁を暖機する際において、ヒートアップ油路内の作動油の排出を確実にコントロールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図5】第1の実施形態に係る簡略した油圧回路である。
【
図6】第2の実施形態に係る簡略した油圧回路である。
【
図7】第3の実施形態に係る簡略した油圧回路である。
【
図8】第4の実施形態に係る簡略した油圧回路である。
【
図9】第5の実施形態に係る簡略した油圧回路である。
【
図10】第6の実施形態に係る簡略した油圧回路である。
【
図11】第7の実施形態に係る簡略した油圧回路である。
【
図12A】油圧システムの変形例に係る油圧回路である。
【
図12B】油圧システムの変形例に係る油圧回路である。
【
図12C】油圧システムの変形例に係る油圧回路である。
【
図12D】油圧システムの変形例に係る油圧回路である。
【
図12E】油圧システムの変形例に係る油圧回路である。
【
図12F】油圧システムの変形例に係る油圧回路である。
【
図12G】油圧システムの変形例に係る油圧回路である。
【
図14】キャビンを上昇させた状態の作業機の一部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図13、
図14は、本実施形態に係る油圧システムを搭載する作業機1を示している。本実施形態では、作業機1の一例として、コンパクトトラックローダを示している。但し、作業機1はコンパクトトラックローダに限定されず、例えば、スキッドステアローダ等の他の種類のローダ作業機であってもよい。また、ローダ作業機以外の作業機1であってもよい。
【0017】
図13に示すように、作業機1は、機体2と、機体2に装着した作業装置3と、機体2を走行可能に支持する走行装置4とを備えている。また、機体2の上部の前部寄りに、運転席13を包囲するキャビン5(運転者保護装置)が搭載されている。
本実施形態においては、作業機1の運転席13に着座したオペレータの前側に向かう方向(
図13の矢印K1方向)を前方(機体前方)、オペレータの後側に向かう方向(
図13の矢印K2方向)を後方(機体後方)として説明する。したがって、
図13の矢印K3方向が前後方向(機体前後方向)である。また、オペレータの左側に向かう方向(
図13の手前側)を左方、オペレータの右側に向かう方向(
図13の奥側)を右方として説明する。
【0018】
また、前後方向(機体前後方向)K3に直交する方向である水平方向を機体幅方向として説明する。また、機体2の幅方向の中央部から右部、或いは、左部へ向かう方向を機体外方として説明する。つまり、機体外方は、機体2の幅方向の中心から機体幅方向に離れる方向である。機体外方とは反対の方向を、機体内方として説明する。つまり、機体内方は、機体幅方向において機体2の幅方向の中心に近づく方向である。
【0019】
図14に示すように、機体2は、底壁6と、左及び右の側壁7と、前壁8と、各側壁7の後部に設けられた支持枠体9とを備えている。左と右の側壁7の間は上方に開放状とされている。
図13に示すように、機体2の後端部には、左及び右の支持枠体9の間の後端開口を塞ぐ蓋部材10が開閉自在に設けられている。
図14に示すように、キャビン5は、背面の上下方向の中途部が機体2に設けた支持ブラケット11に機体幅方向に延伸する軸心を有する支持軸12を介して枢支されていて、支持軸12回りに上方に揺動可能とされている。また、キャビン5は、下げた位置では、前部の下端が機体2の前壁8の上端に載置される。キャビン5は上面が屋根で塞がれ、左及び右の側面が多数の角孔を形成した側壁で塞がれ、背面の上部がリヤガラスで塞がれ、底面の前後方向K3中央部が底壁により塞がれていて、前方が開口した箱形に形成されている。キャビン5の前面側は乗降口とされている。
【0020】
図14に示すように、キャビン5内における運転席13の機体幅方向の一側(例えば、左側)には、走行装置4を操作するための走行操作装置14が配置されている。また、運転席13の機体幅方向の他側(例えば、右側)には、作業装置3を操作するための作業用操作装置15が配置されている。
走行装置4は、機体2の左及び右に設けられている。走行装置4は、高低2速(1速状態と、1速状態よりも速い2速状態と)に変速可能である。
図13に示すように、各走行装置4は、前及び後の従動輪16と、前の従動輪16と後の従動輪16との間の上方で且つ後部寄りに配置した駆動輪17と、前の従動輪16と後の従動輪16との間に配置した複数の転輪18と、従動輪16,駆動輪17及び転輪18にわたって巻き掛けられた無端帯状のクローラベルト19とを備えたクローラ式走行装置によって構成されている。なお、走行装置4は、車輪型の走行装置であってもよい。
【0021】
各従動輪16及び転輪18は、機体2に取り付けられたトラックフレーム20に横軸(機体幅方向に延伸する軸心)回りに回転自在に支持されている。駆動輪17はトラックフレーム20に取り付けられた油圧駆動式の走行モータ21L,21R(ホイルモータ)の回転ドラムに取り付けられている。走行モータ21L,21Rによって駆動輪17を横軸回りに駆動することによりクローラベルト19が周方向に循環回走され、これにより、作業機1が前後進する。
【0022】
図13に示すように、作業装置3は、一対のアーム22と、一対のアーム22の先端側に装着したバケット23(作業具)とを備えている。
アーム22はキャビン5の左及び右にそれぞれ配置され、左及び右のアーム22は、前部が連結体によって相互に連結されている。各アーム22は、先端側(前部)が機体2の前方側で昇降するように、基部側(後部側)が機体2の後上部に第1リフトリンク24と第2リフトリンク25とを介して上下方向に揺動自在に支持されている。
【0023】
また、各アーム22の基部側と機体2の後下部との間には、複動式油圧シリンダからなるリフトシリンダ26が設けられている。リフトシリンダ26を伸縮させることによりアーム22が上下方向に揺動する。各アーム22の先端側には、それぞれ装着ブラケット27が横軸回りに回動自在に連結され、左及び右の装着ブラケット27にバケット23の背面側が取り付けられている。
【0024】
装着ブラケット27とアーム22の先端側との間には、複動式油圧シリンダからなるバケットシリンダ28が設けられている。バケットシリンダ28の伸縮によってバケット23が揺動動作(スクイ動作及びダンプ動作)するように構成されている。
バケット23は装着ブラケット27に対して着脱自在とされており、バケット23を取り外して装着ブラケット27に各種の油圧アタッチメント(油圧駆動式の作業具)を取り付けることで、掘削以外の各種の作業(又は他の掘削作業)を行えるように構成されている。
【0025】
図14に示すように、機体2の底壁6上の後部にはエンジン(原動機)29が設けられている。また、底壁6上の前部には燃料タンク30と作動油タンク31とが設けられている。
エンジン29の前方には左及び右の走行モータ21L,21R(走行装置4)を油圧駆動する油圧駆動装置32が設けられている。油圧駆動装置32の前方に第1ポンプP1、第2ポンプP2及び第3ポンプP3が設けられている。第1ポンプP1、第2ポンプP2及び第3ポンプP3は、エンジン29の動力によって駆動される油圧ポンプである。詳しくは、第1ポンプP1、第2ポンプP2及び第3ポンプP3は、エンジン29の動力によって駆動されて、作動油タンク31に貯留された作動油を吸い込んで吐出する。また、機体2の右側壁7の前後方向K3の中途部に、作業装置3用のコントロールバルブ33(油圧制御装置)と、比例弁ユニットPCUとが設けられている。
【0026】
また、機体2の前部には、足踏み操作によってエンジン29の回転数を上げ操作及び下げ操作するアクセルペダル53(アクセル操作部材)と、手動操作によってエンジン29の回転数を上げ操作及び下げ操作するアクセルレバー54(アクセル操作部材)とが設けられている。
アクセルレバー54はケーブル等を介してアクセルペダル53に連動連結されていて、アクセルレバー54を操作すると該操作に連動してアクセルペダル53が揺動動作する。また、アクセルレバー54は摩擦力によって操作された位置に保持可能である。また、アクセルペダル53はアクセルレバー54によって操作された位置から踏込み操作可能であり、該踏込み操作を解除すると戻しバネによって踏み込み前の元の位置に戻される。
【0027】
アクセルペダル53の下方側には、該アクセルペダル53の踏込み量(アクセル操作量)を検出するアクセルセンサASが設けられている。
図1~
図5は、本実施形態に係る油圧システムを示している。
図1に示すように、第1ポンプ~第3ポンプP1,P2,P3は、エンジン29の動力によって駆動される定容量型のギヤポンプによって構成されている。第1ポンプ~第3ポンプP1,P2,P3は、作動油タンク31に貯留された作動油を吸い込んで圧油として吐出する。
【0028】
第1ポンプP1(メインポンプ)は、リフトシリンダ26、バケットシリンダ28又はアーム22の先端側に取り付けられるアタッチメントの油圧アクチュエータを駆動するために使用される。
第2ポンプP2(パイロットポンプ、チャージポンプ)は、主として制御信号圧力(パイロット圧)の供給用に使用される。
【0029】
第3ポンプP3(サブポンプ)は、アーム22の先端側に取り付けられるアタッチメントの油圧アクチュエータが大容量を必要とする油圧アクチュエータである場合に該油圧アクチュエータに供給する作動油の流量を増量するのに使用される。
図1、
図4に示すように、作業装置3用のコントロールバルブ33は、リフトシリンダ26を制御するアーム用制御弁92と、バケットシリンダ28を制御するバケット用制御弁93と、アーム22の先端側等に取り付けられるアタッチメントの油圧アクチュエータを制御するSP用制御弁94とを有する。アーム用制御弁92、バケット用制御弁93及びSP用制御弁94は、例えば、パイロット方式の直動スプール形三位置切換弁(パイロット圧で切換え操作されるパイロット操作切換弁)によって構成されている。
【0030】
図1、
図3に示すように、比例弁ユニットPCUは、弁ボディ35と、この弁ボディ35内に組み込まれた少なくとも1つの比例弁34,79,80とを有している。本実施形態では、弁ボディ35内に組み込まれた比例弁34,79,80は複数設けられている。詳しくは、比例弁34,79,80は、3つ設けられている。
図3に示すように、各比例弁34,79,80は電磁比例弁によって構成されている。3つの比例弁のうち1つは、走行操作装置(供給対象)14に供給される作動油(パイロット油)の圧力(走行操作装置14の一次側圧力)を制御する走行系圧力制御弁34であり、他の2つはSP用制御弁94(供給対象)の受圧部94a,94bに供給される作動油の圧力(パイロット圧)を制御する(SP用制御弁94をパイロット操作する)SP用操作弁79,80である。
【0031】
走行系圧力制御弁34、SP用操作弁79及びSP用操作弁80は、比例ソレノイド34a,79a,80a、一次側ポート34b,79b,80b、二次側ポート34d,79d,80d及びタンクポート34c,79c,80cを有している。比例ソレノイド34a,79a,80aは、印可される電流の大きさによってスプールの位置を任意に制御して弁の開度を調整することで出力する作動油の圧力を制御するものである。一次側ポート34b,79b,80bは、第2ポンプP2から吐出された作動油が導入されるポートである。二次側ポート34d,79d,80dは、調整された圧力の作動油を出力するポートである。タンクポート34c,79c,80cは、作動油タンク31に連通するポートである。比例弁34,79,80は、閉じた状態では、一次側ポート34b,79b,80bと二次側ポート34d,79d,80dとの連通が遮断されると共に二次側ポート34d,79d,80dがタンクポート34c,79c,80cに連通して、第10作動油路c10(供給対象)からの作動油を作動油タンク31に戻す。また、比例弁34,79,80は、開き操作されることで一次側ポート34b,79b,80bと二次側ポート34d,79d,80dとが連通すると共に二次側ポート34d,79d,80dとタンクポート34c,79c,80cとの連通が遮断され、且つ開度を調整することにより設定された圧力の作動油を二次側ポート34d,79d,80dから出力する。
【0032】
図3に示すように、油圧システムは、走行系圧力制御弁34、SP用操作弁79,80を制御する制御装置CUを備えている。走行系圧力制御弁34、SP用操作弁79,80の比例ソレノイド34a,79a,80aは制御装置CUに伝送路を介して接続されていて、制御装置CUから各比例ソレノイド34a,79a,80aへ出力される出力電流(指令信号)によって、走行系圧力制御弁34、SP用操作弁79,80の二次側圧力が制御される。
【0033】
弁ボディ35は、例えば四角ブロック状に形成されている。この弁ボディ35には、ヒートアップ油路wが貫通して形成されている。ヒートアップ油路wは、例えば、弁ボディ35の対向面間に直線状に形成される。
なお、このヒートアップ油路wは直線状である必要はなく、L字状、U字状、クランク状、螺旋状、等どのような形で弁ボディ35に貫通形成されていてもよい。
【0034】
ヒートアップ油路wの一端側ポート45aは第2ポンプP2から吐出された作動油を流入させるインポート(ヒートアップ油路wの始端)とされ、他端側ポート45bはヒートアップ油路wに流入した作動油を流出させるアウトポート(ヒートアップ油路wの終端)とされている。比例ソレノイド34a,79a,80aは、ヒートアップ油路wの上流側(インポート45a側)から下流側(アウトポート45b側)に向けて並べて配置されている。本実施形態では、SP用操作弁80、SP用操作弁79、走行系圧力制御弁34の順で並べて配置されている。
【0035】
弁ボディ35には、ヒートアップ油路wから分岐された3つの分岐油路x1,x2,x3が形成されている。この3つの分岐油路x1,x2,x3の内の一つの分岐油路x1は走行系圧力制御弁34の一次側ポート34bに接続され、残りの2つの分岐油路x2,x3の内、一つの分岐油路x2は一方のSP用操作弁79の一次側ポート79bに接続され、他の分岐油路x3は他方のSP用操作弁80の一次側ポート80bに接続されている。
【0036】
また、弁ボディ35にはドレン油路y1を介して作動油タンク31に接続されたタンクポート55と、このタンクポート55と走行系圧力制御弁34のタンクポート34cとを接続する排油路(排出油路)e1と、この排油路e1とSP用操作弁79のタンクポート79cとを接続する排油接続路e2と、排油路e1とSP用操作弁80のタンクポート80cとを接続する排油接続路e3とが形成されている。
【0037】
図1に示すように、第1ポンプP1の吐出ポートには該第1ポンプP1から吐出される吐出油(作動油)を流通させる吐出油路qが接続され、第2ポンプP2の吐出ポートには該第2ポンプP2から吐出される吐出油(作動油)を流通させる吐出油路aが接続され、第3ポンプP3の吐出ポートには該第3ポンプP3から吐出される吐出油(作動油)を流通させる吐出油路kが接続されている。
【0038】
また、
図1、
図2に示すように、第2ポンプP2に接続された吐出油路aは、チャージ圧供給路bと、パイロット圧供給路cとに分岐されている。吐出油路aには、オイルフィルタ56が介装されていると共に、該オイルフィルタ56の上流側にポンプ保護リリーフ弁69を有する保護リリーフ回路70が接続されている。ポンプ保護リリーフ弁69は、オイルフィルタ56が詰まった場合や作動油タンク31内の油が低温である場合において、エンジン29の始動時に吐出油路aが高圧となる場合に、該圧を逃がして第2ポンプP2やオイルフィルタ56を保護するためのものである。
【0039】
図3に示すように、パイロット圧供給路cは、始端が吐出油路aに接続され終端が前記ヒートアップ油路wのインポート45aに接続された第1作動油路c1と、始端がヒートアップ油路wのアウトポート45bに接続された第2作動油路c2とを有する。ヒートアップ油路wはパイロット圧供給路cの一部を構成している。第2作動油路c2の終端は、電磁方式の2位置切替弁からなる少なくとも1つの切替弁(本実施形態では、2速切替弁64、ブレーキ解除弁65、作業ロック弁91)が組み込まれた弁ブロック62のインポート62aに接続されている。2速切替弁64は、走行装置4を2速状態に切り替える弁である。ブレーキ解除弁65は、走行装置4の制動を解除する弁である。作業ロック弁91は、作業装置3を操作する作業用操作装置15を操作不能にする弁である。
【0040】
2速切替弁64、ブレーキ解除弁65及び作業ロック弁91は、電磁式の2位置切替弁によって構成されている。2速切替弁64、ブレーキ解除弁65及び作業ロック弁91の各ソレノイドは、制御装置CUに伝送路を介して接続されている。つまり、2速切替弁64、ブレーキ解除弁65及び作業ロック弁91は、制御装置CUによって操作される。詳しくは、2速切替弁64、ブレーキ解除弁65及び作業ロック弁91は、制御装置CUからの指令信号によって、開位置64A,65A,91Aと、閉位置64B,65B,91Bとに切り替え可能である。また、2速切替弁64、ブレーキ解除弁65及び作業ロック弁91は、第1ポート64a,65a,91aと、第2ポート64b,65b,91bと、排油ポート64c,65c,91cとを有している。2速切替弁64、ブレーキ解除弁65及び作業ロック弁91を開位置64A,65A,91Aに切り替えると、第1ポート64a,65a,91aと第2ポート64b,65b,91bとが連通し、第2ポート64b,65b,91bと排油ポート64c,65c,91cとの連通が遮断される。また、2速切替弁64、ブレーキ解除弁65及び作業ロック弁91を閉位置64B,65B,91Bに切り替えると、第1ポート64a,65a,91aと第2ポート64b,65b,91bとの連通が遮断され、第2ポート64b,65b,91bと排油ポート64c,65c,91cとが連通する。2速切替弁64は、開位置64Aでは、ヒートアップ油路wを通過した作動油を後述のシリンダ切替弁(油圧機器)63に供給し、閉位置64Bでは、シリンダ切替弁63に供給しないと共にシリンダ切替弁63からの作動油を作動油タンク31に戻す。ブレーキ解除弁65は、開位置65Aでは、ヒートアップ油路wを通過した作動油を後述のブレーキシリンダ(油圧機器)59に供給し、閉位置65Bでは、ブレーキシリンダ59に供給しないと共にブレーキシリンダ59からの作動油を作動油タンク31に戻す。作業ロック弁91は、開位置91Aでは、ヒートアップ油路wを通過した作動油を作業用操作装置(油圧機器)15に供給し、閉位置91Bでは、作業用操作装置15に供給しないと共に作業用操作装置15からの作動油を作動油タンク31に戻す。
【0041】
図3に示すように、弁ブロック62には、第2作動油路c2が接続されるインポート62aと、ドレン油路y2を介して作動油タンク31に連通するアウトポート62bとが設けられている。また、弁ブロック62には、第3作動油路
(作動油路)c3と、第4作動油路c4と、第5作動油路c5と、排油路dとが形成されている。
第3作動油路c3は、始端がインポート62a(第2作動油路c2)に接続され終端が2速切替弁64の第1ポート64aに接続されている。第4作動油路c4は、第3作動油路c3から分岐されてブレーキ解除弁65の第1ポート65aに接続されている。第5作動油路c5は、第3作動油路c3から分岐されて作業ロック弁91の第1ポート91aに接続されている。排油路dは、アウトポート62bに接続されていて、ドレン油路y2を介して作動油タンク31に連通する。また、排油路dは、2速切替弁64,ブレーキ解除弁65及び作業ロック弁91の排油ポート64c,65c,91cに接続されている。第5作動油路c5の分岐点81は第4作動油路c4の分岐点82よりも上流側に位置している。
【0042】
ここで、
図1及び
図4を参照して、油圧システムの作業系について説明する。
作業用操作装置15は、アーム用制御弁92とバケット用制御弁93とをパイロット操作するリモコン弁によって構成され、アーム上げ用パイロット弁86と、アーム下げ用パイロット弁87と、バケットダンプ用パイロット弁88と、バケットスクイ用パイロット弁89と、これらパイロット弁86,87,88,89について共通の(1本の)操作レバー90とを有する。
【0043】
この作業用操作装置15の一次側ポートは、第6作動油路c6を介して作業ロック弁91の第2ポート91bに接続されている。作業ロック弁91を励磁することにより作業ロック弁91が開位置91Aに切り替えられ、第2ポンプP2の吐出油が第6作動油路c6を介して各パイロット弁86,87,88,89の一次側ポートに供給可能とされる。また、作業ロック弁91が消磁されることにより作業ロック弁91が閉位置91Bに切り替えられ、第2ポンプP2からの圧油が各パイロット弁86,87,88,89に供給不能とされて作業用操作装置15が操作不能となる。
【0044】
アーム用制御弁92、バケット用制御弁93及びSP用制御弁94は、シリーズ回路を構成するように、第1ポンプP1の吐出油路qに接続され、第1ポンプP1の吐出油が、リフトシリンダ26、バケットシリンダ28、又はアタッチメントの油圧アクチュエータにそれぞれ供給可能とされている。
作業用操作装置15の操作レバー90は、中立位置から、前後及び左右と前後左右の間の斜め方向に傾動操作可能とされ、該操作レバー90を傾動操作することにより、作業用操作装置15の各パイロット弁86,87,88,89が操作されると共に、操作レバー90の中立位置からの操作量に比例したパイロット圧が該操作されたパイロット弁86,87,88,89の二次側ポートから出力される。
【0045】
本実施形態では、操作レバー90を後側(
図4の矢印B1方向)に傾動させると、アーム上げ用パイロット弁86が操作されてリフトシリンダ26を伸長させる方向にアーム用制御弁92が操作され、操作レバー90の傾動量に比例した速度でアーム22が上がる。
操作レバー90を前側(
図4の矢印B2方向)に傾動させると、アーム下げ用パイロット弁87が操作されてリフトシリンダ26を縮小させる方向にアーム用制御弁92操作され、操作レバー90の傾動量に比例した速度でアーム22が下がる。
【0046】
操作レバー90を右側(
図4の矢印B3方向)に傾動させると、バケットダンプ用パイロット弁88が操作されてバケットシリンダ28を伸長させる方向にバケット用制御弁93が操作され、操作レバー90の傾動量に比例した速度でバケット23がダンプ動作する。
操作レバー90を左側(
図4の矢印B4方向)に傾動させると、バケットスクイ用パイロット弁89が操作されてバケットシリンダ28を縮小させる方向にバケット用制御弁93が操作され、操作レバー90の傾動量に比例した速度でバケット23がスクイ動作する。
【0047】
また、操作レバー90を斜め方向に傾動させると、アーム22の上げ又は下げ動作と、バケット23のスクイ又はダンプ動作とを複合した動作が行える。
SP用制御弁94には、油圧ホース接続用の継手ユニット71の一対の圧油給排用継手71a,71bが油圧管路を介して接続されており、該継手71a,71bに油圧ホース等を介してアタッチメントの油圧アクチュエータを接続することにより、SP用制御弁94によってアタッチメントが操作可能とされる。
【0048】
なお、この継手ユニット71にはドレン用継手71cが備えられている。
SP用制御弁94は上記一対のSP用操作弁79,80によって操作可能とされる。SP用操作弁79,80は、例えば、作業用操作装置15の操作レバー90の頂部側に設けられたスライドボタンによって操作可能とされている。
図3に示すように、一方のSP用操作弁79の二次側ポート79dは第7作動油路c7を介してSP用制御弁94の一側の受圧部94aに接続され、他方のSP用操作弁80の二次側ポート80dは第8作動油路c8を介してSP用制御弁94の他側の受圧部94bに接続されている。
【0049】
操作レバー90に設けたスライドボタンを一方にスライド操作すると、操作信号が制御装置CUに入力されると共に、該制御装置CUから一方のSP用操作弁79に指令信号が出力される。これにより、一方のSP用操作弁79から操作量に比例したパイロット圧がSP用制御弁94の一側の受圧部94aに出力される。
また、スライドボタンを他方にスライド操作すると、制御装置CUから他方のSP用操作弁80に指令信号が出力される。これにより、他方のSP用操作弁80から操作量に比例したパイロット圧がSP用制御弁94の他側の受圧部94bに出力される。
【0050】
図4に示すように、第3ポンプP3の吐出油路kはハイフロー弁83に接続されている。ハイフロー弁83は、パイロット方式の2位置切替弁によって構成されている。また、ハイフロー弁83は、第3ポンプP3の吐出油を作動油タンク31に戻す非増量位置と、第3ポンプP3の吐出油を増量油路nを介して一方の継手71bに流す増量位置とに切り換え自在とされ、バネによって非増量位置に切り換えられる方向に付勢され、受圧部に作用するパイロット圧によって増量位置に切り換えられる。
【0051】
ハイフロー弁83の受圧部にパイロット圧を作用させるか否かは電磁方式の2位置切替弁からなる切替弁84によって行われ、この切替弁84を励磁することにより第6作動油路c6から分岐した第9作動油路c9のパイロット圧がハイフロー弁83の受圧部に作用し、切替弁84を消磁することによりパイロット圧がハイフロー弁83の受圧部に作用しないように構成されている。
【0052】
次に、
図1、
図2、
図3を参照して、油圧システムの走行系について説明する。
走行操作装置14は、走行装置4を駆動するHST(Hydraulic Static Transmission:無段変速機)のHSTポンプ66をパイロット操作するリモコン弁によって構成されており、前進用のパイロット弁36と、後進用のパイロット弁37と、右旋回用のパイロット弁38と、左旋回用のパイロット弁39と、これらパイロット弁36,37,38,39について共通の(1本の)走行レバー40と、第1シャトル弁~4シャトル弁41,42,43,44と、第2ポンプP2からの圧油を入力するポンプポート50と、作動油タンク31に連通するタンクポート51とを有する。
【0053】
走行操作装置14のポンプポート50は第10作動油路c10を介して走行系圧力制御弁34の二次側ポート34dに接続されている。
したがって、第2ポンプP2の吐出油は作動油(パイロット油)として走行操作装置14に供給され、この走行操作装置14に供給された作動油は該走行操作装置14の各パイロット弁36,37,38,39の一次側ポートに供給可能とされていると共に、使用されない作動油がタンクポート51からドレンされる。
【0054】
左右の各走行モータ21L,21Rは、高低2速に変速可能な斜板形可変容量アキシャルモータによって構成されたHSTモータ57(走行用の油圧モータ)と、このHSTモータ57の斜板の角度を切り換えることによりHSTモータ57を高低2速に変速操作する斜板切換シリンダ58と、HSTモータ57の出力軸57a(走行モータ21L,21Rの出力軸57a)を制動するブレーキシリンダ59と、フラッシング弁60と、フラッシング用リリーフ弁61とを有する。
【0055】
前記斜板切換シリンダ58はパイロット方式の2位置切替弁からなるシリンダ切替弁63によって圧油が作用する状態と圧油が作用しない状態とに切り換えられる。斜板切換シリンダ58に圧油が作用していないときにはHSTモータ57が1速状態とされ、斜板切換シリンダ58に圧油が作用しているときにはHSTモータ57が2速状態に切り換えられる。
【0056】
シリンダ切替弁63は第11作動油路c11を介して2速切替弁64に接続されていて、2速切替弁64によってシリンダ切替弁63が切換え操作される。
ブレーキシリンダ59には、HSTモータ57の出力軸57aを制動するバネが内蔵され、また、ブレーキシリンダ59は第12作動油路c12を介してブレーキ解除弁65に接続されている。このブレーキ解除弁65を励磁することにより該ブレーキシリンダ59に第12作動油路c12の作動油が作用して、HSTモータ57の出力軸57aの制動が解除される。
【0057】
油圧駆動装置32は、左走行モータ21L用の駆動回路32A(左用駆動回路)と、右走行モータ21R用の駆動回路32B(右用駆動回路)とを備えている。
各駆動回路32A,32Bは、一対の変速用油路h,iによって対応する走行モータ21L,21RのHSTモータ57に閉回路接続されたHSTポンプ(走行用の油圧ポンプ)66と、高圧側の変速用油路h,iの圧が設定以上になると低圧側の変速用油路h,iに逃がす高圧リリーフ弁67と、第2ポンプP2からの圧油をチェック弁68を介して低圧側の変速用油路h,iに補充するためのチャージ回路jとを備えている。
【0058】
各駆動回路32A,32BのHSTポンプ66は、エンジン29の動力によって駆動される斜板形可変容量アキシャルポンプであると共にパイロット圧で斜板の角度が変更されるパイロット方式の油圧ポンプ(斜板形可変容量油圧ポンプ)である。
すなわち、HSTポンプ66は、パイロット圧が作用する前進用受圧部66aと後進用受圧部66bとを備えており、これら受圧部66a,66bに作用するパイロット圧によって斜板の角度が変更されて作動油の吐出方向や吐出量が変更され、これによって走行モータ21L,21Rの回転出力を作業機1を前進させる方向(正転方向)或いは作業機1を後進させる方向(逆転方向)に無段階に変速することができるよう構成されている。
【0059】
各チャージ回路jは前記チャージ圧供給路bに接続されていて、各チャージ回路jに第2ポンプP2の吐出油が供給可能とされている。また、右用駆動回路32Bのチャージ回路jには、メインリリーフ弁78を有するメインリリーフ回路74が接続されている。
走行モータ21L,21Rのフラッシング弁60は、高圧側の変速用油路h,iの圧によって低圧側の変速用油路h,iをフラッシング用リリーフ油路mに接続するように切り換えられ、低圧側の変速用油路h,iに作動油を補充させるべく該低圧側の変速用油路h,iの作動油の一部をフラッシング用リリーフ油路mを介して走行モータ21L,21Rのハウジング内の油溜まりに逃がすものである。フラッシング用リリーフ弁61は、フラッシング用リリーフ油路mに介装されている。
【0060】
走行モータ21L,21RのHSTモータ57及びフラッシング弁60等と駆動回路32A,32Bと一対の変速用油路h,iとで分離型のHST(静油圧トランスミッション)が構成されている。
走行操作装置14の走行レバー40は、中立位置から、前後及び左右と前後左右の間の斜め方向に傾動操作可能とされ、該走行レバー40を傾動操作することにより、走行操作装置14の各パイロット弁36,37,38,39が操作されると共に、走行レバー40の中立位置からの操作量に比例したパイロット圧が該操作されたパイロット弁36,37,38,39の二次側ポートから出力されるよう構成されている。
【0061】
走行レバー40を前側(
図2では矢印A1方向)に傾動させると、前進用パイロット弁36が操作されて該パイロット弁36からパイロット圧が出力され、該パイロット圧は第1シャトル弁41から第1流路46を介して左用駆動回路32AのHSTポンプ66の前進用受圧部66aに作用すると共に第2シャトル弁42から第2流路47を介して右用駆動回路32Bの前進用受圧部66aに作用する。これにより左右の走行モータ21L,21Rの出力軸57aが走行レバー40の傾動量に比例した速度で正転(前進回転)して作業機1が前方に直進する。
【0062】
また、走行レバー40を後側(
図2では矢印A2方向)に傾動させると、後進用パイロット弁37が操作されて該パイロット弁37からパイロット圧が出力され、該パイロット圧は第3シャトル弁43から第3流路48を介して左用駆動回路32AのHSTポンプ66の後進用受圧部66bに作用すると共に第4シャトル弁44から第4流路49を介して右用駆動回路32BのHSTポンプ66の後進用受圧部66bに作用する。これにより左右の走行モータ21L,21Rの出力軸57aが走行レバー40の傾動量に比例した速度で逆転(後進回転)して作業機1が後方に直進する。
【0063】
また、走行レバー40を右側(
図2では矢印A3方向)に傾動させると、右旋回用パイロット弁38が操作されて該パイロット弁38からパイロット圧が出力され、該パイロット圧は第1シャトル弁41から第1流路46を介して左用駆動回路32AのHSTポンプ66の前進用受圧部66aに作用すると共に第4シャトル弁44から第4流路49を介して右用駆動回路32BのHSTポンプ66の後進用受圧部66bに作用する。これにより左走行モータ21Lの出力軸57aが正転し且つ右走行モータ21Rの出力軸57aが逆転して作業機1が右側に旋回する。
【0064】
また、走行レバー40を左側(
図2では矢印A4方向)に傾動させると、左旋回用パイロット弁39が操作されて該パイロット弁39からパイロット圧が出力され、該パイロット圧は第2シャトル弁42から第2流路47を介して右用駆動回路32BのHSTポンプ66の前進用受圧部66aに作用すると共に第3シャトル弁43から第3流路48を介して左用駆動回路32AのHSTポンプ66の後進用受圧部66bに作用する。これにより右走行モータ21Rの出力軸57aが正転し且つ左走行モータ21Lの出力軸57aが逆転して作業機1が左側に旋回する。
【0065】
また、走行レバー40を斜め方向に傾動させると、各駆動回路32A,32Bの前進用受圧部66aと後進用受圧部66bとに作用するパイロット圧の差圧によって、走行モータ21L,21Rの出力軸57aの回転方向及び回転速度が決定され、作業機1が前進又は後進しながら右旋回又は左旋回する。
すなわち、走行レバー40を左斜め前側に傾動操作すると該走行レバー40の傾動角度に対応した速度で作業機1が前進しながら左旋回し、走行レバー40を右斜め前側に傾動操作すると該走行レバー40の傾動角度に対応した速度で作業機1が前進しながら右旋回し、走行レバー40を左斜め後側に傾動操作すると該走行レバー40の傾動角度に対応した速度で作業機1が後進しながら左旋回し、走行レバー40を右斜め後側に傾動操作すると該走行レバー40の傾動角度に対応した速度で作業機1が後進しながら右旋回する。
【0066】
前記第1流路~4流路46~49には、それぞれショック緩和用絞り77が設けられ、HSTポンプ66の前進用受圧部66a及び後進用受圧部66bに対する走行操作装置14からの作動油の供給又は前進用受圧部66a及び後進用受圧部66bからの作動油の戻りはショック緩和用絞り77を介して行われるので、急激な車速の変動が防止される。
エンジン29は、アクセルペダル53又はアクセルレバー54によって、これらアクセル操作部材53,54の操作量が0であるアイドリング回転(1150rpm)から、前記アクセル操作部材53,54を最大に操作したマックス回転(2480rpm)へと回転数を増大可能とされ、エンジン29の回転数を増大させることにより、HSTポンプ66の回転数が増加して該HSTポンプ66の吐出量が上がり、走行速度が増加する。
【0067】
本実施形態にあっては、コモンレール式の電子制御燃料供給装置SUが設けられ、該電子制御燃料供給装置SUによってエンジン29に燃料が供給される。この電子制御燃料供給装置SUは、燃料を蓄える筒状の管からなるコモンレールと、燃料タンク30内の燃料を高圧にしてコモンレールに送るサプライポンプと、コモンレールに蓄えた高圧の燃料をエンジン29の気筒に噴射するインジェクタと、このインジェクタの燃料噴射量をコントロールするコントローラECUとを備えている。
【0068】
コントローラECUには、アクセルペダル53の操作量を検出するアクセルセンサASとエンジン29の実際の回転数(実エンジン回転数)を検出する回転センサRSとが伝送路を介して接続されていて、該コントローラECUにアクセルセンサAS及び回転センサRSの検出信号が入力される。
そして、このアクセルセンサAS及び回転センサRSの検出信号に基づいて、エンジン29がアクセルペダル53又はアクセルレバー54の操作量に応じた(アクセル操作部材53,54によって決定される)回転数(目標エンジン回転数)となるように、コントローラECUによってインジェクタの燃料噴射量が制御される。
【0069】
制御装置CUは電子制御燃料供給装置SUのコントローラECUに伝送路を介して接続されていて、電子制御燃料供給装置SUから制御装置CUへと目標エンジン回転数及び実エンジン回転数の情報が入力される。
本実施形態の作業機1にあっては、制御装置CU及び走行系圧力制御弁34によって、実エンジン回転数に応じて走行操作装置14の各パイロット弁36,37,38,39の一次側圧力を変化させる制御を行うことにより、エンジンストールを防止しつつエンジン29に大きな負荷が作用するような作業における走行速度の向上を図っている。
【0070】
本実施形態に係る油圧システムにあっては、暖機時において、制御装置CUによって切替弁(例えば、2速切替弁64,ブレーキ解除弁65,作業ロック弁91)及び比例弁(例えば、走行系圧力制御弁34)の少なくとも1つが操作されることによってヒートアップ油路wに流入した作動油を戻す戻し回路97を備えている。
本実施形態に係る油圧システムでは、戻し回路97は、作動油を作動油タンク31に戻すようにしているが、これに限定されることはない。例えば、戻し回路97は、作動油を油圧ポンプ(第2ポンプP2)の吸い込み口に戻すように構成されていてもよい。詳しくは、油圧システムとして、作動油タンクを設置せずに、各油圧機器から戻ってくる作動油を油圧ポンプの吸い込み口に直接戻す構成を採る油圧システムがある。このような、油圧システムでは、戻し回路97を介して戻る作動油は、油圧ポンプの吸い込み口に戻される。なお、作動油タンクを設置しない油圧システムにあっては、各油圧機器から油圧ポンプに作動油を戻す油路に接続されるバッファ用タンクが設けられる。
【0071】
図5は、第1の実施形態に係る油圧回路を示している。
第1の実施形態に係る戻し回路97は、
図5に示すように、2速切替弁(第1切替弁)64とシリンダ切替弁(第1油圧機器)63との間の第11作動油路(第1油路)c11と、ブレーキ解除弁(第2切替弁)65とブレーキシリンダ(第2油圧機器)59との間の第12作動油路(第2油路)c12とを接続する接続回路96を有している。
【0072】
接続回路96は、接続油路96aと、接続油路96aに設けられた絞り96b及び逆止弁96cとを有している。接続油路96aは、一端が接続点(一端接続点)96dで第11作動油路c11に接続され、他端が接続点(他端接続点)96eで第12作動油路c12に接続されている。絞り96bは、接続点96dと逆止弁96cとの間(逆止弁96cの上流側)に設けられている。逆止弁96cは、第12作動油路c12から第11作動油路c11へ向けて作動油が流れるのを阻止する。
【0073】
この第1の実施形態に係る戻し回路97にあっては、ブレーキ解除弁(第2切替弁)65が閉位置65Bにある状態で制御装置CUによって2速切替弁(第1切替弁)64が開位置64Aに操作されることにより、ヒートアップ油路wからの作動油を第11作動油路(第1油路)c11、接続回路96、第12作動油路(第2油路)c12及びブレーキ解除弁(第2切替弁)65を介して作動油タンク31に戻す。
【0074】
詳しくは、暖機時において、エンジン29を始動して第2ポンプP2を起動し、ブレーキ解除弁65が閉位置65Bにある状態で制御装置CUによって2速切替弁64が開位置64Aに操作されると、第2ポンプP2から吐出されてヒートアップ油路wに流入した作動油は、ヒートアップ油路wを流れて該ヒートアップ油路wから流出し、第2作動油路c2及び第3作動油路c3を流れて2速切替弁64の第1ポート64aに至り、該第1ポート64aから2速切替弁64に流入する。2速切替弁64の第1ポート64aから流入した作動油は、第2ポート64bから流出して、第11作動油路c11から接続回路96を介して第12作動油路c12に流れると共にブレーキ解除弁65の第2ポート65bに至り、該第2ポート65bからブレーキ解除弁65に流入する。ブレーキ解除弁65の第2ポート65bから流入した作動油は、ブレーキ解除弁65の排油ポート65cから排油路d及びドレン油路y2を介して作動油タンク31に流れる。
【0075】
したがって、
図5に示す第1の実施形態に係る戻し回路97は、第2作動油路c2、第3作動油路c3、2速切替弁64の油路、第11作動油路c11の一部、接続回路96、第12作動油路c12の一部、ブレーキ解除弁65の油路、排油路d及びドレン油路y2を有して構成されている。
気温が低いときにおいて、作動油タンク31に貯留された作動油を、第2ポンプP2から第1作動油路c1、ヒートアップ油路w及び戻し回路97を介して循環させることにより作動油が温められ、この温められた油がヒートアップ油路wを流れることにより比例弁ユニットPCUの弁ボディ35(比例弁34,79,80)をヒートアップ(暖機)することができる。これによって、気温が低いときにおいて、走行系圧力制御弁34及びSP用操作弁79,80の応答性が遅くなるのを防止することができる(応答性を良好にすることができる)。つまり、弁ボディ35内に形成された分岐油路x1,x2,x3を介してヒートアップ油路wから比例弁ユニットPCUの各比例弁34,79,80に作動油を供給するので、低温時における応答性の改善を良好に図ることができる。
【0076】
また、暖機するためにヒートアップ油路wに流入した作動油を作動油タンク31に戻すタイミングを、従来のようにリリーフ弁の設定によって行うのではなく、制御装置CUによって切替弁を操作することによって行うことにより、ヒートアップ油路w内の作動油の排出を確実にコントロールすることができる。
暖機する場合において、制御装置CUが切替弁(第1の実施形態では、2速切替弁64)を操作するタイミングは、作動油の温度を温度検出器で検出することによって行う。つまり、制御装置CUは、温度検出器が検出した検出情報に基づいて切替弁を操作する。具体的には、制御装置CUは、作動油の温度が所定温度以下である場合に、作動油が戻し回路97を介して作動油タンク31に戻るように切替弁を操作し、作動油の温度が所定温度以上になると、戻し回路97を介しての作動油の戻りを規制するように切替弁を操作する。
【0077】
温度検出器は、制御装置CUに接続される。制御装置CUは、温度検出器の検出情報を取得可能である。温度検出器は、第1作動油路c1からヒートアップ油路w及び戻し回路97を介して作動油タンク31に戻る作動油の循環経路のどこかに設けられる。例えば、温度検出器を設ける場所として、作動油タンク31、ヒートアップ油路wのインポート45aやアウトポート45b、弁ボディ35のタンクポート55、弁ブロック62のインポート62aやアウトポート62b、ポンプポート50の上流側に設けられるオイルフィルタ、第1流路46、第2流路47などが考えられる。
【0078】
上記第1の実施形態では、第1切替弁として2速切替弁64を採用し、第2切替弁としてブレーキ解除弁65を採用したが、これに限定されることはなく、第1切替弁及び第2切替弁は、ヒートアップ油路wを通過した作動油を油圧機器に供給する開位置と油圧機器に供給しないと共に油圧機器からの作動油を作動油タンク31に戻す閉位置とに切り替え可能な切替弁であればよい。例えば、第1切替弁は、ブレーキ解除弁65、作業ロック弁91であってもよい。つまり、第1切替弁は、2速切替弁64、ブレーキ解除弁65、作業ロック弁91のうちのいずれかであってもよい。その場合、第2切替弁は、2速切替弁64、ブレーキ解除弁65、作業ロック弁91のうちの第1切替弁以外である。言い換えると、第1切替弁と第2切替弁とは、2速切替弁64、ブレーキ解除弁65、作業ロック弁91のうちの1つと、他の2つの弁のうちの1つとの組み合わせである。
【0079】
図6は、第2の実施形態に係る油圧回路を示している。
第2の実施形態では、第1切替弁としてブレーキ解除弁を採用し、第2切替弁として作業ロック弁を採用している。
第2の実施形態に係る戻し回路97は、
図6に示すように、ブレーキ解除弁(第1切替弁)65とブレーキシリンダ(第1油圧機器)59との間の第12作動油路c12(第1油路)と、作業ロック弁(第2切替弁)91と作業用操作装置(第2油圧機器)15との間の第6作動油路(第2油路)c6とを接続する接続回路96を有している。
【0080】
接続回路96は、接続油路96aと、接続油路96aに設けられた逆止弁96cとを有している。接続油路96aは、一端が接続点(一端接続点)96fで第12作動油路c12に接続され、他端が接続点(他端接続点)96gで第6作動油路c6に接続されている。逆止弁96cは、第6作動油路c6から第12作動油路c12へ向って作動油が流れるのを阻止する。この第2の実施形態にあっては、接続回路96は、絞りを有していなく、第12作動油路c12における、接続点96fとブレーキ解除弁65(弁ブロック62)との間に絞り98が設けられている。
【0081】
この第2の実施形態に係る戻し回路97にあっては、作業ロック弁(第2切替弁)91が閉位置91Bにある状態で制御装置CUによってブレーキ解除弁65(第1切替弁)が開位置65Aに操作されることにより、ヒートアップ油路wからの作動油を第12作動油路c12(第1油路)、接続回路96、及び作業ロック弁(第2切替弁)91を介して作動油タンク31に戻す。
【0082】
詳しくは、暖機時において、エンジン29を始動して第2ポンプP2を起動し、作業ロック弁91が閉位置91Bにある状態で制御装置CUによってブレーキ解除弁65が開位置65Aに操作されると、第2ポンプP2から吐出されてヒートアップ油路wに流入する作動油は、ヒートアップ油路wを流れて該ヒートアップ油路wから流出し、第2作動油路c2及び第3作動油路c3を流れてブレーキ解除弁65の第1ポート65aに至り、該第1ポート65aからブレーキ解除弁65に流入する。ブレーキ解除弁65の第1ポート65aから流入した作動油は、第2ポート65bから流出して、第12作動油路c12から接続回路96を介して第6作動油路c6に流れると共に作業ロック弁91の第2ポート91bに至り、第2ポート91bから作業ロック弁91に流入する。作業ロック弁91の第2ポート91bから流入した作動油は、作業ロック弁91の排油ポート91cから排油路d及びドレン油路y2を介して作動油タンク31に流れる。
【0083】
したがって、
図6に示す第2の実施形態に係る戻し回路97は、第2作動油路c2、第3作動油路c3、ブレーキ解除弁65の油路、第12作動油路c12の一部、接続回路96、第6作動油路c6の一部、作業ロック弁91の油路、排油路d及びドレン油路y2を有して構成されている。
第2の実施形態のその他の構成については、
図1~
図5に示す油圧システム及び
図13、
図14に示す作業機と同様に構成される。
【0084】
図7は、第3の実施形態に係る油圧回路を示している。
第3の実施形態に係る戻し回路97は、
図7に示すように、走行系圧力制御弁(比例弁)34から走行操作装置(供給対象)14に作動油を供給する第10作動油路(供給油路)c10と、2速切替弁(切替弁)64からシリンダ切替弁(油圧機器)63に作動油を供給する第11作動油路(油路)c11とを接続する接続回路96を有している。
【0085】
接続回路96は、接続油路96aと、接続油路96aに設けられた絞り96b及び逆止弁96cとを有している。接続油路96aは、一端が接続点(一端接続点)96hで第10作動油路c10に接続され、他端が接続点(他端接続点)96jで第11作動油路c11に接続されている。絞り96bは、接続点96jと逆止弁96cとの間(逆止弁96cの上流側)に設けられている。逆止弁96cは、第10作動油路c10から第11作動油路c11へ向って作動油が流れるのを阻止する。
【0086】
この第3の実施形態に係る戻し回路97にあっては、走行系圧力制御弁(比例弁)34が閉じた状態で制御装置CUによって2速切替弁(切替弁)64が開位置64Aに操作されることで、ヒートアップ油路wからの作動油を第11作動油路(油路)c11、接続回路96、第10作動油路(供給油路)c10及び走行系圧力制御弁(比例弁)34を介して作動油タンク31に戻す。
【0087】
詳しくは、暖機時において、エンジン29を始動して第2ポンプP2を起動し、走行系圧力制御弁34が閉じた状態で制御装置CUによって2速切替弁64が開位置64Aに操作されると、第2ポンプP2から吐出されてヒートアップ油路wに流入した作動油は、ヒートアップ油路wを流れて該ヒートアップ油路wから流出し、第2作動油路c2及び第3作動油路c3を流れて2速切替弁64の第1ポート64aに至り、該第1ポート64aから2速切替弁64に流入する。2速切替弁64の第1ポート64aから流入した作動油は、第2ポート64bから流出して、第11作動油路c11から接続回路96を介して第10作動油路c10に流れると共に走行系圧力制御弁34の二次側ポート34dに至り、該二次側ポート34dから走行系圧力制御弁34に流入する。走行系圧力制御弁34の二次側ポート34dから流入した作動油は、走行系圧力制御弁34のタンクポート34cから流出し、排油路e1及びドレン油路y1を介して作動油タンク31に流れる。
【0088】
したがって、
図7に示す第3の実施形態に係る戻し回路97は、第2作動油路c2、第3作動油路c3、2速切替弁64の油路、第11作動油路c11の一部、接続回路96、第10作動油路c10の一部、走行系圧力制御弁34の油路、排油路e1及びドレン油路y1を有して構成されている。
この第3の実施形態では、走行系圧力制御弁(比例弁)34のヒートアップ油路wに連通する一次側ポート34bと共にタンクポート34cも暖機することができる。また、走行系圧力制御弁34から走行操作装置14に作動油を供給する第10作動油路c10も暖機できるので、走行操作装置14の低温時における応答性も確保することができ、走行系圧力制御弁34の応答性遅れに起因するエンジンストールの防止を図ることができる。
【0089】
第3の実施形態のその他の構成については、
図1~
図5に示す油圧システム及び
図13、
図14に示す作業機と同様に構成される。
図8は、第4の実施形態に係る油圧回路を示している。
第4の実施形態に係る戻し回路97は、
図8に示すように、走行系圧力制御弁(比例弁)34から走行操作装置(供給対象)14に作動油を供給する第10作動油路(供給油路)c10と、ブレーキ解除弁(切替弁)65からブレーキシリンダ(油圧機器)59に作動油を供給する第12作動油路(油路)c12とを接続する接続回路96を有している。
【0090】
接続回路96は、接続油路96aと、接続油路96aに設けられた逆止弁96cと、逆止弁96cをバイパスするバイパス油路96kと、バイパス油路96kに設けられた絞り96bとを有している。接続油路96aは、一端が接続点96hで第10作動油路c10に接続され、他端が接続点96jで第12作動油路c12に接続されている。逆止弁96cは、第12作動油路c12から第10作動油路c10へ向って作動油が流れるのを阻止する。バイパス油路96kは、一端が接続点96m(逆止弁96cの上流側)で接続油路96aに接続され、他端が接続点96n(逆止弁96cの下流側)で接続油路96aに接続されている。
【0091】
この第4の実施形態に係る戻し回路97にあっては、走行系圧力制御弁(比例弁)34が閉じた状態で制御装置CUによってブレーキ解除弁(切替弁)65が開位置65Aに操作されることで、ヒートアップ油路wからの作動油をヒートアップ油路wからの作動油を第12作動油路(油路)c12、接続回路96、第10作動油路(供給油路)c10及び走行系圧力制御弁(比例弁)34を介して作動油タンク31に戻す。
【0092】
詳しくは、暖機時において、エンジン29を始動して第2ポンプP2を起動し、走行系圧力制御弁34が閉じた状態で制御装置CUによってブレーキ解除弁(切替弁)65が開位置65Aに操作されると、第2ポンプP2から吐出されてヒートアップ油路wに流入する作動油は、ヒートアップ油路wを流れて該ヒートアップ油路wから流出し、第2作動油路c2及び第3作動油路c3を流れてブレーキ解除弁65の第1ポート65aに至り、該第1ポート65aからブレーキ解除弁65に流入する。ブレーキ解除弁65の第1ポート65aから流入した作動油は、第2ポート65bから流出して、第12作動油路c12から接続回路96を介して第10作動油路c10に流れると共に走行系圧力制御弁34の二次側ポート34dに至り、該二次側ポート34dから走行系圧力制御弁34に流入する。走行系圧力制御弁34の二次側ポート34dから流入した作動油は、走行系圧力制御弁34のタンクポート34cから流出し、排油路e1及びドレン油路y1を介して作動油タンク31に流れる。
【0093】
したがって、
図8に示す第4の実施形態に係る戻し回路97は、第2作動油路c2、第3作動油路c3、ブレーキ解除弁65の油路、第12作動油路c12の一部、接続回路96、第10作動油路c10の一部、走行系圧力制御弁34の油路、排油路e1及びドレン油路y1を有して構成されている。
この第4の実施形態にあっては、作動油が第12作動油路c12から接続回路96を介して第10作動油路c10に流れる際には、接続点96mから接続点96nへバイパス油路96kを介して流れる。
【0094】
また、走行系圧力制御弁(比例弁)34の設定圧は、ブレーキ解除弁(切替弁)65の設定圧よりも低く設定される。また、この第3の実施形態にあっても、走行系圧力制御弁(比例弁)34のヒートアップ油路wに連通する一次側ポート34bと共にタンクポート34cも暖機することができる。
なお、この第4の実施形態において、切替弁としてブレーキ解除弁65を採用したが、切替弁は、作業ロック弁91或いは2速切替弁64であってもよい。
【0095】
第4の実施形態のその他の構成については、
図1~
図5に示す油圧システム及び
図13、
図14に示す作業機と同様に構成される。
図9は、第5の実施形態に係る油圧回路を示している。
第5の実施形態に係る戻し回路97は、
図9に示すように、走行系圧力制御弁(比例弁)34から走行操作装置(供給対象)14に作動油を供給する第10作動油路(供給油路)c10と、作業ロック弁(切替弁)91から作業用操作装置(油圧機器)15に作動油を供給する第6作動油路(油路)c6とを接続する接続回路96を有している。
【0096】
接続回路96は、接続油路96aと、接続油路96aに設けられた逆止弁96cと、逆止弁96cをバイパスするバイパス油路96kと、バイパス油路96kに設けられた絞り96bとを有している。接続油路96aは、一端が接続点96hで第10作動油路c10に接続され、他端が接続点96jで第6作動油路c6に接続されている。逆止弁96cは、第6作動油路c6から第10作動油路c10へ向って作動油が流れるのを阻止する。バイパス油路96kは、一端が接続点96m(逆止弁96cの下流側)で接続油路96aに接続され、他端が接続点96n(逆止弁96cの上流側)で接続油路96aに接続されている。
【0097】
この第5の実施形態に係る戻し回路97にあっては、作業ロック弁(切替弁)91が閉位置91Bにある状態で制御装置CUによって走行系圧力制御弁(比例弁)34が開き操作されることで、ヒートアップ油路wに流入した作動油を走行系圧力制御弁(比例弁)34、第10作動油路(供給油路)c10、接続回路96、第6作動油路(油路)c6及び作業ロック弁(切替弁)91を介して作動油タンク31に戻す。
【0098】
詳しくは、暖機時において、エンジン29を始動して第2ポンプP2を起動し、作業ロック弁91が閉位置91Bにある状態で制御装置CUによって走行系圧力制御弁34が開き操作されると、第2ポンプP2から吐出されてヒートアップ油路wに流入した作動油は、分岐油路x1から走行系圧力制御弁34の一次側ポート34bに流れ、二次側ポート34dから流出する。走行系圧力制御弁34の二次側ポート34dから流出した作動油は、第10作動油路c10から接続回路96及び第6作動油路c6を介して作業ロック弁91の第2ポート91bに至り、該第2ポート91bから作業ロック弁91に流入する。作業ロック弁91の第2ポート91bから流入した作動油は、作業ロック弁91の排油ポート91cから排出され、排油路d及びドレン油路y2を介して作動油タンク31に流れる。
【0099】
したがって、
図9に示す第5の実施形態に係る戻し回路97は、分岐油路x1、走行系圧力制御弁34の油路、第10作動油路c10の一部、接続回路96、第6作動油路c6の一部、作業ロック弁91の油路、排油路d及びドレン油路y2を有して構成されている。
この第5の実施形態にあっては、走行系圧力制御弁(比例弁)34の設定圧は、作業ロック弁(切替弁)91の設定圧よりも高く設定される。また、複数の(3つの)比例弁のうち、供給油路(第10作動油路c10)によって供給対象(走行操作装置14)に作動油を供給する比例弁である走行系圧力制御弁34は、ヒートアップ油路wの最も下流側に配置されている。
【0100】
なお、この第5の実施形態において、切替弁として作業ロック弁91を採用したが、切替弁は、ブレーキ解除弁65又は2速切替弁64であってもよい。
第5の実施形態のその他の構成については、
図1~
図5に示す油圧システム及び
図13、
図14に示す作業機と同様に構成される。
図10は、第6の実施形態に係る油圧回路を示している。
【0101】
第6の実施形態に係る戻し回路97は、
図10に示すように、ブリード回路100を有している。ブリード回路100は、絞り99を有し、2速切替弁(第3切替弁)64とシリンダ切替弁(第3油圧機器)63との間の第11作動油路(第3油路)c11に接続されていて、制御装置CUによって2速切替弁64(第3切替弁)が開位置に操作されることで、ヒートアップ油路wからの作動油を第11作動油路(第3油路)c11から絞り99を介して作動油タンク31に流す。
【0102】
また、第6の実施形態に係る戻し回路97は、ブレーキ解除弁(第4切替弁)65とブレーキシリンダ(第4油圧機器)59との間の第12作動油路(第4油路)c12と、走行系圧力制御弁(比例弁)34から走行操作装置(供給対象)14に作動油を供給する第10作動油路(供給油路)c10と、を接続する接続回路96を有している。
接続回路96は、接続油路96aと、接続油路96aに設けられた逆止弁96cと、逆止弁96cをバイパスするバイパス油路96kと、バイパス油路96kに設けられた絞り96bとを有している。接続油路96aは、一端が接続点96hで第10作動油路c10に接続され、他端が接続点96jで第12作動油路c12に接続されている。逆止弁96cは、第12作動油路c12から第10作動油路c10へ向って作動油が流れるのを阻止する。バイパス油路96kは、一端が接続点96m(逆止弁96cの下流側)で接続油路96aに接続され、他端が接続点96n(逆止弁96cの上流側)で接続油路96aに接続されている。
【0103】
この第5の実施形態に係る戻し回路97にあっては、制御装置CUによって、2速切替弁(第3切替弁)64が開位置64Aに操作されると共に、ブレーキ解除弁(第4切替弁)65が閉位置65Bにある状態で走行系圧力制御弁(比例弁)34開き操作されることで、ヒートアップ油路wに流入した作動油をブリード回路100、走行系圧力制御弁(比例弁)34、第10作動油路(供給油路)c10、接続回路96、第12作動油路(第4油路)c12及びブレーキ解除弁(第4切替弁)65を介して作動油タンク31に戻す。
【0104】
詳しくは、暖機時において、エンジン29を始動して第2ポンプP2を起動し、制御装置CUによって2速切替弁64が開位置64Aに操作されると、第2ポンプP2から吐出されてヒートアップ油路wに流入した作動油は、ヒートアップ油路wを流れて該ヒートアップ油路wから流出し、第2作動油路c2及び第3作動油路c3を流れて2速切替弁64の第1ポート64aに至り、該第1ポート64aから2速切替弁64に流入する。2速切替弁64の第1ポート64aから流入した作動油は、第2ポート64bから第11作動油路c11に流出し、第11作動油路c11からブリード回路100を介して作動油タンク31に流れる。
【0105】
また、ブレーキ解除弁65が閉位置65Bにある状態で走行系圧力制御弁34開き操作されると、第2ポンプP2から吐出されてヒートアップ油路wに流入した作動油は、分岐油路x1から走行系圧力制御弁34の一次側ポート34bに流れ、二次側ポート34dから流出する。走行系圧力制御弁34の二次側ポート34dから流出した作動油は、第10作動油路c10から接続回路96及び第12作動油路c12を介してブレーキ解除弁65の第2ポート65bに至り、該第2ポート65bからブレーキ解除弁65に流入する。ブレーキ解除弁65の第2ポート65bから流入した作動油は、ブレーキ解除弁65の排油ポート65cから排出され、排油路d及びドレン油路y2を介して作動油タンク31に流れる。
【0106】
したがって、
図10に示す第6の実施形態に係る戻し回路97は、第2作動油路c2、第3作動油路c3、2速切替弁64の油路、第11作動油路c11の一部、ブリード回路100、分岐油路x1、走行系圧力制御弁34の油路、第10作動油路c10の一部、接続回路96、第12作動油路c12の一部、ブレーキ解除弁65の油路、排油路d及びドレン油路y2を有して構成されている。
【0107】
この第6の実施形態にあっては、走行系圧力制御弁(比例弁)34の設定圧は、ブレーキ解除弁(第4切替弁)65の設定圧よりも高く設定される。また、複数の(3つの)比例弁のうち、供給油路(第10作動油路c10)によって供給対象(走行操作装置14)に作動油を供給する比例弁である走行系圧力制御弁34は、ヒートアップ油路wの最も下流側に配置されている。
【0108】
なお、この第6の実施形態において、第3切替弁として、2速切替弁64を採用し、第4切替弁として、ブレーキ解除弁65を採用しているが、これに限定されることはない。例えば、第4切替弁としてブレーキ解除弁65を採用したが、第4切替弁は、作業ロック弁91であってもよい。
第6の実施形態のその他の構成については、
図1~
図5に示す油圧システム及び
図13、
図14に示す作業機と同様に構成される。
【0109】
図11は、第7の実施形態に係る油圧回路を示している。
第7の実施形態に係る戻し回路97は、
図11に示すように、ブリード回路100を有している。ブリード回路100は、絞り99を有し、2速切替弁(切替弁)64とシリンダ切替弁(油圧機器)63との間の第11作動油路(油路)c11に接続されていて、制御装置CUによって2速切替弁64(切替弁)が開位置に操作されることで、ヒートアップ油路wからの作動油を第11作動油路(油路)c11から絞り99を介して作動油タンク31に流す。
【0110】
第7の実施形態のその他の構成については、
図1~
図5に示す油圧システム及び
図13、
図14に示す作業機と同様に構成される。
図12Aは、油圧システムの変形例に係る油圧回路を示している。
図12Aに示す油圧回路は、一方のSP用操作弁79或いは他方のSP用操作弁80から出力される作動圧(パイロット圧)をハイフロー弁83の受圧部83aに作用させるハイフロー切替回路101を有している。
【0111】
図12Aに示すように、ハイフロー切替回路101は、油圧取出し回路102と、供給ライン103と、絞り107と、供給路108とを有している。
油圧取出し回路102は、第7作動油路c7と第8作動油路c8とを接続していて、一方のSP用操作弁79或いは他方のSP用操作弁80から出力されるパイロット圧を取り出す。詳しくは、油圧取出し回路102は、シャトル弁104と、シャトル弁104の一方の入力ポート104aと第7作動油路c7とを接続する第1接続路105と、シャトル弁104の他方の入力ポート104bと第8作動油路c8とを接続する第2接続路106とを有していて、第7作動油路c7及び第8作動油路c8のうちの一方のパイロット圧を取り出して出力ポート104cから出力する。
【0112】
供給ライン103は、油圧取出し回路102で取り出されたパイロット圧を切替弁84のインポート84aに送る。詳しくは、供給ライン103の一端は、シャトル弁104の出力ポート104cに接続され、供給ライン103の他端は、切替弁84のインポート84aに接続されている。
絞り107は、供給ライン103に設けられている。供給路108は、一端が切替弁84のアウトポート84cに接続され、他端がハイフロー弁83の受圧部に接続されている。
【0113】
切替弁84は、パイロット圧をハイフロー弁83の受圧部83aに作用させない第1位置84Aと、パイロット圧をハイフロー弁83の受圧部に作用させる第2位置84Bとに切り替え可能である。切替弁84を第2位置に切り替えると、インポート84aとアウトポート84bとが連通し、一方のSP用操作弁79或いは他方のSP用操作弁80から出力されるパイロット圧が、供給ライン103、絞り107、切替弁84のインポート84a、アウトポート84b及び供給路108を介してハイフロー弁83の受圧部83aに作用し、ハイフロー弁83を非増量位置83Aから増量位置83Bに切り替える。
【0114】
上記ハイフロー切替回路101によれば、第3ポンプP3からの作動油は、必ずSP用操作弁79,80が開いてから油圧ホース接続用の継手ユニット71の一方の継手71bに流れ始める。これにより、SP用操作弁79,80が開く前に第3ポンプP3からの作動油が継手ユニット71に流れ始める現象を防止することができる。
なお、油圧取出し回路102は、SP用操作弁79,80の近傍に設けられるのがよい。
【0115】
図12Bは、油圧システムの変形例に係る油圧回路を示している。
この
図12Bに示す油圧回路の説明にあっては、
図12Aに示す油圧回路と異なる点を説明し、同じ構成であるところは説明を省略する。
図12Bの油圧回路にあっては、SP用操作弁79は、ヒートアップ油路wの最も下流側に配置されている。SP用操作弁80がヒートアップ油路wの最も下流側に配置されていてもよい。
【0116】
また、供給路108にブリード回路109が接続されている。ブリード回路109は、一端が供給路108に接続され他端が作動油タンク31に連通するブリード油路109aと、ブリード油路109aに設けられた絞り109bとを有している。
この
図12Bに示す油圧回路にあっては、暖機する際に、SP用操作弁79もしくはSP用操作弁80の圧力を少し上げた状態で、切替弁84を第1位置(閉位置)84Aから第2位置(開位置)84Bに切り替えることで、ヒートアップ油路wに流入した作動油を、SP用操作弁79もしくはSP用操作弁80、油圧取出し回路102、供給ライン103、切替弁84、ブリード回路109を介して作動油タンク31に流すことができる。
【0117】
上記した、SP用操作弁79もしくはSP用操作弁80の圧力を少し上げた状態とは、詳しくは、圧力が零を超え且つSP用制御弁94が切り替わる圧力未満に設定した状態である。
即ち、この
図12Bに示す油圧回路にあっては、SP用操作弁79、SP用操作弁80、油圧取出し回路102、供給ライン103、切替弁84、ブリード回路109等によって戻し回路97を構成している。
【0118】
図12Bに示す油圧回路において、ブリード回路109は、切替弁84のタンクポート84cを作動油タンク31に連通させる連通油路110に供給路108を接続するものであってもよい。詳しくは、
図12Cに示すように、ブリード回路109は、一端が供給路108に接続し、他端が連通油路110に接続するものであってもよい。
図12Dは、油圧システムの変形例に係る油圧回路を示している。
【0119】
この
図12Dに示す油圧回路の説明にあっては、
図12Bに示す油圧回路と異なる点を説明し、同じ構成であるところは説明を省略する。
図12Dに示す油圧回路にあっては、切替弁84は、第1位置84Aにおいてインポート84aとアウトポート84bとを連通する連通路111に設けられた絞り112と、連通路111における絞り112とアウトポート84bとの間から分岐し且つタンクポート84cに連通する流し油路113とを有している。
【0120】
この
図12Dに示す油圧回路にあっては、暖機する際において、切替弁84が第1位置84Aに在るときに、SP用操作弁79もしくはSP用操作弁80を開くと、ヒートアップ油路wに流入した作動油を、SP用操作弁79もしくはSP用操作弁80、油圧取出し回路102、供給ライン103、連通路111、絞り112、流し油路113を介して作動油タンク31に流すことができる。
【0121】
即ち、この
図12Dに示す油圧回路にあっては、SP用操作弁79、SP用操作弁80、油圧取出し回路102、供給ライン103、切替弁84等によって戻し回路97を構成している。
この実施形態においても、暖機時にSP用操作弁79もしくはSP用操作弁80を開く場合、SP用操作弁79もしくはSP用操作弁80から出力される圧力は、零を超え且つSP用制御弁94が切り替わる圧力未満に設定される。
【0122】
図12Eは、油圧システムの変形例に係る油圧回路を示している。
この
図12Eに示す油圧回路の説明にあっては、
図12Aに示す油圧回路と異なる点を説明し、同じ構成であるところは説明を省略する。
この
図12Eに示す油圧回路にあっては、ハイフロー切替回路101は、油圧取出し回路102を有していなく、供給ライン103の一端(切替弁84のインポート84aに接続される側とは反対側)が第7作動油路c7に接続されている。また、第8作動油路c8から分岐して、ハイフロー弁83の受圧部83aとは反対側に接続する油路114を有している。
【0123】
この
図12Eに示す油圧回路にあっては、SP用操作弁(比例弁)80が開いているときには、ハイフロー弁83は強制的に非増量位置83Aに切り替わり、第3ポンプP3の吐出油は増量油路nに送られることはなく、SP用操作弁(比例弁)79が開いているとき、つまり、SP用制御弁94の受圧部94aに圧がかかって継手ユニット71の圧油給排用継手71bに第1ポンプP1からの作動油が供給されるときに第3ポンプP3の吐出油を増量油路nに送ることができる。
【0124】
図12F、
図12Gは、油圧システムの変形例に係る油圧回路を示している。
この
図12F、
図12Gに示す油圧回路の説明にあっては、
図1、
図12Aに示す油圧回路と異なる点を説明し、同じ構成であるところは説明を省略する。
図12F、
図12Gに示す油圧回路にあっては、SP用操作弁79がヒートアップ油路wの最も下流側に配置され、第7作動油路c7から分岐した分岐油路115が切替弁84のインポート84aに接続されている。また、
図1における第9作動油路c9はなく、第6作動油路c6から分岐した分岐油路116が切替弁84のアウトポート84cとハイフロー弁83の受圧部83aとの間の油路118に接続されている。分岐油路116には、第6作動油路c6から油路118への作動油の流れを阻止するチェック弁117が設けられている。
【0125】
この
図12F、
図12Gに示す油圧回路にあっては、暖機時において、SP用操作弁(比例弁)79をSP用制御弁94が作動しない程度の低い圧力に設定し、且つ切替弁84を第2位置(開位置)84Bに切り替えることにより、ヒートアップ油路wに流入した作動油を、SP用操作弁79(圧力小)→切替弁84(開位置84B)→作業ロック弁91(閉位置91B)→作動油タンク31(もしくは第2油圧ポンプP2の吸い込み側)の経路で戻すことができる。これにより、ヒートアップ油路wの中の油を入れ替えることができ、作動油を暖機することができる。
【0126】
このようにして暖機する場合は、作業ロック弁91を閉位置91Bにして、作業機1が作動しないようにし、暖機が終わって作業機1を運転する時は、作業ロック弁91を開位置91Aにするが、この作業機1の運転時の状態では、第6作動油路c6から油路118へ圧油供給は、チェック弁117によって遮断されるので、ハイフロー弁83及び切替弁84は、問題なく作動することができる。
【0127】
この
図12F、
図12Gに示す油圧回路にあっては、SP用操作弁79、第7作動油路c7、分岐油路115、切替弁84、油路118、分岐油路116、作業ロック弁91等によって戻し回路97を構成している。
上述したすべての実施形態において、戻し回路97は、作動油を油圧ポンプ(第2ポンプP2)の吸い込み口に直接戻すように構成されていてもよい。つまり、戻し回路97は、作動油を作動油タンク31に戻すようにしてもよいし、作動油を油圧ポンプの吸い込み口に戻すようにしてもよい。
【0128】
また、本実施形態では、HSTモータ57は斜板形可変容量アキシャルモータであり、HSTモータ57を高低2速に切り替える変速機構は、HSTモータ57の斜板を切り替える斜板切換シリンダ58及び斜板切換シリンダ58を切り替えるシリンダ切替弁63で構成されているが、HSTモータ57がラジアルピストンモータ等のように斜板切換シリンダ等のシリンダが付いていないタイプの変速機構を持つ油圧モータで構成される場合もあるので、2速切替弁64から作動油(パイロット油)が供給される油圧機器は、シリンダ切替弁63に限定されることはない。つまり、2速切替弁64から作動油が供給される油圧機器は、HSTモータ57を高低2速に切り替える変速機構であればよい。
【0129】
本実施形態に係る作業機の油圧システムは、作動油を吐出する油圧ポンプ(第2ポンプP2)と、油圧ポンプP2から吐出された作動油を供給対象(走行操作装置14)に送る少なくとも1つの比例弁(走行系圧力制御弁34)と、比例弁34が組み込まれた弁ボディ35と、弁ボディ35に形成されていて、油圧ポンプP2から吐出された作動油を流入させるヒートアップ油路wと、ヒートアップ油路wを通過した作動油を油圧機器(シリンダ切替弁63、ブレーキシリンダ59、作業用操作装置15)に供給する開位置64A,65A,91Aと油圧機器63,59,15に供給しないと共に油圧機器63,59,15からの作動油を戻す閉位置64B,65B,91Bとに切り替え可能な少なくとも1つの切替弁(2速切替弁64、ブレーキ解除弁65、作業ロック弁91)と、切替弁64,65,91及び比例弁34を操作する制御装置CUと、制御装置CUによって切替弁64,65,91及び比例弁34の少なくとも1つが操作されることによってヒートアップ油路wに流入した作動油を戻す戻し回路97と、を備えている。
【0130】
これによれば、制御装置CUによって切替弁及び比例弁34の少なくとも1つが操作されることによってヒートアップ油路wに流入した作動油を戻すことにより、ヒートアップ油路w内の作動油の排出を確実にコントロールすることができる。
また、第1切替弁(2速切替弁64、ブレーキ解除弁65、作業ロック弁91のいずれか)と第2切替弁(2速切替弁64、ブレーキ解除弁65、作業ロック弁91のうちの第1切替弁以外)とを含む複数の切替弁のうちの第1切替弁を介して作動油が供給される油圧機器である第1油圧機器(シリンダ切替弁63、ブレーキシリンダ59、作業用操作装置15のうちの第1切替弁に対応する油圧機器)と、第1油圧機器と第1切替弁とを接続する第1油路(第11作動油路c11、第12作動油路c12、第6作動油路c6のうちの第1油圧機器及び第1切替弁に対応する油路)と、第2切替弁を介して作動油が供給される油圧機器である第2油圧機器(シリンダ切替弁63、ブレーキシリンダ59、作業用操作装置15のうちの第2切替弁に対応する油圧機器)と、第2油圧機器と第2切替弁とを接続する第2油路(第11作動油路c11、第12作動油路c12、第6作動油路c6のうちの第2油圧機器及び第2切替弁に対応する油路)と、を備え、戻し回路97は、第1油路と第2油路とを接続する接続回路96を有していて、第2切替弁が閉位置にある状態で制御装置CUによって第1切替弁が開位置に操作されることにより、ヒートアップ油路wからの作動油を第1油路、接続回路96、第2油路及び第2切替弁を介して作動油タンク31に戻すようにしてもよい。
【0131】
また、高低2速に変速可能な走行装置4を2速状態に切り替える2速切替弁64と、走行装置4の制動を解除するブレーキ解除弁65と、作業装置3を操作する作業用操作装置15を操作不能にする作業ロック弁91と、を備え、第1切替弁は、2速切替弁64、ブレーキ解除弁65、作業ロック弁91のうちのいずれかであり、第2切替弁は、2速切替弁64、ブレーキ解除弁65、作業ロック弁91のうちの第1切替弁以外であってもよい。
【0132】
また、比例弁34から供給対象(走行操作装置14)に作動油を供給する供給油路(第10作動油路c10)を備え、比例弁(走行系圧力制御弁34)は、開き操作され且つ開度を調整することにより設定された圧力の作動油を供給対象14に出力し、閉じた状態では供給油路c10からの作動油を戻し、戻し回路97は、供給油路c10と、切替弁(2速切替弁64、ブレーキ解除弁65、作業ロック弁91)から油圧機器(シリンダ切替弁63、ブレーキシリンダ59、作業用操作装置15)に作動油を供給する油路(第11作動油路c11、第12作動油路c12、第6作動油路c6)とを接続する接続回路96を有していて、比例弁34が閉じた状態で制御装置CUによって切替弁が開位置に操作されることで、ヒートアップ油路wからの作動油を油路、接続回路96、供給油路c10及び比例弁34を介して戻すようにしてもよい。
【0133】
また、切替弁(2速切替弁64、ブレーキ解除弁65、作業ロック弁91)の設定圧を比例弁34の設定圧よりも高くしてもよい。
また、ヒートアップ油路wを流れる作動油を比例弁(走行系圧力制御弁34)から供給対象(走行操作装置14)に供給する供給油路(第10作動油路c10)を備え、比例弁34は、開き操作され且つ開度を調整することにより設定された圧力の作動油を供給対象14に出力し、閉じた状態では供給油路(第10作動油路c10)からの作動油を戻し、戻し回路97は、供給油路c10と、切替弁(2速切替弁64、ブレーキ解除弁65、作業ロック弁91)から油圧機器(シリンダ切替弁63、ブレーキシリンダ59、作業用操作装置15)に作動油を供給する油路(第11作動油路c11、第12作動油路c12、第6作動油路c6)とを接続する接続回路96を有していて、切替弁が閉位置にある状態で制御装置CUによって比例弁34が開き操作されることで、ヒートアップ油路wに流入した作動油を比例弁34、供給油路c10、接続回路96、油路及び切替弁を介して戻すようにしてもよい。
【0134】
また、比例弁34の設定圧を切替弁(2速切替弁64、ブレーキ解除弁65、作業ロック弁91)の設定圧よりも高くしてもよい。
また、第3切替弁(2速切替弁64、ブレーキ解除弁65、作業ロック弁91のいずれか)と第4切替弁(2速切替弁64、ブレーキ解除弁65、作業ロック弁91のうちの第3切替弁以外)とを含む複数の切替弁のうちの第3切替弁を介して作動油が供給される油圧機器である第3油圧機器(シリンダ切替弁63、ブレーキシリンダ59、作業用操作装置15のうちの第3切替弁に対応する油圧機器)と、第3油圧機器と第3切替弁とを接続する第3油路(第11作動油路c11、第12作動油路c12、第6作動油路c6のうちの第3油圧機器及び第3切替弁に対応する油路)と、第4切替弁を介して作動油が供給される油圧機器である第4油圧機器(シリンダ切替弁63、ブレーキシリンダ59、作業用操作装置15のうちの第4切替弁に対応する油圧機器)と、第4油圧機器と第4切替弁とを接続する第4油路(第11作動油路c11、第12作動油路c12、第6作動油路c6のうちの第4油圧機器及び第4切替弁に対応する油路)と、ヒートアップ油路wを流れる作動油を比例弁34から供給対象14に作動油を供給する供給油路(第10作動油路c10)と、を備え、比例弁34は、開き操作され且つ開度を調整することにより設定された圧力の作動油を供給対象14に出力し、閉じた状態では供給油路c10からの作動油を戻し、戻し回路97は、第3油路に接続されていてヒートアップ油路wからの作動油を第3油路から絞り99を介して戻すブリード回路100と、第4油路と供給油路とを接続する接続回路96とを有し、制御装置CUによって、第3切替弁が開位置に操作されると共に、第4切替弁が閉位置にある状態で比例弁34が開き操作されることで、ヒートアップ油路wに流入した作動油をブリード回路、比例弁34、供給油路、接続回路96、第4油路及び第4切替弁を介して戻すようにしてもよい。
【0135】
また、比例弁34の設定圧を第4切替弁の設定圧よりも高くしてもよい。
また、比例弁は複数設けられ、複数の比例弁34,79,80は、ヒートアップ油路wの上流側から下流側に向けて順に並べて配置され、且つヒートアップ油路wからそれぞれ作動油が供給され、供給油路(第10作動油路c10)によって供給対象(走行操作装置14)に作動油を供給する比例弁34は、ヒートアップ油路wの最も下流側に配置されていてもよい。
【0136】
また、走行装置4と、走行装置4を油圧駆動する油圧駆動装置32と、油圧駆動装置32をパイロット操作する走行操作装置14と、を備え、比例弁は、供給対象である走行操作装置14に作動油を供給する走行系圧力制御弁34であってもよい。
また、戻し回路97は、切替弁(2速切替弁64、ブレーキ解除弁65、作業ロック弁91)から油圧機器(シリンダ切替弁63、ブレーキシリンダ59、作業用操作装置15)に作動油を供給する油路(第11作動油路c11、第12作動油路c12、第6作動油路c6)に接続されていて制御装置CUによって切替弁が開位置に操作されることで、油路から絞り99を介して作動油を戻すブリード回路100を有していてもよい。
【0137】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0138】
14 供給対象(走行操作装置)
15 油圧機器(作業用操作装置)
32 油圧駆動装置
34 比例弁(走行系圧力制御弁)
35 弁ボディ
59 油圧機器(ブレーキシリンダ)
63 油圧機器(シリンダ切替弁)
64 切替弁(2速切替弁)
64A 開位置
64B 閉位置
65 切替弁(ブレーキ解除弁)
65A 開位置
65B 閉位置
79 比例弁(SP用操作弁)
80 比例弁(SP用操作弁)
91 切替弁(作業ロック弁)
91A 開位置
91B 閉位置
96 接続回路
97 戻し回路
99 絞り
100 ブリード回路
c6 油路(第6作動油路)
c10 供給油路(第10作動油路)
c11 油路(第11作動油路)
c12 油路(第12作動油路)
CU 制御装置
P2 油圧ポンプ(第2ポンプ)
w ヒートアップ油路