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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】吐水装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20241202BHJP
   E03C 1/10 20060101ALI20241202BHJP
   C02F 1/00 20230101ALI20241202BHJP
【FI】
E03C1/042 B
E03C1/10
C02F1/00 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021113451
(22)【出願日】2021-07-08
(65)【公開番号】P2023009840
(43)【公開日】2023-01-20
【審査請求日】2024-05-01
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】粟田 裕美
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-084504(JP,A)
【文献】特開2020-133221(JP,A)
【文献】特開2007-231591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/042
E03C 1/10
C02F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が流通する本体部材と、
前記本体部材から水が供給される浄水カートリッジを収容するとともに、前記本体部材に回転自在に支持される収容部材と、
前記浄水カートリッジに供給する水の流路を開閉する開閉弁と、
前記収容部材の前記本体部材に対する回転範囲を規制する規制部材と、
を備えており、
前記収容部材は、前記開閉弁を開状態にする開位置と、前記開閉弁を閉状態にする閉位置と、前記本体部材に対しての取り外しが許容される取り外し位置と、の間で、前記本体部材に対して回転自在であり、
前記規制部材は、前記収容部材における前記開位置と前記閉位置との間の回転範囲内の回転のみを許容する第1位置と、前記収容部材における前記取り外し位置への回転を許容する第2位置との間を移動自在に設けられている吐水装置。
【請求項2】
前記収容部材は、径方向に突出する第1突出部を有し、
前記規制部材は、前記第1突出部における周方向の端面に接触して前記回転範囲を規制する第1規制面部を有する請求項1に記載の吐水装置。
【請求項3】
前記収容部材は、径方向に突出する第2突出部を有し、
前記第2突出部における軸方向の端面に接触して前記収容部材の取り外しを規制する第2規制面部を備えている請求項1及び請求項2のいずれか一項に記載の吐水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来の吐水装置を開示している。この吐水装置は、混合栓本体とグリップ部とを備えている。グリップ部には浄水カートリッジが収容されている。グリップ部は、混合栓本体から延びるホルダー先端のセレーションに着脱自在に設けられている。この吐水装置は、グリップ部をホルダーから取り外し、グリップ部の基端側に接続された可撓管を引き出して使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-3320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、吐水装置において、浄水カートリッジを収容する部材を回転操作することによって弁の開閉等の機能を実現したい、といった要望がある。特許文献1において、浄水カートリッジを収容するグリップ部は、単にセレーションに差し込まれているのみであるため、混合栓本体から簡単に外れてしまう。この場合、例えば回転操作中にグリップ部が不意に外れてしまうおそれがあり、使い勝手が悪い。
【0005】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、開閉弁の開閉操作を確実に行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る吐水装置は、水が流通する本体部材と、前記本体部材から水が供給される浄水カートリッジを収容するとともに、前記本体部材に回転自在に支持される収容部材と、前記浄水カートリッジに供給する水の流路を開閉する開閉弁と、前記収容部材の前記本体部材に対する回転範囲を規制する規制部材と、を備えており、前記収容部材は、前記開閉弁を開状態にする開位置と、前記開閉弁を閉状態にする閉位置と、前記本体部材に対しての取り外しが許容される取り外し位置と、の間で、前記本体部材に対して回転自在であり、前記規制部材は、前記収容部材における前記開位置と前記閉位置との間の回転範囲内の回転のみを許容する第1位置と、前記収容部材における前記取り外し位置への回転を許容する第2位置との間を移動自在に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る吐水装置を示す斜視図である。
図2】実施形態に係る吐水装置を後方から見た断面図である。
図3】実施形態に係る吐水装置の分解斜視図である。
図4】実施形態に係る開閉弁周辺の構成を説明するための図である。
図5】実施形態に係る収容部材を示す斜視図である。
図6】実施形態に係る解除操作部及び規制部材を示す斜視図である。
図7】実施形態に係る解除操作部を示す断面図であり、保持位置にある状態を示す。
図8】実施形態に係る解除操作部を示す断面図であり、解除位置にある状態を示す。
図9】実施形態に係る第1凸状部の溝部内の配置を説明するための図である。
図10】実施形態に係る吐水装置の作用を説明するための図であり、収容部材が閉位置にあり、解除操作部が保持位置にあり、規制部材が第1位置にある状態を示す。
図11図10のXI-XI線断面図である。
図12】実施形態に係る吐水装置の作用を説明するための図であり、収容部材が開位置にあり、解除操作部が保持位置にあり、規制部材が第1位置にある状態を示す。
図13図12のXIII-XIII線断面図である。
図14】実施形態に係る吐水装置の作用を説明するための図であり、収容部材が閉位置にあり、解除操作部が解除位置にある状態においてハンドル部材を収容部材から取り外した状態を示す。
図15】実施形態に係る吐水装置の作用を説明するための図であり、収容部材が閉位置にあり、解除操作部が解除位置にあり、規制部材が第2位置にある状態を示す。
図16】実施形態に係る吐水装置の作用を説明するための図であり、収容部材が取り外し位置にあり、解除操作部が解除位置にあり、規制部材が第2位置にある状態を示す。
図17図16のXVII-XVII線断面図である。
図18】実施形態に係る吐水装置の作用を説明するための図であり、収容部材を取り外した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態1>
本実施形態に係る吐水装置1は、図1に示すように、流し台のカウンタ上面等の水平な被取付面Sに取り付けられる。吐水装置1は、上水道等の図示しない給水源から供給される原水、原水と原水を加温した湯とを混合した混合水、原水から塩素等を除去するなどして改質した浄水を吐出することができる。
【0009】
吐水装置1は、図1から図3に示すように、基部2、本体部3、保持部4、吐水管5、第1操作部6、及び第2操作部7を備えている。基部2は、吐水装置1において被取付面Sに取り付けられる部分である。基部2は円筒形状をなしている。基部2は、中心軸を被取付面Sに直交させて被取付面Sに取り付けられる。
【0010】
本体部3は基部2の上端に連結されている。本体部3は、中心軸を水平方向に沿って配置した円筒形状をなしている。本体部3の中心軸は、第1操作部6及び第2操作部7を回転操作する際の回転軸Cと同軸である。本体部3は、後述の本体部材10、収容部材20、開閉弁30等の各種機能部品を収納する。具体的には、図2に示すように、本体部3は仕切壁部3Aを形成している。仕切壁部3Aは、本体部3の中心部から軸方向に離れた位置において、本体部3の内周面から径方向中心側に立ち上がっている。本体部3は、仕切壁部3Aよりも軸方向中心側に、本体部材10及び開閉弁30を収納する。本体部3は、仕切壁部3Aよりも軸方向外側に、収容部材20を収納する。本体部3は、仕切壁部3Aが形成された端部とは反対側の端部に湯水混合弁8を収納する。
【0011】
図2及び図3に示すように、本体部3は係合溝3Bを形成している。係合溝3Bは、本体部3の内周面において、周方向に溝状に形成されている。係合溝3Bは、仕切壁部3Aよりも軸方向外側の端部に形成されている。係合溝3Bには、後述する規制部材60の係合突起62が係合する。図3に示すように、本体部3は切欠き部3Cを形成している。切欠き部3Cは、本体部3の軸方向の端面から軸方向中心側に切欠いて形成されている。切欠き部3Cは、本体部3における中心軸、すなわち回転軸Cよりも下方、且つ本体部3における下端よりも上方に形成されている。具体的には、切欠き部3Cは、本体部3における下端から本体部3の中心軸周りに30°周方向に移動した位置に形成されている。切欠き部3Cには、後述する解除操作部50が配置される。
【0012】
保持部4は、本体部3における外周面の上部に接続されている。保持部4は、基部2の中心軸と同軸に上方に延びる円筒形状をなしている。吐水管5は、保持部4の上端に接続された一端から上方に延びるとともに、他端側が湾曲しつつ下方に延びるいわゆるグースネック形状をなしている。吐水管5は、保持部4の中心軸回りに回転自在に保持部4に保持されている。
【0013】
第1操作部6及び第2操作部7は、本体部3における水平方向の各端部に配置されている。第1操作部6は、湯水混合弁8を経由する混合水を吐出する際に操作する操作部である。第1操作部6は、回転軸C周りに回転操作することによって、湯水混合弁8における湯と水の混合比率を調節する。第1操作部6は、回転軸Cに直交する軸周りに回転操作することによって、湯水混合弁8から流出する湯水の流量を調節する。第2操作部7は、浄水を吐出する際に操作する操作部である。第2操作部7は、回転軸C周りに回転操作することによって開閉弁30を開閉する。
【0014】
以下の説明において、吐水装置1における上下の方向は、設置状態、すなわち、基部2を水平な被取付面Sに取り付けた状態における向きをそのまま上方、下方と定義する。左右の方向については、本体部3の第2操作部7側を左方、第1操作部6側を右方と定義する。前後の方向については、第2操作部7を左方、第1操作部6を右方に見る吐水装置1の使用者の方向を前方、その反対方向を後方と定義する。各図に示すX軸、Y軸、及びZ軸は、それぞれ前後方向、左右方向、及び上下方向を表す。X軸、Y軸、及びZ軸において、各軸の正方向をそれぞれ前方、左方、及び上方とする。
【0015】
図2から図4に示すように、吐水装置1は、本体部材10、収容部材20、開閉弁30、ハンドル部材40、解除操作部50、及び規制部材60を備えている。本体部材10は、本体部3における左右方向の中心部に配置される。収容部材20は、本体部3における本体部材10の左方に配置される。開閉弁30は、本体部材10と収容部材20との間に配置される。ハンドル部材40は収容部材20の左側端部に取り付けられる。解除操作部50及び規制部材60は、収容部材20の外周側において収容部材20を取り囲むように配置される。
【0016】
本体部材10は、図示しない通水路を内部に形成し、水が流通する。図2から図4に示すように、本体部材10は、側壁部11と、周壁部12と、軸受部13と、被係合部14とを有している。側壁部11は本体部材10の左側端部に設けられている。側壁部11は、中心軸を左右方向に沿って配置した円板状をなしている。周壁部12は、側壁部11の外周縁から左方に突出する円環状をなしている。
【0017】
軸受部13は、側壁部11の中心において側壁部11から左方に突出する円筒状をなしている。軸受部13の中心には側壁部11を貫通する軸孔13Aが形成されている。軸受部13には、収容部材20の後述する軸部23の先端部が挿入される。軸孔13Aは、本体部材10の内部において図示しない通水路に連通している。被係合部14は、側壁部11から左方に突出する円筒状をなしている。被係合部14は、開閉弁30における後述する保持部材34の係合部34Dと係合する。
【0018】
図2から図5に示すように、収容部材20は有底円筒状に形成されている。詳細には、収容部材20は、本体部材10に組み付けられた状態において、左側において開口し、右側において閉塞された円筒形状をなしている。本体部材10に組み付けられた状態において、収容部材20の中心軸は、本体部3の中心軸に同軸に配置される。収容部材20は、内部に浄水カートリッジ90を収容する空間20Aを形成する。収容部材20は、本体部材10に回転自在に支持される。
【0019】
図2に示すように、収容部材20は回転軸C周りに回転する。回転軸Cは、本体部3の中心軸上に設定されている。収容部材20は、開閉弁30を開状態にする開位置と、開閉弁30を閉状態にする閉位置と、本体部材10に対しての取り外しが許容される取り外し位置と、の間で本体部材10に対して回転自在である。本実施形態の場合、収容部材20は、閉位置にある状態から、左側面視において時計回り方向に回転させることによって開位置に移動する。収容部材20は、閉位置にある状態から、左側面視において反時計回り方向に回転させることによって取り外し位置に移動する。取り外し位置への移動は、通常は規制部材60によって規制されている。
【0020】
図2から図5に示すように、収容部材20は、周壁部21と、底壁部22と、軸部23と、第1突出部24と、第2突出部25と、第3突出部26、溝部27とを有している。周壁部21は円筒状をなしている。収容部材20を本体部材10に組み付けた状態において、周壁部21の左側端部は、本体部3の外側に配置される(図2参照)。周壁部21の外周面は、収容部材20を本体部材10に組み付けた状態において、規制部材60の内周面に摺動自在に接触する。周壁部21の左側端部にはおねじ21Aが形成されている。おねじ21Aには、ハンドル部材40における後述するめねじ40Aが螺合する。
【0021】
底壁部22は、円筒状をなす周壁部21における軸方向の一端を閉塞する。底壁部22の外周縁部は、周壁部21における外周面よりも縮径して形成された縮径部22Aとされている。縮径部22Aの外周面は、収容部材20を本体部材10に組み付けた状態において、本体部3における仕切壁部3Aの内周面に対向して配置される(図2参照)。底壁部22における空間20A側の面には、嵌合凹部22Bが設けられている。嵌合凹部22Bには浄水カートリッジ90の嵌合突部91が嵌合する。
【0022】
図4及び図5に示すように、軸部23は、底壁部22の中心において底壁部22から右方に突出する円筒状をなしている。軸部23は、空間20A内から浄水を流出させる流出路を形成する。具体的には、軸部23の中心には連通孔23Aが形成されている。連通孔23Aは、底壁部22を貫通して空間20Aに連通している。連通孔23Aは、空間20A側において、嵌合凹部22Bの内側に開口している。軸部23は、収容部材20を本体部材10に組み付けた状態において、本体部材10における軸受部13の軸孔13Aに挿入される。連通孔23Aは、軸部23が軸孔13Aに挿入された状態において、本体部材10内の通水路に連通する。
【0023】
図4及び図5に示すように、第1突出部24は、収容部材20の径方向に突出している。第1突出部24は、周壁部21の外周面に設けられている。第1突出部24は、周壁部21における底壁部22側の端部に設けられている。本実施形態の場合、第1突出部24は2つ設けられている。2つの第1突出部24は、収容部材20の中心軸を挟んだ両側に配置されている。各第1突出部24は、周壁部21の外周面に沿って周方向に円弧状に延びている。各第1突出部24は、収容部材20を本体部材10に組み付けた状態において、規制部材60における規制凹部61内に配置される。
【0024】
図4及び図5に示すように、第2突出部25は、第1突出部24と同様に、収容部材20の径方向に突出している。第2突出部25は軸部23の外周面に設けられている。第2突出部25は、底壁部22の右側において、底壁部22との間に間隔をあけて設けられている。本実施形態の場合、第2突出部25は複数設けられている。具体的には、第2突出部25は3つ設けられている。3つの第2突出部25は、軸部23の外周面の周方向に不等間隔で配置されている。
【0025】
第2突出部25は、収容部材20を本体部材10に組み付けた状態において、開閉弁30における後述する可動部材33の嵌合部33Bに嵌め込まれるとともに、開閉弁30における後述する保持部材34の右側面に摺動自在に接触する。保持部材34は、本開示に係る第2規制面部として機能する。すなわち、収容部材20は、第2突出部25における軸方向の端面25Aが保持部材34に接触することによって、本体部材10からの脱落を規制される。
【0026】
図4及び図5に示すように、第3突出部26は、収容部材20の軸方向に突出している。第3突出部26は、軸部23と同様に、底壁部22から右方に突出する円筒状をなしている。軸部23が底壁部22の中心に設けられているのに対し、第3突出部26は、底壁部22の中心から径方向に離れた位置に設けられている。これによって、第3突出部26は、収容部材20の回転軸C周りの回転に伴って回転軸C周りに回転する。
【0027】
第3突出部26は、空間20A内に原水を流入させる流入路を形成する。具体的には、図5に示すように、第3突出部26の中心には、底壁部22を貫通して空間20Aに開口する連通孔26Aが形成されている。第3突出部26は、収容部材20を本体部材10に組み付けた状態において、開閉弁30における後述する可動弁体32の貫通孔32Aに挿入される。連通孔26Aは、第3突出部26が貫通孔32Aに挿入され、且つ貫通孔32Aが固定弁体31の貫通孔31Aに連通している状態において、本体部材10内の通水路に連通する。
【0028】
図5に示すように、溝部27は、周壁部21の外周面に溝状に窪んで形成されている。溝部27には、解除操作部50の後述する第1凸状部53A及び第2凸状部54Aが配置される。溝部27は、周方向側溝27Aと、軸方向側溝27Bと、退避溝27Cとを有している。周方向側溝27Aは周方向に延びている。軸方向側溝27Bは、周方向側溝27Aの一端から軸方向に延びている。退避溝27Cは、周方向側溝27Aから底壁部22側の軸方向に離れた位置において、周方向側溝27Aとは反対側の周方向に延びている。
【0029】
開閉弁30は、本体部材10と収容部材20との間の流路を開閉する。この流路は、浄水カートリッジ90に供給する水の流路である。図2から図4に示すように、開閉弁30は、固定弁体31と、可動弁体32と、可動部材33と、保持部材34とを有している。固定弁体31は、本体部材10に固定される。固定弁体31は半円板状に形成されている。固定弁体31は、板厚方向の一面を側壁部11に対向させ、周壁部12と軸受部13との間に嵌め込まれる。固定弁体31は貫通孔31Aを形成している。貫通孔31Aは、固定弁体31を板厚方向に貫通する。貫通孔31Aは、本体部材10における図示しない通水路の開口に連通する。
【0030】
可動弁体32は固定弁体31に対して相対移動する。図2から図4に示すように、可動弁体32は、固定弁体31の左側面に摺動自在に接触する。可動弁体32は貫通孔32Aを形成している。貫通孔32Aには、収容部材20における第3突出部26が挿入される。可動弁体32は、収容部材20の回転に伴って回転軸C周りに回転する。これによって、可動弁体32は、固定弁体31に対して相対回転する。
【0031】
図2から図4に示すように、可動部材33は、保持部33Aと、嵌合部33Bとを有している。保持部33Aは可動弁体32を保持する。保持部33Aには連通孔33Cが形成されている。連通孔33Cは、可動部材33が可動弁体32を保持した状態において、可動弁体32における貫通孔32Aに連通する。嵌合部33Bは、収容部材20を本体部材10に組み付けた状態において、軸部23が挿入されるとともに、この状態において、嵌合部33Bには第2突出部25が嵌め込まれる。これによって、可動部材33は、収容部材20の回転に伴って、可動弁体32とともに回転軸C周りに回転する。
【0032】
保持部材34は本体部材10に固定される。図2に示すように、保持部材34は仕切壁部3Aの右側に配置される。保持部材34は、本体部材10との間に、固定弁体31,可動弁体32、及び可動部材33を保持する空間を形成する。
【0033】
図3及び図4に示すように、保持部材34は、円板状部34Aと、周壁部34Bと、鍵孔部34Cと、係合部34Dとを有している。円板状部34Aは円板状をなしている。円板状部34Aは、中心軸を回転軸Cと同軸に左右方向に沿って配置される。円板状部34Aには円弧状孔34Eが形成されている。円弧状孔34Eは、円板状部34Aの中心軸を中心とする円弧状をなしている。円弧状孔34Eには、可動弁体32における貫通孔32Aに第3突出部26が挿入された状態において、第3突出部26が貫通する。収容部材20が回転軸C周りに回転する際、第3突出部26は、円弧状孔34Eの形状に沿って、円弧状の軌跡を描いて移動する。
【0034】
図2から図4に示すように、周壁部34Bは、円板状部34Aの外周縁から右方に突出する円環状をなしている。周壁部34Bは、保持部材34が本体部材10に固定された状態において、本体部材10における周壁部12の突出端面に突き合わせられる。これによって、保持部材34は、円板状部34Aと、本体部材10における側壁部11との間に空間を形成する。
【0035】
図2から図4に示すように、鍵孔部34Cは、円板状部34Aの中心部に設けられている。鍵孔部34Cは、収容部材20を本体部材10に組み付けた状態において軸部23が貫通する。鍵孔部34Cには、軸部23における第2突出部25が形成された部分の断面形状と同様の形状をなす鍵孔状の貫通孔が形成されている。鍵孔部34Cに軸部23を貫通させる際には、収容部材20を回転軸C周りに回転させ、第2突出部25の周方向の位置を合わせて貫通させる。
【0036】
図2及び図4に示すように、係合部34Dは、円板状部34Aの右側面から右方に突出している。係合部34Dは、本体部材10における被係合部14に係合する。これによって、保持部材34は、本体部材10に固定される。係合部34Dは断面C字状をなしている。係合部34Dは、いわゆるスプリングピンのように作用し、円筒状をなす被係合部14の内周面に弾性接触する。
【0037】
ハンドル部材40は収容部材20に着脱自在に取り付けられて空間20Aを閉塞する。ハンドル部材40は、浄水の吐止水操作をするための第2操作部7を構成する。ハンドル部材40は、収容部材20に取り付けられた状態において、空間20A内の浄水カートリッジ90への水の供給を操作する操作部として機能する。具体的には、ハンドル部材40は、回転軸C周りに回転操作することによって収容部材20を回転させ、これに伴って開閉弁30における可動弁体32を回転させ、浄水カートリッジ90に水を供給する流路を開閉する。
【0038】
ハンドル部材40は、図4に示すように、有底円筒状に形成されている。ハンドル部材40は、収容部材20の左側端部の外周面を覆ってハンドル部材40に取り付けられる。具体的には、ハンドル部材40はめねじ40Aを有する。めねじ40Aは、ハンドル部材40における内周面に形成されている。ハンドル部材40は、収容部材20の周壁部21の外周面に形成されたおねじ21Aに螺合する。これによって、ハンドル部材40は、収容部材20における空間20Aを水密に閉塞する。ハンドル部材40の外径は、本体部3の外径と同等である。吐水装置1は、ハンドル部材40が収容部材20に取り付けられた状態において、ハンドル部材40の外周面と本体部3の外周面とが面一状に連なった意匠を呈する(図1図2等参照)。
【0039】
図4に示すように、ハンドル部材40は係止凹部40Bを有している。係止凹部40Bは、ハンドル部材40における開口側端部の内周面を凹状に窪ませた形態である。係止凹部40Bには、解除操作部50における後述する第2被案内部材54の係止部54Bが係止される。ハンドル部材40は、係止凹部40Bに対して係止部54Bが係止している場合には、収容部材20に取り付けられた状態を解除不能とされる。ハンドル部材40は、係止凹部40Bに対する係止部54Bの係止が解除された場合には、収容部材20から取り外し可能となる。
【0040】
図1に示すように、ハンドル部材40は目印部41を有している。目印部41は、ハンドル部材40の外周面において軸方向に直線状に延びて形成されている。収容部材20に対して正規に取り付けられた状態において、ハンドル部材40は、収容部材20が閉位置にある場合には目印部41が外周面の上端に位置する。この位置から目印部41を前方に移動させるようにハンドル部材40を回転させると、収容部材20が開位置の方向に移動する。このように、目印部41は、ハンドル部材40を回転操作する際の目安となる。
【0041】
解除操作部50は、ハンドル部材40を収容部材20に取り付けた状態を保持する保持状態と、ハンドル部材40を収容部材20から取り外し可能な解除状態と、を切り替えるための操作部である。図6から図8に示すように、解除操作部50は、操作部材51と、ガイド部材52と、第1被案内部材53と、第2被案内部材54とを有している。
【0042】
図7及び図8に示すように、操作部材51は、本体部3における切欠き部3Cを貫通して配置される。操作部材51は、本体部3の外側に露出した部分において使用者に操作される。吐水装置1の設置状態において、操作部材51は、正面寄り下側において本体部3の外側に露出している。操作部材51は、ハンドル部材40を保持状態にする位置と、ハンドル部材40を解除状態にする位置と、の間を移動自在に設けられている。操作部材51は、本体部3の外周面に沿って左右に移動する。操作部材51が図7に示す左方の位置にある場合、ハンドル部材40は保持状態とされる。操作部材51が図8に示す右方にある場合、ハンドル部材40は解除状態とされる。以下、操作部材51が左方に移動した位置を保持位置、右方に移動した位置を解除位置と定義する。
【0043】
図6に示すように、ガイド部材52は断面円弧状をなす板状に形成されている。ガイド部材52は、本体部3の内周面及び収容部材20における周壁部21の外周面の間に配置される。ガイド部材52は、操作部材51の操作による左右方向の移動をガイドする。図7及び図8に示すように、第1被案内部材53は操作部材51に連結されている。第1被案内部材53は、操作部材51の左右への移動に伴って、ガイド部材52によってガイドされつつ左右方向に移動する。第1被案内部材53は第1凸状部53Aを有している。第1凸状部53Aは、径方向内側に突出している。第1凸状部53Aは、収容部材20における溝部27内に配置される。
【0044】
図9に示すように、第1凸状部53Aは、溝部27における軸方向側溝27B内にある場合においては、図9の長破線で示す保持位置と、二点鎖線で示す解除位置と、の間を軸方向に移動自在である。第1凸状部53Aは、周方向側溝27A内にある場合においては、保持位置から解除位置へ移動不能である。換言すると、第1凸状部53Aが周方向側溝27A内にある状態では、ハンドル部材40を収容部材20に取り付けた状態を保持した保持状態が維持される。第1凸状部53Aは、保持位置にある場合においては、周方向側溝27A内に進入可能である。すなわち、第1凸状部53Aが保持位置にある場合、収容部材20を回転操作することができる。第1凸状部53Aは、解除位置にある場合においては、周方向側溝27A内に進入不能である。すなわち、第1凸状部53Aが解除位置にある場合、収容部材20を回転操作することができない。
【0045】
図7及び図8に示すように、第2被案内部材54は、第1被案内部材53と同様に、操作部材51に連結されている。第2被案内部材54は、操作部材51の左右への移動に伴って左右方向に移動する。第2被案内部材54は第2凸状部54Aを有している。第2凸状部54Aは、径方向内側に突出している。第2凸状部54Aは、収容部材20における溝部27内に配置される。第2凸状部54Aは、溝部27における軸方向側溝27B内のみに配置される。第2凸状部54Aは、収容部材20の回転軸C周りの回転に伴って周方向に移動自在に設けられている。
【0046】
図7及び図8に示すように、第2被案内部材54は係止部54Bを有している。係止部54Bは、第2被案内部材54における左側端部に設けられている。図7に示すように、係止部54Bは、第2被案内部材54が左方に移動して保持位置にある状態において、ハンドル部材40における係止凹部40B内に嵌り込んで係止される。ハンドル部材40は、この状態において保持状態となる。保持状態においてハンドル部材40を回転軸C周りに回転操作すると、係止凹部40Bに係止した第2被案内部材54に回転が伝達されるとともに、第2被案内部材54における第2凸状部54Aから軸方向側溝27Bの側壁を介して収容部材20に伝達され、収容部材20が回転する。
【0047】
図8に示すように、第2被案内部材54は、右方に移動して解除位置にある状態において、ハンドル部材40における係止凹部40Bとの係止が解除される。ハンドル部材40は、この状態において解除状態となる。解除状態においてハンドル部材40を回転軸C周りに回転操作すると、係止凹部40Bとの係止が解除されていることによって第2被案内部材54に回転が伝達されず、ハンドル部材40のみが回転する。これによって、ハンドル部材40のめねじ40Aと収容部材20における周壁部21のおねじ21Aとの螺合を解除可能とされ、ハンドル部材40が収容部材20から取り外すことができる。
【0048】
規制部材60は、収容部材20の本体部材10に対する回転範囲を規制する。図6に示すように、規制部材60は断面円弧状をなす板状に形成されている。規制部材60は、本体部3の内周面及び収容部材20における周壁部21の外周面の間に配置される(図2参照)。組み付け状態において、規制部材60は、周方向の端面においてガイド部材52に隣接して配置され、ガイド部材52と併せて円環状をなして収容部材20における周壁部21の外周面を覆う。組み付け状態において、規制部材60の内周面は、周壁部21の外周面に摺動自在に接触する。
【0049】
図6に示すように、規制部材60は、規制凹部61と、係合突起62とを有している。規制凹部61は、規制部材60における左側端面を凹状に窪ませた形態である。規制凹部61には収容部材20における第1突出部24が配置される。各規制凹部61は、閉側規制面61A及び開側規制面61Bを有している。これら閉側規制面61A及び開側規制面61Bは、本開示に係る第1規制面部の例示である。閉側規制面61Aは、閉位置にある収容部材20における第1突出部24の周方向の一方の端面24Aが接触する。開側規制面61Bは、開位置にある収容部材20における第1突出部24の周方向の他方の端面24Bが接触する。このように、規制部材60は、規制凹部61における閉側規制面61A及び開側規制面61Bによって収容部材20の回転範囲を規制する。
【0050】
本実施形態の場合、規制凹部61は、図6に示すように、規制部材60の周方向の2箇所に形成されている。各規制凹部61には、収容部材20における2つの第1突出部24がそれぞれ配置される。一方の規制凹部61は周方向において開放されている。一方の規制凹部61における開側規制面61Bは、隣接して配置されるガイド部材52によって形成される。
【0051】
図6に示すように、係合突起62は、規制部材60の外周面から径方向外側に凸状に突出している。係合突起62は、組み付け状態において本体部3の係合溝3Bに係合する。本実施形態の場合、係合突起62は3つ設けられている。3つの係合突起62は、規制部材60の外周面において周方向に並んで配置されている。
【0052】
規制部材60は、第1位置と第2位置との間を移動自在に設けられている。第1位置において、規制部材60は、収容部材20における開位置と閉位置との間の回転範囲内の回転のみを許容する。第2位置において、規制部材60は、収容部材20における取り外し位置への回転を許容する。規制部材60における第1位置は、係合突起62が係合溝3Bに係合した位置である。規制部材60における第2位置は、係合突起62が係合溝3Bから左方に外れた位置である。
【0053】
吐水装置1において、浄水カートリッジ90は、収容部材20内の空間20Aに収容可能な円柱形状をなし、水を外周面側から内周面側へと流通させて改質するものが適用される。浄水カートリッジ90は、軸方向の一端に、嵌合凹部22Bに嵌合する嵌合突部91が形成されている。浄水カートリッジ90は、嵌合突部91を嵌合凹部22Bに嵌合することによって、浄水カートリッジ90の内部空間と、収容部材20における軸部23中心の連通孔23Aとが連通する。浄水カートリッジ90によって改質された水、すなわち浄水は、連通孔23A、本体部材10内の流路に流出する。
【0054】
上記構成の吐水装置1の作用について説明する。図10は、収容部材20が閉位置にあり、規制部材60が第1位置にあり、解除操作部50が保持位置にある状態を示している。収容部材20が閉位置にある状態において、開閉弁30は、図11に示すように、固定弁体31における貫通孔31Aと可動弁体32における貫通孔32Aとが連通していない状態、すなわち本体部材10と収容部材20との間の流路を閉鎖した状態となっている。このため、収容部材20内の空間20Aには水が供給されず、浄水は吐出されない。
【0055】
解除操作部50が保持位置にある状態では、第2被案内部材54における係止部54Bがハンドル部材40の係止凹部40Bに係止されている(図8参照)。すなわち、ハンドル部材40は、収容部材20に取り付けられた状態が保持された保持状態となっている。このため、ハンドル部材40の回転操作が収容部材20に伝達され、収容部材20を開位置と閉位置との間で回転させることができる。
【0056】
図12は、図10に示す収容部材20が閉位置にある状態からハンドル部材40を操作して、開位置に回転移動させた状態を示している。収容部材20が開位置にある状態において、開閉弁30は、図13に示すように、固定弁体31における貫通孔31Aと可動弁体32における貫通孔32Aとが連通した状態、すなわち本体部材10と収容部材20との間の流路を開放した状態となる。これによって、収容部材20内の空間20Aに本体部材10側から水が供給され、浄水カートリッジ90を通過して浄水となって流出する。
【0057】
収容部材20が閉位置にある状態では、図10に示すように、第1突出部24は、周方向の一方の端面24Aにおいて規制凹部61における閉側規制面61Aに接触し、それ以上の回転が規制されている。収容部材20が開位置にある状態では、図12に示すように、第1突出部24は、周方向の他方の端面24Bにおいて規制凹部61における開側規制面61Bに接触している。このように、収容部材20は、規制部材60が第1位置にある状態では、収容部材20は開位置と閉位置との間の回転のみが許容される。
【0058】
ハンドル部材40は、浄水カートリッジ90の交換時等において収容部材20から取り外される。ハンドル部材40を取り外す際には、解除操作部50を保持位置から解除位置に移動させる。解除操作部50は、収容部材20が閉位置にある状態においてのみ、保持状態と解除状態との切り替え操作が許容されている。
【0059】
解除操作部50は、操作部材51を左右に移動させることによって保持状態と解除状態の切り替え操作を行うことができる(図7及び図8参照)。解除操作部50を解除状態とすることで、係止部54Bが係止凹部40Bから外れる。これによって、ハンドル部材40を回転操作するとハンドル部材40のみが回転し、図14に示すように、ハンドル部材40を収容部材20から取り外すことができる。
【0060】
解除操作部50が保持位置にある状態では、第1被案内部材53における第1凸状部53Aは、収容部材20における周方向側溝27Aと周方向において重なる位置に配置される(図9参照)。このため、第1凸状部53Aは、収容部材20が開位置に回転移動する際に周方向側溝27A内に進入可能であり、収容部材20の開位置と閉位置との間の回転移動を阻害しない。
【0061】
解除操作部50が解除位置にある状態では、第1被案内部材53における第1凸状部53Aは、収容部材20における周方向側溝27Aに対して軸方向にずれた位置に配置される(図9参照)。このため、収容部材20を閉位置から開位置へと回転させようとすると、第1凸状部53Aが軸方向側溝27Bの側壁に干渉する。これによって、収容部材20の開位置への回転移動が阻止される。
【0062】
収容部材20が開位置にある状態において、解除操作部50は保持状態から解除状態に切り替え不能である。収容部材20が開位置にある状態とは、空間20A内の浄水カートリッジ90に水が供給されている状態である。このように空間20A内に水が流入している状況下でのハンドル部材40の取り外しを防止するため、収容部材20が開位置にある状態では解除操作部50の保持状態を維持するようにしている。
【0063】
収容部材20が開位置にある状態において、保持状態にある解除操作部50の第1凸状部53Aは、収容部材20の溝部27における周方向側溝27A内に位置している。このため、操作部材51を右方に操作しようとすると、第1凸状部53Aが周方向側溝27Aの側壁に干渉する。このようにして、収容部材20が開位置にある状態では、ハンドル部材40を収容部材20に取り付けた状態を保持した保持状態が維持される。
【0064】
収容部材20の部品交換や吐水装置1のオーバーホール等を行う際には、収容部材20を取り外す。収容部材20の取り外しに際しては、規制部材60における係合突起62と本体部3における係合溝3Bとの係合を解除し、規制部材60を第1位置から第2位置に移動させる。
【0065】
図15は、収容部材20が閉位置にあり、規制部材60が第2位置にある状態を示している。規制部材60における第2位置とは、第1位置よりも左方に移動した位置である。第1位置にある規制部材60において、収容部材20における第1突出部24は、規制凹部61内に配置されている(図10参照)。この第1位置から左方の第2位置へと規制部材60を移動させることによって、図15に示すように、第1突出部24が規制凹部61から外れる。換言すると、規制部材60を第2位置に移動させると、規制凹部61における閉側規制面61Aは、収容部材20が回転する際の第1突出部24の回転軌跡の外側に位置するようになる。このようにして第1突出部24の回転範囲の規制が解除され、収容部材20を取り外し位置に回転させることが可能となる。
【0066】
収容部材20が閉位置と開位置との間にある状態において、第2突出部25の軸方向の端面25Aは、保持部材34の右側面に重なった状態となっている(図11及び図13参照)。すなわち、収容部材20は、第2突出部25における軸方向の端面25Aが保持部材34の右側面に接触していることによって取り外しが規制されている。収容部材20は、取り外し位置に回転移動することによって、取り外しの規制が解除され、取り外すことができるようになる。
【0067】
図16は、図15に示す状態から収容部材20を回転させ、閉位置から取り外し位置に移動させた状態を示している。収容部材20における取り外し位置は、閉位置から開位置への移動方向とは反対側の位置である。図17に示すように、収容部材20が取り外し位置にある状態では、3つの第2突出部25は、保持部材34における鍵孔部34Cの形状にそれぞれ重なって位置する。このため、第2突出部25は、鍵孔部34Cを抜け出て保持部材34の左方に移動することができる。これによって、図18に示すように、収容部材20が取り外される。
【0068】
収容部材20を取り外し位置に回転移動させる際、解除操作部50は解除位置にある。この状態において、第1被案内部材53における第1凸状部53Aは、収容部材20における退避溝27Cと周方向において重なる位置に配置される(図9参照)。このため、第1凸状部53Aは、収容部材20が取り外し位置に回転移動する際に退避溝27C内に進入可能であり、収容部材20の取り外し位置への回転移動を阻害しない。
【0069】
以上のように、本実施形態に係る吐水装置1は、本体部材10と、収容部材20と、開閉弁30と、規制部材60と、を備えている。本体部材10は、水を流通する。収容部材20は浄水カートリッジ90を収容する。浄水カートリッジ90には本体部材10から水が供給される。収容部材20は、本体部材10に回転自在に支持される。開閉弁30は、浄水カートリッジ90に供給する水の流路を開閉する。規制部材60は、収容部材20の本体部材10に対する回転範囲を規制する。収容部材20は、開閉弁30を開状態にする開位置と、開閉弁30を閉状態にする閉位置と、本体部材10に対しての取り外しが許容される取り外し位置と、の間で本体部材10に対して回転自在である。規制部材60は、収容部材20における開位置と閉位置との間の回転範囲内の回転のみを許容する第1位置と、収容部材20における取り外し位置への回転を許容する第2位置との間を移動自在に設けられている。
【0070】
このような構成によって、吐水装置1は、規制部材60を第1位置とすることによって収容部材20の取り外し位置への移動を規制でき、規制部材60を第2位置とすることによって収容部材20を取り外し位置に回転移動させることができるようになる。このため、吐水装置1は、開閉弁30の開閉操作という通常使用時において、収容部材20の不意の脱落を防止できる。したがって、吐水装置1は、開閉弁30の開閉操作を確実に行うことができる。
【0071】
吐水装置1において、収容部材20は、径方向に突出する第1突出部24を有する。規制部材60は、第1突出部24における周方向の端面24A,24Bに接触して開位置と閉位置との間の回転範囲を規制する第1規制面部としての規制面61A,61Bを有する。このため、収容部材20の回転範囲を好適に規制することができる。
【0072】
吐水装置1において、収容部材20は、径方向に突出する第2突出部25を有する。吐水装置1は、第2突出部25における軸方向の端面に接触して前記収容部材の取り外しを規制する第2規制面部としての保持部材34を備えている。このため、収容部材20の取り外しを好適に規制することができる。
【0073】
吐水装置1は、ハンドル部材40と、解除操作部50とを備えている。ハンドル部材40は、収容部材20に着脱自在に取り付けられて収容部材20における浄水カートリッジ90が収容された空間20Aを閉塞する。ハンドル部材40は、浄水カートリッジ90への水の供給を操作する。解除操作部50は、ハンドル部材40を収容部材20に取り付けた状態を保持する保持状態と、ハンドル部材40を収容部材20から取り外し可能な解除状態とを切り替える。解除操作部50は、保持状態においては、ハンドル部材40による浄水カートリッジ90への水の供給操作を可能にする。解除操作部50は、解除状態においては、ハンドル部材40による浄水カートリッジ90への水の供給操作を不能にする。
【0074】
吐水装置1は、ハンドル部材40によって、浄水カートリッジ90を収容する空間20Aを閉塞できるとともに吐止水操作を行うことができる。吐水装置1は、解除操作部50を保持状態にすることで、ハンドル部材40によって吐止水操作を行っている際にハンドル部材40が収容部材20から外れてしまうことを防止できる。このため、吐水装置1は、使い勝手がよい。
【0075】
吐水装置1において、解除操作部50は、開閉弁が閉状態にある場合においてのみ、ハンドル部材40の保持状態から解除状態に切り替え可能である。このため、開閉弁30が開状態においてハンドル部材40が外れてしまうのを防止することができる。
【0076】
吐水装置1において、ハンドル部材40は、解除操作部50が解除状態にある場合においてのみ、収容部材20に対しての相対回転を許容されて取り外し可能となる。このように、吐水装置1は、浄水カートリッジ90を交換可能な状態であるハンドル部材40を取り外した状態においては、収容部材20を本体部材10に対して相対回転させることができない。このため、吐水装置1は、浄水カートリッジ90の交換時等、ハンドル部材40が取り外されている状態において水が供給されるのを好適に防止することができる。吐水装置1は、浄水カートリッジ90の交換時に浄水カートリッジ90に通水されるのを防止、低減等するための弁機構を別途設ける必要がなく、簡易な構成を実現することができる。
【0077】
吐水装置1において、収容部材20の外周面には溝部27が形成されている。溝部27は、収容部材20の周方向に延びる周方向側溝27Aと、この周方向側溝27Aから連続して軸方向に延びる軸方向側溝27Bとを有する。解除操作部50は、溝部27内に配置される凸状部としての第1凸状部53Aを有している。第1凸状部53Aは、軸方向側溝27B内にある状態においては、ハンドル部材40を保持状態にする保持位置と、ハンドル部材40を解除状態にする解除位置との間を移動自在である。第1凸状部53Aは、周方向側溝27A内にある状態においては、保持位置から解除位置へ移動不能である。解除操作部50は、第1凸状部53Aが保持位置にある場合においては、収容部材20における開位置と閉位置との間の回転移動を許容する。解除操作部50は、第1凸状部53Aが解除位置にある場合においては、収容部材20における開位置と閉位置との間の回転移動を阻止する。このように、吐水装置1は、収容部材20からハンドル部材40を取り外す際には、収容部材20が本体部材10に対して回転不能となる。このため、ハンドル部材40を取り外すにあたっては、収容部材20を回転させないように把持する等の動作が不要である。その結果、ハンドル部材40を収容部材20から容易に取り外すことができる。
【0078】
吐水装置1は、本体部3を備えている。本体部3は、収容部材20における軸方向の一端側を覆う。ハンドル部材40は、収容部材20における軸方向の他端側に取り付けられている。収容部材20は、設置状態において、本体部材10に対して回転する際の回転軸Cを水平方向に沿って配置している。解除操作部50は、設置状態において正面方向から見た場合に、本体部3の正面寄り下側に配置されている。このように、吐水装置1は、解除操作部50を本体部3の正面寄り下側に配置したことによって、吐水装置1の正面側における解除操作部50の良好な視認性及び操作性と、良好な意匠性との両立を図ることができる。
【0079】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施の形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0080】
本体部材、収容部材、開閉弁、及び規制部材における構成、形状等は上記実施形態に限定されない。
【0081】
規制部材による収容部材の回転範囲を規制する形態は、上記実施形態に限定されない。収容部材が第1突出部を有し、規制部材が第1規制面部を有する場合、その形状、配置、個数等は特に限定されない。
【0082】
収容部材の取り外しを規制する形態は、上記実施形態に限定されない。収容部材が第2突出部を有する場合、その形状、配置、個数等は特に限定されない。この場合、第2規制面部は、上記実施形態において例示した保持部材に限らず、本体部材等の他部材に形成してもよいし、専用の部材を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1…吐水装置、10…本体部材、20…収容部材、24…第1突出部、24A,24B…第1突出部の周方向の端面、25…第2突出部、25A…第2突出部の軸方向の端面、30…開閉弁、40…規制部材、60…規制部材、61A…閉側規制面(第1規制面部)、61B…開側規制面(第1規制面部)、90…浄水カートリッジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18