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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】放送波中継装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/10 20060101AFI20241202BHJP
   H04B 1/26 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
H04B1/10 E
H04B1/26 J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021128301
(22)【出願日】2021-08-04
(65)【公開番号】P2023023095
(43)【公開日】2023-02-16
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】千葉崎 元輝
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-175506(JP,A)
【文献】特開2009-027456(JP,A)
【文献】特開2007-235663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/10-1/14
H04B 15/00-15/06
H04B 1/26-1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信された地デジ放送信号を帯域制限して希望チャンネルと、減衰させた隣接チャンネルとを通過させる入力フィルタと、前記入力フィルタを経由して入力された前記地デジ放送信号を中間周波数信号に変換する受信変換部と、変換された前記中間周波数信号をデジタル処理するデジタル信号処理部と、デジタル処理された前記中間周波数信号を地デジ放送信号に変換する送信変換部とを有する放送波中継装置であって、
前記受信変換部は、
前記入力フィルタを経由して入力された前記地デジ放送信号を検波する第1検波器と、
前記入力フィルタを経由して入力された前記地デジ放送信号を自動利得制御用のAGC電圧に応じた利得で増幅する利得可変型増幅器と、
前記利得可変型増幅器によって増幅された前記地デジ放送信号を前記中間周波数信号に変換する周波数変換器と、
前記周波数変換器によって変換された前記中間周波数信号を帯域制限して前記隣接チャンネルが除去された前記希望チャンネルだけを通過させる帯域制限フィルタと、
前記帯域制限フィルタを通過した前記中間周波数信号を検波する第2検波器と、
前記第1検波器の検波結果と前記第2検波器の検波結果に基づいて算出される隣接チャンネル閾値とを比較するレベル比較部と、
前記レベル比較部の比較結果に基づき、前記第1検波器の検波結果が前記隣接チャンネル閾値を上回っている場合、前記隣接チャンネルが所定のレベルよりも大きいと判断し、前記地デジ放送信号の減衰量が大きくなる方向に前記AGC電圧を補正するAGC電圧補正部と、
を具備することを特徴とする放送波中継装置。
【請求項2】
前記レベル比較部は、前記第2検波器の検波結果に基づいて、前記地デジ放送信号が前記希望チャンネルのみである場合の前記第1検波器の検波結果を前記利得可変型増幅器の増幅量を加味して推定し、予め設定された1以上の正の係数を乗算もしくは正の値を加算することで前記隣接チャンネル閾値を算出することを特徴とする請求項に記載の放送波中継装置。
【請求項3】
前記第2検波器の検波結果は、前記希望チャンネルの有無の判定に用いられることを特徴とする請求項又はに記載の放送波中継装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動利得(出力)制御機能(以下、AGC機能と称す)を有する放送波中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地上デジタル放送波中継においては、空間上に隣接チャンネル(U)の電波が希望チャンネル(D)の電波と共に受信アンテナに到達し、図3(a)に示すように、入力フィルタで隣接チャンネル(U)を減衰させて希望チャンネル(D)だけを通すようにシステムが組まれている。そのため、入力フィルタ以降のユニットは、希望チャンネルの電波だけが入力されることを想定して作られている。そして、入力フィルタ以降のユニットは、地デジ放送信号(UHF)から中間周波数信号(IF信号)の受信変換、デジタル信号処理、IF信号からUHFの送信変換の機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-219364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、受信レベルの検出は、周波数変換後の検波電圧が閾値と比較して高いか、低いか、で入力レベル有無を検出している。また、受信レベルの検出範囲は-80~-27dBmと広いため、周波数変換前後にあるAGC回路でレベルの補正を行っている。周波数変換より前の増幅回路(AMP)はUHF帯の任意のチャンネルを入力しても周波数変換できるように広帯域であり、入力されたすべての周波数を一様に増幅させる。従って、図3(b)に示すように、隣接チャンネル(U)の入力レベルが希望チャンネル(D)のレベルより大きいレベルが入ってきた(例えば、D/U比-20dB以上)場合、入力フィルタだけでは隣接チャンネル(U)の電波を除去できず、受信変換部には希望チャンネル(D)以外に隣接チャンネル(U)が同レベルか、それ以上で入力される。
【0005】
隣接チャンネル(U)レベルが高い場合でも、周波数変換後の回路には希望チャンネル(D)だけを通す急峻なフィルタ(SAWフィルタ)があるため、AGC制御は希望チャンネル(D)の受信レベルだけを対象に制御することができる。しかし、受信変換のAGCは希望チャンネル(D)だけを対象に制御を行っているため、周波数変換前の広帯域アンプは不要な隣接チャンネル(U)を含めて増幅させることとなり、結果として歪を発生させ品質劣化を引き起こしてしまうという問題点があった。
【0006】
なお、特許文献1では、隣接チャンネル(U)と希望チャンネル(D)との検波出力差により希望チャンネル(D)のレベルを補正して、電波環境に応じた受信高周波部のAGC動作を実行することで、隣接チャンネル(U)の干渉による伝送品質の劣化を低減させる技術が提案されている。しかし、特許文献1では、IF信号から上下の隣接チャンネル(U)を取り出す帯域制限フィルタ及び検波器がそれぞれ必要となり、装置規模が大きくなってしまう。
【0007】
本発明は斯かる問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、希望チャンネルに隣接する隣接チャンネルを、入力フィルタで十分に減衰できない場合でも、信号品質を劣化させることなく信号伝送することができる放送波中継装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る放送波中継装置は、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
本発明に係る放送波中継装置は、受信された地デジ放送信号を帯域制限して希望チャンネルと、減衰させた隣接チャンネルとを通過させる入力フィルタと、前記入力フィルタを経由して入力された前記地デジ放送信号を中間周波数信号に変換する受信変換部と、変換された前記中間周波数信号をデジタル処理するデジタル信号処理部と、デジタル処理された前記中間周波数信号を地デジ放送信号に変換する送信変換部とを有する放送波中継装置であって、前記受信変換部は、前記入力フィルタを経由して入力された前記地デジ放送信号を検波する第1検波器と、前記入力フィルタを経由して入力された前記地デジ放送信号を自動利得制御用のAGC電圧に応じた利得で増幅する利得可変型増幅器と、前記利得可変型増幅器によって増幅された前記地デジ放送信号を前記中間周波数信号に変換する周波数変換器と、前記周波数変換器によって変換された前記中間周波数信号を帯域制限して前記隣接チャンネルが除去された前記希望チャンネルだけを通過させる帯域制限フィルタと、前記帯域制限フィルタを通過した前記中間周波数信号を検波する第2検波器と、前記第1検波器の検波結果と前記第2検波器の検波結果に基づいて算出される隣接チャンネル閾値とを比較するレベル比較部と、前記レベル比較部の比較結果に基づき、前記第1検波器の検波結果が前記隣接チャンネル閾値を上回っている場合、前記隣接チャンネルが所定のレベルよりも大きいと判断し、前記地デジ放送信号の減衰量が大きくなる方向に前記AGC電圧を補正するAGC電圧補正部と、を具備することを特徴とする
さらに、本発明に係る放送波中継装置によれば、前記レベル比較部は、前記第2検波器の検波結果に基づいて、前記地デジ放送信号が前記希望チャンネルのみである場合の前記第1検波器の検波結果を前記利得可変型増幅器の増幅量を加味して推定し、予め設定された1以上の正の係数を乗算もしくは正の値を加算することで前記隣接チャンネル閾値を算出しても良い。
さらに、本発明に係る放送波中継装置によれば、前記第2検波器の検波結果は、前記希望チャンネルの有無の判定に用いられても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明の放送波中継装置は、希望チャンネルに隣接する隣接チャンネルを、入力フィルタで十分に減衰できなかった場合に、隣接チャンネルの信号レベルを抑えて、歪の発生を抑制できるため、隣接チャンネル耐性を強化でき、信号品質を劣化させることなく信号伝送することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る放送波中継装置の実施の形態の構成を示す図である。
図2図1に示す受信変換部における入力検知部分の構成を示す図である。
図3図1に示す入力フィルタによる帯域制限令を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
本実施の形態の放送波中継装置は、自動利得(出力)制御機能(以下、AGC機能と称す)を有し、図1を参照すると、受信アンテナ1と、入力フィルタ2と、周波数変換装置3と、パワーアンプ4と、出力フィルタ5と、送信アンテナ6とを備えている。
【0013】
希望チャンネル(D)の電波と共に、希望チャンネル(D)と空間上に隣接する隣接チャンネル(U)の電波とを含む地デジ放送信号が受信アンテナ1に到達する。そして、入力フィルタ2は、受信アンテナ1によって受信された地デジ放送信号を帯域制限し、図3(a)に示すように、隣接チャンネル(U)を減衰させ、希望チャンネル(D)と、減衰させた隣接チャンネル(U)とを通過させて周波数変換装置3に入力する。
【0014】
周波数変換装置3は、地デジ放送信号(UHF信号)を中間周波数信号(IF信号)に変換する受信変換部10と、変換されたIF信号をデジタル処理するデジタル信号処理部40と、デジタル処理されたIF信号をUHFに変換する送信変換部50とを有している。
【0015】
図2は、受信変換部10における入力検知部分の構成を示している。受信変換部10は、UHF増幅器11と、第1分配器12と、第1検波器13と、利得可変型増幅器14と、周波数変換器15と、局部発振器16と、増幅器17と、帯域制限フィルタ18と、第2分配器19と、第2検波器20と、第3分配器21と、第3検波器22と、制御部30とを備えている。
【0016】
UHF増幅器11は、入力フィルタ2から入力されるUHF信号を予め設定された倍率で増幅し、第1分配器12に出力する。UHF増幅器11は、例えば、増幅の際に発生する雑音が低く抑えることができる低雑音増幅器(Low Noise Amplifier)を用いられる。
【0017】
第1分配器12は、入力されたUHF信号を利得可変型増幅器14及び第1検波器13に分配して出力する。第1検波器13は、LOGAMP等を含んで構成され、第1分配器12によって分配されたUHF信号を検波し、第1分配器12によって分配されたUHF信号の信号レベルに応じた第1検波電圧を検波結果として検波結果を制御部30に出力する。ここで、第1検波器13によって検波されるUHF信号は、希望チャンネル(D)波と共に、希望チャンネル(D)と空間上に隣接する隣接チャンネル(U)を含んだ信号である。従って、図3(b)に示すように、希望チャンネル(D)以外に隣接チャンネル(U)が受信変換部10に同レベルで入力された場合、第1検波器13による検波結果は、図3(a)に示すように、隣接チャンネル(U)が十分に減衰されて入力された場合に比べて3倍程度になる。
【0018】
利得可変型増幅器14は、AGC機能によって生成されるAGC電圧に応じた利得で、第1分配器12によって分配されたUHF信号を増幅し、周波数変換器15に出力する。利得可変型増幅器14は、例えば、予め設定された倍率でUHF信号を増幅する増幅器と、AGC電圧に応じた減衰量でUHF信号を減衰させる可変アッテネータ(ATT:Attenuator)とを含んで構成される。
【0019】
周波数変換器15は、利得可変型増幅器14からのUHF信号が入力される一方の入力端子と、局部発振器16の発振周波数が入力される他方の入力端子とを備え、利得可変型増幅器14からのUHF信号をIF信号に変換する。
【0020】
増幅器17は、周波数変換器15によって変換されたIF信号のレベルを帯域制限フィルタ18の動作範囲まで増幅して帯域制限フィルタ18に出力する。増幅器17は、例えば、予め設定された倍率でIF信号を増幅する増幅器と、予め設定された減衰率でIF信号を減衰させるアッテネータ(ATT:Attenuator)とを含んで構成される。
【0021】
帯域制限フィルタ18は、希望チャンネル(D)だけを通す急峻なSAWフィルタ(表面弾性波フィルタ)であり、帯域制限して隣接チャンネル(U)が除去された希望チャンネル(D)だけのIF信号を第2分配器19に出力する。
【0022】
第2分配器19は、入力されたIF信号を図示しない後段の信号処理回路及び第2検波器20に分配して出力する。第2検波器20は、LOGAMP等を含んで構成され、第2分配器19によって分配されたIF信号を検波し、第2分配器19によって分配されたIF信号の信号レベルに応じた第2検波電圧を検波結果として制御部30に出力する。ここで、第2検波器20によって検波されるIF信号は、希望チャンネル(D)のみの信号となる。
【0023】
第3分配器21は、受信変換部10から出力されるIF信号をデジタル信号処理部40及び第3検波器22に分配して出力する。第3検波器22は、LOGAMP等を含んで構成され、第3分配器21によって分配されたIF信号を検波し、第3分配器21によって分配されたIF信号の信号レベルに応じた第3検波電圧を検波結果として検波結果を制御部30に出力する。ここで、第3分配器21によって検波されるIF信号も、希望チャンネル(D)のみの信号となる。
【0024】
制御部30は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータ等の演算処理回路である。ROMには受信変換部10の動作制御を行うための制御プログラムが記憶されている。制御部30は、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムをRAMに展開させることで、レベル判定部31、AGC電圧生成部32、レベル比較部33、AGC電圧補正部34として機能する。
【0025】
レベル判定部31は、第2検波器20の検波結果、すなわち、受信変換部10から出力される希望チャンネル(D)のみのIF信号に応じた第2検波電圧と予め設定されたレベル閾値と比較して高いか、低いか、希望チャンネル(D)の入力レベルの有無を判定し、判定結果を上位装置等に出力する。
【0026】
AGC電圧生成部32は、第3検波器22の検波結果、すなわち、受信変換部10から出力される希望チャンネル(D)のみのIF信号に応じた第3検波電圧に基づくAGC電圧を生成し、生成したAGC電圧をAGC電圧補正部34経由で利得可変型増幅器14にフィードバックすることで、受信変換部10から出力されるIF信号を概略一定の電力レベルに利得補正する。
【0027】
レベル比較部33は、第1検波器13の検波結果(第1検波電圧)と、第2検波器20の検波結果(第1検波電圧)に基づいて算出される隣接チャンネル閾値とを比較し、比較結果をAGC電圧補正部34に出力する。
【0028】
AGC電圧補正部34は、レベル比較部33から入力される比較結果に基づき、第1検波器13の検波結果(第1検波電圧)が隣接チャンネル閾値以下である場合、AGC電圧生成部32によって生成されたAGC電圧を補正することなくそのまま利得可変型増幅器14に出力する。
【0029】
AGC電圧補正部34は、レベル比較部33から入力される比較結果に基づき、第1検波器13の検波結果(第1検波電圧)が隣接チャンネル閾値を上回っている場合、隣接チャンネル(U)の信号レベルが所定のレベルよりも大きいと判断し、利得可変型増幅器14を構成する可変アッテネータでの減衰量が大きくなる方向にAGC電圧を補正し、補正したAGC電圧を利得可変型増幅器14に出力する。これにより、希望チャンネル(D)に隣接する隣接チャンネル(U)を、入力フィルタ2で十分に減衰できなかった場合に、隣接チャンネル(U)の信号レベルを抑えて、歪の発生を抑制できる。従って、隣接チャンネル耐性を強化でき、信号品質を劣化させることなく信号伝送することができる。
【0030】
AGC電圧を補正するAGC補正量は、予め設定された一律の値であっても良く、第1検波電圧と隣接チャンネル閾値との差分に応じて段階的もしくは直線的に、第1検波電圧と隣接チャンネル閾値との差分が大きくなるほど、利得可変型増幅器14を構成する可変アッテネータでの減衰量が大きくなるように制御しても良い。
【0031】
また、AGC補正量は、AGC電圧補正部34から第2検波器20に入力され、第2検波器20は、AGC補正量に応じた倍率で第2分配器19によって分配されたIF信号を増幅して検波する。すなわち、AGC電圧の補正による利得可変型増幅器14を構成する可変アッテネータでの減衰量をキャンセルするように、第2検波器20は、第2分配器19によって分配されたIF信号をAGC補正量に応じて増幅する。これにより、AGC電圧補正部34によってAGC電圧を補正しても、第2検波器20の検波結果(第2検波電圧)に影響が表れることがない。
【0032】
以上説明したように、本実施形態は、受信された地デジ放送信号(UHF信号)を帯域制限して希望チャンネル(D)と、減衰させた隣接チャンネル(U)とを通過させる入力フィルタ2と、入力フィルタ2を経由して入力されたUHF信号を中間周波数信号(IF信号)に変換する受信変換部10と、変換されたIF信号をデジタル処理するデジタル信号処理部40と、デジタル処理されたIF信号をUHF信号に変換する送信変換部50とを有する放送波中継装置であって、受信変換部10は、自動利得制御機能(AGC機能)を有し、希望チャンネル(D)と隣接チャンネル(U)とを含むUHF信号の検波結果と、希望チャンネル(D)のみに帯域制限されたIF信号の検波結果と基づいて、隣接チャンネル(U)の信号レベルが所定のレベルよりも大きいと判断された場合、AGC機能を用いてUHF信号の減衰量を大きくする。
この構成により、希望チャンネル(D)に隣接する隣接チャンネル(U)を、入力フィルタ2で十分に減衰できなかった場合に、隣接チャンネル(U)の信号レベルを抑えて、歪の発生を抑制できる。従って、隣接チャンネル耐性を強化でき、信号品質を劣化させることなく信号伝送することができる。
【0033】
さらに、本実施形態において、受信変換部10は、入力フィルタ2を経由して入力されたUHF信号を検波する第1検波器13と、入力フィルタ2を経由して入力されたUHF信号を自動利得制御用のAGC電圧に応じた利得で増幅する利得可変型増幅器14と、利得可変型増幅器14によって増幅されたUHF信号をIF信号に変換する周波数変換器15と、周波数変換器15によって変換されたIF信号を帯域制限して隣接チャンネル(U)が除去された希望チャンネル(D)だけを通過させる帯域制限フィルタ18と、帯域制限フィルタ18を通過したIF信号を検波する第2検波器20と、第1検波器13の検波結果と第2検波器20の検波結果に基づいて算出される隣接チャンネル閾値とを比較するレベル比較部33と、レベル比較部33の比較結果に基づき、第1検波器13の検波結果が隣接チャンネル閾値を上回っている場合、隣接チャンネル(U)の信号レベルが所定のレベルよりも大きいと判断し、UHF信号の減衰量が大きくなる方向にAGC電圧を補正するAGC電圧補正部34とを備えている。
【0034】
さらに、本実施形態において、レベル比較部33は、第2検波器20の検波結果に基づいて、UHF信号が希望チャンネル(D)のみである場合の第1検波器13の検波結果を利得可変型増幅器14の増幅量を加味して推定し、予め設定された1以上の正の係数を乗算もしくは正の値を加算することで隣接チャンネル閾値を算出する。
この構成により、第2検波器20の検波結果を用いて、隣接チャンネル(U)の信号レベルの大小を正確に判断することができる。
【0035】
さらに、本実施形態において、第2検波器20の検波結果は、レベル判定部31による希望チャンネル(D)の入力レベルの有無の判定に用いられる。
この構成により、希望チャンネル(D)の入力レベルの有無を判定するために設けられた第2検波器20の検波結果を用いて、隣接チャンネル(U)の信号レベルの大小を正確に判断することができる。
【0036】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【符号の説明】
【0037】
1 受信アンテナ
2 入力フィルタ
3 周波数変換装置
4 パワーアンプ
5 出力フィルタ
6 送信アンテナ
10 受信変換部
11 UHF増幅器
12 第1分配器
13 第1検波器
14 利得可変型増幅器
15 周波数変換器
16 局部発振器
17 増幅器
18 帯域制限フィルタ
19 第2分配器
20 第2検波器
21 第3分配器
22 第3検波器
30 制御部
31 レベル判定部
32 AGC電圧生成部
33 レベル比較部
34 AGC電圧補正部
40 デジタル信号処理部
50 送信変換部
図1
図2
図3