(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20241202BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20241202BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20241202BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20241202BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20241202BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20241202BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
H01L29/78 301G
H01L29/78 301D
H01L27/088 C
H01L27/04 C
H01L29/06 301F
H01L29/06 301R
(21)【出願番号】P 2021154191
(22)【出願日】2021-09-22
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 香奈子
(72)【発明者】
【氏名】篠原 大輔
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-320047(JP,A)
【文献】特開2008-034738(JP,A)
【文献】特開2015-216218(JP,A)
【文献】特開2021-048168(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0372985(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 21/822
H01L 21/8234
H01L 27/04
H01L 27/088
H01L 29/06
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体の基板と、
前記基板の表面を含んだ表面領域中の第1導電型の第1ウェルと、
前記第1ウェルの表面の領域中の第2導電型の第1不純物領域と、
前記基板の前記表面領域中で前記第1不純物領域とともに前記第1ウェルの一部を挟む前記第2導電型の第2不純物領域と、
前記基板の前記表面上の第1絶縁体と、
前記第1絶縁体上で前記第1ウェルの一部及び前記第2不純物領域の一部に亘るゲート電極と、
前記ゲート電極の上面上及び前記第2不純物領域の上方の領域に亘る第2絶縁体と、
前記第2絶縁体上の第1導電体と、
前記第2不純物領域と接する第1コンタクトプラグと、
前記第1コンタクトプラグと接し、前記第1導電体の上方に位置する第2導電体と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記第1絶縁体は、前記第2不純物領域に接し、
前記第2絶縁体は、前記第2不純物領域の上方で前記第1絶縁体上に位置し、
前記第1導電体は、前記第2不純物領域の上方で前記第2絶縁体上に位置する、
請求項
1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1導電体は、前記第1コンタクトプラグと面する、
請求項
2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2不純物領域は、
前記第1ウェルと接する第3不純物領域と、
前記第3不純物領域及び前記第1コンタクトプラグと接する第2ウェルと、
を備え、
前記ゲート電極は、前記第1ウェルの上方の領域及び前記第3不純物領域の上方の領域に亘り、
前記第1導電体は、前記ゲート電極の上面の上方の領域及び前記第3不純物領域の上方の領域に亘る、
請求項
1乃至
3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2不純物領域の表面を含んだ領域に位置する第3絶縁体をさらに備え、
前記第1絶縁体は、前記第3絶縁体上に位置する、
請求項1乃至請求項
4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2不純物領域の表面を含んだ領域に位置する第3絶縁体をさらに備え、
前記第3絶縁体の側面は、前記第1ウェルと離れており、
前記第3絶縁体の底面は、前記第2不純物領域の底面と離れており、
前記第1絶縁体は、前記第3絶縁体上に位置する、
請求項1乃至請求項
4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2不純物領域の上方で前記第1絶縁体上に位置する第4絶縁体をさらに備え、
前記ゲート電極は、前記第4絶縁体上に位置し、
前記第2絶縁体は、前記第2不純物領域の上方で前記第4絶縁体上に位置し、
前記第1導電体は、前記第2不純物領域の上方で前記第2絶縁体上に位置する、
請求項1乃至請求項
4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2不純物領域と前記第1コンタクトプラグの間のシリサイドをさらに備える、
請求項
1乃至請求項
4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力の制御等に半導体装置が用いられる。そのような半導体装置は、高い耐圧、低い抵抗及び高い信頼性を有することを求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2010/0314675号明細書
【文献】米国特許出願公開第2008/0054994号明細書
【文献】米国特許出願公開第2002/0197860号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高い耐圧、低い抵抗及び高い信頼性を有する半導体装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態による半導体装置は、半導体の基板と、上記基板の表面を含んだ表面領域中の第1導電型の第1ウェルと、上記第1ウェルの表面の領域中の第2導電型の第1不純物領域と、上記基板の上記表面領域中で上記第1不純物領域とともに上記第1ウェルの一部を挟む上記第2導電型の第2不純物領域と、上記基板の上記表面上の第1絶縁体と、上記第1絶縁体上で上記第1ウェルの一部及び上記第2不純物領域の一部に亘るゲート電極と、上記ゲート電極の上面上及び上記第2不純物領域の上方の領域に亘る第2絶縁体と、上記第2絶縁体上の第1導電体と、上記第2不純物領域と接する第1コンタクトプラグと、上記第1コンタクトプラグと接し、上記第1導電体の上方に位置する第2導電体と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態の半導体装置の断面の構造を示す。
【
図2】
図2は、参考用の半導体装置の断面の構造を示す。
【
図3】
図3は、第1実施形態の他の例の半導体装置の断面の構造を示す。
【
図4】
図4は、第1実施形態の他の例の半導体装置の断面の構造を示す。
【
図5】
図5は、第1実施形態の他の例の半導体装置の断面の構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に実施形態が図面を参照して記述される。以下の記述において、略同一の機能及び構成を有する構成要素は同一の参照符号を付され、繰返しの説明は省略される場合がある。略同一の機能及び構成を有する複数の構成要素が相互に区別されるために、参照符号の末尾にさらなる数字又は文字が付される場合がある。
【0008】
図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なり得る。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。各実施形態は、この実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、実施形態の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定しない。
【0009】
以下、xyz直交座標系が用いられて、実施形態が記述される。以下の記述において、「下」との記述及びその派生語並びに関連語は、z軸上のより小さい座標の位置を指し、「上」との記述及びその派生語並びに関連語は、z軸上のより大きい座標の位置を指す。
【0010】
1.第1実施形態
1.1.構造(構成)
図1は、第1実施形態の半導体装置の断面の構造を示す。
図1に示されるように、半導体装置1は、トランジスタ2及びキャパシタ3を含む。トランジスタ2は、プレーナ構造を有する(又はプレーナ型である)MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であるとともに、ソース、ゲート電極、及びドレインがxy面において並ぶ限り、どのような構造を有していてもよい。そのような構造は、DMOS(Double Diffused Metal Oxide Semiconductor field effect transistor)、LDMOS(Laterally Disused Metal Oxide Semiconductor field effect transistor)、DEMOS(Drain Extended Metal Oxide Semiconductor field effect transistor)、EDMOS(Extended Drain Metal Oxide Semiconductor field effect transistor)を含む。
図1及び以下の記述は、トランジスタ2がLDMOSである例に基づく。その他の例については、以下の記述から、当業者によって類推されることが可能であり、他の例のうちのいくつかは、後に記述される。
【0011】
図1に示されるように、半導体装置1は、例えばシリコンの基板4を含む。基板4は、p型を有する。p型の構成要素及び領域は、p型のキャリアを含む。p型の構成要素又は領域は、n型不純物およびp型不純物の両方を含んでいる場合、n型不純物の濃度より高いp型不純物の濃度を有する。
【0012】
基板4の上面を含む領域にn型のディープウェル又は不純物領域(ディープnウェル)5が形成されている。ディープnウェル5の上面を含む領域にp型のウェル又は不純物領域(pウェル)6が設けられている。n型の構成要素及び領域は、n型のキャリアを含む。n型の構成要素又は領域は、n型不純物およびp型不純物の両方を含んでいる場合、p型不純物の濃度より高いn型不純物の濃度を有する。pウェル6の一部は、後述のように、トランジスタ2のボディー領域として機能する。
【0013】
ディープnウェル5の上面を含む領域にn型のドリフト領域(不純物領域)7が設けられている。n型ドリフト領域7は、pウェル6と接していてもよいし、接していなくてもよい。
【0014】
ディープnウェル5の上面を含む領域にn型のウェル(不純物領域)8が設けられている。nウェル8は、n型ドリフト領域7よりもpウェル6から遠くに位置する。nウェル8は、n型ドリフト領域7と接する。
【0015】
ディープnウェル5の上面を含む領域に、絶縁体(絶縁体層)11が設けられている。絶縁体11は、xy面において(平面視において)、トランジスタ2を囲み、素子分離絶縁体として機能する。絶縁体11の一部は、pウェル6の上面を含む領域に位置する。絶縁体11の別の一部は、nウェル8の上面を含む領域に位置する。絶縁体11は、STI(Shallow Trench Isolation)により形成されている。
【0016】
pウェル6の表面を含む領域は、トランジスタ2のボディー領域として機能する。ボディー領域のうちの、上面を含む領域はチャネル領域として機能する。チャネル領域は、トランジスタ2がオンしている間にチャネルが形成される領域である。
【0017】
pウェル6の上面を含む領域に、p+型バックゲート領域13が設けられている。導電型を示す「n」または「p」の上付き文字「+」および「-」は、相対的なキャリア濃度を示す。例えば、p+型の領域は、p型の領域より高いキャリア濃度を有する。キャリア濃度は、当該キャリア濃度を有する領域が、p型不純物及びn型不純物の両方を含んでいる場合、n型不純物によって相殺される分のp型不純物を除いたp型不純物の濃度を指す。n型についても同様であり、p型不純物についての記述の中の「n」と「p」を置換した記述が、n型についての記述として当てはまる。
【0018】
pウェル6の上面を含む領域に、n+型ソース領域14が設けられている。p+型バックゲート領域13及びn+型ソース領域14の表面上にシリサイド19が設けられている。
【0019】
n型ドリフト領域7及びnウェル8の上面を含む領域に絶縁体16が設けられている。絶縁体16は、n型ドリフト領域7及びnウェル8に亘って広がる。絶縁体16の底面は、n型ドリフト領域7の底面と重ならず、よって、絶縁体16の下方にn型ドリフト領域7の一部が位置する。絶縁体16のx軸に沿って並ぶ2つの縁のうち、nウェル8から遠い方の縁は、n型ドリフト領域7の2つの縁のうちのnウェル8から遠い方の縁と重ならない。よって、絶縁体16の側方にn型ドリフト領域7の一部が位置する。絶縁体16は、STIにより形成され、例えば、絶縁体11と同じ工程により形成される。
【0020】
nウェル8の上面を含む領域に、n+型ドレイン領域17が設けられている。n+型ドレイン領域17の表面上にシリサイド19が設けられている。
【0021】
基板4の上面上、すなわち、ディープnウェル5の上面上に、絶縁体18が設けられている。絶縁体18は、pウェル6、n型ドリフト領域7及びnウェル8の上面上に位置する。絶縁体18の一部は、トランジスタ2のゲート絶縁体として機能する。
【0022】
絶縁体18の上面の一部に導電体21が設けられている。導電体21は、x軸に沿って延び、少なくとも、pウェル6の上方の領域と、絶縁体16の上方の領域とに亘って連続して設けられている。導電体21はトランジスタ2のゲート電極として機能する。導電体21は連続して設けられており、よって、導電体21は、導電体21への電位の印加により、全体に亘って同じ電位を有し、導電体21全体がゲート電極として機能する。以下、導電体21は、ゲート電極21と称される場合がある。絶縁体18のうちのゲート電極21の下方の部分は、トランジスタ2のゲート絶縁体として機能する。ゲート電極21は、例えば、導電性のポリシリコンを含むか、導電性のポリシリコンからなる。ゲート電極21は、上面を含む上部において、シリサイドを含んでいてもよい。
【0023】
ゲート電極21のx軸に沿って並ぶ2つの側面のうちの一方(pウェル6の位置する側の側面)は、側壁絶縁体22により覆われている。側壁絶縁体22は、複数の絶縁体の組から構成されていてもよい。側壁絶縁体22の一部は、pウェル6の上方に位置する。
【0024】
p+型バックゲート領域13及びn+型ソース領域14の表面のシリサイド19上にコンタクトプラグ25が設けられている。コンタクトプラグ25は、底面においてシリサイド19と接している。
【0025】
コンタクトプラグ25の上面上に、導電体26が設けられている。導電体26は、トランジスタ2のソースと接続されるノードの一部として機能する。
【0026】
n+型ドレイン領域17の表面のシリサイド19上に、コンタクトプラグ28が設けられている。コンタクトプラグ28は、底面においてシリサイド19と接する。以下、コンタクトプラグ28は、ドレインコンタクトプラグ28と称される場合がある。
【0027】
ドレインコンタクトプラグ28の上面上に、導電体29が設けられている。導電体29は、トランジスタ2のドレインのノードの一部として機能し、以下、ドレイン配線29と称される場合がある。ドレイン配線29は、ドレインコンタクトプラグ28の上方の領域から、ゲート電極21の上方の領域まで延びる。ドレイン配線29は、例えば、コンタクトプラグ28の上方の領域から、絶縁体16の上方の領域まで延びる。ドレイン配線29は、例えば、コンタクトプラグ28の上方の領域から、n型ドリフト領域7と絶縁体16の境界から若干コンタクトプラグ28に近い領域まで延びる。
【0028】
ゲート電極21の上面上の領域の一部から絶縁体18の上面上の一部の領域に亘って絶縁体31が連続的に設けられている。絶縁体31は、x軸に沿って並ぶ第1端及び第2端を有する。絶縁体31の第1端は、x軸上で、ドレイン配線29の端と、n型ドリフト領域7と絶縁体16の境界との間に位置する。絶縁体31の第1端は、少なくとも、絶縁体16の上側の2つの角のうちのn+型ドレイン領域17側の角の上方に位置する。絶縁体31の第2端は、絶縁体18上に位置し、例えば、例えばコンタクトプラグ28の近くに位置する。
【0029】
絶縁体31の上面上に導電体32が連続的に設けられている。導電体32は、第1端及び第2端を有する。導電体32の第1端及び第2端は、絶縁体31の第1端及び第2端とそれぞれ一致する。ここで、一致とは、絶縁体31が導電体32をマスクとした絶縁体の部分的な除去によって形成される結果として、絶縁体31の一端と導電体32の一端がx軸上で並んでいることを指し、形成の際の誤差による不一致を含む。導電体32は、例えば、導電性のポリシリコンを含むか、導電性のポリシリコンからなる。導電体32は、或る電位を印加されていてもよいし、電気的にフローティングとされていてもよい。
【0030】
絶縁体31の第1端(pウェル6の側の端)及びゲート電極21の第1端(pウェル6の側の端)は、側壁絶縁体22により覆われている。絶縁体31の第2端(nウェル8の側の端)及びゲート電極21の第2端(nウェル8の側の端)は、側壁絶縁体22により覆われている。
【0031】
ディープnウェル5の上面を含む領域に、絶縁体34が設けられている。絶縁体34は、STIにより形成されている。キャパシタ3は、絶縁体34の上方において、絶縁体18の上面上に設けられている。キャパシタ3は、導電体35、絶縁体36、及び導電体37を含む。導電体35は、絶縁体18の上面上に位置する。導電体35及び導電体21は、同じ導電体に由来し、或る導電体の一部からなる。すなわち、導電体35及び導電体21は、或る導電体の部分的な除去によって形成される。よって、導電体35は、例えばポリシリコンを含むか、ポリシリコンからなる。
【0032】
絶縁体36は、導電体35の上面上に位置する。絶縁体36及び絶縁体31は、同じ絶縁体に由来し、或る絶縁体の一部からなる。すなわち、絶縁体36及び絶縁体31は、或る絶縁体の部分的な除去によって形成される。
【0033】
導電体37は、絶縁体36の上面上に位置する。導電体37及び導電体32は、同じ導電体に由来し、或る導電体の一部からなる。すなわち、導電体37及び導電体32は、或る導電体の部分的な除去によって形成される。よって、導電体37は、例えばポリシリコンを含むか、ポリシリコンからなる。
【0034】
導電体35及び導電体37は、キャパシタ以外の素子の一部であってもよい。すなわち、導電体35及び導電体37を含むキャパシタ以外の素子が、トランジスタ2とともに半導体装置1に混載されていてもよい。
【0035】
1.2.利点(効果)
第1実施形態によれば、以下に記述されるように、高い耐圧、低い抵抗及び信頼性を有する半導体装置が提供されることが可能である。
【0036】
基板中の或る領域の電界の発生、強度、及び(又は)分布は、この領域の周囲に位置するとともに動作の間に電位を印加される配線に影響される。具体的には、基板中の或る領域の電界は、この領域と周囲の配線の配置及び(又は)距離、並びに(或いは)配線の形状などにより影響される。
【0037】
第1実施形態の半導体装置1は、基板4とドレイン配線29の間に位置する部分を含んだ導電体32を含む。基板4中に生成される電界は、基板と周囲の導電体、特に、トランジスタ2が動作している間に高電位を印加されるドレイン配線29との距離に影響される。ドレイン配線29の位置が基板から遠いほど、基板4中に生成される電界は弱い。電界は、電界が生成され得る領域中の2か所の距離に反比例するからである。しかしながら、ドレイン配線29の位置を基板4から容易に遠ざけることができない場合がある。第1実施形態によれば、ドレイン配線29と基板4との間に内部に電位を生成され得る導電体32が設けられる。この導電体32により、基板4とドレイン配線29との間の電界の分布が変化し、ドレイン配線29への電位の印加によって基板4中で生成される電界の強度を緩和できる。
【0038】
また、導電体32は、基板4とドレインコンタクトプラグ28の間に位置する部分も含む。基板4とドレイン配線29との間に位置する部分について記述されるのと同じメカニズムにより、ドレインコンタクトプラグ28と基板4との間に内部に電位を生成され得る導電体32が、ドレインコンタクトプラグ28への電位の印加によって基板4中で生成される電界の強度を緩和できる。
【0039】
また、第1実施形態によれば、以下に記述されるように、基板4中で、特に電界が高い箇所での電界の強度、ひいては、インパクトイオン化の発生が抑制されることが可能である。
【0040】
図1のトランジスタ2を含め、トランジスタでは、基板のうちのゲート電極の下方の部分において、ゲート電極下方の部分のうちでドレインに近い部分において、強い電界が生じやすい。強い電界は、トランジスタの耐圧を低下させる。
【0041】
また、強い電界は、強い電界の領域を通過する電子をホットキャリアにし、ホットキャリアは、インパクトイオン化(Impact Ionization)を起こし得る。インパクトイオン化によって生じた電子がゲート絶縁体またはSTIにより形成される絶縁体等の絶縁体にトラップされることによるトランジスタの特性の変化を起こし得る。これらは、トランジスタの信頼性の低下を意味する。
【0042】
発明者らは、ドレイン配線の形状の違いに基づく、電界の分布及びインパクトイオンの分布についてシミュレーションを行った。シミュレーションは、トランジスタ101を含んだ半導体装置100、及びトランジスタ201を含んだ半導体装置200について行われた。半導体装置100は、半導体装置1が絶縁体31及び導電体32を含まない構造を有する。半導体装置100では、絶縁体31及び導電体32が設けられないため、後述の
図2に示されるのと同じく、ゲート電極21の両方の側面は側壁絶縁体22によって覆われている。
【0043】
半導体装置200は、半導体装置100に類似する。すなわち、半導体装置100は半導体装置1と同じくドレイン配線29を含むのに対して、半導体装置200は、
図2に示されるように、ドレイン配線29に代えてドレイン配線129を有する。ドレイン配線129は、階段上になっている。すなわち、ドレイン配線129は、コンタクトプラグ28と接するとともに第1高さに位置する第1部分129Aと、ゲート電極21の上方に位置するとともに第1高さより高い第2高さに位置する第2部分129Bと、を含む。すなわち、ドレイン配線129は、平面視においてゲート電極21と重なる第2部分129Bにおいて、ゲート電極21と間隔を設けられている。
【0044】
シミュレーションの結果、トランジスタ201は、n型ドリフト領域7の上面を含む領域のうちの絶縁体16と接する領域ACU及びn型ドリフト領域7のうち絶縁体16の下側の角と接する領域ACLにおいて、トランジスタ101よりも弱い電界を有することが分かった。また、電界が弱いことに起因して、トランジスタ201の領域ACU及びACLにおいて、トランジスタ101よりもインパクトイオン化の発生が少ないことが分かった。このシミュレーションの結果は、ドレイン配線129が、ゲート電極21の上方の第2部分129Bにおいて、他の部分(例えば第1部分129A)よりも高い位置に位置することに少なくとも一部起因すると考えられる。
【0045】
第1実施形態において、導電体32は、電圧を受けることにより、内部に電界を生じる。このため、ドレイン配線29への電位の印加により、導電体32の内部に電界が生成される。よって、ドレイン配線29への電位の印加によって内部に電界を生成するドレイン配線29、導電体32、及び基板4の配置(すなわち、相対的な位置関係)は、参考用の半導体装置200でのドレイン配線129の第2部分129B、ドレイン配線129の第1部分129A、及び基板4の配置と同様である。よって、ドレイン配線29への電位の印加に応答した電界の生成において、ドレイン配線29、導電体32、及び基板4は、それぞれドレイン配線129の第2部分129B、ドレイン配線129の第1部分129A、及び基板4にそれぞれ対応する役割を果たす。この結果、トランジスタ2では、トランジスタ201と同じく、領域ACU及びACLにおいて、トランジスタ101よりも生成される電界が弱いとともに発生するインパクトイオン化が少ない。よって、トランジスタ2は、トランジスタ101よりも高い耐圧及び信頼性を有する。
【0046】
さらに、第1実施形態によれば、絶縁体31はキャパシタ3の絶縁体36と同じ絶縁体から形成され、導電体32はキャパシタ3の導電体37と同じ導電体から形成される。絶縁体31及び導電体32の成形は、絶縁体31及び導電体32が形成されるか否かに関わらず形成されるキャパシタ3の絶縁体36及び導電体37の成形のための工程によって行われることが可能である。よって、絶縁体31及び導電体32の形成のための追加の工程は不要であり、絶縁体31及び導電体32が容易に形成されることが可能である。
【0047】
1.3.トランジスタの他の構造の例(変形例)
図1を参照して記述されるように、トランジスタ2は、プレーナ構造を有するMOSFETであるとともに、ソース、ゲート電極、及びドレインがxy面において並ぶ限り、どのような構造を有していてもよい。以下に、トランジスタ2及びそれを含んだ半導体装置1の他の例が記述される。以下、各例において半導体装置1との違いを主に記述する。
【0048】
図3は、第1実施形態の他の例の半導体装置1の断面の構造を示す。半導体装置1bは、トランジスタ2bを含む。トランジスタ2bは、絶縁体16を含まない点で、トランジスタ2と異なる。
【0049】
図4は、第1実施形態の他の例の半導体装置1の断面の構造を示す。半導体装置1cは、トランジスタ2cを含み、トランジスタ2cはゲート電極21cを含む。半導体装置1cは、絶縁体16を含まず、絶縁体41を含む。絶縁体41は、絶縁体18の上面の一部の上に位置し、絶縁体41は、n型ドリフト領域7の上方の領域及びnウェル8の上方の領域に亘って広がる。ゲート電極21cは、部分的に、絶縁体41の上面上に位置する。ゲート電極21cは、絶縁体41上の部分において、他の部分の底面の位置より高い位置に位置する底面を有する。
【0050】
図5は、第1実施形態の他の例の半導体装置1の断面の構造を示す。半導体装置1dは、トランジスタ2dを含み、トランジスタ2dはゲート電極21dを含む。半導体装置1dは、絶縁体16を含まず、絶縁体42を含む。絶縁体42は、n型ドリフト領域7の上方の領域及びn
+型ドレイン領域17の上方の領域に亘って広がる。絶縁体42は、LOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)によって形成されている。よって、絶縁体42は、基板4の上面から隆起している。絶縁体18dは、部分的に、絶縁体42の上面上に位置し、よって、絶縁体42の上面に沿って延びる。ゲート電極21dは、絶縁体42の上方の部分において、他の部分の底面の位置より高い位置に位置する底面を有する。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0052】
1…半導体装置、2…トランジスタ、3…キャパシタ、4…基板、5…ディープnウェル、6…pウェル、7…n型ドリフト領域、8…nウェル、11…絶縁体、13…p+型バックゲート領域、14…n+型ソース領域、16…絶縁体、17…n+型ドレイン領域、18…絶縁体、21…ゲート電極、22…側壁絶縁体、25…コンタクトプラグ、26…導電体、28…コンタクトプラグ、29…導電体、31…絶縁体、32…導電体、35…導電体、36…絶縁体、37…導電体。