(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】準備体操評価装置、準備体操評価方法、及び準備体操評価プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/30 20180101AFI20241202BHJP
【FI】
G16H50/30
(21)【出願番号】P 2021164574
(22)【出願日】2021-10-06
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000235543
【氏名又は名称】飛島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 佳久
(72)【発明者】
【氏名】向井 孝徳
【審査官】成瀬 博之
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-504298(JP,A)
【文献】特開2006-302122(JP,A)
【文献】特開2021-051400(JP,A)
【文献】特開2021-015593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06T 7/00- 7/90
G06V 10/00-40/20
A61B 5/06- 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手本動画に合わせて準備体操を行う評価対象者の体調管理を支援する準備体操評価装置であって、
模範演者による前記準備体操の動画データを手本動画データとして記憶する記憶部と、
前記手本動画データを再生して所定の表示手段に表示させる手本動画再生部と、
前記表示された手本動画に合わせて前記準備体操を行う評価対象者の身体動作画像を所定の撮像手段を介して取得して、前記取得された身体動作画像から前記評価対象者の身体の各部位の位置を時系列的に認識する身体動作取得部と、
予め前記手本動画データ中の複数の再生位置に対して設定された比較基準データと、前記複数の再生位置に対応する前記時系列的に認識された前記評価対象者の身体の各部位の位置データとを、それぞれ比較して一致度を算出する身体動作判定部と、
前記算出された一致度を集計して、前記評価対象者の身体動作を採点し、前記採点された結果を前記手本動画に対する体操評価点数として前記所定の表示手段に表示させる身体動作採点部と、
前記評価対象者個人の体調評価用の比較基準データを生成する評価基準データ生成部と、
前記手本動画再生部、前記身体動作取得部、前記身体動作判定部、前記身体動作採点部、及び評価基準データ生成部を機能させるとともに、前記準備体操評価装置全般を制御する制御部と、を備え、
前記比較基準データは、前記手本動画データの特定の再生位置での前記模範演者の身体の各部位の位置データであり、
前記身体動作採点部は、前記評価対象者の前記体操評価点数の採点に用いられた、前記複数の再生位置における前記評価対象者の身体の各部位の位置データを、前記評価対象者個人の体調評価用の比較基準データを設定するための学習用データとして前記記憶部に保存し、
前記評価基準データ生成部は、
前記評価対象者が新たに前記準備体操を実行するごとに、前記記憶部に保存された
当該評価対象者の前記学習用データを
読み出して、
前記学習用データに含まれる前記評価対象者が過去に実行した前記準備体操と前記新たに実行された前記準備体操のそれぞれにおける前記複数の再生位置での前記評価対象者の身体の各部位の位置データを入力として、前記複数の再生位置のそれぞれにおける前記評価対象者の身体の各部位の位置が示す傾向(特徴量)を算出する機械学習を実行させ、前記機械学習により算出された傾向(特徴量)に基づいて、前記複数の再生位置のそれぞれにおける前記評価対象者の身体の各部位の標準的な位置を特定する前記評価対象者個人の体調評価用の比較基準データを生成し、
前記身体動作判定部は、さらに前記身体動作取得部によって認識された前記評価対象者の身体の各部位の位置データと、前記評価対象者個人の体調評価用の比較基準データとを比較して一致度を算出し、
前記身体動作採点部は、前記評価対象者個人の体調評価用の比較基準データに対する前記一致度を集計して採点した結果を前記評価対象者の体調評価点数として前記所定の表示手段に表示させ
、
前記傾向(特徴量)は、前記評価対象者個人に特有の動きが反映された身体の部位及び位置で構成されることを特徴とする準備体操評価装置。
【請求項2】
手本動画に合わせて準備体操を行う評価対象者の体調管理を支援する準備体操評価方法であって、
模範演者による前記準備体操の動画データを手本動画データとして記憶する記憶部と、前記手本動画データを再生して所定の表示手段に表示させる手本動画再生部と、前記表示された手本動画に合わせて前記準備体操を行う評価対象者の身体動作画像を取得して、前記取得された身体動作画像から前記評価対象者の身体の各部位の位置を時系列的に認識する身体動作取得部と、予め前記手本動画データ中の複数の再生位置に対して設定された比較基準データと、前記複数の再生位置に対応する前記時系列的に認識された前記評価対象者の身体の各部位の位置データとを、それぞれ比較して一致度を算出する身体動作判定部と、前記算出された一致度を集計して、前記評価対象者の身体動作を採点し、前記採点した結果を前記手本動画に対する体操評価点数として前記所定の表示手段に表示させる身体動作採点部と、前記評価対象者個人の体調評価用の比較基準データを生成する評価基準データ生成部と、前記の各部、及び装置全般を制御する制御部とを備える準備体操評価装置を用い、
前記制御部が、
前記手本動画再生部に、前記手本動画データを再生させて前記所定の表示手段に表示させる段階と、
前記身体動作取得部に、前記表示された手本動画に合わせて前記準備体操を行う評価対象者の身体動作画像を取得させて、前記取得された身体動作画像から前記評価対象者の身体の各部位の位置を時系列的に認識させる段階と、
前記身体動作判定部に、予め前記手本動画データ中の複数の再生位置に対して設定された比較基準データと、前記複数の再生位置に対応する前記時系列的に認識された前記評価対象者の身体の各部位の位置データとを、それぞれ比較して一致度を算出させる段階と、
前記身体動作採点部に、前記算出された一致度を集計して、前記評価対象者の身体動作を採点し、前記採点した結果を前記手本動画に対する体操評価点数として前記表示手段に表示させる段階と、を含み、
ここで、前記比較基準データは、前記手本動画データの特定の再生位置での前記模範演者の身体の各部位の位置データであり、
前記制御部が、
前記身体動作採点部に、前記評価対象者の前記体操評価点数の採点に用いられた、前記複数の再生位置における前記評価対象者の身体の各部位の位置データを、前記評価対象者個人の体調評価用の比較基準データを設定するための学習用データとして前記記憶部に保存させる段階と、
前記評価基準データ生成部に、
前記評価対象者が新たに前記準備体操を実行するごとに、前記記憶部に保存された
当該評価対象者の前記学習用データを
読み出して、
前記学習用データに含まれる前記評価対象者が過去に実行した前記準備体操と前記新たに実行された前記準備体操のそれぞれにおける前記複数の再生位置での前記評価対象者の身体の各部位の位置データを入力として、前記複数の再生位置のそれぞれにおける前記評価対象者の身体の各部位の位置が示す傾向(特徴量)を算出する機械学習を実行させ、前記機械学習により算出された傾向(特徴量)に基づいて、前記複数の再生位置のそれぞれにおける前記評価対象者の身体の各部位の標準的な位置を特定する前記評価対象者個人の体調評価用の比較基準データを生成させる段階と、
前記身体動作判定部に、前記身体動作取得部によって認識された前記評価対象者の身体の各部位の位置データと、前記評価対象者個人の体調評価用の比較基準データとを比較して一致度を算出させる段階と、
前記身体動作採点部に、前記評価対象者個人の体調評価用の比較基準データに対する前記一致度を集計して採点した結果を前記評価対象者の体調評価点数として前記所定の表示手段に表示させる段階とをさらに含
み、
前記傾向(特徴量)は、前記評価対象者個人に特有の動きが反映された身体の部位及び位置で構成されることを特徴とする準備体操評価方法。
【請求項3】
模範演者によ
る準備体操の動画データを手本動画データとして記憶する記憶部と、前記手本動画データを再生して所定の表示手段に表示させる手本動画再生部と、前記表示された手本動画に合わせて前記準備体操を行う評価対象者の身体動作画像を所定の撮像手段を介して取得して、前記取得された身体動作画像から前記評価対象者の身体の各部位の位置を時系列的に認識する身体動作取得部と、予め前記手本動画データ中の複数の再生位置に対して設定された比較基準データと、前記複数の再生位置に対応する前記時系列的に認識された前記評価対象者の身体の各部位の位置データとを、それぞれ比較して一致度を算出する身体動作判定部と、前記算出された一致度を集計して、前記評価対象者の身体動作を採点し、前記採点した結果を前記手本動画に対応した体操評価点数として前記所定の表示手段に表示させる身体動作採点部と、前記評価対象者個人の体調評価用の比較基準データを生成する評価基準データ生成部と、前記の各部、及び装置全般を制御する制御部とを備える準備体操評価装置に、前記手本動画に合わせて準備体操を行う評価対象者の身体動作の一致度を算出して採点する処理を実行させる準備体操評価プログラムであって、
前記準備体操評価装置の前記制御部に、
前記手本動画再生部に、前記手本動画データを再生させて前記所定の表示手段に表示させる段階と、
前記身体動作取得部に、前記表示された手本動画に合わせて前記準備体操を行う評価対象者の身体動作画像を取得させて、前記取得された身体動作画像から前記評価対象者の身体の各部位の位置を時系列的に認識させる段階と、
前記身体動作判定部に、予め前記手本動画データ中の複数の再生位置に対して設定された比較基準データと、前記再生位置に対応する前記時系列的に認識された前記評価対象者の身体の各部位の位置データとを、それぞれ比較して一致度を算出させる段階と、
前記身体動作採点部に、前記算出された一致度を集計して、前記評価対象者の身体動作を採点し、前記採点した結果を前記手本動画に対する体操評価点数として前記表示手段に表示させる段階と、を実行させ、
前記身体動作採点部に、前記評価対象者の前記体操評価点数の採点に用いられた、前記複数の再生位置における前記評価対象者の身体の各部位の位置データを、前記評価対象者個人の体調評価用の比較基準データを設定するための学習用データとして前記記憶部に保存させる段階と、
前記評価基準データ生成部に、
前記評価対象者が新たに前記準備体操を実行するごとに、前記記憶部に保存された
当該評価対象者の前記学習用データを
読み出して、
前記学習用データに含まれる前記評価対象者が過去に実行した前記準備体操と前記新たに実行された前記準備体操のそれぞれにおける前記複数の再生位置での前記評価対象者の身体の各部位の位置データを入力として、前記複数の再生位置のそれぞれにおける前記評価対象者の身体の各部位の位置が示す傾向(特徴量)を算出する機械学習を実行させ、前記機械学習により算出された傾向(特徴量)に基づいて、前記複数の再生位置のそれぞれにおける前記評価対象者の身体の各部位の標準的な位置を特定する前記評価対象者個人の体調評価用の比較基準データを生成させる段階と、
前記身体動作判定部に、前記身体動作取得部によって認識された前記評価対象者の身体の各部位の位置データと、前記評価対象者個人の体調評価用の比較基準データとを比較して一致度を算出させる段階と、
前記身体動作採点部に、前記評価対象者個人の体調評価用の比較基準データに対する前記一致度を集計して採点した結果を前記評価対象者の体調評価点数として前記所定の表示手段に表示させる段階とをさらに実行させ
、
前記傾向(特徴量)は、前記評価対象者個人に特有の動きが反映された身体の部位及び位置で構成されることを特徴とする準備体操評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、準備体操評価装置、準備体操評価方法、及び準備体操評価プログラムに関し、特に、評価対象者の体操動作を撮影した画像に基づいて、評価対象者の体調管理を支援する準備体操評価装置、準備体操評価方法、及び準備体操評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
建設業や運送業などの現場では、作業員が始業時に準備体操を行って体をほぐし、事故や怪我の防止、さらには体調の管理に活用することが行われている。職場の監督者や管理職は、配下の作業員の準備体操の様子から体調不良や心理的なストレスの強弱を把握し、気になる場合には声掛けすることでトラブルを未然に防いでいる。
【0003】
しかしながら、作業員が行う準備体操の動作に、気になる点があるか否かの人による判断は、感覚的なものであり、必ず異変に気付ける訳ではない。また、管理監督者が体操を行っている全ての作業員の動作を同時に観察して異常を発見することも現実的ではない。そこで、人に依らない評価手法が求められる。
【0004】
人の身体動作を手本となる動作と比較して評価する方法として、例えば、特許文献1には、携帯端末装置の筐体内に搭載された角速度センサ等のモーションセンサでユーザのゴルフスイングを検出する技術が提案されている。また、特許文献2には、規範技能者の動きを適切に真似ることができているか否かを実施者が実施者自身で判断することを可能にする技術が提案されている。
【0005】
これらの技術は、あくまでも手本となる動きとの差異を計るものであって、手本を参照しながら運動を行っている個人の通常の動きに対する異常を検出することには対応できていないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-68947号公報
【文献】特開2014-57800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、手本動画にしたがって準備体操を行う評価対象者の体調管理を支援する準備体操評価装置、準備体操評価方法、及び準備体操評価プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による準備体操評価装置は、手本動画に合わせて準備体操を行う評価対象者の体調管理を支援する準備体操評価装置であって、模範演者による前記準備体操の動画データを手本動画データとして記憶する記憶部と、前記手本動画データを再生して所定の表示手段に表示させる手本動画再生部と、前記表示された手本動画に合わせて前記準備体操を行う評価対象者の身体動作画像を所定の撮像手段を介して取得して、前記取得された身体動作画像から前記評価対象者の身体の各部位の位置を時系列的に認識する身体動作取得部と、予め前記手本動画データ中の複数の再生位置に対して設定された比較基準データと、前記複数の再生位置に対応する前記時系列的に認識された前記評価対象者の身体の各部位の位置データとを、それぞれ比較して一致度を算出する身体動作判定部と、前記算出された一致度を集計して、前記評価対象者の身体動作を採点し、前記採点した結果を体操評価点数として前記所定の表示手段に表示させる身体動作採点部と、前記手本動画再生部、前記身体動作取得部、前記身体動作判定部、及び前記身体動作採点部を機能させるとともに、前記準備体操評価装置全般を制御する制御部と、を備え、前記比較基準データは、前記手本動画データの特定の再生位置での前記模範演者の身体の各部位の位置データであり、前記身体動作採点部は、前記評価対象者の前記体操評価点数を前記評価対象者個人の体調評価用の比較基準データを設定するための学習用データとして前記記憶部に保存することを特徴とする。
【0009】
前記身体動作採点部は、前記採点に用いられた、前記複数の再生位置における前記評価対象者の身体の各部位の位置データを、前記評価対象者個人の体調評価用の比較基準データを設定するための学習用データとして、前記評価対象者の前記体操評価点数とともに前記記憶部に保存し得る。
前記準備体操評価装置は、前記評価対象者個人の体調評価用の比較基準データを生成する評価基準データ生成部をさらに含み、前記評価基準データ生成部は、前記記憶部に保存された学習用データ及び体操評価点数を利用して、前記複数の再生位置のそれぞれにおける前記評価対象者自身の身体の各部位の標準的な位置を機械学習により算出し、前記算出された身体の各部位の標準的な位置に基づいて、前記評価対象者個人の体調評価用の比較基準データを生成し、前記身体動作判定部は、前記身体動作取得部によって認識された前記評価対象者の身体の各部位の位置データと、前記評価対象者個人の体調評価用の比較基準データとを比較して一致度を算出し、前記身体動作採点部は、前記評価対象者個人の体調評価用の比較基準データを利用して採点した結果を体調評価点数として前記所定の表示手段に表示させさせ得る。
【0010】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による準備体操評価方法は、手本動画に合わせて準備体操を行う評価対象者の体調管理を支援する準備体操評価方法であって、模範演者による前記準備体操の動画データを手本動画データとして記憶する記憶部と、前記手本動画データを再生して所定の表示手段に表示させる手本動画再生部と、前記表示された手本動画に合わせて前記準備体操を行う評価対象者の身体動作画像を取得して、前記取得された身体動作画像から前記評価対象者の身体の各部位の位置を時系列的に認識する身体動作取得部と、予め前記手本動画データ中の複数の再生位置に対して設定された比較基準データと、前記複数の再生位置に対応する前記時系列的に認識された前記評価対象者の身体の各部位の位置データとを、それぞれ比較して一致度を算出する身体動作判定部と、前記算出された一致度を集計して、前記評価対象者の身体動作を採点し、前記採点した結果を体操評価点数として前記所定の表示手段に表示させる身体動作採点部と、前記の各部、及び装置全般を制御する制御部とを備える準備体操評価装置を用い、前記制御部が、前記手本動画再生部に、前記手本動画データを再生させて前記所定の表示手段に表示させる段階と、前記身体動作取得部に、前記表示された手本動画に合わせて前記準備体操を行う評価対象者の身体動作画像を取得させて、前記取得された身体動作画像から前記評価対象者の身体の各部位の位置を時系列的に認識させる段階と、前記身体動作判定部に、予め前記手本動画データ中の複数の再生位置に対して設定された比較基準データと、前記複数の再生位置に対応する前記時系列的に認識された前記評価対象者の身体の各部位の位置データとを、それぞれ比較して一致度を算出させる段階と、前記身体動作採点部に、前記算出された一致度を集計して、前記評価対象者の身体動作を採点し、前記採点した結果を体操評価点数として前記表示手段に表示させる段階と、を含み、前記比較基準データは、前記手本動画データの特定の再生位置での前記模範演者の身体の各部位の位置データであり、前記制御部が、前記身体動作採点部に、前記評価対象者の前記体操評価点数を、前記評価対象者個人の体調評価用の比較基準データを設定するための学習用データとして前記記憶部に保存させる段階をさらに含むことを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による準備体操評価プログラムは、模範演者による前記準備体操の動画データを手本動画データとして記憶する記憶部と、前記手本動画データを再生して所定の表示手段に表示させる手本動画再生部と、前記表示された手本動画に合わせて前記準備体操を行う評価対象者の身体動作画像を所定の撮像手段を介して取得して、前記取得された身体動作画像から前記評価対象者の身体の各部位の位置を時系列的に認識する身体動作取得部と、予め前記手本動画データ中の複数の再生位置に対して設定された比較基準データと、前記複数の再生位置に対応する前記時系列的に認識された前記評価対象者の身体の各部位の位置データとを、それぞれ比較して一致度を算出する身体動作判定部と、前記算出された一致度を集計して、前記評価対象者の身体動作を採点し、前記採点した結果を体操評価点数として前記所定の表示手段に表示させる身体動作採点部と、前記の各部、及び装置全般を制御する制御部とを備える準備体操評価装置に、前記手本動画に合わせて準備体操を行う評価対象者の身体動作の一致度を算出して採点する処理を実行させる準備体操評価プログラムであって、前記準備体操評価装置の前記制御部に、前記手本動画再生部に、前記手本動画データを再生させて前記所定の表示手段に表示させる段階と、前記身体動作取得部に、前記表示された手本動画に合わせて前記準備体操を行う評価対象者の身体動作画像を取得させて、前記取得された身体動作画像から前記評価対象者の身体の各部位の位置を時系列的に認識させる段階と、前記身体動作判定部に、予め前記手本動画データ中の複数の再生位置に対して設定された比較基準データと、前記再生位置に対応する前記時系列的に認識された前記評価対象者の身体の各部位の位置データとを、それぞれ比較して一致度を算出させる段階と、前記身体動作採点部に、前記算出された一致度を集計して、前記評価対象者の身体動作を採点し、前記採点した結果を体操評価点数として前記表示手段に表示させる段階と、前記身体動作採点部に、前記評価対象者の前記体操評価点数を、前記評価対象者個人の体調評価用の比較基準データを設定するための学習用データとして前記記憶部に保存させる段階とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、評価対象者の体調を準備体操評価装置により採点された評価点数の変化で確認することができる。
管理監督者は、準備体操が実行されていること、及び実行されている体操が普段の取り組みと同様であることを、評価点数で確認できる。これは、遠隔で実施される準備体操に対しても同様に活用できる。
また、個人認証と準備体操の評価データを関連付けて収集することで、準備体操の評価が高い人は、心身ともに健康であり、怪我をすることが少なく、傷害の発生が少ないといった健康管理用データを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態による準備体操評価装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態による身体の部位をモデル化して認識した身体部位の位置データの一例を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態による準備体操評価装置の動作を示すフローチャートである。
【
図4】手本動画データに含まれる一連の動作に対応した画像の例を示す図である。
【
図5】手本動画に同期した、評価対象者のモデル化した身体動作のデータの列を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態による準備体操評価装置で評価対象者ごとの体調評価を実行する動作を示すフローチャートである。
【
図7】体調評価用の比較基準データの生成に利用される学習用データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態による準備体操評価装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態による準備体操評価装置10は、図示しない中央処理装置(CPU)並びにROM及びRAM等を有して、所定のプログラムを実行し、各種のデータ処理やシステムの制御を行う制御部11と、各種のプログラム及びデータを格納する記憶部12と、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等からなる表示部13と、ユーザの指令や外部からの入力データを受け付ける入力部14と、カメラからなる撮像部15と、外部へのデータ出力のインターフェイスとなる出力部16と、通信部17とを含む。なお、準備体操評価装置10は、上述した各構成部を備えるコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、又はその他の携帯情報端末で構成されてもよい。
【0016】
準備体操評価装置10は、制御部11がROM、RAM、又は記憶部12に格納されたOS(Operating System)、準備体操評価プログラム、及び各種データを読み込んで実行することにより機能する手本動画再生部111、身体動作取得部113、身体動作判定部115、身体動作採点部117、及び評価基準データ生成部119を含む。
【0017】
手本動画再生部111は、準備体操として、例えば、ラジオ体操(登録商標)の楽曲に合わせた振付を模範演者が演じている手本動画データを再生して、表示部13に表示させる。手本動画データは、楽曲に合わせた身体の動作を定義したデータであり、楽曲と手本画像とが結合された所定の動画ファイル形式で、予め記憶部12に保存される。動画のファイル形式の例としては、AVI、MPEG2、MP4などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
身体動作取得部113は、撮像部15によって撮像された評価対象者の画像から、身体の各部位の位置を時系列的に認識し、かつ、体の重心位置を基準として他の部位の位置を相対的に認識する。これにより、撮影位置や評価対象者の身長差、体格の違いによる影響を受けにくい採点をすることが可能となる。この際、身体動作取得部113は、身体の部位をモデル化して認識してもよい。身体のモデルとしては、主要な関節の位置を推定して身体の部位を分類したモデルが利用されてもよい。このため、例えば、画像の中の人を検知するアルゴリズムに「YOLO v3」を使用し、リアルタイムで人の顔や体の各部位の位置を測定できる「PoseNet」を適用することにより、モーションキャプチャを簡便に行うことができる。このような技術を利用することにより、評価対象者の体操動作に対応した身体モデル(骨格モデル)の動きをリアルタイムで取得することができる。なお、本実施形態は、YOLO及びPoseNetを利用することを必須とするものではなく、他のモーションキャプチャ技術が利用されてもよい。
【0019】
図2は、本実施形態による身体の部位をモデル化して認識した身体部位の位置データの一例を示す図である。本実施形態において、身体部位取得部113は、身体の部位を17か所に分類して認識している。
図2の表1<Table.1>に示すように、本実施形態では、モデル化した身体部位の位置データは、行番号(ID)毎に、身体部位と、X、Y、及びZ座標(体の重心位置を原点とする)上の位置情報で構成される。
【0020】
身体動作判定部115は、身体動作取得部113によって取得された身体の各部位の位置を、予め記憶部12に保存された「手本となる基準動作を特定したデータ(以下、比較基準データいう)」と時系列的に比較して、それらの一致度を判定する。比較基準データは、手本動画データに含まれる一連の動きの中から選択される特定の再生位置(判定ポイントという)における模範演者のポーズ(手本ポーズという)に対して、体の重心位置と手本ポーズのある部位(所定の部位)との位置関係を特定するデータであり、手本動画データ全体の中から複数時点(再生位置)が選択されて設定される。
身体動作判定部115は、比較基準データと、身体動作取得部113によって認識された身体の部位の位置とを比較することで一致度を判定する。一致度を判定する方法の詳細は、
図4を用いて後述する。なお、一致度の判定は、位置関係の比較による方法に限定されるものではなく、機械学習またはディープラーニングを用いて、各身体部位の位置データの傾向(特徴量)に基づいて算出する方法を適用してもよい。
【0021】
身体動作採点部117は、身体動作判定部115から、各判定ポイントにおける一致度の判定結果を受信して、各判定ポイントでの一致度を集計して、当該手本動画に対応した評価対象者の身体動作(体操動作)を採点する。例えば、採点は、各判定ポイントでの一致度を積算するか又は平均値を算出することにより行われる。
身体動作採点部117は、採点した結果を体操評価点数として表示部13に表示させるとともに、各判定ポイントにおける評価対象者の身体の各部位の位置データを、評価対象者に付与された識別子(例えば、ユーザ登録番号)に関連付けて記憶部12に保存する。
【0022】
評価基準データ生成部119は、身体動作採点部117によって記憶部12に保存された、準備体操の手本動画中に設定された各判定ポイントにおける評価対象者の身体の各部位の位置データを学習データに利用して、機械学習又はディープラーニングにより、評価対象者別に体調評価用の比較基準データを生成する。体調評価用の比較基準データを生成する方法の詳細は後述する。
【0023】
以下、
図1及び
図3を参照して、本発明の一実施形態による準備体操評価装置の動作について説明する。
【0024】
図3は、本発明の一実施形態による準備体操評価装置の動作を示すフローチャートである。
【0025】
図3のステップS201で、手本動画再生部111は、評価対象者に視聴させる準備体操の手本動画を再生する。評価対象者は、この手本動画を参照しながら、手本となる動き(振付)に合わせて、これに対応する身体動作を行う。なお、手本動画は、評価対象者が行うべき身体動作が楽曲に同期して動く画像で構成される。
【0026】
手本動画の再生開始に合わせて(同期して)、身体動作取得部113は、撮像部15から評価対象者の身体動作の画像データを取得する(ステップS203)。取得された身体動作の画像データは、身体動作取得部113により、例えば、骨格モデルのモーションキャプチャデータとして取得される。取得されたデータを、以下では身体動作のデータという。モーションキャプチャデータを取得するための技術には、上述の「YOLO」及び「PoseNet」を利用することができる。なお、本実施形態における身体動作のデータの取得手段は、これに限定されるものではない。
【0027】
ステップS205で、身体動作判定部115は、手本動画データと、取得された身体動作のデータとを比較する。この比較においては、手本動画データに対して予め設定された判定ポイントでの手本ポーズの比較基準データと、取得された身体動作のデータとを比較して、一致度を判定する。
【0028】
ステップS207で、身体動作採点部117は、各判定ポイントにおける一致度を集計して、評価対象者の身体動作を採点する。なお、身体動作採点部117は、、動画再生の途中においても随時採点することができ、また、採点結果を表示部13に表示させることができる。
【0029】
ステップS209で、身体動作採点部117は、各判定ポイントにおける評価対象者の身体の各部位の位置データを、評価対象者に付与された識別子に関連付けて記憶部12に保存する。なお、データ保存時に、過去に実行された準備体操時におけるデータと、今回実行された準備体操時におけるデータとを区別するためのインデックス又は通し番号を、さらに付与してもよい。
【0030】
次に、本発明の一実施形態による準備体操評価装置で設定される手本ポーズについて説明する。
【0031】
図4は、手本動画データに含まれる準備体操の一連の動作に対応した画像の例を示す図である。
【0032】
図4に示す再生位置カウンタ軸310は、動画再生時における再生位置を特定するための時間軸であり、再生位置カウンタ軸310の上方に表示された数値は、再生動画の先頭(開始)からのフレーム番号320を示している。
【0033】
手本ポーズ(330a、330b)は、手本動画に含まれる一連の動作の中から選択された、着目すべき特定の動作に対応したポーズであり、予め複数の再生位置(判定ポイント)に対して設定される。
図4には設定された再生位置(判定ポイント)に対応する手本ポーズを例示している。手本ポーズには、例えば、関節の組合せによって作られる骨格モデルが採用される。手本動画中での各手本ポーズ(330a、330b)に対応する再生位置は、フレーム番号320で指定される。
【0034】
図5は、手本動画に同期した、評価対象者のモデル化した身体動作のデータの列を示す図である。
【0035】
身体動作取得部113によって取得される評価対象者の身体動作のデータ400は、所定の時間間隔(ミリ秒単位)で取得される。撮像部15で撮影された評価対象者の身体動作の画像データは、例えば骨格モデルの形で認識される。そして、それぞれの手本ポーズ(330a、330b)に対応した判定ポイント(再生位置)の前後の時間期間内での比較を行うため、当該判定ポイント前後の時間間隔Δtの間に取得された複数の身体動作のデータが比較候補として選択される。
【0036】
例えば、
図5の手本ポーズ330bに対しては、比較のための動画再生位置の間隔Δtの間に取得された身体動作のデータ(442、443、444)が選択される。そして、身体動作判定部115は、手本ポーズ330bに対応する比較基準データと、取得された複数の身体動作のデータのうち、身体動作のデータ442との一致度を計算する。
【0037】
身体動作判定部115による一致度の計算は、本実施形態においては、骨格モデル同士の一致度の計算を行う。例えば、対応する関節同士の距離、関節における骨の角野の差異を、それぞれ計算して、差異の絶対値を合計することによって一致度を算出する。一例として、合計した絶対値の逆数を一致度と定義すると、一致度の値が大きいほど、一致の度合いが高いことになる。他の例として、身体部位ごとに差異の大小に応じた配点(小さいを「-1」、同じを「0」、大きいを「+1」とする)を行って、これらを合算したポイントを一致度として判定する方式としてもよい。
【0038】
身体動作判定部115は、残りの身体動作のデータ(443、444)についても、同様に、手本ポーズ330bに対応する比較基準データとの間の一致度を算出する。そして、身体動作判定部115は、身体動作のデータ(442、443、444)のそれぞれに対応する一致度のうち、最も高い一致度を、手本ポーズ330bに対する一致度として採用する。また、採用された身体動作のデータ、及び、採用された身体動作のデータの動画再生位置を、予め評価対象者に付与された識別子(ユーザ登録番号)に関連付けて記憶部12に保存する。
【0039】
以上のようにして、複数の手本ポーズの各々に対して、一致度が算出される。なお、一致度の算出は、上記の方法に限定されるものではなく、機械学習又はディープラーニングを用いて、身体動作のデータの傾向から算出する方法を適用してもよい
【0040】
身体動作採点部117は、手本動画の再生開始後、複数の手本ポーズに対応する複数の一致度を順次積算するか、又は平均値を算出して、途中時点での評価点数として、表示部13に表示させてもよい。そして、動画再生が終了した時点で、最終的な評価点数(体操評価点数)を計算する。
【0041】
以上で説明したように、本発明の一実施形態による準備体操評価装置は、準備体操の手本動画中に予め設定された複数の再生位置(判定ポイント)での手本ポーズと、評価対象者の身体動作との一致度を評価する機能を有するが、さらに、手本動画に合わせて評価対象者自身が過去に行った準備体操時の身体動作のデータを利用して、評価対象者個人の体調評価用の比較基準データを生成し、生成された体調評価用の比較基準データと、現在実行している準備体操での身体動作のデータとを、時系列的に比較して採点することで、当該評価対象者の体調をチェックすることができる。
【0042】
図6は、本発明の一実施形態による準備体操評価装置で評価対象者の体調を評価する方法を示すフローチャートである。
【0043】
図6のステップS501で、準備体操評価装置10の制御部11は、入力部14を介して、ユーザ登録番号が入力されると、記憶部12から、ユーザ登録番号に関連付けて保存された評価対象者の体調評価用の比較基準データを読み出す(ステップS502)。なお、初回利用時に読み出される体調評価用の比較基準データは、評価対象者がユーザ登録を行った際に保存された評価対象者個人の各判定ポイントにおける身体の各部位の位置データからなるが、後述するように、利用を重ねるごとに学習が行われて、より評価対象者自身の常態を反映したデータになる。
【0044】
その後、入力部14を介して、手本動画の再生開始が指示されると、手本動画再生部111は、評価対象者に視聴させる準備体操の手本動画を再生する(ステップS503)。評価対象者は、この手本動画を参照しながら、手本に合わせて対応する身体動作を行う。
【0045】
手本動画の再生開始に合わせて(同期して)、身体動作取得部113は、撮像部15から評価対象者の身体動作の画像データを取得する(ステップS504)。取得された身体動作の画像データは、身体動作取得部113により、例えば、骨格モデルのモーションキャプチャデータとして取得され、身体動作のデータとして身体動作判定部115に伝送される。
【0046】
ステップS505で、身体動作判定部115は、手本動画データに対して予め設定された判定ポイントにおける手本ポーズの比較基準データと、取得された身体動作のデータとを比較して、手本ポーズに対する一致度を判定する。
これと同時に、身体動作判定部115は、取得された身体動作のデータと、評価対象者個人の体調評価用の比較基準データとを比較して、体調評価用の比較基準データに対する一致度を判定する。
【0047】
ステップS506で、身体動作採点部117は、各判定ポイントにおける手本ポーズに対する一致度を集計して、評価対象者が現在実行中の準備体操に合わせた身体動作を採点する。
これと同時に、身体動作採点部117は、各判定ポイントにおける評価対象者個人の体調評価用の比較基準データに対する一致度を集計して、評価対象者の体調を表す評価点数を採点する。
【0048】
この際、身体動作採点部117は、手本ポーズに対する現在実行中の身体動作の採点を、動画再生の途中においても随時実行することができ、また、採点結果を表示部13に表示させることができる。一方、身体動作採点部117は、体調評価用の比較基準データに対する現在実行中の身体動作の採点を、動画再生の途中に随時実行するが、表示部13に採点結果を表示させるのは、動画再生終了後に実行する。これにより、評価対象者が準備体操の途中での点数を見て、意図的に身体動作を修正すること等による誤差やごまかしを排除することができる。
【0049】
ステップS507で、身体動作採点部117は、各判定ポイントにおける評価対象者の身体部位の位置データを、各判定ポイントの識別子(例えば、フレーム番号)及び当該評価対象者に付与された識別子(ユーザ登録番号)に関連付けて記憶部12に保存する。なお、データ保存時に、今回実行された準備体操時におけるデータと、過去に実行された準備体操時におけるデータとを区別するためのインデックス又は通し番号をさらに付加して保存することが好ましい。
【0050】
上述した、ステップS504~ステップS506は、予め設定された複数の再生位置(判定ポイント)に対して、順次実行され、ステップS507は、各判定ポイントでの採点が実行されるごとに逐次行われるか、又は最終の判定ポイントでの採点が終了後にまとめて実行されてもよい。但し、最終の判定ポイントでの採点が終了した後には、採点に用いられた複数の再生位置(判定ポイント)のそれぞれにおける評価対象者の身体の各部位の位置データが、当該評価対象者の体操評価点数とともに、上述した識別子(ユーザ登録番号及び実行回の通し番号)に関連付けられた形式のデータとして記憶部12に保存される。保存された上記データは、当該評価対象者個人の体調評価用の比較基準データを設定するための学習用データに利用される。
【0051】
以上のようにして、本発明の一実施形態による準備体操評価装置及び備体操評価方法は、評価対象者が現在実行している準備体操の出来栄え(手本に忠実な身体動作を行っているか否か)を採点することに加えて、過去の準備体操時における評価対象者の通常の身体動作との比較を行って、ズレを数値化(一致度を計算)することで、体調の良し悪しを判定するために利用可能なデータを提供することができる。
【0052】
本発明の一実施形態による準備体操評価装置及び準備体操評価方法で用いられる体調評価用の比較基準データを生成する方法について説明する。
【0053】
体調評価用の比較基準データは、準備体操の手本動画中に予め設定された複数の再生位置(判定ポイント)において、評価対象者が過去に行った複数回の準備体操の身体動作のデータの集合を学習用データに利用して生成される。
【0054】
図7は、体調評価用の比較基準データの生成に利用される学習用データの一例を示す図である。
【0055】
準備体操評価装置は、
図6に示す動画再生に対応した準備体操評価に係る一連のステップが終了した後、体調評価用の比較基準データの生成又は更新処理を行うステップを実行するよう予めプログラムされていてもよい。この際、図示しないが表示部13に、学習実行中であることを表示させてもよい。
【0056】
準備体操評価装置は、体調評価用の比較基準データの生成又は更新処理が始まると、評価基準データ生成部119を機能させて、記憶部12に保存された学習用データ及び体操評価点数を利用して、複数の再生位置(判定ポイント)のそれぞれに対して、評価対象者自身の身体の各部位の標準的な位置を機械学習又はディープラーニングにより算出するステップと、算出された身体の各部位の標準的な位置のデータに基づいて、評価対象者個人の体調評価用の比較基準データを生成するステップを実行させる。
【0057】
具体的に、評価基準データ生成部119は、評価対象者が、新たに準備体操を実行するごとに、記憶部12に保存されている当該評価対象者ごとの学習用データを読み出して、現在と過去を合わせた複数の判定ポイント(例えば、
図7に示す身体動作のデータ443、443’、443’’)ごとの評価対象者の身体の各部位の標準的な位置を機械学習又はディープラーニングにより算出し、算出された身体の各部位の標準的な位置に基づいて、評価対象者個人の体調評価用の比較基準データを生成する。この際、各実行回の体操評価点数を重み付けのために利用してもよい。体操評価点数が高い実行回における各判定ポイントでの身体の各部位の位置に対して、所定の重み係数が付加されてもよい。
したがって、各判定ポイントにおける体調評価用の比較基準データは、現在から過去に実行された準備体操の中で、出来栄え(体調)がよかった時の身体動作のデータが、当該評価対象者の体調評価用の比較基準データに反映される。
【0058】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0059】
10 準備体操評価装置
11 制御部
12 記憶部
13 表示部
14 入力部
15 撮像部
16 出力部
17 通信部
111 手本動画再生部
113 身体動作取得部
115 身体動作判定部
117 身体動作採点部
119 評価基準データ生成部