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  • 特許-積み重ね型の電源装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】積み重ね型の電源装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/258 20210101AFI20241202BHJP
   H01M 50/50 20210101ALI20241202BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20241202BHJP
   H01M 50/209 20210101ALN20241202BHJP
【FI】
H01M50/258
H01M50/50 201Z
H01M50/204 101
H01M50/209
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021168231
(22)【出願日】2021-10-13
(65)【公開番号】P2023058298
(43)【公開日】2023-04-25
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 達大
(72)【発明者】
【氏名】田中 泰弘
【審査官】窪田 陸人
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-070863(JP,A)
【文献】特開2020-098689(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0101794(US,A1)
【文献】特開2005-038688(JP,A)
【文献】特開2021-015730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが積層された第1電池スタックと、前記第1電池スタックが収容される第1ケースと、前記第1電池スタックに電気的に接続され且つ前記第1ケースに設けられた第1開口部に露出するように配置される第1コネクタと、
複数の電池セルが積層された第2電池スタックと、前記第2電池スタックが収容される第2ケースと、前記第2電池スタックに電気的に接続され且つ前記第2ケースに設けられた第2開口部に露出するように配置される第2コネクタと、を備え、
前記第1電池スタック及び前記第2電池スタックの積層方向に交差する鉛直方向において、前記第1ケースの上に前記第2ケースが積み重ねられ、前記第1開口部及び前記第2開口部を通じて前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合することにより、前記第1電池スタックと前記第2電池スタックとが電気的に接続され、
前記第1電池スタックは、前記積層方向と一致する長手方向を有する形状を有する前記第1ケースの第1内部空間における前記長手方向の一側の端部に第1スペースが確保されるように、前記第1スペースより前記長手方向の他側の前記第1内部空間に配置され、前記第1コネクタは、前記第1ケースの上壁の前記長手方向の前記一側の端部に設けられた前記第1開口部に露出するように、前記第1スペースの上部に配置され、
前記第2電池スタックは、前記積層方向と一致する長手方向を有する形状を有する前記第2ケースの第2内部空間における前記長手方向の前記一側の端部に第2スペースが確保されるように、前記第2スペースより前記長手方向の前記他側の前記第2内部空間に配置され、前記第2コネクタは、前記第2ケースの底壁の前記長手方向の前記一側の端部に設けられた前記第2開口部に露出するように、前記第2スペースの下部に配置され
前記第1電池スタックの総正極又は総負極の何れか一方に前記第1コネクタが接続され、前記第1コネクタから離れる向きに前記複数の前記電池セルが順次積層され、
前記第2電池スタックの総正極又は総負極の前記何れか一方とは逆の他方に前記第2コネクタが接続され、前記第2コネクタから離れる向きに前記複数の前記電池セルが順次積層される、
積み重ね型の電源装置。
【請求項2】
請求項1記載の電源装置であって、
双方の前記開口部の連通箇所を取り囲むように配置される環状のシール部材を、更に備える、
積み重ね型の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池スタックが鉛直方向に積み重ねられるように配置された積み重ね型の電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気自動車やハイブリッド自動車の駆動用電源として、複数の電池セルを積層した電池スタックを内蔵した電源装置が用いられる場合がある。従来の電源装置の一つは、電池スタックを収容したケースを鉛直方向に積み重ねるとともに、それぞれの電池スタックを、専用のケーブルで接続するようになっている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-088312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の電源装置では、ケースを積み重ねるだけでなく、ケーブルを各々の電池スタックに接続する作業が求められる。駆動用電源のように高電圧の電池スタック同士を接続するケーブルには、一般に、物理的に太い電線(いわゆる太物電線)が用いられる。そのため、積み重ねたケース間を繋ぐようにケーブルを狭い範囲内で取り回すことが難しく、電池スタック間を接続する作業の作業性を向上させ難い。即ち、電源装置の生産性において、改善の余地がある。
【0005】
本発明の目的の一つは、生産が容易な積み重ね型の電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る積み重ね型の電源装置は、以下を特徴としている。
【0007】
複数の電池セルが積層された第1電池スタックと、前記第1電池スタックが収容される第1ケースと、前記第1電池スタックに電気的に接続され且つ前記第1ケースに設けられた第1開口部に露出するように配置される第1コネクタと、
複数の電池セルが積層された第2電池スタックと、前記第2電池スタックが収容される第2ケースと、前記第2電池スタックに電気的に接続され且つ前記第2ケースに設けられた第2開口部に露出するように配置される第2コネクタと、を備え、
前記第1電池スタック及び前記第2電池スタックの積層方向に交差する鉛直方向において、前記第1ケースの上に前記第2ケースが積み重ねられ、前記第1開口部及び前記第2開口部を通じて前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合することにより、前記第1電池スタックと前記第2電池スタックとが電気的に接続され、
前記第1電池スタックは、前記積層方向と一致する長手方向を有する形状を有する前記第1ケースの第1内部空間における前記長手方向の一側の端部に第1スペースが確保されるように、前記第1スペースより前記長手方向の他側の前記第1内部空間に配置され、前記第1コネクタは、前記第1ケースの上壁の前記長手方向の前記一側の端部に設けられた前記第1開口部に露出するように、前記第1スペースの上部に配置され、
前記第2電池スタックは、前記積層方向と一致する長手方向を有する形状を有する前記第2ケースの第2内部空間における前記長手方向の前記一側の端部に第2スペースが確保されるように、前記第2スペースより前記長手方向の前記他側の前記第2内部空間に配置され、前記第2コネクタは、前記第2ケースの底壁の前記長手方向の前記一側の端部に設けられた前記第2開口部に露出するように、前記第2スペースの下部に配置され
前記第1電池スタックの総正極又は総負極の何れか一方に前記第1コネクタが接続され、前記第1コネクタから離れる向きに前記複数の前記電池セルが順次積層され、
前記第2電池スタックの総正極又は総負極の前記何れか一方とは逆の他方に前記第2コネクタが接続され、前記第2コネクタから離れる向きに前記複数の前記電池セルが順次積層される、
積み重ね型の電源装置であること。
【発明の効果】
【0008】
本発明の積み重ね型の電源装置によれば、第1電池スタックを収容する第1ケースの開口部に露出するように第1コネクタが配置され、第2電池スタックを収容する第2ケースの開口部に露出するように第2コネクタが配置される。そして、第1ケースと第2ケースとを積み重ねることで、各々の開口部が連通されるとともに、連通された開口部を通じて第1コネクタと第2コネクタとが嵌合されて第1電池スタックと第2電池スタックとが接続される。このように、従来の電源装置のように専用のケーブルを要することなく、第1ケースと第2ケースとを積み重ねるだけで、各々の電池スタックを電気的に接続することができる。即ち、ケースの積み重ね作業と、電池スタック間の接続作業と、を一括して行うことができる。したがって、本構成の電源装置は、従来の電源装置に比べて生産が容易である。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係る積み重ね型の電源装置の内部を透視した側面図である。
図2図2は、図1に示す上部電池パックの内部を透視した上面図である。
図3図3は、図1に示す下部電池パックの内部を透視した上面図である。
図4図4は、図1のA-A断面の主要部を示す図(一部は側面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る積み重ね型の電源装置1について説明する。図1に示すように、電源装置1は、下部電池パック1Aに上部電池パック1Bを積み重ねることで構成されている。電源装置1は、典型的には、ハイブリッド自動車や電気自動車に搭載されて、当該車両の電源として使用される。
【0012】
以下、説明の便宜上、図1図4に示すように、「前後方向」、「上下方向」及び「左右方向」を定義する。「前後方向」、「上下方向」及び「左右方向」は、互いに直交している。上下方向は、下部電池パック1Aと上部電池パック1Bとの積層方向と一致しており、「前後方向」は、後述する電池スタック10A,10Bの各々を構成する複数の電池セル11の積層方向と一致している。以下、電源装置1を構成する下部電池パック1Aの構成及び上部電池パック1Bの構成について順に説明する。
【0013】
まず、下部電池パック1Aの構成について説明する。下部電池パック1Aは、図1及び図3に示すように、電池スタック10Aと、電池スタック10Aが収容されるケース20Aと、を備えている。電池スタック10Aは、複数の電池セル11が積層されて構成されている。電池セル11は、典型的には、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の二次電池である。
【0014】
電池セル11は、上下方向且つ左右方向に延びる矩形平板状の形状を有している。電池セル11の上面における左右方向の一側端部及び他側端部には、それぞれ、正極端子11a及び負極端子11bが設けられている。本例の電池スタック10Aでは、図3に示すように、正極端子11aが左側に位置する向きの複数の電池セル11と、負極端子11bが左側に位置する向きの複数の電池セル11とが、前後方向に交互に積層され、且つ、所定の固定手段(図示省略)によって互いに固定されている。
【0015】
電池スタック10Aでは、複数の「前後方向に隣接する一対の電池セル11」の各々について、前側の電池セル11の正極端子11aと後側の電池セル11の負極端子11bとが金属製のバスバ12により電気的に接続されている。この結果、電池スタック10Aでは、複数の電池セル11が電気的に直列に接続され、且つ、総負極11bb及び総正極11aaがそれぞれ、電池スタック10Aの前端及び後端に位置している。
【0016】
ケース20Aは、金属製であり、図1に示すように、前後方向に延び且つ上方に開口した直方体状のケース本体21と、ケース本体21の上端開口を塞ぐ矩形平板状の蓋体22と、で構成されている。電池スタック10Aは、ケース本体21に収容される。より具体的には、電池スタック10Aは、ケース本体21の内部空間の前側領域に所定のスペースが確保されるように、ケース本体21の底壁に載置され且つ固定される。
【0017】
ケース本体21には、図1及び図3に示すように、コネクタ30Aが、前記所定のスペースの上部に位置するように固定されている。コネクタ30Aの上部には、上方に開口する嵌合口(図示省略)が形成されており、コネクタ30Aには、上方を向いた金属製の端子(雄端子又は雌端子。図示省略)が、嵌合口に臨むように収容されている。
【0018】
コネクタ30Aの端子と、電池スタック10Aの総負極11bbとは、図1及び図3に示すように、ケース本体21の内部にて、金属製の板状の導電部材40Aにより電気的に接続される。導電部材40Aは、例えば、1枚の金属板に対してプレス加工を施すことにより形成される。
【0019】
蓋体22には、コネクタ30A(の嵌合口)に対応して、図4に示すように、上下方向に貫通する開口部23が形成されている。蓋体22の上面における開口部23の周囲には、環状のOリング溝24が、開口部23を取り囲むように形成されている。Oリング溝24には、Oリング50(図4参照)が収容される。
【0020】
蓋体22は、電池スタック10A、コネクタ30A及び導電部材40Aが収容されたケース本体21の上端開口を塞ぐように、ケース本体21に装着される。ケース本体21と蓋体22とは、所定の固定手段(図示省略)によって互いに固定される。蓋体22のケース本体21への装着完了状態では、図4に示すように、コネクタ30A(の嵌合口)が、蓋体22に形成された開口部23に露出している。以上、下部電池パック1Aの構成について説明した。
【0021】
次いで、上部電池パック1Bの構成について説明する。上部電池パック1Bの構成は、下部電池パック1Aの構成と類似している。上部電池パック1Bに関し、図1図4において、下部電池パック1Aを構成する各部材と同じ機能を有する部材については、下部電池パック1Aに付された符号と同じ符号が付されている(なお、符号の末尾に「A」が付された部材については、符号の末部に「A」に代えて「B」が付されている)。
【0022】
上部電池パック1Bは、図1及び図2に示すように、電池スタック10Bと、電池スタック10Bが収容されるケース20Bと、を備えている。電池スタック10Bの構成については、電池スタック10Aの構成と同様であるので、詳細な説明は省略する。本例の電池スタック10Bでは、図2に示すように、複数の「前後方向に隣接する一対の電池セル11」の各々について、前側の電池セル11の負極端子11bと後側の電池セル11の正極端子11aとが金属製のバスバ12により電気的に接続されている。この結果、電池スタック10Bでは、電池スタック10Aとは逆に、総正極11aa及び総負極11bbがそれぞれ、電池スタック10Bの前端及び後端に位置している。
【0023】
ケース20Bは、金属製であり、ケース20Aと同様、前後方向に延び且つ上方に開口した直方体状のケース本体21(図1参照)と、ケース本体21の上端開口を塞ぐ矩形平板状の蓋体と、で構成されている。電池スタック10Bは、ケース20Bのケース本体21に収容される。より具体的には、電池スタック10Bは、ケース20Bのケース本体21の内部空間の前側領域に所定のスペースが確保されるように、ケース本体21の底壁に載置され且つ固定される。
【0024】
ケース20Bのケース本体21の底壁には、図4に示すように、ケース20A(蓋体22)の開口部23に対応して、上下方向に貫通する開口部23が形成されている。ケース20B(ケース本体21)の底壁の下面における開口部23の周囲には、ケース20AのOリング溝24に対応して、環状のOリング溝24が、ケース20Bの開口部23を取り囲むように形成されている。
【0025】
ケース20Bのケース本体21には、図1及び図2に示すように、コネクタ30Bが、前記所定のスペースの下部に位置するように固定されている。コネクタ30Bの下部には、下方に開口する嵌合口(図示省略)が形成されており、コネクタ30Bには、下方を向いた金属製の端子(雌端子又は雄端子。図示省略)が、嵌合口に臨むように収容されている。コネクタ30B(の嵌合口)は、ケース20Bの開口部23に露出している。
【0026】
コネクタ30Bの端子と、電池スタック10Bの総正極11aaとは、図1及び図2に示すように、ケース20Bのケース本体21の内部にて、金属製の板状の導電部材40Bにより電気的に接続される。導電部材40Bは、例えば、1枚の金属板に対してプレス加工を施すことにより形成される。以上、上部電池パック1Bの構成について説明した。
【0027】
以上、図4に示すように、下部電池パック1Aでは、電池スタック10Aを収容するケース20Aの上部に設けられた開口部23に露出するように、電池スタック10Aの総負極11bbと接続されたコネクタ30Aが配置され、上部電池パック1Bでは、電池スタック10Bを収容するケース20Bの下部に設けられた開口部23に露出するように、電池スタック10Bの総正極11aaと接続されたコネクタ30Bが配置されている。
【0028】
積み重ね型の電源装置1の組み付けは、Oリング溝24にOリング50(図4参照)が収容された下部電池パック1Aの上に上部電池パック1Bを積み重ね、且つ、両者を所定の固定手段(図示省略)によって互いに固定するだけで、完了する(図1参照)。
【0029】
電源装置1の組付完了状態では、下部電池パック1A及び上部電池パック1Bの開口部23同士が上下方向に連通され、連通された開口部23同士を通じてコネクタ30Aとコネクタ30Bとが嵌合される。これにより、コネクタ30A及びコネクタ30Bの端子同士が電気的に接続されることで、電池スタック10Aと電池スタック10Bとが電気的に直列に接続される。更に、下部電池パック1A及び上部電池パック1BのOリング溝24同士が、上下方向に並ぶように且つOリング50を上下方向に押圧挟持するように配置されることで、コネクタ30Aとコネクタ30Bとの嵌合箇所の防水を図ることができる。
【0030】
<作用・効果>
以上、本実施形態に係る積み重ね型の電源装置1によれば、電池スタック10Aを収容するケース20Aの開口部23に露出するようにコネクタ30Aが配置され、電池スタック10Bを収容するケース20Bの開口部23に露出するようにコネクタ30Bが配置される。そして、ケース20Aとケース20Bとを積み重ねることで、各々の開口部23が連通され、連通された開口部23を通じてコネクタ30Aとコネクタ30Bとが嵌合されて電池スタック10Aと電池スタック10Bとが接続される。このように、従来の電源装置のように専用のケーブルを要することなく、ケース20Aとケース20Bとを積み重ねるだけで、電池スタック10A及び電池スタック10Bを電気的に接続することができる。即ち、電池スタック10A,10Bの積み重ね作業と電池スタック10A,10B間の接続作業とを一括して行うことができる。したがって、本実施形態に係る電源装置1は、従来の電源装置に比べて生産が容易である。
【0031】
更に、コネクタ30Aの配置を基準に、コネクタ30Aから離れる向きに(後方に向けて)電池セル11が積層されて電池スタック10Aが配置され、コネクタ30Bの配置を基準に、コネクタ30Bから離れる向きに(後方に向けて)電池セル11が積層されて電池スタック10Bが配置される。これにより、電池スタック10A,10Bの各々の配置を合理化でき、電源装置1の小型化を図ることができる。
【0032】
更に、ケース20A及びケース20Bの双方の開口部23の連通箇所を取り囲むように、Oリング50が配置される。これにより、複雑な構造の防水コネクタ等を要することなく、コネクタ30Aとコネクタ30Bとの嵌合箇所の防水を図ることができる。
【0033】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0034】
上記実施形態では、下部電池パック1Aにおいて、電池スタック10Aの総負極11bbとコネクタ30Aとが導電部材40Aにより接続され、且つ、上部電池パック1Bにおいて、電池スタック10Bの総正極11aaとコネクタ30Bとが導電部材40Bにより接続されている。これに対し、下部電池パック1Aにおいて、電池スタック10Aの総正極11aaとコネクタ30Aとが導電部材40Aにより接続され、且つ、上部電池パック1Bにおいて、電池スタック10Bの総負極11bbとコネクタ30Bとが導電部材40Bにより接続されてもよい。
【0035】
更に、上記実施形態では、下部電池パック1Aのケース20A及び上部電池パック1Bのケース20Bの双方の開口部23の連通箇所を取り囲むように、環状のシール部材(Oリング50)が配置されている。これに対し、このような環状のシール部材が配置されていなくてもよい。この場合、ケース20A,20Bの各々に設けられたOリング溝24(図4参照)を省略することができる。
【0036】
ここで、上述した本発明に係る電源装置1の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[3]に簡潔に纏めて列記する。
【0037】
[1]
複数の電池セル(11)が積層された第1電池スタック(10A)と、前記第1電池スタック(10A)が収容される第1ケース(20A)と、前記第1電池スタック(10A)に電気的に接続され且つ前記第1ケース(20A)に設けられた開口部(23)に露出するように配置される第1コネクタ(30A)と、
複数の電池セル(11)が積層された第2電池スタック(10B)と、前記第2電池スタック(10B)が収容される第2ケース(20B)と、前記第2電池スタック(10B)に電気的に接続され且つ前記第2ケース(20B)に設けられた開口部(23)に露出するように配置される第2コネクタ(30B)と、を備え、
前記第1電池スタック(10A)及び前記第2電池スタック(10B)の積層方向に交差する鉛直方向において、前記第1ケース(20A)に前記第2ケース(20B)が積み重ねられ、双方の前記開口部(23)を通じて前記第1コネクタ(30A)と前記第2コネクタ(30B)とが嵌合することにより、前記第1電池スタック(10A)と前記第2電池スタック(10B)とが電気的に接続される、
積み重ね型の電源装置(1)。
【0038】
上記[1]の構成の積み重ね型の電源装置によれば、第1電池スタックを収容する第1ケースの開口部に露出するように第1コネクタが配置され、第2電池スタックを収容する第2ケースの開口部に露出するように第2コネクタが配置される。そして、第1ケースと第2ケースとを積み重ねることで、各々の開口部が連通され、連通された開口部を通じて第1コネクタと第2コネクタとが嵌合されて第1電池スタックと第2電池スタックとが接続される。このように、従来の電源装置のように専用のケーブルを要することなく、第1ケースと第2ケースとを積み重ねるだけで、各々の電池スタックを電気的に接続することができる。即ち、積み重ね作業と電池スタック間の接続作業とを一括して行うことができる。したがって、本構成の電源装置は、従来の電源装置に比べて生産が容易である。
【0039】
[2]
上記[1]に記載の電源装置(1)において、
前記第1電池スタック(10A)の総正極(11aa)又は総負極(11bb)の何れか一方に前記第1コネクタ(30A)が接続され、前記第1コネクタ(30A)から離れる向きに前記複数の前記電池セル(11)が順次積層され、
前記第2電池スタック(10B)の総正極(11aa)又は総負極(11bb)の前記何れか一方とは逆の他方に前記第2コネクタ(30B)が接続され、前記第2コネクタ(30B)から離れる向きに前記複数の前記電池セル(11)が順次積層される、
積み重ね型の電源装置(1)。
【0040】
上記[2]の構成の積み重ね型の電源装置によれば、第1コネクタの配置を基準に、第1コネクタから離れる向きに電池セルが積層され、第2コネクタの配置を基準に、第2コネクタから離れる向きに電池セルが積層される。これにより、各々の電池スタックの配置や電池セルの積層の向きを合理化でき、電源装置の小型化を図ることができる。
【0041】
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載の電源装置(1)であって、
双方の前記開口部(23)の連通箇所を取り囲むように配置される環状のシール部材(50)を、更に備える、
積み重ね型の電源装置(1)。
【0042】
上記[3]の構成の積み重ね型の電源装置によれば、双方の開口部の連通箇所を取り囲むように、シール部材(例えば、パッキン等)が配置される。これにより、複雑な構造の防水コネクタ等を要することなく、第1コネクタと第2コネクタとの嵌合箇所の防水を図ることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 電源装置
10A 電池スタック(第1電池スタック)
10B 電池スタック(第2電池スタック)
11 電池セル
11aa 総正極
11bb 総負極
20A ケース(第1ケース)
20B ケース(第2ケース)
23 開口部
30A コネクタ(第1コネクタ)
30B コネクタ(第2コネクタ)
50 Oリング(シール部材)
図1
図2
図3
図4