(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20241202BHJP
G02B 6/00 20060101ALI20241202BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20241202BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20241202BHJP
【FI】
F21S2/00 442
F21S2/00 437
G02B6/00 331
G02B27/02 Z
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2021173377
(22)【出願日】2021-10-22
【審査請求日】2024-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小村 真一
(72)【発明者】
【氏名】奥田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】小野田 憲
(72)【発明者】
【氏名】雉嶋 裕明
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/203725(WO,A1)
【文献】特開2003-232933(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0319393(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0266974(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
G02B 6/00
G02B 27/02
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延伸する第1辺と、前記第1方向と交差する第2方向に延伸する第2辺と、前記第1辺及び前記第2辺との間に設けられる第3辺と、を有する導光板と、
前記第2辺に対向する前記導光板の第4辺に対向する、複数の光源素子と、
前記第2辺に平行な第1部分と、前記第3辺に平行な第2部分と、を備える反射板と、
を備え、
前記第3辺は、交互に配置される、前記第1方向に延伸する第1短辺と、前記第2方向に延伸する第2短辺と、を有し、
前記第2部分は、
第1方向または第2方向に交互に重ねて配置される、前記第1方向に延伸する第1切片と、前記第2方向に延伸する第2切片と、を備える、照明装置。
【請求項2】
前記複数の光源素子は、それぞれ、レーザ光を放つレーザ光源である、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
第1方向に延伸する第1辺と、前記第1方向と交差する第2方向に延伸する第2辺と、前記第1辺及び前記第2辺との間に設けられる第3辺と、を有する導光板と、
前記第2辺に対向する前記導光板の第4辺に対向する、複数の光源素子と、
前記第2辺に平行な第1部分と、前記第3辺に平行な第2部分と、を備える反射板と、
を備える照明装置と、
長方形形状の第1領域と、前記第1領域を挟む2つの台形形状の第2領域とが、前記第2方向に沿って配置される、多角形形状の表示パネルと、
を備え、
前記第3辺は、交互に配置される、前記第1方向に延伸する第1短辺と、前記第2方向に延伸する第2短辺と、を有し、
前記第2部分は、
第1方向または第2方向に交互に重ねて配置される、前記第1方向に延伸する第1切片と、前記第2方向に延伸する第2切片と、を備える、表示装置。
【請求項4】
前記複数の光源素子は、それぞれ、レーザ光を放つレーザ光源である、請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記複数の光源素子のうち、前記第1領域を照明する第1光源素子は、前記第2領域を照明する第2光源素子より、出射光の輝度が高い、請求項3に記載の表示装置。
【請求項6】
前記導光板は、前記第2方向に延伸する複数の凸部を有し、
前記第1領域に重畳する前記導光板の領域に設けられる前記凸部の高さ分布は、前記第2領域に重畳する前記導光板の領域に設けられる前記凸部の高さ分布と異なる、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
第1方向に延伸する第1辺と、前記第1方向と交差する第2方向に延伸する第2辺と、前記第1辺及び前記第2辺との間に設けられる第3辺と、を有する導光板と、
前記第2辺に対向する前記導光板の第4辺に対向する、複数の光源素子と、
前記第2辺に平行な第1部分と、前記第3辺に平行な第2部分と、を備える反射板と、
を備える照明装置と、
長方形形状の第1領域と、前記第1領域を挟む2つの台形形状の第2領域とが、前記第2方向に沿って配置される、多角形形状の表示パネルと、
を備え、
前記第3辺は、交互に配置される、前記第1方向に延伸する第1短辺と、前記第2方向に延伸する第2短辺と、を有し、
前記第2部分は、前記第2方向に延伸し、互いに離間する複数の切片と、を備える、表示装置。
【請求項8】
前記複数の光源素子は、それぞれ、レーザ光を放つレーザ光源である、請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記複数の光源素子のうち、前記第1領域を照明する第1光源素子は、前記第2領域を照明する第2光源素子より、出射光の輝度が高い、請求項7に記載の表示装置。
【請求項10】
前記導光板は、前記第2方向に延伸する複数の凸部を有し、
前記第1領域に重畳する前記導光板の領域に設けられる前記凸部の高さ分布は、前記第2領域に重畳する前記導光板の領域に設けられる前記凸部の高さ分布と異なる、請求項9に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、ユーザの頭部に装着されるヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mount Display)と称される表示装置を用いて例えば仮想現実(VR:Virtual Reality)を提供する技術が注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態は、輝度分布が均一な光を出射する照明装置、及び、当該照明光に照明されることにより、輝度分布が均一な映像光を発する表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る照明装置は、
第1方向に延伸する第1辺と、前記第1方向と交差する第2方向に延伸する第2辺と、前記第1辺及び前記第2辺との間に設けられる第3辺と、を有する導光板と、
前記第2辺に対向する前記導光板の第4辺に対向する、複数の光源素子と、
前記第2辺に平行な第1部分と、前記第3辺に平行な第2部分と、を備える反射板と、
を備え、
前記第3辺は、交互に配置される、前記第1方向に延伸する第1短辺と、前記第2方向に延伸する第2短辺と、を有し、
前記第2部分は、交互に重ねて配置される、前記第1方向に延伸する第1切片と、前記第2方向に延伸する第2切片と、を備える。
【0006】
また、一実施形態に係る表示装置は、
第1方向に延伸する第1辺と、前記第1方向と交差する第2方向に延伸する第2辺と、前記第1辺及び前記第2辺との間に設けられる第3辺と、を有する導光板と、
前記第2辺に対向する前記導光板の第4辺に対向する、複数の光源素子と、
前記第2辺に平行な第1部分と、前記第3辺に平行な第2部分と、を備える反射板と、
を備える照明装置と、
長方形形状の第1領域と、前記第1領域を挟む2つの台形形状の第2領域とが、前記第2方向に沿って配置される、八角形形状の表示パネルと、
を備え、
前記第3辺は、交互に配置される、前記第1方向に延伸する第1短辺と、前記第2方向に延伸する第2短辺と、を有し、
前記第2部分は、交互に重ねて配置される、前記第1方向に延伸する第1切片と、前記第2方向に延伸する第2切片と、を備える。
【0007】
一実施形態に係る表示装置は、
第1方向に延伸する第1辺と、前記第1方向と交差する第2方向に延伸する第2辺と、前記第1辺及び前記第2辺との間に設けられる第3辺と、を有する導光板と、
前記第2辺に対向する前記導光板の第4辺に対向する、複数の光源素子と、
前記第2辺に平行な第1部分と、前記第3辺に平行な第2部分と、を備える反射板と、
を備える照明装置と、
長方形形状の第1領域と、前記第1領域を挟む2つの台形形状の第2領域とが、前記第2方向に沿って配置される、八角形形状の表示パネルと、
を備え、
前記第3辺は、交互に配置される、前記第1方向に延伸する第1短辺と、前記第2方向に延伸する第2短辺と、を有し、
前記第2部分は、前記第2方向に延伸し、互いに離間する複数の切片と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る表示装置の外観の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る表示装置に備えられる表示パネルの概略的な構成を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、表示装置の概略的な構成の一例を示す断面図である。
【
図4】
図4は、照明装置の概略的な構成の一例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、比較例の表示装置の概略的な構成例の一つを示す平面図である。
【
図6】
図6は、表示装置の概略的な構成の一例を示す平面図である。
【
図8】
図8は、実施形態における表示装置の構成例を示す平面図である。
【
図9A】
図9Aは、
図8の線AA1-AA2に沿った導光板の概略的な構成の例を示す断面図である。
【
図9B】
図9Bは、
図8の線AB1-AB2に沿った導光板の概略的な構成の例を示す断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態における表示装置の構成例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
以下、図面を参照しながら一実施形態に係る表示装置について詳細に説明する。
【0010】
本実施形態においては、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第3方向Zの矢印の先端に向かう方向を上又は上方と定義し、第3方向Zの矢印の先端に向かう方向とは反対側の方向を下又は下方と定義する。なお第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zを、それぞれ、X方向、Y方向、及び、Z方向と呼ぶこともある。
【0011】
また、「第1部材の上方の第2部材」及び「第1部材の下方の第2部材」とした場合、第2部材は、第1部材に接していてもよく、又は第1部材から離れて位置していてもよい。後者の場合、第1部材と第2部材との間に、第3の部材が介在していてもよい。一方、「第1部材の上の第2部材」及び「第1部材の下の第2部材」とした場合、第2部材は第1部材に接している。
【0012】
また、第3方向Zの矢印の先端側に表示装置を観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面に向かって見ることを平面視という。第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX-Z平面、あるいは第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY-Z平面における表示装置の断面を見ることを断面視という。
【0013】
図1は、本実施形態に係る表示装置の外観の一例を示す斜視図である。本実施形態において、表示装置は、ユーザの頭部に装着されて使用されるヘッドマウントディスプレイ(HMD)を含む。このような表示装置は、当該表示装置を頭部に装着したユーザに対して、例えば仮想現実(VR)を提供するために用いられる。
【0014】
図1に示すように、表示装置HMDは、表示パネルPNL1及び表示パネルPNL1を備える。表示パネルPNL1及びPNL2を、それぞれ、第1表示パネル及び第2表示パネルと呼ぶこともある。表示パネルPNL1及びPNL2は、それぞれ、独立した表示パネルである。
【0015】
表示パネルPNL1及びPNL2は、ユーザUSRが表示装置HMDを頭部に装着した状態で、当該ユーザUSRの左眼及び右眼の眼前に位置するように、それぞれ配置されている。本実施形態において、表示パネルPNL1及びPNL2は、液晶層を有する液晶表示パネルであるものとする。
【0016】
図2は、本実施形態に係る表示装置に備えられる表示パネルの概略的な構成を示す斜視図である。ここでは、表示パネルPNL1の構成について主に説明する。
【0017】
図2に示す表示パネルPNL1は、第1基板SUB1と、第1基板SUB1に対向する第2基板SUB2とを備える。また、表示パネルPNL1は、画像を表示する表示領域DAを有する。更に、表示パネルPNL1は、例えば表示領域DAにおいてマトリクス状に配列された複数の画素PXを備える。
【0018】
また、表示パネルPNL1は、当該表示パネルPNL1を駆動する駆動ICチップIC1と、表示パネルPNL1へ制御信号を伝達するフレキシブル回路基板FPC1とを備える。フレキシブル回路基板FPC1は、表示装置HMDの動作を制御する制御モジュール(ホストコンピュータ)に接続されている。
【0019】
図2に示す例において、第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、それぞれ、第1方向Xに沿う長辺と、第2方向Yに沿う短辺とを有している。第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、それぞれ、平面視における形状が、八角形形状である。当該形状は長方形の角を切り欠いた形状ともいえる。表示パネルPNL1の平面視における形状が、八角形形状となる。ただし、表示パネルPNL1及び表示パネルPNL2の形状はこれに限定されず、多角形状を有していればよい。当該表示パネルの形状は、後述するユーザUSRの鼻に当たってしまうことを防ぐ形状であればよく、ユーザUSRの鼻に近接する角が切り欠かれた形状であればよい。
【0020】
図3は、表示装置の概略的な構成の一例を示す断面図である。表示パネルPNL1は、上記した第1基板SUB1及び第2基板SUB2に加えて、シール材SAL及び液晶層LCを更に備えている。表示パネルPNL1において、第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、シール材SALより貼り合わされている。液晶層LCは、シール材SALと各基板SUB1及びSUB2との間に封入されている。
【0021】
表示装置HMDにおいて、第1基板SUB1の下面(第2基板SUB2と対向しない面)には、第1偏光板PL1が貼付されている。第2基板SUB2の上面(第1基板SUB1と対向しない面)には、第2偏光板PL2が貼付されている。第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2の偏光軸は、互いに直交する。
【0022】
表示装置HMDは、表示パネルPNL1の背面側(つまり、表示面の反対側)に照明装置ILD(バックライトユニットともいう)を備える。照明装置ILDは、制御モジュールに接続される。表示装置HMDにおいては、照明装置ILDによって表示パネルPNL1が照明されることによって、表示パネルPNL1に画像を表示することができる。
【0023】
表示装置HMDは、表示パネルPNL1と照明装置ILDとの間に、プリズムシートPSを備えている。また、表示装置HMDは、プリズムシートPSと表示パネルPNL1との間に、拡散シートDS(拡散層)を備えている。プリズムシートPSは、例えば第2方向Yと平行に延びる多数のプリズムを備えている。これらのプリズムは、例えばプリズムシートPSの下面(照明装置ILDと対向する面)に形成されている。ただし、これらのプリズムは、プリズムシートPSの上面(表示パネルPNL1と対向する面)に形成されていてもよい。
【0024】
プリズムシートPSは、照明装置ILDによって照明される光を第3方向Zに実質的に平行な光に変換する。ここで、「第3方向Zに実質的に平行な光」は、第3方向Zと厳密に平行な光のみならず、第3方向Zに対する傾きが、照明装置ILDによって照明された際に比べてプリズムシートPSにより十分に小さく変換された光を含む。なお、照明装置ILDによって照明される光の偏光を維持する観点から、プリズムシートPSのプリズムは下面に形成されていることが好ましい。プリズムシートPSを経た光は、拡散シートDSで拡散されて、表示パネルPNL1に照明される。プリズムシートPSを通過した光の視野角が狭い場合であっても、この光を拡散シートDSで拡散することにより、視野角を広げることができる。
【0025】
なお、
図2及び
図3においては表示パネルPNL1について説明したが、表示パネルPNL2についても
図2及び
図3において説明した構成と同様の構成を有する。
【0026】
図4は、照明装置の概略的な構成の一例を示す断面図である。照明装置ILDの導光板LGは、表示パネルPNL1と対向する第1主面F1と、第1主面F1の反対側の第2主面F2と、第1側面F3と、第1側面F3の反対側の第2側面F4を有している。光源素子LS1は第2主面F2及び第1側面F3との間の斜面F5に対向している。光源素子LS1と斜面F5との間にレンズなどの光学素子をさらに配置し、光源素子LS1からの光の幅や角度を調整してもよい。
照明装置ILDは、第2側面F4に対向して反射板REF1、第2主面F2に対向して反射板REF2を有している。
【0027】
導光板LGの第2主面F2は、第1領域A1と、第2領域A2と、第3領域A3とを有している。本実施形態においては、光源素子LS1に近い方から、第1方向Xに沿って、第1領域A1、第2領域A2、及び第3領域A3が設けられている。それぞれの領域の第1方向Xに沿う長さは、第1領域A1、第3領域A3、及び第2領域A2の順に長くなる。
【0028】
第1領域A1における導光板LGの厚さである距離d1は、第1側面F3から第1領域A1及び第2領域A2の境界に向けて長くなる。第2領域A2における導光板LGの厚さである距離d2は、第1領域A1及び第2領域A2の境界から、第2領域A2及び第3領域A3の境界に向けて長くなる。
図4に示す例において、第3領域A3における導光板LGの厚さである距離d3は一定である。距離d3は第1領域A1及び第2領域A2それぞれの位置における距離d1及びd2よりも長い(d3>d1、d3>d2)。
【0029】
第1領域A1は、第1主面F1に対して第1角度θ1で傾いている。第2領域A2は、第1主面F1に対して第2角度θ2で傾いている。角度θ1及びθ2は、いずれも鋭角である。角度θ1は、角度θ2より大きい。なお、本実施形態では、角度θ1は鋭角であるが、これに限らず角度θ1は90°あるいは鈍角でも良い。
【0030】
第3領域A3を設けることにより、第1主面F1から出射する光の輝度分布を均一化させることができる。第3領域A3を設けない場合、つまり平坦部を設けない場合を考える。光源素子LS1から導光板LGに入射した光は、導光板LG内部を伝搬し、反射板REF1で反射される。第3領域A3を設けない場合では、反射板REF1で反射した光は、導光板LGの下方に設けられる凸部(溝、プリズムともいう)で反射された後、第1主面F1の全反射条件を満たさなくなり、導光板LGの第1主面F1から出射光LOとして出射される。この際、第3領域A3を設けない場合では、反射板REF1近傍の凸部で反射された光は、第1方向Xと逆方向に進んだのちに、第1主面F1から出射される。すなわち、第1主面F1の反射板REF1近傍からは光は出射されず、第1主面F1での出射光の輝度ムラが生じる恐れがある。
【0031】
しかしながら、第3領域A3を設ける場合では、第3領域A3の第2領域A2近傍の凸部で反射された光は、反射板REF1の上部で反射された後、第1主面F1の反射板REF1近傍から出射される。これにより、出射光の輝度ムラを抑制し、輝度分布の均一性を向上させることができる。
【0032】
ここで光源素子で生じた光が、照明装置ILDから出射されるまでの光路について説明する。光源素子LS1から出射された出射光は、斜面F5から導光板LGに入射する。入射した光LTは、導光板LGの第1主面F1及び第2主面F2との間で、全反射を繰り返して、第1方向Xに沿って延伸する。反射板REF1に到達した光LTは、反射板REF1で反射される。反射された光LTは、第1方向Xと逆方向に延伸する。導光板LGの下方に設けられる凸部(溝、プリズムともいう)に入射した光LTは、全反射条件を満たさなくなり、導光板LGの第1主面F1から出射光LOとして出射される。反射板REF1に到達した光LTの輝度は、第2方向Yにおいて十分に拡散され、均一化されている。よって第1主面F1から出射される光LOの輝度は第2方向Yにおいて均一となる。出射光LOは、照明装置ILDの照明光である。
【0033】
光源素子LS1は、レーザ光を放つ半導体レーザなどのレーザ光源(レーザダイオード)等を用いることができる。当該レーザ光は、照射方向を中心とした広がりを有する拡散光であってもよく、偏光したレーザ光であってもよい。
【0034】
本実施形態の表示装置HMDには、上述のように、2つの表示パネルPNL1及びPNL2が必要である。それぞれの表示パネルの角が切り欠かれた形状により、表示パネルが、ユーザUSRの鼻に当たってしまうことを防ぐことができる。
【0035】
しかしながら、当該切り欠かれた角では、反射光が不均一となる恐れが生じる。
図5は、比較例の表示装置の概略的な構成例の一つを示す平面図である。表示装置HMDrでは、多角形状、例えば八角形状の表示パネルPNL1は、第1方向Xに平行な方向に延伸する辺EH1及び辺EH2、第2方向Yに平行な方向に延伸する辺EV1及び辺EV2、辺EH1及び辺EV1に設けられ、第1方向Xと鋭角を有する方向に延伸する辺EB1と、を有している。第1方向Xと鋭角を有する方向を、第4方向ともいう。ただし、第3方向Zを省略する場合には、当該方向を第3方向ともいう。
【0036】
表示パネルPNL1の下方には、照明装置ILDが設けられている。照明装置ILDの導光板LGは、辺EH1、辺EH2、辺EV1、辺EV2、及び辺EB1それぞれに平行な方向に延伸する、辺LH1、辺LH2、辺LV1、及び辺LB1を有している。
辺EH2、辺EV2、及び辺EB2に沿って、反射板REF1が設けられている。反射板REF1は、辺EV2及び辺EB1それぞれに平行な方向に延伸する、部分RV1及び部分RB1を有している。
【0037】
辺EH1、辺EH2、辺LH1、及び辺LH2は、第1方向Xに沿って延伸している。辺EV1、辺EV2、辺LV1、辺LV2、及び部分RV1は、第2方向Yに沿って延伸している。辺EB1、辺LB1、及び部分RB1は、第1方向Xと鋭角を有する方向に延伸する。
【0038】
表示パネルPNL1の辺EV1、及び導光板LGの辺LV3に隣接して、複数の光源素子LS1が設けられている。複数の光源素子LS1は、赤色を発光する光源素子LSr、緑色を発光する光源素子LSg、青色を発光する光源素子LSbを含んでいる。光源素子LSr、LSg、及びLSbは、第2方向Yに沿って、この順に配列されている。
【0039】
図5に示す辺LV1及び辺LV2は、それぞれ、
図4に示す第1側面F3及び第2側面F4に対応している。辺LV1及び辺EV1との間に、第2方向Yに平行な方向に延伸する、導光板LGの辺EV3が位置している。辺EV1及び辺EV3との間に領域が、
図4に示す斜面F5に対応している。
【0040】
光源素子LS1から出射された光LTは、辺EV2から導光板LGの内部に入射する。
図4にて説明した通り、反射板REF1にて反射し、照明光として上方(第3方向Z)へ出射される。反射板REF1のうち、部分RV1で反射した光LT1は、主光路が第1方向Xと並行である。そのため、光LT1は、輝度分布が均一な出射光となる。しかしながら、部分RB1で反射した光LT2は、主光路が第1方向Xと非平行になってしまう。このため、光LT2の輝度分布は、均一性が実現できない恐れがある。
【0041】
本実施形態では、導光板LGの辺LB1及び反射板REF1の部分RB1を、階段形状にすることにより、反射光の輝度分布の均一化を図る。反射光の輝度分布の均一化を図ることにより、照明装置ILDから出射される照明光、及び、照明光を表示パネルにて変調することにより得られる映像光の輝度分布の均一化を図ることが可能である。
【0042】
図6は、表示装置の概略的な構成の一例を示す平面図である。
図6に示す表示装置HMDでは、導光板LG1の辺LV2及び辺LH1との間に、辺LB1を有している。辺LB1は、第1方向Xに平行な辺LB1aと、第2方向Yに平行な辺LB1bを含んでいる。辺LB1a及び辺LB1bは交互に配置され、全体として階段形状の辺LB1を構成している。なお他の辺と区別するために、辺LB1a及び辺LB1bを短辺と呼ぶこともある。
【0043】
辺LB1a及び辺LB1bに対向して、反射板REF1の部分RB1a及び部分RB1bが配置されている。部分RB1a及び部分RB1bは、それぞれ、第1方向X及び第2方向Yに沿って平行に配置される切片であるといえる。部分RB1a及び部分RB1bは交互に重ねて配置され、全体として階段形状の部分RB1を構成している。
【0044】
図7は、
図6の部分拡大図である。第1方向Xに沿って伝搬した光LTは、部分RB1bで反射する。反射した光LTaも第1方向Xと逆方向に伝搬する。上述の光LT1と同様、光LTaは輝度分布が均一な出射光として、導光板LGの上方に出射される。
【0045】
光LTは、実際は第1方向Xに対しわずかに傾いた角度で、導光板LGを伝搬する。この場合においても、導光板LGの辺LB1bから反射板REF1に向けて出射される。出射された光LTaは、部分RB1bで反射し、再度導光板LGに入射する。
光LTが第1方向Xに対しわずかに傾いた角度で、導光板LGを伝搬するため、導光板LGの辺LB1bに到達する前に、辺LB1aに到達することもある。この場合、光LTは、導光板LGの辺LB1aで全反射される。全反射した後、光LTは、導光板LGの辺LB1bから反射板REF1に向けて出射される。出射された光LTbは、部分RB1bで反射し、再度導光板LGに入射する。
光LTa及びLTbにおいても、光LT1と同様、導光板LGの上方に出射される。
【0046】
部分RB1bは、部分RV1と同様に、第2方向Yと平行な方向に延伸している。部分RB1bで反射した光LTa及びLTbは、主光路が概略第1方向Xと平行となる。よって光LTa及びLTbの輝度分布は均一となる。
【0047】
本実施形態では、導光板LGの辺LB1aの長さdx1及び辺LB1bの長さdy1は、いずれも1mmである。階段形状の辺LB1全体の第1方向Xに沿う長さ及び第2方向Yに沿う長さは、いずれも10mmである。ただし、当該長さはこれらに限定されず、必要に応じて適宜決定すればよい。
【0048】
本実施形態により、輝度分布が均一な光を出射する照明装置、及び、当該照明光に照明されることにより、輝度分布が均一な映像光を発する表示装置を得ることが可能である。
【0049】
<構成例1>
図8は、実施形態における表示装置の他の構成例を示す平面図である。
図8に示した構成例では、
図6に示した構成例と比較して、表示パネルの形状に基づいて光源素子の出力を変えるという点で異なっている。
【0050】
表示パネルPNL1は、多角形状を有している。多角形として、例えば、長方形の角が切り欠かれた形状、すなわち、八角形状が挙げられる。八角形は、1つの長方形及びそれを挟む2つの台形から構成されているといえる。
図8において、長方形状及び台形形状の領域を、それぞれ、AR1及びAR2とする。第2方向Yに沿って、領域AR2、領域AR1、及び領域AR2が並んで配置されている。換言すると、領域AR1は、第2方向Yに沿って、2つの領域AR2に挟まれているといえる。
領域AR1は、辺EV1及び辺EV2を含んでいる。領域AR2は、辺EH1、辺EH2、辺EB1、及び辺EV2を含んでいる。
なお本構成例では、多角形形状の例として、八角形状を挙げたが、表示パネルPNL1の形状はこれに限定されない。八角形状のほかに、長方形の1つの角を切り欠いた五角形形状が挙げられる。
【0051】
領域AR1に隣接して配置される光源素子を、光源素子LS11とする。光源素子LS11は、赤色の光を出射する光源素子LSr11、緑色の光を出射する光源素子LSg11、及び青色の光を出射する光源素子LSb11を含んでいる。
領域AR2に隣接して配置される光源素子を、光源素子LS12とする。光源素子LS12は、赤色の光を出射する光源素子LSr12、緑色の光を出射する光源素子LSg12、及び青色の光を出射する光源素子LSb12を含んでいる。
【0052】
領域AR1からは光源素子LS11から発せられた光が出射し、領域AR2からは光源素子LS12から発せられた光が出射する。領域AR1の面積は領域AR2の面積よりも大きいため、光源素子LS11から発せられた光と光源素子LS12から発せられた光の強さが同じ場合、領域AR2の方が輝度が高くなってしまう。
【0053】
そこで本構成例では、光源素子LS12から出射される光の強度を、光源素子LS11から出射される光の強度より小さくする。これにより、領域AR1と領域AR2の輝度が等しくなり、表示パネルPNL1全体において均一な表示が可能となる。
【0054】
領域AR1及び領域AR2ともに輝度を均一にするために、導光板LGの凸部(溝)の高さを変化させる。
図9Aは、
図8の線AA1-AA2に沿った導光板の概略的な構成の例を示す断面図である。
図9Bは、
図8の線AB1-AB2に沿った導光板の概略的な構成の例を示す断面図である。すなわち、
図9Aは、領域AR1に重畳する導光板LGの領域LR1の断面構成、
図9Bは、領域AR2に重畳する導光板LGの領域LR2の断面構成を示している。
【0055】
導光板LGの第2主面F2には、第2方向Yに沿って延伸する凸部CXが設けられている。
図9Aに示す通り、導光板LGの領域LR1の光源素子側(入光側ともいう)の凸部CXの高さをHXA1とする。領域LR1の光源素子側と反対側(反光源素子側、又は反入光側ともいう)の凸部CXの高さをHXA2とする。光源素子側とは、斜面F5及び第1側面F3近傍、反光源素子側とは、第2側面F4近傍を指す。
【0056】
図9Bに示す通り、導光板LGの領域LR2の光源素子側の凸部CXの高さを、HXB1とする。領域LR2の反光源素子側の凸部CXの高さを、HXB2とする。光源素子側において、第1方向Xで同じ位置にある領域LR1及び領域LR2の凸部CXの高さは、領域LR2の方が高い。つまり、HXB1>HXA1である。一方、反光源素子側において第1方向Xで同じ位置にある領域LR1及び領域LR2の凸部CXの高さは、領域LR2の方が低い。つまり、HXB2<HXA2である。
【0057】
領域AR1において均一な輝度を実現するため、導光板LGの領域LR1において凸部CXの高さは光源素子側で高く、反光源素子側で低くなっている。同様に、導光板LGの領域LR2においても凸部CXの高さは、光源素子側で高く、反光源素子側で低くなっている。しかしながら、領域AR1と領域AR2で均一な輝度を実現するための凸部CXの高さ分布は、領域LR1と領域LR2では異なる。先述の通り、HXB1>HXA1及びHXB2<HXA2とすることで、領域AR1及び領域AR2で均一な発光を得ることができる。
さらに、領域LR2では表示パネルPNL1の表示領域が欠けているため、その部分には凸部CXは必要ない。
本構成例においても、実施形態と同様の効果を奏する。
【0058】
<構成例2>
図10は、実施形態における表示装置の他の構成例を示す平面図である。
図10に示した構成例では、
図8に示した構成例と比較して、第2方向Yに沿って延伸する反射板の部分のみを設けるという点で異なっている。
図11は、
図10の部分拡大図である。
図6において、反射板REF1の部分RB1は、第1方向Xに沿って延伸する部分RB1a及び第2方向Yに沿って延伸するRB1bの両方を有している。一方、
図10では、部分RB1aは設けられない。すなわち、反射板REF1は、第2方向Yに沿って延伸する部分RV1と、第2方向Yに沿って延伸する短い切片である部分RB1bと、から構成されている。複数の部分RB1bは、互いに離間して設けられている。
【0059】
図7にて説明した通り、光LTが反射するのは、反射板REF1の部分RB1bだけである。そのため、反射板REF1の部分RB1aには、光LTは入射しない。よって、本構成例においては、反射板REF1の部分RB1は、部分RB1aを設けず、部分RB1bのみで構成する。このような構成においても、導光板LGの辺LB1bから出射された光は、部分RB1bで反射し、再度導光板LGに入射することできる。
本構成例においても、実施形態と同様の効果を奏する。
【0060】
本実施形態において、導光板LGの辺LH1、辺LV2、辺LB1、及び辺LV3を、それぞれ、第1辺、第2辺、第3辺、及び第4辺ともいう。導光板LGの辺LB1a及び辺LB1bを、それぞれ、第1短辺及び第2短辺ともいう。
反射板REF1の部分RV1及び部分RB1を、それぞれ、第1部分及び第2部分ともいう。部分RB1a及びRB1bを、それぞれ、第1切片及び第2切片ともいう。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
A1…第1領域、A2…第2領域、A3…第3領域、AR1…領域、AR2…領域、CX…凸部、EB1…辺、EB2…辺、EH1…辺、EH2…辺、EV1…辺、EV2…辺、EV3…辺、F1…第1主面、F2…第2主面、F3…第1側面、F4…第2側面、F5…斜面、HMD…表示装置、ILD…照明装置、LB1…辺、LB1a…辺、LB1b…辺、LG…導光板、LH1…辺、LH2…辺、LR1…領域、LR2…領域、LS1…光源素子、LS1…発光素子、LS11…光源素子、LS12…光源素子、LT…光、LT1…光、LV1…辺、LV2…辺、LV3…辺、PNL1…表示パネル、PNL2…表示パネル、RB1…部分、RB1a…部分、RB1b…部分、REF1…反射板、RV1…部分。