(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】圃場の水管理装置、圃場の水管理システム
(51)【国際特許分類】
A01G 25/00 20060101AFI20241202BHJP
G06Q 50/02 20240101ALI20241202BHJP
【FI】
A01G25/00 501Z
G06Q50/02
(21)【出願番号】P 2021207287
(22)【出願日】2021-12-21
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】森田 仁
(72)【発明者】
【氏名】藤本 好宏
(72)【発明者】
【氏名】末吉 康則
(72)【発明者】
【氏名】陳 巨壹
(72)【発明者】
【氏名】三木 一浩
(72)【発明者】
【氏名】武内 利樹
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 雅司
(72)【発明者】
【氏名】山森 直毅
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0319942(US,A1)
【文献】特開2003-186954(JP,A)
【文献】特開2019-180400(JP,A)
【文献】特開2020-103285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 25/00
G06Q 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場に水を供給する給水動作又は前記圃場の水を排出する排水動作を行うアクチュエータと、
端末装置と通信するための通信装置と、
前記アクチュエータを動作させる第1操作が可能な操作装置からの前記第1操作に応じた第1操作信号に基づいて、前記アクチュエータを制御する制御装置と、を備え、
前記操作装置は、前記圃場に在り、
前記端末装置は、正当なユーザが所有する携帯型端末装置を含み、
前記携帯型端末装置は、前記アクチュエータを動作させる第2操作が可能であり、
前記制御装置は、
前記端末装置から送信された所定情報
として、前記携帯型端末装置の位置を示す位置情報を前記通信装置により受信して、当該位置情報に基づいて、前記第1操作信号を受け付ける第1モードと、前記第1操作信号を受け付けない第2モードのいずれかに切り替わり、
前記第1モードに切り替わった場合に、受け付けた前記第1操作信号に基づいて前記アクチュエータを制御
し、
前記第1モードと前記第2モードのいずれに切り替わっても、前記第2操作に応じて前記携帯型端末装置から送信された第2操作信号を前記通信装置により受信すると、当該第2操作信号を受け付けて、当該第2操作信号に基づいて前記アクチュエータを制御する圃場の水管理装置。
【請求項2】
圃場に水を供給する給水動作又は前記圃場の水を排出する排水動作を行うアクチュエータと、
端末装置と通信するための通信装置と、
前記アクチュエータを動作させる第1操作が可能な操作装置からの前記第1操作に応じた第1操作信号に基づいて、前記アクチュエータを制御する制御装置と、を備え、
前記操作装置は、前記圃場に在り、
前記端末装置は、正当なユーザが所有する携帯型端末装置を含み、
前記制御装置は、
前記通信装置により前記携帯型端末装置と通信して、前記携帯型端末装置の認証が成功
した場合に、前記携帯型端末装置から送信された所定情報である前記携帯型端末装置の位置を示す位置情報を前記通信装置により受信して、当該位置情報に基づい
て前記第1操作信号を受け付ける第1モードと前記
第1操作信号を受け付けない第2モードのいずれかに切り替わ
り、
前記第1モードに切り替わった場合に、受け付けた前記第1操作信号に基づいて前記アクチュエータを制御する圃場の水管理装置。
【請求項3】
前記携帯型端末装置は、前記アクチュエータを動作させる第2操作が可能であり、
前記制御装置は、
前記通信装置により受信した前記携帯型端末装置の前記位置情報に基づいて、前記第2操作に応じて前記携帯型端末装置から送信された第2操作信号を受け付けるか又は受け付けないかを決定し、
前記通信装置により受信した前記第2操作信号を受け付けた場合に、当該第2操作信号に基づいて前記アクチュエータを制御する請求項2に記載の圃場の水管理装置。
【請求項4】
前記操作装置を備え、
前記通信装置は、広域通信網を介して正当なユーザが所有する前記携帯型端末装置と無線で通信する請求項1~
3のいずれか1項に記載の圃場の水管理装置。
【請求項5】
前記携帯型端末装置は、前記アクチュエータを動作させる第2操作が可能で且つ当該第2操作に応じて第2操作信号を送信し、
前記制御装置は、前記通信装置により前記携帯型端末装置と通信して、前記携帯型端末装置の認証が成功した場合に、前記携帯型端末装置から前記通信装置により受信した前記第2操作信号を受け付けて、当該第2操作信号に基づいて前記アクチュエータを制御し、且つ前記携帯型端末装置の前記位置情報に基づいて前記第1モードと前記第2モードのいずれかに切り替わる請求項
1~
4のいずれか1項に記載の圃場の水管理装置。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記位置情報で示される前記携帯型端末装置の位置が所定の範囲内にある場合に、前記第1モードに切り替わって、受け付けた前記操作装置からの前記第1操作信号に基づいて前記アクチュエータを制御し、
前記携帯型端末装置の位置が前記所定の範囲外にある場合に、前記第2モードに切り替わる請求項
1~
5のいずれか1項に記載の圃場の水管理装置。
【請求項7】
前記携帯型端末装置は、前記アクチュエータを動作させる第2操作が可能で且つ当該第2操作に応じて第2操作信号を送信し、
前記制御装置は、前記携帯型端末装置の位置が前記所定の範囲内にある場合に、前記携帯型端末装置からの前記第2操作信号を受け付けて、当該第2操作信号に基づいて前記アクチュエータを制御し、
前記携帯型端末装置の位置が前記所定の範囲外にある場合に、前記携帯型端末装置からの前記第2操作信号を受け付けない請求項
6に記載の圃場の水管理装置。
【請求項8】
前記制御装置は、
複数の前記携帯型端末装置からの前記位置情報を前記通信装置によりそれぞれ受信して、当該位置情報に基づいて複数の前記携帯型端末装置が所定の範囲内にあるか否かを判断し、
複数の前記携帯型端末装置が前記所定の範囲内にある場合、当該複数の携帯型端末装置からの前記第2操作信号をそれぞれ受け付けると、予め記憶された前記携帯型端末装置の優先順位に従って、受け付けた優先順位の高い前記携帯型端末装置からの前記第2操作信号に基づいて、前記アクチュエータの制御を実行する請求項
7に記載の圃場の水管理装置
。
【請求項9】
前記携帯型端末装置は、前記アクチュエータを動作させる第2操作が可能で且つ当該第2操作に応じて第2操作信号を送信し、
前記制御装置は、
複数の前記携帯型端末装置から
送信された複数の前記携帯型端末装置の複数の前記位置情報を前記通信装置によ
り受信して、当該
複数の位置情報に基づいて複数の前記携帯型端末装置が所定の範囲内にあるか否かを判断し、
前記所定の範囲内にある前記携帯型端末装置からの前記第2操作信号と、前記所定の範囲外にある前記携帯型端末装置から
の前記第2操作信号
とをそれぞれ受け付けると、前記所定の範囲内にある前記携帯型端末装置からの前記第2操作信号に基づく前記アクチュエータの制御を、前記所定の範囲外にある前記携帯型端末装置からの前記第2操作信号に基づく前記アクチュエータの制御より優先して実行する請求項
1~
5のいずれか1項に記載の圃場の水管理装置。
【請求項10】
前記制御装置は、予め記憶された前記圃場の輪郭を示す圃場情報に基づいて、前記携帯型端末装置の存在を確認する前記範囲を設定する請求項
6~
9のいずれか1項に記載の圃場の水管理装置。
【請求項11】
前記携帯型端末装置の前記位置情報に基づいて前記携帯型端末装置までの距離を演算する距離演算部を備え、
前記制御装置は、前記距離演算部により演算された前記携帯型端末装置までの距離が所定の閾値以下である場合に、前記第1モードに切り替わって、受け付けた前記第1操作信号に基づいて前記アクチュエータを制御し、前記携帯型端末装置までの距離が前記閾値より大きい場合に、前記第2モードに切り替わる請求項
1~
5のいずれか1項に記載の圃場の水管理装置。
【請求項12】
前記距離演算部は、当該水管理装置の位置を示した管理位置情報と、前記携帯型端末装置の前記位置情報とに基づいて、前記携帯型端末装置までの距離を演算し、前記圃場の位置を示した圃場情報に基づいて前記閾値を設定する請求項
11に記載の圃場の水管理装置。
【請求項13】
前記携帯型端末装置の前記位置情報に基づいて当該携帯型端末装置の移動状態を検出する移動検出部を備え、
前記制御装置は、前記移動検出部により前記携帯型端末装置が近づいていることが検出された場合、前記第1モードに切り替わり、受け付けた前記第1操作信号に基づいて前記アクチュエータを制御し、前記移動検出部により前記携帯型端末装置が近づいていないことが検出された場合、前記第2モードに切り替わる請求項
1~
5のいずれか1項に記載の圃場の水管理装置。
【請求項14】
前記アクチュエータ以外の制御対象装置を備え、
前記
携帯型端末装置で可能な第2操作には、
前記アクチュエータを動作させる操作と前記制御対象装置を動作させる操作
とが含まれ、
前記制御装置は、前記第2操作に応じ
て前記携帯型端末装置から送信された第2操作信号に基づいて、前記アクチュエータ又は前記制御対象装置を制御し、且つ前記アクチュエータ若しくは前記制御対象装置の制御に関する制御情報、又は前記制御対象装置からの出力情報を前記通信装置により前記携帯型端末装置に対して送受信し、前記制御情報又は前記出力情報を前記通信装置により送受信する通信周期を、前記第1モードと前記第2モードとで異ならせる請求項
1~
13のいずれか1項に記載の圃場の水管理装置。
【請求項15】
前記制御装置は、前記第1モードでの前記制御情報又は前記出力情報の前記通信周期を、前記第2モードでの前記制御情報又は前記出力情報の前記通信周期より短くする請求項
14に記載の圃場の水管理装置。
【請求項16】
前記操作装置で操作可能な複数種類の前記第1操作のうち、前記第1モードで受け付ける許可操作を前記端末装置毎に示した受付許可情報を記憶する記憶部を備え、
前記制御装置は、前記第1モード又は前記第2モードに切り替わるための前記
所定情報の送信元である前記端末装置に対応した前記許可操作を前記受付許可情報から導出し、前記第1モードにおいて前記操作装置により受信した前記第1操作信号のうち、前記許可操作に対応する第1操作信号を受け付ける請求項1~
15のいずれか1項に記載の圃場の水管理装置。
【請求項17】
前記制御装置は、複数の前記端末装置から送信された
複数の前記端末装置の位置を示す
複数の位置情報を前記通信装置により受信した場合、当該複数の位置情報に基づいて、複数の
前記端末装置のうち、最も近い位置に在る端末装置又は予め記憶された優先順位が最も高い端末装置に対応した前記許可操作を、前記受付許可情報から導出する請求項
16に記載の圃場の水管理装置。
【請求項18】
圃場に水を供給する給水動作又は前記圃場の水を排出する排水動作を行うアクチュエータと、
端末装置と通信するための通信装置と、
前記アクチュエータを動作させる第1操作が可能な操作装置からの前記第1操作に応じた第1操作信号に基づいて、前記アクチュエータを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記端末装置から送信された所定情報に基づいて、前記第1操作信号を受け付ける第1モードと、前記第1操作信号を受け付けない第2モードのいずれかに切り替わり、
前記第1モードに切り替わった場合に、受け付けた前記第1操作信号に基づいて前記アクチュエータを制御し、
複数の前記端末装置から送信された
複数の前記端末装置の位置を示す
複数の位置情報を前記通信装置により受信した場合
、複数の
前記端末装置のうち、最も近い位置に在る端末装置又は予め記憶された優先順位が最も高い端末装置からの前記位置情報に基づいて、前記第1モードと前記第2モードのいずれかに切り替わ
る圃場の水管理装置。
【請求項19】
請求項1~
18のいずれか1項に記載の圃場の水管理装置と、
前記水管理装置に備わる前記アクチュエータを動作させる第1操作が可能な操作装置と、
端末装置と、を含み、
前記操作装置は、
前記第1操作が行われると、当該第1操作に応じた第1操作信号を前記水管理装置に送信し、
前記端末装置は、前記水管理装置で前記第1操作信号を受け付ける第1モードと前記第1操作信号を受け付けない第2モードのいずれかに切り替わるための所定情報を送信する圃場の水管理システム。
【請求項20】
前記水管理装置及び前記端末装置と通信する支援装置を含み、
前記端末装置は、正当なユーザが所有する携帯型端末装置を含み、
前記携帯型端末装置は、前記アクチュエータを動作させるための第2操作が可能で且つ当該第2操作に応じて第2操作信号を送信し、
前記支援装置は、
前記第2操作信号を受信して、当該第2操作信号を前記水管理装置に送信する請求項
19に記載の圃場の水管理システム。
【請求項21】
請求項1に記載の圃場の水管理装置と、
前記水管理装置に備わる前記アクチュエータを動作させる第1操作が可能な操作装置と、
端末装置と、
前記水管理装置及び前記端末装置と通信する支援装置と、
を含み、
前記操作装置は、前記第1操作が行われると、当該第1操作に応じた第1操作信号を前記水管理装置に送信し、
前記端末装置は、前記水管理装置で前記第1操作信号を受け付ける第1モードと前記第1操作信号を受け付けない第2モードのいずれかに切り替わるための所定情報を送信し、且つ正当なユーザが所有する携帯型端末装置を含み、
前記支援装置は、前記携帯型端末装置から受信した当該携帯型端末装置の
前記位置情報に基づいて、前記操作装置から送信された前記第1操作信号を受け付けるか又は受け付けないかを判断する受付判断部を有し、
前記水管理装置は、前記受付判断部
の判断結果を前記支援装置から受信して、当該判断結果に基づいて前記第1操作信号を受け付ける第1モードと、前記第1操作信号を受け付けない第2モードのいずれかに切り替わ
る圃場の水管理システム。
【請求項22】
前記携帯型端末装置は、前記アクチュエータを動作させるための第2操作が可能で且つ当該第2操作に応じて第2操作信号を送信し、
前記支援装置は、前記携帯型端末装置と通信し、
前記第2操作信号を受信して当該第2操作信号を前記水管理装置に送信し、前記携帯型端末装置の認証を行う認証部を有し、前記認証部により前記携帯型端末装置の認証が成功した場合に、前記携帯型端末装置から受信した前記第2操作信号を前記水管理装置に送信し、
前記水管理装置は、前記支援装置から受信した前記第2操作信号に基づいて前記アクチュエータを制御する請求項
21に記載の圃場の水管理システム。
【請求項23】
請求項1に記載の圃場の水管理装置と、
前記水管理装置に備わる前記アクチュエータを動作させる第1操作が可能な操作装置と、
端末装置と、
前記水管理装置及び前記端末装置と通信する支援装置と、
を含み、
前記操作装置は、前記水管理装置に設置されていて、
前記第1操作が行われると、当該第1操作に応じた第1操作信号を前記水管理装置に送信し、
前記端末装置は、正当なユーザにより所有され、前記操作装置から送信された前記第1操作信号の受け付けを許可する許可指令と、前記第1操作信号の受け付けを禁止する禁止指令とをそれぞれ前記水管理装置に送信し、
前記水管理装置は、前記許可指令を受信すると前記
第1操作信号を受け付ける第1モードに切り替わり、前記禁止指令を受信すると前記
第1操作信号を受け付けない第2モードに切り替わ
る圃場の水管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の水管理を行う圃場の水管理装置及び圃場の水管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された圃場の水管理システムが知られている。本水管理システムでは、水栓装置が、圃場管理サーバから受信した制御情報に基づいて栓部を開閉させて、圃場に対して給水又は排水する。また、水栓装置は、近傍にある携帯端末の位置情報を携帯端末から受信して、当該位置情報を自身の位置情報として記憶したり、圃場管理サーバに送信したりする。作業者などが水栓装置に備わる栓操作部又は携帯端末を操作することにより、水栓装置の栓部を開閉させることも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば特許文献1の水栓装置の栓操作部のような、誰でも操作可能な操作装置を圃場に設けると、便利であるが、圃場の正当な管理者又は作業者が意図せず、悪意を持った第3者により栓部の開閉が操作されるおそれがある。この対策として、栓操作部を覆うカバーなどを水栓装置に取り付けて、当該カバーが開かないように、物理的な鍵を付けることが考えられるが、当該鍵を管理するのが煩わしく、コストがかかってしまう。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、意図しない圃場の水管理装置の操作を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
【0007】
本発明の一態様にかかる圃場の水管理装置は、圃場に水を供給する給水動作又は前記圃場の水を排出する排水動作を行うアクチュエータと、端末装置と通信するための通信装置
と、前記アクチュエータを動作させる第1操作が可能な操作装置からの前記第1操作に応じた第1操作信号に基づいて、前記アクチュエータを制御する制御装置と、を備え、前記操作装置は、前記圃場に在り、前記端末装置は、正当なユーザが所有する携帯型端末装置を含み、前記携帯型端末装置は、前記アクチュエータを動作させる第2操作が可能であり、前記制御装置は、前記端末装置から送信された所定情報として、前記携帯型端末装置の位置を示す位置情報を前記通信装置により受信して、当該位置情報に基づいて、前記第1操作信号を受け付ける第1モードと、前記第1操作信号を受け付けない第2モードのいずれかに切り替わり、前記第1モードに切り替わった場合に、受け付けた前記第1操作信号に基づいて前記アクチュエータを制御し、前記第1モードと前記第2モードのいずれに切り替わっても、前記第2操作に応じて前記携帯型端末装置から送信された第2操作信号を前記通信装置により受信すると、当該第2操作信号を受け付けて、当該第2操作信号に基づいて前記アクチュエータを制御する。
【0008】
また、本発明の一態様にかかる圃場の水管理装置は、圃場に水を供給する給水動作又は前記圃場の水を排出する排水動作を行うアクチュエータと、端末装置と通信するための通信装置と、前記アクチュエータを動作させる第1操作が可能な操作装置からの前記第1操作に応じた第1操作信号に基づいて、前記アクチュエータを制御する制御装置と、を備え、前記操作装置は、前記圃場に在り、前記端末装置は、正当なユーザが所有する携帯型端末装置を含み、前記制御装置は、前記通信装置により前記携帯型端末装置と通信して、前記携帯型端末装置の認証が成功した場合に、前記携帯型端末装置から送信された所定情報である前記携帯型端末装置の位置を示す位置情報を前記通信装置により受信して、当該位置情報に基づいて前記第1操作信号を受け付ける第1モードと前記第1操作信号を受け付けない第2モードのいずれかに切り替わり、前記第1モードに切り替わった場合に、受け付けた前記第1操作信号に基づいて前記アクチュエータを制御する。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記携帯型端末装置は、前記アクチュエータを動作させる第2操作が可能であり、前記制御装置は、前記通信装置により受信した前記携帯型端末装置の前記位置情報に基づいて、前記第2操作に応じて前記携帯型端末装置から送信された第2操作信号を受け付けるか又は受け付けないかを決定し、前記通信装置により受信した前記第2操作信号を受け付けた場合に、当該第2操作信号に基づいて前記アクチュエータを制御する。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記圃場の水管理装置は、前記操作装置を備え、前記通信装置は、広域通信網を介して正当なユーザが所有する前記携帯型端末装置と無線で通信する。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記携帯型端末装置は、前記アクチュエータを動作させる第2操作が可能で且つ当該第2操作に応じて第2操作信号を送信し、前記制御装置は、前記通信装置により前記携帯型端末装置と通信して、前記携帯型端末装置の認証が成功した場合に、前記携帯型端末装置から前記通信装置により受信した前記第2操作信号を受け付けて、当該第2操作信号に基づいて前記アクチュエータを制御し、且つ前記携帯型端末装置の前記位置情報に基づいて前記第1モードと前記第2モードのいずれかに切り替わる。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記制御装置は、前記位置情報で示される前記携帯型端末装置の位置が所定の範囲内にある場合に、前記第1モードに切り替わって、受け付けた前記操作装置からの前記第1操作信号に基づいて前記アクチュエータを制御し、前記携帯型端末装置の位置が前記所定の範囲外にある場合に、前記第2モードに切り替わる。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記制御装置は、前記携帯型端末装置の位置が前記所定の範囲内にある場合に、前記携帯型端末装置からの前記第2操作信号を受け付けて、当該第2操作信号に基づいて前記アクチュエータを制御し、前記携帯型端末装置の位置が前記所定の範囲外にある場合に、前記携帯型端末装置からの前記第2操作信号を受け付けない。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記制御装置は、複数の前記携帯型端末装置からの前記位置情報を前記通信装置によりそれぞれ受信して、当該位置情報に基づいて複数の前記携帯型端末装置が所定の範囲内にあるか否かを判断し、複数の前記携帯型端末装置が前記所定の範囲内にある場合、当該複数の携帯型端末装置からの前記第2操作信号をそれぞれ受け付けると、予め記憶された前記携帯型端末装置の優先順位に従って、受け付けた優先順位の高い前記携帯型端末装置からの前記第2操作信号に基づいて、前記アクチュエータの制御を実行する。
【0016】
また、本発明の一態様では、前記制御装置は、複数の前記携帯型端末装置から送信された複数の前記携帯型端末装置の複数の前記位置情報を前記通信装置により受信して、当該複数の位置情報に基づいて複数の前記携帯型端末装置が所定の範囲内にあるか否かを判断し、前記所定の範囲内にある前記携帯型端末装置からの前記第2操作信号と、前記所定の範囲外にある前記携帯型端末装置からの前記第2操作信号とをそれぞれ受け付けると、前記所定の範囲内にある前記携帯型端末装置からの前記第2操作信号に基づく前記アクチュエータの制御を、前記所定の範囲外にある前記携帯型端末装置からの前記第2操作信号に基づく前記アクチュエータの制御より優先して実行する。
【0017】
また、本発明の一態様では、前記制御装置は、予め記憶された前記圃場の輪郭を示す圃場情報に基づいて、前記携帯型端末装置の存在を確認する前記範囲を設定する。
【0018】
また、本発明の一態様では、前記圃場の水管理装置は、前記携帯型端末装置の前記位置情報に基づいて前記携帯型端末装置までの距離を演算する距離演算部を備え、前記制御装置は、前記距離演算部により演算された前記携帯型端末装置までの距離が所定の閾値以下である場合に、前記第1モードに切り替わって、受け付けた前記第1操作信号に基づいて前記アクチュエータを制御し、前記携帯型端末装置までの距離が前記閾値より大きい場合に、前記第2モードに切り替わる。
【0019】
また、本発明の一態様では、前記距離演算部は、当該水管理装置の位置を示した管理位置情報と、前記携帯型端末装置の前記位置情報とに基づいて、前記携帯型端末装置までの距離を演算し、前記圃場の位置を示した圃場情報に基づいて前記閾値を設定する。
【0020】
また、本発明の一態様では、前記携帯型端末装置の前記位置情報に基づいて当該携帯型端末装置の移動状態を検出する移動検出部を備え、前記制御装置は、前記移動検出部により前記携帯型端末装置が近づいていることが検出された場合、前記第1モードに切り替わり、受け付けた前記第1操作信号に基づいて前記アクチュエータを制御し、前記移動検出部により前記携帯型端末装置が近づいていないことが検出された場合、前記第2モードに切り替わる。
【0021】
また、本発明の一態様では、前記圃場の水管理装置は、前記アクチュエータ以外の制御対象装置を備え、前記携帯型端末装置で可能な第2操作には、前記アクチュエータを動作させる操作と前記制御対象装置を動作させる操作とが含まれ、前記制御装置は、前記第2操作に応じて前記携帯型端末装置から送信された第2操作信号に基づいて、前記アクチュエータ又は前記制御対象装置を制御し、且つ前記アクチュエータ若しくは前記制御対象装置の制御に関する制御情報、又は前記制御対象装置からの出力情報を前記通信装置により前記携帯型端末装置に対して送受信し、前記制御情報又は前記出力情報を前記通信装置により送受信する通信周期を、前記第1モードと前記第2モードとで異ならせる。
【0022】
また、本発明の一態様では、前記制御装置は、前記第1モードでの前記制御情報又は前記出力情報の前記通信周期を、前記第2モードでの前記制御情報又は前記出力情報の前記通信周期より短くする。
【0023】
また、本発明の一態様では、圃場の水管理装置は、前記操作装置で操作可能な複数種類の前記第1操作のうち、前記第1モードで受け付ける許可操作を前記端末装置毎に示した受付許可情報を記憶する記憶部を備え、前記制御装置は、前記第1モード又は前記第2モードに切り替わるための前記送信情報の送信元である前記端末装置に対応した前記許可操作を前記受付許可情報から導出し、前記第1モードにおいて前記操作装置により受信した前記第1操作信号のうち、前記許可操作に対応する第1操作信号を受け付ける。
【0024】
また、本発明の一態様では、前記制御装置は、複数の前記端末装置から送信された複数の前記端末装置の位置を示す複数の位置情報を前記通信装置により受信した場合、当該複数の位置情報に基づいて、複数の前記端末装置のうち、最も近い位置に在る端末装置又は予め記憶された優先順位が最も高い端末装置に対応した前記許可操作を、前記受付許可情報から導出する。
【0025】
また、本発明の一態様にかかる圃場の水管理装置は、圃場に水を供給する給水動作又は前記圃場の水を排出する排水動作を行うアクチュエータと、端末装置と通信するための通
信装置と、前記アクチュエータを動作させる第1操作が可能な操作装置からの前記第1操作に応じた第1操作信号に基づいて、前記アクチュエータを制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記端末装置から送信された所定情報に基づいて、前記第1操作信号を受け付ける第1モードと、前記第1操作信号を受け付けない第2モードのいずれかに切り替わり、前記第1モードに切り替わった場合に、受け付けた前記第1操作信号に基づいて前記アクチュエータを制御し、複数の前記端末装置から送信された複数の前記端末装置の位置を示す複数の位置情報を前記通信装置により受信した場合、複数の前記端末装置のうち、最も近い位置に在る端末装置又は予め記憶された優先順位が最も高い端末装置からの前記位置情報に基づいて、前記第1モードと前記第2モードのいずれかに切り替わる。
【0026】
本発明の一態様にかかる圃場の水管理システムは、前記圃場の水管理装置と、前記水管
理装置に備わる前記アクチュエータを動作させる第1操作が可能な操作装置と、端末装置と、を含み、前記操作装置は、前記水管理装置に備わる前記アクチュエータを動作させるための第1操作が行われると、当該第1操作に応じた第1操作信号を前記水管理装置に送信し、前記端末装置は、前記水管理装置で前記第1操作信号を受け付ける第1モードと前記第1操作信号を受け付けない第2モードのいずれかに切り替わるための所定情報を送信する。
【0027】
本発明の一態様では、前記圃場の水管理システムは、前記水管理装置及び前記端末装置と通信する支援装置を含み、前記端末装置は、正当なユーザが所有する携帯型端末装置を含み、前記携帯型端末装置は、前記アクチュエータを動作させるための第2操作が可能で且つ当該第2操作に応じて第2操作信号を送信し、前記支援装置は、前記第2操作に応じて前記携帯型端末装置から送信された前記第2操作信号を受信して、当該第2操作信号を前記水管理装置に送信する。
【0028】
また、本発明の一態様では、前記支援装置は、前記携帯型端末装置から受信した当該携帯型端末装置の位置情報に基づいて、前記操作装置から送信された前記第1操作信号を受け付けるか又は受け付けないかを判断する受付判断部を有し、前記水管理装置は、前記受付判断部の判断結果を前記支援装置から受信して、当該判断結果に基づいて前記第1操作信号を受け付ける第1モードと、前記第1操作信号を受け付けない第2モードのいずれかに切り替わる。
【0029】
また、本発明の一態様では、前記支援装置は、前記第2操作信号を受信して当該第2操作信号を前記水管理装置に送信し、前記携帯型端末装置と通信して前記携帯型端末装置の認証を行う認証部を有し、前記認証部により前記携帯型端末装置の認証が成功した場合に、前記携帯型端末装置から受信した前記第2操作信号を前記水管理装置に送信し、前記水管理装置は、前記支援装置から受信した前記第2操作信号に基づいて前記アクチュエータを制御する。
【0030】
さらに、本発明の一態様では、前記操作装置は、前記水管理装置に設置されていて、前記第1操作が行われると、当該第1操作に応じた第1操作信号を前記水管理装置に送信し、前記端末装置は、正当なユーザにより所有され、前記操作装置から送信された前記第1操作信号の受け付けを許可する許可指令と、前記第1操作信号の受け付けを禁止する禁止指令とをそれぞれ前記水管理装置に送信し、前記水管理装置は、前記許可指令を受信すると前記第1操作信号を受け付ける第1モードに切り替わり、前記禁止指令を受信すると前記第1操作信号を受け付けない第2モードに切り替わる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、意図しない圃場の水管理装置の操作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図2】圃場における水管理装置の設置例を示す図である。
【
図6】第1実施形態の圃場の水管理システムの電気的構成図である。
【
図8A】携帯型端末装置の表示画面の一例を示す図である。
【
図8B】携帯型端末装置の表示画面の一例を示す図である。
【
図9】水管理装置と外部装置の識別情報の対応関係を示す図である。
【
図10】第1実施形態の携帯型端末装置の動作を示すフローチャートである。
【
図11】第1実施形態の支援装置の動作を示すフローチャートである。
【
図12】第1実施形態の水管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図14】第2実施形態の水管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図15】第3実施形態の水管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図16】第4実施形態の水管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図17】水管理装置の動作周期の一例を示すタイムチャートである。
【
図18A】圃場と水管理装置と携帯型端末装置の位置の一例を示す図である。
【
図18B】圃場と水管理装置と携帯型端末装置の位置の一例を示す図である。
【
図19】第5実施形態の水管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図20】第6実施形態の水管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図21】第7実施形態の圃場の水管理システムの電気的構成図である。
【
図22】第7実施形態の支援装置の動作を示すフローチャートである。
【
図23】第7実施形態の水管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図24】第8実施形態の携帯型端末装置の動作を示すフローチャートである。
【
図25】第8実施形態の水管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図26】第9実施形態の圃場の水管理システムの電気的構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以降の実施の形態では、同一及び対応する箇所には同一符号を付している。
【0034】
<圃場の水管理システムの構成>
図1は、圃場の水管理システム7の概略構成図である。圃場の水管理システム7は、圃場の水管理装置1、外部装置2~4、及び中継局5を備えている。以下、便宜上、圃場の水管理システムのことを「水管理システム」と言い、圃場の水管理装置のことを「水管理装置」と言う。
【0035】
図2は、圃場Hにおける水管理装置1の設置例を示す図である。水管理装置1は、作物を作付する圃場Hの周囲に、所定の間隔で複数設置されている。
図2及び
図1では、水管理装置1を2台示しているが、水管理装置1は圃場Hの広さなどに応じて適宜数設置されて、水管理システム7に組み込まれる。
【0036】
図1に示す外部装置2~4には、携帯型端末装置(以下、単に「
携帯端末」という。)2、据え置き型端末装置(以下、単に「端末装置」という。)3、及び支援装置4が含まれている。携帯端末2は、スマートフォン又はタブレット機などである。端末装置3は、圃場Hから離れた場所に設置された据え置き型のパーソナルコンピュータ又はノートパソコンなどである。携帯端末2は、圃場の正当な管理者又は圃場Hで作業を行う正当な作業者などのユーザにより携帯される。また、携帯端末2と端末装置3は、正当なユーザにより所有及び使用される。支援装置4は、管理センタ(図示省略)に設置されたサーバなどである。
【0037】
中継局5は、水管理装置1と支援装置4との通信を中継する通信ユニットである。中継局5は、水管理装置1からの様々な情報を支援装置4に送信したり、支援装置4からの様々な情報を水管理装置1に送信したりする。つまり、水管理装置1と支援装置4は、中継局5を介して相互に通信を行う。携帯端末2、端末装置3、及び支援装置4は、携帯電話通信網、インターネット、又はその他のデータ通信網などの公衆通信網6を介して相互に通信を行う。また、携帯端末2及び端末装置3は、支援装置4と中継局5と公衆通信網6とを介して相互に通信することも可能である。
図1では、便宜上、携帯端末2、端末装置3、支援装置4、及び中継局5を1台ずつ示しているが、これらは水管理システム7に適宜数設けられる。
【0038】
他の例として、水管理装置1と携帯端末2若しくは端末装置3との通信を、中継局5により中継してもよい。また、中継局5又は公衆通信網6を介さずに、水管理装置1と外部装置2~4とが狭域通信網などを介して直接通信を行ってもよい。
【0039】
図3は、圃場Hと水管理装置1の側面図である。本実施形態の圃場Hは、例えば水稲から成る作物Uを作付けした水田である。水管理装置1は、圃場Hの給水側(
図3で左側)と排水側(
図3で右側)とにそれぞれ設置されている。給水側に設置された水管理装置1(F)は、パイプライン100の分岐管100bの先端部に、開閉弁100cを介して接続されている。開閉弁100cは、分岐管100bの先端部に装着されている。分岐管100bの根元部は、パイプライン100の供給管100aに接続されている。即ち、分岐管100bは、供給管100aから分岐して、圃場H1に向かって延びている。供給管100aには、用水路(図示省略)を流れる用水が導入される。
【0040】
圃場Hの排水側に設置された水管理装置1(D)は、排水桝122に設けられた落水部123の上端部に接続されている。排水桝122には、排水管121の先端部が接続されている。排水管121の根元部は、排水路120に接続されている。
【0041】
<給水側の水管理装置の構造>
図4は、給水側の水管理装置1(F)の内部を示す図である。給水側の水管理装置1(F)の収容体11は、垂直方向に長く延びる立体構造を有している。収容体11は、筒状に形成されていて、水管理装置1(F)の筐体を構成している。また、収容体11は、開閉弁100cの上方に設置されている。
【0042】
開閉弁100cの本体101は、筒状に形成されていて、内部に用水が通過可能になっている。この本体101の内部には、弁体102と弁軸103と軸受部104とが設けられている。弁軸103の下端部は、弁体102に連結されている。軸受部104は、本体101の上端部の内側に嵌合されている。軸受部104の上部は、本体101から上方に突出している。本体101の周面には、当該本体101を径方向に貫通する貫通孔105が形成されている。貫通孔105は、用水が圃場Hに向かって流出する供給口である。
【0043】
弁軸103は、軸受部104に対して回転自在に支持されている。弁軸103の外周には雌ねじが形成され、軸受部104の内周には雄ねじが形成されている。弁軸103が軸心周りに回転しながら垂直方向に移動することによって、弁体102が垂直方向に移動して、貫通孔105を開閉させ、用水が圃場Hに対して給水されたり、当該給水が停止されたりする。つまり、弁体102は、用水の給水を調整する機構(調整機構)である。なお、上記開閉弁100cは一例であり、上述した構成に限定されない。
【0044】
収容体11の内部には、アクチュエータ10等が備わっている。アクチュエータ10は、圃場Hに供給する給水(用水の給水)及び圃場Hから排出する排水のいずれかを行う弁体102の開閉動作を行う。アクチュエータ10は、電動モータ10aと、電動モータ10aの駆動により回転する回転軸10bとを有している。
【0045】
電動モータ10aのモータ軸12には、当該モータ軸12の回転に伴って回転するギア14が取付けられている。ギア14には、ギア15が噛み合っている。ギア15の内面側には、キー溝(符号省略)が形成されている。当該キー溝には、回転軸10bに設けられた凸状の摺動部17が嵌め込まれている。ギア15は、軸受16に回転自在に支持され、且つ回転軸10bを垂直方向に移動自在に支持している。なお、ギア15と回転軸10bとはスプラインによって連結してもよく、上述した構成に限定されない。
【0046】
回転軸10bの下端部は、弁軸103の上端部と連結している。例えば、回転軸10b
の下端部には、カップリング部18が形成されている。カップリング部18には、弁軸103の上端部に形成されたカップリング部19が連結されている。
【0047】
上記アクチュエータ10によれば、電動モータ10aを回転駆動させることで、ギア14、15及び回転軸10bを回転させて、回転軸10bを垂直方向に移動させることができる。そして、回転軸10bの回転と垂直移動に伴って、弁軸103を回転させながら垂直方向に移動させて、弁体102を開閉動作(貫通孔105の開放及び閉塞)させることができる。
【0048】
収容体11は、複数の筒体11a、11b、11cを有している。筒体11a、11b、11cのそれぞれは垂直方向に並べられていて互いに連結されている。具体的には、筒体11aの下端は、開閉弁100cの本体101に取付けられた取付台115に、ボルト等の締結具によって取付けられている。筒体11aは、取付台115に取付けられた状態で上方に延びるように起立している。
【0049】
筒体11aの上には、筒体11bが連結されている。筒体11aの上端と筒体11bの下端との間には、筒状の連結部材25が設けられている。連結部材25は、周壁部25aと、周壁部25aから径外方向に突出したフランジ部25bと、周壁部25aの上端側に設けられた支持壁25cとを有している。筒体11aの上端をフランジ部25bに近接させ、筒体11bの下端をフランジ部25bに近接させる。また、筒体11aの上端及び周壁部25aをボルト等の締結具で締結し、筒体11bの下端及び周壁部25aをボルト等の締結具で締結する。これにより、筒体11aの上端と筒体11bとが一体化されている。
【0050】
支持壁25cには、回転軸10bが貫通する貫通孔(符号省略)が形成されている。軸受16等が取り付けられた構造体27を支持壁25cに取付けることにより、電動モータ10a、回転軸10b、及びギア15が支持壁25cにより支持されている。即ち、筒体11a、11bによって、アクチュエータ10を収容する第1筒体が構成されている。
【0051】
筒体11bは、下壁部31と、上壁部32と、これら壁部31、32の間に設けられた中間壁33を有している。中間壁33は、径外方向に突出した突出壁34を有している。突出壁34は、円形に構築されている。突出壁34の内側には、操作盤43が設けられている。操作盤43は、中間壁33の外周面に取り付けられている。操作盤43は、圃場Hに在る操作装置の一例である。本例では、操作盤43は、水管理装置1に備わっている。
【0052】
筒体11bの上壁部32の内径を中間壁33の内径より大きくすることで、上壁部32と中間壁33の連結部分には、段部35が形成されている。段部35は、筒体11bの径内方向に突出して、筒体11cの下端部を支持している。即ち、筒体11bの上壁部32と段部35とは、筒体11cの下部を上方から差し込む差し込み部となっている。
【0053】
筒体11cは、筒体11bの内部に上方から嵌め込まれて、筒体11bと段部35によって支持されている。筒体11cの下端部には、載置板37が取り付けられている。載置板37は、段部35によって下方から支持されている。筒体11cの上端は、天板39によって閉鎖されている。筒体11cの上部には、ブラケット38を介して太陽光パネル40が取り付けられている。
【0054】
筒体11cの内部には、検出装置50、制御装置60、通信装置70、監視カメラ80、及び電源装置41が備わっている。監視カメラ80で圃場Hを撮像できるように、筒体11cの周面には窓部153が設けられている。窓部153は、筒体11cの周面に形成された貫通孔153aと、当該貫通孔153aを覆う透明カバー153bとから構成され
ている。透明カバー153bは光を透過可能である。
【0055】
<排水(落水)側の水管理装置の構造>
図5は、排水側の水管理装置1(D)の内部を示す図である。排水側の水管理装置1(D)の筐体も、収容体11により構成されている。排水側の水管理装置1(D)の収容体11は、落水部123の上部に設置されている。
【0056】
落水部123は、仕切弁125と移動機構126とを備えている。移動機構126は、仕切弁125を垂直方向に移動させる。仕切弁125は、垂直方向に移動することで、圃場Hの水を排水管121に向かって落水させない状態(閉鎖状態)と、落水させる状態(開放状態)とに位置変更可能である。
【0057】
移動機構126は、台座127、案内棒128、移動体130、第1軸129、及び第2軸132を有している。台座127は、落水部123の上端に取り付けられている。台座127の下面には、複数の案内棒128の上端が固定されている。各案内棒128は下方に延びて、移動体130のフランジ部(符号省略)を貫通している。移動体130は、案内棒128に沿って上下方向に移動可能になっている。第1軸129は、台座127に形成された貫通孔に挿入されている。
【0058】
排水側の水管理装置1(D)の収容体11の筒体11a、11bの内部にも、アクチュエータ10等が備わっている。第1軸129の上端は、カップリング等によりアクチュエータ10の回転軸10bに連結されている。排水側の水管理装置1(D)の回転軸10bを回転及び垂直移動させる構成と構造は、
図4に示した排水側の水管理装置1(D)の回転軸10bを回転及び垂直移動させる構成と構造と同様であるため、説明を省略する(
図5では符号も省略)。
【0059】
第2軸132は、第1軸129の下端に連結されている。また、第2軸132は移動体130を貫通している。第2軸132の外周には雄ねじが形成され、移動体130の内周には雌ねじが形成されている。アクチュエータ10の電動モータ10aを回転駆動させて、回転軸10bを回転及び垂直移動させることによって、第1軸129及び第2軸132を回転させながら垂直方向に移動させて、移動体130を垂直方向に移動させることができる。
【0060】
仕切弁125は、移動体130に取付けられたブラケット131等に装着されている。仕切弁125は筒状に形成されている。移動体130の垂直方向への移動に伴って、仕切弁125の高さが変わる構造になっている。仕切弁125の上端が圃場Hの水面より高いときは、仕切弁125は落水をさせない閉鎖状態となる。仕切弁125の上端が圃場Hの水面より低いときは、仕切弁125は落水をさせる開放状態となる。アクチュエータ10を作動させて、移動体130を垂直移動させることによって、仕切弁125を開閉動作(落水と落水停止)させることができる。つまり、仕切弁125は、排水を調整する機構(調整機構)である。
【0061】
排水側の水管理装置1(D)の筒体11cの内部にも、検出装置50、制御装置60、通信装置70、監視カメラ80、及び電源装置41が備わっている(
図5)。また、筒体11cの周面には窓部153が設けられている。
【0062】
上述したように、水管理装置1は、圃場Hに供給する給水及び圃場Hから排出する排水のいずれかを開閉動作によって行う弁体(弁体102又は仕切弁125)を含んだ開閉機構を有している。
【0063】
<水管理システムの電気的構成>
図6は、第1実施形態の水管理システム7の各部の電気的構成図である。水管理装置1は、アクチュエータ10、制御装置60、記憶部30、監視カメラ80、検出装置50、通信装置70、操作盤43、電源装置41、及び太陽光パネル40を備えている。
【0064】
制御装置60は、CPUとメモリ等から構成されている。制御装置60は水管理装置1の各部の動作を制御する。制御装置60には、距離演算部60aと移動検出部60bとが設けられている。距離演算部60aは、携帯端末2の位置を示した位置情報に基づいて、携帯端末2までの距離を演算する。移動検出部60bは、携帯端末2の位置情報に基づいて、携帯端末2の移動状態(移動の有無、移動方向、移動速度等)を検出する。距離演算部60aと移動検出部60bとは、例えばソフトウェアプログラムにより構成されている。他の例として、距離演算部60aと移動検出部60bとをハードウェアにより構成してもよい。
【0065】
記憶部30は、不揮発性メモリなどから構成されている。アクチュエータ10は、前述した電動モータ10aと、当該電動モータ10aを駆動するためのモータ駆動回路(図示省略)を有している。制御装置60は、モータ駆動回路により電動モータ10aの駆動を制御して、前述した弁体102、125を開閉動作あせて、圃場Hに対して給水又は排水を行う。
【0066】
監視カメラ80は、CCDカメラ、CMOSカメラ、又は赤外線カメラ等から構成されている。監視カメラ80は、圃場Hの水面、作物U(
図3)、及びこれらの周辺を撮像(監視)する。
図2等に示したように、圃場Hに複数の水管理装置1を設置した場合、各水管理装置1に備わる監視カメラ80は、圃場Hの全体を撮像してもよいし、又は圃場Hの所定範囲(一部)を撮像してもよい。また、各水管理装置1に備わる監視カメラ80の撮像範囲を完全に異ならせてもよいし、又は一部重複させてもよい。さらに、各水管理装置1に、監視カメラ80を複数設けてもよい。
【0067】
また、圃場Hのより広い範囲を監視カメラ80で撮像(監視)するため、監視カメラ80の向きを変える機構と当該機構を駆動する電動モータを水管理装置1に備えてもよい。また、監視カメラ80の撮像範囲を照明するライト等の光源を水管理装置1に備えてもよい。監視カメラ80により撮像された画像のデータを処理する画像処理部は、監視カメラ80に備わっていてもよいし、又は制御装置60に備わっていてもよい。
【0068】
検出装置50は、圃場Hの状態(環境)を検出する複数のセンサを有している。詳しくは、検出装置50は、水位を検出する水位センサ50a、水温を検出する水温センサ50b、気温を検出する気温センサ50c、湿度を検出する湿度センサ50d、土壌の温度を検出する土壌温度センサ50eを有している。これら各センサ50a~50eの検出子は、前述した水管理装置1の収容体11の外部(圃場H)に設けられている。また、各センサ50a~50eの検出子の出力信号に基づいて検出値(水位、水温、気温、湿度、土壌温度)を演算する演算回路は、水管理装置1の収容体11の内部に設置されている(
図4、
図5)。
【0069】
図2などに示したように、圃場Hに複数の水管理装置1を設置した場合、各水管理装置1に備わる検出装置50は、圃場Hの所定範囲(一部)の水位、水温、気温、湿度、及び土壌温度等を検出する。
【0070】
なお、各水管理装置1に備わる検出装置50の検出範囲を完全に異ならせてもよいし、又は一部重複させてもよい。また、水管理装置1は、水位センサ50a、水温センサ50b、気温センサ50c、湿度センサ50d、及び土壌温度センサ50eの全てを備えてい
る必要はなく、適宜、組み合わせが可能である。さらに、例えば圃場Hの日射量や風量等のその他の物理量を検出するセンサ等を、検出装置50に設けてもよい。
【0071】
監視カメラ80と検出装置50は、圃場Hを監視する監視装置である。具体的には、例えば、圃場Hの水面や水位、圃場Hに作付けされた作物U、圃場Hに入り込んだ異物(人、動物、及び機械等)を、水管理装置1は検出装置50と監視カメラ80により監視する。検出装置50の検出結果と監視カメラ80で撮像した画像のデータは、記憶部30に記憶される。なお、検出装置50と監視カメラ80のうち、いずれか一方だけ監視装置として水管理装置1に設けてもよい。
【0072】
操作盤43は、水管理装置1の外周面に操作可能に設置されている(
図4、
図5)。
図7は、操作盤43を正面から見た外観図である。操作盤43には、複数の表示ランプL1~L8と操作スイッチK1~K5とが設けられている。表示ランプL1~L8の光源はLEDである。主電源ランプL1は、点灯することで、水管理装置1の主電源がON(入り状態)されていることを表示する。電源ランプL2は、点灯することで、操作盤43の電源がONされていることを表示する。異常ランプL3は、点灯することで、操作盤43又は水管理装置1に異常が有ることを表示する。
【0073】
原点スイッチK1は、水管理装置1の弁体102、125の原点(全閉位置と全開位置)を設定(登録)するために操作される。原点ランプL4は、点灯することで、弁体102、125の原点が設定されていることを表示する。遠隔ランプL5は、点灯することで、後述の携帯端末2又は端末装置3による水管理装置1の遠隔操作が可能であることを表示する。手動ランプL6は、点灯することで、操作盤43による水管理装置1の手動操作が可能であることを表示する。操作方法スイッチK2は、水管理装置1の携帯端末2又は端末装置3による遠隔操作と操作盤43による手動操作とを有効又は無効にするために操作される。
【0074】
上昇スイッチK3は、弁体102、125を上昇(開方向へ移動)させるために操作される。下降スイッチK5は、弁体102、125を下降(閉方向へ移動)させるために操作される。上昇スイッチK3が操作されている間だけ、弁体102、125が上昇するように構成してもよいし、又は上昇スイッチK3が所定時間継続して操作されると(例えば長押し状態)、弁体102、125が全開位置まで上昇するように構成してもよい。下降スイッチK5が操作されている間だけ、弁体102、125が下降するように構成してもよいし、又は下降スイッチK5が所定時間継続して操作されると、弁体102、125が全閉位置まで下降するように構成してもよい。
【0075】
上昇ランプL7は、点灯することで、弁体102、125が上昇していることを表示する。下降ランプL6は、点灯することで、弁体102、125が下降していることを表示する。停止スイッチK4は、弁体102、125を停止させるために操作される。操作盤43の操作スイッチK1~K5を操作することにより、当該操作スイッチK1~K5から出力された操作信号が、制御装置60(
図6)の入力ポート(図示省略)に入力される。すると、制御装置60は、当該入力された操作信号に応じて、アクチュエータ10の駆動を制御して、弁体102、125を開閉作動させる。
【0076】
また、制御装置60は、操作スイッチK1~K5から入力された操作信号又はアクチュエータ10の駆動状態に応じて、表示ランプL1~L8を点灯させるON信号、又は表示ランプL1~L8を消灯させるOFF信号を、制御装置60の出力ポートから対応する表示ランプL1~L8に出力する。
【0077】
通信装置70は、水管理装置1が外部装置2~4と通信するための通信モジュールであ
って、様々な情報を外部に対して送受信可能である。通信装置70は、例えば、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、BLE(Bluetooth(登録商標)Low Energy)、LPWA(Low Power, Wide Area)、LPWAN(Low-Power Wide-Area Network)などにより無線通信を行うことができる。また、通信装置70は、公衆通信網6を介した無線又は有線の通信を行うことも可能である。
【0078】
制御装置60は、支援装置4から送信された水管理装置1の各部(少なくともアクチュエータ10、監視カメラ80、検出装置50)を制御するための情報を通信装置70により受信する。また、制御装置60は、その支援装置4から受信した情報と、検出装置50により検出された検出値(水位、水温、気温、湿度、土壌温度等)とに基づいて、アクチュエータ10の電動モータ10aを駆動して、前述の弁体102、125の開閉動作を制御し、圃場Hに対して給水や排水を行う。また、制御装置60は、操作盤43の操作スイッチK1~K5の操作に応じて操作盤43から入力される操作信号に基づいて、アクチュエータ10の駆動を制御して、弁体102、125を開閉作動させる。
【0079】
また、制御装置60は、検出装置50により検出された検出値と、監視カメラ80により撮像された圃場Hの画像データなどの監視結果を示す情報を、通信装置70により支援装置4へ送信する。さらに、制御装置60は、水管理装置1の各部(少なくともアクチュエータ10、監視カメラ80、検出装置50)を制御した結果を示す情報を、通信装置70により支援装置4へ送信する。他にも、水管理装置1の各部の故障状況を示す情報などを、制御装置60が支援装置4に送信してもよい。
【0080】
電源装置41は、水管理装置1の電源である蓄電池41aを有している。蓄電池41aは、例えばリチウムイオンバッテリから構成されている。電源装置41は、蓄電池41aの電力を水管理装置1の各部に供給する。また、電源装置41は、太陽光パネル40が発電した電力を蓄電池41aに蓄電する。
【0081】
携帯端末2は、制御部2a、記憶部2b、表示操作部2c、通信部2d、位置検出部2e、及び蓄電池2fを備えている。制御部2aは、携帯端末2の各部の動作を制御する。記憶部2bはメモリ等から構成されている。記憶部2bには、水管理装置1による圃場Hの監視状態を確認したり、水管理装置1を操作したりするためなどの圃場管理アプリケーションプログラム(以下、「圃場管理アプリ」と言う。)が記憶されている。
【0082】
表示操作部2cは、例えばタッチパネル、スピーカ、操作キー、及びマイクなどから構成されている。圃場管理アプリに基づく画像などの表示が表示操作部2cにより出力されたり、圃場管理アプリに対する所定の入力が表示操作部2cにより行えたりする。通信部2dは、Wi-Fi(登録商標)、BLE、LPWA、LPWAN等の通信規格による無線通信と、公衆通信網6を介した無線通信とを行うことが可能な通信回路から構成されている。制御部2aは、通信部2dにより端末装置3及び支援装置4と通信する。他の例として、携帯端末2が水管理装置1と直接通信可能に通信部2dを構成してもよい。
【0083】
位置検出部2eは、携帯端末2の位置を検出するための電子部品(加速度センサやジャイロセンサ等を含む)と電気回路(アンテナや受信回路等を含む)などから構成されている。例えば位置検出部2eは、D-GPS、GPS、GLONASS、北斗、ガリレオ、みちびき等の衛星測位システム(測位衛星)により、携帯端末2の位置(緯度、経度を含む測位情報)を検出する。蓄電池2fは、例えばリチウムイオンバッテリから構成されている。携帯端末2の各部は、蓄電池2fの電力により駆動する。
【0084】
端末装置3は、制御部3a、記憶部3b、表示部3c、操作部3g、通信部3d、及び電源部3fを備えている。制御部3aは、端末装置3の各部の動作を制御する。記憶部3
bはメモリやハードディスク等から構成されている。記憶部3bには、上述した圃場管理アプリが記憶されている。表示部3cは、ディスプレイ等から構成されている。操作部3gは、キーボードやマウス等から構成されている。記憶部3bに記憶された圃場管理アプリに基づく画像等の表示は表示部3cにより出力される。また、圃場管理アプリに対する所定の入力は操作部3gにより行える。
【0085】
通信部3dは、携帯端末2の通信部2dと同様の機能を有している(詳細説明省略)。制御部3aは、通信部3dにより携帯端末2及び支援装置4と通信する。他の例として、端末装置3が水管理装置1と直接通信可能に通信部3dを構成してもよい。電源部3fは、例えばリチウムイオンバッテリ等の蓄電池と、商用電源に接続可能な電源回路等から構成されている。端末装置3の各部は、電源部3fから供給される電力により駆動する。
【0086】
支援装置4は、制御部4a、記憶部4b、通信部4d、電源部4f、及びデータベース4hを備えている。制御部4aは、支援装置4の各部の動作を制御する。記憶部4cは、メモリ又はハードディスクなどから構成されている。通信部4dは、携帯端末2の通信部2dと同様の機能を有している(詳細説明省略)。制御部4aは、通信部4dにより携帯端末2、端末装置3、及び水管理装置1と通信する。電源部4fは、商用電源に接続可能な電源回路と、バックアップ電源回路等から構成されている。支援装置4の各部は、電源部4fから供給される電力により駆動する。
【0087】
制御部4aは、水管理装置1から送信された圃場Hの監視結果を示す監視情報を通信部4dにより受信して、当該監視情報をデータベース4hに記憶する。また、制御部4aは、水管理装置1から送信された水管理装置1の各部(少なくともアクチュエータ10、監視カメラ80、検出装置50)の制御結果を示す制御情報を通信部4dにより受信して、当該制御情報をデータベース4hに記憶する。また、制御部4aは、予め記憶部4bに記憶された圃場Hの水管理と監視に関するスケジュールに基づいて、水管理装置1のアクチュエータ10、監視カメラ80、又は検出装置50などを制御するための制御情報(制御指令)を通信部4dにより水管理装置1に送信する。
【0088】
また、制御部4aは、上述した水管理装置1に対して通信した内容と結果を示す情報を、通信履歴としてデータベース4hに記憶する。また、制御部4aは、データベース4hに記憶された水管理装置1の監視結果を示す制御情報を解析して、圃場Hにおける作物Uの生育状況、水位分布、及び異物の有無等の管理事項を部分的又は総合的に判断し、当該判断結果をデータベース4hに記憶する。さらに、制御部4aは、データベース4hに記憶された水管理装置1の制御情報、監視情報、又は上記判断結果等に基づいて、圃場Hの水管理や監視に関するスケジュールを立てたり変更したりして、当該スケジュールを記憶部4b又はデータベース4hに記憶する。
【0089】
携帯端末2と端末装置3は、支援装置4のデータベース4hに記憶された水管理装置1の監視情報と制御情報(制御指令と制御結果)とを支援装置4から取得して、表示操作部2c又は表示部3cに表示する。具体的には、例えば携帯端末2及び端末装置3において、上述した圃場管理アプリを起動して、表示操作部2c又は操作部3gで所定の操作を行うことにより、制御部2a、3aが監視情報や制御情報を要求する要求信号を通信部2d、3dにより支援装置4に送信する。支援装置4では、携帯端末2又は端末装置3から送信された要求信号を通信部4dにより受信すると、制御部4aが当該要求信号に基づいて、水管理装置1の監視情報又は制御情報をデータベース4hから読み出して、通信部4dにより携帯端末2又は端末装置3に送信する。
【0090】
携帯端末2及び端末装置3では、支援装置4から送信された水管理装置1の監視情報又は制御情報を通信部2d、3dにより受信すると、制御部2a、3aが当該監視情報又は
制御情報を表示操作部2c又は表示部3cに表示させる。これにより、携帯端末2と端末装置3を使用している作業者などは、水管理装置1による圃場Hの管理状態を認識することが可能となる。
【0091】
また、携帯端末2及び端末装置3では、圃場管理アプリを起動して、表示操作部2c又は操作部3gで所定の操作を行うことにより、水管理装置1の各部(少なくともアクチュエータ10、監視カメラ80、検出装置50)を動作させる(遠隔操作する)ことができる。
【0092】
図8A及び
図8Bは、携帯端末2及び端末装置3の表示画面の一例を示す図である。携帯端末2又は端末装置3において、圃場管理アプリを起動して、表示操作部2c又は操作部3gで所定の操作を行うことにより、制御部2a、3aが通信部2d、3dにより支援装置4にアクセス(接続)して、支援装置4から各種の情報を受信し、
図8Aに示すような制御設定画面M1を表示操作部2c又は表示部3cに表示させる。
【0093】
制御設定画面M1は、水管理装置1により圃場Hに対して灌漑を行うための画面である。制御設定画面M1には、単位選択部210、灌漑選択部211、水位設定部212、詳細設定ボタン213、及び時間設定部214が設けられている。単位選択部210では、灌漑単位(制御単位)を入力することができる。詳しくは、単位選択部210を操作することで、圃場単位(圃場H1の1つ1つ)で灌漑の設定を行うか、予め定められた複数の圃場H1のグループで灌漑の設定を行うかを入力することができる。
【0094】
灌漑選択部211は、灌漑の制御方法として、一定湛水、かけ流し、停止、排水、間断灌漑、及びスケジュール運転のいずれかを選択するために操作される。水管理装置1は、一定湛水では、圃場Hの水位が、水位設定部212に入力された設定水位(上限水位)から制御幅を下回った場合に、圃場Hに灌水(給水)を行い、圃場Hの水位が設定水位以上となった場合に、灌水(給水)を停止する。かけ流しでは、圃場Hに対して灌水(給水)を行う。停止では、圃場Hに対する灌水を停止する。排水では、圃場Hから排水を行う。間断灌漑では、圃場Hの設定水位と、水位設定部212により設定された間断灌漑日数とに基づいて、灌水と停止とを交互に行う。スケジュール運転では、予め設定されたスケジュールに基づいて、灌水、排水、及び停止を行う。
【0095】
詳細設定ボタン213が選択されると、制御部2a、3aが、
図8Bに示す詳細設定画面M2を表示操作部2c又は表示部3cに表示させる。詳細設定画面M2には、制御幅入力部215とバルブ開度入力部216とが設けられている。制御幅入力部215では、圃場Hの上限水位と下限水位との差である制御幅を入力することができる。
図8Aの制御設定画面M1で水位設定部212により設定水位(上限水位、水位の上限値)を入力した後、
図8Bの詳細設定画面M2で制御幅入力部215により制御幅を入力することで、下限水位(水位の下限値)を設定することができる。バルブ開度入力部216では、弁体102、125の開度を入力することができる。詳細設定画面M2で設定キー218が選択されると、制御部2a、3aは、
図8Aの制御設定画面M1を表示操作部2c又は表示部3cに表示させる。
【0096】
制御設定画面M1の時間設定部214では、選択時刻に応じて灌漑を行うか否かを設定することができる。詳しくは、時間設定部214の「ON」キーを選択すると、灌漑開始時刻と灌漑終了時刻とを入力することができる。また、「OFF」キーを選択すると、時間に関係なく、各部210~213、215、216により設定された灌漑設定情報に基づいて、圃場Hに対して灌漑を行うことができる。
【0097】
上述したように、設定画面M1、M2で灌漑設定情報(圃場単位、グループ単位、制御
方法、設定水位、制御幅、灌漑開始時刻、灌漑終了時刻など)が入力された後、制御設定画面M1で設定キー217が選択されると、制御部2a、3aは、当該灌漑設定情報と、圃場Hに対して灌漑を行う指令とを含んだ操作信号(第2操作信号)を生成して、当該操作信号を通信部2d、3dにより支援装置4に送信する。
【0098】
支援装置4では、携帯端末2又は端末装置3からの上記操作信号を通信部4dにより受信すると、制御部4aが、当該操作信号に含まれる灌漑設定情報をデータベース4hに記憶し、且つ当該操作信号を水管理装置1に送信(転送)する。水管理装置1では、携帯端末2又は端末装置3から支援装置4を介して送信された操作信号を通信装置70により受信すると、制御装置60が、当該操作信号に基づいてアクチュエータ10を駆動して、弁体102、125を開閉させて、圃場Hに対して灌漑を行う。
【0099】
灌漑以外にも、例えば監視カメラ80の監視動作と検出装置50による圃場Hの各種データの検出動作などを、携帯端末2又は端末装置3により操作(遠隔操作)することができる。詳しくは、携帯端末2又は端末装置3において、水管理装置1の監視カメラ80のオン・オフ、監視カメラ80の撮像範囲の設定、検出装置50に含まれる少なくともいずれかのセンサのオン・オフ、当該センサの検出周期の変更、通信装置70のオン・オフ、通信装置70による通信周期の変更などの操作が行われると、制御部2a、3aが当該操作に応じた操作信号を生成し、当該操作信号を通信部2d、3dにより支援装置4に送信する。また、携帯端末2又は端末装置3において、アクチュエータ10の駆動・停止、動作周期の変更などの操作が行われると、制御部2a、3aが当該操作に応じた操作信号を生成し、当該操作信号を通信部2d、3dにより支援装置4に送信する。
【0100】
支援装置4では、携帯端末2又は端末装置3からの操作信号を通信部4dにより受信すると、当該操作信号を水管理装置1に転送する。水管理装置1では、携帯端末2又は端末装置3から支援装置4などを介して送信された操作信号を通信装置70により受信すると、当該操作信号に基づいて制御対象装置の動作を制御する。
【0101】
<水管理システムの対応関係>
図9は、水管理装置1と外部装置2、3の識別情報の対応関係を示す図である。圃場Hと、圃場Hに設置された水管理装置1と、圃場Hで作業を行う作業者又は管理者が所有する携帯端末2と端末装置3とには、予め固有の識別情報(名称、型式番号、製造番号、シリアルコード等)が付されている。
図9の外部装置識別情報の欄の「S00xxx」は、携帯端末2の識別情報を示している。「T00yyy」は、端末装置3の識別情報を示している。水管理装置1の識別情報から、当該水管理装置1が給水側の水管理装置であるか又は排水側の水管理装置であるかを判別することができる。
【0102】
例えば、支援装置4に対して所定の登録用入力操作を行うことにより、
図9に示すように、圃場H、水管理装置1、携帯端末2、及び端末装置3の識別情報が対応付け(紐づけ)られて、支援装置4の記憶部4bに記憶(登録)される。
【0103】
また、端末装置3又は携帯端末2で所定の入力操作を行うことにより、圃場H、水管理装置1、携帯端末2、及び端末装置3の識別情報が対応付けられて、支援装置4の記憶部4bに記憶されるようにしてもよい。この場合、例えば作業者などが端末装置3又は携帯端末2において、前述の圃場管理アプリにより所定の登録用入力操作を行うと、端末装置3又は携帯端末2が、当該登録用入力操作を示す操作情報を支援装置4に送信すればよい。そして、支援装置4が端末装置3又は携帯端末2から受信した当該操作情報に基づいて、圃場H、水管理装置1、携帯端末2、及び端末装置3の識別情報の対応付けと記憶部4b等への記憶を実行すればよい。
【0104】
またその際、各水管理装置1の設置位置(緯度、経度)と圃場H1の設置位置(緯度、経度)も、各水管理装置1の識別情報や圃場Hの識別情報に対応付けられて、支援装置4の記憶部4b等に予め記憶されてもよい。また、
図9に示すような圃場Hと各装置1~3の識別情報の対応関係を示すテーブルの情報が、水管理装置1、携帯端末2、又は端末装置3の記憶部1b、2b、3bにも予め記憶されてもよい。
【0105】
上記のような圃場Hと各装置1~3の対応情報が、支援装置4など(装置1~3にも)に予め記憶されていることで、水管理装置1による圃場Hの監視結果を示す監視情報と、圃場Hに対する給排水動作等の制御に関する制御情報を、対応する装置1~3間で送受信することができる。そして、当該監視情報や制御情報を支援装置4のデータベース4hに記憶したり、携帯端末2及び端末装置3で確認したりすることができる。
【0106】
<第1実施形態の水管理装置、携帯端末、及び支援装置の動作>
図10は、第1実施形態の携帯端末2の動作を示すフローチャートである。
図11は、第1実施形態の支援装置4の動作を示すフローチャートである。
図12は、第1実施形態の水管理装置1の動作を示すフローチャートである。
【0107】
例えば管理者又は作業者が携帯端末2の表示操作部2cで所定の操作を行って、圃場管理アプリを起動(ON)すると(
図10のS1)、制御部2aが、通信部2dにより支援装置4にアクセスして、記憶部2bに記憶された携帯端末の識別情報を支援装置4へ送信する(S2)。
【0108】
支援装置4では、アクセスのあった携帯端末2からの識別情報を通信部4dにより受信すると(
図11のS21)、制御部4aが、当該携帯端末2の識別情報を通信部4dにより水管理装置1に転送する(S22)。
【0109】
水管理装置1では、支援装置4から転送された携帯端末2からの識別情報を通信装置70により受信すると(
図12のS41)、制御装置60が、当該携帯端末2の識別情報と、記憶部30に予め登録された携帯端末2の識別情報とを照合する。そして、支援装置4から受信した携帯端末2の識別情報と、記憶部30に登録された携帯端末2の識別情報とが一致しなかった場合、制御装置60は、携帯端末2の認証が成功しなかったと判断し(S42:NO)、当該認証結果(認証不成功)を通信装置70により支援装置4に送信して(S43)、携帯端末2の識別情報が再び送信されて来るのを待つ。
【0110】
対して、支援装置4から受信した携帯端末2の識別情報と、記憶部30に登録された携帯端末2の識別情報とが一致した場合、制御装置60は、携帯端末2の認証が成功したと判断し(S42:YES)、当該認証結果(認証成功)を通信装置70により支援装置4に送信する(S44)。そして、制御装置60は、携帯端末2の位置情報が支援装置4を介して送信されて来るのを待つ。
【0111】
支援装置4では、水管理装置1からの認証結果を通信部4dにより受信すると(
図11のS23)、制御部4aが、当該認証結果を通信部4dにより携帯端末2に転送する(S24)。携帯端末2では、水管理装置1から支援装置4を介して送信され来た認証結果を通信部2dにより受信すると(
図10のS3)、制御部2aが、当該認証結果を確認する。ここで、認証結果において、携帯端末2の認証が成功しなかったことが示されていた場合(S4:NO)、制御部2aは、当該認証結果を表示操作部2cにより表示して、圃場管理アプリが終了(OFF)したか否かを確認する。又は、制御部2aは、もう一度携帯端末2の識別情報を、通信部2dにより支援装置4に送信してもよい。但し、当該携帯端末2の識別情報の送信のリトライは、所定回数(例えば2回)に限定される。
【0112】
対して、受信した認証結果において、携帯端末2の認証が成功したことが示されていた場合(S4:YES)、制御部2aは、位置検出部2e(
図6)により検出された携帯端末2の位置を示す位置情報を、通信部2dにより支援装置4に送信する(S5)。この際、制御部2aが、携帯端末2に内蔵されたGPSの位置情報を、携帯端末2の位置情報として通信部2dにより支援装置4に送信してもよい。
【0113】
支援装置4では、携帯端末2の位置情報を通信部4dにより受信すると(
図11のS25)、制御部4aが、当該位置情報を通信部4dにより水管理装置1に転送する(S26)。
【0114】
水管理装置1では、支援装置4から転送された携帯端末2の位置情報を通信装置70により受信すると(
図12のS45)、制御装置60が、当該位置情報で示される携帯端末2の位置を評価するための範囲E1を、記憶部30に予め登録された圃場Hを示す情報(圃場情報)に基づいて設定する(S46)。この際、制御装置60は、圃場Hの輪郭に基づいて範囲E1を設定する。具体的には、制御装置60は、例えば
図13に示すように、圃場Hの輪郭(
図13では矩形枠)を外側に所定量オフセットして形成された輪郭の内側を、範囲E1として設定する。
【0115】
他の例として、圃場Hの輪郭を内側に所定量オフセットして形成された輪郭の内側を、範囲E1として設定してもよい。又は、圃場Hに設置された水管理装置1を中心にして所定の半径で描いた円の内側を、範囲E1として設定してもよい。また、作業者などが水管理装置1を視認可能な範囲を、範囲E1として設定してもよい。この場合、範囲E1は固定値となる。
【0116】
次に、制御装置60は、受信した位置情報で示される携帯端末2の位置と、範囲E1とを比較する。そして、携帯端末2の位置が範囲E1内(範囲E1以内)にあれば(
図12のS47:YES)、制御装置60は、操作盤43からの操作信号を受け付ける第1モードに切り替わる(S48)。この後、操作盤43の操作スイッチK1~K5が操作されて、当該操作に応じた操作信号が操作盤43から入力されると(S49)、制御装置60は、当該操作信号を受け付けて、当該操作信号に基づいて制御対象装置(アクチュエータ10、監視カメラ80、検出装置50など)の動作制御を実行する(S50)。
【0117】
対して、携帯端末2の位置が範囲E1外にあれば(S47:NO)、制御装置60は、操作盤43からの操作信号を受け付けない第2モードに切り替わる(S51)。この後、操作盤43の操作スイッチK1~K5が操作されて、当該操作に応じた操作信号が操作盤43から入力されても、制御装置60は、当該操作信号を受け付けず、当該操作信号に基づいて制御対象装置の動作制御を実行しない。
【0118】
また、携帯端末2において、水管理装置1の制御対象装置(アクチュエータ10、監視カメラ80、検出装置50など)を動作させる操作が入力されると(
図10のS6:YES)、制御部2aは、当該操作に応じた操作信号を生成して、当該操作信号を通信部2dにより支援装置4に送信する(S7)。
【0119】
支援装置4では、携帯端末2からの操作信号を通信部4dにより受信すると(
図11のS27:YES)、制御部4aが、当該操作信号を通信部4dにより水管理装置1に転送する(S28)。
【0120】
水管理装置1では、携帯端末2から支援装置4を介して送信されて来た操作信号を通信装置70により受信すると(
図12のS52)、制御装置60は、当該操作信号を受け付けて、当該操作信号に基づいて制御対象装置(アクチュエータ10、監視カメラ80、検
出装置50など)の動作制御を実行する(S53)。
【0121】
上述した携帯端末2の処理S5~S7(
図10)は、圃場管理アプリが終了(OFF)されない限り(S8:NO)、繰り返し実行される。また、支援装置4の処理S25~S28(
図11)と、水管理装置1の処理S45~S53(
図12)とは、終了通知を受信しない限り(
図11のS29:NO、
図12のS54:NO)、繰り返し実行される。
【0122】
携帯端末2において、管理者などにより圃場管理アプリが終了(OFF)されると(
図10のS8:NO)、制御部2aは、終了通知を通信部2dにより支援装置4に送信する(S9)。これにより、
図10に示す携帯端末2の一連の動作が終了する。
【0123】
支援装置4では、携帯端末2からの終了通知を通信部4dにより受信すると(
図11のS29:YES)、制御部4aが、当該終了通知を通信部4dにより水管理装置1に転送する(S28)。これにより、
図11に示す支援装置4の一連の動作が終了する。
【0124】
水管理装置1では、携帯端末2から支援装置4を介して送信されて来た終了通知を通信装置70により受信すると(
図12のS54:YES)、制御装置60が、このとき実行中の第1モード又は第2モードを停止する(S55)。これにより、
図12に示す水管理装置1の一連の動作が終了する。
【0125】
上述した第1実施形態では、水管理装置1の制御装置60が第1モードにあっても第2モードにあっても、携帯端末2からの操作信号を受け付けたが、これ以外に、制御装置60が携帯端末2の位置に応じて、携帯端末2からの操作信号を受け付けるか又は受け付けないかを決定するようにしてもよい。また、水管理装置1の動作を複数の端末装置2、3により操作可能にしてもよい。
【0126】
図14は、第2実施形態の水管理装置1の動作を示すフローチャートである。第2実施形態では、携帯端末2と支援装置4の動作は、
図10及び
図11に示した第1実施形態の動作と同様である(後述する第3及び第4実施形態も同様である)。
図14のフローチャートでは、便宜上、
図12に示した水管理装置1の処理と同一処理のうち、特定の処理以外は図示を省略している。(以降の他の実施形態のフローチャートでも、便宜上、前述した実施形態のフローチャートの処理と同一処理は図示を省略している。)
【0127】
第2実施形態の水管理装置1では、
図12の処理S50又は処理S51の後、携帯端末2から支援装置4を介して送信されて来た操作信号を通信装置70により受信すると(
図14のS52)、制御装置60は、携帯端末2の位置が範囲E1内にあるか否かを確認する。このとき、携帯端末2の位置が範囲E1外にあれば(S56:NO)、制御装置60は、携帯端末2からの操作信号を受け付けず(S57)、当該操作信号に基づいて制御対象装置の動作制御を実行しない。
【0128】
対して、携帯端末2の位置が範囲E1内にあれば(S56:YES)、制御装置60は、携帯端末2からの操作信号を受け付ける(S58)。そして、制御装置60は、このとき複数の携帯端末2からの操作信号を受け付けているか否かを確認する。なお、複数の携帯端末2からの操作信号を受け付けているとは、例えば、複数台の登録された携帯端末2からの操作信号を、同じタイミングで受け付けた状態と、異なるタイミングで受け付けた状態のことである。後者の場合、先に受け付けた携帯端末2からの操作信号に基づく制御対象装置の制御は実行中である。
【0129】
複数の携帯端末2からの操作信号を受け付けていない場合(S59:NO)、制御装置60は、受け付けた携帯端末2からの操作信号に基づいて、制御対象装置(アクチュエー
タ10、監視カメラ80、検出装置50など)の動作制御を実行する(S53)。対して、複数の携帯端末2からの操作信号を受け付けている場合(S59:YES)、制御装置60は、記憶部30に予め記憶された携帯端末2の優先順位を示す情報を読み込んで、最も優先順位の高い携帯端末2からの操作信号に基づいて、制御対象装置の動作制御を実行する(S60)。
図14の処理S57、処理S53、又は処理S60の後、
図12の処理S54から以降の処理が実行される。
【0130】
なお、複数台の携帯端末2の登録と優先順位の付与は、携帯端末2又は端末装置3で行うことができる。例えば、携帯端末2又は端末装置3において、圃場管理アプリを起動させて、図示しない初期設定画面で所定の操作と入力を行うことにより、複数台の携帯端末2の登録し、当該携帯端末2の優先順位を付与する。この携帯端末2の登録情報と優先順位を示す情報とは、携帯端末2又は端末装置3から支援装置4に送信されて、支援装置4のデータベース4hに記憶される。また、携帯端末2の登録情報と優先順位を示す情報とは、支援装置4から水管理装置1に送信されて、制御装置60により記憶部30に記憶される。
【0131】
図14の処理S60を実行するときに、例えば、優先順位が低い方の携帯端末2からの操作信号に基づいて制御対象装置の動作制御が実行中であって、優先順位が高い方の携帯端末2からの操作信号が、同一の制御対象装置を異なる態様で動作制御することを示していることがある。この場合、制御装置60は、優先順位が低い方の携帯端末2からの操作信号に基づいた実行中の制御対象装置の動作制御を中止して、優先順位が高い方の携帯端末2からの操作信号に基づいて制御対象装置の動作制御を実行する。
【0132】
図15は、第3実施形態の水管理装置1の動作を示すフローチャートである。第3実施形態の水管理装置1では、携帯端末2からの操作信号を通信装置70により受信すると(
図15のS52)、制御装置60は、当該操作信号を受け付ける(S58)。そして、制御装置60は、このとき範囲E1内に在る携帯端末2からの操作信号と、範囲E1外に在る携帯端末2からの操作信号とを、それぞれ受け付けているか否かを確認する。このとき、範囲E1内に在る携帯端末2からの操作信号と、範囲E1外に在る携帯端末2からの操作信号とを、それぞれ受け付けていれば(S61:YES)、制御装置60は、範囲E1内に在る携帯端末2からの操作信号を優先し、当該操作信号に基づいて制御対象装置の動作制御を実行する(S62)。範囲E1外に在る携帯端末2からの操作信号は、破棄してもよい。
【0133】
対して、範囲E1内に在る複数の携帯端末2からの操作信号を受け付けている場合(S61:NO)、又は範囲E1外に在る複数の携帯端末2からの操作信号を受け付けている場合(S61:NO)、制御装置60の距離演算部60a(
図6)が、予め記憶された水管理装置1の位置を示した管理位置情報と、受信した各携帯端末2の位置情報とに基づいて、各携帯端末2までの距離Dを演算する(S63)。そして、制御装置60は、各携帯端末2までの距離Dから、最も近い位置に在る携帯端末2を特定し、当該特定した携帯端末2からの操作信号を優先して、当該操作信号に基づいて制御対象装置の動作制御を実行する(S64)。最も近い位置に在る携帯端末2以外の携帯端末2からの操作信号は、破棄してもよい。
図15の処理S62又は処理S64の後、
図12の処理S54から以降の処理が実行される。
【0134】
上述した実施形態では、圃場Hの周辺の範囲E1内に携帯端末2が在るか否かに応じて、第1モードと第2モードのいずれかに切り替わったが、これ以外に、例えば携帯端末2の移動状態又は携帯端末2までの距離に応じて、第1モードと第2モードのいずれかに切り替わってもよい。
【0135】
図16は、第4実施形態の水管理装置1の動作を示すフローチャートである。
図17は、水管理装置1の動作周期の一例を示すタイムチャートである。
図18A~
図18Dは、圃場Hと水管理装置1と携帯端末2の位置の一例を示す図である。
【0136】
水管理装置1では、通常は省電力化のため、通信装置70により所定の長い第1周期Ta1(例えば10分間隔)で支援装置4と通信(制御情報又は監視情報を送受信)する(
図17の(a))。また、監視装置50、80により所定の長い第1周期Tb1(例えば10分間隔)で圃場Hを監視する(
図17の(b))。
【0137】
このとき、水管理装置1の各部は起動状態とスリープ(待機)状態とを繰り返す。詳しくは、例えば、制御装置60の内部タイマ等により計時された時間に基づいて、制御装置60が起動状態になって、通信装置70と監視装置50、80を起動状態にしたり、制御装置60が通信装置70と監視装置50、80をスリープ状態(電力供給を停止したオフ状態でもよい)にして、制御装置60自身もスリープ状態になったりする。スリープ状態にあるときは、通信装置70による支援装置4との通信が不可能になる(アクセス不可)。
【0138】
そのため、起動状態にあるときに制御装置60は、通信装置70により支援装置4から第1周期Ta1で受信した制御情報(制御指令)に基づいて、例えばアクチュエータ10を駆動し、弁体102、125を開閉動作させて、圃場Hに対して給水又は排水を行う。また、制御装置60は、通信装置70により支援装置4から第1周期Ta1で受信した制御情報に基づいて、例えば検出装置50及び監視カメラ80の動作を制御する。また、検出装置50の各センサ50a~50eが第1周期Tb1で対象の検出値を検出し、監視カメラ80が撮像した画像データを第1周期Tb1で記憶部30に保存する。さらに、制御装置60は、検出装置50及び監視カメラ80による監視結果を示した監視情報を、通信装置70により第1周期Ta1で支援装置4に送信する。なお、通信装置70により通信する第1周期Ta1と監視装置50、80により監視する第1周期Tb1とは、同一周期であってもよいし、又は異なる周期であってもよい。
【0139】
また、
図17(c)に示すように、アクチュエータ10を前回駆動してから今回駆動するまでの時間間隔Tc1が、予め設定された水管理スケジュールに従ってアクチュエータ10を駆動していたそれまでの駆動周期(即ち弁体102、125の開閉動作による給排水周期)Tcと異なることがある。
図17(c)に示した例では、水管理装置1が支援装置4から複数回連続でアクチュエータ10の駆動指令を受信して、当該駆動指令に基づいてアクチュエータ10を駆動する場合において、アクチュエータ10の前回駆動から今回駆動までの時間間隔Tc1が、それまでの駆動周期Tcより短くなり且つ通信装置70の通信周期Ta1と略同等になっている。
【0140】
支援装置4では、制御部4aが、例えば予め記憶された水管理スケジュールに基づいて、通信部4dにより水管理装置1と制御情報又は監視情報を通信する。即ち、制御部4aは、通信部4dにより水管理装置1に制御情報(制御指令)を送信したり、水管理装置1から送信された制御情報(制御結果)及び監視情報を通信部4dにより受信したりする。また、制御部4aは、水管理装置1から通信部4dにより受信した制御情報又は監視情報をデータベース4hに記憶する。
【0141】
携帯端末2及び端末装置3では、圃場管理アプリを起動して、表示操作部2c又は操作部3gにより所定の操作を行うことで、支援装置4のデータベース4hに記憶された水管理装置1による制御情報及び監視情報を、支援装置4から通信部2d、3dにより取得して、表示操作部2c又は表示部3cに表示させることができる。
【0142】
第4実施形態の水管理装置1では、
図12の処理S44の後、携帯端末2の位置情報を通信装置70により受信すると(
図16のS45)、制御装置60の移動検出部60bが、同一の携帯端末2の位置情報を所定の複数回N以上受信したか否かを確認する。このとき、同一の携帯端末2の位置情報をN回未満しか受信していなければ(S65:NO)、移動検出部60bは、支援装置4から携帯端末2の位置情報が再び送信されるのを待つ。そして、支援装置4から同一の携帯端末2の位置情報を異なるタイミングで複数回N以上受信すると(S65:YES)、移動検出部60bが、当該複数の位置情報に基づいて、携帯端末2の移動状態を検出する(S66)。
【0143】
例えば作業者が圃場Hで作業を行うため、携帯端末2を携帯した状態で、
図18Aに示すように圃場Hより遠く離れた場所P4から、圃場Hの近くにある場所P5まで移動する。この場合、携帯端末2が場所P4と場所P5に位置していたことを示した携帯端末2の位置情報がそれぞれ水管理装置1で受信される。このため、移動検出部60bは、少なくともその携帯端末2の場所P4、P5における位置情報に基づいて、携帯端末2が水管理装置1に近づいていることを検出する(
図16のS67:YES)。
【0144】
そして、制御装置60が、操作盤43からの操作信号を受け付ける第1モードに切り替わり(S48)、通信装置70による通信周期と監視装置50、80による監視周期とをそれぞれ、第1周期Ta1、Tb1より短い所定の第2周期Ta2、Tb2(例えば1分間隔)に切り替える(S68)。これにより、制御装置60は、通信装置70によって支援装置4に対して第2周期Ta2で制御情報又は監視情報を送受信し(
図17の(a))、且つ監視装置50、80により第2周期Tb2で圃場Hを監視する(
図17の(b))。
【0145】
また、制御装置60が、通信装置70により支援装置4から第2周期Ta2で受信した制御情報(制御指令)に基づいてアクチュエータ10を駆動するため、アクチュエータ10の駆動周期、即ち弁体102、125の開閉動作による給排水周期が、第2周期Tc2で行われる(
図17の(c))。つまり、アクチュエータ10を前回駆動してから今回駆動するまでの時間間隔Tc2が、予め設定された水管理スケジュールに従ってアクチュエータ10を駆動していたそれまでの駆動周期Tcより短くなる。
図16の処理S68の後は、
図12の処理S49から以降の処理が実行される。
【0146】
一方、例えば作業者が圃場Hでの作業を終了したため、携帯端末2を携帯した状態で、
図18Aに示すように、圃場Hの近くにある場所P6から圃場Hより遠く離れた場所P7まで移動する。この場合、携帯端末2が場所P6と場所P7に位置していたことを示した位置情報がそれぞれ水管理装置1で受信される。このため、移動検出部60bは、少なくともその携帯端末2の場所P6、P7における位置情報に基づいて、携帯端末2が水管理装置1から離れていることを検出する(
図16のS67:NO)。
【0147】
そして、距離演算部60a(
図6)が、携帯端末2の最新の位置情報に基づいて、携帯端末2までの距離Dを演算する(
図16のS63)。また、制御装置60が、携帯端末2までの距離Dを評価するための所定の閾値Daを、記憶部30に予め登録された圃場Hの位置などを示した圃場情報に基づいて設定する(S69)。この際、制御装置60は、例えば圃場情報で示される圃場Hの輪郭に基づいて閾値Daを設定する。
【0148】
例えば、作業者が圃場Hで作業を行わないため、携帯端末2を携帯した状態で圃場Hから遠く離れた場所P7(
図18A)に移動した場合、又は
図18Bに示すような圃場Hから遠く離れた場所P1に居る場合、距離演算部60aにより演算された携帯端末2までの距離Dが所定の閾値Daより大きくなる(
図16のS70:NO)。これにより、水管理装置1の制御装置60は、操作盤43からの操作信号を受け付けない第2モードに切り替
わり(S51)、通信装置70による通信周期と監視装置50、80による監視周期とをそれぞれ第1周期Ta1、Tb1に切り替える(S71)。そして、制御装置60は、通信装置70により支援装置4に対して第1周期Ta1で制御情報又は監視情報を送受信し(
図17の(a))、且つ監視装置50、80により第1周期Tb1で圃場Hを監視する(
図17の(b))。
【0149】
また、制御装置60が、通信装置70により支援装置4から第1周期Ta1で受信した制御情報に基づいてアクチュエータ10を駆動するため、アクチュエータ10の駆動周期、即ち弁体102、125の開閉動作による給排水周期が、第1周期Ta1で行われる(
図17の(c))。
図16の処理S71の後は、
図12の処理S52から以降の処理が実行される。
【0150】
一方、例えば作業者が携帯端末2を携帯した状態で、
図18Aの場所P1から圃場Hの近くにある場所P2に移動する。すると、携帯端末2までの距離Dが閾値Da以下になる(
図16のS70:YES)。この場合、水管理装置1の制御装置60は、第1モードに切り替わり(S48)、通信装置70による通信周期と監視装置50、80による監視周期とを第2周期Ta2、Tb2に切り替える(S68)。そして、制御装置60は、通信装置70により支援装置4に対して第2周期Ta2で制御情報又は監視情報を送受信し(
図17の(a))、且つ監視装置50、80により第2周期Tb2で圃場Hを監視する(
図17の(b))。また、アクチュエータ10の駆動周期(弁体102、125の開閉動作による給排水周期)が、第2周期Ta2で行われる(
図17の(c))。このとき、制御装置60と通信装置70は常時起動状態にある。
【0151】
その後、例えば作業者が圃場Hでの作業を終了して、携帯端末2を携帯した状態で圃場Hから遠く離れた場所P3(
図18B)に移動した場合、携帯端末2までの距離Dが閾値Daより大きくなる(
図16のS70:NO)。このため、制御装置60は、第2モードに切り替わり(S51)、通信装置70による通信周期と監視装置50、80による監視周期とをそれぞれ第1周期Ta1、Tb1に切り替える(S71)。
【0152】
図18Aの例では、移動検出部60bが、2か所の携帯端末2の位置情報に基づいて、携帯端末2の移動状態を検出したが、3か所以上の携帯端末2の位置情報に基づいて、携帯端末2の移動状態を検出してもよい。また、水管理装置1又は圃場Hに対する携帯端末2の近づき度合い(距離や時間等)も考慮して、通信装置70による通信周期と監視装置50、80による監視周期、及びアクチュエータ10の駆動周期(弁体102、125の開閉動作による給排水周期)を切り替えてもよい。
【0153】
また、携帯端末2が水管理装置1に近づいていることを移動検出部60bにより検出した(
図16のS67:YES)後にも、距離演算部60aにより携帯端末2までの距離Dを演算し、当該距離Dが閾値Da以下であるか否かを確認してもよい。この場合、携帯端末2までの距離Dが閾値Da以下であるときに、制御装置60が操作盤43からの操作信号を受け付ける第1モードに切り替わり、通信装置70による通信周期と監視装置50、80による監視周期とアクチュエータ10の駆動周期とをそれぞれ第2周期Ta2、Tb2、T2cに切り替える。
【0154】
上述した実施形態では、水管理装置1の制御装置60が第1モードに切り替わった場合、全ての操作盤43からの操作信号を受け付けたが、これ以外に、例えば、複数台ある携帯端末2毎に第1モードで受け付けを許可する操作盤43からの操作信号を予め設定しておき、制御装置60が、位置情報の送信元である携帯端末2に応じて、第1モードで操作盤43からの操作信号を受け付けるようにしてもよい。
【0155】
図19は、第5実施形態の水管理装置1の動作を示すフローチャートである。第5実施形態では、複数台ある携帯端末2のうち、特定の携帯端末2又は特定の端末装置3において、管理者又は作業者が圃場管理アプリを起動して、所定の操作を行うことで、操作盤43で操作可能な異なる複数種類の操作のうち、第1モードで受け付けを許可する許可操作を携帯端末2毎に設定する。そして、特定の携帯端末2又は特定の端末装置3の制御部2a、3aが、その設定内容(第1モードで受け付ける携帯端末2毎の許可操作(第1操作))を携帯端末2の識別情報と関連付けて受付許可情報を生成し、当該受付許可情報を記憶部2b、3bに記憶させ、通信部2d、3dにより支援装置4に送信する。
【0156】
支援装置4では、受付許可情報を通信部4dにより受信すると、制御部4aが当該受付許可情報をデータベース4hに記憶し、当該受付許可情報を水管理装置1に送信する。
【0157】
水管理装置1では、
図12のS44の後、受付許可情報が通信装置70により受信されると(
図19のS72)、制御装置60は、当該受付許可情報を記憶部30に記憶させる(S73)。そして、携帯端末2からの位置情報が通信装置70により受信されると(S45)、制御装置60は範囲E1を設定する(S46)。位置情報で示される携帯端末2の位置が範囲E1内にある場合(
図19のS47:YES)、制御装置60は、第1モードに切り替わる(S48)。また、制御装置60は、位置情報に含まれる送信元の携帯端末2の識別情報と、記憶部30に記憶された受付許可情報とを読み込み、位置情報の送信元の携帯端末2の識別情報に対応する(関連付けられた)許可操作(携帯端末2に応じて第1モードで受け付ける操作盤43の第1操作)を、受付許可情報から導出する(S74)。
【0158】
そして、第1モードにおいて、制御装置60は、操作盤43から操作信号が入力されると(S49:YES)、当該操作信号が導出した許可操作に対応する操作信号であるか否かを確認する。このとき、操作盤43から入力された操作信号が導出した許可操作に対応する操作信号であれば(S75:YES)、制御装置60は、当該操作信号を受け付けて、制御対象装置の動作制御を実行する(S50)。
【0159】
対して、操作盤43から入力された操作信号が導出した許可操作に対応する操作信号でなければ(S75:NO)、制御装置60は、当該操作信号を受け付けず、制御対象装置の動作制御を実行しない。
図19の処理S50の後、又は処理S75で否定判定(S75:NO)された後は、
図12の処理S52が実行される。
【0160】
例えば、作業者又は管理者などが所有する複数台の携帯端末2で、圃場管理アプリがそれぞれ起動されることがある。この場合、水管理装置1の制御装置60は、携帯端末2毎に
図12、
図14、
図15、
図16、又は
図19の動作を実行してもよい。これにより、操作盤43又は携帯端末2からの操作信号のうち、新しい操作信号に基づく制御対象装置の動作制御が優先して実行される。或いは、例えば第6実施形態のように、水管理装置1の制御対象装置の動作制御を実行してもよい。
【0161】
図20は、第6実施形態の水管理装置1の動作を示すフローチャートである。第6実施形態では、複数台の携帯端末2で圃場管理アプリが起動した場合、携帯端末2毎に制御装置60が
図20に示す動作を実行する。
図20の動作は、
図12又は
図19のフローチャートに追加される。
【0162】
図12の処理S44の後又は
図19の処理S73の後、携帯端末2からの位置情報が通信装置70により受信されると(
図20のS45)、制御装置60は、当該位置情報で示される携帯端末2の位置を読み込み、又は記憶部30に予め記憶された携帯端末2の優先順位を示す情報を読み込む。そして、受信した位置情報が、水管理装置1から最も近い位
置にある携帯端末2からの位置情報、又は優先順位の最も高い携帯端末2からの位置情報であれば(S76:YES)、制御装置60は、当該位置情報を採用し(S77)、他の携帯端末2からの位置情報を破棄する。処理S77の後は、
図12及び
図19の処理S46から以降の処理が実行される。即ち、制御装置60が、採用した位置情報に基づいて、携帯端末2が範囲E1内に在るか否かを判定し(S46)、当該判定結果に応じて第1モード又は第2モードに切り替わる(S48又はS51)。
【0163】
一方、通信装置70により受信した位置情報が、水管理装置1から最も近い位置にある携帯端末2からの位置情報ではなく、優先順位の最も高い携帯端末2からの位置情報でもなければ(
図20のS76:NO)、制御装置60は、当該位置情報を破棄し、他の携帯端末2からの位置情報を採用する。この後は、
図12及び
図19の処理S49から以降の処理が実行される。
【0164】
なお、水管理装置1から最も近い位置にある携帯端末2からの位置情報と、当該携帯端末2とは異なる優先順位の最も高い携帯端末2からの位置情報とが、それぞれ通信装置70により受信された場合は、例えば制御装置60が、最も近い位置にある携帯端末2からの位置情報を破棄して、優先順位の最も高い携帯端末2からの位置情報を採用する。又は、最も近い位置にある携帯端末2までの距離Dが所定の最優先閾値以下であれば、制御装置60が、優先順位の最も高い携帯端末2からの位置情報を破棄して、最も近い位置にある携帯端末2からの位置情報を採用してもよい。
【0165】
上述した実施形態では、携帯端末2の認証と、携帯端末2の位置情報に基づく操作盤43からの操作信号の受け付け可否(第1モードと第2モードの切り替え)とを、水管理装置1で実行したが、水管理装置1に代えて、支援装置4で実行してもよい。
【0166】
図21は、第7実施形態の圃場の水管理システム7の電気的構成図である。
図22は、第7実施形態の支援装置4の動作を示すフローチャートである。
図23は、第7実施形態の水管理装置1の動作を示すフローチャートである。第7実施形態では、
図21に示すように、支援装置4に携帯端末2を認証する認証部4iと、操作盤43からの操作信号の受け付け可否を判断する受付判断部4jとを設けている。
【0167】
この場合、支援装置4では、携帯端末2からの識別情報を通信部4dにより受信すると(
図22のS21)、認証部4iが、当該携帯端末2の識別情報と、記憶部4bに予め登録された携帯端末2の識別情報とを照合する。そして、携帯端末2から受信した識別情報と、記憶部4bに登録された携帯端末2の識別情報とが一致しなかった場合、認証部4iは、携帯端末2の認証が成功しなかったと判断する(S31:NO)。このように携帯端末2の認証が不成功であると判断されると、制御部4aが、当該認証結果を通信部4dにより携帯端末2と水管理装置1とに送信して(S32)、携帯端末2の識別情報が再び送信されて来るのを待つ。
【0168】
対して、携帯端末2から受信した識別情報と、記憶部4bに登録された携帯端末2の識別情報とが一致した場合、認証部4iは、携帯端末2の認証が成功したと判断する(S31:YES)。このように携帯端末2の認証が成功であると判断されると、制御部4aが、当該認証結果を通信部4dにより携帯端末2と水管理装置1とに送信する(S33)。そして、制御部4aは、携帯端末2の位置情報が送信されて来るのを待つ。
【0169】
水管理装置1では、支援装置4からの認証結果を通信装置70により受信すると(
図23のS78)、制御装置60は、当該認証結果を確認する。このとき、認証結果で携帯端末2の認証が不成功であったことが示されていた場合(S79:NO)、制御装置60は、認証結果が再び送信されて来るのを待つ。対して、認証結果で携帯端末2の認証が成功
したことが示されていた場合(S79:YES)、制御装置60は、支援装置4から受け付け判断結果が送信されて来るのを待つ。
【0170】
携帯端末2からの位置情報が支援装置4の通信部4dにより受信されると(
図22のS25)、受付判断部4jは、記憶部4bに記憶された圃場情報(圃場Hの輪郭)に基づいて、範囲E1を設定する(S34)。このときの範囲E1の設定方法は、前述した水管理装置1による範囲E1の設定方法(
図12のS46)と同一である。通信部4dにより受信した位置情報で示される携帯端末2の位置が、範囲E1内にあれば(
図22のS35:YES)、受付判断部4jは、操作盤43の操作に応じた操作信号を受け付けると判断して(S36)、当該受付判断結果(受付可)を通信部4dにより水管理装置1に送信する(S37)。
【0171】
対して、受信した位置情報で示される携帯端末2の位置が、範囲E1外にあれば(S35:NO)、受付判断部4jは、操作盤43の操作に応じた操作信号を受け付けないと判断して(S38)、当該受付判断結果(受付不可)を通信部4dにより水管理装置1に送信する(S39)。
図22の処理S37又は処理S39の後、
図12の処理S27から以降の処理が実行される。即ち、認証が成功した携帯端末2からの操作信号を受信すると(
図11のS27:YES)、当該操作信号を水管理装置1に転送する(S28)。
【0172】
水管理装置1では、支援装置4から送信された受付判断結果を通信装置70により受信すると(
図23のS80)、制御装置60は、当該受付判断結果を確認する。このとき、受付判断結果で操作盤43からの操作信号を受け付けないことが示されていた場合(S81:NO)、制御装置60は第2モードに切り替わる(S51)。この後、
図12の処理S52から以降の処理が実行される。即ち、制御装置60は、操作盤43からの操作信号に基づいて制御対象装置の動作制御を実行せず、認証が成功した携帯端末2からの操作信号を、支援装置4を介して受信すると(S52:YES)、当該操作信号に基づいて、制御対象装置の動作制御を実行する(S53)。
【0173】
対して、受付判断結果で操作盤43からの操作信号を受け付けることが示されていた場合(S81:YES)、制御装置60は第1モードに切り替わる(
図23のS48)。この後、
図12の処理S49から以降の処理が実行される。即ち、制御装置60は、操作盤43から操作信号が入力されると(
図12のS49:YES)、当該操作信号に基づいて制御対象装置の動作制御を実行する(S50)。また、認証が成功した携帯端末2からの操作信号を、支援装置4を介して受信すると(S52:YES)、当該操作信号に基づいて、制御対象装置の動作制御を実行する(S53)。
【0174】
上述した実施形態では、携帯端末2から送信された位置情報に基づいて、操作盤43からの操作信号の受け付ける第1モードと、当該操作信号を受け付けない第2モードのいずれかに、水管理装置1が切り替わる例を示したが、位置情報以外の携帯端末2から送信された情報に基づいて、水管理装置1が第1モードと第2モードのいずれかに切り替わってもよい。また、携帯端末2だけでなく、端末装置3から送信された情報に基づいて、水管理装置1が第1モードと第2モードのいずれかに切り替わってもよい。
【0175】
図24は、第8実施形態の端末装置2、3の動作を示すフローチャートである。
図25は、第8実施形態の水管理装置1の動作を示すフローチャートである。第8実施形態では、端末装置3も携帯端末2と同様に、水管理装置1又は支援装置4で認証が行われる。端末装置2、3では、前述したように水管理装置1又は支援装置4から受信した認証結果で、当該端末装置2、3の認証が成功したことが示されていれば(
図24のS4:YES)、制御部2a、3aが、操作盤43からの操作信号の受け付け許可が入力されたか否かを確認する。管理者又は作業者は、端末装置2、3の表示操作部2c又は操作部3gで所定
の操作を行うことにより、操作盤43からの操作信号の受け付けを許可する入力と、操作盤43からの操作信号の受け付けを禁止する入力とを、それぞれ入力することができる。
【0176】
端末装置2、3において、操作盤43からの操作信号の受け付け許可が入力された場合(S11:YES)、制御部2a、3aは、当該操作信号の受け付けを許可する許可指令を通信部2d、3dにより支援装置4に送信する(S12)。対して、操作盤43からの操作信号の受け付け禁止が入力された場合(S13:YES)、制御部2a、3aは、当該操作信号の受け付けを禁止する禁止指令を通信部2d、3dにより支援装置4に送信する(S14)。処理S12又は処理S14の後、
図10の処理S6が実行される。
【0177】
支援装置4では、端末装置2、3の認証結果を送信した(
図12のS24)後、又は端末装置2、3の該認証結果を転送した(
図22のS32)後、端末装置2、3からの指令(許可指令又は禁止指令)を通信部4dにより受信すると、制御部4aが、当該指令を水管理装置1に転送する。そして、水管理装置1を操作するための操作信号が端末装置2、3から送信されて来るのを待つ。
【0178】
水管理装置1では、端末装置2、3から支援装置4を介して送信されて来た指令(許可指令又は禁止指令)を通信装置70により受信すると(
図25のS82)、制御装置60は、当該指令が許可指令であれば(S83:YES)、操作盤43からの操作信号を受け付ける第1モードに切り替わる(S48)。この後、
図12の処理S49から以降の処理が実行される。対して、受信した指令が禁止指令であれば(S83:NO)、制御装置60は、操作盤43からの操作信号を受け付けない第2モードに切り替わる(S51)。この後、
図12の処理S52から以降の処理が実行される。
【0179】
上述した実施形態では、距離演算部60aと移動検出部60bを水管理装置1に設けたが、これに代えて、支援装置4に距離演算部と移動検出部を設けてもよい。この場合、支援装置4では、携帯端末2の位置情報を取得すると、距離演算部が、当該携帯端末2の位置情報と、予め記憶された水管理装置1の位置を示した管理位置情報又は圃場Hの位置を示した圃場位置情報とに基づいて、水管理装置1又は圃場Hから携帯端末2までの距離を演算する。また、移動検出部が、携帯端末2の複数の位置情報に基づいて、携帯端末2の移動状態を検出し、さらに携帯端末2が水管理装置1に近づいているか否かを検出する。そして、制御部4aが、上記の距離演算部の演算結果又は移動検出部の検出結果を、通信部4dにより水管理装置1に送信する。
【0180】
また、上述した実施形態では、携帯端末2などで圃場管理アプリを起動すると、支援装置4と水管理装置1とが携帯端末2の位置情報を取得したが、例えば圃場管理アプリの起動・停止に関係なく、支援装置4又は水管理装置1が所定のタイミングで携帯端末2の位置情報を取得してもよい。
【0181】
また、上述した実施形態では、水管理装置1が携帯端末2までの距離D又は携帯端末2の移動状態に基づいて、通信装置70による通信周期と監視装置50、80による監視周期とを変更した例を示した。然るに、例えば水管理装置1が携帯端末2の位置情報に基づいて、監視装置50、80のうちいずれか一方の監視周期を変更するようにしてもよいし、又は通信装置70による通信周期だけを変更するようにしてもよい。また、通信装置70による通信周期又は監視装置50、80による監視周期を、携帯端末2の位置情報に基づいて3段階以上に切り替えてもよい。
【0182】
また、同一の圃場Hに設置された複数の水管理装置1のそれぞれが、携帯端末2から送信された情報(位置情報)に基づいて、第1モードと第2モードのいずれかに切り替わり、通信周期と監視周期を変更するようにしてもよい。又は、例えば同一の圃場Hに設置さ
れた複数の水管理装置1のうち、少なくともいずれか1つの水管理装置1で、携帯端末2から送信された情報(位置情報)に基づいて、第1モードと第2モードのいずれかに切り替わったとき、若しくは通信周期と監視周期を変更したときに、他の水管理装置1でも、第1モードと第2モードのいずれかに切り替わり、若しくは通信周期や監視周期を同様に変更してもよい。
【0183】
また、人工知能(AI)を用いて、携帯端末2の移動傾向(水管理装置1や圃場Hへの接近傾向等)、圃場管理アプリに基づく携帯端末2の操作傾向などを判断したり、水管理装置1の通信周期又は監視周期を変更したりしてもよい。また、携帯端末2の移動傾向から、水管理装置1を第1モードと第2モードに切り替えるための範囲E1又は閾値Daを変更してもよい。
【0184】
具体的には、例えば支援装置4において、作物Uの生育に要する所定期間に、携帯端末2の位置情報又は携帯端末2の操作状態を示した操作情報をそれぞれ異なるタイミングで複数取得して、支援装置4のデータベース4hに記憶する。そして、データベース4hから複数の位置情報又は操作情報を読み出して、人工知能による深層学習を実行し、携帯端末2の移動傾向(即ち携帯端末2を携帯した作業者の移動傾向)又は操作傾向を学習済みモデルとして構築する。この際、時間帯も考慮してよい。その後、制御部4aが、上記学習済みモデルと、携帯端末2から取得した位置情報又は操作情報とに基づいて、水管理装置1の通信周期、監視周期、範囲E1、又は閾値Daを変更する度合いやタイミングなどを判断し、当該判断結果を示す制御情報を通信部4dにより水管理装置1に送信する。そして、当該制御情報を受信した水管理装置1が、当該制御情報に基づいて通信周期、監視周期、範囲E1、又は閾値Daを変更する。
【0185】
上述した実施形態では、水管理装置1の制御装置60が、水管理装置1の外側面に設置された操作盤43の操作に応じた操作信号を受け付ける第1モードと、当該操作信号を受け付けない第2モードのいずれかに切り替わる例を示したが、本発明は、これのみに限定するものではない。例えば、操作盤43に代えて、
図26に示す第9実施形態のように、通信モジュール71を水管理装置1に備え、当該通信モジュール71を介して水管理装置1に対して接続された携帯型端末装置などの外部の操作装置からの操作信号を受け付ける第1モードと、当該操作信号を受け付けない第2モードのいずれかに、制御装置60が切り替わるようにしてもよい。より具体的には、通信モジュール71は、例えばUSBなどの規格に対応した通信用ICと、コネクタとケーブルなどから構成された接続部材とから構成されている。この接続部材に外部の操作装置が接続されることで、外部の操作装置と制御装置60とが通信モジュール71(接続部材と通信用IC)を介して電気的に接続され、上記接続部材から外部の操作装置が抜去されることで、外部の操作装置と制御装置60とが電気的に切断される。即ち、受け付け可否の対象となる操作信号を送信する操作装置は、水管理装置1に常時設置(電気的接続)されていてもよいし、必要時に取り付けられて電気的に接続されてもよい。
【0186】
また、水管理装置1の制御装置60が第1モード又は第2モードに切り替わるための所定情報を送信する端末装置2、3以外の、外部の操作装置から送信された操作信号を通信装置70により無線で受信し、当該操作信号を受け付ける第1モードと、当該操作信号を受け付けない第2モードのいずれかに、制御装置60が切り替わるようにしてもよい。即ち、受け付け可否の対象となる操作信号を送信する操作装置は、水管理装置1に対して有線接続された操作装置に限らず、水管理装置1と無線で通信する操作装置であってもよい。
【0187】
また、
図10~
図12、
図14~
図16、
図19、
図20、又は
図23~
図25に示した携帯端末2、支援装置4、水管理装置1、端末装置3の各動作を、適宜組み合わせても
よい。さらに、支援装置4を省略し、携帯端末2(又は端末装置3)と水管理装置1とが情報及び信号を相互に通信するようにしてもよい。
【0188】
<本実施形態の構成と効果>
本実施形態の圃場Hの水管理装置1及び水管理システム7は、以下の効果を奏する。
【0189】
本実施形態の圃場Hの水管理装置1は、圃場Hに水を供給する給水動作又は圃場Hの水を排出する排水動作を行うアクチュエータ10と、端末装置2、3(携帯型端末装置2、据え置き型端末装置3)と通信するための通信装置70と、アクチュエータ10を動作させる第1操作が可能な操作装置(操作盤)43からの第1操作に応じた第1操作信号に基づいて、アクチュエータ10を制御する制御装置60と、を備え、制御装置60は、端末装置2、3から送信された所定情報に基づいて、第1操作信号を受け付ける第1モードと、第1操作信号を受け付けない第2モードのいずれかに切り替わり、第1モードに切り替わった場合に、受け付けた第1操作信号に基づいてアクチュエータ10を制御する。
【0190】
本実施形態の圃場Hの水管理システム7は、上記圃場の水管理装置1と、当該水管理装置1に備わるアクチュエータ10を動作させる第1操作が可能な操作装置43と、端末装置2、3と、を含み、操作装置43は、水管理装置1に備わるアクチュエータ10を動作させるための第1操作が行われると、当該第1操作に応じた第1操作信号を水管理装置1に送信し、端末装置2、3は、水管理装置1で第1操作信号を受け付ける第1モードと第1操作信号を受け付けない第2モードのいずれかに切り替わるための所定情報を送信する。
【0191】
上記の構成によれば、水管理装置1の制御装置60が端末装置2、3からの所定情報に基づいて、操作装置43からの第1操作信号を受け付けない第2モードに切り替わることで、端末装置2、3を所有するユーザが意図せずに、悪意の第三者により操作装置43が操作されて、水管理装置1により圃場Hに対して給水又は排水が行われるの防止することができる。このため、悪意の第三者が操作装置43を操作することができないように、例えば操作装置43にカバーを取り付けて、当該カバーが開かないように物理的な鍵をかける必要がないので、鍵を管理する煩雑さが生じず、カバーと鍵によって水管理装置1のコストが嵩むこともない。また、水管理装置1の制御装置60が、端末装置2、3からの所定情報に基づいて、操作装置43からの第1操作信号を受け付ける第1モードに切り替わることで、圃場Hの正当な管理者又は作業者などのユーザが操作装置43を操作して、水管理装置1により圃場Hに対して給水又は排水を行うことができ、利便性を向上させることが可能となる。
【0192】
本実施形態では、操作装置43は、圃場Hに在り、端末装置2、3は、正当なユーザが所有する携帯型端末装置2を含み、制御装置60は、携帯型端末装置2の位置を示す位置情報(所定情報の一例)を通信装置70により受信して、当該位置情報に基づいて、第1モードと第2モードのいずれかに切り替わる。これにより、圃場Hに在る操作装置43が誰でも操作可能な状態にあっても、水管理装置1の制御装置60が、圃場Hの正当な管理者又は作業者などのユーザが所有する携帯型端末装置2からの位置情報に基づいて第2モードに切り替わることで、正当なユーザが意図せずに、悪意の第三者により操作装置43が操作されて、水管理装置1により圃場Hに対して給水又は排水が行われるの防止することができる。また、水管理装置1の制御装置60が、携帯型端末装置2からの位置情報に基づいて第1モードに切り替わることで、正当なユーザが圃場Hの状態を視認しながら操作装置43を操作して、水管理装置1により圃場Hに対して給水又は排水を行うことができ、利便性を向上させることが可能となる。
【0193】
また、本実施形態では、携帯型端末装置2は、アクチュエータ10を動作させる第2操
作が可能であり、制御装置60は、第1モードと第2モードのいずれに切り替わっても、第2操作に応じて携帯型端末装置2から送信された第2操作信号を通信装置70により受信すると、当該第2操作信号を受け付けて、当該第2操作信号に基づいてアクチュエータ10を制御する。これにより、水管理装置1の制御装置60が第1モードと第2モードのいずれに切り替わっても、携帯型端末装置2を操作して、水管理装置1により圃場Hに対して給水又は排水を行うことができ、利便性を向上させることが可能となる。
【0194】
また、本実施形態では、制御装置60は、通信装置70により受信した携帯型端末装置2の位置情報に基づいて、第2操作に応じて携帯型端末装置2から送信された第2操作信号を受け付けるか又は受け付けないかを決定し、通信装置70により受信した第2操作信号を受け付けた場合に、当該第2操作信号に基づいてアクチュエータ10を制御する。これにより、正当なユーザが所有する携帯型端末装置2を、水管理装置1の制御装置60が携帯型端末装置2からの第2操作信号を受け付ける位置に移動させて、携帯型端末装置2を操作することで、水管理装置1により圃場Hに対して給水又は排水を行うことができ、利便性を向上させることが可能となる。また、悪意の第三者などが携帯型端末装置2の位置を考慮せずに、携帯型端末装置2を操作しても、携帯型端末装置2からの第2操作信号が水管理装置1の制御装置60で受け付けられないので、正当なユーザ意図せずに、水管理装置1により圃場Hに対して給水又は排水が行われるの防止することができる。
【0195】
また、本実施形態では、水管理装置1は、操作装置43を備え、通信装置70は、公衆通信網6を介して携帯型端末装置2と無線で通信する。これにより、水管理装置1の制御装置60が第1モードに切り替わることで、正当なユーザが圃場Hの状態を視認しながら水管理装置1に備わる操作装置43を操作して、水管理装置1により圃場Hに対して給水又は排水を行うことができ、利便性を向上させることが可能となる。また、携帯型端末装置2が水管理装置1から離れた遠隔地にあっても、携帯型端末装置2から送信された位置情報などの所定情報と第2操作信号を、公衆通信網6を介して水管理装置1で受信することができる。このため、制御装置60を第1モード又は第2モードに切り替えることが可能となり、携帯型端末装置2により水管理装置1のアクチュエータ10を作動させて、圃場Hに対して給排水を行うことも可能となる。
【0196】
また、本実施形態では、制御装置60は、通信装置70により携帯型端末装置2と通信して、携帯型端末装置2の認証が成功した場合に、携帯型端末装置2から通信装置70により受信した第2操作信号を受け付けて、当該第2操作信号に基づいてアクチュエータ10を制御し、且つ携帯型端末装置2の位置情報に基づいて第1モードと第2モードのいずれかに切り替わる。これにより、認証が成功する正当な携帯型端末装置2によって、水管理装置1のアクチュエータ10を作動させて、圃場Hに対して給排水を行うことが可能となり、制御装置60を操作装置43からの第1操作信号を受け付ける第1モード又は当該第1操作信号を受け付けない第2モードに正当に切り替えることができる。
【0197】
また、本実施形態では、制御装置60は、位置情報で示される携帯型端末装置2の位置が所定の範囲E1内にある場合に、第1モードに切り替わって、受け付けた操作装置43からの第1操作信号に基づいてアクチュエータ10を制御し、携帯型端末装置2の位置が所定の範囲E1外にある場合に、第2モードに切り替わる。これにより、正当なユーザが携帯型端末装置2を所定の範囲E1内に移動させて、操作装置43を操作することで、水管理装置1により圃場Hに対して給水又は排水を行うことができる。また、携帯型端末装置2が所定の範囲E1外にあるときに、悪意の第三者などが操作装置43を操作しても、水管理装置1により圃場Hに対して給水又は排水が行われるの防止することができる。
【0198】
また、本実施形態では、制御装置60は、携帯型端末装置2の位置が所定の範囲E1内にある場合に、携帯型端末装置2からの第2操作信号を受け付けて、当該第2操作信号に
基づいてアクチュエータ10を制御し、携帯型端末装置2の位置が所定の範囲E1外にある場合に、携帯型端末装置2からの第2操作信号を受け付けない。これにより、正当なユーザが携帯型端末装置2を所定の範囲E1内に移動させて、携帯型端末装置2を操作することで、水管理装置1により圃場Hに対して給水又は排水を行うことができ、利便性を向上させることが可能となる。また、携帯型端末装置2が所定の範囲E1外にあるときに、悪意の第三者などが携帯型端末装置2を操作しても、水管理装置1により圃場Hに対して給水又は排水が行われるの防止することができる。
【0199】
また、本実施形態では、制御装置60は、複数の携帯型端末装置2からの位置情報を通信装置70によりそれぞれ受信して、当該位置情報に基づいて複数の携帯型端末装置2が所定の範囲E1内にあるか否かを判断し、複数の携帯型端末装置2が所定の範囲E1内にある場合、当該複数の携帯型端末装置2からの第2操作信号をそれぞれ受け付けると、予め記憶された携帯型端末装置2の優先順位に従って、受け付けた優先順位の高い携帯型端末装置2からの第2操作信号に基づいて、アクチュエータ10の制御を実行する。これにより、複数の携帯型端末装置2が所定の範囲E1内に在っても、優先順位の高い携帯型端末装置2からの第2操作信号に基づいて、アクチュエータ10を作動させて、圃場Hに対して給水又は排水を行うことができる。
【0200】
また、本実施形態では、制御装置60は、複数の携帯型端末装置2からの位置情報を通信装置70によりそれぞれ受信して、当該位置情報に基づいて複数の携帯型端末装置2が所定の範囲E1内にあるか否かを判断し、所定の範囲E1内にある携帯型端末装置2からの第2操作信号と、所定の範囲E1外にある携帯型端末装置2からの第2操作信号をそれぞれ受け付けると、所定の範囲E1内にある携帯型端末装置2からの第2操作信号に基づくアクチュエータ10の制御を、所定の範囲E1外にある携帯型端末装置2からの第2操作信号に基づくアクチュエータ10の制御より優先して実行する。これにより、所定の範囲E1内と所定の範囲E1外とにそれぞれ携帯型端末装置2が在っても、所定の範囲E1内にある携帯型端末装置2からの第2操作信号に基づいて、アクチュエータ10を作動させて、圃場Hに対して給水又は排水を行うことができる。
【0201】
また、本実施形態では、制御装置60は、予め記憶された圃場Hの輪郭を示す圃場情報に基づいて、携帯型端末装置2の存在を確認する範囲E1を設定する。これにより、水管理装置1で給排水を行う圃場Hの輪郭と広さに応じて、操作装置43からの第1操作信号又は携帯型端末装置2からの第2操作信号を、制御装置60で受け付けるか受け付けないかを定める範囲E1を設定することができる。
【0202】
また、本実施形態では、水管理装置1は、携帯型端末装置2の位置情報に基づいて携帯型端末装置2までの距離Dを演算する距離演算部60aを備え、制御装置60は、距離演算部60aにより演算された携帯型端末装置2までの距離Dが所定の閾値Da以下である場合に、第1モードに切り替わって、受け付けた第1操作信号に基づいてアクチュエータ10を制御し、携帯型端末装置2までの距離Dが閾値Daより大きい場合に、第2モードに切り替わる。
【0203】
上記により、正当なユーザが携帯型端末装置2を携帯した状態で、水管理装置1又は圃場Hに対して近づいて、携帯型端末装置2までの距離Dが所定の閾値Da以下になってから、操作装置43を操作することで、水管理装置1により圃場Hに対して給水又は排水を行うことができ、利便性を向上させることが可能となる。また、携帯型端末装置2が水管理装置1又は圃場Hに対して離れた位置にあって、携帯型端末装置2までの距離Dが所定の閾値Daより大きい場合には、悪意の第三者などが操作装置43を操作して、水管理装置1により圃場Hに対して給水又は排水が行われるの防止することができる。
【0204】
また、本実施形態では、距離演算部60aは、水管理装置1の位置を示した管理位置情報と、携帯型端末装置2の位置情報とに基づいて、携帯型端末装置2までの距離Dを演算し、圃場Hの位置を示した圃場情報に基づいて閾値Daを設定する。これにより、水管理装置1で給排水を行う圃場Hの位置と広さに応じて、操作装置43からの第1操作信号を制御装置60で受け付けるか受け付けないかを定める閾値Daを設定することができる。
【0205】
また、本実施形態では、水管理装置1は、携帯型端末装置2の位置情報に基づいて当該携帯型端末装置2の移動状態を検出する移動検出部60bを備え、制御装置60は、移動検出部60bにより携帯型端末装置2が近づいていることが検出された場合、第1モードに切り替わり、受け付けた第1操作信号に基づいてアクチュエータ10を制御し、移動検出部60bにより携帯型端末装置2が近づいていないことが検出された場合、第2モードに切り替わる。これにより、正当なユーザが携帯型端末装置2を携帯した状態で、水管理装置1又は圃場Hに対して近づいて行くことで、操作装置43を操作して、水管理装置1により圃場Hに対して給水又は排水を行うことができる。また、正当なユーザが携帯型端末装置2を携帯した状態で、水管理装置1又は圃場Hから離れて行くことで、悪意の第三者などが操作装置43を操作して、水管理装置1により圃場Hに対して給水又は排水が行われるの防止することができる。
【0206】
また、本実施形態では、水管理装置1は、アクチュエータ10以外の制御対象装置50、80(検出装置50、監視カメラ80、通信装置70が含まれていてもよい。)を備え、第2操作には、制御対象装置50、80を動作させる操作が含まれ、制御装置60は、第2操作に応じた第2操作信号に基づいて、アクチュエータ10又は制御対象装置50、80を制御し、且つアクチュエータ10若しくは制御対象装置50、80の制御に関する制御情報、又は制御対象装置50、80からの出力情報を通信装置70により携帯型端末装置2に対して送受信し、制御情報又は出力情報を通信装置70により送受信する通信周期を、第1モードと第2モードとで異ならせる。
【0207】
上記により、携帯型端末装置2を操作して、アクチュエータ10若しくは制御対象装置50、80を動作させることができ、利便性を向上させることが可能となる。また、水管理装置1の制御装置60の第1モード又は第2モードへの切り替わりに応じて、アクチュエータ10若しくは制御対象装置50、80の制御情報又は制御対象装置50、80からの出力情報の通信周期が自動で切り替わる。このため、当該制御情報又は出力情報の通信周期が短くなることで、操作装置43又は携帯型端末装置2の操作に応じた水管理装置1の反応速度を速くして、水管理装置1による給排水動作や監視結果などの確認作業を効率良く行うことができる。また、上記制御情報又は出力情報の通信周期が長くなることで、水管理装置1の消費電力を低減することができ、その分、水管理装置1の各部の稼働時間を延長することが可能となる。
【0208】
また、本実施形態では、制御装置60は、第1モードでの前記制御情報又は前記出力情報の通信周期を、第2モードでの前記制御情報又は前記出力情報の通信周期より短くする。これにより、例えば正当なユーザが、第1モードにある水管理装置1の近傍で操作装置43を操作して、水管理装置1により圃場Hに対して給水又は排水を行う際に、アクチュエータ10の反応速度を速くして、給排水とこれの確認作業を効率良く行うことができる。また、水管理装置1が第2モードにあるときに、アクチュエータ10若しくは制御対象装置50、80の制御情報又は制御対象装置50、80からの出力情報の通信周期が長くなるので、水管理装置1の消費電力を低減することができる。
【0209】
また、本実施形態では、水管理装置1は、操作装置43で操作可能な複数種類の第1操作のうち、第1モードで受け付ける許可操作を端末装置2、3毎に示した受付許可情報を記憶する記憶部30を備え、制御装置60は、第1モード又は第2モードに切り替わるための所定情報の送信元である端末装置2、3に対応した許可操作を受付許可情報から導出し、第1モードにおいて操作装置43により受信した第1操作信号のうち、許可操作に対応する第1操作信号を受け付ける。これにより、操作装置43の第1操作に応じた第1操作信号のうち、端末装置2、3毎に設定された許可操作に応じた第1操作信号を、制御装置60が第1モードにあるときに受け付けて、当該第1操作信号に基づいてアクチュエータ10などの動作を制御することができ、利便性を向上させることが可能となる。
【0210】
また、本実施形態では、制御装置60は、複数の端末装置2、3から送信された各端末装置2、3の位置を示す位置情報を通信装置70により受信した場合、当該複数の位置情報に基づいて、複数の端末装置2、3のうち、最も近い位置に在る端末装置2、3又は予め記憶された優先順位が最も高い端末装置2、3に対応した許可操作を、受付許可情報から導出する。これにより、複数の端末装置2、3からの位置情報が水管理装置1で受信された場合に、最も近い位置に在る端末装置2、3又は予め記憶された優先順位が最も高い端末装置2、3からの第2操作信号に基づいて、アクチュエータ10などの動作を制御することができ、利便性を向上させることが可能となる。
【0211】
また、本実施形態では、制御装置60は、複数の端末装置2、3から送信された各端末装置2、3の位置を示す位置情報を通信装置70により受信した場合、当該複数の位置情報に基づいて、複数の端末装置2、3のうち、最も近い位置に在る端末装置2、3又は予め記憶された優先順位が最も高い端末装置2、3からの位置情報に基づいて、第1モードと第2モードのいずれかに切り替わる。これにより、複数の端末装置2、3からの位置情報が水管理装置1で受信された場合に、最も近い位置に在る端末装置2、3又は予め記憶された優先順位が最も高い端末装置2、3からの位置情報に基づいて、制御装置60を第1モード又は第2モードに切り替えることができ、利便性を向上させることが可能となる。
【0212】
また、本実施形態では、水管理システム7は、水管理装置1及び端末装置2、3と通信する支援装置4を含み、端末装置2、3は、正当なユーザが所有する携帯型端末装置2を含み、携帯型端末装置2は、アクチュエータ10を動作させるための第2操作が可能で且つ当該第2操作に応じて第2操作信号を送信し、支援装置4は、第2操作に応じて携帯型端末装置2から送信された第2操作信号を受信して、当該第2操作信号を水管理装置1に送信する。これにより、端末装置2、3からの所定情報(位置情報など)と第2操作信号とが、支援装置4を介して水管理装置1に送信され、水管理装置1で所定情報に基づいて第1モード又は第2モードに切り替わることができ、第2操作信号に基づいてアクチュエータ10などの動作を制御することができる。
【0213】
また、本実施形態では、支援装置4は、携帯型端末装置2から受信した当該携帯型端末装置2の位置情報に基づいて、操作装置43から送信された第1操作信号を受け付けるか又は受け付けないかを判断する受付判断部4jを有し、水管理装置1は、受付判断部4jの判断結果を支援装置4から受信して、当該判断結果に基づいて第1操作信号を受け付ける第1モードと、第1操作信号を受け付けない第2モードのいずれかに切り替わる。これにより、支援装置4の受付判断部4jの判断結果に応じて、水管理装置1の制御装置60で操作装置43からの第1操作信号を受け付ける第1モード又は当該第1操作信号を受け付けない第2モードに切り替わることができる。また、制御装置60で第1モード又は第2モードに切り替わるための判断処理を容易にして、制御装置60の処理負担を軽減することが可能となる。
【0214】
また、本実施形態では、支援装置4は、携帯型端末装置2と通信し、携帯型端末装置2の認証を行う認証部4iを有し、認証部4iにより携帯型端末装置2の認証が成功した場合に、携帯型端末装置2から受信した第2操作信号を水管理装置1に送信し、水管理装置
1は、支援装置4から受信した第2操作信号に基づいてアクチュエータ10を制御する。支援装置4の認証部4iで認証が成功した携帯型端末装置2からの第2操作信号に基づいて、水管理装置1のアクチュエータ10の動作を制御することができる。また、水管理装置1の制御装置60で携帯型端末装置2の認証を行う必要がないので、その分制御装置60の処理負担を軽減することが可能となる。
【0215】
さらに、本実施形態では、操作装置43は、水管理装置1に設置されていて、端末装置2、3は、正当なユーザにより所有され、操作装置43から送信された第1操作信号の受け付けを許可する許可指令と、第1操作信号の受け付けを禁止する禁止指令とをそれぞれ水管理装置1に送信し、水管理装置1は、許可指令を受信すると第1モードに切り替わり、禁止指令を受信すると第2モードに切り替わる。これにより、正当なユーザが端末装置2、3を操作して、水管理装置1で操作装置43から送信された第1操作信号の受け付けを許可するか禁止するかを設定することができる。このため、正当なユーザが意図せずに、悪意を持った第三者などにより操作装置43が操作されて、水管理装置1で圃場Hに対して給水又は排水が行わるのを防止することができる。また、正当なユーザが操作装置43を操作して、水管理装置1で圃場Hに対して給水又は排水を行うことができ、利便性を向上させることが可能となる。
【0216】
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0217】
1 圃場の水管理装置
2 携帯型端末装置
3 据え置き型端末装置
4 支援装置
4i 認証部
4j 受付判断部
6 公衆通信網
7 圃場の水管理システム
10 アクチュエータ
30 記憶部
43 操作盤(操作装置)
50 検出装置(制御対象装置)
60 制御装置
60a 距離演算部
60b 移動検出部
70 通信装置
80 監視カメラ(制御対象装置)
D 距離
Da 閾値
E1 範囲
H 圃場