IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニコックス エス.エー.の特許一覧

特許7596257一酸化窒素放出性ホスホジエステラーゼ5型阻害薬
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】一酸化窒素放出性ホスホジエステラーゼ5型阻害薬
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20241202BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20241202BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20241202BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20241202BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241202BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20241202BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
C07D487/04 140
C07D403/14 CSP
A61P27/02
A61P27/06
A61P43/00 121
A61K31/519
A61K31/506
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021506326
(86)(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 EP2019070597
(87)【国際公開番号】W WO2020030489
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-07-29
(31)【優先権主張番号】18187482.7
(32)【優先日】2018-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18210147.7
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516217239
【氏名又は名称】ニコックス エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】アルミランテ,ニコレッタ
(72)【発明者】
【氏名】ブランビッラ,ステファーニア
(72)【発明者】
【氏名】ストローニ,ラウラ
(72)【発明者】
【氏名】インパグナッティエッロ,フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】バスティア,エレナ
【審査官】小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/085056(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/155906(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0168424(US,A1)
【文献】特表2011-511022(JP,A)
【文献】特表2017-534658(JP,A)
【文献】国際公開第2016/156104(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03088388(EP,A1)
【文献】World Journal of Men's Health,2014年04月25日,Vol.32, No.1,p18-27,doi:10.5534/wjmh.2014.32.1.18
【文献】Pharmacology & Pharmacy,Vol.5,2014年,p112-116,doi:10.4236/pp.2014.51016
【文献】Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2014年10月28日,Vol.24, No.23,p5460-5465,doi:10.1016/j.bmcl.2014.10.008
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)若しくは(II):
【化1】

(式中、
は、
【化2】

からなる群より選択され、
は、n-プロピルであり、
は、メチルである)
の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩
【請求項2】
2-(4-(3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニルスルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル 3-(2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ)プロパノアート(化合物(1));
2-(4-((3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニル)スルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル 2-(2-(ニトロオキシ)エトキシ)アセタート(化合物(2));
2-(4-(3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニルスルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル 5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサノアート(化合物(3));
2-(4-((3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニル)スルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル 6-(ニトロオキシ)ヘキサノアート(化合物(4))
からなる群より選択される、請求項1記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩
【請求項3】
(S)-(1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イル-メチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル 6-(ニトロオキシ)ヘキサノアート(化合物(9));
[(2S)-1-(4-{[(3-クロロ-4-メトキシフェニル)メチル]アミノ}-5-{[(ピリミジン-2-イル)メチル]カルバモイル}ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル]メチル 5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサノアート(化合物(10));
(S)-(1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イル-メチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル 2-(2-(ニトロオキシ)エトキシ)アセタート(化合物(11));
[(2S)-1-(4-{[(3-クロロ-4-メトキシフェニル)メチル]アミノ}-5-{[(ピリミジン-2-イル)メチル]カルバモイル}ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル]メチル 3-[2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパノアート(化合物(12))
からなる群より選択される、請求項1記載の式(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩
【請求項4】
[(2S)-1-(4-{[(3-クロロ-4-メトキシフェニル)メチル]アミノ}-5-{[(ピリミジン-2-イル)メチル]カルバモイル}ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル]メチル (5S)-5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサノアート(化合物(10)-(5S));
[(2S)-1-(4-{[(3-クロロ-4-メトキシフェニル)メチル]アミノ}-5-{[(ピリミジン-2-イル)メチル]カルバモイル}ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル]メチル 3-[(2S)-2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパノアート(化合物(12)-(2S));
(S)-(1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イル-メチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル 6-(ニトロオキシ)ヘキサノアート 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシラート(化合物(9)-クエン酸塩);
((S)-1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イル-メチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル (5S)-5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサノアート 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシラート(化合物(10)-(5S)クエン酸塩);
(S)-(1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イル-メチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル 2-(2-(ニトロオキシ)エトキシ)アセタート 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシラート(化合物(11)クエン酸塩));
((S)-1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イル-メチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル 3-((S)-2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ)プロパノアート 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシラート(化合物(12)-(2S)クエン酸塩);
(S)-2-(4-(3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニルスルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル 3-[2,3-ビス-(ニトロオキシ)プロポキシ)]プロパノアート クエン酸塩(化合物(1)-(2S)クエン酸塩);
2-(4-(3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニルスルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル 6-(ニトロオキシ)ヘキサノアート クエン酸塩(化合物(4)クエン酸塩);
2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボン酸 2-{4-[3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシベンゼン-1-スルホニル]ピペラジン-1-イル}エチル [2-(ニトロオキシ)エトキシ]アセタート(化合物(2)クエン酸塩);
(S)-2-(4-(3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニルスルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル 5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサノアート クエン酸塩(化合物(3)-(5S)クエン酸塩);
(S)-2-(4-(3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニルスルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル 3-(2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ)プロパノアート 二塩酸塩(化合物(1)-(2S)塩酸塩);
(S)-(1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イル-メチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル 6-(ニトロオキシ)ヘキサノアート フマル酸塩(化合物(9)フマル酸塩);
(S)-(1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イル-メチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル 6-(ニトロオキシ)ヘキサノアート マレイン酸塩(化合物(9)マレイン酸塩)
からなる群より選択される、請求項1記載の式(I)又は(II)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項記載の式(I)若しくは式(II)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を含む、医薬組成物。
【請求項6】
上昇した眼圧に関連する疾患又は病態の処置における使用のための、請求項5記載の医薬組成物。
【請求項7】
疾患又は病態が、高眼圧症、緑内障、開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、色素性緑内障、偽落屑緑内障及び薬物誘発緑内障から選択される、請求項6記載の医薬組成物。
【請求項8】
未熟児網膜症を含む網膜症、網膜静脈閉塞症又は糖尿病黄斑浮腫の処置における使用のための、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか1項記載の式(I)若しくは式(II)の化合物又はその若しくは薬学的に許容され得る塩を含む、眼用医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一酸化窒素放出性ホスホジエステラーゼ5型(PDE5)阻害薬に関する。本発明はさらに、高眼圧症及び緑内障などの、上昇した眼圧に関連する眼病態を処置するための組成物及び方法を提供する。
【0002】
緑内障は、視神経の損傷を引き起こし、最終的には視力の完全な喪失をもたらす進行性の疾患である。POAG(原発性開放隅角緑内障)の患者における眼圧制御と緑内障性損傷の予防/軽減との間には良好な相関関係があるため、高眼圧症を処置するためにいくつかの治療薬が開発されてきた(Heijl A. et al. Arch Ophthalmol. 2002; 120: 1268-1279; Garway Heath et al. The Lancet 2015; 385: 1295-1304; Heijl A. The Lancet 2015; 385: 1264-1266)。
【0003】
プロスタグランジン類似体(ラタノプロスト若しくはビマトプロストなど)などの、眼からの房水の流出を増加させる薬物か、又はベータ遮断薬(チモロール、ベタキソロール、レボブノロールなど)及び炭酸脱水酵素阻害薬(アセタゾラミド、ドルゾラミド若しくはブリンゾラミドなど)などの、眼内の房水の生成を減少させる薬物のどちらかを投与することによって、上昇した眼圧を、少なくとも部分的に制御できることは公知である。
【0004】
残念なことに、高眼圧症を処置するために従来使用されてきた薬物の多くは、さまざまな副作用を有している。例えば、プロスタグランジン療法は、様々な重症度及び持続時間の目の炎症及び充血を引き起こす。ベータ遮断薬は、重篤な肺の副作用、うつ病、疲労、錯乱、インポテンス、脱毛、心不全、徐脈を示す。炭酸脱水酵素阻害薬に関連する副作用は、疲労、食欲不振、うつ病、知覚異常及び血清電解質異常を含む。
【0005】
一酸化窒素(NO)が多くの生理学的プロセスにおいて重要な役割を果たすことは公知であり;特に眼においては、一酸化窒素は、線維柱帯及びシュレム管の房水の流出を促進することにより、生理的な眼圧調節において重要な役割を果たす(Cavet et al., Invest Ophthalmol Vis Sci. 2014, 5005-5015)。
【0006】
いくつかの研究は、NOドナーが、線維柱帯及びシュレム管の房水の流出を増加させることで、眼圧を低下させることを実証している。
【0007】
細胞レベルでは、一酸化窒素は、可溶性グアニル酸シクラーゼ酵素(sGC)に結合し、線維柱帯及びシュレム管組織における環状グアノシン一リン酸(cGMP)の産生を増加させ、そこでそれは、従来の房水の排液を促進し、最終的に眼圧を低下させる一連のメカニズムを活性化する(Cavet et al., Invest Ophthalmol Vis Sci. 2014, 5005-5015)。
【0008】
例えば、米国特許第4,590,207号は、高眼圧症及び緑内障を治療及び/又は予防するための有効成分として一硝酸イソソルビドを含む点眼液を開示している。
【0009】
欧州特許第2 993 172 B1号は、緑内障及び高眼圧症の治療及び/又は予防における使用のための、一酸化窒素放出性カルノシン類縁体を開示している。動物モデルにおける研究の結果は、一酸化窒素放出性カルノシン類縁体が、一硝酸イソソルビド(5-ISMN)よりも高いIOPを低下させる効果を有し、そのIOPを低下させる効果が、局所投与後約2時間まで持続することを示した。
【0010】
国際公開公報第2014/063923号は、キノンベースの構造を有する一酸化窒素ドナー化合物、並びに緑内障及び高眼圧症の治療及び/又は予防におけるそれらの使用を開示している。
【0011】
しかしながら、一般的に、内因性酵素による活性化を必要としないNOドナー化合物は通常、一酸化窒素を急速に放出し、その一酸化窒素の早い放出速度の結果、標的組織に十分な量のNOを長期間にわたって送達することが困難である。
【0012】
持続的な有効性を提供するための一つの可能な方法は、NOドナー化合物を複数回投与することを必要とするであろう。しかしながら、この処置の方法は、患者に副作用の負担(単回の眼投与スケジュールに比べて高い可能性がある)を負わせる。過剰なNOは、酸化ストレス及び炎症性マーカーの生合成を含む、望ましくない影響を誘発し得る(Colasanti & Suzuki, Trends Pharmacol Sci. 2000 21:249-252)。
【0013】
長時間にわたり持続的な活性を提供する別の可能な方法は、ホスホジエステラーゼ5型(PDE5)阻害薬を用いて環状グアノシン一リン酸(cGMP)の分解を減少させることによるものである。
【0014】
先行技術は、緑内障又は高眼圧症を処置するために、環状ホスホジエステラーゼ5型(PDE5)阻害薬と一酸化窒素(NO)ドナーを組み合わせて使用することを示唆している。例えば、米国特許公開公報第2002/0168424号は、ニトロ血管拡張薬ミノキシジル、ニトログリセリン、L-アルギニン、二硝酸イソソルビド又はニトロプルシドなどの一酸化窒素(NO)ドナーと、クエン酸シルデナフィルなどのホスホジエステラーゼ5型(PDE5)阻害薬の混合物を含む、緑内障の処置のための局所薬物を開示している。この組み合わせは、視神経への血液循環を増加させ、眼圧降下作用を有する。
【0015】
米国特許公開公報第2002/0168424号は、この組み合わせの眼圧を低下させる活性に関連する如何なる実験データも開示しておらず、使用される個々の化合物の有効容量を示唆していない。
【0016】
国際公開公報第2017/085056号は、cGMPバランスの乱れが発生している、及び/又はPDE阻害が有益であると考えられる様々な疾患の処置、特に糖尿病患者の処置に有効である、二重薬理NO放出性PDE5阻害薬を開示しており、緑内障が多数の好ましい疾患のリストの中に引用されている。
【0017】
この二重薬理NO放出性PDE5阻害薬において、一酸化窒素前駆体は、PDE5阻害薬分子の水酸基に直接連結されたニトロオキシ基(ONO)(硝酸エステル)である。
【0018】
国際公開公報第2017/085056号は、NO放出性PDE5阻害薬が、可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化することができ、既知のPDE5阻害薬シルデナフィルよりも高いPDE5阻害活性を有する事を示す、ラットの大動脈輪についてのインビトロ研究を開示している。しかしながら、国際公開公報第2017/085056号は、NO放出性PDE5阻害薬の眼圧を低下させる活性に関連する如何なる実験データも開示していない。
【0019】
ホスホジエステラーゼ5型(PDE5)阻害薬に関し、先行技術はこの種類の化合物についても、緑内障の処置におけるそれらの潜在的な治療上の使用を示唆しており、例えば:
【0020】
米国特許第4,975,428号は、眼圧を低下させるための薬物としてのPDE阻害薬ベマリノンの使用を開示している。
【0021】
国際公開公報第01/60825号は、PDE5阻害薬としての一連のピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-7-オン誘導体を開示しており、これらの化合物の可能な治療用途の一つとして緑内障を挙げている。
【0022】
欧州特許第0 463 756号は、抗血管障害薬としてのPDE5阻害薬として一連のピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-7-オン誘導体を開示しており、これらの化合物の多くの可能な治療用途の中に緑内障を挙げている。
【0023】
欧州特許第1 074 258号は、PDE5阻害薬、特にクエン酸シルデナフィルの全身(経口又は非経口)投与により、慢性緑内障、慢性(特発性)開放隅角緑内障及び黄斑(乾性)変性症に関連する緑内障性視神経症を処置する方法を開示している。
【0024】
したがって、上昇した眼圧に関連する眼疾患の治療的処置に使用するための化合物の継続的なニーズがある。
【0025】
本発明は、一酸化窒素前駆体が、酵素切断可能な結合を介してPDE5阻害薬に連結されたNO放出性分子(NOドナー)である、新規な一酸化窒素放出性ホスホジエステラーゼ5型(NO-PDE5)阻害薬を提供する。
【0026】
本発明の一酸化窒素放出性ホスホジエステラーゼ5型(NO-PDE5)阻害薬は、NO-PDE5及びNO-ドナーのそれぞれで観察された、より大きなEmax(所与の用量における最大眼内低下効果と定義される)とE480分(分析された最後の時点でのIOP低下)によって明らかなように、PDE5又はNO-ドナーのいずれかとそれぞれ比較して、より良い効果とより長い持続時間を示した。したがって、本発明の一酸化窒素放出性ホスホジエステラーゼ5型(NO-PDE5)阻害薬は、眼圧の低下が望まれる様々な疾患や病態(例えば、緑内障、高眼圧症及び上昇した眼圧に関連する他の病態)のための代替的な処置を提供することが期待される。
【0027】
本発明は、式(I):
【化1】

(式中、
は、以下の式:
=-C(O)-(O-CH(CH-[O-(CH-(CH-ONO-CH-ONO
(式中、
yは、1又は0であり、
pは、1又は0であり、
qは、1又は0であり、
mは、1~10の整数であり、好ましくは、mは、1~6であり、
nは、1~6の整数であり、好ましくは、nは、1又は2である)
を有する、一酸化窒素放出性分子の残基であり、
は、エチル又はn-プロピルであり、
は、メチル又はエチルである
(ただし、Rがエチルである場合、Rはメチルであり、又はRがn-プロピルである場合、Rはエチルである))
の化合物、その立体異性体又は塩を提供する。
【0028】
y=0の場合、Rは、好ましくは、
【化2】

からなる群より選択される。
【0029】
y=1の場合、Rは、好ましくは、
【化3】

からなる群より選択される。
【0030】
本発明の別の実施態様は、
が、以下の式:
=-C(O)-(O-CH(CH-[O-(CH-(CH-ONO-CH-ONO
(式中、
yは、1又は0であり、
pは、1又は0であり、
qは、1又は0であり、
mは、1~10の整数であり、好ましくは、mは、1~6であり
nは、1~6の整数であり、好ましくは、nは、1又は2である)
を有する、一酸化窒素放出性分子の残基であり、
がn-プロピルであり、Rがエチルである、上記で定義される式(I)の化合物、その立体異性体又は塩を提供する。
【0031】
y=0の場合、Rは、好ましくは、
【化4】

からなる群から選択される。
【0032】
y=1の場合、Rは、好ましくは、
【化5】

からなる群から選択される。
【0033】
本発明の別の実施態様は、
がn-プロピルであり、Rがエチルであり、
が、以下の式:
=-C(O)-(O-CH(CH-[O-(CH-(CH-ONO-CH-ONO
を有する、一酸化窒素放出性分子の残基であり、
y=0であり、Rが、
【化6】

からなる群より選択される、上記で定義される式(I)の化合物、その立体異性体又は塩を提供する。
【0034】
本発明の別の実施態様は、
がn-プロピルであり、Rがエチルであり、
が、以下の式:
=-C(O)-(O-CH(CH-[O-(CH-(CH-ONO-CH-ONO
を有する、一酸化窒素放出性分子の残基であり、
y=1であり、Rが、
【化7】

からなる群より選択される、上記で定義される式(I)の化合物、その立体異性体又は塩を提供する。
【0035】
本発明の別の実施態様は、
が、以下の式:
=-C(O)-(O-CH(CH-[O-(CH-(CH-ONO-CH-ONO
(式中、
yは、1又は0であり、
pは、1又は0であり、
qは、1又は0であり、
mは、1~10の整数であり、好ましくは、mは、1~6であり、
nは、1~6の整数であり、好ましくは、nは、1又は2である)
を有する、一酸化窒素放出性分子の残基であり、
がエチルであり、Rがメチルである、上記で定義される式(I)の化合物、その立体異性体又は塩を提供する。
【0036】
y=0の場合、Rは、好ましくは、
【化8】

からなる群より選択される。
【0037】
y=1の場合、Rは、好ましくは、
【化9】

からなる群から選択される。
【0038】
本発明の別の実施態様は、
がエチルであり、Rがメチルであり、
が、以下の式を有する、一酸化窒素放出性分子の残基であり、
y=0であり、Rが、
【化10】

からなる群より選択される、上記で定義される式(I)の化合物、その立体異性体又は塩を提供する。
【0039】
本発明の別の実施態様は、
がエチルであり、Rがメチルであり、
が、以下の式を有する、一酸化窒素放出性分子の残基であり、
y=1であり、Rが、
【化11】

からなる群より選択される、上記で定義される式(I)の化合物、その立体異性体又は塩を提供する。
【0040】
本発明の別の実施態様は、式(II)
【化12】

(式中、
は、以下の式:
=-C(O)-(O-CH(CH-[O-(CH-(CH-ONO-CH-ONO
(式中、
yは、1又は0であり、
pは、1又は0であり、
qは、1又は0であり、
mは、1~10の整数であり;好ましくは、mは、1~6であり、
nは、1~6の整数であり;好ましくは、nは、1又は2であり、
y=0の場合、Rは、好ましくは、
【化13】

からなる群より選択される)
を有する、一酸化窒素放出性分子の残基である)
の化合物、その立体異性体又は塩を提供する。
【0041】
y=1の場合、Rは、好ましくは、
【化14】

からなる群から選択される。
【0042】
本発明の別の実施態様は、
が、以下の式:
=-C(O)-(O-CH(CH-[O-(CH-(CH-ONO-CH-ONO
(式中、
y=0であり、Rは、
【化15】

からなる群より選択される)
を有する、一酸化窒素放出性分子の残基である、上記で定義される式(II)の化合物、その立体異性体又は塩を提供する。
【0043】
本発明の別の実施態様は、
が、以下の式:
=-C(O)-(O-CH(CH-[O-(CH-(CH-ONO-CH-ONO
(式中、
y=1であり、Rは、
【化16】

からなる群より選択される)
を有する、一酸化窒素放出性分子の残基である、上記で定義される式(II)の化合物、その立体異性体又は塩を提供する。
【0044】
本発明の別の実施態様は、式(Ib)の化合物であって、下記式:
【化17】

(式中、
は、以下の式:
=-C(O)-(O-CH(CH-[O-(CH-(CH-ONO-CH-ONO
(式中、
yは、1又は0であり、
pは、1又は0であり、
qは、1又は0であり、
mは、1~10の整数であり、好ましくは、mは、1~6であり、
nは、1~6の整数であり、好ましくは、nは、1又は2である)
を有する、一酸化窒素放出性分子の残基であり、
は、エチル又はn-プロピルであり、
は、メチル又はエチルである
(ただし、Rがエチルである場合、Rはメチルであり、Rがn-プロピルである場合、Rはエチルであり;そして
がエチルであり且つRがメチルであり、yが0であり、p及びqが0である場合、mは2ではない))
の化合物、立体異性体又は塩を提供する。
【0045】
yが0の場合、好ましい式(Ib)の化合物は、Rが、式(IIIa)~(IIIh)
【化18】

の基からなる群より選択されるものである。
【0046】
yが1の場合、好ましい式(Ib)の化合物は、Rが、式(IVa)~(IVh)
【化19】

の基からなる群より選択されるものである。
【0047】
本発明の別の実施態様は、R、y、p、q、m及びnが、上記で定義されたとおりであり、Rがエチルであり、Rがメチルである、上記で定義された式(Ib)の化合物、その立体異性体又は塩を提供する。
【0048】
本発明の別の実施態様は、式(Ib)
【化20】

(式中、
が、以下の式:
=-C(O)-(O-CH(CH-[O-(CH-(CH-ONO-CH-ONO
(式中、
yは、1であり、
pは、1又は0であり、
qは、1又は0であり、
mは、1~10の整数であり、好ましくは、mは、1~6であり、
nは、1~6の整数であり、好ましくは、nは、1又は2である)
を有する、一酸化窒素放出性分子の残基であり、
が、エチル又はn-プロピルであり、
が、メチル又はエチルである
(ただし、Rがエチルである場合、Rはメチルであり;Rがn-プロピルである場合、Rはエチルである))
の化合物、その立体異性体又は塩を提供する。
【0049】
本発明の別の実施態様は、p、q、m、nが上記で定義された通りであり、Rがエチルであり、Rがメチルであり、Rが上記で定義された式(IIIa)~(IIIh)の基からなる群より選択される、上記で定義された式(Ib)の化合物、その立体異性体又は塩を提供する。
【0050】
本発明の別の実施態様は、p、q、m、nが上記で定義された通りであり、Rがエチルであり、Rがメチルであり、Rが上記で定義された式(IVa)~(IVb)の基からなる群より選択される、上記で定義された式(Ib)の化合物、その立体異性体又は塩を提供する。
【0051】
本発明の別の実施態様は、R、y、p、q、m及びnが上記で定義された通りであり、Rがn-プロピルであり、Rがエチルである、上記で定義された式(Ib)の化合物、その立体異性体又は塩を提供する。
【0052】
本発明の別の実施態様は、p、q、m、nが上記で定義された通りであり、Rがn-プロピルであり、Rがエチルであり、Rが上記で定義された式(IIIa)~(IIIh)の基からなる群より選択される、上記で定義された式(Ib)の化合物、その立体異性体又は塩を提供する。
【0053】
本発明の別の実施態様は、p、q、m、nが上記で定義された通りであり、Rがn-プロピルであり、Rがエチルであり、Rが上記で定義された式(IVa)~(IVh)の基からなる群より選択される、上記で定義された式(Ib)の化合物、その立体異性体又は塩を提供する。
【0054】
本発明の別の実施態様は、
2-(4-(3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニルスルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル 3-[2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパノアート(化合物(1))
【化21】

2-(4-((3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニル)スルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル 2-(2-(ニトロオキシ)エトキシ)アセタート(化合物(2))
【化22】

2-(4-(3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニルスルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル 5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサノアート(化合物(3))
【化23】

2-(4-((3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニル)スルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル 6-(ニトロオキシ)ヘキサノアート(化合物(4))
【化24】

2-(4-(3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニルスルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル 6-(ニトロオキシ)ヘキシル カルボナート(化合物(5))
【化25】

2-(4-(3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニルスルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル 5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキシル カルボナート(化合物(6))
【化26】

2-{4-[4-エトキシ-3-(5-メチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)ベンゼン-1-スルホニル]ピペラジン-1-イル}エチル 5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサノアート(化合物(7))
【化27】

2-{4-[4-エトキシ-3-(5-メチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)ベンゼン-1-スルホニル]ピペラジン-1-イル}エチル 6-(ニトロオキシ)ヘキサノアート(化合物(8))
【化28】

2-{4-[4-エトキシ-3-(1-メチル-7-オキソ-3-プロピル-6,7-ジヒドロ-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)ベンゼン-1-スルホニル]ピペラジン-1-イル}エチル 5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサノアート(化合物(7b))
【化29】

2-{4-[4-エトキシ-3-(1-メチル-7-オキソ-3-プロピル-6,7-ジヒドロ-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)ベンゼン-1-スルホニル]ピペラジン-1-イル}エチル 6-(ニトロオキシ)ヘキサノアート(化合物(8b))
【化30】

2-{4-[4-エトキシ-3-(1-メチル-7-オキソ-3-プロピル-6,7-ジヒドロ-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)ベンゼン-1-スルホニル]ピペラジン-1-イル}エチル 3-[2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパノアート(化合物15)
【化31】

からなる群より選択される、式(I)若しくは(Ib)の化合物、又はその立体異性体若しくは薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0055】
本発明の別の実施態様は、式(II)の化合物であって、
(S)-(1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イルメチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル 6-(ニトロオキシ)ヘキサノアート(化合物(9))
【化32】

[(2S)-1-(4-{[(3-クロロ-4-メトキシフェニル)メチル]アミノ}-5-{[(ピリミジン-2-イル)メチル]カルバモイル}ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル]メチル 5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサノアート(化合物(10))
【化33】

(S)-(1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イルメチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル 2-(2-(ニトロオキシ)エトキシ)アセタート(化合物(11))
【化34】

[(2S)-1-(4-{[(3-クロロ-4-メトキシフェニル)メチル]アミノ}-5-{[(ピリミジン-2-イル)メチル]カルバモイル}ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル]メチル 3-[2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパノアート(化合物(12))
【化35】

(S)-(1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イルメチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル 6-(ニトロオキシ)ヘキシル カルボナート(化合物(13))
【化36】

((S)-1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イルメチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル 5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキシル カルボナート(化合物(14)))
【化37】

から選択される化合物、又はその立体異性体若しくは薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0056】
本発明の別の実施態様は、
[(2S)-1-(4-{[(3-クロロ-4-メトキシフェニル)メチル]アミノ}-5-{[(ピリミジン-2-イル)メチル]カルバモイル}ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル]メチル (5S)-5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサノアート(化合物(10)-(5S));
[(2S)-1-(4-{[(3-クロロ-4-メトキシフェニル)メチル]アミノ}-5-{[(ピリミジン-2-イル)メチル]カルバモイル}ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル]メチル 3-[(2S)-2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパノアート(化合物(12)-(2S));
(S)-(1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イルメチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル 6-(ニトロオキシ)ヘキサノアート 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシラート(化合物(9)のクエン酸塩);
(S)-((S)-1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イルメチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル (5S)-5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサノアート 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシラート(化合物(10)-(5S)のクエン酸塩);
(S)-(1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イルメチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル2-(2-(ニトロオキシ)エトキシ)アセタート 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシラート(化合物(11)クエン酸塩);
((S)-1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イルメチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル3-((S)-2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ)プロパノアート) 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシラート(化合物(12)-(2S)のクエン酸塩);
(S)-2-(4-(3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニルスルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル 3-[2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパノアートクエン酸塩(化合物(1)-(2S)のクエン酸塩);
2-(4-(3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニルスルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル 6-(ニトロオキシ)ヘキサノアートクエン酸塩(化合物(4)のクエン酸塩);
2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボン酸 2-{4-[3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシベンゼン-1-スルホニル]ピペラジン-1-イル}エチル [2-(ニトロオキシ)エトキシ]アセタート(化合物(2)のクエン酸塩);
(S)-2-(4-(3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニルスルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル 5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサノアートクエン酸塩(化合物(3)-(5S)のクエン酸塩);
(S)-2-(4-(3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニルスルホニル)ピペラジン-1-イル) エチル3-(2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ)プロパノアート二塩酸塩(化合物(1)-(2S)の塩酸塩);
((S)-1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イルメチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル (S)-5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキシル カルボナート(化合物(14)-(5S));
(S)-(1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イルメチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル 6-(ニトロオキシ)ヘキシル カルボナート 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシラート(化合物(13)のクエン酸塩);
(S)-2-(4-((4-エトキシ-3-(1-メチル-7-オキソ-3-プロピル-6,7-ジヒドロ-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)スルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル (S)-5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサノアート(化合物(7b)-(5S));
(S)-2-(4-((4-エトキシ-3-(1-メチル-7-オキソ-3-プロピル-6,7-ジヒドロ-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)スルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル (S)-3-(2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ)プロパノアート(化合物(15)、(S)異性体);
(S)-(1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イルメチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル 6-(ニトロオキシ)ヘキサノアートフマル酸塩(化合物(9)のフマル酸塩);
(S)-(1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イルメチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル 6-(ニトロオキシ)ヘキサノアートマレイン酸塩(化合物(9)のマレイン酸塩)
からなる群より選択される、式(I)、(Ib)又は(II)の化合物を提供する。
【0057】
本発明の別の実施態様は、上昇した眼圧に関連する疾患又は病態を処置する方法における使用のための、式(I)、若しくは式(Ib)、若しくは式(II)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。好ましくは、当該疾患又は病態は、高眼圧症、又は開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、色素性緑内障若しくは偽落屑緑内障若しくは薬物誘発緑内障を含む緑内障から選択される。
【0058】
本発明の別の実施態様は、未熟児網膜症を含む網膜症、網膜静脈閉塞症又は糖尿病黄斑浮腫を処置する方法における使用のための、式(I)、若しくは式(Ib)、若しくは式(II)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0059】
本発明の別の実施態様は、式(I)、若しくは式(Ib)、若しくは式(II)の化合物、又はその立体異性体若しくは薬学的に許容され得る塩、及び薬学的に許容され得る賦形剤及び/又はベヒクルを含む眼用医薬組成物を提供する。眼用医薬組成物は、溶液、懸濁液、ゲル、クリーム又はエマルジョンの形態である。
【0060】
本発明の特定の化合物は、酸塩に変換され得る。したがって、本発明の化合物は、塩として存在し得る。そのような塩の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など;又は、例えば、酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロパン酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモ酸、クエン酸、メチルスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ギ酸などの有機酸である。
【0061】
式(I)、式(II)、又は式(Ib)の化合物の個々のエナンチオマー、並びにそれらのジアステレオ異性体、ラセミ及び非ラセミ混合物は、本発明の範囲に含まれる。
【0062】
本発明の別の実施態様は、式(I)、若しくは式(Ib)の化合物、若しくは式(II)の化合物、及び以下の種類の薬物:
カルテオロール、レボブノロール、メチプラノロール又はチモロールから選択されるベータ-アドレナリン拮抗薬;
ラタノプロスト、トラボプロスト、タフルプロスト若しくはビマトプロスト、又はそれらのそれぞれのNO供与性誘導体から選択されるプロスタグランジン類似体;
エピネフリンホウ酸塩、エピネフリン塩酸塩、ジピベフリン又はアプラクロニジンから選択されるアドレナリン作動薬;
アセタゾラミド、ジクロルフェナミド、メタゾラミド、ブリンゾラミド又はドルゾラミドから選択される炭酸脱水酵素阻害薬;
カルバコール、ピロカルピン塩酸塩、ピロカルピン硝酸塩又はピロカルピンから選択されるコリン作動薬;
フルオシノロン、プロピオン酸フルチカゾン、トリアムシノロン又はデキサメタゾンから選択されるステロイド;
デメカリウム、エコチオファート又はフィゾスチグミンから選択されるコリンエステラーゼ阻害薬;
可溶性グアニル酸シクラーゼ活性化薬(sCG活性化薬)、好ましくは、sCG活性化薬は、国際公開公報第2016/001875号に開示されている化合物であり、より好ましくは、sCG活性化薬は、国際公開公報第2016/001875号に開示されている(+)-1-(6-(3-((4-(1-(シクロプロパンカルボニル)ピペリジン-4-イル)-2-メチルフェニル)アミノ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イル)ピリジン-2-イル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(MGV-354)である;
ネタルスジル、リパスジル、ファスジル、ベロスジル、(+)-(R)-trans-4-(l-アミノエチル)-N-(4-ピリジル)シクロヘキサンカルボキサミド二塩酸塩(Y-27632)又は米国特許公開公報第2012/0288428号に開示されている(R)-(+)-N-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-イル)-4-(1-アミノエチル)ベンズアミド(Y-39383)を含む、Rho-キナーゼ阻害薬;
sGC活性化薬シナシグアト
から選択される少なくとも1種の別の活性薬物を含む組成物に関する。
【0063】
式(I)の化合物、若しくは式(Ib)の化合物、若しくは式(II)の化合物、及びベータ-アドレナリン拮抗薬、プロスタグランジン類似体、アドレナリン作動薬、炭酸脱水酵素阻害薬、コリン作動薬、ステロイド、コリンエステラーゼ阻害薬、可溶性グアニル酸シクラーゼ活性化薬又はRho-キナーゼ阻害薬から選択される少なくとも1種の別の活性薬物を含む上記の組成物は、好適な混合比の2つの活性化合物を含有する一つの投与剤形で調製し得るか、又は別個の投与剤形に調製された2つの活性化合物を同時に若しくは別個に投与するためのキットとして調製し得る。
【0064】
本発明の別の実施態様は、式(I)の化合物、若しくは式(Ib)の化合物、若しくは式(II)の化合物又はその塩を含む局所眼投剤形、及び以下の種類の薬物:
プロスタグランジン類似体、ベータ-アドレナリン拮抗薬、炭酸脱水酵素阻害薬、コリン作動薬、ステロイド、コリンエステラーゼ阻害薬、可溶性グアニル酸シクラーゼ活性化薬若しくはRho-キナーゼ阻害薬又はsGC活性化薬シナシグアト
から選択される活性薬物を含む別の局所眼投与剤形を含むキットである組成物を提供する。
【0065】
別の実施態様は、上昇した眼圧に関連する疾患又は病態を処置する方法における使用のための、式(I)の化合物、若しくは式(Ib)の化合物、若しくは式(II)の化合物、及び上記で報告した少なくとも1種の別の活性薬物を含む組成物の使用を提供する。好ましくは、前記疾患又は病態は、高眼圧症又は緑内障(開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、色素性緑内障、偽落屑緑内障又は薬物誘発緑内障を含む)から選択される。
【0066】
別の実施態様は、未熟児網膜症を含む網膜症、網膜静脈閉塞症又は糖尿病黄斑浮腫を処置する方法における使用のための、式(I)の化合物、若しくは式(Ib)の化合物、若しくは式(II)の化合物、及び上記で報告した少なくとも1種の別の活性薬物を含む組成物の使用を提供する。
【0067】
局所投与のための組成物において、本発明の化合物の濃度は、一般には0.0001%~3%(重量/体積)又は0.003%~3%(重量/体積)、好ましくは0.03%~2%(重量/体積)、最も好ましくは0.3%~1%(重量/体積)である。
【0068】
本発明の別の実施態様は、上昇した眼圧に関連する眼疾患又は病態を処置するための眼圧低下薬としての使用のための、3-[(2S)-2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパン酸(化合物(IIIg)-OH)又は6-(ニトロオキシ)ヘキサン酸(化合物(IIIa)-OH)を提供する。
【0069】
本発明の別の実施態様は、未熟児網膜症を含む網膜症、網膜静脈閉塞症又は糖尿病黄斑浮腫を処置する方法における使用のための、3-[(2S)-2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパン酸(化合物(IIIg)-OH)又は6-(ニトロオキシ)ヘキサン酸(化合物(IIIa)-OH)を提供する。
【0070】
本発明の別の実施態様は、化合物3-[(2S)-2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパン酸((IIIg)-OH)又は化合物6-(ニトロオキシ)ヘキサン酸((IIIa)-OH)、並びに薬学的に許容される賦形剤及び/又はベヒクルを含む眼用組成物を提供する。
【0071】
本発明の別の実施態様は、化合物3-[(2S)-2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパン酸((IIIg)-OH)又は化合物6-(ニトロオキシ)ヘキサン酸((IIIa)-OH)、及び以下の種類の薬物:
ベータアドレナリン拮抗薬、プロスタグランジン類似体、アドレナリン作動薬、炭酸脱水酵素阻害薬、コリン作動薬、ステロイド、コリンエステラーゼ阻害薬、可溶性グアニル酸シクラーゼ活性化薬、Rho-キナーゼ阻害薬又はシナシグアト
から選択される少なくとも1種の別の活性薬物を含む眼用組成物を提供する。
【0072】
前記組成物は、好適な混合比の2つの活性化合物を含有する一つの投与剤形に、又は、別個の投与剤形に調製される2つの活性化合物の同時若しくは別個の投与のためのキットとして調製し得る。
【0073】
一般的合成
式(I)及び式(II)
【化38】

(式中、
=-C(O)-(O-CH(CH-[O-(CH-(CH-ONO-CH-ONOであり、
y=0であり、
pは、1又は0であり、
qは、1又は0であり、
mは、1~10の整数であり、好ましくは、mは、1~6であり、
nは、1~6の整数であり、好ましくは、nは、1又は2であり、
はn-プロピルであり、Rはエチルであるか、又はRはエチルであり、Rはメチルである)
の化合物は、式A1、A2又はA3
【化39】

の化合物を、式B1:
HO-C(O)-(CH-[O-(CH-(CH-ONO-CH-ONO
B1
(式中、p、q、m及びnは、先に定義された通りである)
の化合物と反応させることにより調製することができ;
反応は、-0℃~80℃までの温度範囲で、可変量のDMAPの存在下、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスファート(HBTU)又は1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム-3-オキシド ヘキサフルオロホスファート(HATU)などのカップリング剤の存在下に、THF、DMF又はCHClなどの、非プロトン性の極性/非極性溶媒中で行なう。
【0074】
あるいは、式(I)の化合物は、式A1、式A2又は式A3の化合物を、式(B2):
X-C(O)-(CH-[O-(CH-(CH-ONO-CH-ONO
B2
(式中、p、q、m及びnは、先に定義された通りであり、Xは、-Cl、p-ニトロフェノキシ、ペンタフルオロフェノキシ又は2,5-ピロリジンジオン、1-オキシである)
の化合物と反応させることにより調製することができ;
X=-Clの場合、反応は、-20℃~60℃の温度範囲で、THF、DMF又はCHClなどの非プロトン性/非極性溶媒中、DMAP、ピリジン若しくはトリエチルアミン又はKCO、CsCOなどの塩基の存在下で行う。
【0075】
Xが、p-ニトロフェノキシ、ペンタフルオロフェノキシ又は2,5-ピロリジンジオン、1-オキシから選択される場合、反応は、0℃~80℃の範囲の温度で、スカンジウムトリフラートなどの触媒を使用して、又は使用せずに、DMAPの存在下、THF、DMF又はCHClなどの、非プロトン性の極性/非極性溶媒中で行う。
【0076】
化合物A1は、文献ではミロデナフィルとして知られている。化合物A1及びA2は、米国特許第6,962,911号に開示されている。
化合物A3は、文献ではアバナフィルとして知られており、その合成は米国特許第6,656,935号に開示されている。
【0077】
式B2の化合物は、一般的に、文献で知られている方法を用いて化合物B1から調製する。
【0078】
化合物B1は、当技術分野で知られているか、又は既知の化合物から既知の方法によって調製することができる:例えば、化合物B1は、式B3:
HO-CH-(CH-[O-(CH-(CH-ONO-CH
ONO
B3
(式中、m、n、p及びqは、上記で定義された通りである)
の対応するアルコールから、2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルオキシル(TEMPO)又はルテニウム(IV)酸化物/過ヨウ素酸ナトリウムなどの公知の試薬を用いた酸化により調製することができる。
【0079】
化合物(B1)の合成の例は、国際公開公報第2009/098113号又は国際公開公報第2016/155906号に記載されている。
【0080】
式(I)及び式(II):
【化40】

(式中、
=-C(O)-(O-CH(CH-[O-(CH-(CH-ONO-CH-ONOであり、
y=1であり、
pは、1又は0であり、
qは、1又は0であり、
mは、1~10の整数であり、好ましくは、mは、1~6であり、
nは、1~6の整数であり;好ましくは、nは、1又は2であり、
はn-プロピルであり、Rはエチルであるか、又はRはエチルであり、Rはメチルである)
の化合物は、一般的に、式A4、A5又はA6
【化41】

の化合物を、1当量以上の式B3
HO-CH(CH-[O-(CH-(CH-ONO-CH
ONO
B3
(式中、p、q、及びnは先に定義されたとおりである)
の化合物と、文献で周知の方法に従って、-20℃~100℃の範囲の温度で、THF、DMF、CHClなどの、非プロトン性の極性/非極性溶媒中、Sc(OTf)などの触媒を使用して、又は使用せずに、DMAP、TEA、DIPEAなどの有機又は無機塩基の存在下で反応させることにより、調製することができる。
【0081】
式A4、A5及びA6の化合物は、当該技術分野で公知の方法により、それぞれ化合物A1、A2及びA3から調製する。
【0082】
あるいは、化合物(I)及び(II)は、化合物A1、A2又はA3を、式B4
pNO-C-C(O)-O-CH-(CH-[O-(CH
(CH-ONO-CH-ONO
B4
(式中、p、q、及びnは先に定義されたとおりである)
の化合物と、文献で周知の方法に従って、-20℃~100℃の範囲の温度で、THF、DMF、CHClなどの、非プロトン性の極性/非極性溶媒中、Sc(OTf)などの触媒を使用して、又は使用せずに、DMAP、TEA、DIPEAなどの有機又は無機塩基の存在下で反応させることにより、調製することができる。
【0083】
式B4の化合物は、当該技術分野で公知の方法により、化合物B3から容易に調製することができる。
【0084】
式(Ib)
【化42】

(式中、
=-C(O)-(O-CH(CH-[O-(CH-(CH-
ONO-CH-ONOであり、
y=0であり、
pは、1又は0であり、
qは、1又は0であり、
mは、1~10の整数であり、
nは、1から6の整数であり、
はn-プロピルであり、Rはエチルであるか、又はRはエチルであり、Rはメチルである)
の化合物は、式A1b、A2b
【化43】

の化合物を、式B1
HO-C(O)-(CH-[O-(CH-(CH-ONO-CH-ONO
B1
(式中、p、q、m及びnは先に定義された通りである)
の化合物と反応させることにより調製することができ;
反応は、-0℃~80℃の範囲の温度で、可変量のDMAPの存在下、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスファート(HBTU)又は1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム-3-オキシド ヘキサフルオロホスファート(HATU)などのカップリング剤の存在下に、THF、DMF又はCHClなどの、非プロトン性の極性/非極性溶媒中で行う。
【0085】
あるいは、式(Ib)の化合物は、式A1b又は式A2bの化合物を、式B2:
X-C(O)-(CH-[O-(CH-(CH-ONO-CH
ONO
B2
(式中、p、q、m及びnは、先に定義された通りであり、Xは、-Cl、p-ニトロフェノキシ、ペンタフルオロフェノキシ又は2,5-ピロリジンジオン、1-オキシである)
の化合物と反応させることにより調製することができ;
X=-Clの場合、反応は、-20℃~60℃の範囲の温度で、THF、DMF又はCHClなどの非プロトン/非極性溶媒中、DMAP、ピリジン若しくはトリエチルアミン又はKCO、CsCOなどの塩基の存在下で行なう。
【0086】
Xがp-ニトロフェノキシ、ペンタフルオロフェノキシ又は2,5-ピロリジンジオン、1-オキシの場合、反応は、0℃から80℃の範囲の温度で、スカンジウムトリフラートなどの触媒を使用して、又は使用せずに、DMAPの存在下、THF、DMF又はCHClなどの、非プロトン性の極性/非極性溶媒中で行なう。
【0087】
化合物A1b及びA2bは、欧州特許第0 463 756号に開示されている。A2bは、ロデナフィルとして知られている。
【0088】
式B2の化合物は、文献で公知であるか、又は一般的に、文献で公知の方法を用いて化合物B1から調製する。
【0089】
化合物B1は、当該技術分野で公知であるか、又は公知の化合物から公知の方法により調製することができる:例えば、化合物B1は、式B3
HO-CH-(CH-[O-(CH-(CH-ONO-CH
ONO
B3
(式中、m、n、p及びqは、上記で定義された通りである)
の対応するアルコールから、2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルオキシル(TEMPO)又はルテニウム(IV)酸化物/過ヨウ素酸ナトリウムなどの公知の試薬を用いる酸化により調製することができる。
【0090】
化合物(B1)の合成例は、国際公開公報第2009/098113号又は国際公開公報第2016/155906号に記載されている。
【0091】
式(Ib)
【化44】

(式中、
=-C(O)-(O-CH(CH-[O-(CH-(CH-
ONO-CH-ONOであり、
y=1であり、
pは、1又は0であり、
qは、1又は0であり、
mは、1~10の整数であり、
nは、1~6の整数であり、
はn-プロピルであり、Rはエチルである(A5b)か、又はRはエチルであり、Rはメチルである(A4b))
の化合物は、式A4b又はA5b
【化45】

の化合物を、1当量以上の式B3
HO-CH-(CH-[O-(CH-(CH-ONO-CH
ONO
B3
(式中、m、p、q及びnは、先に定義したとおりである)
の化合物と、文献で周知の方法に従って、-20℃~100℃の範囲の温度で、THF、DMF、CHClなどの、非プロトン性の極性/非極性溶媒中、Sc(OTf)などの触媒を使用して、又は使用せずに、DMAP、TEA、DIPEAなどの有機又は無機塩基の存在下で反応させることにより、一般的に調製することができる。
【0092】
式A4b及びA5bの化合物は、それぞれ化合物A2b及びA1bから、当技術分野で公知の方法により調製される。
【0093】
あるいは、化合物(Ib)は、化合物A1b又はA2bを、式B4
pNO-C-C(O)-O-CH-(CH-[O-(CH
(CH-ONO-CH-ONO
B4
(式中、m、p、q及びnは、先に定義したとおりである)
の化合物と、文献で周知の方法に従って、-20℃~100℃の範囲の温度で、THF、DMF、CHClなどの非プロトン性の極性/非極性溶媒中、Sc(OTf)などの触媒を使用して、又は使用せずに、DMAP、TEA、DIPEAなどの有機又は無機塩基の存在下で反応させることにより調製することができる。
【0094】
式B4の化合物は、当該技術分野で公知の方法により、化合物B3から調製する。
【0095】
用語解説
ACN:アセトニトリル
ACO:無水酢酸
DCC:ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCM:ジクロロメタン
DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
DMAP:4-ジメチルアミノピリジン
EtOAc:酢酸エチル
EtO:エチルエーテル
EtOH:エタノール
iPrOH:イソプロパノール
NBS:N-ブロモスクシンイミド
MTBE:メチルtert-ブチルエーテル
TEA:トリエチルアミン
TEMPO:2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル
THF:テトラヒドロフラン
PhP:トリフェニルホスフィン
【0096】
実施例1
(S)-(1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イルメチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル6-(ニトロオキシ)ヘキサノアート(化合物(9))
【化46】
【0097】
アバナフィル(1.00g、2.07mmol)の乾燥DCM(15mL)溶液に、DMAP(252mg、2.07mmol)、DCC(512mg、2.48mmol)及び6-(ニトロオキシ)ヘキサン酸(440mg、2.48mmol)を加えた。
【0098】
混合物を室温で一晩撹拌し、次いでDCM及び水で希釈した。2つの相を分離し、水層をDCMで2回抽出した。合わせた有機抽出物をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィー(0.1% ギ酸を含むHO/CHCN、70:30~40:60)により精製した。
【0099】
残留物をDCMに取り込み、この溶液をNaHCOの飽和水溶液で洗浄した。次いで、水層をDCMで2回抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮して、所望の生成物(化合物(9)) 1.23g(収率:93.0%)を与えた。
【0100】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.19 (s, 1H), 8.81 (m, 1H), 8.75 (d, J = 4.9 Hz, 2H), 8.54 (m, 1H), 7.50 - 7.14 (m, 3H), 7.06 (s, 1H), 4.54 (m, 4H), 4.37 - 3.90 (m, 3H), 3.81 (s, 3H), 3.59 - 3.39 (m, 4H), 2.32 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 2.09 - 1.73 (m, 4H), 1.66 - 1.52 (m, 4H), 1.32 (dt, J = 5.2, 7.5 Hz, 2H)。
【0101】
実施例2
[(2S)-1-(4-{[(3-クロロ-4-メトキシフェニル)メチル]アミノ}-5-{[(ピリミジン-2-イル)メチル]カルバモイル}ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル]メチル(5S)-5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサノアート(化合物(10)-(5S)-異性体)
【化47】
【0102】
アバナフィル(120mg、0.248mmol)の乾燥DCM(1.5mL)溶液に、DMAP(30mg、0.248mmol)、DCC(56mg、0.273mmol)及び(5S)-5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサン酸(65mg、0.273mmol)を加えた。
【0103】
混合物を室温で一晩撹拌し、次いでDCM及び水で希釈した。2つの相を分離し、水相をDCMで2回抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィー(0.01% ギ酸を含むHO/CHCN、70:30~40:60)により精製した。
【0104】
精製後、残留物にDCM及びNaHCOの飽和溶液を加えた。2つの相を分離し、水相をDCMで2回抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮して、所望の生成物(化合物(10)-(5S)-異性体) 165mg(収率:94.5%)を与えた。
【0105】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.16 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 8.79 (m, 1H), 8.75 (d, J = 4.9 Hz, 2H), 8.54 (s, 1H), 7.38 (t, J= 4.9 Hz, 1H), 7.34 - 7.23 (m, 1H), 7.19 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.05 (t, J= 9.8 Hz, 1H), 5.41 (m, 1H), 4.91 (m, 1H), 4.71 (m, 1H), 4.54 (m, 4H), 4.16 (m, 3H), 3.98 (s, 3H), 3.50 (m, 2H), 2.38 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 1.92 (m, 4H), 1.79 - 1.51 (m, 4H)。
【0106】
実施例3
(S)-(1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イルメチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル2-(2-(ニトロオキシ)エトキシ)アセタート(化合物(11))
【化48】
【0107】
アバナフィル(160mg、0.331mmol)の乾燥DCM(1.5ml)溶液に、DMAP(40mg、0.327mmol)、DCC(82mg、0.397mmol)及び2-(2-(ニトロオキシ)エトキシ)酢酸(82mg、0.497mmol)を加えた。
【0108】
混合物を室温で週末にかけて撹拌し、次いでDCM及び水で希釈した。2つの相を分離し、水相をDCMで2回抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィー(0.01% ギ酸を含むHO/CHCN、90:10~65:35)により精製した。
【0109】
精製後、残留物にDCMとNaHCOの飽和溶液を加えた。2つの相を分離し、水相をDCMで2回抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮して、所望の生成物(化合物(11)) 109mg(収率:52%)を与えた。
【0110】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.16 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 8.79 (s, 1H), 8.75 (d, J = 4.9 Hz, 2H), 8.54 (s, 1H), 7.38 (t, J = 4.9 Hz, 1H), 7.24 (m, 1H), 7.06 (s, 1H), 4.70 (m, 2H), 4.54 (m, 4H), 4.26 (dd, J = 10.5, 3.4 Hz, 1H), 4.18 (s, 2H), 3.80 (s, 3H), 3.78 (m, 2H), 3.50 (m, 2H), 2.02 - 1.79 (m, 4H)。
【0111】
実施例4
[(2S)-1-(4-{[(3-クロロ-4-メトキシフェニル)メチル]アミノ}-5-{[(ピリミジン-2-イル)メチル]カルバモイル}ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル]メチル3-[(2S)-2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパノアート(化合物(12)-(2S)-異性体)
【化49】
【0112】
アバナフィル(160mg、0.331mmol)及び4-ニトロフェニル 3-[(2S)-2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパノアート(82mg、0.497mmol)の乾燥DCM(1.5mL)溶液に、DMAP(40mg、0.327mmol)を加えた。
【0113】
混合物を室温で週末にかけて撹拌し、次いでDCM及び水で希釈した。2つの相を分離し、水相をDCMで2回抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィー(0.01% ギ酸を含むHO/CHCN、85:15~55:45)により精製した。
【0114】
精製後、残留物にDCM及びNaHCOの飽和溶液を加えた。2つの相を分離し、水相をDCMで2回抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮して、所望の生成物(化合物(12)-(2S)-異性体) 227mg(収率:95.0%)を与えた。
【0115】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.16 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 8.78 (s, 1H), 8.75 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 8.53 (s, 1H), 7.38 (t, J= 4.9 Hz, 1H), 7.34 - 7.16 (m, 1H), 7.05 (t, J = 9.4 Hz, 1H), 5.55 (q, 1H), 4.89 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 4.75 (m, 1H), 4.54 (m, 4H), 4.41 - 3.93 (m, 3H), 3.80 (s, 3H), 3.78 - 3.63 (m, 4H), 3.51 (m, 2H), 2.57 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 1.92 (m, 4H)。
【0116】
4-ニトロフェニル3-[(2S)-2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパノアートの合成
【0117】
ステップ1:(S)-4-(アリルオキシメチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソランの合成
乾燥THF(140mL)中に、NaH(60%)(3.4g、85.54mmol)を、S(+)-1,2-イソプロピリデングリセロール(5.65g、42.75mmol)及び15-クラウン-5(0.9g、4.28mmol)と共に懸濁した。
【0118】
混合物を0℃に冷却し、臭化アリル(7.2mL、85.54mmol)を滴下した。懸濁液を室温で6時間撹拌し、次いでNHCl飽和溶液(100mL)を0℃で滴下し、次に混合物をEtO(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで一度洗浄し、減圧下で慎重に濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(Biotage SP4装置、SNAP 100カラム、アイソクラティック溶出、EtO/シクロヘキサン1:9)により精製して、表記化合物((S)-4-(アリルオキシメチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン) 5.8g(収率:78.5%)を与えた。
【0119】
1H NMR (300 MHz, Chloroform-d) δ 6.00 - 5.78 (m, 1H), 5.35 - 5.13 (m, 2H), 4.35 - 4.21 (m, 1H), 4.11 - 3.98 (m, 3H), 3.73 (m, 1H), 3.57 - 3.40 (m, 2H), 1.51 - 1.32 (m, 6H)。
【0120】
ステップ2:(S)-3-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メトキシ)プロパン-1-オールの合成
【0121】
0℃で冷却した、撹拌されている(S)-4-(アリルオキシメチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン(2.0g、10.64mmol)の乾燥THF(180mL)溶液に、9BBN 0.5M(241.8mL、121mmol)を滴下した。反応物を0℃で30分、室温で一晩撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、NaOH2N(84mL)をH 30%(58mL)と共に加えた。混合物をEtO(100mL)及びNaOH 1N(100mL)で希釈した。2つの相を分離し、水層をEtO(3×120mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで一度洗浄し、NaSOで乾燥して、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(Biotage SP4装置、SNAP 100カラム、シクロヘキサン中のEtOAC、(30%~80%)、カラムボリューム(c.v.) 10)により精製して、表記化合物((S)-3-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メトキシ)プロパン-1-オール) 6.4g(収率:100%)を与えた。
【0122】
1H NMR (300 MHz, Chloroform-d) δ 4.35 - 4.20 (m, 1H), 4.11-4.01 (m, 1H), 3.85 - 3.63 (m, 5H), 3.58 - 3.46 (m, 2H), 1.97 - 1.80 (m, 2H), 1.45 (s, 3H), 1.38 (s, 3H)。
【0123】
ステップ3:(S)-3-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メトキシ)プロパン酸の合成
【0124】
0℃で冷却した(S)-3-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メトキシ)プロパン-1-オール(2.03g、10.51mmol)のアセトン(50mL)溶液に、NaHCO飽和溶液(56mL)、NaBr(0.45g、4.20mmol)及びTEMPO(0.34g、2.10mmol)を加えた。次に、トリクロロイソシアヌル酸(4.91g、21.02mmol)を少しずつ加えた。混合物を室温に到達させ、3時間撹拌した。次いで、混合物を0℃で冷却し、イソプロパノール(20mL)をゆっくりと加えた。混合物を0℃で30分間撹拌した。白色固体の形成が観察された。沈殿物を濾別し、溶媒を濃縮した。残留物にNaOH 2Nを加え(pH=12)、水溶液をEtOAcで2回洗浄した。水相にHCl 1NをpH 2~3になるまで添加し、EtOAc(5×50mL)で抽出した。合わせた有機相をNaS0で乾燥させ、次いで蒸発させて、表記化合物((S)-3-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メトキシ)プロパン酸) 0.82g(収率:38%)を与えた。
【0125】
1HNMR (300 MHz, Chloroform-d) δ 4.34 - 4.16 (m, 1H), 4.11 -3.97 (m, 1H), 3.85 - 3.68 (m, 3H), 3.63 - 3.42 (m, 2H), 2.74 - 2.55 (m, 2H), 1.41 (s, 3H), 1.35 (s, 3H)。
【0126】
ステップ4:(S)-4-ニトロフェニル 3-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メトキシ)プロパノアートの合成
【0127】
(S)-3-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メトキシ)プロパン酸(0.82g、4.02mmol)、DCC(0.83mg、4.02mmol)及びDMAP(0.1g、0.80mmol)のDCM(15mL)溶液に、4-ニトロフェノール(0.56g、4.02mmol)を少しずつ加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、沈殿物を濾別し、溶媒を蒸発させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(Biotage SP4装置、シクロへキサン中EtOAc 5%~50%、カラムボリューム(CV) 12)により精製して、表記化合物((S)-4-ニトロフェニル 3-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メトキシ)プロパノアート) 0.97g(収率:74%)を与えた。
【0128】
1H NMR (300 MHz, Chloroform-d) δ 8.33 - 8.21 (m, 2H), 7.37 - 7.20 (m, 2H), 4.37 - 4.20 (m, 1H), 4.09 - 4.00 (m, 1H), 3.96 - 3.84 (m, 2H), 3.80 - 3.66 (m, 1H), 3.63 - 3.47 (m, 2H), 2.96 - 2.78 (m, 2H), 1.42 (s, 3H), 1.36 (s, 3H)。
【0129】
ステップ5:(R)-4-ニトロフェニル3-(2,3-ジヒドロキシプロポキシ)プロパノアートの合成
【0130】
撹拌されている(S)-4-ニトロフェニル3-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メトキシ)プロパノアート(0.97g、2.97mmol)のTHF(10mL)溶液に、HCl 3N(2mL)を加え、溶液を室温で4時間撹拌した。次に、EtOAc(5mL)及びHO(5mL)を加え、2つの相を分離した。水相をEtOAc(2×5mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、表記化合物((R)-4-ニトロフェニル 3-(2,3-ジヒドロキシプロポキシ)プロパノアート) 0.89gを与え、これをさらに精製することなく次のステップで使用した。
【0131】
ステップ6:4-ニトロフェニル 3-[(2S)-2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパノアートの合成
【0132】
AcO(0.76mL、8.07mmol)のDCM(5mL)溶液に、-40℃で、発煙硝酸(0.38mL、9.32mmol)を少しずつ加えた。次に、(R)-4-ニトロフェニル 3-(2,3-ジヒドロキシプロポキシ)プロパノアート(0.89g、3.11mmol)のDCM(7mL)溶液を滴下した。混合物を0℃に到達させ、4時間撹拌した。次いで、混合物を氷に注ぎ、NaHCOを少しずつ加えた。2つの相を分離し、水相をDCMで2回洗浄した。合わせた有機相をNaS0で乾燥し、濃縮して、表記化合物(4-ニトロフェニル3-[(2S)-2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパノアート) 0.56g(二つのステップの収率:38%)を与えた。
【0133】
1H NMR (300 MHz, Chloroform-d) δ 8.35 - 8.22 (m, 2H), 7.35 - 7.22 (m, 2H), 5.48 - 5.34 (m, 1H), 4.88 - 4.73 (m, 1H), 4.73 - 4.56 (m, 1H), 3.94 - 3.85 (m, 2H), 3.85 - 3.77 (m, 2H), 2.88 (t, 2H)。
【0134】
3-[(2S)-2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパン酸(化合物(IIIg)-OH)の合成
【0135】
EtOH/THFの1/1(体積/体積)の混合物5mL中の、4-ニトロフェニル 3-[(2S)-2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパノアート(ステップ6) (500mg、1.33mmol)の溶液を、0℃に冷却した。次いで、2N NaOH溶液1.33mL(2.66mmol)を、攪拌されているその溶液に少しずつ、45分かけて加えた。
【0136】
混合物を撹拌下に1時間放置した。次いで、有機溶媒を真空下で除去し、EtOAc(25mL)及び水(25mL)を加えた。有機相を除去し、2N HClを使用して水相のpHを1にした。水相をDCM(2×15mL)で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で蒸発させた。
【0137】
得られたままの生成物を、30分で5/95から30/70になる勾配の(ACN)/(HO+0.1% HCOOH)を用いて、4g 25μ C18カートリッジ上で精製した。
【0138】
清浄な生成物を含む画分を貯蔵し、凍結乾燥して、表記化合物(3-[(2S)-2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパン酸) 210mg(収率:61%)を澄明な油状物として与えた。
【0139】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 2.43 - 2.48 (m, 2 H) 3.61 - 3.78 (m, 4 H) 4.76 (dd, J=12.89, 6.54 Hz, 1 H) 4.92 (dd, J=12.89, 2.93 Hz, 1 H) 5.54 - 5.59 (m, 1 H) 12.23 (br s, 1 H)。
【0140】
実施例5
(S)-(1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イルメチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル6-(ニトロオキシ)ヘキサノアート 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシラート(化合物(9)のクエン酸塩)
【化50】
【0141】
実施例1に記載したように調製した化合物(9)(100mg、0.155mmol)のメタノール(1.5mL)溶液に、クエン酸一水和物(33mg、0.155mmol)を加えた。混合物を室温で10分間撹拌し、次いで濃縮して、固体をMTBEで洗浄した。固体を濾過し、減圧下で乾燥させて、所望の生成物(化合物(9)のクエン酸塩) 125mg(粗収率:96.6%)を与えた。
【0142】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 12.39 - 12.36 (m, 3H), 9.19 (s, 1H), 8.80 (m, 1H), 8.75 (d, J = 4.9 Hz, 2H), 8.53 (m, 1H), ), 7.42 - 7.15 (m, 3H), 7.06 (m, 1H), 4.65 - 4.38 (m, 6H), 4.37- 4.11 (m, 3H), 3.80 (s, 3H) 3.59 - 3.39 (m, 2H), 2.75 (d, J = 15.4 Hz, 2H), 2.65 (d, J = 15.4 Hz, 2H), 2.32 (m, 2H), 2.05 - 1.80 (m, 4H), 1.47 - 1.08 (m, 4H), 1.32 (q, 2H)。
【0143】
実施例6
((S)-1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イルメチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル(5S)-5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサノアート 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシラート(化合物(10)-(5S)異性体、クエン酸塩)
【化51】
【0144】
実施例2に記載したように調製した化合物(10)-(5S)-異性体(165mg、0.234mmol)のメタノール(1.5mL)溶液に、クエン酸一水和物(49mg、0.233mmol)を添加した。混合物を室温で10分間撹拌し、次いで濃縮して、残留物をジエチルエーテルで洗浄した。固体を濾過し、減圧下で乾燥させて、所望の生成物(化合物(10)-(5S)異性体-クエン酸塩) 205mg(粗収率:97.8%)を与えた。
【0145】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 12.37 (s, 3H), 9.18 (s, 1H), 8.85-8.70 (m, 3H), 8.53 (m, 1H), 7.42-7.36 (m, 2H), 7.34 - 7.15 (m, 1H), 7.10-7.01 (m, 1H), 5.41 (m, 1H), 4.91 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 4.70 (m, 1H), 4.63 - 4.42 (m, 4H), 4.38-3.92 (m,3H), 3.81 (s, 3H), 3.51 (m, 2H), 2.75 (d, J = 15.4 Hz, 2H), 2.66 (d, J = 15.4 Hz, 2H), 2.38 (m, 2H), 1.92 (m, 4H), 1.79-1.58 (m, 4H)。
【0146】
実施例7
(S)-(1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イルメチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル2-(2-(ニトロオキシ)エトキシ)アセタート 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシラート(化合物(11)のクエン酸塩)
【化52】
【0147】
実施例3に記載したように調製した化合物11(109mg、0.173mmol)のメタノール(1.0mL)溶液に、クエン酸一水和物(36mg、0.171mmol)を加えた。混合物を室温で10分間撹拌し、次いで濃縮して、残留物をジエチルエーテルで洗浄した。固体を濾過し、減圧下で乾燥させて、所望の生成物(化合物(11)クエン酸塩) 139mg(粗収率:97.6%)を与えた。
【0148】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 12.36 (s, 3H), 9.18 (s, 1H), 8.85-8.72 (m, 3H), 8.53 (m, 1H), 7.41-7.35 (m, 2H), 7.34 - 7.15 (m, 1H), 7.06 (m, 1H), 4.70 - 4.64 (m, 2H), 4.62 - 4.46 (m, 4H), 4.40 - 3.99 (m, 5H), 3.80 (s, 3H), 3.78 (m, 2H), 3.58 - 3.43 (m, 2H), 2.75 (d, J = 15.4 Hz, 2H), 2.66 (d, J = 15.4 Hz, 2H), 1.93 (m, 4H)。
【0149】
実施例8
((S)-1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イルメチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル3-((S)-2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ)プロパノアート 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシラート(化合物(12)-(2S)-異性体、クエン酸塩)
【化53】
【0150】
実施例4に記載したように調製した化合物12、(2S)-異性体、(227mg、0.315mmol)のメタノール(2mL)溶液に、クエン酸一水和物(66mg、0.315mmol)を加えた。混合物を室温で10分間撹拌し、次いで濃縮して、残留物をジエチルエーテルで洗浄した。固体を濾過し、減圧下で乾燥させて、所望の生成物(化合物(12)-(2S)異性体、クエン酸塩) 280mg(粗収率:97.4%)を与えた。
【0151】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 12.35 (s, 3H), 9.18 (s, 1H), 8.77 (m, 2H), 8.55 (m, 1H), 7.46-7.33 (m, 1H), 7.34 - 7.17 (m, 1H), 7.06 (dd, J = 16.6, 8.3 Hz, 1H), 5.55 (s, 1H), 4.81 (m, 4H), 4.63 - 4.42 (m, 4H), 4.38 - 3.96 (m, 3H), 3.81 (s, 3H), 3.71 (m, 2H), 3.57 - 3.42 (m, 2H), 2.75 (d, J= 15.4 Hz, 2H), 2.65 (d, J = 15.4 Hz, 2H), 2.57 (t, J = 5.9 Hz, 2H), 1.92 (m, 4H)。
【0152】
実施例9
(S)-2-(4-(3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニルスルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル 3-[2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパノアート クエン酸塩(化合物(1)-(2S)-異性体、クエン酸塩)
【化54】
【0153】
ミロデナフィル(500mg、0.940mmol)及び4-ニトロフェニル3-[(2S)-2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパノアート(実施例4を参照のこと)(423mg、1.128mmol)の乾燥DCM(5mL)溶液に、DMAP(115mg、0.940mmol)を加えた。
【0154】
混合物を室温で48時間撹拌し、次いでDCM及び水で希釈した。2つの相を分離し、水相をDCMで2回抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィー(0.01% ギ酸を含むHO/CHCN、70:30~20:80)により精製した。
【0155】
精製後、残留物にDCM及びNaHCOの飽和溶液を加えた。2つの相を分離し、水相をDCMで2回抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮して、(S)-2-(4-(3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニルスルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル3-(3-ニトロ-2-(ニトロオキシ)プロポキシ)プロパノアート 540mg(化合物(1)、収率:75.0%)を与えた。
【0156】
化合物(1)(295mg、0.384mmol)をメタノール(1.5mL)に再溶解し、クエン酸一水和物(81mg、0.384mmol)を加えた。混合物を室温で10分間撹拌し、次いで濃縮して、固体をジエチルエーテルで洗浄した。固体を濾過し、減圧下で乾燥させて、表記化合物(化合物(1)-(2S)-異性体、クエン酸塩) 361mg(粗収率:98%)を与えた。
【0157】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 2.30 (bs, 1H), 7.89 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.80 (dd, J = 8.8, 2.5 Hz, 1H), 7.38 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.31 (s, 1H), 5.53 m, J = 10.3, 6.7, 3.9 Hz, 1H), 4.88 (dd, J = 12.8, 3.0 Hz, 1H), 4.72 (dd, J = 12.9, 6.5 Hz, 1H), 4.37 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 4.10 (dt, J = 11.4, 6.0 Hz, 4H), 3.77 - 3.58 (m, 4H), 2.90 (s, 4H), 2.75 (d, J = 15.4 Hz, 2H), 2.65 (d, J = 15.4 Hz, 2H), 2.61 - 2.52 (m, 10H), 1.80 - 1.58 (m, 4H), 1.36 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 0.97 (t, 3H), 0.94 (t, 3H)。
【0158】
実施例10
2-(4-(3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニルスルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル6-(ニトロオキシ)ヘキサノアートクエン酸塩(化合物(4)のクエン酸塩)
【化55】
【0159】
ミロデナフィル(500mg、0.940mmol)の乾燥DCM(5mL)溶液に、DMAP(115mg、0.940mmol)、DCC(233mg、1.128mmol)及び6-(ニトロオキシ)ヘキサン酸(200mg、1.128mmol)を加えた。
【0160】
混合物を室温で一晩撹拌し、DCM及び水で希釈した。2つの相を分離し、水層をDCMで2回抽出した。合わせた有機抽出物をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィー(0.1% ギ酸を含むHO/CHCN、70:30~20:80)により精製した。
【0161】
精製後、残留物にDCM及びNaHCOの飽和溶液を加えた。2つの相を分離し、水相をDCMで2回抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮して、2-(4-(3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニルスルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル6-(ニトロオキシ)ヘキサノアート 450mg(化合物(4)、収率:69.0%)を与えた。
【0162】
化合物(4)(200mg、0.290mmol)のメタノール(1.5mL)溶液に、クエン酸一水和物(61mg、0.290mmol)を加えた。混合物を室温で10分間撹拌し、次いで濃縮して、固体をジエチルエーテルで洗浄した。固体を濾過し、減圧下で乾燥させて、表記化合物(化合物(4)のクエン酸塩) 253mg(収率:98.8%)を与えた。
【0163】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.67 (s, 1H), 7.90 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.80 (dd, J = 8.8, 2.5 Hz, 1H), 7.38 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.31 (s, 1H), 4.47 - 4.32 (m, 4H), 4.09 (dt, J = 11.3, 6.0 Hz, 4H), 2.90 (s, 4H), 2.75 (d, J = 15.4 Hz, 2H), 2.65 (d, J = 15.4 Hz, 2H), 2.55 (ddd, J = 11.8, 8.4, 4.7 Hz, 8H), 2.26 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 1.81 - 1.69 (m, 2H), 1.69 - 1.55 (m, 4H), 1.50 (m, 2H), 1.39 - 1.33 (m, 3H), 1.29 (q, 2H), 0.94 (m, 6H)。
【0164】
実施例11
2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボン酸2-{4-[3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシベンゼン-1-スルホニル]ピペラジン-1-イル}エチル[2-(ニトロオキシ)エトキシ]アセタート(化合物(2)のクエン酸塩)
【化56】
【0165】
ミロデナフィル(500mg、0.940mmol)の乾燥DCM(5mL)溶液に、DMAP(115mg、0.940mmol)、DCC(233mg、1.128mmol)及び[2-(ニトロオキシ)エトキシ]酢酸(186mg、1.128mmol)を加えた。
【0166】
混合物を室温で48時間撹拌し、次いでDCM及び水で希釈した。2つの相を分離し、水相をDCMで2回抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィー(0.1% ギ酸を含むHO/CHCN、70:30~40:60)により精製した。
【0167】
精製後、残留物にDCM及びNaHCOの飽和溶液を加えた。2つの相を分離し、水相をDCMで2回抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮して、2-{4-[3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシベンゼン-1-スルホニル]ピペラジン-1-イル}エチル[2-(ニトロオキシ)エトキシ]アセタート 338mg(化合物(2)、収率:53.0%)を与えた。
【0168】
化合物(2)(172mg、0.253mmol)のメタノール(1.5mL)溶液に、クエン酸一水和物(53mg、0.276mmol)を加えた。混合物を室温で10分間撹拌し、次いで濃縮し、固体をジエチルエーテルで洗浄した。固体を濾過し、減圧下で乾燥させて、表記化合物(化合物(2)クエン酸塩) 220mg(粗収率:99.8%)を与えた。
【0169】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.68 (s, 1H), 7.90 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 7.80 (m, 1H), 7.38 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.31 (s, 1H), 4.67 - 4.59 (m, 2H), 4.45 - 4.27 (m, 2H), 4.20 - 4.04 (m, 6H), 3.78 - 3.71 (q, 2H), 2.90 (s, 4H), 2.75 (t, J = 15.4 Hz, 2H), 2.65 (t, J = 15.4 Hz, 2H), 2.61 - 2.52 (m, 8H), 1.81 - 1.55 (m, 4H), 1.36 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 0.94 (t, 6H)。
【0170】
実施例12
(S)-2-(4-(3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニルスルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサノアートクエン酸塩(化合物(3)-(5S)異性体、クエン酸塩)
【化57】
【0171】
ミロデナフィル(500mg、0.940mmol)の乾燥DCM(5mL)溶液に、DMAP(115mg、0.940mmol)、DCC(233mg、1.128mmol)及び(5S)-5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサン酸(270mg、1.128mmol)を加えた。
【0172】
混合物を室温で一晩撹拌し、次いでDCM及び水で希釈した。2つの相を分離し、水相をDCMで2回抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィー(0.1% ギ酸を含むHO/CHCN、70:30~40:60)により精製した。
【0173】
精製後、残留物にDCM及びNaHCOの飽和溶液を加えた。2つの相を分離し、水相をDCMで2回抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮して、(S)-2-(4-(3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニルスルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサノアート 550mg(化合物(3)、収率:77.8%)を与えた。
【0174】
化合物(3)(207mg、0.275mmol)のメタノール(1.5mL)溶液に、クエン酸一水和物(58mg、0.302mmol)を加えた。混合物を室温で10分間撹拌し、次いで濃縮して、固体をジエチルエーテルで洗浄した。固体を濾過し、減圧下で乾燥させて、表記化合物(化合物(3)-(5S)異性体、クエン酸塩) 254mg(収率:97.8%)を与えた。
【0175】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.67 (s, 1H), 7.89 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.80 (dd, J = 8.8, 2.5 Hz, 1H), 7.38 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.31 (s, 1H), 5.38 (m, J = 13.1, 5.9, 2.6 Hz, 1H), 4.89 (dd, J = 12.9, 2.6 Hz, 2H), 4.70 (m, , 2H), 4.37 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 4.09 (dt, J = 11.3, 6.0 Hz, 4H), 2.90 (s, 4H), 2.75 (t, 2H), 2.65 (d, J = 15.4 Hz, 2H), 2.61 - 2.52 (m, 8H), 2.32 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 1.82 - 1.55 (m, 8H), 1.36 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 0.94 (t, 6H)。
【0176】
実施例13
2-(4-(3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニルスルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル 6-(ニトロオキシ)ヘキシル カルボナート(化合物(5))
【化58】
【0177】
ステップ1:2-(4-((3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニル)スルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル (4-ニトロフェニル) カルボナート
【0178】
ミロデナフィル(290mg、0.545mmol)の乾燥DCM(5mL)溶液に、ニトロフェニルクロロホルマート(121mg、0.600mmol)及びDMAP(74mg、0.600mmol)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、次いでDCM及び水で希釈した。2つの相を分離し、水相をDCMで2回抽出した。合わせた有機相をMgSO上乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン:EtOAc:MeOH 5:5:0.1)により精製した。次いで画分を収収し、減圧下で乾燥させて、表記化合物(2-(4-((3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニル)スルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル (4-ニトロフェニル) カルボナート) 310mg(収率:81.7%)を無色の油状物として与えた。
【0179】
ステップ2:2-(4-(3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニルスルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル 6-(ニトロオキシ)ヘキシル カルボナート
【0180】
2-(4-((3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニル)スルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル (4-ニトロフェニル) カルボナート(150mg、0.21mmol)の乾燥DCM(1mL)溶液に、DMAP(30mg、0.24mmol)及び硝酸6-ヒドロキシヘキシル(39mg、0.24mmol)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、次いでDCM及び水で希釈した。2つの相を分離し、水相をDCMで2回抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィー(0.1% ギ酸を含むHO/CHCN、90:10~20:80)により精製した。精製後の残留物にジクロロメタン及びNaHCOの飽和溶液を加えた。2つの相を分離し、水相をDCMで2回抽出した。次いで画分を収集し、減圧下で乾燥させて、表記化合物(化合物(5)) 150mg(収率:97%)を粘着性の油状物として与えた。
【0181】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 11.65 (s, 1H), 7.89 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.80 (dd, J = 8.8, 2.4 Hz, 1H), 7.38 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.31 (s, 1H), 4.47 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 4.37 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 4.13 (t, J = 5.9 Hz, 2H), 4.00 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 2.88 (t, 2H), 2.60 - 2.51 (m, 8H), 1.79 - 1.70 (m, 2H), 1.68 - 1.57 (m, 4H), 1.56 - 1.48 (m, 2H), 1.36 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.33 - 1.22 (m, 4H), 0.97 (t, J = 7.4 Hz, 3H), 0.92 (t, J = 7.3 Hz, 3H)。
【0182】
実施例14
(S)-5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキシル 2-(4-(3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニルスルホニル)ピペラジン-1-イル) カルボナート(化合物(6))
【化59】
【0183】
実施例13、ステップ1に記載したように調製した2-(4-((3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニル)スルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル (4-ニトロフェニル) カルボナートの乾燥DCM(2mL)溶液に、DMAP(39mg、0.32mmol)及び6-ヒドロキシヘキサン-1,2-ジイルジニトラート(72mg、0.32mmol)を加えた。
【0184】
混合物を室温で一晩撹拌し、次いでDCM及び水で希釈した。2つの相を分離し、水相をDCMで2回抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィー(0.1% ギ酸を含むHO/CHCN、85:15~20:80)により精製した。精製後の残留物にジクロロメタン及びNaHCOの飽和溶液を加えた。2つの相を分離し、水相をDCMで2回抽出した。次いで、画分を収集し、減圧下で乾燥させて、所望の生成物(化合物(6)) 150mg(収率:73.5%)を粘着性の油状物として与えた。
【0185】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.66 (s, 1H), 7.88 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.80 (dd, J = 8.8, 2.5 Hz, 1H), 7.38 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.31 (s, 1H), 5.38 (dt, J = 6.2, 4.3 Hz, 1H), 4.90 (dd, J = 12.9, 2.6 Hz, 1H), 4.67 (dd, J = 12.9, 6.1 Hz, 1H), 4.37 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 4.20 - 3.96 (m, 6H), 2.75 (m, 6H), 2.62 - 2.51 (m, 8H), 1.82 - 1.52 (m, 8H), 1.46 - 1.29 (m, 3H), 0.94 (t, J = 7.4 Hz, 6H)。
【0186】
実施例15
(S)-(1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イルメチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル 6-(ニトロオキシ)ヘキシル カルボナート(化合物(13))
【化60】
【0187】
ステップ1:(S)-(1-(4-((3-クロロ-4-メトキシベンジル)アミノ)-5-((ピリミジン-2-イルメチル)カルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル (4-ニトロフェニル) カルボナート
【0188】
アバナフィル(500mg、1.033mmol)の乾燥DCM(10mL)溶液に、4-ニトロフェニルクロロホルマート(416mg、2.066mmol)及びピリジン(184μL、2.346mmol)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌し、次いでDCM及び水で希釈した。2つの相を分離し、水層をDCMで2回抽出して、所望の生成物((S)-(1-(4-((3-クロロ-4-メトキシベンジル)アミノ)-5-((ピリミジン-2-イルメチル)カルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル (4-ニトロフェニル) カルボナート) 1.02gを与えた。
【0189】
ステップ2:(S)-(1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イルメチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル 6-(ニトロオキシ)ヘキシル カルボナート
【0190】
(S)-(1-(4-((3-クロロ-4-メトキシベンジル)アミノ)-5-((ピリミジン-2-イルメチル)カルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル (4-ニトロフェニル) カルボナート(1.02g、1.57mmol)の乾燥DCM(20mL)溶液に、DMAP(211mg、1.73mmol)及び硝酸6-ヒドロキシヘキシル(282mg、1.73mmol)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、次いでDCM及び水で希釈した。2つの相を分離し、水相をDCMで2回抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(DCM/iPrOH 100:0~90:10)により精製した。次いで、画分を収集し、減圧下で乾燥させて、表記化合物(化合物(13)) 405mg(収率:38%)を粘着性の油状物として与えた。
【0191】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 9.17 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 8.79 (m, 1H), 8.75 (d, J = 4.9 Hz, 2H), 8.55 (m, 1H), 7.45 - 7.15 (m, 3H), 7.04 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 4.61 - 4.43 (m, 6H), 4.29 (m, 3H), 4.05 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.81 (s, 3H), 3.56 - 3.42 (m, 2H), 2.05 - 1.80 (m, 4H), 1.60 (m, 4H), 1.32 (t, 4H)。
【0192】
実施例16
(S)-2-(4-(3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニルスルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル3-(2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ)プロパノアート二塩酸塩(化合物(1)-(2S))
【化61】
【0193】
実施例9で得られた化合物(1)(72mg、0.094mmol)のメタノール(1.0mL)溶液に、HClの3Mメタノール溶液(63μL、0.188mmol)を加えた。混合物を室温で10分間撹拌し、次いで濃縮し、固体をEtOで洗浄した。固体を濾過し、減圧下で乾燥させて、表記化合物(化合物(1)-(2S)二塩酸塩) 68mg(収率:86%)を与えた。
【0194】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 11.73 (s, 1H), 11.05 (s, 1H), 8.07 - 7.76 (m, 2H), 7.42 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.32 (s, 1H), 5.59 - 5.52 (m, 1H), 4.90 (dd, J = 12.8, 2.8 Hz, 1H), 4.75 (dd, J = 12.8, 6.5 Hz, 1H), 4.38 (q, J = 7.1 Hz, 3H), 4.14 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 3.77-3.66 (m, 6H), 2.60-2.49 (m, 14H), 1.80 - 1.72 (m, 2H), 1.69 - 1.60 (m, 2H), 1.36 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 0.97 (t, J = 7.4 Hz, 3H), 0.93 (t, J = 7.3 Hz, 3H)。
【0195】
実施例17
((S)-1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イルメチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル (S)-5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキシル カルボナート(化合物(14)-(5S)異性体)
【化62】
【0196】
(s)-(1-(4-((3-クロロ-4-メトキシベンジル)アミノ)-5-((ピリミジン-2-イルメチル)カルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル (4-ニトロフェニル) カルボナート(実施例15、ステップ1に記載されているように調製)(758mg、1.167mmol)の乾燥DCM(10mL)溶液に、DMAP(157mg、1.284mmol)及び(2S)-6-ヒドロキシヘキサン-1,2-ジイルジニトラート(288mg、1.284mmol)を加えた。
【0197】
混合物を室温で一晩撹拌し、次いでDCM及び水で希釈した。2つの相を分離し、水層をDCMで2回抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(DCM/iPrOH、100:0~90:10)、次いで逆相クロマトグラフィー(HO/CHCN、100:0~0:100)により精製して、所望の生成物(化合物(14)-(5S)異性体) 334mg(収率:39%)を粘着性の固体として与えた。
【0198】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 9.17 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 8.79 (m, 1H), 8.75 (d, J = 4.9 Hz, 2H), 8.55 (s, 1H), 7.44 - 7.16 (m, 3H), 7.04 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 5.41 (m, 1H), 4.92 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 4.69 (dd, J = 12.7, 6.0 Hz, 1H), 4.64 - 4.42 (m, 4H), 4.39 - 4.14 (m, 3H), 4.06 (m, 2H), 3.81 (m, 3H), 3.49 (m, 2H), 1.92 (m, 4H), 1.66 (m, 4H), 1.42 (m, 2H)。
【0199】
実施例18
(S)-(1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イルメチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル 6-(ニトロオキシ)ヘキシル カルボナート 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシラート(化合物(13)クエン酸塩)
【化63】
【0200】
(S)-(1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イルメチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル 6-(ニトロオキシ)ヘキシル カルボナート(実施例15に記載したように調製した化合物(13))(218mg、0.324mmol)のメタノール(1.0mL)溶液に、クエン酸一水和物(68mg、0.324mmol)を加えた。混合物を室温で10分間撹拌し、次いで濃縮して、固体をMTBEで洗浄した。固体を濾過し、減圧下で乾燥して、所望の生成物(化合物(13)のクエン酸塩) 265mg(粗収率:94.5%)を与えた。
【0201】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.19 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 8.80 (m, 1H), 8.75 (d, J = 4.9 Hz, 2H), 8.54 (m, 1H), 7.38 (t, J = 4.9 Hz, 1H), 7.35 - 7.15 (m, 2H), 7.06 (s, 1H), 4.64 - 4.43 (m, 6H), 4.29 (m, 3H), 4.05 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 3.81 (s, 3H), 3.49 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 2.76 (d, J = 15.4 Hz, 2H), 2.65 (d, J = 15.4 Hz, 2H), 2.06 - 1.81 (m, 4H), 1.61 (m, 4H), 1.33 (m, 4H)。
【0202】
実施例19
2-{4-[4-エトキシ-3-(1-メチル-7-オキソ-3-プロピル-6,7-ジヒドロ-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)ベンゼン-1-スルホニル]ピペラジン-1-イル}エチル6-(ニトロオキシ)ヘキサノアート(化合物(8b))
【化64】
【0203】
ロデナフィル(400mg、0.793mmol)の乾燥DCM(5mL)溶液に、DMAP(97mg、0.793mmol)、DCC(196mg、0.951mmol)及び6-(ニトロオキシ)ヘキサン酸(168mg、0.951mmol)を加えた。
【0204】
混合物を室温で一晩撹拌し、次いでDCM及び水で希釈した。2つの相を分離し、水相をDCMで2回抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィー(0.01% ギ酸を含むHO/CHCN、90:10~20:80)により精製した。精製後の残留物にジクロロメタン及びNaHCOの飽和溶液を加えた。2つの相を分離し、水相をDCMで2回抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮して、所望の生成物(化合物(8b)) 150mg(収率:69.0%)を与えた。
【0205】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.17 (s, 1H), 7.81 (m, 2H), 7.36 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 4.43 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 4.19 (q, J = 6.9 Hz, 2H), 4.14 (s, 3H), 4.03 (t, J = 5.7 Hz, 2H), 2.86 (bs, 4H), 2.75 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 2.58 - 2.37 (m, 5H), 2.23 (t, J= 7.3 Hz, 2H), 1.72 (dd, J = 14.9, 7.4 Hz, 2H), 1.63 - 1.53 (m, 2H), 1.53 - 1.40 (m, 2H), 1.35 - 1.20 (m, 6H), 0.92 (t, J = 7.4 Hz, 3H)。
【0206】
実施例20
(S)-2-(4-((4-エトキシ-3-(1-メチル-7-オキソ-3-プロピル-6,7-ジヒドロ-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)スルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル(S)-5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサノアート(化合物(7b)-(5S)異性体)
【化65】
【0207】
ロデナフィル(400mg、0.793mmol)の乾燥DCM(5mL)溶液に、DMAP(97mg、0.793mmol)、DCC(196mg、0.951mmol)及び(5S)-5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサン酸(226mg、0.951mmol)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、次いでDCM及び水で希釈した。2つの相を分離し、水相をDCMで2回抽出した。合わせた有機相をMgSO上乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィー(0.01% ギ酸を含むHO/CHCN、85:15~10:90)により精製した。精製後の残留物にジクロロメタン及びNaHCO3の飽和溶液を加えた。2つの相を分離し、水相をDCMで2回抽出した。合わせた有機相をMgSO上乾燥し、減圧下で濃縮して、所望の生成物(化合物(7b)-(5S)異性体) 150mg(収率:78.0%)を与えた。
【0208】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.17 (s, 1H), δ 7.85 - 7.76 (m, 2H), 7.36 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 5.36 (m, J = 6.0, 3.4 Hz, 1H), 4.87 (dd, J = 12.9, 2.6 Hz, 1H), 4.65 (dd, J = 12.9, 5.9 Hz, 1H), 4.26 - 4.12 (m, 5H), 4.02 (t, J= 5.7 Hz, 2H), 2.87 (bs, 4H), 2.75 (t, J= 7.6 Hz, 2H), 2.59 - 2.41 (m, 3H), 2.30 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 2.08 (s, 2H), 1.78 - 1.33 (m, 7H), 1.32 (t, J = 6.9 Hz, 3H), 0.92 (t, J = 7.4 H)。
【0209】
実施例21-(比較例)-PDE5阻害薬の硝酸エステル
2-(4-(3-(5-エチル-4-オキソ-7-プロピル-4,5-ジヒドロ-3H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)-4-プロポキシフェニルスルホニル)ピペラジン-1-イル)エチルニトラート
【化66】
【0210】
ミロデナフィルの硝酸エステルを、国際公開公報第2017/085056号(実施例29)に記載されている手順に従ってミロデナフィルから調製した:ミロデナフィルの水酸基を、まず、公知の方法(PPh/NBS)を用いて対応する臭化物に変換し、次いでアセトニトリル中、硝酸銀で硝酸化した。
【0211】
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 10.71 (br s, 1 H) 7.80 (dd, J=8.65, 2.49 Hz, 1 H) 7.15 (d, J=8.80 Hz, 1 H) 5.30 (s, 1 H) 4.41 - 4.55 (m, 5 H) 4.25 (t, J=6.45 Hz, 3 H) 3.11 (br s, 5 H) 2.72 (t, J=7.48 Hz, 4 H) 2.53 - 2.69 (m, 5 H) 2.00 - 2.09 (m, 3 H) 1.74 (sxt, J=7.39 Hz, 4 H) 1.48 (t, J=7.19 Hz, 5 H) 1.20 (t, J=7.33 Hz, 5 H) 1.00 (t, J=7.33 Hz, 5 H)。
【0212】
実施例22
レーザー誘発性高眼圧症の非ヒト霊長類における眼圧(IOP)低下効果
【0213】
この研究において、式(Ia)の化合物である化合物(1)-(2S)-クエン酸塩(実施例9に開示されている)、NO-ドナーである3-[(2S)-2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパン酸((IIIg)-OH)及び参照PDE5阻害薬(ミロデナフィル)の、眼圧を低下させる際の有効性を、レーザー誘発性眼圧症の非ヒト霊長類において評価した。
【0214】
実験手順
化合物(1)-(2S)-クエン酸塩(0.48μmol/眼:1.59%重量/体積に等しい、30μL)、ミロデナフィル(0.48μmol/眼:1%重量/体積に等しい、30μL),NO-ドナー ((IIIg)-OH=3-[(2S)-2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパン酸;1.17μmol/眼:1%重量/体積に等しい、30μL)又はベヒクル(リン酸緩衝液 pH 6、クレモフォールEL 5%重量/体積、DMSO 0.3%重量/体積、塩化ベンザルコニウム 0.02%重量/体積)を、レーザー誘発性高眼圧症の非ヒト霊長類に盲検下で(in a masked fashion)投与した。対側の眼は処置しなかった。
【0215】
ニューマトノメーター(pneumatonometer)(Model 30(商標)Reichert、Depew、ニューヨーク、米国)を使用して、眼投与前(基底)の選定した時点と、眼投与後の選択した時点で、眼圧を測定した。各眼圧測定の前に、塩酸プロパラカイン 0.13%を1滴、局所的に眼に滴下した。
【0216】
結果
データをn=13の平均±SEMとして報告する。IOP変化としての有効性(E)を、以下の式:
(IOP薬物-IOP薬物の基底)-(IOPベヒクル-IOPベヒクルの基底
を使用して、基底値及びベヒクル値に対して算出した。報告した値は、最大IOP変化(Emax)及び投与後300分に検出されたIOPを低下させる効果(E300分)を指す。
【0217】
結果は、本発明の一酸化窒素放出性ホスホジエステラーゼ5型阻害薬(化合物(1)-(2S)-クエン酸塩)が、化合物(IIIg)-OH(NO-ドナー)及びミロデナフィル(参照PDE5阻害薬)の単回投与に対して、より高い最大眼圧低下効果(Emax)及びより長い持続時間を示すことを実証した。注目すべきは、NO-ドナー(IIIg-OH)は、本発明の化合物((1)-(2S)クエン酸塩)の2.4倍高用量で投与されたことである。
【0218】
【表1】
【0219】
実施例23
レーザー誘発性高眼圧症の非ヒト霊長類における眼圧(IOP)低下効果
【0220】
独立した実験において、式(II)の化合物である化合物(9)-クエン酸塩(実施例5に開示されている)、及びNO-ドナーである6-(ニトロオキシ)ヘキサン酸((IIIa)-OH)の、眼圧を低下させる際の有効性を、レーザー誘発性高眼圧症の非ヒト霊長類において評価した。
【0221】
実験手順
化合物(9)-クエン酸塩(0.79μmol/眼:2.2%重量/体積に等しい、30μL)又はNO-ドナー ((IIIa)-OH=6-(ニトロオキシ)ヘキサン酸(0.79μmol/眼:0.47%重量/体積に等しい、30μL)又はベヒクル(リン酸緩衝液 pH6、クレモフォールEL 5%重量/体積、DMSO 0.3%重量/体積、塩化ベンザルコニウム 0.02%重量/体積)を、レーザー誘発性高眼圧症の非ヒト霊長類に投与した。対側の眼は処置しなかった。
【0222】
ニューマトノメーター(Model 30(商標)Reichert、Depew、ニューヨーク、米国)を使用して、眼投与前(基底)と、投与後の選定した時点で、眼圧を測定した。各眼圧測定の前に、塩酸プロパラカイン 0.13%を1滴、局所的に眼に滴下した。
【0223】
結果
IOP変化としての有効性(E)を、以下の式:
(IOP薬物-IOP薬物の基底)-(IOPベヒクル-IOPベヒクルの基底
を使用して、基底値及びベヒクル値に対して算出した(IOP値は、投与後30分、60分、180分、300分及び480分後において採る)。
【0224】
表2に報告した結果は、本発明の一酸化窒素放出性ホスホジエステラーゼ5型阻害薬(化合物(9)-クエン酸塩)が、より高い最大眼圧低下効果を示し(60分における化合物(IIIa)-OHのEmax-5.2±1.0mmHgを、480分における化合物(9)-クエン酸塩のEmax -6.0±2.1mmHgと比較)、且つより長い持続時間を示す(化合物(IIIa)-OHのE480、-2.7±1.5mmHgを、同時点での化合物(9)-クエン酸塩のE480、-6.0±2.1mmHgと比較)ことを実証した。
【0225】
【表2】
【0226】
報告したデータは、化合物6-(ニトロオキシ)ヘキサン酸((IIIa)-OH)についてそれぞれn=8の眼で行った3回の独立した実験の平均±SEM、及び化合物(9)-クエン酸塩についてn=8の眼で行った1回の実験の平均±SEMである。
【0227】
実施例24
眼圧が正常なニュージーランドホワイト種ウサギにおける眼圧(IOP)低下効果
【0228】
この研究において、化合物3-[(2S)-2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパン酸((IIIg)-OH)(実施例4に開示されている)であるNO-ドナー及び参考PDE5阻害薬(ミロデナフィル)の、眼圧を低下させる際の有効性を、眼圧が正常なニュージーランドホワイト種ウサギにおいて評価した。
【0229】
実験手順
雄のニュージーランドホワイト種(NZW)ウサギに、ベヒクル(リン酸緩衝液 pH6.0、クレモフォール EL 5%重量/体積、DMSO 0.3%重量/体積、塩化ベンザルコニウム 0.02%重量/体積)(50μL)、0.5μmol/眼(0.63%重量/体積に等しい)のミロデナフィル(50μL容量)、0.5μmol/眼(0.26%重量/体積に等しい)の化合物(IIIg-OH)(50μL容量、単独で、又は0.5μmol/眼のミロデナフィル(50μL容量)と併用して)を、局所的に投与した。
【0230】
ニューマトノメーター(Model 30(商標)Reichert、Depew、ニューヨーク、米国)を使用して、眼投与前(基底)と投与後の選定した時点で、眼圧を測定した。それぞれの眼圧の測定の前に、NOVESINA 0.4%(Thea Pharmaから購入した)を1滴、局所的に眼に滴下した。
【0231】
結果
データは、n=6~9の平均±SEMとして表す。眼圧(IOP)変化としての有効性(E)を、以下の式:
(IOP薬物-IOP薬物の基底)-(IOPベヒクル-IOPベヒクルの基底
を使用して、基底値及びベヒクル値に対して算出した。
【0232】
IOP値は、最大効果時と投与後300分後において採る。
【0233】
表3に報告した結果は、ミロデナフィル(参考PDE5阻害薬)と化合物(3-[(2S)-2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパン酸((IIIg)-OH))を併用した滴下投与は、それぞれの化合物の単独投与と比較して眼圧を低下させる効果の如何なる改善も示さず、実際に、ミロデナフィルの有効性(Emax)は、ミロデナフィルと化合物(IIIg)-OHを併用した滴下投与の有効性と同等であることを実証した。
【0234】
【表3】
【0235】
実施例25
眼圧が正常なニュージーランドホワイト種ウサギにおける眼圧(IOP)低下効果
【0236】
この研究において、本発明の化合物(1)-(2S)-クエン酸塩(実施例9に開示されている)、即ち、ミロデナフィルのNO放出性誘導体、及びニトロオキシ基(ONO)がミロデナフィル分子の水酸基に直接結合しているミロデナフィル硝酸エステル(比較例21に開示されているPDE5-硝酸エステル)の、眼圧を低下させる際の有効性を、眼圧が正常なニュージーランドホワイト種ウサギにおいて評価した。
【0237】
実験手順
雄のニュージーランドホワイト種(NZW)ウサギに、ベヒクル(リン酸緩衝液 pH6.0、クレモフォール EL 5%重量/体積、DMSO 0.3%重量/体積、塩化ベンザルコニウム 0.02%重量/体積)(50μL)、0.5μmol/眼(1%重量/体積に等しい)の(1)-(2S)-クエン酸塩(50μL容量)、0.5μmol/眼(0.6%重量/体積に等しい)のPDE5硝酸エステル(50μL容量)を局所的に投与した。
【0238】
ニューマトノメーター(Model 30(商標)Reichert、Depew、ニューヨーク、米国)を使用して、眼投与前(基底)と投与後の選定した時点で、眼圧を測定した。それぞれの眼圧の測定の前に、NOVESINA 0.4%(Thea Pharmaから購入した)を1滴、局所的に眼に滴下した。
【0239】
結果
データは、n=6~9の平均±SEMとして表す。眼圧(IOP)変化としての有効性(E)を、以下:
(IOP薬物-IOP薬物の基底)-(IOPベヒクル-IOPベヒクルの基底
のように、基底値及びベヒクル値に対して算出した。
IOP値は、投与後30、60、及び180分後において採る。
【0240】
表4に報告した結果は、本発明の一酸化窒素放出性ホスホジエステラーゼ5型阻害薬(化合物(1)-(2S)-クエン酸塩)が、より高い眼圧低下効果を示し(化合物(1)-(2S)-クエン酸塩のEmaxを、対応するPDE5硝酸エステルのEmaxと比較)、且つより長い持続時間を示す(化合物(1)-(2S)-クエン酸塩の180分でのIOP変化を、PDE5硝酸エステルのそれと比較)ことを実証した。
【0241】
【表4】
【0242】
実施例26
レーザー誘発性高眼圧症の非ヒト霊長類における眼圧(IOP)低下効果
【0243】
この実験において、式(II)の化合物である化合物(9)-フマル酸塩(実施例29に開示されている)の眼圧を低下させる際の有効性を、レーザー誘発性高眼圧症の非ヒト霊長類において評価した。
【0244】
実験手順
化合物(9)-フマル酸塩(2.0%重量/体積、30μL)又はベヒクル(リン酸緩衝液 pH6、クレモフォール EL 5%重量/体積、DMSO 0.3%重量/体積、塩化ベンザルコニウム 0.02%重量/体積)を、レーザー誘発性高眼圧症の非ヒト霊長類に投与した。対側の眼は処置しなかった。
【0245】
ニューマトノメーター(Model 30(商標)Reichert、Depew、ニューヨーク、米国)を使用して、眼投与前(基底)と投与後の選定した時点で、眼圧を測定した。それぞれの眼圧の測定の前に、塩酸プロパラカイン 0.13%を1滴、局所的に眼に滴下した。
【0246】
結果
IOP変化としての有効性(E)を、以下の式:
(IOP薬物-IOP薬物の基底)-(IOPベヒクル-IOPベヒクルの基底
を使用して、基底値及びベヒクル値に対して算出した(IOP値は、投与後30分、60分、300分、480分及び1440分後において採る)。
【0247】
表5に報告した結果は、化合物(9)-フマル酸塩が、300分に-4.1±2.7mmHgという最大眼圧低下効果(Emax)を示すことを実証した。さらに、化合物(9)-フマル酸塩のIOP低下効果は投与後24時間まで継続し、その時の眼圧変化はまだ-2.8±2.0mmHgであった。
【0248】
【表5】

報告したデータは、n=8の眼で実施された1つの実験の平均±SEMである。
【0249】
実施例27
レーザー誘発性高眼圧症の非ヒト霊長類における眼圧(IOP)低下効果
【0250】
本研究において、化合物(1)-(2S)-クエン酸塩(実施例9に開示されている)、NO-ドナー である3-[(2S)-2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパン酸(実施例4に開示されている化合物(IIIg)-OH、)、参照PDE5阻害薬 ミロデナフィル、並びに、ミロデナフィルとNO-ドナーである3-[(2S)-2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパン酸の併用投与の、眼圧を低下させる際の有効性を、レーザー誘発性高眼圧症の非ヒト霊長類において評価した。
【0251】
実験手順
化合物(1)-(2S)-クエン酸塩(0.31μmol/眼:1.0重量/容量%に等しい、30μL)、ミロデナフィル(0.31μmol/眼:0.63重量/容量%に等しい、30μL)、(IIIg)-OH(0.31μmol/眼:0.26重量/容量%に等しい、30μL)、(IIIg)-OHを同時に投与するミロデナフィル、又はベヒクル(リン酸緩衝液pH6、クレモフォールEL 5重量/容量%、DMSO 0.3重量/容量%、塩化ベンザルコニウム 0.02重量/容量%)を、レーザー誘発性高眼圧症の非ヒト霊長類に、盲検下で投与した。対側の眼は処置しなかった。
【0252】
ニューマトノメーター(Model 30(商標)Reichert、Depew、ニューヨーク、米国)を使用して、眼投与前(基底)の選定した時点と、投与後の選定した時点で、眼圧を測定した。それぞれの眼圧の測定の前に、塩酸プロパラカイン 0.13%を1滴、局所的に眼に滴下した。
【0253】
結果
データは、n=13の平均±SEMとして報告する。IOPの変化としての有効性(E)を、以下の式:
(IOP薬物-IOP薬物基底)-(IOPベヒクル-IOPベヒクル基底
を使用して、基底値及びベヒクル値に対して算出した。
報告した値は、最大IOP変化(Emax)及び投与後300分後に検出したIOP低下効果(E300分)を指す。
【0254】
表6に報告した結果は、本発明の一酸化窒素放出性ホスホジエステラーゼ5型阻害薬(化合物(1)-(2S)-クエン酸塩)が、分析されたの時点大部分において、等モル用量のNO-ドナー((IIIg)-OH)、ミロデナフィル、又はミロデナフィルとNO-ドナーの組み合わせと比較して、より高い眼圧低下効果を示すことを実証した。
【0255】
【表6】
【0256】
実施例28
(S)-2-(4-((4-エトキシ-3-(1-メチル-7-オキソ-3-プロピル-6,7-ジヒドロ-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)スルホニル)ピペラジン-1-イル)エチル-(S)-3-(2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ)プロパノアート(化合物(15)、(S)異性体)
【化67】
【0257】
ロデナフィル(400mg、0.794mmol)及び4-ニトロフェニル3-[(2S)-2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]プロパノアート(実施例4を参照のこと)(226mg、0.951mmol)の乾燥DCM(5mL)溶液に、DMAP(97mg、0.794mmol)を加えた。
【0258】
混合物を室温で週末にかけて撹拌し、次いでDCM及び水で希釈した。2つの相を分離し、水相をDCMで2回抽出した。合わせた有機相をMgSO4上乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィー(0.01% ギ酸を含むHO/CHCN、80:20~20:80)により精製した。精製後の残留物にジクロロメタン及びNaHCOの飽和溶液を加えた。2つの相を分離し、水相をDCMで2回抽出した。合わせた有機相をMgSO上乾燥し、減圧下で濃縮して、所望の生成物 170mg((化合物(15)、(S)異性体)(収率:30.0%)を与えた。
【0259】
1H NMR (600 MHz, dmso) δ 12.19 (s, 1H), 7.83 (dt, J = 8.7, 2.4 Hz, 2H), 7.38 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.53 (m, 1H), 4.88 (dd, J = 12.8, 3.0 Hz, 1H), 4.72 (dd, J = 12.8, 6.5 Hz, 1H), 4.21 (q, 2H), 4.16 (s, 3H), 4.06 (t, 2H), 3.77 - 3.59 (m, 4H), 2.89 (bs, 4H), 2.77 (t, 2H), 2.55 (m, 8H), 1.74 (dd, J = 14.9, 7.4 Hz, 2H), 1.33 (t, J = 6.9 Hz, 3H), 0.94 (t, J= 7.4 Hz, 3H)。
【0260】
実施例29
(S)-(1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イルメチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル6-(ニトロオキシ)ヘキサノアートフマル酸塩(化合物(9)フマル酸塩)
【化68】
【0261】
実施例1に記載したように調製した化合物(9)(100mg、0.155mmol)のメタノール(1.5mL)溶液に、フマル酸(18mg、0.155mmol)を加えた。混合物を室温で10分間撹拌し、次いで濃縮して、固体をMTBEで洗浄した。固体を濾過し、減圧下で乾燥して、(S)-(1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イルメチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル6-(ニトロオキシ)ヘキサノアートフマル酸塩 103mg(化合物(9)フマル酸塩、収率:87%)を生成した。
【0262】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 13.13 (m, 2H), 9.17 (m, 1H), 8.76 (m, 3H), 8.54 (m, 1H), 7.38 (m, 1H), 7.24 (m, 2H), 7.04 (m, 1H), 6.63 (s, 2H), 4.52 (m, 5H), 4.20 (m, 2H), 3.81 (s, 3H), 3.52 (m, 2H), 3.32 (m, 2H), 2.31 (m, 2H), 1.92 (m, 4H), 1.64 (m, 2H), 1.50 (m, 2H), 1.32 (m, 2H)。
【0263】
実施例30
(S)-(1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イルメチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル6-(ニトロオキシ)ヘキサノアートマレイン酸塩(化合物(9)マレイン酸塩)
【化69】
【0264】
実施例1に記載したように調製した化合物(9)(100mg、0.155mmol)のメタノール(1.5mL)溶液に、マレイン酸(18mg、0.155mmol)を加えた。混合物を室温で10分間撹拌し、次いで濃縮して、固体をMTBEで洗浄した。固体を濾過し、減圧下で乾燥させ、(S)-(1-(4-(3-クロロ-4-メトキシベンジルアミノ)-5-(ピリミジン-2-イルメチルカルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピロリジン-2-イル)メチル6-(ニトロオキシ)ヘキサノアート2-マレイン酸塩 113mg(化合物(9)マレイン酸塩、収率:96%)を与えた。
【0265】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 12.35 (m, 3H), 9.18 (m, 1H), 8.77 (m, 3H), 8.54 (s, 1H), 7.38 (m, 2H), 7.22 (m, 1H), 7.04 (m, 1H), 4.55 (m, 6H), 4.20 (m, 3H), 3.98 (m, 1H), 3.80 (s, 3H), 3.49 (m, 2H), 2.75 (m, 2H), 2.65 (m, 2H), 2.31 (m, 2H), 1.92 (m, 4H), 1.56 (m, 4H), 1.32 (m, 2H)。
【0266】
実施例31
眼圧が正常なニュージーランドホワイト種ウサギにおける眼圧(IOP)低下効果
【0267】
この研究において、本発明の化合物(12)-(2S)-クエン酸塩(実施例8に開示されている)の眼圧を低下させる際の有効性を、眼圧が正常なニュージーランドホワイト種ウサギにおいて評価した。
【0268】
実験手順
雄のニュージーランドホワイト種(NZW)ウサギに、ベヒクル(リン酸緩衝液 pH6.0、クレモフォールEL 5重量/体積%、DMSO 0.3重量/体積%、塩化ベンザルコニウム0.02重量/体積%)、又は(12)-(2S)-クエン酸塩を1%濃度で、局所的に投与(50μL)した。
【0269】
ニューマトノメーター(Model 30(商標)Reichert、Depew、ニューヨーク、米国)を使用して、眼投与前(基底)と投与後の選定した時点で、眼圧を測定した。それぞれの眼圧の測定の前に、NOVESINA 0.4%(Thea Pharmaから購入した)を1滴、局所的に眼に滴下した。
【0270】
結果
データは、n=9の平均±SEMとして表す。眼圧(IOP)の変化としての有効性(E)を、以下:
(IOP薬物-IOP薬物の基底)-(IOPベヒクル-IOPベヒクルの基底
のようにして、基底値及びベヒクル値に対して算出した。IOP値は、投与後30分、60分及び120分後において採る。
表7に報告した結果は、本発明の一酸化窒素放出性ホスホジエステラーゼ5型阻害薬(化合物(12)-(2S)-クエン酸塩)が、投与後のいくつかの時点で効率的にIOPを低下させることを実証した。
【0271】
【表7】