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特許7596273電気化学デバイスおよび関連物品、コンポーネント、構成および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】電気化学デバイスおよび関連物品、コンポーネント、構成および方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/581 20210101AFI20241202BHJP
   H01M 50/533 20210101ALI20241202BHJP
   H01M 50/538 20210101ALI20241202BHJP
   H01M 10/0583 20100101ALI20241202BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20241202BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20241202BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20241202BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20241202BHJP
   H01M 10/6571 20140101ALI20241202BHJP
【FI】
H01M50/581
H01M50/533
H01M50/538
H01M10/0583
H01M10/04 Z
H01M10/052
H01M10/48 301
H01M10/44 P
H01M10/6571
【請求項の数】 55
(21)【出願番号】P 2021537867
(86)(22)【出願日】2019-12-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 US2019068244
(87)【国際公開番号】W WO2020139802
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】62/785,332
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/785,335
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/785,338
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500287732
【氏名又は名称】シオン・パワー・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】ララミー,マイケル ジー
(72)【発明者】
【氏名】ミロバー,ダニエル ジー
(72)【発明者】
【氏名】ミハイリク,ユーリー ブイ
(72)【発明者】
【氏名】スコーディリス-ケリー,チャリクリー
(72)【発明者】
【氏名】ハーレル,シェーン
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-026555(JP,A)
【文献】特開平05-314969(JP,A)
【文献】特開2012-094446(JP,A)
【文献】特開2009-087814(JP,A)
【文献】実公平08-003965(JP,Y2)
【文献】特開2002-313431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/00-10/667
H01M50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
該基板に隣接する複数の個別電極セグメントであって、電極活物質を含む複数の個別電極セグメントと、
個別電極セグメントに電子的に接続された電流コレクタバスを含む電流コレクタドメインと、を備える物品であって、
物品の温度が閾値温度に達すると、熱誘導による基板の体積変化に少なくとも部分的に起因して、電極セグメントのうちの少なくとも1つは、電流コレクタバスに電子的に接続されなくなるように構成される、物品。
【請求項2】
熱誘導による基板の体積変化は、基板の体積の増加である、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
熱誘導による基板の体積変化は、基板の体積の減少である、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
基板は、閾値温度において負の熱膨張係数を有する、請求項1~3のいずれか1つに記載の物品。
【請求項5】
基板は、熱収縮性フィルムを含む、請求項1~4のいずれか1つに記載の物品。
【請求項6】
基板は、ポリビニルアルコールを含む、請求項1~5のいずれか1つに記載の物品。
【請求項7】
基板に隣接し、基板の少なくとも一部を加熱するように構成されたヒータをさらに備える、請求項1~6のいずれか1つに記載の物品。
【請求項8】
ヒータは、基板に直接隣接している、請求項に記載の物品。
【請求項9】
ヒータは、薄膜を含む、請求項7~8のいずれか1つに記載の物品。
【請求項10】
ヒータは、50Ω以上かつ1000Ω以下の電気抵抗を有するように構成される、請求項7~9のいずれか1つに記載の物品。
【請求項11】
電極セグメントは、電極活物質としてリチウム金属及び/又はリチウム合金を含む、請求項1~10のいずれか1つに記載の物品。
【請求項12】
電流コレクタドメインは、複数の電流コレクタセグメントをさらに含み、各電流コレクタセグメントは、電極セグメントに電子的に接続され、
電流コレクタセグメントの各々について、電流コレクタセグメントは、少なくとも1つの電流コレクタブリッジを介して電流コレクタバスに電子的に接続され、
各個別電極セグメントについて、個別電極セグメントは、少なくとも1つの電流コレクタセグメントを介して電流コレクタバスに電子的に接続され、
各電流コレクタセグメントについて、電流コレクタセグメントは、基板と、電流コレクタセグメントが電子的に接続された電極セグメントとの間に少なくとも部分的に配置される、請求項1~11のいずれか1つに記載の物品。
【請求項13】
物品の温度が閾値温度に達すると、熱誘導による基板の体積変化に少なくとも部分的に起因して、電流コレクタブリッジのうちの少なくとも1つは、該電流コレクタブリッジに関連する電流コレクタセグメントを電流コレクタバスに接続しなくなるように構成される、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
物品の温度が閾値温度に達すると、熱誘導による基板の体積変化に少なくとも部分的に起因して、電流コレクタブリッジのうちの少なくとも1つは、最終的な引張破壊を受けて、電流コレクタブリッジのうちの少なくとも1つは、該電流コレクタブリッジに関連する電流コレクタセグメントを電流コレクタバスに電子的に接続しなくなるように構成される、請求項12~13のいずれか1つに記載の物品。
【請求項15】
基板の熱膨張係数は、少なくとも1つの電流コレクタブリッジの熱膨張係数よりも大きい、請求項12~14のいずれか1つに記載の物品。
【請求項16】
電流コレクタバスは、電流コレクタブリッジの少なくとも1つの厚さよりも少なくとも3倍大きい厚さを有する、請求項12~15のいずれか1つに記載の物品。
【請求項17】
電流コレクタバスおよび複数の電流コレクタセグメントは、単一構造の一部である、請求項12~16のいずれか1つに記載の物品。
【請求項18】
少なくとも1つの電流コレクタブリッジおよび基板は、10℃以上かつ100℃以下の熱膨張差を有し、該熱膨張差は、下記の式のように表される、請求項12~17のいずれか1つに記載の物品。

ここで、Aは少なくとも1つの電流コレクタブリッジの面積、Aは基板の面積、αは少なくとも1つの電流コレクタブリッジのリニア膨張係数、αは基板のリニア膨張係数、Eは少なくとも1つの電流コレクタブリッジの弾性率、Eは基板の弾性率、σult,1は少なくとも1つの電流コレクタブリッジの最大抗張力である。
【請求項19】
閾値温度は、50℃以上の値を有する、請求項1~18のいずれか1つに記載の物品。
【請求項20】
閾値温度は、150℃以下の値を有する、請求項1~19のいずれか1つに記載の物品。
【請求項21】
基板に隣接し、物品の状態に応答するように構成された1つ以上のセンサをさらに備える、請求項1~20のいずれか1つに記載の物品。
【請求項22】
センサのうちの少なくとも1つが、物品の温度に応答するように構成された温度センサである、請求項21に記載の物品。
【請求項23】
センサのうちの少なくとも1つが、物品が受ける圧力に応答するように構成された圧力センサである、請求項21~22のいずれか1つに記載の物品。
【請求項24】
物品は、折り曲げ可能である、請求項1~23のいずれか1つに記載の物品。
【請求項25】
電気化学デバイスの充電中及び/又は放電中に電気化学デバイスの一部である基板の体積を変化させるステップを含む方法であって、
電気化学デバイスは、
基板と、
該基板に隣接する複数の個別電極セグメントであって、電極活物質を含む複数の個別電極セグメントと、
個別電極セグメントに電子的に接続された電流コレクタバスを含む電流コレクタドメインと、を備え、
基板の体積を変化させるステップは、少なくとも部分的に、電極セグメントの少なくとも1つと電流コレクタバスとの間の電子的接続の喪失を誘導する、方法。
【請求項26】
基板の体積を変化させるステップは、基板を加熱するステップを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
基板を加熱するステップは、電気化学デバイスを充電及び/又は放電して、充電及び/又は放電によって熱が発生することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
基板を加熱するステップは、電気化学デバイスの一部であるヒータにより基板を加熱することを含む、請求項26~27のいずれか1つに記載の方法。
【請求項29】
ヒータは、基板に隣接している、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
ヒータは、基板に直接隣接している、請求項28~29のいずれか1つに記載の方法。
【請求項31】
ヒータは、薄膜である、請求項28~30のいずれか1つに記載の方法。
【請求項32】
ヒータは、50Ω以上かつ1000Ω以下の電気抵抗を有するように構成される、請求項28~31のいずれか1つに記載の方法。
【請求項33】
基板の体積を変化させるステップは、基板の体積を増加させることを含む、請求項25~32のいずれか1つに記載の方法。
【請求項34】
基板の体積を変化させるステップは、基板の体積を減少させることを含む、請求項25~32のいずれか1つに記載の方法。
【請求項35】
電気化学デバイスの温度が閾値温度に達すると、電流コレクタバスからの電極セグメントの電子的結合の喪失が発生する、請求項25~34のいずれか1つに記載の方法。
【請求項36】
基板は、閾値温度において負の熱膨張係数を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
閾値温度は、50℃以上の値を有する、請求項35~36のいずれか1つに記載の方法。
【請求項38】
閾値温度は、150℃以下の値を有する、請求項35~37のいずれか1つに記載の方法。
【請求項39】
基板は、熱収縮性フィルムを含む、請求項25~38のいずれか1つに記載の方法。
【請求項40】
基板は、ポリビニルアルコールを含む、請求項25~39のいずれか1つに記載の方法。
【請求項41】
電極セグメントは、電極活物質としてリチウム金属及び/又はリチウム合金を含む、請求項25~40のいずれか1つに記載の方法。
【請求項42】
電流コレクタドメインは、複数の電流コレクタセグメントをさらに含み、各電流コレクタセグメントは、電極セグメントに電子的に接続され、
電流コレクタセグメントの各々について、電流コレクタセグメントは、少なくとも1つの電流コレクタブリッジを介して電流コレクタバスに電子的に接続され、
各個別電極セグメントについて、個別電極セグメントは、少なくとも1つの電流コレクタセグメントを介して電流コレクタバスに電子的に接続され、
各電流コレクタセグメントについて、電流コレクタセグメントは、基板と、電流コレクタセグメントが電子的に接続された電極セグメントとの間に少なくとも部分的に配置される、請求項25~41のいずれか1つに記載の方法。
【請求項43】
基板の体積を変化させるステップにより、少なくとも部分的に、電流コレクタブリッジのうちの少なくとも1つが、該電流コレクタブリッジに関連する電流コレクタセグメントを電流コレクタバスに接続しなくなる、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
基板を閾値温度以上に加熱するステップにより、電流コレクタブリッジのうちの少なくとも1つは、最終的な引張破壊を受けて、電流コレクタブリッジのうちの少なくとも1つが、該電流コレクタブリッジに関連する電流コレクタセグメントを電流コレクタバスに電子的に接続しなくなる、請求項42~43のいずれか1つに記載の方法。
【請求項45】
基板の熱膨張係数は、少なくとも1つの電流コレクタブリッジの熱膨張係数よりも大きい、請求項42~44のいずれか1つに記載の方法。
【請求項46】
電気化学デバイスを充電及び/又は放電することにより、電流が電流コレクタブリッジの少なくとも1つを機械的に変形させて、少なくとも1つの電流コレクタセグメントが電流コレクタバスから切り離される、請求項42~45のいずれか1つに記載の方法。
【請求項47】
電流コレクタバスは、電流コレクタブリッジの少なくとも1つの厚さよりも少なくとも3倍大きい厚さを有する、請求項42~46のいずれか1つに記載の方法。
【請求項48】
電流コレクタバスおよび複数の電流コレクタセグメントは、単一構造の一部である、請求項42~47のいずれか1つに記載の方法。
【請求項49】
少なくとも1つの電流コレクタブリッジおよび基板は、10℃以上かつ100℃以下の熱膨張差を有し、該熱膨張差は、下記の式のように表される、請求項42~48のいずれか1つに記載の方法。

ここで、Aは少なくとも1つの電流コレクタブリッジの面積、Aは基板の面積、αは少なくとも1つの電流コレクタブリッジのリニア膨張係数、αは基板のリニア膨張係数、Eは少なくとも1つの電流コレクタブリッジの弾性率、Eは基板の弾性率、σult,1は少なくとも1つの電流コレクタブリッジの最大抗張力である。
【請求項50】
電気化学デバイスは、電極セグメントの少なくとも1つと電流コレクタバスとの間の電子的結合の喪失後も充電及び/又は放電が可能である、請求項25~49のいずれか1つに記載の方法。
【請求項51】
基板の体積の変化は、電気化学デバイスの一部である1つ以上のセンサからの信号に応答して開始し、
1つ以上のセンサは、電気化学デバイスの状態に応答するように構成される、請求項25~50のいずれか1つに記載の方法。
【請求項52】
センサのうちの少なくとも1つが、電気化学デバイスの温度に応答するように構成された温度センサである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
温度センサは、薄膜であり、または薄膜を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
センサのうちの少なくとも1つが、電気化学デバイスが受ける圧力に応答するように構成された圧力センサである、請求項51~53のいずれか1つに記載の方法。
【請求項55】
電気化学デバイスは、折り曲げ可能である、請求項25~54のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国特許法第119条(e)の下で米国仮出願米国仮出願第62/785332号(2018年12月27日出願、名称"Isolatable Electrodes and Associated Articles and Methods")、米国仮出願第62/783535号(2018年12月27日出願、名称"Electrodes, Heaters, Sensors, and Associated Articles and Methods")、米国仮出願第62/785338号(2018年12月27日出願、名称"Folded Electrochemical Devices and Associated Methods and Systems")の優先権を主張するものであり、これらの各々は、全ての目的のためにその全体として参照によりここに組み込まれる。
【0002】
電気化学デバイスにおける電極、ヒータ、センサ、電流コレクタ及び/又は基板の構成に関連する物品、デバイス、システムおよび方法が一般に説明される。
【背景技術】
【0003】
典型的なバッテリまたはバッテリパックは、化学反応に関与するアノードおよびカソードを含む電気化学セルを含む。複数の電気化学セルを含むバッテリは、典型的には、複数の個別のアノード、カソード、および電流コレクタを含む積層配置で構成される。こうした積層配置は、製造するのが困難または不経済になることがあり、積層構成を備えた外部回路を経由して外部装置に電力供給することは、多数の別個の電気的接続の形成を必要とする。さらに、典型的な配置を備えた複数の電気化学セルを含むバッテリにおける個々の電極またはセルを伴う課題(例えば、短絡など)は、初期の怪しいセルから他のセルへバッテリ全体に渡って故障または熱暴走の伝搬をもたらす可能性があり、このことはバッテリの性能を急速に劣化させ、安全上の危険を生じさせることがある。さらに、ある場合には、バッテリの温度を維持したり変化させたり、バッテリの動作中の温度または圧力の変化を検出することが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、改良された物品、デバイス、システムおよび方法が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
少なくとも1つの電極が物品及び/又は電気化学デバイスの他のコンポーネントから電子的に絶縁できるように構成された、電極および電流コレクタを含む物品、ならびに関連するシステムおよび方法が提供される。ある場合には、物品は、基板の体積変化により、少なくとも1つの電極が物品及び/又は電気化学デバイスの他のコンポーネントから電子的に絶縁される基板を含む。特定の場合には、基板の加熱により、基板の体積の変化が生じる。
【0006】
電極、電流コレクタ、ヒータ及び/又はセンサを含む物品および電気化学デバイスならびに関連するシステムおよび方法も提供される。センサは、存在する場合、温度センサまたは圧力センサとすることができる。ある場合には、ヒータ及び/又はセンサは、物品または電気化学デバイスに隣接している。特定の場合には、ヒータ及び/又はセンサは、物品または電気化学デバイスに一体化された薄膜である。
【0007】
折り曲げ形態で配置された電極および電流コレクタを含む電気化学デバイス、および関連する物品、システムおよび方法もまた提供される。ある場合には、電気化学デバイスは、1つ以上の連続したコンポーネント、例えば、連続的な電極、電流コレクタ、セパレータ及び/又は基板などを含む。ある場合には、電気化学デバイスは、異方性力を(例えば、アノード活性表面に対して垂直な方向に)印加するように構成され配置される。ある場合には、電気化学デバイスは、特大サイズのアノードを含む。
【0008】
本発明の主題は、ある場合には、相互に関係する製品、特定の問題に対する代替解決策、及び/又は、1つ以上のシステム及び/又は物品の複数の異なる用途を含む。
【0009】
一態様では、物品が提供される。幾つかの実施形態では、物品は、基板を含む。ある場合には、物品は、基板に隣接する複数の個別電極セグメントを備える。電極セグメントは、電極活物質を含んでもよい。幾つかの実施形態では、物品は、電流コレクタドメインを備える。電流コレクタドメインは、個別電極セグメントに電子的に接続された電流コレクタバスを含んでもよい。幾つかの実施形態では、電流コレクタドメインは、複数の電流コレクタセグメントを含む。各電流コレクタセグメントは、電極セグメントに電子的に接続されてもよい。幾つかの実施形態では、電流コレクタセグメントの各々について、電流コレクタセグメントは、少なくとも1つの電流コレクタブリッジを介して電流コレクタバスに電子的に接続される。
【0010】
他の態様では、物品が提供される。幾つかの実施形態では、物品は、基板を備える。ある場合には、物品は、基板に隣接する複数の個別電極セグメントを備える。電極セグメントは、電極活物質を含んでもよい。幾つかの実施形態では、物品は、電流コレクタドメインを備える。電流コレクタドメインは、個別電極セグメントに電子的に接続された電流コレクタバスを含んでもよい。幾つかの実施形態では、物品は、物品の温度が閾値温度に達すると、熱誘導による基板の体積変化に少なくとも部分的に起因して、電極セグメントのうちの少なくとも1つは、電流コレクタバスに電子的に接続されないように構成される。
【0011】
他の態様では、方法が提供される。幾つかの実施形態では、方法は、電気化学デバイスの充電中及び/又は放電中に電気化学デバイスの一部である基板の体積を変化させるステップを含む。ある場合には、電気化学デバイスは、基板を備える。特定の場合には、電気化学デバイスは、基板に隣接する複数の個別電極セグメントを備える。電極セグメントは、電極活物質を含んでもよい。幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、個別電極セグメントに電子的に接続された電流コレクタバスを含む電流コレクタドメインを備える。幾つかの実施形態では、基板の体積を変化させるステップは、少なくとも部分的に、電極セグメントの少なくとも1つと電流コレクタバスとの間の電子的接続の喪失を誘導する。
【0012】
他の態様では、物品が提供される。幾つかの実施形態では、物品は、基板を備える。ある場合には、物品は、基板に隣接する複数の個別電極セグメントを備える。電極セグメントは、電極活物質を含んでもよい。幾つかの実施形態では、物品は、電流コレクタドメインを含む。ある場合には、電流コレクタドメインは、個別電極セグメントに電子的に接続された電流コレクタバスを含む。幾つかの実施形態では、物品は、基板に隣接するヒータを備える。特定の場合には、ヒータは、物品の少なくとも一部を加熱するように構成される。
【0013】
他の態様では、物品が提供される。幾つかの実施形態では、物品は、基板を備える。ある場合には、物品は、基板に隣接する複数の個別電極セグメントを備える。電極セグメントは、電極活物質を含んでもよい。幾つかの実施形態では、物品は、電流コレクタドメインを備える。ある場合には、電流コレクタドメインは、個別電極セグメントに電子的に接続された電流コレクタバスを含む。幾つかの実施形態では、物品は、基板に隣接する1つ以上のセンサを備える。ある場合には、1つ以上のセンサは、物品の状態に応答するように構成される。
【0014】
他の態様では、方法が提供される。幾つかの実施形態では、方法は、電気化学デバイスの一部であるヒータを用いて、電気化学デバイスの少なくとも一部を加熱するステップを含む。ある場合には、電気化学デバイスは、基板を備える。幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、基板に隣接する複数の個別電極セグメントを備える。電極セグメントは、電極活物質を含んでもよい。幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、電流コレクタドメインを備える。ある場合には、電流コレクタドメインは、個別電極セグメントに電子的に接続された電流コレクタバスを含む。
【0015】
他の態様では、方法が提供される。幾つかの実施形態では、方法は、電気化学デバイスの一部であるセンサからの信号に少なくとも部分的に基づいて、電気化学デバイスの状態を検出するステップを含む。ある場合には、電気化学デバイスは、基板を備える。幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、基板に隣接する複数の個別電極セグメントを備える。電極セグメントは、電極活物質を含んでもよい。幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、電流コレクタドメインを備える。ある場合には、電流コレクタドメインは、個別電極セグメントに電子的に接続された電流コレクタバスを含む。
【0016】
他の態様では、電気化学デバイスを記載する。幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、第1アノード活性表面部分を含む第1アノード部分を備える。ある場合には、電気化学デバイスは、第2アノード活性表面部分を含む第2アノード部分を備え、第2アノード活性表面部分は、第1アノード活性表面部分に面する。幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、第3アノード活性表面部分を含む第3アノード部分を備える。ある場合には、第3アノード活性表面部分は、第1アノード活性表面部分および第2アノード活性表面部分の両方から背を向けている。幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、第4アノード活性表面部分を含む第4アノード部分を含む。ある場合には、第4アノード活性表面部分は、第1アノード活性表面部分と第3アノード活性表面部分の両方に面している。特定の場合には、第3アノード部分は、第1アノード部分と第4アノード部分との間に少なくとも部分的に配置される。幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、第1アノード活性表面部分に面する第1カソード活性表面部分を含む第1カソード部分を備える。幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、第2アノード活性表面部分に面する第2カソード活性表面部分を含む第2カソード部分を備える。ある場合には、電気化学デバイスは、第3アノード活性表面部分に面する第3カソード活性表面部分を含む第3カソード部分を備える。ある場合には、電気化学デバイスは、第4アノード活性表面部分に面する第4カソード活性表面部分を含む第4カソード部分を備える。幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、セパレータの第1部分が第1アノード部分と第1カソード部分との間にあり、セパレータの第2部分が第2アノード部分と第2カソード部分との間にあり、セパレータの第3部分が第3アノード部分と第3カソード部分との間にあり、セパレータの第4部分が第4アノード部分と第4カソード部分との間にあるように配置されたセパレータを備える。幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、デバイスの充電時及び/又は放電時の少なくとも1つの期間中に、第1アノード活性表面部分に対して垂直な成分を持つ異方性力を印加するように構成され配置される。
【0017】
他の態様では、電気化学デバイスを記載する。幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、複数のアノード部分と、複数のカソード部分と、サーペンタイン(蛇行)形状セパレータとを備える。幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、第1アノード活性表面部分を含む第1アノード部分と、第1セパレータ部分と、第1カソード活性表面部分を含む第1カソード部分と、第2カソード活性表面部分を含む第2カソード部分と、第2セパレータ部分と、第2アノード活性表面部分を含む第2アノード部分と、第3アノード活性表面部分を含む第3アノード部分と、第3セパレータ部分と、第3カソード活性表面部分を含む第3カソード部分と、第4カソード活性表面部分を含む第4カソード部分と、第4セパレータ部分と、第4アノード活性表面部分を含む第4アノード部分と、を備える。幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、デバイスの充電時及び/又は放電時の少なくとも1つの期間中に、第1アノード活性表面部分に対して垂直な成分を持つ異方性力を印加するように構成され配置される。
【0018】
他の態様では、電気化学デバイスを記載する。幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、第1アノード活性表面部分を含む第1アノード部分を備える。ある場合には、電気化学デバイスは、第2アノード活性表面部分を含む第2アノード部分を備え、第2アノード活性表面部分は、第1アノード活性表面部分に面する。幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、第3アノード活性表面部分を含む第3アノード部分を備える。ある場合には、第3アノード活性表面部分は、第1アノード活性表面部分および第2アノード活性表面部分の両方から背を向けている。幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、第4アノード活性表面部分を含む第4アノード部分を備える。ある場合には、第4アノード活性表面部分は、第1アノード活性表面部分および第3アノード活性表面部分の両方に面している。特定の場合には、第3アノード部分は、第1アノード部分と第4アノード部分との間に少なくとも部分的に配置される。幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、第1アノード活性表面部分に面する第1カソード活性表面部分を含む第1カソード部分を備える。幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、第2アノード活性表面部分に面する第2カソード活性表面部分を含む第2カソード部分を備える。ある場合には、電気化学デバイスは、第3アノード活性表面部分に面する第3カソード活性表面部分を含む第3カソード部分を備える。ある場合には、電気化学デバイスは、第4アノード活性表面部分に面する第4カソード活性表面部分を含む第4カソード部分を備える。幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、セパレータの第1部分が第1アノード部分と第1カソード部分との間にあり、セパレータの第2部分が第2アノード部分と第2カソード部分との間にあり、セパレータの第3部分が第3アノード部分と第3カソード部分との間にあり、セパレータの第4部分が第4アノード部分と第4カソード部分との間にあるように配置されたセパレータを備える。幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、電気化学デバイスの全カソード活性表面の周囲の合計によって定義される累積カソード活性表面周囲を備える。ある場合には、累積カソード活性表面周囲の少なくとも60%が、アノード活性表面によって重なり合う。
【0019】
他の態様では、電気化学デバイスを記載する。幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、複数のアノード部分と、複数のカソード部分と、サーペンタイン形状セパレータとを備える。幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、第1アノード活性表面部分を含む第1アノード部分と、第1セパレータ部分と、第1カソード活性表面部分を含む第1カソード部分と、第2カソード活性表面部分を含む第2カソード部分と、第2セパレータ部分と、第2アノード活性表面部分を含む第2アノード部分と、第3アノード活性表面部分を含む第3アノード部分と、第3セパレータ部分と、第3カソード活性表面部分を含む第3カソード部分と、第4カソード活性表面部分を含む第4カソード部分と、第4セパレータ部分と、第4アノード活性表面部分を含む第4アノード部分と、を含む。幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、電気化学デバイスの全カソード活性表面の周囲の合計によって定義される累積カソード活性表面周囲を備える。ある場合には、累積カソード活性表面周囲の少なくとも60%が、アノード活性表面によって重なり合う。
【0020】
本発明の他の利点および新規の特徴は、本発明の様々な非限定的な実施形態の以下の詳細な説明を、添付の図面と併せて検討すると明らかになるであろう。本明細書および参照により組み込まれた文書が矛盾するおよび/または矛盾する開示を含む場合、本明細書が支配するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の非限定的な実施形態は、添付の図面を参照して例として説明され、それらは概略的であり、一定の縮尺で描かれることを意図されていない。図では、示されている同一またはほぼ同一の各コンポーネントは、通常、単一の数字で表されています。明確にするために、すべてのコンポーネントがすべての図でラベル付けされているわけではなく、また、当業者が本発明を理解することを可能にするために例示が必要ではない場合に、本発明の各実施形態のすべてのコンポーネントが示されているわけではない。
【0022】
図1】ある実施形態に係る物品の上面図を示す例示的な概略図である。
図2A】ある実施形態に係る物品の上面図を示す例示的な概略図である。
図2B】ある実施形態に係る物品の断面側面図を示す例示的な概略図である。
図2C】ある実施形態に係る物品の側面図を示す例示的な概略図である。
図3】ある実施形態に係る物品の上面図を示す例示的な概略図である。
図4】ある実施形態に係る電気化学デバイスの断面側面図を示す例示的な概略図である。
図5】ある実施形態に係る物品の断面側面図を示す例示的な概略図である。
図6A】ある実施形態に係る電気化学デバイスの側面図を示す例示的な概略図である。
図6B】ある実施形態に係る電気化学デバイスの側面図を示す例示的な概略図である。
図7A】ある実施形態に係る物品の一部の側面図を示す例示的な概略図である。
図7B】ある実施形態に係る物品の一部の側面図を示す例示的な概略図である。
図8A】ある実施形態に係る物品の一部の側面図を示す例示的な概略図である。
図8B】一組の実施形態に係る物品の一部の側面図を示す例示的な概略図である。
図9A】ある実施形態に係る部分的に展開された電気化学デバイスの一部の断面側面図を示す例示的な概略図である。
図9B】一組の実施形態に係る折り曲げまれた電気化学デバイスの一部の断面側面図を示す例示的な概略図である。
図10A】ある実施形態に係る部分的に展開された電気化学デバイスの一部の断面側面図を示す例示的な概略図である。
図10B】ある実施形態に係る折り曲げまれた電気化学デバイスの一部の断面側面図を示す例示的な概略図である。
図11A】ある実施形態に係るカソード活性表面を示す概略図である。
図11B】ある実施形態に係るカソード活性表面周囲を示す概略図である。
図12】ある実施形態に係るカソード活性表面と、カソード活性表面の周囲の少なくとも一部と重なるアノード活性表面とを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
少なくとも1つの電極が物品及び/又は電気化学デバイスの他のコンポーネントから電子的に絶縁できるように構成された、電極および電流コレクタを含む物品、ならびに関連するデバイス、システムおよび方法が提供される。ある場合には、物品は、基板(例えば、ポリマー材料)と、電流コレクタバスと、基板に隣接し、電流コレクタバスに電子的に接続された複数の個別電極セグメント(例えば、リチウム及び/又はリチウム合金などの電極活物質を含む)とを含む。電極セグメントの少なくとも幾つかは、基板の体積変化に少なくとも部分的に起因して、電流コレクタバスから電子的に切り離し可能である。基板体積を変化させることは、特定の場合には、物品(例えば、基板の熱誘導による膨張または収縮を引き起こす)を加熱することを含んでもよく、それにより電極(例えば、問題のある電極、例えば、短絡した部品など)を電子的に絶縁するための簡単かつ経済的な方法を提供する。ここで説明する物品の構成は、電流コレクタバスに電子的に接続された個別電流コレクタセグメントおよび電流コレクタブリッジ、及び/又は連続的なコンポーネント(例えば、連続基板及び/又は連続電流コレクタバス)の使用を含んでもよい。物品は、特定の実施形態では、基板に隣接するヒータ及び/又はセンサ(例えば、温度センサまたは圧力センサ)を備えてもよい。ここで提供される物品は、電気化学デバイス(例えば、再充電可能なリチウムバッテリなどのマルチセルバッテリ)に含まれる場合に有用となり得る。物品は、特定の実施形態では、基板に隣接するヒータ及び/又はセンサ(例えば、温度センサまたは圧力センサ)を備えてもよい。
【0024】
特定の場合には、電気化学デバイス(およびその中に含まれる物品)は、折り曲げみ形態で構成でき、複雑な及び/又は高価な製造手順を必要とせずに製造できる。こうした場合には、折り曲げみ(または折り曲げみ可能な)電気化学デバイスは、電気化学デバイスの一部(例えば、アノード活性表面部分)に対して垂直な成分を持つ異方性力を印加する(例えば、充電及び/又は放電の少なくとも1つの期間に)ように構成され配置される。特定の場合には、アノードおよびカソードの構成が、特定のアノード活物質(例えば、リチウムまたはリチウム合金)に関連する問題を緩和するために採用される。例えば、ある場合には、「特大サイズ(oversized)」のアノードを含む折り曲げみ電気化学デバイスが提供される。
【0025】
複数のアノードおよびカソードを含むマルチセルバッテリの共通の問題が、問題のある電極がバッテリ全体に実質的な損傷を引き起こす前に、電気回路全体から問題のある電極を除去することである。電極が問題ありとなる1つの方法は、それが高すぎる温度に到達する場合である(例えば、短絡に関与する電極に起因して)。こうした問題のある電極は、バッテリの性能を低下させ、熱暴走(例えば、リチウムバッテリの場合)などの安全上の危険を提示することがある。従って、複雑で高価な回路、構成及び/又は製造手順なしで、電極を簡単かつ容易に電子的に絶縁できる(例えば、ある温度に到達した場合)電気化学デバイスが望ましい。ここで説明する物品、システム、および方法は、必ずしも全てではないが特定の実施形態に従って、電流コレクタ(例えば、電流コレクタバス)及び/又は他のコンポーネントから電極を電子的に絶縁するための簡単で経済的で有効な方法を提供する。例えば、電流コレクタバスと、基板に隣接する複数の個別電極セグメントとを有する物品を配置することは、ある場合には、基板の体積変化(例えば、熱誘導による基板の体積変化)を可能とし、電流コレクタバスからの個別電極セグメントの少なくとも1つを電子的に切り離し、よって電極セグメントをシステムから絶縁する。
【0026】
典型的なバッテリは、積層形態で構成され、従って、慎重で高価であり、しばしば無駄な製造および配置工程を必要とするが、ここで説明する物品および電気化学デバイスは、ある場合には、例えば、連続的な基板、電極、電流コレクタ及び/又はセパレータなど、特定の連続的なコンポーネントを用いて配置され構築できる。幾つかのこうした連続的なコンポーネントの使用は、バッテリのための費用および製造時間を低減でき、機能性を改善できる構成を提供できる。例えば、複数の個別電極が連続電流コレクタバスに電子的に接続でき、これにより電子的に絶縁可能な電極を有する物品のための簡単な設計を提供できる。さらに、連続的なコンポーネントを有するバッテリが、ある場合には、積層式の代わりに折り曲げみ式に構成でき、これにより製造を加速し、コストを低減し、許容誤差を増加できる。ある場合には、ここで説明する折り曲げみ電気化学デバイスに異方性力が印加される。さらに、全てではないが幾つかの実施形態では、折り曲げみ電気化学デバイスの電極は、カソード活性表面の累積周囲の相対的に高い割合がアノードによって重なり合うように配置され構成され、このことは、ある場合には、折り曲げみ電気化学デバイスの動作中の、例えば、過剰利用または不均一利用などの特定の問題を低減できる。
【0027】
幾つかの実施形態では、電極、基板、電流コレクタおよび関連するコンポーネントの構成に関連する物品、デバイス、システムおよび方法が一般に説明される。図1は、実施形態の1つのセットに係る物品100の概略図である。物品は、特定の場合には、電気化学デバイス内のコンポーネントとして使用できる。物品は、本発明の構成における基板、電極及び/又は電流コレクタドメインなど、複数のコンポーネントを備えてもよい。
【0028】
幾つかの実施形態では、物品は、基板を含む。再び図1を参照して、幾つかの実施形態では、物品100は、基板120を含む。幾つかの実施形態では、物品の他のコンポーネント、こうした電極、電流コレクタドメインなどを基板上に配置できる。基板は、より詳細に後述するように、体積の変化を受けることができる材料など、種々の適切な材料のいずれかで製作できる。幾つかの実施形態では、基板は、薄膜(例えば、薄いポリマーフィルムまたは薄いセラミックフィルム)である。基板は、モノリシック材料でもよく、または基板は、複数の層の複合体(composite)でもよい。ある実施形態では、基板は、電子的に非導電性である少なくとも1つのドメインまたは層を含む。必ずしも全てではないが、幾つかの実施形態では、基板は、可撓性である(例えば、実質的な故障を受けることなく折り曲げむのに充分な可撓性を有する)。必ずしも全てではないが、幾つかの実施形態では、基板は、剥離(release)層であり、またはこれを含む。例えば、図1の基板120は、特定の実施形態に係る剥離層である。
【0029】
幾つかの実施形態では、物品は、基板に隣接する複数の個別電極セグメントを含む。図1に示すように、物品100は、基板120に隣接する複数の個別電極セグメント130を含む。電極セグメントは、基板上に直接形成してもよく(例えば、堆積またはコーティングプロセスを介して)、または基板と隣接電極セグメントとの間に1つ以上の介在層が存在してもよい。基板に隣接する複数の個別電極セグメントは、基板の比較的小さい距離(例えば、コンパクトでエネルギー的に高密度な設計を含む実施形態)の範囲内でもよい。例えば、複数の個別電極セグメントの各々は、基板の5.0mm以内、3.0mm以内、2.0mm以内、1.0mm以内、0.5mm以内、0.3mm以内、0.2mm以内、0.1mm以内、またはそれ以下でもよい。幾つかの実施形態では、複数の個別電極セグメントの各々はアノードであり、幾つかの実施形態では、複数の個別電極セグメントの各々はカソードである。特定の実施形態では、複数の個別電極は、カソードおよびアノードの両方を含む。
【0030】
幾つかの実施形態では、電極セグメントは、電極活物質を含む。ここで使用するように、用語「電極活物質」は、電極に関連している任意の電気化学的活性種(species)を参照する。例えば、「カソード活物質」は、カソードに関連する任意の電気化学的活性種を参照し、一方、「アノード活物質」は、アノードに関連する任意の電気化学的活性種を参照する。幾つかの実施形態では、電極セグメントは、電極活物質として(例えば、アノード活物質として)リチウム金属及び/又はリチウム合金を含む。適切なカソード活物質およびアノード活物質は、以下でより詳細に説明する。
【0031】
ここで使用するように、上述した複数の個別電極セグメントに関して、用語「個別(discrete)」の使用は、複数の個別電極セグメントの各電極セグメントを参照し、複数の個別電極セグメントの他の電極セグメントから空間的に分離している。例えば、図1を参照して、複数の個別電極セグメント130は、電極セグメント130aおよび電極セグメント130bを含み、電極セグメント130aは、電極セグメント130bとは区別され、空間的に分離している。幾つかの実施形態では、個別電極セグメントは、セグメントが電極活物質を含む領域を介して互いに接続されないように配置される。ある場合には、2つの個別電極セグメントは、ここで説明する物品が電気化学デバイス(例えば、電解質が装填された場合に1つ以上の電気化学セルを含むデバイス、例えば、バッテリ)の一部として使用される場合、例えば、もし物品が折り曲げられた場合でも、互いに直接に物理的に接触しない。さらに、いずれか2つの個別電極セグメント間の任意の電子的接続は、例えば、物品の電流コレクタドメインなど、接続された電極セグメント以外の少なくとも1つの他のコンポーネントを経由した電子の輸送を含む。物品を有することは、特定の実施形態に従って、複数の非個別電極セグメントとは対照的に、複数の個別電極セグメントを含み、特定の場合には、個々の電極セグメントが、例えば、他の電極セグメント及び/又は電流コレクタバス(詳細に後述する)など、物品の他のコンポーネントから電子的に絶縁されることを可能にする。
【0032】
幾つかの実施形態では、物品は、電流コレクタドメインを含む。例えば、図1を参照すると、物品100は、特定の実施形態に従って、基板120に隣接する電流コレクタドメイン125を含む。電流コレクタドメインは、複数の個別電極セグメントによって発生する電子流を収集でき、外部回路に繋がる電気接点の装着のための効率的な表面を提供できる(例えば、物品が、電気化学デバイス、例えば、バッテリなどの一部として使用される場合)。このように電流コレクタドメインは、典型的には、電子的に導電性材料を含む。
例えば、電流コレクタドメインは、アルミニウム、銅、クロム、ステンレス鋼およびニッケルなど、1つ以上の電子導電性金属を含んでもよい。幾つかの実施形態では、電流コレクタドメインは、銅金属層を含む。幾つかの例では、電流コレクタドメインは、複数のサブドメインまたはサブ構造を含み、その配置及び/又は構成は、複数の個別電極セグメントの個々の電極セグメントの電子的絶縁を可能にするのに有用となり得る(例えば、基板の体積変化に起因して)。例えば、電流コレクタドメインは、以下により詳細に説明するように、電流コレクタセグメント及び/又は電流コレクタブリッジを含んでもよい。
【0033】
幾つかの実施形態では、電流コレクタドメインは、電流コレクタバスを含む。図1は、特定の実施形態に従って、電流コレクタバス121を含む電流コレクタドメイン125を示す。ある場合には、電流コレクタドメインは、電流コレクタバス(特定の実施形態に従って、図1に示す場合のように)で全体に製作され、一方、特定の場合には、電流コレクタドメインは、電流コレクタバスに加えて他の構造を含む。電流コレクタバスは、外部回路と電気的に接触する電流コレクタドメインの構造でもよい(例えば、バッテリなどの電気化学デバイスの場合)。特定の場合には、以下に詳細に説明するように、電流コレクタバスは連続的である。
【0034】
幾つかの実施形態では、電流コレクタバスは、個別電極セグメント(例えば、複数の個別電極セグメントから)に電子的に接続される。例えば、図1を参照して、物品100は、複数の個別電極セグメント130および、電流コレクタバス121を含む電流コレクタドメイン125を含み、電流コレクタバス121は、特定の実施形態に従って、複数の個別電極セグメント130に電子的に接続される。個別電極セグメントと電流コレクタバスとの間の電子的接続は、電極セグメントで発生した電流が、外部回路と電子的に接触してもよい電流コレクタバスに流れるのを可能にする。電子的接続は、特定の場合には、個別電極セグメントと電流コレクタバスとの間の直接的な物理的接触によって確立できる。例えば、図1を参照して、複数の個別電極セグメント130のうちの個別電極セグメントは、特定の実施形態に従って、電流コレクタバス121と直接に物理的接触し、その結果、電子的に接続される。しかしながら、ある場合には、個別電極セグメントと電流コレクタバスとの間の電子的接続は、以下にさらに詳細に説明するように、電流コレクタドメインの1つ以上の追加の介在構造によって生じる。
【0035】
ある場合には、電流コレクタバスと複数の個別電極セグメントのうちの個別電極セグメントの少なくとも1つとの間の電子的接続の喪失が生ずることがある。こうした電子的接続の喪失は、電流コレクタバスから電子的に絶縁される個別電極セグメントのうちの少なくとも1つをもたらすことができ、 他の個別電極セグメントは、電流コレクタバス、及び/又は外部電気回路のコンポーネント(例えば、電気化学デバイスの他のコンポーネント、例えば、バッテリなど)との電子的接続を喪失していない。上述したように、特定の電極セグメントの絶縁は、例えば、電気化学デバイスが適切な性能で充電及び/又は放電を継続するのを可能にしつつ、回路全体から問題のある電極を除去するのに有用となり得る。
【0036】
幾つかの実施形態は、電気化学デバイスの充電中及び/又は放電中に電気化学デバイスの一部である基板の体積を変化させることを含む。電気化学デバイスは、ここで説明する物品を含んでもよく、ここで説明する基板を含む。ある場合には、基板の体積を変化させることは、少なくとも部分的に、電極セグメントの少なくとも1つと電流コレクタバスとの間の電子的接続の喪失を誘導する。例えば、図1を再び参照して、ある場合には、物品100を含む電気化学デバイスの充電及び/又は放電中に物品100の基板120の体積を変化させることは、少なくとも部分的に、特定の実施形態に従って、個別電極セグメント130aと電流コレクタバス121との間の電子的接続の喪失を誘導する。こうして基板の体積の変化は、充電サイクル及び/又は放電サイクル中に特定の個別電極セグメントを電子的に絶縁するために使用できる(例えば、安全上の理由)。
【0037】
幾つかの実施形態では、基板の体積を変化させることは、基板の体積を増加させることを含む。一例として、特定の実施形態に従って、図1において、電流コレクタバス121は、基板120上に被覆された導電性金属(例えば、銅)の層であり、複数の個別電極セグメント130は、電流コレクタバス121と直接に物理的接触する電極活物質(例えば、リチウム及び/又はリチウム合金)を含む個別層を含む。基板120の体積が増加すると(例えば、膨張すると)、複数の個別電極セグメント130のうちの個別電極セグメントの少なくとも1つ(例えば、個別電極セグメント130a)は、基板の体積増加(例えば、間隙の形成と、続いて個別電極セグメントの少なくとも1つと電流コレクタバス121との間の直接的な物理的接触の喪失に起因して)に少なくとも部分的に起因して、電流コレクタバス121との電子的接続を喪失できる。
【0038】
幾つかの実施形態では、基板の体積を変化させることは、基板の体積を減少させることを含む。一例として、特定の実施形態に従って、図1において電流コレクタバス121は、基板120上に被覆された導電性金属(例えば、銅)の層であり、複数の個別電極セグメント130は、電流コレクタバス121と直接に物理的接触する電極活物質(例えば、リチウム及び/又はリチウム合金)を含む個別層を含む。基板120の体積が減少すると(例えば、収縮/収縮すると)、複数の個別電極セグメント130のうちの個別電極セグメントの少なくとも1つ(例えば、個別電極セグメント130a)は、基板の体積減少(例えば、個別電極セグメントの少なくとも1つの剥離と、続いて個別電極セグメントの少なくとも1つと電流コレクタバス121との間の物理的接触の喪失に起因して)に少なくとも部分的に起因して、電流コレクタバス121との電子的接続を喪失できる。
【0039】
ある場合には、基板の体積を変化させることは、基板を加熱することを含む。換言す.ると、基板の体積の変化は、基板の熱膨張または熱収縮に少なくとも部分的に起因して生じ得る。例えば、図1を参照して、基板120(またはその一部)の加熱は、基板120の体積変化を生じさせる。特定の場合には、基板を加熱することは、ヒータからの熱を印加することを含んでもよく、これは、以下にさらに詳細に説明するように、物品の外部にあるコンポーネント、または物品中に一体化されたコンポーネントのいずれかにできる。しかしながら、幾つかの実施形態では、基板を加熱することは、電気化学デバイスを充電及び/又は放電し、そのため充電及び/又は放電によって熱が発生することを含む。例えば、ある場合には、個別電極セグメントのうちの少なくとも1つと電気化学デバイスの他のコンポーネントとの間で短絡が生じ、その結果、抵抗加熱が生じ、加熱により基板の体積を変化させてもよい。
【0040】
ここで説明する電気化学デバイスまたは物品の加熱コンポーネントは、あるコンポーネント(例えば、個別電極セグメントの一部または電流コレクタバスの一部)の溶融または熱衝撃に起因して、個別電極セグメントと電流コレクタバスとの間の電子的接続の喪失を生じさせてもよい。こうした現象は、ある場合には、基板の加熱中に生じてもよいが、ここで説明する実施形態は、基板の体積変化に少なくとも部分的に起因して生じる電子的接続の喪失を含む。基板の体積変化に起因する電子的接続の喪失の非限定的な原因について、以下により詳細に説明する。
【0041】
幾つかの実施形態では、ここで説明する物品は、物品の温度が閾値温度に到達すると、電極セグメントのうちの少なくとも1つが、基板の熱誘導による体積変化に少なくとも部分的に起因して、電流コレクタバスに電子的に接続されないように構成される。例えば、図1を参照して、物品100は、物品100が閾値温度に到達すると、複数の個別電極セグメント130のうちの電極セグメントの少なくとも1つ(例えば、個別電極セグメント130a)は、幾つかの実施形態に従って、基板の熱誘導による体積変化に少なくとも部分的に起因して、電流コレクタバス121に電子的に接続されないように構成される。非限定的な例として、ある場合には、閾値温度は65℃である。こうした場合、物品の温度が上昇して(例えば、外部熱源及び/又は電気化学デバイスの短絡に起因して)、いったん温度が65℃に達すると、電極セグメントの少なくとも1つが、基板の熱誘導による体積変化に少なくとも部分的に起因して電流コレクタバスから電子的に切り離し状態になる。
【0042】
例えば、特定のコンポーネント、例えば、基板などを選択して、比較的大きい規模の熱膨張係数を有する1つ以上の材料を含むことによって、基板の熱誘導による体積変化に少なくとも部分的に起因して個別電極セグメントの少なくとも1つと電流コレクタバスとの間の電子的接続の喪失を受けるするように、物品は構成できる。追加または代替として、物品の2つ以上のコンポーネントの熱膨張係数(例えば、基板および電流コレクタドメインの1つ以上の構造)の間に不整合を有するように、物品は構成でき、その結果、2つ以上のコンポーネントは、加熱プロセス中に異なる速度で膨張し、コンポーネントの機械的故障を引き起こし、よって電子的接続の喪失を引き起こす。幾つかの実施形態では、物品の温度が閾値温度に達すると、電極セグメントの少なくとも1つと電流コレクタドメインとの間の電子的接続の喪失を受けることができる物品の1つの例示的な構成が、より詳細に後述している。
【0043】
幾つかの実施形態では、閾値温度において、個別電極セグメントと電流コレクタドメインとの間の電子的接続の喪失は、物品のコンポーネント(例えば、基板、電極セグメント、電流コレクタドメインなど)に使用される材料、そしてコンポーネントの幾何学的形状および寸法に依存することと理解すべきである。閾値温度は、ここでそして他で説明した電子的接続の喪失が生じる絶対温度である。ここで考慮する閾値温度は、物品の1つ以上のコンポーネントの温度を参照するものであり、周囲温度(例えば、物品及び/又は物品を含む電気化学デバイスが設置される周囲または環境の温度)ではないと理解すべきである。幾つかの実施形態では、閾値温度は、物品の基板の温度である。幾つかの実施形態では、閾値温度は、電流コレクタドメインの温度である。幾つかの実施形態では、閾値温度は、複数の個別電極セグメントのうちの少なくとも1つの温度である。
【0044】
幾つかの実施形態では、物品は、閾値温度変化を受けると、電極セグメントの少なくとも1つが、熱誘導による基板の体積変化に少なくとも部分的に起因して、電流コレクタバスに電子的に接続されないように構成される。閾値温度変化は、物品内の内部機械応力(例えば、圧縮、張力、剪断、曲げ、捩れ等)が存在しない一定の初期温度に対して相対的である。
【0045】
上述のように、特定の場合には、電流コレクタドメインは、特定の条件下(例えば、熱誘導による基板の体積変化時)で1つ以上の個別電極セグメントを電子的に絶縁するのに有用となり得る複数のサブ構造を備える。
【0046】
幾つかの実施形態では、電流コレクタドメインは、複数の電流コレクタセグメントを含む。例えば、図2Aは、電流コレクタドメイン125を含む物品100を示し、電流コレクタドメイン125は、電流コレクタバス121に加えて、電流コレクタセグメント122を含む複数の電流コレクタセグメントを含む。電流コレクタドメインの他の構造の場合のように、電流コレクタセグメントは、電子的に導電性の材料、例えば、電子的に導電性の金属(例えば、銅)などを含み、及び/又は、それで製作される。電流コレクタセグメントは、以下に説明するように、例えば、基板(例えば、剥離層)の上に電子的に導電性の材料(例えば、フィルム)のパターン化した堆積を行うことによって製作できる。幾つかの実施形態では、電流コレクタセグメントは、空隙(void)または間隙(gap)によって分離される。例えば、図2Aにおいて、電流コレクタセグメント122は、導電性材料中の空隙(ある場合には、基板120の一部を露出する空隙)によって最も近い隣接する電流コレクタセグメントから分離される。電流コレクタセグメント間の空隙または間隙の存在により、特定の条件下(例えば、熱誘導による基板の体積変化時)で、電流コレクタセグメントが互いに電気的に絶縁されることが可能になる。
【0047】
幾つかの実施形態では、各電流コレクタセグメントは、電極セグメントに電子的に接続される。再び図2Aを参照して、物品100は、個別電極セグメント130aを含む複数の個別電極セグメント130と、そして、電流コレクタセグメント122を含む複数の電流コレクタセグメントとを含み、電流コレクタセグメント122は、個別電極セグメント130aと電子的に接続される。電流コレクタセグメントと電極セグメントとの間の電子的接続により、電極セグメントで発生した電流が電流コレクタセグメントに流れることを可能にし、これは、電流コレクタバスなど、電流コレクタドメインの他のコンポーネントと電子的に接続できる。
【0048】
幾つかの実施形態では、各電流コレクタセグメントに関して、電流コレクタセグメントは、電流コレクタセグメントが電子的に接続される電極セグメントと基板との間に少なくとも部分的に配置される。図2Bは、例示の物品100の側面図を示し、電流コレクタセグメント122は、電極セグメント130aと基板120との間に少なくとも部分的に配置される。こうした構成により、電極セグメントと電流コレクタセグメントとの間に比較的大きな接触面積を可能にし、一方、電気化学デバイスなどの用途で使用するために利用可能な電流コレクタセグメントから背を向けている電極セグメントの比較的大きな活性表面を残すことができる。ここで使用するように、用語「活性表面」は、物品が電気化学セルの一部であり、電気化学反応が生ずる電解質と物理的接触できる電極の表面を記述するために使用される。電極セグメントと電流コレクタセグメントとの間の比較的大きい接触面積により、電極セグメントで発生した電流が電流コレクタドメインに効率的に伝達できる。
【0049】
幾つかの実施形態では、電流コレクタセグメントの各々について、電流コレクタセグメントは、少なくとも1つの電流コレクタブリッジを介して電流コレクタバスに電子的に接続される。換言すると、幾つかの実施形態では、電流コレクタセグメントから電流コレクタバスへの電流のいずれの流路も、少なくとも1つの電流コレクタブリッジを通過する必要がある。電流コレクタブリッジが、電流コレクタセグメントと電流コレクタバスとの間に少なくとも部分的に配置された電流コレクタドメインのサブ構造である。図2Aは、電流コレクタブリッジ123を含む複数の電流コレクタブリッジを示す。電流コレクタブリッジ(123)は、電流コレクタセグメント122と電流コレクタバス121との間に配置される。図2Bは、例示の物品100の断面の側面図を示し、電流コレクタブリッジ123は、電流コレクタセグメント122と電流コレクタバス121との間に配置される。電流コレクタセグメント122は、特定の実施形態に従って、電流コレクタブリッジ123を介して電流コレクタバス121に電子的に接続される。電流コレクタブリッジは、電子的に導電性の材料(例えば、電子的に導電性の金属、例えば、銅)を含んでもよい。電流コレクタセグメントの場合のように、電流コレクタブリッジは、例えば、基板(例えば、剥離層)上に導電性材料(例えば、フィルム)のパターン化した堆積を行うことによって製作できる。ある場合には、電流コレクタブリッジは、以下でより詳細に説明するように、比較的小さい厚さを有する。ある場合には、各電流コレクタブリッジは、関連する電流コレクタセグメントならびに電流コレクタブリッジと直接に物理的接触している。しかしながら、特定の実施形態では、他の介在する材料(例えば、電子的に導電性の材料)または構造が、電流コレクタブリッジと、関連する電流コレクタセグメント及び/又は電流コレクタバスとの間に少なくとも部分的に配置されてもよい。
【0050】
幾つかの実施形態では、複数の個別電極セグメントの各個別電極セグメントについて、個別電極セグメントは、少なくとも1つの電流コレクタセグメントを介して電流コレクタバスに電子的に接続される。換言すると、特定の実施形態では、複数の個別電極セグメントのうちのある個別電極セグメントで発生する電流の電流コレクタバスへのいずれの流路も、少なくとも1つの電流コレクタセグメントを通過する必要がある。例えば、図2Aおよび図2Bを再び参照して、個別電極セグメント130aで発生する電流の電流コレクタバス121へのいずれの流路(例えば、電気化学セルの放電中)も、特定の実施形態に従って、電流コレクタセグメント122を通過する必要がある。ある場合には、物品は、個別電極セグメントで発生する電流の電流コレクタバスへのいずれの流路も、個別電極に関連する少なくとも1つの電流コレクタセグメント、および電流コレクタセグメントを電流コレクタバスに電子的に接続する電流コレクタブリッジの両方を通過する必要があるように構成される。例えば、図2A図2Bを参照して、特定の実施形態に従って、個別電極セグメント130aで発生する電流の電流コレクタバス121へのいずれの流れも、個別電極セグメント130aから電流コレクタセグメント122へ電子電荷を輸送することと、電流コレクタセグメント122から電流コレクタブリッジ123へ電子電荷を輸送することと、最後に、電流コレクタブリッジ123から電流コレクタバス121へ電子電荷を輸送することと、を含む必要がある。ここで説明する物品のこうした幾つかの構成は、個別電極セグメント、電流コレクタセグメントおよび電流コレクタブリッジを含み(それらの各々は、電流コレクタバスに電子的に接続されるが、例えば、空隙または間隙によって絶縁される)、個々の個別電極セグメントの簡便な電子的絶縁を可能にできる(例えば、基板の体積を変化させ、その結果、該個別電極セグメントに関連する電流コレクタブリッジを破壊することによって生ずる)。
【0051】
幾つかの実施形態では、基板の体積を変化させることにより、少なくとも部分的に、電流コレクタブリッジの少なくとも1つが、電流コレクタブリッジに関連する電流コレクタセグメントを電流コレクタバスに接続しなくなる。電流コレクタセグメントと電流コレクタバスとの間の電子的接続のこうした喪失は、電流コレクタセグメントに関連する個別電極セグメントと電流コレクタバスと間の接続の喪失をもたらし、それにより電極セグメントを電子的に絶縁できる。例えば、図2Aを参照して、基板120の体積を変化させることにより、少なくとも部分的に、電流コレクタブリッジ123は、電流コレクタセグメント122を電流コレクタバス121に接続しなくなり、それにより個別電極セグメント130aを電子的に絶縁する。基板の体積変化は、例えば、電流コレクタブリッジの機械的故障(例えば、電流コレクタブリッジの最終的な引張または圧縮の破壊によって引き起こされる破砕)、あるいは電流コレクタセグメントおよび電流コレクタバスの一方または両方からの電流コレクタブリッジの物理的分離(例えば、層間剥離を介して)を引き起こすことによって、電流コレクタセグメントを電流コレクタバスに接続しなくなる。
【0052】
上述したように、ある場合には、基板の体積を変化させることは、基板を加熱すること(例えば、基板を含む物品を含む電気化学デバイスの充電中及び/又は放電中に、それが閾値温度に達するように基板を加熱すること)を含む。幾つかの実施形態では、熱誘導による基板の体積変化は、基板の体積の増加である。例えば、幾つかの実施形態では、基板は、正の熱膨張係数(例えば、閾値温度で)を有し、基板を加熱することは、基板の熱膨張を引き起こす。例えば、幾つかの実施形態では、基板120は、正の熱膨張係数を有する材料を含み、基板120を加熱することは、基板120の体積の増加を引き起こす。しかしながら、幾つかの実施形態では、熱誘導による基板の体積変化は、基板の体積の減少である。例えば、ある場合には、基板は、閾値温度で負の熱膨張係数を有する。例えば、特定の実施形態によれば、基板120は、負の熱膨張係数(例えば、閾値温度で)を有する材料を含み、基板120を加熱することは、基板120の体積の減少を引き起こす。特定の場合には、基板は、熱収縮性フィルムを含む。ある場合には、基板は、ポリマー材料、例えば、ポリビニルアルコールなどを含む。
【0053】
幾つかの実施形態では、物品は、物品の温度が閾値温度に到達すると、電流コレクタバスの少なくとも1つが、熱誘導による基板の体積変化に少なくとも部分的に起因して、該電流コレクタブリッジに関連付けられた電流コレクタセグメントを電流コレクタバスに接続しなくなるように構成される。図2Aを参照して、物品100は、特定の閾値温度に達すると、電流コレクタブリッジ123は、電流コレクタセグメント122を電流コレクタバス121に電子的に接続しなくなる。こうした構成は、個別電極セグメントを電子的に絶縁するのに有用になる。例えば、幾つかの実施形態では、物品は、物品の温度が閾値温度に達すると、熱誘導による基板の体積変化に少なくとも部分的に起因して、個別電極セグメントの少なくとも1つが、電流コレクタバスと電子的に接続しなくなるように構成される。図2Bを参照して、特定の実施形態において、電極セグメント130aは、電流コレクタセグメント122および電流コレクタブリッジ123を介して電流コレクタバス121に電子的に接続される。特定の場合には、物品100が閾値温度に達し(例えば、加熱されて)、電流コレクタブリッジ123は、電流コレクタセグメント122を電流コレクタバス121に電子的に接続しなくなり、個別電極130aで発生して電流コレクタバス121に到達するための電子的な導電経路が存在しなくなり、これにより個別電極セグメント130aを電子的に絶縁する。
【0054】
幾つかの実施形態では、物品は、ここで言及する閾値温度が特定の温度範囲内に入るように構成される。例えば、物品は、閾値温度が、個別電極セグメントと電流コレクタバスとの間の電子的接続の喪失(例えば、基板の体積変化に起因して)が、物品を含む電気化学デバイスの通常動作(例えば、短絡又は熱暴走が生じない通常の充電及び/又は放電)中に生じないように充分に高いように構成できる。そのため物品は、特定の実施形態では、物品の閾値温度が、50℃以上、55℃以上、60℃以上、70℃以上、75℃以上、80℃以上、85℃以上、90℃以上、95℃以上、100℃以上、またはそれ以上となるように構成できる。特定の温度範囲内に入る物品の閾値温度とは、熱誘導による基板の体積変化の際、ここで説明するような少なくとも1つの電子的デカップリング(例えば、少なくとも1つの個別電極セグメントと電流コレクタバスとの間、少なくとも1つの個別電流コレクタセグメントと電流コレクタバスとの間)を受けるように構成される特定の温度が当該範囲内に入ることを意味すると理解すべきである。65℃の閾値温度を有するように構成される物品(例えば、加熱した場合、物品の温度が65℃に達すると、基板の体積変化に少なくとも部分的に起因して、ここで説明するような少なくとも1つの電子的デカップリングを受けることになる物品)が、閾値温度が50℃以上である物品の一例である。65℃は、50℃以上の値の範囲内に入るためである。
【0055】
幾つかの実施形態では、物品は、個別電極セグメントと電流コレクタバスとの間の電子的接続の喪失が、接続の喪失前に、物品及び/又は物品を含む電気化学デバイスへの相当な損傷が生じないように充分に低い温度で生じるように、閾値温度は充分に低いように構成できる。そのため物品は、特定の実施形態では、物品の閾値温度が150℃以下、145℃以下、140℃以下、130℃以下、120℃以下またはそれ以下となるように構成できる。他の非限定的な例として、110℃の閾値温度を有するように構成された物品(例えば、加熱した場合、物品の温度が110℃に達すると、基板の体積変化に少なくとも部分的に起因して、ここで説明するような少なくとも1つの電子的デカップリングを受けることになる物品)が、閾値温度が120℃以下である物品である。110℃は、120℃以下の値の範囲内に入るためである。
【0056】
ここで説明する物品の閾値温度は、例えば、物品(またはそのコンポーネント)の温度を上昇させながら、個別電極セグメントと電流コレクタバスとの間に試験電流を流すことによって測定できる。閾値温度は、個別電極セグメントの少なくとも1つと電流コレクタバスとの間の電子接続の喪失(例えば、試験電流の中断)が観測された場合、温度を記録することによって決定される。
【0057】
物品の温度が閾値温度に到達した場合、電流コレクタブリッジの少なくとも1つに、電流コレクタブリッジに関連する電流コレクタセグメントを電流コレクタバスと接続させなくするように物品を構成できる1つの方法は、異なる熱膨張係数を有する電流コレクタブリッジおよび基板の材料を選択することによる。熱膨張係数は、リニア熱膨張係数(温度変化に応答して材料の長さの部分変化に関連する)、エリア熱膨張係数(温度変化に応答して材料の面積の部分変化に関連する)及び/又は体積熱膨張係数(温度変化に応答して材料の体積の部分変化に関連する)の観点で表現できる。他に言及しない限り、ここで参照する熱膨張係数は、リニア熱膨張係数に対応する。こうして加熱プロセスの間、基板の体積は、異なる熱膨張係数に起因して、電流コレクタブリッジとは異なる程度で膨張(または接触)し、機械的な故障(例えば、破砕または層間剥離)を導ける機械的応力の供給源となり、電流コレクタセグメントと電流コレクタブリッジとの間の電子的接続の喪失をもたらす。
【0058】
幾つかの実施形態では、物品の温度が閾値温度に達すると、電流コレクタブリッジの少なくとも1つが最終的な引張破壊を受けるように物品は構成される。材料の最終的な引張破壊は、材料が張力を受けることに起因した材料の破断(例えば、破砕)を意味する。こうした構成の1つの非限定的な例が、基板の熱膨張係数が、少なくとも1つの電流コレクタブリッジの熱膨張係数よりも大きいものである。例えば、図2Aを参照し、基板120は、電流コレクタブリッジ123が製作される材料よりも大きな熱膨張係数を有する材料から製作でき、電流コレクタブリッジ123は、特定の実施形態に従って、基板120に取り付けられる(例えば、直接にまたは介在する接着剤層またはドメインを介して取り付けられる)。基板120および電流コレクタブリッジ123が加熱された場合(例えば、熱負荷を介して)、基板120は、電流コレクタブリッジ123よりも大きい程度に膨張するようになり、その結果、電流コレクタブリッジ123は、基板120の膨張の程度に依存する引張力を受ける。ある場合には、基板120は、電流コレクタブリッジ123に印加される引張力が、電流コレクタブリッジ123の最終的な引張破壊を引き起こすのに充分である程度まで膨張できる。いずれの特定の理論に拘束されることを望まないが、電流コレクタブリッジが機械的故障、例えば、基板の体積の変化時の最終的な引張故障などを受ける可能性を制御するために使用できる他の設計要因は、以下に限定されないが、電流コレクタブリッジの厚さ、電流コレクタブリッジの弾性率、及び/又は電流コレクタブリッジの面積を含む。
【0059】
幾つかの実施形態では、電流コレクタブリッジの少なくとも1つは、電流コレクタブリッジが、熱誘導による基板の体積変化に少なくとも部分的に起因して、電流コレクタブリッジに関連する電流コレクタセグメントを電流コレクタバスに電子的に接続しなくなるように、最終的な引張破壊を受ける。図3は、特定の実施形態に係る、少なくとも部分的に、上述したような熱誘導による基板の体積変化によって引き起こされる電流コレクタブリッジ123の最終的な引張故障に続く物品100の一例の上面図を示す。図3から判るように、電流コレクタブリッジ123の最終的な引張破壊は、電流コレクタブリッジ123での完全な不連続をもたらし、それによりコレクタセグメント122と電流コレクタバス121との間の電子的接続を破壊し、その結果、個別電極セグメント130aと電流コレクタバス121との間の電子的接続を破壊する。
【0060】
幾つかの実施形態では、物品の温度が閾値温度に達すると、電流コレクタブリッジの少なくとも1つが最終的な圧縮破壊(例えば、最終的なリニア圧縮破壊)を受けるように、物品は構成される。材料の最終的な圧縮破壊は、材料が圧縮を受けることに起因した材料の破壊(例えば、破砕または座屈)を意味する。こうした構成の1つの非限定的な例が、基板の熱膨張係数が、少なくとも1つの電流コレクタブリッジの熱膨張係数よりも小さいことである。こうした構成の他の非限定的な例が、基板の熱膨張係数が負であることである(例えば、基板は熱収縮性フィルムである)。幾つかの実施形態では、電流コレクタブリッジの少なくとも1つは、熱誘導による基板の体積変化に少なくとも部分的に起因して、電流コレクタブリッジに関連付けられた電流コレクタセグメントを電流コレクタバスに電子的に接続しなくなるように、最終的な圧縮破壊を受ける。
【0061】
幾つかの実施形態では、物品の第1コンポーネント(例えば、電流コレクタブリッジ)および、第1コンポーネントに直接接触して装着される物品の第2コンポーネント(例えば、基板)は、第1コンポーネントおよび第2コンポーネントが特定の熱膨張差を有するように構成される。ここで使用されるような熱膨張差は、下記の式で表される。
【0062】
ここで、Aは第1コンポーネントの面積、Aは第2コンポーネントの面積、αは第1コンポーネントのリニア膨張係数、αは第2コンポーネントのリニア膨張係数、Eは第1コンポーネントの弾性率、Eは第2コンポーネントの弾性率、σult,1は第1コンポーネントの最大抗張力である。熱膨張差は、第1コンポーネント及び/又は第2コンポーネントのために選択された材料、そして第1コンポーネントおよび第2コンポーネントの個々の面積に依存する。
【0063】
幾つかの必ずしも全てではない実施形態では、物品の第1コンポーネント及び/又は第2コンポーネントの温度変化ΔTは、もし温度変化が熱膨張差以上である場合、第1コンポーネントの最終的な引張破壊をもたらす。換言すると、幾つかの実施形態では、物品の第1コンポーネントは、式(1)で表される不等式が成立する場合、張力が不足する(ある場合には、物品の特定のコンポーネント間の電子的接続の喪失につながる)。
【0064】
式(1)が成立する実施形態では、ΔTの温度変化が、αがαよりも大きい場合、第1コンポーネント(例えば、電流コレクタブリッジ)の最終的な引張破壊をもたらすことになる。幾つかの実施形態では、第1コンポーネントおよび第2コンポーネントのために選択された幾何形状および材料が既知である場合、第1コンポーネントの最終的な引張破壊を引き起こすのに必要な温度変化を決定するために、式(1)が使用できる。
【0065】
幾つかの実施形態では、第1コンポーネント(例えば、少なくとも1つの電流コレクタブリッジ)及び/又は第2コンポーネント(例えば、基板)は、10℃以上、15℃以上、20℃以上、25℃以上、30℃以上、40℃以上またはそれ以上の熱膨張差を有する。幾つかの実施形態では、第1コンポーネント(例えば、少なくとも1つの電流コレクタブリッジ)及び/又は第2コンポーネント(例えば、基板)は、100℃以下、90℃以下、80℃以下、70℃以下、60℃以下またはそれ以下の熱膨張差を有する。上記の範囲の組合せが可能である。例えば、幾つかの実施形態では、第1コンポーネント(例えば、少なくとも1つの電流コレクタブリッジ)及び/又は第2コンポーネント(例えば、基板)は、10℃以上で100℃以下の熱膨張差を有する。
【0066】
幾つかの実施形態では、物品の温度が閾値温度に達した場合、熱誘導による基板の体積変化に少なくとも部分的に起因して、最終的な引張破壊または最終的な圧縮破壊以外の変化を受けて、その結果、電流コレクタブリッジのうちの少なくとも1つが、電流コレクタブリッジに関連付けられた電流コレクタセグメントを電流コレクタバスに電子的に接続しないように、物品は構成される。例えば、ある場合には、基板の体積変化は、電流コレクタブリッジの層間剥離を引き起こし、その結果、電流コレクタブリッジが関連する電流コレクタセグメントまたは電流コレクタバスのうちの少なくとも1つとの接触を喪失する。
【0067】
幾つかの実施形態では、ここで説明する物品の加熱(熱誘導による基板の体積変化をもたらす)は、受動的に生じる。物品の加熱は、ここで説明するヒータからの熱負荷の印加の存在しないときに生ずる場合、受動的に生ずる。例えば、短絡及び/又は熱暴走が発生する場合(例えば、電気化学デバイスの1つ以上の部分の腐食又は疲労に起因して)、電気化学デバイスの充電中及び/又は放電中に、物品を含む電気化学デバイスでの不良に起因して、物品は受動的に加熱されることがある。こうしたプロセスは、抵抗加熱及び/又は発熱化学反応からの熱の放出に起因して、物品の1つ以上のコンポーネントの加熱を引き起こすことがあり、ある場合には、温度を閾値温度より高く上昇させる。
【0068】
幾つかの実施形態では、熱誘導による基板の体積変化の少なくとも一部は、能動加熱プロセスに起因して生じる。能動加熱プロセスは、ヒータからの熱負荷の印加を含む。ここで使用するように、ヒータは、ヒータを駆動して、それを熱負荷に印加する信号(例えば、電気信号)を受けることができるコンポーネントである。ある場合には、基板を加熱することは、電気化学デバイスの一部であるヒータの使用により、少なくとも部分的に達成される。幾つかの実施形態では、ヒータは、物品に隣接する外部コンポーネントである。しかしながら、特定の実施形態では、ヒータは、物品に一体化されたコンポーネントである(例えば、物品の1つ以上の層に薄膜として付与された抵抗ヒータとして)。ある場合には、基板が充分な電子伝導率を持つ材料を含む場合、基板自体がヒータとして機能できる。
【0069】
幾つかの実施形態では、物品は、基板に隣接するヒータを含む。特定の場合には、物品は、基板に隣接する複数のヒータを含む。上述したように、ヒータは、ここで説明する物品の少なくとも一部を加熱するように構成できる。例えば、図7Aは、基板120に隣接するヒータ140を含む例示的な物品100を示し、ある場合には、ヒータ140は、物品100を加熱できる。特定の必ずしも全てではない実施形態によれば、種々の理由のため、ここで説明する物品の中にヒータを含むことが有用になることがある。例えば、ヒータは、熱誘導による基板の体積変化が生じるように基板を加熱するために使用でき、その結果、物品の能動加熱に関して上述したように、1つ以上の個別電極セグメントと電流コレクタバスとの間の電子的接続の喪失が生じる。特定の場合には、物品(例えば、基板)に隣接するヒータを含むことは、例えば、物品が低温の周囲条件(例えば、冬期に動作する電動車両のためのバッテリ)で動作することが要望される電気化学デバイスの一部である場合のように、物品の温度を所望の範囲内に維持する方法を提供できる。ある場合には、ヒータは、基板に直ぐに隣接しており(例えば、図7A図7Bに示すように、ヒータと基板との間に介在する層または構造が存在しない基板に直接に付着され、コーティングされ、または真空蒸着される)、特定の場合には、ヒータは、基板ではない物品の1つ以上のコンポーネント(例えば、層)の上に直接配置される。図7は、複数のヒータ140を示し、特定の実施形態に従って、各々が個別電極セグメント及び/又は個別電流コレクタセグメントに隣接する(しかし、直接接触していない)。幾つかの実施形態では、ヒータと基板との間の距離は、5mm以下、3mm以下、2mm以下、1mm以下、0.5mm以下、0.2mm以下、0.1mm以下、またはそれ以下である。
【0070】
ある場合には、ヒータは、物品構造内の1つ以上の個別電極セグメント及び/又は電流コレクタドメインのコンポーネントと置換する(即ち、「その場所を取る」)。例えば、個別電流コレクタセグメントが、製造時に基板に沿って周期的な場所に堆積される場合(例えば、スキップコーティングプロセスを介して)、1つ以上の場所がマスクでき、電流コレクタセグメントがそこに堆積されないように、そして後のステップでヒータが該1つ以上の場所に配置される(例えば、マスク除去ステップに続いて)。
【0071】
幾つかの実施形態では、ヒータは、物品の1つ以上の端部の近くに配置される。例えば、ある場合には、ヒータは、物品の長さの最後20%の範囲内、最後10%の範囲内または最終5%内に配置される。幾つかの必ずしも全てではない実施形態では、個別電極セグメントまたは電流コレクタセグメントは、ヒータと基板の端部との間に設置していない(基板の長軸に従った端部を参照している)。例えば、図7Bは、図7Aの記載に示すような内部場所とは対照的に、ヒータ140が物品100の端部の近くに位置決めされる非限定的な実施形態を示す。物品の端部のうちの1つまたはその近傍にヒータを配置することは、製造の容易さ(例えば、複雑なマスキングステップを潜在的に回避することによって)を支援でき、特定の必ずしも全てではない実施形態に従って、物品が折り曲げられた場合でも、ヒータへのアクセスを容易にする。しかしながら、特定の場合には、例えば、図7Aに示すように、内部場所にヒータを配置することは、例えば、物品が折り曲げられる場合など、物品全体に渡ってより均一な熱を提供し、また、局所的な加熱(例えば、特定の必ずしも全てではない実施形態に従って、特定の電流コレクタブリッジの近くの基板の近傍領域)を可能にするのに有用となり得る。上述のように、より詳細に後述するように、ある場合には、物品は折り曲げ可能である。こうした場合、物品が折り曲げまれた場合、ヒータは、物品の折り曲げ部分の間に位置決めされる。こうした構成は、特定の実施形態では、ヒータが、物品及び/又は物品を含む折り曲げ電気化学デバイスの内部部分(例えば、折り目)を容易に加熱することを可能にする。
【0072】
幾つかの実施形態では、ヒータは、薄膜を含む。特定の必ずしも全てではない場合、ヒータは、薄膜である。例えば、図7Aを参照して、ヒータ140は、特定の実施形態に係る薄膜である。ヒータが薄膜であり、または薄膜を含む実施形態では、薄膜は、物品の一部に堆積してもよい(例えば、物理的または化学的真空蒸着技術、スピンコーティング、またはここで説明する他の適切な薄膜堆積技術によって)。例えば、ある場合には、ヒータは、基板上に直接に堆積された薄膜である(例えば、基板の製造時)。しかしながら、特定の場合には、ヒータの薄膜は、物品の1つ以上の他のコンポーネント上に堆積される。特定の場合には、薄膜を含む複数のヒータが、複数の個別薄膜セグメント(例えば、スキップコーティングまたはマスク付きコーティングを介して堆積された薄膜セグメント)として物品上に位置決めされる。薄膜を含むヒータの使用は、物品を含むバッテリの比較的高い体積エネルギー密度が、特定の必ずしも全てではない実施形態に従って所望される場合に有益となり得る。さらに、薄膜ヒータは、特定の実施形態によれば、薄膜が物品の折り曲げを妨害するのを回避するのに充分に薄くできるため、ヒータを折り曲げ可能な物品に一体化するのに有用となり得る。ある場合には、ヒータ(例えば、薄膜ヒータ)の厚さ(例えば、平均厚さ)は、500μm以下、200μm以下、100μm以下、50μm以下、20μm以下、10μm以下、5μm以下、2μm以下、1μm以下、0.5μm以下、200nm以下またはそれ以下である。特定の場合には、ヒータは、20nm以上、50nm以上、100nm以上またはそれ以上の厚さを有する。
【0073】
ある場合には、ヒータは、抵抗加熱を実施できる材料を含む。例えば、ヒータは、外部電気回路(例えば、パワーリードを介して)に電子的に接続でき、電流が電気回路を通過すると、ヒータの抵抗が抵抗加熱(即ち、ジュール加熱)を発生する。こうした抵抗加熱によって発生した熱は、ある場合には、物品及び/又は物品を含む電気化学デバイスを加熱できる。ある場合には、ヒータは、金属または金属合金を含む。例えば、ヒータは、特定の実施形態に従って、抵抗加熱を促進するために、抵抗性の金属または金属合金(例えば、比較的高い抵抗率を有する金属または金属合金)を含んでもよい。ヒータが含むことができる材料の例は、以下に限定されないが、ニッケル合金(ニクロム、コンスタタン、Evanohmなど)、ステンレス鋼、グラファイト、シリコン系化合物、これらの組合せ等を含む。一般に、ヒータ(例えば、薄膜を含むヒータ)のための材料は、より詳細に後述するように、材料の抵抗率を含む1つ以上の特性に基づいて選択できる。
【0074】
幾つかの実施形態では、ヒータは、導電性ワイヤを含む。例えば、図7Aまたは図7Bにおいて、ヒータ140は、いくつかの必ずしも全てではない実施形態に従って、薄膜ではなく、導電性ワイヤである。導電性ワイヤは、物品上に堆積して(例えば、基板に直ぐに隣接して、または介在層上に)、物品上に導電性トラックを形成してもよい。薄膜を含むヒータの場合のように、導電性トラックを含むヒータは、ある場合には、基板上または基板上の層の上にパターン化マスクを用いて形成できる。ある場合には、ヒータの導電性ワイヤは、薄膜を含むヒータに関して上述したように、外部回路に電子的に接続され、その結果、電流が導電性ワイヤを通って流れ、それによって抵抗加熱が生じさせる。ヒータの導電性ワイヤは、ヒータからの所望の加熱エリアに応じて、物品に沿った任意の数のパターンまたは経路を形成してもよい。例えば、ある場合には、導電性ワイヤは、実質的な加熱が望まれない物品のエリアに沿って比較的真っ直ぐであるが、例えば、実質的に加熱が望まれるエリアに近いサーペンタイン形状パターンを形成する(例えば、ヒータが熱誘導による基板の体積変化を能動的に生じさせるために使用される場合は、電流コレクタブリッジの近く)。
【0075】
ヒータが導電性ワイヤを含む実施形態では、ヒータは、物品の所望の加熱を引き起こすのに充分な抵抗率を有する多数の適切な材料のいずれかを含んでもよい。例えば、ある場合には、導電性ワイヤを含むヒータは、金属及び/又は金属合金を含む。薄膜を含むヒータについて上述したように、導電性ワイヤは、抵抗性金属または抵抗性金属合金を含んでもよい。ヒータの導電性ワイヤの材料の例は、以下に限定されないが、ニッケル合金(例えば、ニクロム、コンスタタン、Evanohmなど)、ステンレス鋼、グラファイト、シリコン系化合物、それらの組合せなどを含む。上述したように、ヒータのための所望の抵抗を達成するために、導電性ワイヤを含むヒータ用の材料を選択できる。
【0076】
ヒータ(例えば、薄膜を含むヒータまたは導電性ワイヤを含むヒータ)の抵抗は、ある場合には、式(2)を用いて決定できる。
【0077】
ここで、Rはヒータの抵抗、ρはヒータが製作される材料の抵抗率、Lはヒータを通る電流の方向におけるヒータの長さ、 Aは電流が流れるヒータの断面積である。式(2)から判るように、ヒータの所望の抵抗は、ある場合には、抵抗率ρに基づいて材料を選択することによって達成でき、より大きい抵抗率を有する材料は、より大きな抵抗をもたらす。さらに、ヒータの抵抗を決定するために、ヒータの幾何形状が選択できる。例えば、式(2)から判るように、より大きい長さ寸法を有するヒータは、より大きな抵抗を有する(例えば、より長い導電性ワイヤ、電流の流れ方向(例えば、2つのパワーリード間)における薄膜のより大きな長さ寸法)。ヒータに電流が流れる断面積Aは、式(2)を満たす実施形態によれば、抵抗に反比例する。そのためヒータの抵抗は、ヒータが導電性ワイヤを含む実施形態では、より薄い導電性ワイヤ(例えば、小さな直径または断面寸法を有するワイヤ)を使用することによって、増加できる。ヒータが薄膜であり、または薄膜を含む場合には、抵抗は、式(3)を用いて表現できる。
【0078】
ここで、tは薄膜の厚さ、wは電流の流れの方向(例えば、長さ寸法に対して垂直)に対して垂直な方向での薄膜の幅である。そのため薄膜の厚さおよび幅を含む薄膜の幾何形状は、特定の実施形態に従って、ヒータの抵抗を調整するために、物品の製造時に調整できる(例えば、薄膜の幅を変化させ、または薄膜の厚さを調整することによって)。
【0079】
ヒータの抵抗は、抵抗加熱(例えば、ジュール熱)が加熱の機構のうちの少なくとも1つとして使用される場合に重要となり得る。電力に換算して測定すると、抵抗加熱時に生成される熱は、一般に、電流の二乗に比例し、抵抗にリニアで比例する。従って、より大きな抵抗を有するヒータは、特定の実施形態に従って、ヒータを通過する所定の電流に対してより大きな加熱を提供するようになる。幾つかの実施形態では、ヒータは、比較的高い抵抗を有する。例えば、ある場合には、ヒータは、室温(23℃)で50Ω以上、60Ω以上、75Ω以上、100Ω以上、125Ω以上、150Ω以上、200Ω以上、及び/又は300Ωまで、400Ωまで、500Ωまで、1000Ωまで、またはそれ以上までの電気抵抗を有する。上記範囲の組合せが可能である。例えば、ある場合には、ヒータは、50Ω以上で1000Ω以下の電気抵抗を有する。
【0080】
幾つかの実施形態では、ヒータは、物品の特定の他のコンポーネント及び/又は物品を含む電気化学デバイスのコンポーネントから電子的に絶縁される(例えば、電子的に接続されない)。例えば、ある場合には、ヒータは、複数の個別電極セグメントに電子的に接続されていない。ヒータを個別電極セグメントから電子的に絶縁することは、充電時及び/又は放電時に、ヒータを通過する電流が、物品を含む電気化学デバイスの電気化学的動作と電子的に干渉するのを防止でき、同様に、ヒータを通過する電流が、電気化学的動作と電子的に干渉するのを防止できる。幾つかの実施形態では、ヒータは、電流コレクタドメインに電子的に接続されていない。電流コレクタドメイン(例えば、電流コレクタドメイン121)に接続されていないヒータを有することは、特定の実施形態によれば、物品を含む電気化学デバイスの動作および性能との干渉を回避できる。
【0081】
ヒータは、種々の方法を介して、物品の複数の個別電極セグメント及び/又は電流コレクタドメインに電子的に接続されるのを防止できる。例えば、ヒータは、図7Bに示すように、物品の端部に配置され、個別電極セグメントおよび電流コレクタドメインから物理的に絶縁できる。幾つかの実施形態(例えば、図7Aに示すように、ヒータが物品の内部に一体化している実施形態)では、ヒータと個別電極セグメント及び/又は電流コレクタドメインとの間に1つ以上の介在層を組み込むことによって、ヒータは、個別電極セグメント及び/又は電流コレクタドメインに電子的に接続されるのを防止できる。幾つかの実施形態では、ヒータの少なくとも一部が、電気絶縁材料でコーティングされる。例えば、ヒータは、ヒータの一部または全部に渡って被覆する電気絶縁性ポリマー被膜でコーティングしてもよく、電流コレクタドメインまたは個別電極セグメントと直接接触しないようにしてもよい。ある場合には、コーティング(例えば、保護ポリマーコーティング)がヒータ(例えば、薄膜ヒータまたは、導電性ワイヤを含むヒータ)に付与され、物品が電気化学デバイスに組み込まれる場合、ヒータが電解質から物理的に絶縁されるようにする。
【0082】
ある場合には、ヒータは、外部回路に電気的に接続される。例えば、ヒータは、特定の実施形態に従って、バッテリ制御システムおよび管理回路に対応する外部回路に接続してもよい(例えば、ヒータと接触するパワーリードを介して)。バッテリ制御システムは、バッテリ状態(例えば、温度、電流、圧力など)の特定の信号または読み取り値を受信すると、ヒータへの電流の印加を開始でき(例えば、電圧を印加することによって)、特定の実施形態に従って、これによりヒータに物品の少なくとも一部を加熱させる。ある場合には、ヒータは、より詳細に後述する1つ以上のセンサによって駆動されるように構成される。例えば、ヒータは、物品の基板に隣接する1つ以上のセンサから信号を受信するように構成されたバッテリ制御システムおよび管理回路に電子的に接続できる。1つ以上のセンサは、バッテリ制御システムに信号を送信するように構成でき(例えば、温度が温度閾値を上回るか、または圧力が圧力閾値を下回る場合)、これは、続いてヒータを駆動してその加熱を開始、停止または調整する信号を送信してもよい。
【0083】
幾つかの実施形態では、ここで説明する物品は、1つ以上のセンサを備える。特定の場合には、1つ以上のセンサは、物品の基板に隣接している。物品の中にセンサを組み込むことは、特定の実施形態によれば、物品が電気化学デバイス(例えば、バッテリ)の一部である場合など、物品の状態または性能を監視するのに有用となり得る。1つ以上のセンサは、少なくとも部分的に、電気化学デバイスの状態(例えば、温度、圧力)を検出することを可能にできる。ある場合には、基板に隣接する1つ以上のセンサは、物品の状態に応答するように構成される。図8Aは、物品(100)の状態(例えば、温度、圧力)に応答するように構成されたセンサ(160)を含む例示的な物品(100)を示す。ある場合には、1つ以上のセンサは、基板に直ぐに隣接しており(例えば、図8A図8Bに示すように、1つ以上のセンサと基板との間に介在する層または構造が存在しない基板に直接に付着され、コーティングされ、または真空蒸着される)、特定の場合には、基板ではない物品の1つ以上のコンポーネント(例えば、層)の上に直接配置されることが理解すべきである。図8Aは、複数のセンサ160を示し、特定の実施形態に従って、各々は、個別電極セグメント及び/又は離散電流コレクタセグメントに隣接する(しかし、直接接触していない)。幾つかの実施形態では、ヒータと基板との間の距離は、5mm以下、3mm以下、2mm以下、1mm以下、0.5mm以下、0.2mm以下、0.1mm以下またはそれ以下である。
【0084】
上述したヒータの場合と同様に、ある場合には、1つ以上のセンサは、物品構造内の1つ以上の個別電極セグメント及び/又は電流コレクタドメインのコンポーネントと置換する(即ち、「その場所を取る」)。例えば、個別電流コレクタセグメントが、製造時に基板に沿って周期的な場所に堆積される場合(例えば、スキップコーティングプロセスを介して)、1つ以上の場所がマスクでき、電流コレクタセグメントがそこに堆積されないように、そして後のステップでセンサが該1つ以上の場所に配置される(例えば、マスク除去ステップに続いて)。
【0085】
幾つかの実施形態では、1つ以上のセンサは、物品の1つ以上の端部の近くに配置される。例えば、幾つかの必ずしも全てではない実施形態では、個別電極セグメントまたは電流コレクタセグメントは、1つ以上のセンサと基板の端部との間に設置していない(基板の長軸に従った端部を参照している)。例えば、図8Bは、図8Aの記載に示すような内部場所とは対照的に、センサ160が物品100の端部の近くに位置決めされる非限定的な実施形態を示す。物品の端部のうちの1つまたはその近傍にセンサを配置することは、製造の容易さ(例えば、複雑なマスキングステップを潜在的に回避することによって)を支援でき、特定の必ずしも全てではない実施形態に従って、物品が折り曲げられた場合でも、センサへのアクセスを容易にする。しかしながら、特定の場合には、例えば、図8Aに示すように、内部場所に1つ以上のセンサを配置することは、物品の状態(例えば、個々の個別電極セグメントが受ける温度または圧力)に関する局所的な情報を検出し提供するのに有用となり得る。上述のように、より詳細に後述するように、ある場合には、物品は折り曲げ可能である。こうした場合、物品が折り曲げまれた場合、1つ以上のセンサは、物品の折り曲げ部分の間に位置決めされる。こうした構成は、特定の実施形態では、1つ以上のセンサが、物品及び/又は物品を含む折り曲げ電気化学デバイスの内部部分(例えば、折り目)の状態に容易に応答することを可能にする。
【0086】
幾つかの実施形態では、1つ以上のセンサのうちの少なくとも1つは、物品の温度に応答するように構成された温度センサである。例えば、図8Aは、特定の実施形態に従って、物品100の基板120に隣接するセンサ160を示す。ある場合には、温度センサは、物品の少なくとも一部の温度を測定できる。特定の場合には、温度センサは、センサの温度に基づいて変化し(電気信号を送信することによって)応答する。特定の場合には、温度センサは、特定の予め定められた温度以上または以下の温度が検出された場合に応答する。物品または物品を含む電気化学デバイスでの温度センサの組み込みは、特定の必ずしも全てではない実施形態に従って、ほぼ全体の物品の温度、あるいは、ある場合には、個々の個別電極セグメントの近くの温度の検出及び/又は監視を可能にする。
【0087】
温度センサは、幾つかの適切なタイプの温度センサのいずれでもよい。ある場合には、温度センサは熱電対であるか、または熱電対を含む。特定の場合には、温度センサはサーミスタであるか、またはサーミスタを含む。幾つかの実施形態では、温度センサは、抵抗温度検出器(RTD)であるか、または抵抗温度検出器(RTD)を含む。熱電対またはサーミスタは、例えば、商業的に取得され、物品に組み込まれてもよく、あるいは、熱電対は、物品自体の製造時に物品の中に組み込まれてもよい。幾つかの必ずしも全てではない実施形態では、温度センサは、薄膜であるか、または薄膜を含む。温度センサ(例えば、熱電対、サーミスタ、RTD)が、物品の製造時に製造される実施形態では、温度センサは、例えば、真空蒸着法(例えば、スパッタリング、蒸発)など、任意の数の適切な方法によって、物品の一部(例えば、基板または1つ以上の他の層)の上に形成できる。温度センサは、既知の抵抗対温度プロファイルを有する材料を含んでもよい。温度センサの材料の例は、以下に限定されないが、白金、ニッケル、銅、鉄またはこれらの組合せを含んでもよい。1つの非限定的な例では、温度センサは、既知の抵抗対温度プロファイルを有する材料(例えば、白金、ニッケル、銅、鉄)が堆積(例えば、サーペンタイン形状パターンで)される非導電層(例えば、セラミック層)を含むRTDである。既知の抵抗対温度プロファイルを有する材料は、外部回路(例えば、コンピュータシステム及び/又はバッテリ制御システム)に電子的に接続できる。
【0088】
幾つかの実施形態では、1つ以上のセンサのうちの少なくとも1つは、圧力センサである。例えば、再び図8Aを参照して、センサ160は、特定の実施形態に従って、圧力センサである。圧力センサは、物品が受ける圧力に応答するように構成できる。ある場合には、圧力センサは、物品の少なくとも一部が受ける圧力または力を測定できる。特定の場合には、圧力センサは、センサの圧力に基づいて変化する(例えば、電気信号を送信することによって)応答する。特定の場合には、圧力センサは、特定の予め定めた圧力以上または未満の圧力が検出された場合に応答する。物品またはその一部が受ける圧力を検出することは、幾つかの必ずしも全てではない実施形態に従って、物品を含む電気化学デバイスでの問題(例えば、バッテリスタックのサイクル中)を検出するために、あるいは、電気化学デバイスの損傷のリスク(例えば、電気化学デバイスに過剰な力が印加されている場合)を判定するために有用となり得る。
【0089】
圧力センサは、種々のタイプの適切な圧力センサのいずれでもよい。ある場合には、圧力センサは、静電容量式圧力センサである。静電容量式圧力センサの一例は、2つの電極を備え、2つの電極の間に位置決めされた電気絶縁性材料を備えたものである。電気絶縁材料は、既知の誘電率を有してもよい。特定の場合には、電気絶縁性材料は、電気絶縁性材料中に2つの電極を含む容量性センサに印加される力が、電気絶縁材料の厚さを変化させ、それにより2つの電極間の測定されるキャパシタンスを変化させるように構成される。例えば、ある場合には、2つの電極の間に位置決めされた電気絶縁性材料は、ポリマー材料である。ポリマー材料は、比較的軟らかく、既知の誘電率を有するものでもよい。ある場合には、圧力センサは、ストレインゲージであり、またはストレインゲージを含む。特定の実施形態では、圧力センサは、圧電センサまたはピエゾ抵抗センサを含む。こうしたセンサは、典型的には、材料の機械的変形に対する電荷または抵抗の変化を検出し測定できる外部電気回路に接続された圧電またはピエゾ抵抗材料を含む。特定の実施形態では、圧力センサは、薄膜であるか、または薄膜を含む。圧力センサの非限定的な例(例えば、薄膜の形態)は、文献(F.Schmaljohann, D.Hagedorn, and F.Loeffer."Thin Film Sensors for measuring small forces." Journal of Sensors and Sensor Systems. No.4, (Feb. 2015), 91-95)に記載されている。ある場合には、圧力センサは市販され、物品または物品を含む電気化学デバイスに取り付けられ、または接続される。しかしながら、ある場合には、圧力センサ(例えば、薄膜圧力センサ)は、物品の製造時に組み立てられる。こうした場合には、圧力センサは、真空蒸着、コーティングおよび硬化(例えば、ポリマー材料の場合)、印刷(例えば、インクジェット印刷、スクリーン印刷)、及び/又はスプレー法(例えば、エアロゾルスプレー法)によって形成される。
【0090】
幾つかの実施形態では、1つ以上のセンサは、物品の特定の他のコンポーネント及び/又は物品を含む電気化学デバイスのコンポーネントから電子的に絶縁される(即ち、電子的に接続されていない)。例えば、ある場合には、1つ以上のセンサは、複数の個別電極セグメントに電子的に接続されていない。1つ以上のセンサを個別電極セグメントから電子的に絶縁させることは、充電時及び/又は放電時に、1つ以上のセンサを通過する電流が、物品を含む電気化学デバイスの動作と干渉することを防止でき、同様に、ヒータを通過する電流が電気化学デバイスの動作と干渉することを防止できる。幾つかの実施形態では、1つ以上のセンサは、電流コレクタドメインと電子的に接続されていない。1つ以上のセンサを、電流コレクタドメイン(例えば、電流コレクタドメイン121)に電子的に接続させないことは、特定の実施形態に従って、物品を含む電気化学デバイスの動作および性能との干渉をも回避できる。
【0091】
1つ以上のセンサは、種々の方法を介して、物品の複数の個別電極セグメント及び/又は電流コレクタドメインに電子的に接続されるのを防止できる。例えば、1つ以上のセンサは、物品の端部に配置され、図8Bに示すように、個別電極セグメントおよび電流コレクタドメインから物理的に分離できる。幾つかの実施形態(例えば、図8Aに示すように、1つ以上のセンサが物品の内部に一体化される幾つかの実施形態)では、1つ以上のセンサと個別電極セグメント及び/又は電流コレクタドメインとの間に1つ以上の介在層を組み込むことによって、ヒータは、個別電極セグメント及び/又は電流コレクタドメインに電子的に接続されるのを防止できる。幾つかの実施形態では、1つ以上のセンサの少なくとも一部が、電気絶縁材料でコーティングされる。例えば、1つ以上のセンサは、1つ以上のセンサの一部または全部に渡って塗布する電気絶縁性ポリマーコーティングで塗布してもよく、電流コレクタドメインまたは個別電極セグメントと直接接触しないようする。ある場合には、コーティング(例えば、保護ポリマーコーティング)が1つ以上のセンサ(例えば、薄膜の温度センサまたは圧力センサ)に塗布され、物品が電気化学デバイスの中に組み込まれる場合に、1つ以上のセンサが電解質から物理的に絶縁されるようになる。
【0092】
ある場合には、1つ以上のセンサは、外部回路に電子的に接続される。例えば、1つ以上のセンサは、特定の実施形態に従って、バッテリ制御システムおよび管理回路に対応する外部回路(例えば、センサに接触するパワーリードを介して)に接続できる。バッテリ制御システムは、バッテリ状態の特定の信号または読み取り値を受信すると(例えば、1つ以上のセンサから)、ここで説明するヒータへの電流の印加を開始し(例えば、電圧を印加することによって)、それにより、特定の実施形態に従って、ヒータに物品の少なくとも一部を加熱させる。電気化学デバイスの一部である1つ以上のセンサに応答して受信された信号に少なくとも部分的に起因して、電気化学デバイスの一部であるヒータを用いて電気化学デバイスの少なくとも一部分を加熱することは、特定の必ずしも全てではない実施形態に従って、問題のある個別電極セグメントの迅速な電子的絶縁を可能にできる(例えば、熱誘導による基板の体積変化を介して)。他の非限定的な例として、バッテリ制御システムは、電気化学デバイスへの印加された圧力/力が閾値未満であることを示す信号を圧力センサから受信し、信号を受信すると、印加された圧力を増加させるために圧力アプリケータに信号を送信できる。
【0093】
幾つかの実施形態では、センサは、1つ以上のプロセッサと相互作用して、例えば、ここで説明する制御スキームのいずれかを実行できる。幾つかの実施形態では、1つ以上のプロセッサは、センサからの信号を処理するために使用でき、例えば、ここで説明する制御スキームのいずれかを実行できる。幾つかの実施形態では、バッテリ制御システム及び/又は管理回路は、1つ以上のプロセッサを備えることができる。適切なプロセッサの例は、以下でより詳細に説明される。
【0094】
幾つかの実施形態では、電流コレクタバスの厚さは、電流コレクタブリッジの少なくとも1つの厚さよりも大きい。例えば、図2Bに示すように、電流コレクタバス121は、厚さ161で示す厚さ寸法を有し、一方、電流コレクタブリッジ123は、厚さ162で示す厚さ寸法を有する。特定の実施形態によれば、厚さ161は厚さ162よりも大きい。電流コレクタブリッジが、電流コレクタブリッジの少なくとも1つよりも大きい厚さを有することは、特定の場合には、電流コレクタブリッジが、少なくとも1つの電流コレクタブリッジよりも機械的に堅牢(例えば、破壊を引き起こすのにより大きな印加力が必要である)にできる。例えば、ある場合には、基板の体積を変化させることにより、電流コレクタバスおよび少なくとも1つの電流コレクタブリッジの両方が機械的応力(例えば、張力、曲げ)を受ける。ある場合には、機械的応力により、電流コレクタバスの大きい厚さに起因して、電流コレクタブリッジが破壊し(例えば、最終的な引張破壊に起因して)、電流コレクタバスは破壊しない。こうしたシナリオは、電流コレクタバス自体が故障することなく、少なくとも1つの電流コレクタブリッジを介して電流コレクタバスに接続された個別電極セグメントが、基板の体積の変化の際、電子的に絶縁されることを可能にする。こうした場合、こうした物品を含む電気化学デバイスは、電極セグメントの少なくとも1つと電流コレクタバスとの間の電子的接続の喪失後に、依然として充電及び/又は放電できるようになる。さらに、電流コレクタバスの厚さが比較的大きいと、全体的な電流コレクタドメインについて減少した電気抵抗および増加した電流搬送能力が可能になる。
【0095】
幾つかの実施形態では、電流コレクタバスは、電流コレクタブリッジの少なくとも1つの厚さよりも少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、及び/又は50倍まで、75倍まで、または100倍まで大きい厚さを有する。
【0096】
幾つかの実施形態では、電流コレクタドメインの1つ以上のコンポーネントは、単一(unitary)構造の一部である。例えば、幾つかの実施形態では、電流コレクタバスおよび複数の電流コレクタセグメントは、単一構造の一部である。2つ以上のコンポーネントは、コンポーネントが同じ材料または一貫した材料の組合せ(例えば、単一の金属合金)で形成され破損していなければ、単一構造の一部である。換言すると、単一構造とは、互いに接触している複数の部品とは対照的に、単一の材料または一貫した材料の組合せで製作された単一ピースである。例えば、図2Aを参照して、特定の実施形態では、電流コレクタバス121および電流コレクタセグメント122を含む複数の電流コレクタセグメントは、単一構造の一部である。ある場合には、電流コレクタドメイン全体が単一構造を形成する。図2Aおよび図2Bを参照すると、電流コレクタバス121、電流コレクタセグメント122および電流コレクタセグメント122に関連する電流コレクタブリッジ123は、3つの別個のコンポーネントとして示しているが、特定の実施形態では、コレクタバス121、電流コレクタセグメント122および電流コレクタブリッジ123は、単一構造を形成する(例えば、銅金属または銅合金の単一構造)。ある場合には、各電流コレクタセグメントおよび、電流コレクタセグメントに関連する電流コレクタブリッジとは、単一構造の一部である。電流コレクタドメインの1つ以上のコンポーネント、例えば、電流コレクタバス、複数の電流コレクタセグメント、および電流コレクタセグメントに関連する電流コレクタブリッジなどを単一構造として形成することにより、物品の製造を簡略化できる。例えば、電流コレクタバスおよび複数の電流コレクタセグメントを単一構造の一部とすることにより、特定の製造工程を排除できる(例えば、電流コレクタブリッジおよび電流コレクタセグメントの同時製造を可能にすることによって)。
【0097】
幾つかの実施形態では、物品は、閾値電流(例えば、電流コレクタドメインを通過する放電電流または充電電流のいずれか)を超えると、電流コレクタブリッジの少なくとも1つが機械的に変形するように構成される。機械的変形は、ある場合には、電流コレクタブリッジの溶融(例えば、抵抗加熱)によって引き起こされてもよい。ある場合には、電流コレクタブリッジは、電流が閾値電流に到達することによる熱衝撃に起因して機械的に変形する。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの電流コレクタブリッジは、該電流コレクタブリッジに電子的に接続された電流コレクタセグメントが、電流コレクタバスに電子的に接続されないようにして機械的に変形する。こうした状況は、特定の実施形態によれば、電流コレクタブリッジが、過大な電流(即ち、閾値電流を超える電流)に起因して「吹き飛ばされ」、その結果、電流コレクタブリッジに沿った電流の流路が遮断されるように構成されている場合に生じ得る。
【0098】
ここで言及する閾値電流とは、(例えば、短絡に起因して)これに到達した場合に、少なくとも1つの電流コレクタブリッジの機械的変形を引き起こし、その結果、該電流コレクタブリッジに関連する電流コレクタセグメントが電流コレクタバスから切り離されるような電流である。幾つかの実施形態では、物品は、ここで参照する閾値電流が特定の電流範囲内に入るように構成される。例えば、物品は、電流コレクタブリッジと電流コレクタバスとの間の電子的接続の喪失(例えば、機械的変形に起因して)が、物品を含む電気化学デバイスの通常動作(例えば、短絡または熱暴走を伴わない通常の充電及び/又は放電)の間に発生しないように、閾値電流が充分に高いように構成できる。そのため物品は、物品の閾値電流が10A以上となるような特定の実施形態で構成できる。特定の電流範囲内に入る物品の閾値電流とは、少なくとも1つの電流コレクタブリッジの機械的変形の際、ここで説明する少なくとも1つの電子的デカップリングを受けるように物品が構成される特定の電流が、該範囲内に入ることを意味すると理解すべきである。100Aの閾値電流を有するように構成された物品が、100Aが10A以上の値の範囲内にあるため、閾値電流が10A以上である物品の一例である。
【0099】
幾つかの実施形態では、物品は、電流コレクタセグメントと電流コレクタバスとの間の電子的接続の喪失が、接続の喪失の前に、物品及び/又は物品を含む電気化学デバイスへの著しい損傷が生じないような充分に低い電流で生じるように、閾値電流が充分に低くなるように構成できる。そのため物品は、物品の閾値電流が120A以下となるような特定の実施形態で構成できる。他の非限定的な例として、90Aの閾値電流を有するように構成された物品が、90Aが120A以下の値の範囲内にあるため、閾値電流が120A以下である物品である。
【0100】
幾つかの実施形態では、ここで説明する物品およびシステムの1つ以上のコンポーネントは、連続構造である。ある構造の2つのセクション、層または部分の間の関係を記述するために使用される「連続(Continuous)」とは、第1のセクション、層または部分から第2のセクション、層または部分へ該構造だけを通過する少なくとも1つの経路が存在することを意味する。例えば、材料の連続シートが、異なる材料の上またはその周囲に折り曲げられ、連続シートの一部を残す2つ以上のセクションまたは部分を画定できる。理由は、第1セクションから第2セクションへのシートだけを通過する少なくとも1つの経路(例えば、第1セクションから折り目付近に沿って第2セクションに至る経路)が存在するためである。図10A~10Bを参照して、電気化学デバイス400Bの第1アノード部分431、第2アノード部分432、および折り曲げアノード領域435は、構造(例えば、アノード)のセクションであり、構造は、第1アノード部分431および第2アノード部分432に関して連続している。理由は、第1アノード部分431から折り曲げアノード領域435を通って第2アノード部分432へ、第1アノード部分431、第2アノード部分432および折り曲げアノード領域435を含む構造のみを通過する経路が存在するためである。これ対して図9A図9Bを参照すると、電気化学デバイス400Aの第1アノード部分431から第2アノード部分432は連続していない。理由は、第1アノード部分431から第2アノード部分432までの何れの経路も、第1アノード部分431および第2アノード部分432を含まない少なくとも1つの構造(例えば、セパレータ450、第1カソード部分531、ギャップ405)を通過する必要があるためである。
【0101】
幾つかの実施形態では、電流コレクタバスは連続層である。例えば、図1を参照すると、電流コレクタバス121は、複数の個別の層またはセクションで形成されるのとは対照的に、連続層である。連続電流コレクタバスを有することは、種々の理由で有用となり得る。例えば、電流コレクタバスの1つのセクションで、電流コレクタバスと外部回路のコンポーネントとの間の電気的接続の喪失(例えば、破壊に起因して)は、連続的な導電経路に起因して、電流コレクタバスの他のセクションでの電気的接続を形成する、該セクションでの電流コレクタバスと外部回路のコンポーネントとの間の電子的接続の喪失を必ずしも妨害しない。例えば、図1を参照すると、特定の実施形態によれば、電極タブなどの外部コンポーネントへの電気的接続が、電流コレクタバス121のセクション203およびセクション205で行われる。個別電極セグメント130aで発生した電流は、電流コレクタバス121のセクション203またはセクション205のいずれかで外部コンポーネントに伝送できる。電流コレクタバス121が連続しているため、電流コレクタバス121とセクション203での外部コンポーネントとの間の電気的接続の喪失は、個別電極セグメント130aで発生する電流の外部回路への伝送を妨害しない。理由は、個別電極セグメント130aが、セクション205において電流コレクタバス121にいまだ電気的に接続されているためである。
【0102】
ここで説明する物品およびシステムの他のコンポーネントは、上述したように、連続的でもよい。例えば、物品の基板は連続的でもよい。図1を参照すると、特定の実施形態によれば、基板120の任意の2つのセクションが連続している。連続した基板を有することにより、ここで説明する物品、そしてマルチセルバッテリの簡略化された製造を可能にする。例えば、基板が連続している場合、ここで説明する物品は、電流コレクタドメインおよび複数の個別電極セグメントを単一の連続基板の上に取り付けることによって(例えば、コーティングまたは堆積により)製造できる。個別電極セグメント、基板セグメント及び/又は電流コレクタドメインのコンポーネントを個別に製造し、そしてそれらを取り付ける(例えば、物品またはバッテリスタックを形成する)必要があるものではない。連続的にできるここで説明するシステムの他のコンポーネントは、いかに限定されないが、以下に詳細に説明するように、物品を含む電気化学デバイスのセパレータ及び/又は第2電極を含む。
【0103】
ここで説明する物品は、いずれか適切な方法に従って製造できる。基板が連続している場合、電流コレクタドメイン及び/又は個別電極が基板上に形成される。電流コレクタドメイン(電流コレクタバスおよび任意の電流コレクタセグメントおよび電流コレクタブリッジを含む)そして複数の個別電極セグメントを形成するために使用できる技術の非限定的な例、は、コーティングおよび堆積方法、例えば、鋳造(casting)、蒸発堆積、真空蒸着、スピンコーティング法などを含む。適切な真空蒸着の1つの非限定的な例はスパッタリングである。
【0104】
物品を形成する例示的で非限定的な方法の1つは、適切な材料(例えば、ポリビニルアルコール)を含む剥離層を含む基板を用いて開始することを含む。そしてマスクが基板上にパターン形成でき、基板上に金属(例えば、銅)の薄層がコーティングされる場合、基板の領域(即ち、ボイド/ギャップ)が金属で直接コーティングされないようにする。電流コレクタドメインの少なくとも一部を形成する金属のコーティングに続いて、電極活物質(例えば、リチウム及び/又はリチウム合金)を、金属層の上(例えば、電流コレクタセグメントに対応する金属層の領域上)に被覆または堆積できる。マスク材料からの基板の後続の剥離は、特定の実施形態によれば、ここで説明する物品が得られる。ある場合には、基板上のマスクのパターニングは、被覆された金属の領域が電流コレクタブリッジに対応するように設計され、ある場合には、金属(例えば、銅金属)は、連続的に物品のエッジにおいてより大きな厚さとなるように堆積され、電流コレクタドメインの他のコンポーネントと比較して、増加した厚さを備える電流コレクタバスを作成するように設計される。
【0105】
マルチセルバッテリを製造する場合、連続基板及び/又は連続電流コレクタバスの使用により、積層配置を有するバッテリを製造することに関連する煩雑な工程を回避でき、その結果、より速くより容易で、より安価な製造プロセスをもたらす。例えば、連続基板(例えば、剥離層)(その上に物品の他のコンポーネント(例えば、電流コレクタドメインおよび複数の個別電極セグメント)が堆積または被覆できる)を有することにより、別個の積層セルを切断し、それらを配置し、多数の外部電気接点を形成する必要性を除去する。
【0106】
幾つかの実施形態では、物品は、折り曲げてもよい。1つ以上のコンポーネント(例えば、基板、電流コレクタバス)が連続している場合、物品を折り曲げることが特に有用となり得る。図2Cは、連続基板120を含む未折り曲げ物品100(例えば、折り曲げ前)の概略側面図を示す。図5は、特定の実施形態に係る部分的に折り曲げられた物品100の側面図(図5に示す2つのブロック矢印に従う折り曲げを含む全部折り曲げともに)を示す。明確さのために、電流コレクタバス121は図5の物品100から省略されていることに留意する。物品を折り曲げることは、個別電極セグメント及び/又は電流コレクタセグメントの間の空隙/間隙において基板を折り曲げることを含んでもよい。再び図5を参照して、基板120は、電流コレクタセグメント122を含む複数の電流コレクタセグメントの各電流コレクタセグメント間の空隙で折り曲げられる。こうした物品を折り曲げる際に、「両面」電極が形成され、両面電極の各面は、個別電極セグメント(例えば、複数の個別電極セグメント130からの個別電極セグメント)を含む。両面電極の使用は、比較的高い体積エネルギー密度を備えたバッテリを提供でき、これは多くの用途において望ましいことになる。
【0107】
別の態様では、電気化学デバイスを説明する。幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、少なくとも1つのアノードと、少なくとも1つのカソードとを備える。電流コレクタバスおよび複数の個別電極セグメントを含む上述した物品は、折り曲げ式電気化学デバイスに含まれてもよいが、他の電極幾何形状および構成が、折り曲げ式電気化学デバイスにおいて使用できることは理解すべきである。ある場合には、電気化学デバイスは、セパレータ(例えば、連続形状またはサーペンタイン(蛇行)形状のセパレータ)を含む。電気化学デバイスは、ある場合には、バッテリ(例えば、再充電可能なリチウムバッテリなどのマルチセルバッテリ)として有用になる。上述したように、ある場合には、電気化学デバイスが折り曲げまれる。幾つかの必ずしも全てではない場合では、折り曲げ式電気化学セルは、製造するのがより容易で及び/又はより経済的であり、折り曲げ設計ではなく、スタック設計で形成された電気化学デバイスと比較した場合、比較的高い体積エネルギー密度を有することができる。
【0108】
幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、複数の電極部分を備える。例えば、幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、複数のアノード部分を備える。電気化学デバイスの各アノード部分は、アノード活性表面部分を含むことができる。ある場合には、電気化学デバイスは、第1アノード活性表面部分を含む第1アノード部分と、第2アノード活性表面部分を含む第2アノード部分と、第3アノード活性表面部分を含む第3アノード部分と、第4アノード活性表面部分を含む第4アノード部分とを備える。ある実施形態では、第1アノード部分、第2アノード部分、第3アノード部分および第4アノード部分の各々は、アノード活物質としてリチウム及び/又はリチウム合金を含む。
【0109】
幾つかの実施形態では、電気化学デバイスのアノード部分の少なくとも幾つかは、離散的(例えば、個別電極)である。例えば、幾つかの例では、第1アノード部分、第2アノード部分、第3アノード部分および第4アノード部分の各々は離散的である。図9Aを参照して、明確さのために、部分的に展開された電気化学デバイスの概略断面図を示しており、電気化学デバイス400Aは、第1アノード活性表面部分441を含む第1アノード部分431と、第2アノード活性表面部分442を含む第2アノード部分432と、第3アノード活性表面部分443を含む第3アノード部分433と、第4アノード活性表面部分444を含む第4アノード部分434とを備える。図9Aの電気化学デバイス400Aの特定の実施形態によれば、第1アノード部分431、第2アノード部分432、第3アノード部分433および第4アノード部分434の各々は離散的である。こうした離散的なアノード部分は、幾つかの場合には、スキップコーティングにより、または1つ以上のマスクの使用と連結した堆積技術(例えば、スパッタリングなどの蒸着、真空堆積)を用いて製造できる。
【0110】
幾つかの実施形態では、電気化学デバイス(例えば、折り曲げ式電気化学デバイス)は、連続アノードを含む。例えば、図10Aを参照すると、電気化学デバイス400Bは、連続アノード430を含む。電気化学デバイスのアノード部分は、連続アノードの一部でもよい。例えば、ある実施形態では、第1アノード部分、第2アノード部分、第3アノード部分および第4アノード部分は、連続アノードの一部である。図10Bを参照すると、第1アノード部分431、第2アノード部分432、第3アノード部分433および第4アノード部分434は、それぞれ連続アノード430の一部である。上述したように、第1アノード部分431および第2アノード部分432は、連続アノードの一部である。それは、少なくとも、第1アノード部分431および第2アノード部分432を含む構造(例えば、アノード)の一部である、第1アノード部分431と第2アノード部分432との間にある経路(例えば、折り曲げアノード領域435を介して)が存在するためである。上述したように、幾つかの必ずしも全てではない場合では、連続電極(例えば、連続アノード)が、折り曲げ式電気化学デバイス(例えば、マルチセルバッテリ)を提供できる。その製造および電気的接続の確立は比較的容易かつ安価である。
【0111】
電気化学デバイスのアノード部分(例えば、第1アノード部分、第2アノード部分など)の間の区別は、ある場合には、電気化学デバイス内の折り目によって確立できる。例えば、ある場合には、連続アノードの少なくとも一部が折り曲げまれ、折り目の一方の面でのアノード(例えば、第1アノード部分)のセクション、および折り目の他方の面でのアノード(例えば、第2アノード部分)のセクションを確立する。他の場合には、電気化学デバイスのアノード部分間の区別は、別個のアノード部分であるアノード部分によって確立される。こうした場合には、別個のアノード部分は、折り目によって分離した電気化学デバイスのセクションに設置される。
【0112】
幾つかの実施形態では、折り曲げ電気化学セルの特定のアノード部分の活性表面部分は互いに向かい合う。例えば、ある場合には、第2アノード表面部分は、第1アノード活性表面部分に面している。図9Bは、例示的な電気化学デバイス400Aの断面図を示し、特定の実施形態に従って、第2アノード活性表面部分442が第1アノード活性表面部分441に面している。ある場合には、第4アノード活性表面部分は、第1アノード活性表面部分および第3アノード活性表面部分の両方に面している。こうした場合、第3アノード部分は、第1アノード部分と第4アノード部分との間に少なくとも部分的に位置決めされる。図9Bは、電気化学デバイス400Aのある実施形態を示し、第3アノード部分433が、第1アノード部分431と第4アノード部分434との間に少なくとも部分的に位置決めされ、第4アノード活性表面部分444が、第1アノード活性表面部分441および第3アノード活性表面部分443の両方に面している。
【0113】
ここで使用されるように、表面および物体が実質的に平行である場合に、表面(または表面部分)が物体と「面する」と言われ、表面を含む材料のバルクから離れて垂直な方向に延びるラインは、物体と交差する。例えば、第1表面(または第1表面部分)および第2表面(または第2表面部分)は、第1表面に垂直であり、第1表面を含む材料のバルクから離れて延びるラインが、第2表面と交差する場合、互いに向かい合うことができる。表面および層は、表面に垂直であり、表面を含む材料のバルクから離れて延びるラインが、層と交差する場合、互いに向かい合うことができる。表面が、他の物体と接触している場合、または1つ以上の中間材料が表面と他の物体との間に位置決めされた場合、他の物体に向かい合うことができる。例えば、互いに向かい合う2つの表面は、接触することができ、または、それらの間に1つ以上の中間材料を含むことができる。
【0114】
ある場合には、折り曲げ式電気化学デバイスの特定のアノード部分の活性表面部分は、互いに背を向けている。例えば、ある場合には、第3アノード活性表面部分は、第1アノード活性表面部分および第2アノード活性表面部分の両方から背を向けている。図9Bは、第3アノード活性表面部分443を示し、これは第1アノード活性表面部分441および第2アノード活性表面部分442の両方から背を向けている。
【0115】
ここで使用されるように、表面(または表面部分)が、表面および物体が実質的に平行であり、表面を含む材料のバルクに垂直であり、そこから離れて延びるラインが物体と交差しない場合、物体から「背を向けている」と言われる。例えば、第1表面(または第1表面部分)および第2表面(または第2表面部分)は、第1表面に垂直で、第1表面を含む材料のバルクから離れて延びるラインが第2表面と交差しない場合、互いから背を向けることができる。表面および層は、表面に垂直で、表面を含む材料のバルクから離れて延びるラインが層と交差しない場合、互いから背を向けることができる。幾つかの実施形態では、表面および他の物体(例えば、他の表面、層など)は、表面および物体によって定義される最大角度が、約10°未満、約5°未満、約2°未満、または約1°未満であれば、実質的に平行となり得る。
【0116】
幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、複数のカソード部分を備える。電気化学デバイスの各カソード部分は、カソード活性表面部分を含んでもよい。ある場合には、電気化学デバイスは、第1カソード活性表面部分を含む第1カソード部分と、第2カソード活性表面部分を含む第2カソード部分と、第3カソード活性表面部分を含む第3カソード部分と、第4カソード活性表面部分を含む第4カソード部分とを含む。
【0117】
幾つかの実施形態では、電気化学デバイスのカソード部分の少なくとも幾つかは、離散的(例えば、個別電極)である。例えば、幾つかの例では、第1カソード部分、第2カソード部分、第3カソード部分および第4カソード部分の各々は離散的である。図9Aを参照して、電気化学デバイス400Aは、カソード活性表面部分541を含む第1カソード部分531と、第2カソード活性表面部分542を含む第2カソード部分532と、第3カソード活性表面部分543を含む第3カソード部分533と、第4カソード活性表面部分544を含む第4カソード部分534とを備える。図9Aの電気化学デバイス400Aの特定の実施形態によれば、第1カソード部分531、第2カソード部分532、第3カソード部分533および第4カソード部分534の各々は離散的である。こうした離散的なカソード部分は、スキップコーティングにより、または1つ以上のマスクの使用と連結した堆積技術(例えば、スパッタリングなどの蒸着、真空堆積)を用いて製造できる。
【0118】
幾つかの実施形態では、電気化学デバイス(例えば、折り曲げ式電気化学デバイス)は、連続カソードを含む。電気化学デバイスのカソード部分は、連続カソードの一部でもよい。例えば、ある実施形態では、第1カソード部分、第2カソード部分、第3カソード部分および第4カソード部分は、連続カソードの一部である。図9A図10Bには明示的に図示していないが、第1カソード部分531、第2カソード部分532、第3カソード部分533および第4カソード部分544は、特定の実施形態に従って、連続カソードの一部にできる。
【0119】
上述したアノード部分と同様に、電気化学デバイスのカソード部分の間の区別は、ある場合には、電気化学デバイス内の折り目によって確立できる。例えば、ある場合には、連続カソードの少なくとも一部が折り曲げられ、折り目の一方の面でのカソード(例えば、第1カソード部分)のセクション、および折り目の他方の面でのカソード(例えば、第2カソード部分)のセクションを確立する。他の場合には、電気化学デバイスのカソード部分間の区別は、別個のカソード部分であるカソード部分によって確立される。こうした場合には、別個のカソード部分は、折り目によって分離した電気化学デバイスのセクションに配置される。
【0120】
幾つかの実施形態では、2つの電極部分は、両面電極を形成するように配置でき、第1面および第1面から背を向けている第2面を備え、両方の面は、電極活物質および活性表面を含む。例えば、ある場合には、ここで説明する折り曲げ式電気化学デバイスは、両面カソードを含んでもよい。1つの非限定的な例は、第1カソード部分と第2カソード部分とを含む電気化学デバイスであり、第1カソード部分は、両面カソードの第1面の少なくとも一部を形成し、第2カソード部分は、両面カソードの第2面の少なくとも一部を形成する。こうした配置は、第1カソード部および第2カソード部が離散的なカソードである場合、または、第1カソード部および第2カソード部が連続カソードの一部である場合に可能である。図9Bを参照して、例えば、第1カソード部分531および第2カソード部分532は、両面カソード530を形成し、特定の実施形態に従って、第2カソード活性表面部分542から背を向けている第1カソード活性表面部分541を含む。
【0121】
幾つかの実施形態では、折り曲げ電気化学セルの特定のカソード部分の活性表面部分は、特定のアノード活性表面部分に面している。例えば、幾つかの例では、第1カソード活性表面部分は、第1アノード活性表面部分に面している。図9B図10Bは、例示的な電気化学デバイス400Aおよび例示的な電気化学デバイス400Bの断面図をそれぞれ示し、第1カソード活性表面部分541は、ある実施形態に従って、第1アノード活性表面部分441に面している。幾つかの場合において、第2カソード活性表面部分は、第2アノード活性表面部分に面し、第3カソード活性表面部分は、第3アノード活性表面部分に面し、第4カソード活性表面部分は、第4アノード活性表面部分に面している。幾つかの必ずしも全てではない実施形態では、ここで説明するように個々のカソード活性表面部分およびアノード活性表面部分が互いに面することにより、製造するのが比較的容易であり、体積エネルギー密度の高い構成である複数の電気化学セル(例えば、電解質の添加時)を備えることができる折り曲げ式電気化学デバイスが得られる。
【0122】
上述し、そして以下に詳細に説明するように、幾つかの実施形態では、電気化学デバイスはセパレータを含む。例えば、図9A図9B図10A図10Bは、例示的な電気化学デバイス400Aおよび例示的な電気化学デバイス400Bをそれぞれ示し、その各々がセパレータ450を含む。幾つかの場合、例えば、電気化学デバイスが折り曲げられる実施形態において、セパレータも同様に折り曲げられる。ある場合には、セパレータは、セパレータの第1部分が第1アノード部分と第1カソード部分との間にあるように配置される。例えば、図9Bを参照すると、セパレータ450の第1部分451は、第1アノード部分431と第1カソード部分531との間にある。ある場合には、セパレータは、複数のアノード部分と複数のカソード部分との間に位置決めされるように配置される。例えば、幾つかの実施形態では、セパレータは、セパレータの第1部分が第1アノード部分と第1カソード部分との間にあるように、セパレータの第2部分が第2アノード部分と第2カソード部分との間にあるように、セパレータの第3部分が第3アノード部分と第3カソード部分との間にあるように、セパレータの第4部分が第4アノード部分と第4カソード部分との間にあるように配置される。例えば、図9Bを参照して、セパレータ450の第1部分451は、第1アノード部分431と第1カソード部分531との間にあり、セパレータ450の第2部分452は、第2アノード部分432と第2カソード部分532との間にあり、セパレータ450の第3部分453は、第3アノード部分433と第3カソード部分533との間にあり、セパレータ450の第4部分454は、第4アノード部分434と第4カソード部分534との間にある。こうした配置も、連続アノード430を含む図10Bの電気化学デバイス400Bに示されている。電気化学デバイスのセパレータは、ある場合には、サーペンタイン形状セパレータでもよい。例えば、図9Bのセパレータ450は、特定の実施形態に従って、サーペンタイン形状セパレータである。サーペンタイン形状セパレータおよび他の連続セパレータは、幾つかの必ずしも全てではない実施形態では、電気化学反応のための電気的絶縁性でかつイオン伝導性の経路を提供しつつ、短絡などの問題を防止するために、折り曲げ式電気化学デバイスにおいて、製造するのが比較的容易で有効なコンポーネントを提供できる。
【0123】
幾つかの実施形態では、ここで説明する電気化学デバイスは、特定の順序で配置されたコンポーネントを含む。例えば、電気化学デバイスは、複数のアノード部分と、複数のカソード部分と、セパレータ(例えば、サーペンタイン形状セパレータ)とを備えてもよく、電気化学デバイスは、下記の順に配置される、第1アノード活性表面部分を含む第1アノード部分と、第1セパレータ部分と、第1カソード活性表面部分を含む第1カソード部分と、第2カソード活性表面部分を含む第2カソード部分と、第2セパレータ部分と、第2アノード活性表面部分を含む第2アノード部分と、第3アノード活性表面部分を含む第3アノード部分と、第3セパレータ部分と、第3カソード活性表面部分を含む第3カソード部分と、第4カソード活性表面部分を含む第4カソード部分と、第4セパレータ部分と、第4アノード活性表面部分を含む第4アノード部分とを備える。図9B図10Bは、例示的な電気化学デバイス400Aおよび例示的な電気化学デバイス400Bをそれぞれ示しており、その各々は、こうした順序で配置されたこうしたコンポーネントを含む。具体的には、図9Bでは、図の左側から図の右側へ、電気化学デバイス400Aは、下記の順で配置された、第1アノード活性表面部分441を含む第1アノード部分431と、第1セパレータ部分451と、第1カソード活性表面部分541を含む第1カソード部分531と、第2カソード活性表面部分542を含む第2カソード部分532と、第2セパレータ部分452と、第2アノード活性表面部分442を含む第2アノード部分432と、第3アノード活性表面部分443を含む第3アノード部分433と、第3セパレータ部分453と、第3カソード活性表面部分543を含む第3カソード部分533と、第4カソード活性表面部分544を含む第4カソード部分534と、第4セパレータ部分454と、第4アノード活性表面部分444を含む第4アノード部分434とを備える。
【0124】
上述し、そして以下でより詳細に説明するように、幾つかの必ずしも全てではない場合には、電気化学デバイスは基板を含む。例えば、ある場合には、1つ以上の電極が基板上に形成される(任意には、1つ以上の介在層(例えば、電流コレクタ)とともに)。ある場合には、複数のアノードの1つ以上が基板上に形成される。再び図9Aを参照して、例示的な電気化学デバイス400Aは、ある実施形態に従って、基板420を含む。幾つかの必ずしも全てではない実施形態では、基板は、複数のアノード部分のうちの1つまたは複数に隣接している。例えば、ある場合には、電気化学デバイスは、第1アノード部分、第2アノード部分、第3アノード部分および第4アノード部分の各々に隣接する基板を含む。再び図9Bを参照して、基板420は、第1アノード部分431、第2アノード部分432、第3アノード部分433および第4アノード部分434の各々に隣接している。
ある実施形態では、電気化学デバイスの基板は連続的である。例えば、図9Aの基板420は、ポリマー(例えば、剥離層)を含む連続シートでもよく、その上に電気化学デバイスの1つ以上のコンポーネント、例えば、電流コレクタ(例えば、電流コレクタドメイン)及び/又は第1アノード部分431、第2アノード部分432、第3アノード部分433および第4アノード部分434が形成される。幾つかの実施形態では、基板(例えば、基板420は、以下にさらに詳細に説明する剥離層であり、またはこれを含む。ある場合には、電気化学デバイスが折り曲げられると、基板またはその一部が、電気化学デバイスの特定のコンポーネントの間に位置する。ある場合には、基板の一部は、第2アノード部分と第3アノード部分との間にある。例えば、図9Bの折り曲げ式電気化学デバイス400Aまたは図10Bの折り曲げ式電気化学デバイス400Bでは、基板部分421は、第2アノード部分432と第3アノード部分433との間にある。
【0125】
ここで説明する電気化学デバイス(例えば、折り曲げ式電気化学デバイス)は、上述したように、1つ以上の電流コレクタを含んでもよい。ある場合には、電気化学デバイスは、アノード電流コレクタを含む。アノード電流コレクタは、電気化学デバイスのアノード及び/又は複数のアノード部分に電子的に接続できる。ある場合には、電気化学デバイスのアノード部分の各々は、個別電流コレクタ(例えば、別個の個別電流コレクタ)に電子的に接続される。しかしながら、ある場合には、電気化学デバイスは、第1アノード部分、第2アノード部分、第3アノード部分および第4アノード部分の各々に電子的に接続されたアノード電流コレクタを含む。図9A図9Bおよび図10Bの各々は、アノード電流コレクタ425を含む電気化学デバイスを示す。特定の場合には、アノード電流コレクタ(425)は、第1アノード部分431、第2アノード部分432、第3アノード部分433および第4アノード部分(434)の各々に電子的に接続される。特定の場合には、こうしたアノード電流コレクタは、連続的なアノード電流コレクタである。例えば、図9A図9Bおよび図10A図10Bのアノード電流コレクタ425は、特定の実施形態に従って連続的である。ある特定の電流コレクタ構成(例えば、複数の電流コレクタセグメントと電流コレクタブリッジとを含む電流コレクタドメインを備える)が本開示で説明しているが、特定の場合には、アノード電流コレクタは、他の構成を含んでもよいことは理解すべきである。例えば、ある場合には、アノード電流コレクタは、電子的に導電性の材料の層であり、その一部は、第1アノード部分、第2アノード部分、第3アノード部分および第4アノード部分に隣接している(例えば、直接に隣接するか、または1つ以上の介在層を備える)。
【0126】
幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、複数のカソード電流コレクタ及び/又はカソード電流コレクタ部分を含む。1つの非限定的な例として、電気化学デバイスは、第1カソード部分に電子的に接続された第1カソード電流コレクタと、第3カソード部分に電子的に接続された第2カソード電流コレクタとを含んでもよい。図9Bを参照して、電気化学デバイス400Aは、特定の実施形態に従って、任意の第1カソード電流コレクタ部524および任意の第2カソード電流コレクタ部526を含む。ある場合には、第1カソード電流コレクタ部分および第2カソード電流コレクタ部分は、連続的なカソード電流コレクタの一部である。こうした連続的なカソード電流コレクタの使用は、上述し後述する他の連続的なコンポーネントの場合と同様に、幾つかの必ずしも全てではない実施形態に従って、折り曲げ式電気化学デバイスのカソード部分に電気的接続を形成するための容易な製造および便利な配置を提供できる。第1カソード電流コレクタ部524および第2カソード電流コレクタ部526は、図9Bおよび図10Bの連続カソード電流コレクタの一部として示していないが、幾つかの必ずしも全てではない実施形態では、第1電流コレクタ部524および第2カソード電流コレクタ部526は、連続カソード電流コレクタの一部であることを理解すべきである。例えば、図9Aおよび図10Aは、部分的に展開した電気化学デバイス400Aおよび電気化学デバイス400Bをそれぞれ示しており、特定の実施形態に従って、連続的なカソード電流コレクタ525を示す。しかしながら、ある場合には、第1カソード電流コレクタ部分および第2カソード電流コレクタ部分は離散的である。例えば、幾つかの必ずしも全てではない実施形態では、第1カソード電流コレクタ部524および第2カソード電流コレクタ部526は、離散的な電流コレクタである。ある場合には、電気化学デバイスは、第1カソード部分に電子的に接続された第1カソード電流コレクタと、第3カソード部分に電子的に接続された第2カソード電流コレクタとを含む。例えば、特定の実施形態によれば、第1電流コレクタ部分524は、第1カソード部分531に電子的に接続され、第2カソード電流コレクタ526は、第3カソード部分533に電子的に接続される。
【0127】
ここで説明し図示する電気化学デバイスの幾つかは、ある数のコンポーネント(例えば、4つのアノード部分および4つのカソード部分)を用いて説明しているが、ここで説明するコンポーネントの数は非限定的であることは理解すべきである。例えば、電気化学デバイスは、第5(または第6以上)アノード活性表面部分を含む第5(または第6以上)アノード部分と、第5(または第6以上)アノード活性表面部分に面する第5(または第6以上)カソード活性表面部分を含む第5(または第6以上)カソード部分とを備えてもよい。さらに、電気化学デバイスは、「W字状」折り目(例えば、3つの折り目を有する)として示しているが、ある場合には、電気化学デバイスは、追加の折り目(および追加のアノード部分およびカソード部分)を含んでもよい。例えば、幾つかの例では、電気化学デバイスは、少なくとも3つの折り目、少なくとも4つの折り目、少なくとも5つの折り目、少なくとも10個の折り目、及び/又は、最大で12個の折り目、最大15個までの折り目、最大20個までの折り目を有する。
【0128】
特定の実施形態では、電気化学デバイス(例えば、折り曲げ式電気化学デバイス)は、特定のアノード活物質または特定の幾何形状の使用に関連する問題を回避するように構成され配置される。非限定的な例として、電気化学デバイスの1つ以上のアノードは、アノード活物質としてリチウム及び/又はリチウム合金を含んでもよく、これは、ある条件下でデンドライト(樹枝状結晶)を形成できる。他の非限定的な例として、電気化学デバイスの1つ以上のアノードは、アノードの特定の領域において不均一利用または過剰利用を受けることがある。ある場合には、アノード(例えば、アノード部分)の寸法及び/又は配向は、幾つかのこうした問題(例えば、特定の領域での不均一利用または過剰利用)に対処するために構成される。
【0129】
ある種のアノード材料に関連する特定の問題を回避するためのこうした方法の1つは、電気化学デバイスのカソードに対して「特大サイズ」アノード(または複数のアノード)を使用することである。ここで説明する電気化学デバイス(例えば、折り曲げ式電気化学デバイス)の幾つかでは、カソード(例えば、カソード部分)の周囲の比較的高い割合がアノード活性表面で重なり合うように電気化学デバイスを構成することによって、「特大サイズ」アノードが達成される。具体的には、幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、電気化学デバイスの全カソード活性表面の周囲の合計によって定義される累積カソード活性表面周囲を備える。複数のカソード部分が離散的である場合、電気化学デバイスの累積カソード活性表面周囲は、カソード部分の各々のカソード活性表面の周囲の合計によって定義される。例えば、図11を参照して、例示の電気化学デバイスのカソードだけが、カソード活性表面655を有する個別カソード部分650、カソード活性表面665を有する個別カソード部分660、およびカソード活性表面675を有する個別カソード部分670である場合、電気化学デバイスの累積カソード活性表面周囲は、カソード活性表面655の周囲(即ち、カソード周囲セグメント651+カソード周辺セグメント652+カソード周辺セグメント653+カソード周辺セグメント654)、カソード活性表面665の周囲(即ち、カソード周辺セグメント661+カソード周辺セグメント662+カソード周囲セグメント663+カソード周囲セグメント664)と、カソード活性表面675の周囲(即ち、カソード周囲セグメント671+カソード周囲セグメント672+カソード周囲セグメント673+カソード周囲セグメント674)との合計である。
【0130】
別の例として、電気化学デバイスが単一の連続カソードを含む場合、電気化学デバイスの累積カソード活性表面周囲は、該連続カソードのカソード活性表面の周囲である。例えば、図11Bを参照して、例示のデバイスのカソードだけが、カソード活性表面685を有するカソード680である場合、累積カソード活性表面周囲は、カソード周囲セグメント681、カソード周囲セグメント682、カソード周囲セグメント683およびカソード周囲セグメント684の合計である。
【0131】
幾つかの実施形態では、電気化学デバイスの累積カソード活性表面周囲の比較的高い割合が、アノード活性表面によって重なり合う。こうした構成は、幾つかの必ずしも全てではない場合、折り曲げ式電気化学デバイスにおける、例えば、デンドライト形成などのある種の問題を軽減するのに有用となり得る。カソード活性表面の周囲上のあるポイントが、そのポイントと交差し、カソード周囲に対して垂直であるライン上に、カソード周囲の内側にあるポイント、およびアノード活性表面で覆われているカソード周辺の外側にあるポイントが存在する場合に、アノード活性表面によって重なり合う。換言すると、カソード活性表面の周囲にあるポイントが、カソード活性表面周囲ポイントに到達しないか、またはカソード活性表面周囲ポンイトで直接停止するのではなく、アノード活性表面がカソード活性表面周囲を越えて「延びている」場合、アノード活性表面によって重なり合う。
【0132】
図12は、カソード活性面640(グレー陰影で示す)の上面図である。カソード活性面640の少なくとも一部が、アノード活性面740(対角ハッチングで示す)に面している。図12において、カソード周囲セグメント632(ポイントaからポイントbまで及ぶ)と、カソード周囲セグメント634(ポイントeからポイントfまで及ぶ)は、実線の太い黒線で示すように、アノード活性面740によってそれぞれ重なり合う。一方、カソード周辺セグメント622(ポイントaからポイントfまで及ぶ)は、アノード活性表面740によって重なり合わない(太い破線で示すように)。理由は、アノード活性面740は、カソード周囲セグメント(622に到達するが、これを越えて延びていないためである。カソード周囲セグメント623(ポイントbからポイントcまで及ぶ)、カソード周囲セグメント624(ポイントcからポイントdまで及ぶ)、およびカソード周囲セグメント625(ポイントdからポイントeまで及ぶ)は、アノード活性表面740によって重なり合わない(太い破線で示すように)。理由は、アノード活性表面740がカソード周囲セグメント623、カソード周囲セグメント624、またはカソード周辺セグメント625に到達しないためである。カソード活性表面640の累積カソード活性面周囲が、カソード周囲セグメント622、カソード周囲セグメント623、カソード周囲セグメント624、カソード周囲セグメント625、カソード周辺セグメント632、およびカソード周辺セグメント634の合計によって定義される場合、アノード活性表面640によって重なり合う累積カソード活性表面周囲の割合は、カソード周辺セグメント632およびカソード周辺セグメント634の合計を累積カソード活性面周囲で除算することによって決定される。幾つかの実施形態では、累積カソード活性表面周囲の少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または全ては、アノード活性表面によって重なり合う。
【0133】
上述したように、幾つかの実施形態では、上述した物品(例えば、基板、電流コレクタバス、複数の個別電極セグメント、および任意に電流コレクタセグメントおよび電流コレクタブリッジを含む)は、電気化学デバイスのコンポーネントである。図4は、物品100を含む例示の電気化学デバイス200の概略図を示す。ある場合には、ここで説明する電気化学セル(例えば、複数の個別電極セグメントを有する物品を備える電気化学デバイス)は、マルチセル構造である。例えば、図4において、電気化学デバイス200は、マルチセル構造である。こうした電気化学デバイスの幾つかは、バッテリ(例えば、充電式リチウムイオンバッテリ)の一部として有用となり得る。
【0134】
電気化学デバイス(例えば、物品を含む)は、第2電極を備えてもよい。例えば、再び図4を参照すると、電気化学デバイス200は、第2電極230を備える。第2電極は、任意の適切な電極活物質を含み、またはこれで製作してもよい。幾つかの実施形態では、第2電極は、複数の個別電極セグメントの極性とは反対の極性を有する。一般に、2つの電極は、一方がアノードで、他方がカソードである場合、反対の極性である。例えば、ある場合には、複数の個別電極セグメント(例えば、複数の個別電極セグメント130)は複数のアノードであり、電気化学デバイスの第2電極(例えば、第2電極230)はカソードである。対向配置も可能である。特定の場合には、複数の個別電極セグメントの活性表面は、第2電極の活性表面に面している。例えば、図4において、個別電極セグメント130aは、活性表面131を備え、第2電極230は、活性表面231を有し、活性表面131は活性表面231に面している。
【0135】
第2電極との電気的接触は、任意の適切な手法を用いてできる。例えば、第2電極は、第2電流コレクタと電気的に接触できる。図4は、第2電流コレクタ225を示し、これは第2電極230に隣接して電子的に接続される。上述した電流コレクタドメインと同様に、第2電流コレクタは、任意の適切な電子的に導電性材料(例えば、電子的に導電性の金属、例えば、アルミニウム)を備え、またはこれで製作できる。第2電流コレクタは、第2電極と直に接触してもよく(例えば、第2電流コレクタ225は、第2電極230と直接接触してもよい)、または1つ以上の介在層(例えば、プライマー層)が、第2電極と第2電流コレクタとの間に配置されてもよい(例えば、第2電極と第2電流コレクタとの間の接着を促進するため)。
【0136】
上述したように、幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、複数の個別電極セグメントと第2電極との間に介在するセパレータを含む。例えば、図4を参照すると、電気化学デバイス200は、複数の個別電極セグメント130(例えば、複数のアノード)と第2電極230(例えば、カソード)との間に介在するセパレータ250を含む。セパレータは、電子的に非導電性の個体または電子的に絶縁性の材料でもよく、これは、アノードとカソードとを電子的に分離し、電子的短絡を防止してアノードとカソードとの間のイオンの輸送を可能にする。幾つかの実施形態では、セパレータは多孔性でもよく、電解質に対して透過性でもよい。特定の場合には、セパレータは連続的であり、これは電気化学デバイスの1つ以上の電極(例えば、第2電極)が連続的である場合に有用となり得る。例えば、図4は、特定の実施形態に従って、セパレータ250が連続的であるように示するセパレータ250の図を示す。
【0137】
セパレータの細孔は、電解質で部分的または実質的に充填してもよい。セパレータは、セルの製造時にアノードおよびカソードと交互に配置された多孔質の自立型フィルムとして供給されてもよい。代替として、多孔性セパレータ層は、例えば、国際公開第99/33125号(Carlson et al.)および米国特許第5194341号(Bagley et al.)に記載されているように、電極の一方の表面に直接装着してもよい。
【0138】
種々のセパレータ材料が該技術分野で知られている。好適な固体多孔性セパレータ材料の例は、以下に限定されないが、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン(例えば、トーネン化学社製のSETELA(商標))およびポリプロピレン、ガラス繊維フィルタ紙、およびセラミック材料を含む。例えば、幾つかの実施形態では、セパレータは、微孔性(microporous)ポリエチレンフィルムを含む。ここで説明する電気化学デバイス(電気化学セルを含む)での使用に適したセパレータおよびセパレータ材料の更なる例は、微孔性キセロゲル層、例えば、微孔性擬似ベーマイト層を含むものであり、これは、共通の譲受人の米国特許第6153337号明細書および米国特許第6306545明細書(Carlson et al.)に記載されているように、自立型フィルムとして設けてもよく、または、電極(例えば、複数の個別電極セグメント、第2電極)の一方の上に直接コーティング塗布によって設けてもよい。固体電解質およびゲル電解質は、それらの電解質機能に加えて、セパレータとしても機能できる。
【0139】
幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、複数の個別の第2電極を備える。例えば、図6Aは、セパレータ250によって物品100から分離した第2電極230(第2電流コレクタ225に電子的に接続される)を含む複数の個別の第2電極を備える電気化学デバイス200の非限定的な実施形態を示す。特定の実施形態に従って、図6の物品100は、基板120と、複数の個別電極セグメント130と、電流コレクタセグメント122を含む複数の電流コレクタセグメントと、そして電流コレクタブリッジと、電流コレクタバス(不図示)とを備える。特定の場合には、個別の第2電極は、両面電極(例えば、第1面および第1面から背を向ける第2面を備えた電極)であり、両面は、電極活物質および活性表面を含む)。幾つかの実施形態では、電気化学デバイス200は、ここで説明する物品または他の例示的な電気化学デバイスの折り曲げに関して上述したのと同様の方法で折り曲げ可能である。例えば、図6Aを参照して、物品100およびセパレータ250(例えば、連続セパレータ)は、図示のように折り曲げられ、2つのブロック矢印で示す方向に一緒に押圧され、複数の個別の第2電極(例えば、第2電極230)の各々は、特定の実施形態に従って、セパレータ250の折り曲げ部分によって覆われている。折り曲げ式電気化学デバイス(例えば、図6Aに示すような折り曲げ式マルチセル構造)を備えるバッテリが、スタック構成を有するバッテリよりも容易かつ高速に製造できる。電気的接続(例えば、外部負荷との)は、個別の第2電流コレクタ(例えば、図6Aの第2電流コレクタ225)そして物品(例えば、物品100)の電流コレクタバスを介して、個別の第2電極を含む電気化学デバイスのこうした実施形態と行うことができる。
【0140】
複数の個別の第2電極は、個別の第2電流コレクタに関連して上述しているが、電気化学デバイスは、複数の個別の第2電極に隣接して、連続的な第2電流コレクタセグメントを含んでもよい。こうした実施形態は、より容易な製造を可能にする(例えば、第2電極の電極活物質を、連続的な電子的に導電性の層の上にスキップコーティングすることによって)。
【0141】
幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、連続的な第2電極を備える。例えば、図6Bは、連続セパレータ250によって物品100から分離した連続的な第2電極230(第2電流コレクタ225に電子的に接続される)を備える電気化学デバイス200の非限定的な実施形態を示す。上述した個別の第2電極の場合と同様に、図6Bに示す電気化学デバイス200の実施形態は、特定の実施形態では、折り曲げ可能である。例えば、図6Bを参照して、物品100、セパレータ250(例えば、連続セパレータ)、第2電極230および連続的な第2電流コレクタ225は、図示のように折り曲げまれ、2つのブロック矢印で示す方向に一緒に押圧され、第2電極230の折り返し部分の各々は、特定の実施形態に従って、セパレータ250の折り曲げ部分によって覆われる両面電極を有効に形成する。電気的接続(例えば、外部回路との)は、例えば、連続的な第2電流コレクタの折り目で行うことができる。
【0142】
複数の個別の第2電極、及び/又は、連続的な第2電流コレクタに電子的に接続された連続的な第2電極を含む、幾つかのこうした折り曲げ式電気化学デバイスの有用な特徴は、こうした場合には、第2電極にとって利用可能な連続的な電子伝導経路が存在することである。従って、第2電流コレクタと外部回路との間の電気的接続が破壊された場合(例えば、製造不良に起因して、または電気化学デバイスへの損傷に起因して)、破壊された電気的接続に近接する領域内の第2電極で発生した電流は、破壊されていない電気的接続に到達するまで、第2電流コレクタに沿って流れることができる。
【0143】
ある場合には、電気化学デバイスでの個別電極セグメントの少なくとも1つは、電流コレクタバスとの電子的接続を喪失する(例えば、電気化学デバイス内の物品の基板の体積変化に少なくとも部分的に起因して)。特定の場合には、ここで説明する構成を有する物品のために、電気化学デバイスは、電極セグメントの少なくとも1つと電流コレクタバスとの間の電子的接続の喪失後に、依然として充電及び/又は放電が可能である。図6Bを参照して、ある場合には、個別電極セグメント130aは、電流コレクタバス(不図示)との電子的接続を喪失する(例えば、熱誘導による基板120の体積変化に起因して)。しかしながら、図6Bの電気化学デバイス200は、特定の実施形態によれば、個別電極セグメント130aと電流コレクタバスとの接続の喪失後であっても、依然として充電/充放が可能である。その理由は、個別電極セグメント130aと電流コレクタバスとの間の接続の喪失は、電気化学デバイス200の残部から電子的に絶縁された個別電極セグメント130aを残し(熱暴走などの問題を防止する)、一方、残りの個別電極セグメントの少なくとも幾つかは、依然として電流コレクタバスに電子的に接続されており、これにより電気化学デバイス200を充電/放電させることが可能であるためである。
【0144】
上述したように、幾つかの実施形態では、ここで説明する物品または電気化学デバイスの基板は、剥離層であり、または剥離層を含む。ここで説明する剥離層は、下記の特徴の1つ以上を有するように構築され構成される。即ち、第1層との相対的に良好な接着性(例えば、電流コレクタドメイン、複数の個別電極セグメント、または他の実施形態では、基板または他の層の他の層)、しかし第2層(例えば、物品の製造に使用される構造から)との比較的適度または貧弱な接着性、機械的崩壊なしで層間剥離を容易にする高い機械的安定性、高い熱安定性、および、処理条件との適合性(例えば、剥離層の上部での層の堆積、そして剥離層を形成するために使用される手法との適合性)。剥離層は、剥離層が電気化学デバイス(例えば、電気化学セル)に組み込まれた場合、全体のバッテリ重量を減少させるために薄くできる(例えば、約10ミクロン未満)。剥離層が、剥離層の上部での均一な層の形成を容易にするように、平滑で厚さが均一であるべきである。さらに、剥離層は、電解質中で安定であるべきであり、電気化学セルが高い電気化学的「容量」またはエネルギー貯蔵能力(即ち、減少した容量消失)を有するように、電極の構造的完全性と干渉すべきでない。電気化学デバイスの1つ以上のコンポーネントから物体を除去する剥離層の使用は、米国特許出願番号12/86513号(2010年8月24日出願、名称"Release System for Electrochemical Cells")に詳細に記載されている。
【0145】
基板及び/又は剥離層は、例えば、セラミック、ポリマー、またはそれらの組合せで形成できる。そのため基板及び/又は剥離層は、半導電性または絶縁性でもよい。幾つかの実施形態では、基板及び/又は剥離層は、ポリマー材料を含む。ある場合には、基板及び/又は離型層のポリマー材料の少なくとも一部が架橋され、他の場合には、ポリマー材料は実質的に架橋されていない。ポリマー材料の例は、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、酢酸ビニル-ビニルアルコール共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、およびビニルアルコール-メチルメタクリレート共重合体などのヒドロキシル含有ポリマーを含む。上述したように、幾つかの必ずしも全てではない実施形態では、基板(例えば、剥離層を含む)は、熱収縮性フィルムを含む。
【0146】
ここで説明する電極(例えば、複数の個別電極セグメント、電気化学デバイスの第2電極)は、種々のアノード活物質を含むアノードにできる。例えば、アノードは、リチウム含有材料を含んでもよく、リチウムはアノード活物質である。ここで説明するアノードでのアノード活物質としての使用に適した電気活性材料は、以下に限定されないが、リチウム箔などのリチウム金属、および導電性基体上に堆積されたリチウム、およびリチウム合金(例えば、リチウム-アルミニウム合金およびリチウム-スズ合金)を含む。基板上に負極材料(例えば、リチウムなどのアルカリ金属アノード)を堆積する方法は、熱蒸着、スパッタリング、ジェット蒸着、レーザアブレーションなどの方法を含んでもよい。代替として、アノードがリチウム箔、またはリチウム箔および基板を含む場合、これらは、アノードを形成するために当該技術分野で知られている積層プロセスによって一緒に積層できる。
【0147】
幾つかの実施形態では、アノードは、放電中にリチウムイオンが遊離され、充電中にリチウムイオンが集積される(例えば、層間挿入(intercalated)される)電極である。
幾つかの実施形態では、アノード活物質は、リチウムインターカレーション化合物(例えば、格子部位及び/又は格子間部位にリチウムイオンを可逆的に挿入できる化合物)である。幾つかの実施形態では、アノード活物質は炭素を含む。ある場合には、アノード活物質は、黒鉛材料(例えば、グラファイト)であり、またはこれを含む。黒鉛材料は、一般に、複数のグラフェン層(即ち、六方格子中に共有結合した炭素原子を含む層)を含む材料を参照する。隣接するグラフェン層は、典型的には、ファンデルワールス力を介して互いに引き寄せられるが、ある場合には、共有結合は1枚以上のシートの間に存在してもよい。ある場合には、炭素含有アノード活物質は、コークス(例えば、石油コークス)であり、またはこれを含む。特定の実施形態では、アノード活物質は、シリコン、リチウム、及び/又はそれらの任意の組合せ合金を含む。特定の実施形態では、アノード活物質は、チタン酸リチウム(LiTi12、「LTO」とも称される)、スズ-コバルト酸化物、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0148】
一実施形態では、アノードの電気活性リチウム含有材料が、50重量%を超えるリチウムを含む。他の実施形態では、アノードの電気活性リチウム含有材料は、75重量%を超えるリチウムを含む。さらに他のむ実施形態では、アノードの電気活性リチウム含有材料は、90重量%を超えるリチウムを含む。アノードでの使用に適した追加の材料および配置は、例えば、米国特許公開第2010/0035128号(2009年8月4日出願、Scordilis-Kelley et al.、名称"Application of Force in Electrochemical Cells")に記載されており、これは、全ての目的のためにその全体が参照によりここに組み込まれる。
【0149】
ここで説明する電極(例えば、複数の個別電極セグメント、電気化学デバイスの第2電極)は、カソード活物質を含むカソードにできる。カソード中のカソード活物質としての使用に適した電気活性材料は、以下に限定されないが、1つ以上の金属酸化物、1つ以上のインターカレーション材料、電気活性遷移金属カルコゲニド、電気活性導電性ポリマー、硫黄、炭素、及び/又はこれらの組合せを含む。
【0150】
幾つかの実施形態では、カソード活物質は、1つ以上の金属酸化物を含む。幾つかの実施形態では、インターカレーションカソード(例えば、リチウムインターカレーションカソード)が使用できる。電気活性物質(例えば、アルカリ金属イオン)のイオンを層間挿入できる適切な材料の非限定的な例は、金属酸化物、硫化チタン、および硫化鉄を含む。
幾つかの実施形態では、カソードは、リチウム遷移金属酸化物またはリチウム遷移金属リン酸塩を含むインターカレーションカソードである。追加の例は、LiCoO(例えば、Li1.1CoO),LiNiO,LiMnO,LiMn(例えば、Li1.05Mn),LiCoPO,LiMnPO,LiCoNi(1-x),LiCoNiMn(1-x-y)(例えば、LiNi1/3Mn1/3Co1/3,LiNi3/5Mn1/5Co1/5,LiNi4/5Mn1/10Co1/10,LiNi1/2Mn3/10Co1/5)を含む。xは、0以上2以下でもよい。xは、電気化学デバイスが完全に放電された場合、典型的には1以上2以下であり、電気化学デバイスが完全に充電された場合、1未満である。幾つかの実施形態では、完全に充電された電気化学デバイスは、1以上1.05以下、1以上1.1以下、または1以上1.2以下のxの値を有してもよい。更なる例は、LiNiPO(0<x≦1),LiMnNi(x+y=2)(例えば、LiMn1.5Ni0.5),LiNiCoAl(x+y+z=1),LiFePO,およびこれらの組合せを含む。幾つかの実施形態では、カソード内の電気活性材料は、リチウム遷移金属リン酸塩(例えば、LiFePO)を含み、これは、特定の実施形態において、ホウ酸塩及び/又はケイ酸塩で置換できる。
【0151】
上記のように、幾つかの実施形態では、カソード活物質は、1つ以上のカルコゲニドを含む。ここで使用するように、用語「カルコゲニド」は、酸素、硫黄およびセレンの1種以上の元素を含有する化合物に関する。好適な遷移金属カルコゲニドの例は、以下に限定されないが、Mn,V,Cr,Ti,Fe,Co,Ni,Cu,Y,Zr,Nb,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,Hf,Ta,W,Re,Os,Irからなるグループから選択される遷移金属の電気活性の酸化物、硫化物およびセレン化物を含む。一実施形態では、遷移金属カルコゲニドは、ニッケル、マンガン、コバルトおよびバナジウムの電気活性酸化物、および鉄の電気活性硫化物からなるグループから選択される。一実施形態では、カソードが、二酸化マンガン、ヨウ素、クロム酸銀、酸化銀および五酸化バナジウム、酸化銅、オキシリン酸銅、硫化鉛、硫化銅、硫化鉄、ビスマス酸鉛、三酸化ビスマス、二酸化コバルト、塩化銅、二酸化マンガン及び炭素の1つ以上を含む。他の実施形態では、カソード活性層は、電気活性導電性ポリマーを含む。適切な電気活性導電性ポリマーの例は、以下に限定されないが、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフェニレン、ポリチオフェンおよびポリアセチレンからなるグループから選択される電気活性および電子伝導性ポリマーを含む。導電性ポリマーの例は、ポリピロール、ポリアニリンおよびポリアセチレンを含む。
【0152】
幾つかの実施形態では、ここで説明するカソード中のカソード活物質としての使用のための電気活性材料は、電気活性硫黄含有材料を含む。ここで使用する「電気活性硫黄含有材料」は、任意の形態の元素硫黄を含むカソード活物質に関するものであり、電気化学的活性は、硫黄原子または硫黄部分の酸化または還元を含む。本発明の実施に有用な電気活性硫黄含有材料の性質は、当該技術分野で知られているように幅広く変化し得る。例えば、一実施形態では、電気活性硫黄含有材料は、元素硫黄を含む。他の実施形態では、電気活性硫黄含有材料は、元素硫黄と硫黄含有ポリマーの混合物を含む。こうして適切な電気活性硫黄含有材料は、以下に限定されないが、硫黄原子および炭素原子を含む元素硫黄および有機材料を含むみ、これはポリマーであってもなくてもよい。適切な有機材料は、ヘテロ原子、導電性ポリマーセグメント、複合材料、および導電性ポリマーをさらに含むものを含む。
【0153】
幾つかの実施形態では、カソード活物質の電気活性硫黄含有材料は、50重量%を超える硫黄を含む。他の実施形態では、電気活性硫黄含有材料は、75重量%を超える硫黄を含む。さらに他の実施形態では、電気活性硫黄含有材料は、90重量%を超える硫黄を含む。
【0154】
本発明のカソードは、約20~100重量%の電気活性カソード材料(例えば、適切な量の溶媒がカソード活性層から除去された後、及び/又は層が適切に硬化された後に測定される)を含んでもよい。一実施形態では、カソード中の電気活性硫黄含有材料の量は、カソードの5~30重量%の範囲である。他の実施形態では、カソード中の電気活性硫黄含有材料の量は、カソードの20~90重量%の範囲である。
【0155】
カソードでの使用に適した追加の材料、およびカソードを製作するのに適した方法は、例えば、米国特許第5919587号(1997年5月21日出願、名称"Novel Composite Cathodes, Electrochemical Cells Comprising Novel Composite Cathodes, and Processes for Fabricating Same")、米国特許公開第2010/0035128号(2009年8月4日出願、Scordilis-Kelley et al.,名称" Application of Force in Electrochemical Cells ")に記載されており、これらの各々は全ての目的のために参照により全体がここに組み込まれる。
【0156】
幾つかの実施形態では、電気化学デバイスの電極(例えば、個別電極セグメント、アノード部分)は、ポリマー、セラミック、及び/又はガラスから形成された1つ以上のコーティングまたは層を含んでもよい。コーティングは、保護層として機能でき、そして様々な機能を果たすことができる。これらの機能は、再充電中にデンドライトの形成を防止すること(そうしないと短絡を引き起こすことがある)と、電極活物質と電解質との反応を防止することと、サイクル寿命を改善することとを含んでもよい。こうした保護層の例は、米国特許第8338034号(Affinito et al.)および米国特許公開第2015/0236322号(Laramie at al.)に記載されたものを含み、これらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照によりここに組み込まれる。
【0157】
ここで説明する電気化学デバイスは、電解質を含んでもよい。電解質は、イオンの貯蔵および輸送のための媒体として機能でき、固体電解質およびゲル電解質の特別な場合、これらの材料は、アノードとカソードとの間のセパレータとして追加的に機能できる。材料がアノードとカソードとの間のイオン(例えば、リチウムイオン)の輸送を容易にする限り、イオンを貯蔵し輸送できる任意の液体、固体またはゲルの材料が使用できる。電解質は、アノードとカソードとの間の短絡を防止するために電子的に非導電性である。幾つかの実施形態では、電解質は、非固体電解質を含んでもよい。
【0158】
幾つかの実施形態では、電解質は、製造プロセスの任意の時点で添加できる流体を含む。ある場合には、電気化学デバイスは、カソードおよびアノードを用意し、アノードの活性表面に対して垂直な異方性力成分を印加し、続いて電解質がカソードおよびアノードと電気化学的に連通するように流体電解質を添加することによって製造できる。他の場合には、流体電解質は、異方性力成分の印加の前または印加と同時に、電気化学デバイスに添加してもよく、その後、電解質は、カソードおよびアノードと電気化学的に連通する。
【0159】
電解質は、イオン伝導性を提供する1つ以上のイオン性電解質塩と、1つ以上の液体電解質溶媒、ゲルポリマー材料、またはポリマー材料とを含むことができる。適切な非水電解質は、液体電解質、ゲル状ポリマー電解質および固体ポリマー電解質からなるグループから選択される1種以上の材料を含む有機電解質を含んでもよい。リチウムバッテリ用の非水電解質の例は、文献(Dorniney in Lithium Batteries, New Materials, Developments and Perspectives, Chapter 4, pp. 137-165, Elsevier, Amsterdam (1994))に記載されている。ゲル状ポリマー電解質および固体ポリマー電解質の例は、文献(Alamgir et al. in Lithium Batteries, New Materials, Developments and Perspectives, Chapter 3, pp. 93-136, Elsevier, Amsterdam (1994))に記載しれている。ここで説明するバッテリに使用できる不均一な電解質組成物は、米国特許出願シリアル番号12/312764号(2009年5月26日出願、Mikhaylik et al.、名称"Separation of Electrolytes")に記載されており、これはその全体が参照によりここに組み込まれる。
【0160】
有用な非水性液体電解質溶媒の例は、以下に限定されないが、非水性有機溶媒、例えば、N-メチルアセトアミド、アセトニトリル、アセタール、ケタール、エステル、カーボネート、スルホン、亜硫酸塩、スルホラン、脂肪族エーテル、環状エーテル、グリム、ポリエーテル、リン酸エステル、シロキサン、ジオキソラン、N-アルキルピロリドン、前述の置換形態、およびそれらの混合物を含む。上述のフッ素化誘導体も、液体電解質溶媒として有用である。
【0161】
ある場合には、水性溶媒は、例えば、リチウムセル中の電解質として使用できる。水性溶媒は、水を含むことができ、イオン性塩などの他の成分を含有できる。上記のように、幾つかの実施形態では、電解質は、電解質中の水素イオンの濃度を低減するように、水酸化リチウム、または電解質塩基をレンダリングする他の種などの化学種を含むことができる。
【0162】
液体電解質溶媒はまた、ゲル状ポリマー電解質(即ち、半固体ネットワークを形成する1種以上のポリマーを含む電解質)のための可塑剤として有用となる。有用なゲル状ポリマー電解質の例は、以下に限定されないが、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリシロキサン、ポリイミド、ポリホスファゼン、ポリエーテル、スルホン化ポリイミド、過フッ素化膜(ナフィオン樹脂)、ポリジビニルポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、前述の誘導体、前述の共重合体、前述の架橋およびネットワーク構造、前述の混合物、および任意には1種以上の可塑剤からなるグループから選択される1種以上のポリマーを含むものを含む。幾つかの実施形態では、ゲル状ポリマー電解質は、10~20体積%の間、20~40体積%の間、60~70体積%の間、70~80体積%の間、80~90体積%の間、または90~95体積%の間の不均一電解質を含む。
【0163】
幾つかの実施形態では、1つ以上の固体ポリマーを使用して電解質を形成できる。有用な固体ポリマー電解質の例、以下に限定されないが、ポリエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリイミド、ポリホスファゼン、ポリアクリロニトリル、ポリシロキサン、前述の誘導体、前述の共重合体、前述の架橋およびネックワーク構造、および前述の混合物からなるグループから選択される1種以上のポリマーを含むものを含む。
【0164】
電解質を形成するための当該技術分野で知られている、電解質溶媒、ゲル化剤およびポリマーに加えて、電解質は、イオン伝導性を増加させるために、当該技術分野で知られているように、1つ以上のイオン性電解質塩をさらに含んでもよい。
【0165】
ここで説明する電気化学デバイス(例えば、電気化学セル)の電解質に使用するためのイオン性電解質塩の例は、以下に限定されないが、LiSCN,LiBr,LiI,LiClO,LiAsF,LiSOCF,LiSOCH,LiBF,LiB(Ph),LiPF,LiC(SOCF,LiN(SOCF,およびリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(FiFRI)を含む。有用となる他の電解質塩は、リチウム多硫化物(Li)、および有機多硫化物のリチウム塩(LiSR)を含み、ここでxは1~20の整数であり、nは1~3の整数であり、Rは有機基および米国特許第5538812号(Lee et al.)に記載されたものであり、これは全ての目的のために参照により全体がここに組み込まれる。
【0166】
幾つかの実施形態では、電解質は、1つ以上の室温イオン液体を含む。室温イオン液体は、存在する場合、典型的には、1つ以上のカチオンおよび1つ以上のアニオンを含む。適切なカチオンの非限定的な例は、リチウムカチオン、及び/又は、1種以上の第4級アンモニウムカチオン、例えば、イミダゾリウム、ピロリジニウム、ピリジニウム、テトラアルキルアンモニウム、ピラゾリウム、ピペリジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、オキサゾリウム、およびトリゾリウムカチオンなどを含む。適切なアニオンの非限定的な例は、トリフルルメチルスルホネート(CFSO )、ビス(フルオロスルホニル)イミド(N(FSO 、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド((CFSO、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド((CFCFSO、およびトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタニド((CFSOを含む。好適なイオン性液体の非限定的な例は、N-メチル-N-プロピルピロリジニウム/ビス(フルオロスルホニル)イミド、および1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウム/ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを含む。幾つかの実施形態では、電解質は、室温イオン液体およびリチウム塩の両方を含む。幾つかの他の実施形態では、電解質は、室温イオン液体を含み、リチウム塩を含まない。
【0167】
ここで説明する幾つかの実施形態では、電気化学デバイスの部分に力または複数の力が印加される。こうした力の印加は、セルの電極表面の凹凸または粗面を減少させ(例えば、リチウム金属またはリチウム合金アノードが使用される場合)、それによって性能を改善できる。異方性の力が印加される電気化学デバイスおよびこうした力を印加するための方法は、例えば、米国特許第9105938号(2015年8月11日発行、米国公開第2010/0035128号明細書(2010年2月11日)、名称"Application of Force in Electrochemical Cells")に記載されており、これは全ての目的のために参照により全体がここに組み込まれる。
【0168】
力は、ある場合には、電気化学デバイスのアノードの活性表面に対して垂直な成分を備えた異方性力を含むことができる。ここで説明する実施形態では、電気化学デバイス(例えば、再充電可能なバッテリ)は、充電/放電サイクルを受けることができ、アノード表面上の金属の充電および反応の際にアノードの表面上での金属(例えば、リチウム金属または他の活物質)の堆積を含み、金属は放電の際にアノード表面から拡散する。金属がアノード上に堆積される均一性は、セル性能に影響を及ぼすことがある。例えば、リチウム金属がアノードから除去され及び/又はその上に再堆積された場合、ある場合には、不均一な表面をもたらすことがある。例えば、再堆積の際、不均一に堆積して粗い表面を形成することがある。粗面化した表面は、望ましくない化学反応に利用可能なリチウム金属の量を増加させることがあり、これは減少したサイクル寿命及び/又は低いバッテリ性能をもたらすことがある。電気化学デバイスへの力の印加は、ここで説明する特定の実施形態によれば、こうした挙動を低減し、セルのサイクル寿命及び/又は性能を改善することが見出された。
【0169】
幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、デバイスの充電及び/又は放電の間の少なくとも1つの期間中に、第1アノード活性表面部分に対して垂直な成分を備える異方性力を印加するように構成され配置される。図9Bを再び参照して、ここで説明するような例示的な折り曲げ式電気化学デバイスを示しており、矢印481の方向に力を印加できる。矢印482は、第1アノード部分431の第1アノード活性表面部分441、および第1カソード部分531の第1カソード活性表面部分541に対して垂直である力481の成分を示す。
【0170】
幾つかの実施形態では、アノードの活性表面に対して垂直な成分を備えた異方性力が、電気化学デバイスの充電中及び/又は放電中の少なくとも1つの期間の間に印加される。幾つかの実施形態では、力は、1つの期間に渡って連続的に、あるいは持続時間及び/又は周波数が変化し得る複数の期間に渡って印加してもよい。異方性力は、ある場合には、1つ以上の予め定めた位置に印加してもよく、任意にはアノードの活性表面上に分布してもよい。幾つかの実施形態では、異方性力は、アノードの1つ以上の活性表面上に均一に印加される。
【0171】
「異方性力」とは、当該分野で通常の意味を与え、全ての方向に等しくない力を意味する。全ての方向に等しい力が、例えば、物体の内部ガス圧力など、流体または材料内の流体または材料の内部圧力である。全ての方向に等しくない力の例は、重力によりテーブル上の物体によって印加されるテーブル上の力など、特定の方向に向けられた力を含む。異方性力の他の例は、物体の周囲付近に配置されたバンドによって印加される特定の力を含む。例えば、ゴムバンドまたはターンバックルが、それが巻き付けられた物体の周囲付近に力を印加できる。しかしながら、バンドは、バンドと接触していない物体の外側表面の任意の部分に力を直接に印加できない。さらに、バンドが第1軸に沿って第2軸よりも大きい程度に拡大した場合、バンドは、第2軸に平行に印加された力よりも第1軸に平行な方向により大きな力を印加できる。
【0172】
表面、例えば、アノードの活性表面に対して垂直な成分を備える力が、当業者に理解されるような通常の意味を与えられ、例えば、表面に対して実質的に垂直な方向に少なくとも部分的にそれ自体を及ぼす力を含む。当業者は、特に、この文書の記述内に適用されるように、これらの用語の他の例を理解できる。
【0173】
幾つかの実施形態では、力の大きさが電気化学デバイスの断面を定義する平面内の全ての方向に実質的に等しくなるように、面外方向の力の大きさは面内力の大きさと実質的に等しくないように、異方性力は印加できる。
【0174】
一組の実施形態では、ここで説明するセルは、セルの充電時及び/又は放電時の少なくとも1つの期間中に、アノードの活性表面に対して垂直な成分を備える異方性力を印加するように構成され配置される。当業者は、この意味を理解するであろう。こうした構成では、セルは、セルの組み立て時または組み立て後に適用され、またはセル自体の1つ以上の部分の膨張及び/又は収縮の結果としてセルの使用中に印加される「荷重」によって、こうした力を印加する容器の一部として形成してもよい。
【0175】
印加される力の大きさは、幾つかの実施形態では、電気化学デバイスの性能を高めるのに充分に大きい。アノード活性表面および異方性力は、幾つかの例では、異方性力がアノード活性表面の表面形態に影響を与え、充電放電を通じてアノード活性表面積の増加を抑制するように選択され、異方性力の不在下で、それ以外の本質的に同一の条件下では、アノード活性表面積は、充電放電サイクルを通じてより大きい程度に増加する。「本質的に同一の条件」は、この文脈において、力の印加及び/又は大きさ以外に類似し又は同一の条件を意味する。例えば、それ以外の同一の条件とは、同一であるが、対象セルに異方性力を印加するように(例えば、ブラケットまたは他の接続部によって)構成されないセルを意味することがある。
【0176】
幾つかの実施形態では、アノードの活性表面に対して垂直な成分を備えた異方性力が、電気化学デバイスの充電時及び/又は放電時の少なくとも1つの期間中に、異方性力が存在しない表面積の増加に対するアノード活性表面の表面積の増加を抑制するのに有効な程度まで印加される。アノード活性表面に対して垂直な異方性力の成分は、例えば、少なくとも約4.9、少なくとも約9.8、少なくとも約24.5、少なくとも約49、少なくとも約78、少なくとも約98、少なくとも約1117.6、少なくとも約147、少なくとも約175、少なくとも約200、少なくとも約225、または少なくとも約250ニュートン/平方センチメートルの圧力を定義できる。幾つかの実施形態では、アノード活性表面に対して垂直な異方性力の成分は、例えば、約250未満、約225未満、約196未満、約147未満、約117.6未満、約8未満、約49未満、約24.5未満、または約9.8ニュートン/平方センチメートル未満の圧力を定義できる。ある場合には、アノード活性表面に対して垂直な異方性力の成分は、約4.9~約147ニュートン/平方センチメートルの間、約49~約117.6ニュートン/平方センチメートルの間、約68.6~約98ニュートンの間、約78~約108ニュートン/平方センチメートルの間、約4.9~約250ニュートン/平方センチメートルの間、約80~約250ニュートン/平方センチメートルの間、約90~約250ニュートン/平方センチメートルの間、または約100~約250ニュートン/平方センチメートルの間の圧力を定義できる。力または圧力は、幾つかの実施形態では、ここで説明するように、セルに対して外部印加できる。力および圧力は、一般に、ニュートンおよび単位面積当たりのニュートンの単位で説明しているが、力および圧力は、キログラム力(kgf)および単位面積当たりのキログラム力の単位でそれぞれ表現できる。当業者は、キログラム力系の単位に慣れており、1キログラム力が約9.8ニュートンに等しいことを理解するであろう。
【0177】
ここで説明するように、幾つかの実施形態では、アノードの表面は、外部印加圧力(幾つかの実施形態では、一軸性)の印加によるサイクリング時に改善できる(例えば、リチウムでは、リチウムの苔状または粗い表面の発展が低減または排除できる)。外部印加圧力は、幾つかの実施形態では、アノードを形成する材料の降伏応力よりも大きいように選択できる。例えば、リチウムを含むアノードの場合、セルは、少なくとも約8kgf/cm、少なくとも約9kgf/cm、少なくとも約10kgf/cm、少なくとも約20kgf/cm2、少なくとも約30kgf/cm、少なくとも約40kgf/cm、または少なくとも約50kgf/cmの圧力を規定する成分を備えた外部印加異方性力の下にできる。これは、リチウムの降伏応力が約7~8kgf/cmであるためである。こうしてこの値よりも大きい圧力(例えば、一軸性圧力)では、苔状Liまたは表面粗さが減少または抑制できる。リチウム表面粗さは、それに押圧する表面を模倣できる。
従って、少なくとも約8kgf/cm、少なくとも約9kgf/cm、少なくとも約10kgf/cm、少なくとも約20kgf/cm、少なくとも約30kgf/cm、少なくとも約40kgf/cm、または少なくとも約50kgf/cmの外部印加圧力下でサイクリングした場合、リチウム表面は、押圧表面が滑らかであるサイクリング とともに、より円滑になる。ここで記載したように、押圧表面は、アノードとカソードとの間に配置された適切な材料を選択することによって変更できる。
【0178】
ある場合には、セルに印加される1つ以上の力は、アノードの活性表面に対して垂直ではない成分を有する。例えば、図9Bでは、力484は、第1アノード活性表面部分(441)に対して垂直でない。一組の実施形態では、アノード活性表面に対して垂直な方向での全ての印加された異方性力の成分の合計は、アノード活性表面に対して垂直でない方向での成分のいずれの合計よりも大きい。幾つかの実施形態では、アノード活性表面に対して垂直な方向での全ての印加された異方性力の成分の合計は、アノード活性表面に対して平行な方向での成分の合計よりも、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約35%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.9%大きい。
【0179】
ここで説明する異方性力は、該分野で既知である任意の適切な方法を用いて印加できる。幾つかの実施形態では、圧縮ばねを用いて力を印加できる。例えば、電気化学デバイスは、電流コレクタ及び/又は電流コレクタと格納構造の隣接壁との間に配置された1つ以上の圧縮ばねを備えた任意の閉鎖格納構造内に配置され、アノード活性表面(例えば、アノード活性表面部分)に対して垂直な成分を備えた力を生成できる。幾つかの実施形態では、格納構造の外側に1つ以上の圧縮ばねを配置し、ばねは格納構造の外側表面と他の表面(例えば、他の格納構造の天板、内側表面、隣接セルなど)との間に位置することによって、力を印加できる。別のエレメント(格納構造の内側または外側のいずれか)(以下に限定されないが、皿ワッシャ、機械ねじ、空気圧装置及び/又は重りを含む)を用いて、力は印加できる。例えば、一組の実施形態では、1つ以上のセル(例えば、ここで説明するような折り曲げマルチセルシステム)は、2つのプレート(例えば、金属プレート)の間に配置される。デバイス(例えば、機械ねじ、ばね等)を使用して、プレートを介してセルまたはスタックの端部に圧力を印加できる。例えば、機械ねじの場合、ねじを回転させると、セルをプレート間で圧縮できる。他の例として、幾つかの実施形態では、1つ以上のウェッジが、セルの表面(またはセルを取り囲む格納構造)と固定表面(例えば、他の格納構造の天板、内側表面、隣接セルなど)との間で変位できる。ウェッジでの力の印加により、セルと隣接する固定表面との間でウェッジを駆動することによって(例えば、機械ねじの回転により)、異方性力は印加できる。
【0180】
ある場合には、電気化学デバイスは、格納構造の中に挿入する前に予備圧縮してもよく、格納構造に挿入された時点でこれらが膨張して、セルに合力を生成できる。こうした構成は、例えば、セルが比較的高い圧力変動に耐えることができる場合に好都合になる。こうした実施形態では、格納構造は、比較的高い強度(例えば、少なくとも約100MPa、少なくとも約200MPa、少なくとも約500MPa、または少なくとも約1GPa)を有することができる。さらに、格納構造は、比較的高い弾性率(例えば、少なくとも約10GPa、少なくとも約25GPa、少なくとも約50GPa、または少なくとも約100GPa)を有してもよい。格納構造は、例えば、アルミニウム、チタン、または任意の他の適切な材料を含んでもよい。
【0181】
幾つかの実施形態では、ここで説明する特定の電子絶縁領域及び/又は方法の使用は、電気化学デバイスの繰り返しサイクリング後に改善された容量をもたらすことがある。例えば、幾つかの実施形態では、セルを3回交互に放電し充電した後、第3サイクルの終わりには、セルは、セルの初期容量の少なくとも約50%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%を示す。ある場合には、セルを10回交互に放電し充電した後、第10サイクルの終わりには、セルは、セルの初期容量の少なくとも約50%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%を示す。さらに別の場合では、セルを25回交互に放電し充電した後、第25サイクルの終わりには、セルは、セルの初期容量の少なくとも約50%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%を示す。幾つかの実施形態では、電気化学デバイスは、セルの第3、第10、第25、第30、第40、第45、第50、または第60サイクルの終わりに、少なくとも20mAh、30mAh、40mAh、50mAh、60mAh、70mAh、または80mAhの容量を有する。
【0182】
ある部分(例えば、層、構造、領域)が、他の部分「の上にある」、「に隣接する」、「の上方にある」、「を渡って」、「と重なって」または「によって支持される」場合、それは部分の上に直接存在してもよく、または介在部分(例えば、層、構造、領域)が存在してもよいことは理解すべきである。同様に、ある部分が、他の部分「の下方にある」または「の下にある」場合、それは部分の直下に存在してもよく、または介在する部分(例えば、層、構造、領域)が存在してもよい。他の部分「の直接上にある」、「に直接に隣接する」、「に直接隣接する」、「と直接接触する」または「によって直接支持される」部分は、介在する部分が存在しないことを意味する。ある部分が、他の部分「の上にある」、「に隣接する」、「の上方にある」、「を渡って」、「と重なって」または「によって支持される」と参照する場合、それは、部分の全体部分または一部を覆ってもよいことと理解すべきである。
【0183】
上述したように、本発明のシステム及び/又は方法の特定の実施形態は、例えば、センサに関連付けられた1つ以上のプロセッサを含む。プロセッサは、特定の実施形態によれば、コンピュータ実装の制御システムの一部でもよい。コンピュータ実装の制御システムは、システムの種々のコンポーネントを動作させるために使用できる。一般に、ここで説明する任意の計算方法、ステップ、シミュレーション、アルゴリズム、システムおよびシステム要素は、1つ以上のコンピュータ実装の制御システム、例えば、後述するコンピュータ実装システムの種々の実施形態などを用いて実装及び/又は制御できる。ここで説明する方法、ステップ、制御システムおよび制御システム要素は、ここで説明するいずれか特定のコンピュータシステムへのそれらの実装に限定されず、多くの他の異なるマシンが使用できる。
【0184】
コンピュータ実装の制御システムは、1つ以上の物品(例えば、電気化学セル)、及び/又は、自動化できる他のシステムコンポーネントと動作的に関連した一部または接続でき、幾つかの実施形態では、動作パラメータを制御し調整し、そして、値、例えば、上述した値のいずれかを解析し計算するように構成され、及び/又はプログラム化される。幾つかの実施形態では、コンピュータ実装の制御システムは、システム装置の動作パラメータを設定し、及び/又は制御するために基準信号を送信し受信できる。他の実施形態では、コンピュータ実装のシステムは、他のシステムコンポーネントから別個に、及び/又は遠隔に設置でき、そして、間接的及び/又はボータブル手段を介して(例えば、磁気ディスクなどの携帯電子データストレージ装置、またはインターネットまたはローカルイントラネットなどのコンピュータネットワークを通じた通信を介して)1つ以上の本発明のシステムからデータを受信するように構成できる。
【0185】
コンピュータ実装の制御システムは、プロセッサ、メモリシステム、入出力デバイスおよびインタフェース(例えば、相互接続機構)、そして他のコンポーネント、例えば、トランスポート回路(例えば、1つ以上のバス)、ビデオおよびオーディオデータ入出力(I/O)サブシステム、専用ハードウェア、そして以下に詳説する他のコンポーネントおよび回路を含む、幾つかの既知のコンポーネントおよび回路を含んでもよい。さらに、コンピュータシステムは、マルチプロセッサコンピュータシステムでもよく、あるいは、コンピュータネットワークを通じて接続された複数のコンピュータを含んでもよい。
【0186】
コンピュータ実装の制御システムは、プロセッサ、例えば、市販されているプロセッサ例えば、シリーズx86のうちの1つ、即ち、インテル社から入手可能なセレロン、ペンティアム(登録商標)およびコアプロセッサ、AMDとサイリックスからの同様なデバイス、モトローラ社から入手可能な680x0シリーズ、IBM社からのパワーPCマイクロプロセッサを含んでもよい。多くの他のプロセッサが利用可能であり、コンピュータシステムは、特定のプロセッサに限定されない。
【0187】
プロセッサが、典型的には、オペレーティングシステム(例えば、WindowsNT,Windows95または98,WindowsXP,WindowsVista,Windows7,Windows10,UNIX(登録商標),Linux(登録商標),DOS,VMS,MacOS,OS8,OS X)と呼ばれるプログラムを実行する。これは、他のコンピュータプログラムの実行を制御し、スケジューリング、デバッグ、入出力制御、アカウンティング、コンパイル、ストレージ割り当て、データ管理およびメモリ管理、通信制御および関連サービスを提供する。プロセッサおよびオペレーティングシステムは、特定の実施形態に従って、ハイレベルプログラミング言語のアプリケーションプログラムが書き込まれるコンピュータプラットフォームを定義する。コンピュータ実装の制御システムは、特定のコンピュータプラットフォームに限定されない。
【0188】
特定の実施形態によれば、プロセッサは、一般に、プログラム命令に従って集積回路メモリ素子内のデータを操作し、処理が完了した後、操作されたデータを不揮発性記録媒体にコピーする。不揮発性記録媒体と集積回路メモリ素子との間のデータ移動を管理するための種々の機構が知られており、上述した方法、ステップ、システム制御およびシステム要素制御を実施するコンピュータ実装の制御システムはこれに限定されない。コンピュータ実装の制御システムは、特定のメモリシステムに限定されない。
【0189】
上述したメモリシステムの少なくとも一部は、1つ以上のデータ構造(例えば、ルックアップテーブル)または、較正曲線式などの式を保存するために使用できる。例えば、不揮発性記録媒体の少なくとも一部が、こうしたデータ構造の1つまたは複数を含むデータベースの少なくとも一部を保存してもよい。こうしたデータベースは、種々のタイプのデータベースのいずれか、例えば、データが区切り文字によって分離されたデータユニットに編成された1つ以上のフラットファイルデータ構造と、データがテーブルに保存されたデータユニットに編成されたリレーショナルデータベースと、データがオブジェクトとして保存されたデータユニットに編成されたオブジェクト指向データベースと、他のタイプのデータベースと、またはそれらの任意の組合せとを含むファイルシステムでもよい。
【0190】
ここで説明する種々の実施形態を実装するために、任意のタイプのコンピュータ実装の制御システムのうちの1つ以上が使用できることは理解すべきである。本発明の態様は、ソフトウェア、ハードウェアまたはファームウェア、またはこれらの任意の組合せで実装できる。コンピュータ実装の制御システムは、特別にプログラムされた専用ハードウェア、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)を含んでもよい。こうした特殊目的ハードウェアは、上述したコンピュータ実装の制御システムの一部として、または独立コンポーネントとして、上述した方法、ステップ、アルゴリズム、システム制御、及び/又はシステム要素制御のうちの1つ以上を実装するように構成できる。
【0191】
コンピュータ実装の制御システムおよびそのコンポーネントは、種々の1つ以上の適切なコンピュータプログラミング言語のいずれかを用いてプログラム可能である。さらに、方法、ステップ、アルゴリズム、システム制御及び/又はシステム要素制御は、種々の適切なプログラミング言語のいずれかを用いて実装できる。こうした言語は、手続き型プログラミング言語、例えば、LabView、C、Pascal、FortranおよびBASIC、オブジェクト指向言語、例えば、C++、Java、およびEiffel)、ならびに、スクリプト言語またはアセンブリ言語などの他の言語を含んでもよい。幾つかの実施形態では、コンピュータプログラミング言語はPythonである。幾つかの実施形態では、コンピュータプログラミング言語はSQLである。
【0192】
こうした方法、ステップ、アルゴリズム、システム制御及び/又はシステム要素制御は、個々にまたは組み合わせて、コンピュータ可読媒体、例えば、不揮発性記録媒体、集積回路メモリ素子、またはこれらの組合せの上のコンピュータ可読信号として有形に具現化されたコンピュータプログラム製品として実装してもよい。こうした方法、ステップ、シミュレーション、アルゴリズム、システム制御またはシステム要素制御の各々について、こうしたコンピュータプログラム製品は、例えば、コンピュータによって実行された結果、コンピュータに、方法、ステップ、アルゴリズム、システム制御及び/又はシステム要素制御を実行するように命令する、例えば、1つ以上のプログラムの一部として命令を規定する、コンピュータ可読媒体上に有形に具現化されたコンピュータ可読信号を含んでもよい。
【0193】
下記の出願は、全ての目的のために参照によりその全体としてここに組み込まれる。
米国特許公開第2007/0221265号(2007年9月27日公開、出願番号第11/400781号、2006年4月6日出願、名称"Rechargeable Lithium/Water, Lithium/Air Batteries")、
米国特許公開第2009/0035646号(2009年2月5日公開、出願番号第11/888339号、2007年7月31日出願、名称"Swelling Inhibition in Batteries")、
米国特許公開第2010/0129699号(2010年5月17日公開、出願番号第12/312674号、2010年2月2日出願、特許第8617748号、2013年12月31日発行、名称"Separation of Electrolytes")、
米国特許公開第2010/0291442号(2010年11月18日公開、出願番号第12/682011号、2010年7月30日出願、特許第8871387号、2014年10月28日発行、名称"Primer for Battery Electrode")、
米国特許公開第2009/0200986号(2009年8月31日公開、出願番号第12/069335号、2008年2月8日出願、特許第8264205号、2012年9月11日発行、名称"Circuit for Charge and/or Discharge Protection in an Energy-Storage Device")、
米国特許公開第2009/0200986号(2009年8月31日公開、出願番号第12/069335号、2008年2月8日出願、特許第8264205号、2012年9月11日発行、名称"Circuitfor Charge and/or Discharge Protection in an Energy-Storage Device")、
米国特許公開第2007/0224502号(2007年9月27日公開、出願番号第11/400025号、2006年4月6日出願、特許第7771870号、2010年4月10日発行、名称"Electrode Protection in Both Aqueous and Non-Aqueous Electrochemical cells, Including Rechargeable Lithium Batteries")、
米国特許公開第2008/0318128号(2008年12月25日公開、出願番号第11/821576号、2007年7月22日出願、名称"Lithium Alloy/Sulfur Batteries")、
米国特許公開第2002/0055040号(2002年5月9日公開、出願番号第09/795915号、2001年2月27日出願、特許第7939198号、2011年5月10日発行、名称"Novel Composite Cathodes, Electrochemical Cells Comprising Novel Composite Cathodes, and Processes for Fabricating Same")、
米国特許公開第2006/0238203号(2006年10月26日公開、出願番号第11/111262号、2005年4月20日出願、特許第7688075号、2010年3月30日発行、名称"Lithium Sulfur Rechargeable Battery Fuel Gauge Systems and Methods")、
米国特許公開第2008/0187663号(2008年8月7日公開、出願番号第11/728197号、2007年3月23日出願、特許第8084102号、2011年12月27日発行、名称"Methods for Co-Flash Evaporation of Polymerizable Monomers and Non-Polymerizable Carrier Solvent/Salt Mixtures/Solutions")、
米国特許公開第2011/0006738号(2011年1月13日公開、出願番号第12/679371号、2010年9月23日出願、名称"Electrolyte Additives for Lithium Batteries and Related Methods")、
米国特許公開第2011/0008531号(2011年1月13日公開、出願番号第12/811576号、2010年9月23日出願、特許第9034421号、2015年5月19日発行、名称"Methods of Forming Electrodes Comprising Sulfur and Porous Material Comprising Carbon")、
米国特許公開第2010/0035128号(2010年2月11日公開、出願番号第12/535328号、2009年8月4日出願、特許第9105938号、2015年8月11日発行、名称"Application of Force in Electrochemical Cells")、
米国特許公開第2011/0165471号(2011年7月15日公開、出願番号第12/180379号、2008年7月25日出願、名称"Protection of Anodes for Electrochemical Cells")、
米国特許公開第2006/0222954号(2006年10月5日公開、出願番号第11/452445号、2006年6月13日出願、特許第8415054号、2013年4月9日発行、名称"Lithium Anodes for Electrochemical Cells")、
米国特許公開第2010/0239914号(2010年9月23日公開、出願番号第12/727862号、2010年3月19日出願、名称"Cathode for Lithium Battery")、
米国特許公開第2010/0294049号(2010年11月25日公開、出願番号第12/471095号、2009年5月22日出願、特許第8087309号、2012年1月3日発行、名称"Hermetic Sample Holder and Method for Performing Microanalysis under Controlled Atmosphere Environment")、
米国特許公開第2011/00765560号(2011年3月31日公開、出願番号第12/862581号、2010年8月24日出願、名称"Electrochemical Cells Comprising Porous Structures Comprising Sulfur")、
米国特許公開第2011/0068001号(2011年3月24日公開、出願番号第12/862513号、2010年8月24日出願、名称"Release System for Electrochemical Cells")、
米国特許公開第2012/0048729号(2012年3月1日公開、出願番号第13/216559号、2011年8月24日出願、名称"Electrically Non-Conductive Materials for Electrochemical Cells")、
米国特許公開第2011/0177398号(2011年7月21日公開、出願番号第12/862528号、2010年8月24日出願、名称"Electrochemical Cell")、
米国特許公開第2011/0070494号(2011年3月24日公開、出願番号第12/862563号、2010年8月24日出願、名称"Electrochemical Cells Comprising Porous Structures Comprising Sulfur")、
米国特許公開第2011/0070491号(2011年3月24日公開、出願番号第12/862551号、2010年8月24日出願、名称"Electrochemical Cells Comprising Porous Structures Comprising Sulfur")、
米国特許公開第2011/0059361号(2011年5月10日公開、出願番号第12/862576号、2010年8月24日出願、特許第9005009号、2015年4月14日発行、名称"Electrochemical Cells Comprising Porous Structures Comprising Sulfur")、
米国特許公開第2012/0070746号(2012年3月22日公開、出願番号第13/240113号、2011年9月22日出願、名称"Low Electrolyte Electrochemical Cells")、
米国特許公開第2011/0206992号(2011年8月25日公開、出願番号第13/033419号、2011年2月23日出願、名称"Porous Structures for Energy Storage Devices")、
米国特許公開第2013/0017441号(2013年1月17日公開、出願番号第13/524662号、2012年6月15日出願、特許第9548492号、2017年1月17日発行、名称"Plating Technique for Electrode")、
米国特許公開第2013/0224601号(2013年8月29日公開、出願番号第13/766862号、2013年2月14日出願、特許第9077041号、2015年7月7日発行、名称"Electrode Structure for Electrochemical Cell")、
米国特許公開第2013/0252103号(2013年9月26日公開、出願番号第13/789783号、2013年3月8日出願、特許第9214678号、2015年12月15日発行、名称"Porous Support Structures, Electrodes Containing Same, and Associated Methods)、
米国特許公開第2013/0095380号(2013年4月18日公開、出願番号第13/644933号、2012年10月4日出願、特許第8936870号、2015年1月20日発行、名称"Electrode Structure and Method for Making the Same")、
米国特許公開第2014/0123477号(2014年5月8日公開、出願番号第14/069698号、2013年11月1日出願、特許第9005311号、2015年4月14日発行、名称"Electrode Active Surface Pretreatment")、
米国特許公開第2014/0193723号(2014年7月10日公開、出願番号第14/150156号、2014年1月8日出願、特許第9559348号、2017年1月31日発行、名称"Conductivity Control in Electrochemical Cells")、
米国特許公開第2014/0255780号(2014年9月11日公開、出願番号第14/197782号、2014年3月5日出願、特許第9490478号、2016年11月6日発行、名称"Electrochemical Cells Comprising Fibril Materials")、
米国特許公開第2014/0272594号(2014年9月18日公開、出願番号第13/833377号、2013年3月15日出願、名称"Protective Structures for Electrodes")、
米国特許公開第2014/0272597号(2014年9月18日公開、出願番号第14/209274号、2014年3月13日出願、名称"Protected Electrode Structures and Methods")、
米国特許公開第2014/0193713号(2014年7月10日公開、出願番号第14/150196号、2014年1月8日出願、特許第9531009号、2016年12月27日発行、名称"Passivation of Electrodes in Electrochemical Cells")、
米国特許公開第2014/0272565号(2014年9月18日公開、出願番号第14/209396号、2014年3月13日出願、名称"Protected Electrode Structures")、
米国特許公開第2015/0010804号(2015年1月8日公開、出願番号第14/323269号、2014年7月3日出願、名称"Ceramic/Polymer Matrix for Electrode Protection in Electrochemical Cells, Including Rechargeable Lithium Batteries")、
米国特許公開第2015/044517号(2015年2月12日公開、出願番号第14/455230号、2014年8月8日出願、名称"Self-Healing Electrode Protection in Electrochemical Cells")、
米国特許公開第2015/0236322号(2015年8月20日公開、出願番号第14/184037号、2014年2月19日出願、名称"Electrode Protection Using Electrolyte-Inhibiting Ion Conductor")、
米国特許公開第2016/0072132号(2016年3月10日公開、出願番号第14/848659号、2015年9月9日出願、名称"Protective Layers in Lithium-Ion Electrochemical Cells and Associated Electrodes and Methods")。
【0194】
米国仮出願第62/785332号(2018年12月27日出願、名称"Isolatable Electrodes and Associated Articles and Methods")は、全ての目的のために参照によりその全体としてここに組み込まれる。
米国仮出願第62/785335号(2018年12月27日出願、名称"Electrodes, Heaters, Sensors, and Associated Articles and Methods")は、全ての目的のために参照によりその全体としてここに組み込まれる。
米国仮出願第62/785338号(2018年12月27日出願、名称"Folded Electrochemical Devices and Associated Methods and Systems")は、全ての目的のために参照によりその全体としてここに組み込まれる。
【0195】
本発明の幾つかの実施形態をここで説明し図示したが、当業者は、機能を実行し、及び/又は、結果及び/又はここで説明する利点の1つ以上を取得するための種々の手段を容易に想定するであろう。そして、こうした変形及び/又は変更の各々は本発明の範囲内にあると見なされる。より一般には、当業者は、ここで記載した全てのパラメータ、寸法、材料および構成は例示的なものであり、実際のパラメータ、寸法、材料及び/又は構成は、本発明の教示が使用される特定の用途に依存することは容易に理解するであろう。当業者は、ここで記載した本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識し、または通常の実験のみを用いて解明できるであろう。従って、前述の実施形態は、例として提示しているに過ぎず、添付した請求項およびその均等物の範囲内で、本発明は、具体的に説明し権利主張しているもの以外で実施してもよいことは理解されたい。本発明は、ここで説明した個々の特徴、システム、物品、材料及び/又は方法に関する。さらに、こうした機能、システム、物品、材料及び/又は方法の2つ以上の組合せは、こうした機能、システム、物品、材料及び/又は方法が相互に矛盾しなければ、本発明の範囲内に含まれる。
【0196】
明細書および請求項で使用される不定冠詞"a","an"は、反対に明確に示していない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解すべきである。
【0197】
明細書および請求項で使用される語句「及び/又は」は、そのように結合された要素、即ち、ある場合に共同的に提示され、他の場合に離接的に提示される要素の「いずれかまたは両方」を意味すると理解すべきである。他の要素を、「及び/又は」語句で具体的に識別される要素とは別に任意に提示してもよく、反対に明確に示していない限り、具体的に識別されるこれらの要素に関係するか関係しないかに関わらない。こうして非限定的な例として、「A及び/又はB」の参照は、「備える(comprising)」などのオープンエンド言語と組み合わせて使用する場合、一実施形態ではBなしでAを(必要に応じてB以外の要素を含む)、他の実施形態ではAなしでBを(必要に応じてA以外の要素を含む)、さらに他の実施形態ではAとBの両方を(必要に応じて他の要素を含む)参照できる。
【0198】
明細書および請求項で使用するように、「または」は、上記で定義されたように「及び/又は」と同じ意味を有すると理解すべきである。例えば、リスト中の項目を分離する場合、「または」や「及び/又は」は、包含的であると解釈し、即ち、ある数または要素リストの少なくとも1つで2つ以上、および必要に応じて追加の未リスト項目を含む包含と解釈すべきである。反対に明確に示している用語だけ、例えば、「1つだけ(only one of)」または「1つのみ(exactly one of)」、あるいは請求項で使用する場合は「からなる(consisting of)」は、ある数または要素リストのただ1つの要素の包含を参照することになる。一般に、ここで使用する用語「または」は、例えば、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つだけ」、「のうちの1つのみ」などの排他性の用語が先行している場合、排他的な代替物(即ち、「一方または他方で、両方でない」を示すものとして解釈すべきである。「本質的に…からなる(Consisting essentially of)」は、請求項で使用する場合、特許法の分野で使用される通常の意味を有するものとする。
【0199】
明細書および請求項で使用するように、語句「少なくとも1つ」は、1つ以上の要素のリストを参照して、要素のリスト中の要素のいずれか1つ以上から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解すべきであり、必ずしも要素のリスト内に具体的にリストされている各および全ての要素の少なくとも1つを含んでおらず、要素のリスト中の要素のいずれかの組合せを除外していない。この定義により、語句「少なくとも1つ」が参照する要素のリスト内で具体的に識別される要素以外の要素が必要に応じて提示でき、具体的に識別される要素に関係するか関係しないかに関わらない。こうして非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または等価には「AまたはBの少なくとも1つ」または等価には「A及び/又はBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、少なくとも1つのA、必要に応じて2つ以上のAを含み、Bは存在しないこと(必要に応じてB以外の要素を含む)、他の実施形態では、少なくとも1つのB、必要に応じて2つ以上のBを含み、Aは存在しないこと(必要に応じてA以外の要素を含む)、さらに他の実施形態では、少なくとも1つのA、必要に応じて2つ以上のAと、少なくとも1つのB、必要に応じて2つ以上のBとを含み、Aは存在しないこと(必要に応じて他の要素を含む)を参照できる。
【0200】
請求項、そして上記明細書では、全ての移行句、例えば、「備える(comprising)」、「含む(including)」、「運ぶ(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「包含する(involving)」、「保持する(holding)」などは、オープンエンドであるものとして理解され、即ち、これを含み、これに限定されないことを意味する。移行句「からなる(consisting of)」、「本質的に…からなる(consisting essentially of)」は、米国特許庁の特許審査手続マニュアル、セクション2111.03に記載されていように、クローズまたはセミクローズ移行句とされる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12