(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】結晶成長が低減された殺真菌剤製剤
(51)【国際特許分類】
A01N 25/10 20060101AFI20241202BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20241202BHJP
A01N 43/56 20060101ALI20241202BHJP
A01N 43/80 20060101ALI20241202BHJP
A01N 37/46 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
A01N25/10
A01P3/00
A01N43/56 C
A01N43/80 101
A01N37/46
(21)【出願番号】P 2021557145
(86)(22)【出願日】2020-02-24
(86)【国際出願番号】 EP2020054741
(87)【国際公開番号】W WO2020193035
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-02-22
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520222106
【氏名又は名称】シンジェンタ クロップ プロテクション アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100212509
【氏名又は名称】太田 知子
(72)【発明者】
【氏名】カプッツィ ジュリア
(72)【発明者】
【氏名】キム セジョン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルシュニー マノージ
【審査官】吉田 早希
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-533683(JP,A)
【文献】特開平03-206001(JP,A)
【文献】特許第6375075(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2010/0210461(US,A1)
【文献】国際公開第2010/078852(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/018464(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/094576(WO,A1)
【文献】Daniela Kruse, et al.,Evonik: New Multifunctional Additive for Sophisticated Formulations,Formulations & Adjuvant Technology,2017年,pp. 15-17
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状連続相と、式(I)
R
1O[C(R
2)(H)C(R
3)(H)O]
nX (I)
(式中、R
1は、C
6~12アルキル
であり、
nは、
5~50であり、
独立して、各[C(R
2)(H)C(R
3)(H)O]単位は、R
2及びR
3の両方が水素であるか、又はR
2及びR
3の一方が水素であり且つ他方がフェニルであり、ただし、少なくとも1つの[C(R
2)(H)C(R
3)(H)O]単位は、R
2及びR
3の一方が水素であり且つ他方がフェニルであり、且つXは、水素であるか又はC
1~4アルキルから選択される)
の化合物と、ピジフルメトフェン、オキサチアピプロリン、
及びセダキサン
から
選択される農薬有効成分と、を含む組成物。
【請求項2】
Xが水素である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
R
1がC
8~10アルキルである、
請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
nが5~40である、請求項1、2、
又は3
に記載の組成物。
【請求項5】
式(I)の化合物が式(Ia)
R
1O[C(R
4)(H)C(R
5)(H)O]
r[CH
2CH
2O]
sX (Ia)
(式中、独立して、各C(R
4)(H)C(R
5)(H)O単位内のR
4は水素であり且つR
5はフェニルであるか、又はR
4はフェニルであり且つR
5は水素であり、rは1~25であり、且つsは1~25である)
の化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
液状連続相と農薬有効成分とを含む組成物において粒子成長を低減するための式(I)
R
1O[C(R
2)(H)C(R
3)(H)O]
nX (I)
(式中、R
1は、C
6~12アルキル
であり、
nは、5~50であり、
独立して、各[C(R
2)(H)C(R
3)(H)O]単位は、R
2及びR
3の両方が水素であるか、又はR
2及びR
3の一方が水素であり且つ他方がフェニルであり、ただし、少なくとも1つの[C(R
2)(H)C(R
3)(H)O]単位は、R
2及びR
3の一方が水素であり且つ他方がフェニルであり、且つXは、水素であるか又はC
1~4アルキルから選択され
、前記農薬有効成分がピジフルメトフェン、オキサチアピプロリン、及びセダキサンから選択される)
の化合物の使用。
【請求項7】
Xが水素である、請求項
6に記載の使用。
【請求項8】
R
1がC
8~10アルキルである、
請求項6又は7に記載の使用。
【請求項9】
nが5~40である、請求項
6、7、又は
8に記載の使用。
【請求項10】
式(I)の化合物が式(Ia)
R
1O[C(R
4)(H)C(R
5)(H)O]
r[CH
2CH
2O]
sX (Ia)
(式中、独立して、各C(R
4)(H)C(R
5)(H)O単位内のR
4は水素であり且つR
5はフェニルであるか、又はR
4はフェニルであり且つR
5は水素であり、rは1~25であり、且つsは1~25である)
の化合物である、請求項
6に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)
R1O[C(R2)(H)C(R3)(H)O]nX (I)
(式中、R1は、C6~12アルキルであるか又はC6~12アルケニルであり、
nは、5~50であり、
独立して、各[C(R2)(H)C(R3)(H)O]単位は、R2及びR3の両方が水素であるか、又はR2及びR3の一方が水素であり且つ他方がフェニルであり、ただし、少なくとも1つの[C(R2)(H)C(R3)(H)O]単位は、R2及びR3の一方が水素であり且つ他方がフェニルであり、
且つXは、水素であるか又はC1~4アルキルから選択される)
の化合物と、ADEPIDYN(商標)(ピジフルメトフェン)、オキサチアピプロリン、セダキサン、及びアゾキシストロビンから選択される農薬有効成分と、を含む組成物、
並びに農薬有効成分の粒子成長(たとえば、核形成、結晶成長、又はオストワルド熟成)を低減するための式(I)の化合物の使用、
に関する。
【背景技術】
【0002】
農薬組成物は、(たとえば、販売業者の倉庫で又は農業者の店舗で)ある期間にわたり貯蔵したときに、とくに振動する温度(たとえば、凍結解凍サイクリング)が存在する状況では、結晶成長、核形成、オストワルド熟成などの望ましくない粒子成長を起こすおそれがある。かかる挙動は、農薬組成物の悪性能(分離、沈降、農薬濃縮物内のケーキング、濃縮形態又は希釈形態のどちらでも農薬の適用試行時のスプレーノズルのブロッキング、及びおそらく大粒子サイズに起因して対応するより小さな粒子よりも小さな表面積対体積比を有するので生物学的利用能が低減されることから、その意図される生物学的部位に対する農薬の利用可能性が限られることによる農薬の生物学的性能不良を含む)をもたらすおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
驚くべきことに、このたび、ある特定のエチレンオキサイド-スチレンオキサイドコポリマーモノアルキルエーテルポリマーは、結晶成長挙動ひいては関連する物理的及び生物学的問題を低減又は克服しうることが見いだされた。
【0004】
エチレンオキサイド-スチレンオキサイドコポリマーモノアルキルエーテルポリマーと特定農薬有効成分とを含むある特定の組成物は新規である。
【0005】
式(I)の化合物は、湿潤剤としてのみ知られており、結晶成長阻害剤としては知られていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、液状連続相と、式(I)
R1O[C(R2)(H)C(R3)(H)O]nX (I)
(式中、R1は、C6~12アルキルであるか又はC6~12アルケニルであり、
nは、5~50であり、
独立して、各[C(R2)(H)C(R3)(H)O]単位は、R2及びR3の両方が水素であるか、又はR2及びR3の一方が水素であり且つ他方がフェニルであり、ただし、少なくとも1つの[C(R2)(H)C(R3)(H)O]単位は、R2及びR3の一方が水素であり且つ他方がフェニルであり、
且つXは、水素であるか又はC1~4アルキルから選択される)
の化合物と、ピジフルメトフェン、オキサチアピプロリン、セダキサン、及びアゾキシストロビンから選択される農薬有効成分と、を含む組成物を提供する。
【0007】
これはつまり、部分[C(R2)(H)C(R3)(H)O]nの各単位は、式[C(R2)(H)C(R3)(H)O]を有するが、各単位は、次の選択肢:R2が水素であり且つR3が水素であるか、又はR2が水素であり且つR3がフェニルであるか、又はR2がフェニルであり且つR3が水素であるか、から独立して選択され、ただし、少なくとも1つの[C(R2)(H)C(R3)(H)O]単位は、R2が水素であり且つR3がフェニルであるか、又はR2が水素であり且つR3がフェニルであるか、であることを意味する。
【0008】
部分[C(R2)(H)C(R3)(H)O]nはランダムコポリマー又はブロックコポリマーである。
【0009】
好ましくはnは5~40(より好ましくは5~20)である。
【0010】
好ましくはXは水素である。
【0011】
アルキル鎖及びアルケニル鎖は線状又は分岐状でありうる。
【0012】
好適にはR1はC6~12アルキルであり、より好適にはR1はC8~10アルキルであり、さらにより好適にはR1はC8アルキルである。
【0013】
好適には式(I)の化合物は式(Ia)
R1O[C(R4)(H)C(R5)(H)O]r[CH2CH2O]sX (Ia)
(式中、独立して、各C(R4)(H)C(R5)(H)O単位内のR4は水素であり且つR5はフェニルであるか、又はR4はフェニルであり且つR5は水素であり、rは1~25であり、且つsは1~25であり、且つR1は以上又は以下の通りである)
の化合物である。
【0014】
好ましくはrは1~10(より好ましくは3~7)である。
【0015】
好ましくはsは1~10(より好ましくは3~7)である。
【0016】
好適にはnは標準(平均、メジアン、又はモーダル)値である。
【0017】
他の一態様では、本発明は、液状連続相と農薬有効成分とを含む組成物中での粒子成長(たとえば、核形成、結晶成長、又はオストワルド熟成)を低減するための、以上又は以下に定義される式(I)の化合物の新規使用を提供する。
【0018】
組成物は、農薬の溶液(たとえば、可溶性濃縮物(SL)若しくは乳化性濃縮物(EC))、液状連続相(水(SC)若しくは油(OD)のどちらか)中の固形(室温で)農薬の懸濁液、農薬を含む液滴が液状連続相(水(EW)若しくは油(EO)のどちらか)に分散された乳濁液でありうるか、又は乳懸濁液(SE)でありうる。
【0019】
組成物は、界面活性剤をさらに含みうる。界面活性剤の存在は、核形成、結晶成長、又はオストワルド熟成挙動の尤度を増加させうる可能性があり、式(I)の化合物は、そうした挙動を低減するために使用される。界面活性剤は、水の表面張力を低減する化合物である。界面活性剤の例は、イオン性(陰イオン性、陽イオン性、又は両性)界面活性剤及び非イオン性界面活性剤である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
「農薬」という名詞及び「農薬有効成分」という用語は、本明細書では同義的に用いられ、除草剤、殺虫剤、殺線虫剤、殺軟体動物剤、殺真菌剤、植物生長調節剤、及び薬害軽減剤、好ましくは除草剤、殺虫剤、及び殺真菌剤を含む。
【0021】
以下に与えられるものから選択される農薬又は農薬の塩は、本発明に好適でありうる。
【0022】
好適な除草剤としては、ピノキサデン、ビシクロピロン、メソトリオン、ホメサフェン、トラルコキシジム、ナプロパミド、アミトラズ、プロパニル、ピリメタニル、ジクロラン、テクナゼン、トクロフォスメチル、フラムプロップM、2,4-D、MCPA、メコプロップ、クロジナフォップ-プロパルギル、シハロフォップ-ブチル、ジクロフォップメチル、ハロキシフォップ、キザロフォップ-P、インドール-3-イル酢酸、1-ナフチル酢酸、イソキサベン、テブタム、クロルタールジメチル、ベノミル、ベンフレセート、ジカンバ、ジクロベニル、ベナゾリン、トリアゾキシド、フルアズロン、テフルベンズロン、フェンメジファム、アセトクロール、アラクロール、メトラクロール、プレチラクロール、テニルクロール、アロキシジム、ブトロキジジム、クレトジム、シクロジム、セトキシジム、テプラロキシジム、ペンジメタリン、ジノテルブ、ビフェノックス、オキシフルオルフェン、アシフルオルフェン、フルアジホップ、S-メトラクロール、グリホセート、グルホシネート、パラクアット、ジクアット、フルオログリコフェン-エチル、ブロモキシニル、アイオキシニル、イマザメタベンズ-メチル、イマザピル、イマザキン、イマゼタピル、イマザピック、イマザモックス、フルミオキサジン、フルミクロラック-ペンチル、ピクロラム、アモドスルフロン(amodosulfuron)、クロルスルフロン、ニコスルフロン、リムスルフロン、トリアスルフロン、トリアレート、ペブレート、プロスルホカルブ、モリネート、アトラジン、シマジン、シアナジン、アメトリン、プロメトリン、テルブチラジン、テルブトリン、スルコトリオン、イソプロツロン、リヌロン、フェヌロン、クロロトルロン、メトキスロン、ヨードスルフロン、メソスルフロン、ジフルフェニカン、フルフェナセット、フルロキシピル、アミノピラリド、ピロキシスラム、XDE-848Rinskor、及びハラウキシフェン-メチルが挙げられる。
【0023】
好適な殺真菌剤としては、イソピラザム、マンジプロパミド、アゾキシストロビン、トリフロキシストロビン、クレソキシムメチル、メフェノキサム、ファモキサドン、メトミノストロビン及びピコキシストロビン、シプロダニル(cyprodanil)、カルベンダジム、チアベンダゾール、ジメトモルフ、ビンクロゾリン、イプロジオン、ジチオカルバメート、イマザリル、プロクロラズ、フルキンコナゾール、エポキシコナゾール、フルトリアホール、アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ヘキサコナゾール、パクロブトラゾール、プロピコナゾール、テブコナゾール、トリアジメホン、トルチチコナゾール(trtiticonazole)、フェンプロピモルフ、トリデモルフ、フェンプロピジン、マンコゼブ、メチラム、クロロタロニル、チラム、ジラム、カプタホール、カプタン、ホルペット、フルアジナム、フルトラニル、カルボキシン、メタラキシル、ブピリメート、エチリモール、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、オリサストロビン、メトミノストロビン、プロチオコナゾール、アデピディン、ビキサフェン、フルジオキシニル、フルキサピロキサド、プロチオコナゾール、ピラクロストロビン、レビソール、ソラテノール、並びにゼミウムが挙げられる。
【0024】
好適な殺虫剤としては、チアメトキサム、イミダクロプリド、アセタミプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、ニテンピラム、フィプリニル(fiprinil)、アバメクチン、エマメクチン、テフルトリン、エマメクチン安息香酸塩、ベンジオカルブ、カルバリル、フェノキシカルブ、イソプロカルブ、ピリミカルブ、プロポキスル、キシリルカルブ、アスラム、クロルプロファム、エンドスルファン、ヘプタクロル、テブフェノジド、ベンスルタップ、ジエトフェンカルブ、ピリミホスメチル、アルジカルブ、メトミル、シプルメトリン(cyprmethrin)、ビオアレトリン、デルタメトリン、λシハロトリン、シハロトリン、シフルトリン、フェンバレレート、イミプロトリン、ペルメトリン、ハルフェンプロックス、クロラントラニリプロール、オキサミル、フルピラジフロン、セダキサン、インスカリス、リナキシピル、スルホキサフロール、及びスピネトラムが挙げられる。
【0025】
好適な植物生長調節剤としては、パクロブトラゾール、トリネキサパック-エチル、及び1-メチルシクロプロペンが挙げられる。
【0026】
好適な薬害軽減剤としては、ベノキサコール、クロキントセットメキシル、シオメトリニル、ジクロルミド、フェンクロラゾール-エチル、フェンクロリム、フルラゾール、フルキソフェニム、メフェンピルジエチル、MG-191、ナフタル酸無水物、及びオキサベトリニルが挙げられる。
【0027】
The Pesticide Manualの各種版[とりわけ第14版及び第15版]にも農薬の詳細が開示されており、それらはいずれも本発明で好適に使用されうる。
【0028】
好適には農薬は重量基準で0.5重量%~50.0重量%(より好適には1.0重量%~30重量%、より好適には3.0重量%~20.0重量%、最も好適には5.0重量%~15.0重量%)の濃度で組成物中に存在する。
【0029】
好適には農薬は連続相中懸濁形態である。
【0030】
好適には農薬はADEPIDYN(商標)(ピジフルメトフェン)、オキサチアピプロリン、セダキサン、又はアゾキシストロビンである。
【0031】
好適には連続相は水性である。
【0032】
さらなる農薬が本発明の組成物中に存在しうる。
【0033】
好適にはさらなる農薬は重量基準で0.5重量%~50.0重量%(より好適には1.0重量%~30重量%、より好適には3.0重量%~20.0重量%、最も好適には5.0重量%~15.0重量%)の濃度で組成物中に存在する。
【0034】
好適には第1の農薬は連続相中懸濁形態であるがさらなる農薬は乳化形態で存在する。
【0035】
1種超の農薬が存在するとき、好ましくはADEPIDYN(商標)(ピジフルメトフェン)は懸濁形態であるがプロピコナゾールは乳濁液として存在し、又はオキサチアピプロリンは懸濁形態であるがメフェノキサムは乳濁液として存在する。かかる状況では、好適には連続相は水性であり且つ組成物は乳懸濁液である。
【0036】
好適には式(I)の化合物は重量基準で0.1重量%~10.0重量%(より好適には0.3重量%~5.0重量%、より好適には0.5重量%~2.0重量%、最も好適には0.5重量%~1.0重量%)の濃度で組成物中に存在する。
【0037】
下記実施例は本発明に係る組成物に関連する結晶成長を示す。とくに明記されていない限り濃度及び比はすべて重量基準である。
【0038】
粒子サイズ分布は各種サイズ範囲の各々に分類される粒子数として報告され、対象サンプル中のすべてのサイズの合計数に対するパーセントとして与えられる。
【0039】
そのため(たとえば)DV95は累積データを報告し、95は合計粒子の95%パーセントまでが所与の数値未満であることを意味する。たとえばDV95=7μmの場合、それは粒子の95%が7μmよりも小さく且つ5%が7μmよりも大きいことを意味する。
【0040】
Break-Thru(商標)DA647及びBreak-Thru(商標)DA675は式(I)の化合物の例である。
【0041】
Break-Thru(商標)DA647はフェニルオキシランとオキシランとのポリマーのモノオクチルエーテル(CAS番号:83653-00-3)であり、それはTEGO(商標)XP11010(Degussa製)としても知られる。
【0042】
Break-Thru(商標)DA675は2-フェニルオキシランとオキシランとのポリマーのモノ(3,5,5-トリメチルヘキシル)エーテル(CAS番号:303150-42-7)であり、それはTEGO(商標)VISCOPLUS3030及びTEGO(商標)VISCOPLUS3060(Degussa製)としても知られる。
【実施例】
【0043】
実施例1
本実施例は、水中に懸濁されたADEPIDYN(商標)(ピジフルメトフェン)と水中油型乳濁液として存在するプロピコナゾールとを含む乳懸濁液(SE)に関するデータを提供する。SE製剤すべては、当業者の熟知する従来プロセスを用いて調製及び粒子サイズ分析された。
【0044】
表1は、各SEに対してSEサンプルの凍結解凍(F/T)貯蔵時に得られた成分プラス粒子サイズデータのリストを提供する。サンプルの物理的貯蔵に対して凍結解凍周期ストレス試験を使用することにより、24時間ごとに貯蔵フリーザー/オーブン/温度を-10℃から45℃に変化させた(次いで24時間後に再び元に戻した)。かかる極端な温度変化下では、ストレスを受けた材料は有効成分の有意な粒子成長を誘発するおそれがあるが、表1に示されるように、これは式(I)の化合物の存在により軽減可能である。
【0045】
【0046】
結論:製剤ADE-1及びADE-2はきわめて類似した組成物であり、ADE-2がADE-1に不在のBreak-Thru(商標)DA647を含有することが主要な差であり、表1に明らかにされるように、驚くべきことにBreak-Thru(商標)DA647の存在は粒子成長(結晶成長)の速度を有意に低減する。
【0047】
実施例2
本実施例は、水中に懸濁されたOXTP(オキサチアピプロリン)と水中油型乳濁液として存在するMFX(メフェノキサム)とを含む殺真菌剤乳懸濁液(SE)に関するデータを提供する。SE製剤すべては、当業者の熟知する従来プロセスを用いて調製及び粒子サイズ分析された。
【0048】
表2は、各SEに対してSEサンプルの貯蔵時に得られた成分プラス粒子サイズデータのリストを提供する。
【0049】
【0050】
結論:製剤OXTP-1~OXTP-5はきわめて類似した組成物であり、製剤OXTP-2~OXTP-5が製剤OXTP-1に不在のBreak-Thru(商標)DA647又はDA675を含有することが主要な差であり、表2に明らかにされるように、驚くべきことにBreak-Thru(商標)DA647又はDA675の存在は粒子成長(結晶成長)の速度を有意に低減する。
【0051】
実施例3
本実施例は、水中に懸濁されたセダキサンを含む殺真菌剤懸濁液濃縮物(SC)に関するデータを提供する。SC製剤はすべて、当業者の熟知する従来プロセスを用いて調製及び粒子サイズ分析された。表3は、各SCに対してSCサンプルの貯蔵時に得られた成分プラス粒子サイズデータのリストを提供する。
【0052】
【0053】
結論:製剤SDX-1~SDX-3はきわめて類似した組成物であり、異なる分散剤を含有することが主要な差であり、製剤SDX-3は製剤SDX-1及びSDX-2に不在のBreak-Thru(商標)DA675を含有し、異なる化学の分散剤で置き換えられており、表3に明らかにされるように、驚くべきことにBreak-Thru(商標)DA675の存在は粒子成長(結晶成長)の速度を有意に低減する。
【0054】
実施例4
本実施例は、水中に懸濁されたアゾイストロビン(azoystrobin)を含む殺真菌剤懸濁液濃縮物(SC)に関するデータを提供する。SC製剤はすべて、当業者の熟知する従来プロセスを用いて調製及び粒子サイズ分析された。
【0055】
表4は、各SCに対してSCサンプルの貯蔵時に得られた成分プラス粒子サイズデータのリストを提供する。
【0056】
【0057】
結論:製剤AZ-1~AZ-3はきわめて類似した組成物であり、異なる分散剤を含有することが主要な差であり、製剤AZ-3は製剤AZ-1及びAZ-2に不在のBreak-Thru(商標)DA675を含有し、異なる化学の分散剤で置き換えられており、表4に明らかにされるように、驚くべきことにBreak-Thru(商標)DA675の存在は粒子成長(結晶成長)の速度を有意に低減する。