(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】選択的アンモニア酸化触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 29/76 20060101AFI20241202BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20241202BHJP
B01J 23/42 20060101ALI20241202BHJP
F01N 3/035 20060101ALI20241202BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20241202BHJP
F01N 3/10 20060101ALI20241202BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20241202BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
B01J29/76 A ZAB
B01D53/94 222
B01D53/94 228
B01D53/94 400
B01J23/42 A
F01N3/035 A
F01N3/08 A
F01N3/08 B
F01N3/10 A
F01N3/24 E
F01N3/28 301D
(21)【出願番号】P 2021560070
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(86)【国際出願番号】 US2020027180
(87)【国際公開番号】W WO2020210295
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/082306
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】524318674
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ モバイル エミッションズ カタリスツ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】BASF Mobile Emissions Catalysts LLC
【住所又は居所原語表記】33 Wood Avenue South, Iselin, New Jersey 08830, USA
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ハオ,ユイ フェン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ユエチン
(72)【発明者】
【氏名】ロス,スタンリー エー.
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー,ヤン マルティン
(72)【発明者】
【氏名】マウレル,シュテファン
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0280879(US,A1)
【文献】特開2016-041428(JP,A)
【文献】特表2016-531736(JP,A)
【文献】特表2018-526191(JP,A)
【文献】特表2010-519039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
B01D 53/94
F01N 3/00 - 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的アンモニア酸化(AMOx)触媒であって、白金族金属と、TiO
2からなる担体とを含み、前記TiO
2が、0~10質量%のSiO
2、WO
3、ZrO
2、Y
2O
3、La
2O
3又はこれらの混合物でドープされており、
前記TiO
2
が、エージング前に、新鮮な状態で、40~400m
2
/gのBET比表面積を有しており、前記TiO
2が、750℃で20時間、10体積%のH
2Oで水熱エージングした後に、
5~
120m
2/gのBET比表面積を有する、選択的アンモニア酸化(AMOx)触媒。
【請求項2】
前記TiO
2が、750℃で20時間エージングして0.01~0.2cm
3/gの範囲の平均細孔容積、又は750℃で20時間エージングして2~50nmの範囲の平均細孔径を有する、請求項1に記載のAMOx触媒。
【請求項3】
白金族金属の担持量が、基材の体積に対する白金族金属の総質量として計算して、約0.3g/ft
3~約20g/ft
3、好ましくは約0.5g/ft
3~約10g/ft
3、より好ましくは約0.8g/ft
3~約3g/ft
3の範囲である、請求項1又は2に記載のAMOx触媒。
【請求項4】
前記白金族金属がPtである、請求項1から3のいずれか一項に記載のAMOx触媒。
【請求項5】
前記AMOx触媒が、基材の体積に対するAMOx触媒の総質量として計算して、0.1g/in
3~1.5g/in
3の範囲のドライゲインで前記基材上にコーティングされる、請求項1から4のいずれか一項に記載のAMOx触媒。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のAMOx触媒と、選択的触媒還元(SCR)触媒とを含む統合された触媒システムであって、前記SCR触媒が前記AMOx触媒の上流の領域に位置するか、前記AMOx触媒の上の層に位置するか、又は前記AMOx触媒と均質にブレンドされているか、又はこれらの任意の組み合わせである、統合された触媒システム。
【請求項7】
前記SCR触媒が、モレキュラーシーブ材料上にプロンプター金属を含む、請求項6に記載の統合された触媒システム。
【請求項8】
前記モレキュラーシーブ材料が、骨格型CHA、AEI、AFX、ERI、KFI、LEV、AFT、EAB、DDR、PAU、RHO、SAV、SAT、TSC、UEI、LTA、MFI、FER、FAU及びこれらの組み合わせから選択される、請求項7に記載の統合された触媒システム。
【請求項9】
前記モレキュラーシーブ材料がCHA骨格型であり、前記CHAの結晶子サイズが約0.1~約5ミクロンである、請求項8に記載の統合された触媒システム。
【請求項10】
前記モレキュラーシーブ材料が、2~200の範囲のシリカ対アルミナ比を有する、請求項7から9のいずれか一項に記載の統合された触媒システム。
【請求項11】
促進剤金属が、Cu、Fe、又はこれらの組み合わせであり、前記SCR触媒の前記促進剤金属含有量が、酸化物として計算して0.1質量%~10質量%の範囲である、請求項7から10のいずれか一項に記載の統合された触媒システム。
【請求項12】
前記AMOx触媒及びSCR触媒が、1つの触媒として、又は1つの基材上に統合されている、請求項7から11のいずれか一項に記載の統合された触媒システム。
【請求項13】
前記基材が、フロースルーモノリス又はウォールフローフィルタである、請求項7から12のいずれか一項に記載の統合された触媒システム。
【請求項14】
酸化触媒(DOC)、触媒化煤フィルタ(CSF)、還元剤インジェクタ、及び請求項6から13のいずれか一項に記載の統合された触媒システムを含む、排気処理システムであって、
場合により、前記排気処理システムが、第2の選択的触媒還元(SCR)触媒及び/又はリーンNOxトラップ(LNT)をさらに含む、排気処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的アンモニア酸化(AMOx)触媒、その製造方法、及び排気ガス流を処理するための統合された触媒システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンの排気は不均質な混合物であり、煤などの粒子状排出物と、一酸化炭素、未燃焼又は部分燃焼炭化水素、及び窒素酸化物(まとめてNOxと呼ぶ)を含むガス状排出物とを含有する。触媒組成物はしばしば、1つ以上のモノリシック基材上に配置され、エンジン排気システムに置かれて、これらの排気成分の或る一部又は全部を、無害な化合物に転化する。
【0003】
選択的触媒還元(SCR)は、厳しいNOx排出目標を達成するために、ディーゼル及びリーンバーンエンジンにおいて使用されるNOx低減技術である。アンモニアSCRプロセスでは、NOx(通常、NO+NO2からなる)はアンモニア(又は尿素などのアンモニア前駆体)と反応して、典型的には卑金属から構成される触媒上で二窒素(N2)を形成する。この技術により、典型的なディーゼル走行サイクル中に90%を超えるNOx転化率を得ることができるので、この技術は積極的なNOx低減目標を達成するための最良のアプローチの1つを表す。
【0004】
いくつかのSCR触媒材料の特性の特徴は、典型的な走行サイクルの低温部分間に、触媒表面上のルイス及びブレンステッド酸性部位上にかなりの量のアンモニアを保持する傾向である。その後、排気温度の上昇により、アンモニアSCR触媒表面からアンモニアが脱着し、車両の排気管から排出される。NOx転化率を上昇させるためにアンモニアを過剰投与することは、アンモニアがアンモニアSCR触媒から排出される場合がある、別の潜在的なシナリオである。
【0005】
SCR触媒からのアンモニアスリップには多数の問題がある。NH3の臭気閾値は、空気中で20ppmである。眼及び喉への刺激が100ppmを超えると顕著になり、400ppmを超えると皮膚刺激が発生し、そして生命及び健康に対する差し迫った危険(Immediate Danger to Life & Health)(IDLH)は空気中で500ppmである。NH3は、特にその水性形態において苛性である。排気触媒の下流にある排気ラインの低温領域でNH3と水が凝縮すると、腐食性の混合物が生じる。
【0006】
従って、アンモニアがテールパイプに入る前にアンモニアを除去することが望ましい。選択的アンモニア酸化(AMOx)触媒は、過剰アンモニアをN2に転化する目標と共に、この目的のために用いられる。AMOx触媒は、強力な温室効果ガスであるN2Oを最小限に生成することが望ましい。理想的には、AMOx触媒は、高いNH3酸化活性と高いN2への選択性の両方を示すべきである。しかしながら、既知のAMOx触媒のほとんどは、活性と選択性に対して交換の関係を示す。すなわち、より高いNH3酸化活性は、より低いN2選択性を伴う(N2O及びNOxなど、より高レベルの副生物の形成)。
【0007】
一般的に、AMOx触媒は、アルミナ、シリカ、ジルコニア又はこれらの組み合わせなどの耐熱性金属酸化物担体上に担持された貴金属を含む。特許文献WO2010/062730A1、WO2011/140251A1、WO2017/037006A1、及びUS2011/0286900A1に記載のように、多くの耐熱性金属酸化物担体がAMOx触媒において使用されると開示されているものの、おそらく、純粋なチタニアの水熱安定性が乏しいと考えられていることが理由で、当該技術分野では、純粋なチタニアがAMOx触媒において担体として使用されるという報告はない。チタニアの比表面積は、高温、特に560℃より高い温度でのエージング後に著しく減少することがよく知られている。従って純粋なチタニアは一般に、厳しい水熱エージング条件に耐える必要がある担持触媒用の適切な担体であるとは考えられていない。
【0008】
しかし、本発明者らは、白金族金属(PGM)、特に、TiO2からなる担体上に担持されたPtを含有するAMOx触媒が、高いNH3酸化活性及び高いN2生成選択性、特により少ないN2O形成を示すことを見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】WO2010/062730A1
【文献】WO2011/140251A1
【文献】WO2017/037006A1
【文献】US2011/0286900A1
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、白金族金属(PGM)と、TiO2からなる担体とを含む選択的アンモニア酸化(AMOx)触媒を提供する。ここでTiO2は、0~10質量%のSiO2、WO3、ZrO2、Y2O3、La2O3、又はこれらの混合物でドープされている。
【0011】
本発明はまた、
上記の選択的アンモニア酸化(AMOx)触媒、及び
アンモニアと窒素酸化物との反応を促進して窒素とH2Oとを選択的に形成する、選択的触媒還元(SCR)触媒
を含む、排気ガス流を処理するための統合されたSCR/AMOx触媒システムを提供する。
【0012】
本発明はまた、
ディーゼル酸化触媒(DOC)、触媒化煤フィルタ(CSF)、還元剤インジェクタ、及び上記の統合されたSCR/AMOx触媒システム
を含む排気処理システムであって、
場合により、第2の選択的触媒還元(SCR)触媒及び/又はリーンNOxトラップ(LNT)をさらに含む、排気処理システムを提供する。
【0013】
本AMOx触媒は、白金族金属(PGM)と、純粋なTiO2又は少量(<10%)のSiO2、WO3、ZrO2、Y2O3、La2O3又はこれらの混合物でドープされているTiO2以外の通常の耐熱性金属酸化物担体とを含有するAMOx触媒と比較して、高いNH3活性、例えばより低いNH3ライトオフ温度T70、及び高いN2選択性、例えばより少ない亜酸化窒素(N2O)副生成物形成の両方を示す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1Aは、1つ以上の実施態様によるAMOx触媒のレイアウトを示す。
図1Bは、1つ以上の実施態様による統合された触媒システムのレイアウトを示す。
図1Cは、1つ以上の実施態様による統合された触媒システムのレイアウトを示す。
【
図2】
図2Aは、1つ以上の実施態様による統合された触媒システムのレイアウトを示す。
図2Bは、1つ以上の実施態様による統合された触媒システムのレイアウトを示す。
【
図3】
図3Aは、1つ以上の実施態様による統合された触媒システムのレイアウトを示す。
図3Bは、1つ以上の実施態様による統合された触媒システムのレイアウトを示す。
【
図4】
図4Aは、1つ以上の実施態様による統合された触媒システムのレイアウトを示す。
図4Bは、1つ以上の実施態様による統合された触媒システムのレイアウトを示す。
図4Cは、1つ以上の実施態様による統合された触媒システムのレイアウトを示す。
【
図5】
図5は、水熱エージング後の実施例1の試料及び比較例の試料の触媒性能(NH
3転化率及びN
2O形成)を示す。
【
図6】
図6は、実施例1、実施例2の試料及び比較例の試料の新鮮な及びエージングした触媒性能(NH
3転化率及びN
2O形成)を示す。
【
図7】
図7は、TiO
2の細孔容積及び細孔径を示す。
【
図8】
図8は、水熱エージング後の実施例の試料及び比較例の試料の触媒性能(NH
3転化率及びN
2O形成)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施態様
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用する、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈が他に明確に示さない限り、複数の参照を含む。
【0016】
用語「NH3酸化」は、アンモニア(NH3)が酸素(O2)と反応してN2、NO、NO2、N2O、好ましくはN2を生成するプロセスを指す。
【0017】
AMOx触媒
1つ以上の実施態様では、選択的アンモニア酸化(AMOx)触媒は、白金族金属(PGM)と、TiO2からなる担体とを含む。ここで、前記担体は本質的にTiO2からなり、このTiO2は、0~10質量%のSiO2、WO3、ZrO2、Y2O3、La2O3、又はこれらの混合物でドープされている(10%質量は除外される)。
【0018】
本明細書中で使用する用語「白金族金属」又は「PGM」とは、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、及びルテニウム(Ru)、及びこれらの混合物を含む、元素周期表において定義される1種以上の化学元素を指す。
【0019】
具体的な実施態様では、白金族金属は、白金族金属の物理的混合物又は化学的若しくは原子的にドープされている組合せを含む。
【0020】
具体的な実施態様では、本明細書に開示するAMOx触媒は、モノリス基材の体積に対するPGM元素の総質量として計算して、約0.3g/ft3~約20g/ft3(約0.01~0.70g/L)、好ましくは約0.5g/ft3~約10g/ft3(約0.02~0.35g/L)、より好ましくは約0.8g/ft3~約3g/ft3(約0.03~0.10g/L)の総PGM担持量を含む。
【0021】
具体的な実施態様では、白金族金属は、白金(Pt)を含む。アンモニア酸化触媒は、モノリス基材の体積に対する白金(Pt)成分の総質量として計算して、約0.3g/ft3~約20g/ft3(約0.01~0.70g/L)、好ましくは約0.5g/ft3~約10g/ft3(約0.02~0.35g/L)、より好ましくは約0.8g/ft3~約3g/ft3(約0.03~0.10g/L)の範囲の量の白金(Pt)成分を含む。より具体的な実施態様では、白金族金属はPtであり、そして他の白金族金属は存在しない。
【0022】
本明細書で使用する用語「他の白金族金属は存在しない/含まない」とは、白金以外の白金族金属が触媒に意図的に添加されておらず、且つ他の白金族金属が触媒中に、一般に約1質量%未満(約0.75質量%未満、約0.5質量%未満、約0.25質量%未満、及び約0.1質量%未満を含む)であることを意味する。言い換えれば、触媒は、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、又はイリジウム(Ir)を含まない。1つ以上の実施態様では、触媒は白金を含み、そして他の白金族金属を含まない。このような実施態様では、触媒は、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)又はロジウム(Rh)を含有しない。
【0023】
具体的な実施態様では、白金族金属は、パラジウム(Pd)を含む。AMOx触媒は、基材の体積に対するパラジウム(Pd)成分の総質量として計算して、約0.3g/ft3~約20g/ft3、好ましくは約0.5g/ft3~約10g/ft3、より好ましくは約0.8g/ft3~約3g/ft3の範囲の量のパラジウム(Pd)成分を含む。
【0024】
具体的な実施態様では、白金族金属は、ロジウム(Rh)を含む。AMOx触媒は、基材の体積に対するロジウム(Rh)成分の総質量として計算して、約0.3g/ft3~約20g/ft3、好ましくは約0.5g/ft3~約10g/ft3、より好ましくは約0.8g/ft3~約3g/ft3の範囲の量のロジウム(Rh)成分を含む。
【0025】
1つ以上の具体的な実施態様では、TiO2は、750℃で20時間、10体積%のH2Oで水熱エージングした後に、5~120m2/g、具体的には7~50m2/g、より具体的には9~25m2/gのBET比表面積を有する。エージング前に、新鮮なTiO2は40~400m2/g、具体的には50~200m2/g、より具体的には75~100m2/gのBET比表面積を有する。
【0026】
本明細書中で使用する用語「BET表面積」は、その通常の意味を有し、N2吸着によって表面積を決定するためのBrunauer,Emmett,Teller法を指す。
【0027】
1つ以上の具体的な実施態様では、TiO2は、750℃で20時間エージングした後に0.01~0.2cm3/gの範囲の平均細孔容積(BET)、又は750℃で20時間エージングした後に5~50nmの範囲の平均細孔径(BET)を有する。エージング前に、新鮮なTiO2は5~30cm3/gの範囲の平均細孔容積(BET)、又は2.5~20nmの範囲の平均細孔径(BET)を有する。
【0028】
1つ以上の実施態様では、TiO2は、750℃で20時間エージングした後に、250~450nm、好ましくは300~400nmの範囲の平均粒径を有する。エージング前に、新鮮なTiO2は20~120nmの範囲、好ましくは45~95nmの平均粒径を有する。
【0029】
1つ以上の実施態様では、AMOx触媒は、750℃で20時間、10体積%のH2Oで水熱エージングした後に、約5~約120m2/gの範囲、好ましくは7~50m2/g、より好ましくは9~25m2/gの表面積(BET)を有する。エージング前に、新鮮なAMOx触媒は、40~400m2/g、具体的には50~200m2/g、より具体的には75~100m2/gのBET比表面積を有する。
【0030】
1つ以上の具体的な実施態様では、AMOx触媒は、750℃で20時間エージングした後に、0.01~0.2cm3/gの範囲の平均細孔容積(BET)、又は750℃で20時間エージングした後に5~50nmの範囲の平均細孔径(BET)を有する。エージング前に、新鮮なAMOx触媒は5~30cm3/gの範囲の平均細孔容積(BET)、又は2.5~20nmの範囲の平均細孔径(BET)を有する。
【0031】
1つ以上の実施態様では、AMOx触媒は、750℃で20時間エージングした後に250~450nmの範囲、好ましくは300~400nmの平均粒径を有する。エージング前に、新鮮なAMOx触媒は、20~120nm、好ましくは45~95nmの範囲の平均粒径を有する。
【0032】
1つ以上の実施態様では、AMOx触媒は、基材の体積に対して約0.1~約1.5g/in3(約6~90g/L)、好ましくは0.2~約1.0g/in3(約12~60g/L)のドライゲイン(dry gain)で基材上にコーティングされる。
【0033】
AMOx触媒及び第2の触媒組成物を含む1つ以上の実施態様は、「多成分」AMOx触媒と呼ぶことができる。
【0034】
1つ以上の実施態様では、AMOx触媒は、選択的触媒還元(SCR)触媒、CO酸化、炭化水素貯蔵、炭化水素酸化、NOx貯蔵、NO酸化などの他の機能と、1つの触媒として、又は異なるレイアウト(領域分け、層化、均質なブレンドなど)を介して1つの基材上に、任意に統合することができる。
【0035】
1つ以上の具体的な実施態様では、排気ガス流を処理するための触媒システムは、AMOx触媒及び選択的触媒還元(SCR)触媒を含み、アンモニアと窒素酸化物との反応を促進して窒素及びH2Oを選択的に形成する。ここで選択的触媒還元(SCR)触媒は、AMOx触媒の上流の領域に位置する、AMOx触媒の上の層に位置する、又はSCR触媒は、AMOx触媒と均質にブレンドされているか、又はこれらの任意の組み合わせである。
【0036】
基材
有用な基材は3次元であり、円柱に類似した長さ、直径及び体積を有する。形状は必ずしも円柱と一致する必要はない。長さは、入口端及び出口端によって定義される軸方向の長さである。
【0037】
1つ以上の実施形態によれば、本明細書に開示する組成物(単数又は複数)のための基材は、自動車用触媒の調製に典型的に使用される任意の材料で構成されていてよく、そして典型的には金属又はセラミックのハニカム構造を含む。基材は、典型的には、その上にウォッシュコート組成物を施与し且つ付着させる複数の壁表面を提供し、それによって触媒組成物の基材としての役割を果たす。
【0038】
本明細書に開示する触媒物品のための任意の好適な基材、例えば、基材の入口又は出口面から基材を貫通して延びる微細で平行なガス流通路を有し、通路がその中を流れる流体に開放されているタイプのモノリシック基材(「フロースルー基材」)を用いてよい。
【0039】
具体的な実施態様では、基材は、フロースルー基材(例えば、フロースルーハニカムモノリシック基材を含むモノリシック基材)である。フロースルー基材は、基材の入口端から出口端まで延びる微細で平行なガス流通路を有し、通路は流れる流体に対して開放されている。通路は、その流体入口からその流体出口まで本質的に直線路であり、通路を流れるガスが触媒材料に接触するように触媒コーティングが配置された壁によって画定されている。フロースルー基材の流路は薄壁のチャンネルであり、これは、台形、長方形、正方形、正弦形、六角形、楕円形、円形など、任意の好適な断面形状及びサイズである。フロースルー基材は、セラミック製又は金属製である。
【0040】
別の好適な基材は、基材の長手方向の軸に沿って延びる複数の微細な実質的に平行なガス流通路を有するタイプのものであり、典型的には、各通路が基材本体の一端で遮断され、交互の通路が反対側の端面で遮断されている(「ウォールフローフィルタ」)。
【0041】
具体的な実施態様では、触媒基材は、ウォールフローフィルタの形態のハニカム基材又はフロースルー基材、好ましくはフロースルーハニカム基材を含む。
【0042】
SCR触媒
1つ以上の実施態様では、SCR触媒は、ゼオライト又は非ゼオライトのモレキュラーシーブ及びプロンプター金属(prompter metal)を含む。
【0043】
本明細書で使用する語句「モレキュラーシーブ」とは、ゼオライト及び他の骨格材料(例えば同形置換された材料)などの骨格材料を指し、これは、触媒として使用される1種以上の促進剤金属(promoter metal)と組み合わせた粒子形態であってよい。モレキュラーシーブは、一般に四面体型部位を含有し、実質的に均一な細孔分布を有する酸素イオンの広範な三次元ネットワークに基づく材料であり、平均細孔サイズは20Åほどである。細孔サイズは環のサイズによって定義される。本明細書で使用する用語「ゼオライト」とは、シリコン及びアルミニウム原子を含むモレキュラーシーブの具体例を指す。1つ以上の実施態様によれば、モレキュラーシーブをこれらの骨格型によって定義することによって、骨格型、及びゼオライト材料と同じ骨格型を有するSAPO、ALPO及びMeAPO材料などの任意の且つあらゆる同形の骨格材料を含むことが意図されることが理解されよう。
【0044】
1つ以上の具体的な実施態様では、モレキュラーシーブ材料は、AEI、AFT、AFX、CHA、DDR、EAB、EMT、ERI、FAU、FER、GME、JSR、KFI、LEV、LTA、LTL、LTN、MFI、MOZ、MSO、MWW、OFF、PAU、RHO、SAS、SAT、SAV、SBS、SBT、SFW、SSF、SZR、TSC、UEI、WEN、及びこれらの組み合わせから選択される骨格型を有する。本発明の1つの好ましい実施態様では、モレキュラーシーブ材料は、CHA、AEI、AFX、ERI、KFI、LEV、AFT、EAB、DDR、PAU、RHO、SAV、SAT、TSC、UEI、LTA、MFI、FER、FAU、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される骨格型を有する。さらになお具体的な実施態様では、モレキュラーシーブ材料は、CHA、AEI、及びAFXから選択される骨格型を有する。1つ以上の非常に具体的な実施態様では、モレキュラーシーブ材料は、CHA骨格型を有する。
【0045】
モレキュラーシーブ材料のシリカ対アルミナの比は、広い範囲にわたって変化させることができる。1つ以上の具体的な実施態様では、モレキュラーシーブ材料は、2~200の範囲(5~100、8~50、及び10~30を含む)のシリカ対アルミナのモル比(SAR)を有する。
【0046】
1つ以上の実施態様では、モレキュラーシーブ材料は、0.01ミクロン~10ミクロンの結晶子サイズ、又は好ましくは0.1ミクロン~5.0ミクロンの結晶子サイズを有する。
【0047】
触媒の促進剤金属含有量は、酸化物として計算して、1つ以上の実施態様では、少なくとも約0.1質量%であり、揮発性がないことをベースとして報告される。具体的な実施態様では、促進剤金属含有量は、酸化物として計算して、0.1質量%~約10質量%以下の範囲(9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、0.25、及び0.1質量%を含む)であり、各場合とも、か焼モレキュラーシーブの総質量に基づき、揮発性がないことをベースとして報告される。
【0048】
具体的な実施態様では、促進剤金属はCuを含み、そしてCu含有量は、CuOとして計算して、0.1質量%~約10質量%以下の範囲(9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、0.25、及び0.1質量%を含む)であり、各場合とも、か焼モレキュラーシーブの総質量に基づき、揮発性がないことをベースとして報告される。具体的な実施態様では、モレキュラーシーブのCu含有量は、CuOとして計算して、約1~約10質量%の範囲である。
【0049】
他の具体的な実施態様では、促進剤金属はFeを含み、そしてFe含有量は、Fe2O3として計算して、0.1質量%~約10質量%以下の範囲(9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、0.25、及び0.1質量%を含む)であり、各場合とも、か焼モレキュラーシーブの総質量に基づき、揮発性がないことをベースとして報告される。具体的な実施態様では、モレキュラーシーブのFe含有量は、Fe2O3として計算して、約1~約10質量%の範囲である。
【0050】
他の具体的な実施態様では、促進剤金属は、Cu、Fe、又はこれらの組み合わせである。
【0051】
AMOx触媒のレイアウト
1つ以上の実施態様では、
図1Aを参照すると、AMOx触媒1は、基材0上にウォッシュコーティングされて(wash coated)、層を形成する。
【0052】
他の実施態様では、AMOx触媒1は、均質にブレンドされることによりSCR触媒をさらに含み、SCR触媒対AMOx触媒の質量比は、統合された触媒システムのために、0.5~15、好ましくは2~10、より好ましくは3.5~7.5である。
【0053】
具体的な実施態様では、AMOx触媒1は、出口端6から入口端5に向かって、基材長の約5%~約100%の範囲(10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%を含む)で延びてよい。他の具体的な実施態様では、AMOx触媒は、入口端5から出口端6に向かって、基材長の約5%~約100%の範囲(10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%を含む)で延びてよい。
【0054】
他の実施態様では、AMOx触媒はSCR触媒と統合される。
図1Bを参照すると、統合された触媒システムは、AMOx触媒1でウォッシュコーティングされて第1の層(又は底部ウォッシュコート層)を形成する基材0を含み、そしてSCR触媒2は第1の層の上部にウォッシュコーティングされて第2の層(又は上部ウォッシュコート層)を形成する。SCR触媒対AMOx触媒の質量比は、0.5~15、好ましくは2~10、より好ましくは3.5~7.5である。
【0055】
本明細書で使用する用語「上流」及び「下流」とは、エンジンからテールパイプに向かうエンジン排気ガス流の流れに応じた相対的な方向を指し、エンジンは上流位置にあり、そしてテールパイプ及び任意の汚染低減物品、例えばフィルタ及び触媒は、エンジンの下流にある。
【0056】
他の実施態様では、AMOx触媒はSCR触媒と統合される。
図1Cを参照すると、統合された触媒システムは、AMOx触媒1でウォッシュコーティングされて第1の層(又は底部ウォッシュコート層)を形成する基材0を含み、そして第1のSCR触媒2は、第2のSCR触媒3の上流でコーティングされる。SCR触媒2及び3の両方がAMOx触媒1の上部にコーティングされる。
【0057】
具体的な他の実施態様では、第1のSCR触媒2及び第2のSCR触媒3の促進剤金属は、Cu、Fe、又はこれらの組み合わせから独立して選択される。
【0058】
第1のSCR触媒2及び第2のSCR触媒3の長さは可変であることが理解されよう。1つ以上の実施態様では、第1のSCR触媒2及び第2のSCR触媒3の長さが等しいことが可能である。他の実施態様では、第1のSCR触媒2は、基材0の長さLの約5~95%の範囲(約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、又は約90%を含む)であってよく、第2のSCR触媒3は、それぞれ、基材0の長さLの残りの部分を覆い、ギャップ4はない。他の実施態様では、第1のSCR触媒2は、基材0の長さLの約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、又は約90%であってよく、第2のSCR触媒3は、それぞれ、基材0の長さLの残りの部分を覆い、ギャップ4を有する(
図1Cに示すとおり)。
【0059】
他の実施態様では、AMOx触媒はSCR触媒と統合される。
図2Aを参照すると、統合された触媒システムは、AMOx触媒1でウォッシュコーティングされて第1の層(又は底部ウォッシュコート層)を形成する基材0を含み、そしてSCR触媒2は第1の層の上部にウォッシュコーティングされて第2の層(又は上部ウォッシュコート層)を形成する。
【0060】
具体的な実施態様では、AMOx触媒1は、基材長の約100%の範囲で延びる。SCR触媒2は、出口端6から入口端5に向かって、基材長の約5%~約100%の範囲(10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%を含む)で延びてよい。
【0061】
他の実施態様では、AMOx触媒はSCR触媒と統合される。
図2Bを参照すると、統合された触媒システムは、AMOx触媒1でウォッシュコーティングされて第1の層(又は底部ウォッシュコート層)を形成する基材0を含み、そしてSCR触媒2は第1の層の上部にウォッシュコーティングされて第2の層(又は上部ウォッシュコート層)を形成する。
【0062】
具体的な実施態様では、AMOx触媒1は、基材長の約100%の範囲で延びる。SCR触媒2は、入口端5から出口端6に向かって、基材長の約5%~約100%の範囲(10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%を含む)で延びてよい。
【0063】
他の実施態様では、AMOx触媒はSCR触媒と統合される。
図3Aを参照すると、統合された触媒システムは、AMOx触媒1でウォッシュコーティングされた基材0aと、SCR触媒2でウォッシュコーティングされた基材0とを含む。基材0は、基材0aの上流に位置する。基材0及び基材0aは、同一であっても異なっていてもよいことが理解されよう。
【0064】
他の実施態様では、AMOx触媒はSCR触媒と統合される。
図3Bを参照すると、統合された触媒システムは、AMOx触媒1の上流に位置するSCR触媒2でウォッシュコーティングされた基材0を含む。
【0065】
SCR触媒2及びAMOx触媒1の長さは可変であることが理解されよう。1つ以上の実施態様では、SCR触媒2及びAMOx触媒1の長さが等しいことが可能である。他の実施態様では、SCR触媒2は、基材0の長さLの約5%~約95%の範囲(約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、又は約90%を含む)であってよく、AMOx触媒1は、それぞれ、基材0の長さLの残りの部分を覆い、ギャップ4はない。他の実施態様では、SCR触媒2は、基材0の長さLの約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、又は約90%であってよく、AMOx触媒1は、それぞれ、基材0の長さLの残りの部分を覆い、ギャップ4を有する(3Bに示すとおり)。
【0066】
上流領域及び下流領域が少なくとも部分的に重なり合うのが可能であることも、当業者には理解されよう。本明細書で使用する用語「少なくとも部分的に重なり合う」とは、上流領域及び下流領域が、少なくとも約0.1%~少なくとも約99%の範囲の量で重なり合うのが可能であることを意味する。
【0067】
1つ以上の実施態様では、上流領域及び下流領域は、完全に重なり合うのが可能である(例えば、約100%)。
図4Aの参照により、統合されたシステムの例示的な実施態様を示す。統合された触媒システムは、AMOx触媒1の上流に位置するSCR触媒2を基材0上に含む。
【0068】
具体的な実施態様では、SCR触媒2は、基材長の約100%の範囲で延びる。AMOx触媒1は、入口端から出口端に向かって、基材長の約5%~約100%の範囲(10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%を含む)で延びてよい。
【0069】
他の具体的な実施態様では、SCR触媒2は、基材長の約100%の範囲で延びる。
図4Bを参照すると、AMOx触媒1は、出口端から入口端に向かって、基材長の約5%~約100%の範囲(10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%を含む)で延びてよい。
【0070】
1つ以上の実施態様では、SCR触媒を含む上流領域は、AMOx触媒を含む下流領域と部分的に重なり合っている。
図4Cの参照により、統合されたシステムの例示的な実施態様を示す。上流のSCR触媒2は、基材0の入口端5から基材0の全長L未満まで通って延び、そして下流のAMOx触媒1と部分的に重なり合っている。AMOx触媒1は、基材0の出口端6から基材の全長L未満まで通って延びる。
【実施例】
【0071】
本発明を以下の実施例を参照してさらに説明するが、これらの実施例は説明の目的で使用するものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【0072】
実施例1
AMOxスラリーの調製
AMOxコーティングスラリーをインシピエントウエットネス含浸法により作った。最初に、250gのTiO2担体(アナターゼ相で純度>98%)を容器に入れ、そして次に、6gの白金アミン溶液を一定にかき混ぜながら滴下して加え、均一な分布を確保した。その後、得られた含浸粉末を脱イオンH2Oで希釈し、固形分42質量%のスラリーとした。その後、混合物を粉砕し、D90=6~9μmの粒径を得た。
【0073】
SCRスラリーの調製
Cu-CHA、酢酸ジルコニウム結合剤及びH2Oの混合物を用いてSCRスラリーを作った。21gの酢酸ジルコニア結合剤(固形分=30.0質量%)を、撹拌しながら滴下して160gの脱イオン水に加えた。これをよく混合した後、120gのCu-CHA粉末を、厳密な撹拌下(~400rpm)で混合物にゆっくりと加えたところ、Cu-CHAのZrO2に対する比は、各材料の乾燥質量に基づいて約19:1であった。固形分は42%未満であった。
【0074】
統合された触媒システムの調製
セラミック製のモノリシックコア(1インチ×3インチ、400/4)を、AMOx又はSCRスラリーに浸漬することにより、コーティングプロセスに使用した。
図1Bを参照すると、これをまずAMOxスラリーでコーティングした。圧縮空気を用いて過剰スラリーを除去した後、湿潤試料を250℃の流動空気中で短時間乾燥させた。その後、コアをマッフル炉中450℃(昇温4℃/分)で1時間か焼し、それから250℃まで冷却して秤量し、AMOx触媒の担持量を決定した。AMOx層のドライゲインは0.5g/in
3(30g/L)であった。AMOx層が完成した後、AMOx層の調製と同じプロセスを用いてSCR層を適用したが、SCR層のドライゲインは1.79g/in
3(110g/L)であった。
【0075】
図1Bからの統合された触媒設計の最適化が、1C、2A、2B、3A、3B、4A、4B又は4Cに示される触媒の前部又は後部の設計に使用できることは、当業者には明らかであろう。
【0076】
実施例2~3及び比較例1~6
実施例2~3及び比較例1~6の触媒を実施例1のように調製したが、AMOxスラリー中に用いた担体は異なっていた(表1に示すとおり)。
【0077】
【0078】
得られた統合された触媒システムは、表2に示す組成を有していた。
【0079】
【0080】
NH3酸化の試験方法:
すべての触媒試験は、1インチ×3インチのモノリスコアを有する模擬ディーゼル排気を用いて流動反応器で行った。1000ppmのNH3を、10%のO2、8%のCO2、7%のH2O、残部N2を含む排気ガスの他の成分と共に、空間速度150000h-1で加えた。このNH3酸化実験を、温度昇温速度20℃/分で175~400℃の範囲で行った。NH3転化率を([NH3]in-[NH3]out)/[NH3]in×100%として計算した。T70は、触媒がNH3の70%を転化する温度と定義される。より低いT70は、NH3酸化に対してより活性である触媒を意味する。
【0081】
図5は、実施例1の試料及び比較例の試料を750℃で20時間水熱エージングした後の触媒性能(NH
3転化率及びN
2O形成)を示す。
図5は、Pt/TiO
2を用いた本発明の試料(実施例1)は、比較例のものよりもT
70が低く、N
2O形成が少ないことを示す。すなわち、本発明の試料は、比較例よりも優れた活性を有するが、N
2O形成が少ないことを示す。特定の理論に束縛されるものではないが、活性の改善は、PtとTiO
2の間の相乗効果によるものであろう。
【0082】
図6は、実施例1の試料及び比較例の試料の新鮮な(左)及びエージングした(右、750℃/20h)触媒性能(NH
3転化率及びN
2O形成)を示す。
【0083】
図6は、Pt/TiO
2を用いた本発明の試料(実施例1)は、エージング後の触媒性能が新鮮な触媒よりも改善されたことを示す。すなわち、本発明の試料は、新鮮な触媒よりも、エージング後のT
70が低く、同時にN
2O形成が少ないことを示す。やはり特定の理論に束縛されるものではないが、エージングによる改善は、NH
3酸化の活性部位であると考えられるPt
0がより多く形成されたことによるものであろう。さらに、エージング中の担体(TiO
2)の特性変化によって反応中間体の脱着が容易になり、結果としてN
2O形成が少なくなったのであろう。
【0084】
実施例1で使用したTiO
2の特性
TiO
2のBET表面積、細孔容積及び細孔径を、Micrometrics triStar IIを用いて試験した。TiO
2試料を473Kまでゆっくりと加熱し、真空下(~50mTorr)、この温度で24時間保持した。次いで試料を吸着ユニットに移し、そしてN
2吸着を液体N
2温度で測定した。
図7は、エージングした及び新鮮なTiO
2の細孔容積及び細孔径を示す。
【0085】
【0086】
本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、本発明において様々な改変及び変形を行うことが可能であることが、当業者には明らかであろう。よって本発明は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内に入るような改変及び変形を網羅することが意図される。