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特許7596306センサモジュール、介護セットおよびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】センサモジュール、介護セットおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/30 20060101AFI20241202BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20241202BHJP
   G08C 15/00 20060101ALI20241202BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
G01D11/30 Z
A61B5/00 B
G08C15/00 E
G08C17/00 A
G08C17/00 Z
A61B5/00 102A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021566559
(86)(22)【出願日】2020-05-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-14
(86)【国際出願番号】 EP2020062569
(87)【国際公開番号】W WO2020225298
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-04-11
(31)【優先権主張番号】102019112126.4
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】524219739
【氏名又は名称】アヘッド ケア ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ベッサー
(72)【発明者】
【氏名】マクシミリアン ギュンター ヘフナー
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-208255(JP,A)
【文献】独国実用新案第202016103635(DE,U1)
【文献】特開2012-220420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/00-13/28
G01D 18/00-21/02
A61B 5/00,5/01
G08C 13/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアの背中に取り付けるセンサモジュール(10)であって、
第1サブモジュール(101)と、第2サブモジュール(201)とを備え、
前記第1サブモジュール(101)が、
a)動作データを検出して送信するための電子ユニット(105)と、
b)第1の構造体(103)とを備え、
前記第2サブモジュール(201)が、
a)該第2サブモジュール(201)をキャリアに固定するための固定手段と、
b)第2の構造体(205)とを備え、
前記第1サブモジュール(101)と前記第2サブモジュール(201)とが互いに可逆的に接続されることができるように、前記第1の構造体(103)が、前記第2の構造体(205)と可逆的な機械的接続を形成可能であ
前記第1サブモジュール(101)が、
柔軟な材料からなる被覆と、
前記電子ユニット(105)を該電子ユニット(105)に電力を供給する電源(119)に接続する柔軟な導体接続部(107)とを備え、
前記被覆が、前記電源(119)および前記電子ユニット(105)とフィットする取り外し不可の形態を形成するように構成され、
前記被覆が、前記第1サブモジュール(101)を曲げることができる曲げ軸を形成する少なくとも1つの柔軟な直線状の部分(129)を備え、前記第1サブモジュール(101)が直線状の前記部分を中心に曲げられたときに前記柔軟な導体接続部(107)も曲げられるように、柔軟な前記部分が、前記柔軟な導体接続部(107)に対して横切る方向に延びる、センサモジュール(10)。
【請求項2】
前記第1の構造体(103)が、フック構造およびループ構造の一方を有し、
前記第2の構造体(205)が、フック構造およびループ構造の他方を有し、
前記フック構造および前記ループ構造は、前記第1の構造体(103)が前記第2の構造体(205)と押し付けられたときに、可逆的な機械的接続を形成する、請求項1に記載のセンサモジュール(10)。
【請求項3】
前記可逆的な機械的接続が、可逆的な形態の形状クロージャ、特に、ベルクロ(登録商標)クロージャを備える、請求項1または請求項2に記載のセンサモジュール(10)。
【請求項4】
前記固定手段が、接着層(209)、特に、人の皮膚に接着可能な接着層(209)を備える、請求項1から請求項3のいずれかに記載のセンサモジュール(10)。
【請求項5】
前記第2サブモジュール(201)が、伸縮可能な接着片として形成されている、請求項1から請求項4のいずれかに記載のセンサモジュール(10)。
【請求項6】
前記第2サブモジュール(201)が、腹帯として形成されている、請求項1から請求項3のいずれかに記載のセンサモジュール(10)。
【請求項7】
前記電子ユニット(105)が、加速度データを測定するための少なくとも1つの加速度センサ(115)、および/または、前記第1サブモジュール(101)または前記センサモジュール(10)の位置座標を検出し送信するためのGPSモジュール(125)を備える、請求項1から請求項6のいずれかに記載のセンサモジュール(10)。
【請求項8】
前記第2サブモジュール(201)が、データを送信するための近距離通信送信機(211)を備え、
前記第1サブモジュール(101)が、前記データを受信するための近距離通信受信機(117)を備え、
a)前記第1サブモジュール(101)の前記第2サブモジュール(201)とのペアリングの機能性、および/または、
b)前記第1サブモジュール(101)の正しい取り付け、および/または、
c)独自の前記第2サブモジュール(201)の使用
を確認するための前記データを使用可能である、請求項1から請求項7のいずれかに記載のセンサモジュール(10)。
【請求項9】
前記第1サブモジュール(101)が、静電容量センサ(127)に付属するコンデンサ電極とキャリアの皮膚表面との間の静電容量値を測定するための静電容量センサ(127)を備える、請求項1から請求項8のいずれかに記載のセンサモジュール(10)。
【請求項10】
前記電子ユニット(105)が、静電容量の基準値と現在の静電容量値とを比較し、該現在の静電容量値が前記基準値以上または前記基準値以下である場合にのみ、データの測定、取得および/または送信を開始するように構成された比較ユニットを備える、請求項1から請求項9のいずれかに記載のセンサモジュール(10)。
【請求項11】
前記電子ユニット(105)が、静電容量の基準値と現在の静電容量値とを比較し、該現在の静電容量値が前記基準値以下である場合にのみ、加速度、位置座標および確認のデータの測定、取得および/または送信を開始するように構成された比較ユニットを備える、請求項1から請求項9のいずれかに記載のセンサモジュール(10)。
【請求項12】
前記電子ユニット(105)が、静電容量の基準値と現在の静電容量値とを比較し、該現在の静電容量値が前記基準値以上である場合にのみ、加速度、位置座標および確認のデータの測定、取得および/または送信を開始するように構成された比較ユニットを備える、請求項1から請求項9のいずれかに記載のセンサモジュール(10)。
【請求項13】
前記電子ユニット(105)が、検出されたデータをセンサモジュール(10)の外部の評価ユニットに送信する通信モジュール(113)を備える、請求項1から請求項12のいずれかに記載のセンサモジュール(10)。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれかに記載のセンサモジュール(10)と、
a)該センサモジュール(10)とは別に配置され、測定データを受信、評価および表示するソフトウェアを有する電子評価ユニット(301)、または、
b)電子評価ユニット上にインストールされ実行されたときに、測定データを受信、評価および表示するソフトウェアを形成するコンピュータプログラム製品と、
を備える介護セット。
【請求項15】
キャリアの背中に取り付けるセンサモジュール(10)の第1サブモジュール(101)に接続するための第2サブモジュール(201)の使用であって、
前記第1サブモジュール(101)が、電子ユニット(105)によって動作データを検出および送信することができ、かつ、第1の構造体(103)を備え、
前記第2サブモジュール(201)が、
a)キャリアに固定するための固定手段を備え、かつ、
b)前記第1サブモジュール(101)と前記第2サブモジュール(201)とが互いに可逆的に接続されるように、押し付けられたときに、前記第1の構造体(103)と可逆的な機械的接続を形成する第2の構造体(205)を備え
前記第1サブモジュール(101)が、
柔軟な材料からなる被覆と、
前記電子ユニット(105)を該電子ユニット(105)に電力を供給する電源(119)に接続する柔軟な導体接続部(107)とを備え、
前記被覆が、前記電源(119)および前記電子ユニット(105)とフィットする取り外し不可の形態を形成するように構成され、
前記被覆が、前記第1サブモジュール(101)を曲げることができる曲げ軸を形成する少なくとも1つの柔軟な直線状の部分(129)を備え、前記第1サブモジュール(101)が直線状の前記部分を中心に曲げられたときに前記柔軟な導体接続部(107)も曲げられるように、柔軟な前記部分が、前記柔軟な導体接続部(107)に対して横切る方向に延びる、第2サブモジュール(201)の使用。
【請求項16】
近距離通信受信機(117)にデータを送信するように構成された近距離通信送信機(211)を備え、
a)前記第1サブモジュール(101)の前記第2サブモジュール(201)とのペアリングの機能性、および/または、
b)前記第1サブモジュール(101)の正しい取り付け、および/または、
c)独自の前記第2サブモジュール(201)の使用
を確認するために使用される前記データを使用可能である、請求項15に記載の第2サブモジュール(201)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、要介護者の健康関連データを記録および評価するためのセンサモジュール、介護セットおよびサブモジュールの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、着用者の皮膚に取り外し可能に接続されることを目的とした皮膚パッドが開示されている。この目的のために、肌に接する面に粘着層が設けられている。肌とは反対側の面には、電子部品を搭載した補助システムを収納可能なポケット部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許出願公開第102017107864号明細書
【発明の概要】
【0004】
本発明の課題は、先行技術と比較して改良されたデバイスを提供することである。
この課題は、請求項1の特徴を有するセンサモジュール、請求項14の特徴を有する介護セットおよび請求項15の特徴を有する第2サブモジュールの使用によって解決される。
【0005】
本発明によれば、第1の態様において、第1の構造体を有するとともに動作データを検出して送信するための電子ユニットを有する第1のサブモジュールを備えるセンサモジュールが提案される。本発明に係るセンサモジュールは、第2サブモジュールをキャリアに固定するための固定手段と、第2の構造体とを有する第2サブモジュールをさらに備え、第1サブモジュールと第2サブモジュールとが相互に可逆的に接続することができるように、第1の構造体が、第2の構造体と可逆的な機械的接続を形成することができる。
【0006】
これにより、固定手段によってキャリアに取り付けられている第2サブモジュールをキャリアから取り外す必要なしに、電子ユニットを搭載した第1サブモジュールをキャリアから取り外すことができるという利点がある。これにより、さらに柔軟性が増す。第1サブモジュールまたは電子ユニットなどの第1サブモジュールの部品を交換または修理する際には、センサモジュール全体をキャリアから取り外す必要がない。このことは、第2サブモジュールが取り付けられたキャリアにとっても、アタッチメントを取り外したり、再度取り付けたりする必要がないため、利便性が高い。むしろ、第1サブモジュールと第2サブモジュールを分離するためには、第1サブモジュールの第1構造体と第2サブモジュールの第2構造体との可逆的な接続を解除するだけで十分である。
【0007】
有利な実施形態において、第1の構造体が、フック構造およびループ構造の一方を有し、第2の構造体が、フック構造およびループ構造の他方を有する。フック構造およびループ構造は、第1の構造体が第2の構造体に押し付けられたときに、可逆的な機械的接続を形成する。好ましくは、可逆的な機械的接続は、可逆的な形状クロージャ、特に、ベルクロ(登録商標)クロージャとして形成される。これにより、第1サブモジュールを第2サブモジュールに解除可能に接続する信頼性の高い接続解除可能な固定を確保することができる。
【0008】
さらに有利な実施形態において、固定手段は、接着層、特に、人間の皮膚に接着することができる接着層を備えている。これは、センサモジュールをキャリアの皮膚に直接、物質的に接着する方法で取り付けることができるという利点がある。第1サブモジュールおよび第2サブモジュールが可逆的な機械的接続によって接続されるので、第1サブモジュールを取り外すために、第2サブモジュールをキャリアの体に取り付けている接着層を取り外す必要はない。また、接着層の剥離および再接着を避けることは、接着層の接着効果をより長くすることにつながり、接着層または第2サブモジュールを新しくするのは、いずれの場合においても、より長い期間の後に行うことができる。これはキャリアにとってもメリットがあり、接着層の取り外しに耐えなければならない回数が少なくて済む。
【0009】
第2サブモジュールは、伸縮可能な接着片を備えることが都合がよい。これにより、第2サブモジュールは、第2サブモジュールが接着される皮膚表面の形状に最適に適応することができる。これは、キャリアが動き皮膚表面の形状が動的に変化する場合に、特に有利である。
【0010】
第2サブモジュールは腹帯を備えていることが好ましい。これにより、第2サブモジュールをキャリアに取り付けることができ、機械的に着脱可能で、接着層を必要としない。
【0011】
電子ユニットは、加速度データを測定するための少なくとも1つの加速度計を備えていることが好ましい。測定された加速度データは、キャリアの動きを評価するために使用される。このことは、例えば、転倒の検知を含んでいてもよい。さらに、加速度データを、着用検知、位置検知および床擦れ検知に関して評価することも可能である。
【0012】
代替的または累積的に、電子ユニットは、第1サブモジュールまたはセンサモジュールの位置座標を検出して送信するためのGPSモジュールを含む。GPSはグローバルポジショニングシステムの略である。これにより、キャリアの位置および行動の分析が可能になる。これは、例えば、加速度データの評価がキャリアの転倒を判明し、キャリアの位置を可能な限り迅速に決定すべき場合に有利である。
【0013】
さらに有利な実施形態において、第2サブモジュールは、データを送信するための近距離通信送信機を備え、第1サブモジュールは、データを受信するための近距離通信受信機を備え、
a)第1サブモジュールと第2サブモジュールとのペアリングの機能性、および/または、
b)第1サブモジュールの正しい取り付け、および/または、
c)独自の(proprietary)第2サブモジュールの使用
の確認のために使用されるデータが使用される。
【0014】
例えば、無線自動識別を意味するRFIDを経由した近距離通信におけるデータ交換は、電磁誘導によって行われ、数cmから10cm程度の短い範囲でのみ可能である。この短い範囲は、ペアリングの確認、すなわち、第2サブモジュールが第1サブモジュールの近傍に位置しているのか、それとも第1サブモジュールに接続されているのかを確認するために使用される。正しく取り付けられていることを確認することにより、センサモジュールが前後上下に正しく配置されていること、すなわち、第1サブモジュールが第2サブモジュールと正しく整列して取り付けられていることが保証される。さらに、ID信号を送信することにより、確認済みのオリジナルのサブモジュールが第2サブモジュールとして使用されることが保証される。これらの確認ステップにより、センサモジュールの確実な動作と、取得および送信されるデータの正確性が保証される。さらに、前述の確認ステップは、第1サブモジュールの機能を動作させるための必要条件である。
【0015】
好ましくは、第1サブモジュールは、静電容量センサに付属するコンデンサ電極と第2の電極として機能するキャリアの皮膚との間の静電容量値を測定するための静電容量センサを備える。静電容量センサは、電子ユニット上に配置されることが好ましい。しかしながら、静電容量センサは、第1サブモジュールの別の位置に配置されてもよい。いずれにしても、静電容量センサによって測定された静電容量値を電子ユニットに送信することができるように、静電容量センサは電子ユニットに電気的に接続される。よく知られているように、コンデンサの静電容量はその電極間の距離に依存する。したがって、この配置で静電容量値を測定することにより、第1サブモジュールがキャリアに取り付けられた第2サブモジュールから分離したかどうかを判断することができる。同様に、センサモジュールがキャリアから取り外されたかどうかを判断することもできる。これは、この場合に静電容量値も変化するからである。
【0016】
電子ユニットが、静電容量の基準値と現在の静電容量値とを比較し、現在の静電容量値が基準値以上である場合にのみデータの測定、取得および/または送信を開始させるように設計された比較ユニットを備えていると、有利である。好ましくは、データは、加速度データ、位置座標データ、および確認データである。例えば、基準値は、センサモジュールがキャリアの皮膚表面に取り付けられているときの第1サブモジュールまたはコンデンサ電極のキャリアの皮膚表面からの距離と相関するように選択することができる。この基準値と比較することにより、第1サブモジュールがキャリアに装着された第2サブモジュールから分離されたかどうか、あるいは、センサモジュールがキャリアから取り外されたかどうかを確実に判断することができる。
【0017】
また、現在の静電容量値が基準値以下の場合にのみ、データを測定、取得および/または送信することもできる。
【0018】
さらに有利な実施形態において、電子ユニットは、取得されたデータをセンサモジュールの外部の評価ユニットに送信する通信モジュールを備える。これにより、指定された評価ユニットにおいて、対応する専門家が対象となるデータの評価および調査を行うことができる。通信モジュールは、GSM通信モジュールであってもよい。GSMとは、グローバルモバイル無線規格を意味する。
【0019】
また、第1サブモジュールは、電子ユニットを該電子ユニットに電力を供給する電源に接続するフレキシブルな導体接続部を備えている。これは、センサモジュールがキャリアに適切に取り付けられている場合に、導体接続部がキャリアの動きに適応できるという利点がある。センサモジュールは、前屈みになるなどの一般的な動きに適応するために、導体接続部が背骨と平行または垂直になるようにキャリアの背中に取り付けられることが有利である。
【0020】
好ましくは、第1サブモジュールは、電源および電子ユニットが被覆にフィットする取り外し不可の形態を形成するように、好ましくは鋳造プロセスによって、電源および電子ユニットを囲む柔軟な材料からなる被覆を備える。これにより、電源および電子ユニットが、機械的な影響から保護されるとともに、電源および/または電子ユニットが被覆から外れることを防ぐことができる。
【0021】
好都合なことに、被覆は、少なくとも1つの柔軟な、好ましくは直線的な領域を備え、当該領域を中心に第1サブモジュールは曲がることができる。第1サブモジュールが直線的な領域を中心に曲げられたときに柔軟な導体接続部も曲がるように、この領域は、第1サブモジュールが曲げられる曲げ軸を形成する。これは、使用時に、第1サブモジュールが、センサモジュールを携帯するキャリアの動きに適応できるという利点がある。
【0022】
本発明の第2の態様において、本発明に係るセンサモジュールと、センサモジュールとは別に配置され、測定データの受信、評価および表示を行うソフトウェアを有する評価ユニットとを備える介護セットを提案する。これに代えて、介護セットは、本発明に係るセンサモジュールと、電子評価ユニット上にインストールされ実行されたときに、測定データの受信、評価および表示を行うソフトウェアを形成するコンピュータプログラム製品とを備えていてもよい。
【0023】
受信および評価は、評価されたデータに基づいて必要に応じて適切な措置を講じることができる専門家によって、ソフトウェアを有する別個の評価ユニットを用いて行われる。例えば、近距離通信受信機がデータを受信しなくなったために、第1サブモジュールが第2サブモジュールにもはや取り付けられていないことが検出された場合に、第1サブモジュールを第2サブモジュールに再度取り付ける必要がある。
【0024】
好ましくは、コンピュータプログラム製品は、コンピュータ、スマートフォンまたはタブレットにおいて使用される。コンピュータにおいて評価することにより、安全なネットワークに通常保存されている送信機からのさらなるデータにアクセスすることができる。また、新たに生成されたデータは、それぞれのキャリアのデータセットに直接追加することができる。スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器を評価ユニットとして使用することにより、データや評価を迅速に処理できるという利点がある。なぜなら、モバイル機器は通常、継続的に携帯されるため、例えば、センサモジュールを携帯しているキャリアに生じた重要な変化を示す音響信号を、必要な行動に直結させることができるからである。これは、第1サブモジュールの第2サブモジュールからの分離に関するものであってもよく、加速度データの分析によって検出された転倒の検出に関するものであってもよい。
【0025】
本発明の第3の態様において、センサモジュール内の第1サブモジュールへの接続のための第2サブモジュールの使用が提案される。ここで、第1サブモジュールは、電子ユニットによって動作データを検出および送信することができ、第1の構造体を備える。また、第2サブモジュールは、キャリアに取り付けるための固定手段を備え、さらに、第1サブモジュールと互いに可逆的に接続されるように、押し付けられたときに第1の構造体と可逆的な機械的接続を形成する第2の構造体を備える。
【0026】
好ましくは、データを近距離通信受信機に送信するように構成された近距離通信送信機が使用され、
a)第1サブモジュールの第2サブモジュールとのペアリングの機能性、および/または、
b)第1サブモジュールの正しい取り付け、および/または、
c)独自の第2サブモジュールの使用
を確認するために使用されるデータを使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明のさらなる特徴および利点は、図面を参照した本発明の好ましい実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。図面は模式的に示されている。
図1A】本発明に係るセンサモジュールの第1サブモジュールの第1の正面図である。
図1B】本発明に係るセンサモジュールの第1サブモジュールの第1の背面図である。
図2A】本発明に係るセンサモジュールの第2サブモジュールの第2の正面図である。
図2B】本発明に係るセンサモジュールの第2サブモジュールの第2の背面図である。
図3】キャリアの背面に接着された本発明に係るセンサモジュール、および、評価ユニットである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の好ましい実施形態に関する以下の説明において、同一の参照符号は、同一または同等の構成要素を示す。
【0029】
図1Aは、本発明に係るセンサモジュール10の第1サブモジュール101の第1の前面121を示している。第1サブモジュール101は、平坦であり、丸みを帯びた角を有する長方形のベース面を有しているが、角は丸みを有していなくてもよい。同様に、ベース面の形状は正方形でも他の形状でもよい。第1の前面121には電子ユニット105が配置されており、この電子ユニット105は、その上に配置され電気的に相互に接続された電子部品111,113,115,117,125,127を有する回路基板109を備えている。回路基板109は、フレキシブルな電気リード107によって、回路基板109とその上に配置された電子部品111,113,115,117,125,127とに電力を供給する電源119、例えば、電池に接続されている。回路基板109は、印刷回路基板であってもよい。回路基板109上に配置された電子部品は、1つ以上の加速度計115、マイクロコントローラ111、通信モジュール113、近距離通信受信機117、静電容量センサ127およびGPSモジュール125を含み、GPSは全地球測位システムを意味する。通信モジュール113は、GSM通信モジュールであってもよく、GSMは、グローバルセルラ規格(global cellular standard)を意味する。さらに静電容量センサ127は、コンデンサ電極を有している。センサモジュール10の装着状態において、すなわち、第1サブモジュール101が第2サブモジュール201に取り付けられ、第2サブモジュール201がキャリアの皮膚表面に装着されているとき、キャリアの皮膚が電極として機能するため、それに応じてコンデンサ電極とキャリアの皮膚表面との間で静電容量を測定することができる。この装着状態において測定された静電容量値は、その後の測定に関して基準値として使用することができる。電子ユニット105は、この静電容量基準値と現在の静電容量値とを比較するように構成された比較ユニット(図示せず)を備えている。したがって、現在の静電容量値が基準値以上である場合、比較ユニットは、加速度、位置座標、および確認データの測定、取得、および/または送信を開始させる。現在の静電容量値が基準値よりも小さい場合、すなわち、第1サブモジュール101が第2サブモジュール201から取り外された場合、または、センサモジュール10全体がキャリアの皮膚表面から取り外された場合、加速度、位置座標および確認のデータは測定、取得、および/または送信されない。この状況において、電子ユニット105は、静電容量値のみを所望の間隔で測定して比較するアイドル状態に入ってもよい。現在測定されている静電容量値が再び基準値以上になると、加速度データ、位置座標、確認データが測定、取得および/または送信される。
【0030】
加速度データは、1つまたは複数の加速度センサ115によって測定され、それに応じてマイクロコントローラ111に送信される。複数の加速度センサ115を使用することにより、異なる方向の加速度を測定することができる。マイクロコントローラ111は、少なくとも1つの加速度センサ115、GPSモジュール、および近距離通信受信機117から受信したデータを通信モジュール113に転送し、通信モジュール113はそのデータを外部の評価ユニット301(図3参照)に送信する。同様に、静電容量センサによって測定された静電容量値は、通信モジュール113を介して評価ユニット301に転送される。
【0031】
第1サブモジュール101は、シリコーン製のジャケットによって囲まれている。第1の前面121上のシリコーン被覆およびシリコーン構造体は、射出成形技術を用いて製造することができる。この工程では、電源119と電子ユニット105がシリコーンジャケットによって囲われる。縦軸と横軸とを有する長方形のベースの場合には、電源119と電子ユニット105とは、長方形の縦軸に沿って間隔をあけて並んで埋め込まれる。電子ユニット105と電源119との間には、機械的に柔軟な、好ましくは直線的な領域129が、例えば、材料の窪みの形で、長方形の縦軸に対して横方向に形成されている。その結果、第1サブモジュール101は、配置された電源119と印刷回路基板109との間に延びる長方形の横軸に沿って機械的に柔軟であり、キャリアに装着された状態でキャリアの動きに適応することができる。本実施形態では、機械的に柔軟な領域129は、第1の前面121に形成されている。同様に、機械的に柔軟な領域129は、第1の背面123に形成されてもよいし、相互に対向する第1の前面121と第1の背面123の両方に形成されてもよい。
【0032】
近距離通信受信機117は、第2サブモジュール201(図2A参照)に配置された近距離通信送信機211からの送信データを受信するように構成されている。近距離通信受信機117および近距離無線通信送信機211は、近距離無線通信規格(NFC規格)RFIDに基づいて通信を行う。RFIDは、無線周波数識別を意味する。近距離通信によるデータ交換は電磁誘導によって行われるため、数センチから10センチ程度の短い範囲でのみ可能である。
【0033】
図1Bは、第1の前面121とは反対側を向く、第1サブモジュール101の第1の背面123を示している。第1の背面123は、フック構造またはループ構造として形成することができる第1の構造体103を備える。第1の構造体103は、第1の背面123の一部にわたって広がっていてもよいし、第1の背面123の全体にわたって広がっていてもよい。
【0034】
図2Aは、第2サブモジュール201の第2の前面203を示している。第2の前面203には、フック構造またはループ構造として形成され、第1サブモジュール101の第1の構造体103のフック構造またはループ構造の相手である第2の構造体205が形成されている。第1の構造体103が第2の構造体205に押し付けられると、それに応じてフック構造およびループ構造が接続され、例えばベルクロ(登録商標)クロージャのような、機械的に可逆的な形状適合(form-fit)接続が形成される。その結果、第1サブモジュール101と第2サブモジュール201は、機械的に可逆的な形状適合接続によって結合される。第2の構造体205は、第2の前面203の一部にわたって広がっていてもよいし、第2の前面203全体にわたって広がっていてもよい。
【0035】
機械的に可逆的な形状適合接続により、第2サブモジュール201を接着接続部209によってキャリアの各位置に接着し続けたまま、第1サブモジュール101を修正または修理のために取り外すことができる。また、このモジュラーデザインにより、第1サブモジュール101を別のサブモジュールと交換することができる。
【0036】
さらに、第2の前面203には、近距離通信送信機211が配置されている。近距離通信送信機211が外側から見えないようにするために、近距離通信送信機211は、第2の背面207に配置されてもよく、または、第2サブモジュール201に組み込まれてもよい。データ送信を成功させるためには、近距離通信送信機211が、近距離通信受信機117に局所的に近接して、すなわち10cm以下の距離に配置されていることが必要である。近距離通信送信機211が近距離通信受信機117に送信したデータは、第1サブモジュール101の第2サブモジュール201とのペアリングの機能性、第1サブモジュール101の第2サブモジュール201への表裏や向きに関する正しい取り付け、より独自性の高い第2サブモジュール201の使用などを確認することができる。機能しているペアリングが存在しているかどうかは、近距離通信の機能性自体から確認することができる。第1サブモジュール101が第2サブモジュール201から、例えば10~15cmよりも遠くまで離れ過ぎてしまい、近距離通信がもはや可能でない場合、ペアリングが行われなくなる。第1サブモジュール101が第2サブモジュール201に正しく接続されていない場合、すなわち、2つのサブモジュール101,201のベース面が互いに180°回転している場合も、同じことが当てはまる。この場合、第1サブモジュール101と第2サブモジュール201は、機械的に可逆的な接続によって接続されても、近距離通信送信機211は、近距離通信受信機117に近接して配置されないため、近距離通信ができない。さらに、近距離通信送信機211によって送信されるデータは、第2サブモジュール201がレプリカではなくオリジナルのサブモジュールであることを確認するための検出信号を含んでいてもよい。
【0037】
これに加えて、または、これに代えて、静電容量の基準値の決定を成功したペアリングに結びつけることも可能である。近距離通信送信機211と近距離通信受信機117によってペアリングが行われると、静電容量センサの最初の静電容量測定が開始され、これを静電容量の基準値として使用することができる。
【0038】
図2Bは、第2の前面203から離れる方向に向けられた、第2サブモジュール201の第2の背面207を示している。第2の背面207は、人肌に接着される接着層209を備え、これを介して第2サブモジュール201がキャリアの身体に装着される。接着層209は、第2の背面207の一部にわたって広がっていてもよいし、第2の背面207全体にわたって広がっていてもよい。接着層は、生体適合性のある伸縮可能な絆創膏片として形成されていてもよい。
【0039】
図3は、人の背中の2つの異なる位置に例示的に取り付けた、本発明に係るセンサモジュール10を示している。しかし、センサモジュール10は、背中の他の場所や、胸部または腹部にさえも取り付けることも可能である。好ましくは、センサモジュール10は、長方形のベースの縦軸の1つから始まり、背骨に沿って、またはそれに直角に配置される。このことは、柔軟な装置部品、すなわち柔軟な導体接続部107とシリコーン被覆の柔軟で直線状の領域129が、キャリアの動きに少なくとも部分的に追従することができるという利点を有する。
【0040】
さらに、別に配置された評価ユニット301が示されており、この評価ユニットは、電子ユニット105の通信モジュール113からのデータを受信して評価することができる。通信モジュール113を経由して評価ユニット301に送信された、加速度センサ115、近距離通信送信機211および静電容量センサからのデータに基づくデータは、キャリア検出、転倒検出、位置検出および床擦れ検出に関して評価される。さらに、通信モジュール113を経由して評価ユニット301に送信されるGPSモジュール125のデータから、位置情報および活動の分析が可能である。データは、コンピュータおよび/または、タブレットまたはスマートフォンなどのモバイル機器において評価される。これにより、接続されたインフラストラクチャにおいて評価が行われ、必要な措置を迅速に講じることができる。さらに、第三者によるアクセスから保護されたネットワークに接続されたコンピュータを、個々のキャリアについてのデータを一元的に保存するために使用することができる。通常、モバイル機器はユーザ、すなわち権限が与えられた専門家が携帯しているので、モバイル機器でデータを評価することは、転倒などの事故の認識に迅速に気付くという利点がある。
【0041】
本発明に係るセンサモジュール10および介護セットは、要介護者がそれぞれのセンサモジュール10を携帯し、介護の専門家が取得されたデータを評価する、介護施設や高齢者施設などの要介護者向けの施設において使用されることが好ましい。
【符号の説明】
【0042】
10 センサモジュール
101 第1サブモジュール
103 第1の構造体
105 電子ユニット
107 柔軟な導体接続部
109 印刷回路基板
111 マイクロコントローラ
113 通信モジュール
115 加速度計
117 近距離通信受信機
119 電源
121 第1の前面
123 第1の背面
125 GPSモジュール
127 静電容量センサ
129 柔軟な領域
201 第2サブモジュール
203 第2の前面
205 第2の構造体
207 第2の背面
209 接着層
211 近距離通信送信機
301 評価ユニット
図1A
図1B
図2A
図2B
図3