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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】直接接触式復水器
(51)【国際特許分類】
   F28B 3/04 20060101AFI20241202BHJP
   F01K 9/00 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
F28B3/04
F01K9/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022013049
(22)【出願日】2022-01-31
(65)【公開番号】P2023111272
(43)【公開日】2023-08-10
【審査請求日】2024-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【弁理士】
【氏名又は名称】原 拓実
(74)【代理人】
【識別番号】100118474
【弁理士】
【氏名又は名称】寺脇 秀▲徳▼
(74)【代理人】
【識別番号】100141911
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 譲
(74)【代理人】
【識別番号】100234305
【弁理士】
【氏名又は名称】合瀬 恵
(72)【発明者】
【氏名】前田 昂輝
(72)【発明者】
【氏名】津田 将太
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05154227(US,A)
【文献】特開2018-035999(JP,A)
【文献】特開2018-194272(JP,A)
【文献】特開2014-219160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28B 3/04
F28B 3/06
F28B 9/10
F01K 9/00
F28F 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービン排気が流入する蒸気凝縮部の内部に冷却水供給管が設けられた下方排気型の復水器であって、
前記冷却水供給管に設けられ、前記タービン排気の流れ方向に複数配置されたスプレーノズルを備え、
前記複数配置されたスプレーノズルのうち、前記タービン排気の流れ方向に対して最も下流側に配置されたスプレーノズルは、前記タービン排気の流れ方向に対して斜め上流方向または垂直方向に冷却水を噴霧する直接接触式復水器。
【請求項2】
前記複数配置されたスプレーノズルのうち、前記タービン排気の流れ方向に対して最も上流側に配置されたスプレーノズルは、前記タービン排気の流れ方向に対して斜め上流方向に冷却水を噴霧する請求項1に記載の直接接触式復水器。
【請求項3】
前記タービン排気の流れ方向に対して最も上流側に配置された冷却水供給管に設けられたスプレーノズル以外のスプレーノズルは、前記タービン排気の流れ方向に対して斜め上流方向または垂直方向に冷却水を噴霧する請求項1または2に記載の直接接触式復水器。
【請求項4】
前記複数配置されたスプレーノズルの列が、前記タービン排気の流れ方向と垂直な向きに複数並列に設けられた請求項1から3いずれかに記載の直接接触式復水器。
【請求項5】
互いに隣接する前記スプレーノズルの列が、等間隔に配置された請求項4に記載の直接接触式復水器。
【請求項6】
前記スプレーノズルの列のうち、1列は前記蒸気凝縮部の壁面に沿って配置されると共に、他の1列は互いに対向する前記蒸気凝縮部の壁面から等間隔な位置に配置された請求項4に記載の直接接触式復水器。
【請求項7】
前記スプレーノズルの列のうち、1列は前記蒸気凝縮部の壁面に沿って配置されると共に、他の1列は前記壁面と対向する側の壁面に沿って配置される請求項4に記載の直接接
触式復水器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、直接接触式復水器に関する。
【背景技術】
【0002】
地熱発電プラントにおいて復水器は、高温のタービン排気と低温の冷却水との熱交換によりタービン排気中に含まれる水蒸気を凝縮し、タービンの排気圧を負圧に保つ機器である。地熱発電プラントは水蒸気が凝縮した復水を再び使用する必要がないため、構造が簡単で熱交換にも有利な直接接触式復水器が用いられることが多い。直接接触式復水器は、主にトレイ(多孔板)式と液滴噴霧式(スプレー式)に分類される。トレイ式は蒸気の動圧でトレイから落下する冷却水を微細化する方式であり、スプレー式はスプレーノズルを用いて冷却水を微細化してタービン排気中に噴射する方式である。スプレー式の復水器としては下方排気型(上方流入型)や水平排気型(水平流入型)がある。
【0003】
地熱の生産井から供給される水蒸気には一般的に二酸化炭素などの不凝縮ガスが含まれる。不凝縮ガスは伝熱を阻害するため、水蒸気を凝縮する復水器では不凝縮ガスを滞留させることなく冷却し排出することがタービンの排気圧を負圧に保つために重要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-63857号公報
【文献】特開2010-270925号公報
【文献】特開2020-26932号公報
【文献】特開2018-35999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
直接接触式復水器においてタービン排気と冷却水とが接触すると、タービン排気中に含まれる水蒸気が冷やされて凝縮するため、タービン排気の流速が徐々に減少する。その結果、流れ方向における下流側のタービン排気の流速が、上流側と比べて遅くなるので、流れの滞留が生じやすくなる。流れの滞留が生じた箇所には不凝縮ガスが集まるため、タービン排気と冷却水との間の伝熱効率が悪化し、復水器の真空度が悪化する可能性がある。復水器の真空度が悪化すると地熱発電プラントの発電効率が低下する。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、下方排気型の直接接触式復水器内部における流れの滞留を抑制することで、復水器内部の真空度を維持できる直接接触式復水器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、実施形態の直接接触式復水器は、タービン排気が流入する蒸気凝縮部の内部に冷却水供給管が設けられた下方排気型の復水器であって、前記冷却水供給管に設けられ、前記タービン排気の流れ方向に複数配置されたスプレーノズルを備え、前記複数配置されたスプレーノズルのうち、前記タービン排気の流れ方向に対して最も下流側に配置されたスプレーノズルは、前記タービン排気の流れ方向に対して斜め上流方向または垂直方向に冷却水を噴霧する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る地熱発電プラントの概要図
図2】第1実施形態に係る直接接触式復水器の鉛直方向における断面の概略図
図3】第1実施形態に係る直接接触式復水器のA部に関する拡大図
図4】第1実施形態の変形例に係る直接接触式復水器のA部に関する拡大図
図5】第1実施形態の変形例に係る直接接触式復水器のA部に関する拡大図
図6】第2実施形態に係る直接接触式復水器の拡大図
図7】第2実施形態の変形例に係る直接接触式復水器の拡大図
図8】第2実施形態の変形例に係る直接接触式復水器の拡大図
図9】第3実施形態に係る直接接触式復水器の拡大図
図10】第3実施形態の変形例に係る直接接触式復水器の拡大図
図11】第3実施形態の変形例に係る直接接触式復水器の拡大図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明を実施するための形態について説明する。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態について図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る地熱発電プラントの概要図である。図1に示すように、地熱発電プラント30は、気液分離器31と、除湿装置32と、蒸気タービン33と、発電機34と、復水器1とを備えている。図1の矢印は、水蒸気または水の流れを示している。
【0011】
気液分離器31は、生産井からの地熱流体を主蒸気と熱水とに分離する。分離された主蒸気は、除湿装置32でさらに水滴を除去された後、除湿装置32と蒸気タービン33との間に設けられた蒸気加減弁(図示していない)を通過して、蒸気タービン33に流入する。
【0012】
蒸気タービン33は、主蒸気から膨張仕事をされ、タービンロータ(図示していない)を介して接続された発電機34を回転駆動させる。発電機34は、蒸気タービン33からの回転エネルギーを電気エネルギーに変換して発電する。蒸気タービン33で膨張仕事をした後の主蒸気は、タービン排気として復水器1に流入する。
【0013】
復水器1は、タービン排気に含まれる水蒸気を冷却することで凝縮する。復水器1で凝縮された凝縮水は、気液分離器31で分離された熱水および除湿装置32で除去された水滴と合流し、還元井に送られる。
【0014】
次に、復水器1のより詳細な構成について説明する。図2は、第1実施形態に係る直接接触式復水器の鉛直方向における断面の概略図である。また、図3図2のA部に関する拡大図である。図4および図5は第1実施形態の変形例に関するA部の拡大図である。
【0015】
図2に示すように、復水器1は、蒸気タービン33から排出されるタービン排気が流入するタービンダクト10と、タービン排気ダクト10に接続され、タービン排気ダクト10からのタービン排気が流入する蒸気凝縮部11と、蒸気凝縮部11の内部に冷却水を供給する冷却水供給管12と、蒸気凝縮部11のタービン排気ダクト10とは反対側に接続されるガス冷却部14とを有する下方排気型の直接接触式復水器である。
【0016】
タービン排気ダクト10は、蒸気凝縮部11の上方に接続され、タービン排気を下方に流すように延びている。蒸気凝縮部11は、タービン排気ダクト10からのタービン排気を流入させ、タービン排気と、冷却水供給管12から供給される冷却水とを直接接触させることで、タービン排気に含まれる水蒸気を凝縮させるように構成されている。
【0017】
冷却水供給管12は、蒸気凝縮部11の内部かつy軸方向に設けられる。冷却水供給管12の長手方向(y軸方向)には、複数のスプレーノズル13aから13cのそれぞれが所定の距離をあけて設けられる。ここで、スプレーノズルのうち流れ方向に対して最も上流側の冷却水供給管12に設けられたものをスプレーノズル13a、流れ方向に対して最も下流側の冷却水供給管12に設けられたものをスプレーノズル13c、その他のものをスプレーノズル13bとする。本実施形態では、このような冷却水供給管12が蒸気凝縮部11の内部でタービン排気の流れ方向に3段配置された列(以降の説明では、この列を管列という)を、タービン排気の流れ方向と垂直な向きに並列に2列、計3段2列の管列が設けられている。
【0018】
図3に示すように、冷却水供給管12は、蒸気凝縮部11の内部に流路21aから21cを形成している。冷却水供給管12の管列は、流路21aから21cの幅(図3においてはx軸方向の幅)が均等になるように、等間隔に配置される。また、スプレーノズル13aが、流れ方向に対して45度の角度で斜め上流方向および斜め下流方向に、スプレーノズル13aから近い蒸気凝縮部11の壁面側に冷却水を噴霧する。スプレーノズル13bおよび13cは流れ方向に対して45度の角度で斜め下流方向に冷却水を噴霧する。
【0019】
ここで、斜め上流方向とは流れ方向に対して垂直な方向から上流側を意味し、斜め下流方向とは流れ方向に対して垂直な方向から下流側を意味する。本実施形態においては、斜め上流方向とはx軸からz軸正方向側へ傾斜する向きであり、斜め下流方向とは、x軸からz軸負方向へ傾斜する向きである。なお、本実施形態においてはスプレーノズルが冷却水を噴霧する方向が流れ方向に対して45度の角度である場合を例示しているが、この角度は必ずしも45度である必要はない。
【0020】
ガス冷却部14は、蒸気凝縮部11の内部で凝縮されなかったタービン排気を冷却するための冷却手段であり、本実施形態では直方体をなしている。ガス冷却部14は蒸気凝縮部11に接続され、下方から流入したタービン排気が上方に向けて流れるようにz軸方向に延びている。冷却されたタービン排気はガス排出口15から排出される。
【0021】
ガス冷却部14の内部には、冷却水供給管(図示せず)および充填剤16が設けられる。充填剤16は、ガス冷却部14における流路の上流に設けられ、流路を通過するタービン排気との接触面積を増加させるための表面を持つ、体積当たりの表面積を高めた充填剤16であって、表面に例えば突起部や溝部が形成された接触媒体である。ガス冷却部14内部の冷却水供給管は、充填剤16の上部でありガス冷却部14の下流に設けられ、充填剤16に冷却水を噴霧し、この冷却水を充填剤16の表面に散水する。ガス冷却部14は、タービン排気が充填剤16を通過する際に、この充填剤16の表面を流れる冷却水とタービン排気との接触によりタービン排気を冷却する。
【0022】
また、蒸気凝縮部11およびガス冷却部14のz軸方向下側にホットウェル17が設けられる。ホットウェル17は、蒸気凝縮部11によりタービン排気から凝縮して得た凝縮水や、蒸気凝縮部11内の冷却水供給管12から噴霧された冷却水や、ガス冷却部14内の冷却水供給管12から噴霧された冷却水や、この噴霧されて充填剤16の表面から流下した冷却水を貯留する。
【0023】
次に、本実施形態に係る直接接触式復水器の作用を説明する。復水器1では、蒸気タービン33で膨張仕事をした後の主蒸気であるタービン排気がタービン排気ダクト10から蒸気凝縮部11に流入する。そして蒸気凝縮部11に流入したタービン排気は、冷却水供給管12のスプレーノズル13aから13cより噴霧された冷却水と直接接触することで、タービン排気中の水蒸気が凝縮され凝縮水となる。この凝縮水は、冷却水供給管12から噴霧された冷却水や、ガス冷却部14内の冷却水供給管12から噴霧された冷却水、充填剤16の表面から流下した冷却水と共にホットウェル17に貯留された後に、還元井に送られる。
【0024】
ここで、タービン排気に水蒸気や二酸化炭素などの不凝縮ガスが含まれる場合、蒸気凝縮部11で凝縮しない水蒸気と不凝縮ガスとを含む凝縮されていないタービン排気は、蒸気凝縮部11からガス冷却部14に流入し、そこで更に冷却されてガス排出口15から外部に排出される。
【0025】
上述した第1実施形態では、冷却水供給管12の管列が、冷却水供給管12によって蒸気凝縮部11の内部に形成する流路21aから21cの幅が均等になるように3段2列に配置される。スプレーノズル13aは、流れ方向に対して45度の角度で斜め上流方向および斜め下流方向、かつスプレーノズル13aから近い蒸気凝縮部11の壁面側に冷却水を噴霧し、スプレーノズル13bおよび13cは、流れ方向に対して45度の角度で斜め下流方向に冷却水を噴霧する。
【0026】
このような第1実施形態の構成を備えることにより、冷却水供給管12の間に形成される流路21aから21cにおけるタービン排気の流速が均一となるだけでなく、流路21aから21cに対して噴霧される冷却水の量が従来と比べてより均等となるため、冷却水量とタービン排気量のバランスを保つことができる。そのため、どの流路を通過してもタービン排気が均一に冷却され、蒸気凝縮部11の内部で、タービン排気の冷却具合や不凝縮ガスの濃度勾配に起因する流れの滞留を防ぐことができる。結果として、復水器1の内部の真空度を維持できるため、発電プラントの発電効率の低下を防ぐことができる。
【0027】
なお、第1実施形態の変形例として、例えば図4に示すように、スプレーノズル13aは流れ方向に対して45度の角度で斜め上流方向および斜め下流方向かつスプレーノズル13aから近い蒸気凝縮部11の壁面側に冷却水を噴霧し、スプレーノズル13cは流れ方向に対して45度の角度で斜め上流方向に冷却水を噴霧し、スプレーノズル13bは流れ方向に対して45度の角度で斜め下流方向に冷却水を噴霧する構成としてもよい。
【0028】
また、第1実施形態の他の変形例として、例えば図5に示すように、スプレーノズル13aは流れ方向に対して45度の角度で斜め上流方向および斜め下流方向かつスプレーノズル13aから近い蒸気凝縮部11の壁面側に冷却水を噴霧し、スプレーノズル13bおよび13cは流れ方向に対して45度の角度で斜め上流方向に冷却水を噴霧する構成としてもよい。
【0029】
図4または図5に記載された第1実施形態のそれぞれの変形例によれば、第1実施形態と同様の効果に加えて、スプレーノズル13bまたは13cが、冷却水を流れ方向に対して斜め上流方向に冷却水を噴霧することにより、タービン排気と冷却水との間の熱交換時間を長くすることができ、蒸気凝縮部11の冷却性能を向上させることができる。したがって、復水器1の内部の真空度を保つとともに、復水器1の高さ方向のスペースを短縮することができる。
【0030】
なお、第1実施形態またはその変形例において、スプレーノズル13aから13cは流れ方向に対して斜め上流方向または斜め下流方向に冷却水を噴霧すればよく、流れ方向に対して45度の角度で斜め上流方向または斜め下流方向に冷却水を噴霧しなくてもよい。
【0031】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る直接接触式復水器について図面を参照して説明する。これ以降の説明では、主に第1実施形態と異なる内容のみを記載することとし、第1実施形態またはその変形例と同内容の箇所については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0032】
本実施形態と第1実施形態との主な相違点は、冷却水供給管12の配置とスプレーノズル13aから13cが冷却水を噴霧する向きである。
【0033】
図6に示すように、本実施形態に係る冷却水供給管12は、蒸気凝縮部11の内部に流路22aおよび22bを形成している。冷却水供給管12の管列は、流路22aおよび22bが均等な大きさとなるように3段2列に配置されるが、そのうちの1列(図6においては左側の冷却水供給管12の管列)が蒸気凝縮部11のガス冷却部14側の壁面に沿うように配置され、他の1列(図6においては右側の冷却水供給管12の管列)が互いに対向する蒸気凝縮部11の壁面の双方から等間隔な位置に配置される。
【0034】
スプレーノズル13aから13cは、流れ方向に対して45度の角度で斜め上流方向および斜め下流方向、かつガス冷却部14とは反対側に冷却水を噴霧する。
【0035】
上述した第2実施形態の構成を備えることにより、冷却水供給管12の間に形成される流路22aおよび22bのどちらをタービン排気が通過しても、タービン排気の流速が均一となる。さらに、流路と冷却水供給管の配置関係が流路22aおよび22bのどちらも同様であるため、タービン排気に噴霧される冷却水の量が従来と比べてより均等となり、冷却水量とタービン排気量のバランスを保つことができる。そのため、どの流路を通過してもタービン排気が均一に冷却され、蒸気凝縮部11の内部で、タービン排気の冷却具合や不凝縮ガスの濃度勾配に起因する流れの滞留を防ぐことができる。結果として、復水器1の内部の真空度を維持できるため、発電プラントの発電効率の低下を防ぐことができる。
【0036】
なお、第2実施形態の変形例として、例えば図7に示すように、スプレーノズル13aおよび13bは流れ方向に対して45度の角度で斜め上流方向および斜め下流方向、かつガス冷却部14とは反対側に冷却水を噴霧し、スプレーノズル13cは流れ方向に対して45度の角度で斜め上流方向および垂直方向、かつガス冷却部14とは反対側に冷却水を噴霧する構成としてもよい。
【0037】
また、第2実施形態の他の変形例として、例えば図8に示すように、スプレーノズル13aは流れ方向に対して45度の角度で斜め上流方向および斜め下流方向、かつガス冷却部14とは反対側に冷却水を噴霧し、スプレーノズル13bおよび13cは流れ方向に対して45度の角度で斜め上流方向および垂直方向、かつガス冷却部14とは反対側に冷却水を噴霧する構成としてもよい。
【0038】
図7または図8に記載された第2実施形態のそれぞれの変形例によれば、第2実施例と同様の効果に加えて、スプレーノズル13bまたは13cが、冷却水を流れ方向に対して斜め上流方向または垂直方向に冷却水を噴霧することにより、タービン排気と冷却水との間の熱交換時間を長くすることができ、蒸気凝縮部11の冷却性能を向上させることができる。したがって、復水器1の内部の真空度を保つとともに、復水器1の高さ方向のスペースを短縮することができる。
【0039】
なお、第2実施形態またはその変形例において、スプレーノズル13aから13cを流れ方向に対して斜め上流方向または斜め下流方向に冷却水を噴霧する場合には、流れ方向に対して斜め上流方向または斜め下流方向に冷却水を噴霧すればよく、流れ方向に対して45度の角度で斜め上流方向または斜め下流方向に冷却水を噴霧しなくてもよい。
【0040】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る直接接触式復水器について図面を参照して説明する。これ以降の説明では、主に上述したそれぞれの実施形態およびその変形例と異なる内容のみを記載することとし、第1および第2実施形態、並びにそれらの変形例と同内容の箇所については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0041】
本実施形態が上述したそれぞれの実施形態およびその変形例と異なる部分は、冷却水供給管12の配置とスプレーノズル13aから13cが冷却水を噴霧する向きである。
【0042】
図9に示すように、本実施形態に係る冷却水供給管12は蒸気凝縮部11の内部に流路23を形成している。冷却水供給管12の管列は3段2列に配置されるが、そのうちの1列(図9においては左側の冷却水供給管12の管列)が蒸気凝縮部11のガス冷却部14側の壁面に沿うように配置され、他の1列(図9においては右側の冷却水供給管12の管列)がそれと対向する側の蒸気凝縮部11の壁面に沿うように配置される。
【0043】
スプレーノズル13aから13cは、流れ方向に対して45度の角度で斜め上流方向および斜め下流方向、かつ流路23側に冷却水を噴霧する。
【0044】
上述した第3実施形態の構成を備えることにより、冷却水供給管12の間に形成される一つの流路をタービン排気が通過する際に、冷却水が対称に噴霧されるので、流路23を通過するタービン排気の流速が従来と比べてより均一となるだけでなく、流路23に対して噴霧される冷却水の量が従来と比べてより均等となり、冷却水量とタービン排気量のバランスを保つことができる。そのため、タービン排気が均一に冷却され、蒸気凝縮部11の内部で、タービン排気の冷却具合や不凝縮ガスの濃度勾配に起因する流れの滞留を防ぐことができる。結果として、復水器1の内部の真空度を維持できるため、発電プラントの発電効率の低下を防ぐことができる。
【0045】
なお、第3実施形態の変形例として、例えば図10に示すように、スプレーノズル13aおよび13bは流れ方向に対して45度の角度で斜め上流方向および下流方向、かつ流路23側に冷却水を噴霧し、スプレーノズル13cは流れ方向に対して45度の角度で斜め上流方向および垂直方向、かつ流路23側に冷却水を噴霧する構成としてもよい。
【0046】
また、第3実施形態の変形例として、例えば図11に示すように、スプレーノズル13aが流れ方向に対して45度の角度で斜め上流方向および下流方向に、流路23側に冷却水を噴霧し、スプレーノズル13bおよび13cは流れ方向に対して45度の角度で斜め上流方向および垂直方向に、流路23側に冷却水を噴霧する構成としてもよい。
【0047】
図10または図11に記載された第3実施形態のそれぞれの変形例によれば、第3実施例と同様の効果に加えて、スプレーノズル13bまたは13cが、冷却水を流れ方向に対して斜め上流方向または垂直方向に冷却水を噴霧することにより、タービン排気と冷却水との間の熱交換時間を長くすることができ、蒸気凝縮部11の冷却性能を向上させることができる。したがって、復水器1の内部の真空度を保つとともに、復水器1の高さ方向のスペースを短縮することができる。
【0048】
なお、第3実施形態またはその変形例において、スプレーノズル13aから13cを流れ方向に対して斜め上流方向または斜め下流方向に冷却水を噴霧する場合には、流れ方向に対して斜め上流方向または斜め下流方向に冷却水を噴霧すればよく、流れ方向に対して45度の角度で斜め上流方向または斜め下流方向に冷却水を噴霧しなくてもよい。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1…復水器、10…タービン排気ダクト、11…蒸気凝縮部、12…冷却水供給管、13a、13b、13c…スプレーノズル、14…ガス冷却部、15…ガス排出口、16…充填剤、17…ホットウェル、21a、21b、21c、22a、22b、23…流路、30…地熱発電プラント、31…気液分離器、32…除湿装置、33…蒸気タービン、34…発電機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11