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▶ リヴィアン アイピー ホールディングス,エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】電気車両用の駆動ユニット
(51)【国際特許分類】
   B60L 9/18 20060101AFI20241202BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20241202BHJP
   B60K 1/02 20060101ALI20241202BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20241202BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20241202BHJP
【FI】
B60L9/18 P
B60L15/20 S
B60K1/02
B60K1/04 Z
H02M7/48 E
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022014534
(22)【出願日】2022-02-01
(65)【公開番号】P2023020844
(43)【公開日】2023-02-09
【審査請求日】2022-02-07
(31)【優先権主張番号】17/388,988
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520490406
【氏名又は名称】リヴィアン アイピー ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 真美
(72)【発明者】
【氏名】ヨン ドゥ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン イー. シュルツ
(72)【発明者】
【氏名】シルバ ハイチ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー フアン
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-171067(JP,A)
【文献】特開2009-044891(JP,A)
【文献】特開2016-048987(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0094425(US,A1)
【文献】特開2020-127285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
B60K 1/00 - 1/04
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気車両用の駆動ユニットであって、前記駆動ユニットが、
第1の電気モータと、
前記第1の電気モータに機械的に結合可能である第1の車軸と、
第2の電気モータと、
前記第2の電気モータに機械的に結合可能である第2の車軸と、
高電圧直流電流(DC)電力源に電気的に結合可能であるデュアル電力インバータモジュールとを備え、
前記デュアル電力インバータモジュールが、
前記高電圧DC電力を3相の高電圧交流電流(AC)電力に変換するように構成されており、かつ前記3相の高電圧AC電力を前記第1の電気モータに提供するように電気的に結合可能である、第1のインバータと、
前記高電圧DC電力を3相の高電圧AC電力に変換するように構成されており、かつ前記3相の高電圧AC電力を前記第2の電気モータに提供するように電気的に結合可能である、第2のインバータと、
前記第1のインバータ及び前記第2のインバータの両方を制御するように構成された1つの共通コントローラと、
を含み、
前記第1のインバータ又は前記第2のインバータのいずれかに関連付けられた故障によって、前記共通コントローラが、前記第1のインバータ及び前記第2のインバータの両方に同じ故障アクションの適用をもたらし、前記第1の車軸及び前記第2の車軸の両方へのトルクを均等化し、
前記同じ故障アクションは、(i)前記第1のインバータ及び前記第2のインバータの3端子半導体デバイスのすべてを、前記第1の電気モータ及び/又は前記第2の電気モータの閾値速度より下で開放することと、(ii)前記第1のインバータ及び前記第2のインバータの上部バンク又は下部バンクのいずれかの3端子半導体デバイスを前記閾値速度より上で短絡させることとを含む、電気車両用の駆動ユニット。
【請求項2】
前記第1の電気モータと前記第1の車軸との間に機械的に結合された第1のセットの歯車と、
前記第2の電気モータと前記第2の車軸との間に機械的に結合された第2のセットの歯車と、を更に備える、請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項3】
前記第1の車軸及び前記第2の車軸が、第1及び第2の車輪に固定的に結合可能である、請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項4】
前記第1の車軸及び前記第2の車軸が、第1及び第2の車輪に取り外し可能に結合可能である、請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項5】
前記第1の電気モータが、第1の電圧定格及び第1の電流定格を有し、
前記第2の電気モータが、前記第1の電圧定格と同じである第2の電圧定格及び前記第1の電流定格と同じである第2の電流定格を有する、請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項6】
前記第1の電気モータ及び前記第2の電気モータが、同期電気モータを含む、請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項7】
前記同期電気モータが、永久磁石電気モータを含む、請求項6に記載の駆動ユニット。
【請求項8】
前記第1のインバータ及び前記第2のインバータが、同じ電圧及び電流出力定格を有する、請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項9】
電気車両用の駆動ユニットであって、前記駆動ユニットが、
第1の同期電気モータと、
前記第1の同期電気モータに機械的に結合可能である第1の車軸と、
第2の同期電気モータと、
前記第2の同期電気モータに機械的に結合可能である第2の車軸と、
前記第1の同期電気モータと前記第1の車軸との間に機械的に結合された第1のセットの歯車と、
前記第2の同期電気モータと前記第2の車軸との間に機械的に結合された第2のセットの歯車と、
高電圧直流電流(DC)電力源に電気的に結合可能であるデュアル電力インバータモジュールとを備え、
前記デュアル電力インバータモジュールが、
前記高電圧DC電力を3相の高電圧交流電流(AC)電力に変換するように構成されており、かつ前記3相の高電圧AC電力を前記第1の同期電気モータに提供するように電気的に結合可能である、第1のインバータと、
前記高電圧DC電力を3相の高電圧AC電力に変換するように構成されており、かつ前記3相の高電圧AC電力を前記第2の同期電気モータに提供するように電気的に結合可能である、第2のインバータと、
前記第1のインバータ及び前記第2のインバータの両方を制御するように構成された1つの共通コントローラと、
を含み、
前記第1のインバータ又は前記第2のインバータのいずれかに関連付けられた故障によって、前記共通コントローラが、前記第1のインバータ及び前記第2のインバータの両方に同じ故障アクションの適用をもたらし、前記第1の車軸及び前記第2の車軸の両方へのトルクを均等化し、
前記同じ故障アクションは、(i)前記第1のインバータ及び前記第2のインバータの3端子半導体デバイスのすべてを、前記第1の同期電気モータ及び/又は前記第2の同期電気モータの閾値速度より下で開放することと、(ii)前記第1のインバータ及び前記第2のインバータの上部バンク又は下部バンクのいずれかの3端子半導体デバイスを前記閾値速度より上で短絡させることとを含む、電気車両用の駆動ユニット。
【請求項10】
前記第1の車軸及び前記第2の車軸が、第1及び第2の車輪に固定的に結合可能である、請求項9に記載の駆動ユニット。
【請求項11】
前記第1の車軸及び前記第2の車軸が、第1及び第2の車輪に取り外し可能に結合可能である、請求項9に記載の駆動ユニット。
【請求項12】
前記第1の同期電気モータ及び前記第2の同期電気モータが、同じ電圧及び電流定格を有する、請求項10に記載の駆動ユニット。
【請求項13】
前記同期電気モータが、永久磁石電気モータを含む、請求項9に記載の駆動ユニット。
【請求項14】
前記第1のインバータ及び前記第2のインバータが、同じ電圧及び電流出力定格を有する、請求項9に記載の駆動ユニット。
【請求項15】
電気車両であって、
車両本体と、
前記車両本体内に配設された高電圧直流電流(DC)電気バッテリと、
少なくとも1つの駆動ユニットとを備え、
前記少なくとも1つの駆動ユニットが、
第1の電気モータと、
前記第1の電気モータに機械的に結合可能である第1の車軸と、
第2の電気モータと、
前記第2の電気モータに機械的に結合可能である第2の車軸と、
高電圧の直流電流(DC)電力源に電気的に結合可能であるデュアル電力インバータモジュールとを含み、
前記デュアル電力インバータモジュールが、
前記高電圧DC電力を3相の高電圧交流電流(AC)電力に変換するように構成されており、かつ前記3相の高電圧AC電力を前記第1の電気モータに提供するように電気的に結合可能である、第1のインバータと、
前記高電圧DC電力を3相の高電圧AC電力に変換するように構成されており、かつ前記3相の高電圧AC電力を前記第2の電気モータに提供するように電気的に結合可能である、第2のインバータと、
前記第1のインバータ及び前記第2のインバータの両方を制御するように構成された1つの共通コントローラと
を含み、
前記第1のインバータ又は前記第2のインバータのいずれかに関連付けられた故障によって、前記共通コントローラが、前記第1のインバータ及び前記第2のインバータの両方に同じ故障アクションの適用をもたらし、前記第1の車軸及び前記第2の車軸の両方へのトルクを均等化し、
前記同じ故障アクションは、(i)前記第1のインバータ及び前記第2のインバータの3端子半導体デバイスのすべてを、前記第1の電気モータ及び/又は前記第2の電気モータの閾値速度より下で開放することと、(ii)前記第1のインバータ及び前記第2のインバータの上部バンク又は下部バンクのいずれかの3端子半導体デバイスを前記閾値速度より上で短絡させることとを含む、電気車両。
【請求項16】
前記第1の電気モータと前記第1の車軸との間に機械的に結合された第1のセットの歯車と、
前記第2の電気モータと前記第2の車軸との間に機械的に結合された第2のセットの歯車と、を更に備える、請求項15に記載の電気車両
【請求項17】
前記少なくとも1つの駆動ユニットが、左及び右前車輪から選択された車輪に結合可能である駆動ユニットを含む、請求項15に記載の電気車両。
【請求項18】
前記少なくとも1つの駆動ユニットが、
左及び右前車輪に結合可能である第1の駆動ユニットと、
左及び右後車輪に結合可能である第2の駆動ユニットと、を含む、請求項15に記載の電気車両。
【請求項19】
前記第1の車軸及び前記第2の車軸から選択された少なくとも1つの車軸が、関連付けられた車輪に固定的に結合可能である、請求項15に記載の電気車両。
【請求項20】
前記第1の車軸及び前記第2の車軸から選択された少なくとも1つの車軸が、関連付けられた車輪に取り外し可能に結合可能である、請求項15に記載の電気車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気車両の駆動ユニット用のインバータに関する。駆動ユニット当たり2つの電気モータを備えた従来の電気車両は、2つのインバータ(モータ当たり1つのインバータ)を有し、各インバータは、それ自体のインバータコントローラによって制御される。各インバータ用に別個のインバータコントローラの使用は、重量を追加し、エネルギー消費を増加させ、それによって、車両走行距離の低減をもたらす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
様々な開示された実施形態は、電気車両用の例示的な駆動ユニット及び電気車両を含む。
【0003】
例示的な実施形態では、電気車両用の駆動ユニットは、第1の電気モータと、第1の電気モータに機械的に結合可能である第1の車軸と、第2の電気モータと、第2の電気モータに機械的に結合可能である第2の車軸と、高電圧直流電流(direct current、DC)電力源に電気的に結合可能であるデュアル電力インバータモジュールと、を含む。デュアル電力インバータモジュールは、高電圧DC電力を3相の高電圧交流電流(alternating current、AC)電力に変換するように構成されており、かつ3相の高電圧AC電力を第1の電気モータに提供するように電気的に結合可能である、第1のインバータと、高電圧DC電力を3相の高電圧AC電力に変換するように構成されており、かつ3相の高電圧AC電力を第2の電気モータに提供するように電気的に結合可能である、第2のインバータと、第1のインバータ及び第2のインバータを制御するように構成された共通コントローラと、を含む。
【0004】
別の例示的な実施形態では、電気車両用の駆動ユニットは、第1の同期電気モータと、第1の同期電気モータに機械的に結合可能である第1の車軸と、第2の同期電気モータと、第2の同期電気モータに機械的に結合可能である第2の車軸と、第1の同期電気モータと第1の車軸との間に機械的に結合された第1のセットの歯車と、第2の同期電気モータと第2の車軸との間に機械的に結合された第2のセットの歯車と、高電圧直流電流(DC)電力源に電気的に結合可能であるデュアル電力インバータモジュールと、を含む。デュアル電力インバータモジュールは、高電圧DC電力を3相の高電圧交流電流(AC)電力に変換するように構成されており、かつ3相の高電圧AC電力を第1の同期電気モータに提供するように電気的に結合可能である、第1のインバータと、高電圧DC電力を3相の高電圧AC電力に変換するように構成されており、かつ3相の高電圧AC電力を第2の同期電気モータに提供するように電気的に結合可能である、第2のインバータと、第1のインバータ及び第2のインバータを制御するように構成された共通コントローラと、を含む。
【0005】
別の例示的な実施形態では、電気車両は、車両本体と、車両本体内に配設された高電圧直流電流(DC)電気バッテリと、少なくとも1つの駆動ユニットと、を含む。少なくとも1つの駆動ユニットは、第1の電気モータと、第1の電気モータに機械的に結合可能である第1の車軸と、第2の電気モータと、第2の電気モータに機械的に結合可能である第2の車軸と、高電圧の直流電流(DC)電力源に電気的に結合可能であるデュアル電力インバータモジュールと、を含む。デュアル電力インバータモジュールは、高電圧DC電力を3相の高電圧交流電流(AC)電力に変換するように構成されており、かつ3相の高電圧AC電力を第1の電気モータに提供するように電気的に結合可能である、第1のインバータと、高電圧DC電力を3相の高電圧AC電力に変換するように構成されており、かつ3相の高電圧AC電力を第2の電気モータに提供するように電気的に結合可能である、第2のインバータと、第1のインバータ及び第2のインバータを制御するように構成された共通コントローラと、を含む。
【0006】
前述の概要は、単なる例示であり、決して限定することを意図するものではない。上述の例示的な態様、実施形態、及び特徴に加えて、更なる態様、実施形態、及び特徴が、図面及び以下の詳細な説明を参照することによって明らかになるであろう。
例示的な実施形態は、図面の参照図に例示されている。本明細書に開示される実施形態及び図は、限定的ではなく例示的であるとみなされるべきであることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】少なくとも1つの駆動ユニットを備える例示的な電気車両の概略図である。
図1B】例示的な駆動ユニットを備える図1の電気車両の下部本体構造の斜視図である。
図2A図1Bの例示的な駆動ユニットの斜視図である。
図2B図1Bの駆動ユニットの別の斜視図である。
図2C図1Bの駆動ユニットの側平面図である。
図2D図1Bの駆動ユニットの分解斜視図である。
図2E】別の例示的な駆動ユニットの斜視図である。
図3A】共通制御を備えた例示的なデュアルインバータの部分的概略形態のブロック図である。
図3B】共通制御を備えた例示的なデュアルインバータの斜視図である。
図4A】共通DCリンクコンデンサを備えた例示的なデュアルインバータの簡略化された概略図である。
図4B】キャンセルなしのリップル波形のグラフである。
図4C】キャンセルなしのリップル波形のグラフである。
図4D】パルス幅変調クロックを同期させるための例示的な方法のフロー図である。
図4E】キャンセルを伴う例示的なリップル波形のグラフである。
図4F】キャンセルを伴う例示的なリップル波形のグラフである。
図4G】ルックアップテーブルを示す。
図5A】いずれかのインバータに関連付けられた検出された故障に応答して、駆動ユニットの両方のインバータを安全状態に置くように構成された例示的な構成要素のブロック図である。
図5B】トルク対速度のグラフである。
図5C図5Aの構成要素の詳細のブロック図である。
図5D】3端子電力半導体デバイスの開放上部及び下部バンクの簡略化された概略図である。
図5E】3端子電力半導体デバイスの短絡下部バンクの簡略化された概略図である。
図5F】3端子電力半導体デバイスの短絡上部バンクの簡略化された概略図である。
図5G】いずれかのインバータに関連付けられた検出された故障に応答して、駆動ユニットの両方のインバータを安全状態に置く例示的な方法のフロー図である。
図6A】低電圧DC電力の損失を検出するための例示的な回路の概略図である。
図6B】低電圧DC電力を提供するための例示的なバックアップ回路の詳細の部分的概略形態のブロック図である。
図6C】低電圧DC電力の損失に応答して、駆動ユニットの両方のインバータを安全状態に置く方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
様々な図面における同様の参照記号は、概して、同様の要素を示す。
【0009】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付の図面を参照する。図面において、同様の記号は、文脈が他に指示しない限り、典型的には同様の構成要素を同定する。詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲に記載されている例示的な実施形態は、限定することを意味するものではない。本明細書に提示される主題の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、他の変更を行うことができる。
【0010】
様々な開示された実施形態は、例示的なデュアル電力インバータモジュール、電気車両、及び方法を含む。
【0011】
ここで図1A及び図1Bを参照し、概要として与えられるように、様々な実施形態では、電気車両10は、車両本体12を含む。高電圧直流電流(DC)電気バッテリ14は、車両本体12内に配設されている。(左及び右)前車輪16(左前車輪16のみが示されている)、並びに(左及び右)後車輪18(左後車輪18のみが示されている)は回転するように構成されている。少なくとも1つの駆動ユニット20が、前車輪16又は後車輪18を回転させるように機械的に結合可能である(いくつかの実施形態では、1つの駆動ユニット20が、前車輪16を回転させるように機械的に結合可能であり得、別の駆動ユニット20が、後車輪18を回転させるように機械的に結合可能であり得る)。各駆動ユニット20は、バッテリ14から高電圧DC電力を受容するように電気的に接続可能である。各駆動ユニット20は、関連する車輪16又は18を回転させるように機械的に結合可能である車軸22A及び22Bと、その関連する車軸22A及び22Bをそれぞれ回転させるように機械的に結合可能な電気モータ24A及び24Bと、を含む。以下で説明するように、各駆動ユニット20はまた、バッテリ14から高電圧DC電力を受容するように電気的に接続可能であるデュアル電力インバータモジュール26を含む。デュアル電力インバータモジュール26は、高電圧DC電力から3相高電圧交流電流(AC)電力を作り出し、関連する電気モータに3相高電圧AC電力を提供するように構成された2つのインバータ(図示せず)を含む。共通コントローラ(図示せず)が、デュアル電力インバータモジュール26内のインバータの両方を制御するように構成されている。
【0012】
簡潔にするために、例示的な詳細は、モータ車両の文脈における非限定的な例として以下に記載されている。しかしながら、車両10は、限定することなく、所望に応じていかなるものであれ、任意のタイプの車両であり得ることが理解されよう。非限定的な例として挙げると、様々な実施形態では、車両10は、電気車両(すなわち、全電気駆動式車両)又はハイブリッド車両であり得る。例えば、非限定的な例として挙げると、様々な実施形態では、車両10は、限定しないが、自動車、トラック、スポーツユーティリティ車両(sport utility vehicle、SUV)、バン、全地形用車両(all-terrain vehicle、ATV)、オートバイ、電動自転車、トラクタ、限定しないが乗用芝刈り機などの芝刈り機、スノーモービル、などのような、車輪及び/又はトラックによって駆動されるモータ車両を含み得る。更なる非限定的な例として挙げると、様々な実施形態では、車両10は、限定しないが、ボート、船、潜水艦、潜水艇、自律型水中車両(autonomous underwater vehicle、AUV)などのような、船舶を含み得る。更なる非限定的な例として挙げると、様々な実施形態では、車両10は、限定しないが、固定翼航空機、回転翼航空機、及び軽(lighter-than-air、LTA)航空機などの航空機を含み得る。
【0013】
また、簡潔にするために、駆動ユニット20に関する例示的な詳細は、モータ車両の文脈において記載されている。車両10は、モータ車両の例示的な例に限定されないため、駆動ユニット20もまた、モータ車両への適用性に限定されないことが理解されよう。そのために、様々な実施形態では、駆動ユニット20のモータ(又は複数のモータ)は、車両10を駆動するように構成されている。すなわち、様々な実施形態では、駆動ユニット20の電気モータ(又は複数のモータ)は、限定しないが、車輪若しくは複数の車輪、トラック若しくは複数のトラック、プロペラ若しくは複数のプロペラ、プロパルサ若しくは複数のプロパルサ、ロータ若しくは複数のロータなどのような、車両10に関連付けられた任意の推進装置を駆動する任意の駆動部材を駆動し得る。
【0014】
例えば、モータ車両におけるいくつかの実施形態では、1つの駆動ユニット20が、1つの車輪又はトラックを駆動する車軸又はチェーンリングなどの1つの駆動部材を駆動するように構成された1つのモータを含み得、モータ車両におけるいくつかの他の実施形態では、1つの駆動ユニット20が、2つの車輪又は2つのトラックを回転させる車軸を駆動するように構成された1つのモータを含み得、モータ車両におけるいくつかの他の実施形態では、1つの駆動ユニット20が、1つの車輪又は1つのトラックを回転させる車軸を駆動するように構成された1つのモータと別の車輪又は別のトラックを回転させる別の車軸を駆動するように構成された別のモータとを含み得る。
【0015】
同様に、船舶におけるいくつかの実施形態では、1つの駆動ユニット20が、1つのプロペラ又はプロパルサを駆動するように構成された1つのモータを含み得、船舶におけるいくつかの他の実施形態では、1つの駆動ユニット20が、2つのプロペラ又は2つのプロパルサを回転させるシャフトを駆動するように構成された1つのモータを含み得、船舶におけるいくつかの他の実施形態では、1つの駆動ユニット20が、1つのプロペラ又はプロパルサを回転させるシャフトを駆動するように構成された1つのモータと、別のプロペラ又はプロパルサを回転させる別のシャフトを駆動するように構成された別のモータと、を含み得る。
【0016】
同様に、航空機におけるいくつかの実施形態では、1つの駆動ユニット20が、1つのプロペラ又はロータを駆動するように構成された1つのモータを含み得、航空機におけるいくつかの他の実施形態では、1つの駆動ユニット20が、2つのプロペラ又は2つのロータを回転させるシャフトを駆動するように構成された1つのモータを含み得、航空機におけるいくつかの他の実施形態では、1つの駆動ユニット20が、1つのプロペラ又はロータを回転させるシャフトを駆動するように構成された1つのモータと、別のプロペラ又はロータを回転させる別のシャフトを駆動するように構成された別のモータと、を含み得る。
【0017】
ここで、概要が説明されたので、例示的な詳細を、限定ではなく例示としてのみ与えられる例で説明する。
【0018】
上述のように、少なくとも1つの駆動ユニット20は、前車輪16又は後車輪18を回転させるように機械的に結合可能である(いくつかの実施形態では、1つの駆動ユニット20は、前車輪16を回転させるように機械的に結合可能であり得、別の駆動ユニット20は、後車輪18を回転させるように機械的に結合可能であり得る)。また上述したように、各駆動ユニット20は、関連する車輪16又は18を回転させるように機械的に結合可能である車軸22A及び22Bと、その関連する車軸22A及び22Bをそれぞれ回転させるように機械的に結合可能である電気モータ24A及び24Bと、を含む。
【0019】
加えて図2A図2Eを参照すると、様々な実施形態では、各電気モータ24A及び24Bは、それぞれ、歯車28A及び28Bのセットを介して、それぞれ、その関連する車軸22A及び22Bを回転させるように機械的に結合可能である。歯車28A及び28Bの各セットは、それぞれ、その関連する電気モータ24A又は24Bから、それぞれ、その関連する車軸22A又は22Bに、かつ、最終的に、関連する車輪16又は18に速度及びトルク変換を提供するように構成されている。
【0020】
図2Dに示されるように、シャフト21Aは、その電気モータ24Aのその関連する回転子27によって回転されるように構成されており、シャフト21Bは、その電気モータ24Bのその関連する回転子27によって回転されるように構成されている。シャフト21A及び21Bは、フレーム19上に配設された軸受(図示せず)内に支持及び拘束される。歯車28Aのセットは、フレーム19内に配設されており、車軸22Aに回転可能に係合するように構成されており、歯車28Bのセットは、フレーム19内に配設されており、車軸22Bに回転可能に係合するように構成されている。電気モータ24Aは、歯車28Aのセットと回転可能に係合するように構成されており、電気モータ24Bは、歯車28Bのセットに回転可能に係合するように構成されている。
【0021】
様々な実施形態では、歯車28A及び28Bのセットの各々は、その関連する電気モータ24A又は24Bからその関連する車軸22A又は22Bに、最終的には関連する車輪16又は18に速度及びトルク変換を提供するように構成されている。例えば、限定するものではなく例示としてのみ与えられ、様々な実施形態では、歯車28Cは、その関連するシャフト21A又は21Bによって回転されるように構成されている。歯車28Dは、シャフト(明確にするために図示せず)に取り付けられており、歯車28Cによって噛合するように構成されている。歯車28Eもまた、シャフトに取り付けられている(明確にするために図示せず)。歯車28Fは、車軸22A又は22Bに取り付けられ、歯車28Eによって噛合するように構成されている。様々な実施形態では、歯車28A及び28Bのセットは、所望の速度及びトルク変換を達成するために特定の用途に所望されるように選択された歯車比を有する任意の数の好適な歯車(限定されないが、遊星歯車など)を含み得ることが理解されよう。電気車両で使用するための歯車は、当該技術分野で周知であることが理解されよう。したがって、それらの構成及び動作の更なる説明は、開示された主題の理解には必要ではない。
【0022】
いくつかの実施形態では、車軸22A及び22Bは、それらの関連する車輪16又は18に固定的に結合可能であり得る。例えば、限定するものではないが、いくつかのそのような実施形態では、前車輪16は、それらの関連する車軸22A及び22Bに固定的に結合可能であり得る。そのような固定結合は、機械的複雑さの低減に寄与するのに役立ち得、前車輪16が操縦可能であり続ける(車両10が、前車輪16及び後車輪18が路面に係合して牽引されているときなど(すなわち、平坦な牽引))ことを可能にするのに寄与するのに役立ち得ることが理解されよう。
【0023】
いくつかの他の実施形態では、車軸22A及び22Bは、それらの関連する車輪16又は18に取り外し可能に結合可能であり得る。例えば、限定するものではないが、いくつかのそのような実施形態では、後車輪18は、それらの関連する車軸22A及び22Bに取り外し可能に結合可能であり得る。後車輪18のそのような取り外し可能な結合は、牽引中のブレーキトルクの発生及び/又は制御されていない発電を回避するのに寄与するのに役立ち得ることが理解されよう。
【0024】
各駆動ユニット20は、左及び右前車輪16又は左及び右後車輪18のいずれかを駆動することが理解されよう。したがって、所与の駆動ユニット20の電気モータ24A及び24Bの両方は、同じ又は同様の範囲の速度及びトルク要求を経験し得る。速度及びトルク要求のそのような範囲をサービスするために、様々な実施形態では、所与の駆動ユニット20の電気モータ24A及び24Bの両方は、同じ電圧及び電流定格を有し得る。例えば、様々な実施形態(高電圧システムなど)では、電圧定格は、ライン間で約300Vrms~約600Vrmsの範囲であり得、電流定格は、約300Arms~約900Armsの範囲であり得る。例示としてのみ非限定的な例として考慮すると、例示的な電圧定格は312Vrmsであり得、例示的な電流定格は550Armsであり得る(400VDCシステムに基づいて)。しかしながら、電気モータ24A及び24Bは、特定の用途に対して所望されるように、任意の電圧定格及び任意の電流定格を有し得ることが理解されよう。
【0025】
様々な実施形態では、電気モータ24A及び24Bは、所望されるように任意の好適なタイプの電気モータであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、電気モータ24A及び24Bは、同期電気モータを含み得る。いくつかのそのような実施形態では、同期電気モータは、限定されないが、永久磁石電気モータなどを含み得る。いくつかの他の実施形態では、電気モータ24A及び24Bは、限定されないが、多相AC誘導モータなどの非同期モータ(又は誘導モータ)を含み得る。
【0026】
上述のように、様々な実施形態では、各駆動ユニット20は、左及び右前車輪16又は左及び右後車輪18のいずれかを駆動し、したがって、所与の駆動ユニット20の電気モータ24A及び24Bの両方は、同じ又は同様の範囲の速度及びトルク要求を経験し得る。したがって、様々な実施形態では、所与の駆動ユニット20の両方のインバータは、同じ電圧出力定格及び同じ電流出力定格を有し得る。限定ではなく例示としてのみ考慮すると、様々な実施形態では、所与の駆動ユニット20の両方のインバータは、312Vrmsの電圧出力定格及び550Armsの電流出力定格を有し得る(400VDC入力に基づく)。しかしながら、所与の駆動ユニット20のインバータは、特定の用途に対して所望されるような任意の電圧出力定格及び任意の電流出力定格を有し得ることが理解されよう。
【0027】
様々な実施形態では、デュアル電力インバータモジュール26は、特定の用途に対して所望されるような任意の好適な様態でフレーム19と物理的に関連付けられ得ることが理解されよう。例えば、限定するものではないが、いくつかの実施形態では、図2A図2Cに示されるように、デュアル電力インバータモジュール26は、密封容器内のモジュールであり得、フレームの外部のフレーム19上に物理的に配設され得る。別の例として、限定するものではないが、図2Eに示されるように、いくつかの他の実施形態では、デュアル電力インバータモジュール26は、フレーム19と一体的に取り付けられ得る。いくつかのそのような実施形態では、ハウジング29は、その中に画定された開放面(図示せず)を有する。インバータ回路(以下で考察される)は、ハウジング29内に配設されている。そのような実施形態では、ハウジング29の開放面は、フレーム19の開口部(図示せず)に嵌合される。そのような他の実施形態は、出願人によって譲渡され、出願された「INVERTER MODULE INTEGRATABLY MOUNTABLE WITH DRIVE UNIT OF VEHICLE」と題する、2021年4月29日に出願された、共同所有の米国特許出願第17/244,288号で考察されており、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
加えて図3A及び図3Bを参照すると、様々な実施形態では、デュアル電力インバータモジュール(dual power inverter module、DPIM)26が提供されている。上述のように、様々な実施形態では、DPIM26は、高電圧DC電力から3相高電圧AC電力を作り出し、関連する電気モータ24A又は24Bに3相高電圧AC電力を提供するように構成された2つのインバータ30A及び30B、及びインバータ30A及び30Bの両方を制御するように構成された共通コントローラ32を含む。
【0029】
様々な実施形態では、DCリンクコンデンサ34は、バッテリ14などの高電圧DC電力源に電気的に接続可能である。いくつかの実施形態では、バッテリ14への電気的接続は、電気接続部36を含み得る。好適な電気ケーブル38は、電気接続部36に電気的に接続され得、電気バッテリ14に電気的に接続可能であり得る。
【0030】
様々な実施形態では、電力インバータ30Aは、DCリンクコンデンサ34に電気的に接続可能であり、高電圧DC電力を3相高電圧AC電力に変換するように構成されている。電力インバータ30Aは、3相高電圧AC電力を、右モータ又は左モータなどの電気モータ24Aに供給するように更に構成されている。電力インバータ30Bは、DCリンクコンデンサ34に電気的に接続可能であり、高電圧DC電力を3相高電圧AC電力に変換するように構成されている。電力インバータ30Bは、3相高電圧AC電力を、左モータ又は右モータのうちの他方などの電気モータ24Bに供給するように更に構成されている。
【0031】
様々な実施形態では、共通コントローラ32は、電力インバータ30A及び電力インバータ30Bに電気的に接続可能である。共通コントローラ32は、電力インバータ30A及び電力インバータ30Bを制御するように構成されている。共通コントローラ32は、所望されるような任意の好適なコンピュータプロセッサベースのコントローラであり得る。限定ではなく例のみとして、様々な実施形態では、共通コントローラ32は、コンピュータ処理ユニット(computer processing unit、CPU)、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイなど、及び/又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。コントローラは周知であり、それらの構成及び動作の更なる説明は、開示された主題の理解に必要ではないが、共通コントローラ32に関する更なる詳細が、追加の機能に関して以下に記載される。
【0032】
様々な実施形態では、共通コントローラ32は、12VDCなどの低電圧DC電力を受容するように電気的に接続可能である。共通コントローラ32はまた、車両ステータス信号及び車両故障指示信号を受信するように電気的に接続可能である。様々な車両故障及び12VDCの損失に対する例示的な応答が、更に以下で考察される。
【0033】
様々な実施形態では、電力インバータ30A及び電力インバータ30Bは各々、3端子電力半導体デバイス42のバンク40と、3端子電力半導体デバイス42のバンク44と、を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、3端子電力半導体デバイス42は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(insulated gate bipolar transistor、IGBT)を含み得る。いくつかのそのような実施形態では、IGBTは、シリコン(silicon、Si)IGBTを含み得る。いくつかの実施形態では、3端子電力半導体デバイス42は、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(metal-oxide-semiconductor field effect transistor、MOSFET)を含み得る。いくつかのそのような実施形態では、MOSFETは、炭化ケイ素(silicon carbide、SiC)MOSFETを含み得る。しかしながら、3端子電力半導体デバイス42はまた、少なくとも3つの端子を含む電力半導体デバイス42を含み得、例えば、限定されないが、ケルビンソース端子、ケルビンエミッタ端子、電流センス端子、及び/又は温度センス端子などの追加の端子を含み得ることが理解されよう。
【0035】
SiC MOSFETSは、低相電流でSi IGBTを超える利点を提供し得、SiC MOSFETSは、700Apkを下回るIGBTと比較してより低い伝導降下を有することが理解されよう。しかしながら、この値は、インバータのサイズに応じて変化し得ることが理解されよう。したがって、SiC MOSFETSは、Si IGBTと比較して、典型的な駆動サイクルにわたって最大約3~5%の効率ゲインを提供し得ることが理解されよう。
【0036】
いくつかの全輪駆動(all-wheel drive、AWD)電気車両10では、前車輪16は、所定量を超える追加のトルク及び/又は電力が必要とされるまで唯一の駆動車輪として機能する。そのような電気車両10では、後車輪は、所定量を超えるトルク及び/又は電力が送達されるときにのみ、それらの関連する駆動ユニット20によって駆動される。いくつかのそのようなAWD電気車両10では、Si IGBTを超えるSiC MOSFETSの効率を利用するために、前車輪16を駆動する駆動ユニット20は、SiC MOSFETSを含むインバータ40を含み得、後車輪18を駆動する駆動ユニット20は、Si IGBTを含むインバータ40を含み得る。しかしながら、駆動ユニット20のいずれかは、所望されるように、SiC MOSFETS又はSi IGBTのいずれかを含むインバータ40を含み得ることが理解されよう。
【0037】
様々な実施形態では、電力インバータ30Aは、電力インバータ30Aの3端子電力半導体デバイス42のバンク40及び44のゲート端子48を駆動するように構成されたゲート駆動回路46Aを含む。同様に、電力インバータ30Bは、電力インバータ30Bの3端子電力半導体デバイス42のバンク40及び44のゲート端子48を駆動するように構成されたゲート駆動回路46Bを含む。様々な実施形態では、コントローラ32は、他の機能の中でも、低電力ターンオン並びにターンオフ信号66A及び66Bを生成し、ターンオン並びにターンオフ信号66A及び66Bを、それぞれ、ゲート駆動回路46A及び46Bに提供するように構成されている。低電力ターンオン並びにターンオフ信号66A及び66Bは、数ミリアンペアの電流であり、3.3又は5Vなどの論理レベル電圧であり得る。
【0038】
様々な実施形態では、ゲート駆動回路46A及び46Bは、低電力ターンオン並びにターンオフ信号66A及び66Bを増幅し、高電力ターンオン並びにターンオフ信号66A’及び66B’を生成する好適な電力増幅器を含む。ゲート端子48を駆動するために、高電力ターンオン並びにターンオフ信号66A’及び66B’は、特定の用途に対して所望されるように、15~20Vの範囲の電圧を有する、数百ミリアンペアのオーダの電流又はアンペアのオーダの電流であり得る。次に、高電力ターンオン並びにターンオフ信号66A’及び66B’は、関連付けられたゲート端子48を駆動するように電気的に結合される。ゲート駆動回路は周知であり、それらの構成及び動作の更なる説明は、開示された主題の理解には必要ではない。
【0039】
非限定的な例として上記で提供された例示的な詳細を考慮して、様々な実施形態では、2つのインバータ30A及び30Bに対して1つのコントローラ32の提供は、以下の使用を提供することができることが理解されよう。(i)車両ステータス信号及び車両故障指示信号に対する単一のインターフェース、(ii)単一のDCリンクコンデンサ34、(iii)単一の共通コントローラ32、及び(iv)低電圧DC電力(12VDCなど)に対する単一のインターフェース。
【0040】
非限定的な例として上記で提供された例示的な詳細を考慮して、様々な実施形態では、DPIM26の取り付けを駆動ユニット20と統合することは、冷却剤インターフェースの統合を提供することができることが理解されよう。例えば、様々な実施形態では、インバータ30A及び30Bに提供される水冷却を、電気モータ24A及び24Bの固定子巻線に提供することができる。
【0041】
上で考察されるように、様々な実施形態では、単一のモータ24A又は24Bは、1つの前車輪16又は1つの後車輪18などの単一の車輪を駆動する。各車輪は、固有の速度及びトルクで動作することができることが理解されよう。非限定的な例として、カーブを曲がること、又は牽引力の損失は、異なる車輪速度を作り出し得、牽引制御又はトルクベクトリングが異なる車輪トルクをもたらし得る。また上で考察されるように、様々な実施形態では、デュアル電力インバータモジュール26は、2つのインバータ30A及び30Bを1つのモジュール26に組み合わせ、したがって、DCリンクコンデンサ34などの共通の構成要素を共有する。
【0042】
そのために、様々な実施形態は、DPIM26のインバータ30A及び30Bの両方に高電圧DC電力を提供するために電気的に接続可能である1つのDCリンクコンデンサ34のみを含む。DCリンクコンデンサ34のサイズを低減及びできる限り最小化することが望ましい場合があることが理解されよう。以下に説明するように、様々な実施形態は、DCリンクコンデンサ34上のストレスを低減し(これは、サイズが縮小される可能性がある)、インバータ30A及び30Bからの高周波電流高調波の(fof)生成に起因するDC高電圧バス(これは、電気ケーブル38を含み得る)上のリップル電流の低減に寄与するのに役立ち得る。
【0043】
様々な実施形態では、インバータ30A及び30Bは、パルス幅変調(pulse width modulation、PWM)を使用して、可変振幅及び周波数電圧源を作り出して、電気モータ24A及び24Bを駆動する。特定の状況に対して所望されるように、異なるPWM方法(例えば、連続PWM及び不連続PWMなど)を用いることができる。PWM方法の各々は、DCバスに反映され得るリップル電流の独自の固有の高調波スペクトルを作り出す。
【0044】
例えば、連続PWMでは、各相が連続的に切り替わる(すなわち、様々な実施形態では、インバータ30A及び30Bの両方の3端子電力半導体デバイス42のすべては、連続的に切り替わる)。結果として、連続PWMは、インバータ30A及び30Bにおいてささいではない量のスイッチング損失をもたらす可能性がある。連続PWMでは、スイッチング周波数の第2高調波は、リップル電流における支配的な高調波周波数である。連続PWM(空間ベクトル変調など)は、AC出力及びDC入力電流の高調波含有量及びリップルを最小化すること、並びに音響ノイズを最小限に抑えることが所望される場合などの状況で使用することができる。例えば、一部の車両は、高トルクで連続PWMを使用して、音響ノイズを最小限に抑える場合がある。
【0045】
別の例として、不連続PWMでは、各相が連続的に切り替わらない(すなわち、様々な実施形態では、インバータ30A及び30Bの両方の3端子電力半導体デバイス42のすべては、連続的に切り替わらない)。そのような実施形態では、3つの相のうちの2つのみが任意の時間に切り替わり、残りの第3の相は、上部又は下部スイッチのいずれかを連続的にオンにし、それによってインバータ効率の増加に寄与するのを助け、不連続PWM中の損失の低減に寄与するのを助ける。不連続PWMの使用は、AC出力又はDC入力電流における音響ノイズ又は高調波含有量の増加など、他の非有益な影響を有し得ることが理解されよう。不連続PWMでは、各相は、スイッチが低又は高のいずれかで保持され、基本周期にわたって合計120度の間、切り替わっていない2つの60度のセグメントを有する。すなわち、不連続PWMでは、各相は、1/3の時間切り替わっていない。これは、著しく低いスイッチング損失をもたらし、効率が高くなる。連続PWMに関与するものよりも不連続なPWMがより低いスイッチング損失を伴う一方で、不連続PWMは、連続PWMと関連付けられたものよりも高い音響ノイズを伴い得、高調波が、モータ24A及び24B、並びにDCリンクコンデンサ34上にもたらされ得ることが理解されよう。不連続PWMでは、スイッチング周波数の第1の高調波が、支配的な高調波周波数である。不連続PWMは、最高効率及び最低損失が所望され、音響ノイズが問題とならない状況で使用することができる。一例として、一部の車両は、高トルクで熱的問題を有する場合があり、結果として、それらの条件下での損失を低減するために不連続PWMを使用する。
【0046】
様々な実施形態において、かつ加えて図4Aを参照すると、DCリンクコンデンサ34は、DC電圧源(すなわち、電気バッテリ14)からインバータ30A及び30BへのインダクタンスLケーブルの影響を分離するために使用される。加えて図4B及び図4Cを参照すると、DCリンクコンデンサ34は、インバータ30A及び30Bによって生成されたリップル電流50に対して低インピーダンス経路を提供し、そうでなければDC高電圧バスに流れ戻る可能性がある。リップル電流50は、DCリンクコンデンサ34のサイズを決定する際の要因であり、結果として、リップル電流50を低減することは、DCリンクコンデンサ34のサイズ(及びDCリンクコンデンサ34上のストレス)の低減に寄与するのに役立ち得る。リップル電流50は、モータ24A及び24Bに流入するAC負荷電流、及びインバータ30A及び30Bのパルス幅変調(PWM)の結果である。図4B及び図4Cに示され、限定ではなく例示としてのみ与えられているように、550Armsのモータ電流、0.48の変調指数、力率1、10KHzのスイッチング周波数、及び250Hzの基本周波数を用いて、キャンセルなしで、リップル電流50は、約712Armsの振幅を有することができる。
【0047】
加えて図4Dを参照すると、様々な実施形態における、パルス幅変調クロックを同期させるための方法52が提供されている。様々な実施形態では、パルス幅変調クロックを同期させることは、リップル電流50のキャンセルに寄与するのに役立ち得ることが理解されよう。方法52は、ブロック53で始まる。ブロック54において、第1の電力インバータのパルス幅変調方法及び第2の電力インバータのパルス幅変調方法が識別される。ブロック56において、第1の電力インバータのスイッチング周波数及び第2の電力インバータのスイッチング周波数が、識別及び比較される。ブロック58において、第1の電力インバータと第2の電力インバータとの間の最適化された位相シフトが、第1の電力インバータのパルス幅変調方法及び第2の電力インバータのパルス幅変調方法並びに第1の電力インバータのスイッチング周波数及び第2の電力インバータのスイッチング周波数に応答して決定される。ブロック60において、最適化された位相シフトが、第1の電力インバータと第2の電力インバータとの間で同期される。
【0048】
方法52は、ブロック61で終了する。
【0049】
図4E及び図4Fに示され、限定ではなく例示としてのみ与えられているように、550Armsのモータ電流、0.48の変調指数、力率1、10KHzのスイッチング周波数、及び250Hzの基本周波数を用いて、ここに記載のようにキャンセル付きで、リップル電流50は、約147Armsの振幅を有するように低減され得る。
【0050】
上記の概要を念頭に置いて、様々な実施形態では、かつ図3Aに示されるように、共通コントローラ32は、プロセッサ64A及びプロセッサ64Bを含む。いくつかの実施形態では、プロセッサ64A及び64Bは、別個のプロセッサであり得る。しかしながら、いくつかの他の実施形態(2つのPWM発生器を使用する)では、プロセッサ64A及び64Bの機能は、特定の用途に対して所望されるように、単一のプロセッサに組み合わされ得ることが理解されよう。プロセッサ64A及び64Bが別個であるか又は単一のプロセッサに組み合わされているかには関係なく、プロセッサ64Aがマスタとして機能し、プロセッサ64Bはスレーブとして機能することが理解されよう。
【0051】
プロセッサ64Aは、任意の好適なコンピュータメモリなどの、プロセッサ64Aに以下に記載の機能を実行させるように構成されたコンピュータ実行可能命令を記憶するように構成されたコンピュータ可読媒体65Aに動作可能に結合されている。プロセッサ64Bは、任意の好適なコンピュータメモリなどの、プロセッサ64Bに以下に記載の機能を実行させるように構成されたコンピュータ実行可能命令を記憶するように構成されたコンピュータ可読媒体65Bに動作可能に結合されている。プロセッサ64Aは、電力インバータ30Aを駆動するためのターンオン及びターンオフ信号66Aの生成を制御するための第1のクロック信号及び第2のクロック信号を生成する(例えば、結晶を使用して)ように構成されている。第2のクロック信号は、電力インバータ30Bを駆動するためのターンオン及びターンオフ信号66Bの生成を制御するためにプロセッサ64Bに提供される。
【0052】
プロセッサ64Aは、電力インバータ30AのためのPWM方法を選択し、プロセッサ64Bは、電力インバータ30BのためのPWM方法を選択する。プロセッサ64B(すなわち、スレーブ)は、プロセッサ64A(すなわち、マスタ)にそのPWM方法を通知する(PWM方法の切り替えが使用されていない場合を除く)。連続PWM及び不連続PWMの選択のための要因は、上で考察されている。
【0053】
プロセッサ64Aは、電力インバータ30Aのためのスイッチング周波数を選択し、プロセッサ64Bは、電力インバータ30Bのためのスイッチング周波数を選択する。周波数は、互いに偶数倍数であり、所定の値から選択される。限定ではなく例示としてのみ考慮すると、様々な実施形態では、スイッチング周波数は、2.5KHz及び10KHzであり得、それにより、偶数倍数4をもたらす。しかしながら、所望されるように、(偶数倍数をもたらす)他の周波数が選択され得ることが理解されるであろう。様々な実施形態では、プロセッサ64A(すなわち、マスタ)は、PWMモードの関数として所望の位相シフトを備えた、最も低い選択可能な周波数にある基準を出力する。
【0054】
プロセッサ64Aは、電力インバータ30AのPWM方法及び電力インバータ30BのPWM方法並びに電力インバータ30Aのスイッチング周波数及び電力インバータ30Bのスイッチング周波数に応答して電力インバータ30Aと電力インバータ30Bとの間の最適化された位相シフトを決定するように構成されている。例えば、いくつかのそのような実施形態では、かつ加えて図4Gを参照して、プロセッサ64Aは、PWM方法の行70及びPWM方法の列72に従って配列された最適化された位相シフトの値を含むセルが配置されたルックアップテーブル68にアクセスし得る。いくつかの実施形態では、電力インバータ30AのPWM方法及び電力インバータ30BのPWM方法は、同じパルス幅変調方法であり得ることが理解されよう。いくつかの他の実施形態では、電力インバータ30AのPWM方法及び電力インバータ30BのPWM方法は、異なるPWM方法であり得ることも理解されよう。
【0055】
図4Gに示すように、電力インバータ30A及び30Bの両方が連続PWMを使用する場合、位相シフトは90度に設定される。電力インバータ30A及び30Bの両方が不連続PWMを使用する場合、位相シフトは180度に設定される。異なるPWM方法の場合、位相は90度に設定される。
【0056】
いくつかの他のそのような実施形態では、プロセッサ64Aは、電力インバータ30AのPWM方法及び電力インバータ30BのPWM方法に応答して、電力インバータ30Aと電力インバータ30Bとの間の最適化された位相シフトを決定するためのアルゴリズムを実行し得る。例えば、アルゴリズムは、次のようなif-thenステートメントを含み得る。
両方のPWM方法が連続PWMである場合、最適化された位相シフトは90度である、
両方のPWM方法が不連続PWMである場合、最適化された位相シフトは180度である、及び
1つのPWM方法が連続PWMであり、別のPWM方法が不連続PWMである場合、最適化された位相シフトは90度である。
【0057】
プロセッサ64Aはまた、電力インバータ30Aと電力インバータ30Bとの間で最適化された位相シフトを同期させるように構成されている。上述のように、プロセッサ64Bは、第2のクロック信号を受信し、電力インバータ30Bを駆動するように構成されている。
【0058】
様々な実施形態では、プロセッサ64Aは、決定された最適化された位相シフトによって、第2のクロック信号を第1のクロック信号からシフトするように更に構成されている。
【0059】
様々な実施形態では、プロセッサ64Aは、電力インバータ30AのPWM方法及び電力インバータ30BのPWM方法の高調波周波数間の中で支配的な高調波周波数を識別し、電力インバータ30AのPWM方法及び電力インバータ30BのPWM方法の高調波周波数の中で支配的な高調波周波数に応答して、電力インバータ30Aと電力インバータ30Bとの間の最適化された位相シフトを決定するように更に構成されている。電力インバータ30AのPWM方法及び電力インバータ30BのPWM方法の高調波周波数の中で支配的な高調波周波数に応答して電力インバータ30Aと電力インバータ30Bとの間の最適化された位相シフトを決定することは、リップル電流50の支配的な高周波成分のキャンセルに寄与するのに役立ち得ることが理解されよう。
【0060】
いくつかのそのような実施形態では、支配的な高調波周波数は、第2の高調波周波数(スイッチング周波数の高調波)を含み得る。例えば、そのような実施形態では、PWM方法は、連続PWMを含み得る。そのような実施形態では、最適化された位相シフトは90度である。90度の位相シフトは、支配的な高調波(第2の高調波周波数)を180度だけシフトさせ、それによってリップル電流50の支配的な高調波成分のキャンセルをもたらすことが理解されよう。
【0061】
いくつかの他のそのような実施形態では、支配的な高調波周波数は、第1の高調波周波数を含み得る。例えば、そのような実施形態では、PWM方法は、不連続PWMを含み得る。そのような実施形態では、最適化された位相シフトは、180度である。180度の位相シフトは、支配的な高調波(第1の高調波周波数)を180度だけシフトさせ、それによってリップル電流50の支配的な高調波成分のキャンセルをもたらすことが理解されよう。
【0062】
実際のDCバス高調波は、スイッチング周波数を取り囲むサイドバンドグループに存在し得ることが理解されよう。スイッチング周波数高調波からのこれらの高調波の分離は、モータ基本周波数の関数である。
【0063】
様々な実施形態では、プロセッサ64Aは、電力インバータ30Aのスイッチング周波数と電力インバータ30Bのスイッチング周波数とを識別し、比較するように構成されている。上で考察されるように、互いに偶数倍数である2つの周波数のみが使用される。
【0064】
例えば、いくつかの実施形態では、スイッチング周波数を変更することが望ましい場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、スイッチング周波数は、10KHzであり得る。そのような実施形態では、低モータ速度(例えば、500RPM未満)では、スイッチング周波数を2.5KHzに低減して、インバータ30A及び30B内のスイッチ42を保護し、それによってインバータ30A及び30B内のストレスを低減するのを助けることが望ましい場合がある。スイッチング周波数間で偶数倍数関係を維持することは、高調波の整列及び支配的な高調波のキャンセルの機会の増加を可能にする。
【0065】
各車輪がそれ自体の車軸を介してそれ自体の関連する電気モータによって独立して駆動される電気車両は、車輪間に機械的結合を何ら有さない。そのような車両では、故障に起因して1つのインバータがシャットダウンし、他方のインバータが適切に反応しない場合、2つの車輪間にトルク差が存在し得る。そのような結果として生じるトルク差は、車両の制御性に悪影響を有し得る。
【0066】
そのようなトルクの差を回避するために、かつ加えて図5A図5Gを参照して、様々な実施形態では、電力インバータ30A又は電力インバータ30Bのいずれか(又はインバータ30A及び30Bの両方に関連付けられた以下に記載の回路)に関連付けられた故障は、インバータ30A及び30Bの両方に同じ故障アクション(以下に記載)の適用をもたらす。そのような実施形態では、インバータ30A及び30Bの両方に対する同じ故障アクションの適用は、インバータ30A及び30Bの両方を「安全状態」にし、インバータ30A及び30Bを含む駆動ユニット20に関連付けられた車輪の両方に均等化されたトルクの適用に寄与するのに役立つ。インバータ30A及び30Bの両方に同じ故障アクションを適用し、インバータ30A及び30Bを含む駆動ユニット20に関連付けられた車輪の両方へのトルクを均等化することによって、様々な実施形態は、車両の制御性に悪影響を有し得るトルク差の生成の可能性の低減に寄与するのに役立つことができる。
【0067】
上で考察されるように、プロセッサ64Aは、任意の好適なコンピュータメモリなどの、プロセッサ64Aに以下に記載の機能を実行させるように構成されたコンピュータ実行可能命令を記憶するように構成されたコンピュータ可読媒体65Aに動作可能に結合されている。また上で考察されるように、プロセッサ64Bは、任意の好適なコンピュータメモリなどの、プロセッサ64Bに以下に記載の機能を実行させるように構成されたコンピュータ実行可能命令を記憶するように構成されたコンピュータ可読媒体65Bに動作可能に結合されている。様々な実施形態では、かつ以下に説明するように、コンピュータ実行可能命令は、電力インバータ30A又は電力インバータ30Bに関連付けられた故障に応答して、駆動ユニット20に動作可能に結合された各車輪16又は18に均等化されたトルクを適用するために、その関連するプロセッサ64A及び64Bに、それぞれ、電力インバータ30A及び電力インバータ30Bに同じ故障アクションを適用させるように構成されている。
【0068】
様々な実施形態では、かつ図5Aに示されるように、インバータ30A及び30Bに関連付けられた様々な故障は、それぞれ、インバータ30A及び30Bに対するプロセッサ64A及び64Bによって監視されている。そのような故障に対して、様々な実施形態では、同じ故障応答が、プロセッサ64A及び64Bによって、両方のインバータ30A及び30Bの3端子電力半導体デバイス42(図3A)に適用される。様々な実施形態では、インバータ30A及び30Bに関連付けられ、それぞれ、プロセッサ64A及び64Bによって監視されたそのような故障は、限定されないが、過電流、過電圧、不足電圧、過温度、過速度、などを含み得る。様々な実施形態では、そのような故障を示す信号は、限定されるものではないが、ワイドエリアネットワーク(wide area network、WAN)、ローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)、コントローラエリアネットワーク(controller area network、CAN)、ピアツーピアネットワーク、データバスなどのような、所望されるような任意の好適なデータ通信接続又はネットワークを含み得るデータリンク74を介して、コントローラ32に提供され得、プロセッサ64A及び64Bに提供される。様々な実施形態では、モータ速度及びバッテリ14の電圧などの、車両ステータスを示す信号もまた、データリンク74を介してコントローラ32に提供される。
【0069】
様々な実施形態では、かつ図5Aにも示されるように、コントローラ32は、プロセッサ64Aと64Bとの間に通信リンク82を含む。通信リンク82は、プロセッサ64A又はプロセッサ64Bが、それぞれ、他のプロセッサ64B又は64Aに通信し、プロセッサ64A又はプロセッサ64Bによって監視された故障が検出されること、故障アクションがとられて、どの故障アクションがとられるべきであるか、を可能にすることができることが理解されよう。通信リンク82は、所望されるような任意の好適なデータリンク又はデータバスを含み得る。
【0070】
様々な実施形態では、それぞれ、インバータ30A及び30Bについてプロセッサ64A及び64Bによって監視された故障に対する故障アクションは、インバータ30A及び30Bの3端子半導体デバイス42のすべてを開放する、及び/又は、インバータ30A及び30Bのバンク40又はバンク44のいずれかの3端子半導体デバイス42を短絡させるなどのアクションを含み得る。以下で説明するように、様々な実施形態では、プロセッサ64A及び64Bによって監視された故障に対してインバータ30A及び30Bの両方に適用される故障アクションは、モータの速度に依存する。また以下で説明するように、プロセッサ64A及び64Bによって監視されていない故障に対してインバータ30A及び30Bの両方に適用される故障アクションは、モータの速度に依存しない。
【0071】
様々な実施形態では、かつ上述したように、様々な実施形態では、それぞれ、インバータ30A及び30Bについてプロセッサ64A及び64Bによって監視された故障に対する故障アクションは、インバータ30A及び30Bの3端子半導体デバイス42のすべてを開放する、及び/又は、インバータ30A及び30Bのバンク40又はバンク44のいずれかの3端子半導体デバイス42を短絡させるなどのアクションを含み得、モータの速度に依存し得る。プロセッサ64A及び64Bによって監視されているそのような故障の場合、インバータ30A及び30Bの両方に同時に適用される故障アクションは、ブレーキトルクの低減及び電気バッテリ14への再生電流の低減に寄与するのに役立ち得ることが理解されよう。プロセッサ64A及び64Bは、モータの速度に関するデータを受信するために、様々なデータ通信接続又はネットワークに動作可能に結合されているので、プロセッサ64A及び64Bは、好適には、モータの速度に基づいて適用される同じ故障アクションを決定するように構成されている。様々な実施形態では、プロセッサ64Aは、その関連する電気モータ24Aに対して適切な速度依存故障アクションを選択し、プロセッサ64Bは、その関連する電気モータ24Bに対して適切な速度依存故障アクションを選択する。プロセッサ64A及び64Bによって監視されていない、他の故障に対する故障アクションは、モータの速度に依存せず、以下で更に考察される。
【0072】
図5Bに示されるように、様々な実施形態では、インバータ30A及び30Bを適用される同じ故障アクションは、モータの速度に基づき得る。そのような実施形態では、同じ故障アクションは、インバータ30A及び30Bの3端子半導体デバイス42のすべてをモータの閾値速度vthより下で開放することと、インバータ30A及び30Bのバンク40又はバンク44いずれかの3端子半導体デバイス42を閾値速度vthより上で短絡させることと、を含み得る。
【0073】
図5Bに示すように、グラフ76は、インバータ30A及び30Bの3端子半導体デバイス42の様々な条件についてのモータの速度対トルクをプロットする。曲線78は、インバータ30A及び30Bの3端子半導体デバイス42のすべてを開放することから生じるトルクを示す。閾値速度vth未満で、トルクは実質的にわずかであり、閾値速度vthを超えると、ブレーキトルクが、モータの速度の増加に伴ってますます著しくなる。そのような事例では、逆起電力(back electromotive force、逆EMF)が、モータの速度の増加とともに増加し、これは、場合によっては、結果として電気モータ24A及び24Bが、逆EMFを生成し、DCリンクコンデンサ34及び電気バッテリ14に不要な再生電流を印加し得る制御されていない発電機として動作する可能性があることも理解されよう。
【0074】
また図5Bに示されるように、曲線80は、3端子半導体デバイス42のバンク40又はバンク44のいずれかの3端子半導体デバイス42の3相短絡から生じるトルクを示す。モータの速度がゼロから増加するにつれて、ブレーキトルクが急速に増加し、ブレーキトルクの最大値に達する。モータの速度が増加し続けると、ブレーキトルクが減少し、モータの速度が閾値速度vthに達する前に、漸近最小値に近づく。
【0075】
したがって、インバータ30A及び30Bについて、故障がプロセッサ64A及び64Bによって監視される様々な実施形態では、故障アクションは、好適には、ブレーキトルク及びDCリンクコンデンサ34及び電気バッテリ14への不要な再生電流を同時に最小限に抑えるのに寄与するのに役立ち得る速度依存故障アクションを含む。そのような実施形態では、故障アクションは、好適には、モータの速度が閾値速度vth未満であるとき、インバータ30A及び30Bの両方の3端子電力半導体デバイス42のすべてを開放することと、モータの速度が閾値速度vthよりも大きいとき、インバータ30A及び30Bの3端子電力半導体デバイス42の1つのバンク(すなわち、バンク40又はバンク44のいずれか)の3端子電力半導体デバイス42を短絡させることと、を含む。
【0076】
様々な実施形態では、曲線78及びグラフ80に基づく故障アクションは、逆EMF及びバッテリ14の電圧を使用して実施され得る(報告されたモータ速度に直接応答して故障アクションをとることとは対照的である)。例えば、様々な実施形態では、モータ逆EMFが計算され、バッテリの電圧と比較される。そのような実施形態では、逆EMFがバッテリ電圧よりも低いとき(所望されるように選択された設計安全マージンによって)、次いで速度依存故障アクションは、インバータ30A及び30Bの両方の3端子電力半導体デバイス42のすべてを開放することを含む。逆EMFがバッテリ電圧の所定のパーセンテージを超えるとき、次いで速度依存故障アクションは、インバータ30A及び30Bの3端子電力半導体デバイス42の1つのバンク(すなわち、バンク40又はバンク44のいずれか)の3端子電力半導体デバイス42を短絡させることを含む。所望される場合、ある量のヒステリシスを使用することで、異なる故障アクション間で前後に「チャタリングすること」を防止することができる。
【0077】
図5Aに示されるように、プロセッサ64Aは、電力インバータ30Aと関連付けられ、プロセッサ64Bは、電力インバータ30Bと関連付けられている。メモリ65A(すなわち、コンピュータ可読媒体)及びメモリ65B(同じく、コンピュータ可読媒体)は各々、電力インバータ30A又は電力インバータ30Bに関連付けられた故障に応答して駆動ユニット20に動作可能に結合された各車輪16又は18に均等化されたトルクを適用するために、それぞれ、その関連付けられたプロセッサ64A及び64Bに、同じ故障アクションを電力インバータ30A及び電力インバータ30Bに適用させるように構成されたコンピュータ実行可能命令を記憶するように構成されている。
【0078】
また図5Aに示されるように、様々な実施形態では、車両速度などのパラメータ、上述のような故障、などを示す信号が、データリンク74を介してコントローラ32に供給され、プロセッサ64A及び64Bに提供される。そのような実施形態では、コンピュータ実行可能命令は、その関連付けられたプロセッサ64A又は64Bに故障を監視させるように更に構成される。
【0079】
所望されるように、構成要素に給電するために、低電圧DC電力(12Vなど)がコントローラ32に提供される。次に、コントローラ32は、ゲート駆動回路46A及び46Bに12V DC電力を提供する。
【0080】
図5Aに示すように、プロセッサ64Aは、バンク40(「上部バンク」と称されることもある)のゲート48用の駆動部46A1に制御信号86を、及びバンク44(「下部バンク」と称されることもある)のゲート48用の駆動部46A2に制御信号88を、提供するように動作可能に結合されている。同様に、プロセッサ64Bは、バンク40(「上部バンク」と称されることもある)のゲート48用の駆動部46B1に制御信号90を、及びバンク44(「下部バンク」と称されることもある)のゲート48用の駆動部46B2に制御信号92を、提供するように動作可能に結合されている。様々な実施形態では、駆動部46A1、46A2、46B1、及び46B2は、低電力制御信号86、88、90、及び92を増幅し、次にそれらの関連付けられたゲート端子48に提供される、高電力、故障アクション信号86’、88’、90’、及び92’を生成する好適な電力増幅器である。
【0081】
図5Cに示されるように、様々な実施形態では、制御信号86、88、90、及び92をそれらのそれぞれの駆動部46A1、46A2、46B1、及び46B2に提供するのに追加の回路が必要となる。各プロセッサ64A及び64Bは、上で考察されるように故障指示信号を受信するように動作可能に結合されており、プロセッサ64A及び64Bは、通信リンク82を介して互いに動作可能に結合されている。プロセッサ64Aは、制御信号86及び88を、それぞれ、バッファ94及び96に提供するように動作可能に結合されており、プロセッサ64Bは、制御信号90及び92を、それぞれ、バッファ98及び100に提供するように動作可能に結合されている。バッファ94、96、98、及び100は、限定するものではないが、オクタールバッファなどの任意の好適なバッファである。
【0082】
バッファ94は、駆動部46A1に動作可能に結合されており、バッファ96は、駆動部46A2に動作可能に結合されており、バッファ98は、駆動部46B1に動作可能に結合されており、バッファ100は、駆動部46B2に動作可能に結合されている。関連付けられたインバータ30A又は30Bに対する監視された故障指示信号がプロセッサ64A又はプロセッサ64Bのいずれかによって受信されるとき、監視された故障指示信号を受信するプロセッサは、通信リンク82を介して監視された故障の存在を伝達する。故障アクションは以下のように行われる。
【0083】
プロセッサ64Aが故障指示信号を受信すると、プロセッサ64Aは、通信リンク82を介して、プロセッサ64Aによって監視された故障が検出されたこと、故障アクションがプロセッサ64Bによってとられるべきこと、及び(以下で考察されるように)どの故障アクションがプロセッサ64Bよってとられるべきか、をプロセッサ64Bに伝達する。逆に、プロセッサ64Bが故障指示信号を受信すると、プロセッサ64Bは、通信リンク82を介して、プロセッサ64Bによって監視された故障が検出されたこと、故障アクションがプロセッサ64Aによってとられるべきこと、及び(以下で考察されるように)どの故障アクションがプロセッサ64Aよってとられるべきか、をプロセッサ64Aに伝達する。様々な実施形態では、故障指示信号を受信するプロセッサはまた、故障アクションを実行する(他のプロセッサも同じくアクションをとることを要求する)ことも理解されるであろう。
【0084】
モータの速度が、閾値速度vth未満であり(又は逆EMFが、少なくとも設計安全マージンだけバッテリ14の電圧よりも低く)、故障が検出されたとき、プロセッサ64A及び64Bは、インバータ30A及び30Bのすべてのゲート端子48をターンオフするように構成された制御信号86、88、90、及び92を生成し、結果として、インバータ30A及び30Bの3端子電力半導体デバイス42のすべてを開放させる。制御信号86、88、90、及び92は、それぞれ、バッファ94、96、98、及び100に提供され、次に、駆動部46A1、46A2、46B1、及び46B2に提供され、これは、故障アクション信号86’、88’、90’、及び92’をインバータ30A及び30Bのすべてのゲート端子48に提供する。図5Dに示されるように、インバータ30A及び30Bのバンク40及び44内の3端子電力半導体デバイス42のすべてが開放させられる。
【0085】
モータの速度が、閾値速度vthよりも大きく(又は逆EMFが、バッテリ電圧の所定のパーセンテージを超え)、故障が検出されたとき、プロセッサ64A及び64Bは、インバータ30A及び30Bのバンク40又は44のうちの1つにおける3端子電力半導体デバイス42のゲート端子48をターンオフし、インバータ30A及び30Bのバンク44又は40のうちの他方における3端子電力半導体デバイス42のゲート端子48をターンオンするように構成された制御信号86、88、90、及び92を生成する。その結果、インバータ30A及び30Bの両方のバンク40又は44のうちの1つの3端子電力半導体デバイス42が開放させられ、インバータ30A及び30Bの両方のバンク44又は40のうちの他方の3端子電力半導体デバイス42が短絡させられる。
【0086】
インバータ30A及び30Bの両方のバンク40又は44のいずれかの3端子電力半導体デバイス42は、所望されるように、開放又は短絡させられ得ることが理解されよう。故障を有する3端子電力半導体デバイス42は、(故障しているため)開放又は短絡させられないことも理解されよう。いくつかの実施形態では、かつ図5Eに示されるように、インバータ30A及び30Bの両方のバンク40の3端子電力半導体デバイス42は開放させられ、インバータ30A及び30Bの両方のバンク44の3端子電力半導体デバイス42は短絡させられる。そのような実施形態では、プロセッサ64A及び64Bは、インバータ30A及び30Bのバンク40内のすべてのゲート端子48をターンオフするように構成された制御信号86及び90を生成し、結果として、インバータ30A及び30Bのバンク40内の3端子電力半導体デバイス42のすべてを開放させる。プロセッサ64A及び64Bはまた、インバータ30A及び30Bのバンク44内のすべてのゲート端子48をターンオンするように構成された制御信号88及び92を生成し、結果として、インバータ30A及び30Bのバンク44内の3端子電力半導体デバイス42のすべてを短絡させる。制御信号86、88、90、及び92は、それぞれ、バッファ94、96、98、及び100に提供され、次に、駆動部46A1、46A2、46B1、及び46B2に提供され、これは、故障アクション信号86’、88’、90’、及び92’をインバータ30A及び30Bのすべてのゲート端子48に提供する。
【0087】
いくつかの他の実施形態では、かつ図5Fに示されるように、インバータ30A及び30Bの両方のバンク44の3端子電力半導体デバイス42は開放させられ、インバータ30A及び30Bの両方のバンク40の3端子電力半導体デバイス42は短絡させられる。そのような実施形態では、プロセッサ64A及び64Bは、インバータ30A及び30Bのバンク44内のすべてのゲート端子48をターンオフするように構成された制御信号86及び90を生成し、結果として、インバータ30A及び30Bのバンク44内の3端子電力半導体デバイス42のすべてを開放させる。プロセッサ64A及び64Bはまた、インバータ30A及び30Bのバンク40内のすべてのゲート端子48をターンオンするように構成された制御信号88及び92を生成し、結果として、インバータ30A及び30Bのバンク40内の3端子電力半導体デバイス42のすべてを短絡させる。制御信号86、88、90、及び92は、それぞれ、バッファ94、96、98、及び100に提供され、次に、駆動部46A1、46A2、46B1、及び46B2に提供され、これは、故障アクション信号86’、88’、90’、及び92’をインバータ30A及び30Bのすべてのゲート端子48に提供する。
【0088】
様々な実施形態では、かつまた図5A及び図5Cに示されるように、インバータ30A及び30Bについて関連付けられた様々な故障は、それぞれ、インバータ30A及び30Bに対するプロセッサ64A及び64Bによって監視されず、そのような故障は、プロセッサ64A及び/又は64Bの一方又は両方、若しくはプロセッサ64A及び64Bに関連付けられた回路(以下で考察される)の故障であるためである。そのような故障の場合、様々な実施形態では、インバータ30A及び30Bの両方のバンク40又は44のうちの1つの3端子電力半導体デバイス42(図3A)を短絡させることによって、両方のインバータ30A及び30Bの3端子電力半導体デバイス42(図3A)に同じ故障応答が適用される。プロセッサ64A及び64Bの機能は、そのような故障条件において検証可能ではないため、プロセッサ64A及び64Bは、モータの速度(又は逆EMF若しくはバッテリ14電圧)に関する情報を受信及び処理することができることを検証可能ではない。結果として、デフォルトの故障アクションが、そのような場合に必要とされる。様々な実施形態では、そのデフォルトアクションは、両方のインバータ30A及び30Bのバンク44又は40のうちの1つにおける3端子電力半導体デバイス42の3相短絡である。
【0089】
様々な実施形態では、かつ図5A及び5Cに示されるように、コントローラ32は、それぞれ、データリンク104及び106を介してプロセッサ64A及び64Bの健全性を監視するように構成された健全性監視回路102を含む。いくつかのそのような実施形態では、健全性監視回路102は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「field programmable gate array、FPGA」)を含む。そのような実施形態では、健全性監視回路102は、安全ハンドシェーキングチェックなどの安全チェックを実行し、プロセッサ64A及び/又は64Bが適切に機能している(又は全く機能している)かどうかを監視するようにプログラムされ得る。いくつかのそのような実施形態では、健全性監視回路102は、プロセッサ64A及び64Bのそのような監視を実行するために、ローリングカウンタを実装するようにプログラムされ得る。いくつかのそのような実施形態では、プロセッサ64A及び64Bはまた、健全性監視回路102が機能しているかどうかを監視する。したがって、健全性監視回路102の故障は、プロセッサ64A及び64Bと関連付けられた回路における故障であるとみなされる。
【0090】
様々な実施形態では、かつまた図5A及び図5Cに示されるように、コントローラ32は、3相短絡回路108を含む。そのような実施形態では、3相短絡回路108は、プロセッサ64A及び64Bによって監視されない故障に対して故障アクション信号(以下で考察される)を生成するように構成されており、故障は、プロセッサ64A及び/又は64B及び/若しくは健全性監視回路102内の故障を含み得るためである。3相短絡回路108によって生成される故障アクション信号は、両方のインバータ30A及び30Bのバンク40又は44のうちの1つの3端子電力半導体デバイス42(図3A)を短絡させることによって、両方のインバータ30A及び30Bの3端子電力半導体デバイス42(図3A)に、同じ故障応答を適用させる。
【0091】
様々な実施形態では、3相短絡回路108は、プロセッサ64A及び64Bの外部にあり、64Aプロセッサ又はプロセッサ64Bによって監視されない故障に応答して、駆動ユニット20に動作可能に結合された各車輪16又は18に均等化されたトルクを適用するために、電力インバータ30A及び電力インバータ30Bに同じ故障アクションを適用するように構成されている。図5A及び図5Cに示されるように、3相短絡回路108は、健全性監視回路102から制御信号110、プロセッサ64Aからの制御信号112、及びプロセッサ64Bからの制御信号114を受信するように結合されている。健全性監視回路102は、プロセッサ64A内の故障を示すプロセッサ故障指示信号を、データリンク104を介してプロセッサ64Aから受信するか、又は、プロセッサ64B内の故障を示すプロセッサ故障指示信号を、データリンク106を介してプロセッサ64Bからの受信することに応答して、制御信号110を生成するように構成されている。プロセッサ64A及び64Bは、それぞれ、データリンク104及び106を介して、健全性監視回路102の故障(限定されないが、ローリングカウンタの故障など)を検出することに応答して、それぞれ、制御信号112及び114を生成するように構成されている。
【0092】
様々な実施形態にでは、及び図5Cに示されるように、3相短絡回路108は、電圧レギュレータ116、バッファ118、及びバッファ120を含む。いくつかのそのような実施形態では、電圧レギュレータ116は、12V DCから5V DCに変換するように構成された電圧レギュレータを含む。そのような実施形態では、制御信号110、112、及び114は、好適には12V DC信号である。12V DC制御信号110、112、又は114のいずれかの適用に応答して、電圧レギュレータ116は、5V DC制御信号122を出力する。制御信号122は、バッファ118及び120に入力される。バッファ118は、電力インバータ30Aのバンク44に対して、制御信号122を駆動部46A2に提供するように結合されている。駆動部46A2は、電力インバータ30Aのバンク44のゲート端子48への故障アクション信号88’を生成及び提供し、それにより、電力インバータ30Aのバンク44の3端子電力半導体デバイス42を短絡させる。バッファ120は、電力インバータ30Bのバンク44に対して、制御信号122を駆動部46B2に提供するように結合されている。駆動部46B2は、電力インバータ30Bのバンク44のゲート端子48への故障アクション信号92’を生成及び提供し、それにより、電力インバータ30Bのバンク44の3端子電力半導体デバイス42を短絡させる。
【0093】
インバータ30A及び30Bのバンク44の3端子電力半導体デバイス42を短絡させることは、限定ではなく例示としてのみ与えられていることが理解されよう。いくつかの実施形態では、インバータ30A及び30Bのバンク40の3端子電力半導体デバイス42は短絡される(並びに、インバータ30A及び30Bのバンク44の3端子電力半導体デバイス42は開放したままである)。
【0094】
加えて図5Gを参照すると、様々な実施形態での、第1の電力インバータ又は第2の電力インバータに関連付けられた故障に応答して、駆動ユニットに動作可能に結合された各車輪に均等化されたトルクを適用するために、第1の電力インバータ及び第2の電力インバータに同じ故障アクションを適用するための例示的な方法124が提供されている。
【0095】
方法124は、ブロック126において始まる。ブロック128において、電気車両の駆動ユニットの第1の電力インバータ又は第2の電力インバータに関連付けられた故障が検出される。ブロック130において、故障を検出することに応答して、駆動ユニットに動作可能に結合された各車輪に均等化されたトルクを適用するために、第1の電力インバータ及び第2の電力インバータに同じ故障アクションが適用される。方法124は、ブロック130において終了する。
【0096】
様々な実施形態では、第1の電力インバータのための第1のプロセッサ及び第2の電力インバータのための第2のプロセッサは、故障を監視し得る。
【0097】
様々な実施形態では、それに関連付けられた故障を有するインバータのためのプロセッサは、それに関連付けられた故障を有さないインバータのためのプロセッサに、故障アクションを伝達し得る。
【0098】
様々な実施形態では、故障アクションは、第1の電力インバータ及び第2の電力インバータ内の3端子電力半導体デバイスのすべてのバンクを、閾値速度未満のモータ速度で開放させるか、又は第1の電力インバータ及び第2の電力インバータ内の3端子電力半導体デバイスの1つのバンクを、閾値速度よりも大きいモータ速度で短絡させることを含み得る。
【0099】
様々な実施形態では、電気車両の駆動ユニットの第1の電力インバータ又は第2の電力インバータに関連付けられた故障は、第1の電力インバータのための第1のプロセッサ、又は第2の電力インバータのための第2のプロセッサ、若しくは第1のプロセッサ及び第2のプロセッサのための健全性監視回路における故障を含み得る。
【0100】
様々な実施形態では、駆動ユニットに動作可能に結合された各車輪に均等化されたトルクを適用するために第1の電力インバータ及び第2の電力インバータに同じ故障アクションを適用することは、第1のプロセッサ及び第2のプロセッサの外部の回路によって、駆動ユニットに動作可能に結合された各車輪に均等化されたトルクを適用するために、第1の電力インバータ及び第2の電力インバータに同じ故障アクションを適用することを含み得る。
【0101】
様々な実施形態では、故障アクションは、第1の電力インバータ及び第2の電力インバータ内の3端子電力半導体デバイスの1つのバンクを短絡させることを含み得る。
【0102】
上記にもかかわらず、場合によっては、あるモータの速度は、別のモータの速度とは異なり得ることが理解されよう。例えば、ターン中に、外側車輪は、内側車輪よりも速く回転している場合がある。同様に、車輪は、様々な車輪スリップ状況において、異なる速度で回転している場合がある。いくつかのそのような事例では、プロセッサ64Aは、その関連する電気モータ24Aに対して適切な速度依存故障アクションを選択し、プロセッサ64Bは、その関連する電気モータ24Bに対して適切な速度依存故障アクションを選択するため、駆動ユニット20の一方のモータに対する速度依存故障アクション(例えば、逆EMF及びバッテリ14の電圧に基づく)は、駆動ユニット20の他方のモータに対する速度依存故障アクションとは異なる場合がある。
【0103】
上で考察されるインバータ30A及び30Bに関連付けられた故障に加えて、コントローラ32への低電圧DC電力(12V DCなど、本明細書では12Vと称される)の損失は、同じ駆動ユニット20によって駆動される2つの車輪16又は18間のトルク不均衡を回避するのを助けるために、インバータ30A及び30Bの両方に同じ故障アクションが適用される結果となる。
【0104】
図5A及び図5Cに示されるように、プロセッサ64A及び64B、駆動部46A1、46A2、46B1、及び46B2、健全性監視回路102、及び3相短絡回路108はすべて、コントローラ32に供給される低電圧DC電力(12V)によって給電される構成要素を含むことが理解されよう。コントローラ32に供給される12Vの損失は、プロセッサ64A及び64B、駆動部46A1、46A2、46B1、及び46B2、健全性監視回路102、及び3相短絡回路108が、上で考察されるようにインバータ30A及び30Bの両方に同じ故障アクションを適用するために利用可能ではないことを意味することが理解されよう。
【0105】
したがって、様々な実施形態では、かつ以下で考察されるように、コントローラ32に供給される12Vの損失が生じる場合、インバータ30A及び30Bの両方に同じ故障アクションを適用する能力が提供される。
【0106】
図5A及び図5Cに示されるように、かつ加えて図6A図6Bを参照すると、様々な実施形態では、かつ概要として、検出回路140が、コントローラ32に供給される低電圧DC電力(12V)の損失を検出するように構成されている。バックアップ電源回路84Aは、電力インバータ30Aと関連付けられており、バックアップ電源回路84Bは、電力インバータ30Bと関連付けられている。各バックアップ電源回路84A及び84Bは、コントローラ32に供給される低電圧DC電力の損失の検出に応答して、450V DCなどの高電圧DC電力を低電圧DC電力に変換するように構成されている(例えば、ステップダウンDC-DCコンバータなど)。3相短絡回路108は、コントローラ32に供給される低電圧DC電力の損失の検出に応答して、駆動ユニット20に動作可能に結合された各車輪16又は18に均等化されたトルクを適用するために、電力インバータ30A及び電力インバータ30Bに同じ故障アクションを適用するように構成されている。
【0107】
図5A図5C、及び図6Aに示されるように、様々な実施形態にいて、検出回路140は、オプトカプラ141を使用して、コントローラ32に供給される低電圧DC電力(12V)の損失を検出する。低電圧DC電力(12Vなど)が、抵抗器Rに直列に電気的に接続されている抵抗器Rに供給される。抵抗器R及びRは、分圧器として機能する。好適な電圧(限定されないが、5Vなど)の制御信号143が、抵抗器R及びR間のノード145からオプトカプラ141の発光ダイオード(light-emitting diode、LED)145に供給される。通電されると、LED145は、電気入力を光に変換し、光(可視光又は赤外線(infrared、IR)光のいずれか)を放出する。フォトトランジスタ147は、LED145によって放出された光を検出し、ターンオンする。様々な実施形態では、フォトトランジスタ149は、プルダウントランジスタである。フォトトランジスタ149は、バックアップ電源回路84A及び84Bにイネーブル信号151を提供するように結合されている。
【0108】
通常動作中、制御信号143はLED147に供給され、LED147は光を放出する。フォトトランジスタ149は、光を検出し、ターンオンする。フォトトランジスタ149はプルダウントランジスタであるため、フォトトランジスタ149がオンであるとき、イネーブル信号151は低(low)である。イネーブル信号151が低であるとき、イネーブル信号151は、バックアップ電源回路84A及び84B(ステップダウンDC-DCコンバータなど)をプルダウンし、その結果、バックアップ電源回路84A及び84Bはターンオフされ、3相短絡を適用することが防止される。
【0109】
低電圧DC電力(12V)の損失が生じる場合、信号143はなくなり、LED147は発光を停止する。その結果、フォトトランジスタ149はターンオフし、イネーブル信号151は高(high)となる。イネーブル信号151が高であるとき、バックアップ電源回路84A及び84Bはターンオンし、以下に説明するように3相短絡を適用する。例えば、イネーブル信号151は、バックアップ電源回路84A及び84Bの各々のステップダウンDC-DCコンバータをターンオンして、高電圧DC電力を低電圧DC電力(12V)に変換し得る。
【0110】
様々な実施形態では、ゲート駆動回路46A及びゲート駆動回路46Bは、それぞれ、バックアップ電源回路84A及び84Bを含む。高電圧DC電力(450Vなど)は、バックアップ電源回路84A及び84Bの各々に提供される。各バックアップ電源回路84A及び84Bは、450V DC電力を、12V DC電力などの低電圧DC電力に変換するように構成されている。したがって、バックアップ電源回路84A及び84Bは、好適には、ステップダウンDC-DCコンバータ(上で考察されるような)、所望される場合、分圧器回路(以下で考察されるような)、など、を含む。
【0111】
図6Bに示すように、所望される場合、いくつかの実施形態では、各バックアップ電源回路84A及び84Bは、任意選択的に、コントローラ32から低電圧DC電力(12V)を受容するように動作可能に結合されたリレーコイル154を有する通常開放リレー152を含み得る。そのような実施形態では、通常開放リレー152はまた、通常開放接点156を含む。上で考察されるように、通常の動作中、低電圧DC電力12Vがリレーコイル154に提供され、リレーコイル154が通電され、それによって通常開放接点156を開放させる。低電圧DC電力(12V)の損失が生じる場合、リレーコイル154は通電が断たれ、それによって通常開放接点156を閉鎖させる。したがって、そのような実施形態では、検出回路140は、好適には、リレーコイル154を含み、コントローラ32からの低電圧DC電力(12V)は、制御信号であるとみなされ得る。
【0112】
そのような実施形態では、各バックアップ電源回路84A及び84Bは、好適には、高電圧DC電力を受容するように動作可能に結合された分圧器158を含む。分圧器158は、高電圧DC電力を低電圧DC電力に変換するように構成されており、低電圧DC電力を通常開放接点156に出力するように更に構成されている。そのような実施形態では、通常動作中(低電圧DC電力がリレーコイル154に提供され、通常開放接点156が開放しているとき)、バックアップ電源回路84A及び84Bは、12Vの電力を提供しない。逆に、低電圧DC電力(12V)の損失が生じる場合、(リレーコイル154の通電が断たれ、通常開放接点156が閉鎖されるとき)、バックアップ電源回路84A及び84Bは、12Vの電力を提供する。したがって、そのような実施形態では、各バックアップ電源回路84A及び84Bはまた、好適には、通常開放接点156を含む。
【0113】
上で考察されるように、様々な実施形態では、電力インバータ30A及び電力インバータ30Bは各々、3端子電力半導体デバイス42の2つのバンク40及び44を含む。以下で考察されるように、3相短絡回路108は、電力インバータ30A及び電力インバータ30B内の3端子電力半導体デバイス42の1つのバンク40又は44を、コントローラ32に供給される低電圧DC電力の損失の検出に応答して短絡させるように更に構成されている。
【0114】
図5A及び図5Cに示されるように、低電圧DC電力(12V)の損失がどのように検出され、低電圧DC電力(12V)がバックアップ電源回路84A及び84Bによってどのように生成されるかに関係なく、低電圧DC電力(12V)は、バックアップ電源回路84A及び84Bから電圧レギュレータ116に供給される。低電圧DC電力(12V)の適用に応答して、電圧レギュレータ116は、5V DC制御信号122を出力する。制御信号122は、バッファ118及び120に入力される。バッファ118は、電力インバータ30Aのバンク44に対して、制御信号122を駆動部46A2に提供するように結合されている。駆動部46A2は、電力インバータ30Aのバンク44のゲート端子48への故障アクション信号88’を生成及び提供し、それにより、電力インバータ30Aのバンク44の3端子電力半導体デバイス42を短絡させる。バッファ120は、電力インバータ30Bのバンク44に対して、制御信号122を駆動部46B2に提供するように結合されている。駆動部46B2は、電力インバータ30Bのバンク44のゲート端子48への故障アクション信号92’を生成及び提供し、それにより、電力インバータ30Bのバンク44の3端子電力半導体デバイス42を短絡させる。
【0115】
インバータ30A及び30Bのバンク44の3端子電力半導体デバイス42を短絡させることは、限定ではなく例示としてのみ与えられていることが理解されよう。いくつかの実施形態では、インバータ30A及び30Bのバンク40の3端子電力半導体デバイス42は短絡される(並びに、インバータ30A及び30Bのバンク44の3端子電力半導体デバイス42は開放したままである)。
【0116】
様々な実施形態では、及び図6Cに示されるように、両方のインバータのための共通コントローラに供給される12Vの損失が生じる場合に、電気車両の駆動ユニットの両方のインバータに同じ故障アクションを適用するための方法160が提供されている。
【0117】
方法160は、ブロック162において開始する。ブロック164において、電気車両用の駆動ユニットの第1の電力インバータのための第1のプロセッサ及び第2の電力インバータのための第2のプロセッサのためのコントローラに供給される低電圧直流電流(DC)電力の損失が検出される。ブロック166において、コントローラに供給される低電圧DC電力の損失の検出に応答して、高電圧DC電力が低電圧DC電力に変換される。ブロック168において、コントローラに供給される低電圧DC電力の損失の検出に応答して、駆動ユニットに動作可能に結合された各車輪に均等化されたトルクを適用するために、第1の電力インバータ及び第2の電力インバータに同じ故障アクションが適用される。方法160は、ブロック170において停止する。
【0118】
様々な実施形態では、制御信号は、コントローラに供給される低電圧DC電力の存在に応答して提供され得る。
【0119】
様々な実施形態では、コントローラに供給される低電圧DC電力の損失の検出に応答して、駆動ユニットに動作可能に結合された各車輪に均等化されたトルクを適用するために、第1の電力インバータ及び第2の電力インバータに同じ故障アクションを適用することは、制御信号の不在に応答して、駆動ユニットに動作可能に結合された各車輪に均等化されたトルクを適用するために、第1の電力インバータ及び第2の電力インバータに同じ故障アクションを適用することを含み得る。
【0120】
様々な実施形態では、故障アクションは、第1の電力インバータ及び第2の電力インバータ内の3端子電力半導体デバイスの1つのバンクを短絡させることを含み得る。
【0121】
当業者は、本明細書に記載のデバイス及び/又はプロセスの少なくとも一部分が、データ処理システムに統合され得ることを認識するであろう。当業者は、データ処理システムが、概して、システムユニットハウジング、ビデオディスプレイデバイス、揮発性又は不揮発性メモリなどのメモリ、マイクロプロセッサ若しくはデジタル信号プロセッサなどのプロセッサ、オペレーティングシステムなどの計算処理上エンティティ、ドライバ、グラフィカルユーザインターフェース、及びアプリケーションプログラムのうちの1つ以上、1つ以上の相互作用デバイス(例えば、タッチパッド、タッチスクリーン、アンテナなど)、並びに/又はフィードバックループ及び制御モータ(例えば、位置及び/若しくは速度を感知するためのフィードバック、構成要素及び/又は数量を移動及び/又は調整するための制御モータ)を含む制御システム、を含むことを認識するであろう。データ処理システムは、データコンピューティング/通信及び/又はネットワークコンピューティング/通信システムに典型的に見られるものなど、好適な市販の構成要素を利用して実装され得る。
【0122】
前述/以下の開示で使用されるモジュールという用語は、特定の様態で配置された1つ以上の構成要素の集合体、又は、1つ以上の特定の時点で特定の様態で動作するように構成され得る、及び/又は、また1つ以上の更なる時間に1つ以上の更なる様態で動作するように構成され得る1つ以上の汎用構成要素の集合体、を指し得る。例えば、同じハードウェア、又はハードウェアの同じ部分は、第1のタイプのモジュールとして(例えば、第1の時間に)、第2のタイプのモジュールとして(例えば、場合によっては第1の時間と一致するか、重複するか、若しくはそれに続き得る、第2の時間に)、及び/又は第3のタイプのモジュールとして(例えば、場合によっては、第1の時間及び/又は第2の時間と一致するか、重複するか、若しくはそれらに続き得る、第3の時間に)など、順次の/並列の時間で構成/再構成され得る。再構成可能及び/又は制御可能な構成要素(例えば、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイなど)は、第1の目的を有する第1のモジュール、次に第2の目的を有する第2のモジュール、並びに次に、第3の目的を有する第3のモジュールなどとして構成されることが可能である。再構成可能な及び/又は制御可能な構成要素の移行は、わずか数ナノ秒で起こり得るか、又は数分、数時間、若しくは数日の期間にわたって起こり得る。
【0123】
いくつかのそのような例では、構成要素が第2の目的を実行するように構成されている時点で、構成要素は、再構成されるまで、その第1の目的を実行することがもはや可能ではなくなり得る。構成要素は、わずか数ナノ秒で、異なるモジュールとして構成間で切り替わり得る。構成要素は、オンザフライで再構成することができ、例えば、第1のモジュールから第2のモジュールへの構成要素の再構成は、ちょうど第2のモジュールが必要とされるときに起こり得る。構成要素は、段階的に再構成することができ、例えば、もはや必要とされない第1のモジュールの一部は、第1のモジュールがその動作を終了する前であっても第2のモジュールに再構成することができる。そのような再構成は、自動的に起こる場合もあり、又は、外部ソースが別の構成要素、命令、信号、条件、外部刺激、又は同様のものであるかどうかにかかわらず、外部ソースによるプロンプトによって起こる場合もある。
【0124】
例えば、パーソナルコンピュータの中央処理ユニットは、様々な時点で、画面上にグラフィックを表示するためのモジュール、記憶媒体にデータを書き込むためのモジュール、ユーザ入力を受信するためのモジュール、及びその命令に従ってその論理ゲートを構成することによって、2つの大きな主要数を乗算するためのモジュールとして動作し得る。そのような再構成は、肉眼では見えない場合があり、いくつかの実施形態では、構成要素の様々な部分、例えば、スイッチ、論理ゲート、入力、及び/又は出力のアクティブ化、非アクティブ化、及び/又は再ルーティングを含み得る。したがって、前述/以下の開示に見られる実施例では、実施例が複数のモジュールを含むか又は列挙する場合、その実施例は、同じハードウェアが、同時に、又は離散的な時間又はタイミングで、列挙されたモジュールのうちの1つを超えるものを実装し得る可能性を含む。複数のモジュールの実装は、より多くの構成要素、より少ない構成要素、又はモジュールの数と同じ数の構成要素を使用するかにかかわらず、単に実装の選択であり、概して、モジュール自体の動作に影響を及ぼさない。したがって、本開示における複数の別個のモジュールの任意の列挙は、複数のモジュールの機能を実行するために時間の経過とともにそれ自体を再構成する単一の構成要素、及び/又は同様に再構成する複数の構成要素、及び/又は特別な目的の再構成可能な構成要素を含むがこれらに限定されない、任意の数の基礎となる構成要素として、それらのモジュールの実装を含むことを理解されたい。
【0125】
場合によっては、1つ以上の構成要素は、本明細書では、「構成された(configured to)」、「構成された(configured by)」、「構成可能な(configurable to)」、「動作可能な/動作する」、「適合された/適合可能な」、「可能な」、「準拠可能な/準拠する」などと称される場合がある。当業者は、そのような用語(例えば「構成された(configured to)」)は、文脈上別段の必要がない限り、概して、アクティブ状態の構成要素及び/又は非アクティブ状態の構成要素及び/若しくはスタンバイ状態の構成要素を包含することを認識するであろう。
【0126】
本明細書に記載の本主題の特定の態様が示され説明されてきたが、本明細書の教示に基づいて、本明細書に記載の主題及びそのより広い態様から逸脱することなく変更及び修正を行うことができ、したがって、添付の特許請求の範囲は、本明細書に記載の主題の真の趣旨及び範囲内にあるようなすべてのそのような変更及び修正をそれらの範囲内に包含するものであることが当業者には明らかであろう。一般に、本明細書で使用される用語、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して「オープン」な用語として意図されている(例えば、「含む(including)」という用語は、「含むがそれに限定されない」として解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は、「少なくとも有する」として解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は、「含むが、それに限定されない」として解釈されるべきである、など)ことが、当業者によって理解されるであろう。特定の数の導入された請求項の列挙が意図されている場合、そのような意図は請求項に明示的に列挙され、そのような列挙がない場合、そのような意図は存在しないことが、当業者によって更に理解されるであろう。例えば、理解の助けとして、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項の列挙を導入するために「少なくとも1つ」及び「1つ以上」という導入句の使用を含み得る。しかしながら、そのような句の使用は、不定冠詞「a」又は「an」による請求項の列挙の導入が、そのような導入された請求項の列挙を含む特定の請求項を、そのような列挙を1つだけ含む請求項に限定することを意味すると解釈されるべきではなく、同じ請求項が、「1つ以上」又は「少なくとも1つ」という導入句と、「a」又は「an」などの不定冠詞と、を含む場合でもそうであり(例えば、「a」及び/又は「an」は、典型的には「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである)、同じことが、請求項の列挙を導入するために使用される定冠詞の使用にも当てはまる。加えて、特定の数の導入された請求項の列挙が明示的に列挙されている場合であっても、当業者は、そのような列挙が、典型的には、少なくとも列挙された数を意味すると解釈されるべきであることを認識するであろう(例えば、他の修飾子なしで、「2つの列挙」の裸の列挙は、典型的には、少なくとも2つの列挙、又は2つ以上の列挙を意味する)。更に、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つなど」に類似する通念が使用される場合、一般に、そのような構成物は、当業者がその通念を理解するという意味で意図されている(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独、B単独、C単独、A及びBを一緒に、A及びCを一緒に、B及びCを一緒に、及び/又はA、B、及びCを一緒に、などを有するシステムを含むが、これらに限定されない)。典型的には、本明細書、特許請求の範囲、又は図面にあるかにかかわらず、2つ以上の代替用語を提示する選言的語及び/又は句は、文脈指示がない限り、用語、いずれかの用語、又は両方の用語のうちの1つを含む可能性を企図することが理解されるべきであることは、当業者によって更に理解されるであろう。例えば、「A又はB」という句は、典型的には、「A」又は「B」若しくは「A及びB」の可能性を含むと理解されるであろう。
【0127】
前述の詳細な説明は、ブロック図、フロー図、及び/又は実施例の使用を介してデバイス及び/又はプロセスの様々な実施形態を記載している。そのようなブロック図、フロー図、及び/又は実施例が、1つ以上の機能及び/又は動作を含有する限り、そのようなブロック図、フロー図、又は実施例内の各機能及び/又は動作が、米国特許法第101条の下での特許可能な主題に限定して、個別に及び/又は集合的に、広範囲のハードウェア、ソフトウェア(例えば、ハードウェア仕様として機能する高レベルのコンピュータプログラム)、ファームウェア、又は実質的にそれらの任意の組み合わせによって実施され得ることが当業者によって理解されるであろう。一実施形態では、本明細書に記載の主題のいくつかの部分は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、又は他の統合フォーマットを介して実装され得る。しかしながら、当業者は、本明細書に開示される実施形態のいくつかの態様が、米国特許法第101条の下での特許可能な主題に限定して、全体的又は部分的に、1つ以上のコンピュータ上で実行される1つ以上のプログラムとして(例えば、1つ以上のコンピュータシステム上で実行される1つ以上のプログラムとして)、1つ以上のプロセッサ上で実行される1つ以上のプログラムとして(例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ上で実行される1つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、又は実質的にそれらの任意の組み合わせとして、集積回路に同等に実装され得ること、及び、回路を設計すること、及び/又は、ソフトウェア(例えば、ハードウェア仕様として機能する高レベルのコンピュータプログラム)及び又はファームウェアのためのコードを記述することは、この開示に照らして、当業者のスキルの十分に範囲内であろうこと、を認識するであろう。加えて、当業者は、本明細書に記載の主題のメカニズムが、様々な形態のプログラム製品として配布されることが可能であること、及び、本明細書に記載の主題の例示的な実施形態が、実際に配布を実行するために使用される特定のタイプの信号担持媒体に関係なく適用されることを理解するであろう。信号担持媒体の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(Compact Disc、CD)、デジタルビデオディスク(Digital Video Disk、DVD)、デジタルテープ、コンピュータメモリなどといった記録可能型媒体、デジタル及び/又はアナログ通信媒体(例えば、光ファイバケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンク(例えば、送信機、受信機、伝送論理、受信論理など)など)などの伝送型媒体。
【0128】
添付の特許請求の範囲に関して、当業者は、その中に列挙された動作が、概して任意の順序で実行され得ることを理解するであろう。また、様々な動作フローが、シーケンスで提示されているが、様々な動作は、例示されているもの以外の順序で実行され得るか、又は同時に実行され得ることを理解されたい。そのような代替の順序付けの例としては、文脈で別段の指示がない限り、重複、インターリーブ、中断、並べ替え、増分、準備、補足、同時、逆、又は他の変形順序付けを挙げることができる。更に、「に応答する」、「に関連する」、又は他の過去時制の形容詞のような用語は、文脈で別段の指示がない限り、概して、そのような変形を除外することを意図しない。
【0129】
開示された主題は、例示的な実施形態に関して説明されてきたが、特許請求の範囲に記載されている特許請求される主題の範囲から逸脱することなく、様々な修正を行うことができることが、当業者によって理解されるであろう。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6A
図6B
図6C