(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】タバコ蒸気システム用の生分解性カートリッジの製造方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20241202BHJP
【FI】
A24F40/42
(21)【出願番号】P 2022520129
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(86)【国際出願番号】 EP2020083722
(87)【国際公開番号】W WO2021105421
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2023-08-31
(32)【優先日】2019-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー, セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ダナー, ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ヨハエンゲス, トーマス
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/061606(WO,A1)
【文献】特開2019-126290(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0082735(US,A1)
【文献】特開平09-173042(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02026842(GB,A)
【文献】国際公開第2019/053598(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0024834(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タバコ蒸気システム用の生分解性のカートリッジ(100)を製造する方法であって、生分解性の前記カートリッジ(100)は、内部の空洞を規定する円筒形状を有し、前記方法は、
・前記カートリッジの前記空洞を規定する円筒形状の第1の要素(10)を提供するステップと、
・前記第1の要素(10)の第1の端部に第2の要素(20a、20b)を提供し、それによって、前記カートリッジ(100)の前記空洞の第1の端部を閉じるステップと、
・前記第1の要素(
10)の第2の端部に別の第2の要素(20a、20b)を提供し、それによって、カートリッジ(100)の前記空洞の前記第2の端部を閉じるステップであって、2つの前記第2の要素は同一である、閉じるステップと、
・前記カートリッジの第1の端部での前記カートリッジの外周が、前記カートリッジ(100)の第2の端部での外周よりも大きくなるように、前記第1又は前記第2の要素(20a、20b)のうちの1つのまわりに第3の要素(30)を提供するステップと、を含み、
前記第1の要素(10)、前記第2の要素(20a、20b)、及び前記第3の要素(30)は、生分解性材料から作製され、
前記カートリッジ(100)は、空気流が、細長い円筒形状の前記カートリッジ(100)の前記第1の端部から前記第2の端部へ及び/又はその逆へ流れることができる態様で設計されている、方法。
【請求項2】
前記カートリッジ(100)の前記空洞を、1種又は複数種の充填材料、好ましくはタバコ含有粒で充填するさらなるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記充填材料の前記充填は、前記カートリッジ(100)の前記空洞の前記第1の端部に前記第2の要素(20a、20b)が設けられた後で行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第3の要素(30)は、細長い前記カートリッジ(100)の前記第2の端部に巻回すべきシートの形式で提供され、巻かれている部分は、好ましくは約1mm~約10mm、より好ましくは約2mm~5mmの追加的な厚みを有する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第3の要素(30)は、細長い前記カートリッジ(100)の前記第2の端部を包み込むべきキャップの形式で提供される、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の要素(20b)は、前記第1の要素(10)の前記第2の端部の前記空洞に配置される前に、前記第3の要素(30)に提供され、前記第3の要素(30)は、細長い前記カートリッジ(100)の前記第2の端部を包み込むべきキャップの形式で提供される、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
細長い前記カートリッジの前記第2の端部に提供される前記キャップは、細長い円筒形の前記カートリッジ(100)の外周よりも大きい外周を有する、請求項5又は請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記キャップの外周は、細長い円筒形の前記カートリッジ(100)の前記第1の端部の外周よりも約5%~40%、好ましくは約10%~30%、大きい、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
封止ステップ及び/又は接合ステップをさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の要素は、長手方向軸のまわりで、カード又は紙などのシート材料をロールすることによって形成される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の要素(10)と前記第2の要素(20a、20b)のうちの1つとが、ラッパー、好ましくは紙製のラッパーで終端同士を隣接させて互いに取り付けられる、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
タバコ蒸気システム用の生分解性のカートリッジ(100)であって、前記カートリッジ(100)は、壁、第1の端部、及び第2の端部を含む、空洞を有する概ね細長い円筒形状を有し、前記壁は第1の要素(10)から作製され、2つの同一の第2の要素(20a、20b)がそれぞれ、細長い前記カートリッジ(100)のそれぞれの前記端部に設けられ、前記第2の端部の外周が細長い前記カートリッジ(100)の前記第1の端部の外周よりも大きくなるように、細長い前記カートリッジ(100)の前記第2の端部に第3の要素(30)が設けられ、前記第1の要素(10)、前記第2の要素(20a、20b)、及び前記第3の要素(30)は、生分解性材料から作製され、前記カートリッジ(100)は、空気流が、細長い円筒形状の前記カートリッジ(100)の前記第1の端部から前記第2の端部へ及び/又はその逆へ流れることができる態様で設計されている、生分解性のカートリッジ(100)。
【請求項13】
前記生分解性材料は、紙、綿、天然繊維、及び/又は再生処理された生体材料である、請求項
12に記載の生分解性のカートリッジ(100)。
【請求項14】
前記第3の要素(30)が細長い前記カートリッジ(100)の前記第2の端部に提供された後、前記第2の端部の外周は細長い円筒形の前記カートリッジ(100)の前記第1の端部の外周よりも約5%~40%、好ましくは約10%~30%大きい、請求項12
又は13に記載の生分解性のカートリッジ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タバコの分野に関し、特にタバコ蒸気に関する。より具体的には、本発明は、タバコ蒸気送達電子装置用の生分解性カートリッジを製造するための方法、及びそれに応じて得られる生分解性カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、市場には様々な種類の蒸気吸入装置及び喫煙装置が存在する。近年、電子タバコ及びタバコ蒸気生成装置などの蒸気吸入装置が最も一般的であり、その中でも非燃焼加熱式(HNB:heat-not-burn)システムが最も一般的であり、多くの牽引力があり、その市場シェアは著しく増加している。
【0003】
電子タバコ、又はeタバコは、ベープ、e水ギセル、ベープペン、タンクシステム、モッズ、及び電子ニコチン送達システム(ENDS)とも呼ばれる。電子タバコは、HNBとは対照的に、液体などの物質を加熱してユーザが吸入するエアロゾルを生成することにより動作し、タバコ含有基質が、直接的に若しくは間接的に加熱されるか、又は、生成された中間的なエアロゾルに浸出されて吸入可能なエアロゾルが生成される。
【0004】
この成長中の市場は、必然的に、不適切に処分される何百万もの装置をもたらす。まして、蒸気吸入材料を収容するために使用されるカプセル及び容器などの、付随する使い捨て可能で1回限りの使用のゴミは、大規模なリサイクル災害を引き起こす可能性がある。
【0005】
従って、消費されるエアロゾル生成製品の品質及び特徴を維持しながら、消耗品又は使い捨て可能な1回限りの使用の製品が環境に与える影響を小さくする、別の選択肢を消費者に提供することが有利である。また、ユーザが、ユーザ自身が選択した喫煙物質を提供されるように、より高い自由度を可能にすることも有利である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発明者らは、上で議論した諸問題に対する、特許請求の範囲で定義される通りの本発明を通じた解決策を見出した。
【0007】
本発明の第1の態様は、タバコ蒸気システム用の内部の空洞を規定する円筒形を有する生分解性のカートリッジを製造する方法に関し、この方法は、
-カートリッジの前記空洞を規定する円筒形状の第1の要素を提供するステップと、
-第1の要素の第1の端部に第2の要素を提供し、それによって、カートリッジの空洞の第1の端部を閉じるステップと、
-第1の要素の第2の端部に別の第2の要素を提供し、それによって、カートリッジの空洞の第2の端部を閉じ、ここで、2つの第2の要素は同一であるステップと、
-カートリッジの第1の端部でのカートリッジの外周又は円周が、カートリッジの第2の端部での外周又は円周よりも大きくなるように、第1及び第2の要素のうちの1つのまわりに第3の要素を提供するステップと、を含み、
第1の要素、第2の要素、及び第3の要素は、生分解性材料から作製され、
上記カートリッジは、空気流が、細長い円筒形状のカートリッジの第1の端部から第2の端部へ及び/又はその逆へ流れることができる態様で設計されている。
【0008】
本発明の第2の態様は、本発明に従って得られる生分解性のカートリッジに関する。
【0009】
本発明の第3の態様は、タバコ蒸気システム用の生分解性のカートリッジに関し、このカートリッジは、壁、第1の端部、及び第2の端部を含む、空洞を有する概ね細長い円筒形状を有し、壁は第1の要素から作製され、2つの同一の第2の要素がそれぞれ、細長いカートリッジのそれぞれの端部に設けられ、第2の端部の外周が細長い上記カートリッジの第1の端部の外周よりも大きくなるように、細長い上記カートリッジの第2の端部に第3の要素が設けられ、第1の要素、第2の要素、及び第3の要素は生分解性材料から作製され、上記カートリッジは、空気流が、細長い円筒形状の上記カートリッジの第1の端部から第2の端部へ及び/又はその逆へ流れることができる態様で設計されている。
【0010】
本発明の発明者らは、タバコ蒸気システム用のカートリッジを製造する方法により、カートリッジを、全ての材料が生分解性材料で作製される、より環境保護的で環境に優しい態様で製造することが可能になることを発見した。さらに、この製造方法により、容易で明快な製造プロセスが可能になる。それにより、製造コストの低下を達成することができる。
【0011】
また、ここでで開示される生分解性のカートリッジ及びその製造方法により、ユーザがタバコ蒸気用のカートリッジを「オーダーメード」することが可能になることもここで開示されており、蒸気用の原材料を、ユーザの好み及び嗜好に従って選択し混合することができる。
【0012】
そのうえ、各カートリッジを異なる態様で、即ちよりきつく又は緩く電子蒸気装置に取り付けることができるようにして、或いは、より強い蒸気又はよりマイルドな蒸気(蒸気がより多くの空気と混合されるので)を生成できるように、ユーザの好みに従って、より多くの風路又は異なる間隙率を有する1つ又は複数の要素を各カートリッジが提供できるようにして、生分解性のカートリッジ自体も「オーダーメード」することができる。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、上記方法は、カートリッジの空洞を1種又は複数種の充填材料、好ましくはタバコ含有粒、液体、タバコ発泡体、ゲル、又は半固体基質で充填するさらなるステップを含む。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、充填材料の充填は、カートリッジの空洞の第1の端部に第2の要素が設けられた後で行われる。これにより、一方の端部が第2の要素によって閉じられているか又は封止されている間に、充填材料を充填することが可能になる。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、第3の要素は細長いカートリッジの第2の端部に巻回すべきシートの形式で提供され、巻かれる部分は、好ましくは約1mm~約10mm、より好ましくは約2mm~5mmの追加的な厚みを有する。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、第3の要素は、細長いカートリッジの第2の端部を包み込むべきキャップの形式で提供される。キャップは、両端が開いている円筒形のキャップであることが好ましい。或いは、キャップの両端は、空気が一方の端部から他方の端部まで自由に流れることができるように、メッシュ又はネットを有してもよい。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、第2の要素は、細長いカートリッジの第2の端部の空洞に配置される前に、第3の要素に設けられ、第3の要素は、細長いカートリッジの第2の端部を包み込むべきキャップの形式で提供される。キャップは、両端が開いている円筒形のキャップであることが好ましい。或いは、キャップの両端は、空気が一方の端部から他方の端部まで自由に流れることができるように、メッシュ又はネットを有してもよい。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、細長いカートリッジの第2の端部に提供されるキャップは、細長い円筒形のカートリッジの外周よりも大きい外周を有する。キャップのこの追加の外周は、第1の要素が喫煙装置、例えば蒸気装置に挿入されたときに、隣接点として作用することができる。言い換えると、生分解性のカートリッジが蒸気吸入装置に挿入されたとき、第3の要素、例えばキャップは、その外周が蒸気吸入装置の口よりも大きいので、蒸気吸入装置の中に収容されない。
【0019】
いくつかの好ましい実施形態によれば、第1の要素は、長手方向軸のまわりで、カード又は紙などのシート材料をロールすることによって形成される。
【0020】
いくつかの好ましい実施形態によれば、第1の要素(10)と第2の要素(20a、20b)のうちの1つとが、ラッパー、好ましくは紙製のラッパーで終端同士を隣接させて互いに取り付けられる。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、キャップの外周は、細長い円筒形のカートリッジの第1の端部の外周よりも約5%~40%、好ましくは約10%~30%、大きい。キャップ又は第3の要素のこの追加の外周により、カートリッジの一部を装置の外側にとどめることが可能になる。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、封止ステップ及び/又は接合ステップがさらに含まれる。この実施形態は、充填材料が液体である場合に特に有用であり、充填材料を、カートリッジ内に安全に封じ込めることができる。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、1種又は複数種の充填材料、好ましくはタバコ含有粒、ゲル、液体、発泡体、ムース、又は半固体基質が、細長い円筒形のカートリッジの空洞の中に提供される。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、生分解性材料は、紙、綿、天然繊維、及び/又は再生処理された生体材料である。
【0025】
所与の数値に関する「約」又は「およそ」は、指定された値から10%以内の数値を含むことを意味する。本開示において与えられる全ての値は、文脈からそうでないことが明らかでない限り、用語「約(about)」によって補完されると理解されるべきである。
【0026】
不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を除外せず、従って広い意味で扱われるべきである。
【0027】
別段の定義の無い限り、ここで用いる技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0028】
本明細書で使用される「要素」という用語、例えば「第1の要素」、「第2の要素」、及び「第3の要素」は、1つ又はいくつかの部分、例えば機械的部分から構成される要素を指す。言い換えると、要素とは、他の部分と組み合わさって機能し若しくはより大きなものを形成する部分、又は他の構成要素と一緒に作用すると特定の機能を提供する部分であり得る。
【0029】
ここで用いる場合、「カートリッジ」又は「容器」という用語は、その中に1つ又は複数の要素を収容するために、特に担持し又は格納するために用いることができる箱、ロッド、又はハウジング等の形態の中空物体を指す。カートリッジ/容器を形成する材料は、容器内に含まれる材料と類似していてもよく又は異なっていてもよい。
【0030】
ここで使用されるところでは、「充填材料」という用語は、1種又は複数種の材料から構成される物質、例えば生物学的物質を指す。言い換えると、この用語は、合成物を構成する1種又は複数種の原材料を指す。
【0031】
ここで使用されるところでは、「エアロゾル生成材料」という用語は、加熱時にエアロゾルを形成可能な揮発性化合物を放出することができる材料を指す。ここで説明するエアロゾル生成物品のエアロゾル生成材料から生成されるエアロゾルは、可視であっても不可視であってもよく、蒸気(例えば、室温では通常液体又は固体である気体状態の物質の微粒子)並びに気体及び凝縮した蒸気の液滴を含んでもよい。
【0032】
これ以降の本発明の説明を通じて、「タバコ」という用語は、1種類のタバコ植物、又は同一の若しくは異なる種類から生まれる複数のタバコ植物の混合物、並びに遺伝子組み換え(GMO)のタバコ植物、の任意の部分をいう。タバコ植物は、ナス科及びタバコ属(Solanaceae and the genus Nicotiana)に属する。部分の例としては、葉、茎、根等があり、これらは、保存加工なし、冷凍、急速冷凍、凍結乾燥、又は保蔵処理などの任意の方法によって、得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、エアロゾル生成装置で使用されている場合の、本発明による生分解性カートリッジの概略図を示す。
【
図2】
図2A~
図2Eは、本発明の第1の実施形態による生分解性カートリッジの製造方法の概略図を示す。
【
図3】
図3A~
図3Dは、本発明の第2の実施形態による生分解性カートリッジの製造方法の概略図を示す。
【
図4】
図4A~
図4Dは、本発明の第3の実施形態による生分解性カートリッジの製造方法の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、蒸気吸入装置205で使用される場合の、本発明の生分解性カートリッジ100の一例を示す。蒸気吸入装置205は、1つ又は複数の構成要素、例えば少なくとも電池を含む電力構成要素205aと、マウスピース構成要素205bであって、電力構成要素205aに電気的に接続可能であり、また、カートリッジ100が図示するように挿入されている場合に、マウスピース構成要素205bの自由端を通じてユーザが空気を吸い込むことにより装置の作動時にエアロゾルを形成するために抵抗加熱又は電磁誘導加熱により加熱させることができる、例えば気化可能液体を収容するエアロゾル生成材料リザーバを備える、マウスピース構成要素205bと、から構成されてもよい。一方の遠端が別の遠端よりも小さな直径(即ち、より小さな外周)を有するカートリッジを、蒸気吸入装置205の一方の遠端に挿入することができる。
【0035】
本発明の生分解性カートリッジ100は、いくつかの方法に従って製造することができる。
図2A~
図2Eは、第1の製造プロセスを説明しており、第1の筒状の要素10が、例えば紙又はボードシートなどのシートを、巻くか又はらせん状にすることにより円筒形状にロールすることから形成される。次いで、筒状の第1の要素10の直径よりも僅かに小さな直径を有し、筒状の第1の要素10用のエンドプラグを形成する、第2の要素20aを、筒状の第1の要素10の第1の端部に設けて前述の第1の端部を閉じる(
図2B)。前述の第2の要素20aは、例えば結合剤、糊を使用して又は熱溶融により、筒状の第1の要素10の内壁に固定することができる。
【0036】
タバコ含有材料並びにエアロゾル生成基質及び材料などの充填材料を、細長い筒状の第1の要素10の第2の端部を閉じる前に、細長い筒状の第1の要素10の空洞の中に提供することができる。
図2A~
図2Eに示すような本発明の第1の実施形態によれば、筒状の第1の要素10が1回分の充填材料で満たされた後、筒状の第1の要素10の前述の第2の端部に第2のエンドプラグ20bが提供され、それによって第2の開口部が閉じられる。第1の端部に関しては、第2のエンドプラグ20bを、例えば結合剤、糊を使用して又は熱溶融により、筒状の第1の要素10の内壁に取り付けることができる。或いは、又は補完的に、リング構成要素として表されるような、第3の要素30を、筒状の第1の要素10の第2の端部のまわりに提供して、第2の要素20b(
図2D)を、筒状の第1の要素10の第2の端部のまわりにさらに固定することができる。第2の要素20aをさらに固定するために、筒状の要素10の第1の端部に類似の第3の要素30を提供してもよい。第3の要素30はリング形状をしており、リングは、エンドプラグ20a、20b及び筒状の要素10の外径と実質的に等しいか又はそれよりも僅かに小さい内径を有し、筒状の要素10の外径よりも大きな外径(又は外周)を呈する。カートリッジ(又は容器)の一方の端部にリング要素30を設けることにより、前述のカートリッジ100は、リング30が取り付けられていない端部よりも、より大きな直径(又は外周)を有するもう一方の端部を有する。カートリッジ100のこのより大きな直径は、カートリッジを蒸気吸入装置205の端部と当接させるように作用し、その結果、
図1に見られるように、カートリッジは蒸気吸入装置205の中に完全には挿入されないようになる。
【0037】
本発明の第2の実施形態(
図3A~
図3D)によれば、製造プロセスは、上記で説明した第1の実施形態と大部分は似ているが、第2のプラグ20bが、リング30(
図3B)にまず提供されてキャップ部材が形成される点が異なっており、このキャップ部材は、次いで、細長い円筒形状をしたカートリッジの開放端部において筒状の要素10のまわりにスライドされる。第1の実施形態と同様に、リング30は、細長い円筒形状をしたカートリッジの上部開放端部の開口部を取り囲むように設けられ、前述のリングにはめ込まれるプラグ要素20bは、前述の開口部を覆って、充填材料がそこからこぼれ出るのを防止する。プラグ要素20bは、カートリッジの長手方向軸に平行な、即ち、カートリッジ100の筒状の要素10のコード(chord)に平行な長手方向軸に沿って測定されたときに、リング30の長手方向の寸法よりも短くなることが好ましいかもしれない。従って、リングの第3の要素30内の前述のプラグの第2の要素20bから形成されるキャップ部材は、実際に、筒状の要素10の開放端部に容易にスライドされ、キャップをすることができる。
【0038】
第3の実施形態(
図4A~
図4D)では、製造プロセスは、第3の要素30がリングの代わりにシートロールの形態で提供され得るという点で、第1の実施形態及び第2の実施形態とは異なっている。一旦、充填材料50が細長い円筒形状をしたカートリッジの空洞の中に充填され、円筒形のカートリッジの両端が2つのプラグの第2の要素20a、20bによって閉じられるか又は封止されると、第3の要素30を第2の要素20a、20bのうちの一方のまわりに巻くことができ、その結果、筒状の要素10のその端部の直径を大きくすることができる。
【0039】
この目的を達成するために、第1の要素10、第2の要素20a、20b、及び第3の要素30は生分解性であり、類似の材料を用いて提供され得ることが開示される。当然ながら、異なる種類の材料又は1つの要素内でのいくつかの材料の混合物も考えられてきた。生分解性材料は、例えば、紙、天然繊維、綿、再生処理された生体材料であり得る。
【0040】
2つの第2の要素20a、20bは、同じ材料で提供されてもよく、又は異なる材料から構成されてもよい。第2の要素20a、20bは、空気透過性である材料又は空気透過性の構造を有する材料でできていることが好ましい。例えば、材料は多孔質であり、スポンジ状の微細構造を有してもよく、又は、空気流を可能にするための複数の風路を備えていてもよい。或いは、第2の要素20a、20bは、それらの要素の胴体内を空気が流れることができるように、マイクロメッシュ又はマイクロネットを備えていてもよい。いくつかの実施形態では、第2の要素20a、20bは、例えば、生分解性材料でできている紙巻きタバコのフィルタープラグを使用して提供されてもよい。
【0041】
前述の第1、第2、又は第3の実施形態のいずれにおいても、第1の要素10と1つ目の第2の要素20aとが、代替的に、ラッパー、特に、喫煙物品製造業界ではプラグラップとして知られる、例えば複数のフィルターセグメントを一緒に取り付けるための紙製のラッパーで終端同士を隣接させて互いに隣り合わせて取り付けられてもよい。第1の要素10及び1つ目の第2の要素20aのそのような代替的な取り付け方法は、複数の筒状のロッドの端部同士をつないて、複数の第1の要素10と長さが第2の要素20a、20bの少なくとも2倍である複数のフィルター材料のロッドとを交互になし、単一のプラグラップでそれらを併せて巻くことにより、複数のカートリッジの複数の筒状本体を同時に形成することを可能にするという利点を提供する。次いで、このように形成された取り付け済ロッドを、プラグラップで互いに取り付けられた1つの第1の要素10及び1つの第2の要素20aから構成される個々のカートリッジ本体を切り出すために、フィルターロッドの中央で、例えばレーザー又は鋸で切断することができ、その後、前述した様々なプロセスに従って、充填材料を直接的に充填することができる。
【0042】
また本明細書では、本発明の生分解性カートリッジ100が、1つ又は複数の追加のセグメントを備えることもできることが開示される。例えば、複数の細長いロッドであって、各ロッドが内部に空洞を有する複数の細長いロッドから構成されるセグメントが、細長い円筒形状をしたカートリッジ100に(例えば、2つの第2の要素20a、20bの間に)設けられる。このセグメントは、空気の流れを促進するように作用してもよく、又は空気冷却セクションとして作用してもよい。