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特許7596377管理された後処理のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】管理された後処理のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/35 20170101AFI20241202BHJP
   B29C 64/379 20170101ALI20241202BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20241202BHJP
   B29C 64/264 20170101ALI20241202BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20241202BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20241202BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20241202BHJP
   B33Y 40/20 20200101ALI20241202BHJP
【FI】
B29C64/35
B29C64/379
B29C64/393
B29C64/264
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
B33Y40/20
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022528088
(86)(22)【出願日】2020-11-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-27
(86)【国際出願番号】 EP2020082271
(87)【国際公開番号】W WO2021094613
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-11-15
(31)【優先権主張番号】A50989/2019
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】515304558
【氏名又は名称】デンツプライ・シロナ・インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】519410367
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】スタンドルマン、クラウス
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-523925(JP,A)
【文献】特表2012-505773(JP,A)
【文献】国際公開第2019/209732(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/35
B29C 64/379
B29C 64/393
B29C 64/264
B33Y 10/00
B33Y 30/00
B33Y 50/02
B33Y 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線によって硬化可能な物質から積層造形方法によって製造された物体(2)の少なくともクリーニング及び後露光のためのシステム(1)であって、
前記システム(1)は、洗浄液(24)を用いて前記物体(2)をクリーニングするためのクリーニングタンク(13)及び前記物体(2)を後露光するための露光チャンバを備え、
前記システム(1)は、前記クリーニングタンク(13)又は前記露光チャンバの中に構築プラットフォーム(3)を下降させるための駆動部(17)を有する輸送デバイス(4)をさらに備え、
ここで、前記輸送デバイス(4)は、力センサ(18)を備え、前記力センサ(18)は、クリーニングの間に、前記駆動部(17)、前記物体(2)の重力、及び前記クリーニング中に前記洗浄液(24)による浮力によって生じる前記構築プラットフォーム(3)に作用する力を捕捉し、力信号を提供するように構成され、さらに、前記駆動部(17)を制御、及び前記力信号に基づいてプロセスパラメータを出力するように構成された処理ユニット(19)を備えることを特徴とする、システム(1)。
【請求項2】
前記処理ユニット(19)は、前記力信号を現在のプロセスステップに対する予め規定された期待値と比較し、前記駆動部(17)を停止させ、及びエラー信号を出力し、又は結果として生じる偏差の関数としてプロセスパラメータを設定するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム(1)。
【請求項3】
前記力センサ(18)は歪みゲージを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のシステム(1)。
【請求項4】
前記処理ユニット(19)は、前記力信号に基づいて、前記物体(2)の状態、前記システム(1)の状態、及び前記システム(1)の一部の状態の少なくとも一つを決定して出力するように構成されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項5】
前記処理ユニット(19)は、前記力信号を期待値又は期待値の範囲と比較し、前記力信号に基づいて前記輸送デバイス(4)の移動、移動速度、加速度、及び処理時間の少なくとも一つを適合させるように構成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項6】
洗浄液(24)を用いるクリーニングタンク(13)内で、及び後露光するための露光チャンバ内で、それぞれ、放射線によって硬化可能な物質から積層造形方法によって製造された物体(2)のクリーニング及び後露光のための方法であって、
築プラットフォーム(3)上の前記物体(2)は、駆動部(17)を備える輸送デバイス(4)によって、クリーニングのための前記クリーニングタンク(13)の中に、又は後露光するための前記露光チャンバの中に下降され
クリーニングの間に、力信号を提供する力センサ(18)を使用して、前記駆動部(17)によって、前記物体(2)の重力によって、及び前記クリーニング中に前記洗浄液(24)の浮力によって生じる前記構築プラットフォーム(3)に作用する力が捕捉され、前記力センサ(18)に接続された処理ユニット(19)が、前記駆動部(17)を制御、及び前記力信号に基づいてプロセスパラメータを出力することを特徴とする、方法。
【請求項7】
前記処理ユニット(19)は、前記力信号を現在のプロセスステップに対する予め規定された期待値と比較し、結果として生じる偏差に応じて、前記駆動部(17)を停止させ、及びエラー信号を出力し、又はプロセスパラメータを設定することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記処理ユニット(19)が、前記力信号に基づいて、前記物体(2)の状態、システム(1)の状態、及び前記システムの一部の状態の少なくとも一つを決定して出力することを特徴とする、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記処理ユニット(19)は、前記力信号を期待値又は期待値の範囲と比較し、前記力信号に基づいて前記輸送デバイスの移動、移動速度、加速度、及び処理時間を適合させることを特徴とする、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記処理ユニット(19)は、前記力信号に基づいて、プロセスパラメータとして、前記輸送デバイス(4)の偏向、前記クリーニングタンク(13)又は前記露光チャンバに対する前記物体(2)の高さ、前記輸送デバイス(4)の移動速度、及び前記物体(2)の重量を決定することを特徴とする、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線によって硬化可能な物質から積層造形方法によって製造された物体のクリーニング及び/又は後露光のためのシステムに関し、システムは、物体をクリーニングするためのクリーニングタンク及び/又は物体を後露光するための露光チャンバを備え、システムは、クリーニングタンク及び/又は露光チャンバに対して構築プラットフォームを移動させるための駆動部を有する輸送デバイスをさらに備える。
【0002】
本発明はまた、クリーニングタンク内又は露光チャンバ内で放射線によって硬化可能な物質から積層造形方法によって製造された物体のクリーニング及び/又は後露光のための方法に関し、構築プラットフォーム上の物体は、駆動部を有する輸送デバイスによってクリーニングタンク及び/又は露光チャンバに対して移動される。
【0003】
このシステムは、例えば、自動クリーニング及び/又は後露光のための機器の一部であることがある。当該物体は、典型的には層状に構築することができる。輸送デバイスは、少なくとも1つの軸に沿って物体を移動させる運動学に対応する。構築プラットフォームは、輸送デバイスに取り外し可能に接続することができ、例えば、把持機構又はロックを使用して輸送デバイスに結合することができる。
【背景技術】
【0004】
放射線によって硬化可能な(すなわち、感光性の)物質から層状に三次元(3D)体を積層造形するための、又は積み重ねるためのデバイス及び方法は、3D印刷、積層造形又はラピッドプロトタイピングという用語でも知られている。適切な波長及び強度の電磁放射線によって層状に硬化される物質、例えば感光性樹脂の断面情報は、一般に、マスク投影法又はレーザ源によって作成される。このような印刷プロセスを可能にする生成的な生産機械では、断面又は個々の層の露光のために、ピクセル制御されたDLP(デジタルライトプロセッシング)、MEMS(微小電気機械システム)、LC(液晶)ディスプレイ、LEDディスプレイ又は制御可能なレーザが主に使用される。それによって、露光は、流体感光性物質から固体層を生成する。この層は、それによって、キャリア(例えば、構築プラットフォーム又は以前に生成された層)に付着し、キャリアを持ち上げることによって基準面から分離又は除去される。その後の全ての製造ステップにおいて、硬化層は、その一部において、基準面から分離され、キャリアとして機能する。このようにして、感光性物質から3次元体が順次描画されて製造される。
【0005】
印刷プロセスが成功した後、まだ圧粉体である製造された三次元体は、適切な機械的パラメータ及び安定したジオメトリを有する最終製品/最終コンポーネントを得るために、材料に応じて、適切にクリーニングされ、乾燥され、強化され、最後に後露光されなければならない。これらのステップ、すなわち、特にクリーニング(「洗浄」)及び後露光は、「後処理」という総称で知られている。ここに開示される方法は、構築プラットフォームに付着する、放射線によって硬化可能な物質、例えば光によって硬化される樹脂で作製された、層状に構築された少なくとも1つの物体の前記後処理のために使用される。光を用いて層状に硬化させることによって形成された、すなわち製造された各物体について、製造された物体から固定され定義された機械的特性を有するコンポーネントを作製するために、対応する後処理を実施しなければならない。本開示は、特に、後処理、すなわち物体が積層された層に関して仕上げられるときに関する。後処理の間、圧粉体を形成する層スタックに追加の層は加えられない。
【0006】
まず第1に、物体から、表面をまだ濡らしている未硬化の流体感光性樹脂を取り除く。このクリーニングは、1回又は複数回の洗浄プロセスで行うことができる。洗浄が実行された後、物体は、例えば、クリーナを吹き飛ばすか又は高温でそれを蒸発させることによって、クリーナがなくなる。クリーナに応じて、これは室温でも蒸発する。次いで、乾燥したクリーニングされた物体を後露光ユニットに配置する。ここで、後露光ユニットは、圧粉体/素地をさらに架橋結合することができる適切な強度及び波長の放射線を放出する放射線源を有する。後硬化は、保護ガス雰囲気下、例えば窒素雰囲気下で行うことができる。後露光は、材料及びコンポーネントに応じて、指定された時間行われる。後露光後、物体は、その最終機械的強度又は最終特性に達しており、意図される最終目的のために使用することができる。
【0007】
ここで知られている問題は、圧粉体が後処理中にどのように挙動するか、又は自動化された後処理中に問題が発生したかどうかについての情報の欠如である。したがって、後処理ステップ中に、物体自体が構築プラットフォームから分離しないこと、及び他の問題が生じないことが通常信頼される。
【0008】
EP 1876012 A1は、適切な波長の放射源、構築プラットフォーム、硬化性材料を受けるためのコンテナ、物体の構築領域における可撓性フィルム又は箔、構築プラットフォームを変位させるための変位デバイス、力センサ、及び変位デバイスを制御するための力センサに接続された制御ユニットを使用して、基準面の上方で硬化性材料を固化することによって三次元物体を製造するためのデバイスに関する。力センサは、印刷プロセス中に製造された物体と基準面との間の力又は力に関連するパラメータを測定するために配置される。変位デバイスによって構築プラットフォームの移動又は移動速度を適合させるために、測定値が制御ユニットに出力される。物体が基準面から分離され、基準面に触れない限り、力センサは、物体又は構築プラットフォームの状態に関する有用な情報を提供しない。
【0009】
US 2018/297285 A1は、やはり積層造形のための、力センサを含む同様の構成に関し、それによって、より高い印刷速度のタスクは、EP 1876012 A1と比較してより重要である。力センサは、製造された物体の分離中の力を捕捉し、及び/又は分離の瞬間を検出するために使用される。
【0010】
KR 20200023713 Aはまた、積層造形及び最後に製造された層の分離の問題を扱っている。それは、力測定によって最後に生成された層の厚さを決定する方法を開示する。
【0011】
US 2009/0283109 A1は、層状に構築された感光性樹脂からなる物体のクリーニング及び後露光のためのデバイスを示している。これは、回転可能かつ旋回可能に取り付けられたバスケット内で、構築プラットフォームから既に分離された積層造形された物体に、スプレーヘッドを介してクリーナを塗布する機器である。この機器は、物体を後架橋結合するための放射線源を有し、この放射線源は上方から物体に放射線を照射する。機器によって可能になる物体の回転は、物体の乾燥及び後架橋結合の両方に使用される。
【0012】
EP 3521003 A1には、垂直方向に後露光ユニット及びクリーニングステーションを含む、生成コンポーネントのための後露光構成が記載されている。この場合、2つのセクションは、閉鎖可能な通路によって接続される。この機器は制御デバイスを有しており、この制御デバイスは、持ち上げデバイス、チャンバ間の閉鎖部、並びにクリーニング及び後露光ステーションを制御する。この従来技術では、スペースを節約する垂直配置に焦点が当てられている。
WO 2019/209732 A1には、積層造形のための、樹脂抽出機が記載されている。対象物を連結したキャリアプラットフォームが取り付けられたローターを回転させることにより、余分な樹脂は遠心力的に印刷対象物から分離される。
【0013】
層状に形成された物体の後処理のための公知のデバイス及び方法は、完全に自動化されておらず、それに基づく個々のプロセスパラメータのいかなる捕捉及び/又は制御も可能にしない。改善され完全に自動化された後処理デバイス、特に重要なデータの捕捉を通じて信頼できる後処理パラメータの自動化及び制御の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0014】
本発明の目的は、全自動の後処理デバイスを監視し、場合によっては制御し、それによって可能な限り少ない廃棄物で層状に形成された物体の迅速かつ確実な後処理を可能にする、可能な限り最も簡単かつ確実な方法で冒頭で述べたデバイス及び方法を作成することである。
【0015】
この目的のために、本発明は、請求項1に規定されるデバイス及び請求項6に規定される方法を提供する。有利な実施形態及び展開は、従属請求項に記載されている。
【0016】
最初に述べたタイプのシステムでは、本発明によれば、輸送デバイスは力センサを有し、力センサは、構築プラットフォームに作用する力を捕捉して力信号を提供するように構成され、駆動部を制御するための、及び/又は力信号に基づいてプロセスパラメータを出力するための処理ユニットに接続される。例えば、力センサは、物体の後処理(例えば、クリーニング及び/又は後露光)の間に及び/又は後に構築プラットフォームに作用する力を捕捉するように構成することができ、処理ユニットは、物体の後処理の間に及び/又は後に駆動及び/又は力信号に基づいて出力プロセスパラメータを制御するように構成することができる。
【0017】
最初に述べたタイプの方法では、本発明によれば、構築プラットフォームに作用する力は、クリーニング及び/又は後露光の間に及び/又は後に、力信号を提供する力センサを使用して捕捉され、力センサに接続された処理ユニットは、駆動部を制御し、及び/又は力信号に基づいてプロセスパラメータを出力する。方法は、特に、まだ完全には後加工されていない、すなわちまだ完全にはクリーニング及び硬化されていない物体への適用に関する。
【0018】
一般に、力センサ(より正確には、少なくとも1つの力センサ)は、少なくとも1つの空間方向における力信号を測定するように構成することができ、力信号は、構築プラットフォーム及び/又は構築プラットフォームによって担持される物体に作用する。この文脈において、力センサは、力又は力に関連するパラメータを捕捉し、そこから力を導出又は検出することができる(間接的な力測定に対応する)任意のセンサであると理解される。本発明は、特定の物理的測定原理に限定されない。
【0019】
力センサによって捕捉又は検出することができる力は、特に、輸送デバイスを介して、例えば、輸送デバイスの駆動部と構築プラットフォームとの間で、又は構築プラットフォームの締結部上で、又は輸送デバイスの締結部上で伝達される力を含むことができる。原理的には、力センサは、クリーニング及び露光後プロセスの間に及びその後に構築プラットフォーム及び/又は物体に作用する少なくとも1つの力成分(すなわち、少なくとも1つの空間方向における)を測定するために設計及び配置することができる。
【0020】
処理ユニットは、マイクロプロセッサ又はマイクロコントローラを有することができる。さらに、処理ユニットは、力センサを使用して捕捉された力値を処理するためのデータ及び/又はプログラムコマンドを含むデータメモリに接続することができる。処理ユニットは、オペレータによる処理ユニットの操作のために、入力/出力デバイス、例えばタッチスクリーンに接続することができる。処理ユニットを設けることにより、3D物体の製造又は後処理に必要な動作を自動的に実行することができる。対照的に、これらの動作は、処理ユニットなしでオペレータによって手動で実行されなければならず、その目的のために、力センサは、捕捉された値を出力するための表示ユニットに少なくとも接続されることができる。
【0021】
構築プラットフォームを移動させるための駆動部は、概して、任意のアクチュエータであることがある。例えば、それは、高さ調節可能な構築プラットフォームのための駆動ユニットであることがある。処理ユニットを使用して駆動部を制御するケースでは、処理ユニットは、したがって、例えば、力センサを使用して捕捉された力信号に応じて、高さ調整可能な構築プラットフォーム用の駆動ユニットを制御するように構成することができる。力センサによって捕捉された力値は、処理ユニットに送信され、処理ユニットにおいて処理されることができる。逆に、処理ユニットは、力センサによって捕捉された値、例えば力センサの力信号を処理し、この目的のためにそれを取得又は受信するように構成することができる。処理ユニットが高さ調節可能な構築プラットフォームのための駆動ユニットに接続され、駆動ユニットを制御するように構成されるとき、構築プラットフォームの高さは、捕捉された力に応じて処理ユニットによって調節されることができる。駆動ユニットは、構築プラットフォーム、したがって(洗浄及び/又は後露光によって)処理又は後処理される物体を、少なくとも1つの軸に沿って移動させることを可能にする。任意選択的に、駆動ユニット、構築プラットフォーム及び/又は物体は、構築プラットフォーム及び/又は物体を後処理機器内の特定の後処理ポイントに前進させるように設計される。駆動ユニットは、構築プラットフォームに接続された電気モータ、例えばステッピングモータを有することができる。特に、電気モータは、力センサを介して構築プラットフォームに接続された高さ調節可能なロッドに接続することができ、力センサは、少なくとも1つの方向における力を測定するように構成される。露光チャンバは、光源、例えば光源のクラスタ及び/又はアレイ、特に可視光又はUV光のための光源を有することができる。放射線強度及び/又は露光時間は、一般に、この放射線強度及び/又は露光時間を使用して後架橋結合又は最終架橋結合される物体の最終特性に影響を及ぼす。
【0022】
システムを適切に制御できるようにするために、力センサが、物体が後処理機器内のクリーニングタンク(又は「洗浄ボックス」)内に最初に配置されたときに物体が構築プラットフォーム上に存在する(付着している)かどうかを決定するために、処理ユニットを介して、物体の元の情報(例えば、CADデータ、体積、材料密度及び/又は重量)を有するデータベースに結合されるときにさらに有利である。これは、構築プラットフォーム上にコンポーネントを伴わない、洗浄及び後露光ステップ又は後処理シーケンス全体の無感覚/空実行を防止する。
【0023】
さらに、後処理プロセスにおけるエラー状態は、任意選択で、処理ユニットを使用して確実に確認及び/又は回避することができる。さらに、後処理デバイス、より正確には処理ユニットは、プロセスシーケンスにおけるエラーを自動的に認識し、それらについてユーザに通知するか、又はコントローラによって発生したエラーに適切に反応するように構成することができる。
【0024】
開示されるシステムは、任意選択で、放射線によって硬化可能な物質から物体を積層造形するのに適した印刷ユニットを備えてもよく、システムは、2つの別個の動作モード、すなわち、印刷ユニットを動作させることができる第1の動作モードと、印刷ユニットがアイドル状態であり、クリーニングタンク及び/又は露光チャンバを使用することができる第2の動作モードとを有する。力センサは、少なくともシステムの第2の動作モードにおいて、すなわちシステムが後処理タスクを実行するように構成されているときに使用されるように構成されている。
【0025】
本開示の範囲内で、システムは、代替的に、専用の後処理システムであってもよく、例えば、積層造形方法によって製造された物体のクリーニング及び/又は後露光に専用であってもよい。例えば、システムは、積層造形に適した印刷ユニットを有さなくてもよい。
【0026】
任意選択で、処理ユニットは、力信号を現在のプロセスステップに対する予め規定された期待値と比較し、結果として生じる偏差に応じて、駆動部を停止し、及び/又はエラー信号を出力し、及び/又は方法パラメータを設定するように構成することができる。したがって、開示された方法では、処理ユニットは、力信号を現在のプロセスステップに対する予め規定された期待値と比較し、結果として生じる偏差に応じて、駆動部を停止し、及び/又はエラー信号を出力し、及び/又は方法パラメータを設定することができる。
【0027】
任意選択的に、後処理方法のサブステップの間の構築プラットフォームからの少なくとも1つの物体の分離が、センサを使用して捕捉された力から検出されることを提供することができる。例えば、後露光の間に生じる不完全な接着及び/又はコンポーネントの収縮に起因して、物体が構築プラットフォームから分離されたとき、力センサを介して構築プラットフォームの重量変化を決定することができ、例えば、エラーを出力することができる。例えば、後処理のサブステップの前、間又は後に物体の分離を決定するために、力センサは、少なくとも例えば0.01 s(秒)から60 sの時間間隔で又は連続的に処理ユニットによって読み取られ、必要であれば、目標値(期待値)と比較されることができる。
【0028】
開示されたシステム及び方法のさらなる実施形態によれば、少なくとも1つの洗浄プロセスの後に、コンポーネント又は構築プラットフォームの目標重量をデータベースからの理想的な重量値と比較するために、予め規定された期待値が比較のためにデータベースからロードされることを提供することができる。例えば、洗浄液がまだ処理された物体を湿潤しているか否か、及びどれだけ湿潤しているか、ならびに物体がすでに十分にクリーニングされており(例えば、流体残留樹脂がもはやコンポーネントに付着していない)、したがって後露光に適しているか否かを決定することができる。期待値は、後処理の任意のサブステップにおいて、処理ユニットからの少なくとも1つの方法パラメータの関数として、場合によっては物体の既知のジオメトリ及び/又は材料データから、便宜的に計算することができる。したがって、方法パラメータの特定の値に対して、又は複数のプロセスパラメータの複数の特定の値に対して、予想される力値を処理ユニットによって計算することができる。処理ユニットはまた、1つ以上の方法パラメータの一連の特定の値に対する力の一連の期待値を計算することができる。計算は、シミュレーションソフトウェアを用いて、例えばコンポーネント重量を用いて実行することができる。
【0029】
特に、洗浄液の滴下時間は、計算されたデータに基づいて決定され、次いで、例えば、経時的な力信号又は体重の減少を通して比較され、洗浄液及び/又は溶解した樹脂による後処理機器又はその部品の汚染を防止又は最小化することができることを提供することができる。詳細には、クリーニング状態を物体の目標重量に応じて決定することができることを提供することができる。例えば、最大滴下時間又は蒸発時間(揮発性溶媒の場合)を特定することができ、この時間の後、目標重量と実際の重量との差を決定することができる。0.1%から10%より大きい差が存在する場合、例えば、流体、溶解していない樹脂が依然としてコンポーネント上に残っているかもしれない。これは、洗浄プロセスが成功せず、繰り返されなければならないことを意味する。
【0030】
さらに、センサによって捕捉された力の値に基づいて、構築プラットフォームの高さ/位置、又はコンポーネントに対する移動速度、及び後処理機器の幾何学的境界条件、及び/又は洗浄液の滴下時間もしくは乾燥時間、及び/又は少なくとも1つのコンポーネントの重量は、構築プラットフォームがコンポーネントとともに構築プラットフォームの移動によって静止位置から偏向されるときに、処理ユニットにおける方法パラメータとして決定されることを提供することができる。したがって、期待値を、構築プラットフォームの規定された高さ又は物体の存在に対してセンサによって捕捉された力と比較することによって、構築プラットフォームの移動速度及び/又は洗浄後に物体上に残っている洗浄液の量及び/又は物体の変位は、洗浄液が送り込まれている間に終了する。 例えば、洗浄液のいわゆる滴下時間の持続時間が増加するにつれて、物体の重量、したがって捕捉される力が減少し、物体の純粋な(乾燥)重量にますます近づき、それによって物体のクリーニングの程度について結論を下すことができる。しかしながら、溶解するのがより困難な樹脂は、より多くの樹脂がコンポーネントに付着するので、洗浄後でさえもより大きな力の値をもたらす。使用される硬化性物質のそのような特徴的な特性は、期待値を決定するときに考慮に入れることができる。
【0031】
力の特定の捕捉された個々の値の代替として、クリーニングプロセスの少なくともサブセクションのプロセスにおける力の相対的又は絶対的変化もまた、前述のプロセス制御変数を制御するために処理ユニットによって使用されることができる。
【0032】
力センサは、費用効果的な実装のために(少なくとも)1つの歪みゲージを備えることができる。例えば、いわゆる歪みゲージセンサ又は歪みゲージブリッジを使用して、力を決定し、力信号を提供することができる。力の値に関連するパラメータ(例えば、輸送デバイスの駆動部のモータ電流)を測定することによって、力の進行について結論を引き出すことができる。
【0033】
さらに、処理ユニットは、力信号に基づいて、物体の状態、システムの状態、及び/又はシステムの一部の状態を決定し、出力するように構成されることができる。したがって、開示される方法のさらなる任意選択の変形では、処理ユニットは、力信号に基づいて、物体の状態、システムの状態、及び/又はシステムの一部の状態を決定し、出力することができる。
【0034】
さらなる変形によれば、処理ユニットは、力信号を期待値及び/又は期待値の範囲と比較し、力信号に基づいて輸送デバイスの移動、移動速度、加速度及び/又は処理時間を適合させるように構成することができる。同様に、開示された方法では、処理ユニットは、力信号を期待値及び/又は期待値の範囲と比較し、力信号に基づいて輸送デバイスの移動、移動速度、加速度及び/又は処理時間を適合させることを提供することができる。この場合、処理ユニットは、輸送デバイス、例えば輸送デバイスの少なくとも1つの駆動部又は位置決めユニットを制御するための制御ユニットとして機能する。期待値又は期待値の範囲は、静的に及び/又は少なくとも部分的に時間の関数として(すなわち、期待値の経過として及び/又は期待値の範囲の少なくとも1つの限界の経過として)指定することができる。代替的又は追加的に、期待値は、少なくとも1つの(異なる)方法パラメータの関数として指定され、処理ユニットによって計算されてもよい。期待値は、例えば、状態変数及び/又は個々のプロセスステップの間の状態の理想的なモデル又は経過の形態でメモリに記憶することができ、その結果、期待値は、そこから処理ユニットによってロードされ、力信号と比較することができる。例えば、現在捕捉された力又は捕捉された力の経時的な変化(例えば、時間に関する微分又は導関数)を決定することができ、少なくとも1つの方法パラメータを、一方で捕捉された力又はその経時的な変化と他方で対応する期待値(又は期待値の経過)との間の差の関数として、又は経時的に捕捉された力の変化のみの関数として設定又は制御することができる。方法パラメータの値は、力センサによって捕捉することもできる。特に、力センサを使用して捕捉された力を、力の期待値及び/又は期待値の範囲と繰り返し比較することによって、方法パラメータを目標値に設定又は調節することができる。方法パラメータは、処理ユニット自体によって設定されることができ、又はそれによって制御されることができる。
【0035】
詳細には、例えば、力センサを使用して捕捉された力信号の変化は、力センサに接続された処理ユニットにおいて数学的モデルで処理することができ、少なくとも1つの方法パラメータは、少なくとも1つの捕捉された力信号(例えば、測定された力値)の関数として処理することができ、及び/又は捕捉された力信号の変化は、数学的仕様モデル化値及び/又は挙動に従って設定することができる。基礎となる数学的モデルは、例えば、時間曲線及び/又は(異なる)方法パラメータを入力値として考慮することもできる。
【0036】
開示される方法の文脈において、力信号は、各部分的プロセスステップの間及び/又は後に捕捉され、必要に応じて評価されることができる(例えば、期待値と比較される)。
【0037】
例えば、処理ユニットは、力センサと相互作用して、(すなわち、製造された物体をクリーニングするための)洗浄プロセスを制御及び最適化するように構成することができる。方法のさらなる実施形態によれば、例えば、力センサを使用して捕捉された値の関数として、洗浄液の飽和度を決定することができることを提供することができる。洗浄液の濃度は、クリーニングプロセスの間のコンポーネントからの未硬化の感光性樹脂の溶解によって、各洗浄プロセスとともに着実に増加する。空の構築プラットフォーム又は物体が積載された構築プラットフォームがクリーニングタンク内に導入され、洗浄液が注入される(例えばポンプ注入される)場合、発生する浮力は、力センサを使用して目標値と比較することができる。これがある程度逸脱する場合、洗浄液の濃度は増加しており、したがって、ある程度まで溶解した樹脂で飽和している。この飽和、したがって浮力が、例えばデータベースによって指定された閾値を超える場合、洗浄液は飽和していると仮定することができる。追加的又は代替的に、クリーニングタンク内の洗浄液の充填レベルは、力センサを使用して決定することができる浮力に基づいて決定することができ、これが特定の値に達したかどうかを決定することができる。この値は、例えば最小充填レベル又は最大充填レベルとすることができる。
【0038】
処理ユニットは、任意選択的に、力信号に基づいて、方法パラメータとして、輸送デバイスの偏向(又は構築プラットフォームの対応する高さに基づいて)、並びに/又はクリーニングタンク及び/若しくは露光チャンバに対する物体の高さ、並びに/又は輸送デバイスの移動速度、並びに/又は物体の重量、並びに/又は物体の体積、並びに/又は待機時間(例えば、クリーニング、乾燥又は後露光が終了するまで)を決定することができる。この決定は、例えば、物体が輸送デバイスを使用して移動されている間に、スナップショットとして、又は連続モニタリングとして提供することができる。物体の体積は、例えば、力センサを使用して測定された流体中の物体の浮力から導出することができる。好ましくは、センサを使用して捕捉された力を使用して、物体のジオメトリ起因して「捕捉された」洗浄液について、すなわち、洗浄液を貯蔵又は保持することができるウェル/キャビティ(ボウル)の形成について結論を引き出すことができるようにすることができる。
【0039】
さらに、さらなる自動化と組み合わせて、力信号から、構築プラットフォーム上のコンポーネントの継続的な存在を検出することができることを提供することができる。例えば、構築プラットフォームが新たな使用のために自由であるかどうかは、構築プラットフォームの重量又は慣性から決定することができる。
【0040】
最後に、力センサを使用して捕捉された力が、構築プラットフォームがピックアップされる前に測定され、ピックアップ後に予め定められた力値を超えたときに、位置決めエラー又は自動構築プラットフォームピックアップにおけるエラーを検出することができる。力値は、好ましくは、力センサを使用して捕捉され、構築プラットフォームの移動は、システム内の過剰な力からの損傷を回避するために、処理ユニットによってそれに基づいて逆調節される。
【0041】
連続的な監視に関連して、例えば、衝突(クラッシュ)の発生及び特定の予め定められたの力閾値の超過を検出することができ、物体のキャリアとしての構築プラットフォーム上の力は、プロセス関連の偏向によって変更することができる。例えば、システムのさらなる実施形態によれば、決定された力は、機器部品及び/又は失われた物体との衝突を適時に予測し、それによってそれを検出する(例えば、クリーニングタンクが利用可能である)又は防止するために、物体とともに又は物体なしで、構築プラットフォームの方法/位置決め及び操作の間に最大許容力と比較されることを提供することができる。構築プラットフォームから誤って(例えば不完全に)分離された物体は、構築プラットフォームがプロセス位置に接近したときに衝突につながる可能性があり、また、処理ユニットによって記録され、例えば輸送デバイスの緊急停止につながる力値の増加を引き起こす可能性がある。
【0042】
本発明は、図面を参照しながら、好ましい非限定的な例示的実施形態を使用して、以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は、層状に構築された物体のクリーニング及び後露光のためのシステムの長手方向面を概略的に示す。
図2図2は、図1によるシステムの輸送デバイスのより詳細な図を概略的に示すが、今回は物体はない。
図3図3は、今度は構築プラットフォーム上に配置された物体を有する、図2による概略的な図である。
図4図4は、クリーニングタンクを有するシステムの詳細の長手方向セクションを概略的に示す。
図5図5は、作用力を有する図4によるクリーニングタンクを概略的に示す。
図6図6は、異なる流体濃度を有する、図5のような洗浄液に浸されたときの力信号の例示的な時間プロファイルを有するダイヤグラムを概略的に示す。
図7図7は、図1のシステムを概略的に示し、物体は運動中に緩んでいる。
図8図8は、物体が図7による構築プラットフォームから自発的に分離されるときの力信号の例示的な時間プロファイルを有するダイヤグラムを概略的に示す。
図9図9は、洗浄後に洗浄液で湿潤された物体を有する図1からのシステムを概略的に示す。
図10図10は、図9による洗浄液が滴り落ちるときの力信号の例示的な時間プロファイルを有するダイヤグラムを概略的に示す。
図11図11は、図9による洗浄液が排出され、吹き飛ばされるときの力信号の例示的な時間プロファイルを有するダイヤグラムを概略的に示す。
図12図12は、不完全に排出された物体を有する図1のシステムを概略的に示す。
図13図13は、図12による洗浄液が不完全に滴り落ちるときの力信号の例示的な時間プロファイルを有するダイヤグラムを概略的に示す。
図14図14は、不正確に分離された物体の衝突の可能性を有する図1のシステムを概略的に示す。
図15図15は、図14による衝突が存在するときの力信号の例示的な時間プロファイルを有するダイヤグラムを概略的に示す。
【0044】
図示された図面において、それぞれの図面を説明する役割を果たさないデバイスの部分は、明確にするために省略されている。
【発明を実施するための形態】
【0045】
物体2のクリーニング及び/又は後露光のためのシステム1。物体2は、積層造形方法によって放射線によって硬化可能な物質から予め製造された。製造は構築プラットフォーム3上で行われる。図1に図示する状況では、構築プラットフォーム3は、システム1の輸送デバイス4に接続されている。例えば、輸送デバイス4のアーム5は、対応して構成された構築プラットフォーム3に接続するためのカップリング6を有することができる。輸送デバイス4を使用して、接続された構築プラットフォーム3は、垂直方向7(すなわち、構築プラットフォームの構築表面に対して垂直)及び水平方向8に移動させることができる。垂直移動のために、輸送デバイス4は、水平移動用のレール(図示せず)上に配置されたタワー9を有する。システム1は、後露光ユニット10と、物体2をクリーニングするためのクリーニングタンク13、14用の2つの容器11、12とを有する。ローターの形態の循環デバイス15が、クリーニングタンク13、14の底部16上でクリーニングタンク13、14内に設けられる。物体2及び場合によっては輸送コンテナは、輸送デバイス4によってこれらのステーション10、11、12の間で構築プラットフォーム3上で輸送することができる。すなわち、物体2は、輸送コンテナから垂直に持ち上げられ、クリーニングタンク13の上を水平に移動され、次いでクリーニングタンク13内に垂直に下げられることができる。クリーニング後、物体2は、例えば、後露光ユニット10上を移動し、次いで、後露光ユニット10内に垂直に下降させることができる。後露光ユニット10は、例えば、チャンバ内に向けられた対応する光源を有する物体2の後露光のための(部分的に透明な)露光チャンバを有することができる。
【0046】
図2により詳細に図示されるように、輸送デバイス4は、接続された構築プラットフォーム3の上述の垂直及び水平移動のための駆動部17を備える。輸送デバイス4は、力センサ18も備える。力センサ18は、輸送デバイス4のタワー9と構築プラットフォーム3のためのカップリング6との間のアーム5内に配置され、このアーム5の変形を記録する歪みゲージを備える。力センサ18は、したがって、構築プラットフォーム3に作用する力を捕捉するように構成され、力は、輸送デバイス4によって(例えば、駆動部17によって)、及び/又は物体2によって(例えば、重力)、及び/又は外部から(例えば、浮力、下記参照)のいずれかで生成される。力センサ18は、処理ユニット19に接続されている。処理ユニット19は、駆動部17を制御し、力センサ18の力信号に基づいてプロセスパラメータをユーザインターフェース20に出力するように構成される。ユーザインターフェース20は、例えば、物体2のモデル及び物体2を後処理するための仕様を記憶するデータメモリ21と通信するように構成される。データメモリ21は、例えば輸送コンテナの一部とすることができる。処理ユニット19は、力信号に基づいて、物体2の状態、構築プラットフォーム3の状態、又はクリーニングタンク13、14の状態(より正確には、その充填レベル)を決定及び出力するように構成される。この目的のために、処理ユニット19は、力信号を期待値又は期待値の範囲と比較し、力信号に基づいて輸送デバイスの移動、移動速度、加速度及び/又は処理時間を適合させるように構成される。特に、処理ユニット19は、力信号と期待値との間の相違の関数として、駆動部17を停止させ、及び/又はエラー信号を出力し、及び/又は方法パラメータを設定することができる。
【0047】
図2に図示する状況では、構築プラットフォーム3は自由であり、すなわち、物体は構築プラットフォーム3に接続されていない。力センサ18の力信号は、輸送デバイス4が静止しているときの構築プラットフォーム3の重量に対応する。すなわち、力信号に基づいて、処理ユニット19は、構築プラットフォーム3が輸送デバイス4に接続されていること、ならびに前記構築プラットフォーム3の重量を決定することができる。より正確な測定のために、タワー9を有する構築プラットフォーム3は、垂直移動又は振動させることができる。構築プラットフォーム3の不活性質量は、結果として得られる力信号の時間プロファイルから推定することができる。
【0048】
図3に図示する状況では、輸送デバイス4は、その上に配置された(付着している)物体2を有する構築プラットフォーム3を担持する。この場合、構築プラットフォーム3を有する物体2の重量は、力信号から導出することができる。構築プラットフォーム3の重量が既知である場合(デフォルトとして、又は図2におけるように事前に測定される)、物体2の重量は、別個に決定されることができる。物体2の重量は、モデルに基づく予想重量と比較することができる。予想重量は、製造に使用される材料(光反応性物質)の密度及び物体2の充填体積から計算される。使用される密度は、硬化後、すなわち溶媒が完全に堆積又は分離されたときの密度であることがある。したがって、後処理の進行は、決定された重量と予想される重量との間の差から結論付けることができる。詳細には、まだ付着している材料残留物は、洗浄プロセスの直後に認識することができ、洗浄プロセスを継続することができる。洗浄プロセスの後、洗浄液の滴下及び排出を監視することができる。
【0049】
クリーニングタンク13におけるこのような洗浄プロセスは、図4により詳細に示されている。ここで分かるように、ローター15(例えば永久磁石を有する)は、タンク13の下に配置され、電気モータ22に接続された駆動磁石23によって磁気的に回転される。これにより、洗浄液24がタンク13内を循環して均質化される。物体2に付着している材料残留物、例えばあまり硬化していない材料残留物は、このようにして洗浄液24によって洗い流され、タンク13内に収集される。このプロセス中、構築プラットフォーム3は、クリーニングタンク13上に下げられ、洗浄液が漏れるのを防止するために、その縁部25でしっかりと閉じる。構築プラットフォーム3とタンク縁部25との間の接触及び任意の接触圧力は、力センサ18を使用して決定及び監視することができる。物体2は、洗浄液24の正確な充填レベルにより、本質的に完全に洗浄液24に浸される。
【0050】
力センサ18によって捕捉される作用力は、図5に描かれる。一方では、図3のように、重力Fgは物体2の重量に従って作用する。他方では、重力Fgとは反対に、浮力Fbは、物体によって移動される洗浄液24の重量によって作用する。したがって、浮力Fbは、一方では、物体2の浸された体積に依存し、また、移動された洗浄液24の濃度にも依存する。物体2の浸された体積は、次に、クリーニングタンク13内の洗浄液24の充填レベルに依存する。
【0051】
図6は、同じ物体2に対して2つの異なる状況26、27(実線又は破線)について、物体2がクリーニングタンク13内に降ろされるときの力信号FNの時間プロファイルを示す。物体2による洗浄液24との最初の接触の時点ttouch、すなわち物体2が流体レベル28に到達する時点(図5参照)と、物体2が洗浄液24内に完全に下降する時点tsinkとが描かれている。クリーニングタンク13の縁部25上に構築プラットフォーム3を配置することの影響は、単純化のために図示されていない。両方の状況において時点ttouchは実質的に同じであり、つまり充填レベルも同じである。それにもかかわらず、状況は、時点tsinkにおいて捕捉された力信号において異なり、第1のケース場合26(実線)における力信号は力Fk1に低下し、第2のケース場合27(破線)における力信号は(より高い)力Fk2に低下する。この差は、洗浄液24の異なる濃度によるものである。第1のケース26では、この濃度がより高く、すなわち浮力Fbがより高く、したがって物体の重量Fgのより大きな部分を補償する。したがって、結果として生じる力Fk1はより小さい。第2のケース27では、洗浄液24の濃度が低いので、結果として生じる力Fk2は高いままである。このようにして処理ユニット19によって決定することができる洗浄液24の濃度は、診断目的のために使用されることができる。例えば、洗浄液24の組成が、変化した濃度に起因して洗浄にもはや明らかに適さないとき、洗浄液24の交換をユーザに推奨することができる。
【0052】
図7は、物体2が輸送中に構築プラットフォーム3から分離されて落下する状況を示す。このイベントは、処理ユニット19によって認識することができる。この状況に対応する力信号FNの時間プロファイルが、図8に簡略化された形で図示されている。ここでは分離時点tsepが描かれている。力信号FNの急激な変化及び期待値Fsetからの偏差は、物体2(又は構築プラットフォーム3)の分離に対応する。このケースは、例えば、力信号の微分(すなわち、時点tsepにおけるフランクの勾配)が、(例えば、クリーニングタンクに浸したときに)予想される変化の限界値を超えるという事実によって認識することができる。
【0053】
図9は、物体2が図4によるクリーニングタンク13内で洗浄された後の状況を示し、物体2は、洗浄液24から垂直に完全に持ち上げられている。洗浄液24は、持ち上げられた直後に物体2から滴り落ち、クリーニングタンク13内に戻る。物体2は、洗浄液24の大部分が滴り落ちるまでこの位置に保持される。遅延を回避するために、この時点を物体2のジオメトリに応じて認識することが有利である。この目的のために力センサ18を使用することもできる。このプロセス中の力信号FNの時間経過を図10に図示する。処理ユニット19は、力信号FNを監視し、力信号FNが期待値Fsetに十分に(すなわち、予め規定された許容偏差まで)近似した時点tdripを検出する。持ち上げた後、システム1は、時点tdripを待ち、その後、さらなる後処理(例えば、後露光)を継続する。代替的に、一定量の洗浄液24が滴り落ちた後(洗浄液を持ち上げた後の捕捉された重力の変化によって認識可能)の滴下は、吹き飛ばすことによって補うことができる。このケースは、図11に簡略化された形で図示される。この場合、送風機は時点tdripでスイッチオンされ、十分な乾燥の時点tdryまで運転される。この時点tdryは、力信号FNが期待値の範囲Fsetmin-Fsetmaxに入るという事実によって認識される。送風機は、時点tdryで停止することができ、さらなる後処理(例えば、後露光による)が継続される。
【0054】
滴下プロセスにおけるエラーは、単純化のために誇張されて図12に図示されている。この場合、物体29は、洗浄液24が保持される「ボウル」を形成する。したがって、この場合、洗浄液24はクリーニングタンク13から物体29によってすくい上げられ、滴り落ちることはできない。このケースは、図13に図示するように、力信号FNが、滴り落ちた物体29の期待値Fsetに十分に近似していないという事実から、処理ユニット19によって認識することができる。ここで、予想される(又は最大の)滴下時間tdripの後に、残りの偏差を認識することができ、エラーを出力することができ、後処理を中断又はキャンセルすることができる。
【0055】
最後に、図14は、物体2がクリーニングタンク13の上方で構築プラットフォーム3から分離しており、現在クリーニングタンク13を横切って横たわっているエラーケースを示す。この場合、構築プラットフォーム3は、クリーニングタンク13内に下降したときに物体2と衝突する。力信号FNの対応する時間プロファイルを図15に示す。下降するとき、力は急激に増加し始め、傾斜は輸送デバイス4の駆動部17によって加えられる力に対応し、これは例えばクリーニングタンク14の縁部25に置かれたときにも予想される。この理由から、力の急激な正の変化自体は相殺の理由ではない。しかしながら、力が予め規定された最大値Fmaxに達するとすぐに、処理ユニット19は、システム1への損傷を回避するために、輸送デバイス4の駆動部17を停止させる。この時点で、図6によるような洗浄液24への浸漬が検出されなかったので、処理ユニット19は、エラーが存在すると決定し、後処理をキャンセルし、エラーメッセージを有する対応する指示をユーザに表示することができる。

以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 放射線によって硬化可能な物質から積層造形方法によって製造された物体(2)のクリーニング及び/又は後露光のためのシステム(1)であって、
前記システム(1)は、前記物体(2)をクリーニングするためのクリーニングタンク(13)及び/又は前記物体(2)を後露光するための露光チャンバを備え、
前記システム(1)は、前記クリーニングタンク(13)及び/又は前記露光チャンバに対して構築プラットフォーム(3)を移動させるための駆動部(17)を有する輸送デバイス(4)をさらに備え、
前記輸送デバイス(4)は、力センサ(18)を備え、ここで、前記力センサ(18)は、クリーニング及び/又は後露光の間に及び/又は後に、前記構築プラットフォーム(3)に作用する力を捕捉し、力信号を提供するように構成され、前記駆動部(17)を制御するための及び/又は前記力信号に基づいてプロセスパラメータを出力するための処理ユニット(19)を備えることを特徴とする、システム(1)。
[2] 前記処理ユニット(19)は、前記力信号を現在のプロセスステップに対する予め規定された期待値と比較し、前記駆動部(17)を停止させ、及び/又はエラー信号を出力し、及び/又は結果として生じる偏差の関数として方法パラメータを設定するように構成されていることを特徴とする、[1]に記載のシステム(1)。
[3] 前記力センサ(18)は歪みゲージを含むことを特徴とする、[1]又は[2]に記載のシステム(1)。
[4] 前記処理ユニット(19)は、前記力信号に基づいて、前記物体(2)の状態、前記システム(1)の状態、及び/又は前記システム(1)の一部の状態を決定して出力するように構成されていることを特徴とする、[1]から[3]のいずれか一項に記載のシステム(1)。
[5] 前記処理ユニット(19)は、前記力信号を期待値及び/又は期待値の範囲と比較し、前記力信号に基づいて前記輸送デバイス(4)の移動、移動速度、加速度及び/又は処理時間を適合させるように構成されていることを特徴とする、[1]から[4]のいずれか一項に記載のシステム(1)。
[6] クリーニングタンク(13)又は露光チャンバ内で、放射線によって硬化可能な物質から積層造形方法によって製造された物体(2)のクリーニング及び/又は後露光のための方法であって、
前記物体(2)は、構築プラットフォーム(3)上で、駆動部(17)を備える輸送デバイス(4)によって前記クリーニングタンク(13)及び/又は前記露光チャンバに対して移動させられ、
クリーニング及び/又は後露光の間に及び/又は後に、力信号を提供する力センサ(18)を使用して前記構築プラットフォーム(3)に作用する力が捕捉され、前記力センサ(18)に接続された処理ユニット(19)が、前記駆動部(17)を制御し、及び/又は前記力信号に基づいてプロセスパラメータを出力することを特徴とする、方法。
[7] 前記処理ユニット(19)は、前記力信号を現在のプロセスステップに対する予め規定された期待値と比較し、結果として生じる偏差に応じて、前記駆動部(17)を停止させ、及び/又はエラー信号を出力し、及び/又は方法パラメータを設定することを特徴とする、[6]に記載の方法。
[8] 前記処理ユニット(19)が、前記力信号に基づいて、前記物体(2)の状態、システム(1)の状態、及び/又は前記システムの一部の状態を決定して出力することを特徴とする、[6]又は[7]に記載の方法。
[9] 前記処理ユニット(19)は、前記力信号を期待値及び/又は期待値の範囲と比較し、前記力信号に基づいて前記輸送デバイスの移動、移動速度、加速度及び/又は処理時間を適合させることを特徴とする、[6]から[8]のいずれか一項に記載の方法。
[10] 前記処理ユニット(19)は、前記力信号に基づいて、方法パラメータとして、前記輸送デバイス(4)の偏向、並びに/又はクリーニングタンク(13)及び/若しくは露光チャンバに対する前記物体(2)の高さ、並びに/又は前記輸送デバイス(4)の移動速度、並びに/又は前記物体(2)の重量を決定することを特徴とする、[6]から[8]のいずれか一項に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15