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特許7596384無線起爆システム及び無線起爆システム用中継装置及び無線起爆システムを用いた無線起爆方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】無線起爆システム及び無線起爆システム用中継装置及び無線起爆システムを用いた無線起爆方法
(51)【国際特許分類】
   F42D 1/045 20060101AFI20241202BHJP
【FI】
F42D1/045
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022536345
(86)(22)【出願日】2021-07-12
(86)【国際出願番号】 JP2021026119
(87)【国際公開番号】W WO2022014530
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2024-04-19
(31)【優先権主張番号】P 2020119793
(32)【優先日】2020-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000201814
【氏名又は名称】双葉電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 亘紀
(72)【発明者】
【氏名】柳 直斗
(72)【発明者】
【氏名】小倉 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】島崎 晃一
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 一仁
(72)【発明者】
【氏名】菰田 貴文
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-78424(JP,A)
【文献】特表2017-510785(JP,A)
【文献】特開2001-330400(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0041261(US,A1)
【文献】国際公開第03/029748(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F42B 3/12
F42D 1/00- 1/28
E21D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線起爆システムであって、
発破対象から離間して設置されかつ第1周波数の第1下り無線信号を送信する発破操作装置と、
前記発破対象の装薬孔に装填されかつ前記第1周波数よりも低い第2周波数の第2下り無線信号を受信する爆薬側受信アンテナを備える起爆雷管と、
前記第1下り無線信号を受信する第1受信アンテナと、前記第1下り無線信号を受信処理し、前記第2周波数の前記第2下り無線信号で送信処理する中継処理機と、前記第2下り無線信号を送信する第2送信アンテナを備える中継装置を有し、
前記第2送信アンテナが前記装薬孔と並んだ前記発破対象の挿入孔に装填される無線起爆システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線起爆システムであって、
前記起爆雷管は、前記第2周波数の第2上り無線信号を送信する爆薬側送信アンテナを有し、
前記中継装置は、前記第2上り無線信号を受信する第2受信アンテナと、前記第2上り無線信号を受信処理し、前記第1周波数の第1上り無線信号で送信処理する中継処理機と、前記第1上り無線信号を送信する第1送信アンテナを有し、
前記発破操作装置が前記第1上り無線信号を受信する無線起爆システム。
【請求項3】
請求項2に記載の無線起爆システムであって、
前記爆薬側受信アンテナと前記爆薬側送信アンテナが共通のアンテナであり、
前記第1受信アンテナと前記第1送信アンテナが共通のアンテナであり、
前記第2受信アンテナと前記第2送信アンテナが共通のアンテナである無線起爆システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の無線起爆システムであって、
前記中継装置は、前記挿入孔に一部または全部が挿入されるハウジングを有し、前記ハウジングに前記第1受信アンテナと前記第2送信アンテナと前記中継処理機が一体に設けられる、
または前記中継装置は、前記挿入孔に挿入される複数のハウジングを有し、前記複数のハウジングのいずれかに前記第1受信アンテナが設けられ、前記複数のハウジングのいずれかに前記第2送信アンテナが設けられ、前記複数のハウジングのいずれかに前記中継処理機が設けられる無線起爆システム。
【請求項5】
請求項4に記載の無線起爆システムであって、
前記ハウジングは、前記挿入孔の奥側に設置される奥側端を有し、前記奥側端に前記第2送信アンテナが設けられ、
前記奥側端の反対側の前記ハウジングの手前端に前記第1受信アンテナが設けられる無線起爆システム。
【請求項6】
請求項5に記載の無線起爆システムであって、
前記ハウジングの前記手前端が前記第1受信アンテナとともに前記挿入孔から前記発破対象から飛び出て設置される無線起爆システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載の無線起爆システムであって、
前記第2周波数は、岩盤を透過する1kHz~500kHzであり、
前記第1周波数は、1MHz~10GHzである無線起爆システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1つに記載の無線起爆システムであって、
前記起爆雷管を前記装薬孔に装填する雷管装填ユニットを有し、
前記雷管装填ユニットは、前記装薬孔に装填する前の前記起爆雷管の前記爆薬側受信アンテナに対して前記第2周波数の無線信号で通信可能な装填ユニット側通信装置を有する無線起爆システム。
【請求項9】
請求項8に記載の無線起爆システムであって、
前記起爆雷管は、動作用エネルギーを受信する受電コイルと、前記動作用エネルギーを蓄電するコンデンサを有し、
前記雷管装填ユニットは、前記装薬孔に装填される前の前記起爆雷管の前記受電コイルに前記動作用エネルギーを給電する給電コイルを有する無線起爆システム。
【請求項10】
請求項9に記載の無線起爆システムであって、
前記中継装置は、前記雷管装填ユニットの前記給電コイルから動作用エネルギーを受信する受電コイルと、前記動作用エネルギーを蓄電するコンデンサを有する無線起爆システム。
【請求項11】
請求項8~10のいずれか1つ記載の無線起爆システムであって、
前記装薬孔に装填される爆薬を送出する爆薬送出ユニットに前記雷管装填ユニットが設けられた無線起爆システム。
【請求項12】
無線起爆システム用中継装置であって、
発破対象から離間して設置された発破操作装置から第1周波数の第1下り無線信号を受信する第1受信アンテナと、
前記第1下り無線信号を受信処理し、前記第1周波数よりも低い第2周波数の第2下り無線信号で送信処理する中継処理機と、
前記第2下り無線信号を前記発破対象の装薬孔に装填された起爆雷管の爆薬側受信アンテナへ送信する第2送信アンテナと、
前記第1受信アンテナと前記中継処理機と前記第2送信アンテナが装着されたハウジングを有し、前記ハウジングが前記装薬孔と並んだ前記発破対象の挿入孔に装填される無線起爆システム用中継装置。
【請求項13】
請求項12に記載の無線起爆システム用中継装置であって、
前記起爆雷管から送信された前記第2周波数の第2上り無線信号を受信する第2受信アンテナと、
前記第2上り無線信号を受信処理し、前記第1周波数の第1上り無線信号で送信処理する中継処理機と、
前記第1上り無線信号を送信する第1送信アンテナを有し、
前記第2受信アンテナと前記中継処理機と前記第1送信アンテナが前記ハウジングに装着されている無線起爆システム用中継装置。
【請求項14】
請求項13に記載の無線起爆システム用中継装置であって、
前記第1受信アンテナと前記第1送信アンテナが共通のアンテナであり、
前記第2受信アンテナと前記第2送信アンテナが共通のアンテナである無線起爆システム用中継装置。
【請求項15】
請求項12~14のいずれか1つに記載の無線起爆システム用中継装置であって、
前記挿入孔の奥側に設置される前記ハウジングの奥側端に前記第2送信アンテナが設けられ、
前記奥側端の反対側の前記ハウジングの手前端に前記第1受信アンテナが設けられる無線起爆システム用中継装置。
【請求項16】
請求項15に記載の無線起爆システム用中継装置であって、
前記ハウジングの前記手前端が前記第1受信アンテナとともに前記挿入孔から前記発破対象から飛び出て設置される無線起爆システム用中継装置。
【請求項17】
請求項12~16のいずれか1つに記載の無線起爆システム用中継装置であって、
前記第2周波数は、岩盤を透過する1kHz~500kHzであり、
前記第1周波数は、1MHz~10GHzである無線起爆システム用中継装置。
【請求項18】
無線起爆システムを用いた無線起爆方法であって、
発破対象から離間した位置に設置された発破操作装置と前記発破対象の挿入孔に設置された中継装置の第1アンテナが相互に第1周波数である1MHz~10GHzの無線信号で通信し、
前記発破対象の装薬孔に設置された起爆雷管と前記中継装置の第2アンテナが相互に第2周波数である1kHz~500kHzの無線信号で通信し、
前記中継装置の中継処理機が前記第1周波数の信号を受信処理しかつ前記第2周波数の信号で送信処理し、また、前記中継装置の前記中継処理機が前記第2周波数の信号を受信処理しかつ前記第1周波数の信号で送信処理する無線起爆方法。
【請求項19】
請求項18に記載の無線起爆方法であって、
前記発破操作装置が前記第1周波数の第1下り無線信号を前記中継装置へ送信し、
前記中継装置の前記中継処理機が前記第1下り無線信号を受信処理し、前記第2周波数の第2下り無線信号で送信処理し、
前記中継装置が前記第2下り無線信号を前記起爆雷管へ送信する無線起爆方法。
【請求項20】
請求項18または19に記載の無線起爆方法であって、
前記起爆雷管が前記第2周波数の第2上り無線信号を前記中継装置へ送信し、
前記中継装置の前記中継処理機が前記第2上り無線信号を受信処理し、前記第1周波数の第1上り無線信号で送信処理し、
前記中継装置が前記第1上り無線信号を前記発破操作装置へ送信する無線起爆方法。
【請求項21】
請求項18~20のいずれか1つに記載の無線起爆方法であって、
雷管装填ユニットが前記発破対象の近傍において前記起爆雷管と前記中継装置に無線方式で給電し、
前記雷管装填ユニットが蓄電された前記起爆雷管を前記発破対象の前記装薬孔に装填し、
前記雷管装填ユニットが蓄電された前記中継装置を前記発破対象の前記挿入孔に装填する無線起爆方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の1つの形態は、トンネル等の掘削現場や、岩石等の破砕現場や、ビル等の構造物の破砕現場等にて使用する無線起爆システムに関する。加えて本形態は、前記無線起爆システムで使用される無線起爆用中継装置、及び無線起爆システムを用いた無線起爆方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルの掘削現場等における爆破作業で使用される無線起爆システムは、無線起爆雷管と発破操作装置を有する。無線起爆雷管は、発破対象の切羽面において掘削方向に開けられた複数の装薬孔に爆薬とともに装填される。装薬孔は、例えば径が数cmで深さが数m程度である。発破操作装置は、切羽面から離れた遠隔地に設置される。無線起爆雷管と発破操作装置は、それぞれ送受信アンテナを有する。
【0003】
特許第5630390号公報の無線起爆システムは、切羽面の近傍に設置された発破操作装置側アンテナを有する。発破操作装置側アンテナは、例えば切羽面から1m程度離れた位置に発破面の複数の装薬孔を囲む大きさのループ状で設置される。発破操作装置側アンテナは、無線起爆雷管へ向けて動作用エネルギーや起爆信号を含む制御信号を無線方式で送信する。爆薬側アンテナが発破操作装置からの動作用エネルギーや制御信号を受信する。動作用エネルギーは無線起爆雷管の蓄電素子に蓄電される。無線起爆雷管は、爆薬側アンテナを介して制御信号に基づいた自身の動作状態等を含む応答信号を電波で送信する。その電波を発破操作装置がアンテナを介して受信する。応答信号から無線起爆雷管の充電が完了したことを発破操作装置が認識する。その後、発破操作装置が無線起爆雷管に起爆信号を発信し、無線起爆雷管が爆薬を起爆する。
【0004】
発破操作装置側アンテナは、切羽面の外方から装薬孔内の爆薬側アンテナへ動作用エネルギーを送信する。特許第5630390号公報,特許第4309001号公報の無線起爆システムは、大型の発破操作装置側アンテナを発破面の近傍に設置する。特許第6612769号公報の無線起爆システムは、大型の発破操作装置側アンテナを点火場所に設置する。そのため大型の発破操作装置側アンテナを設置する手間があった。また発破操作装置側アンテナを設置できる場所に制約があり、作業性が良好でない場合があった。
【0005】
発破操作装置側アンテナは、岩盤を介して爆薬側アンテナへ動作用エネルギーや制御信号を送信する。特許第5630390号公報,特許第4309001号公報,特許第6612769号公報の発破操作装置側アンテナは、岩盤を透過し易い例えば1k~500kHzの低周波かつ比較的大きな(例えば数Wを超える)電力で動作用エネルギーや制御信号を送信する。そのためトンネルの外方へ電磁波が漏洩しないように、電磁波遮蔽などの対策が必要な場合があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特開2019-66092号公報の無線起爆システムは、無線起爆雷管から装薬孔の外方へ補助アンテナを引出して設置していた。これにより発破操作装置側アンテナと爆薬側アンテナは、岩盤を透過し難い例えば1M~10GHzの高周波で送受信できる。しかしながら無線起爆雷管毎に補助アンテナを引き出す必要があり、無線起爆雷管の装填作業が煩雑になる。したがって発破操作装置側アンテナと爆薬側アンテナの間の通信設備を効率良く設置でき、さらに発破操作装置側アンテナと爆薬側アンテナで送受信される信号が周辺へ漏洩することを防止できる無線起爆システムが従来必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1つの特徴によると、無線起爆システムは、発破操作装置と起爆雷管と中継装置を有する。発破操作装置は、発破対象から離間して設置されかつ第1周波数の第1下り無線信号を送信する。起爆雷管は、発破対象の装薬孔に装填されかつ第1周波数よりも低い第2周波数の第2下り無線信号を受信する爆薬側受信アンテナを備える。中継装置は、第1下り無線信号を受信する第1受信アンテナと、第1下り無線信号を受信処理し、第2周波数の第2下り無線信号で送信処理する中継処理機と、第2下り無線信号を送信する第2送信アンテナを備える。第2送信アンテナが装薬孔と並んだ発破対象の挿入孔に装填される。
【0008】
したがって中継装置と起爆雷管は、比較的低い周波数である第2周波数で無線交信する。例えば、発破対象を構成する岩盤等を透過する低い周波数で中継装置と起爆雷管が無線交信する。中継装置と起爆雷管は、いずれも発破対象に形成された孔に設置されるため、相互に近い場所に位置する。したがって例えば数W以下の小さな電力の無線信号で中継装置と起爆雷管が交信できる。一方、中継装置と発破操作装置は、高周波である第1周波数によって無線交信する。そのため発破対象であるトンネルの外などの周辺に信号が漏れることを抑制できる。
【0009】
本開示の他の特徴によると、起爆雷管は、第2周波数の第2上り無線信号を送信する爆薬側送信アンテナを有する。中継装置は、第2上り無線信号を受信する第2受信アンテナと、第2上り無線信号を受信処理し、第1周波数の第1上り無線信号で送信処理する中継処理機と、第1上り無線信号を送信する第1送信アンテナを有する。発破操作装置が第1上り無線信号を受信する。したがって発破操作装置から中継装置を介して起爆雷管へ送信される下りの無線信号のみならず、その逆の上りの無線信号においても前述の効果を得ることができる。
【0010】
本開示の他の特徴によると、爆薬側受信アンテナと爆薬側送信アンテナが共通のアンテナである。第1受信アンテナと第1送信アンテナが共通のアンテナである。第2受信アンテナと第2送信アンテナが共通のアンテナである。したがってシステム全体の部品点数を少なくできる。
【0011】
本開示の他の特徴によると、中継装置は、挿入孔に一部または全部が挿入されるハウジングを有する。ハウジングに第1受信アンテナと第2送信アンテナと中継処理機が一体に設けられる。または中継装置は、挿入孔に挿入される複数のハウジングを有する。複数のハウジングのいずれかに第1受信アンテナが設けられる。複数のハウジングのいずれかに第2送信アンテナが設けられる。複数のハウジングのいずれかに中継処理機が設けられる。したがって中継装置は、ハウジングを介して発破対象に支持される。そのため中継装置は、簡易に発破対象に挿入されかつ支持される。
【0012】
本開示の他の特徴によると、ハウジングは、挿入孔の奥側に設置される奥側端を有する。奥側端に第2送信アンテナが設けられる。奥側端の反対側のハウジングの手前端に第1受信アンテナが設けられる。したがって第2送信アンテナは、装薬孔の奥側に装填された起爆雷管に近い場所に位置する。そのため中継装置と起爆雷管は、より小さな電力による信号で交信できる。一方、第1受信アンテナは、挿入孔の開口に近い場所に位置する。そのため第1受信アンテナは、発破対象を構成する岩盤等に比較的邪魔されることなく、発破操作装置と無線信号によって交信できる。
【0013】
本開示の他の特徴によると、ハウジングの手前端が第1受信アンテナとともに挿入孔から発破対象から飛び出て設置される。したがって中継装置と発破操作装置は、発破対象を構成する岩盤等に遮られずに無線信号で交信できる。また第1受信アンテナは、発破対象に保持されたハウジングを利用して発破対象から飛び出ている。そのため簡易な構造で第1受信アンテナが発破対象に支持される。
【0014】
本開示の他の特徴によると、第2周波数は、岩盤を透過する1kHz~500kHzである。第1周波数は、1MHz~10GHzである。したがって中継装置と起爆雷管は、岩盤内で好適に無線交信できる。また第1周波数と第2周波数の周波数帯が離れている。そのため第1周波数の信号と第2周波数の信号が混信することが抑制され、誤った通信を抑制できる。
【0015】
本開示の他の特徴によると、起爆雷管を装薬孔に装填する雷管装填ユニットを有する。雷管装填ユニットは、装薬孔に装填する前の起爆雷管の爆薬側受信アンテナに対して第2周波数の無線信号で通信可能な装填ユニット側通信装置を有する。したがって起爆雷管と装填ユニット側通信装置を通信させる工程と、起爆雷管を装薬孔に装填する工程を一連の流れで効率良く行うことができる。さらに装填ユニット側通信装置から受信する爆薬側受信アンテナと、中継装置から受信する爆薬側受信アンテナを共通にできる。そのため起爆雷管の部品点数を少なくできる。
【0016】
本開示の他の特徴によると、起爆雷管は、動作用エネルギーを受信する受電コイルと、動作用エネルギーを蓄電するコンデンサを有する。雷管装填ユニットは、装薬孔に装填される前の起爆雷管の受電コイルに動作用エネルギーを給電する給電コイルを有する。したがって起爆雷管のコンデンサは、起爆雷管を装薬孔に装填する直前まで動作用エネルギーが蓄電されていない状態、または少ない状態を維持できる。そのため起爆雷管を発破対象まで運搬する際に、起爆可能なエネルギーをもたない安定した状態で運搬できる。また給電は、装薬孔に装填する直前の起爆雷管に対して行う。そのため比較的容量の小さいコンデンサを用いることができる。かくして起爆雷管のコストを安価にできる。また給電時間を短くできるため作業を効率良くできる。
【0017】
本開示の他の特徴によると、中継装置は、雷管装填ユニットの給電コイルから動作用エネルギーを受信する受電コイルと、動作用エネルギーを蓄電するコンデンサを有する。したがって起爆雷管に給電する給電コイルを利用して、中継装置も給電できる。そのためシステム全体の部品点数を少なくできる。さらに中継装置を挿入孔に挿入する直前に中継装置のコンデンサに蓄電する。そのためコンデンサの蓄電容量を通信に必要な最小限の量にできる。
【0018】
本開示の他の特徴によると、装薬孔に装填される爆薬を送出する爆薬送出ユニットに雷管装填ユニットが設けられる。したがって起爆雷管を装薬孔に装填する工程と、爆薬を装薬孔の起爆雷管よりも手前側に装填する工程を一連の流れで効率良く行うことができる。
【0019】
本開示の他の特徴によると、無線起爆システム用中継装置は、第1受信アンテナと中継処理機と第2送信アンテナを有する。第1受信アンテナは、発破対象から離間して設置された発破操作装置から第1周波数の第1下り無線信号を受信する。中継処理機は、第1下り無線信号を受信処理し、第1周波数よりも低い第2周波数の第2下り無線信号で送信処理する。第2送信アンテナは、第2下り無線信号を発破対象の装薬孔に装填された起爆雷管の爆薬側受信アンテナへ送信する。第1受信アンテナと中継処理機と第2送信アンテナがハウジングに装着される。ハウジングが装薬孔と並んだ発破対象の挿入孔に装填される。
【0020】
したがって中継装置と起爆雷管は、比較的低い周波数である第2周波数で無線交信する。例えば、発破対象を構成する岩盤等を透過する低い周波数で中継装置と起爆雷管が無線交信する。中継装置と起爆雷管は、いずれも発破対象に形成された孔に設置されるため、相互に近い場所に位置する。したがって例えば10W以下の小さな電力の無線信号で中継装置と起爆雷管が交信できる。一方、中継装置と発破操作装置は、高周波である第1周波数によって無線交信する。そのため発破対象であるトンネルの外などの周辺に信号が漏れることを抑制できる。
【0021】
本開示の他の特徴によると、無線起爆システム用中継装置は、第2受信アンテナと中継処理機と第1送信アンテナを有する。第2受信アンテナは、起爆雷管から送信された第2周波数の第2上り無線信号を受信する。中継処理機は、第2上り無線信号を受信処理し、第1周波数の第1上り無線信号で送信処理する。第1送信アンテナは、第1上り無線信号を送信する。第2受信アンテナと中継処理機と第1送信アンテナがハウジングに装着されている。したがって発破操作装置から中継装置を介して起爆雷管へ送信される下りの無線信号のみならず、その逆の上りの無線信号においても前述の効果を得ることができる。
【0022】
本開示の他の特徴によると、第1受信アンテナと第1送信アンテナが共通のアンテナである。第2受信アンテナと第2送信アンテナが共通のアンテナである。したがってシステム全体の部品点数を少なくできる。
【0023】
本開示の他の特徴によると、挿入孔の奥側に設置されるハウジングの奥側端に第2送信アンテナが設けられる。奥側端の反対側のハウジングの手前端に第1受信アンテナが設けられる。したがって第2送信アンテナは、装薬孔の奥側に装填された起爆雷管に近い場所に位置する。そのため中継装置と起爆雷管は、より小さな電力による信号で交信できる。一方、第1受信アンテナは、挿入孔の開口に近い場所に位置する。そのため第1受信アンテナは、発破対象を構成する岩盤等に比較的邪魔されることなく、発破操作装置と無線信号によって交信できる。
【0024】
本開示の他の特徴によると、ハウジングの手前端が第1受信アンテナとともに挿入孔から発破対象から飛び出て設置される。したがって中継装置と発破操作装置は、発破対象を構成する岩盤等に遮られずに無線信号で交信できる。また第1受信アンテナは、発破対象に保持されたハウジングを利用して発破対象から飛び出ている。そのため簡易な構造で第1受信アンテナが発破対象に支持される。
【0025】
本開示の他の特徴によると、第2周波数は、岩盤を透過する1kHz~500kHzであり、第1周波数は、1MHz~10GHzである。したがって中継装置と起爆雷管は、岩盤内で好適に無線交信できる。また第1周波数と第2周波数の周波数帯が離れている。そのため第1周波数の信号と第2周波数の信号が混信することが抑制され、誤った通信を抑制できる。
【0026】
本開示の他の特徴は、無線起爆システムを用いた無線起爆方法に関する。発破操作装置が発破対象から離間した位置に設置される。中継装置が発破対象の挿入孔に設置される。発破操作装置と中継装置の第1アンテナが相互に第1周波数である1MHz~10GHzの無線信号で通信する。起爆雷管が発破対象の装薬孔に設置される。起爆雷管と中継装置の第2アンテナが相互に第2周波数である1kHz~500kHzの無線信号で通信する。中継装置の中継処理機が第1周波数の信号を受信処理し、かつ第2周波数の信号で送信処理する。また、中継装置の中継処理機が第2周波数の信号を受信処理し、かつ第1周波数の信号で送信処理する。
【0027】
したがって中継装置と起爆雷管は、例えば発破対象を構成する岩盤等を透過する1kHz~500kHzの無線信号で交信する。中継装置と起爆雷管は、いずれも発破対象に形成された孔に設置されるため、相互に近い場所に位置する。したがって例えば10W以下の小さな電力の無線信号で中継装置と起爆雷管が交信できる。一方、中継装置と発破操作装置は、比較的高い1MHz~10GHzの無線信号で交信する。そのため発破対象であるトンネルの外などの周辺に信号が漏れることを抑制できる。
【0028】
本開示の他の特徴によると、発破操作装置が第1周波数の第1下り無線信号を中継装置へ送信する。中継装置の中継処理機が第1下り無線信号を受信処理し、第2周波数の第2下り無線信号で送信処理する。中継装置が第2下り無線信号を起爆雷管へ送信する。したがって発破操作装置から中継装置へ送信される第1周波数の下りの無線信号は、発破対象であるトンネルの外などの周辺に漏れることを抑制できる。中継装置から起爆雷管へ送信される第2周波数の下りの無線信号は、発破対象を構成する岩盤等を透過する。そのため発破操作装置から中継装置を介して起爆雷管へ好適に下りの無線信号を送信できる。
【0029】
本開示の他の特徴によると、起爆雷管が第2周波数の第2上り無線信号を中継装置へ送信する。中継装置の中継処理機が第2上り無線信号を受信処理し、第1周波数の第1上り無線信号で送信処理する。中継装置が第1上り無線信号を発破操作装置へ送信する。したがって発破操作装置から中継装置を介して起爆雷管へ送信される下りの無線信号のみならず、その逆の上りの無線信号においても前述の効果を得ることができる。
【0030】
本開示の他の特徴によると、雷管装填ユニットが発破対象の近傍において起爆雷管と中継装置に無線方式で給電する。雷管装填ユニットが蓄電された起爆雷管を発破対象の装薬孔に装填する。雷管装填ユニットが蓄電された中継装置を発破対象の挿入孔に装填する。したがって起爆雷管を充電しかつ装薬孔に装填する工程、あるいは中継装置を充電しかつ挿入孔に装填する工程を、発破対象の近傍において一連の流れで効率良く行うことができる。また給電は、装薬孔に装填する直前の起爆雷管、あるいは挿入孔に装填する直前の中継装置に対して行う。そのため比較的容量の小さいコンデンサ等の蓄電回路を用いることができる。かくして起爆雷管と中継装置のコストを安価にできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】無線起爆システムの全体構成とトンネル掘削現場の概略図である。
図2】切羽面の孔に装填された起爆雷管と中継装置を示す断面図と雷管装填ユニットの概略図である。
図3】第1実施形態に係る起爆雷管と中継装置と発破操作装置の概略図である。
図4】起爆雷管と雷管装填ユニットの給電コイルの概略図である。
図5】無線起爆システムのブロック図である。
図6】無線起爆システムによる一連の作業を示すフローチャートである。
図7】無線起爆システムにおける起爆雷管の充電処理のフローチャートである。
図8】無線起爆システムにおける起爆準備処理のフローチャートである。
図9】無線起爆システムにおける起爆処理のフローチャートである。
図10】第2実施形態に係る中継装置と雷管装填ユニットのブロック図である。
図11図10の中継装置の充電処理のフローチャートである。
図12】第3実施形態に係る起爆雷管と中継装置と発破操作装置の概略図である。
図13】第4実施形態に係る起爆雷管と中継装置と発破操作装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本開示の好ましい実施形態を図面を参照して下記に詳しく説明する。説明中の同じ参照番号は、重複する説明をしないが、同じ機能を有する同じ要素を意味する。本開示の一つの実施の形態を図1~9にしたがって説明する。無線起爆システム1は、爆薬を爆破させて例えばトンネル、海底、岩石、ビル等の構造物等を掘削または破砕するために用いられる。本実施形態では、図1に示すようにトンネル70の掘削現場を例として説明する。トンネル70は、切羽面71を奥部に有する。切羽面71には、上下方向及び左右方向に所定の間隔を有して複数の装薬孔72が削孔される。装薬孔72は、トンネル70の奥行き方向に延出する。図2に示すように各装薬孔72内には、起爆雷管10と複数の爆薬2が装填される。爆薬2より手前の装薬孔72の入口は、粘土等の封止部材73で封止される。
【0033】
図1に示すように切羽面71には、中継装置30を設置するための1つまたは複数の挿入孔74が削孔される。挿入孔74は、爆薬2が装填される複数の装薬孔72に対して上下方向及び左右方向に所定の間隔を有して位置する。挿入孔74は、複数の装薬孔72と略平行にトンネル70の奥行き方向に延出する。挿入孔74内に中継装置30が挿入される。中継装置30のハウジング31は、挿入孔74の入口から一部が飛び出る。中継装置30は、装薬孔72内の複数の起爆雷管10のそれぞれと無線方式で交信する。
【0034】
図1に示すように無線起爆システム1は、トンネル70の洞床またはトンネル70の外部に設置される発破操作装置40を有する。発破操作装置40は、切羽面71から距離L1だけ離れた位置に配置される。距離L1は、例えば100m~1000mに設定される。発破操作装置40は、送受信アンテナ47を有し、中継装置30と無線方式で交信できる。そのため発破操作装置40は、中継装置30を介して装薬孔72内の複数の起爆雷管10のそれぞれと無線方式で交信できる。
【0035】
図2に示すように起爆雷管10と爆薬2は、雷管装填ユニット51を利用して各装薬孔72に装填される。雷管装填ユニット51は、例えば車両型の爆薬送出ユニット50に設けられる。雷管装填ユニット51には、起爆雷管10を充電するための給電装置52が装着される。給電装置52は、起爆雷管10を装薬孔72に装填する直前において起爆雷管10に給電する。これに代えて給電装置52は、雷管装填ユニット51と別個に設けられ、携帯できるハンディタイプであっても良い。
【0036】
起爆雷管10を図4,5にしたがって詳細に説明する。起爆雷管10は、略円柱形状の雷管本体11を有する。雷管本体11の外周面の略中央部には、受電コイル12が円環状に巻き回される。受電コイル12の巻き数は、1周以上で例えば10周以上である。受電コイル12は、電磁場に曝されることにより特定の周波数、振幅の電流を発生させる。電流は起爆雷管10の制御用、起爆用の電力として用いられる。受電コイル12は、特定の周波数の各種信号を送受信する送受信アンテナを兼ねる。受電コイル12は、特定の周波数、振幅の電流が流れることで各種信号を送信する。受電コイル12は、特定の電磁場に曝されることで特定の周波数、振幅の各種信号を受信する。電磁波の周波数は、土中や岩盤内の透過性が良いように例えば1k~500kHzであり、好ましくは10k以上、例えば200kHzである。
【0037】
図4に示すように起爆雷管10は、雷管本体11の一端面から突出する雷管点火部13を有する。雷管点火部13は、雷管本体11の長手方向に沿って延出する。雷管点火部13は、爆薬2の1つである親ダイ2aに挿入される。
【0038】
図5に示すように起爆雷管10は、受電コイル12と電気的に接続される同調回路22と整流素子23と蓄電回路25を有する。同調回路22は、受電コイル12が電力を受信する際に発生した電流の受信周波数に同調する。整流素子23は、同調回路22から入力された電流を直流電流に整流する。蓄電回路25は、例えばコンデンサ等であり、整流素子23で整流された電力を蓄える。蓄電回路25は、起爆雷管10の各電子部品を動作させるための電力と、雷管点火部13が点火するための電力を蓄える。
【0039】
図5に示すように起爆雷管10は、受電コイル12をアンテナとして利用するための雷管モデム24を有する。雷管モデム24は、受信回路(復調回路)24aと送信回路(変調回路)24bを有する。受信回路24aと送信回路24bは、それぞれ受電コイル12と制御回路(CPU)21に接続される。受電コイル12が信号を受信する際に電流が発生する。受信回路24aは、この電流の変化に基づくアナログ信号をデジタル信号に変換(復調)する。送信回路24bは、制御回路21から送信されたデジタル信号をアナログ信号に変換(変調)する。受電コイル12には、送信回路24bで変調した信号に基づく電流が流れる。起爆雷管10は、制御回路21に接続されたメモリ26を有する。メモリ26には、起爆雷管10固有のID番号(シリアルナンバー)やアルゴリズムが予め記録される。メモリ26には、例えば受信回路24aで復調した起爆遅延時間を設定する信号に基づいて起爆遅延時間が記録される。
【0040】
図5に示すように起爆雷管10は、制御回路21に接続された起爆スイッチ27と抵抗測定回路28を有する。起爆スイッチ27は、蓄電回路25と雷管点火部13を電気的に接続した接続状態と切断した遮断状態とに切替える。起爆スイッチ27は、制御回路21からオン信号が出力されない場合、蓄電回路25と雷管点火部13を遮断状態にする。起爆スイッチ27は、制御回路21からオン信号が出力された際に、蓄電回路25と雷管点火部13を接続状態にする。抵抗測定回路28は、雷管点火部13が正常か否かを判断するために、制御回路21からの出力に基づいて雷管点火部13の電気抵抗を測定する。
【0041】
図5に示すように中継装置30は、円筒状のハウジング31を有する。ハウジング31は、一端に手前端31aを有し他端に奥側端31bを有する。手前端31aは、挿入孔74の入口から飛び出た位置に配置される。奥側端31bは、挿入孔74の入口から遠い奥側に配置される。中継装置30は、手前端31aに第1送受信アンテナ35を有する。中継装置30は、奥側端31bに第2送受信アンテナ37を有する。
【0042】
図5に示すように中継装置30は、制御回路(CPU)32を有し、制御回路32は、入力された信号を受信処理し、異なる周波数の信号で送信処理する中継処理機を備える。中継処理機は、例えば1M~10GHzの信号を受信処理し、1k~500kHzの信号で送信処理する。あるいは中継処理機は、例えば1k~500kHzの信号を受信処理し、1M~10GHzの信号で送信処理する。中継装置30は、制御回路32に電力を供給する電源33と、メモリ34を有する。制御回路32は、指令に基づいてメモリ34に情報を記録、またはメモリ34に記憶されたデータを読出し、またはメモリ34に記憶されたアルゴリズムに基づいて計算する。
【0043】
図5に示すように中継装置30は、第1モデム36と第2モデム38を有する。第1モデム36は、第1アンテナ側受信回路36aと第1アンテナ側送信回路36bを有する。第1アンテナ側受信回路36aと第1アンテナ側送信回路36bは、それぞれ第1送受信アンテナ35と制御回路32に接続される。第1アンテナ側受信回路36aは、第1送受信アンテナ35が受信したアナログ信号をデジタル信号に復調する。第1アンテナ側送信回路36bは、制御回路32から送信されたデジタル信号をアナログ信号に変調する。第1送受信アンテナ35は、土中や岩盤内を透過し難い例えば1M~10GHzの無線電波を送信または/および受信し、好ましくは100MHz以上、例えば920MHzの無線電波を送信または/および受信する。
【0044】
図5に示すように第2モデム38は、第2アンテナ側受信回路38aと第2アンテナ側送信回路38bを有する。第2アンテナ側受信回路38aと第2アンテナ側送信回路38bは、それぞれ第2送受信アンテナ37と制御回路32に接続される。第2アンテナ側受信回路38aは、第2送受信アンテナ37が受信したアナログ信号をデジタル信号に復調する。第1アンテナ側送信回路36bは、制御回路32から送信されたデジタル信号をアナログ信号に変調する。第2送受信アンテナ37は、土中や岩盤内の透過性が良い例えば1k~500kHzの無線電波を送信または/および受信し、好ましくは例えば200kHzの無線電波を送信または/および受信する。
【0045】
図5に示すように発破操作装置40は、制御回路(CPU)43と入力部41と表示部42を有する。制御回路43は、発破操作装置40の各電気部品からの電気信号の入力に基づいて各電気部品に電気信号を出力する。入力部41は、例えばキーボードやスイッチ、タッチパネル等を備える。表示部42は、例えばディスプレイや点灯・消灯をするランプ等を備える。作業者は、表示部42に表示された情報を確認しながら、入力部41を操作する。入力部41と表示部42は、それぞれ制御回路43と電気的に接続される。発破操作装置40は、制御回路43に電力を供給する電源44と、メモリ45を有する。制御回路43は、指令に基づいて例えば起爆雷管10のID番号等の情報をメモリ45に記録、またはメモリ45に記憶されたデータを読出し、またはメモリ45に記憶されたアルゴリズムに基づいて計算する。
【0046】
図5に示すように発破操作装置40は、送受信アンテナ47と操作機モデム46を有する。操作機モデム46は、受信回路46aと送信回路46bを有する。受信回路46aと送信回路46bは、それぞれ送受信アンテナ47と制御回路43に接続される。受信回路46aは、送受信アンテナ47が受信したアナログ信号をデジタル信号に復調する。送信回路46bは、制御回路43から送信されたデジタル信号をアナログ信号に変調する。送受信アンテナ47は、例えば1M~10GHzの無線電波を送信または/および受信する。
【0047】
図2に示すように無線起爆システム1は、各装薬孔72内に起爆雷管10と爆薬2を送出する爆薬送出ユニット50を有する。爆薬送出ユニット50は、車両50aに搭載されたブーム50bを有する。ブーム50bは、伸縮または傾動可能に車両50aに支持される。ブーム50bの端部に雷管装填ユニット51が設けられる。雷管装填ユニット51は、ブーム50bの伸縮または傾動によって装薬孔72内へ移動する。雷管装填ユニット51は、起爆雷管10を保持し、または起爆雷管10の保持を解除する。雷管装填ユニット51が装薬孔72内に移動することで起爆雷管10が装薬孔72に装填される。
【0048】
図4に示すように雷管装填ユニット51は、装薬孔72に装填される前の起爆雷管10の受電コイル12に動作用エネルギーを給電する給電装置52を有する。給電装置52は、筒状でありかつ両側が開口した筒本体52aを有する。筒本体52aは、円環状に巻き回された給電コイル(アンテナ)53を有する。給電コイル53は、筒本体52aの外周面に沿って巻き回される。給電コイル53の巻き数は、1周以上で例えば10周以上である。筒本体52aの開口52bは、雷管本体11の外周面に巻き回された受電コイル12の外径よりも大きい内径を有する。
【0049】
図4に示すように給電コイル53は、特定の周波数、振幅、波長の電流が流れることで給電コイル53の周囲に電場または磁場を発生させて特定の電磁波を送信する。給電コイル53は、特定の電磁場に曝されることで特定の周波数、振幅の各種信号を受信する。給電コイル53は、例えば1k~500kHz、好ましくは例えば200kHzで受電コイル12と交信する。
【0050】
図5に示すように雷管装填ユニット51は、装薬孔72に装填する前の起爆雷管10の受電コイル12と交信可能な装填ユニット側通信装置55を有する。装填ユニット側通信装置55は、制御回路(CPU)58と入力部56と表示部57を有する。制御回路58は、装填ユニット側通信装置55の各電気部品からの電気信号の入力に基づいて各電気部品に電気信号を出力する。入力部56は、例えばキーボードやスイッチ、タッチパネル等を備える。表示部57は、例えばディスプレイや点灯・消灯をするランプ等を備える。作業者は、表示部57に表示された情報を確認しながら、入力部56を操作する。入力部56と表示部57は、それぞれ制御回路58と電気的に接続される。
【0051】
図5に示すように装填ユニット側通信装置55は、制御回路58に電力を供給する電源59と、メモリ60と給電回路61を有する。制御回路58は、指令に基づいて例えば起爆雷管10のID番号等の情報をメモリ60に記録、またはメモリ60の記憶されたデータを読出し、またはメモリ60に記憶されたアルゴリズムに基づいて計算する。給電回路61は、電源59と給電コイル53に電気的に接続される。制御回路58は、指令に基づいて電源59から給電回路61を介して給電コイル53に電流を出力する。
【0052】
図5に示すように装填ユニット側通信装置55は、給電コイル53と制御回路58に接続される装填ユニットモデム62を有する。装填ユニットモデム62は、受信回路62aと送信回路62bを有する。受信回路62aと送信回路62bは、それぞれ給電コイル53と制御回路58に接続される。受信回路62aは、給電コイル53が受信したアナログ信号をデジタル信号に復調する。送信回路62bは、制御回路58から送信されたデジタル信号をアナログ信号に変調する。送信回路62bは、例えば起爆遅延時間の設定信号等に係る特定の周波数1k~500kHzでありかつ特定の符号信号を設定した電流を給電コイル53に出力する。
【0053】
図6~9にしたがって無線起爆システム1を利用して切羽面71を爆破して掘削する無線起爆方法のフローを説明する。まず作業者は、図1を参照するように発破の準備のために切羽面71に複数の装薬孔72と1つ以上の挿入孔74を削孔する(図6のステップS1)。装薬孔72と挿入孔74は、例えば径が5cm程度、深さが2m程度に削孔される。図4を参照するように起爆雷管10の雷管本体11を長手方向に沿って給電装置52の筒本体52aに挿入する(ステップS2)。受電コイル12は、給電コイル53の径方向内方に配置される。作業者は、入力部56(図5参照)を操作して起爆雷管10の充電処理を開始する(ステップS3)。
【0054】
図5を参照するように装填ユニット側通信装置55の制御回路58は、入力部56からの入力信号を受けて給電回路61を介して給電コイル53に電流を出力する(図7のステップS11)。給電コイル53は、例えば周波数が1k~500kHzの磁界を発生させる(ステップS12)。起爆雷管10の受電コイル12は、磁界を受信して電流を発生させる(ステップS13)。同調回路22は、受電コイル12で発生した電流の周波数に同調する(ステップS14)。整流素子23は、受信した電流を直流電流に整流する(ステップS15)。
【0055】
図5を参照するように蓄電回路25は、直流電流が供給されることで電力を蓄える(ステップS16)。なお受電コイル12で電流が発生する前段階では、蓄電回路25の電圧は0Vである。装填ユニット側通信装置55からのID番号の問い合わせ信号の送信(ステップS17)に対し、蓄電回路25の電圧が所定値未満の場合応答しない。応答した場合、起爆雷管10の制御用の電力と雷管点火部13の点火用の電力が蓄電回路25に十分に蓄電されている。受電コイル12がID番号の問い合わせ信号を受信し(ステップS18)、受信回路24aが信号を復調する(ステップS19)。制御回路21は、起爆雷管10のID番号を送信回路24bに送信する(ステップS20)。送信回路24bが信号を変調し(ステップS21)、受電コイル12に送信する。受電コイル12は、変調した信号を例えば1k~500kHzの無線電波で送信する(ステップS22)。
【0056】
図5を参照するように給電コイル53が信号を受信する(ステップS23)。受信回路62aが信号を復調し(ステップS24)、制御回路58に送信する。制御回路58は、起爆雷管10のID番号を確認し(ステップS25)、メモリ60にID番号を記録する。制御回路58は、起爆雷管10のID番号に応じた起爆遅延時間の設定信号を送信回路62bに送信する(ステップS26)。送信回路62bが信号を変調し(ステップS27)、給電コイル53は、例えば周波数が1k~500kHzの磁界を発生させて起爆遅延時間の設定信号を送信する(ステップS28)。
【0057】
図5を参照するように受電コイル12が信号を受信し(ステップS29)、受信回路24aが信号を復調する(ステップS30)。メモリ26は、制御回路21の指令に基づいて起爆遅延時間を記録する(ステップS31)。制御回路21は、起爆遅延時間の設定完了の信号を送信回路24bに送信する(ステップS32)。送信回路24bが信号を変調し(ステップS33)、受電コイル12に送信する。受電コイル12は、変調した信号を例えば1k~500kHzの無線電波で送信する(ステップS34)。
【0058】
図5を参照するように給電コイル53が信号を受信し(ステップS35)、受信回路62aが信号を復調し(ステップS36)、制御回路58に送信する。制御回路58は、起爆雷管10の起爆遅延時間の設定完了を確認する(ステップS37)。表示部57は、起爆雷管10の充電処理(準備)が完了したことを表示する(ステップS38)。
【0059】
図2に示すように給電装置52は、雷管装填ユニット51のブーム50bの端部に設けられる。これに代えて給電装置52は、ブーム50bと異なる場所に設けられる。例えば給電装置52は、雷管装填ユニット51と離れて設けられる。このような場合、図4を参照するように作業者は、充電完了した起爆雷管10を給電装置52の筒本体52aから抜き出す(図6のステップS4)。作業者が充電された起爆雷管10を爆薬送出ユニット50にセットする。図2を参照するように雷管装填ユニット50は、起爆雷管10と爆薬2を装薬孔72に装填する(ステップS5)。起爆雷管10は、雷管点火部13と連結された親ダイ2a側を手前側にして装填される。親ダイ2aの手前側に複数の増ダイ2bが装填される。装薬孔72の入口が封止部材73で封止される。作業者は、中継装置30を挿入孔74に挿入する(ステップS6)。第2送受信アンテナ37を有する奥側端31bは、挿入孔74の入口から遠い奥側に配置される。第1送受信アンテナ35を有する手前端31aは、挿入孔74の入口から飛び出てハウジング31に支持される。
【0060】
図3を参照するように作業者は、全ての起爆雷管10と爆薬2と中継装置30を装填した後、切羽面71から所定の距離離れた遠隔地に発破操作装置40を設置する(ステップS7)。雷管装填ユニット51(図2参照)を備えた爆薬送出ユニット50は、切羽面71から所定の距離離れた遠隔地に退避させる。作業者は、入力部41を操作して起爆雷管10に対して起爆準備処理を開始する(ステップS8)。
【0061】
図5を参照するように発破操作装置40の制御回路43は、入力部41からの信号を受けて雷管点火部13の健全性の良否を確認する起爆準備の信号を送信回路46bに送信する(図8のステップS41)。送信回路46bが信号を変調し(ステップS42)、送受信アンテナ47が例えば1M~10GHzの無線電波で下りの信号を送信する(ステップS43)。
【0062】
図5を参照するように中継装置30の第1送受信アンテナ35が下りの信号を受信し(ステップS44)、第1アンテナ側受信回路36aが信号を復調する(ステップS45)。制御回路32の中継処理機は、例えば1M~10GHzの高周波の信号を受信処理し、1k~500kHzの低周波の信号で送信処理する(ステップS46)。第2アンテナ側送信回路38bが信号を変調し(ステップS47)、第2送受信アンテナ37が例えば1k~500kHzの無線電波で下りの信号を送信する(ステップS48)。
【0063】
図5を参照するように受電コイル12が下りの信号を受信し(ステップS49)、受信回路24aが信号を復調する(ステップS50)。抵抗測定回路28は、制御回路21からの出力に基づいて雷管点火部13の電気抵抗を測定する(ステップS51)。制御回路21は、測定された抵抗値から雷管点火部13の健全性(通電性)の良否を判定する(ステップS52)。制御回路21は、雷管点火部13の健全性の良否の信号を送信回路24bに送信する(ステップS53)。送信回路24bが信号を変調し(ステップS54)、受電コイル12(例えば送受信アンテナ)が例えば1k~500kHzの無線電波で上りの信号を送信する(ステップS55)。
【0064】
図5を参照するように第2送受信アンテナ37が上りの信号を受信し(ステップS56)、第2アンテナ側受信回路38aが信号を復調する(ステップS57)。制御回路32の中継処理機は、例えば1k~500kHzの低周波の信号を受信処理し、1M~10GHzの高周波の信号で送信処理する(ステップS58)。第1アンテナ側送信回路36bが信号を変調し(ステップS59)、第1送受信アンテナ35が例えば1M~10GHzの無線電波で上りの信号を送信する(ステップS60)。
【0065】
図5を参照するように送受信アンテナ47が上りの信号を受信し(ステップS61)、受信回路46aが信号を変調(例えば復調)する(ステップS62)。制御回路43は、雷管点火部13の健全性が良好である場合(ステップS63)、表示部42に起爆雷管10の起爆準備が完了した旨を表示させる(ステップS64)。制御回路43は、所定のID番号の起爆雷管10の雷管点火部13の健全性が良好でない場合(ステップS63)、表示部42に起爆雷管10のID番号と雷管点火部13の健全性が良好でない旨を表示させる。作業者は、起爆準備処理が完了した後、入力部41を操作して起爆雷管10に対して起爆処理を開始する(図6のステップS9)。
【0066】
図5を参照するように作業者が発破操作装置40の入力部41を操作し、制御回路43が入力部41からの信号を受けて起爆信号を送信回路46bに送信する(図9のステップS71)。送信回路46bが信号を変調し(ステップS72)、送受信アンテナ47が例えば1M~10GHzの無線電波で下りの信号を送信する(ステップS73)。中継装置30の第1送受信アンテナ35が下りの信号を受信し(ステップS74)、第1アンテナ側受信回路36aが信号を復調する(ステップS75)。制御回路32の中継処理機は、例えば1M~10GHzの高周波の信号を受信処理し、1k~500kHzの低周波の信号で送信処理する(ステップS76)。第2アンテナ側送信回路38bが信号を変調し(ステップS77)、第2送受信アンテナ37が例えば1k~500kHzの無線電波で下りの信号を送信する(ステップS78)。
【0067】
図5を参照するように受電コイル12が下りの信号を受信し(ステップS79)、受信回路24aが信号を復調する(ステップS80)。制御回路21は、起爆信号を受信した際に内部に有するタイマーを起動させる。タイマーによる時間がメモリ26に記録された起爆遅延時間に達したか否かを判定する(ステップS81)。判定は、タイマーのカウント時間が起爆遅延時間に達するまで繰り返される。タイマーのカウント時間が起爆遅延時間に達した場合、制御回路21が起爆スイッチ27にオン信号を出力する(ステップS82)。起爆スイッチ27がオンして接続状態になり(ステップS83)、蓄電回路25が起爆スイッチ27を介して雷管点火部13に送電する(ステップS84)。雷管点火部13が点火して(ステップS85)、爆薬2(図3参照)が起爆する。
【0068】
上述した無線起爆システム1によれば、図5に示すように発破操作装置40と起爆雷管10と中継装置30を有する。発破操作装置40は、切羽面71から離間して設置されかつ第1周波数の第1下り無線信号を送信する。起爆雷管10は、切羽面71の装薬孔72に装填されかつ第1周波数よりも低い第2周波数の第2下り無線信号を受信する受電コイル12を備える。中継装置30は、第1下り無線信号を受信する第1送受信アンテナ35と、第1下り無線信号を受信処理し、第2周波数の第2下り無線信号で送信処理する制御回路32の中継処理機と、第2下り無線信号を送信する第2送受信アンテナ37を備える。第2送受信アンテナ37が装薬孔72と並んだ切羽面71の挿入孔74に装填される。
【0069】
したがって中継装置30と起爆雷管10は、比較的低い周波数である第2周波数で無線交信する。例えば、発破対象を構成する岩盤等を透過する低い周波数で中継装置30と起爆雷管10が無線交信する。中継装置30と起爆雷管10は、いずれも切羽面71に形成された装薬孔72または挿入孔74に設置されるため、相互に近い場所に位置する。したがって例えば10W以下の小さな電力の無線信号で中継装置30と起爆雷管10が交信できる。一方、中継装置30と発破操作装置40は、高周波である第1周波数によって無線交信する。そのため発破対象であるトンネル70の外などの周辺に信号が漏れることを防止できる。
【0070】
図5に示すように起爆雷管10は、第2周波数の第2上り無線信号を送信する受電コイル12を有する。中継装置30は、第2上り無線信号を受信する第2送受信アンテナ37と、第2上り無線信号を受信処理し、第1周波数の第1上り無線信号で送信処理する制御回路32の中継処理機と、第1上り無線信号を送信する第1送受信アンテナ35を有する。発破操作装置40が第1上り無線信号を受信する。したがって発破操作装置40から中継装置30を介して起爆雷管10へ送信される下りの無線信号のみならず、その逆の上りの無線信号においても前述の効果を得ることができる。
【0071】
図5に示すように爆薬側受信アンテナと爆薬側送信アンテナが共通の受電コイル12である。第1受信アンテナと第1送信アンテナが共通の第1送受信アンテナ35である。第2受信アンテナと第2送信アンテナが共通の第2送受信アンテナ37である。したがって無線起爆システム1全体の部品点数を少なくできる。
【0072】
図5に示すように中継装置30は、挿入孔74に一部または全部が挿入されるハウジング31を有する。ハウジング31に第1送受信アンテナ35と第2送受信アンテナ37と中継処理機を備えた制御回路32とが一体に設けられる。したがって中継装置30は、ハウジング31を介して発破対象に支持される。そのため中継装置30は、簡易に発破対象に挿入されかつ支持される。
【0073】
図5に示すようにハウジング31は、挿入孔74の奥側に設置される奥側端31bを有する。奥側端に第2送受信アンテナ37が設けられる。奥側端の反対側のハウジング31の手前端に第1送受信アンテナ35が設けられる。したがって第2送受信アンテナ37は、装薬孔72の奥側に装填された起爆雷管10に近い場所に位置する。そのため中継装置30と起爆雷管10は、例えば10W以下の小さな電力による信号で交信できる。一方、第1送受信アンテナ35は、挿入孔74の開口に近い場所に位置する。そのため第1送受信アンテナ35は、発破対象を構成する岩盤等に比較的邪魔されることなく、発破操作装置40と無線信号によって交信できる。
【0074】
図5に示すようにハウジング31の手前端31aが第1送受信アンテナ35とともに挿入孔74から切羽面71から飛び出て設置される。したがって中継装置30と発破操作装置40は、発破対象を構成する岩盤等に遮られずに無線信号で交信できる。また第1送受信アンテナ35は、発破対象に保持されたハウジング31を利用して切羽面71から飛び出ている。そのため簡易な構造で第1送受信アンテナ35が発破対象に支持される。
【0075】
図5を参照するように第2周波数は、岩盤を透過する1kHz~500kHzである。第1周波数は、1MHz~10GHzである。したがって中継装置30と起爆雷管10は、岩盤内で好適に無線交信できる。また第1周波数と第2周波数の周波数帯が離れている。そのため第1周波数の信号と第2周波数の信号が混信することが抑制され、誤った通信を防止できる。
【0076】
図2に示すように起爆雷管10を装薬孔72に装填する雷管装填ユニット51を有する。雷管装填ユニット51は、装薬孔72に装填する前の起爆雷管10の受電コイル12に対して第2周波数の無線信号で通信可能な装填ユニット側通信装置55を有する。したがって起爆雷管10と装填ユニット側通信装置55を通信させる工程と、起爆雷管10を装薬孔72に装填する工程を一連の流れで効率良く行うことができる。さらに装填ユニット側通信装置55から受信する受電コイル12と、中継装置30から受信する受電コイル12を共通にできる。そのため起爆雷管10の部品点数を少なくできる。
【0077】
図5に示すように起爆雷管10は、動作用エネルギーを受信する受電コイル12と、動作用エネルギーを蓄電する蓄電回路25を有する。雷管装填ユニット51は、装薬孔72に装填される前の起爆雷管10の受電コイル12に動作用エネルギーを給電する給電コイル53を有する。したがって蓄電回路25は、起爆雷管10を装薬孔72に装填する直前まで動作用エネルギーが蓄電されていない状態を維持できる。そのため起爆雷管10を切羽面71まで運搬する際に、エネルギーが低い安定した状態で運搬できる。また給電は、装薬孔72に装填する直前の起爆雷管10に対して行う。そのため蓄電回路25に例えば比較的容量の小さいコンデンサを用いることができる。かくして起爆雷管10のコストを安価にできる。また給電時間を短くできるため作業を効率良くできる。
【0078】
図2に示すように装薬孔72に装填される爆薬を送出する爆薬送出ユニット50に雷管装填ユニット51が設けられる。したがって起爆雷管10を装薬孔72に装填する工程と、爆薬を装薬孔72の起爆雷管10よりも手前側に装填する工程を一連の流れで効率良く行うことができる。
【0079】
図5に示すように中継装置30は、第2送受信アンテナ37と中継処理機を備えた制御回路32と第1送受信アンテナ35とを有する。第2送受信アンテナ37は、起爆雷管10から送信された第2周波数の第2上り無線信号を受信する。中継処理機は、第2上り無線信号を受信処理し、第1周波数の第1上り無線信号で送信処理する。第1送受信アンテナ35は、第1上り無線信号を送信する。第2送受信アンテナ37と中継処理機と第1送受信アンテナ35がハウジング31に装着されている。したがって発破操作装置40から中継装置30を介して起爆雷管10へ送信される下りの無線信号のみならず、その逆の上りの無線信号においても前述の効果を得ることができる。
【0080】
図1に示すように発破操作装置40が発破対象から離間した位置に設置される。中継装置30が発破対象の挿入孔74に設置される。発破操作装置40と中継装置30の第1送受信アンテナ35が相互に第1周波数である1MHz~10GHzの無線信号で通信する。起爆雷管10が発破対象の装薬孔72に設置される。起爆雷管10と中継装置30の第2送受信アンテナ37が相互に第2周波数である1kHz~500kHzの無線信号で通信する。中継装置30の中継処理機が第1周波数の信号を受信処理し、かつ第2周波数の信号で送信処理する。また、中継装置30の中継処理機が第2周波数の信号を受信処理し、かつ第1周波数の信号で送信処理する。
【0081】
したがって中継装置30と起爆雷管10は、例えば発破対象を構成する岩盤等を透過する1kHz~500kHzの無線信号で交信する。中継装置30と起爆雷管10は、いずれも切羽面71に形成された装薬孔72または挿入孔74に設置されるため、相互に近い場所に位置する。したがって例えば10W以下の小さな電力の無線信号で中継装置30と起爆雷管10が交信できる。一方、中継装置30と発破操作装置40は、比較的高い1MHz~10GHzの無線信号で交信する。そのため発破対象であるトンネル70の外などの周辺に信号が漏れることを防止できる。
【0082】
図5に示すように発破操作装置40が第1周波数の第1下り無線信号を中継装置30へ送信する。中継装置30の中継処理機が第1下り無線信号を受信処理し、第2周波数の第2下り無線信号で送信処理する。中継装置30が第2下り無線信号を起爆雷管10へ送信する。したがって発破操作装置40から中継装置30へ送信される第1周波数の下りの無線信号は、発破対象であるトンネル70の外などの周辺に漏れることを防止できる。中継装置30から起爆雷管10へ送信される第2周波数の下りの無線信号は、発破対象を構成する岩盤等を透過する。そのため発破操作装置40から中継装置30を介して起爆雷管10へ好適に下りの無線信号を送信できる。
【0083】
本開示の他の実施の形態を図10,11にしたがって説明する。第2実施形態の無線起爆システム80は、図5に示す無線起爆システム1の中継装置30に代えて図10に示す中継装置81を有する。中継装置81は、第2送受信アンテナ37(図5参照)に代えて略円柱形状のハウジング82の外周面に円環状に巻き回された受電コイル85を有する。受電コイル85は、受電コイル85の巻き数は、1周以上で例えば10周以上である。受電コイル85は、電磁場に曝されることにより電流を発生させ、電流が中継装置81の動作用の電力として用いられる。受電コイル85は、例えば1k~500kHzの無線信号を送受信する第2送受信アンテナを兼ねる。
【0084】
図10に示すように中継装置81は、電源33(図5参照)に代えて受電コイル85と電気的に接続される同調回路86と整流素子87と蓄電回路84を有する。同調回路86は、受電コイル85が電力を受信する際に発生した電流の受信周波数に同調する。整流素子87は、同調回路86から入力された電流を直流電流に整流する。蓄電回路84は、例えばコンデンサ等であり、整流素子87で整流された電力を中継装置81の各電子部品を動作させるための電力として蓄える。
【0085】
図11にしたがって中継装置81の蓄電回路84を充電する処理のフローを説明する。中継装置81の充電処理は、図6に示すステップS5とステップS6の間で行われる。まず、図10を参照するように装填ユニット側通信装置55の制御回路58は、入力部56からの入力信号を受けて給電回路61を介して給電コイル53に電流を出力する(図11のステップS101)。給電コイル53は、例えば周波数が1k~500kHzの磁界を発生させる(ステップS102)。中継装置81の受電コイル85は、磁界を受信して電流を発生させる(ステップS103)。同調回路86は、受電コイル85で発生した電流の周波数に同調する(ステップS104)。整流素子87は、受信した電流を直流電流に整流する(ステップS105)。
【0086】
図10を参照するように蓄電回路84は、直流電流が供給されることで電力を蓄える(ステップS106)。装填ユニット側通信装置55からのID番号の問い合わせ信号の送信(ステップS107)に対し、蓄電回路84の電圧が所定値未満の場合応答しない。応答した場合、中継装置81の動作用の電力が蓄電回路84に十分に蓄電されている。受電コイル85がID番号の問い合わせ信号を受信し(ステップS108)、第2アンテナ側受信回路38aが信号を復調する(ステップS109)。制御回路83は、蓄電回路84のID番号を第2アンテナ側送信回路38bに送信する(ステップS110)。第2アンテナ側送信回路38bが信号を変調し(ステップS111)、受電コイル85が例えば1k~500kHzの無線電波で信号を送信する(ステップS112)。
【0087】
図10を参照するように給電コイル53が信号を受信する(ステップS113)。受信回路62aが信号を復調し(ステップS114)、制御回路58に送信する。制御回路58は、中継装置81のID番号の応答を確認して充電の完了を確認し(ステップS115)、表示部57に中継装置81の充電処理が完了したことを表示させる。
【0088】
上述した無線起爆システム80によれば、図10に示すように中継装置81は、雷管装填ユニット51の給電コイル53から動作用エネルギーを受信する受電コイル85と、動作用エネルギーを蓄電する蓄電回路84を有する。したがって起爆雷管10(図5参照)に給電する給電コイル53を利用して、中継装置81も給電できる。そのため無線起爆システム80全体の部品点数を少なくできる。さらに中継装置81を挿入孔74に挿入する直前に蓄電回路84に蓄電する。そのため蓄電回路84の蓄電容量を通信に必要な最小限の量にできる。
【0089】
図10に示すように雷管装填ユニット51が発破対象の近傍において起爆雷管10(図1参照)と中継装置81に無線方式で給電する。雷管装填ユニット51が蓄電された起爆雷管10を発破対象の装薬孔72(図1参照)に装填する。雷管装填ユニット51が蓄電された中継装置81を発破対象の挿入孔74(図1参照)に装填する。したがって起爆雷管10を充電しかつ装薬孔72に装填する工程、あるいは中継装置81を充電しかつ挿入孔74に装填する工程を、切羽面71の近傍において一連の流れで効率良く行うことができる。また給電は、装薬孔72に装填する直前の起爆雷管10、あるいは挿入孔74に装填する直前の中継装置81に対して行う。そのため比較的容量の小さいコンデンサ等の蓄電回路25,84を用いることができる。かくして起爆雷管10と中継装置81のコストを安価にできる。
【0090】
図2に示すように給電装置52は、雷管装填ユニット51に設けられる。この場合、爆薬送出ユニット50によって起爆雷管10が雷管装填ユニット51に送られる。起爆雷管10が給電装置52の筒本体52aの入口から筒本体52aに挿入される。給電装置52によって起爆雷管10が充電され、その後、雷管装填ユニット51によって起爆雷管10が筒本体52aの出口から排出される。そのため起爆雷管10は、直線上に移動して筒本体52aを貫通し、装薬孔72に装填される。
【0091】
本開示の他の実施の形態を図12にしたがって説明する。第3実施形態の無線起爆システム90は、図3に示す無線起爆システム1の中継装置30に代えて図12に示す中継装置91を有する。中継装置91は、一端に手前端92aを具備し他端に奥側端92bを具備する円筒状のハウジング92を有する。奥側端92bは、装薬孔72に挿入された起爆雷管10と略同じ深さの挿入孔74の奥部に配置される。手前端92aは、挿入孔74の内方に収容されて奥側端92bよりも手前側に配置される。
【0092】
図12に示すように中継装置91は、手前端92aに第1送受信アンテナ93を有し、奥側端92bに第2送受信アンテナ95を有する。第1送受信アンテナ93は、挿入孔74の手前側へ延びて挿入孔74の入口から飛び出ている。第1送受信アンテナ93は、土中や岩盤内を透過し難い例えば1M~10GHz、好ましくは100MHz以上、例えば920MHzの無線電波を送受信する。第2送受信アンテナ95は、土中や岩盤内の透過性が良い例えば1k~500kHz、好ましくは例えば200kHzの無線電波を送受信する。
【0093】
図12に示すように中継装置91は、手前端92a側に配置される第1モデム94と、奥側端92b側に配置される第2モデム96を有する。第1モデム94と第2モデム96の間には、中継処理機97と図示省略の電源が設けられる。中継処理機97は、入力された信号を受信処理し、異なる周波数の信号で送信処理する。第1モデム94は、第1送受信アンテナ93が受信したアナログ信号をデジタル信号に復調する。第1モデム94は、中継処理機97を介して第2モデム96から送信されたデジタル信号をアナログ信号に変調する。第2モデム96は、第2送受信アンテナ95が受信したアナログ信号をデジタル信号に復調する。第2モデム96は、中継処理機97を介して第1モデムから送信されたデジタル信号をアナログ信号に変調する。
【0094】
上述した無線起爆システム90によれば、図12に示すようにハウジング92の手前端92aが挿入孔74の内方に収容されて設置される。第1送受信アンテナ93が手前端92aから挿入孔74の入口へ向けて延び、挿入孔74の入口から飛び出ている。したがって、挿入孔74の奥側に設置された中継装置91と挿入孔74の外方の発破操作装置40との間で、土中や岩盤内を透過し難い例えば1M~10GHzの第1周波数で良好に送受信できる。しかもハウジング92を挿入孔74に対してコンパクトにできる。そのため中継装置91を挿入孔74に挿入して設置し易い。
【0095】
本開示の他の実施の形態を図13にしたがって説明する。第4実施形態の無線起爆システム100は、図3に示す無線起爆システム1の中継装置30に代えて図13に示す中継装置101を有する。さらに無線起爆システム100は、第2中継装置108を有する。中継装置101は、中継装置91(図12参照)と同様に構成される。中継装置101のハウジング102の奥側端102bは、挿入孔74の奥部に配置される。ハウジング102の手前端102aは、挿入孔74の内方に収容されて奥側端102bよりも手前側に配置される。手前端102aには、例えば1M~10GHz、好ましくは100MHz以上、例えば920MHzの無線電波を送受信する第1送受信アンテナ103が設けられる。奥側端102bには、例えば1k~500kHz、好ましくは例えば200kHzの無線電波を送受信する第2送受信アンテナ105が設けられる。
【0096】
図13に示すように中継装置101は、手前端102a側の第1モデム104と、奥側端102b側の第2モデム106と、その間に配置される中継処理機107と図示省略の電源を有する。中継処理機107は、入力された信号を受信処理し、異なる周波数の信号で送信処理する。第1モデム104、第2モデム106は、それぞれ第1送受信アンテナ103、第2送受信アンテナ105が受信したアナログ信号をデジタル信号に復調する。第1モデム104、第2モデム106は、それぞれ中継処理機107を介して第2モデム106、第1モデム104から送信されたデジタル信号をアナログ信号に変調する。
【0097】
図13に示すように第2中継装置108は、挿入孔74の入口に設置される。第2中継装置108は、円筒状のハウジング109を有する。ハウジング109は、挿入孔74の入口からから飛び出た位置に配置される手前端109aと、挿入孔74の入口の奥側に配置される奥側端109bを有する。手前端109aに第1送受信アンテナ110が設けられ、奥側端109bに第2送受信アンテナ112が設けられる。第1送受信アンテナ110は、手前端109aと共に挿入孔74の入口から飛び出ている。第1送受信アンテナ110、第2送受信アンテナ112は、土中や岩盤内を透過し難い例えば1M~10GHz、好ましくは100MHz以上、例えば920MHzの無線電波を送受信する。
【0098】
図13に示すように第2中継装置108は、モデム111と中継処理機113と図示省略の電源を有する。モデム111は、第1送受信アンテナ110または第2送受信アンテナ112が受信したアナログ信号をデジタル信号に復調する。中継処理機113は、モデム111から入力された信号を受信処理し、同じ周波数帯の信号で再生成して送信処理する。モデム111は、中継処理機113から送信されたデジタル信号をアナログ信号に変調する。第1送受信アンテナ110、第2送受信アンテナ112から変調した信号が送信される。
【0099】
上述した無線起爆システム100によれば、図13に示すようにハウジング102の手前端102aが挿入孔74の内方に収容されて設置される。挿入孔74の入口には、第2中継装置108が設置される。第2中継装置108のハウジング109は、手前端109aが挿入孔74の入口からから飛び出ており、かつ奥側端109bが挿入孔74の内方に収容される。したがって、挿入孔74の奥側に設置された中継装置101と挿入孔74の外方の発破操作装置40との間で、土中や岩盤内を透過し難い第1周波数で良好に送受信できる。しかもハウジング102を挿入孔74に対してコンパクトにできる。そのため挿入孔74の奥側に設置される中継装置101を挿入孔74に挿入し易い。
【0100】
本開示の1つの形態の形態を上記構造を参照して説明したが、本開示の1つの形態の目的を逸脱せずに多くの交代、改良、変更が可能であることは当業者であれば明らかである。したがって本開示の1つの形態は、添付された請求項の精神と目的を逸脱しない全ての交代、改良、変更を含み得る。例えば本開示の1つの形態は、前記特別な構造に限定されず、下記のように変更が可能である。
【0101】
例えば無線起爆システム1,80は、上述するようにトンネル70の掘削作業に使用できる。これに代えて、例えばビル等の構造物の破砕作業や海底の掘削作業に適用しても良い。上記実施の形態の起爆雷管10は、送受信アンテナを兼ねる受電コイル12を有する。これに代えて起爆雷管10は、受電コイル12とは別の送受信アンテナ、または受電コイル12とは別でありかつ相互に別個である受信アンテナと送信アンテナを有していても良い。同様にして中継装置30は、第1送受信アンテナ35と第2送受信アンテナ37に代えて、相互に別個である第1,第2受信アンテナと第1,第2送信アンテナをそれぞれ有していても良い。発破操作装置40は、送受信アンテナ47に代えて、相互に別個である受信アンテナと送信アンテナをそれぞれ有していても良い。
【0102】
上記実施の形態の装填ユニット側通信装置55は、送受信アンテナを兼ねる給電コイル53を有する。これに代えて装填ユニット側通信装置55は、給電コイル53とは別のアンテナ、または給電コイル53とは別でありかつ相互に別個である受信アンテナと送信アンテナを有していても良い。同様にして中継装置81は、例えば受電コイル85とは別の第2送受信アンテナ、または受電コイル85とは別でありかつ相互に別個である第2受信アンテナと第2送信アンテナを有していても良い。
【0103】
上記実施の形態の中継装置30は、ハウジング31に第1送受信アンテナ35と第2送受信アンテナ37と中継処理機を備えた制御回路32とが一体に設けられるハウジング31を有する。これに代えて中継装置30は、例えば3つのハウジングを有し、3つのハウジングのいずれかに第1送受信アンテナ35、第2送受信アンテナ37、制御回路32がそれぞれ設けられる構成であっても良い。
【0104】
上記実施の形態の装填ユニット側通信装置55は、雷管装填ユニット51に装着される。これに代えて装填ユニット側通信装置55は、例えば雷管装填ユニット51とは別個のハンディタイプ等であっても良い。雷管装填ユニット51は、複数の装填ユニット側通信装置55を有していても良い。雷管装填ユニット51と爆薬送出ユニット50が別個であっても良い。雷管装填ユニット51による起爆雷管10の充電及び装薬孔72への装填は、作業者が近くで操作して実施しても良く、予め準備されたプログラムに従って自動で実施しても良い。
【0105】
上記実施の形態の起爆雷管10は、1つの蓄電回路25を有する。これに代えて起爆雷管10は、例えば蓄電回路25を2つ有していても良い。これにより、例えば一方の蓄電回路25に各電子部品の動作用エネルギーを蓄電でき、他方の蓄電回路25に雷管点火部13の点火用のエネルギーを蓄電できる。起爆雷管10は、例えば予め電力が蓄えられた電源を有する非充電式であっても良い。中継装置91,101、第2中継装置108の電源は、充電式と非充電式のいずれであっても良い。第2周波数で受信した信号を同じ第2周波数で再生成して送信する第2中継装置108を例示した。これに代えて第2中継装置108は、受信した信号をそのまま挿入孔74の内方または外方へ送信しても良い。中継装置30,81は、1回の発破につき1個使用しても良く複数個使用しても良い。第1周波数の無線信号は、上りと下りで同じ周波数であっても良く、例えば1M~10GHzの範囲内で別の周波数であっても良い。第2周波数の無線信号は、上りと下りで同じ周波数であっても良く、例えば1k~500kHzの範囲内で別の周波数であっても良い。中継装置30は、例えば挿入孔74の手前端にのみ配置される構成であっても良い。
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