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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】変異IDH阻害剤との併用療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/5365 20060101AFI20241202BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241202BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241202BHJP
   A61K 31/553 20060101ALI20241202BHJP
   A61K 31/706 20060101ALI20241202BHJP
   A61K 31/7068 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
A61K31/5365
A61P35/02
A61P43/00 121
A61K31/553
A61K31/706
A61K31/7068
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022557831
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 US2021023436
(87)【国際公開番号】W WO2021194946
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】62/993,254
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/024,713
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/053,875
(32)【優先日】2020-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ブルックス,ネイサン アーサー
(72)【発明者】
【氏名】ギルモア,レイモンド
【審査官】鈴木 理文
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-502157(JP,A)
【文献】国際公開第2019/222553(WO,A1)
【文献】特表2019-510746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/5365
A61P 35/02
A61P 43/00
A61K 31/553
A61K 31/706
A61K 31/7068
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式:
【化1】
の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物であって、シタラビン、もしくはその薬学的に許容される塩;アザシチジン、もしくはその薬学的に許容される塩;またはミドスタウリン、もしくはその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上と組み合わせて、IDH変異を有するヒト対象における急性骨髄性白血病の治療に用いるための、医薬組成物。
【請求項2】
前記IDH変異が、IDH1変異である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記IDH1変異が、IDH1 R132変異である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記IDH変異が、IDH2変異である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記IDH2変異が、IDH2 R140またはIDH2 R172変異である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記化合物またはその薬学的に許容される塩が、下記の式:
【化2】
の化合物である、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
少なくともシタラビン、またはその薬学的に許容される塩と組み合わせて用いるための、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
少なくともアザシチジン、またはその薬学的に許容される塩と組み合わせて用いるための、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
Bcl-2阻害剤またはその薬学的に許容される塩とさらに組み合わせられる、請求項に記載の組成物。
【請求項10】
前記Bcl-2阻害剤が、ベネトクラクス、またはその薬学的に許容される塩である、請求項に記載の組成物。
【請求項11】
少なくともミドスタウリン、またはその薬学的に許容される塩と組み合わせて用いるための、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、がんの治療のための、変異イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)阻害剤ならびに代謝拮抗剤、低メチル化剤、および変異FMS-様チロシンキナーゼ3(Flt3)阻害剤のうちの1つ以上による併用療法に関する。
【背景技術】
【0002】
IDH1およびIDH2は、イソクエン酸からα-ケトグルタル酸への変換を触媒し、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)をNADPHに還元する酵素である(Megias-Vericat J, et al., Blood Lymph. Cancer: Targets and Therapy 2019; 9: 19~32)。
【0003】
IDH1、例えばIDH1アミノ酸残基R132における新たな(de novo)変異は、固形腫瘍癌および血液悪性腫瘍など、いくつかの種類のがんの腫瘍形成に寄与している(Badur MG, et al., Cell Reports 2018; 25: 1680)。IDH1変異は、高濃度の2-ヒドロキシグルタル酸(2-HG)をもたらし、細胞分化を阻害することがあり、変異IDH1の阻害剤は、2-HG濃度を減少させ、細胞分化を促進することがある(Molenaar RJ, et al., Oncogene 2018; 37 : 1949~1960)。変異は、IDH2、例えば、アミノ酸残基R172、R140およびR172においてもまた、起こる(Yang H, et al., Clin. Cancer. Res. 2012; 18: 5562-5571; Mondesir J, et al., J. Blood Med. 2016; 7: 171~180)。
【0004】
例えば、急性骨髄性白血病(AML)は、様々な種類の変異遺伝子、ならびに治療による選択圧の下、経時的に、動的に進化する前白血病性クローンおよび白血病性クローンを含むマルチクローン性のゲノム構造を特徴とする(Bloomfield CD, et al., Blood Revs. 2018; 32: 416~425)。
【0005】
シタラビンおよびアントラサイクリンによる導入化学療法(「7+3」)は、40年以上の間、新たにAMLと診断された対象にとっての標準治療となっている。
【0006】
近年、5つのさらなる薬物が米国食品医薬局によって、AMLの治療のために承認された(ミドスタウリン、エナシデニブ、CPX-351、ゲムツズマブ、オゾガマイシン)(Megias-Vericat J, et al., Blood Lymph. Cancer: Targets and Therapy 2019; 9: 19~32)。
【0007】
AMLを有する成人の約60%から70%が、適切な導入療法後に完全寛解(CR)状態に達すると予想され、AMLを有する成人の25%以上(CRに達する人の約45%)が、3年以上生存し、治癒すると予想される。
【0008】
しかしながら、IDH1耐性変異は、AML対象の7~14%で認められ、それに伴う高濃度2-HGは、エピジェネティックな高メチル化表現型および分化の阻害をもたらし、これにより白血病誘発をもたらすことがある(Megias-Vericat J, et al., Blood Lymph. Cancer: Targets and Therapy 2019; 9: 19~3)。さらに、Flt3キナーゼの変異は、AML対象のおよそ3分の1で認められる(Lee HJ, et al., Oncotarget 2018; 9: 924~936)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それゆえ、代わりとなる変異IDH関連がんの治療法は、依然として必要である。
【0010】
特定の変異IDH1およびIDH2阻害剤は、WO 2018/111707 A1に開示されており、本明細書で「化合物A」と定義される、(α-KG)濃度に影響を及ぼすことなく、アロステリック結合ポケットにあるシングルシステイン(Cys269)を修飾し、酵素を急速に不活性化し、2-HGの産生を選択的に阻害する変異IDH1の共有結合性阻害剤である、化合物(WO 2018/111707 A1)が含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、IDH変異を有するヒトがん対象に治療有効量の
(a)下記の式(I):
【化1】
[式中、
は、-CHCH(CH、-CHCH、-CHCHOCH、または-CH-シクロプロピルであり;
は、-CHまたは-CHCHであり;および
Xは、NまたはCHである]
で示される第1の化合物またはその薬学的に許容される塩;および
(b)代謝拮抗剤、またはその薬学的に許容される塩;低メチル化剤、またはその薬学的に許容される塩;および変異Flt3阻害剤、またはその薬学的に許容される塩である、第2の化合物のうちの1つ以上
を投与することを特徴とする、がんを治療する方法を提供する。
【0012】
一つの実施形態において、前記IDH変異は、IDH1変異またはIDH2変異である。もう一つの実施形態において、前記IDH変異は、IDH1変異である。もう一つの実施形態において、前記IDH1変異は、IDH1 R132変異である。もう一つの実施形態において、前記IDH1変異は、R132Hである。もう一つの実施形態において、前記IDH1変異は、R132C、R132G、R132L、またはR132Sである。もう一つの実施形態において、前記IDH1 R132変異は、R132Hである。もう一つの実施形態において、前記IDH1変異は、R132Cである。もう一つの実施形態において、前記IDH1変異は、R132Gである。もう一つの実施形態において、前記IDH1変異は、R132Lである。もう一つの実施形態において、前記IDH1変異は、R132Sである。
【0013】
もう一つの実施形態において、前記IDH変異は、IDH2変異である。もう一つの実施形態において、前記IDH2変異は、IDH2 R140変異またはIDH2 R172変異である。もう一つの実施形態において、前記IDH2変異は、R140変異である。もう一つの実施形態において、前記R140変異は、R140Q、R140L、またはR140Wである。もう一つの実施形態において、前記IDH2変異は、R172変異である。もう一つの実施形態において、前記R172変異は、R172K、R172M、R172G、R172SまたはR172Wである。
【0014】
本発明の方法の一つの実施形態において、前記式Iの第1の化合物、またはその薬学的に許容される塩において、XはNである。もう一つの実施形態において、前記第1の化合物、またはその薬学的に許容される塩において、XはNであり、Rは-CH-シクロプロピルであり、Rは-CHCHである。もう一つの実施形態において、前記第1の化合物の式中、XはNであり、Rは-CH-シクロプロピルであり、Rは-CHCHである。
【0015】
もう一つの実施形態において、前記第1の化合物は、
7-[[(1S)-1-[4-[(1R)-2-シクロプロピル-1-(4-プロパ-2-エノイルピペラジン-1-イル)エチル]フェニル]エチル]アミノ]-1-エチル-4H-ピリミド[4,5-d][1,3]オキサジン-2-オン;
7-[[(1S)-1-[4-[(1S)-2-シクロプロピル-1-(4-プロパ-2-エノイルピペラジン-1-イル)エチル]フェニル]エチル]アミノ]-1-エチル-4H-ピリミド[4,5-d][1,3]オキサジン-2-オン;もしくは
1-エチル-7-[[(1S)-1-[4-[1-(4-プロパ-2-エノイルピペラジン-1-イル)プロピル]フェニル]エチル]アミノ]-4H-ピリミド[4,5-d][1,3]オキサジン-2-オン;
またはその薬学的に許容される塩である。
【0016】
もう一つの実施形態において、前記第1の化合物は、7-[[(1S)-1-[4-[(1S)-2-シクロプロピル-1-(4-プロパ-2-エノイルピペラジン-1-イル)エチル]フェニル]エチル]アミノ]-1-エチル-4H-ピリミド[4,5-d][1,3]オキサジン-2-オンである。
【0017】
もう一つの実施形態において、前記第1の化合物は、
【化2】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0018】
もう一つの実施形態において、前記第1の化合物は、化合物Aである。
【0019】
もう一つの実施形態において、前記対象は、IDH1変異、例えば、R132 IDH1変異を有することが確認される。もう一つの実施形態において、前記対象は、IDH2変異、例えば、IDH2 R172、R140またはR172変異を有することが確認される。もう一つの実施形態において、前記対象は、組織中にIDH変異を有することが確認される。
【0020】
もう一つの実施形態において、前記がんは血液悪性腫瘍であり、前記対象は、血液、骨髄、リンパ節またはリンパ液中にIDH変異を有することが確認される。もう一つの実施形態において、前記対象は、血液細胞、骨髄細胞、リンパ節細胞、またはリンパ液細胞中にIDH変異を有することが確認される。
【0021】
もう一つの実施形態において、前記がんは固形腫瘍癌であり、前記対象は、固形腫瘍組織中にIDH1変異を有することが確認される。もう一つの実施形態において、前記対象は、固形腫瘍組織細胞中にIDH変異を有することが確認される。
【0022】
もう一つの実施形態において、変異Flt3阻害剤の投与の前に、前記ヒト対象は、Flt3変異を有することが確認されている。もう一つの実施形態において、前記Flt3変異は、Flt3遺伝子内縦列重複(Flt3-ITD)変異である。もう一つの実施形態において、前記Flt3変異は、Flt3チロシンキナーゼドメイン(Flt3-TKD)変異である。もう一つの実施形態において、前記Flt3変異は、Flt3 D835変異である。
【0023】
もう一つの実施形態において、前記第1の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、前記第2の化合物、またはその薬学的に許容される塩の前に投与される。
【0024】
もう一つの実施形態において、前記第1の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、第2の化合物、またはその薬学的に許容される塩の後に投与される。
【0025】
もう一つの実施形態において、前記第1の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、前記第2の化合物、またはその薬学的に許容される塩とともに処方される。
【0026】
本発明の方法のもう一つの実施形態において、前記がんは、固形腫瘍癌である。もう一つの実施形態において、前記固形腫瘍癌は、胆管癌、頭頸部癌、軟骨肉腫、肝細胞癌、黒色腫、膵臓癌、星状細胞腫、乏突起膠腫、神経膠腫、神経膠芽腫、膀胱癌、結腸直腸癌、肺癌、または副鼻腔未分化癌である。もう一つの実施形態において、前記肺癌は、非小細胞性肺癌である。もう一つの実施形態において、前記肺癌は、非小細胞性肺癌であり、α-KR G12C阻害剤および/またはEGFR阻害剤もまた投与される。もう一つの実施形態において、前記固形腫瘍は、胆管癌である。もう一つの実施形態において、放射線療法もまた、前記対象に施される。
【0027】
もう一つの実施形態において、前記がんは血液悪性腫瘍である。もう一つの実施形態において、前記血液悪性腫瘍は、AML、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性腫瘍、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、T細胞性急性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄性白血病、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、原発性骨髄線維症、または慢性骨髄性白血病である。もう一つの実施形態において、前記血液悪性腫瘍は、AMLである。
【0028】
本発明の方法のもう一つの実施形態において、前記第2の化合物は、代謝拮抗剤、またはその薬学的に許容される塩である。本発明の方法のもう一つの実施形態において、前記代謝拮抗剤は、シタラビン、5-フルオロウラシル(5-FU)、6-メルカプトプリン(6-mercaptourine)(6-MP)、カペシタビン、フロクスウリジン、フルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシカルボアミド、メトトレキサート、ペメトレキセド、またはフォトトレキサート(phototrexate)、またはそれらのうちいずれか1つの薬学的に許容される塩である。もう一つの実施形態において、前記代謝拮抗剤は、シタラビン、またはその薬学的に許容される塩である。もう一つの実施形態において、前記代謝拮抗剤は、シタラビンである。もう一つの実施形態において、前記第1の化合物は、化合物Aであり、前記第2の化合物は、シタラビンである。もう一つの実施形態において、前記がんは、AMLであり、前記第1の化合物は、化合物Aであり、前記第2の化合物は、シタラビンである。もう一つの実施形態において、前記がんは、胆管癌であり、前記第1の化合物は、化合物Aであり、前記第2の化合物は、シタラビンである。
【0029】
本発明の方法のもう一つの実施形態において、前記第2の化合物は、低メチル化剤、またはその薬学的に許容される塩である。本発明の方法のもう一つの実施形態において、前記低メチル化剤は、アザシチジン(5-アザシチジン)、5-アザ-2’-デオキシシチジン(5-aza-2'-deoxycitidine)(デシタビン)、グアデシタビン(SGI-110)、5-フルオロ-2’-デオキシシチジン、ゼブラリン、CP-4200、RG108、ナナオマイシンA、またはそれらのうちいずれか1つの薬学的に許容される塩である。もう一つの実施形態において、前記低メチル化剤は、アザシチジン、またはその薬学的に許容される塩である。もう一つの実施形態において、前記低メチル化剤は、アザシチジンである。もう一つの実施形態において、前記第1の化合物は、化合物Aであり、前記第2の化合物は、アザシチジンである。もう一つの実施形態において、前記がんは、AMLであり、前記第1の化合物は、化合物Aであり、前記第2の化合物は、アザシチジンである。もう一つの実施形態において、前記がんは、胆管癌であり、前記第1の化合物は、化合物Aであり、前記第2の化合物は、アザシチジンである。
【0030】
もう一つの実施形態において、前記式Iの第1の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、低メチル化剤、またはその薬学的に許容される塩、およびBcl-2阻害剤、またはその薬学的に許容される塩とともに投与される。もう一つの実施形態において、前記式Iの第1の化合物は、低メチル化剤およびBcl-2阻害剤とともに投与される。もう一つの実施形態において、前記Bcl-2阻害剤は、ベネトクラクス、オバトクラックス、ナビトクラクス、またはそれらのうちいずれか1つの薬学的に許容される塩である。もう一つの実施形態において、前記Bcl-2阻害剤は、ベネトクラクス、またはその薬学的に許容される塩である。もう一つの実施形態において、前記Bcl-2阻害剤は、ベネトクラクスである。もう一つの実施形態において、化合物Aは、低メチル化剤およびBcl-2阻害剤とともに投与される。もう一つの実施形態において、化合物Aは、アザシチジンおよびベネトクラクスとともに投与される。もう一つの実施形態において、前記がんは、AMLであり、化合物Aは、アザシチジンおよびベネトクラクスとともに投与される。もう一つの実施形態において、前記がんは、胆管癌であり、化合物Aは、アザシチジンおよびベネトクラクスとともに投与される。
【0031】
本発明の方法のもう一つの実施形態において、前記第2の化合物は、変異Flt3阻害剤、またはその薬学的に許容される塩である。本発明の方法のもう一つの実施形態において、前記変異Flt3阻害剤は、ミドスタウリン、ギルテリチニブ、キザルチニブ(AC220)、ソラフェニブ、スニチニブ、レスタウルチニブ、またはクレノラニブ、またはそれらのうちいずれか1つの薬学的に許容される塩である。もう一つの実施形態において、前記変異Flt3阻害剤は、ミドスタウリン、またはその薬学的に許容される塩である。もう一つの実施形態において、前記変異Flt3阻害剤は、ミドスタウリンである。もう一つの実施形態において、前記第1の化合物は、化合物Aであり、前記第2の化合物は、ミドスタウリンである。もう一つの実施形態において、前記がんは、AMLであり、前記第1の化合物は、化合物Aであり、前記第2の化合物は、ミドスタウリンである。もう一つの実施形態において、前記がんは、胆管癌であり、前記第1の化合物は、化合物Aであり、前記第2の化合物は、ミドスタウリンである。
【0032】
本発明の方法のもう一つの実施形態において、化合物Aは、代謝拮抗剤および低メチル化剤とともに投与される。
【0033】
本発明の方法のもう一つの実施形態において、化合物Aは、代謝拮抗剤および変異Flt3阻害剤とともに投与される。
【0034】
本発明の方法のもう一つの実施形態において、化合物Aは、低メチル化剤および変異Flt3阻害剤とともに投与される。
【0035】
本発明の方法のもう一つの実施形態において、化合物Aは、代謝拮抗剤、低メチル化剤および変異Flt3阻害剤とともに投与される。
【0036】
本発明は、下記の式(I):
【化3】
[式中、
は、-CHCH(CH、-CHCH、-CHCHOCH、または-CH-シクロプロピルであり;
は、-CHまたは-CHCHであり;および
Xは、NまたはCHである]
の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、代謝拮抗剤、もしくはその薬学的に許容される塩;低メチル化剤、もしくはその薬学的に許容される塩;または変異Flt3阻害剤、もしくはその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上と組み合わせて、IDH変異を有するヒト対象におけるがんの治療に用いるための、化合物またはその薬学的に許容される塩もまた、提供する。
【0037】
一つの実施形態において、前記対象は、血液、骨髄、リンパ節、リンパ液、血液細胞、骨髄細胞、リンパ節細胞またはリンパ液細胞中にIDH変異、例えば、IDH1またはID2変異を有することが確認される。
【0038】
もう一つの実施形態において、式Iの化合物は、IDH1 R132変異を有することが確認されるヒト対象におけるがんの治療において、低メチル化剤(例えば、アザシチジン)、またはその薬学的に許容される塩、およびBcl-2阻害剤、またはその薬学的に許容される塩と組み合わせて使用される。
【0039】
一つの実施形態において、前記IDH変異は、IDH1変異またはIDH2変異である。もう一つの実施形態において、前記IDH変異は、IDH1変異である。もう一つの実施形態において、前記IDH1変異は、IDH1 R132変異である。もう一つの実施形態において、前記IDH1変異は、R132H、R132C、R132G、R132L、またはR132Sである。もう一つの実施形態において、前記IDH1 R132変異は、R132Hである。もう一つの実施形態において、前記IDH1変異は、R132Cである。もう一つの実施形態において、前記IDH1変異は、R132Gである。もう一つの実施形態において、前記IDH1変異は、R132Lである。もう一つの実施形態において、前記IDH1変異は、R132Sである。
【0040】
もう一つの実施形態において、前記IDH変異は、IDH2変異である。もう一つの実施形態において、前記IDH2変異は、IDH2 R140変異またはIDH2 R172変異である。もう一つの実施形態において、前記IDH2変異は、R140変異である。もう一つの実施形態において、前記R140変異は、R140Q、R140L、またはR140Wである。もう一つの実施形態において、前記IDH2変異は、R172変異である。もう一つの実施形態において、前記R172変異は、R172K、R172M、R172G、R172SまたはR172Wである。
【0041】
一つの実施形態において、前記対象は、IDH変異、例えば、IDH1またはIDH2変異を有することが確認される。
【0042】
式Iの使用のための化合物について、XがNである化合物、またはその薬学的に許容される塩が好ましい;Rが-CH-シクロプロピルである化合物、またはその薬学的に許容される塩が好ましい;Rが-CHCHである化合物、またはその薬学的に許容される塩が好ましい;XがNであり、Rが-CH-シクロプロピルである化合物、またはその薬学的に許容される塩が好ましい;Rが-CH-シクロプロピルであり、Rが-CHCHである化合物、またはその薬学的に許容される塩が好ましい;XがNであり、Rが-CH-シクロプロピルであり、Rが-CHCHである化合物、またはその薬学的に許容される塩がより好ましい;XがNであり、Rが-CH-シクロプロピルであり、Rが-CHCHである化合物が最も好ましい。
【0043】
好ましい化合物は、
7-[[(1S)-1-[4-[(1R)-2-シクロプロピル-1-(4-プロパ-2-エノイルピペラジン-1-イル)エチル]フェニル]エチル]アミノ]-1-エチル-4H-ピリミド[4,5-d][1,3]オキサジン-2-オン;
7-[[(1S)-1-[4-[(1S)-2-シクロプロピル-1-(4-プロパ-2-エノイルピペラジン-1-イル)エチル]フェニル]エチル]アミノ]-1-エチル-4H-ピリミド[4,5-d][1,3]オキサジン-2-オン;もしくは
1-エチル-7-[[(1S)-1-[4-[1-(4-プロパ-2-エノイルピペラジン-1-イル)プロピル]フェニル]エチル]アミノ]-4H-ピリミド[4,5-d][1,3]オキサジン-2-オン;
またはその薬学的に許容される塩である。
【0044】
もう一つの実施形態において、前記第1の化合物は、
【化4】
(化合物A)、またはその薬学的に許容される塩である。
【0045】
もう一つの実施形態において、前記第1の化合物は、化合物Aである。
【0046】
がんを治療するための、式Iの化合物および代謝拮抗剤、低メチル化剤、または変異Flt3阻害剤のうちの1つ以上を組み合わせて用いる新規方法が、本明細書に提示される。したがって、本発明のいくつかの態様は、IDH変異、例えば、IDH1またはIDH2変異を有することが確認される対象におけるがんの治療において、同時に、別々に、または連続的に、代謝拮抗剤、低メチル化剤、または変異Flt3阻害剤のうちの1つ以上と組み合わせて用いるための、式Iの化合物を提供する。さらに、本発明のいくつかの態様は、固形腫瘍癌の治療において、同時に、別々に、または連続的に、代謝拮抗剤、低メチル化剤、または変異Flt3阻害剤のうちの1つ以上と組み合わせて用いるための、式Iの化合物を提供する。さらに、本発明のいくつかの態様は、血液悪性腫瘍の治療において、同時に、別々に、または連続的に、代謝拮抗剤、低メチル化剤、または変異Flt3阻害剤のうちの1つ以上と組み合わせて用いるための、式Iの化合物を提供する。本発明のもう一つの態様は、IDH変異、例えば、IDH1またはIDH2変異を有することが確認される対象におけるがんの治療において、同時に、別々に、または連続的に、低メチル化剤およびBcl-2阻害剤と組み合わせて用いるための、式Iの化合物を提供する。
【0047】
一つの実施形態において、前記IDH変異は、IDH1変異またはIDH2変異である。もう一つの実施形態において、前記IDH変異は、IDH1変異である。もう一つの実施形態において、前記IDH1変異は、IDH1 R132変異である。もう一つの実施形態において、前記IDH1変異は、R132H、R132C、R132G、R132L、またはR132Sである。もう一つの実施形態において、前記IDH1 R132変異は、R132Hである。もう一つの実施形態において、前記IDH1変異は、R132Cである。もう一つの実施形態において、前記IDH1変異は、R132Gである。もう一つの実施形態において、前記IDH1変異は、R132Lである。もう一つの実施形態において、前記IDH1変異は、R132Sである。
【0048】
もう一つの実施形態において、前記IDH変異は、IDH2変異である。もう一つの実施形態において、前記IDH2変異は、IDH2 R140変異またはIDH2 R172変異である。もう一つの実施形態において、前記IDH2変異は、R140変異である。もう一つの実施形態において、前記R140変異は、R140Q、R140L、またはR140Wである。もう一つの実施形態において、前記IDH2変異は、R172変異である。もう一つの実施形態において、前記R172変異は、R172K、R172M、R172G、R172SまたはR172Wである。
【0049】
本発明は、IDH変異を有することが確認されるヒト対象におけるがんの治療において、代謝拮抗剤、もしくはその薬学的に許容される塩;低メチル化剤、もしくはその薬学的に許容される塩;または変異Flt3阻害剤;もしくはその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上と組み合わせて用いるための、式Iの化合物を含む医薬組成物もまた、提供する。一つの実施形態において、前記IDH変異は、血液細胞、骨髄細胞、または血液および骨髄細胞において確認される。
【0050】
本発明は、IDH変異、例えば、IDH1またはIDH2変異を有するヒト対象におけるがんの治療のための薬物の製造における、式Iの化合物の使用もまた、提供する。一つの実施形態において、前記対象は、血液、骨髄、リンパ節、リンパ液、血液細胞、骨髄細胞、リンパ節細胞またはリンパ液細胞においてIDH変異が確認され、ここで、薬物の製造に用いるための式Iの化合物は、代謝拮抗剤、もしくはその薬学的に許容される塩;低メチル化剤、もしくはその薬学的に許容される塩;または変異Flt3阻害剤;もしくはその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上と組み合わせて投与される。
【0051】
本発明の方法または本発明の使用のための化合物の一つの実施形態において、前記がんは、フロントラインのがんである。もう一つの実施形態において、前記フロントラインのがんは、固形腫瘍癌である。もう一つの実施形態において、前記フロントラインのがんは、血液悪性腫瘍である。もう一つの実施形態において、前記フロントラインの血液悪性腫瘍は、フロントラインのAMLである。
【0052】
本発明の方法または本発明の使用のための化合物のもう一つの実施形態において、前記がんは、再発がんである。もう一つの実施形態において、前記再発がんは、固形腫瘍癌である。もう一つの実施形態において、前記再発がんは、血液悪性腫瘍である。もう一つの実施形態において、前記再発血液悪性腫瘍は、再発AMLである。
【0053】
本発明の方法または本発明の使用のための化合物のもう一つの実施形態において、前記がんは、難治性がんである。もう一つの実施形態において、前記難治性がんは、固形腫瘍癌である。もう一つの実施形態において、前記難治性がんは、血液悪性腫瘍である。もう一つの実施形態において、前記難治性血液悪性腫瘍は、難治性AMLである。
【0054】
本発明の方法または本発明の使用のための化合物のもう一つの実施形態において、前記がんは、進行がんである。もう一つの実施形態において、前記進行がんは、進行固形腫瘍癌である。もう一つの実施形態において、前記進行がんは、進行血液悪性腫瘍である。もう一つの実施形態において、前記進行血液悪性腫瘍は、進行AMLである。
【0055】
もう一つの実施形態において、前記AMLは、急性前骨髄球性白血病である。
【0056】
変異IDH1酵素活性のアッセイ法は、当業者に既知であり、例えば、WO 2018/111707 A1に記載される。
【0057】
上記および本発明の説明を通して使用される以下の用語は、特に断らない限り、以下の意味を持つものであると理解されるべきである。
【0058】
「血液学的組織」という用語は、血液、骨髄、脾臓、リンパ節、またはリンパ液を指す。
【0059】
「固形腫瘍組織」という用語は、血液学的組織でない組織を指す。固形組織の非限定的な例は、胆管組織、膵臓組織、頭部組織、頸部組織、肝臓組織、皮膚組織、星状細胞腫組織、乏突起膠細胞組織、神経膠組織、脳組織、膀胱組織、結腸直腸組織、肺組織、および副鼻腔未分化癌組織である。
【0060】
「固形腫瘍癌」という用語は、血液または骨髄でない組織で起こるがんを意味する。
【0061】
「血液悪性腫瘍」という用語は、血液、骨髄、リンパ節またはリンパ液で起こるがんに関する。
【0062】
「フロントラインのがん」という用語は、ヒトがん対象が、治療下のがんの治療を受けたことがないことを意味する。
【0063】
「難治性がん」という用語は、治療されているが、ヒトがん対象が治療に反応しないがんを指す。
【0064】
「再発がん」という用語は、ヒトがん対象がある期間治療に反応したが、がんが再発したことを意味する。
【0065】
「進行がん」という用語は、リンパ節に、またはがんの起点の外側のその他の組織に転移しているがんを指す。例えば、進行AMLは、血液または骨髄の外側の組織に転移しているAMLである。
【0066】
「がん対象」という用語は、がんと診断されている対象を意味する。
【0067】
「固形腫瘍対象」という用語は、固形腫瘍癌と診断されている対象を意味する。一つの実施形態において、前記固形腫瘍癌は、胆管癌である。
【0068】
「血液悪性腫瘍対象」という用語は、血液悪性腫瘍と診断されている対象を意味する。一つの実施形態において、前記血液悪性腫瘍対象は、AML対象である。「AML対象」という用語は、AMLと診断されている対象を意味する。AMLを診断する方法は、当業者に既知であり、例えば、Dohner H, et al., Blood 2017; 129: 424~447に記載がある。
【0069】
「急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia)」、「急性骨髄性白血病(acute myelogenous leukemia)」、および「急性非リンパ性白血病」という用語は、同義である。
【0070】
「血液悪性腫瘍(例えば、AML)治療への反応性」には、全生存の向上、部分反応、長期安定状態、または完全寛解(骨髄中で骨髄芽球が5%未満、循環血中に芽球がない、血液学的回復(末梢血絶対好中球数が1,000細胞数/μL以上および血小板数が100,000/μL以上であって、赤血球輸血の必要がなく、髄外疾患がないことで証明される)によって判定される)とみなされる長期生存の向上が挙げられる(Bloomfield CD, et al., Blood Revs. 2018; 32: 416~425)。
【0071】
「IDH1 R132変異」という用語は、「R132 IDH1変異」と同義であり、例えば、対象の核酸(例えば、DNA)において決定される、対象のIDH1遺伝子におけるアミノ酸残基132のIDH1変異を指す。
【0072】
「Flt3変異」という用語は、対象のFlt3遺伝子における変異を指す。
【0073】
「変異IDH阻害剤」という用語は、変異IDH酵素の酵素活性および/または変異IDH酵素による2-HGの産生を阻害する化合物を指す。変異IDH1およびIDH2酵素活性のアッセイ法は、当業者に既知であり、例えば、WO 2018/111707 A1に記載がある。「変異IDH阻害剤」という用語において、「変異」という単語は、阻害剤ではなく、IDH遺伝子について言及する。
【0074】
「変異Flt3阻害剤」という用語は、変異Fl3キナーゼ活性を阻害する化合物を指す。変異Flt3活性のアッセイ法は、当業者に既知であり、例えば、Lee HJ, et al., Oncotarget 2018; 9: 924~936に記載がある。「変異Flt3阻害剤」という用語において、「変異」という単語は、阻害化合物ではなく、Flt3タンパク質について言及する。
【0075】
「IDH変異、例えば、IDH1またはIDH2変異を有することが確認される」という用語は、ヒト対象の組織または細胞に由来する核酸(例えば、DNA)が分析され、前記ヒト対象がIDH変異を有するかどうか判定されていることを意味する。一つの実施形態において、前記ヒト対象の血液、骨髄、リンパ節、リンパ液、血液細胞、骨髄細胞、リンパ節細胞、またはリンパ液細胞は、IDH変異について分析されている。もう一つの実施形態において、前記ヒト対象の固形組織は、IDH変異について分析されている。
【0076】
「Bcl-2阻害剤」という用語は、Bcl-2に結合し、がん細胞における細胞傷害性、がん細胞におけるBcl-2発現の下方制御、がん細胞におけるミトコンドリア機能障害、およびがん細胞におけるアポトーシスのうちの1つ以上をもたらす化合物である。その効果を測定する方法は、当業者に既知であり、例えば、Wen M, et al., Front. Pharmacol. 2019; 10: 391に記載がある。
【0077】
本発明の方法の一つの実施形態において、ヒト対象がIDH1 R132変異を有することを確認する当事者は、第1および第2の化合物を投与する当事者と異なることがある。もう一つの実施形態において、ヒト対象がIDH1 R132変異を有することを確認する当事者は、第1および第2の化合物を投与する当事者と異なる。もう一つの実施形態において、ヒト対象がIDH1 R132変異を有することを確認する当事者は、第1および第2の化合物を投与する当事者と同じである。
【0078】
「Flt3変異を有することが確認される」という用語は、ヒト対象の血液細胞、骨髄細胞、または血液細胞および骨髄細胞に由来する核酸(例えば、DNA)が分析され、前記ヒト対象が一つ以上のFlt3変異を有するかどうか判定されたことを意味する。
【0079】
IDH1およびFlt3変異の確認についての分析方法は、当業者に既知であり(Clark, O., et al., Clin. Cancer. Res. 2016; 22: 1837~42)、これらに限らないが、核型分析(Guller JL, et al., J. Mol. Diagn. 2010; 12: 3~16)、蛍光in situハイブリダイゼーション法(Yeung DT, et al., Pathology 2011; 43: 566~579)、サンガー法(Lutha, R et al., Haematologica 2014; 99: 465~473)、メタボリックプロファイリング(Miyata S, et al., Scientific Reports 2019; 9: 9787)、ポリメラーゼ連鎖反応法(Ziai, JM and AJ Siddon, Am. J. Clin. Pathol 2015; 144: 539~554)、および次世代シーケンシング(例えば、全トランスクリプトームシーケンシング)(Lutha, R et al., Haematologica 2014; 99: 465-473; WangH-Y, et al., J. Exp. Clin. Cancer Res. 2016; 35: 86)が挙げられる。
【0080】
「治療」、「治療する(treat)」、「治療する(treating)」という用語、および同類のものは、がんの進行を緩徐化、停止、または逆転させることを包含するように意図されている。これらの用語は、たとえがんが実際に除去されていなくても、およびたとえがんの進行そのものが緩徐化、停止、または逆転していなくても、障害または疾患のうちの1つ以上の症状を軽減、寛解、減弱、除去、または減少させることもまた、包含する。
【0081】
「治療有効量」は、対象の生物学的もしくは医学的応答または対象への望ましい治療効果を誘導する、対象に投与される化合物、またはその薬学的に許容される塩の量を意味する。
【0082】
治療有効量は、当業者として担当の臨床医が、既知の技術を使用し、類似の状況下で得られた結果を観察することによって、容易に決定できる。対象の有効量を決定する際、担当の臨床医は、複数の因子(個々の対象の大きさ、年齢、および全体的な健康;関連する具体的な疾患または障害;疾患もしくは障害の、程度または関与もしくは重症度;個々の対象の反応;投与される特定の化合物;投与方法;投与される製剤のバイオアベイラビリティ特性;選択される投与レジメン;併用薬の使用;およびその他の関連する状況が挙げられるが、これらに限らない)を考慮する。
【0083】
「と組み合わせて」という用語は、式Iの化合物が、IDH変異を有するヒト対象におけるがんの治療において、同時に、別々に、または連続的に、代謝拮抗剤、もしくはその薬学的に許容される塩;低メチル化剤、もしくはその薬学的に許容される塩、適宜Bcl-2阻害剤もしくはその薬学的に許容される塩;または変異Flt3阻害剤;もしくはその薬学的に許容される塩のうちのいずれか1つ以上と組み合わせて用いられるか、または組み合わせて用いるためのものであることを意味する。
【0084】
本発明の方法で投与される化合物は、化合物が生物学的に利用可能となる任意の経路で投与される医薬組成物として適宜製剤化されてもよい。ある実施形態において、かかる組成物は、経口投与用に製剤化される。かかる医薬組成物およびその調製方法は、当技術分野で周知である(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (D.B. Troy, Editor, 21 st Edition, Lippincott, Williams & Wilkins, 2006を参照)。
【0085】
「薬学的に許容される担体、希釈剤、または添加剤」は、生物活性剤を哺乳動物、例えば、ヒトに運搬するための、当技術分野で一般的に受容される媒質である。
【0086】
本発明の方法で投与される化合物は、塩を形成することができるということを当業者は理解するものである。前記化合物は、複数の無機酸および有機酸のいずれかと反応し、薬学的に許容される酸付加塩を形成する。かかる薬学的に許容される酸付加塩およびそれらの一般的な調製方法は、当技術分野で周知である。例えば、P.Stahl,et al.,HANDBOOK OF PHARMACEUTICAL SALTS:PROPERTIES,SELECTION AND USE,(VCHA/Wiley-VCH,2008)を参照されたい。
【0087】
「薬学的に許容される塩(pharmaceutically acceptable salts)」または「薬学的に許容される塩(a pharmaceutically acceptable salt)」は、相対的に非毒性な、本発明の化合物の無機塩および有機塩を指す(S.M. Berge, et al., “Pharmaceutical Salts”, Journal of Pharmaceutical Sciences, Vol 66, No. 1, January 1977)。
【実施例
【0088】
材料および方法
化合物および製剤
インビボ実験のために、ビークルを用いて適切な濃度でそれぞれの被験物質を調製する。インビボ実験のために、アカシアビークル(水、10% アカシア、0.05% Antifoam[Dow Corning 1510-US])中で、1.1モル当量のHClとともに化合物Aを製剤化する。7日おきに、ビークルを用いて化合物Aを適切な濃度で新しく調製し、投与間は4℃で保存する。水中20% PEG400中でミドスタウリン(Medchem Express、バッチ/ロット番号23950)を製剤化し、毎週新たに調製する(投与間は4℃で保存する)。シタラビンの原液を滅菌食塩水で希釈して、シタラビンを毎週新たに調製する(注射剤 20mg/mL(Pfizer injectables))。アザシチジン(Sigma、ロット番号MKBR7212)を滅菌水中で製剤化し、毎日投与直前に新しく調製する。
【0089】
インビボヒトAML PDxモデル
初代ヒトAML細胞をメスのNOD SCID Gamma(NSG,NOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJ[Jackson Labs#005557])マウス(6から7週齢)に尾静脈注射し、AMLモデルを確立する。本実験では2つのモデルを使用する:(1)IDH1(R132H),NRas(Q61H)初代ヒトAMLおよび(2)IDH1(R132H),Flt3-ITD初代ヒトAML。必要に応じて、担がんマウスからの脾細胞を用いて、記載されるようにモデルを増殖および拡張させる。それぞれの被験物質を上記の通りに、適切な濃度でビークルとともに調製し、本実験で試験される薬物を10μL/体重1グラムの用量で動物に投与する。化合物A投与マウス(PO,QD)は、実験期間中、指示される用量で治療される。組み合わせの薬剤は、以下の通りに投与される:ミドスタウリン 50mg/kg PO,QD(53日間、化合物A投与開始の7日後に開始)、シタラビン 2mg/kg IP[(QDx5、休養 2)x2]休養 14dおよび繰り返し(2サイクル、化合物A投与開始時に開始)、アザシチジン 1mg/kg IP[(QDx5、休養 2)x2]休養 14dおよび繰り返し(2サイクル、化合物A投与開始時に開始)。ビークル治療コントロールマウスおよびナイーブコントロールマウス(非担がん)と比較して、治療を受けたマウスを評価する。1週間に2回、体重を記録する。実験期間中、2週間に1回、顎下を出血させることで全血サンプル(<100μL)をK-EDTA採血管中に回収し、FACSによって分析を行い、実験マウスにおける分化状態および白血病の腫瘍量を観察する(実験期間中、2-HG分析のために血漿を定期的に回収する)。血漿回収のために、各被験体について、50から70μLの全血を1.5mLマイクロチューブ中に等分し、300xgで8分間(4℃)遠心する。10μLの血漿を回収し、新しい1.5mLマイクロチューブに移し、2-HG LCMS分析のために-80℃で凍結させる。コントロールとしてビークル治療マウス、およびナイーブマウスからの血漿を用いる血漿2-HGの評価により、2-HG産生の阻害を観察する。フローサイトメトリーのために、50~70μLの全血を回収し、60μL染色/洗浄バッファー(DPBS(HyClone SH30028)中、5% 加熱不活性化(HI)-FBS(v/v)(Invitrogen 10082))をチューブごとに添加し、3から4回ピペットで上下にかき混ぜ、100μLの血液懸濁液を5mLポリプロピレンチューブに移し、染色し、下記の通りに分析する。
【0090】
AML PDxモデルの増殖
ヒトIDH1(R132H)AML細胞を移植されたマウスは、患者由来のIDH1(R132H)白血病モデルにおける全血サンプルのフローサイトメトリーにより、進行疾患の進行が確認される。下記の通りに脾臓を処理し、脾細胞を単離する。被験体あたり200μLの脾細胞調製液をIV(静脈内、尾静脈)で受容NSGマウスに注射する。(1mLあたり10e~25e個、マウス1匹あたり2e~5e個の生存白血球を用いて、モデルを増やす)。AMLが末梢血中で確認されるまで(>0.2% ヒトAML細胞(総白血球数(WBCs)のうちの%hCD33+hCD45+))、フローサイトメトリー分析により4週間に1回、進行を観察する。一度生着が確認されると、実験の準備が整うまでマウスを2週間に1回観察する。マウスを無作為化し、平均%ヒトAML(総WBCsのうちの)が2~8%に到達したときに実験を開始する。
【0091】
顎下の血液を回収する。
【0092】
脾臓/脾細胞の処理および調製
切除後、脾臓の重量を量り、脾臓の3/4をPBSが入った標準的な滅菌15mLポリプロピレン円錐管に入れ、氷上に置く。脾臓の残りの1/4を10% NBFで固定し、病理検査に回す。脾臓を15mLコレクションチューブ中の氷冷滅菌PBSの中に入れる。脾臓をコレクションチューブから取り出し、100ミクロン 50mL円錐管用セルストレーナー(BD Falcon#352360)の中に入れる。5mLシリンジのプランジャーの先端で、円運動で脾臓組織をセルストレーナーの表面に優しくこすり付けることで、脾臓を処理する。処理の間、ストレーナーの表面を10mL室温滅菌DPBS(HyClone SH30028)で3回洗浄する。無傷の脾臓組織が見えなくなった後、ストレーナーの最終的な洗浄を行い、10mL滅菌血清用ピペットを用いて細胞調製液を15回上下にかき混ぜる。遠心分離(300xg)によって細胞ペレットを回収し、30mL滅菌DPBSで3回洗浄する。細胞をカウントし、望ましい移植濃度で、DPBS中で再懸濁する。
【0093】
骨髄回収
1mLのPBSが入った1mLシリンジをつけた27Gから25Gの針を用いて、脛骨および大腿骨から骨髄を回収する。
【0094】
ヒト白血球のフローサイトメトリー分析
インビボ実験から顎下の血液サンプルを回収する。製造業者の説明書に従って、蛍光結合抗体染色剤を添加する(抗ヒトCD33-PE(クローンWM53、BDカタログ番号555450)、抗ヒトCD14-APC(クローンMφP9、BDカタログ番号340436)、抗ヒトCD15-V450(クローンHI98、BDカタログ番号561584)、抗ヒトCD117-BV421(クローンYB5.B8、BDカタログ番号562434)、抗ヒトCD11b-APCCy7(クローンICRF44、BDカタログ番号557754)、抗ヒトCD45-PECy7(クローンHI30、BDカタログ番号557748)、および抗ヒトCD3-FITC(クローンSK7、BDカタログ番号340542))。30分間室温で、遮光でサンプルをインキュベートする。インキュベート後、1.5mL 1X BD Lyse/Fix(37℃(BDカタログ番号558049))を各サンプルに添加し、12分間室温でインキュベートする。チューブを300xgで7分間遠心する。BD Lyse/Fix溶液を吸引し、細胞ペレットを染色/洗浄バッファーで3回洗浄する(1回の洗浄ステップは以下からなる:ペレットを3mL染色/洗浄バッファー中で再懸濁し、300xgで遠心し、洗浄バッファーを吸引する)。次に、固定した細胞を300から400μL染色/洗浄バッファー中で再懸濁する。標準的なフローサイトメトリーの原理および技術を用いて、Becton Dickinson FACSVerse Flowサイトメーター(カタログ番号651155 シリアル番号Z6511550447)でサンプルを分析する。サンプルの染色および固定を行ったその日にサンプルを分析する。ポピュレーションのゲーティングおよびポピュレーションの割合のデータ分析をFACSVerseサイトメーター上のFACSuiteソフトウェアで行う。データ分析から得たポピュレーションのパーセント値をGraphpad PrismまたはJMP13でプロットする。動物が疾患に屈する場合、または任意の所定の日に技術的な理由で血液を得ることができない場合、データ点はその日についてはないものとし、それゆえ未検(ND)となる。
【0095】
AML PDxモデルの血漿中のLC-MS代謝産物分析
2-HGおよびα-KGの合計濃度に及ぼすIDH1阻害の効果を血漿の液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)により決定する。2-HGおよびα-KGを水に添加することで検量線を準備する。この方法では、LC-MSによる分析の前に、O-ベンジルヒドロキシルアミンによる誘導体化を利用した。10マイクロリットルの各スタンダードまたはサンプルをディープウェルの96ウェルプレートに入れ、10μM d5-3-ヒドロキシグルタル酸および10μM d6-α-KGを含む100μLの内部標準液と組み合わせる。次に血漿サンプルを210uL 4:3 メタノール:クロロホルムで処理し、遠心分離し、上清を除去し、乾燥させる。100uLのピリジン緩衝液(8.6% ピリジン、pH5)中、1M O-ベンジルヒドロキシルアミンおよび100uLのピリジン緩衝液中、1M N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)を各サンプルに添加する。誘導体化反応は室温で1時間かけて進む。Beckman Biomek FXリキッドハンドラーを用いて、300μLの酢酸エチルを各サンプルに添加する。プレートを密閉し、5分間ボルテックスし、その後5分間、4000rpmで、Eppendorf 5810R遠心分離機で遠心する。220μLの上層を新しい96ウェルプレートに移す。サンプルを加熱窒素下で、50℃で乾燥させ、100uLのメタノール/水(1:1)でもどす。1マイクロリットルの誘導体化サンプルをShimadzu Prominence 20A HPLCシステムおよびThermo Quantum Ultra(商標)三連四重極型質量分析計からなるLC-MSシステムに注入する。分析物をWater XBridge(商標)C18カラム(2.1x50mm、3.5μm)で、0.6mL/分の流速で分離する。移動相Aは0.1% ギ酸水溶液であり、移動相Bはメタノールである。勾配プロファイルは、0分、5% B;2分、100% B;4.00分、100% B;4.1分、5% B;5.50分、終了。質量分析計は、正イオン選択反応モニタリングモードで操作されるHESI-IIプローブを利用する。分析物濃度対分析物/内部標準ピーク面積比をプロットし、Xcalibur(商標)ソフトウェアで1/濃度重み付けを用いるデータの二次フィットを実行することで、検量線を作成する。未知の分析物濃度を検量線から逆算する。
【0096】
統計的手法
Combination Analysis Method(IVEF実験のためのBliss Independence)は、結果を分析するのに利用され得る。通常の反復測定モデルは、log体積対群および時間に適合する。Contrastステートメントは、併用される2つの具体的な治療を用いて、各タイムポイントで交互作用効果を検定するために使用される。これは、Bliss Independence法と同等であり、腫瘍体積が、理論上は0に到達し得る、すなわち、完全退縮し得ると仮定する。
【0097】
組み合わせについて予想される相加反応(EAR)は、反応(EAR)として腫瘍体積スケールで算出される:EAR体積=V1*V2/V0(式中、V0、V1、およびV2は、それぞれビークルコントロール、治療1単独、および治療2単独の推定平均腫瘍体積である)。相互作用検定が有意である場合、組み合わせ効果はそれぞれ、観察される併用時の平均体積がEAR体積よりも小さいか、または大きいかによって、相加効果以上または相加効果未満であると統計学的に断言される。そうでなければ、統計的結論は相加的である。
【0098】
腫瘍増殖停止が、期待される最高の反応である場合、Bliss法を%デルタT/C値に直接適用し、EARパーセント反応を得ることができる:EAR%デルタT/C=Y1*Y2/100(式中、Y1およびY2は、単剤治療のパーセントデルタT/C値である)。
【0099】
1.化合物Aおよびシタラビンの組み合わせ
本質的に上記の通り実施された実験において、表1A~1Dの結果は、化合物Aおよびシタラビンの組み合わせについて得られたものである。
【0100】
【表1】
各列は、1匹の動物からのデータである。
【0101】
47日目において、各治療群の%血漿AML細胞はそれぞれ、A:ビークル(86%);B:化合物A(39%);C:シタラビン(5.2%);およびE:化合物A+シタラビン(0.48%)(p<0.001)である。
【0102】
【表2】
各列は、1匹の動物からのデータである。
【0103】
47日目において、各治療群の%AML細胞分化はそれぞれ、A:ビークル(10%);B:化合物A(37%);C:シタラビン(8%);およびE:化合物A+シタラビン(71%)(p<0.001)である。
【0104】
【表3】
各治療群の%骨髄AMLクリアランスはそれぞれ、A:ビークル(94%);B:化合物A(78%);C:シタラビン(63%);および化合物A+シタラビン(14%)(p=0.0011)である。
【0105】
【表4】
各治療群の%血漿2-HGはそれぞれ、A:ビークル(100%);B:化合物A(3.4%);C:シタラビン(24%);およびE:化合物A+シタラビン(11%)(p=0.0004)である。
【0106】
結論として、化合物Aおよびシタラビンの組み合わせは、骨髄および末梢の両方においてAMLの抑制を高める。
【0107】
2.化合物Aおよびアザシチジンの組み合わせ
本質的に上記の通り実施された実験において、表2A~2Dの結果は、化合物Aおよびアザシチジンの組み合わせについて得られたものである。
【0108】
【表5】
各列は、1匹の動物からのデータである。
【0109】
43日目において、各治療群の%血漿AML細胞はそれぞれ、A:ビークル(71%);B:化合物A(52%);G:アザシチジン(22%);およびH:化合物A+アザシチジン(9.7%)(p<0.023)である。
【0110】
【表6】
各列は、1匹の動物からのデータである。
【0111】
43日目において、各治療群の%AML細胞分化はそれぞれ、A:ビークル(15%);B:化合物A(37%);G:アザシチジン(10%);およびH:化合物A+アザシチジン(59%)(p<0.001)である。
【0112】
【表7】
各治療群の%骨髄AMLクリアランスはそれぞれ、A:ビークル(94%);B:化合物A(87%);G:アザシチジン(55%);およびH:化合物A+アザシチジン(19%)(p=0.0032)である。
【0113】
【表8】
各治療群の%血漿2-HGはそれぞれ、A:ビークル(100%);B:化合物A(-15%);G:アザシチジン(48%);およびH:化合物A+アザシチジン(-9.6%)(p=0.1714)である。
【0114】
結論として、化合物Aおよびアザシチジンの組み合わせは、骨髄および末梢の両方においてAMLの抑制を高める。
【0115】
3.化合物Aおよびミドスタウリンの組み合わせ
本質的に上記の通り実施された実験において、表3A~3Dの結果は、化合物Aおよびミドスタウリンの組み合わせについて得られたものである。
【0116】
【表9】
【表10】
各列は、1匹の動物からのデータである。
【0117】
50日目において、各治療群の%血漿AML細胞はそれぞれ、A:ビークル(32%);B:1mg 化合物A(37%);F:ミドスタウリン(1.1%);およびI:1mg 化合物A+ミドスタウリン(2.2%)(p=0.473)である。
【0118】
50日目において、各治療群の%血漿AML細胞はそれぞれ、A:ビークル(32%);C:10mg 化合物A(2.8%);F:ミドスタウリン(1.1%);およびL:10mg 化合物A+ミドスタウリン(0.6%)(p=0.016)である。
【0119】
64日目において、各治療群の%血漿AML細胞はそれぞれ、A:ビークル(67%);B:1mg 化合物A(51%);F:ミドスタウリン(2.2%);およびI:1mg 化合物A+ミドスタウリン(1.3%)(p=0.767)である。
【0120】
64日目において、各治療群の%血漿AML細胞はそれぞれ、A:ビークル(67%);C:10mg 化合物A(1.1%);F:ミドスタウリン(2.2%);およびL:10mg 化合物A+ミドスタウリン(0.56%)(p<0.001)である。
【0121】
78日目において、各治療群の%血漿AML細胞はそれぞれ、A:ビークル(129%);B:1mg 化合物A(65%);F:ミドスタウリン(3.9%);およびI:1mg 化合物A+ミドスタウリン(1.6%)(p=0.829)である。
【0122】
78日目において、各治療群の%血漿AML細胞はそれぞれ、A:ビークル(129%);C:10mg 化合物A(0.66%);F:ミドスタウリン(3.9%);およびL:10mg 化合物A+ミドスタウリン(0.25%)(p<0.001)である。
【0123】
【表11】
各列は、1匹の動物からのデータである。
【0124】
50日目において、各治療群の%AML細胞分化はそれぞれ、A:ビークル(28%);B:1mg 化合物A(43%);F:ミドスタウリン(33%);およびI:1mg 化合物A+ミドスタウリン(81%)(p<0.001)である。
【0125】
50日目において、各治療群の%AML細胞分化はそれぞれ、A:ビークル(28%);C:10mg 化合物A(79%);F:ミドスタウリン(33%);およびL:10mg 化合物A+ミドスタウリン(80%)(p 0.776)である。
【0126】
【表12】
各治療群の%骨髄AMLクリアランスはそれぞれ、A:ビークル(86%);B:1mg 化合物A(90%);F:ミドスタウリン(26%);およびI:1mg 化合物A+ミドスタウリン(19%)(p=0.828)である。
【0127】
各治療群の%骨髄AMLクリアランスはそれぞれ、A:ビークル(86%);C:10mg 化合物A(2.3%);F:ミドスタウリン(26%);およびL:1mg 化合物A+ミドスタウリン(0.58%)(p=0.906)である。
【0128】
【表13】
各治療群の%血漿2-HGはそれぞれ、A:ビークル(100%);B:1mg 化合物A(38%);F:ミドスタウリン(70%);およびI:1mg 化合物A+ミドスタウリン(21%)(p=0.789)である。
【0129】
各治療群の%血漿2-HGはそれぞれ、A:ビークル(100%);C:10mg 化合物A(9.2%);F:ミドスタウリン(70%);およびL:10mg 化合物A+10mg ミドスタウリン(6.8%)(p=0.373)である。
【0130】
結論として、化合物Aおよびミドスタウリンの組み合わせは、骨髄および末梢の両方においてAMLの抑制を高める。