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特許7596401絶縁膜、電池セル、電池及び電力消費機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】絶縁膜、電池セル、電池及び電力消費機器
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/591 20210101AFI20241202BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20241202BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20241202BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20241202BHJP
【FI】
H01M50/591
H01M50/588
H01M50/103
H01M50/209
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022560333
(86)(22)【出願日】2021-07-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 CN2021108769
(87)【国際公開番号】W WO2023004604
(87)【国際公開日】2023-02-02
【審査請求日】2022-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】524304976
【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】LEVEL 19, CHINA BUILDING, 29 QUEEN’S ROAD CENTRAL, CENTRAL, CENTRAL AND WESTERN DISTRICT, HONG KONG, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳▲シィン▼
(72)【発明者】
【氏名】葛銷明
(72)【発明者】
【氏名】袁海峰
(72)【発明者】
【氏名】陸家縁
(72)【発明者】
【氏名】肖仲星
(72)【発明者】
【氏名】蘇帥峰
(72)【発明者】
【氏名】張君華
(72)【発明者】
【氏名】劉洋
(72)【発明者】
【氏名】張剣
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-033668(JP,A)
【文献】特開2019-117740(JP,A)
【文献】特開2019-192519(JP,A)
【文献】特許第6092108(JP,B2)
【文献】特許第6314086(JP,B2)
【文献】国際公開第2013/111256(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107004787(CN,A)
【文献】中国実用新案第206388740(CN,U)
【文献】韓国登録特許第10-2271654(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁膜であって、前記絶縁膜は、底面カバー領域と、複数の交互に設置された第1の側面カバー領域及び第2の側面カバー領域と、を含み、前記第1の側面カバー領域と前記第2の側面カバー領域の合計数は、前記底面カバー領域の辺数に等しく、前記底面カバー領域のそれぞれの辺は、一つの前記第1の側面カバー領域又は前記第2の側面カバー領域に接続され、
前記第1の側面カバー領域は、底部遮蔽部と、二つの側面オーバーラップ部と、を含み、前記底部遮蔽部の底辺は、前記底面カバー領域における一辺に接続され、二つの前記側面オーバーラップ部は、前記第1の側面カバー領域の両側の二つの前記第2の側面カバー領域にそれぞれ連結され、
複数の前記第1の側面カバー領域の前記底部遮蔽部及び前記第2の側面カバー領域は、収容空間を形成するように、いずれも前記底面カバー領域の同一側に位置し、二つの前記側面オーバーラップ部は、前記収容空間の底部を密閉するように、前記底部遮蔽部上に積層され、前記収容空間は、電池コア又は電池モジュールを被覆するためのものであり、
前記底部遮蔽部は、中間領域と、前記中間領域の両側に接続された第1の側辺領域及び第2の側辺領域と、を含み、
前記側面オーバーラップ部は、連結された上部領域及び下部領域を含み、
前記下部領域は、前記第1の側辺領域の一部又は前記第2の側辺領域の一部をカバーし、前記第1の側辺領域の残りの部分又は前記第2の側辺領域の残りの部分は、前記上部領域によってカバーされる、ことを特徴とする絶縁膜。
【請求項2】
前記底部遮蔽部の二つの側辺は、二つの前記側面オーバーラップ部にそれぞれ接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の絶縁膜。
【請求項3】
前記第1の側辺領域の側辺は、一方の前記側面オーバーラップ部に接続され、前記第2の側辺領域の側辺は、他方の前記側面オーバーラップ部に接続され、
前記第1の側辺領域、前記第1の側辺領域に連結された前記側面オーバーラップ部、前記第2の側辺領域、及び前記第2の側辺領域に連結された前記側面オーバーラップ部は、いずれも前記中間領域上に積層される、ことを特徴とする請求項2に記載の絶縁膜。
【請求項4】
前記上部領域及び前記下部領域は、近隣の前記第2の側面カバー領域と一体に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の絶縁膜。
【請求項5】
前記上部領域及び前記下部領域の、前記第2の側面カバー領域に連結された辺の合計長さは、前記第2の側面カバー領域の対応する辺の長さと同じであり、且つ整列して接続される、ことを特徴とする請求項4に記載の絶縁膜。
【請求項6】
前記上部領域は矩形であり、前記下部領域は三角形であり、前記上部領域の、前記下部領域に接続された辺の長さは、前記下部領域の、前記上部領域に接続された辺の長さよりも長い、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の絶縁膜。
【請求項7】
前記側面オーバーラップ部の、連結された前記第2の側面カバー領域から離れた辺から、他方の前記第2の側面カバー領域までの長さは、前記第1の側面カバー領域全体の接着密封を確保する第1の予め設定された長さよりも小さい、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の絶縁膜。
【請求項8】
前記底部遮蔽部の底辺及び前記底面カバー領域の対応する辺は、長さが同じであり、且つ整列して接続される、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の絶縁膜。
【請求項9】
前記第1の側面カバー領域の底部に第1の接着構造が塗布され、前記第1の接着構造の底辺は、前記第1の側面カバー領域の底辺と面一となり、前記第1の接着構造の側辺は、前記第1の接着構造の一部が前記側面オーバーラップ部の側辺にカバーされることを確保する第2の予め設定された長さで、前記第1の側面カバー領域の側辺から離れる、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の絶縁膜。
【請求項10】
前記第1の接着構造の高さは、前記底部遮蔽部の高さよりも大きい、ことを特徴とする請求項9に記載の絶縁膜。
【請求項11】
前記収容空間の内壁は、前記電池コア又は前記電池モジュールに接着接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の絶縁膜。
【請求項12】
前記絶縁膜の材料は防水材料である、ことを特徴とする請求項1に記載の絶縁膜。
【請求項13】
電池セルであって、電池コアと、請求項1~1のいずれか1項に記載の絶縁膜と、を含み、
前記電池コアは、ケースを有し、前記電池コアが前記絶縁膜の前記収容空間に少なくとも部分的に被覆されるように、前記ケースの底壁には前記絶縁膜の前記底面カバー領域がカバーされ、前記ケースの側壁には前記絶縁膜の前記第1の側面カバー領域及び前記第2の側面カバー領域がカバーされる、ことを特徴とする電池セル。
【請求項14】
電池であって、請求項1に記載の電池セルを複数含む、ことを特徴とする電池。
【請求項15】
電池であって、請求項1~1のいずれか1項に記載の絶縁膜と、複数の電池コアと、を含み、
複数の前記電池コアは、前記絶縁膜の前記収容空間に被覆され、
前記電池コアを被覆するための前記絶縁膜の前記第1の側面カバー領域上には、隣接する前記電池コアに接続するための第2の接着構造が塗布される、ことを特徴とする電池。
【請求項16】
前記電池コアの高さ方向において、前記第2の接着構造は、前記絶縁膜の第1の接着構造の上方に位置し、且つ前記第2の接着構造と前記第1の接着構造は、予め設定された距離で分離される、ことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項17】
前記第2の接着構造の粘度は、前記第1の接着構造の粘度よりも大きく、前記第2の接着構造の防水性は、前記第1の接着構造の防水性よりも低い、ことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項18】
前記第2の接着構造の厚さは、前記第1の接着構造の厚さよりも大きい、ことを特徴とする請求項1又は1に記載の電池。
【請求項19】
電池セルの製造方法であって、
ケースを有する電池コアを提供することと、
前記ケースを被覆するための請求項1~1のいずれか1項に記載の絶縁膜を提供することと、
を含み、
前記ケースが前記絶縁膜の前記収容空間に少なくとも部分的に被覆されるように、前記絶縁膜の前記底面カバー領域は、前記ケースの底壁をカバーし、前記絶縁膜の前記第1の側面カバー領域及び前記第2の側面カバー領域は、前記ケースの側壁をカバーする、ことを特徴とする電池セルの製造方法。
【請求項20】
電力消費機器であって、請求項1~1のいずれか1項に記載の電池を含む、ことを特徴とする電力消費機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池技術分野に関し、特に絶縁膜、電池セル、電池、電池セルの製造方法、電池セルの製造機器及び電力消費機器に関する。
【背景技術】
【0002】
環境汚染の増加に伴い、新エネルギー産業は、ますます注目を集めている。充電可能なリチウムイオン二次電池として、多くの電子製品、エネルギー貯蔵製品及び電気自動車の重要な構成部分となっており、その性能は、関連製品の宣伝や使用に直接影響する。
【0003】
リチウムイオン電池に対して、水蒸気が電池セルの内部に侵入するのを防ぐために、一般的に、一層の金属と二層のプラスチックで構成された積層材料を使用して電池セルをパッケージする。
【0004】
しかしながら、上記電池セルのパッケージ方式は、一般的に、電池の高さ方向の防水問題を解決できず、それにより、リチウム電池の防水性能が比較的低い。
【発明の概要】
【0005】
本出願は、電池の熱暴走による安全事故を減らすことができる電池、電力消費装置、電池の製造方法及び装置を提供する。
【0006】
本出願の第1の態様による絶縁膜は、底面カバー領域と、複数の交互に設置された第1の側面カバー領域及び第2の側面カバー領域とを含み、前記第1の側面カバー領域と前記第2の側面カバー領域の合計数は、前記底面カバー領域の辺数に等しく、前記底面カバー領域のそれぞれの辺は、一つの前記第1の側面カバー領域又は前記第2の側面カバー領域に接続され、
前記第1の側面カバー領域は、底部遮蔽部と二つの側面オーバーラップ部を含み、前記底部遮蔽部の底辺は、前記底面カバー領域における一辺に接続され、二つの前記側面オーバーラップ部は、前記第1の側面カバー領域の両側の二つの前記第2の側面カバー領域にそれぞれ連結され、
複数の前記第1の側面カバー領域の底部遮蔽部と前記第2の側面カバー領域は、収容空間を形成するように、いずれも前記底面カバー領域の同一側に位置し、二つの前記側面オーバーラップ部は、前記収容空間の底部を密閉するように、前記底部遮蔽部上に積層される。
【0007】
底部遮蔽部と二つの側面オーバーラップ部を含む第1の側面カバー領域と第2の側面カバー領域を底面カバー領域の同一側に交互に設置するとともに、底部遮蔽部及び隣接する第2の側面カバー領域を底面カバー領域と組み合わせることにより、電池セルを収容するための収容空間を形成でき、また、二つの側面オーバーラップ部を底部遮蔽部上に積層することにより、二つの側面オーバーラップ部が近隣の第2の側面カバー領域にそれぞれ連結されるため、収容空間に対する密封作用を実現し、さらにこの絶縁膜の防水性能を向上させ、電池に対する防水という目的を達成することができる。
【0008】
いくつかの実施例では、前記底部遮蔽部の二つの側辺は、二つの前記側面オーバーラップ部にそれぞれ接続される。
【0009】
底部遮蔽部の二つの側辺を二つの側面オーバーラップ部にそれぞれ接続することにより、絶縁膜における各部分を一体に接続でき、それにより、絶縁膜によって取り囲まれた収容空間の密封性をさらに向上させることができる。
【0010】
いくつかの実施例では、前記底部遮蔽部は、中間領域と、前記中間領域の両側に接続された第1の側辺領域及び第2の側辺領域とを含み、前記第1の側辺領域の側辺は、そのうちの一方の前記側面オーバーラップ部に接続され、前記第2の側辺領域の側辺は、他方の前記側面オーバーラップ部に接続され、
前記第1の側辺領域、前記第1の側辺領域に連結された前記側面オーバーラップ部、前記第2の側辺領域、及び前記第2の側辺領域に連結された前記側面オーバーラップ部は、いずれも前記中間領域上に積層される。
【0011】
第1の側辺領域の側辺をそのうちの一方の側面オーバーラップ部に接続し、第2の側辺領域の側辺を他方の側面オーバーラップ部に接続することにより、底部遮蔽部を二つの側面オーバーラップ部と一体に接続でき、それにより、構造の密封性を向上させることができる。同時に、上記の第1の側辺領域、第2の側辺領域及び側面オーバーラップ部を中間領域上に積層することにより、構造のコンパクト性を向上させ、収容空間の形状と電池とのマッチングを保証することができる。
【0012】
いくつかの実施例では、前記側面オーバーラップ部は、連結された上部領域と下部領域を含み、前記下部領域は、前記第1の側辺領域全体又は前記第2の側辺領域全体をカバーし、
又は、前記下部領域は、前記第1の側辺領域の一部又は前記第2の側辺領域の一部をカバーし、前記第1の側辺領域の残りの部分又は前記第2の側辺領域の残りの部分は、前記上部領域によってカバーされる。
【0013】
下部領域が第1の側辺領域の一部又は第2の側辺領域の一部を部分的にカバーし、第1の側辺領域の残りの部分又は第2の側辺領域の残りの部分が上部領域によってカバーされることにより、第1の側辺領域と第2の側辺領域の外側にも側面オーバーラップ部があり、この側面オーバーラップ部上の接着構造は、側面オーバーラップ部を中間領域上に固定する作用を果たすことができ、それにより、上記積層構造の堅固さを向上させることができ、さらに絶縁膜の密封性を向上させる作用を果たすことができる。
【0014】
いくつかの実施例では、前記上部領域、前記下部領域は、近隣の前記第2の側面カバー領域と一体に接続される。
【0015】
いくつかの実施例では、前記上部領域、前記下部領域の、前記第2の側面カバー領域に連結された辺の合計長さは、前記第2の側面カバー領域の対応する辺の長さと同じであり、且つ整列して接続される。
【0016】
上記一体に接続されること及び合計長さが等しいことにより、側面オーバーラップ部と第2の側面カバー領域との間に隙間があることを回避し、防水という目的を達成することができる。
【0017】
いくつかの実施例では、前記上部領域は矩形であり、前記下部領域は三角形であり、前記上部領域の、前記下部領域に接続された辺の長さは、前記下部領域の、前記上部領域に接続された辺の長さ以上である。
【0018】
いくつかの実施例では、前記側面オーバーラップ部の、連結された前記第2の側面カバー領域から離れた辺から、他方の前記第2の側面カバー領域までの長さは、第1の予め設定された長さよりも小さい。
【0019】
これにより、側面オーバーラップ部と他方の第2の側面カバー領域との間に隙間があることを確保し、第1の側面カバー領域全体の積層及び後の接着密封に役立つ。
【0020】
いくつかの実施例では、前記底部遮蔽部の底辺と前記底面カバー領域の対応する辺は、長さが同じであり、且つ整列して接続される。
【0021】
底部遮蔽部と底面カバー領域との間に隙間があることをある程度まで回避し、防水という目的を達成することができる。
【0022】
いくつかの実施例では、前記第1の側面カバー領域の底部に第1の接着構造が塗布され、前記第1の接着構造の底辺は、前記第1の側面カバー領域の底辺と面一となり、前記第1の接着構造の側辺と前記第1の側面カバー領域の側辺との間に第2の予め設定された長さが取られておく。
【0023】
第1の接着構造は、絶縁膜の底部領域をさらに密封するという目的を達成するためのものである。
【0024】
いくつかの実施例では、前記第1の接着構造の高さは、前記底部遮蔽部の高さよりも大きい。
【0025】
これにより、第1の接着構造が底部遮蔽部を密封できると確定する。それにより、第1の接着構造は、絶縁膜の底部領域をさらに密封するという目的を達成する。
【0026】
いくつかの実施例では、前記収容空間は、電池コア又は電池モジュールを被覆するためのものである。
【0027】
いくつかの実施例では、前記収容空間の内壁は、前記電池コア又は前記電池モジュールに接着接続される。
【0028】
絶縁膜における収容空間の内壁はさらに、電池モジュールと接着接続する必要があり、それにより、絶縁膜と電池モジュールとの間の相対的な固定を実現できる。
【0029】
いくつかの実施例では、前記絶縁膜の材料は防水材料である。
【0030】
本出願の第2の態様による電池セルは、電池コアと上記の絶縁膜を含み、 前記電池コアは、ケースを有し、前記電池コアが前記絶縁膜の収容空間に少なくとも部分的に被覆されるように、前記ケースの底壁には前記絶縁膜の底面カバー領域がカバーされ、前記ケースの側壁には前記絶縁膜の第1の側面カバー領域及び第2の側面カバー領域がカバーされる。
【0031】
本出願の第3の態様による電池は、複数の上記の電池セルを含む。
【0032】
本出願の第4の態様による電池は、上記の絶縁膜と複数の電池コアを含み、 複数の前記電池コアは、前記絶縁膜の収容空間に被覆され、
前記電池コアを被覆するための前記絶縁膜の第1の側面カバー領域上には、隣接する前記電池コアに接続するための第2の接着構造が塗布される。
【0033】
いくつかの実施例では、前記電池セルの高さ方向において、前記第2の接着構造は、前記絶縁膜の第1の接着構造の上方に位置し、且つ前記第2の接着構造と前記第1の接着構造は、予め設定された距離で分離される。
【0034】
いくつかの実施例では、前記第2の接着構造の粘度は、前記第1の接着構造の粘度よりも大きく、前記第2の接着構造の防水性は、前記第1の接着構造の防水性よりも低い。
【0035】
いくつかの実施例では、前記第2の接着構造の厚さは、前記第1の接着構造の厚さよりも大きい。
【0036】
本出願の第5の態様による電池セルの製造方法は、
ケースを有する電池コアを提供することと、
前記ケースを被覆するための上記の絶縁膜を提供することと、を含み、前記ケースが前記絶縁膜の収容空間に少なくとも部分的に被覆されるように、前記絶縁膜の底面カバー領域は、前記ケースの底壁をカバーし、前記絶縁膜の第1の側面カバー領域と第2の側面カバー領域は、前記ケースの側壁をカバーする。
【0037】
本出願の第6の態様による電池セルの製造機器は、
ケースを有する電池コアを提供するための第1の装置と、
前記ケースを被覆するための上記の絶縁膜を提供するための第2の装置と、を含み、前記ケースが前記絶縁膜の収容空間に少なくとも部分的に被覆されるように、前記絶縁膜の底面カバー領域は、前記ケースの底壁をカバーし、前記絶縁膜の第1の側面カバー領域と第2の側面カバー領域は、前記ケースの側壁をカバーする。
【0038】
本出願の第7の態様による電力消費機器は、上記の電池を含む。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本出願の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の記述に必要な図面を簡単に説明するが、明らかに、以下の記述における図面は、本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を支払うことなく、これらの図面に基づいて他の図面を入手することができる。
【0040】
ここで説明された図面は、本出願のさらなる理解を提供するためのものであり、本出願の一部を構成し、本出願の例示的な実施例及びその説明は、本出願を解釈するためのものであり、本出願の不適切な限定を構成しない。
図1A】本出願の実施例による電力消費装置の構造概略図である。
図1B】本出願の実施例による電池の構造概略図である。
図1C】本出願の実施例による電池モジュールの構造概略図である。
図1D】本出願の実施例による電池セルの構造概略図である。
図2】本出願の実施例による絶縁膜の構造概略図である。
図3】本出願の実施例による絶縁膜における第1の側面カバー領域の構造概略図である。
図4】本出願の実施例による別の第1の側面カバー領域の構造概略図である。
図5】本出願の実施例による第1の接着構造が設置された絶縁膜の構造概略図である。
図6】本出願の実施例による第2の接着構造が設置された絶縁膜の構造概略図である。
図7】本出願の実施例による電池セルの製造方法のフローチャートである。
図8】本出願の実施例による電池セルの製造機器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本出願の目的、技術的解決手段及び利点をより明瞭にするために、以下、図面及び実施例を結び付けながら、本出願をさらに詳細に説明する。理解すべきこととして、ここで記述された具体的な実施例は、本出願を解釈するためのものに過ぎず、本出願の好ましい実施例であり、本出願の保護範囲を制限することを意図するものではなく、従って、本出願の構造、形状、原理に基づいて行われた全ての等価変更は、本出願の保護範囲内に含まれるべきである。
【0042】
特に定義されていない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、当業者に一般に理解される意味と同じである。本出願の明細書で使用される用語は、具体的な実施例を記述することを目的とし、本出願を制限することを意図していない。本出願の明細書と特許請求の範囲及び図面の説明における「含む」、「有する」という用語及びそれらの任意の変形は、非排他的な「含む」を意図的にカバーするものである。
【0043】
本明細書で言及される「実施例」は、実施例を結び付けながら記述される特定の特徴、構造又は特性が本出願の少なくとも1つの実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書における各箇所に記載されたこの語句「実施例」は、必ずしも全てが同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と相互排他する独立した又は代替的な実施例でもない。当業者は、本明細書で記述された実施例が他の実施例と組み合わされてもよいことを明示的かつ暗示的に理解できる。
【0044】
本明細書における「及び/又は」という用語は、関連対象の関連関係を記述するものに過ぎず、3つの関係が存在してもよいことを表し、例えば、A及び/又はBは、単独のA、AとBとの組み合わせ、単独のBという3つのケースを表してもよい。また、本明細書における「/」という文字は、一般的に前後の関連対象が「又は」の関係であることを表す。
【0045】
なお、本出願の明細書と特許請求の範囲又は上記図面における「第1」、「第2」などの用語は、異なる対象を区別するためのものであり、特定の順序を記述するためのものではなく、一つ以上のこの特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。
【0046】
本出願の記述では、特に説明されていない限り、「複数」の意味は、二つ以上(二つを含む)を指し、同様に、「複数組」は、二組以上(二組を含む)を指す。
【0047】
本出願の記述では、説明すべきこととして、特に明確に規定及び限定されていない限り、「取り付ける」、「連結」、「接続」という用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、機械構造の「連結」又は「接続」は、物理的接続を指してもよく、例えば、物理的接続は、固定接続、例えば、固定部材を介した固定接続、例えば、ネジ、ボルト又は他の固定部材を介した固定接続であってもよく、物理的接続は、取り外し可能な接続、例えば、相互係着又は係合可能な接続であってもよく、物理的接続は、一体に接続すること、例えば、溶接、接着又は一体成形して接続することであってもよい。回路構造の「連結」又は「接続」は、物理的接続を指してもよく、電気的接続又は信号接続を指してもよく、例えば、直接連結、即ち、物理的接続であってもよく、少なくとも一つの中間素子を介した間接的連結であってもよく(回路が通じればよい)、二つの素子の内部の連通であってもよく、信号接続は、回路を介した信号接続であってもよく、媒体を介した信号接続、例えば、無線電波であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて、本出願の実施例における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0048】
以下の実施例で各方向を明確に記述するために、いくつかの方向を示す用語を使用してもよく、例えば、図1Dにおける座標系は、電池の各方向を定義したが、x方向は、電池セル400の長さ方向を表し、y方向は、水平面でx方向に垂直であり、電池セル400の幅方向を表し、z方向は、x方向及びy方向に垂直であり、電池の高さ方向を表す。なお、上記記述されたx方向、y方向及びz方向などは、本実施例の電池の各部材の操作と構成の指示方向の表現が絶対的ではなく、相対的であることを説明するためのものであり、且つ電池の各部材が図に示す位置にある時、これらの指示は適切であるが、これらの位置が変化する時、前記変化に対応するために、これらの方向は、異なる解釈を有するべきである。
【0049】
方向の同じ理解を踏まえて、本出願の記述では、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などの用語によって指示された方向又は位置関係は、図面に示す方向又は位置関係に基づき、本出願の記述の便宜又は記述の簡略化を図るためのものであり、言及された装置又は素子が特定の方向を有し、特定の方向で構成及び操作される必要があることを指示又は暗示するものではないため、本出願を限定するものと理解されるべきでない。
【0050】
充電可能な電池は、二次電池又は動力電池と呼ばれてもよく、現在、広く使用されている充電可能な電池は、リチウム電池、例えば、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池であるが、これらに限定されない。記述の便宜上、本明細書で充電可能な電池を電池と称してもよい。
【0051】
電池の安全特性は、電池を評価する重要な特性であり、使用又は充電時に電池の安全性をできるだけ保証する必要がある。
【0052】
電池は、一般的に複数の電池セルを接続して組み合わせることにより構成されており、電池セルに外部短絡、過充電、釘刺し、平板衝突などの状況が発生した時、電池セルが熱暴走しやすくなる。電池セルが熱暴走した時、この電池セルの内部に排出物が発生し、この排出物は、高温煙道ガス(深刻な場合は直火が発生する)と揮発性の高温電解液などの物質を含み、これらの排出物が排出中に熱拡散することにより、他の電池セルが熱暴走し、さらに爆発などの事故につながる。理解できるように、本出願で言及された電池セルからの排出物は、電解液、溶解又は分割された正極及び負極極板、セパレータの破片、反応によって生成された高温高圧ガス、火炎などを含むが、これらに限定されない。
【0053】
出願人は、ある電池セルが熱暴走すると、周りの電池セルの短絡や高電圧点火などの問題が発生することを発見した。
【0054】
この問題に対して、発明者は、電池内部の複数の部位に絶縁処理を行ったが、電池セルが熱暴走した時の短絡や高電圧点火などの問題を依然として解決しなかった。さらなる研究の結果、出願人は、電池セルの熱暴走による短絡や高電圧点火などの問題が電池内部から排出された排出物がバス部品と接触することによって引き起こされることを発見した。
【0055】
これに鑑み、本出願は、電池セルが熱暴走した時、この電池セルから噴出された高温排出物がバス部品に飛散することを防止し、電池セルの短絡や高電圧点火の問題の発生を減少させることができる電池を提供する。そのため、本出願の電池は、電池セルの熱暴走状況をタイムリーに制御し、熱や高温排出物のさらなる発生を防止することができるとともに、上記高温排出物がバス部品に飛散することを回避し、電池セルの短絡や高電圧点火の状況を減少させることができる。
【0056】
本出願の実施例における電池は、電気エネルギーで動力源を供給できる様々な電力消費装置に用いることができる。ここでの電力消費装置は、電気自動車、電車、電動自転車、ゴルフカート、ドローン又は汽船などであってもよいが、これらに限定されない。且つ、電力消費装置は、電池のみで動力を供給する装置であってもよく、ハイブリッド装置であってもよい。電池は、電力消費装置に電気エネルギーを供給し、且つモータによって電気装置を駆動する。
【0057】
例えば、図1Aでは、本出願の一実施例による電力消費装置の構造概略図が示されている。電力消費装置は、自動車であってもよく、自動車は、燃料油自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車やレンジエクステンダー自動車などであってもよい。自動車は、電池200、コントローラ210及びモータ220を含む。電池200は、自動車の操作電源及び駆動電源として、コントローラ210とモータ220に電力を供給するためのものであり、例えば、電池200は、自動車の起動、ナビゲーション及び走行時の作動電力需要を満たすためのものである。例えば、電池200は、コントローラ210に電力を供給し、コントローラ210は、モータ220に電力を供給するように電池200を制御し、モータ220は、電池200の電力を受け取って自動車の駆動電源として使用し、燃料油又は天然ガスに代わって又は部分的に代わって自動車に駆動動力を提供する。
【0058】
電池に比較的高い機能を実現させて使用需要を満たすために、電池200は、相互に接続された複数の電池モジュールを含んでもよく、図1Bに示すように、電池200は、第1のケース201、第2のケース202及び複数の電池モジュール300を含み、第1のケース201及び第2のケース202は相互に係合し、複数の電池モジュール300は、第1のケース201及び第2のケース202によって取り囲まれた空間内に配列される。
【0059】
図1Cに示すように、電池モジュール300は、複数の電池セル400を含み、複数の電池セル400は、比較的大きい電流又は電圧を実現するために、直列接続、並列接続又は直並列接続の方式で接続されてもよく、直並列接続は、直列接続と並列接続の組み合わせを指す。引き続き、図1Cに示すように、電池セル400が直立に配置されてもよく、電池セル400の高さ方向は、z方向と一致し、電池セル400の長さ方向は、x方向と一致し、複数の電池セル400は、その幅方向に沿ってy方向に併設され、又は、電池セル400は水平に配置されてもよく、電池セル400の幅方向は、z方向と一致し、電池セル400の長さ方向は、x方向と一致し、複数の電池セル400は、z方向に沿って少なくとも一層積層されてもよく、各層は、x方向に沿って間隔を置いて設置された複数の電池セル400を含む。
【0060】
当業者が本出願の改善点を明確に理解するために、まず、電池セル400の全体的な構造を説明する。
【0061】
図1Dに示すように、電池セル400は、電池コアを含み、電池コアは、ケース40、電極コンポーネント30及びエンドキャップコンポーネント10を含み、エンドキャップコンポーネント10は、エンドキャッププレート10’を含み、エンドキャッププレート10’は、ケース40に接続(例えば、溶接)されて電池セル400のハウジングを形成し、電極コンポーネント30は、ケース40内に設置され、且つケース40内に電解液が充填される。電池セル400は、立方体形、直方体形又は円柱形であってもよい。
【0062】
実際の使用需要に応じて、電極コンポーネント30が一つ又は複数設置されてもよい。図1Dに示すように、電池内に少なくとも二つの独立して巻回された電極コンポーネント30を設置してもよい。電極コンポーネント30は、第1の極板、第2の極板及び隣接する第1の極板と第2の極板との間に位置するセパレータを一緒に巻回又は積層することにより主体部を形成してもよく、セパレータは、隣接する第1の極板と第2の極板との間にある絶縁体である。主体部は、対向する二つの端面を有する。本実施例では、例示的に、第1の極板を正極極板、第2の極板を負極極板として説明を行う。正極活性物質は、正極極板の塗布領域上に塗布され、負極活性物質は、負極極板の塗布領域上に塗布される。主体部の塗布領域から延出した複数の未塗布領域は、タブとして積層される。電極コンポーネントは、二つのタブ301、即ち、正極タブ及び負極タブを含む。正極タブは、正極極板の塗布領域から延出し、負極タブは、負極極板の塗布領域から延出する。
【0063】
エンドキャップコンポーネント10は、電極コンポーネント30の頂部に設けられ、図1Dに示すように、エンドキャップコンポーネント10は、エンドキャッププレート10’と、二つの電極端子5と、を含み、二つの電極端子5は、それぞれ正極端子及び負極端子であり、各電極端子5に一つの接続部材20が対応して設置され、接続部材20は、エンドキャップ10’と電極コンポーネント30との間に位置する。
【0064】
例えば、図1Dにおける電極コンポーネント30のタブ301は、頂部に位置し、正極タブは、一方の接続部材20によって正極端子に接続され、負極タブは、他方の接続部材20によって負極端子に接続される。任意選択的に、電池セル400は、ケース40の両端にそれぞれ設置された二つのエンドキャップコンポーネント10を含んでもよく、各エンドキャップコンポーネント10上に一つの端子5が設置される。
【0065】
エンドキャッププレート10’上には、電池セル400内のガスが多すぎる時に電池セル400内のガスをタイムリーに放出して爆発を回避する防爆部材がさらに設置されてもよい。
【0066】
エンドキャッププレート10’上に排気孔が設けられ、排気孔は、エンドキャップ10’の長さ方向に沿った中間位置に設けられてもよい。防爆部材は、放圧機構6を含み、放圧機構6は、排気孔上に設けられ、通常の状態では、放圧機構6は、排気孔に密封して取り付けられるが、電池の膨張によりハウジング内の気圧が予め設定された値を超えて上昇すると、放圧機構6が作動して開かれ、放圧機構6によってガスが外に放出される。
【0067】
いくつかの実施例では、図1Dに示すように、エンドキャッププレート10’上に電池コア400内に電解液を注入するための貫通孔が設けられ、貫通孔は、円孔、円錐孔、多辺形孔又は他の形状の孔であってもよく、且つエンドキャッププレート10’の高さ方向に沿って延びてもよい。エンドキャッププレート10’上に貫通孔を密閉するための液体注入部材2が設けられる。
【0068】
図2及び図3に示すように、本出願の実施例は、電池コア400を被覆するための絶縁膜を提供する。この絶縁膜は、底面カバー領域210と、複数の交互に設置された第1の側面カバー領域220と、第2の側面カバー領域230と、を含み、底面カバー領域210は、電池コア400の底部をカバーするためのものであり、複数の交互に設置された第1の側面カバー領域220及び第2の側面カバー領域230は、電池コア400の側面をカバーするためのものであり、第1の側面カバー領域220と第2の側面カバー領域230の合計数は、底面カバー領域210の辺数に等しく、底面カバー領域210のそれぞれの辺は、一つの第1の側面カバー領域220又は一つの第2の側面カバー領域230に接続され、これにより、底面カバー領域210が第1の側面カバー領域220及び第2の側面カバー領域230と実質的にシームレスに接続できることを確保する。
【0069】
本出願の実施例では、複数の第1の側面カバー領域220及び第2の側面カバー領域230は、収容空間を形成するように、いずれも底面カバー領域210の同一の側に位置する。図2に示すように、この収容空間は、電池コア400を収容するためのものである。
【0070】
本出願の実施例では、第1の側面カバー領域220は、底部遮蔽部221と、二つの側面オーバーラップ部222と、を含み、底面カバー領域210と第1の側面カバー領域220の接続を実現するために、底部遮蔽部221の底辺は、底面カバー領域210における一辺に接続され、第1の側面カバー領域220と第2の側面カバー領域230の接続を実現するために、二つの側面オーバーラップ部222は、この第1の側面カバー領域220の両側の二つの第2の側面カバー領域230にそれぞれ連結される。
【0071】
さらに、複数の第1の側面カバー領域220の底部遮蔽部221及び第2の側面カバー領域230は、収容空間を形成するように、いずれも底面カバー領域210の同一の側に位置し、二つの側面オーバーラップ部222は、収容空間の底部を密閉するように、底部遮蔽部221上に積層され、それにより、防水作用を果たすことができる。
【0072】
本出願の実施例による絶縁膜では、底部遮蔽部221及び二つの側面オーバーラップ部222を含む第1の側面カバー領域220と、第2の側面カバー領域230を底面カバー領域210の同一側に交互に設置するとともに、底部遮蔽部221及び隣接する第2の側面カバー領域230を底面カバー領域210と組み合わせることにより、電池コア収容するための収容空間を形成でき、また、二つの側面オーバーラップ部222を底部遮蔽部221上に積層することにより、二つの側面オーバーラップ部222が近隣の第2の側面カバー領域230にそれぞれ連結されるため、収容空間に対する密封作用を実現し、さらにこの絶縁膜の防水性能を向上させ、電池コアに対する防水を実現するという目的を達成することができる。
【0073】
実際の応用では、上記の接続方式及び積層方式は、実際の状況に応じて確定されてもよい。例えば、底部遮蔽部221及び第2の側面カバー領域230は、それぞれ底面カバー領域210と一体に接続され、側面オーバーラップ部222は第2の側面カバー領域230と一体に接続され、また、側面オーバーラップ部222の、底部遮蔽部221に積層された一面に接着構造が設置されてもよく、それにより、接着方式で底部遮蔽部221上に積層されてもよい。
【0074】
本出願の実施例では、電池コアを絶縁膜の収容空間内に容易に固定するために、絶縁膜の収容空間に近い片側に接着構造を設置してもよく、それにより、絶縁膜を電池コア上に接着する。無論、電池コアと絶縁膜との固定接続を実現できる他の任意の方式は、いずれも本出願の保護範囲内に含まれる。
【0075】
本出願の実施例では、底部遮蔽部221の二つの側辺を二つの側面オーバーラップ部222にそれぞれ接続することにより、絶縁膜における各部分を一体に接続でき、それにより、絶縁膜によって取り囲まれた収容空間の密封性をさらに向上させることができる。
【0076】
図3に示すように、底部遮蔽部221は、中間領域2211と、中間領域2211の両側に接続された第1の側辺領域2212及び第2の側辺領域2213と、を含み、第1の側辺領域2212の側辺は、一方の側面オーバーラップ部222に接続され、第2の側辺領域2213の側辺は、他方の側面オーバーラップ部222に接続される。上記の第1の側辺領域2212、この第1の側辺領域2212に連結された側面オーバーラップ部222、第2の側辺領域2213、及び第2の側辺領域2213に連結された側面オーバーラップ部222は、いずれも中間領域2211上に積層される。
【0077】
第1の側辺領域2212の側辺を一方の側面オーバーラップ部222に接続し、第2の側辺領域2213の側辺を他方の側面オーバーラップ部222に接続することにより、底部遮蔽部221を二つの側面オーバーラップ部222と一体に接続でき、それにより、構造の密封性を向上させることができる。同時に、上記の第1の側辺領域2212、第2の側辺領域2213及び側面オーバーラップ部222を中間領域2211上に積層することにより、構造のコンパクト性を向上させ、収容空間の形状と電池コアとのマッチングを保証することができる。
【0078】
また、上記の中間領域2211及び側面オーバーラップ部222の電池コアに近い片側に接着構造が塗布されることにより、上記の積層構造を電池コア上に固定して、固定及び密封という目的を達成することができる。
【0079】
実際の応用では、底部遮蔽部221及び側面オーバーラップ部222の具体的な構造形式は、実際の需要に応じて複数種設置されてもよく、本出願の実施例は、図3に示す絶縁膜の構造に加えて、図4に示す別の絶縁膜の構造概略図を提供する。
【0080】
図4で提供された絶縁膜において、側面オーバーラップ部222は、連結された上部領域2221及び下部領域2222を含み、下部領域2222は、第1の側辺領域2212の一部又は第2の側辺領域2213の一部をカバーし、第1の側辺領域2212の残りの部分又は第2の側辺領域2213の残りの部分は、上部領域2221によってカバーされる。
【0081】
図3で提供された絶縁膜において、下部領域2222は、第1の側辺領域2212全体又は第2の側辺領域2213全体をカバーする。
【0082】
図3に示す絶縁膜の構造に比べて、図4に示す絶縁膜において、第1の側辺領域2212と第2の側辺領域2213の外側にさらに側面オーバーラップ部222があり、この側面オーバーラップ部222上の接着構造は、側面オーバーラップ部222を中間領域2211上に固定する作用を果たすことができ、それにより、上記積層構造の堅固さを向上させることができ、さらに絶縁膜の密封性を向上させる作用を果たすことができる。
【0083】
絶縁膜の防水性を向上させ、絶縁膜における各部品の一体化を保証するために、上記の上部領域2221及び下部領域2222は、近隣の第2の側面カバー領域230と一体に接続される。上部領域2221及び下部領域2222の、第2の側面カバー領域230に連結された辺の合計長さは、第2の側面カバー領域230の対応する辺の長さと同じであり、且つ整列して接続される。それにより、側面オーバーラップ部222と第2の側面カバー領域230との間に隙間があることを回避し、防水という目的を達成することができる。一体に接続される方式は、接着接続であってもよく、一体成形であってもよいが、本出願の実施例では、それを特別に限定しない。
【0084】
本出願の実施例の一つの任意選択的な実施形態では、上部領域2221は矩形であってもよく、下部領域2222は三角形であってもよく、且つ、上部領域2221の、下部領域2222に接続された辺の長さは、下部領域2222の、上部領域2221に接続された辺の長さ以上である。図3に示すのは、上部領域2221と下部領域2222の接続箇所での辺が等しい状況であり、図4に示すのは、接続箇所で、上部領域2221の辺の長さが下部領域2222の辺の長さよりも大きい状況である。
【0085】
説明すべきこととして、上部領域2221及び下部領域2222は、上記の構造形式以外に、他の構造形式、例えば、台形、多辺形などであってもよく、実際の状況及び需要に応じて異なる構造形式を設置してもよいが、本出願の実施例では、それを特別に限定しない。
【0086】
図5に示すように、側面オーバーラップ部222の、それに連結された第2の側面カバー領域230から離れた辺から、他方の第2の側面カバー領域230までの長さDは、第1の予め設定された長さよりも小さい。それにより、側面オーバーラップ部222と他方の第2の側面カバー領域230との間に隙間があることを確保し、第1の側面カバー領域220全体の積層及び後の接着密封に役立つ。
【0087】
本出願の実施例では、積層構造をさらに密封するために、図5に示すように、第1の側面カバー領域220の底部に第1の接着構造510が塗布され、この第1の接着構造510の底辺は、第1の側面カバー領域220の底辺と面一となり、この第1の接着構造510の側辺と第1の側面カバー領域220の側辺との間に第2の予め設定された長さが確保される。第2の予め設定された長さは、第1の予め設定された長さよりも小さい必要があり、それにより、第1の接着構造510の一部が側面オーバーラップ部222の側辺にカバーされることを確保し、側面オーバーラップ部222を密封するという目的を達成する。
【0088】
また、第1の接着構造510の高さは、底部遮蔽部221の高さよりも大きい必要があり、それにより、第1の接着構造510が底部遮蔽部221を密封することができる。それにより、第1の接着構造510は、絶縁膜の底部領域をさらに密封するという目的を達成する。
【0089】
本出願の実施例の一つの実施形態では、第1の接着構造510の材質は、
【0090】
同様に、絶縁膜の防水性を向上させ、絶縁膜における各部品の一体化を保証するために、底部遮蔽部221の底辺と底面カバー領域210の対応する辺は、長さが同じであり、且つ整列して接続される。それにより、底部遮蔽部221と底面カバー領域210との間に隙間が生じることを回避し、防水という目的を達成することができる。
【0091】
本出願の実施例では、絶縁膜の高さは、電池コア400の高さよりも大きく、具体的には、第1の側面カバー領域220と第2の側面カバー領域230の高さは、電池コア400の高さよりも大きく、高さ方向における電池コア400全体に対する防水という目的を達成する。
【0092】
実際の応用では、絶縁膜の内部の各異なる部位間の接続関係以外、絶縁膜における収容空間の内壁はさらに、電池コアと接着接続する必要があり、それにより、絶縁膜と電池コアとの間の相対的な固定を実現できる。本出願の実施例では、具体的な接着部位及び接着方式を特別に限定しない。
【0093】
本出願の実施例では、絶縁膜の収容空間は、電池コアを被覆する以外に、複数の電池コアで構成された電池モジュール300を被覆してもよく、且つ複数の電池コアは、異なる方式で接続されてもよい。
【0094】
実際の電池モジュール300の被覆では、絶縁膜の底面カバー領域210は、電池モジュール300の底部をカバーし、複数の第1の側面カバー領域220と第2の側面カバー領域230は、電池モジュール300の側面をカバーし、電池モジュール300は、収容空間に被覆される。
【0095】
絶縁膜の具体的な構造形式が電池コア400の被覆と一致するため、ここではこれ以上説明しない。絶縁膜における収容空間の内壁はさらに、電池モジュール300と接着接続する必要があり、それにより、絶縁膜と電池モジュール300との間の相対的な固定を実現できる。
【0096】
本出願の実施例では、絶縁膜で電池コア400又は電池モジュール300を被覆することにより、絶縁作用を果たすとともに、防水作用を果たすことができ、且つコストが比較的低く、占有された空間が比較的小さい。
【0097】
強調すべきこととして、絶縁膜の材料は防水材料であり、例えば、絶縁膜は、基板と密着層を複合することにより形成され、基板は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、スチレン-アクリレートコポリマー、ポリスチレン、ポリアミドなどのポリマー材料であってもよく、密着層は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、アミノ樹脂、フェノール樹脂などのポリマー材料などであってもよい。
【0098】
実際の応用では、絶縁膜の厚さは、25~400umであってもよく、任意選択的に、基板の厚さは、20~200um、例えば、50umであってもよく、密着層の厚さは、5~200um、例えば、20umであってもよい。
【0099】
別の態様によれば、本出願の実施例は、電池セルをさらに提供する。この電池セルは、電池コア及び上記の絶縁膜を含み、図4に示すように、電池コア400は、ケースを有し、電池コアが絶縁膜の収容空間に少なくとも部分的に被覆されるように、ケースの底壁401には絶縁膜の底面カバー領域がカバーされ、ケースの側壁402には絶縁膜の第1の側面カバー領域及び第2の側面カバー領域がカバーされる。絶縁膜の具体的な構造形式及び設置位置は、上記実施例で詳細に説明されたため、本実施例では、これ以上説明しない。
【0100】
別の態様によれば、本出願は、電池をさらに提供する。電池は、複数の上記の電池セルを含む。電池セルの具体的な構造形式は、上記実施例で詳細に説明されたため、本実施例では、これ以上説明しない。
【0101】
以上をまとめると、本出願の実施例による電池では、電池セルにおける電池コアの外部に絶縁膜が被覆されるように上記の電池セルを設置することにより、絶縁作用を果たし、電池コアの短絡の発生を防止するとともに、防水の作用を果たすことができる。
【0102】
別の態様によれば、本出願は、電池をさらに提供する。電池は、上記の絶縁膜と複数の電池コアを含み、複数の電池コアは、絶縁膜の収容空間に被覆され、絶縁膜で被覆された電池コアが相互に接続される。
【0103】
図6に示すように、電池コア400を被覆するための絶縁膜の第1の側面カバー領域上には、隣接する電池コア400に接続するための第2の接着構造610が塗布される。
【0104】
電池コア400の高さ方向において、第2の接着構造610は、絶縁膜の第1の接着構造510の上方に位置し、且つ第2の接着構造610と第1の接着構造510は、予め設定された距離で分離され、それにより、比較的大きい強度を有する第2の接着構造610が第1の接着構造510を引っ張ることによって第1の接着構造510が裂けることを回避する。
【0105】
本出願の実施例の一実施形態では、第2の接着構造610の粘度は、第1の接着構造510の粘度よりも大きく、第2の接着構造610の防水性は、第1の接着構造510の防水性よりも低い。第1の接着構造510は、主に防水密封の作用を果たすが、第2の接着構造610は、主に接続固定の作用を果たす。
【0106】
本出願の実施例の一実施形態では、第2の接着構造610の防水性を試験するために、0.3~3.5%の塩水を含む金属容器に電池を入れ、塩水の高さは、電池の全高より2~5mm低く、次に、マルチメータで電池の抵抗を測定してもよく、測定された抵抗が予め設定された閾値、例えば、1Mohmよりも大きい場合、この第2の接着構造610の防水性が基準に達すると確定する。
【0107】
具体的には、マルチメータで抵抗を測定する過程では、テストプローブの一端を電池の金属キャップの表面に置き、他端を金属容器の表面に置き、0.1Vの電圧を印加して、抵抗結果を記録すると、抵抗の測定を完成させる。
【0108】
また、隣接する電池コア400に対応する第1の接着構造510の間の接着を回避するために、第2の接着構造610の厚さは、第1の接着構造510の厚さよりも大きい。具体的な厚さは、実際の状況に応じて確定されてもよいが、本出願の実施例では、それを特別に限定しない。
【0109】
本出願の実施例の一つの実施形態では、第2の接着構造610の材質は、ポリウレタンとエポキシ樹脂とのうちの少なくとも一つ又は両方の混合物であってもよい。
【0110】
別の態様によれば、本出願は、電池セルの製造方法をさらに提供する。図7に示すように、この電池セルの製造方法は、以下のステップを含んでもよい。
【0111】
ステップS710、ケースを有する電池コアを提供する。
【0112】
ステップS720、ケースを被覆するための上記の絶縁膜を提供し、ケースが絶縁膜の収容空間に少なくとも部分的に被覆されるように、絶縁膜の底面カバー領域は、ケースの底壁をカバーし、絶縁膜の第1の側面カバー領域及び第2の側面カバー領域は、ケースの側壁をカバーする。
【0113】
上記各電池セルの製造方法の具体的な詳細は、対応する電池セル及び絶縁膜の実施例において詳細に記述されたため、ここではこれ以上説明しない。
【0114】
別の態様によれば、本出願は、電池セルの製造機器をさらに提供する。図8を参照すると、本出願の実施例による電池セルの製造機器のブロック図が示される。図8に示すように、この電池セルの製造機器800は、
ケースを有する電池コアを提供するために用いることができる第1の装置810と、
ケースを被覆するための上記の絶縁膜を提供するために用いることができる第2の装置820と、を含んでもよく、ケースが絶縁膜の収容空間に少なくとも部分的に被覆されるように、絶縁膜の底面カバー領域は、ケースの底壁をカバーし、絶縁膜の第1の側面カバー領域と第2の側面カバー領域は、ケースの側壁をカバーする。
【0115】
上記各電池セルの製造機器の具体的な詳細は、対応する電池セル及び絶縁膜の実施例において詳細に記述されたため、ここではこれ以上説明しない。
【0116】
別の態様によれば、本出願は、電力消費装置をさらに提供する。電力消費装置は、電気エネルギーを供給するための上記の電池を含む。電池の具体的な構造形式及び動作原理は、上記実施例で詳細に説明されたため、本実施例では、これ以上説明しない。
【0117】
本出願の上記各保護テーマ及び各実施例における特徴は、相互に参照でき、構造が許せば、当業者は、異なる実施例における技術的特徴を柔軟に組み合わせて、より多くの実施例を形成することもできる。
【0118】
以上では、本出願による絶縁膜、電池セル、電池、電池セルの製造方法、電池セルの製造機器及び電力消費装置を詳細に説明した。本明細書で具体的な実施例を用いて本出願の原理及び実施形態を記述したが、以上の実施例の説明は、本出願の方法及びそのコアアイデアを理解するのを助けるためのものに過ぎない。指摘すべきこととして、当業者であれば、本出願の原理から逸脱しない限り、本出願に若干の改善及び修飾を行うことができ、これらの改善及び修飾も本出願の特許請求の範囲の保護範囲内に含まれる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8