(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】管継手及び配管構造並びに管継手の製造方法
(51)【国際特許分類】
F16L 59/18 20060101AFI20241202BHJP
F16L 47/06 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
F16L59/18
F16L47/06
(21)【出願番号】P 2023006097
(22)【出願日】2023-01-18
(62)【分割の表示】P 2021509337の分割
【原出願日】2020-03-19
【審査請求日】2023-03-13
(31)【優先権主張番号】P 2019054448
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019165664
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】久宿 大樹
【審査官】広瀬 雅治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/065834(WO,A1)
【文献】特開2012-107669(JP,A)
【文献】特開平11-201382(JP,A)
【文献】特開2016-088955(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0084059(US,A1)
【文献】エスロンACドレンパイプ・継手カタログ(改訂6版),日本,積水化学工業株式会社,2014年01月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 59/18
F16L 47/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体及びメタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン共重合体から選ばれる1種以上を含む樹脂で形成され、内部に流路を有する管状の本体部と、前記本体部と一体に形成された1つ以上の受口部と、を有し、前記本体部が発泡樹脂層と、前記発泡樹脂層を覆う非発泡樹脂層とを有する管継手であって、
熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法により求められる前記発泡樹脂層の前記ゴム成分の含有量が、前記発泡樹脂層に含まれる樹脂の総質量に対して15質量%以上45質量%以下であり、
熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法により求められる前記非発泡樹脂層の前記ゴム成分の含有量が、前記非発泡樹脂層に含まれる樹脂の総質量に対して15質量%以上45質量%以下であり、
前記受口部の基端から開口端までの長さLと、前記開口端における前記受口部の厚さdとの比L/dが、4.2以上8.0以下であり、
前記発泡樹脂層に含まれる樹脂と、前記非発泡樹脂層に含まれる樹脂とが同じである、管継手。
【請求項2】
前記受口部を2つ以上有し、前記受口部は円筒状であり、前記受口部と前記本体部との境界に、前記受口部の内周面の全周にわたって円環状の周壁が形成され、前記周壁は、内部が前記発泡樹脂層で構成され、前記周壁には、全周にわたって前記発泡樹脂層が形成されている、請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記本体部の肉厚が10mm以上20mm以下である、請求項1または2に記載の管継手。
【請求項4】
前記発泡樹脂層を構成する発泡性樹脂組成物のメルトマスフローレート(MFR)が3g/10分以上90g/10分以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の管継手。
【請求項5】
前記非発泡樹脂層を構成する非発泡性樹脂組成物のメルトマスフローレート(MFR)が3g/10分以上90g/10分以下である、請求項4に記載の管継手。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の管継手と、前記管継手の前記受口部に挿入接続された管部材と、を備え、前記管部材が発泡層を有する、配管構造。
【請求項7】
請求項5に記載の管継手の製造方法であって、
熱風乾燥機を用い、60~90℃の熱風を2~6時間吹きかけて、非発泡性樹脂組成物を予め乾燥させ、
前記非発泡性樹脂組成物に発泡剤を混合して、JIS K 7210:1999に従い、試験温度220℃、試験荷重10kgで測定されるMFRが4g/10分以上60g/10分以下である発泡性樹脂組成物を得た後、
前記発泡性樹脂組成物を200℃以上280℃以下に加熱溶融して金型内に射出した後冷却する、管継手の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレンパイプ等の接続に用いられる管継手及び配管構造に関する。本願は、2019年3月22日に日本に出願された特願2019-54448号、及び、2019年9月11日に日本に出願された特願2019-165664号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来、空調機器から発生する凝縮水(ドレン)を排水するための鋼管や合成樹脂管からなる配管周りをグラスウール等の保温材で被覆することによって配管周りの結露等を防止するのが一般的である。
しかし、上記従来の方法では、配管の作業とは別に、保温材を巻いたり被せたりする作業が必要であるため作業効率が悪く、狭い作業スペースでは作業を行えない場合もある。
例えば、特許文献1には、断熱層となる発泡層を有する樹脂製の管継手が提案されている。特許文献1の管継手は、断熱層を設けることにより、配管施工後に保温材で被覆しなくても結露の防止が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、管継手の断熱性をさらに向上させるためには、管継手の発泡層を厚くするか、発泡層の発泡倍率を上げる必要がある。
管継手の発泡層を厚くすると、管継手の重量が増大し、落下等の衝撃により管継手が破損するおそれがある。発泡層の発泡倍率を上げると、管継手の強度が低下し、落下等の衝撃により管継手が破損するおそれがある。
加えて、管継手には、所望の形状の管継手を成形すること(成形性)、配管との接合部(配管構造)からの漏水を防ぐこと(止水性)が求められる。
【0005】
そこで、本発明は、発泡層を厚くしたり、発泡層の発泡倍率を上げたりせずとも、充分な断熱性を発揮し、かつ、成形性、止水性及び強度に優れる管継手及び配管構造を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を有する。
[1]シアン化ビニル系単量体単位及びアクリル系単量体単位から選ばれる1種以上と、ゴム成分と芳香族ビニル系単量体単位とを有する共重合体を含む樹脂で形成され、内部に流路を有する管状の本体部と、前記本体部と一体に形成された1つ以上の受口部と、を有し、前記本体部が発泡樹脂層と、前記発泡樹脂層を覆う非発泡樹脂層とを有する管継手であって、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法により求められる前記発泡樹脂層の前記ゴム成分の含有量が、前記発泡樹脂層に含まれる樹脂の総質量に対して10質量%以上45質量%以下であり、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法により求められる前記非発泡樹脂層の前記ゴム成分の含有量が、前記非発泡樹脂層に含まれる樹脂の総質量に対して10質量%以上45質量%以下であり、前記受口部の基端から開口端までの長さLと、前記開口端における前記受口部の厚さdとの比L/dが、2.0以上10.0以下である、管継手。
[2]前記本体部の熱抵抗値が0.04K/W以上である、[1]に記載の管継手。
[3][1]又は[2]に記載の管継手と、前記管継手の前記受口部に挿入接続された管部材と、を備える配管構造。
【発明の効果】
【0007】
本発明の管継手及び配管構造によれば、発泡層を厚くしたり、発泡層の発泡倍率を上げたりせずとも、充分な断熱性を発揮し、かつ、成形性、止水性及び強度に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る管継手を示す断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る配管構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[管継手]
以下、本発明の実施の形態に係る管継手について、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態の管継手1は、ドレンパイプの接続に使用される継手(一般的に「チーズ」(tees)と称される3方向分岐のT形の配管接合継手)を一例としている。管継手1は、第一の管軸O1と、第二の管軸O2とを有する。二つの管軸O1及びO2は、互いに90.0°±1.1°の角度で交差する。
管継手1は、内部に流路(例えばドレンの流路)を有する管状の本体部10と、この本体部10と一体に形成された3つの受口部20aと20bと20cとを有する。
【0010】
本体部10は、発泡樹脂層30と、非発泡樹脂層50とを有する。発泡樹脂層30の両面は、非発泡樹脂層50に覆われている。すなわち、本体部10の壁は、流路側から非発泡樹脂層50、発泡樹脂層30、非発泡樹脂層50が位置する3層構造になっている。受口部20aと受口部20bと受口部20cとは、非発泡樹脂層50で形成されている。すなわち、受口部20aと受口部20bと受口部20cとの壁は、非発泡樹脂層50で形成された単層構造になっている。
止水性を高める観点から、受口部20a、20b、20cは透明であることが好ましい。すなわち、管継手1と、その受口部に挿入接続される管部材との接続状態の確認を容易にする観点から、非発泡樹脂層50は、透明であることが好ましい。ここで、「透明である」とは、挿入される管や、受口部の内面に塗布される接着剤を受口部の外面から視認できる程度に透明であることをいい、半透明や有色透明であってもよい。
より具体的には、JIS K 7136:2000に従って測定される受口部のヘーズが1以上70以下であることが好ましく、1以上60以下であることがより好ましい。
【0011】
直管をなす本体部10の第一の管軸O1の方向の両端に形成された開口部10a、10bには、それぞれ円筒状の受口部20a、20bが設けられている。
本体部10の第二の管軸O2の方向に形成された開口部10cには、円筒状の受口部20cが設けられている。
本体部10において、第一の管軸O1を挟んで開口部10cに対向する位置には、成形時に射出される位置となる射出ゲート部14が設けられている。
【0012】
受口部20aの内径R20aは、発泡層付きの管部材を挿入接続するために、本体部10の開口部10aの内径R10aよりも大径をなしている。具体的には、比R20a/R10aが、1.0超2.0以下が好ましく、1.2以上1.8以下がより好ましく、1.4以上1.6以下がさらに好ましい。
同様に、受口部20bの内径R20bは、本体部10の開口部10bの内径R10bよりも大径をなしている。具体的には、比R20b/R10bが、1超2.0以下が好ましく、1.2以上1.8以下がより好ましく、1.4以上1.6以下がさらに好ましい。
同様に、受口部20cの内径R20cは、本体部10の開口部10cの内径R10cよりも大径をなしている。具体的には、比R20c/R10cが、1超2.0以下が好ましく、1.2以上1.8以下がより好ましく、1.4以上1.6以下がさらに好ましい。
【0013】
受口部20aと本体部10との境界には、内径R20aと内径R10aとの差に基づく段差12aが形成されている。段差12aは、受口部20aに挿入された管部材の侵入を防ぐストッパーとして機能する。
受口部20bと本体部10との境界には、内径R20bと内径R10bとの差に基づく段差12bが形成されている。段差12bは、受口部20bに挿入された管部材の侵入を防ぐストッパーとして機能する。
受口部20cと本体部10との境界には、内径R20cと内径R10cとの差に基づく段差12cが形成されている。段差12cは、受口部20cに挿入された管部材の侵入を防ぐストッパーとして機能する。
【0014】
段差12aは、本体部10の開口部10aの周縁に位置する周壁13で形成されている。周壁13は、円筒状の受口部20aの内周面の全周にわたって形成されており、円環状である。
段差12bは、本体部10の開口部10bの周縁に位置する周壁13で形成されている。周壁13は、円筒状の受口部20bの内周面の全周にわたって形成されており、円環状である。
段差12cは、本体部10の開口部10cの周縁に位置する周壁13で形成されている。周壁13は、円筒状の受口部20cの内周面の全周にわたって形成されており、円環状である。
【0015】
周壁13は、中実である。周壁13は、内部が発泡樹脂層30で構成され、発泡樹脂層30を非発泡樹脂層50が覆っている。
周壁13には、全周にわたって発泡樹脂層30が形成されていることが好ましい。周壁13の全周にわたって発泡樹脂層30が形成されていると、受口部20a、20b、20cの基端においても断熱性を有することになり、管継手1の断熱性をより高められる。
受口部20a、20b、又は20cに挿入される管部材が発泡層を備える場合、その管部材の端面と周壁13との間には、円環状の止水部材を設けることが好ましい。円環状の止水部材としては、例えば、発泡パッキン等が挙げられる。
管部材の発泡層が連続気泡である場合、その管部材の端面と周壁13との間には、円環状の止水部材を設けることが好ましい。止水部材を設けることにより、管部材の発泡層にドレン水が侵入することを防止できる。
管部材の発泡層が独立気泡の場合、その管部材の端面と周壁13との間に止水部材を設けなくてもよい。ただし、管部材が斜めに切断された場合、その管部材の端面と周壁13との間にドレン水が滞留する可能性があるため、止水部材を設けることが好ましい。
【0016】
受口部20aは、基端21aから、第一の管軸O1の方向に延びている。基端21aは、受口部20aと本体部10との境界にある。受口部20aの基端21aから開口端22aまでの長さはLaである。長さLaは、受口部20aの受口長さと等しい。開口端22aにおける受口部20aの厚さはdaである。厚さdaは、受口部20aの受口厚さと等しい。
受口部20bは、基端21bから、第一の管軸O1の方向に延びている。基端21bは、受口部20bと本体部10との境界にある。受口部20bの基端21bから開口端22bまでの長さはLbである。長さLbは、受口部20bの受口長さと等しい。開口端22bにおける受口部20bの厚さはdbである。厚さdbは、受口部20bの受口厚さと等しい。
受口部20cは、基端21cから、第二の管軸O2の方向に延びている。基端21cは、受口部20cと本体部10との境界にある。受口部20cの基端21cから開口端22cまでの長さはLcである。長さLcは、受口部20cの受口長さと等しい。開口端22cにおける受口部20cの厚さはdcである。厚さdcは、受口部20cの受口厚さと等しい。
【0017】
受口部20aの基端21aから開口端22aまでの長さLaと、開口端22aにおける受口部20aの厚さdaとの比(以下、「La/da比」ともいう。)は、2.0以上10.0以下であり、2.0以上9.0以下が好ましく、2.5以上8.0以下がより好ましく、3.0以上7.0以下がさらに好ましく、3.5以上6.0以下が特に好ましい。
La/da比が上記下限値以上であると、受口部20aに発泡樹脂層30が侵入することを抑制しやすく、受口部20aの強度の低下を抑制しやすい。加えて、La/da比が上記下限値以上であると、受口部20aの長さLaが充分長いため、管継手1に挿入する配管等の接着力が充分であり、止水性をより高められる。
La/da比が上記上限値以下であると、厚さdaが充分厚く、管継手1が伸び縮みによる伸縮疲労により破壊されにくくなる。加えて、La/da比が上記上限値以下であると、長さLaが長過ぎず、受口部20aを形成する樹脂が金型内の端部まで充填されやすく、充填不足(「ショート」ともいう)による成形不良が起こりにくくなる。すなわち、La/da比が上記上限値以下であると、管継手1の成形性をより高められる。
La/da比は、成形金型の形状により調整できる。
管継手1の受口部20bにおけるLb/db比は、La/da比と同様である。
管継手1の受口部20cにおけるLc/dc比は、La/da比と同様である。
【0018】
管継手1のメルトマスフローレート(以下、「MFR」ともいう。)は、例えば、3g/10分以上90g/10分以下が好ましく、4g/10分以上80g/10分以下がより好ましく、5g/10分以上70g/10分以下がさらに好ましく、6g/10分以上60g/10分以下が特に好ましい。管継手1のMFRが上記下限値以上であると、管継手1を製造する際に金型内の端部まで樹脂を充填しやすく、特に受口部で発生しやすい充填不足による成形不良が起こりにくい。すなわち、管継手1のMFRが上記下限値以上であると、管継手1の成形性をより高められる。管継手1のMFRが上記上限値以下であると、分子量が低すぎず、強度や耐薬品性に優れる。
管継手1のMFRは、JIS K 7210:1999に従い、試験温度220℃、試験荷重10kgで測定できる。
【0019】
本体部10の熱抵抗値は、0.04K/W以上が好ましく、0.05K/W以上0.50K/W以下がより好ましく、0.06K/W以上0.45K/W以下がさらに好ましく、0.07K/W以上0.40K/W以下が特に好ましく、0.08K/W以上0.35K/W以下が最も好ましい。本体部10の熱抵抗値が上記下限値以上であると、管継手1の断熱性をより向上できる。本体部10の熱抵抗値が上記上限値以下であると、本体部10の強度が充分であり、加えて、管継手1を軽量にできる。
後述する共重合体を含む樹脂の組成・種類や管継手1の成形条件等によって本体部10の熱伝導率を低くしたり、本体部10の厚さ(肉厚)を大きくしたりすることによって、本体部10の熱抵抗値を高くすることができる。
一般的なドレンパイプの外径は30mm~80mm、肉厚は5mm~10mm程度とされており、このようなドレンパイプを接続するために用いる管継手1の本体部の肉厚としては8mm以上20mm以下とされている。
本体部10の熱抵抗値は、JIS A 1412-1:2016に準拠して測定した熱伝導率(W/m・K)と、熱伝導率の測定箇所における本体部10の厚さ(m)とから、下記式(1)により算出される。
熱抵抗値(K/W)=厚さ(m)/熱伝導率(W/m・K)・・・(1)
【0020】
<発泡樹脂層>
発泡樹脂層30は、発泡性樹脂組成物を発泡し成形してなる。本実施形態の管継手1は、発泡樹脂層30を有することにより、断熱性に優れる。
【0021】
発泡樹脂層30における発泡倍率は、1.0倍以上8.0倍以下が好ましく、1.1倍以上5.0倍以下がより好ましく、1.2倍以上3.0倍以下がさらに好ましい。
発泡倍率を上記数値範囲内とすることにより、高い断熱性能と耐衝撃性とを両立できる。
発泡倍率は、樹脂の種類又は量、発泡剤の種類又は量、製造条件等により調整できる。
発泡倍率は、JIS K 9798:2006に記載の6.2(a)又は6.2(b)の方法に準拠して測定される。
【0022】
発泡樹脂層30においては、複数の気泡が形成されており、気泡壁には実質的に孔が存在せず、複数の気泡の少なくとも一部は、相互に連通していない独立気泡になっている。
独立気泡率は85%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。上限値は、特に限定されないが、実質的には99%以下とされる。上記数値範囲内であれば、低い熱伝導率を長期に亘って保つことができ、断熱性により優れる。
独立気泡率は、JIS K 7138:2006に準拠して測定される。
【0023】
<発泡性樹脂組成物>
本実施形態の発泡性樹脂組成物は、シアン化ビニル系単量体単位及びアクリル系単量体単位から選ばれる1種以上と、ゴム成分と芳香族ビニル系単量体単位とを有する共重合体を含む樹脂(以下、「第一の樹脂」ともいう。)と、発泡剤とを含む。
本明細書において、「単位」とは、重合前の単量体化合物(モノマー)に由来する構造部分をさし、例えば、「シアン化ビニル系単量体単位」とは「シアン化ビニルモノマー(アクリロニトリル)に由来する構造部分」をさす。重合体中の各単量体単位の含有割合は、当該重合体の製造に用いた単量体混合物中の該単量体の含有割合に該当する。
【0024】
(第一の樹脂)
第一の樹脂は、シアン化ビニル系単量体単位及びアクリル系単量体単位から選ばれる1種以上と、ゴム成分と芳香族ビニル系単量体単位とを有する共重合体を含む。
本実施形態の共重合体は、ゴム成分の存在下で、シアン化ビニル系単量体単位及びアクリル系単量体単位から選ばれる1種以上と、芳香族ビニル系単量体とを重合して得られる樹脂であることが好ましい。この場合、前記共重合体は、いわゆる「グラフト共重合体」である。しかし、本発明において、前記共重合体は、グラフト共重合により得られるものに限定されず、ポリマーブレンド法により製造されたものであってもよい。
本明細書において、ゴム成分とは、ポリブタジエンやポリイソプレン等のジエン系ゴムやアクリルゴムのことをいう。
ゴム成分としては、ジエン系ゴムであればブタジエン、イソプレン、エチレン、プロピレン等のジエン系化合物の重合体が挙げられ、アクリルゴムであればアクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ブトキシエチル、及び、アクリル酸メトキシエチル等のアクリル酸エステルの重合体が挙げられる。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等が挙げられ、アクリロニトリルが好ましい。
アクリル系単量体としては、アクリル樹脂を構成する単量体が挙げられる。アクリル樹脂としては、例えば、アクリル酸エステルの重合体やメタクリル酸エステルの重合体が挙げられる。アクリル酸エステルの重合体としては、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸グリシジル等が挙げられる。メタクリル酸エステルの重合体としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸グリシジル等が挙げられる。すなわち、アクリル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸グリシジル等が挙げられ、メタクリル酸メチルが好ましい。
芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、4-メチルスチレン、β-ブロモスチレン等が挙げられ、スチレン、α-メチルスチレンが好ましい。
本実施形態の共重合体の具体例としては、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル-エチレンプロピレンジエン-スチレン共重合体(AES樹脂)、アクリロニトリル-アクリルゴム-スチレン共重合体(AAS樹脂)、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS樹脂)等が挙げられ、さらにこれらを混合したものとしてもよい。
【0025】
第一の樹脂におけるゴム成分の含有量は、第一の樹脂の総質量に対して10質量%以上45質量%以下であり、15質量%以上40質量%以下が好ましく、20質量%以上35質量%以下がより好ましい。ゴム成分の含有量が上記下限値以上であると、管継手1の強度を向上しやすい。ゴム成分の含有量が上記上限値以下であると、管継手1を成形するときの流動性を向上しやすい。
【0026】
また、第一の樹脂におけるゴム成分が、ジエン系ゴムとアクリルゴムとの両方を含有することも本発明の好ましい態様の一つである。ゴム成分がジエン系ゴムとアクリルゴムとの両方を含有することで、耐衝撃性を向上させるだけでなく、耐薬品性を向上させることができる。
ゴム成分がジエン系ゴムとアクリルゴムとの両方を含有する場合、ジエン系ゴムの含有量は、第一の樹脂の総質量に対して5質量%以上40質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましく、15質量%以上40質量%以下がさらに好ましく、20質量%以上40質量%以下が特に好ましい。
ゴム成分がジエン系ゴムとアクリルゴムとの両方を含有する場合、アクリルゴムの含有量は、第一の樹脂の総質量に対して0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.3質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上3質量%以下がさらに好ましい。アクリルゴムの含有量が上記数値範囲内であると、特に、ジエン系ゴムの含有量が第一の樹脂の総質量に対して15質量%以上の場合に、耐薬品性をより向上できる。なお、ここでいう「アクリルゴムの含有量」は、第一の樹脂に添加する「アクリル酸エステルの含有量」をいうものとする。
【0027】
第一の樹脂におけるシアン化ビニル系単量体単位の含有量は、第一の樹脂の総質量に対して10質量%以上50質量%以下が好ましく、15質量%以上45質量%以下がより好ましい。シアン化ビニル系単量体単位の含有量が上記下限値以上であると、引張強さを向上させることができる。シアン化ビニル系単量体単位の含有量が上記上限値以下であると、衝撃強さを向上させることができる。
【0028】
第一の樹脂におけるアクリル系単量体単位の含有量は、第一の樹脂の総質量に対して、20質量%以上60質量%以下が好ましく、30質量%以上50質量%以下がより好ましい。アクリル系単量体単位の含有量が上記数値範囲内であると、管継手1の強度及び透明性を高めやすい。このため、管継手1の止水性をより高められる。
【0029】
第一の樹脂における芳香族ビニル系単量体単位の含有量は、第一の樹脂の総質量に対して15質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上50質量%以下がより好ましい。芳香族ビニル系単量体単位の含有量が上記下限値以上であると、押込み硬さを向上させることができる。芳香族ビニル系単量体単位の含有量が上記上限値以下であると、衝撃強さを向上させることができる。
第一の樹脂は、シアン化ビニル系単量体単位、アクリル系単量体単位及び芳香族ビニル系単量体単位以外の任意の単量体単位を含んでいてもよく、その例としてはポリカーボネート樹脂やそのモノマーが挙げられる。
【0030】
第一の樹脂における各成分の含有量は、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法(以下、「PGC/MS」ともいう。)を用いた分析により求められる。
以下にPGC/MSを用いた測定条件の例を示す。
[測定条件]
・装置
熱分解装置:PY-2020iD(フロンティア・ラボ株式会社)。
ガスクロマトグラフ:GC 2010(株式会社島津製作所)。
質量分析装置:GCMS-QP 2010(株式会社島津製作所)。
・熱分解条件
熱分解温度:550℃。
インターフェース温度:250℃。
・ガスクロマトグラフ条件。
キャリアー流量:1ml/min(He)。
スプリット比:100:1。
分離カラム:DB-1(1.00μm、0.25mmφ×30m)。
オーブン温度:40℃(3min)-320℃(10min)。
・質量分析条件
インターフェース温度:250℃。
イオン化温度:220℃。
マスレンジ:28~700m/z。
電圧:1.2kV。
【0031】
PGC/MSの測定により第一の樹脂における各成分の含有量を算出する方法について説明する。
まず、第一の樹脂を構成する各成分を熱分解ガスクロマトグラフィーにより熱分解・分離し、各成分がピークとして記録された熱分解パターン(パイログラム)を得る。次に、熱分解パターンの各ピークについて、質量分析装置により得られるマススペクトルによってアクリロニトリル、ゴム成分、スチレンの各成分を特定する。
ここで、アクリロニトリル、ゴム成分、スチレンの各成分は熱分解による解重合率(重合体が単量体に分解する割合)が異なるため、パイログラムにおける各ピークの面積(X)を、熱分解による各成分の解重合率(Y)で割ったものを各成分のピーク面積(Z)とする。各成分の解重合率(Y)は、アクリロニトリル:0.15、ゴム成分:0.10、スチレン:1.0である。また、例えば、第一の樹脂が他の樹脂としてポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂を含む場合、アクリル樹脂の解重合率は1.0である。
そして、熱分解パターンの各成分のピーク面積(Z)の総和(T)に対する比率(Z/T)を、第一の樹脂における各成分の含有量(質量%)とする。
【0032】
表1に、アクリル樹脂を含むアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)をPGC/MS測定して得られる各成分の含有量の一例を示す。表1において、「保持時間」は、各成分が熱分解してパイログラムのピークとして現れる時間を意味する。「サンプル量」は、分析に供したABS樹脂の質量である。
【0033】
【0034】
本実施形態の発泡性樹脂組成物のMFRは、例えば、3g/10分以上90g/10分以下が好ましく、4g/10分以上80g/10分以下がより好ましく、5g/10分以上70g/10分以下がさらに好ましく、6g/10分以上60g/10分以下が特に好ましい。本実施形態の発泡性樹脂組成物のMFRが上記下限値以上であると、金型内の端部まで樹脂を充填しやすく、特に受口部で発生しやすい充填不足による成形不良が起こりにくい。すなわち、本実施形態の発泡性樹脂組成物のMFRが上記下限値以上であると、管継手1の成形性をより高められる。
本実施形態の発泡性樹脂組成物のMFRが上記上限値以下であると、分子量が低すぎず、強度や耐薬品性に優れる。
本実施形態の発泡性樹脂組成物のMFRは、JIS K 7210:1999に従い、試験温度220℃、試験荷重10kgで測定できる。
なお、本実施形態の発泡性樹脂組成物のMFRは、本実施形態の管継手1のMFRと同様である。
【0035】
発泡性樹脂組成物において、発泡性樹脂組成物の総質量に対する第一の樹脂の含有量は、45質量%以上90質量%以下が好ましく、50質量%以上85質量%以下がより好ましい。
【0036】
本実施形態の発泡性樹脂組成物は、シアン化ビニル系単量体単位及びアクリル系単量体単位から選ばれる1種以上と、ゴム成分と芳香族ビニル系単量体単位とを有する共重合体以外の他の樹脂を含有してもよい。
他の樹脂としては、例えば、ポリビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されても良い。
【0037】
発泡性樹脂組成物において、シアン化ビニル系単量体単位及びアクリル系単量体単位から選ばれる1種以上と、ゴム成分と芳香族ビニル系単量体単位とからなる共重合体の含有量は、第一の樹脂の総質量に対して、70質量%以上100質量%以下が好ましく、85質量%以上100質量%以下がより好ましい。
【0038】
(発泡剤)
発泡剤としては、揮発性発泡剤、分解型発泡剤のいずれを使用してもよい。
揮発性発泡剤としては、例えば脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、ケトン等が挙げられる。このうち脂肪族炭化水素としては、例えばプロパン、ブタン(ノルマルブタン、イソブタン)、ペンタン(ノルマルペンタン、イソペンタン等)等が挙げられ、脂環族炭化水素としては、例えばシクロペンタン、シクロへキサン等が挙げられる。ハロゲン化炭化水素としては、例えばトリクロロフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、テトラフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、ジフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素等の1種又は2種以上が挙げられる。さらにエーテルとしては、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル等が挙げられ、ケトンとしては、例えばアセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
【0039】
分解型発泡剤としては、例えば重炭酸ナトリウム(炭酸水素ナトリウム)、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、アジド化合物、ホウ水素化ナトリウム等の無機系発泡剤、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸バリウム、ジニトロソペンタメチレンテトラミン等の有機系発泡剤が挙げられる。
その他、炭酸ガス、窒素、空気等のガスを発泡剤として用いてもよい。
発泡性能に優れる観点から、分解型発泡剤が好ましく、中でも重曹、アゾジカルボンアミドがより好ましい。
これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
発泡剤の含有量は、第一の樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上8質量部以下が好ましく、1質量部以上5質量部以下がより好ましく、1質量部以上3質量部以下がさらに好ましい。
【0040】
本実施形態の発泡性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、第一の樹脂、発泡剤、以外の他の成分(任意成分)を含んでもよい。
【0041】
任意成分の含有量は、第一の樹脂100質量部に対して、50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
【0042】
本実施形態の発泡性樹脂組成物は、第一の樹脂、発泡剤、及び任意成分を含むことができる。発泡性樹脂組成物は、全成分が予め混合された混合物でもよく、全成分の一部又は全部を成形機内で混合する形態でもよい。全成分を予め混合した混合物は粉状でもよく、ペレット状でもよい。
【0043】
<非発泡樹脂層>
非発泡樹脂層50は、非発泡性樹脂組成物を成形してなる。本実施形態の管継手1は、非発泡樹脂層50を有することにより、管継手1の強度を高めることができる。
非発泡樹脂層50は、発泡樹脂層30を覆っている。
【0044】
<非発泡性樹脂組成物>
本実施形態の非発泡性樹脂組成物は、シアン化ビニル系単量体単位及びアクリル系単量体単位から選ばれる1種以上と、ゴム成分と芳香族ビニル系単量体単位とからなる共重合体を含む樹脂(以下、「第二の樹脂」ともいう。)を含む。
【0045】
(第二の樹脂)
第二の樹脂は、シアン化ビニル系単量体単位及びアクリル系単量体単位から選ばれる1種以上と、ゴム成分と芳香族ビニル系単量体単位とからなる共重合体を含む樹脂である。
第二の樹脂は、第一の樹脂と同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0046】
第二の樹脂におけるゴム成分の含有量は、第二の樹脂の総質量に対して10質量%以上45質量%以下であり、15質量%以上40質量%以下が好ましく、20質量%以上35質量%以下がより好ましい。ゴム成分の含有量が上記下限値以上であると、管継手1の強度を向上しやすい。ゴム成分の含有量が上記上限値以下であると、管継手1を成形するときの流動性を向上しやすい。
なお、第二の樹脂は、受口部20a、20b、20cを構成する。管継手1の耐衝撃性をより高める観点から、第二の樹脂におけるゴム成分の含有量は、第一の樹脂におけるゴム成分の含有量よりも多いことが好ましい。
本明細書において、第二の樹脂がアクリル系単量体単位を含む場合、アクリルゴムの原料となるモノマー成分は、ゴム成分には含まれないものとする。
【0047】
また、第二の樹脂におけるゴム成分が、ジエン系ゴムとアクリルゴムとの両方を含有することも本発明の好ましい態様の一つである。ゴム成分がジエン系ゴムとアクリルゴムとの両方を含有することで、耐衝撃性を向上させるだけでなく、耐薬品性を向上させることができる。
ゴム成分がジエン系ゴムとアクリルゴムとの両方を含有する場合、ジエン系ゴムの含有量は、第二の樹脂の総質量に対して5質量%以上40質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましく、15質量%以上40質量%以下がさらに好ましく、20質量%以上40質量%以下が特に好ましい。
ゴム成分がジエン系ゴムとアクリルゴムとの両方を含有する場合、アクリルゴムの含有量は、第二の樹脂の総質量に対して0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.3質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上3質量%以下がさらに好ましい。アクリルゴムの含有量が上記数値範囲内であると、特に、ジエン系ゴムの含有量が第二の樹脂の総質量に対して15質量%以上の場合に、耐薬品性をより向上できる。なお、ここでいう「アクリルゴムの含有量」は、第一の樹脂に添加する「アクリル酸エステルの含有量」をいうものとする。
【0048】
第二の樹脂におけるシアン化ビニル系単量体単位の含有量は、第二の樹脂の総質量に対して10質量%以上50質量%以下が好ましく、15質量%以上45質量%以下がより好ましい。シアン化ビニル系単量体単位の含有量が上記下限値以上であると、引張強さを向上させることができる。シアン化ビニル系単量体単位の含有量が上記上限値以下であると、衝撃強さを向上させることができる。
【0049】
第二の樹脂におけるアクリル系単量体単位の含有量は、第二の樹脂の総質量に対して、20質量%以上60質量%以下が好ましく、30質量%以上50質量%以下がより好ましい。アクリル系単量体単位の含有量が上記数値範囲内であると、管継手1の強度及び透明性を高めやすい。このため、管継手1の止水性をより高められる。
【0050】
第二の樹脂における芳香族ビニル系単量体単位の含有量は、第二の樹脂の総質量に対して15質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上50質量%以下がより好ましい。芳香族ビニル系単量体単位の含有量が上記下限値以上であると、押込み硬さを向上させることができる。芳香族ビニル系単量体単位の含有量が上記上限値以下であると、衝撃強さを向上させることができる。
【0051】
第二の樹脂における各成分の含有量は、PGC/MSを用いた分析により求められる。
測定条件としては、第一の樹脂と同様の条件で測定できる。
【0052】
本実施形態の非発泡性樹脂組成物のMFRは、例えば、3g/10分以上90g/10分以下が好ましく、4g/10分以上80g/10分以下がより好ましく、5g/10分以上70g/10分以下がさらに好ましく、6g/10分以上60g/10分以下が特に好ましい。本実施形態の非発泡性樹脂組成物のMFRが上記下限値以上であると、金型内の端部まで樹脂を充填しやすく、特に受口部で発生しやすい充填不足による成形不良が起こりにくい。すなわち、本実施形態の非発泡性樹脂組成物のMFRが上記下限値以上であると、管継手1の成形性をより高められる。本実施形態の非発泡性樹脂組成物のMFRが上記上限値以下であると、分子量が低すぎず、強度や耐薬品性に優れる。
なお、金型内の端部まで樹脂をより充填しやすくする観点から、非発泡性樹脂組成物のMFRは、発泡性樹脂組成物のMFRよりも高いことが好ましい。
本実施形態の非発泡性樹脂組成物のMFRは、本実施形態の発泡性樹脂組成物のMFRと同様の方法で測定できる。
【0053】
非発泡性樹脂組成物において、非発泡性樹脂組成物の総質量に対する第二の樹脂の含有量は、50質量%以上100質量%以下が好ましく、70質量%以上100質量%以下がより好ましく、80質量%以上100質量%以下がさらに好ましい。
【0054】
本実施形態の非発泡性樹脂組成物は、シアン化ビニル系単量体単位及びアクリル系単量体単位から選ばれる1種以上と、ゴム成分と芳香族ビニル系単量体単位とからなる共重合体以外の他の樹脂を含有してもよい。
他の樹脂としては、例えば、ポリビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
【0055】
非発泡性樹脂組成物において、シアン化ビニル系単量体単位及びアクリル系単量体単位から選ばれる1種以上と、ゴム成分と芳香族ビニル系単量体単位とからなる共重合体の含有量は、第二の樹脂の総質量に対して、40質量%以上100質量%以下が好ましく、45質量%以上100質量%以下がより好ましく、50質量%以上100質量%以下がさらに好ましい。
【0056】
本実施形態の非発泡性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、第二の樹脂以外の他の成分(任意成分)を含んでもよい。
任意成分としては、着色剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。
【0057】
任意成分の含有量は、第二の樹脂100質量部に対して、50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
なお、非発泡樹脂層50は、前記発泡剤を含んでいる必要はないが、前記発泡剤を含んでいてもよい。非発泡樹脂層50に含まれる発泡剤の量は、第二の樹脂100質量部に対して、0質量部以上8質量部以下が好ましく、0質量部以上5質量部以下がより好ましく、0質量部以上3質量部以下がさらに好ましく、0質量部以上1質量部未満が特に好ましい。また、非発泡樹脂層50における発泡倍率は、1.0倍であることが好ましいが、1.5倍以下で低発泡しているものも本発明から排除されない。
【0058】
本実施形態の非発泡性樹脂組成物は、第二の樹脂及び任意成分を含むことができる。非発泡性樹脂組成物は、全成分が予め混合された混合物でもよく、全成分の一部又は全部を成形機内で混合する形態でもよい。全成分を予め混合した混合物は粉状でもよく、ペレット状でもよい。
本実施形態の非発泡性樹脂組成物は、非発泡樹脂層50を形成し、管継手1の外表面を覆っている。加えて、本実施形態の非発泡性樹脂組成物は、第二の樹脂におけるゴム成分の含有量が、第二の樹脂の総質量に対して10質量%以上45質量%以下である。そのため、非発泡樹脂層50は強度に優れ、管継手1は強度に優れる。
【0059】
<管継手の製造方法>
管継手は、射出成形又は押出成形により製造される。
例えば、発泡性樹脂組成物を加熱溶融して金型内に射出し、任意の時間任意の温度で加熱し、任意の時間任意の温度で冷却することによって、所定の発泡倍率を有する管継手が得られる。
押出成形の場合は、発泡性樹脂組成物を加熱溶融して押出機から金型内に注入し、任意の時間任意の温度で加熱することにより発泡性樹脂組成物を発泡・成形させる。任意の時間任意の温度で冷却した後に、所定の長さに切断することにより、所定の発泡倍率を有する管継手が得られる。
【0060】
射出成形機において、金型内に射出される直前の発泡性樹脂組成物の温度(成形温度)は200℃以上280℃以下が好ましく、220℃以上260℃以下がより好ましい。成形温度が上記数値範囲内であると、発泡性樹脂組成物が充分に溶融されて、発泡性樹脂組成物の良好な流動性が得られる。また、非発泡性樹脂組成物がアクリル樹脂を含む場合には、成形温度が上記下限値以上であることで、管継手1の透明性を高めることができる。
金型で成形するときの時間は、1分間以上10分間以下が好ましい。金型で成形するときの時間が上記下限値以上であると、発泡性樹脂組成物を充分に硬化させることができる。金型で成形するときの時間が上記上限値以下であると、管継手1の生産性を向上しやすい。
また、非発泡性樹脂組成物は予め乾燥しておくことが好ましい。成形前に乾燥させておくことで、成形機内で蒸発した水分によって継手内部や表面に意図しない気泡の発生を抑制し、受口部の透明性の低下や本体部の強度の低下を抑えることができる。乾燥方法としては、ホッパードライヤーや箱形乾燥炉等の熱風乾燥機を用い、60~90℃の熱風を2~6時間ペレットに吹きかけて、非発泡性樹脂組成物を予め乾燥させておく方法が挙げられる。
【0061】
以上、本発明の管継手について、詳細に説明してきたが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、管継手は、流路となる内表面が非発泡樹脂層で形成され、外表面が発泡樹脂層で形成された2層構造であってもよい。また、管継手は、流路となる内表面が発泡樹脂層で形成され、外表面が非発泡樹脂層で形成された2層構造であってもよい。
また、例えば、管継手は、非発泡樹脂層を有さず、発泡樹脂層のみであってもよい。その場合、発泡樹脂層は、ゴム成分の含有量が、第一の樹脂の総質量に対して10質量%以上45質量%以下であればよい。管継手が、発泡樹脂層のみで形成される場合、発泡樹脂層の外表面は、非発泡樹脂層と同様に高密度の層を形成していることが好ましい。
本体部と受口部との境界は、平面ではなく、湾曲していてもよい。この場合、受口部の基端から開口端までの長さLは、受口部に管部材を挿入した際の管部材の挿入長さ(受口部の開口端から、ストッパーとなる段差までの長さ)で表せる。
【0062】
本発明の管継手は、本体部が発泡樹脂層を有していればよく、さらに異なる他の樹脂層を有する多層成形品であってもよい。他の樹脂層としては、非発泡樹脂層の他、外面と同じ発泡樹脂層、外面とは異なる発泡樹脂層が挙げられる。これらの樹脂層の原料となる樹脂は、外面を形成する発泡樹脂層と同じ熱可塑性樹脂であってもよく、異なる熱可塑性樹脂であってもよい。樹脂層間の剥離を抑制する観点から、これらの樹脂層の原料となる樹脂は、外面を形成する発泡樹脂層と同じ熱可塑性樹脂であることが好ましい。
【0063】
本発明の管継手としては、上述の実施形態に限定されず、エルボ、ニップル、バルブソケット等、他の形状を有する管継手であってもよい。
【0064】
以上、説明してきたように、本発明の管継手は、発泡樹脂層を有するため、断熱性に優れる。
加えて、本発明の管継手は、ゴム成分の含有量が、樹脂の総質量に対して10質量%以上45質量%以下である。そのため、本発明の管継手は、強度に優れる。
さらに、本発明の管継手は、受口部の基端から開口端までの長さLと、開口端における受口部の厚さdとの比L/dが、2.0以上10.0以下であり、好ましくは2.0以上9.0以下である。そのため、本発明の管継手は、成形性、止水性及び強度に優れる。
【0065】
[配管構造]
本発明の配管構造は、本発明の管継手と、前記管継手の前記受口部に挿入接続される管部材と、を備える。
本発明の実施の形態に係る配管構造について、図面に基づいて説明する。
図2に示すように、配管構造100は、管継手1と、3つの管部材201、202、203とを備える。
管部材は、特に限定されず、本発明の管継手と接続可能な管部材であればよい。管部材としては、鋼管でもよく、合成樹脂管でもよい。管部材としては、断熱性に優れる観点から、合成樹脂管が好ましく、発泡層を有する合成樹脂管がより好ましい。発泡層としては、気泡同士が互いに連通した連続気泡でもよく、気泡同士が互いに連通していない独立気泡でもよい。
【0066】
本実施形態において、管部材201は、第一の管軸O1の方向に沿って、管継手1の受口部20aに挿入されて接続されている。管部材202は、第一の管軸O1の方向に沿って、管継手1の受口部20bに挿入されて接続されている。管部材203は、第二の管軸O2の方向に沿って、管継手1の受口部20cに挿入されて接続されている。
管部材201の外径R201は、受口部20aの内径R20aよりもわずかに小さい。なお、ここでいう受口部20aの内径R20aは、受口部20aの受口端部の内径をいい、比R201/R20aは、0.986~0.997が好ましい。
管部材202の外径R202は、受口部20bの内径R20bよりもわずかに小さい。なお、ここでいう受口部20bの内径R20bは、受口部20bの受口端部の内径をいい、比R202/R20bは、0.986~0.997が好ましい。
管部材203の外径R203は、受口部20cの内径R20cよりもわずかに小さい。なお、ここでいう受口部20cの内径R20cは、受口部20cの受口端部の内径をいい、比R203/R20cは、0.986~0.997が好ましい。
【0067】
配管構造100は、ドレンを排水するための配管の接続部として機能する。加えて、配管構造100は、ドレンを排水するための配管の分岐部として機能する。
【0068】
<配管構造の製造方法>
配管構造の製造方法は、特に限定されず、本発明の管継手の受口部に管部材を挿入し、接続することで本発明の配管構造が得られる。管継手と管部材とを接続する方法は、特に限定されず、接着剤を用いて接続してもよく、接着剤を用いずに接続してもよい。
【0069】
本実施形態の配管構造100では、管継手1と管部材201、202、203とは、接着剤を用いて接続されている。管継手と管部材とを接着剤を用いて接続することで、配管構造の止水性及び強度をより高められる。
管継手と管部材との接続に用いられる接着剤は、特に限定されず、瞬間接着剤やホットメルト接着剤等、公知の接着剤が挙げられる。
【0070】
本発明の配管構造は、本発明の管継手を備えるため、断熱性に優れる。
加えて、本発明の配管構造は、本発明の管継手を備えるため、強度に優れる。
さらに、本発明の配管構造は、本発明の管継手を備えるため、止水性に優れる。
【実施例】
【0071】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
各実施例及び比較例で使用した原料、評価方法は、以下の通りである。
【0072】
[使用原料]
<樹脂>
ABS樹脂(表2に記載の組成のABS樹脂)。
MBS樹脂(表2に記載の組成のMBS樹脂)。
アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル)。
<ゴム成分>
アクリルゴム(アクリロニトリルとアクリル酸ブチルとの共重合体)。
<発泡剤>
ADCA(大塚化学社製、商品名「AZ-HM」、アゾジカルボンアミド)。
【0073】
[実施例1]
ABS樹脂にポリメタクリル酸メチルを混練した樹脂組成物を非発泡性樹脂組成物とした。このとき、非発泡性樹脂組成物をPGC/MSで測定して得られた各成分のピーク面積比が表2となる様な比率で混練した。この非発泡性樹脂組成物をペレット状にして公知の熱風乾燥機を用いて70℃で4時間乾燥した。乾燥したペレット状の非発泡性樹脂組成物に発泡剤としてアゾジカルボンアミドを混合したものを発泡性樹脂組成物として、成形温度240℃で射出成形して、受口部が非発泡樹脂層からなり中実で、受口部の端部の内外壁面間の厚さが3.7mm、受口部の長さが22mm、本体部の内外壁面間の厚さが10mm、発泡倍率1.8倍の発泡樹脂層を有する
図1に示すような受口部の内径48.3mmのDV継手タイプのチーズ(管継手)を製造した。なお、表2中、「メタクリル酸メチル」は、ポリメタクリル酸メチルを表す。
【0074】
[実施例2~4]
樹脂の組成、受口部の端部の内外壁面間の厚さ及び受口部の長さを表2に記載の値とした以外は、実施例1と同様にしてチーズを製造した。なお、表2中、「-」は、ABS樹脂にポリメタクリル酸メチルを混練しなかったことを表す。
【0075】
[実施例5]
本体部の内外壁面間の厚さを15mmとし、発泡倍率を1.5倍としたこと以外は実施例2と同様にしてチーズを製造した。
【0076】
[実施例6]
本体部の発泡倍率を2.2倍としたこと以外は、実施例2と同様にしてチーズを製造した。
【0077】
[実施例7]
樹脂の組成、受口部の端部の内外壁面間の厚さ及び受口部の長さを表2に記載の値とした以外は、実施例2と同様にしてチーズを製造した。
【0078】
[実施例8]
ペレット状の非発泡性樹脂組成物を乾燥せずに用い、成形温度195℃で射出成形した以外は、実施例2と同様にしてチーズを製造した。
【0079】
[実施例9~10]
ゴム成分として、アクリルゴムを添加し、樹脂の組成を表2に記載の値とした以外は、実施例2と同様にしてチーズを製造した。
【0080】
[実施例11]
受口部の端部の内外壁面間の厚さ及び受口部の長さを表2に記載の値とした以外は、実施例2と同様にしてチーズを製造した。
【0081】
[比較例1~2]
樹脂の組成を表2に記載の値とした以外は、実施例2と同様にしてチーズを製造した。
【0082】
[比較例3]
受口部の端部の内外壁面間の厚さ及び受口部の長さを表2に記載の値とした以外は、実施例2と同様にしてチーズを製造した。
【0083】
[比較例4]
樹脂の組成を表2に記載の値とし、受口部の端部の内外壁面間の厚さ及び受口部の長さを表2に記載の値とした以外は、実施例2と同様にしてチーズを製造した。
【0084】
[MFRの測定]
各例で製造したチーズのMFRを、JIS K 7210:1999に従い、試験温度220℃、試験荷重10kgで測定した。結果を表2に示す。
【0085】
[熱抵抗値の測定]
上記実施例、比較例で得られたチーズから本体部を切り出し、JIS A 1412-1:2016に準拠して測定した熱伝導率(W/m・K)と、熱伝導率の測定箇所における本体部の厚さ(m)とから、下記式(1)により、熱抵抗値を算出した。結果を表2に示す。
熱抵抗値(K/W)=厚さ(m)/熱伝導率(W/m・K)・・・(1)
【0086】
[発泡倍率の測定]
上記実施例、比較例で得られたチーズから本体部を切り出し、JIS K 9798:2006に記載の6.2(b)の方法に準拠して、発泡倍率を測定した。結果を表2に示す。
【0087】
[耐衝撃性の評価]
上記実施例、比較例で得られたチーズを試験体とし、それぞれの試験体について、落下試験機を用いて、高さ4mからの落下に相当する加速度を与え、第一の管軸O1と水平面とが45°の角度をなすように水平面に衝突させる試験を行った。各例の試験体についてそれぞれ3回の試験を行い、耐衝撃性を評価した。耐衝撃性の評価は、試験体のひび割れ、試験体の欠けの有無を目視で確認することにより、下記評価基準に従って行った。結果を表2に示す。
《評価基準》
○:試験体の受口部及び本体部のひび割れ並びに欠けの発生なし。
△:試験体の受口部又は本体部のいずれかにひび割れ又は欠けの発生あり。
×:試験体の受口部及び本体部の両方に著しいひび割れ又は欠けの発生あり。
【0088】
[耐薬品性の評価]
上記実施例、比較例で得られたチーズのそれぞれについて、受口部を管軸方向にダンベル形状に切り取って試験片を得た。得られた試験片を、23℃の室内において、3MPaの伸縮応力がかかるように作製された曲げ治具に固定し、ポリエチレングリコール(ナカライテスク#200、平均分子量190~210)2mLを浸漬した10mm×20mmの大きさの綿を試験片の中央部の上に載置した。試験片は各例につき3個作製し、3個の試験片のうち任意の1個を36時間放置した後に綿を外して目視で確認した。3個の試験片のうち他の2個は、72時間放置した後に綿を外して目視で確認して耐薬品性の評価を行った。耐薬品性の評価は、試験片の割れの有無を下記評価基準に従って行った。結果を表2に示す。
(評価基準)
○:72時間経過後でも破断、クラックの発生なし。
△:載置時間1時間以上72時間未満で破断、クラックの発生あり。
×:載置時間1時間未満で破断、クラックの発生あり。
【0089】
[成形性の評価]
上記の実施例、比較例に基づき、各例10個のチーズを製造し、チーズの受口部に成形不良(主に金型内の端部まで樹脂が充填されないことによるショート)が発生していないかを目視で確認した。成形性の評価は、下記評価基準に従って行った。結果を表2に示す。
《評価基準》
○:10個すべてに成形不良なし。
×:1個以上の成形不良あり。
【0090】
[止水性の評価]
上記実施例、比較例で得られたチーズを試験体とし、それぞれの試験体について、受口部の2つを閉塞治具で閉塞した。残る1つの受口部に、一端に接着剤を塗布したパイプを挿入して接合し、常温(20~30℃)で24時間接着剤を乾燥させ、配管構造とした。
その後、当該パイプの他端から、0.35MPaの水圧をかけて1分間保持し、受口部とパイプとの接合部からの漏水の有無を目視で確認した。止水性の評価は、下記評価基準に従って行った。結果を表2に示す。
《評価基準》
○:接合部からの漏水なし。
×:接合部からの漏水あり。
【0091】
[ヘーズの評価]
上記実施例、比較例で得られたチーズの受口部を切断して試験片を採取し、JIS K 7136に従って、ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製、NDH7000SP)を用いてヘーズを測定した。結果を表2に示す。
【0092】
【0093】
表2に示すように、本発明を適用した実施例1~11は、耐衝撃性の評価が「○」で、強度に優れることが分かった。また、成形性、止水性も良好であることが分かった。
一方、樹脂の総質量に対するゴム成分(ブタジエン)の含有量が10質量%未満の比較例1は、耐衝撃性の評価が「×」だった。樹脂の総質量に対するゴム成分の含有量が45質量%超の比較例2は、成形性の評価が「×」だった。
L/d比が2.0未満の比較例3は、止水性の評価が「×」だった。L/d比が10.0超の比較例4は、耐衝撃性の評価及び成形性の評価が「×」だった。
【0094】
本発明の管継手によれば、発泡層を厚くしたり、発泡層の発泡倍率を上げたりせずとも、充分な断熱性を発揮し、かつ、成形性、止水性及び強度に優れることが分かった。
【符号の説明】
【0095】
1 管継手
10 本体部
10a、10b、10c 開口部
12a、12b、12c 段差
13 周壁
14 射出ゲート部
20a、20b、20c 受口部
21a、21b、21c 基端
22a、22b、22c 開口端
30 発泡樹脂層
50 非発泡樹脂層