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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20241202BHJP
【FI】
A01B69/00 303M
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023016155
(22)【出願日】2023-02-06
(62)【分割の表示】P 2019228666の分割
【原出願日】2019-12-18
(65)【公開番号】P2023054003
(43)【公開日】2023-04-13
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉村 史也
(72)【発明者】
【氏名】山口 幸太郎
(72)【発明者】
【氏名】玉谷 健二
(72)【発明者】
【氏名】森本 孝紀
(72)【発明者】
【氏名】作田 建
【審査官】小林 直暉
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-095658(JP,A)
【文献】国際公開第2019/187937(WO,A1)
【文献】特開2019-121009(JP,A)
【文献】特開2019-175318(JP,A)
【文献】特開2018-050491(JP,A)
【文献】特開2017-135995(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0283909(US,A1)
【文献】特開2021-83332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00
G05D 1/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
作業装置を前記機体に連結可能な連結装置と、
前記機体を走行予定ルートに基づいて自動走行を行う自動走行制御部と、
前記作業装置のその場所における前後方向の作業幅である作業範囲を取得する範囲取得部と、
前記範囲取得部が取得した前記作業範囲に応じて、当該作業装置が作業を開始する作業開始位置と、当該作業装置が作業を終了する作業終了位置とを異なる位置に設定する作業設定部と、
を備えている作業機。
【請求項2】
前後方向の前記作業幅は、前記作業装置がその場所において対地に対して作業を行う前後方向の長さである請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記前後方向の長さは、前記作業装置がその場所において対地に対して作業を行う領域の前端部から後端部までの前後方向の長さのうち、最も長い部分の長さである請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記作業装置と対応付けて前記作業範囲の入力を受け付ける入力装置を備え、
前記範囲取得部は、前記入力装置が受け付けた前記作業範囲を取得する請求項1~3のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項5】
前記入力装置が受け付けた前記作業範囲を記憶する記憶部を備え、
前記入力装置は、前記作業範囲の入力を受け付ける入力画面を表示する表示装置であり、
前記記憶部は、前記入力画面が入力を受け付けた前記作業範囲と、当該作業範囲に対応する前記作業装置と、を対応付けて記憶する請求項に記載の作業機。
【請求項6】
前記作業装置と、前記作業範囲と、を対応付けて記憶する記憶部を備え、
前記範囲取得部は、前記記憶部から前記作業範囲を取得する請求項1~3のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項7】
前記作業設定部によって設定された前記作業開始位置と前記作業終了位置とに基づいて、前記連結装置に連結された前記作業装置を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記連結装置に連結された前記作業装置が前記作業開始位置を通過した場合に当該作業装置の作業を開始し、当該作業装置が前記作業終了位置を通過した場合に当該作業装置の作業を停止する請求項1~6のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項8】
前記走行予定ルートを作成するルート作成部を備え、
前記作業設定部は、前記連結装置に連結された前記作業装置に応じて、当該作業装置が作業を開始する作業開始位置と、当該作業装置が作業を終了する作業終了位置とを前記走行予定ルート上に設定する請求項1~7のいずれか1項に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業装置を連結された作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラクタ等の作業機を自動走行させるための走行経路(作業走行ライン)を作成する技術として特許文献1に示す技術が知られている。特許文献1の作業車(作業機)は、圃場の外周部の位置データを取得する取得部と、位置データに基づいて走行機体(機体)が走行する作業走行ラインを圃場に設定する作業設定部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-39号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、作業走行ライン(走行予定ルート)を作成することができ、作業走行ラインに沿って自動走行をしながら作業が行えるものの、作業装置が施肥装置や農薬散布装置等の散布装置である場合、作業装置の作業分類によっては、前後方向の作業範囲が異なるため作業が行えなかった箇所が生じ、作業効率が低下する虞がある。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、意図した箇所で作業を正確に且つ効率よく行うことができる作業機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る作業機は、機体と、作業装置を機体に連結可能な連結装置と、機体を走行予定ルートに基づいて自動走行を行う自動走行制御部と、作業装置のその場所における前後方向の作業幅である作業範囲を取得する範囲取得部と、範囲取得部が取得した作業範囲に応じて、当該作業装置が作業を開始する作業開始位置と、当該作業装置が作業を終了する作業終了位置とを異なる位置に設定する作業設定部と、を備えている。
【0007】
また、前後方向の作業幅は、作業装置がその場所において対地に対して作業を行う前後方向の長さである
【0008】
また、前後方向の長さは、作業装置がその場所において対地に対して作業を行う領域の前端部から後端部までの前後方向の長さのうち、最も長い部分の長さである
【0009】
また、作業機は、作業装置と対応付けて作業範囲の入力を受け付ける入力装置を備え、範囲取得部は、入力装置が受け付けた作業範囲を取得する
【0010】
また、作業機は、入力装置が受け付けた作業範囲を記憶する記憶部を備え、入力装置は、作業範囲の入力を受け付ける入力画面を表示する表示装置であり、記憶部は、入力画面が入力を受け付けた作業範囲と、当該作業範囲に対応する作業装置と、を対応付けて記憶する
【0011】
また、作業機は、作業装置と、作業範囲と、を対応付けて記憶する記憶部を備え、範囲取得部は、記憶部から作業範囲を取得する
【0012】
また、作業機は、作業設定部によって設定された作業開始位置と作業終了位置とに基づいて、連結装置に連結された作業装置を制御する制御装置を備え、制御装置は、連結装置に連結された作業装置が作業開始位置を通過した場合に当該作業装置の作業を開始し、当該作業装置が作業終了位置を通過した場合に当該作業装置の作業を停止する。
【0013】
また、作業機は、走行予定ルートを作成するルート作成部を備え、作業設定部は、連結装置に連結された作業装置に応じて、当該作業装置が作業を開始する作業開始位置と、当該作業装置が作業を終了する作業終了位置とを走行予定ルート上に設定する。
【発明の効果】
【0014】
上記作業機は、意図した箇所で作業を正確に且つ効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】作業機のブロック図を示す図である。
図2】昇降装置を示す図である。
図3A】圃場マップ及び走行予定ルートを説明する図である。
図3B】作業範囲を説明する図である。
図3C】散布範囲を説明する図である。
図4】基準設定画面の一例を示す図である。
図5】マップ登録画面の一例を示す図である。
図6A】走行軌跡から圃場の輪郭(圃場マップ)を求める図である。
図6B】走行軌跡の変曲点から圃場の輪郭(圃場マップ)を求める図である。
図6C】走行時のスイッチ操作から輪郭(圃場マップ)を求める図である。
図7】エリア設定画面の一例を示す図である。
図8】作業選択画面の一例を示す図である。
図9A】第1設定画面の一例を示す図である。
図9B】第2設定画面の一例を示す図である。
図10A】作業エリアに単位作業区画を作成した図である。
図10B図10Aとは異なる単位作業区画を示す図である。
図10C図10A及び図10Bとは異なる単位作業区画を示す図である。
図11】走行予定ルートの作成を説明する説明図である。
図12A】作業設定部による作業開始位置及び作業終了位置の設定を説明する第1図である。
図12B】作業設定部による作業開始位置及び作業終了位置の設定を説明する第2図である。
図12C】作業設定部による作業開始位置及び作業終了位置の設定を説明する第3図である。
図13】自動走行の一例を示す図である。
図14】作業機の側面全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図14は、作業機1の一例であるトラクタを示している。作業機1について、トラクタを例にあげて説明するが、作業機1は、トラクタに限定されず、田植機、コンバインであってもよい。本発明の実施形態において、作業機1の運転席10に着座した作業者(運転者)の前側(図3B図3C図14の矢印A1方向)を前方、作業者の後側(図3B図3C図14の矢印A2方向)を後方、作業者の左側を左方(図14の手前側、図3B図3Cの矢印B1方向)、作業者の右側を右方(図14の奥側、図3B図3Cの矢印B2方向)として説明する。また、作業機1の前後方向に直交する方向である水平方向を幅方向として説明する。
【0018】
図14に示すように、作業機1は、走行装置7を有する機体(走行車体)3と、原動機4と、変速装置5とを備えている。走行装置7は、前輪7F及び後輪7Rを有する装置である。前輪7Fは、タイヤ型であってもクローラ型であってもよい。また、後輪7Rも、タイヤ型であってもクローラ型であってもよい。原動機4は、ディーゼルエンジン、電動モータ等である。変速装置5は、変速によって走行装置7の推進力を切換可能であると共に、走行装置7の前進、後進の切換が可能である。機体3にはキャビン9が設けられ、当該キャビン9内には運転席10が設けられている。
【0019】
また、機体3の後部には、連結装置が設けられている。連結装置は、作業装置2と機体3とを連結し且つ昇降を行わないスイングドローバ、3点リンク機構等で構成されて昇降を行う昇降装置8等である。連結装置には、作業装置2が着脱可能である。作業装置2を連結装置に連結することによって、機体3によって作業装置2を牽引することができる。作業装置2は、少なくとも散布装置を含んでいる。散布装置は、例えば施肥装置(ブロードキャスタ)、農薬を散布する農薬散布装置、灌水を行う灌水散布装置等である。また、作業装置は、上述した散布装置の他に耕耘する耕耘装置、苗を植え付ける移植装置、牧草等の刈取を行う刈取装置、牧草等の拡散を行う拡散装置、牧草等の集草を行う集草装置、牧草等の成形を行う成形装置等を含んでいる。なお、以下において散布装置として施肥装置を連結装置に連結している場合を例に説明する。
【0020】
図1図2に示すように、昇降装置8は、リフトアーム8a、ロアリンク8b、トップリンク8c、リフトロッド8d、リフトシリンダ8eを有している。リフトアーム8aの前端部は、変速装置5を収容するケース(ミッションケース)の後上部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。リフトアーム8aは、リフトシリンダ8eの駆動によって揺動(昇降)する。リフトシリンダ8eは、油圧シリンダから構成されている。リフトシリンダ8eは、制御弁36を介して油圧ポンプと接続されている。制御弁36は、電磁弁等であって、リフトシリンダ8eを伸縮させる。
【0021】
図1に示すように、ロアリンク8bの前端部は、変速装置5の後下部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。トップリンク8cの前端部は、ロアリンク8bよりも上方において、変速装置5の後部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。リフトロッド8dは、リフトアーム8aとロアリンク8bとを連結している。ロアリンク8bの後部及びトップリンク8cの後部には、作業装置2が連結される。リフトシリンダ8eが駆動(伸縮)すると、リフトアーム8aが昇降するとともに、リフトロッド8dを介してリフトアーム8aと連結されたロアリンク8bが昇降する。これにより、作業装置2がロアリンク8bの前部を支点として、上方又は下方に揺動(昇降)する。
【0022】
図1に示すように、作業機1は、操舵装置29を備えている。操舵装置29は、ハンドル(ステアリングホイール)30と、ハンドル30の回転に伴って回転する回転軸(操舵軸)31と、ハンドル30の操舵を補助する補助機構(パワーステアリング機構)32と、を有している。補助機構32は、油圧ポンプ33と、油圧ポンプ33から吐出した作動油が供給される制御弁34と、制御弁34により作動するステアリングシリンダ35とを含んでいる。制御弁34は、制御信号に基づいて作動する電磁弁である。制御弁34は、例えば、スプール等の移動によって切り換え可能な3位置切換弁である。また、制御弁34は、操舵軸31の操舵によっても切換可能である。ステアリングシリンダ35は、前輪7Fの向きを変えるアーム(ナックルアーム)に接続されている。
【0023】
したがって、ハンドル30を操作すれば、当該ハンドル30に応じて制御弁34の切換位置及び開度が切り換わり、当該制御弁34の切換位置及び開度に応じてステアリングシリンダ35が左又は右に伸縮することによって、前輪7Fの操舵方向を変更することができる。なお、上述した操舵装置29は一例であり、上述した構成に限定されない。
【0024】
図1に示すように、作業機1は、測位装置40を備えている。測位装置40は、D-GPS、GPS、GLONASS、北斗、ガリレオ、みちびき等の衛星測位システム(測位衛星)により、自己の位置(緯度、経度を含む測位情報)を検出可能である。即ち、測位装置40は、測位衛星から送信された衛星信号(測位衛星の位置、送信時刻、補正情報等)を受信し、衛星信号に基づいて、作業機1の位置(例えば、緯度、経度)、即ち、機体位置VP1を検出する。測位装置40は、受信装置41と、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)42とを有している。受信装置41は、アンテナ等を有していて測位衛星から送信された衛星信号を受信する装置であり、慣性計測装置42とは別に機体3に取付けられている。この実施形態では、受信装置41は、機体3、例えばキャビン9に取付けられている。なお、受信装置41の取付箇所は、実施形態に限定されない。
【0025】
慣性計測装置42は、加速度を検出する加速度センサ、角速度を検出するジャイロセンサ等を有している。機体3、例えば運転席10の下方に設けられ、慣性計測装置42によって、機体3のロール角、ピッチ角、ヨー角等を検出することができる。
【0026】
図1に示すように、作業機1は、入力装置を備えている。入力装置は、作業機1に関する様々な設定を受け付ける装置である。入力装置は、例えば操作可能であり且つ設定の入力を受け付ける所定の入力画面M5,M6を表示する表示装置50や、設定の入力操作が可能なスイッチ等である。本実施形態において、入力装置は、例えば作業機1が備えている表示装置50である。表示装置50は、制御部51と、表示部52と、記憶部53とを備えている。制御部51は、CPU、電気・電子回路等から構成されていて、表示装置50に関する様々な制御を行う。表示部52は、操作可能であり液晶パネル、タッチパネル、その他のパネル等で構成されていて、作業機1に関する様々な情報を表示する。
【0027】
記憶部53は、不揮発性のメモリ等から構成されている。記憶部53には、例えば、作業機1の作業等を支援するアプリケーションプログラムが記憶されていて、当該アプリケーションプログラムを起動すると、表示装置50は、作業を支援する作業支援装置として作動する。なお、表示装置50が作業支援装置として作動した場合も、作業支援装置としての処理は、ハードウェアである制御部51が実行する。
【0028】
図1に示すように、作業機1は、情報取得部51aと、マップ登録部51bと、旋回幅取得部51cと、エリア設定部51dと、作業取得部51eと、作業幅取得部51fと、範囲取得部51gと、ルート作成部51hと、作業設定部51iと、を備えている。本実施形態においては、表示装置50が情報取得部51a、マップ登録部51b、旋回幅取得部51c、エリア設定部51d、作業取得部51e、作業幅取得部51f、範囲取得部51g、ルート作成部51h、及び作業設定部51iを有している。情報取得部51a、マップ登録部51b、旋回幅取得部51c、エリア設定部51d、作業取得部51e、作業幅取得部51f、範囲取得部51g、ルート作成部51h、及び作業設定部51iは、表示装置50の制御部51の電気・電子回路、CPU等に格納されたプログラム等から構成されている。なお、本実施形態において、情報取得部51a、マップ登録部51b、旋回幅取得部51c、エリア設定部51d、作業取得部51e、作業幅取得部51f、範囲取得部51g、ルート作成部51h、及び作業設定部51iは、制御部51から構成されているが、制御部51以外の電気・電子回路等から構成されていてもよく、例えば作業機1の制御装置60から構成されていてもよい。
【0029】
情報取得部51aは、機体3と作業装置2との位置関係に関する情報を取得する。情報取得部51aは、表示装置50に入力された情報を取得する。具体的には、情報取得部51aは、機体3の所定の位置から作業装置2の所定の位置までの距離である基準距離Y1を取得する。例えば、図3B及び図3Cに示すように、基準距離Y1は、測位装置40と作業装置2の作業範囲の前端との前後方向(進行方向)の距離である。
【0030】
なお、基準距離は、機体3と作業装置2との位置関係を算出するための基準であればよく、基準距離は測位装置40と連結装置(昇降装置8)の後端即ち作業装置2の前部との前後方向(進行方向)の距離であってもよいし、機体3の後端部から作業装置2の作業範囲w2の前端部までの距離であってもよい。
【0031】
また、情報取得部51aは、機体3と作業装置2との位置関係に関する情報を取得すればよく、その情報は入力装置(表示装置50)に入力された情報に限定されず、記憶部53に機体3と作業装置2との位置関係に関する情報が予め記憶されており、情報取得部51aが記憶部53から機体3と作業装置2との位置関係に関する情報を取得してもよい。
【0032】
マップ登録部51bは、所定の圃場の圃場マップMP、例えば所定の圃場の輪郭に対応した位置を登録する。マップ登録部51bは、例えば作業機1の測位装置40が検出した機体位置VP1に基づいて圃場の輪郭の位置情報を取得し、当該位置情報と当該圃場と対応付けて記憶部53に記憶する。なお、マップ登録部51bは、所定の圃場の圃場マップMPを登録することができればよく、例えば無線又は有線通信や記憶媒体を介して圃場マップMPを外部から取得して圃場マップMPを登録してもよいし、圃場マップMPの登録方法は上記方法に限定されない。
【0033】
旋回幅取得部51cは、機体3が旋回を行う領域である旋回エリアE1の幅(旋回幅)W1を取得する。旋回エリアE1は、例えば畦及び畦の周辺を含む領域である。旋回幅取得部51cは、記憶部53等を介して入力装置(表示装置50)に入力された情報を取得することで旋回幅W1を取得する。
【0034】
エリア設定部51dは、図3Aに示すような作業装置2が作業を行う領域、即ち圃場マップMPのうち旋回エリアE1を除く領域である作業エリアE2を圃場マップMP上に設定する。エリア設定部51dは、旋回幅取得部51cが取得した旋回幅W1に基づいて作業エリアE2を設定する。エリア設定部51dは、記憶部53に記憶されている圃場マップMP上に作業エリアE2を登録する。エリア設定部51dは、圃場マップMPの輪郭H1を内側に、旋回幅W1だけオフセットすることで形成される輪郭H2で囲まれるエリアを、作業エリアE2に設定する。
【0035】
なお、エリア設定部51dは、作業エリアE2を設定することができればよく、例えばエリア設定部51dは、表示装置50の表示部52に表示された圃場マップMP上においてポインタ等を用いて作業エリアE2の輪郭の位置を指定することによって、圃場マップMPに作業エリアE2を設定してもよいし、その方法は上記方法に限定されない。
【0036】
作業取得部51eは、連結装置(昇降装置8)に装着された作業装置2や、当該作業装置2の作業内容(作業分類)等を取得する。作業取得部51eは、記憶部53等を介して入力装置(表示装置50)に入力された情報を取得することで当該作業装置2や作業内容等を取得する。例えば、記憶部53は、作業機1に装着可能な複数の作業装置2、即ち作業装置2の名称、型番、品番等の作業装置2が識別可能な識別情報や当該作業装置2の作業内容やその分類を記憶しており、作業取得部51eは入力装置に入力された情報に基づいて記憶部53に記憶された作業装置2や当該作業装置2の作業内容を取得する。
【0037】
作業幅取得部51fは、作業装置2の幅方向の作業範囲w1(特に散布装置の幅方向の作業範囲w1を幅方向の散布作業範囲w3という)を取得する。図3B図3Cに示すように、作業装置2の幅方向の作業範囲(以下、第1作業幅という)w1は、作業装置2が圃場等の対地に対して作業を行う幅(作業実行幅)である。また、第1作業幅w1は、例えば作業装置2の作業範囲の幅方向の長さのうち最も長い部分の長さである。
【0038】
図3Cに示すように、作業装置2が施肥装置のように資材を圃場に散布する作業装置2の場合、第1作業幅w1、即ち幅方向の散布作業範囲(以下、第1散布幅という)w3は施肥を行う幅であり、当該第1散布幅w3は、施肥装置を操作して肥料が通過するシャッタの開口等を操作することで変更できる。また、第1散布幅w3は、肥料の粒の大きさに応じて変動する。具体的には、施肥装置が散布する肥料の粒の大きさが大きくなると第1散布幅w3は小さくなり、肥料の粒の大きさが小さくなると第1散布幅w3は大きくなる。
【0039】
作業幅取得部51fは、表示装置50が受け付けた情報に基づいて第1作業幅w1を取得する。詳しくは、表示装置50が表示する入力画面M5,M6、即ち入力装置が第1作業幅w1の入力を受け付け、記憶部53が当該第1作業幅w1と作業装置2と対応付けて記憶する。作業幅取得部51fは、作業取得部51eが取得した情報に基づいて、記憶部53から第1作業幅w1を取得することができる。
【0040】
ルート作成部51hは、記憶部53に登録された圃場マップMPを参照して、図3Aに示すように当該圃場マップMP上に作業機1が自動走行を行うための走行ルート(走行予定ルート)Lを作成する。走行予定ルートLは、作業機1が直進する直進部(直進ルート)L1と、作業機1が旋回する旋回部(旋回ルート)L2と、を含んでいる。直進部L1は主に作業エリアE2に作成され、旋回部L2は主に旋回エリアE1に作成される。
【0041】
範囲取得部51gは、作業装置2の前後方向の作業範囲(以下、第2作業幅という)w2を取得する。範囲取得部51gは、入力装置が受け付けた情報に基づいて第2作業幅w2を取得する。図3B図3Cに示すように、作業装置2の第2作業幅w2は、作業装置2が圃場等の対地に対して作業を行う前後方向の幅であり、例えば作業装置2の作業範囲w2の前端部から後端部までの前後方向の長さのうち最も長い部分の長さである。なお、作業装置2が散布装置のように資材を圃場に散布する作業装置2の場合、第2作業幅w2は後方散布幅距離である。
【0042】
まず、範囲取得部51gが施肥作業を行う散布装置以外の作業装置2の第2作業幅w2を取得する場合を説明すると、記憶部53が第2作業幅w2と当該作業装置2とを対応付けて記憶しており、範囲取得部51gは、作業取得部51eが取得した情報に基づいて、記憶部53から第2作業幅w2を取得することができる。このため、連結装置に連結された作業装置2が施肥装置、農薬散布装置、灌水散布装置等の散布装置以外である場合、範囲取得部51gは、記憶部53から予め設定された第2作業幅w2を取得する。なお、上述した実施形態において第2作業幅w2は予め記憶部53に記憶されているが、作業範囲w2は、それぞれの作業装置2毎に対応付けて予め記憶部53に記憶されていてもよいし、任意に変更できてもよい。
【0043】
次に、範囲取得部51gが散布装置の前後方向の散布作業範囲、即ち後方散布幅距離(以下、第2散布幅として説明する)w4を取得する場合を例に説明すると、表示装置50が表示する入力画面M6、即ち入力装置が第2散布幅w4の入力を受け付け、記憶部53が当該第2散布幅w4と散布装置と対応付けて記憶する。範囲取得部51gは、作業取得部51eが取得した作業装置2の情報に基づいて、記憶部53から第2散布幅w4を取得することができる。このため、範囲取得部51gは、連結装置に連結された作業装置2が散布装置である場合、表示装置50が入力を受け付け且つ散布装置に対応付けられた第2散布幅w4を記憶部53から取得する。
【0044】
作業設定部51iは、作業装置2における作業開始位置STn及び作業終了位置ETnの設定を行う。作業設定部51iは、範囲取得部51gが取得した散布作業範囲w4に応じて、当該散布装置における作業開始位置STnと作業終了位置ETnとを異なる位置に設定する。作業設定部51iは、連結装置に連結された作業装置2に応じて当該作業装置2における作業開始位置STnと作業終了位置ETnとを走行予定ルートL上に設定する。作業設定部51iは、例えば作業エリアE2と旋回エリアE1との境界X1に基づいて作業開始位置STn及び作業終了位置ETnに設定する。また、作業設定部51iは、走行予定ルートL上に作業開始位置STn及び作業終了位置ETnに設定する。
【0045】
以下、表示装置50の表示部52が表示する画面と情報取得部51aによる基準距離Y1の取得について詳しく説明する。作業者が表示装置50に所定の操作を行うと、図4に示すように、表示装置50は、表示部52に作業機1の情報(例えば基準距離Y1を含む寸法情報)を入力する基準設定画面M1を表示する。基準設定画面M1には、作業機(トラクタ)1を模した図形D1と、作業装置2を模した図形D2と、測位装置40を模した図形D3と、を含んでいる。基準設定画面M1は、基準距離Y1を入力する距離入力部100と、第1入力確定ボタン101と、を有している。
【0046】
距離入力部100は、基準距離Y1を入力する部分である。基準距離Y1の入力は、基準設定画面M1に表示された所定の操作具や表示装置50が有している操作スイッチ等を操作して入力する。
【0047】
第1入力確定ボタン101は、距離入力部100に入力された基準距離Y1を確定、即ち基準距離Y1の入力の受け付けを確定させる操作が可能な画像部である。このため、距離入力部100に基準距離Y1が入力され、第1入力確定ボタン101が操作されると、記憶部53が距離入力部100に入力された基準距離Y1を作業機1と対応付けて記憶する。情報取得部51aは、情報取得部51aが取得した情報に基づいて、記憶部53から基準距離Y1を取得する。
【0048】
以下、表示装置50の表示部52が表示する画面とマップ登録部51bによるマップの登録について詳しく説明する。図5に示すように、表示装置50に対して所定の操作を行うと、表示装置50が表示部52にマップ登録画面M2を表示する。マップ登録画面M2には、圃場を含むマップMP1、作業機1の機体位置VP1、圃場名及び圃場管理番号等の圃場識別情報が表示される。マップMP1には、圃場を示す画像データの他に緯度、経度等の位置情報が対応付けられている。作業機1が圃場内に入り、圃場内を周回すると、マップ登録画面M2には、作業機1が周回したときに測位装置40が検出した現在の機体位置VP1が表示される。作業機1による圃場内の周回が終了し、マップ登録画面M2に表示された登録ボタン105が操作されると、図6Aに示すように、マップ登録部51bは、作業機1が周回したときの複数の機体位置VP1によって得られた走行軌跡K1を圃場の輪郭(外形)H1とし、当該輪郭H1で表される圃場マップMPを圃場識別情報と共に登録する。
【0049】
なお、図6Bに示すように、マップ登録部51bは、機体位置VP1で示される走行軌跡から変曲点を演算して変曲点を結ぶ輪郭K2を圃場の輪郭H1(圃場マップMP)として登録してもよいし、図6Cに示すように、作業機1が周回する際に運転者等が作業機1に設けられたスイッチ等によって圃場の端部を指定し指定された端部を結んだ輪郭K3を輪郭H1(圃場マップMP)として登録してもよい。上述した圃場の登録方法は、一例であり、限定されない。圃場の輪郭、即ち、圃場マップMPは、位置(緯度、経度)で示されたデータであっても、座標(X軸、Y軸)系で示されたデータであっても、その他の表現で示されたデータであってもよい。
【0050】
記憶部53は、マップ登録部51bによって登録した輪郭(外形)を示す圃場マップMPを記憶する。即ち、記憶部53は、圃場マップMP、圃場の輪郭を示すデータ(所定の圃場を表すためのデータ)を記憶する。
【0051】
以下、表示装置50の表示部52が表示する画面と、旋回幅取得部51cによる旋回エリアE1の幅の取得と、エリア設定部51dによる作業エリアE2の設定について詳しく説明する。図7に示すように、作業者(運転者)が表示装置50に対して所定の操作を行うと、表示装置50が表示部52にエリア設定画面M3を表示する。エリア設定画面M3は、圃場入力部110と、圃場表示部111と、旋回幅入力部112と、旋回設定ボタン113と、を有している。圃場入力部110は、圃場名、圃場の管理番号等の圃場識別情報を入力可能である。圃場表示部111は、圃場入力部110に入力された圃場識別情報に対応する所定の圃場を示す圃場マップMPを表示する。即ち、制御部51は、圃場入力部110に入力された圃場識別情報に対応する圃場マップMPを、記憶部53に要求し、当該記憶部53から送信された圃場マップMPを圃場表示部111に表示させる。
【0052】
旋回幅入力部112は、圃場入力部110に入力された圃場識別情報に対応する所定の圃場における旋回幅W1を入力可能である。旋回設定ボタン113は、旋回幅入力部112に入力された旋回幅W1を確定、即ち旋回幅W1の入力の受け付けを確定操作可能な画像部である。このため、旋回幅取得部51cは、旋回幅入力部112に旋回幅W1が入力され、旋回設定ボタン113が操作されると、旋回幅入力部112に入力された旋回幅W1を取得する。
【0053】
また、旋回設定ボタン113が選択されて、旋回幅取得部51cが旋回幅入力部112に入力された旋回幅W1を取得すると、エリア設定部51dは、圃場表示部111に表示された圃場マップMPに、旋回エリアE1を除く作業エリアE2を表示する。例えば、エリア設定部51dは、旋回幅取得部51cが取得した旋回幅W1に基づいて圃場マップMPの輪郭H1を内側に、旋回幅W1だけオフセットすることで形成される輪郭H2で囲まれるエリアを、作業エリアE2に設定する。なお、エリア設定画面M3において、圃場表示部111に表示された圃場マップMP上に、ポインタ等を用いて作業エリアE2の輪郭の位置を指定することによって、圃場マップMPに作業エリアE2を設定してもよい。
【0054】
記憶部53は、作業エリアE2が設定された圃場マップMPのデータ、即ち圃場マップMPに作業エリアE2の位置を示すデータを記憶する。
【0055】
以下、表示装置50の表示部52が表示する画面と作業取得部51eによる作業装置2、又は作業装置2の作業分類等の取得について詳しく説明する。図8に示すように、作業者(運転者)が表示装置50に対して所定の操作を行うと、表示装置50が表示部52に作業選択画面M4を表示する。作業選択画面M4は、選択部115を有している。選択部115は、作業機1に装着可能な複数の作業装置2の選択操作、即ち作業装置2の名称、型番、品番等の作業装置2が識別可能な識別情報や当該作業装置2の作業内容やその分類を入力操作可能である。
【0056】
図8に示すように、選択部115は、例えば複数の選択具116を有しており、複数の選択具116は、作業装置2の名称、型番、品番等の作業装置2が識別可能な識別情報や当該作業装置2の作業内容やその分類と対応づけられた画像部である。本実施形態においては、図8に示すように選択具116は作業装置2の作業分類と対応付けられており、複数の選択具116に対応付けられている作業分類は、少なくとも「施肥」を含んでおり、例えばそれぞれ「耕耘」、「代掻き」、「粗耕起」、「施肥」と対応付けられている。このため、作業者が複数の選択具116のうちいずれかを選択操作すると、作業装置2の作業分類が選択される。なお、複数の選択具116に対応付けられている作業分類は、例えば「農薬散布」、「灌水」、「播種」、「刈取」等を含んでいてもよいし、その分類は上記分類に限定されない。
【0057】
また、図8に示すように、作業選択画面M4は選択確定ボタン117を有している。選択確定ボタン117は、操作可能な画像部である。選択具116の操作によって作業装置2の作業分類を選択し、選択確定ボタン117を操作することで選択具116の操作による作業装置2の作業分類の選択を確定させる。このため、作業取得部51eは、選択確定ボタン117を操作されると、選択操作されている選択具116に対応付けられている作業分類を記憶部53から取得する。
【0058】
なお、本実施形態において、選択具116は、作業分類と対応付けられており、作業取得部51eは記憶部53から作業分類を取得するが、選択具116は作業装置2の名称、型番、品番等の作業装置2が識別可能な識別情報や当該作業装置2の作業内容等のいずれか1つ以上と対応づけられており、作業取得部51eは作業装置2を識別可能な情報を取得できればよく、作業取得部51eは作業分類に代えて名称や品番を取得してもよい。
【0059】
以下、表示装置50の表示部52が表示する画面と、作業幅取得部51fによる第1作業幅w1の取得と、範囲取得部51gによる作業装置2の第2作業幅w2を取得と、ルート作成部51hによる走行予定ルートLの作成と、作業設定部51iによる作業装置2における作業開始及び作業終了の設定について詳しく説明する。
【0060】
作業者(運転者)が作業選択画面M4で作業装置2の選択操作を行い、且つ作業取得部51eが取得した作業装置2が施肥作業、農薬散布作業、灌水散布作業等を行う散布装置である場合、図9Aに示すように、表示装置50は表示部52に第1設定画面M5を表示する。第1設定画面M5では、少なくとも第2散布幅w4を入力可能な入力画面であって、当該入力された第2散布幅w4に基づいて作業開始位置STnと作業終了位置ETnとを異なる位置に設定することが可能である。また、第1設定画面M5では、第1散布幅w3を入力可能であり、当該入力された第1散布幅w3に基づいて作業エリアE2に走行予定ルートLを設定することが可能である。第1設定画面M5は、走行予定ルートLを表示するルート表示部120と、第1幅入力部121と、第2幅入力部122と、第2入力確定ボタン123と、を有している。
【0061】
第1幅入力部121は、作業選択画面M4で選択操作された散布装置に対応する第1散布幅w3を入力可能である。第2幅入力部122は、作業選択画面M4で選択操作された散布装置に対応する第2散布幅w4を入力可能である。第1散布幅w3及び第2散布幅w4の入力は、第1設定画面M5に表示された所定の操作具や表示装置50が有している操作スイッチ等を操作して入力する。
【0062】
第2入力確定ボタン123は、第1幅入力部121に入力された第1散布幅w3、及び第2幅入力部122に入力された第2散布幅w4を確定、即ち第1散布幅w3及び第2散布幅w4の入力の受け付けを確定操作可能な画像部である。このため、第1幅入力部121に第1散布幅w3が入力され、第2幅入力部122に第2散布幅w4が入力され、第2入力確定ボタン123が選択されると、記憶部53が当該第1散布幅w3及び第2散布幅w4と散布装置と対応付けて記憶する。作業幅取得部51fは、作業取得部51eが取得した情報に基づいて、記憶部53から第1散布幅w3を取得する。また、範囲取得部51gは、作業取得部51eが取得した情報に基づいて、記憶部53から第2散布幅w4を取得する。
【0063】
作業者(運転者)が作業選択画面M4で作業装置2の選択操作を行い、作業取得部51eが取得した作業装置2が施肥装置、農薬散布装置、灌水散布装置等の散布装置以外の作業装置2である場合、図9Bに示すように、表示装置50は表示部52に第2設定画面M6を表示する。第2設定画面M6は、第1作業幅w1を入力可能であり、且つ当該入力された第1作業幅w1に基づいて作業エリアE2に走行予定ルートLを設定することが可能な画面ある。第2設定画面M6は、走行予定ルートLを表示するルート表示部125と、第3幅入力部126と、第3入力確定ボタン127と、を有している。
【0064】
第3幅入力部126は、作業選択画面M4で選択操作された作業装置2に対応する第1作業幅w1を入力可能である。第1作業幅w1の入力は、第2設定画面M6に表示された所定の操作具や表示装置50が有している操作スイッチ等を操作して入力する。
【0065】
第3入力確定ボタン127は、第3幅入力部126に入力された第1作業幅w1を確定、即ち第1作業幅w1の入力の受け付けを確定操作可能な画像部である。このため、第3幅入力部126に第1作業幅w1が入力され、第3入力確定ボタン127が選択されると、記憶部53が当該第1作業幅w1と作業装置2とを対応付けて記憶する。作業幅取得部51fは、作業取得部51eが取得した情報に基づいて、記憶部53から第1作業幅w1を取得する。また、作業取得部51eが取得した情報に基づいて、範囲取得部51gが記憶部53から予め設定された第2作業幅w2を取得する。
【0066】
作業幅取得部51fが第1作業幅w1(作業装置2が散布装置である場合は第1散布幅w3)を取得すると、ルート作成部51hは、図10Aに示すように、作業エリアE2を第1作業幅w1で縦方向又は横方向に区切ることによって、作業装置2で作業を行う複数の単位作業区画E3を作業エリアE2内に作成する。即ち、ルート作成部51hは、第1作業幅w1と同一の幅の単位作業区画E3を作業エリアE2内に複数作成する。なお、図10Bに示すように、ルート作成部51hは、第1作業幅w1からオーバラップ幅W2を除した幅W3の単位作業区画E3を作業エリアE2内に複数作成してもよい。オーバラップ幅W2は、表示部52が表示する所定の画面で入力することが可能である。即ち、ルート作成部51hは、作業装置2を連結した機体3を走行させた場合に、当該作業装置2によって圃場に対して作業が行われる最小単位の領域を、単位作業区画E3として設定する。また、図10Cに示すように、ルート作成部51hは、第1作業幅w1にアンダーラップ幅W4を足した幅W5の単位作業区画E3を作業エリアE2内に複数作成してもよい。アンダーラップ幅W4は、表示部52が表示する所定の画面で入力することが可能である。
【0067】
図11に示すように、ルート作成部51hは、圃場マップMPの単位作業区画E3毎に、機体3が直進する直進部L1の作成を行う。即ち、ルート作成部51hは、例えば、単位作業区画E3の幅方向中央部に、当該単位作業区画E3の長手方向の両端部、旋回エリアE1と作業エリアE2と境界X1とに亘る直線状の直進部L1を作成する。また、ルート作成部51hは、隣接する直進部L1の端部を結ぶ旋回部L2を作成する。即ち、ルート作成部51hは、少なくとも旋回エリアE1に旋回部L2を作成する。
【0068】
また、範囲取得部51gが第2作業幅w2(作業装置2が散布装置である場合は第2散布幅w4)を取得すると、作業設定部51iが作業装置2における作業開始及び作業終了の設定を行う。図12Bに示すように、作業設定部51iは、作業エリアE2と旋回エリアE1との境界X1と、第2散布幅w4とに基づいて、作業開始位置STn及び作業終了位置ETnを設定する。また、作業設定部51iは、走行予定ルートL上に作業開始位置STn及び作業終了位置ETnに設定する。
【0069】
具体的には、作業装置2が散布装置である場合、作業設定部51iは、少なくとも第2散布幅w4に応じて隣接する作業開始位置STnと作業終了位置ETnとを、機体3(作業装置2)の前後方向に異なる位置に設定する。本実施形態において、作業設定部51iは、情報取得部51aが取得した基準距離Y1と、範囲取得部51gが取得した第2作業幅w2(第2散布幅w4)とに基づいて、作業開始位置STnと作業終了位置ETnとを異なる位置に設定する。
【0070】
詳しくは、図12Aに示すように、走行予定ルートLにおいて、直進部L1n(n=1,2・・・・n、n=1が作業開始点側、nが作業終了点側)とした場合、作業設定部51iは、nが偶数である直進部L1n(n=2,4,6・・・)の一方側の端部(作業終了点側の端部)を作業開始位置STn(n=2,4,6・・・)に設定する。また、作業設定部51iは、nが奇数である直進部L1n(n=1,3,5・・・)の他方側(作業開始点側の端部)の端部を作業開始位置STn(n=1,3,5・・・)に設定する。
【0071】
図12Aに示すように、作業設定部51iは、nが奇数である直進部L1n(n=1,3,5・・・)の一方側の端部(作業終了点側の端部)を作業終了位置ETn(n=1,3,5・・・)に設定する。また、作業設定部51iは、nが偶数である直進部L1n(n=2,4,6・・・)の他方側(作業開始点側の端部)の端部を作業終了位置ETn(n=2,4,6・・・)に設定する。
【0072】
図12Bに示すように、作業設定部51iは、図12Aに示す作業開始点側における作業終了位置ETn(n=2,4,6・・・)を、少なくとも基準距離Y1と第2作業幅w2との合計(Y1+w2)以上、旋回エリアE1にシフトする。ルート作成部51hは、シフトした作業終了位置ETn(n=2,4,6・・・)に対応する直進部L1n(n=2,4,6・・・)を、シフトした作業終了位置ETn(n=2,4,6・・・)まで延長する。
【0073】
さらに、図12Bに示すように、作業設定部51iは、図12Aに示す作業終了点側における作業終了位置ETn(n=1,3,5・・・)を、少なくとも基準距離Y1と第2作業幅w2との合計(Y1+w2)以上、旋回エリアE1にシフトする。ルート作成部51hは、シフトした作業終了位置ETn(n=1,3,5・・・)に対応する直進部L1n(n=1,3,5・・・)を、シフトした作業終了位置ETn(n=3,5・・・)まで延長する。
【0074】
なお、上述した実施形態では、作業設定部51iは、情報取得部51aが取得した基準距離Y1と、範囲取得部51gが取得した第2作業幅w2とに基づいて、作業開始位置STnと作業終了位置ETnとを異なる位置に設定するが、作業設定部51iは、少なくとも範囲取得部51gが取得した第2散布幅w4に基づいて、作業開始位置STnと作業終了位置ETnとを異なる位置に設定すればよく、その方法は上記方法に限定されない。
【0075】
また、旋回エリアE1と作業エリアE2とはそのままで、走行予定ルートL(直進部L1n)上に作業開始位置STnと作業終了位置ETnとを設定していたが、作業設定部51iは、図12Cに示すように、作業エリアE2を単位作業区画E3の幅で、少なくとも第2作業幅w2以上旋回エリアE1にシフトして、作業エリアE2と旋回エリアE1との境界X1上を、作業開始位置STnと作業終了位置ETnとに設定してもよい。
【0076】
次に、自動走行について詳しく説明する。図1に示すように、作業機1は、制御装置60を備えている。制御装置60は、作業機1における走行系の制御、作業系の制御等を行う装置である。制御装置60には、運転切換スイッチ65が接続されている。運転切換スイッチ65は、ON/OFFに切り換え可能なスイッチであって、ONである場合に制御装置60を自動走行モードに設定することができ、OFFである場合に制御装置60を手動運転モードに設定することができる。
【0077】
制御装置60は、自動走行制御部63を備えている。自動走行制御部63は、制御装置60に設けられた電気・電子回路、CPU等に格納されたプログラム等から構成されている。
【0078】
自動走行制御部63は、機体3の自動走行を制御する。自動走行制御部63は、自動走行モードになっている場合に自動走行を開始する。図13に示すように、作業機1が自動走行を行っている状況下において、機体位置VP1と走行予定ルートLとの偏差が閾値未満である場合、自動走行制御部63は、操舵軸(回転軸)31の回転角を維持する。機体位置VP1と走行予定ルートLとの偏差が閾値以上であって、作業機1が走行予定ルートLに対して左側に位置している場合は、自動走行制御部63は、作業機1の操舵方向が右方向となるように操舵軸31を回転する。機体位置VP1と走行予定ルートLとの偏差が閾値以上であって、作業機1が走行予定ルートLに対して右側に位置している場合は、自動走行制御部63は、作業機1の操舵方向が左方向となるように操舵軸31を回転する。
【0079】
なお、上述した実施形態では、機体位置VP1と走行予定ルートLとの偏差に基づいて操舵装置29の操舵角を変更していたが、走行予定ルートLの方位と作業機1(機体3)の進行方向(走行方向)の方位(機体方位)F1とが異なる場合、即ち、走行予定ルートLに対する機体方位F1の角度が閾値以上である場合、自動走行制御部63は、角度が零になる(機体方位F1が走行予定ルートLの方位に一致する)ように操舵角を設定してもよい。また、自動走行制御部63は、偏差(位置偏差)に基づいて求めた操舵角と、方位(方位偏差)F1に基づいて求めた操舵角とに基づいて、自動走行における最終の操舵角を設定してもよい。上述した実施形態における自動走行における操舵角の設定は一例であり、限定されない。
【0080】
なお、自動走行制御部63は、走行予定ルートLと車速とが対応付けられている場合、現在の作業機1の車速が走行予定ルートLに対応した車速に一致するように変速装置5の変速段、原動機4の回転数等を自動的に変更する。
【0081】
制御装置60は、作業設定部51iが設定した作業開始位置STnと作業終了位置ETnとに基づいて、作業装置2を制御する。具体的には、制御装置60が有する自動走行制御部63が、作業設定部51iが設定した作業開始位置STnと作業終了位置ETnと、測位装置40が測位した機体3の位置と、基準距離Y1と、に基づいて作業装置2を制御する。自動走行制御部63は、例えば作業装置2が有する駆動装置(駆動モータ)に開始信号を出力することによって駆動を開始し、停止信号を出力することによって駆動を停止する。
【0082】
自動走行制御部63は、少なくとも旋回部L2に沿って自動走行をしながら走行している状況下において、作業装置2が作業開始位置STnを通過した場合に作業装置2の駆動を開始する(作業装置2の作業を開始する)。
【0083】
一方、自動走行制御部63は、少なくとも旋回部L2に沿って自動走行をしながら走行している状況下において、作業装置2が作業終了位置ETnを通過した場合に作業装置2の駆動を停止する(作業装置2の作業を終了する)。
【0084】
なお、制御装置60は、連結装置に連結された作業装置2が作業開始位置STnを通過した場合に当該作業装置2の作業を開始し、当該作業装置2が作業終了位置ETnを通過した場合に当該作業装置2の作業を停止すればよく、その制御方法は、上記方法に限定されない。
【0085】
また、上述した実施形態において、制御装置60(自動走行制御部63)は、駆動モータに開始信号を出力することによって駆動を開始し、停止信号を出力することによって駆動を停止するが、制御装置60は、作業装置2の駆動の開始及び停止を制御できればよく、例えばPTO軸の動力を作業装置2に伝達する接続状態と作業装置2に伝達しない切断状態とに切り換え可能なPTOクラッチ155を制御して、接続状態から切断状態に切り換えることによって、駆動装置の駆動の開始及び停止を制御してもよく、作業装置2の駆動の開始及び停止を制御する方法は何でもよい。
【0086】
上述した作業機1は、機体3と、散布装置を含む作業装置2を機体3に連結可能な連結装置と、機体3を走行予定ルートLに基づいて自動走行を行う自動走行制御部63と、散布装置の前後方向の散布作業範囲w4を取得する範囲取得部51gと、範囲取得部51gが取得した散布作業範囲w4に応じて、当該散布装置における作業開始位置STnと作業終了位置ETnとを異なる位置に設定する作業設定部51iと、を備えている。上記構成によれば、散布装置の前後方向の散布作業範囲w4に応じて作業を開始する位置及び終了する位置を変更できる。これにより、施肥装置、農薬散布装置、灌水散布装置等のように他の作業装置2に比べて前後方向の作業範囲w2が比較的大きく異なる場合であっても意図した箇所で作業を行うことができ、肥料の散布にムラが生じることを抑制したり、未耕地を減少させることができる。
【0087】
また、作業機1は、散布装置と対応付けて散布作業範囲w4の入力を受け付ける入力装置を備え、範囲取得部51gは、入力装置が受け付けた散布作業範囲w4を取得する。上記構成によれば、入力装置に散布作業範囲w4を入力することで散布作業範囲w4を任意に調整することができる。これにより作業機1の利便性を向上させることができる。
【0088】
また、作業機1は、入力装置が受け付けた散布作業範囲w4を記憶する記憶部53を備え、入力装置は、散布作業範囲w4の入力を受け付ける入力画面M5を表示する表示装置50であり、記憶部53は、入力画面M5が入力を受け付けた散布作業範囲w4と、当該散布作業範囲w4に対応する散布装置と、を対応付けて記憶する。上記構成によれば、記憶部53が散布作業範囲w4と散布装置とを対応付けて記憶しているため、作業機1は散布装置に応じて散布作業範囲w4を呼び出すことができる。これにより、作業を行う都度入力装置を操作して散布作業範囲w4を入力する必要がない。
【0089】
また、作業機1は、入力装置が受け付けた散布作業範囲w4を記憶する記憶部53を備え、記憶部53は、散布装置以外の作業装置2と、予め設定された作業範囲w2と、を対応付けて記憶しており、範囲取得部51gは、連結装置に連結された作業装置2が散布装置である場合、記憶部53から入力装置が入力を受け付け且つ散布装置に対応付けられた散布作業範囲w4を取得し、連結装置に連結された作業装置2が散布装置以外である場合、記憶部53から作業範囲w2を取得し、作業設定部51iは、範囲取得部51gが取得した散布作業範囲w4又は作業範囲w2に応じて、連結装置に連結された作業装置2における作業開始位置STnと作業終了位置ETnとを異なる位置に設定する。上記構成によれば、作業装置2が散布装置以外である場合には作業設定部51iは、所定の作業範囲w2に基づいて作業開始位置STnと作業終了位置ETnを設定できる。このため、作業装置2が施肥装置、農薬散布装置、灌水散布装置等のように散布作業範囲w4(作業範囲w2)が作業種別や作業機1の種類によって著しく変動する作業装置2ではない場合には、予め設定された作業範囲w2に基づいて作業開始位置STn及び作業終了位置ETnを設定する。このため、作業装置2が施肥装置、農薬散布装置、灌水散布装置等の散布装置以外の場合、入力装置を操作する手間がないため効率を向上させることができ、作業機1の使い勝手を向上させることができる。
【0090】
また、作業機1は、作業設定部51iによって設定された作業開始位置STnと作業終了位置ETnとに基づいて、連結装置に連結された作業装置2を制御する制御装置60を備え、制御装置60は、連結装置に連結された作業装置2が作業開始位置STnを通過した場合に当該作業装置2の作業を開始し、当該作業装置2が作業終了位置ETnを通過した場合に当該作業装置2の作業を停止する。上記構成によれば、作業設定部51iが設定した作業開始位置STnで作業装置2が作業を開始し、作業設定部51iが設定した作業終了位置ETnで作業装置2が作業を終了することで、作業機1は意図した箇所で作業を行うことができる。
【0091】
また、作業機1は、走行予定ルートLを作成するルート作成部51hを備え、作業設定部51iは、連結装置に連結された作業装置2に応じて当該作業装置2における作業開始位置STnと作業終了位置ETnとを走行予定ルートL上に設定する。上記構成によれば、走行予定ルートL上に作業開始位置STn及び作業終了位置ETnが設定されることで作業機1の位置に基づいて作業の開始及び終了を行うため、作業機1の走行と作業装置2の作業とを連動させることが行いやすく、作業機1は一層効率よく作業を行うことができる。
【符号の説明】
【0092】
1 作業機
2 作業装置
3 機体
50 表示装置
51g 範囲取得部
51h ルート作成部
51i 作業設定部
53 記憶部
60 制御装置
63 自動走行制御部
ETn 作業終了位置
L 走行予定ルート
M5 第1設定画面(入力画面)
w2 第2作業幅(前後方向の作業範囲)
w4 第2散布幅(前後方向の散布作業範囲)
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14