(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】エアロゾル送達装置用のマイクロテクスチャ加工液体輸送要素
(51)【国際特許分類】
A24F 40/44 20200101AFI20241202BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20241202BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20241202BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20241202BHJP
【FI】
A24F40/44
A24F40/46
A24F40/10
A24F40/40
(21)【出願番号】P 2023043827
(22)【出願日】2023-03-20
(62)【分割の表示】P 2020508588の分割
【原出願日】2018-08-16
【審査請求日】2023-04-14
(32)【優先日】2017-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516097871
【氏名又は名称】アール・エイ・アイ・ストラテジック・ホールディングス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エフ・デイビス
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・フィリップ・アンポリーニ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・ウィリアム・ロジャース
(72)【発明者】
【氏名】アンドリーズ・ドン・セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】エリック・テイラー・ハント
(72)【発明者】
【氏名】ソーヤー・ハバード
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・アラン・ブラマー
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/007516(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0090279(US,A1)
【文献】特表2017-505122(JP,A)
【文献】特表2015-532828(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0060554(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体エアロゾル前駆体組成物を収容するリザーバと、
噴霧器であって、
リザーバと流体連通し、マイクロテクスチャ加工表面を有する非繊維性液体輸送要素と、
非繊維性液体輸送要素のマイクロテクスチャ加工表面上にパターン化された形態の電気抵抗加熱要素とを備える噴霧器と、
を備える、エアロゾル送達装置
であって、
非線維性液体輸送要素のマイクロテクスチャ加工表面が、マイクロメートルスケールでの表面形態の三次元特徴を表す、エアロゾル生成装置。
【請求項2】
非繊維性液体輸送要素のマイクロテクスチャ加工表面が、液体エアロゾル前駆体組成物の表面ウィッキングに適合されている、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項3】
表面形態の三次元特徴が、表面が複数の凹凸部分を含むように外観上不連続である、請求項
1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項4】
表面形態の三次元特徴が、構造の秩序配列としてパターン化されている、請求項
1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項5】
表面形態の三次元特徴が、ランダムに配置されている、請求項
1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項6】
非繊維性液体輸送要素のマイクロテクスチャ加工表面が、比較的不均一な複数の表面突起を表す、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項7】
非繊維性液体輸送要素のマイクロテクスチャ加工表面が、不規則な複数の表面突起を表す、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項8】
非繊維性液体輸送要素のマイクロテクスチャ加工表面が、液体エアロゾル前駆体組成物の安定した供給が加熱要素のすぐ近くに直接送達されるように、表面を横切って表面ウィッキングを提供するように適合されている、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項9】
非繊維性液体輸送要素が、セラミック材料を備える、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項10】
非繊維性液体輸送要素が、約0.5cm
2~約50cm
2の表面積を有する、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項11】
電気抵抗加熱要素が、非繊維性液体輸送要素のマイクロテクスチャ加工表面と物理的に結合されている、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項12】
電気抵抗加熱要素が、エッチングされた電気抵抗加熱要素として存在するようにエッチングによって非繊維性液体輸送要素のマイクロテクスチャ加工表面と結合されている、請求項
11に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項13】
電気抵抗加熱要素が、印刷された電気抵抗加熱要素として存在するように印刷によって非繊維性液体輸送要素のマイクロテクスチャ加工表面と結合されている、請求項
11に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項14】
電気抵抗加熱要素が、非繊維性液体輸送要素のマイクロテクスチャ加工表面に接着されている、請求項
11に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項15】
電気抵抗加熱要素が、非繊維性液体輸送要素のマイクロテクスチャ加工表面上にパターン化された膜の形態である、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項16】
マイクロテクスチャ加工表面上にパターン化された膜が、約1,000μm以下の厚さを有する、請求項
15に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項17】
マイクロテクスチャ加工表面上にパターン化された膜が、約0.1μm~約500μmの厚さを有する、請求項
15に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項18】
電気抵抗加熱要素が、金属元素、金属合金、シリコン、セラミック、炭素、炭化物、窒化物およびそれらの組合せからなる群から選択された導電性材料を含む、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項19】
電気抵抗加熱要素が、導電性インクを含む、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項20】
非繊維性液体輸送要素のマイクロテクスチャ加工表面上のパターンが、曲線をなし、第1の端部から第2の端部まで延びる、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項21】
非繊維性液体輸送要素が、1つ以上の溝またはノッチを含む、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項22】
電気抵抗加熱要素がパターンの形態で存在する非繊維性液体輸送要素のマイクロテクスチャ加工表面が、実質的に平面である、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項23】
実質的に平面のマイクロテクスチャ加工表面が、エアロゾル送達装置の長手方向軸にほぼ垂直である、請求項
22に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項24】
正の電気端子および負の電気端子をさらに備える、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項25】
リザーバおよび噴霧器が、制御本体に取り付けるように適合されたカートリッジに収容され、制御本体が、電気抵抗加熱要素に電流を供給するように構成された電源を含む、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項26】
(a)電気抵抗加熱要素に電流を供給するように構成された電源、
(b)電源からの電流を制御するように適合されたコントローラ、および
(c)エアロゾル送達装置またはその一部内の圧力低下を感知するように適合されたフローセンサ
のうちの1つ以上をさらに含む、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子タバコなどのエアロゾル送達装置に関し、さらに具体的には、噴霧器を含むエアロゾル送達装置に関する。噴霧器は、タバコから作製され得るか、タバコに由来し得るか、そうでなければタバコを組み込み得るエアロゾル前駆体組成物を加熱して、人間が摂取するための吸入可能な物質を形成するように構成されてもよい。
【背景技術】
【0002】
使用のためにタバコを燃焼することを必要とする喫煙製品の改良品または代替品として、多くの装置が長年にわたって提案されてきた。これらの装置の多くは、紙巻タバコ、葉巻またはパイプの喫煙に関連する感覚を提供するように設計されているが、タバコの燃焼に起因する相当量の不完全燃焼および熱分解生成物を送達することはないと言われている。この目的のために、電気エネルギーを利用して揮発性材料を気化または加熱するか、タバコを著しく燃焼することなく紙巻タバコ、葉巻またはパイプの喫煙感覚を提供しようとする多くの代替喫煙製品、香味発生器および薬用吸入器が提案されている。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるCollettらの米国特許第8,881,737号明細書、Griffith Jr.らの米国特許出願公開第2013/0255702号明細書、Sebastianらの米国特許出願公開第2014/0000638号明細書、Searsらの米国特許出願公開第2014/0096781号明細書、Ampoliniらの米国特許出願公開第2014/0096782号明細書およびDavisらの米国特許出願公開第2015/0059780号明細書に記載の背景技術に記載されている様々な代替喫煙品、エアロゾル送達装置および発熱源を参照されたい。また、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるCountsらの米国特許第5,388,594号明細書およびRobinsonらの米国特許第8,079,371号明細書の背景技術の項に記載されている製品および加熱構成の様々な実施形態も参照されたい。
【0003】
多くの電子タバコ製品は、繊維ウィッキング材料の周りに巻き付けられた電気抵抗ヒータ線を含む「ウィック/コイル」設計を有する噴霧器を含む。このような設計は、加熱の非効率性、液体成分の不均一なウィッキング、液体成分の不均一な加熱または気化、ヒートシンクの存在、および最適でない空気力学を含むいくつかの潜在的な欠点を有する。さらに、ウィック/コイル設計は、ウィックとコイルとの界面に熱分解および/または炭化物の堆積を引き起こす可能性がある。これらの潜在的な欠点のいくつかは、時間の経過に伴って、噴霧器が交換を必要とするまでに装置を操作することができる時間が制限される可能性がある負の感覚的影響を引き起こし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第8,881,737号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0255702号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0000638号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0096781号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0096782号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0059780号明細書
【文献】米国特許第5388594号明細書
【文献】米国特許第8079371号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
当技術分野では、例えば、加熱または気化の均一性、加熱効率、炭化/熱分解の低減など、エアロゾル送達装置の1つ以上の特性を改善することができる新しい噴霧器構成が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、エアロゾルを生成するように構成されたエアロゾル送達装置用の噴霧器に関し、このエアロゾル送達装置は、いくつかの実施形態では、電子タバコと呼ばれ得る。
一態様では、液体エアロゾル前駆体組成物を収容するリザーバと、
噴霧器であって、電気抵抗加熱要素と、マイクロテクスチャ加工表面を横切る液体エアロゾル前駆体組成物の表面ウィッキングに適合されたマイクロテクスチャ加工表面を有する(場合により板状の)非繊維性液体輸送要素と、を含む噴霧器と、
を含む、エアロゾル送達装置が提供され、液体輸送要素のマイクロテクスチャ加工表面は、リザーバと流体連通し、電気抵抗加熱要素と流体連通している。マイクロテクスチャ加工固体表面の使用により、液体輸送要素の第1の部分から、加熱要素に近接する加熱ゾーンへのエアロゾル前駆体組成物の表面ウィッキングが可能になる。
【0007】
特定の実施形態では、電気抵抗加熱要素は、非繊維性液体輸送要素のマイクロテクスチャ加工表面上にパターン化された膜(例えば、導電性インク)である。マイクロテクスチャ加工表面上にパターン化された膜は、第1の端部から第2の端部まで延びる1つ以上の直線要素または曲線要素を含むことができる。マイクロテクスチャ加工表面を横切って輸送される液体エアロゾル前駆体組成物が電気抵抗加熱要素に直接接触しないように、電気抵抗加熱要素を覆う保護層が含められてもよい。
【0008】
特定の実施形態では、マイクロテクスチャ加工表面上にパターン化された膜は、第1の端部から第2の端部まで延び、装置は、第1の端部および第2の端部のそれぞれに近接する非繊維性液体輸送要素に開口部をさらに含み、電流が端子から端子に流されることができるように、開口部を通して膜の第1の端部と係合される正の電気端子と、開口部を通して膜の第2の端部と係合される負の電気端子とをさらに含む。
【0009】
特定の実施形態では、装置はまた、リザーバと非繊維性液体輸送要素との間の流路に介在された二次液体輸送要素(例えば、繊維材料またはセラミック材料)を含み、二次液体輸送要素は、リザーバと流体連通し、非繊維性液体輸送要素の少なくとも一部と流体連通している。そのような実施形態では、非繊維性液体輸送要素のマイクロテクスチャ加工表面は、電気抵抗加熱要素を含む加熱ゾーンと、電気抵抗加熱要素から間隔を空けた関係にある第2のゾーンと、を含むことが可能であり、液体エアロゾル前駆体組成物のための流路が、二次液体輸送要素から第2のゾーンまで、および第2のゾーンからマイクロテクスチャ加工表面を横切って加熱ゾーンまで確立されるように、二次液体輸送要素は、第2のゾーンの少なくとも一部と流体連通する。例えば、非繊維性液体輸送要素が、中央領域を囲む周縁部を有する板状である場合、第2のゾーンは典型的に周縁部に近接して配置され、加熱ゾーンは中央領域の少なくとも一部を含む。あるいは、二次液体輸送要素は、第2のゾーンおよび加熱ゾーンの両方の全部または一部と流体連通することができる。
【0010】
二次液体輸送要素は、例えば、マイクロテクスチャ加工表面の少なくとも一部を覆うことができる。特定の実施形態では、二次液体輸送要素は、マイクロテクスチャ加工表面の実質的に全部を覆うことができる。加えて、装置は、非繊維性液体輸送要素を通る少なくとも1つの開口部を含むことができ、二次液体輸送要素の少なくとも一部は、少なくとも1つの開口部を通過する。
【0011】
リザーバおよび噴霧器は、例えば、制御本体に取り付けるように適合されたカートリッジに収容され得、制御本体は、電気抵抗加熱要素に電流を供給するように構成された電源を含む。加えて、エアロゾル送達装置は、(a)電気抵抗加熱要素に電流を供給するように構成された電源、(b)電源からの電流を制御するように適合されたコントローラおよび(c)コントローラと通信し、エアロゾル送達装置またはその一部内の圧力低下を感知するように適合されたフローセンサのうちの1つ以上をさらに含むことができる。
【0012】
特定の一実施形態では、本発明は、エアロゾル送達装置を提供し、
装置は、
液体エアロゾル前駆体組成物を収容するリザーバと、
噴霧器にして、マイクロテクスチャ加工表面を横切る液体エアロゾル前駆体組成物の表面ウィッキングに適合されたマイクロテクスチャ加工表面を有する非繊維性液体輸送要素と、非繊維性液体輸送要素のマイクロテクスチャ加工表面上にパターン化された膜の形態の電気抵抗加熱要素とを含む噴霧器であって、膜が第1の端部および第2の端部を有し、液体輸送要素のマイクロテクスチャ加工表面がリザーバと流体連通し、電気抵抗加熱要素と流体連通している、噴霧器と、
第1の端部および第2の端部のそれぞれに近接する非繊維性液体輸送要素に開口部と、
を含み、
電流が端子から端子に流されることができるように、開口部を通して膜の第1の端部と係合される正の電気端子と、開口部を通して膜の第2の端部と係合される負の電気端子とをさらに含む。
【0013】
上記の装置は、リザーバと非繊維性液体輸送要素との間の流路に介在された二次液体輸送要素をさらに含むことができ、二次液体輸送要素は、リザーバと流体連通し、非繊維性液体輸送要素の少なくとも一部と流体連通している。さらに、非繊維性液体輸送要素のマイクロテクスチャ加工表面は、電気抵抗加熱要素を含む加熱ゾーンと、上述の電気抵抗加熱要素から間隔を空けた関係にある第2のゾーンとを含むことができる。加えて、非繊維性液体輸送要素は、中央領域を囲む周縁部を有する板状であり得、第2のゾーンは典型的に周縁部に近接して配置され、加熱ゾーンは中央領域の少なくとも一部を含む。
【0014】
したがって、本開示は、限定するものではないが、以下の実施形態を含む。
【0015】
実施形態1:エアロゾル送達装置であって、
液体エアロゾル前駆体組成物を収容するリザーバと、
噴霧器であって、電気抵抗加熱要素と、マイクロテクスチャ加工表面を横切る液体エアロゾル前駆体組成物の表面ウィッキングに適合されたマイクロテクスチャ加工表面を有する非繊維性液体輸送要素と、を含み、液体輸送要素のマイクロテクスチャ加工表面が、リザーバと流体連通し、電気抵抗加熱要素と流体連通している、噴霧器と、
を備える、エアロゾル送達装置。
【0016】
実施形態2:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、電気抵抗加熱要素が、非繊維性液体輸送要素のマイクロテクスチャ加工表面上にパターン化された膜である、エアロゾル送達装置。
【0017】
実施形態3:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、電気抵抗加熱要素が、マイクロテクスチャ加工表面上にパターン化された導電性インクの形態である、エアロゾル送達装置。
【0018】
実施形態4:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、非繊維性液体輸送要素が板状である、エアロゾル送達装置。
【0019】
実施形態5:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、マイクロテクスチャ加工表面上にパターン化された膜が、第1の端部から第2の端部まで延び、エアロゾル送達装置が、第1の端部および第2の端部のそれぞれに近接する非繊維性液体輸送要素に開口部をさらに含み、電流が端子から端子に流されることができるように、開口部を通して膜の第1の端部と係合される正の電気端子と、開口部を通して膜の第2の端部と係合される負の電気端子とをさらに含む、エアロゾル送達装置。
【0020】
実施形態6:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、エアロゾル送達装置が、リザーバと非繊維性液体輸送要素との間の流路に介在された二次液体輸送要素をさらに含み、二次液体輸送要素が、リザーバと流体連通し、非繊維性液体輸送要素の少なくとも一部と流体連通している、エアロゾル送達装置。
【0021】
実施形態7:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、非繊維性液体輸送要素のマイクロテクスチャ加工表面が、電気抵抗加熱要素を含む加熱ゾーンと、電気抵抗加熱要素から間隔を空けた関係にある第2のゾーンとを含み、液体エアロゾル前駆体組成物のための流路が、二次液体輸送要素から第2のゾーンまで、および第2のゾーンからマイクロテクスチャ加工表面を横切って加熱ゾーンまで確立されるように、二次液体輸送要素が、第2のゾーンの少なくとも一部と流体連通する、エアロゾル送達装置。
【0022】
実施形態8:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、非繊維性液体輸送要素が、中央領域を囲む周縁部を有する板状であり、第2のゾーンが周縁部に近接して配置され、加熱ゾーンが中央領域の少なくとも一部を含む、エアロゾル送達装置。
【0023】
実施形態9:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、二次液体輸送要素が繊維材料またはセラミック材料を含む、エアロゾル送達装置。
【0024】
実施形態10:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、二次液体輸送要素がマイクロテクスチャ加工表面の少なくとも一部を覆っている、エアロゾル送達装置。
【0025】
実施形態11:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、エアロゾル送達装置が、非繊維性液体輸送要素を通る少なくとも1つの開口部をさらに含み、二次液体輸送要素の少なくとも一部が少なくとも1つの開口部を通過する、エアロゾル送達装置。
【0026】
実施形態12:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、マイクロテクスチャ加工表面上にパターン化された膜が、第1の端部から第2の端部まで延びる1つ以上の直線要素または曲線要素を含む、エアロゾル送達装置。
【0027】
実施形態13:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、エアロゾル送達装置が、マイクロテクスチャ加工表面を横切って輸送される液体エアロゾル前駆体組成物が電気抵抗加熱要素に直接接触しないように、電気抵抗加熱要素を覆う保護層をさらに含む、エアロゾル送達装置。
【0028】
実施形態14:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、リザーバおよび噴霧器が、制御本体に取り付けるように適合されたカートリッジに収容され、制御本体が、電気抵抗加熱要素に電流を供給するように構成された電源を含む、エアロゾル送達装置。
【0029】
実施形態15:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、エアロゾル送達装置が、(a)電気抵抗加熱要素に電流を供給するように構成された電源、(b)電源からの電流を制御するように適合されたコントローラおよび(c)コントローラと通信し、エアロゾル送達装置またはその一部内の圧力低下を感知するように適合されたフローセンサのうちの1つ以上をさらに含む、エアロゾル送達装置。
【0030】
実施形態16:エアロゾル送達装置であって、
液体エアロゾル前駆体組成物を収容するリザーバと、
噴霧器にして、マイクロテクスチャ加工表面を横切る液体エアロゾル前駆体組成物の表面ウィッキングに適合されたマイクロテクスチャ加工表面を有する非繊維性液体輸送要素と、非繊維性液体輸送要素のマイクロテクスチャ加工表面上にパターン化された膜の形態の電気抵抗加熱要素と、を含む噴霧器であって、膜が第1の端部および第2の端部を有し、液体輸送要素のマイクロテクスチャ加工表面がリザーバと流体連通し、電気抵抗加熱要素と流体連通している、噴霧器と、
第1の端部および第2の端部のそれぞれに近接する非繊維性液体輸送要素に開口部と、を含み、
電流が端子から端子に流されることができるように、開口部を通して膜の第1の端部と係合される正の電気端子と、開口部を通して膜の第2の端部と係合される負の電気端子とをさらに含む、エアロゾル送達装置。
【0031】
実施形態17:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、非繊維性液体輸送要素が板状であるエアロゾル送達装置。
【0032】
実施形態18:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、エアロゾル送達装置が、リザーバと非繊維性液体輸送要素との間の流路に介在された二次液体輸送要素をさらに含み、二次液体輸送要素が、リザーバと流体連通し、非繊維性液体輸送要素の少なくとも一部と流体連通しているエアロゾル送達装置。
【0033】
実施形態19:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、非繊維性液体輸送要素のマイクロテクスチャ加工表面が、電気抵抗加熱要素を含む加熱ゾーンと、電気抵抗加熱要素から間隔を空けた関係にある第2のゾーンとを含み、液体エアロゾル前駆体組成物のための流路が、二次液体輸送要素から第2のゾーンまで、および第2のゾーンからマイクロテクスチャ加工表面を横切って加熱ゾーンまで確立されるように、二次液体輸送要素が、第2のゾーンの少なくとも一部と流体連通する、エアロゾル送達装置。
【0034】
実施形態20:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、非繊維性液体輸送要素が、中央領域を囲む周縁部を有する板状であり、第2のゾーンが周縁部に近接して配置され、加熱ゾーンが中央領域の少なくとも一部を含む、エアロゾル送達装置。
【0035】
実施形態21:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、二次液体輸送要素が繊維材料またはセラミック材料を含む、エアロゾル送達装置。
【0036】
実施形態22:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、二次液体輸送要素がマイクロテクスチャ加工表面の少なくとも一部を覆っている、エアロゾル送達装置。
【0037】
実施形態23:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、エアロゾル送達装置が、非繊維性液体輸送要素を通る少なくとも1つの開口部をさらに含み、二次液体輸送要素の少なくとも一部が少なくとも1つの開口部を通過する、エアロゾル送達装置。
【0038】
実施形態24:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、マイクロテクスチャ加工表面上にパターン化された膜が、第1の端部から第2の端部まで延びる1つ以上の直線要素または曲線要素を含む、エアロゾル送達装置。
【0039】
実施形態25:任意の前述の実施形態、または前述の実施形態の任意の組合せのエアロゾル送達装置であって、エアロゾル送達装置が、マイクロテクスチャ加工表面を横切って輸送される液体エアロゾル前駆体組成物が電気抵抗加熱要素に直接接触しないように、電気抵抗加熱要素を覆う保護層をさらに含む、エアロゾル送達装置。
【0040】
本開示のこれらおよび他の特徴、態様および利点は、以下に簡単に説明する添付の図面とともに、以下の詳細な説明を読むことにより明らかになるであろう。本開示は、そのような特徴または要素が本明細書の特定の実施形態の説明または特許請求の範囲において明示的に組み合わされているか、そうでなければ列挙されているかどうかにかかわらず、本開示に記載されているか、請求項のうちいずれか1つ以上に列挙されている2つ、3つ、4つまたはそれ以上の特徴または要素の任意の組合せを含む。本開示は、本開示の前後関係が明らかに他のことを指示しない限り、その態様および実施形態のいずれかにおいて、本開示の任意の分離可能な特徴または要素が、組合せ可能であるように意図された通りに見えるように全体的に読み取られることを意図している。
【0041】
本開示は上述の一般的な用語で記載しており、添付の図面をこれから参照するが、これらの図面は必ずしも縮尺通りに描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本開示の例示的な実施形態による、カートリッジおよび制御本体を含むエアロゾル送達装置を組み立てられた構成で示す。
【
図2】本開示の例示的な実施形態による、
図1の制御本体を分解構成で示す。
【
図3】本開示の例示的な実施形態による、
図1のカートリッジを分解構成で示す。
【
図4】本開示の例示的な実施形態による噴霧器の上面図を示す。
【
図5】本開示のさらなる例示的な実施形態による噴霧器の上面図を示す。
【
図6】本開示のさらに別の例示的な実施形態による噴霧器の上面図を示す。
【
図7】本開示の例示的な実施形態による、保護層を有する噴霧器の側面図を示す。
【
図8A】本開示のさらなる例示的な実施形態によるカートリッジの斜視図を示す。
【
図8B】本開示のさらなる例示的な実施形態によるカートリッジの分解構成を示す。
【
図9】本開示のさらに別の例示的な実施形態によるカートリッジの斜視図を示す。
【
図11】
図9のカートリッジの噴霧器部分のさらなる断面図を示し、マイクロテクスチャ加工表面を有する液体輸送要素を拡大サイズで示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本開示は、以下、その例示的な実施形態を参照して、さらに詳細に記載される。これらの例示的な実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるように記載される。実際、本開示は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が、適用される法的要件を満たすように提供される。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」、「the」は、前後関係により他に明確に指示されない限り、複数の変形例を含む。
【0044】
本発明は、液体エアロゾル前駆体組成物を収容するリザーバと、噴霧器とを含むエアロゾル送達装置を提供する。噴霧器は、電気抵抗加熱要素と、マイクロテクスチャ加工表面を横切る液体エアロゾル前駆体組成物の表面ウィッキングに適合されたマイクロテクスチャ加工表面を有する非繊維性液体輸送要素とを含む。マイクロテクスチャ加工表面は、リザーバと流体連通し、電気抵抗加熱要素と流体連通しており、これは、マイクロテクスチャ加工表面が、リザーバと加熱要素との間に液体エアロゾル前駆体組成物のための流路の少なくとも一部を提供することを意味する。上述のように、液体輸送要素は、好ましくは非繊維性であり、これは、液体輸送要素が、複数の束ねられた繊維によって形成される表面ではなく、マイクロテクスチャ加工表面を有する固体材料から形成されることを意味する。
【0045】
本明細書で述べるように、「マイクロテクスチャ加工」とは、表面が複数の凹凸部分を含むように、外観上不連続である、マイクロメートルスケールでの表面形態の(topographical)三次元特徴(例えば、約250ミクロン未満の平均高さを有する複数の三次元表面特徴)を有する表面を指す。そのような表面は、粗面化または微細パターン化と呼ばれることもあるが、マイクロテクスチャ加工表面の表面特徴は、パターンに従う構造の秩序配列、または比較的ランダムな配置のいずれかであり得る。特定の実施形態では、マイクロテクスチャ加工表面は、二乗平均平方根(RMS)分析を使用して定量化することができ、例示的な範囲は、約3~約16ミクロン(例えば、約4ミクロン、約5ミクロン、約6ミクロン、約7ミクロン、約8ミクロン、約9ミクロン、約10ミクロン、約11ミクロン、約12ミクロン、約13ミクロン、約14ミクロンおよび約15ミクロンを含む約4~約15ミクロン)のSq値を含む。特定の実施形態は、約3ミクロン~約6ミクロン、約6ミクロン~約10ミクロンまたは約12ミクロン~約15ミクロンのSq範囲を有する。RMSデータは、Zeiss LSM 800機器(共焦点顕微鏡)を使用し、ISO 25178プロトコルに従って生成することができる。
【0046】
マイクロテクスチャ加工表面は、様々な形状(例えば、柱、チャネル、小板、円錐、ディボットなど)を表し得る。加えて、マイクロテクスチャ加工表面は、実質的に一定であってよく(例えば、実質的に変化しない寸法の単一の繰り返し特徴を表す)、および/または実質的に反復するパターンを表してもよい(例えば、規則的な繰り返しパターンを画定する、大きさ、形状および間隔のうち1つ以上が異なる複数の特徴)。しかし、本発明から逸脱することなく、マイクロテクスチャ加工表面は、比較的不均一または不規則な複数の表面突起も表し得る。マイクロテクスチャ加工表面は、マイクロテクスチャを形成する形状要素の大きさおよび/または間隔に少なくとも部分的に関連して画定されてもよい。例えば、形状要素は、約1μm~約250μm、約1.5μm~約200μm、約2μm~約100μm、約2.5μm~約50μmまたは約3μm~約25μmの平均高さを有することができる。形状要素は、約0.1μm~約20μm、約0.25μm~約15μm、約0.5μm~約10μmまたは約1μm~約5μmの平均間隔を有することができる。
【0047】
マイクロテクスチャ加工表面は、液体エアロゾル前駆体組成物の安定した供給が加熱要素のすぐ近くに直接送達されるように、表面を横切って「ヘミウィッキング」と呼ばれることもある表面ウィッキングを提供するように適合される。特定の実施形態では、このウィッキング現象は、従来のウィック/コイル噴霧器構成と比較して、加熱または気化の均一性の改善および加熱効率の改善に寄与し得る。
【0048】
方法の様々な実施形態を使用して、本開示のマイクロテクスチャ加工表面を形成してもよい。例示的な一方法では、液体輸送要素は、マイクロテクスチャを含む表面を画定するように構成された型内で形成される。型をエッチング(例えば、化学的、電気化学的またはレーザエッチング)して、マイクロテクスチャ加工表面を画定し、その後、それを液体輸送要素に転写してもよい。しかし、表面を形成する方法の様々な他の実施形態が使用されてもよい。例えば、マイクロテクスチャ加工表面は、単分子層の自己組織化、フォトリソグラフィ、機械加工、ラッピング(例えば、ダイヤモンドラッピング)、プラズマ溶射、エレクトロスピニング、照射、テンプレート法、化学堆積、ウェットエッチング、ドライエッチングおよびブラスティング(例えば、砂、炭酸水素ナトリウムまたはドライアイスを使用し、場合により続いてブラスト表面を陽極酸化する)などの1つ以上の方法によって作製されてもよい。微細パターンを含む表面を作製するためのそのような方法の様々な例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるLeeらによるArtificial Lotus Leaf Structures Made by Blasting with Sodium Bicarbonateに記載されている。
【0049】
電気抵抗加熱要素は、抵抗加熱を提供するのに適した、本明細書に別途記載されるような金属または同様の材料を含むことができる。加熱要素は、別個の基材上に配置されてもよいか、そうでなければ(依然としてマイクロテクスチャ加工表面と流体連通しながら)マイクロテクスチャ加工表面から離間されて配置されてもよいが、エッチング技術、印刷技術または接着技術を含む様々な手段などによって、マイクロテクスチャ加工表面を有する液体輸送要素と、加熱要素が物理的に結合されることが有利である。例えば、金属リボンが積層されるか、そうでなければ液体輸送要素に固定されてもよい。
【0050】
有利には、電気抵抗加熱要素は、液体輸送要素のマイクロテクスチャ加工表面上にパターン化された膜の形態である。導電性膜層の厚さは変動し得、例えば、約1,000μm以下、約500μm以下、約200μm以下、約100μm以下、約50μm以下、約10μm以下または約5μm以下であり得る。他の実施形態では、導電性膜層は、約0.1μm~約500μm、約0.5μm~約200μm、約1μm~約100μmまたは約2μm~約50μmの厚さを有することができる。
【0051】
導電性膜が使用される場合、加熱要素に使用される導電性材料は、導電性でありかつ薄膜形成に適した本質的に任意の材料を含むことができる。例えば、導電性材料は、金属元素、金属合金、シリコン(単結晶シリコンおよびポリシリコンを含む)、セラミック、炭素、炭化物、窒化物およびそれらの組合せからなる群から選択することができる。さらに具体的な実施形態では、導電性材料は、白金、金、銀、銅、アルミニウム、タングステン、亜鉛、パラジウム、ニッケル、チタン、ニクロム、炭化ケイ素、ポリシリコン、単結晶シリコン、窒化チタンなどから形成され得る。特定の実施形態では、白金などの金属元素は、良好な耐酸化性および長期安定性を示すため、特に有益であり得る。
【0052】
特定の実施形態では、導電性インクが、パターン化された膜として加熱要素の表面に印刷され得る。導電性インクから形成された加熱要素は、様々な複雑さの様々なパターンで構成され得る。例示的な導電性インクには、グラフェンインク、ならびに様々な金属を含有するインク、例えば、銀、金、パラジウム、白金、およびそれらの合金または他の組合せを含むインク(例えば、銀-パラジウムまたは銀-白金インク)が挙げられる。
【0053】
導電性インク(例えば、銀含有インク)のインプリントを実装する態様では、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷または他の適切な印刷方法などの様々な印刷プロセスを使用してインクが塗布されて、様々な厚さ、パターン、表面被覆率および組成勾配を提供してもよい。流体輸送要素上に導電性インクを印刷すると、比較的少ない材料および/または比較的少ない処理工程が必要とされる場合があるという点で製造を改善することができ、高スループット印刷技術を利用して加熱要素を迅速に作製することができる。加えて、マイクロテクスチャ加工表面上に薄膜加熱要素を印刷すると、インクの乾燥中またはインクに電流を印加する際に生じ得る膜の亀裂および他の途切れを減少させることにより、加熱要素の耐久性を高めることができることが発見された。さらに、特定の実施形態では、マイクロテクスチャ加工表面を、それに適用される薄膜加熱要素と組み合わせて使用すると、従来のウィック/コイル噴霧器配置と比較して炭化/熱分解の低減をもたらすと考えられている。
【0054】
マイクロテクスチャ加工表面を有する液体輸送要素は、使用条件下で好ましくは熱的および機械的に安定な基材材料から形成することができる。例えば、液体輸送要素は、約100℃以上、約150℃以上、約200℃以上、約300℃以上、約400℃以上または約500℃以上の温度で温度的に安定な材料から形成されてもよい。他の実施形態では、液体輸送要素は、約100℃~約750℃、約125℃~約650℃または約150℃~約500℃の温度範囲で温度的に安定であり得る。いくつかの実施形態では、液体輸送要素は、セラミック材料、特に、窒化ケイ素または二酸化ケイ素材料などのケイ素系材料から形成することができる。ただし、ガラスまたは石英などの他の材料を使用することができる。環状オレフィン共重合体(COC)などの特定の熱可塑性材料も使用することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、液体輸送要素は、比較的薄い厚さ、例えば、約1mm~約20mm、約1.5mm~約15mmまたは約2mm~約10mmを有することができる。いくつかの実施形態では、液体輸送要素は、約0.5cm2~約50cm2、約1cm2~約45cm2、約2cm2~約40cm2または約3cm2~約30cm2の表面積を有することができる。液体輸送要素は、その追加の寸法に関しても特徴付けることができる。具体的には、液体輸送要素は、独立して、最大約25mm、最大約20mm、最大約15mmまたは最大約10mmの長さおよび幅を有することができる。他の実施形態では、液体輸送要素の長さおよび幅は、独立して、約0.25mm~約25mm、約0.5mm~約15mm、約0.6mm~約10mm、約0.7mm~約7.5mmまたは約0.75mm~約5mmであり得る。
【0056】
特定の実施形態では、液体輸送要素は、板状であり得、これは、実質的に平坦であり、ともに厚さよりも大きい長さおよび幅を有する形状を意味する。そのような液体輸送要素は、実質的に正方形または長方形であり得る。ただし、他の形状(例えば、円形、楕円形、三角形または他の多面形状)も使用することができる。円筒形など、液体輸送要素の追加の形状も使用することができる。
【0057】
本開示は、エアロゾル送達装置の説明を提供する。エアロゾル送達装置は、(好ましくは、材料を著しく燃焼させることなく)材料を加熱して吸入可能な物質を形成するために、電気エネルギーを使用してもよい。そのような物品は、「手持ち式」装置と見なすのに十分に小型であることが最も好ましい。エアロゾル送達装置は、その物品または装置のいかなる構成要素も実質的に燃焼させることなく、紙巻タバコ、葉巻またはパイプを喫煙するという感覚の一部または全部(例えば、吸入および呼気の形式、味または香味の種類、感覚刺激効果、身体的感触、使用形式、目に見えるエアロゾルによってもたらされるような視覚的刺激など)を提供してもよい。エアロゾル送達装置は、タバコの燃焼または熱分解の副産物から生じるエアロゾルの意味での煙を生成し得ず、むしろ、その物品または装置は、最も好ましくは、物品または装置の特定の構成要素の揮発または気化に起因する(煙状であると説明されると見なされ得る目に見えるエアロゾルと見なされ得るエアロゾル内の蒸気を含む)蒸気を生成するが、他の実施形態では、エアロゾルは目に見えない場合がある。非常に好ましい実施形態では、エアロゾル送達装置は、タバコおよび/またはタバコ由来成分を組み込んでもよい。このように、エアロゾル送達装置は、特定の実施形態では、電子タバコ(「e-cigarette」)などの電子喫煙品として特徴付けることができる。
【0058】
システムは、一般に、いわゆる「電子タバコ」などのエアロゾル送達装置に関連する実施形態に関して本明細書に記載されているが、機構、構成要素、特徴および方法は、多くの異なる形態で具体化され、様々な物品に関連付けられてもよいことを理解されたい。例えば、本明細書で提供される説明は、従来の喫煙品(例えば、紙巻タバコ、葉巻、パイプなど)または加熱式(heat-not-burn)喫煙品の実施形態と組み合わせて使用され得る。したがって、本明細書に開示された機構、構成要素、特徴および方法の説明は、エアロゾル送達装置に関する実施形態に関して単なる例として説明され、様々な他の製品および方法で具体化および使用され得ることを理解されたい。
【0059】
本開示のエアロゾル送達装置はまた、蒸気生成物品または薬剤送達物品として特徴付けることができる。したがって、そのような物品または装置は、吸入可能な形態または状態で、1つ以上の物質(例えば、香味および/または薬学的有効成分)を提供するように構成することができる。例えば、吸入可能な物質は、実質的に蒸気の形態(すなわち、その臨界点よりも低い温度で気相にある物質)であり得る。あるいは、吸入可能な物質は、エアロゾルの形態(すなわち、気体中の微細固体粒子または液滴の浮遊物)であり得る。分かりやすくするために、本明細書で使用される用語「エアロゾル」は、目に見えるかどうか、また煙状であると見なされ得る形態であるかどうかに関わりなく、人間の吸入に適した形態または種類の蒸気、気体およびエアロゾルを含むことを意味する。
【0060】
本開示のエアロゾル送達装置は、使用時に、従来の種類の喫煙品(例えば、タバコを点火し、吸入することによって使用される紙巻タバコ、葉巻またはパイプ)を使用する際に個人によって使用される多くの物理的作用を受け得る。例えば、本開示のエアロゾル送達装置のユーザは、従来の種類の喫煙品のようにその物品を保持し、その物品によって生成されたエアロゾルを吸入するためにその物品の一端を吸い、選択された時間間隔で吸煙する等々を行うことができる。
【0061】
本発明は、ここで、様々な図を参照することにより説明される。本開示のエアロゾル送達装置は、一般に、外側シェルまたは本体内に設けられた多数の構成要素を含む。外側シェルまたは本体の全体的な設計は変更可能であり、エアロゾル送達装置の全体的な寸法および形状を画定することができる外側本体の形式または構成は変更可能である。典型的には、紙巻タバコまたは葉巻の形状に類似する細長い本体が、単一の一体型のシェルから形成されてもよいか、細長い本体が、2つ以上の分離可能な部品から形成されてもよい。例えば、エアロゾル送達装置は、形状が実質的に管状であり得、従来の紙巻タバコまたは葉巻の形状に類似し得る細長いシェルまたは本体を含むことができる。しかし、他の実施形態では、様々な他の形状および構成が使用されてもよい(例えば、角型またはフォブ形状(fob-shaped))。
【0062】
一実施形態では、エアロゾル送達装置のあらゆる構成要素が、1つの外側本体またはシェル内に収容される。あるいは、エアロゾル送達装置は、接合され分離可能な2つ以上のシェルを含むことができる。例えば、エアロゾル送達装置は、1つ以上の再使用可能な構成要素(例えば、再充電可能な電池、およびその物品の動作を制御するための様々な電子機器)を収容するシェルを含む制御本体を一端に有し、使い捨て部分(例えば、使い捨て可能な香味含有カートリッジ)を収容する取り外し可能に取り付けられたシェルを他端に有することができる。単一シェルタイプのユニット内または複数部品の分離可能シェルタイプのユニット内の構成要素のさらに具体的な形式、構成および配置は、本明細書に提供されるさらなる開示に照らして明らかになるであろう。さらに、市販の電子エアロゾル送達装置を考慮して、様々なエアロゾル送達装置の設計と構成要素の配置とを理解することができる。
【0063】
本開示のエアロゾル送達装置は、最も好ましくは、動力源(すなわち、電源)、少なくとも1つの制御構成要素(例えば、動力源からエアロゾル送達装置の他の構成要素への電流の流れを制御することなどによって、発熱のための電力を作動、制御、調整および/または停止するための手段)、ヒータまたは発熱部材(例えば、一般に「噴霧器」の一部と呼ばれる電気抵抗加熱要素または構成要素)、およびエアロゾル前駆体組成物(例えば、「スモークジュース(smoke juice)」、「e-リキッド(e-liquid)」および「e-ジュース(e-juice)」と一般に呼ばれる成分など、一般に、十分な熱を加えるとエアロゾルを生じることができる液体)、およびエアロゾル吸入のためにエアロゾル送達装置を吸引することを可能にする吸い口端領域または先端(例えば、生成されたエアロゾルが吸引によりそこから引き出され得るように、物品を通る画定された空気流路)の何らかの組合せを含む。
【0064】
本開示のエアロゾル送達装置内の構成要素の位置合わせは変更可能である。特定の実施形態では、エアロゾル前駆体組成物は、エアロゾル送達装置の端部の近くに配置され得、これにより、ユーザの口に近接して配置されてユーザへのエアロゾル送達を最大にするように構成されてもよい。ただし、他の構成は除外されない。一般に、加熱要素からの熱がエアロゾル前駆体(ならびに、同様に、ユーザへの送達のために提供され得る1つ以上の香味料、医薬品など)を揮発させ、ユーザに送達するためのエアロゾルを形成することができるように、エアロゾル前駆体組成物の十分近くに加熱要素が配置され得る。加熱要素がエアロゾル前駆体組成物を加熱すると、消費者による吸入に適した物理的形態でエアロゾルが形成、放出または生成される。前述の用語は、放出する(release)、放出する(releasing)、放出する(releases)または放出された(released)への言及が、形成するまたは生成する(form or generate)、形成するまたは生成する(forming or generating)、形成するまたは生成する(forms or generates)および形成されたまたは生成された(formed or generated)を含むように言い換え可能であることを意味することに留意すべきである。具体的には、吸入可能な物質は、蒸気もしくはエアロゾルまたはそれらの混合物の形態で放出され、このような用語も、別段の定めがない限り、本明細書では言い換え可能に使用される。
【0065】
上述したように、ヒータの電力供給、制御システムの電力供給、インジケータの電力供給などのようなエアロゾル送達装置に様々な機能を提供するのに十分な電流を提供するように、エアロゾル送達装置は、電池または他の電源(例えば、キャパシタ)を組み込んでもよい。動力源は様々な実施形態をとることができる。好ましくは、動力源は、加熱要素を急速に加熱するのに十分な電力を供給してエアロゾルを形成し、所望の持続時間にわたる使用を通してエアロゾル送達装置に電力を供給することができる。動力源は、好ましくは、エアロゾル送達装置を容易に取り扱うことができるように、エアロゾル送達装置内に都合よく適合するような大きさである。さらに、好ましい動力源は、望ましい喫煙経験を損なわないように十分軽量である。
【0066】
本開示のエアロゾル送達装置内の構成要素のさらに具体的な形式、構成および配置は、以下に提供されるさらなる開示に照らして明らかになるであろう。さらに、市販の電子エアロゾル送達装置を考慮して、様々なエアロゾル送達装置構成要素の選択を理解することができる。さらに、市販の電子エアロゾル送達装置を考慮して、エアロゾル送達装置内の構成要素の配置を理解することもできる。その構成要素、その操作方法、その中に含まれる材料および/または他のその属性が本開示の装置に含まれ得る市販の製品の例は、Philip Morris IncorporatedによるACCORD(R)、InnoVapor LLCによるALPHA(TM)、JOYE 510(TM)およびM4(TM)、White Cloud CigarettesによるCIRRUS(TM)およびFLING(TM)、Lorillard Technologies,Inc.によるBLU(TM)、Epuffer(R)International Inc.によるCOHITA(TM)、COLIBRI(TM)、ELITE CLASSIC(TM)、MAGNUM(TM)、PHANTOM(TM)およびSENSE(TM)、Electronic Cigarettes,Inc.によるDUOPRO(TM)、STORM(TM)およびVAPORKING(R)、Egar AustraliaによるEGAR(TM)、JoyetechによるeGo-C(TM)およびeGo-T(TM)、Elusion UK LtdによるELUSION(TM)、Eonsmoke LLCによるEONSMOKE(R)、FIN Branding Group,LLCによるFIN(TM)、Green Smoke Inc.USAによるSMOKE(R)、Greenarette LLCによるGREENARETTE(TM)、Smoke Stik(R)によるHALLIGAN(TM)、HENDU(TM)、JET(TM)、MAXXQ(TM)、PINK(TM)およびPITBULL(TM)、Philip Morris International,Inc.によるHEATBAR(TM)、Crown7製のHYDRO IMPERIAL(TM)およびLXE(TM)、LOGIC TechnologyによるLOGIC(TM)およびTHE CUBAN(TM)、Luciano Smokes Inc.によるLUCI(R)、Nicotek,LLCによるMETRO(R)、Sottera,Inc.によるNJOY(R)およびONEJOY(TM)、SS Choice LLCによるNO.7(TM)、PremiumEstore LLCによるPREMIUM ELECTRONIC CIGARETTE(TM)、Ruyan America,Inc.によるRAPP E-MYSTICK(TM)、Red Dragon Products,LLCによるRED DRAGON(TM)、Ruyan Group(Holdings)Ltd.によるRUYAN(R)、Smoker Friendly International,LLCによるSF(R)、The Smart Smoking Electronic Cigarette Company Ltd.によるGREEN SMART SMOKER(R)、Coastline Products LLCによるSMOKE ASSIST(R)、Smoking Everywhere,Inc.によるSMOKING EVERYWHERE(R)、VMR Products LLCによるV2CIGS(TM)、VaporNine LLCによるVAPOR NINE(TM)、Vapor 4 Life,Inc.によるVAPOR4LIFE(R)、E-CigaretteDirect,LLCによるVEPPO(TM)、R.J.Reynolds Vapor CompanyによるAVIGO、VUSE、VUSE CONNECT、VUSE FOB、VUSE HYBRID、ALTO、ALTO+、MODO、CIRO、FOX+FOGおよびSOLO+、Mistic EcigsによるMISTIC MENTHOLならびにCN Creative Ltd.によるVYPEとして市販されている。さらに他の電動式エアロゾル送達装置、特に、いわゆる電子タバコとして特徴付けられている装置は、COOLER VISIONS(TM)、DIRECT E-CIG(TM)、DRAGONFLY(TM)、EMIST(TM)、EVERSMOKE(TM)、GAMUCCI(R)、HYBRID FLAME(TM)、KNIGHT STICKS(TM)、ROYAL BLUES(TM)、SMOKETIP(R)、SOUTH BEACH SMOKE(TM)の商号の下に市販されている。
【0067】
本開示のエアロゾル送達装置に採用され得る構成要素および関連技術の追加の製造業者、設計者および/または譲受人には、中国、深センのShenzhen Jieshibo Technology、中国、深セン市のShenzhen First Union Technology、カリフォルニア州ロサンゼルスのSafe Cig、フィリピンのJanty Asia Company、中国、深センのJoyetech Changzhou Electronics、SIS Resources、デラウェア州ドーバーのB2B International Holdings、オハイオ州のEvolv LLC、イタリア、ボローニャのMontrade、中国、深センのShenzhen Bauway Technology、フロリダ州ポンパノビーチのGlobal Vapor Trademarks Inc.、フロリダ州フォートローダーデールのVapor Corp.、ドイツ、ラシャウ=マルカースバッハのNemtra GMBH、ミシガン州アレガンのPerrigo L.Co.、Needs Co.,Ltd.、ネバダ州ラスベガスのSmokefree Innotec、スウェーデン、ヘルシンボリのMcNeil AB、Chong Corp、カリフォルニア州マウンテンビューのAlexza Pharmaceuticals、ノースカロライナ州シャーロットのBLEC,LLC、フランス、ロアバッハ=レ=ビッチュのGaitrend Sarl、中国、深センのFeelLife Bioscience International、ドイツ、ゼルプのVishay Electronic BMGH、中国、深センのShenzhen Smaco Technology Ltd.、フロリダ州ボカラトンのVapor Systems International、イスラエルのExonoid Medical Devices、中国、深センのShenzhen Nowotech Electronic、中国、香港のMinilogic Device Corporation、中国、深センのShenzhen Kontle Electronics、およびオハイオ州メダイナのFuma International,LLC、ウィスコンシン州ベロイトの21st Century Smoke、および中国、香港のKimree Holdings(HK)Co.Limitedが挙げられる。
【0068】
エアロゾル送達装置100の1つの例示的な実施形態を
図1に示す。特に、
図1は、制御本体200およびカートリッジ300を含むエアロゾル送達装置100を示す。制御本体200およびカートリッジ300は、機能的な関係で恒久的にまたは取り外し可能に位置合わせされてもよい。ねじ係合、圧入係合、締まり嵌め、磁気係合などをもたらすように、様々な機構がカートリッジ300を制御本体200に接続してもよい。いくつかの実施形態では、エアロゾル送達装置100は、カートリッジ300および制御本体200が組み立てられた構成にある場合、実質的に棒状、実質的に管状または実質的に円筒形状であってよい。しかし、上述したように、他の実施形態では、角型またはフォブ形状などの様々な他の構成が使用されてもよい。さらに、エアロゾル送達装置は、本明細書では一般に従来の喫煙品の寸法および形状に似ているとして説明されているが、他の実施形態では、異なる構成、および「タンク」と呼ばれ得る大容量のリザーバが使用されてもよい。
【0069】
特定の実施形態では、カートリッジ300および制御本体200の一方または両方は、使い捨て可能であるか、再使用可能であると称され得る。例えば、制御本体200は、交換可能な電池または再充電可能な電池および/またはキャパシタを有してもよく、したがって、典型的な交流電気コンセントへの接続、自動車の充電器(すなわち、シガーソケット)への接続、およびユニバーサルシリアルバス(USB)ケーブルなどを介したコンピュータへの接続を含む任意の種類の再充電技術と組み合わされてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、カートリッジ300は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるChangらの米国特許第8,910,639号明細書に開示されているような使い捨てカートリッジを含んでもよい。
【0070】
図2は、本開示の例示的な実施形態によるエアロゾル送達装置100(
図1を参照)の制御本体200の分解図を示す。図示されるように、制御本体200は、カプラ202、外側本体204、シール部材206、接着部材208(例えば、KAPTON(R)テープ)、フローセンサ210(例えば、吸煙センサまたは圧力スイッチ)、制御構成要素212、スペーサ214、電源216(例えば、再充電可能であってよいキャパシタおよび/または電池)、インジケータ218(例えば、発光ダイオード(LED))を有する回路基板、コネクタ回路220および端部キャップ222を含んでもよい。電源の例は、Peckerarらの米国特許出願公開第2010/0028766号明細書に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0071】
フローセンサ210に関して、エアロゾル送達装置用の様々なマイクロコントローラ、センサおよびスイッチを含む代表的な電流調整構成要素および他の電流制御構成要素が、いずれも参照によりその全体が本明細書に組み込まれるGerthらの米国特許第4,735,217号明細書、いずれもBrooksらの米国特許第4,922,901号明細書、米国特許第4,947,874号明細書および米国特許第4,947,875号明細書、McCaffertyらの米国特許第5,372,148号明細書、Fleischhauerらの米国特許第6,040,560号明細書、Nguyenらの米国特許第7,040,314号明細書ならびにPanの米国特許第8,205,622号明細書に記載されている。参照によりその全体が本明細書に組み込まれるAmpoliniらの米国特許出願公開第2014/0270727号明細書に記載された制御方式も参照される。
【0072】
一実施形態では、インジケータ218は、1つ以上の発光ダイオードを含んでもよい。インジケータ218は、コネクタ回路220を介して制御構成要素212と通信することができ、例えば、カプラ202に結合されたカートリッジをユーザが吸引している間に、フローセンサ210によって検出されるのに従って点灯され得る。端部キャップ222は、インジケータ218によって、その下に設けられた照明を可視化するように構成されてもよい。したがって、インジケータ218は、喫煙品の点灯端を模倣するようにエアロゾル送達装置100の使用中に点灯されてもよい。しかし、他の実施形態では、インジケータ218は、様々な数で提供されてもよく、異なる形状をとることができ、(例えば、このようなインジケータが存在する場合に音を放つように)外側本体の開口であってもよい。
【0073】
本開示のエアロゾル送達装置には、さらに別の構成要素が利用され得る。例えば、Sprinkelらの米国特許第5,154,192号明細書は、喫煙品用のインジケータを開示しており、Sprinkel,Jr.の米国特許第5,261,424号明細書は、吸引に関連したユーザの唇の動作を検出し、次いで加熱装置の加熱を引き起こす装置のマウスエンドに関連し得る圧電センサを開示しており、McCaffertyらの米国特許第5,372,148号明細書は、マウスピースを通る圧力の降下に応答して加熱負荷アレイへのエネルギー流を制御するための吸煙センサを開示しており、Harrisらの米国特許第5,967,148号明細書は、挿入された構成要素の赤外線透過性の不均一性を検出する識別機と、構成要素がレセプタクルに挿入された際に検出ルーチンを実行するコントローラとを含む喫煙装置内のレセプタクルを開示しており、Fleischhauerらの米国特許第6,040,560号明細書は、複数の異なるフェイズを有する規定済みの実行可能な電力サイクルを記載しており、Watkinsらの米国特許第5,934,289号明細書は、フォトニックオプトロニック(photonic-optronic)構成要素を開示しており、Countsらの米国特許第5,954,979号明細書は、喫煙装置を通る吸込み抵抗を変化させるための手段を開示しており、Blakeらの米国特許第6,803,545号明細書は、喫煙装置に使用するための特定の電池構成を開示しており、Griffenらの米国特許第7,293,565号明細書は、喫煙装置とともに使用するための様々な充電システムを開示しており、Fernandoらの米国特許第8,402,976号明細書は、充電を容易にし、装置のコンピュータ制御を可能にするための喫煙装置用のコンピュータインタフェース手段を開示しており、Fernandoらの米国特許第8,689,804号明細書は、喫煙装置用の識別システムを開示しており、Flickによる国際公開第2010/003480号パンフレットは、エアロゾル生成システムを用いた吸煙を示す流体流感知システムを開示しており、前述の開示はいずれも、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書で使用され得る電子エアロゾル送達物品および開示材料または構成要素に関連する構成要素の追加の例には、Gerthらの米国特許第4,735,217号明細書、Morganらの米国特許第5,249,586号明細書、Higginsらの米国特許第5,666,977号明細書、Adamsらの米国特許第6,053,176号明細書、Whiteの米国第6,164,287号明細書、Vogesの米国特許第6,196,218号明細書、Felterらの米国特許第6,810,883号明細書、Nicholsの米国特許第6,854,461号明細書、Honの米国特許第7,832,410号明細書、Kobayashiの米国特許第7,513,253号明細書、Hamanoの米国特許第7,896,006号明細書、Shayanの米国特許第6,772,756号明細書、Honの米国特許第8,156,944号明細書および第8,375,957号明細書、Thorensらの米国特許第8,794,231号明細書、Oglesbyらの米国特許第8,851,083号明細書、Monseesらの米国特許第8,915,254号明細書および第8,925,555号明細書、およびDePianoらの米国特許第9,220,302号明細書、Honの米国特許出願公開第2006/0196518号明細書および米国特許出願公開第2009/0188490号明細書、Oglesbyらの米国特許出願公開第2010/0024834号明細書、Wangの米国特許出願公開第2010/0307518号明細書、Honの国際公開第2010/091593号パンフレット、およびFooの国際公開第2013/089551号パンフレットが挙げられ、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。様々な実施形態では、前述の文献によって開示された様々な材料が本装置に組み込まれてもよく、前述の開示はいずれも、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0074】
図3は、エアロゾル送達装置100(
図1を参照)のカートリッジ300を分解構成で示す。図示されるように、カートリッジ300は、本開示の例示的な実施形態による、基部302、制御構成要素端子304、電子制御構成要素306、フローディレクタ308、噴霧器310、リザーバ312(例えば、リザーバ基材)、外側本体314、マウスピース316、ラベル318ならびに第1および第2の加熱端子320、321を含んでもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、第1および第2の加熱端子320、321は、フローディレクタ308に埋め込まれるか、そうでなければ結合されてもよい。例えば、第1および第2の加熱端子320、321は、フローディレクタ308にインサート成形されてもよい。したがって、フローディレクタ308ならびに第1および第2の加熱端子は、本明細書ではフローディレクタ組立体322とまとめて呼ばれる。第1および第2の加熱端子320、321ならびにフローディレクタ308に関する追加の説明は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるBrinkleyらの米国特許出願公開第2015/0335071号明細書に記載されている。
【0076】
図3に示す実施形態では、噴霧器310は、本明細書に記載のマイクロテクスチャ加工表面を有する液体輸送要素324と、本明細書に記載の加熱要素326(例えば、液体輸送要素のマイクロテクスチャ加工表面に塗布される導電性インク)とを含んでもよい。液体輸送要素324は、加熱要素326と加熱端子320、321との間に電気接続を提供する2つの開口部330、332を含むことができる。液体輸送要素324は、二次液体輸送要素340が延びることができる追加の開口部334を含むことができる。このように、リザーバ312から二次液体輸送要素340に液体を輸送し、次いで液体輸送要素324のマイクロテクスチャ加工表面に輸送して、表面を横切って加熱要素326の近くの加熱ゾーンにヘミウィッキングを生じさせることができる。この実施形態には示されていないが、液体輸送要素324は、液体輸送要素を通過する空気流を増強するために、追加の開口部、溝またはノッチを含むことができる。加えて、液体輸送要素324は、その平面がカートリッジ300の長手方向軸にほぼ垂直に配置されるように示されているが、液体輸送要素の平面がカートリッジの長手方向軸にほぼ平行に配置されるような配向を含む他の配向が可能である。
【0077】
二次液体輸送要素340は、特に、液体の輸送に毛細管作用を利用するウィックであり得る。したがって、本発明に従って使用するためのウィックは、エアロゾル前駆体組成物の1つ以上の成分をエアロゾル化ゾーンに輸送するのに十分なウィッキング作用を提供する任意の材料であり得る。非限定的な例には、天然および合成繊維、例えば、綿、セルロース、ポリエステル、ポリアミド、ポリ乳酸、ガラス繊維、それらの組合せなどが挙げられる。ウィックに使用され得る他の例示的な材料には、金属、セラミックおよび炭化材料(例えば、材料の非炭素成分を除去するために焼成された炭素質材料から形成された発泡体またはモノリス)が挙げられる。ウィックは、さらに、繊維の毛細管作用を変化させる材料によって被覆することができ、ウィックを形成するのに使用される繊維は、特定の断面形状を有することができ、繊維の毛細管作用を変化させるように溝を付けることができる。例えば、温度適応ポリマーを使用することができる。このような適応ポリマーは、繊維に被覆するか、他の方法で使用することができ、これらのポリマーは周囲の条件に基づいて変更された液体輸送特性を提供するのに効果的である。温度適応ポリマーは、特に、低温では低い輸送を示すことができ、高温では増大した輸送を示すことができる。一例には、HeiQ(R)製のAdaptiveとして知られる材料が挙げられる。ウィックを形成するのに使用される繊維は、単独で、束ねて、織布(メッシュおよび編組を含む)として、または不織布として提供され得る。平均孔径および総気孔率の制御を含め、ウィックの毛細管作用を変化させるようにウィック材の気孔率を制御することもできる。また、個々のウィックは異なる長さを有することができる。用語「ウィック」はまた、毛細管を包含することも意図されており、所望の毛細管作用を提供する要素の任意の組合せを使用することができる。
【0078】
カートリッジは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるDepianoらの米国特許第9,220,302号明細書に開示されているように、基部およびマウスピースを保護し、使用前に内部に汚染物質が侵入するのを防止するために、基部に係合された基部シッピングプラグおよび/またはマウスピースに係合されたマウスピースシッピングプラグをさらに含んでもよい。
【0079】
基部302は、外側本体314の第1の端部に結合されてもよく、マウスピース316は、カートリッジ300の内部の他の構成要素を実質的にまたは完全に囲むように、外側本体の対向する第2の端部に結合されてもよい。例えば、制御構成要素端子304、電子制御構成要素306、フローディレクタ308、噴霧器310およびリザーバ312は、外側本体314内に実質的にまたは完全に保持されてもよい。ラベル318は、外側本体314および場合により基部302を少なくとも部分的に囲み、その上に製品識別子などの情報を含んでもよい。基部302は、制御本体200のカプラ202と係合するように構成されてもよい(例えば、
図2を参照)。いくつかの実施形態では、基部302は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるNovakらの米国特許出願公開第2014/0261495号明細書に開示されているように、カートリッジと制御本体との間の相対的な回転を実質的に防止する回転防止機構を含んでもよい。
【0080】
リザーバ312は、エアロゾル前駆体組成物を保持するように構成されてもよい。代表的な種類のエアロゾル前駆体成分および調合物もまた、Robinsonらの米国特許第7,726,320号明細書、Collettらの米国特許第8,881,737号明細書およびChongらの米国特許第9,254,002号明細書、およびZhengらの米国特許出願公開第2013/0008457号明細書、Lipowiczらの米国特許出願公開第2015/0020823号明細書およびKollerの米国特許出願公開第2015/0020830号明細書、ならびにBowenらの国際公開第2014/182736号パンフレットに記載され、特徴付けられており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。使用されてもよい他のエアロゾル前駆体には、R.J.Reynolds Vapor Company製のVUSE(R)製品、Lorillard Technologies製のBLU製品、Mistic Ecigs製のMISTIC MENTHOL製品およびCN Creative Ltd.製のVYPE製品に組み込まれているエアロゾル前駆体が挙げられる。Johnson Creek Enterprises LLCから入手可能な電子タバコ用のいわゆる「スモークジュース」も望ましい。発泡性材料の実施形態が、エアロゾル前駆体とともに使用されてもよく、例えば、参照により本明細書に組み込まれるHuntらの米国特許出願公開第2012/0055494号明細書に記載されている。さらに、発泡性材料の使用は、例えば、いずれも参照により本明細書に組み込まれるNiaziらの米国特許第4,639,368号明細書、Wehlingらの米国特許第5,178,878号明細書、Wehlingらの米国特許第5,223,264号明細書、Patherらの米国特許第6,974,590号明細書、Bergquistらの米国特許第7,381,667号明細書、Crawfordらの米国特許第8,424,541号明細書およびStricklandらの米国特許第8,627,828号明細書ならびにBrinkleyらの米国特許出願公開第2010/0018539号明細書およびSunらの米国特許出願公開第2010/0170522号明細書およびJohnsonらのPCT国際公開第97/06786号パンフレットに記載されている。エアロゾル前駆体組成物に含まれるタバコまたはタバコ由来成分の説明を含め、エアロゾル前駆体組成物の実施形態に関する追加の説明は、いずれも2016年7月21日に出願され、いずれもDavisらの米国特許出願番号第15/216,582号明細書および米国特許出願番号第15/216,590号明細書に記載され、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。特定の実施形態では、エアロゾル前駆体組成物は、多価アルコール(例えば、グリセリン、プロピレングリコールおよびそれらの混合物)、水、ニコチン化合物(例えば、高度に精製されたタバコ由来ニコチン)、酸または塩基、香味料およびそれらの混合物などの成分を含むことができる。
【0081】
リザーバ312は、カートリッジ300の外側本体314の内部を取り囲むチューブの形状に形成された不織繊維の複数の層を含んでもよい。したがって、例えば、リザーバ312によって液体成分を吸着して保持することができる。リザーバ312は、介在導管として二次液体輸送要素340を使用して液体輸送要素324と流体接続している。したがって、液体輸送要素324は、ヘミウィッキング液体輸送機構を介して、リザーバ312から加熱要素326に液体を輸送するように構成されてもよい。
【0082】
追加の代表的な加熱要素およびその中で使用するための材料が、Countsらの米国特許第5,060,671号明細書、Deeviらの米国特許第5,093,894号明細書、Deeviらの米国特許第5,224,498号明細書、Sprinkel Jr.らの米国特許第5,228,460号明細書、Deeviらの米国特許第5,322,075号明細書、Deeviらの米国特許第5,353,813号明細書、Deeviらの米国特許第5,468,936号明細書、Dasの米国特許第5,498,850号明細書、Dasの米国特許第5,659,656号明細書、Deeviらの米国特許第5,498,855号明細書、Hajaligolの米国特許第5,530,225号明細書、Hajaligolの米国特許第5,665,262号明細書、Dasらの米国特許第5,573,692号明細書およびFleischhauerらの米国特許第5,591,368号明細書に記載されており、これらの開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、他の実施形態では、化学的加熱が使用されてもよい。上述したように、ヒータおよびヒータを形成するために使用される材料の様々な追加の例が、参照により本明細書に組み込まれるCollettらの米国特許第8,881,737号明細書に記載されている。
【0083】
本発明のエアロゾル送達装置では、様々なヒータ構成要素が使用されてもよい。様々な実施形態では、1つ以上のマイクロヒータまたは類似の固体ヒータが使用されてもよい。本開示の装置に使用するのに適したマイクロヒータおよびマイクロヒータを組み込んだ噴霧器が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるCollettらの米国特許第8,881,737号明細書に記載されている。
【0084】
第1の加熱端子320および第2の加熱端子321(例えば、負および正の加熱端子)は、加熱要素326の対向端部に係合し、カートリッジ300が制御本体200に接続された際に、制御本体200(例えば、
図2を参照)との電気接続を形成するように構成される。さらに、制御本体200がカートリッジ300に結合された際に、電子制御構成要素306は、制御構成要素端子304を介して制御本体との電気接続を形成してもよい。したがって、制御本体200は、電子制御構成要素212(
図2を参照)を使用して、カートリッジ300が純正品であるかどうかを判定し、および/または他の機能を実行してもよい。さらに、電子制御構成要素およびそれによって実行される機能の様々な例が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるSearsらの米国特許出願公開第2014/0096781号明細書に記載されている。
【0085】
使用中、ユーザは、エアロゾル送達装置100(
図1を参照)のカートリッジ300のマウスピース316を吸引してもよい。これにより、制御本体200(例えば、
図2を参照)またはカートリッジ300の開口を通って空気を引き出してもよい。例えば、一実施形態では、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるDePianoらの米国特許第9,220,302号明細書に記載されているように、カプラ202と制御本体200(例えば、
図2を参照)の外側本体204との間に開口が画定されてもよい。しかし、他の実施形態では、空気の流れは、エアロゾル送達装置100の他の部分を通って受け入れられてもよい。上述したように、いくつかの実施形態では、カートリッジ300は、フローディレクタ308を含んでもよい。フローディレクタ308は、制御本体200から受け入れた空気の流れを噴霧器310の加熱要素326に導くように構成されてもよい。
【0086】
エアロゾル送達装置100内のセンサ(例えば、制御本体200内のフローセンサ210、
図2を参照)は、吸煙を感知してもよい。吸煙が感知されると、制御本体200は、第1の加熱端子320および第2の加熱端子321を含む回路を通して、加熱要素326に電流を導いてもよい。したがって、加熱要素326は、液体輸送要素324によってリザーバ312からエアロゾル化または加熱ゾーンに導かれたエアロゾル前駆体組成物を気化させてもよい。このように、マウスピース326は、それを吸引した消費者に向かって、カートリッジ300から空気および同伴蒸気(すなわち、吸入可能な形態のエアロゾル前駆体組成物の成分)を通過させてもよい。
【0087】
カートリッジ300に含められてもよい構成要素に関する様々な他の詳細は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるDePianoらの米国特許出願公開第2014/0261495号明細書に記載されている。カートリッジ300に含められてもよい追加の構成要素およびそれに関連する詳細は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2014年5月23日に出願されたBrinkleyらの米国特許出願公開第2015/0335071号明細書に記載されている。
【0088】
本開示によるエアロゾル送達装置の様々な構成要素は、当該技術分野に記載され市販されている構成要素から選択され得る。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるSebastianらの米国特許出願公開第2014/0000638号明細書に開示された電子喫煙品内の複数のエアロゾル化可能な材料の制御可能な送達のためのリザーバおよびヒータシステムが参照される。
【0089】
別の実施形態では、カートリッジの実質的に全体が1つ以上の炭素材料から形成されてもよく、これにより、生分解性とワイヤの欠如との点で利点を提供し得る。この点に関して、加熱要素は炭素発泡体を含んでもよく、リザーバは炭素化布帛を含んでもよく、動力源および制御構成要素との電気接続を形成するために黒鉛が使用されてもよい。炭素系カートリッジの例示的な実施形態が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるGriffithらの米国特許出願公開第2013/0255702号明細書に記載されている。
【0090】
図4は、本発明のエアロゾル送達装置に使用され得る噴霧器310の別の実施形態の上面図を示す。示されるように、噴霧器310は、その上に加熱要素326が(例えば、導電性インク膜として)パターン化されたマイクロテクスチャ加工表面を有する液体輸送要素324を含む。
【0091】
加熱要素326は、加熱要素の電気接続点として機能する第1の開口部330から第2の開口部332まで延びている。加熱要素326と、
図3に示す端子320、321などの加熱端子(図示せず)との間に電気接続を形成するための空間を、各開口部は提供する。所望であれば、加熱要素326との電気接続の一部を形成するために、導電性材料(例えば、金属ねじ)から形成された留め具(図示せず)が各開口部に挿入され、噴霧器310をエアロゾル送達装置の別の構成要素に接続するための締結機能を提供することもできる。示されるように、各開口部330、332は、開口部の周囲で、開口部の深さの少なくとも一部(および有利にはその深さ全体)を通して延在する任意の導電性コーティングまたは膜350を含むことができる。加熱要素326と同じ導電性材料から構築され得る導電性コーティングまたは膜の存在は、加熱要素との電気接続を改善することができる。加熱要素326への電気接続を提供するために開口部を設けるのではなく、マイクロテクスチャ加工表面上に配置された端子に加熱要素を接続することにより電気接続を行い、それにより開口部の必要性を回避することができることに留意されたい。
【0092】
図5は、上述の
図4と同様の噴霧器310の別の実施形態の上面図を示す。しかし、図示されるように、加熱要素326は、表面全体の加熱を増大させるために液体輸送要素324上に複数の加熱要素部分がパターン化されるように、異なるパターンで構成されている。加熱要素部分の数は変更可能であり、典型的には、加熱ゾーンの所望の大きさおよび形状に応じて、表面全体にわたり様々な形状および様々なパターンの1~10個の加熱要素部分を含む。複数の加熱要素部分が、示されるように共有の開口部から延びることができるか、各加熱要素部分が別個の開口部間に延びて、別個に制御され得る完全に別個の加熱要素を形成することができることに留意されたい。
【0093】
図6は、本発明の噴霧器310のさらに別の実施形態の上面図を示す。前述のように、噴霧器310の正確な形状は変更可能であり、
図4および
図5に示す円形形状は一例であり、
図6の長方形形状は別の例を表す。
図4と同様に、
図6の噴霧器310は、マイクロテクスチャ加工表面を有する液体輸送要素324上にパターン化された加熱要素326(例えば、導電性インク膜)を含む。加熱要素326は、加熱要素の電気接続のための手段を提供する2つの開口部330、332の間に延びることができる。
図3と同様に、
図6の噴霧器310はまた、マイクロテクスチャ加工表面と二次流体輸送要素との間の流体接続を達成するために、図示されない二次流体輸送要素(例えば、繊維ウィック)が通過することができる2つの開口部334を含む。他の実施形態では、マイクロテクスチャ加工表面を覆うなど、典型的にはリザーバと流体連通するように適合される二次流体輸送要素の端部を異なる場所に配置することにより、二次流体輸送要素用の開口部を回避することができる。
【0094】
本発明の噴霧器は、液体輸送要素の少なくとも一部のマイクロテクスチャ加工表面を覆う保護層を含むことができる。保護層を有利に使用して、エアロゾル前駆体組成物と加熱要素との間の直接接触を防ぎ、それにより噴霧器の加熱ゾーンを不動態化することができる。保護層はまた、加熱要素と装置内に存在する任意の二次流体輸送要素との間の直接接触を防ぐための障壁としても機能することができる。保護層は、典型的には、噴霧器の動作温度の下で温度的に安定であり、放熱性および/または熱伝導性であり得る材料から形成される。例えば、保護層は、約150℃以上、約200℃以上、約300℃以上、約400℃以上または約500℃以上の温度で温度的に安定であり得る。他の実施形態では、保護層は、約125℃~約750℃、約150℃~約650℃または約175℃~約500℃の温度範囲で温度的に安定であり得る。
【0095】
保護層は、エアロゾル前駆体組成物またはその成分と直接接触していてもよい。したがって、保護層は、エアロゾル前駆体材料に含まれ得る様々な化合物と実質的に化学的に非反応性であることが好ましい。実質的に化学的に非反応性とは、エアロゾル前駆体組成物が加熱要素の導電層と直接接触することを可能にするために、保護層とエアロゾル前駆体材料の成分との間のあらゆる化学反応が、保護層が破られないように十分に制限されることを意味する。あるいは、この語句は、保護層に存在する化合物(または形成された新規化合物)が放出されて消費者による吸入のために形成されたエアロゾルと結合しないように、保護層とエアロゾル前駆体材料の成分との間のあらゆる化学反応が十分に制限されることを意味し得る。
【0096】
特定の実施形態では、保護層は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素または炭化ケイ素などのケイ素系材料を含むことができる。あるいは、保護層は、アルミナなどの金属酸化物材料から形成することができる。保護層の厚さは変更可能であり、典型的な厚さには約0.1ミクロン~約1.0ミクロンが挙げられる。プラズマ化学蒸着(PECVD)を含め、当技術分野で知られている任意の被覆方法を使用して保護層を付着することができる。
【0097】
図7は、液体輸送要素324のマイクロテクスチャ加工表面に付着された保護層360を示す、噴霧器310の側面図を提供する。保護層360は、マイクロテクスチャ加工表面の全部または一部のみに付着されることができることに留意されたい。例えば、保護層360は、加熱要素とエアロゾル前駆体組成物との間の接触を防ぐために、加熱要素を囲む領域のみに付着されることができる(
図4~
図6を参照)。
【0098】
図8Aは、マウスピース316’、外側本体314’ならびに加熱端子320’および321’を含むカートリッジ300’の別の実施形態の斜視図を提供し、これらは
図3に関連して説明したものと同等に機能する。
図8Bの分解図に示すように、カートリッジ300’は、噴霧器310’からマウスピース316’にエアロゾルを導くように構成された流管362をさらに含むことができる。エアロゾル前駆体組成物(図示せず)は、外側本体314’と、流管362によって形成された管の外壁との間のリザーバ空間に収容され得る。加熱端子320’および321’は、マイクロテクスチャ加工表面を有する液体輸送要素324’と、加熱要素326’(例えば、パターン化された導電性膜)と、2つの開口部330’および332’とを含む噴霧器310’への電気接続を提供する。カートリッジ300’は、基板364をさらに含む。示されるように、
図3の実施形態とは異なり、カートリッジ300’は、液体輸送要素324’のマイクロテクスチャ加工表面の周囲を覆うディスク形状の二次流体輸送要素340’を含む。本明細書に記載のウィッキング材料のいずれかから構築することができる二次流体輸送要素340’は、エアロゾル前駆体材料を収容するリザーバと液体輸送要素324’のマイクロテクスチャ加工表面との間の流体接続を提供する。
【0099】
図9~
図11は、本開示のカートリッジのさらに別の実施形態を示す。
図9に示すように、カートリッジ370は、マウスピース372と外側リザーバ374とを含むことができる。噴霧器376は、リザーバ374に対して中央に配置されている。
図10および
図11の断面図に示すように、流管378は、噴霧器376からマウスピース372までエアロゾルが移動する経路と、装置を通って引き込まれる空気を噴霧器に導く第2の流管379とを提供する。
【0100】
図10および
図11を参照すると、噴霧器376は、その上にパターン化された導電性膜加熱要素382を有するマイクロテクスチャ加工表面を有する液体輸送要素380を含む。噴霧器376はまた、二次液体輸送要素がマイクロテクスチャ加工表面と流体連通するように2組の開口部を通過する2つの長手方向に延びる二次液体輸送要素386(例えば、本明細書に記載の繊維ウィックまたは任意の他のウィッキング材料)を含む。各長手方向に延びる二次液体輸送要素386の対向する端部390、392は、リザーバ374内に延び、それにより、リザーバからマイクロテクスチャ加工表面へのエアロゾル前駆体組成物用の流体経路を提供する。導電性材料から形成されたねじ396は、噴霧器376を所定の位置に保持し、加熱要素382と加熱端子398、399との間の電気接続の一部を形成する。
【0101】
上記の説明および関連する図面に示された教示の利益を有し、本開示が関連する当業者には、本開示の多くの変更および他の実施形態が思い浮かぶであろう。したがって、本開示は、本明細書に開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、変更および他の実施形態が添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることを理解されたい。本明細書では特定の用語を使用しているが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用され、限定のために使用されない。