(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 25/00 20060101AFI20241202BHJP
【FI】
F25D25/00 G
(21)【出願番号】P 2023138347
(22)【出願日】2023-08-28
(62)【分割の表示】P 2022161022の分割
【原出願日】2017-05-30
【審査請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】阪上 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】磯野 啓博
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-084127(JP,A)
【文献】特開2016-031207(JP,A)
【文献】特開2016-205641(JP,A)
【文献】実開昭52-150860(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 25/00
F25D 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫本体に設けられる貯蔵室と、
前記貯蔵室に配置される容器と、
前記容器の底壁に設けられる開口部と、を有し、
前記容器は、
前壁と後壁との間で前記前壁に近い位置において冷蔵庫左右方向に沿って延びることによって冷蔵庫前面側の前領域と冷蔵庫裏面側の後領域とに仕切る仕切壁を備え、
前記仕切壁は前記容器の底壁から突出しており、
前記後領域は、第一領域と、第二領域と、を含み、前記第一領域の底壁が
冷蔵庫前後方向に沿って延びている段差を境として前記第二領域の底壁よりも高くなっており、
前記第一領域が、冷蔵庫前後方向の一端側で且つ冷蔵庫左右方向の一端側の領域であり、前記第二領域が、冷蔵庫前後方向の他端側で且つ冷蔵庫左右方向の他端側の領域であり、
前記開口部は、前記第二領域に設けられている、
冷蔵庫。
【請求項2】
前記第一領域には、前記第一領域の水分を前記第二領域へ流すことが可能な傾斜部が設けられている、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記貯蔵室の室内温度帯がプラス温度帯であり、前記貯蔵室の下方に室内温度帯がマイナス温度帯である別の貯蔵室が設けられている、請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫本体の貯蔵室に容器が配置される冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の引出扉に収容ケースを配置し、収容ケースの底面部に設けた開口部に、収納トレー部を備えたキャップ部を着脱可能に取り付けた冷蔵庫が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の冷蔵庫は、容器に設ける開口部に課題がある。
【0005】
そこで本発明は、容器に開口部を良好に設けることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施の形態の冷蔵庫は、冷蔵庫本体に設けられる貯蔵室と、前記貯蔵室に配置される容器と、前記容器の底壁に設けられる開口部と、を有し、前記容器は、冷蔵庫前面側の前領域と冷蔵庫裏面側の後領域とに仕切る仕切壁を備え、前記後領域は、第一領域と、第二領域と、を含み、前記第一領域の底壁が段差を境として前記第二領域の底壁よりも高くなっており、前記第一領域が、冷蔵庫前後方向の一端側で且つ冷蔵庫左右方向の一端側の領域であり、前記第二領域が、冷蔵庫前後方向の他端側で且つ冷蔵庫左右方向の他端側の領域であり、前記開口部は、前記第二領域に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係わる冷蔵庫の正面図である。
【
図3】
図1に示す冷蔵庫の野菜室で使用する容器の平面図である。
【
図5】
図3に示す容器の蓋を取り付けた部位周辺の斜視図である。
【
図8】
図5に対し蓋を取り外した状態の容器の開口部周辺を蓋と共に示す斜視図である。
【
図11】第2の実施形態に係わる容器の開口部周辺を裏側から見た裏面図である。
【
図13】第2の実施形態に係わる蓋の裏側から見た裏面図である。
【
図15】第2の実施形態に係わる蓋を容器の開口部に取り付けた状態を示す、
図14に対応する断面図である。
【
図16】第3の実施形態に係わる容器に蓋を取り付けた部位周辺を示す斜視図である。
【
図18】第4の実施形態に係わる容器の開口部周辺を示す斜視図である。
【
図20】他の実施形態に係わる容器の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0009】
図1、
図2に示すように、本発明の第1の実施形態に係わる冷蔵庫1は、冷蔵庫本体3の内部に貯蔵室として、上段から下段に向けて冷蔵室5及び野菜室7を順次設け、野菜室7の下部には製氷室9と上冷凍室11とを左右に並べて設けてある。さらに、貯蔵室として、製氷室9及び上冷凍室11の下部には、下冷凍室13を設けてある。各貯蔵室は隔壁により仕切ってある。なお、以下の説明での「前後方向」は、
図2中で左側の冷蔵庫前面側を前、右側の冷蔵庫裏面側を後とした前後方向であり、「左右方向」は
図1中の冷蔵庫前面側から見て左右方向である。
【0010】
冷蔵室5の前面には、冷蔵室5の前面開口部を開閉する左右の開閉扉15,17を設けている。左の開閉扉15は、
図1中で左側端部の図示しないヒンジを介して左右に開閉し、右の開閉扉17は、
図1中で右側端部の図示しないヒンジを介して左右に開閉する。
【0011】
野菜室7、製氷室9、上冷凍室11及び下冷凍室13の各前面には、それぞれの前面開口部を開閉する引き出し式の引出扉19,21,23及び25を設けている。引出扉19,21,23及び25は、いずれも冷蔵庫本体3の図示しない各ガイドレールにガイドされて前後にスライド移動する。冷蔵庫本体3の下冷凍室13の後方下部には機械室27を形成し、機械室27に圧縮機29を収容している。
【0012】
野菜室7の引出扉19は、野菜等の貯蔵物を収納する容器31を保持して収容している。具体的には、引出扉19は、野菜室7側の後面の上部に、前後方向に延在する図示しない容器保持アームを、左右一対備えている。一方、
図3に示す容器31の上端の左右両側には、左右両側に向けて突出する被保持突部31aを、容器31の前後方向の略全長に設けている。引出扉19の容器保持アームの上に被保持突部31aを載せることで、容器31が引出扉19に保持される。この状態で、容器31は引出扉19(容器保持アーム)から上方に持ち上げることで取り外すことができる。
【0013】
図2に示すように、容器31の上には、容器31に比較して容積が小さい小容器33を載せている。小容器33は、左右方向両端部付近の底壁を、容器31の左右の壁43,45に載せることで、容器31に保持される。小容器33は、
図2に示す容器31に対する前後方向の基準位置(ホームポジション)で、引出扉19との間に、貯蔵物を出し入れする開口35を形成する。小容器33は、
図2に示す基準位置(ホームポジション)から、容器31に対して後方にスライド移動させることで、開口35が拡がる。
【0014】
容器31は、
図3、
図4に示すように、底壁37、前壁39、後壁41及び左右の壁43,45を備え、上部が開放している。前壁39と左右の壁43,45との間の角部には、前傾斜壁47,49を形成し、後壁41と左右の壁43,45との間の角部には、後傾斜壁51,53を形成している。容器31は、これらの壁に囲まれた内側に収納空間55が形成される。なお、
図2に示す容器31は、簡略化して示したもので、
図3、
図4に示す容器31とは形状が異なっている。
【0015】
収納空間55は、前壁39と後壁41との間で前壁39により近い位置に設けた仕切壁57によって前領域55a及び後領域55bの2つの領域に仕切ってある。仕切壁57は底壁37と一体である。仕切壁57の上に図示しない取り外し可能な図示しない仕切板を取り付けることができる。図示しない仕切板は、容器31の左右の壁43,45の内面に上下方向に沿って形成してあるガイド突起43a,45aに保持され、容器31に装着した状態から上方に引き抜くようにして上昇させることで、取り外すことができる。
【0016】
奥側の後領域55bは、底壁37の右壁45に近い位置に形成してある段差37aを境として、右壁45側の低領域55b1が左壁43側の高領域55b2に比較して上下方向の高さが低くなっている。前領域55aの上下方向の高さは、低領域55b1あるいは高領域55b2と略同等である。高領域55b2の
図3中で右上角部には傾斜部56を設けている。傾斜部56は、高領域55b2の
図3中で右上角部の上下方向高さが最も高く、左下角部に向けて高さが徐々に低くなっている。したがって、容器31内の高領域55b2で発生した水分は、
図3中で左下角部に向けて流れる傾向にある。
【0017】
低領域55b1における仕切壁57近傍の底壁37には、
図6、
図7に示すように、開口部37bを形成してあり、開口部37bに蓋59を着脱自在に取り付けている。開口部37bは、
図8に示すように、大略円形であり、互いに対向する部分の内周縁に凹状の切欠部37b1を備えている。底壁37の開口部37bを形成してある部分には、底壁37の表面に対して上下方向の高さが低くなるフランジ受部としての蓋当接部37b2を形成しており、蓋当接部37b2の内周縁に切欠部37b1を形成している。
【0018】
蓋59は、
図8に示すように円形であり、外周縁の円形のフランジ部59aが底壁37の蓋当接部37b2に当接して開口部37bを密閉する。蓋59は、フランジ部59aの内側に、下方に凹む凹部59bを形成してある。凹部59bには、円形の蓋59の直径方向で互いに対向する位置のフランジ部59a相互をつなぐように把持部59cを設けている。
【0019】
蓋59の裏面は、
図9に示すように、フランジ部59aの内側が、
図8の凹部59bに対応する凸部59dとなっている。蓋59の裏面側には、
図10に示すように、フランジ部59aに対応する位置で、かつ、把持部59cに対応する位置に、直径方向外側に突出するフック部としての一対の係止爪59eを設けている。フランジ部59aと係止爪59eとの間の隙間61の間隔tは、底壁37の蓋当接部37b2に対応する位置の板厚に対し略同等かやや狭い。
【0020】
図9に示す係止爪59eの幅hは、
図8に示す切欠部37b1の幅Hよりも小さい(h>H)。したがって、蓋59を開口部37bに取り付けるには、蓋59の係止爪59eを切欠部37b1に入り込ませた状態で、把持部59cを掴んで例えば90度程度蓋59の全体を底壁37に対して回転させる。
【0021】
これにより、蓋59のフランジ部59aと一対の係止爪59eとの間で、底壁37の蓋当接部37b2を挟持することになり、蓋59を底壁37に取り付けることができる。このとき、底壁37は、フランジ部59aと一対の係止爪59eとの間に挟まれることで、開口部37bが密閉された状態となる。すなわち、本実施形態は、蓋59を開口部37bに装着したときに、蓋59と開口部37bとの間を密閉する密閉手段を有している。
【0022】
蓋59を開口部37bから取り外す際には、係止爪59eが切欠部37b1に整合する位置となるよう回転させ、その後持ち上げるようにして取り外すことができる。係止爪59eは、把持部59cに対応する位置に設けてある。このため、切欠部37b1に対応する位置の底壁37の表面に、例えば
図8に示すように何らかの印(マーク)63を設けておくことで、係止爪59eを切欠部37b1に容易に整合させることができ、蓋59の取り外し作業が容易となる。
【0023】
野菜室7に大根やキャベツなどの野菜をそのまま収納しておくと、葉屑などのゴミが容器31に溜まる。このとき、
図2の二点鎖線で示すように、野菜室7の引出扉19を引き出して、収納している野菜を一部あるいは全部取り出した状態で、蓋59を外し、開口部37bからゴミを外部に排出する。このとき、開口部37bの下方の床にゴミ箱65を配置しておくことで、開口部37bから落下するゴミをゴミ箱65に直接廃棄することができる。本実施形態では、野菜室7が複数の貯蔵室のうち下から3段目に位置しているが、野菜室7を下から2段目以上とすることで、ゴミ箱65を配置しやすくなる。
【0024】
容器31に野菜から出る水分等の液体が溜まることがあるが、当該液体も開口部37bから容器31の外部に排出することができる。容器31に溜まっている液体は、蓋59を装着している状態では開口部37bを密閉しているので、外部への漏れを抑制できる。
【0025】
本実施形態は、冷蔵庫本体3に設けられる野菜室7と、野菜室7に配置される容器31と、容器31の底壁37に設けられる開口部37bと、開口部37bに対して着脱自在に設けられる蓋59と、を備える。蓋59を開口部37bに装着したときに、蓋59のフランジ部59aと係止爪59eとの間で底壁37を挟むことで、蓋59と開口部37bとの間を密閉する密閉手段を備える。
【0026】
このように、蓋59を底壁37の開口部37bに装着した状態では、蓋59と開口部37bとの間が密閉された状態となる。このため、容器31内に溜まったゴミや液体が外部に漏出するのをより確実に抑制できる。蓋59を底壁37から取り外すことで、容器31内に溜まったゴミや液体を、容器31を引出扉19から取り外すことなく、開口部37bから容器31の外部に排出して、容器31を容易に清掃することができる。
【0027】
本実施形態は、密閉手段が、蓋59の外周に設けられた環状のフランジ部59aと、開口部37bの周縁に設けられ、フランジ部59aが当接する蓋当接部37b2と、蓋59の周方向の一部に設けられ、フランジ部59aとの間の隙間61に蓋当接部37b2が入り込んでフランジ部59aとの間で蓋当接部37b2を挟持する係止爪59eと、を有する。蓋当接部37b2には、係止爪59eが通過可能な切欠部37b1が設けられている。
【0028】
この場合、蓋59を開口部37bに取り付ける際に、係止爪59eを切欠部37b1に入り込ませて通過させた後、蓋59を一定角度回転させる。これにより、蓋59のフランジ部59aと係止爪59eとの間で、底壁37の蓋当接部37b2を上下から挟持して、蓋59と開口部37bとの間を密閉することができる。
【0029】
本実施形態は、蓋59の表面が、容器31の底壁37の表面と同一面である。この場合、蓋59を底壁37の開口部37bに取り付けた状態で、蓋59のフランジ部59aの表面と容器31の底壁37の表面とが同一面となる。このため、蓋59が底壁37の表面から上方に突出したり、凹んだりする場合に比較して、外観品質が向上する。蓋59が底壁37の表面から上方に突出する場合には、野菜等の収納物を容器31に入れる際に、蓋59が邪魔になる場合があるが、本実施形態では蓋59が邪魔になることを抑制できる。
【0030】
本実施形態は、容器31が、冷蔵庫本体3から引き出される野菜室7の引出扉19に収容されるものである。野菜室7は葉屑などのゴミが溜まりやすいので、これらのゴミを廃棄して掃除するのに本実施形態は極めて有効である。
【0031】
本実施形態は、容器31の開口部37bが、引出扉19を冷蔵庫本体3から引き出したときに、引き出し方向で冷蔵庫本体3に対してずれた位置にある。この場合、
図2のように、引出扉19を冷蔵庫本体3から引き出したときに、蓋59が外部に露出し、露出している蓋59を開口部37bから取り外す。このとき、開口部37bの直下にゴミ箱65を配置することで、ゴミをゴミ箱65に直接廃棄することができ、容器31内の清掃が極めて容易となる。容器31に溜まった液体も同様にして廃棄することができる。
【0032】
本実施形態は、容器31が、底壁37の上下方向の高さが異なる複数の領域(後領域55bの低領域55b1及び高領域55b2)を備え、複数の領域のうち最も高さが低い低領域55b1に開口部37bが設けられている。このため、高領域55b2に溜まったゴミや液体は、高さが低い低領域55b1に移動させやすく、低領域55b1に形成してある開口部37bからのゴミや液体の廃棄が容易となる。なお、容器31が仕切壁57を備えていない場合には、前領域55aの上下方向の高さを高領域55b2と同等かより高くすることで、前領域55aに溜まったゴミや液体を、高さが低い低領域55b1に移動させやすくなる。
【0033】
次に、第2の実施形態を説明する。
【0034】
図11は、第2の実施形態による容器31の底壁37に設けてある開口部37b周辺を、底壁37の裏面37c側から見ている。開口部37b周縁の底壁37の裏面37cには、円形の開口部37bにおける互いに対向する二箇所にフランジ受部側突起としての底壁側突起37dを設けている。底壁側突起37dは、切欠部37b1に対して周方向に90度隔てた位置にある。
【0035】
二箇所の底壁側突起37dは、いずれも二つの突起部37d1,37d2を開口部37bの周方向に沿って間隔を開けて設けてある。各突起部37d1,37d2は、
図12に示すように、両側に緩やかな傾斜面S1,S2をそれぞれ備えた山形の形状となっている。突起部37d1,37d2相互間には、底壁側係合凹部37eが形成される。
【0036】
図13は、蓋59を裏面側から見ている。係止爪59eのフランジ部59aに対向する面には、
図14にも示すように、フック側突起としての蓋側突起59fを設けている。蓋側突起59fは、底壁37の底壁側係合凹部37eに入り込んで係合する。蓋側突起59fは、両側に傾斜面S1,S2と同様な緩やかな傾斜面L1,L2を備えた山形の形状となっている。
【0037】
図15は、蓋側突起59fが、突起部37d1,37d2相互間の底壁側係合凹部37eに係合した状態を示している。
図13に示す蓋59を、
図13に対して紙面上で90度回転させた状態で、
図11の紙面裏側(容器31の表側)から、係止爪59eを切欠部37b1に通過させた後、蓋59を開口部37bに対して90度回転させる。ここまでは第1の実施形態と同様である。
【0038】
第2の実施形態では、蓋59を開口部37bに対して90度回転させたときに、係止爪59eの蓋側突起59fが、突起部37d1,37d2のいずれかを乗り上げた後、突起部37d1,37d2相互間の底壁側係合凹部37eに入り込んで係合する。このとき、主に蓋59の係止爪59eが底壁37から離れる方向に弾性変形する。
【0039】
このように、第2の実施形態は、係止爪59eの蓋当接部37b2に対向する面に、蓋当接部37b2に向けて突出する蓋側突起59fを備え、蓋当接部37b2の係止爪59eに対向する面に、係止爪59eに向けて突出する底壁側突起37dを備えている。底壁側突起37dは、フランジ部59aと係止爪59eとの間で蓋当接部37b2を挟持した状態で、フランジ部59aの周方向で蓋側突起59fの両側にそれぞれ位置している。
【0040】
この場合、蓋側突起59fが突起部37d1,37d2相互間の底壁側係合凹部37eに係合することによって、蓋59と底壁37との間にロック機能が働くので、蓋59の意図しない外れを抑制できる。なお、
図12に示す底壁37側の突起部37d1,37d2の形状を、係止爪59e側に設け、
図14に示す係止爪59e側の蓋側突起59fの形状を、底壁37側に設けてもよい。
【0041】
第2の実施形態では、底壁側突起37dを開口部37bにおける互いに対向する二箇所に設けたが、係合力が充分に確保できるのであれば、そのうち一方を省略しても構わない。この場合、より小さな力でもって両突起37d,59fの係合あるいは解除が可能となることから、組付性を向上できる。なお、この作用効果は、第2の実施形態において2つある蓋側突起59fのうち一方を省略した場合にも同様に得ることができる。
【0042】
【0043】
第3の実施形態は、第1の実施形態に対し、蓋59の周縁の外側の底壁37の表面に、環状の膨出部37fを形成している。環状の膨出部37fは、膨出部37fを間にして蓋59と反対側の外側の底壁37の表面に対し、
図17中で上下方向の高さを高くしている。
図17に示すように、膨出部37fの上面は略平面となっていて、膨出部37fにおける底壁37の板厚が、膨出部37fより外側の底壁37の板厚よりも厚くなっている。
【0044】
第3の実施形態は、底壁37に関し、蓋59の周縁近傍が、当該周縁近傍を間にして蓋59と反対側に対して上下方向の高さが高く形成されている。このため、容器31の底壁37に溜まったゴミや液体が、膨出部37fに遮られて蓋59側に移動しにくくなり、蓋59を取り付けた状態でのゴミや液体の開口部37b側への移動を抑制できる。
【0045】
次に、第4の実施形態を
図18、
図19を用いて説明する。
図18は、第1の実施形態で説明した
図5に対して蓋59を取り外した状態に対応し、
図19は、
図6に対応している。
【0046】
第4の実施形態は、第1の実施形態に対し、蓋当接部37b2の開口部37b側の周縁に、表面側に突出する突起37gを、切欠部37b1を含む全周にわたり設けている。突起37gを設けることによって、突起37gの開口部37bと反対側に略環状となる溝37iが、蓋当接部37b2に形成される。
【0047】
図19に示すように、蓋59のフランジ部59aの外周縁には、全周にわたり裏面側に突出する環状突起59hを設けている。環状突起59hは、溝37iに入り込む。
【0048】
第4の実施形態は、開口部37bの周縁の蓋当接部37b2に環状の溝37iが設けられている。このため、容器31の底壁37に溜まった液体が開口部37b側に流れにくくなり、蓋59を取り付けた状態での液体の開口部37bからの漏れをより確実に抑制できる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は本発明の理解を容易にするために記載された単なる例示に過ぎず、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的範囲は、上記実施形態で開示した具体的な技術事項に限らず、そこから容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含む。例えば、容器31における底壁37の開口部37bを設ける位置は、次に説明する位置としてもよい。
【0050】
図20は、他の実施形態に係わる容器31Aの平面図で、
図3に対応している。
図20に示す容器31Aは、前壁39と後壁41との間で前壁39により近い位置に仕切壁67を設け、仕切壁67によって、収納空間55を前領域55a及び後領域55bの2つの領域に仕切っている。ここで、前領域55aは後領域55bよりも上下方向の高さが低いものとする。
【0051】
仕切壁67は、左壁43側の一方の端部67aが、左壁43に対して離間していて左壁43との間に連通部69が形成される。仕切壁67の右壁45側の他方の端部67bは、右壁45に接続している。蓋59は、仕切壁67の他方の端部67b近傍の後領域55bに設けている。
【0052】
図20に示す容器31Aは、後領域55bの略中央に底壁37の表面から上方に向けて突出する凸部としての補強用リブ71を形成している。補強用リブ71は、板状の底壁37を補強して容器31Aの剛性を高めている。
【0053】
図20に示す他の実施形態は、容器31Aが、水平方向で少なくとも2つの領域(前領域55a及び後領域55b)に仕切る仕切壁67を備え、仕切壁67は、2つの領域(前領域55a及び後領域55b)相互を連通する連通部69を一方の端部67a近傍に備えている。仕切壁67の他方の端部67b近傍の2つの領域のうちの1つの領域(後領域55b)に、蓋59を取り付ける開口部37bが設けられている。
【0054】
この場合、後領域55bに溜まった液体が、連通部69を通って前領域55aに流れることで、後領域55bに溜まったゴミを液体と分離でき、蓋59を取り外してのゴミの清掃が容易となる。
【0055】
図20に示す他の実施形態は、容器31Aの底壁37が上方に向けて突出する補強用リブ71を備え、補強用リブ71を避けた位置の底壁37に、蓋59を取り付ける開口部37bが設けられている。この場合、蓋59を、補強用リブ71を形成している部分の底壁37に設けていないので、容器31A内を清掃する際に補強用リブ71が邪魔になることを抑制できる。補強用リブ71を形成している部分の底壁37に蓋59を配置すると、補強用リブ71が邪魔になって清掃が面倒になる。
【0056】
また、図示していないが、容器の底壁の表面に溝を形成し、当該溝を除く部分の底壁に開口部37bを形成してもよい。この場合、容器内に溜まった液体が溝に入り込むことになり、液体をゴミと分離することができる。これにより、蓋59を取り外しての容器31A内のゴミの清掃が容易となる。
【0057】
野菜室7の引出扉19を閉じたときに、開口部37bの下方に対応する冷蔵庫本体3に受け皿を設けてもよい。この場合、開口部37bに蓋59を装着した状態で、容器31に溜まった液体が仮に漏れたとしても、漏れた液体を受け皿に溜めることができ、他の貯蔵室等に液体が浸入するのを抑制できる。
【0058】
前記した各実施形態は、適宜組み合わせて適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 冷蔵庫
3 冷蔵庫本体
7 野菜室(貯蔵室)
19 野菜室の引出扉
31 容器
37 容器の底壁
37b 底壁の開口部
37b1 切欠部
37b2 蓋当接部(フランジ受部、密閉手段)
37d 底壁側突起(フランジ受部側突起)
37i 環状の溝
55a 前領域
55b 後領域
55b1 後領域の低領域
55b2 後領域の高領域
59 蓋
59a 蓋のフランジ部(密閉手段)
59e 蓋の係止爪(フック部、密閉手段)
59f 蓋側突起(フック側突起)
67 仕切壁
67a 仕切壁の一方の端部
67b 仕切壁の他方の端部
69 連通部
71 補強用リブ(凸部)