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特許7596476焦点検出装置、撮像装置および焦点検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】焦点検出装置、撮像装置および焦点検出方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/34 20210101AFI20241202BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20241202BHJP
   H04N 23/67 20230101ALI20241202BHJP
【FI】
G02B7/34
G03B13/36
H04N23/67 100
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023169013
(22)【出願日】2023-09-29
(62)【分割の表示】P 2019015403の分割
【原出願日】2019-01-31
(65)【公開番号】P2023171446
(43)【公開日】2023-12-01
【審査請求日】2023-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 稔
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-093419(JP,A)
【文献】国際公開第2017/135276(WO,A1)
【文献】特開2010-014883(JP,A)
【文献】特開2016-224277(JP,A)
【文献】国際公開第2013/164937(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0131862(US,A1)
【文献】特開2018-197845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/28-7/40
G03B 13/36
H04N 23/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像画面のうち焦点検出領域で捉えられた被写体に対し位相差検出方式で焦点検出を行う焦点検出装置であって、
前記焦点検出領域として、第1の焦点検出領域と、該第1の焦点検出領域およびその周囲を含む第2の焦点検出領域とを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された前記焦点検出領域からの焦点検出信号を用いて前記焦点検出を行う焦点検出手段と、
前記撮像画面内で移動する前記被写体を前記第1の焦点検出領域で捉え続けることが可能か否かに関わる第1の情報を取得する情報取得手段とを有し、
前記選択手段は、
前記第1の情報が前記被写体を前記第1の焦点検出領域で捉え続けることが可能であることを示す場合は前記第1の焦点検出領域を選択し、
前記第1の情報が前記被写体を前記第1の焦点検出領域で捉え続けることが可能でないことを示す場合において、前記第1の焦点検出領域での前記焦点検出の結果の信頼度が所定信頼度より高いときは前記第1の焦点検出領域を選択し、前記信頼度が前記所定信頼度より低いときは前記第2の焦点検出領域を選択し、
前記焦点検出手段は、前記第1の焦点検出領域が選択された場合は、被写体像を撮像する撮像素子のうち第1の画素領域から出力された信号を用いて生成された前記焦点検出信号を取得し、前記第2の焦点検出領域が選択された場合は、前記撮像素子のうち前記第1の画素領域およびその周囲を含む第2の画素領域から出力された信号を用いて生成された前記焦点検出信号を取得することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項2】
前記第1の情報は、所定時間内での前記被写体の移動量が所定量より小さいか大きいかを示す情報であり
記移動量が前記所定量より小さい場合は前記被写体を前記第1の焦点検出領域で捉え続けることが可能であることを示し、前記移動量が前記所定量より大きい場合は前記被写体を前記第1の焦点検出領域で捉え続けることが可能でないことを示すことを特徴とする請求項1に記載の焦点検出装置。
【請求項3】
前記第1の情報は、振れセンサにより検出される、前記撮像素子を備えた撮像装置の振れ量が所定量より小さいか大きいかを示す情報であり
記振れ量が前記所定量より小さい場合は前記被写体を前記第1の焦点検出領域で捉え続けることが可能であることを示し、前記振れ量が前記所定量より大きい場合は前記被写体を前記第1の焦点検出領域で捉え続けることが可能でないことを示すことを特徴とする請求項1に記載の焦点検出装置。
【請求項4】
前記第1の情報は、撮像光学系の焦点距離が所定距離より短いか長いかを示す情報であり
記焦点距離が前記所定距離より短い場合は前記被写体を前記第1の焦点検出領域で捉え続けることが可能であることを示し、前記焦点距離が前記所定距離より長い場合は前記被写体を前記第1の焦点検出領域で捉え続けることが可能でないことを示すことを特徴とする請求項1に記載の焦点検出装置。
【請求項5】
前記信頼度は、前記第1の焦点検出領域での前記焦点検出の結果が連続して変化している場合に高くなり、前記第1の焦点検出領域での前記焦点検出の結果が不連続に変化している場合に低くなることを特徴とする請求項1に記載の焦点検出装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の焦点検出装置と、
前記焦点検出装置による前記焦点検出の結果を用いて焦点調節制御を行う制御手段とを有することを特徴とする焦点調節装置。
【請求項7】
過去複数回の前記焦点検出の結果を用いて、第1の将来時刻での合焦像面位置を算出する予測手段を有し、
前記制御手段は、前記第1の将来時刻において実際の像面位置が前記合焦像面位置に移動するように焦点調節制御を行うことを特徴とする請求項6に記載の焦点調節装置。
【請求項8】
被写体像を撮像する撮像素子と、
請求項6に記載の焦点調節装置とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
撮像画面のうち焦点検出領域で捉えられた被写体に対し位相差検出方式で焦点検出を行う焦点検出方法であって、
前記焦点検出領域として、第1の焦点検出領域と、該第1の焦点検出領域およびその周囲を含む第2の焦点検出領域とを選択するステップと、
前記焦点検出領域を選択するステップにおいて選択された前記焦点検出領域からの焦点検出信号を用いて前記焦点検出を行うステップと、
前記撮像画面内で移動する前記被写体を前記第1の焦点検出領域で捉え続けることが可能か否かに関わる第1の情報を取得するステップとを有し、
前記焦点検出領域を選択するステップにおいて、
前記第1の情報が前記被写体を前記第1の焦点検出領域で捉え続けることが可能であることを示す場合は前記第1の焦点検出領域を選択し、
前記第1の情報が前記被写体を前記第1の焦点検出領域で捉え続けることが可能でないことを示す場合において、前記第1の焦点検出領域での前記焦点検出の結果の信頼度が所定信頼度より高いときは前記第1の焦点検出領域を選択し、前記信頼度が前記所定信頼度より低いときは前記第2の焦点検出領域を選択し、
前記焦点検出を行うステップにおいて、前記第1の焦点検出領域が選択された場合は、被写体像を撮像する撮像素子のうち第1の画素領域から出力された信号を用いて生成された前記焦点検出信号を取得し、前記第2の焦点検出領域が選択された場合は、前記撮像素子のうち前記第1の画素領域およびその周囲を含む第2の画素領域から出力された信号を用いて生成された前記焦点検出信号を取得することを特徴とする焦点検出方法。
【請求項10】
撮像装置のコンピュータに、請求項9に記載の焦点検出方法に従う処理を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の撮像装置における自動焦点調節(AF)技術に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置のAFでは、撮像画面のうちピントを合わせたい領域としてユーザが任意に設定したAF領域(焦点検出領域)にて焦点検出とその結果に基づくフォーカスレンズ駆動を行うことができる。ただし、移動する被写体に対してそのAF領域を合わせ続けるようにユーザが撮像装置を動かす(パンニングする)ことは困難である。被写体からAF領域が外れると、背景に対してピントが合う状態(背景抜け)や遠近競合によるピント変動が生じてしまう。
【0003】
特許文献1には、被写体が動体ではないと判定した場合に小さい(狭い)AF領域を設定し、被写体が動体と判定した場合は大きい(広い)AF領域を設定する方法が開示されている。また、特許文献2には、動体である被写体に対して将来ピントが合う位置を予測する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平02-093419号公報
【文献】特開2001-021794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1にて開示された方法のように被写体が動体である場合にAF領域を大きくすると、遠近競合が生じたり小さな被写体や被写体の一部にピンポイントでピント合わせをすることが難しくなったりする。また、特許文献2にて開示されたように将来ピントが合う位置を予測したとしても、その予測が外れた場合にピントを合わせるべきAF領域を特定することができない。
【0006】
本発明は、移動する被写体に対して、背景抜けや遠近競合を抑制して安定した焦点検出を行えるようにした焦点検出装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としての焦点検出装置は、撮像画面のうち焦点検出領域で捉えられた被写体に対し位相差検出方式で焦点検出を行う。該焦点検出装置は、焦点検出領域として、第1の焦点検出領域と、該第1の焦点検出領域およびその周囲を含む第2の焦点検出領域とを選択する選択手段と、選択手段により選択された焦点検出領域からの焦点検出信号を用いて焦点検出を行う焦点検出手段と、撮像画面内で移動する被写体を第1の焦点検出領域で捉え続けることが可能か否かに関わる第1の情報を取得する情報取得手段とを有する。選択手段は、第1の情報が被写体を第1の焦点検出領域で捉え続けることが可能であることを示す場合は第1の焦点検出領域を選択し、第1の情報が被写体を第1の焦点検出領域で捉え続けることが可能でないことを示す場合において、第1の焦点検出領域での焦点検出の結果の信頼度が所定信頼度より高いときは第1の焦点検出領域を選択し、信頼度が所定信頼度より低いときは第2の焦点検出領域を選択する。焦点検出手段は、第1の焦点検出領域が選択された場合は、被写体像を撮像する撮像素子のうち第1の画素領域から出力された信号を用いて生成された焦点検出信号を取得し、第2の焦点検出領域が選択された場合は、撮像素子のうち第1の画素領域およびその周囲を含む第2の画素領域から出力された信号を用いて生成された焦点検出信号を取得することを特徴とする。
【0008】
なお、上記焦点検出装置を含む焦点調節装置や撮像装置も、本発明の他の一側面を構成する。
【0009】
本発明の他の一側面としての焦点検出方法は、撮像画面のうち焦点検出領域で捉えられた被写体に対し位相差検出方式で焦点検出を行う方法である。該焦点検出方法は、焦点検出領域として、第1の焦点検出領域と、該第1の焦点検出領域およびその周囲を含む第2の焦点検出領域とを選択するステップと、焦点検出領域を選択するステップにおいて選択された焦点検出領域からの焦点検出信号を用いて焦点検出を行うステップと、撮像画面内で移動する被写体を第1の焦点検出領域で捉え続けることが可能か否かに関わる第1の情報を取得するステップとを有する。焦点検出領域を選択するステップにおいて、第1の情報が被写体を第1の焦点検出領域で捉え続けることが可能であることを示す場合は第1の焦点検出領域を選択し、第1の情報が被写体を第1の焦点検出領域で捉え続けることが可能でないことを示す場合において、第1の焦点検出領域での焦点検出の結果の信頼度が所定信頼度より高いときは第1の焦点検出領域を選択し、信頼度が所定信頼度より低いときは第2の焦点検出領域を選択する。焦点検出を行うステップにおいて、第1の焦点検出領域が選択された場合は、被写体像を撮像する撮像素子のうち第1の画素領域から出力された信号を用いて生成された焦点検出信号を取得し、第2の焦点検出領域が選択された場合は、撮像素子のうち第1の画素領域およびその周囲を含む第2の画素領域から出力された信号を用いて生成された焦点検出信号を取得することを特徴とする。
【0010】
なお、上記焦点検出方法に従う処理を撮像装置のコンピュータに実行させるコンピュータプログラムも、本発明の他の一側面を構成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、移動する被写体に対して安定した焦点検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例1である焦点調節装置を備えたレンズ交換式デジタルカメラを含むカメラシステムの構成を示すブロック図。
図2】上記カメラにおいて撮像面位相差AFを行うための撮像素子の画素配列を示す図。
図3】実施例1における撮像処理を示すフローチャート。
図4】撮像処理における焦点検出処理を示すフローチャート。
図5】AF領域を示す図。
図6】焦点検出処理における対の位相差AF信号を説明する図。
図7】対の位相差AF信号のシフト量と相関量との関係を説明する図。
図8】対の位相差AF信号のシフト量と相関変化量との関係を説明する図。
図9】撮像処理におけるAF領域選択処理を示すフローチャート。
図10】撮像処理における予測処理を示すフローチャート。
図11】撮像画面内の第1および第2のAF領域を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施例である撮像装置としてのレンズ交換式デジタルカメラ(以下、カメラ本体という)20および該カメラ本体20に着脱可能に装着される交換レンズユニット(以下、単にレンズユニットという)10を含むカメラシステムの構成を示している。
【0014】
レンズユニット10は、不図示の被写体からの光を結像させて被写体像を形成する撮像光学系と、CPU等により構成されてレンズユニット10の全ての動作(処理)を制御するレンズ制御部106とを有する。撮像光学系は、被写体側から像側に順に、固定レンズ101、絞り102およびフォーカスレンズ103を含む。
【0015】
絞り102は、絞り駆動部104によってその開口径が変化するように駆動され、後述する撮像素子201に入射する光量を制御する。フォーカスレンズ103は、フォーカスレンズ駆動部105によって光軸方向に駆動されて焦点調節を行う。絞り駆動部104およびフォーカスレンズ駆動部105は、レンズ制御部106によって制御される。
【0016】
また、レンズユニット10において、レンズ操作部107は、AF(オートフォーカス)とMF(マニュアルフォーカス)の切替えや手振れ補正動作のON/OFFの設定等、ユーザがレンズユニット10の動作設定を行うための操作部材を含む。レンズ制御部106は、レンズ操作部107の操作に応じた制御を行う。
【0017】
レンズ制御部106は、カメラ本体20内に設けられたカメラ制御部212と通信することが可能である。レンズ制御部106は、カメラ制御部212から受信した制御命令や制御情報に応じて絞り駆動部104およびフォーカスレンズ駆動部105を制御したり、レンズユニット10の光学情報その他のレンズ情報をカメラ制御部212に送信したりする。
【0018】
カメラ本体20において、撮像素子201はCCDセンサやCMOSセンサにより構成され、撮像光学系を通過した光束により形成される被写体像を光電変換(撮像)する。撮像素子201は、カメラ制御部212の指令に従ってタイミングジェネレータ214が出力するタイミング信号に応じて以下に説明する位相差AF信号や撮像信号を出力する。
【0019】
本実施例において用いられる撮像素子201の構成を図2に示す。図2は、撮像素子201の全体を示すとともに、その一部を拡大して示している。撮像素子201には、ベイヤー配列でR、GおよびBの画素がそれぞれ複数配置されている。各画素には、水平方向に2分割された一対の光電変換部(サブ画素)201a,201bと、これらに対して共通の1つのマイクロレンズ201cとが設けられている。一対のサブ画素201a,201bには、マイクロレンズ201cを介して、撮像光学系の射出瞳のうち互いに異なる領域を通過した光束が入射する。これにより、瞳分割が行われる。一対のサブ画素201a,201bはそれぞれ、入射した光を光電変換することによりA信号およびB信号を出力する。そして、撮像素子201は、後述するAF領域に含まれる複数の画素からのA信号およびB信号をそれぞれ合成して一対の位相差AF信号としてのA像信号およびB像信号を出力する。A像信号およびB像信号を出力する画素を焦点検出画素という。また、撮像素子201は、A像信号とB像信号を互いに加算して撮像信号(A+B信号)を出力する。
【0020】
CDS/AGC/ADコンバータ202は、撮像素子201から出力された位相差AF信号および撮像信号に対して、リセットノイズを除去するための相関二重サンプリング、ゲイン調節およびAD変換を行う。該コンバータ202は、これらの処理を行った位相差AF信号および撮像信号それぞれ、AF信号処理部204および画像入力コントローラ203に出力する。
【0021】
AF信号処理部204は、一対の位相差AF信号(A像信号とB像信号)に対して相関演算を行い、これらA像信号とB像信号のずれ量である位相差(以下、像ずれ量という)を算出するとともに、その信頼度(以下、焦点検出信頼度という)も算出する。本実施例では、後述する2像一致度と相関変化量の急峻度を用いて焦点検出信頼度を算出する。また、AF信号処理部204は、撮像画面のうちAFにより焦点調節を行う領域であるAF領域(焦点検出領域)の位置と大きさを設定する。AF信号処理部204は、像ずれ量と焦点検出信頼度の情報をカメラ制御部212に出力する。なお、AF信号処理部204が行う処理の詳細については後述する。
【0022】
カメラ制御部212内のAF制御部(制御手段)2123は、AF信号処理部204からの像ずれ量と焦点検出信頼度の情報を用いて撮像光学系のデフォーカス量を算出する。そして、該デフォーカス量から換算したフォーカスレンズ103の駆動量の情報を含むフォーカス制御命令をレンズ制御部106に送信する。レンズ制御部106は、受信した駆動量だけフォーカスレンズ103を駆動するようにフォーカスレンズ駆動部105を制御する。これにより、撮像素子201上にピントが合った被写体像が形成されるように像面位置が移動する。撮像素子201上にピントが合った被写体像が形成される像面位置を、合焦像面位置という。AF信号処理部204とカメラ制御部212とにより焦点検出装置および焦点調節装置が構成される。
【0023】
なお、図2には各画素に水平方向に2分割されたサブ画素が設けられている場合を示したが、垂直方向に2分割されたサブ画素を設けたり、水平および垂直方向に2分割ずつ(計4分割)されたサブ画素を設けたりしてもよい。
【0024】
画像入力コントローラ203は、コンバータ202から出力された撮像信号をバス21を介してSDRAM209に画像信号として格納する。SDRAM209に格納された画像信号は、バス21を介して表示制御部205により読み出され、カメラ本体20の背面に設けられた表示部206に表示される。また、画像信号の記録を行う録画モードでは、SDRAM209に格納された画像信号は記録媒体制御部207によって半導体メモリ等の記録媒体208に記録される。
【0025】
ROM210は、カメラ制御部212が制御や処理を実行するためのコンピュータプログラムや各種データ等を格納している。フラッシュROM211は、ユーザにより設定されたカメラ20の動作に関する各種設定情報等が格納されている。
【0026】
カメラ操作部213は、カメラ本体20の電源をON/OFFするためのメインスイッチ、AF/AE処理等を開始させるための撮像準備スイッチ、撮像記録処理を開始させるための撮像開始スイッチ等の操作部材を含む。操作部材には、撮像記録処理により生成および記録された撮像画像の再生処理を行わせるための再生スイッチや各種カメラ設定を行うためのダイヤル等も含む。カメラ操作部213は、これら操作部材に対するユーザ操作に応じた操作信号をカメラ制御部212に出力する。
【0027】
カメラ制御部212内の被写体検出部2121は、画像入力コントローラ203から入力された撮像信号から特定被写体を検出し、撮像信号(画像)内での特定被写体の位置を判定する。特定被写体は、撮像画面内に存在する人物の顔やユーザがカメラ操作部213を通じて指定した位置に存在する被写体等である。また、被写体検出部2121は、画像入力コントローラ203から連続的に入力される撮像信号の複数フレームにおいて特定被写体の位置が変化したか否かに応じて、特定被写体が動体か静止体かを判定する。そして被写体検出部2121は、特定被写体が動体である場合は、該特定被写体の位置、大きさおよび移動前の位置と移動後の位置との差分である移動量の情報を取得する。これら特定被写体の位置、大きさおよび移動量に関する情報は、主にAF領域の設定のために用いられる。
【0028】
記憶部2125は、デフォーカス量から算出した合焦像面位置と該デフォーカス量を算出するためのA像およびB像信号の取得時刻(焦点検出時刻)とをメモリ回路215に記憶させる。
【0029】
カメラ制御部212は、カメラ本体20内の各部と情報をやり取りしながらこれらを制御する。またカメラ制御部212は、カメラ操作部213からの操作信号に応じて、電源のON/OFF、AF/AE処理、撮像記録処理および記録画像の再生処理を実行したり、各種カメラ設定を変更したりする。さらにカメラ制御部212は、レンズユニット10(レンズ制御部106)に対する各種制御命令やカメラ本体20の情報をレンズ制御部106に送信したり、レンズユニット10の情報をレンズ制御部106から取得したりする。カメラ制御部212は、マイクロコンピュータにより構成され、ROM210に記憶されたコンピュータプログラムを実行することでカメラシステム全体の制御を司る。
【0030】
次に、カメラ制御部212が行う処理について説明する。カメラ制御部212は、ROM210に格納されたコンピュータプログラムである撮像処理プログラムに従って以下の処理を行う。図3のフローチャートは、焦点調節制御を行うAF動作を含む撮像処理を示す。Sはステップを意味する。
【0031】
まずカメラ制御部212は、S301において、カメラ操作部213の撮像準備スイッチがONか否かに応じてAF動作を開始するか否かを判断する。AF動作を実行する場合は、カメラ制御部212は、S302に進んで焦点検出処理を行う。焦点検出処理の詳細については後述する。
【0032】
次にS303では、選択手段としてのカメラ制御部212は、撮像画面のうちAF動作においてユーザに被写体を捕捉させる領域として使用されるAF領域(以下、使用AF領域という)として、第1のAF領域(第1の焦点検出領域)または第2のAF領域(第2の焦点検出領域)を選択するAF領域選択処理を行う。具体的には、カメラ制御部212は、第1のAF領域内に被写体を捕捉する(含ませておく)ことが可能か否か、また第1のAF領域で検出された像ずれ量の信頼度である焦点検出信頼度が高いか否かによって、第1のAF領域または第2のAF領域を使用AF領域として選択する。AF領域選択処理の詳細については後述する。
【0033】
次にS304では、カメラ制御部212は、撮像前予測処理を行う。具体的には、カメラ制御部212は、撮像開始スイッチがONであれば、予測部2124に、S303で選択したAF領域に対するS302の焦点検出処理での像ずれ量の検出時から撮像記録処理までの合焦像面位置を予測させる。また、撮像開始スイッチがOFFであれば、予測部2124に、次の像ずれ量検出時までの合焦像面位置を予測させる。予測部2124による合焦像面位置の予測方法の詳細については後述する。
【0034】
次にS305では、カメラ制御部212は、像面位置をS304で予測された合焦像面位置に移動させるために必要なフォーカスレンズ103の駆動量を算出し、これをレンズ制御部106に送信する。
【0035】
次にS306では、カメラ制御部212は、撮像開始スイッチがONか否かを判定し、ONであればS307に進み、そうでなければS310に進む。
【0036】
S307では、カメラ制御部212は、撮像記録処理を行い、これにより得られた撮像画像をメモリ回路215に記憶させる。次にS308では、カメラ制御部212は、予測部2124に、次の像ずれ量検出時の合焦像面位置を予測させる。続いてS309では、カメラ制御部212は、像面位置をS308で予測された合焦像面位置に移動させるために必要なフォーカスレンズ103の駆動量を算出し、これをレンズ制御部106に送信する。そして、カメラ制御部212はS310に進む。
【0037】
S310では、カメラ制御部212は、撮像準備スイッチがOFFか否かを判定し、OFFであれば本処理を終了し、ONであればS302に戻って上記処理を繰り返す。
【0038】
図11(a)は、撮像素子201上(撮像画面1100内)に設定される第1のAF領域1101と第2のAF領域1102を示している。AF動作が行われる際に、表示部206には、ユーザが観察するライブビュー画像に重なるようにAF枠が表示される。第1のAF領域1101は、このAF枠と同等の大きさを有する。第2のAF領域1002は、第1のAF領域1001とその周囲を含み、第1のAF領域1101よりも広い領域である。
【0039】
図11(b)において、縦縞を付した3個の領域はそれぞれ、撮像素子201のうち第1のAF領域1101に対応する第1の画素領域内に配置され、一対の位相差AF信号が読み出される複数の焦点検出画素が水平方向に配列された第1の焦点検出画素列である。また、図11(c)において、斜め縞を付した10個の領域はそれぞれ、撮像素子201のうち第2のAF領域1102に対応する第2の画素領域内に配置され、一対の位相差AF信号が読み出される複数の焦点検出画素が水平方向に配列された第2の焦点検出画素列である。第2の画素領域には、上記3個の第1の焦点検出画素列も含まれている。10個の第2の焦点検出画素列のうち一部は、第1の画素領域内において3個の第1の焦点検出画素列の間に配置されている。すなわち、第2の画素領域のうち第1の画素領域に含まれる部分には、第1の焦点検出画素列とは異なる第2の焦点検出画素列が設けられている。
【0040】
また、第2の焦点検出画素列は、第1の焦点検出画素列と同じ水平方向の大きさ(長さ)を有する。各焦点検出画素列は、小さな被写体や被写体の一部を撮像する際に遠近競合が発生しにくい大きさであることが望ましい。なお、図11(a)~(c)に示す第1および第2の画素領域と各焦点検出画素列の位置や大きさは例であり、他の位置や大きさであってもよい。
【0041】
図4のフローチャートは、図3に示した撮像処理のうちS302で行われる焦点検出処理を示している。S401において、AF信号処理部204は、撮像素子201におけるAF領域に対応する画素領域内の焦点検出画素列から、一対の位相差AF信号であるA像信号とB像信号を取得する。
【0042】
図5および図6(a)~(c)を用いて、AF信号処理部204が行う像ずれ量の算出について説明する。図5は、撮像素子201上の焦点検出画素列502と該焦点検出画素列502の両側のシフト領域503とを含む相関演算領域504を示している。焦点検出画素列502は、図6(a)に示すA像信号601とB像信号602に対する相関演算によってこれらの相関量を演算する領域である。シフト領域503は、図9(b),(c)に示すように相関演算を行うためにA像信号601とB像信号602をプラス方向とマイナス方向にシフトさせるのに必要な領域である。図5および図6(a)~(c)において、p、q、sおよびtはそれぞれ水平方向の座標を表し、pからqは相関演算領域504を表す。また、sからtは焦点検出画素列502の配置領域を表す。
【0043】
AF信号処理部204は、次のS402において、A像信号601とB像信号602をプラス方向またはマイナス方向に1画素(1ビット)ずつ相対的にシフトさせながらこれらA像信号601とB像信号602の相関量を算出する。具体的には、シフト後のA像およびB像信号601、602の差の絶対値の和を算出する。そしてAF信号処理部204は、シフト量をi、最小シフト量をp-s、最大シフト量をq-t、焦点検出画素列502の開始座標および終了座標をそれぞれxおよびyとして、相関量CORを以下の式(1)によって算出する。
【0044】
【数1】
【0045】
なお、A像信号601とB像信号602の1回のシフト量は、複数画素(例えば2画素)ずつであってもよい。
【0046】
図7(a)は、シフト量ごとの相関量(COR)701の変化の例を示す。横軸はシフト量を、縦軸は相関量を示す。相関量701は極値702,703を有する。相関量701が小さいほど、A像信号601とB像信号602が似ている度合い、すなわち一致度が高いことを示す。
【0047】
次にAF信号処理部204は、S403において、S402で算出した相関量701のうち、例えばシフト量i-1とi+1のそれぞれで得られる相関量の差から相関変化量を算出する。具体的には、以下の式(2)によって相関変化量ΔCORを算出する。
【0048】
【数2】
【0049】
図7(b)は、シフト量ごとの相関変化量(ΔCOR)705の変化の例を示す。横軸はシフト量を示し、縦軸は相関変化量を示す。相関変化量705は、その値がプラスから0になり、さらにマイナスになるゼロクロスポイント706,707を有する。相関変化量が0となるときがA像信号とB像信号の一致度が最も高いときである。相関変化量が0となるときのシフト量が像ずれ量となる。
【0050】
図8(a)は、図7(b)に示したゼロクロスポイント706付近の相関変化量705を拡大して示す。AF信号処理部204は、S404において、像ずれ量PRDを整数部分βと小数部分αに分けて算出する。AF信号処理部204は、小数部分αを図中に示す三角形ABCと三角形ADEとの相似の関係から以下の式(3)によって算出する。
【0051】
【数3】
【0052】
さらにAF信号処理部204は、整数部分βを図8(a)に示すように、以下の式(4)によって算出する。
β=k-1 (4)
そしてAF信号処理部204は、αとβの和から像ずれ量PRDを算出する。
【0053】
またAF信号処理部204は、図7(b)のように複数のゼロクロスポイント706,707が存在する場合は、各ゼロクロスポイントでの相関変化量の変化の急峻性maxderが最も大きいゼロクロスポイントを第1のゼロクロスポイントとする。急峻性maxderは、その値が大きいほどAFが行いやすいことを示す。AF信号処理部204は、急峻性maxderを以下の式(5)によって算出する。
【0054】
【数4】
【0055】
そしてAF信号処理部204は、この第1のゼロクロスポイントを与えるシフト量を像ずれ量PRDとする。
【0056】
次にAF信号処理部204は、S405において、S404で算出した像ずれ量を用いてデフォーカス量を算出する。さらにAF信号処理部204は、像ずれ量、言い換えればデフォーカス量の信頼度である焦点検出信頼度も算出する。具体的には、以下のようにして焦点検出信頼度を算出する。なお、以下に説明する焦点検出信頼度の算出方法は例にすぎず、被写体のコントラストや過去複数回に算出したデフォーカス量(焦点検出結果)が連続しているか否かに応じて焦点検出信頼度を算出してもよい。すなわち、被写体のコントラストが高い場合やデフォーカス量が連続して変化している場合は焦点検出信頼度を高くし、被写体のコントラストが低い場合やデフォーカス量が不連続に変化している場合は焦点検出信頼度を低くする。
【0057】
AF信号処理部204は、前述した相関変化量の変化の急峻性maxderや、A像信号とB像信号の一致度である2像一致度fnclvlによって定義する。2像一致度は、その値が高いほど像ずれ量、つまりはデフォーカス量の精度が高いことを示す。図8(b)は、図7(a)に示した極値702付近の相関量701を拡大して示す。AF信号処理部204は、急峻性maxderの値に応じて2像一致度を以下の式(6)によって算出する。
【0058】
【数5】
【0059】
そしてAF信号処理部204は、S406において、各焦点検出画素列で得られたデフォーカス量、焦点検出信頼度、A像およびB像信号を取得した焦点検出時刻を焦点検出情報としてメモリ回路215に記憶させる。こうして焦点検出処理を終了する。
【0060】
図9のフローチャートは、図3に示した撮像処理のうちS303で行われるAF領域選択処理を示している。情報取得手段としてのカメラ制御部212(被写体検出部2121)は、S901において、画像入力コントローラ203からの撮像信号のうち所定数のフレーム、つまりは所定時間内において検出した特定被写体(動体)の移動量を取得する。この特定被写体の移動量は、撮像画面内で移動する被写体を第1の焦点検出領域で捉え続けることが可能か否かに関わる第1の情報である。
【0061】
次にS902では、判定手段としてのカメラ制御部212は、S901で取得した特定被写体の移動量を用いて、ユーザが第1のAF領域内に特定被写体を捕捉し続けることが可能(容易)であるか否かを判定する。すなわち、第1の情報が撮像画面内で移動する特定被写体を第1のAF領域で捉え続けることが可能であることを示すか否かを判定する。
【0062】
カメラ制御部212は、特定被写体の移動量が所定値より小さい場合は、特定被写体は動きが少ない被写体であり、狭い領域である第1のAF領域で捕捉し続けることが可能(容易)であると判定してS905に進み、使用AF領域として第1のAF領域を選択(設定)する。一方、特定被写体の移動量が所定値より大きい場合は、特定被写体は動きの激しい被写体であり、第1のAF領域で捕捉し続けることが可能ではない(困難である)と判定してS903に進む。
【0063】
なお、第1のAF領域での特定被写体の継続捕捉が可能か否かは、所定時間内での特定被写体の移動量だけでなく、カメラ本体20またはレンズユニット10に搭載されたジャイロセンサ(振れセンサ)の出力による振れ検出結果によっても判定できる。すなわち、被写体に対する撮像画面の振れ量を第1の情報として取得し、該振れ量の大きさによって判定できる。具体的には、検出された振れが所定量より小さいときは第1のAF領域での特定被写体の継続捕捉が可能と判定し、振れが所定量より大きいときは第1のAF領域での特定被写体の継続捕捉が可能ではないと判定してもよい。
【0064】
また、第1のAF領域での特定被写体の継続捕捉が可能か否かは、撮像光学系の焦点距離の情報を第1の情報として用いて判定してもよい。具体的には、焦点距離が所定距離より短い場合は第1のAF領域での特定被写体の継続捕捉が可能と判定し、焦点距離が所定距離より長い場合は第1のAF領域での特定被写体の継続捕捉が可能ではないと判定してもよい。
【0065】
S903では、カメラ制御部212は、S302にて第1のAF領域内の焦点検出画素列からの一対の位相差AF信号から算出されてメモリ回路215に記憶されたデフォーカス量に対する焦点検出信頼度を取得する。
【0066】
次にS904では、カメラ制御部212は、S903で取得した第1のAF領域での焦点検出信頼度が所定信頼度より高いか否かを判定する。焦点検出信頼度が所定信頼度より高い場合は、カメラ制御部212はS906に進み、使用AF領域として第1のAF領域を選択する。一方、焦点検出信頼度が所定信頼度より低い場合は、カメラ制御部212はS907に進み、使用AF領域として第2のAF領域を選択する。こうしてAF領域選択処理を終了する。
【0067】
図10のフローチャートは、図3に示した撮像処理のうちS304で行われる撮像前予測処理を示している。撮像前予測処理では、過去複数回における焦点検出の結果から得られた合焦像面位置の変化とそれら合焦像面位置に対応する焦点検出時刻とから、将来時刻での合焦像面位置を算出(予測)する。本実施例では、統計演算を用いて将来時刻の合焦像面位置を予測する。ただし、他の方法を用いて将来時刻での合焦像面位置を予測してもよい。
【0068】
まず、S1001において、予測部2124は、S302でメモリ回路215に記憶されたデフォーカス量のうちS303で選択された使用AF領域(第1または第2のAF領域)でのデフォーカス量を取得する。
【0069】
次にS1002では、予測部2124は、取得したデフォーカス量に対応する合焦像面位置と焦点検出時刻を算出する。一般に、撮像素子201から出力信号が得られるまでにはある程度の電荷蓄積時間が必要である。このため、予測部2124は、電荷蓄積の開始時刻と終了時刻の間の時刻(例えば、中央の時刻)を焦点検出時刻とする。そして、予測部2124は、フォーカスレンズ103の現在の位置)に取得したデフォーカス量を加えることによって合焦像面位置を算出する。
【0070】
次にS1003では、予測部2124は、算出した合焦像面位置とこれに対応する焦点検出時刻のデータをメモリ回路215に記憶させる。メモリ回路215には、所定数の合焦像面位置と焦点検出時刻のデータまでは順に記憶され、記憶されたデータが所定数に達した後は最新のデータで記憶された最古のデータを上書きする。
【0071】
次にS1004では、予測部2124は、メモリ回路215に記憶されたデータ数が統計演算を行うために必要な数に達したか否かを判定する。予測部2124は、記憶データ数が十分であればS1005に進み、そうでなければS1007に進む。
【0072】
S1005では、予測部2124は、将来時刻における合焦像面位置を予測するための予測式を決定する。本実施例では、式(7)に示す予測関数f(t)を予測式として用いる。予測部2124は、重回帰分析によって式(7)中の係数α,β,γを統計的に決定する。式(7)におけるnは、複数の代表的な動体予測撮像シーンのサンプルに対して予測を行ったときの予測誤差が最小となる値である。
【0073】
f(t)=α+βt+γt (7)
こうして予測式を決定した予測部2124は、S1006に進み、所定の将来時刻での合焦像面位置を式(7)を用いて算出し、実際の像面位置をその合焦像面位置に移動させるために必要なフォーカスレンズ103の駆動量を算出する。そして算出した駆動量をレンズ制御部106に所定の将来時刻でのフォーカスレンズ103の駆動量として送信する。これにより、所定の将来時刻においてフォーカスレンズ103が駆動され、実際の像面位置が算出された合焦像面位置に移動する。
【0074】
一方、S1007では、予測部2124は、統計演算によらず(すなわち予測せず)に算出したデフォーカス量からフォーカスレンズ103の駆動量を算出し、算出した駆動量をレンズ制御部106に送信する。これにより、被写体にピントが合う方向にフォーカスレンズ103が駆動される。
【0075】
以上説明したように、本実施例では、ユーザが使用AF領域に動体である特定被写体を捉え続けることが可能(容易)か否かに応じて、使用AF領域の大きさを選択する。これにより、移動する小さな被写体や被写体の一部に対して背景抜けや遠近競合を抑制して安定したAF動作を行うことができる。
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0076】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0077】
10 交換レンズユニット
103 フォーカスレンズ
20 カメラ本体
201 撮像素子
204 AF信号処理部
212 カメラ制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11