(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】コンバーターレンズ、交換レンズ、及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 15/12 20060101AFI20241202BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
G02B15/12
G02B13/18
(21)【出願番号】P 2023180643
(22)【出願日】2023-10-19
(62)【分割の表示】P 2022202516の分割
【原出願日】2018-06-26
【審査請求日】2023-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】奥岡 真也
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/134928(WO,A1)
【文献】特開2017-173692(JP,A)
【文献】特開2016-191761(JP,A)
【文献】特開2016-045314(JP,A)
【文献】特開2015-225204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスターレンズの像側に配置され、全体として負の屈折力を有し、全系の焦点距離を長くするコンバーターレンズであって、
該コンバーターレンズは、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の接合レンズから構成される第1レンズ群と、負の屈折力の第2レンズ群とからなり、
前記コンバーターレンズは3枚の正レンズを有し、
前記コンバーターレンズは3枚の負レンズを有し、
前記コンバーターレンズにおいて、最も物体側に配置された
前記接合レンズは像側に凸面を向けており、
前記3枚の負レンズの材料のd線における平均屈折率をNdav
e、前記コンバーターレンズの最も像側の面から像面までの空気換算長をsk、前記コンバーターレンズの最も物体側の面から最も像側の面までの光軸上の距離をTDとするとき、
1.92<Ndave<2.10
0.10<sk/TD<0.50
なる条件式を満たすことを特徴とするコンバーターレンズ。
【請求項2】
前記コンバーターレンズの最も像側に配置された正レンズを有し、該正レンズの物体側の面の曲率半径をR1、前記正レンズの像側の面の曲率半径をR2とするとき、
1.30<(R1+R2)/(R1-R2)<2.50
なる条件式を満たすことを特徴とする請求項1に記載のコンバーターレンズ。
【請求項3】
マスターレンズの像側に配置され、全体として負の屈折力を有し、全系の焦点距離を長くするコンバーターレンズであって、
該コンバーターレンズは、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の接合レンズから構成される第1レンズ群と、負の屈折力の第2レンズ群とからなり、
前記コンバーターレンズは3枚の正レンズを有し、
前記コンバーターレンズは3枚の負レンズを有し、
前記コンバーターレンズにおいて、最も物体側に配置された前記接合レンズは像側に凸面を向けており、
前記3枚の負レンズの材料のd線における平均屈折率をNdave、前記コンバーターレンズの最も像側に配置された正レンズの物体側の面と像側の面の曲率半径をそれぞれR1、R2とするとき、
1.92<Ndave<2.10
1.30<(R1+R2)/(R1-R2)<2.50
なる条件式を満たすことを特徴とするコンバーターレンズ。
【請求項4】
前記コンバーターレンズは、正レンズを4枚以上有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコンバーターレンズ。
【請求項5】
マスターレンズと、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のコンバーターレンズと、を有することを特徴とする交換レンズ。
【請求項6】
マスターレンズと、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のコンバーターレンズと、前記マスターレンズと前記コンバーターレンズによって形成される像を受光する撮像素子とを備えることを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバーターレンズ、交換レンズ、及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交換レンズと撮像装置の間に配置されることにより、全系の焦点距離を拡大する(焦点距離を長くする)ことが可能なリアコンバーターレンズ(以下、コンバーターレンズという)が知られている。
【0003】
特許文献1は、5枚の負レンズを有し、焦点距離の拡大倍率が2.0倍のコンバーターレンズを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、コンバーターレンズは負の屈折力を有しており、焦点距離の拡大倍率が上がると当該負の屈折力が強くなる傾向がある。また、負の屈折力を強くするために、コンバーターレンズ内の負レンズの曲率を大きくすると、軸外光束に起因するコマ収差等の諸収差が発生しやすいことが知られている。
【0006】
さらに、コンバーターレンズは開口絞りを有しないため、交換レンズ内のマスターレンズを通過した軸外光束は、その主光線がコンバーターレンズにおける光軸と交差することなく像面に入射する。そのため、交換レンズのように開口絞りの前後に配置したレンズにより収差補正を行うことが困難になりやすい。
【0007】
このような課題に鑑み、本発明は、マスターレンズの像側に配置された場合に全系で高い光学特性を得ることが可能なコンバーターレンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
マスターレンズの像側に配置され、全体として負の屈折力を有し、全系の焦点距離を長くするコンバーターレンズであって、該コンバーターレンズは、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の接合レンズから構成される第1レンズ群と、負の屈折力の第2レンズ群とからなり、前記コンバーターレンズは3枚の正レンズを有し、前記コンバーターレンズは3枚の負レンズを有し、前記コンバーターレンズにおいて、最も物体側に配置されたレンズは像側に凸面を向けており、前記3枚の負レンズの材料のd線における平均屈折率をNdave、前記コンバーターレンズの最も像側の面から像面までの空気換算長をsk、前記コンバーターレンズの最も物体側の面から最も像側の面までの光軸上の距離をTDとするとき、
1.92<Ndave<2.10
0.10<sk/TD<0.50
なる条件式を満たすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のコンバーターレンズによれば、マスターレンズの像側に配置された場合であっても全系で高い光学特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1のコンバーターレンズの断面図である。
【
図2】実施例1のコンバーターレンズをマスターレンズの像側に配置した時の無限遠物体に合焦時の縦収差図である。
【
図3】実施例1のコンバーターレンズをマスターレンズの像側に配置した時の無限遠物体に合焦時の横収差図である。
【
図4】実施例2のコンバーターレンズの断面図である。
【
図5】実施例2のコンバーターレンズをマスターレンズの像側に配置した時の無限遠物体に合焦時の縦収差図である。
【
図6】実施例2のコンバーターレンズをマスターレンズの像側に配置した時の無限遠物体に合焦時の横収差図である。
【
図7】実施例3のコンバーターレンズの断面図である。
【
図8】実施例3のコンバーターレンズをマスターレンズの像側に配置した時の無限遠物体に合焦時の縦収差図である。
【
図9】実施例3のコンバーターレンズをマスターレンズの像側に配置した時の無限遠物体に合焦時の横収差図である。
【
図10】実施例4のコンバーターレンズの断面図である。
【
図11】実施例4のコンバーターレンズをマスターレンズの像側に配置した時の無限遠物体に合焦時の縦収差図である。
【
図12】実施例4のコンバーターレンズをマスターレンズの像側に配置した時の無限遠物体に合焦時の横収差図である。
【
図13】実施例5のコンバーターレンズの断面図である。
【
図14】実施例5のコンバーターレンズをマスターレンズの像側に配置した時の無限遠物体に合焦時の縦収差図である。
【
図15】実施例5のコンバーターレンズをマスターレンズの像側に配置した時の無限遠物体に合焦時の横収差図である。
【
図16】実施例6のコンバーターレンズの断面図である。
【
図17】実施例6のコンバーターレンズをマスターレンズの像側に配置した時の無限遠物体に合焦時の縦収差図である。
【
図18】実施例6のコンバーターレンズをマスターレンズの像側に配置した時の無限遠物体に合焦時の横収差図である。
【
図20】無限遠物体に合焦時のマスターレンズの縦収差図である。
【
図21】無限遠物体に合焦時のマスターレンズの横収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例に係るコンバーターレンズ及び撮像装置について、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
ある材料のアッベ数νdは、フラウンホーファ線のd線(587.56nm)、F線(486.13nm)、C線(656.27nm)、g線(波長435.84nm)における屈折率をNd、NF、NC、Ngとするとき、
νd=(Nd-1)/(NF-NC)
で表される。
【0013】
各実施例のコンバーターレンズは、例えば、撮像装置と該撮像装置に対して着脱可能な交換レンズとの間に配置される。各実施例のコンバーターレンズは、交換レンズの光学系とコンバーターレンズからなる撮影光学系(全系)の焦点距離を、交換レンズのみを撮影光学系とした場合よりも焦点距離を長くすることができる。
【0014】
図1、4、7、10、13、16に示すコンバーターレンズの断面図および
図19に示すマスターレンズの断面図において、左方が物体側(前方)であり、右方が像側(後方)である。また各断面図において、iを物体側から像側へのレンズ群の順番とすると、Liは第iレンズ群を示す。開口絞りSPは開放Fナンバー(Fno)の光束を決定(制限)する。FPはフレアーカット絞りであり、不要光をカットする。
【0015】
撮像装置がデジタルビデオカメラやデジタルカメラなどである場合は、像面IPは、CCDセンサまたはCMOSセンサ等の撮像素子(光電変換素子)に相当する。撮像装置が銀塩フィルムカメラである場合は、像面IPはフィルム面に相当する。
【0016】
図2、5、8、11、14、17は、後述の各実施例のコンバーターレンズの縦収差図であり、
図20はマスターレンズの縦収差図である。球面収差図において、実線はd線、二点鎖線はg線を示している。非点収差図において破線Mはメリディオナル像面、実線Sはサジタル像面である。歪曲収差はd線について示している。倍率色収差はg線について示している。ωは半画角(度)、FnoはFナンバーである。
【0017】
図3、6、9、12、15、18は、後述の各実施例のコンバーターレンズの横収差図であり、
図21はマスターレンズの横収差図である。横収差図において破線Mはメリディオナル像面、実線Sはサジタル像面である。
【0018】
前述のように、全体で負の屈折力を有するコンバーターレンズでは、軸外光束により起因してコマ収差等の諸収差が発生しやすく、かつ補正が困難になりやすい。
【0019】
そこで、実施例にかかるコンバーターレンズは、全体として負の屈折力を有し、3枚以上の負レンズを有する。そして、コンバーターレンズに含まれる負レンズ材料の平均屈折率を比較的大きくすることにより各レンズの面の曲率を小さくし、軸外光束に起因するコマ収差等の諸収差の発生を低減している。
【0020】
具体的には、コンバーターレンズに含まれる3枚の負レンズの材料のd線(波長587.56nm)における平均屈折率をNdaveするとき、
1.92<Ndave<2.10 ・・・(1)
なる条件式を満たす。
【0021】
条件式(1)の下限値を下回ってレンズの材料の平均屈折率が小さくなると、ペッツバール和を小さく構成しやすくなって像面湾曲等の補正は容易になる。しかし、レンズの面の曲率が大きくなり、コマ収差等の諸収差の補正が困難となるため好ましくない。
【0022】
材料の平均屈折率が大きくなると、一般にガラスの材料の分散が大きくなる。そのため、条件式(1)の上限値を上回って、負レンズの材料の平均屈折率が大きくなると、倍率色収差の補正が困難となるため好ましくない。
【0023】
このように、実施例のコンバーターレンズは、前述のレンズ構成および条件式(1)を満たすことにより、コマ収差等の軸外光束に起因する収差を良好に補正し、マスターレンズに装着したときでも高い光学性能が得ることが可能となる。
【0024】
また、本発明のコンバーターレンズを用いることで、最大像高の低い撮像素子を有する撮像装置用のマスターレンズを、最大像高の高い撮像素子を有する撮像装置で使用する場合であっても収差の観点でユーザが違和感なく使用できるようになる。
【0025】
条件式(1)の数値範囲を以下のようにすることが好ましい。
1.95<Ndave<2.08 ・・・(1a)
【0026】
さらに、条件式(1)の数値範囲を以下のようにすることが好ましい。
1.98<Ndave<2.05 ・・・(1b)
【0027】
また、コンバーターレンズは、第2レンズ群に3枚以上の負レンズ、より好ましくは4枚以上の負レンズを有することが好ましい。
【0028】
さらに、コンバーターレンズが、以下の条件式のうち1以上を満足することが好ましい。
1.30<(R1+R2)/(R1-R2)<2.50 ・・・(2)
0.10<sk/TD<0.50 ・・・(3)
-2.30<f1/f2<-0.95 ・・・(4)
-1.40<f1/f<-0.30 ・・・(5)
【0029】
ただし、最も像側に配置されたレンズの物体側の面の曲率半径をR1、当該レンズの像側の面の曲率半径をR2とする。コンバーターレンズの最も像側の面から像面までの空気換算長をsk、当該コンバーターレンズの最も物体側の面から最も像側の面までの光軸上の距離をTDとする。第1レンズ群の焦点距離をf1、第2レンズ群の焦点距離をf2、前記コンバーターレンズの焦点距離をfとする。ここで、第1レンズ群は、負レンズと正レンズを接合した接合レンズからなる。
【0030】
条件式(2)は、コンバーターレンズの、最も像側に配置された正レンズの形状について規定している。軸外光束を大きく屈折させつつ、収差の発生を抑制するために、一方の面の曲率半径を他方に比べて大きくすることが好ましい。これにより、収差の発生を抑制しつつ、軸上光束に比べ軸外光束を屈折させることができ、軸外光束に起因する収差を補正しやすくなる。
【0031】
条件式(2)はこれに鑑みて定められたものである。条件式(2)の下限値を下回って像側の面の曲率と物体側の面の曲率の差が大きくなると、像面湾曲がアンダーとなり好ましくない。条件式(2)の上限値を上回って像側の面の曲率と物体側の面の曲率の差が小さくなると、像面湾曲がオーバーになるため好ましくない。
【0032】
条件式(3)は、コンバーターレンズのバックフォーカスと、最も物体側に配置されているレンズの物体側の面から最も像側に配置されているレンズの像側の面までの距離(レンズ構成長)の比を規定している。条件式(3)を下回るとレンズ構成長が長くなるため好ましくない。条件式(3)を上回ってレンズ構成長が短くなると、各レンズの屈折力が高くなり球面収差の補正が困難となるため好ましくない。
【0033】
条件式(4)は、第1レンズ群の焦点距離と、第2レンズ群の焦点距離の比を規定している。条件式(4)の下限値を下回ると、球面収差がオーバー側に大きく発生して、補正が困難となるため好ましくない。条件式(4)の上限値を上回ると、球面収差がアンダー側に大きく発生して、補正が困難となるため好ましくない。
【0034】
条件式(5)は、第1レンズ群の焦点距離と、コンバーターレンズの焦点距離の比を規定している。条件式(5)の下限値を下回って第1レンズ群の焦点距離の絶対値が大きくなり屈折力が弱くなると球面収差がオーバー側に発生するため好ましくない。条件式(5)の上限値を上回って第1レンズ群の焦点距離の絶対値が小さくなり屈折力が強くなると、球面収差がアンダー側に発生すとなるため好ましくない。
【0035】
さらに、条件式(2)~(5)の数値範囲を以下のようにすることが好ましい。
1.40<(R1+R2)/(R1-R2)<2.30 ・・・(2a)
0.15<sk/TD<0.40 ・・・(3a)
-2.10<f1/f2<-1.00 ・・・(4a)
-1.20<f1/f<-0.32 ・・・(5a)
【0036】
さらに、条件式(2)~(5)の数値範囲を以下のようにすることが好ましい。
1.50<(R1+R2)/(R1-R2)<2.10 ・・・(2b)
0.25<sk/TD<0.35 ・・・(3b)
-1.90<f1/f2<-1.10 ・・・(4b)
-1.10<f1/f<-0.34 ・・・(5b)
【0037】
上記条件式の少なくとも1つを満たすことで、マスターレンズの像側に配置された場合であっても全系でより高い光学特性を得ることが可能となる。
【0038】
次に、実施例のマスターレンズと、各実施例のコンバーターレンズについて説明する。
【0039】
[コンバーターレンズ]
次に実施例1~6のコンバーターレンズについて説明する。
【0040】
[実施例1]
図1(a)は、実施例1のコンバーターレンズRCLの断面図である。
図1(b)は、マスターレンズMLとマスターレンズMLの像側に配置された実施例1のコンバーターレンズRCLの断面図である。
図2および
図3は実施例1のコンバーターレンズRCLをマスターレンズMLの像側に配置した時の無限遠物体に合焦時の縦収差図および横収差図である。コンバーターレンズRCLによる拡大倍率は、1.61倍である。
【0041】
第1レンズ群は、負レンズG1と正レンズG2の接合レンズから構成される。
【0042】
第2レンズ群は、負レンズと正レンズと負レンズからなる接合レンズと、該接合レンズの像側に配置された正レンズからなる。すなわち、コンバーターレンズRCLは、3枚の負レンズを有する。
【0043】
[実施例2]
図4(a)は、実施例2のコンバーターレンズRCLの断面図である。
図4(b)は、マスターレンズMLとマスターレンズMLの像側に配置された実施例2のコンバーターレンズRCLの断面図である。
図5および
図6は実施例2のコンバーターレンズRCLをマスターレンズMLの像側に配置した時の無限遠物体に合焦時の縦収差図および横収差図である。コンバーターレンズRCLによる拡大倍率は1.60倍である。
【0044】
第1レンズ群は、負レンズG1と正レンズG2の接合レンズから構成される。
【0045】
第2レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、負レンズと正レンズからなる接合レンズと、負レンズ、正レンズ、負レンズ、正レンズからなる。すなわち、コンバーターレンズRCLは、4枚の負レンズを有する。
【0046】
[実施例3]
図7(a)は、実施例3のコンバーターレンズRCLの断面図である。
図7(b)は、マスターレンズMLとマスターレンズMLの像側に配置された実施例3のコンバーターレンズRCLの断面図である。
図8および
図9は実施例3のコンバーターレンズRCLをマスターレンズMLの像側に配置した時の無限遠物体に合焦時の縦収差図および横収差図である。コンバーターレンズRCLによる拡大倍率は2.01倍である。
【0047】
第1レンズ群は、負レンズG1と正レンズG2の接合レンズから構成される。
【0048】
第2レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、負レンズと正レンズからなる接合レンズ、負レンズ、正レンズ、負レンズ、正レンズからなる。すなわち、コンバーターレンズRCLは、4枚の負レンズを有する。
【0049】
[実施例4]
図10(a)は、実施例4のコンバーターレンズRCLの断面図である。
図10(b)は、マスターレンズMLとマスターレンズMLの像側に配置された実施例4のコンバーターレンズRCLの断面図である。
図11および
図12は実施例4のコンバーターレンズRCLをマスターレンズMLの像側に配置した時の無限遠物体に合焦時の縦収差図および横収差図である。コンバーターレンズRCLによる拡大倍率は2.02倍である。
【0050】
第1レンズ群は、負レンズG1と正レンズG2の接合レンズから構成される。
【0051】
第2レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、負レンズと正レンズからなる接合レンズ、負レンズ、負レンズ、正レンズ、負レンズ、正レンズからなる。すなわち、コンバーターレンズRCLは、5枚の負レンズを有する。
【0052】
[実施例5]
図13(a)は、実施例5のコンバーターレンズRCLの断面図である。
図13(b)は、マスターレンズMLとマスターレンズMLの像側に配置された実施例5のコンバーターレンズRCLの断面図である。
図14および
図15は実施例5のコンバーターレンズをマスターレンズMLの像側に配置した時の無限遠物体に合焦時の縦収差図および横収差図である。コンバーターレンズRCLによる拡大倍率は1.61倍である。
【0053】
第1レンズ群は、負レンズG1と正レンズG2の接合レンズから構成される。
【0054】
第2レンズ群は、負レンズと正レンズと負レンズからなる接合レンズと、該接合レンズの像側に配置された正レンズからなる。すなわち、コンバーターレンズRCLは、3枚の負レンズを有する。
【0055】
[実施例6]
図16(a)は、実施例6のコンバーターレンズRCLの断面図である。
図16(b)は、マスターレンズMLとマスターレンズMLの像側に配置された実施例6のコンバーターレンズRCLの断面図である。
図17および
図18は実施例6のコンバーターレンズRCLをマスターレンズMLの像側に配置した時の無限遠物体に合焦時の縦収差図および横収差図である。コンバーターレンズRCLによる拡大倍率は1.59倍である。
【0056】
第1レンズ群は、負レンズG1と正レンズG2の接合レンズから構成される。
【0057】
第2レンズ群は、負レンズと正レンズと負レンズからなる接合レンズと、該接合レンズの像側に配置された正レンズからなる。すなわち、コンバーターレンズRCLは、3枚の負レンズを有する。
【0058】
[マスターレンズ]
図19は、無限遠物体に合焦時のマスターレンズMLの断面図である。
図20は、無限遠物体に合焦時のマスターレンズMLの縦収差図である。
図21は、無限遠物体に合焦時のマスターレンズMLの横収差図である。
【0059】
マスターレンズMLは、開口絞りSPと、該開口絞りSPの物体側に配置された前群Lfと、開口絞りSPの像側に配置された後群Lrからなる単焦点レンズである。マスターレンズMLのFナンバーは2.88、半画角は29度である。なお、例に挙げたマスターレンズMLは一例であり、像面に結像可能な光学系であればその他の光学系であっても構わない。
【0060】
[数値実施例]
前述のマスターレンズMLの数値実施例と、実施例1~6のコンバーターレンズRCLのそれぞれに対応する数値実施例1~6を示す。
【0061】
また、各数値実施例において、面番号は、物体側からの光学面の順序を示す。rは光学面の曲率半径(mm)、面番号iにおけるdは、第i番目の光学面と第i+1番目の光学面の間隔(mm)、ndはd線における光学部材の材料の屈折率、νdはd線を基準とした光学部材の材料のアッベ数であり、定義は前述のとおりである。
【0062】
BFはバックフォーカスを示す。なお、バックフォーカスは、最も像側の面から近軸像面までの光軸上の距離を空気換算長により表記したものとする。
【0063】
マスターレンズMLにおけるレンズ全長は、マスターレンズMLの最も物体側の面(第1レンズ面)からマスターレンズMLの最も像側の面(最終レンズ面)までの光軸上の距離にバックフォーカスを加えた長さである。コンバーターレンズRCLをマスターレンズMLの像側に配置したときのレンズ全長は、マスターレンズMLの最も物体側の面からコンバーターレンズRCLの最も像側の面までの光軸上の距離に、コンバーターレンズRCLのバックフォーカスを加えた長さである。
【0064】
マスターレンズとコンバーターのレンズ間隔は、マスターレンズの最も像側の面からコンバーターレンズの最も物体側の面までの光軸上の距離である。マスターレンズとコンバーターレンズの間隔は、空気換算長で表している。拡大倍率は、マスターレンズの焦点距離に対する、マスターレンズおよびコンバータを用いた場合の全系の焦点距離の比である。
【0065】
コンバーターレンズのレンズ構成長は、コンバーターレンズの最も物体側の面からコンバーターレンズの最も像側の面までの光軸上の距離である。
【0066】
有効径は、軸上光束及び軸外光束の通過範囲の径である。入射瞳位置は最も物体側の面から入射瞳までの距離、射出瞳位置は最も像側の面から射出瞳までの距離である。前側主点位置は最も物体側の面から前側主点までの距離であり、後側主点位置は最も像側の面から後側主点までの距離である。なお、前側主点位置および後側主点位置についての各数値は近軸量であり、符号は物体側から像側の向きを正とする。
【0067】
また、光学面が非球面の場合は、面番号の右側に、*の符号を付している。非球面形状は、xを光軸方向の面頂点からの変位量、hを光軸と垂直な方向の光軸からの高さ、Rを近軸曲率半径、kを円錐定数、A4、A6、A8、A10、A12を各次数の非球面係数とするとき、
x=(h2/R)/[1+{1-(1+k)(h/R)2}1/2+A4×h4+A6×h6+A8×h8+A10×h10+A12×h12
で表している。なお、各非球面係数における「e±XX」は「×10±XX」を意味している。数値実施例1~6のそれぞれにおける、前述の各条件式に用いられている物理量を[表1]に示し、前述の各条件式に対応する値を[表2]に示す。
【0068】
なお、以下に示す数値実施例における長さの単位にはmmを用い、角度の単位には度を用いているが、光学系は比例拡大、または比例縮小しても使用可能なため、他の長さの単位を用いることも可能である。
【0069】
[マスターレンズ]-コンバーターレンズの数値実施例1~6共通-
単位 mm
面データ
面番号 r d nd vd 有効径
1 23.706 2.83 1.91082 35.3 16.13
2 63.184 0.25 14.42
3 22.266 0.90 1.48749 70.2 12.89
4 7.213 4.00 10.11
5 ∞ 3.26 8.13(フレアーカット絞り)
6(絞り) ∞ 3.24 8.78
7 -16.321 4.82 1.69680 55.5 9.30
8 -8.400 0.80 1.80610 33.3 11.37
9 -36.438 0.20 13.67
10 227.537 4.39 1.59522 67.7 15.23
11 -15.547 0.90 16.72
12* -34.842 3.55 1.58313 59.4 17.76
13 -15.035 35.68 18.94
像面 ∞
非球面データ
第12面
K = 0.00000e+000 A 4=-5.24174e-005 A 6= 5.25723e-008 A 8=-3.53661e-009 A10= 3.36031e-011 A12=-1.48386e-013
マスターレンズの各種データ
焦点距離 24.50
Fナンバー 2.88
半画角(度) 29.14
像高 13.66
レンズ全長 64.83
BF 35.68
入射瞳位置 10.34
射出瞳位置 -35.77
前側主点位置 26.44
後側主点位置 11.18
マスターレンズの単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 40.28
2 3 -22.32
3 7 19.87
4 8 -13.72
5 10 24.62
6 12 42.54
【0070】
[コンバーターレンズ]
[数値実施例1]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd vd 有効径
1 141.314 1.20 1.95375 32.3 25.80
2 20.811 8.90 1.80518 25.4 25.40
3 -50.545 4.45 25.60
4 -36.637 1.20 2.00100 29.1 24.10
5 62.836 8.70 1.62588 35.7 25.00
6 -19.857 1.30 2.00100 29.1 25.80
7 -424.225 7.20 29.00
8 -74.271 9.35 1.59551 39.2 35.20
9 -25.409 13.96 37.90
像面 ∞
マスターレンズとコンバーターレンズの間隔 4.19
コンバーターレンズをマスターレンズの像側に配置した時の各種データ
焦点距離 39.54
Fナンバー 4.65
半画角(度) 28.68
像高 21.64
レンズ全長 89.59
BF 13.96
コンバーターレンズの各種データ
焦点距離 -148.00
レンズ構成長 42.30
前側主点位置 -24.78
後側主点位置 -76.86
拡大倍率 1.61
コンバーターレンズの単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 -25.71
2 2 19.39
3 4 -22.98
4 5 25.13
5 6 -20.84
6 8 60.53
【0071】
[数値実施例2]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd vd 有効径
1 108.446 1.20 2.00100 29.1 25.90
2 18.934 8.60 1.85478 24.8 25.40
3 -62.820 4.00 25.40
4 -49.683 1.20 2.05090 26.9 24.30
5 27.755 6.00 1.80810 22.8 24.90
6 -109.942 1.30 25.50
7 -45.352 1.20 2.05090 26.9 25.60
8 144.322 0.10 27.30
9 49.805 5.00 1.53172 48.8 29.50
10 -100.714 1.30 30.30
11 -52.534 1.60 2.00100 29.1 30.40
12 -149.361 2.90 32.10
13 -86.192 8.00 1.54072 47.2 34.30
14 -27.523 13.08 36.50
像面 ∞
マスターレンズとコンバーターレンズの間隔 4.19
コンバーターレンズをマスターレンズの像側に配置した時の各種データ
焦点距離 39.21
Fナンバー 4.61
半画角(度) 28.89
像高 21.64
レンズ全長 88.80
BF 13.08
コンバーターレンズの各種データ
焦点距離 -83.09
レンズ構成長 42.40
前側主点位置 0.34
後側主点位置 -36.78
拡大倍率 1.60
コンバーターレンズの単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 -23.07
2 2 17.89
3 4 -16.81
4 5 27.97
5 7 -32.73
6 9 63.41
7 11 -81.63
8 13 71.36
【0072】
[数値実施例3]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd vd 有効径
1 71.603 1.20 2.05090 26.9 25.50
2 17.334 9.10 1.85478 24.8 24.20
3 -55.856 0.45 24.00
4 -83.837 1.20 2.00100 29.1 23.40
5 15.257 8.15 1.80810 22.8 22.50
6 -109.942 3.45 22.80
7 -36.477 1.20 2.05090 26.9 22.80
8 53.517 0.20 24.30
9 38.586 4.70 1.53172 48.8 26.20
10 -174.517 6.95 27.20
11 -127.684 1.60 2.00100 29.1 32.50
12 424.763 4.65 33.50
13 -73.668 10.00 1.51742 52.4 35.20
14 -24.017 11.00 37.90
像面 ∞
マスターレンズとコンバーターレンズの間隔 4.19
コンバーターレンズをマスターレンズの像側に配置した時の各種データ
焦点距離 49.27
Fナンバー 5.79
半画角(度) 23.71
像高 21.64
レンズ全長 97.18
BF 11.00
コンバーターレンズの各種データ
焦点距離 -81.18
レンズ構成長 52.85
前側主点位置 -9.30
後側主点位置 -71.02
拡大倍率 2.01
コンバーターレンズの単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 -22.01
2 2 16.42
3 4 -12.82
4 5 17.08
5 7 -20.50
6 9 59.89
7 11 -97.93
8 13 64.44
【0073】
[数値実施例4]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd vd 有効径
1 81.547 1.20 2.05090 26.9 25.60
2 17.175 8.90 1.85478 24.8 24.40
3 -74.877 0.40 24.10
4 -800.041 1.20 2.00100 29.1 23.60
5 15.215 8.10 1.80810 22.8 22.40
6 -109.942 1.35 22.50
7 -59.136 1.20 2.00100 29.1 22.40
8 800.004 3.95 22.80
9 -35.142 1.20 2.05090 26.9 23.40
10 309.433 0.15 25.30
11 50.320 5.10 1.53172 48.8 28.20
12 -77.229 0.60 29.10
13 -79.630 1.60 2.00100 29.1 29.20
14 387.478 6.50 30.70
15 -116.685 10.00 1.51742 52.4 35.50
16 -25.328 13.96 37.90
像面 ∞
マスターレンズとコンバーターレンズの間隔 4.19
コンバーターレンズをマスターレンズの像側に配置した時の各種データ
焦点距離 49.40
Fナンバー 5.81
半画角(度) 23.65
像高 21.64
レンズ全長 98.73
BF 13.96
コンバーターレンズの各種データ
焦点距離 -75.46
レンズ構成長 51.45
前側主点位置 -6.52
後側主点位置 -62.68
拡大倍率 2.02
コンバーターレンズの単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 -20.90
2 2 17.11
3 4 -14.91
4 5 17.03
5 7 -54.97
6 9 -29.98
7 11 58.11
8 13 -65.88
9 15 60.27
【0074】
[数値実施例5]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd vd 有効径
1 105.372 1.10 1.90525 35.0 25.80
2 20.274 9.30 1.74077 27.8 25.40
3 -43.036 3.30 25.50
4 -34.856 1.20 1.85150 40.8 24.20
5 50.808 9.00 1.54072 47.2 24.90
6 -19.532 1.30 2.00330 28.3 25.60
7 -612.486 7.20 28.90
8 -70.239 9.60 1.61293 37.0 35.20
9 -24.676 13.95 37.90
像面 ∞
マスターレンズとコンバーターレンズの間隔 4.19
コンバーターレンズをマスターレンズの像側に配置した時の各種データ
焦点距離 39.45
Fナンバー 4.64
半画角(度) 28.74
像高 21.64
レンズ全長 89.28
BF 13.95
コンバーターレンズの各種データ
焦点距離 -162.19
レンズ構成長 42.00
前側主点位置 -29.93
後側主点位置 -84.93
拡大倍率 1.61
コンバーターレンズの単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 -27.90
2 2 19.84
3 4 -24.12
4 5 27.32
5 6 -20.13
6 8 57.46
【0075】
[数値実施例6]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd vd 有効径
1 258.268 1.00 2.00100 29.1 25.80
2 23.518 7.70 1.85478 24.8 25.70
3 -54.781 6.10 25.90
4 -30.390 1.00 2.05090 26.9 24.40
5 31.048 7.40 1.89286 20.4 26.30
6 -48.829 1.00 2.24163 16.9 27.30
7 -1396.349 8.60 28.70
8 -130.600 9.80 1.51742 52.4 36.30
9 -26.447 13.65 38.60
像面 ∞
マスターレンズとコンバーターレンズの間隔 4.19
コンバーターレンズをマスターレンズの像側に配置した時の各種データ
焦点距離 39.02
Fナンバー 4.59
半画角(度) 29.00
像高 21.64
レンズ全長 89.58
BF 13.65
コンバーターレンズの各種データ
焦点距離 -194.07
レンズ構成長 42.60
前側主点位置 -40.70
後側主点位置 -101.32
拡大倍率 1.59
コンバーターレンズの単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 -25.90
2 2 20.16
3 4 -14.49
4 5 22.23
5 6 -40.77
6 8 62.10
【0076】
【0077】
【0078】
[撮像装置の実施例]
図22は、撮像装置(デジタルカメラ)10の構成を示す図である。
図22(a)は斜視図であり、
図22(b)は側面図である。撮像装置10は、カメラ本体13と、マスターレンズMLと、上述した実施例1乃至6のいずれかと同様であるコンバーターレンズRCLと、マスターレンズMLおよびコンバーターレンズRCLとによって形成される像を光電変換する受光素子(撮像素子)12を備える。受光素子12としては、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子を用いることができる。マスターレンズMLおよびコンバーターレンズRCLは、カメラ本体13は一体に構成されていても良いし、それぞれがカメラ本体13に対して着脱可能に構成されていても良い。
【0079】
マスターレンズMLとコンバーターレンズRCLがカメラ本体13と一体に構成されている場合、コンバーターレンズRCLは光軸上に挿脱可能に構成される。
【0080】
[交換レンズの実施例]
本発明は、マスターレンズMLとコンバーターレンズRCLが同一の鏡筒内に構成され、撮像装置に対して着脱可能な交換レンズにも適用されうる。当該交換レンズは、焦点距離が不変な単焦点レンズでもよいし、焦点距離が可変なズームレンズでもよい。この場合、コンバーターレンズRCLは光軸上に挿脱可能に構成される。操作部材やユーザインターフェースを介してユーザから指示されることに応じて、コンバーターレンズRCLが光軸上または光軸外に配置される。
【0081】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の組合せ、変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0082】
RCL コンバーターレンズ
ML マスターレンズ