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特許7596500インバータ調整装置、インバータ調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】インバータ調整装置、インバータ調整方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20241202BHJP
   H02P 29/68 20160101ALI20241202BHJP
【FI】
H02M7/48 M
H02P29/68
H02M7/48 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023209355
(22)【出願日】2023-12-12
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】弁理士法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】向 雲
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-119815(JP,A)
【文献】特開2023-088579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02P 29/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスイッチング素子を並列に接続して構成されているインバータにおいて、
前記スイッチング素子それぞれの発熱量を計測する発熱量計測装置と、
前記発熱量計測装置で計測した前記スイッチング素子それぞれの発熱量の差が所定の範囲以内になるように、前記スイッチング素子それぞれのオン時間とオフ時間の比率を決定するオン時間比率決定部と、
前記スイッチング素子それぞれのスイッチング電圧を計測する電圧計測装置と、
前記スイッチング素子それぞれに設けられ、抵抗値の異なる複数の抵抗を選択可能に備えるゲート抵抗群と、
前記電圧計測装置で計測した前記スイッチング素子それぞれのサージ電圧の最大値があらかじめ設定された基準値を超えないように前記ゲート抵抗群の抵抗を選択するゲート抵抗決定部と、
を有するインバータ調整装置。
【請求項2】
複数のスイッチング素子を並列に接続して構成されているインバータにおいて、
前記スイッチング素子それぞれに設けられ、抵抗値の異なる複数の抵抗を選択可能に備えるゲート抵抗群と、
前記スイッチング素子それぞれの発熱量を計測する発熱量計測装置と、
前記発熱量計測装置で計測した前記スイッチング素子それぞれの発熱量の差が所定の範囲以内になるように前記ゲート抵抗群の抵抗を選択するゲート抵抗決定部と、
前記スイッチング素子それぞれのスイッチング電圧を計測する電圧計測装置を有し、
前記ゲート抵抗決定部は、前記電圧計測装置で計測した前記スイッチング素子それぞれのサージ電圧の最大値があらかじめ設定された基準値を超えないように前記ゲート抵抗群の抵抗を決定する、
インバータ調整装置。
【請求項3】
前記発熱量計測装置は、電圧計測装置と電流計測装置、もしくは、温度計測装置で構成される、
請求項1または2に記載のインバータ調整装置。
【請求項4】
複数のスイッチング素子を並列に接続して構成されているインバータにおいて、
前記スイッチング素子それぞれの発熱量を計測する発熱量計測工程と、
前記発熱量計測工程で計測した前記スイッチング素子それぞれの発熱量の差が所定の範囲以内になるように前記スイッチング素子それぞれのオン時間とオフ時間の比率を決定するオン時間比率決定工程と、
前記スイッチング素子それぞれのスイッチング電圧を計測する電圧計測工程と、
前記スイッチング素子それぞれのゲートに設けられた抵抗値の異なる複数の抵抗からなるゲート抵抗群の中から一の抵抗を選択する選択工程と、
前記電圧計測工程で計測した前記スイッチング素子それぞれのサージ電圧の最大値があらかじめ設定された基準値を超えないように前記ゲート抵抗群の抵抗を決定するゲート抵抗決定工程と、
を含むインバータ調整方法。
【請求項5】
複数のスイッチング素子を並列に接続して構成されているインバータにおいて、
前記スイッチング素子それぞれの発熱量を計測する発熱量計測工程と、
前記発熱量計測工程で計測した前記スイッチング素子それぞれの発熱量の差が所定の範囲以内になるように、前記スイッチング素子それぞれに設けられた抵抗値の異なる複数の抵抗で構成されたゲート抵抗群の中から一の抵抗を選択するゲート抵抗決定工程と、
前記スイッチング素子それぞれのスイッチング電圧を計測する電圧計測工程と、
前記ゲート抵抗決定工程において、前記電圧計測工程で計測した前記スイッチング素子それぞれのサージ電圧の最大値があらかじめ設定された基準値を超えないように前記ゲート抵抗群の中から一の抵抗を決定するゲート抵抗決定工程と、
を含むインバータ調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インバータ調整装置、インバータ調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大出力のインバータでは、1個のスイッチング素子に加わる負荷を削減するために、複数のスイッチング素子を並列に接続している場合が多い。しかし、スイッチング素子にはオン抵抗やゲート容量などの特性にバラツキがあるため、並列に接続されたスイッチング素子それぞれに加わる負荷は同じにはならない。
【0003】
負荷が集中したスイッチング素子ほど発熱量が大きくなり、劣化の進み度合いが早くなるため、早い時期に破損する可能性が高くなる。スイッチング素子は、ショートモードで破損することが多い。そのため、並列に接続された複数のスイッチング素子の何れかが破損すると、インバータが破損することとなる。したがって、並列に接続された複数のスイッチング素子の何れかに負荷が集中すると、インバータの寿命が低下することとなる。
【0004】
複数のインバータを並列に接続した場合の負荷分散についての報告はあるが、1つのインバータ内で並列に接続された複数のスイッチング素子に加わる負荷の差を抑制する技術についての報告は見当たらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2023-86187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述の事情によりなされたもので、並列に接続された複数のスイッチング素子を有するインバータの寿命の低減を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための実施形態に係るインバータ調整装置は、複数のスイッチング素子を並列に接続して構成されているインバータを調整するための装置である。インバータ調整装置は、発熱量計測装置とオン時間比率決定部とを有する。発熱量計測装置は、スイッチング素子それぞれの発熱量を計測する。オン時間比率決定部は、発熱量計測装置で計測したスイッチング素子それぞれの発熱量の差が所定の範囲以内になるように、スイッチング素子それぞれのオン時間とオフ時間の比率を決定する。スイッチング素子それぞれのスイッチング電圧を計測する電圧計測装置を有し、ゲート抵抗決定部は、電圧計測装置で計測したスイッチング素子それぞれのサージ電圧の最大値があらかじめ設定された基準値を超えないようにゲート抵抗群の抵抗を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態1に係るエレベータ装置の斜視図である。
図2】本実施形態1に係るエレベータ装置の制御系を示すブロック図である。
図3】本実施形態1に係る駆動ユニットのブロック図である。
図4】本実施形態1に係るインバータの構成図である。
図5】本実施形態1に係るインバータについて説明するための図である。
図6】本実施形態1に係るスイッチング素子群の構成図である。
図7】本実施形態1に係る制御ユニットの物理的ブロック図である。
図8】本実施形態1に係る制御ユニットの機能的ブロック図である。
図9】本実施形態1に係るゲート抵抗決定処理について説明するためのフローチャートである。
図10】本実施形態1に係るインバータのサージ電圧について説明するための図である。
図11】本実施形態1に係るインバータのサージ電圧について説明するための図である。
図12】本実施形態1に係るインバータのサージ電圧について説明するための図である。
図13】本実施形態1に係るインバータのサージ電圧について説明するための図である。
図14】本実施形態1に係るインバータのサージ電圧について説明するための図である。
図15】本実施形態1に係るオン時間比率決定処理について説明するためのフローチャートである。
図16】本実施形態1に係るオン時間比率決定処理について説明するための図である。
図17】本実施形態1に係るオン時間比率決定処理について説明するための図である。
図18】本実施形態1に係るオン時間比率決定処理について説明するための図である。
図19】本実施形態1に係るオン時間比率決定処理について説明するための図である。
図20】本実施形態2に係る第2のゲート抵抗決定処理について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態を、図面を用いて説明する。説明には、適宜、相互に直交するX軸、Y軸、Z軸からなるXYZ座標系を用いる。本実施形態の説明に用いる図およびフローチャートは一例を示すものである。
【0010】
図1は、本実施形態に係るエレベータ装置10の斜視図である。エレベータ装置10は、商業施設や居住施設などの建築物に設けられた昇降路100の内部に配置されている。図1に示されるように、エレベータ装置10は、乗りかご31、カウンタウエイト50、昇降モータ40、ガイドレール21~24、制御盤70(エレベータ制御装置)を有している。
【0011】
ガイドレール21~24それぞれは、長手方向をZ軸方向とする部材である。ガイドレール21と22は、乗りかご31を昇降自在にガイドするための一対の部材である。また、ガイドレール23と24は、カウンタウエイト50を昇降自在にガイドするための一対の部材である。ガイドレール21とガイドレール22は、Y軸方向に離間して配置されている。また、ガイドレール23と24も、同様にY軸方向に相互に離間して配置されている。図1では、カウンタウエイト50のガイドレール23と24が、乗りかご31のガイドレール21と22に対してX軸方向に離間して配置されている。なお、ガイドレール21~24の配置は、図1に示される配置に限定されるものではない。
【0012】
乗りかご31は、利用者を収容して昇降路100を昇降するユニットである。乗りかご31は、ガイドレール21と22の間に配置され、ガイドレール21と22に対して、上下方向に移動可能に取り付けられている。
【0013】
乗りかご31の+X側の側面には、内部に出入りするための開口部31aが形成されている。開口部31aは、乗りかご31の側面に沿って移動する一対の扉32によって、閉塞或いは開放される。扉32は、開閉モータ(図1では、図示略)によって開閉される。
【0014】
カウンタウエイト50は、ガイドレール23と24に対して、上下方向に移動可能に取り付けられている。カウンタウエイト50の重量は、乗りかご31の重量に対して所定の割合になるように調整されている。
【0015】
昇降モータ40は、乗りかご31を昇降させるためのモータである。昇降モータ40は、昇降路100の上部に、回転軸がY軸に平行になるように配置されている。昇降モータ40の回転軸にはプーリー42が固定されている。昇降モータ40のプーリー42には、ワイヤ43が巻き回されている。ワイヤ43は、一端が、乗りかご31に固定され、他端が、カウンタウエイト50に固定されている。
【0016】
制御盤70は、昇降路100に配置されている。制御盤70には、昇降モータ40や乗りかご31に設けられた機器等を制御するための制御装置が収容されている。
【0017】
図2は、エレベータ装置10の制御系を示すブロック図である。制御系は、制御盤70に収容される制御ユニット80および駆動ユニット91と、乗りかご31に設けられる操作パネル36と、を含んで構成される。
【0018】
操作パネル36は、乗りかご31の内壁面に設けられている。操作パネル36は、乗りかご31の利用者から、行き先階などを受け付けるためのインタフェースである。利用者は、操作パネル36を操作することで、乗りかご31の行き先階などの登録や、扉32の開閉を行うことができる。操作パネル36は、図1に示されるケーブル44を介して、制御盤70に収容される制御ユニット80に接続されている。
【0019】
図2に示す駆動ユニット91は、昇降モータ40に電力を供給することで、昇降モータ40を駆動する。駆動ユニット91は、制御ユニット80からの指示に基づいて、昇降モータ40を駆動する。制御ユニット80は、操作パネル36もしくは各フロアの呼びパネルからの入力に基づいて、駆動ユニット91を制御する。例えば、制御ユニット80が、駆動ユニット91を介して、昇降モータ40を正転させると、乗りかご31が上昇するとともに、カウンタウエイト50が下降する。制御ユニット80が、駆動ユニット91を介して、昇降モータ40を逆転させると、乗りかご31が下降するとともに、カウンタウエイト50が上昇する。
【0020】
図3は、駆動ユニット91のブロック図である。駆動ユニット91は、コンバータ11とインバータ13とを有する。コンバータ11は、商用電源1から供給される交流電圧を直流電圧に変換する電源装置である。コンバータ11は、スイッチングレギュレータで構成されている。本実施形態においては、コンバータ11は、アース電位に対してプラスとなる電圧とマイナスとなる電圧をインバータ13に供給している。インバータ13は、コンバータ11から供給される直流電圧を所定の周波数で所定の電圧の交流電圧に変換し、昇降モータ40に電力を供給する電源装置である。インバータ13は、スイッチングレギュレータで構成されている。
【0021】
図4は、インバータ13の回路例である。インバータ13は、発振回路155、オン時間設定部150、ゲート抵抗群140、スイッチング素子群130を有している。発振回路155は、ゲート抵抗群140とオン時間設定部150を介して、所定の周波数のクロックをスイッチング素子群130に供給する。ゲート抵抗群140とオン時間設定部150は、後述するインバータ調整装置75の一部を構成する。
【0022】
図5は、インバータ13のスイッチング素子群130を構成するFETの駆動回路について説明するための図である。図5は、1個のFET134の駆動回路を示している。具体的には、発振回路155が出力するクロックは、オン時間設定部150とゲート抵抗群140を介してFET134のゲートに供給される。オン時間設定部150とゲート抵抗群140は、スイッチング素子それぞれに設けられている。
【0023】
オン時間設定部150は、スイッチング素子それぞれのオン時間(ゲートに供給されるクロックがハイレベルの時間)とオフ時間(ゲートに供給されるクロックがローレベルの時間)の比率を決定する回路である。オン時間設定部150は、選択可能に備えられた遅延時間の異なる複数の遅延素子とAND回路を備えている。ここでは、図5に示す遅延素子ta151の遅延時間が遅延素子tb152の遅延時間よりも小さく、遅延素子tb152の遅延時間が遅延素子tc153の遅延時間よりも小さいものとする。最も遅延時間が小さい遅延素子ta151の遅延時間は、0秒であってもよい。遅延素子ta151、遅延素子tb152、遅延素子tc153の遅延時間は、FETのオン抵抗のバラツキなどにより決められる。遅延素子ta151、遅延素子tb152、遅延素子tc153の何れかを指定されると、オン時間設定部150は、発振回路155が出力したクロックと指定された遅延素子により遅延したクロックとのANDをとることで、スイッチング素子に供給されるクロックのハイレベル時間とローレベル時間の比率を設定する。遅延素子による遅延時間が大きいほど、クロックのハイレベルの時間が短くなり、スイッチング素子のオン時間比率は小さくなる。遅延素子ta151、遅延素子tb152、遅延素子tc153の遅延時間は、例えば、FETのゲートに供給されるクロックのハイレベルの時間が2%ずつ異なるように設定される。遅延素子ta151、遅延素子tb152、遅延素子tc153の遅延時間の設定の仕方については、後述する。
【0024】
ゲート抵抗群140は、抵抗値の異なる複数の抵抗を選択可能に備えている。ここでは、図5に示すゲート抵抗Ra141の抵抗値がゲート抵抗Rb142の抵抗値よりも小さく、ゲート抵抗Rb142の抵抗値がゲート抵抗Rc143の抵抗値よりも小さいものとする。ゲート抵抗Ra141、ゲート抵抗Rb142、ゲート抵抗Rc143の抵抗値は、FETのゲート容量と昇降モータ40のインピーダンス等により決められる。ゲート抵抗Ra141、ゲート抵抗Rb142、ゲート抵抗Rc143の抵抗値は、例えば、抵抗値が10%ずつ異なるように設定される。ゲート抵抗群140は、ゲート抵抗群140を構成する複数の抵抗から一の抵抗を選択されて、発振回路155から供給されたクロックをFET134のゲートに供給する。
【0025】
スイッチング素子群130を構成する複数のFET(FET132およびFET134)それぞれには、FETのドレイン・ソース間の電圧Vds(スイッチング電圧)を計測する電圧計測装置161と、FETを流れる電流Idsを計測する電流計測装置162と、FETの温度を計測する温度計測装置163が設けられている。
【0026】
図6は、スイッチング素子群130の回路例である。スイッチング素子群130を構成するスイッチング素子は、トランジスタもしくはFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)、絶縁ゲート型バイポーラートランジスター(IGTB:Insulated Gate Bipolar Transistor)等で構成される。ここでは、スイッチング素子としてFETを使用する場合を例にして説明する。スイッチング素子群130は、3個並列に接続されたFET132と3個並列に接続されたFET134が直列に接続されて構成されている。端子P1と端子P2間には、コンバータ11が出力する直流電圧が印加される。端子P3は、昇降モータ40に接続される。FET132およびFET134のゲートには、オン時間設定部150とゲート抵抗群140を介して発振回路155が出力したクロックが供給される。FET132およびFET134は、ゲートに供給されたクロックがハイレベルの期間オン状態となり、ローレベルの期間オフ状態となる。
【0027】
図7は、制御ユニット80の物理的なブロック図である。制御ユニット80は、バス85を介して相互接続されるCPU(Central Processing Unit)81、主記憶部82、補助記憶部83、およびインタフェース部84を有するコンピュータである。CPU81は、補助記憶部83に記憶されているプログラムに従って、後述する処理を実行する。主記憶部82は、RAM(Random Access Memory)等を有している。主記憶部82は、CPU81の作業領域として用いられる。補助記憶部83は、ROM(Read Only Memory)、半導体メモリ等の不揮発性メモリを有している。補助記憶部83は、CPU81が実行するプログラム、および各種パラメータなどを記憶している。
【0028】
インタフェース部84は、シリアルインタフェース、パラレルインタフェース、無線LANインタフェースなどを有している。操作パネル36と駆動ユニット91とは、インタフェース部84を介して、CPU81に接続される。また、インタフェース部84には、キーボード、ディスプレイ等で構成された入出力装置93が接続される。
【0029】
図8は、制御ユニット80の機能的なブロック図である。制御ユニット80は、補助記憶部83に記憶されているプログラムを実行することで、インバータ調整装置75の機能を実現する。インバータ調整装置75は、計測データ取得部77、ゲート抵抗決定部78、オン時間比率決定部79を有する。インバータ調整装置75には、上述したオン時間設定部150とゲート抵抗群140が含まれる。
【0030】
計測データ取得部77は、電圧計測装置161と電流計測装置162と温度計測装置163が計測したデータを取得する。
【0031】
ゲート抵抗決定部78は、ゲート抵抗群140を構成する複数の抵抗から一の抵抗を選択する制御を行う。ゲート抵抗決定部78は、電圧計測装置161で計測したFET132およびFET134それぞれのサージ電圧がFET(スイッチング素子)の絶対定格を超えないようにゲート抵抗群140の抵抗を選択する。
【0032】
オン時間比率決定部79は、発熱量計測装置である温度計測装置163で計測したスイッチング素子(FET)それぞれの発熱量の差が所定の範囲以内になるようにスイッチング素子それぞれのオン時間とオフ時間の比率を決定する。オン時間比率決定部79は、オン時間設定部150を構成する遅延素子を選択することで、スイッチング素子それぞれのオン時間とオフ時間の比率を決定する。
【0033】
次に、図9に示されるフローチャートを参照しながら、ゲート抵抗決定処理(ゲート抵抗決定工程)について説明する。下記の制御は、補助記憶部83に記憶されたプログラムに基づいて行われ、制御の主体は制御ユニット80(CPU81)である。初期状態では、ゲート抵抗群140の抵抗は、最も抵抗値の小さいゲート抵抗Ra141が選択されているものとする。
【0034】
電圧計測装置161は、スイッチング素子群130を構成する複数のFETそれぞれのドレイン・ソース間の電圧Vdsの波形データを計測し、インバータ調整装置75に計測値を通知している。計測データ取得部77は、電圧計測装置161が計測した波形データを取得する(ステップS11)。図10は、計測データ取得部77が取得したFETのドレイン・ソース間の電圧Vdsの波形データのイメージ図である。ドレイン・ソース間の電圧Vdsは、図10に破線の〇印で囲んだサージ電圧(オーバーシュート電圧)を有する場合が多い。
【0035】
次に、ゲート抵抗決定部78は、計測データ取得部77が取得したFETのドレイン・ソース間の波形データに基づいて、ゲート抵抗群140の抵抗を決定する(ステップS12)。具体的には、図10に示す電圧Vdsのサージ電圧(オーバーシュート電圧)の最大値Vpeakが、FETの絶対定格にマージンを持たせた基準値を超えないように、ゲート抵抗群140の抵抗を決定する。
【0036】
ここで、図11乃至図14を参照して、ゲート抵抗群140の抵抗値とFETのドレイン・ソース間の電圧Vdsの波形データについて説明する。発振回路155から出力された信号は、ゲート抵抗群140の抵抗を介してFETのゲートに供給される。FETのゲートにハイレベルの信号が印加されると、ゲートの浮遊容量に電荷が蓄積されるにしたがって、ゲート電圧が徐々に上昇する。ゲート電圧の上昇する時定数は、ゲート抵抗の値とゲートの浮遊容量で決まる。ゲート電圧の上昇に伴って、ドレイン・ソース間の電圧Vdsは徐々に低下し、コレクタからエミッタに流れる電流Idsは徐々に増加する。この電流Idsの変化する割合が大きいほど、インバータ13を構成するコイルの特性に起因して、ドレイン・ソース間の電圧Vdsのサージ電圧の最大値(Vpeak)が大きくなる傾向がある。つまり、ゲート電圧が上昇する時定数(ゲート抵抗の値)とサージ電圧の最大値Vpeakとは相関する関係にある。
【0037】
図11は、ゲート抵抗の抵抗値が小さく、ゲート電圧の立ち上がりが急峻である場合のFETのゲート電圧を模式的に示している。この場合、図12に示すように、FETのVdsのサージ電圧の最大値Vpeakが大きくなる傾向がある。図13は、ゲート抵抗の抵抗値が大きく、ゲート電圧の立ち上がりが急峻でない場合のFETのゲート電圧を模式的に示している。この場合、図14に示すように、FETのVdsの最大値Vpeakは、図12に示すサージ電圧の最大値よりも小さくなる。
【0038】
図9に戻り、ゲート抵抗決定部78は、最初、ゲート抵抗群140の中で抵抗値が最も小さいゲート抵抗Ra141を選択している。ゲート抵抗決定部78は、FETの電圧Vdsのサージ電圧の最大値Vpeakが、基準値以上であるか否かを判断する(ステップS13)。基準値は、使用するFETの絶対定格にマージンを持たせた値に設定する。FETの電圧Vdsのサージ電圧の最大値Vpeakが、基準値以上である場合(ステップS13:Yes)、処理はステップS11に戻される。
【0039】
2回目のステップS12の処理では、ゲート抵抗決定部78は、初回のゲート抵抗Ra141の次に抵抗値が大きいゲート抵抗Rb142を選択する。3回目のステップS12の処理では、ゲート抵抗決定部78は、2回目のゲート抵抗Rb142の次に抵抗値が大きいゲート抵抗Rc143を選択する。このように、ゲート抵抗決定部78は、FETのVdsのサージ電圧の最大値Vpeakが基準値未満となるゲート抵抗を選択する。サージ電圧の最大値Vpeakが基準値未満であるゲート抵抗が決まると(ステップS13:No)、ステップS14に移行する。
【0040】
次に、ゲート抵抗決定部78は、すべてのFETのゲート抵抗を決定したか否かを判断する(ステップS14)。すべてのFETについてゲート抵抗の決定処理を終了していない場合(ステップS14:No)、ステップS11にもどり、ゲート抵抗の決定処理がなされていないFETについてステップS11からステップS13の処理がなされる。すべてのFETについてゲート抵抗の決定処理を終了している場合(ステップS14:Yes)、ゲート抵抗決定処理は終了する。
【0041】
次に、図15に示されるフローチャートを参照しながら、オン時間比率決定処理について説明する。下記の制御は、補助記憶部83に記憶されたプログラムに基づいて行われ、制御の主体は制御ユニット80(CPU81)である。初期状態では、ゲート抵抗群140を介してFETに接続されているすべてのオン時間設定部150は、遅延時間が最も小さい遅延素子ta151が選択されているものとする。
【0042】
ここで、FETの発熱量について説明する。図16は、FETのゲートに供給されるクロックである。図17に示す電流Idsは、FETのドレインからソースに流れる電流である。図17に示すVdsは、FETのドレイン・ソース間の電圧である。クロックがハイレベルの時、FETはオン状態となり、ドレイン・ソース間に電流Idsが流れる。図17のtonの期間、FETはオン状態となる。図17のtonの期間における電圧VdsがFETのオン電圧であり、tonの期間における電流IdsがFETのオン電流である。図17のtoffの期間、FETはオフ状態となり、ドレインからソースに流れる電流Idsは零になる。FETの発熱量は、電圧Vdsと電流Idsの積(Vds×Ids)に比例する。したがって、FETは、図17のtoffの期間には発熱しない。
【0043】
図18に示すFETのゲートに供給されるクロックは、図16に示すクロックのオン時間を時間tdだけ短くしている。これにより、図19に示すFETのオン時間tonは、図17に示すFETのオン時間tonよりも時間tdだけ短くなる。つまり、図19に示す波形は、図17に示す波形と比べ、FETのオン時間比率が小さくなっている。FETの発熱量は、FETのオン時間比率が小さいほど小さくなるので、図19に示す場合の発熱量は、図17に示す場合の発熱量より小さくなる。
【0044】
オン時間設定部150において選択された遅延素子の遅延時間が大きいほど、図18及び図19に示す時間tdは大きくなる。よって、オン時間設定部150において選択された遅延素子の遅延時間が大きいほど、FETのオン時間比率が小さくなり、FETの発熱量も小さくなる。
【0045】
図15に戻り、計測データ取得部77は、温度計測装置163が計測した温度データを取得する(ステップS31)。ステップS31は、FET(スイッチング素子)それぞれの発熱量を計測する発熱量計測工程である。次に、オン時間比率決定部79は、並列に接続されたスイッチング素子(FET)の温度差が閾値以下か否かを判断する(ステップS32)。図6に示す例では、並列に接続された3個のFET132の温度差、および、並列に接続された3個のFET134の温度差が閾値以下であるか否かを判断する。本実施形態では、FET132とFET134の温度差を閾値以下にする調整は行わない。
【0046】
一方、並列に接続されたFETの温度差が閾値以下でない場合(ステップS32:No)、オン時間比率決定部79は、最も温度が高いスイッチング素子(FET)に供給されるクロックのオン時間比率を小さくする(ステップS33)。ステップS33は、ステップS31の発熱量計測工程で計測したスイッチング素子それぞれの発熱量の差が所定の範囲以内になるようにスイッチング素子それぞれのオン時間とオフ時間の比率を決定するオン時間比率決定工程である。具体的には、オン時間比率決定部79は、オン時間設定部150の遅延素子を遅延時間が最も小さい遅延素子ta151から次に遅延時間が大きい遅延素子tb152に切り替える制御を行う。オン時間設定部150の遅延素子が遅延素子tb152に変更されると、処理はステップS31に戻される。
【0047】
2回目のステップS33の処理では、遅延素子tb152から次に遅延時間が大きい遅延素子tc153に切り替える制御を行う。ここでは、遅延素子が3種類の場合を例にして説明しているが、遅延素子の種類(数)は限定されることはなく、遅延時間が小さい遅延素子から遅延時間が大きい遅延素子に順次切り替えながら、ステップS31からステップS33の処理が繰り返される。実際に必要となる遅延素子の種類は、FETのオン抵抗のバラツキの程度と許容するFETの発熱量の差などによって決められる。
【0048】
例えば、ステップS32の温度差の閾値を、FETの発熱量の差が1%以下になるように設定したとする。この場合、インバータ13のスイッチング周波数をfsとすると、遅延素子ta151と遅延素子tb152の遅延時間の差を、例えば、(1/(10×fs))となるように設定する。遅延素子をこのように設定することで、遅延素子を切り替えるごとにFETの発熱量を約0.1%変化させることができる。
【0049】
並列に接続されたFETの温度差が閾値以下である場合(ステップS32:Yes)、処理は終了される。
【0050】
図9に示すゲート抵抗決定処理と図15に示すオン時間比率決定処理は、乗りかご31の昇降運転ごとに行われる。
【0051】
以上に説明したように、実施形態1に係るインバータ調整装置は、温度計測装置163(発熱量計測装置)が計測したスイッチング素子それぞれの発熱量の差が所定の範囲以内になるように、スイッチング素子それぞれのオン時間とオフ時間の比率を決定するオン時間比率決定部79を有する。これにより、並列に接続されたスイッチング素子に掛かる負荷のバラツキを低減でき、並列に接続されたスイッチング素子の温度差を低減することができる。よって、並列に接続された複数のスイッチング素子を有するインバータの寿命の低減を抑制することができる。
【0052】
なお、以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態によって限定されるものではない。例えば、上記の説明では、図9に示すゲート抵抗決定処理と図15に示すオン時間比率決定処理が乗りかご31の昇降運転ごとに行われる場合について説明したが、例えば、定期点検ごとに行うようにしてもよい。
【0053】
また、上記の説明では、オン時間設定部150での遅延時間を制御することで、FETのオン時間比率を調整する場合について説明した。しかし、FETのオン時間の調整方法をこれに限定する必要はない。例えば、オン時間の異なる複数種類のクロック作成回路を設け、いずれかのクロックを選択するようにしてもよい。
【0054】
また、上記の説明では、ゲート抵抗の値を変えることによりゲート電圧の立ち上がり速度を調整する場合について説明した。他の方法としては、容量の異なるコンデンサをFETのゲートに配置し、いずれかのコンデンサを選択する、もしくは、並列に接続するコンデンサの組み合わせを変えることで、ゲート電圧の立ち上がり速度を調整してもよい。
【0055】
また、オン時間比率決定処理によってFETのVdsのサージ電圧の最大値Vpeakがほとんど変わらない場合、上述したゲート抵抗決定処理とオン時間比率決定処理は、どちらの処理を先に行ってもよい。
【0056】
(変形例)
実施形態1の説明では、温度計測装置163の計測データに基づいて、FETのオン時間比率を調整する場合について説明した。他の実施形態としては、電圧計測装置161と電流計測装置162の計測データに基づいて、FETのオン時間比率を調整することもできる。変形例では、電圧計測装置161と電流計測装置162が、発熱量計測装置を構成する。電圧計測装置161で計測したFETのドレインとソース間の電圧Vdsと電流計測装置162で計測した電流Idsを掛けた値が、FETで発生する熱となる。したがって、(Vds×Ids)を所定時間積分した値は、温度計測装置163で計測する温度と対応する。所定時間は、例えば、1秒程度に設定する。スイッチング素子それぞれの(Vds×Ids)を積分した値の差が所定の範囲以内になるようにオン時間設定部150を制御することで、並列に接続された複数のスイッチング素子を有するインバータの寿命の低減を抑制することができる。
【0057】
FETの温度変化には所定の時間がかかる。一方、電圧計測装置161と電流計測装置162は、電圧Vdsと電流Idsの瞬時瞬時変化するデータを計測することができる。したがって、実施形態1と比較すると、変形例のほうが短時間でインバータ13の調整を行うことができる場合がある。一方、FETのオン・オフの過渡期間における発熱を考慮すると、(Vds×Ids)を積分した値と実際のFETの温度とが厳密には相関しないことに留意する必要がある。
【0058】
(実施形態2)
実施形態1では、オン時間設定部150の遅延時間を調整することで、FETに掛かる負荷の均一化を図ることにより、複数のスイッチング素子が並列に接続された構成を有するインバータの寿命を長くする方法について説明した。実施形態2では、スイッチング素子を駆動するゲート抵抗を調整することで、FETに掛かる負荷の均一化を図ることにより、複数のスイッチング素子が並列に接続された構成を有するインバータの寿命を長くする方法について説明する。
【0059】
実施形態2に係るインバータ調整装置75では、図4および図5において、オン時間設定部150が削除される。また、図8において、オン時間比率決定部79とオン時間設定部150が削除される。
【0060】
ここで、FETの発熱量について説明する。FETのゲートにハイレベルの信号が印加されると、ベースの浮遊容量に電荷が蓄積されるにしたがって、ベース電圧が徐々に上昇する。ベース電圧の上昇に伴って、コレクタとエミッタ間の電圧Vdsは徐々に低下し、コレクタからエミッタに流れる電流Idsは徐々に増加する。ゲートに印加される信号がローレベルになると、ゲートの浮遊容量に蓄積された電荷が放電されるにしたがって、ゲート電圧が徐々に下降する。ゲート電圧の下降に伴って、ドレイン・ソース間の電圧Vdsは徐々に上昇し、ドレインからソースに流れる電流Idsは徐々に低下する。
【0061】
FETの発熱量は、電圧Vdsと電流Idsの積に比例する。電流Idsが完全に「0」である期間には、FETでの発熱はない。また、FETがオン状態の場合、電圧Vdsの値は小さい(例えば、0.1V)ので、FETでの発熱量は小さい。FETは、オン状態からオフ状態への過渡状態、および、オフ状態からオン状態への過渡状態に、(Vds×Ids)の値が大きくなり、発熱量が大きくなる。
【0062】
ゲート抵抗群140で選択される抵抗値が小さいほど、FETのゲート電圧の立ち上がり及び立ち下がりの変化が急峻となり、FETは、オン状態からオフ状態への過渡状態、および、オフ状態からオン状態への過渡状態の期間が短くなり、FETの発熱量は小さくなる。一方、ゲート抵抗群140で選択される抵抗値が大きいほど、FETのゲート電圧の立ち上がり及び立ち下がりの変化が遅くなり、FETは、オン状態からオフ状態への過渡状態、および、オフ状態からオン状態への過渡状態の期間が長くなり、FETの発熱量は大きくなる。
【0063】
次に、図20に示されるフローチャートを参照しながら、第2のゲート抵抗決定処理について説明する。ここでは、図8などを使用して説明したゲート抵抗の最小値の決定処理を第1のゲート抵抗決定処理と呼ぶこととする。第1のゲート抵抗決定処理の説明は、実施形態1の説明と同じである。ゲート抵抗の最小値は、第1のゲート抵抗決定処理で決定されているものとする。図20に示すステップS51とステップS52についての説明は、実施形態1のステップS31とステップS32の説明と同じである。
【0064】
ゲート抵抗決定部78は、最も温度の低いFETに接続されているゲート抵抗の値を大きくする(ステップS53)。例えば、第1のゲート抵抗決定処理で最も抵抗値が小さいゲート抵抗Ra141が選択されている場合、次に抵抗値が大きいゲート抵抗Rb142を選択する。そして、ステップS51に処理を戻す。
【0065】
2回目のステップS53の処理では、ゲート抵抗Rb142から次に抵抗値が大きいゲート抵抗Rc143に切り替える制御を行う。ここでは、ゲート抵抗の値が3種類の場合を例にして説明しているが、ゲート抵抗の種類は限定されることはなく、順次抵抗値が大きいゲート抵抗に切り替えながら、ステップS51~ステップS53の処理が繰り返して行われる。ステップS51からステップS53の処理を繰り返すことにより、並列に接続されたFETの温度差は閾値以下となる。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施しうるものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1…商用電源
10…エレベータ装置
11…コンバータ
13…インバータ
130…スイッチング素子群
132、134…FET(スイッチング素子)
140…ゲート抵抗群
141…ゲート抵抗Ra
142…ゲート抵抗Rb
143…ゲート抵抗Rc
150…オン時間設定部
151…遅延素子ta
152…遅延素子tb
153…遅延素子tc
155…発振回路
161…電圧計測装置
162…電流計測装置
163…温度計測装置
21~24…ガイドレール
31…乗りかご
31a…開口部
32…扉
36…操作パネル
40…昇降モータ(巻上機)
42…プーリー
43…ワイヤ
44…ケーブル
50…カウンタウエイト
70…制御盤
75…インバータ調整装置
77…計測データ取得部
78…ゲート抵抗決定部
79…オン時間比率決定部
80…制御ユニット
81…CPU
82…主記憶部
83…補助記憶部
84…インタフェース部
85…バス
91…駆動ユニット
93…入出力装置
100…昇降路
【要約】
【課題】並列に接続された複数のスイッチング素子を有するインバータの寿命の低減を抑制する。
【解決手段】実施形態に係るインバータ調整装置は、複数のスイッチング素子を並列に接続して構成されているインバータを調整するための装置である。インバータ調整装置は、発熱量計測装置とオン時間比率決定部とを有する。発熱量計測装置は、スイッチング素子それぞれの発熱量を計測する。オン時間比率決定部は、発熱量計測装置で計測したスイッチング素子それぞれの発熱量の差が所定の範囲以内になるように、スイッチング素子それぞれのオン時間とオフ時間の比率を決定する。
【選択図】図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20