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特許7596512光源ユニットおよび当該光源ユニットが装着された道路照明装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】光源ユニットおよび当該光源ユニットが装着された道路照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21K 9/23 20160101AFI20241202BHJP
   F21S 8/08 20060101ALI20241202BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20241202BHJP
   F21V 3/02 20060101ALI20241202BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20241202BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20241202BHJP
   F21K 9/66 20160101ALI20241202BHJP
   F21V 7/26 20180101ALI20241202BHJP
   F21W 111/02 20060101ALN20241202BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241202BHJP
【FI】
F21K9/23
F21S8/08 110
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V3/02 400
F21V3/00 320
F21V5/04
F21K9/66
F21V5/04 600
F21V5/04 650
F21V7/26
F21W111:02
F21Y115:10
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2023509015
(86)(22)【出願日】2022-03-11
(86)【国際出願番号】 JP2022010884
(87)【国際公開番号】W WO2022202399
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-08-25
(31)【優先権主張番号】P 2021047599
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】小西 正宏
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-099492(JP,A)
【文献】国際公開第2020/137762(WO,A1)
【文献】特開2014-102485(JP,A)
【文献】特開2006-286608(JP,A)
【文献】特開2012-175013(JP,A)
【文献】特開2015-153639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/23
F21S 8/08
F21V 19/00
F21V 3/02
F21V 3/00
F21V 5/04
F21K 9/66
F21V 7/26
F21W 111/02
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板および該基板上に搭載された複数の発光ダイオード素子を有する発光モジュールと、
前記発光モジュールを覆う透光性の配光分布調整部と
を備え、
前記基板は、前記発光ダイオード素子を搭載する面に、蛍光体粒子を含有する蛍光体層を有し、
前記配光分布調整部は、前記基板側から外方に向かって凸形状を有する部分を含み、前記複数の発光ダイオード素子と前記蛍光体層とから離間して、前記複数の発光ダイオード素子と前記蛍光体層とを共通に覆っており、前記発光ダイオード素子の出射光および前記蛍光体層からの発光を拡散させて配光させ、
前記配光分布調整部は、前記基板側から外方に向かって突出する凸曲面を含み、
前記基板が矩形形状を有し、
前記配光分布調整部は、前記発光ダイオード素子の出射光および前記蛍光体層からの発光を射出する射出面が凸曲面であり、
前記基板の長手方向および前記基板の面方向と直交するとともに基板の中心部を通過する平面による断面視において、前記配光分布調整部の前記凸曲面の法線方向の厚みをdとしたとき、凸曲面の端部における厚みdが、前記凸曲面の天頂部における厚みdよりも大きく、
前記天頂部における厚みdをd2とし、前記端部における厚みdをd1としたときの比(d1/d2)が6~16である、光源ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の光源ユニットにおいて、
前記配光分布調整部は、前記発光ダイオード素子の出射光および前記蛍光体層からの発光を射出し、バットウィング型の照度分布に配光する、光源ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光源ユニットにおいて、
前記配光分布調整部は、椀状または半円筒状の形状を有する、光源ユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の光源ユニットにおいて、
前記凸曲面の天頂部から前記凸曲面の端部にかけて、前記厚みdの値が斬増している、光源ユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の光源ユニットにおいて、
前記配光分布調整部は、前記発光ダイオード素子の出射光および前記蛍光体層からの発光を受光する受光面と、受光した当該光を射出する射出面と、を備え、
前記配光分布調整部の前記射出面は、外側に突出する山条部と、前記山条部に隣接して内側に窪む谷条部とからなる凹凸を含む、光源ユニット。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の光源ユニットにおいて、
前記配光分布調整部はシリンドリカルレンズ部を備える、光源ユニット。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載の光源ユニットにおいて、
前記配光分布調整部はフレネルレンズ部を備える、光源ユニット。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の光源ユニットにおいて、
前記発光モジュールが、第1発光モジュールと第2発光モジュールとを含み、
第1発光モジュールと第2発光モジュールは同一平面内に存在せず、
第1発光モジュールにおける前記発光ダイオード素子を搭載する前記基板の素子搭載面の裏面と、第2発光モジュールにおける前記発光ダイオード素子を搭載する前記基板の素子搭載面の裏面とにより形成される角度が0°以上120°以下である、光源ユニット。
【請求項9】
基板および該基板上に搭載された複数の発光ダイオード素子を有する発光モジュールと、
前記発光モジュールを覆う透光性の配光分布調整部と
を備え、
前記基板は、前記発光ダイオード素子を搭載する面に、蛍光体粒子を含有する蛍光体層を有し、
前記発光モジュールが、第1発光モジュールと第2発光モジュールとを含み、
第1発光モジュールと第2発光モジュールは同一平面内に存在せず、
第1発光モジュールの前記発光ダイオード素子の搭載面の裏面と、第2発光モジュールの前記発光ダイオード素子の搭載面の裏面とにより形成される角度が0以上120°以下であり、
前記配光分布調整部は、前記基板側から外方に向かって突出する凸曲面を含み、
前記基板が矩形形状を有し、
前記配光分布調整部は、前記発光ダイオード素子の出射光および前記蛍光体層からの発光を射出する射出面が凸曲面であり、
前記基板の長手方向および前記基板の面方向と直交するとともに基板の中心部を通過する平面による断面視において、前記配光分布調整部の前記凸曲面の法線方向の厚みをdとしたとき、凸曲面の端部における厚みdが、前記凸曲面の天頂部における厚みdよりも大きく、
前記天頂部における厚みdをd2とし、前記端部における厚みdをd1としたときの比(d1/d2)が6~16である
光源ユニット。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の光源ユニットにおいて、
前記光源ユニットは、
前記基板の発光ダイオード素子を搭載する面と反対面側に、ヒートシンクを備える、光源ユニット。
【請求項11】
請求項10に記載の光源ユニットにおいて、
前記光源ユニットは、冷却ファンを備える、光源ユニット。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の光源ユニットにおいて、
前記蛍光体粒子が、CASN系蛍光体、SCASN系蛍光体、LaSi11系蛍光体、SrSi系蛍光体、BaSi系蛍光体、α型サイアロン系蛍光体、β型サイアロン系蛍光体、LuAG系蛍光体およびYAG系蛍光体からなる群より選ばれる1または2以上を含む、光源ユニット。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の光源ユニットにおいて、
前記蛍光体粒子のメジアン径D50は1μm以上20μm以下である、光源ユニット。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の光源ユニットにおいて、
前記蛍光体層の厚みが150μm以下である、光源ユニット。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載の光源ユニットにおいて、
前記蛍光体層は、可視光に対して透明である透明樹脂と、前記透明樹脂中に分散する前記蛍光体粒子と、を含む、光源ユニット。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載の光源ユニットにおいて、
前記蛍光体層は、蛍光体塗料の硬化物であり、
前記蛍光体塗料は、
蛍光体粒子と、硬化性樹脂成分とを含む、光源ユニット。
【請求項17】
請求項16に記載の光源ユニットにおいて、
前記硬化性樹脂成分は、シリコーン樹脂および(メタ)アクリレートモノマーからなる群より選ばれる1または2以上を含む、光源ユニット。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項に記載の光源ユニットにおいて、
道路の照明に用いられる、光源ユニット。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか1項に記載の光源ユニットにおいて、
前記発光ダイオード素子の発光を励起光としたときの前記蛍光体粒子の蛍光ピーク波長をλ1とし、前記発光ダイオード素子の発光波長をλ2としたとき、λ1とλ2の差の絶対値Δλの値が50nm以下である、光源ユニット。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項に記載の光源ユニットにおいて、
前記発光モジュールを備える本体を備え、
前記配光分布調整部が、前記本体に対して脱着可能である、光源ユニット。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか1項に記載の光源ユニットにおいて、
道路照明装置の筐体に対して取り外し可能に装着するための取り付け部を有する、光源ユニット。
【請求項22】
筐体と、前記筐体内に収容された光源ユニットとを備える道路照明装置であって、
前記筐体は、
前記光源ユニットから出射される光を透過させる窓部と、
前記光源ユニットを装着する光源ユニット装着部と
を有し、
前記光源ユニットは、請求項21に記載の光源ユニットであり、
前記光源ユニットは、前記光源ユニット装着部に取り外し可能に装着されている、
道路照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源ユニット、および周辺領域に照射光を照射する当該光源ユニットが装着された道路照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車道や歩道などの道路の路面を照明する道路照明装置では、光源として、蛍光ランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプなどのランプが広く用いられている。これらのランプは、ランプからの光をドーム型の反射鏡で反射させて、道路などの広い照明領域を十分な明るさで照明することができる。一方で、消費電力も大きく、寿命も比較的短い。近年では、これらの光源に代わり、消費電力が小さく、寿命も長いLEDが用いられてきている(特許文献1)。
【0003】
図1に示すように、道路照明装置100は、道路に沿って所定の間隔を開けて配置される。安全性の観点から道路を均等に照明し、さらに道路照明装置100の設置個数を抑えるためには、照明光の照明範囲をできるだけ広くすることが好ましい。例えば、図1に示すように、照明角度αを60゜~65°に設定することにより、照明範囲を直下領域aおよびその周辺領域bとすることができる。
LED照明を用いた道路照明装置に係る従来技術として特許文献2には、LEDと反射面を有するLEDユニットを複数備える道路照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-99492号公報
【文献】特開2012-114001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載の従来技術は以下の課題を有していた。
特許文献2においては、所望の配光を実現するためには道路照明装置全体を取り替える必要があり、コストと労力を要するという問題があった。また、LEDユニットから出射した光のうち多くの部分が道路照明に寄与せず、照明効率が低いという問題があった。さらに、近年では、道路照明に求められる水準がより高くなっており、道路全体を均一に照明できる配光特性がより強く求められるようになってきている。
以上を踏まえ、本発明は、照明効率が高く、道路全体を均一に照明できる配光となるように照射できる光源ユニットを提供すること、さらに、当該光源ユニットを備える道路照明装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、道路照明装置に装着されるLEDユニットにおいて、複数のLED素子が搭載された蛍光体基板を用い、さらに当該蛍光体基板を覆う透光性のカバーを所定の形状とすることにより前述の課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
さらに、蛍光体基板を複数とし、これらの基板を所定の角度で設置することで前述の課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下に示すことができる。
【0007】
[1] 基板および該基板上に搭載された複数の発光ダイオード素子を有する発光モジュールと、
前記発光モジュールを覆う透光性の配光分布調整部と
を備え、
前記基板は、前記発光ダイオード素子を搭載する面に、蛍光体粒子を含有する蛍光体層を有し、
前記配光分布調整部は、前記基板側から外方に向かって凸形状を有する部分を含み、前記複数の発光ダイオード素子と前記蛍光体層とから離間して、前記複数の発光ダイオード素子と前記蛍光体層とを共通に覆っており、前記発光ダイオード素子の出射光および前記蛍光体層からの発光を拡散させて配光させる、光源ユニット。
[2] [1]に記載の光源ユニットにおいて、
前記配光分布調整部は、前記発光ダイオード素子の出射光および前記蛍光体層からの発光を射出し、バットウィング型の照度分布に配光する、光源ユニット。
[3] [1]または[2]に記載の光源ユニットにおいて、
前記配光分布調整部は、前記基板側から外方に向かって突出する凸曲面を含む、光源ユニット。
[4] [3]に記載の光源ユニットにおいて、
前記配光分布調整部は、椀状または半円筒状の形状を有する、光源ユニット。
[5] [3]または[4]に記載の光源ユニットにおいて、
前記基板が矩形形状を有し、
前記配光分布調整部は、前記発光ダイオード素子の出射光および前記蛍光体層からの発光を射出する射出面が凸曲面であり、
前記基板の長手方向および前記基板の面方向と直交するとともに基板の中心部を通過する平面による断面視において、前記配光分布調整部の前記凸曲面の法線方向の厚みをdとしたとき、凸曲面の端部における厚みdが、前記凸曲面の天頂部における厚みdよりも大きい、光源ユニット。
[6] [5]に記載の光源ユニットにおいて、
前記凸曲面の天頂部から前記凸曲面の端部にかけて、前記厚みdの値が斬増している、光源ユニット。
[7] [1]に記載の光源ユニットにおいて、
前記配光分布調整部は、前記発光ダイオード素子の出射光および前記蛍光体層からの発光を受光する受光面と、受光した当該光を射出する射出面と、を備え、
前記配光分布調整部の前記射出面は、外側に突出する山条部と、前記山条部に隣接して内側に窪む谷条部とからなる凹凸を含む、光源ユニット。
[8] [1]に記載の光源ユニットにおいて、
前記配光分布調整部はシリンドリカルレンズ部を備える、光源ユニット。
[9] [1]に記載の光源ユニットにおいて、
前記配光分布調整部はフレネルレンズ部を備える、光源ユニット。
[10] [1]~[9]のいずれかに記載の光源ユニットにおいて、
前記発光モジュールが、第1発光モジュールと第2発光モジュールとを含み、
第1発光モジュールと第2発光モジュールは同一平面内に存在せず、
第1発光モジュールにおける前記発光ダイオード素子を搭載する前記基板の素子搭載面の裏面と、第2発光モジュールにおける前記発光ダイオード素子を搭載する前記基板の素子搭載面の裏面とにより形成される角度が0°以上120°以下である、光源ユニット。
[11] 基板および該基板上に搭載された複数の発光ダイオード素子を有する発光モジュールと、
前記発光モジュールを覆う透光性の配光分布調整部と
を備え、
前記基板は、前記発光ダイオード素子を搭載する面に、蛍光体粒子を含有する蛍光体層を有し、
前記発光モジュールが、第1発光モジュールと第2発光モジュールとを含み、
第1発光モジュールと第2発光モジュールは同一平面内に存在せず、
第1発光モジュールの前記発光ダイオード素子の搭載面の裏面と、第2発光モジュールの前記発光ダイオード素子の搭載面の裏面とにより形成される角度が0以上120°以下である、光源ユニット。
[12] [1]~[11]のいずれかに記載の光源ユニットにおいて、
前記光源ユニットは、
前記基板の発光ダイオード素子を搭載する面と反対面側に、ヒートシンクを備える、光源ユニット。
[13] [12に記載の光源ユニットにおいて、
前記光源ユニットは、冷却ファンを備える、光源ユニット。
[14] [1]~[13]のいずれかに記載の光源ユニットにおいて、
前記蛍光体粒子が、CASN系蛍光体、SCASN系蛍光体、LaSi11系蛍光体、SrSi系蛍光体、BaSi系蛍光体、α型サイアロン系蛍光体、β型サイアロン系蛍光体、LuAG系蛍光体およびYAG系蛍光体からなる群より選ばれる1または2以上を含む、光源ユニット。
[15] [1]~[14]のいずれかに記載の光源ユニットにおいて、
前記蛍光体粒子のメジアン径D50は1μm以上20μm以下である、光源ユニット。
[16] [1]~[15]のいずれかに記載の光源ユニットにおいて、
前記蛍光体層の厚みが150μm以下である、光源ユニット。
[17] [1]~[16]のいずれかに記載の光源ユニットにおいて、
前記蛍光体層は、可視光に対して透明である透明樹脂と、前記透明樹脂中に分散する前記蛍光体粒子と、を含む、光源ユニット。
[18] [1]~[17]のいずれかに記載の光源ユニットにおいて、
前記蛍光体層は、蛍光体塗料の硬化物であり、
前記蛍光体塗料は、
蛍光体粒子と、硬化性樹脂成分とを含む、光源ユニット。
[19] [18]に記載の光源ユニットにおいて、
前記硬化性樹脂成分は、シリコーン樹脂および(メタ)アクリレートモノマーからなる群より選ばれる1または2以上を含む、光源ユニット。
[20] [1]~[19]のいずれかに記載の光源ユニットにおいて、
道路の照明に用いられる、光源ユニット。
[21] [1]~[20]のいずれかに記載の光源ユニットにおいて、
前記発光ダイオード素子の発光を励起光としたときの前記蛍光体粒子の蛍光ピーク波長をλ1とし、前記発光ダイオード素子の発光波長をλ2としたとき、λ1とλ2の差の絶対値Δλの値が50nm以下である、光源ユニット。
[22] [1]~[21]のいずれかに記載の光源ユニットにおいて、
前記発光モジュールを備える本体を備え、
前記配光分布調整部が、前記本体に対して脱着可能である、光源ユニット。
[23] [1]~[22]のいずれかに記載の光源ユニットにおいて、
道路照明装置の筐体に対して取り外し可能に装着するための取り付け部を有する、光源ユニット。
[24] 筐体と、前記筐体内に収容された光源ユニットとを備える道路照明装置であって、
前記筐体は、
前記光源ユニットから出射される光を透過させる窓部と、
前記光源ユニットを装着する光源ユニット装着部と
を有し、
前記光源ユニットは、[23]に記載の光源ユニットであり、
前記光源ユニットは、前記光源ユニット装着部に取り外し可能に装着されている、
道路照明装置。
【0008】
本発明の光源ユニットおよび道路照明装置は、蛍光体層を備える基板と、特定の形状を有し発光ダイオード素子の出射光および前記蛍光体層からの発光を拡散させて配光させる特性を有する配光分布調整部とを備えている。蛍光体層は、発光ダイオード素子から照射方向と逆側の後方に向かって出射した光を吸収し、かかる光を励起光として蛍光を発する。蛍光および発光ダイオード素子の出射光からなる出射光束は様々な方向の成分を含んでおり、このままでは高い照明効率を実現することは困難である。そこで本発明においては、蛍光および発光ダイオード素子の出射光を、上記形状および上記特性を有する配光分布調整部を経由して外方に出射する構成としている。このように本発明によれば、蛍光体基板と、発光モジュールを覆う透光性の配光分布調整部との相乗作用により、高い照明効率と、道路全体を均一に照明する配光特性とを実現できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、照明効率が高く所望の配光となるように照射できる光源ユニットを提供することができ、さらに、当該光源ユニットを備える道路照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の道路照明装置が配置される状況を示す側面図である。
図2】本実施形態の道路照明装置が配置される状況を示す上面図である。
図3】本実施形態の道路照明装置を下方から見た底面図である。
図4図3の道路照明装置のA-A’線断面図である。
図5】本実施形態の道路照明装置を上方から見た平面図である。
図6】本実施形態の道路照明装置の側面図である。
図7】本実施形態の光源ユニットの斜視図である。
図8】本実施形態の光源ユニットにおける配光分布調整部を取り外した形態を示す斜視図である。
図9】はバットウィング型の照度分布を示すグラフである。
図10】(a)は半円筒状の配光分布調整部(シリンドリカルレンズ)の斜視図であり、(b)はそのB-B’線断面図である。
図11】(a)は半円筒状の配光分布調整部(シリンドリカルレンズ)の上面図であり、(b)は側面図である。
図12】(a)は椀形の配光分布調整部の斜視図であり、(b)はそのC-C’線断面図である。
図13】他の形態の配光分布調整部の断面図である。
図14】他の形態の配光分布調整部(フレネルレンズ)の断面図である。
図15】半円筒状の配光分布調整部(フレネルレンズ)の斜視図である。
図16】他の形態の半円筒状の配光分布調整部(フレネルレンズ)の斜視図である。
図17】第1の実施形態における発光モジュールの位置関係を示す斜視図である。
図18】第1の実施形態における発光モジュールの位置関係を示す斜視図である。
図19】第1の実施形態における発光モジュールの上面図である。
図20】第1の実施形態の発光モジュールの一形態である発光基板の部分断面図である。
図21】第1の実施形態の発光基板の発光動作を説明するための図である。
図22】第1の実施形態の発光モジュールの効果を説明する図である。
図23】(a)は第2の実施形態の光源ユニットにおける2つの発光モジュールの角度を示す断面図であり、(b)2つの発光モジュールが角度0°で配置される状態を示す断面図である。
図24】第2の実施形態の発光モジュールの効果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
[第1実施形態]
本実施形態に係る道路照明装置の好適な実施形態について、図面を用いて説明する。
道路照明装置100が配置される状況を図1及び図2に示す。図1は、道路灯の側面図を示し、図2は上面図を示す。図1に示すように、各道路照明装置100は支柱Pにより支持される。図1を参照してすでに説明したように、照明角度α=60゜~65゜に設定され、照明範囲は、道路照明装置100の下方領域aと周辺領域bが含まれる。
【0013】
図3は、道路照明装置100を下方から見た底面図である。図4は、図3のA-A’線断面図である。図5は、道路照明装置100を上方から見た平面図である。図6は、道路照明装置100の側面図である。
【0014】
図3に示すように、道路照明装置100は、筐体と、前記筐体内に収容された光源ユニット10とを備える。
図3、5、6に示すように、筐体は、下側本体ケース101と、上側本体ケース102とからなる。これらを結合することで、図4に示すように、内部に光源ユニット10を収容する空間aを形成している。図6に示すように、上側本体ケース102は、更に、前側に位置する第1ケース部分102aと、後側に位置する第2ケース部分102bにより構成される。図3において、左側が道路側を向き、右側に支柱結合部103が設けられる。
【0015】
下側本体ケース101の内部の支柱結合部103側に、図示しないねじ孔(光源ユニット装着部)が設けられており、当該ねじ孔に図7等に示される光源ユニット10のねじ部18aを螺合することにより光源ユニット10を下側本体ケース101に取り外し可能に装着される。図3および図4に示すように、下側本体ケース101の下面101bには、窓部104を備え、光源ユニット10からの光を道路面に照射できる。窓部104はガラスまたは樹脂から構成することができる。下側本体ケース101の側面には、放熱用の溝101aが多数形成されている。
【0016】
[光源ユニット]
本実施形態の光源ユニット10は、図7図8に示すように、発光モジュール12と、発光モジュール12を備える略円筒状の本体11と、この本体11に脱着可能に設けられた配光分布調整部14とを備える。本体11は、胴部18と、胴部18の一方の端部に設けられた冷却ファン19とを備える。なお、冷却ファン19からの風量(風の通り)確保するため、通常、冷却ファン19はカバー(不図示)で覆われる。
図8に示すように、胴部18は略円筒状であり、長手方向の中央部に径方向内側に凹んだ部分を有している。凹んだ部分の底面が平面を構成しており、この底面に発光モジュール12が実装(固定)されている。
胴部18は内部空間を備え、図23に示すようにその内部空間にヒートシンク16を備える。ヒートシンク16は複数のフィンを備えており、発光モジュール12の蛍光体基板と接している。さらに、当該内部空間には電源駆動回路や温度センサを備えており、駆動回路が冷却ファン19の駆動制御を行うことで、光源ユニット10の内部を所望の温度範囲に制御できる。
【0017】
駆動回路は、LEDドライバICやコンデンサ等を備え、スイッチング動作で駆動素子Qのオンデューティ(オフデューティ)をPWM(Pulse Width Modulation)制御することで、LEDチップに流れる電流を所望の値に制御する。
【0018】
図7図8に示すように、配光分布調整部14は、本体11(胴部18)に対して脱着可能に取り付けられており、所望の配光となるように配光分布調整部14を交換することができる。このため、発光モジュール12を備える本体11の部品交換や配光分布調整部14の交換が容易となる。また、一種類の発光モジュール12を備える本体11と、配光特性の異なる複数種類の配光分布調整部14とからなるセットとし、適用する場所に応じて適切な配光分布調整部14を選択して所望の配光特性を実現することもできる。
【0019】
本実施形態の光源ユニット10は、発光モジュール12を備える本体11と、配光特性の異なる複数種の配光分布調整部14とからなる光源ユニットセットとして流通させることができる。道路照明装置100が設けられた環境に応じて、光源ユニットセットから1種の配光分布調整部14を選択し、選択された配光分布調整部14を発光モジュール12を備える本体11に取り付けて光源ユニット10とし、この光源ユニット10を道路照明装置100の光源として装着することができる。これにより、道路照明装置100が設けられた環境に応じた所望の配光特性を実現することもできる。
【0020】
光源ユニット10の本体11に対して配光分布調整部14を脱着可能に構成する具体的手段としては、種々の態様が考えられる。本実施形態では、配光分布調整部14に爪部(不図示)が設けられ、光源ユニット10の胴部18に切り欠き部、凹部または突起部からなる係合部(不図示)が設けられており、前記係合部に前記爪部が係合するように構成されている。
【0021】
胴部18は樹脂または金属から構成することができる。
胴部18は、一方の端部にねじ部(取り付け部)18aを備える。ねじ部18aは、例えばアルミダイキャストで形成されている。
【0022】
下側本体ケース101の内部には、支柱結合部103側にねじ孔が設けられており、当該ねじ孔にねじ部18aを螺合することにより光源ユニット10を下側本体ケース101に取り外し可能に装着することができ、さらに、螺合されたねじ部18aを介して発光モジュール12が電気的に接続される。
【0023】
特許文献2等の従来技術においては、所望の配光を実現するためには道路照明装置全体を取り替える必要があり、コストと労力を要するという問題があった。本実施形態のような光源ユニット10によれば、既存の道路照明装置に用いられている光源(より具体的には配光分布調整部14)を交換するだけで所望の配光を実現することができ、コストと労力を削減することができる。
【0024】
なお、放熱手段として放熱フィンを例示したが、その他に放熱開口や放熱スリットがある。必要とされる放熱性能や騒音性能等に基づき、適宜最適な放熱手段が用いられる。
【0025】
[配光分布調整部]
配光分布調整部14は、図8に示すように、発光モジュール12を覆うように装着され、発光モジュール12側から外方に向かって凸形状を有する。すなわち、配光分布調整部14の外面が、発光モジュール12側から外方に向かって突出する形状となっている。配光分布調整部14の外面と内面の関係は任意であるが、後述する図10図14に示すような、いわゆる凹レンズ形状(例えば内面が凹レンズ形状で外面が凸レンズ形状で端部側が厚くなった凹メニスカスレンズ形状)となっていることが好ましい。こうすることにより、発光モジュール12からの出射光を拡散して外方に出射(照射)することができる。
【0026】
配光分布調整部14の形状としては、ドーム形状、シリンドリカル形状、フレネルレンズ形状等の湾曲形状が挙げられる。
【0027】
配光分布調整部14は、発光モジュール12の出射光等を受光し、受光した当該光を外部に射出する。配光分布調整部14としては、透明カバー、透明レンズ等を挙げることができる。なお、本実施形態の配光分布調整部14は、複数の発光ダイオード素子と蛍光体層とから離間して、発光モジュール12全体(すなわち複数の発光ダイオード素子と蛍光体層とを共通)に覆う構成を呈しており、樹脂等によりそれぞれの発光ダイオード素子を覆うように設けられる光学系構造とは異なる。
配光分布調整部14は発光ダイオード素子(LED等)の出射波長に対して透明な材料から構成することができる。透明な当該材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ガラス等を挙げることができ、発光ダイオード素子の発熱による光源ユニット10内部の温度上昇に耐えうるように高耐熱性であることが好ましい。
【0028】
また、成形加工性の観点から熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂であることが好ましく、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリスルホン、ポリアリルスルホン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエーテルアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリルエーテルケトン、ポリアミドイミド、液晶性ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン等を挙げることができる。配光分布調整部14は、拡散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を含むことができる。
配光分布調整部14が樹脂からなる場合、射出成型、圧縮成形、トランスファー成形、注型成形等で製造することができる。
【0029】
本実施形態においては、配光分布調整部14の射出面の表面にコート層を備えることができる。当該コート層としては、ハードコート層、反射防止層、防汚染層等を挙げることができ、単層または2層以上の積層とすることができる。
【0030】
配光分布調整部14は、発光ダイオード素子の出射光および蛍光体層からの発光を射出し、図9に示すような、バットウィング型の照度分布に配光することができる。
【0031】
バットウィング型の照度分布によれば、道路照明装置100の真下方向に出射される光量を抑制して斜め方向に出射される光量を増やすことで、配光を広げ、被照明面(すなわち道路)における輝度ムラを抑制することができる。
【0032】
ここでバットウィング配光特性とは、図9に示すように、光軸Lを0°として、0°よりも配光角の絶対値が大きい角度において0°よりも発光強度が強い発光強度分布を有するものと定義される。なお、光軸Lとは、発光モジュール12の中心を通り、後述する基板の平面と直交する線で定義されるものとする。
【0033】
配光分布調整部14の形状は、バットウィング型の照度分布に配光することができれば特に限定されないが、発光モジュール12側から外方に向かって突出する凸曲面を含むことができ、図10に示されるような半円筒状の形状、図12に示すような椀状の形状等を挙げることができる。
【0034】
図10(a)に配光分布調整部14の斜視図を示し、図10(b)に図10(a)のB-B’線断面図を示し、図11(a)に上面図を示し、図11(b)に側面図を示す。
図10に示すように、配光分布調整部14は、発光ダイオード素子の出射光および蛍光体層からの発光を受光する受光面14aと、受光した当該光を射出する射出面14bと、を備える。配光分布調整部14は、図示下側(すなわち発光モジュール12側)が開放している。配光分布調整部14は、発光モジュール12を覆うように、開放した端部を介してヒートシンク16に取り付けられる。射出面14bの曲率半径は、42mm程度とすることができる。
【0035】
射出面14bは、発光モジュール12側から照明対象となる道路面側に向かって突出する凸曲面であり、発光ダイオード素子の出射光および前記蛍光体層からの発光を拡散させて配光させるように構成されている。
【0036】
図11(a)の配光分布調整部14の上面図に示すように、一例として、配光分布調整部14の長手方向の長さ14aを192mm程度、長さ14bを100mm程度、長さ14cを46mm程度、短手方向の長さ14dを85mm程度、長さ14eを50mm程度、長さ14f(端部aの幅)を17.5mm程度とすることができる。
図11(b)の配光分布調整部14の側面図に示すように、一例として、配光分布調整部14の高さ14gを21mm程度とすることができる。
【0037】
また、配光分布調整部14は、図12(a)に示すように椀形の形状であってもよい。図12(b)に図12(a)のC-C’線断面図を示すように、発光ダイオード素子の出射光および蛍光体層からの発光を受光する受光面14aと、受光した当該光を射出する射出面14bと、を備える。
【0038】
図10または図12の配光分布調整部14が、矩形形状の基板を備える光源ユニット10を覆う場合、前記基板の長手方向および前記基板の面方向と直交するとともに基板の中心部を通過する平面による断面視(すなわち、図10(b)または図12(b))において、配光分布調整部14の射出面14b(凸曲面)の法線方向の厚みをdとしたとき、射出面14bの端部aにおける厚みd1が、射出面14bの天頂部bにおける厚みd2よりも大きく、さらに射出面14bの天頂部bから射出面14bの端部aにかけて、厚みdの値が斬増していることが好ましい。
【0039】
天頂部bにおける厚みd2に対する端部aにおける厚みd1の比(d1/d2)は、良好な配光特性を実現する観点から、下限値を6以上、好ましくは8以上とすることができ、上限値を10以下、好ましくは16以下とすることができる。
端部aにおける厚みd1は、良好な配光特性を実現する観点から、下限値を8mm以上、好ましくは10mm以上とすることができ、上限値を30mm以下、好ましくは25mm以下とすることができる。
天頂部bにおける厚みd2は、良好な配光特性を実現する観点から、下限値を0.5mm以上、好ましくは1mm以上とすることができ、上限値を5mm以下、好ましくは3mm以下とすることができる。
【0040】
本実施形態の光源ユニット10は、配光分布調整部14の材質を適切に選択し、さらに各部の厚みやその比を含めた全体の形状を調整することにより、発光ダイオード素子の出射光および前記蛍光体層からの発光を射出し、図9に示すような、バットウィング型の照度分布に配光することができる。
【0041】
本実施形態の道路照明装置100を、車両用の道路照明に用いる場合、車両側への光の拡散を抑える観点から、配光分布調整部14は、図10に示すように、短手方向の端部a(本体11に接続される端部)にシリンドリカルレンズ部を含んでいてもよい。シリンドリカルレンズ部は全体を樹脂等で形成されてもよく、内部が空洞であってもよい。
本実施形態において、長手方向とは、略円筒状の本体11の軸方向を意味し、短手方向とは、長手方向に直交する方向を意味する。
シリンドリカルレンズとは、円柱を軸方向に割った形状で、一方は曲率を有する面で、他方は曲率を有さない面から構成されるレンズである。
【0042】
また、図10,11に記載の配光分布調整部14は、図13に断面図を示すように、射出面14bに、外側に突出するとともに、射出面14bの長手方向または周方向に沿って延びる山条部14b-1と、山条部14b-1に隣接して設けられ、内側に窪むとともに、射出面14bの長手方向または周方向に沿って延びる谷条部14b-2とからなる凹凸を含む構成とすることができる。
また、図14に断面図を示すように、短手方向の端部(本体11に接続される端部)にフレネルレンズ部を含んでいてもよい。
フレネルレンズとは、レンズ面(端部のシリンドリカルレンズ部)を、同心円状等に厚みを減らすように加工したレンズであり、山形形状のプリズムが階段状に形成された構造を有する。また、前記山形形状のプリズムは、光の進行方向を変えることができる。
【0043】
フレネルレンズ部を含む配光分布調整部14の例を、図15または図16に斜視図として示す。図15に示す配光分布調整部14は、図10のシリンドリカルレンズ部に変えてフレネルレンズ部を備える。図15に示される配光分布調整部14のB-B'線断面図は、図14の断面図と同様である。図16に示す配光分布調整部14は、長手方向全体にフレネルレンズ部を備える。
【0044】
[発光モジュール]
本実施形態の光源ユニット10は、図8に示すように、矩形状の発光モジュール12を備える。なお、発光モジュール12の形状は特に限定されず様々な形状を採用することができる。
【0045】
また、本実施形態においては発光モジュール10を複数設けることもでき、複数の発光モジュール10の設置位置を変更してバッドウィング配光をより好適に実現することができる。
例えば、図17に示すように、第1発光モジュール12aと第2発光モジュール12bとからなる発光モジュール12とし、第1発光モジュール12aと第2発光モジュール12bとを光源ユニット10の短手方向に沿って並べてもよく、図18に示すように長手方向に沿って並べてもよい。
【0046】
広範囲に配光しバッドウィング配光を実現する観点から、図18に示すように、第1発光モジュール12aと第2発光モジュール12bとを基板の長手方向に沿って並べることが好ましい。
【0047】
[発光モジュールの構成]
発光モジュール12は、図19に示すように、蛍光体基板30、および蛍光体基板30上に搭載された複数の発光ダイオード素子(LEDチップ)20を有する。そして、蛍光体基板30は、基板と当該基板の発光ダイオード素子20を搭載する面に、蛍光体粒子を含有する蛍光体層を有する。
【0048】
蛍光体基板を構成する基板は絶縁基板であり、上面視で矩形を呈している。矩形の基板上に複数のLEDチップが格子状に配置されている。
【0049】
図20および図21を参照して、発光ダイオード素子20の具体的な構造を説明する。図20は、発光ダイオード素子20の具体的構造を示す発光モジュール12の部分断面図である。
【0050】
<発光ダイオード素子>
図20に示すように、発光ダイオード素子20は、それぞれ、フリップチップLED22(以下、単に「LED22」という。)が組み込まれたCSP(Chip Scale Package)とされている。一つまたは複数の発光ダイオード素子20は、蛍光体基板30の表面31(一面の一例)に配置される。なお、発光ダイオード素子20が発光する光の相関色温度は、例えば3,018Kである。
【0051】
また、発光ダイオード素子20は、発光動作時に、例えば上述した冷却ファン19付きヒートシンク16を用いることで、蛍光体基板30を一例として常温から50℃~100℃の範囲に収まるように放熱(冷却)される。
【0052】
ここで、本明細書で数値範囲に使用する「~」の意味について補足すると、例えば「50℃~100℃」は「50℃以上100℃以下」を意味する。そして、本明細書で数値範囲に使用する「~」は、「『~』の前の記載部分以上『~』の後の記載部分以下」を意味する。
【0053】
<発光ダイオード素子の配置>
発光ダイオード素子20は、蛍光体基板30上に複数設けられていることが好ましい。発光ダイオード素子20は、蛍光体基板30上に、アレイ状またマトリクス状に配置されていることが好ましい。
アレイ状とは、一直線状、ジグザグ状等を挙げることができる。マトリクス状とは、図19に示すような格子状の配置、正方格子、千鳥格子、斜方格子等を挙げることができる。
本実施形態においては、発光モジュール12から均一な射出光を得る観点から発光ダイオード素子20が図19に示すような格子状で配置されることか好ましい。
【0054】
<蛍光体基板>
図20に示すように、実施形態の蛍光体基板30は、絶縁層32(絶縁基板の一例)と、その表面に設けられた、電極層34および蛍光体層36とを備える。蛍光体基板30における上記表面と反対側面には、裏面パターン層(図示せず)を備えていてもよい。蛍光体層36は、一例として、絶縁層32の表面32a及び電極層34の表面34aに配置されており、後述する複数の電極対34Aの表面以外の部分に配置されている。
【0055】
なお、本実施形態の蛍光体基板30は、絶縁板の両面に銅箔層が設けられた両面板(以下、「マザーボードMB」という)を加工(エッチング等)して製造されるが、マザーボードMBとしては、一例として利昌工業株式会社製のCS-3305Aが用いられる。
【0056】
<絶縁層>
以下、本実施形態の絶縁層32の主な特徴について説明する。
形状は、前述のとおり、一例として表面31側及び裏面33側から見て矩形である。
材質は、一例としてビスマレイミド樹脂及びガラスクロスを含む絶縁材である。
厚みは、一例として100μm~200μmである。
縦方向及び横方向の熱膨張係数(CTE)は、それぞれ、一例として、50℃~100℃の範囲において10ppm/℃以下である。また、別の見方をすると、縦方向及び横方向の熱膨張係数(CTE)は、それぞれ、一例として、6ppm/℃である。この値は、本実施形態の発光ダイオード素子20の場合とほぼ同等(90%~110%、すなわち±10%以内)である。
ガラス転移温度は、一例として、300℃よりも高い。
貯蔵弾性率は、一例として、100℃~300℃の範囲において、1.0×1010Paよりも大きく1.0×1011Paよりも小さい。
【0057】
<電極層>
本実施形態の電極層34は、絶縁層32の表面31側に設けられた金属層である。本実施形態の電極層34は一例として銅箔層(Cu製の層)である。別言すれば、電極層34は、少なくともその表面が銅を含む。
【0058】
電極層34は、絶縁層32に設けられたパターンとされ、コネクタ(図示省略)が接合される端子(図示省略)と導通している。そして、電極層34は、リード線の直付けにより又はコネクタを介して外部電源(例えば、駆動回路)から給電された電力を、発光モジュール12の構成時の発光ダイオード素子20に供給する。発光ダイオード素子20が複数の場合には、電極層34の一部は、複数の発光ダイオード素子20がそれぞれ接合される複数の電極対34Aとされている。図示のように、一例として、複数の電極対34Aは、配線部分34Bよりも絶縁層32(蛍光体基板30)の厚み方向外側に突出している。
【0059】
なお、絶縁層32の表面32aにおける電極層34が配置されている領域(電極層34の専有面積)は、一例として、絶縁層32の表面31の60%以上の領域である。
本実施形態の蛍光体基板30は、発光ダイオード素子20への電力供給の観点から、電極層34を備えることが好ましい。
【0060】
<蛍光体層>
本実施形態の蛍光体層36は、一例として、絶縁層32の表面32a及び電極層34の表面34aに配置されており、複数の電極対34Aの表面以外の部分に配置されている。そして、本実施形態では、絶縁層32の表面31における蛍光体層36が配置されている領域は、一例として、絶縁層32の表面31における80%以上の領域である。
【0061】
本実施形態の蛍光体層36は、一例として、後述する蛍光体と有機バインダー樹脂とを含む絶縁層である。蛍光体層36に含まれる蛍光体は、有機バインダー樹脂に分散された状態で保持されている微粒子であって、各発光ダイオード素子20の発光を励起光として励起する性質を有する。具体的には、本実施形態の蛍光体は、発光ダイオード素子20の発光を励起光としたときの発光ピーク波長が可視光領域にある性質を有する。
蛍光体層36は蛍光体塗料を硬化することで得ることができる。
【0062】
<蛍光体塗料>
本実施形態の蛍光体塗料は、蛍光体粒子と硬化性樹脂成分とを含む。
本実施形態の蛍光体塗料の全不揮発成分中の蛍光体粒子の含有率は、25vol%以上60vol%以下である。
【0063】
本実施形態の蛍光体塗料は、ガラスバインダーではなく硬化性の「樹脂成分」を含む。このことにより、本実施形態の蛍光体塗料を用いれば、高温での焼結を要することなく、比較的簡便に蛍光体層36を設けることができる。
【0064】
高温での焼結を要しないということは、使用可能な蛍光体が限定されないということにつながる。具体的には、ガラスバインダーで硬化膜を得ようとする場合、約600℃という高温での焼成が必要である。このような高温が必要な場合、高温に耐える蛍光体を選択する必要があり、使用可能な蛍光体が限定されかねない。また、高温からの冷却の際に剥がれが生じやすい。しかし、硬化性樹脂成分を用いて蛍光体塗料を調製することで、約600℃という高温を要せずに、剥がれが生じにくい蛍光体層36を形成することができる。
高温での焼結を要しないということは、塗料を塗布または印刷する筐体/基板の、耐熱性や膨張係数最適化等の制限が少ないというメリットにもつながる。
【0065】
また、硬化性樹脂成分を用いることにより、塗布または印刷によって適度に薄い蛍光体層36を形成しやすい。このことは、特に、蛍光体塗料中の蛍光体粒子の含有率が大きい場合に有効である。
本発明者は、発光ダイオード素子から発せられた光を十分に蛍光に変換することができ、また、発光ダイオード素子から発せられた光が蛍光体層36を素通りしてしまわないように、蛍光体塗料の全不揮発成分中の蛍光体粒子の含有率を、25vol%以上とした。
【0066】
蛍光体塗料の全不揮発成分中の蛍光体粒子の含有率を25vol%以上とすることにより、発光ダイオード素子から発せられた光を十分に蛍光に変換できること以外のメリットも得ることもできる。
そのようなメリットの一例としては、塗布または印刷適性の向上が挙げられる。蛍光体塗料中の蛍光体粒子の含有率が適度に大きいことにより、蛍光体塗料が適度に流動しにくくなり、その結果、適度な膜厚の蛍光体層36を形成しやすくなる。
【0067】
また、蛍光体塗料の全不揮発成分中の蛍光体粒子の含有率を25vol%以上とすることにより、蛍光体層36にクラックが発生しにくくなるというメリットもある。
クラック発生の原因の1つは、蛍光体層36と、蛍光体層36を設ける絶縁層32との熱膨張率の差と考えられる。蛍光体塗料の全不揮発成分中の蛍光体粒子の含有率を25vol%以上とすることにより、相対的に硬化性樹脂成分が減る。そして、蛍光体層36の熱膨張率と、蛍光体層36を設ける絶縁層32の熱膨張率の差が小さくなる。その結果、蛍光体層36にクラックが発生しにくくなると考えられる。
【0068】
蛍光体塗料の全不揮発成分中の蛍光体粒子の含有率は、好ましくは30vol%以上、より好ましくは35vol%以上である。こうすることで、例えば蛍光体層36の厚みが小さい場合であっても発光ダイオード素子20から発せられた光を十分に蛍光に変換することができたり、発光ダイオード素子20から発せられた光の色温度を大きく変換できたりする。
【0069】
一方、蛍光体塗料の全不揮発成分中の蛍光体粒子の含有率が多すぎると、形成された蛍光体層36から蛍光体粒子が脱落しやすくなってしまう。よって、蛍光体塗料の全不揮発成分中の蛍光体粒子の含有率を60vol%以下としている。
【0070】
以下、本実施形態の蛍光体塗料の含有成分、物性などについて説明する。
【0071】
(蛍光体粒子)
本実施形態の蛍光体塗料は、蛍光体粒子を含む。蛍光体粒子は、発光ダイオード素子から発せられる光により蛍光を発するものであればよい。所望の色目・色温度などに応じて、特定の蛍光体粒子を1種のみ用いてもよいし、2以上の蛍光体粒子を併用してもよい。
【0072】
本実施形態においては、発光ダイオード素子20の発光を励起光としたときの前記蛍光体粒子の蛍光ピーク波長をλ1とし、発光ダイオード素子20の発光波長をλ2としたとき、λ1とλ2の差の絶対値Δλの値が、好ましくは50nm以下、より好ましくは30nm以下、最も好ましくは20nm以下である。絶対値Δλの値の下限値は特に限定されず、0すなわちλ1とλ2とが一致していてもよい。
絶対値Δλの値が上記範囲であることにより、蛍光基板30からの発光波長が発光ダイオード素子20の発光波長と近似するため、発光モジュール12全体としての発光を設計どおりの色温度に調整することができる。
【0073】
蛍光体粒子としては、CASN系蛍光体、SCASN系蛍光体、LaSi11系蛍光体、SrSi系蛍光体、BaSi系蛍光体、α型サイアロン系蛍光体、β型サイアロン系蛍光体、LuAG系蛍光体およびYAG系蛍光体からなる群より選ばれる1または2以上を挙げることができる。これら蛍光体は、通常、Eu、Ce等の賦活元素を含む。
【0074】
CASN系蛍光体(窒化物蛍光体の一種)は、好ましくはEuを含む。CASN系蛍光体は、例えば、式CaAlSiN:Eu2+で表され、Eu2+を賦活剤とし、アルカリ土類ケイ窒化物からなる結晶を母体とする赤色蛍光体をいう
本明細書におけるEuを含有するCASN系蛍光体の定義では、Euを含有するSCASN系蛍光体は除かれる。
【0075】
SCASN系蛍光体(窒化物蛍光体の一種)は、好ましくはEuを含む。SCASN系蛍光体は、例えば、式(Sr,Ca)AlSiN:Eu2+で表され、Eu2+を賦活剤とし、アルカリ土類ケイ窒化物からなる結晶を母体とする赤色蛍光体をいう。
【0076】
LaSi11系蛍光体は、具体的には、LaSi11:Ce蛍光体などである。これは、通常、青色LEDからの青色光を黄色光に波長変換する。
【0077】
SrSi系蛍光体は、具体的には、SrSi:Eu2+蛍光体や、SrSi:Ce3+蛍光体などである。これらは、通常、青色LEDからの青色光を黄色~赤色の光に波長変換する。
【0078】
BaSi系蛍光体は、具体的には、BaSi:Euである。これは、通常、青色LEDからの青色光を橙色~赤色の光に波長変換する。
【0079】
α型サイアロン系蛍光体は、好ましくはEuを含む。Euを含むα型サイアロンは、例えば、一般式:MEuSi12-(m+n)Al(m+n)16-nで表される。一般式中、MはLi、Mg、Ca、Y及びランタニド元素(ただし、LaとCeを除く)からなる群から選ばれる、少なくともCaを含む1種以上の元素であり、Mの価数をaとしたとき、ax+2y=mであり、xが0<x≦1.5であり、0.3≦m<4.5、0<n<2.25である。
【0080】
β型サイアロン系蛍光体は、好ましくはEuを含む。Euを含むβ型サイアロンは、例えば、一般式Si6-zAl8-z:Eu2+(0<Z≦4.2)で示され、Eu2+が固溶したβ型サイアロンからなる蛍光体である。一般式において、Z値とユウロピウムの含有量は特に限定されない。Z値は、例えば0を超えて4.2以下であり、β型サイアロンの発光強度をより向上させる観点から、好ましくは0.005以上1.0以下である。また、ユウロピウムの含有量は0.1質量%以上2.0質量%以下であることが好ましい。
【0081】
LuAG系蛍光体は、通常、ルテチウムアルミニウムガーネット結晶を意味する。照明装置への適用を考慮すると、LuAGは、LuAG:Ce蛍光体であることが好ましい。より具体的には、LuAGは、LuAl12:Ceの組成式で表すことができるが、LuAGの組成は必ずしも化学量論に従っていなくてもよい。
【0082】
YAG系蛍光体は、通常、イットリウムアルミニウムガーネット結晶を意味する。照明装置への適用を考慮すると、YAG系蛍光体はCeで賦活されているものが好ましい。より具体的には、YAG系蛍光体は、YAl12:Ceの組成式で表すことができるが、YAG系蛍光体の組成は必ずしも化学量論に従っていなくてもよい。
【0083】
蛍光体粒子として市販品を使用してもよい。市販の蛍光体粒子としては、例えば、デンカ株式会社のアロンブライト(登録商標)などを挙げることができる。その他、三菱ケミカル社などからも市販されている。
【0084】
蛍光体粒子のメジアン径D50は、好ましくは1μm以上20μm以下、より好ましくは5μm以上15μm以下である。メジアン径D50が適切に調整されることにより、例えば蛍光体塗料としての流動性が調整されて、薄くて均一な塗膜を形成しやすくなる。
【0085】
蛍光体粒子の粒径分布曲線においては、2以上の極大が認められることが好ましい。具体的には、粒径1μm以上6μm以下の領域と、粒径10μm以上25μm以下の領域の両方に極大が認められることが好ましい。2以上の極大が認められることは、蛍光体粒子が、大粒子と小粒子の両方を含むことを意味する。小粒子が大粒子間の「すき間」に入り込むため、大粒子のみを使う場合に比べて蛍光体粒子の含有率を高めやすい。また、蛍光体粒子の含有率を高めたとしても、塗料としての諸物性を維持しやすい。さらに、塗膜としたときに、発光ダイオード素子から発せられた光がより透過しにくくなる。
【0086】
蛍光体粒子のメジアン径D50や粒径分布曲線は、蛍光体粒子の調製方法の工夫、蛍光体粒子を適切に粉砕すること、粒径が異なる2以上の蛍光体粒子を適切に混合することなどにより調整することができる。
【0087】
蛍光体粒子の粒径分布曲線は、原料の蛍光体粒子を、超音波ホモジナイザで分散媒に分散させたうえで、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置により測定することができる。そして、得られた粒径分布曲線から、メジアン径D50を求めることができる。分散処理や測定装置の詳細については後述の実施例を参照されたい。
念のため述べておくと、本明細書において、メジアン径D50や粒径分布曲線は、体積基準で測定される。
【0088】
本実施形態の蛍光体塗料は、蛍光体粒子を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
前述のとおり、蛍光体塗料の全不揮発成分中の蛍光体粒子の含有率は、25vol%以上60vol%以下である。この含有率は、好ましくは30vol%以上60vol%以下、より好ましくは35vol%以上60vol%以下、さらに好ましくは40vol%以上50vol%以下である。
【0089】
(硬化性樹脂成分)
本実施形態の蛍光体塗料は、硬化性樹脂成分を含む。この蛍光体塗料が硬化することで、得られる蛍光体層は有機バインダー樹脂を含む。
本明細書において、「硬化性樹脂成分」は、(1)熱、光などの作用により硬化する性質を有する樹脂(ポリマー)成分だけでなく、(2)塗膜形成前においてはモノマーまたはオリゴマーであるが、塗膜形成後に、熱、光などの作用により高分子量化して樹脂(ポリマー)を形成可能な成分も含む。
上記に関連して、本明細書においては、ポリマー、モノマーまたはオリゴマーに加え、重合開始剤や硬化剤なども「硬化性樹脂成分」の一部であるとする。
【0090】
硬化性樹脂成分が樹脂、モノマーまたはオリゴマーを含む場合、これらは通常は有機物である。つまり、硬化性樹脂成分は、通常、有機樹脂、有機モノマーまたは有機オリゴマーを含む。
【0091】
硬化性樹脂成分は、好ましくは熱硬化性樹脂成分を含む。これにより、耐久性が高い照明装置を製造することができる。もちろん、目的や用途によっては、硬化性樹脂成分は熱可塑性樹脂を含んでもよい。
【0092】
硬化性樹脂成分は、好ましくは、シリコーン樹脂および(メタ)アクリレートモノマーからなる群より選ばれる1または2以上を含む。なかでも、シリコーン樹脂(シロキサン結合を主骨格に持つ樹脂)が、耐熱性や耐久性などの観点で好ましい。
【0093】
硬化性樹脂成分は、フェニル基および/またはメチル基を有するシリコーン樹脂を含むことが好ましい。このようなシリコーン樹脂は、他の成分との相溶性、溶剤溶解性、塗布性、耐熱性や耐久性などの点で好ましい。この樹脂中のフェニル基:メチル基の比率は、例えば0.3:1から1.5:1程度である。
【0094】
硬化性樹脂成分は、反応性基を含むことができる。これにより、硬化性樹脂成分はそれ自身で硬化することができる。
一例として、硬化性樹脂成分は、シラノール基(-Si-OH)を含むシリコーン樹脂を含むことが好ましい。これにより、塗膜形成時にシラノール基の縮合反応が起こり、硬化した塗膜が得られる。シラノール基(-Si-OH)を含むシリコーン樹脂の、シラノール含有量(OH質量%)は、例えば0.1質量%以上5質量%以下である。
別の例として、硬化性樹脂成分は、ビニル基含有ポリマーと、Si-H基含有シリコーンポリマーとのヒドロシリル化反応により硬化するもの(付加反応タイプ)であってもよい。
【0095】
硬化性樹脂成分が含む樹脂の重量平均分子量は特に限定されない。塗料として塗膜形成可能な限り、任意の重量平均分子量の樹脂を含むことができる。
一例として、硬化性樹脂成分が含む樹脂の重量平均分子量は、通常1,000以上1,000,000以下、好ましくは1,000以上500,000以下である。
硬化性樹脂成分が含む樹脂として市販品を用いる場合には、樹脂の重量平均分子量として、カタログデータを採用することができる。カタログ等から重量平均分子量が不明な場合には、例えば、ポリエチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により求めることができる。
【0096】
硬化性樹脂成分が含む樹脂として市販品を用いてもよい。
シリコーン樹脂の市販品としては、例えば東レ・ダウコーニング社、信越化学工業社などから入手することができる。RSN-0409、RSN-0431、RSN-0804、RSN-0805、RSN-0806、RSN-0808、RSN-0840等(東レ・ダウコーニング社製)、KF-8010、X-22-161A、KF-105、X-22-163A、X-22-169AS、KF-6001、KF-2200、X-22-164A、X-22-162C、X-22-167C、X-22-173BX等(信越化学工業社製)を挙げることができる。
【0097】
前述のように、硬化性樹脂成分は、樹脂ではなく、モノマーやオリゴマーを含んでもよい。
例えば、硬化性樹脂成分は、(メタ)アクリレートモノマーを含むことが好ましい。(メタ)アクリレートモノマーは、単官能でも多官能でもよい。(メタ)アクリレートモノマーは、好ましくは一分子中に(メタ)アクリル構造を2以上6以下有する。
【0098】
硬化性樹脂成分は、モノマーやオリゴマーとともに、重合開始剤を含むことが好ましい。
例えば、硬化性樹脂成分が(メタ)アクリレートモノマーを含む場合、ラジカル重合開始剤と併用されることが好ましい。ラジカル重合開始剤は、熱または活性光線によりラジカルを発生するものである。
【0099】
硬化性樹脂成分としては、上記のようなシリコーン樹脂や、(メタ)アクリレートモノマーと重合開始剤との組み合わせのほか、塗料分野で公知の任意の成分であることができる。硬化性樹脂成分は、例えば、(i)ポリオールとポリイソシアネートとを含む、ウレタン系のもの、(ii)エポキシ系のもの、などであってもよい。
【0100】
(i)のポリオールとしては、(メタ)アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ふっ素含有ポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカプロラクタムポリオール、ポリカーボネートポリオールなどを挙げることができる。
【0101】
(i)のポリイソシアネートとしては、好ましくは2から6官能、より好ましくは2から4官能のものを挙げることができる。具体的には、脂肪族ジイソシアネート、環状脂肪族ジイソシアネート、イソシアネート化合物の多量体であるイソシアヌレート及びビウレット型付加物、イソシアネート化合物を多価アルコール又は低分子量ポリエステル樹脂に付加したものなどを挙げることができる。ポリイソシアネートとしては、ビウレット型、イソシアヌレート型、アダクト型、アロファネート型なども知られている。これらはいずれも用いることができる。
【0102】
(i)のポリイソシアネートは、いわゆるブロックイソシアネートであってもよい。換言すると、ポリイソシアネートのイソシアネート基の一部又は全部は、保護基によりブロックされた、ブロックイソシアネート基の形態であってもよい。例えば、アルコール系、フェノール系、ラクタム系、オキシム系、及び活性メチレン系などの活性水素化合物によってイソシアネート基がブロックされてブロックイソシアネート基が形成される。
【0103】
ポリイソシアネートの市販品としては、例えば、旭化成株式会社製のデュラネート(商品名)シリーズ、三井化学株式会社製のタケネート(商品名)シリーズ、住化バイエルウレタン株式会社製のデスモジュール(商品名)シリーズ等が挙げられる。
【0104】
(ii)のエポキシ系の硬化性樹脂成分は、通常、エポキシ樹脂と、その硬化剤とを含む。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリグリコール型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ化油、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
硬化剤としては、通常、多価アミン、アミンアダクト、ポリアミドなどのポリアミン類及び酸無水物が挙げられる。
【0105】
本実施形態の蛍光体塗料は、硬化性樹脂成分を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
本実施形態の蛍光体塗料中の硬化性樹脂成分の量は、全不揮発成分中、好ましくは40vol%以上65vol%以下、より好ましくは45vol%以上60vol%以下である。
【0106】
(流動性調整剤)
本実施形態の蛍光体塗料は、好ましくは流動性調整剤を含む。これにより、塗料としての流動特性の調整、塗布性の調整などが可能となる場合がある。
【0107】
流動性調整剤としては、疎水性シリカ、親水性シリカなどのシリカ粒子、酸化アルミニウム等が適用できる。特に、フュームドシリカが好ましく用いられる。
市販の流動性調整剤として、例えば、AEROSIL 130、AEROSIL 200、AEROSIL 300、AEROSIL R-972、AEROSIL R-812、AEROSIL R-812S、AlminiumOxideC(日本アエロジル社製、AEROSILは登録商標)、カープレックスFPS-1(DSL社製、商品名)等が挙げられる。
【0108】
本実施形態の蛍光体塗料が流動性調整剤を含む場合、流動性調整剤を1種のみ含んでもよいし、流動性調整剤を2種以上含んでもよい。
本実施形態の蛍光体塗料が流動性調整剤を含む場合、その量は、全不揮発成分中、例えば10vol%以下、好ましくは1vol%以上5vol%以下である。体積基準ではなく質量基準では、流動性調整剤の量は、全不揮発成分中、例えば5質量%以下、好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。
【0109】
(溶剤)
本実施形態の蛍光体塗料は、好ましくは溶剤を含む。これにより、塗布性が良好な蛍光体塗料を得ることができる。溶剤は、水および/または有機溶剤を含む。
有機溶剤としては、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤などを挙げることができる。
【0110】
好ましい有機溶剤としては、アルコール系溶剤が挙げられる。具体的には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール等が挙げられる。また、ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)やエチルカルビトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)などのエーテル結合含有アルコール等も好ましく挙げられる。これらは、特に、樹脂としてシリコーン樹脂を用いる場合、シリコーン樹脂をよく溶解/分散して、塗布性良好な蛍光体塗料を調製できる点で好ましい。
【0111】
また、溶剤は、芳香族炭化水素溶剤を含むことが好ましい。特に、シリコーン樹脂が用いられる場合、芳香族炭化水素溶剤と併用することで、諸性能のバランスが良好な蛍光体塗料を調製しやすい。芳香族炭化水素溶剤をとしては、トルエン、キシレン等を挙げることができる。
【0112】
溶剤を用いる場合、1種のみの溶剤を用いてもよいし、2種以上の溶剤を併用してもよい。例えば、上述のアルコール系溶剤と芳香族炭化水素溶剤とを併用してもよい。溶剤を併用する場合、併用による効果を十分に得る点で、各溶剤は、溶剤全量中の少なくとも1質量%は存在することが好ましい。
本実施形態の蛍光体塗料が溶剤を含む場合、不揮発成分濃度が90質量%以下となるような量で溶剤を含むことが好ましい。ただし、不揮発成分濃度はこれに限られず、塗膜が形成可能な限りにおいて適宜量は調整すればよい。
【0113】
(その他成分)
本実施形態の蛍光体塗料は、上記以外の他成分を含んでもよい。他成分としては、防錆顔料、体質顔料、表面調整剤、ワックス、消泡剤、分散剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、レベリング剤、ベンワキ防止剤、可塑剤、帯電制御剤等が挙げられる。
【0114】
(粘度)
本実施形態の蛍光体塗料の粘度は適切に調整されることが好ましい。粘度が適切であることにより、塗布性の一層の向上、薄い塗膜の形成しやすさ、等が高まる。
具体的には、B型粘度計を用い、25℃、回転数20rpmで測定される蛍光体塗料の粘度は、好ましくは60dPs・s以上500dPa・s以下、より好ましくは80dPs・s以上400dPa・s以下である。このような粘度とすることで、特に、スクリーン印刷法により塗膜を形成する際の膜形成性を高めることができる。スクリーン印刷法ではない方法により塗膜を形成する場合には、好適な粘度は上記数値範囲と異なる可能性がある。
【0115】
(塗料の形態)
本実施形態の蛍光体塗料は、1液型であっても、2液以上の多液型であってもよい。具体的には、本実施形態の蛍光体塗料は、必要な成分の全てが均一に混合または分散された1液型の組成物として供給されることができる。また、本実施形態の蛍光体塗料は、一部の成分を含むA液と、残りの成分を含むB液との2液型(2液のキット)として供給されてもよい。
塗装に供する前の保存安定性などの観点で、蛍光体塗料を多液型とすることが好ましい場合がある。
本実施形態の蛍光体塗料が多液型である場合、塗膜を形成する直前に、各液を均一に混合して塗装用の塗料を得る。この塗装用の塗料において、全不揮発成分中の蛍光体粒子の含有率が25vol%以上50vol%以下である。
【0116】
上記の蛍光体塗料を用いて、蛍光体粒子を含む蛍光体層36を備える蛍光体基板30を製造することができる。
塗布方法は特に限定されない。例えば塗料分野で知られている各種コーターを用いて塗料組成物を塗布すればよい。または、スクリーン印刷法などの印刷法により塗料組成物を塗布してもよい。
塗布後に、乾燥処理や、硬化処理を行うことが好ましい。乾燥処理の条件は、例えば60℃以上100℃以下で15分以上60分以下である。硬化処理の条件は、例えば100℃以上200℃以下で30分以上240分以下である。
【0117】
蛍光体塗料の塗布量は、蛍光体層36の厚みが、好ましくは150μm以下、より好ましくは30μm以上100μm以下、さらに好ましくは30μm以上80μm以下となるように調整される。
蛍光体塗料中の蛍光体粒子の含有率が25vol%以上、好ましくは30vol%以上、より好ましくは35vol%以上であることにより、蛍光体層36の厚みが150μm以下であっても、発光ダイオード素子20から発せられた光を十分に蛍光に変換することができ、また、発光ダイオード素子20から発せられた光が蛍光体層を素通りしにくい。
【0118】
<本実施形態の発光基板の発光動作>
次に、本実施形態の発光基板10の発光動作について図21を参照しながら説明する。ここで、図21は、発光モジュール12の発光動作を説明するための図であり、複数の発光ダイオード素子20の発光動作について例示する。
【0119】
まず、発光ダイオード素子20を作動させる作動スイッチ(例えば、駆動回路の機能)がオンになると、商用交流電源ACから駆動回路を介して電極層34への給電が開始され、複数の発光ダイオード素子20は光Lを放射状に発散出射する。その光Lの一部は蛍光体基板30の表面31に到達する。以下、出射された光Lの進行方向に分けて光Lの挙動について説明する。
【0120】
各発光ダイオード素子20から出射された光Lの一部は、蛍光体層36に入射することなく外部に出射される。この場合、光Lの波長は、各発光ダイオード素子20から出射された際の光Lの波長と同じままである。
【0121】
また、各発光ダイオード素子20から出射された光Lに含まれるLED22自身の光は、蛍光体層36に入射する。ここで、前述の「光Lに含まれるLED22自身の光」とは、出射された光Lのうち各発光ダイオード素子20(CSP自身)の蛍光体により色変換されていない光、すなわち、LED22自身の光(一例として青色(波長が470nm近傍)の光)を意味する。
【0122】
そして、LED22自身の光Lが蛍光体層36に分散されている蛍光体に衝突すると、蛍光体が励起して励起光を発する。ここで、蛍光体が励起する理由は、蛍光体層36に分散されている蛍光体が青色の光に励起ピークを持つ蛍光体(可視光励起蛍光体)を使用しているためである。これに伴い、光Lのエネルギーの一部は蛍光体の励起に使われることで、光Lはエネルギーの一部を失う。その結果、光Lの波長が変換される(波長変換がなされる)。例えば、蛍光体層36の蛍光体の種類によっては(例えば、蛍光体に赤色系CASNを用いた場合には)光Lの波長が長くなる(例えば650nm等)。
【0123】
また、蛍光体層36での励起光はそのまま蛍光体層36から出射するものもあるが、一部の励起光は下側の電極層34に向かう。そして、一部の励起光は電極層34での反射により外部に出射する。以上のように、蛍光体による励起光の波長が600nm以上の場合、電極層34がCuでも反射効果が望める。なお、蛍光体層36の蛍光体の種類によっては光Lの波長が前述の例と異なるが、いずれの場合であっても光Lの波長変換がなされることになる。例えば、励起光の波長が600nm未満の場合、電極層34又はその表面を例えばAg(鍍金)とすれば反射効果が望める。また、蛍光体層36の下側(絶縁層32側)に反射層が設けられてもよい。反射層は、例えば、酸化チタンフィラー等の白色塗料により設けられる。
【0124】
以上のとおり、各発光ダイオード素子20が出射した光L(各発光ダイオード素子20が放射状に出射した光L)は、それぞれ、上記のような複数の光路を経由して上記励起光とともに外部に照射される。そのため、蛍光体層36に含まれる蛍光体の発光波長と、発光ダイオード素子20(CSP)におけるLED22を封止した(又は覆う)蛍光体の発光波長とが異なる場合、本実施形態の発光基板10は、各発光ダイオード素子20が出射した際の光Lの束を、各発光ダイオード素子20が出射した際の光Lの波長と異なる波長の光Lを含む光Lの束として上記励起光とともに照射する。例えば、本実施形態の発光モジュール12は、各発光ダイオード素子20が出射した際の光Lの束を、各発光ダイオード素子20が出射した際の光Lの波長よりも長い波長の光Lを含む光Lの束として上記励起光とともに照射する。
これに対して、蛍光体層36に含まれる蛍光体の発光波長と、発光ダイオード素子20(CSP)におけるLED22を封止した(又は覆う)蛍光体の発光波長とが同じ場合(同じ相関色温度の場合)、本実施形態の発光モジュール12は、各発光ダイオード素子20が出射した際の光Lの束を、各発光ダイオード素子20が出射した際の光Lの波長と同じ波長の光Lを含む光Lの束として上記励起光とともに照射する。
以上が、本実施形態の発光モジュール12の発光動作についての説明である。
【0125】
[第1実施形態の効果]
次に、本実施形態の効果について図面を参照しながら説明する。
図1に示したように、道路照明装置100を長さ10mの支柱Pにより支持された道路灯を用い配光特性を確認した。実験結果を図22(a)(b)(c)に示す。
Pimacs社製 NeoLight 9500で測定して配光データ(IESデータ)を取得し、光学的シミュレーションをZEMAX及びDIALuxを用いて行った。
【0126】
図22(a)(b)(c)に、道路照明装置100の断面図を示す。当該断面図は、図4に示されるような図3のA-A’線断面図における光源ユニット10の断面図である。
図22(a)は、第1発光モジュール12a、第2発光モジュール12bを図17のように短手方向に沿って並べ、透光性カバー(配光分布調整部14)の厚みdを均一とした。厚みdは1.75mmであった。
図22(b)は、第1発光モジュール12a、第2発光モジュール12bを図17のように短手方向に沿って並べた。透光性カバー(配光分布調整部14)を図10の構造とし、天頂部bにおける厚みd2が1.75mm、端部aにおける厚みd1が17.6mmであった。
図22(c)は、第1発光モジュール12a、第2発光モジュール12bを図18のように長手方向に沿って並べた以外は図22(b)と同様である。
【0127】
配光図(3段目)に示すように図22(a)の光源ユニット10を備える道路照明装置100は照明範囲を円形状の所定の範囲とすることができ、照度分布(4段目、5段目)に示すように照度が高かった。
これに対して、図22(b)(c)の光源ユニット10を備える道路照明装置100は、照明範囲をバッドウィング状とすることができ、より広範囲を照らすことができ自動車用道路の照明装置に特に適していた。
【0128】
[第2実施形態]
本実施形態に係る道路照明装置は、光源ユニット10を構成する配光分布調整部14の形状、および発光モジュール12の配置以外は第1実施形態と同一であることから説明を省略する。
実施形態の光源ユニット10は、第1実施形態とは異なり発光モジュールの配置により、発光ダイオード素子の出射光および蛍光体層からの発光をバットウィング型の照度分布に配光するものである。
【0129】
図3の道路用照明装置100のA-A'線断面図における、本実施形態の光源ユニット10の断面図を図23(a)および(b)に示す。図23(a)および(b)においては、上側本体ケース102と窓部104の図示を省略する。
配光分布調整部14の形状は、第1実施形態と同様に半円筒状の形状、椀状の形状等を挙げることができる。配光分布調整部14の厚みは、全体に亘って略同一であり、1.75mm程度である。
【0130】
図23(a)および(b)に示すように、発光モジュール12は、第1発光モジュール12aと第2発光モジュール12bとを含む。第1発光モジュール12aと第2発光モジュール12bは同一平面内に存在せず、光源ユニット10の短手方向に沿って並べられている。
【0131】
第1発光モジュール12aの発光ダイオード素子20の搭載面の裏面と、第2発光モジュール12bの発光ダイオード素子20の搭載面の裏面とにより形成される角度βを変化させることで、バッドウィング状の配光とすることができ、その角度が0°以上120°以下、好ましくは0°以上90°以下、より好ましくは0°以上60°以下である。図23(b)は角度βが0°の場合を示す。
本実施形態の光源ユニット10の配光分布調整部14に代えて、第1実施形態の配光分布調整部14を用いることもできる。
【0132】
[第2実施形態の効果]
次に、本実施形態の効果について図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、道路照明装置100を長さ10mの支柱Pにより支持された道路灯を用い配光特性を確認した。実験結果を図24(a)~(d)に示す。
【0133】
図24(a)~(d)に、道路照明装置100の断面図を示す。当該断面図は、図4に示されるような図3のA-A’線断面図である。
図24(a)は、第1発光モジュール12a、第2発光モジュール12bを図17のように短手方向に沿って並べ、透光性カバー(配光分布調整部14)の厚みdを均一とした。
図24(b)は、第1発光モジュール12aと第2発光モジュール12bとの角度βを120°とした以外は図24(a)と同様である。
図24(c)は、第1発光モジュール12aと第2発光モジュール12bとの角度βを60°とした以外は図24(a)と同様である。
図24(d)は、第1発光モジュール12aと第2発光モジュール12bとの角度βを0°とした以外は図24(a)と同様である。
【0134】
配光図(2段目)に示すように図24(a)(b)の道路照明装置100は照明範囲を円形状の所定の範囲とすることができ、照度分布(3段目)に示すように照度が高かった。
角度βが小さくなるにしたがって照度分布が広がり、図24(c)(d)の道路照明装置100は、照明範囲をバッドウィング状とすることができ、より広範囲を照らすことができ自動車用道路の照明装置に特に適していた。
【0135】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の様々な構成を採用することができる。
【0136】
この出願は、2021年3月22日に出願された日本出願特願2021-047599号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0137】
100 道路照明装置
P 支柱
a 直下領域
b 周辺領域
101 下側本体ケース
101a 溝
102 上側本体ケース
102a 第1ケース部分
102b 第2ケース部分
103 支柱結合部
104 窓部
10 光源ユニット
11 本体
12 発光モジュール
14 配光分布調整部
14a 受光面
14b 射出面
14b1 山条部
14b2 谷条部
16 ヒートシンク
18 胴部
18a ねじ部
19 冷却ファン
20 発光ダイオード素子
22 LED
31、32a、34a 表面
32 絶縁層
33 裏面
34 電極層
34A 電極対
34B 配線部分
36 蛍光体層
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