(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
A01B 69/00 20060101AFI20241202BHJP
【FI】
A01B69/00 303M
A01B69/00 303Z
(21)【出願番号】P 2023543929
(86)(22)【出願日】2022-08-23
(86)【国際出願番号】 JP2022031718
(87)【国際公開番号】W WO2023027071
(87)【国際公開日】2023-03-02
【審査請求日】2024-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2021138768
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】島田 航太郎
(72)【発明者】
【氏名】阪口 和央
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 祐介
(72)【発明者】
【氏名】森下 孝文
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-113607(JP,A)
【文献】特開2009-240181(JP,A)
【文献】特開2016-146061(JP,A)
【文献】特開2013-201958(JP,A)
【文献】特開2021-18542(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0233348(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00-69/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体に装着可能な第1作業装置と、
前記車体に設けられた走行装置と、
圃場の一方端側から他方端側に延び、且つ第1間隔毎に形成された複数の走行不可ラインを取得する第1取得部と、
前記第1取得部が取得した前記複数の走行不可ラインに基づいて、前記圃場の前記一方端側から前記他方端側に延び、且つ前記車体が走行する複数の第1部分を含む第1ルートを作成するルート作成部と、
を備え、
前記走行装置は、前記第1間隔に対応する長さだけ離間して配置され、
前記ルート作成部は、
前記第1取得部が取得した前記複数の走行不可ラインに基づいて、前記圃場のうち前記複数の走行不可ライン以外の領域を複数の走行可能ラインとして定義するライン定義部と、
前記ライン定義部が定義した前記複数の走行可能ラインに基づいて、前記圃場の前記一方端側から前記他方端側に延び、且つ前記走行装置が前記複数の走行可能ライン上を走行する経路を前記複数の第1部分として設定する設定部と、
を備えている作業機。
【請求項2】
前記走行装置は、前記車体に設けられた第1走行部と、前記第1走行部が一の走行可能ラインに位置している場合に、他の走行可能ラインに位置するよう離反して前記車体に設けられた第2走行部と、を含み、
前記設定部は、前記複数の走行可能ラインのうち、2つの走行可能ラインを抽出し、当該抽出した2つの走行可能ラインに基づいて、前記複数の第1部分をそれぞれ設定する請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記第1作業装置の作業幅である第2間隔を取得する第2取得部を備え、
前記設定部は、前記第2取得部が取得した前記第2間隔に基づいて、互いに隣接する2つの直進部の間隔が前記第2間隔と実質的に同じになるよう、前記複数の第1部分を設定する請求項
1に記載の作業機。
【請求項4】
前記第1取得部は、前記複数の走行不可ラインとして、前記圃場の前記一方端側から前記他方端側、又は前記他方端側から前記一方端側へ前記第1間隔毎に作業が行われた複数の作業ラインを取得する請求項
1に記載の作業機。
【請求項5】
前記第1取得部が前記複数の走行不可ラインとして取得する前記複数の作業ラインは、畝立て作業された畝ライン、乃至は作物の種子が播種作業された又は作物の植え付け作業がされた作物ラインである請求項4に記載の作業機。
【請求項6】
前記車体が前記圃場で作業を行った際の第2ルートを取得するルート取得部と、
前記車体に装着可能であり、且つ前記第1作業装置が行う第1作業より前の第2作業を行う第2作業装置と、
前記第1作業装置と前記第2作業装置のいずれか一方を前記車体に連結する連結装置と、
を備え、
前記第2作業装置は、前記第1間隔毎に作業可能であり、
前記ルート取得部は、前記第2ルートとして、前記第2作業装置を連結した前記車体が走行し、前記圃場の前記一方端側から前記他方端側に延びる複数の第2部分を取得し、
前記複数の走行不可ラインは、前記車体が前記複数の第2部分を走行し、前記第2作業装置が前記圃場の前記一方端側から前記他方端側、又は前記他方端側から前記一方端側へ第2作業を行い、前記第1間隔毎に形成された複数の作業ラインであり、
前記設定部は、前記ライン定義部が定義した前記複数の走行可能ラインに基づいて、前記ルート取得部が取得した前記第2ルートをシフトすることで前記複数の第1部分を設定する請求項
1に記載の作業機。
【請求項7】
前記車体の位置を検出する位置検出装置と、
前記位置検出装置によって検出した前記車体の位置と、前記ルート作成部が作成した前記第1ルートと、を表示する表示装置を備えている請求項1~6のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項8】
前記車体の位置を検出する位置検出装置と、
前記位置検出装置が検出した前記車体の位置と前記ルート作成部が作成した前記第1ルートとに基づいて、前記走行装置の操舵を制御する自動操舵制御部を備えている請求項1~6のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項9】
前記車体の位置を検出する位置検出装置と、
前記位置検出装置が検出した前記車体の位置と前記ルート作成部が作成した前記第1ルートとに基づいて、前記走行装置の操舵及び車速を制御する自動走行制御部を備えている請求項1~6のいずれか1項に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農業機械の目標走行経路を作成する技術として特許文献1が知られている。
【0003】
特許文献1の作業車支援システムは、作業車の自車位置を検出する自車位置検出モジュールと、作業予定領域の外周を周回作業走行する際に自車位置検出モジュールによって取得された自車位置データから、作業予定領域内の未作業領域の外形マップを算定する未作業領域外形マップ算定部と、未作業領域外形マップ算定部によって算定された外形マップに基づいて、未作業領域を作業走行するための目標走行経路を算定する経路算定部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国公開特許公報「特開2017-55673号公報」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、未作業領域の外形マップを算出して、算出した外形マップに目標走行経路を作成している。しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、圃場に畝や作物等が配置され、作業機が走行できない箇所(走行不可ライン)が形成されている場合、走行車両の走行装置で走行不可ラインに侵入してしまう等、好ましい目標走行経路を作成できないのが実情である。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、圃場の状態によらず適切な経路(走行ルート)を走行できる作業機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る作業機は、車体と、前記車体に装着可能な第1作業装置と、前記車体に設けられた走行装置と、圃場の一方端側から他方端側に延び、且つ第1間隔毎に形成された複数の走行不可ラインを取得する第1取得部と、前記第1取得部が取得した前記複数の走行不可ラインに基づいて、前記圃場の前記一方端側から前記他方端側に延び、且つ前記車体が走行する複数の第1部分を含む第1ルートを作成するルート作成部と、を備え、前記走行装置は、前記第1間隔に対応する長さだけ離間して配置され、前記ルート作成部は、前記第1取得部が取得した前記複数の走行不可ラインに基づいて、前記圃場のうち前記複数の走行不可ライン以外の領域を複数の走行可能ラインとして定義するライン定義部と、前記ライン定義部が定義した前記複数の走行可能ラインに基づいて、前記圃場の前記一方端側から前記他方端側に延び、且つ前記走行装置が前記複数の走行可能ライン上を走行する経路を前記複数の第1部分として設定する設定部と、を備えている。
【0008】
前記走行装置は、前記車体に設けられた第1走行部と、前記第1走行部が一の走行可能ラインに位置している場合に、他の走行可能ラインに位置するよう離反して前記車体に設けられた第2走行部と、を含み、前記設定部は、前記複数の走行可能ラインのうち、2つの走行可能ラインを抽出し、当該抽出した2つの走行可能ラインに基づいて、前記複数の第1部分をそれぞれ設定してもよい。
【0009】
作業機は、前記第1作業装置の作業幅である第2間隔を取得する第2取得部を備え、前記設定部は、前記第2取得部が取得した前記第2間隔に基づいて、互いに隣接する2つの直進部の間隔が前記第2間隔と実質的に同じになるよう、前記複数の第1部分を設定してもよい。
【0010】
前記第1取得部は、前記複数の走行不可ラインとして、前記圃場の前記一方端側から前記他方端側、又は前記他方端側から前記一方端側へ前記第1間隔毎に作業が行われた複数の作業ラインを取得してもよい。
【0011】
前記第1取得部が前記複数の走行不可ラインとして取得する前記複数の作業ラインは、畝立て作業された畝ライン、乃至は作物の種子が播種作業された又は作物の植え付け作業がされた作物ラインであってもよい。
【0012】
作業機は、前記車体が前記圃場で作業を行った際の第2ルートを取得するルート取得部と、前記車体に装着可能であり、且つ前記第1作業装置が行う第1作業より前の第2作業を行う第2作業装置と、前記第1作業装置と前記第2作業装置のいずれか一方を前記車体に連結する連結装置と、を備え、前記第2作業装置は、前記第1間隔毎に作業可能であり、前記ルート取得部は、前記第2ルートとして、前記第2作業装置を連結した前記車体が走行し、前記圃場の前記一方端側から前記他方端側に延びる複数の第2部分を取得し、前記複数の走行不可ラインは、前記車体が前記複数の第2部分を走行し、前記第2作業装置が前記圃場の前記一方端側から前記他方端側、又は前記他方端側から前記一方端側へ第2作業を行い、前記第1間隔毎に形成された複数の作業ラインであり、前記設定部は、前記ライン定義部が定義した前記複数の走行可能ラインに基づいて、前記ルート取得部が取得した前記第2ルートをシフトすることで前記複数の第1部分を設定してもよい。
【0013】
作業機は、前記車体の位置を検出する位置検出装置と、前記位置検出装置によって検出した前記車体の位置と、前記ルート作成部が作成した前記第1ルートと、を表示する表示装置を備えていてもよい。
【0014】
作業機は、前記車体の位置を検出する位置検出装置と、前記位置検出装置が検出した前記車体の位置と前記ルート作成部が作成した前記第1ルートとに基づいて、前記走行装置の操舵を制御する自動操舵制御部を備えていてもよい。
【0015】
作業機は、前記車体の位置を検出する位置検出装置と、前記位置検出装置が検出した前記車体の位置と前記ルート作成部が作成した前記第1ルートとに基づいて、前記走行装置の操舵及び車速を制御する自動走行制御部を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
上記作業機によれば、圃場の状態によらず適切な経路を走行できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図4C】圃場の端部から圃場の輪郭を求める図である。
【
図5】走行ルート及び単位作業区画を作成した図である。
【
図7】
図6とは異なる単位作業区画を示す図である。
【
図8A】第1種装置、作業ライン、及び単位作業区画の関係を示す図である。
【
図8B】第2種装置、作業ライン、及び単位作業区画の関係を示す図である。
【
図8C】第3種装置、作業ライン、及び単位作業区画の関係を示す図である。
【
図9A】第1種装置の例として、畝成形装置を示す図である。
【
図9B】第1種装置の例として、播種散布装置を示す図である。
【
図9C】第2種装置の例として、農薬散布装置を示す図である。
【
図9D】第3種装置の例として、耕耘装置を示す図である。
【
図10】走行不可ライン及び走行可能ラインと作業機の位置関係を示す平面図である。
【
図11A】従来技術において第2ルートを走行して第1作業及び第2作業を行う場合を説明する第1図である。
【
図11B】従来技術において第2ルートを走行して第1作業及び第2作業を行う場合を説明する第2図である。
【
図11C】従来技術において第2ルートを走行して第1作業及び第2作業を行う場合を説明する第3図である。
【
図11D】従来技術において第2ルートを走行して第1作業及び第2作業を行う場合を説明する第4図である。
【
図13A】第2ルート及び走行可能ラインを説明する第1図である。
【
図13B】第2ルート及び走行可能ラインを説明する第2図である。
【
図14】設定部による第1部分の設定を説明する図である。
【
図15A】ルート作成部が第1ルートを作成する一連の流れを示す図である。
【
図15B】ルート作成部が第1ルートを作成する一連の流れを示す図である。
【
図19】第1の変形例における作業機のブロック図を示す図である。
【
図20】第1の変形例における自動操舵を説明する図である。
【
図21】第2の変形例における作業機のブロック図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
図22は、作業機1の一実施形態を示す側面図であり、
図23は、作業機1の一実施形態を示す正面図である。本実施形態の場合、作業機1は作業装置60を装着したトラクタである。なお、作業機1は、トラクタに限定されず、田植機、コンバインであってもよい。以下、説明の都合上、作業機1が作業装置60を装着したトラクタである場合を例に説明する。また、作業機1の運転席7に着座した作業者(運転者)の前側(
図22の矢印A1方向)を前方、作業者の後側(
図22の矢印A2方向)を後方、作業者の左側を左方(
図23の矢印A3方向)、作業者の右側を右方(
図23の矢印A4方向)として説明する。また、作業機1の前後方向に直交する方向である水平方向を幅方向として説明する。
【0020】
作業機1は、車体2と、原動機8と、第1油圧ポンプ9と、変速装置11と、連結装置30と、を備えている。
図22に示すように、車体2は、走行装置4を有していて走行可能である。走行装置4は、前輪4A及び後輪4Bを有する装置である。前輪4A及び後輪4Bは、前後方向に間隔をあけて配置されている。また、
図23に示すように、本実施形態においては、前輪4A及び後輪4Bは、車体2の幅方向に間隔をあけてそれぞれ一対設けられている。
【0021】
つまり、走行装置4は、一対の前輪4Aと一対の後輪4Bの合計4輪で構成されており、車体2の幅方向の一方側(左側)に配置された第1走行部4L(本実施形態においては左側の前輪4A及び後輪4B)と、車体2の幅方向の他方側(右側)において第1走行部4Lと所定間隔をあけて配置された第2走行部4R(本実施形態においては右側の前輪4A及び後輪4B)と、を含み、第1走行部4L及び第2走行部4Rは、幅方向に離反して車体2に設けられている。なお、走行装置4は、本実施形態のように4輪で構成されていなくてもよく、例えば3輪であってもよい。
【0022】
図1に示すように、前輪4Aは、当該前輪4Aの向きを変えるアーム(ナックルアーム)5により接続されている。車体2は、ナックルアーム5によって前輪4Aの向きを変えることで車体2を直進させる直進走行と、車体2を旋回させる旋回走行と、が可能である。なお、車体2は、直進走行及び旋回走行が可能であればよく、上記構成に代えて、或いは加えて前輪4A及び後輪4Bの一方側(左側)と他方側(右側)との回転数を変更することで直進走行及び旋回走行を行うような構成であってよい。また、前輪4A及び後輪4Bは、タイヤ型であってもクローラ型であってもよい。車体2には、原動機8の動力を外部に出力するPTO軸6と、作業者が着座する運転席7と、が設けられている。
【0023】
原動機8は、ディーゼルエンジン、電動モータ等であって、この実施形態ではディーゼルエンジンで構成されている。変速装置11は、変速によって走行装置4の推進力を切換可能であると共に、走行装置4の前進、後進の切換が可能である。第1油圧ポンプ9は、車体2に設けられ、作動油を吐出する機器である。第1油圧ポンプ9は、例えば原動機8と連結され、当該原動機8が出力した動力によって作動油を吐出する。
【0024】
連結装置30は、車体2に揺動自在に設けられ、作業装置60を連結する。具体的には、連結装置30は、車体2の後部に設けられている。また、連結装置30は、第1油圧ポンプ9が吐出した作動油によって駆動する第1油圧機器31により揺動可能である。連結装置30の後部には、作業装置60を着脱可能である。連結装置30は、作業装置60を連結することによって、車体2によって作業装置60を牽引することができる。
【0025】
作業装置60は、車体2に装着可能な装置であって、作業機1がトラクタである場合、作業装置60は、連結装置30を介して車体2と連結されている。作業装置60は、外部から入力された動力、例えばPTO軸6から入力された動力によって作動してもよく、また、第1油圧ポンプ9が吐出した作動油によって駆動する油圧機器(図示略)を有し、当該油圧機器によって作動してもよい。作業装置60は、耕耘する耕耘装置90、畝立てを行う畝成形装置71、肥料を散布する肥料散布装置、農薬の散布を行い防除する農薬散布装置85、播種作業を行う播種散布装置75、作物(苗)の植え付けを行う移植機、作物の収穫を行う収穫装置、牧草等の刈取を行う刈取装置、牧草等の拡散を行う拡散装置、牧草等の集草を行う集草装置、牧草等の成形を行う成形装置等である。即ち、連結装置30は、上述したような様々な種類の作業装置60を選択して、車体2に連結することができる。
【0026】
なお、以下の説明においては、説明の都合上、
図23に示すように、作業装置60の幅方向の中央部と、作業機1の幅方向の中央部と、が幅方向において一致している場合を例に説明し、作業装置60の幅方向の中央部と、作業機1の幅方向の中央部と、が幅方向においてずれている(オフセットしている)場合を除いて説明する。ただし、作業装置60の幅方向の中央部と、作業機1の幅方向の中央部と、が幅方向においてずれている(オフセットしている)場合も本発明を適用可能であり、後述する制御装置40等の処理において、作業機1の位置(車体位置VP)を適宜変更する等して適用可能である。
【0027】
以下、変速装置11について詳しく説明する。
図1に示すように、変速装置11は、主軸(推進軸)11aと、主変速部11bと、副変速部11cと、シャトル部11dと、PTO動力伝達部11eと、前変速部11fと、を備えている。推進軸11aは、変速装置11のハウジングケース(ミッションケース)に回転自在に支持され、当該推進軸11aには、原動機8のクランク軸からの動力が伝達される。主変速部11bは、複数のギア及び当該ギアの接続を変更するシフタを有している。主変速部11bは、複数のギアの接続(噛合)をシフタで適宜変更することによって、推進軸11aから入力された回転を変更して出力する(変速する)。
【0028】
副変速部11cは、主変速部11bと同様に、複数のギア及び当該複数のギアの接続を変更するシフタを有している。副変速部11cは、複数のギアの接続(噛合)をシフタで適宜変更することによって、主変速部11bから入力された回転を変更して出力する(変速する)。
【0029】
シャトル部11dは、シャトル軸12と、前後進切換部13とを有している。シャトル軸12には、副変速部11cから出力された動力がギア等を介して伝達される。前後進切換部13は、例えば、油圧クラッチ等で構成され、油圧クラッチの入切によってシャトル軸12の回転方向、即ち、作業機1の前進及び後進を切り換える。シャトル軸12は、後輪デフ装置17Rに接続されている。後輪デフ装置17Rは、後輪4Bが取り付けられた後車軸18Rを回転自在に支持している。
【0030】
PTO動力伝達部11eは、PTO推進軸14と、PTOクラッチ15とを有している。PTO推進軸14は、回転自在に支持され、推進軸11aからの動力が伝達可能である。PTO推進軸14は、ギア等を介してPTO軸6に接続されている。PTOクラッチ15は、例えば、油圧クラッチ等で構成され、油圧クラッチの入切によって、推進軸11aの動力をPTO推進軸14に伝達する状態と、推進軸11aの動力をPTO推進軸14に伝達しない状態とに切り換わる。
【0031】
前変速部11fは、第1クラッチ16Aと、第2クラッチ16Bとを有している。第1クラッチ16A及び第2クラッチ16Bは、推進軸11aからの動力が伝達可能であって、例えば、シャトル軸12の動力が、ギア及び伝動軸を介して伝達される。第1クラッチ16A及び第2クラッチ16Bからの動力は、前伝動軸19を介して前車軸18Fに伝達可能である。具体的には、前伝動軸19は、前輪デフ装置17Fに接続され、前輪デフ装置17Fは、前輪4Aが取り付けられた前車軸18Fを回転自在に支持している。
【0032】
第1クラッチ16A及び第2クラッチ16Bは、油圧クラッチ等で構成されている。第1クラッチ16Aには油路が接続され、当該油路には第1油圧ポンプ9から吐出した作動油が供給される第1作動弁25aに接続されている。第1クラッチ16Aは、第1作動弁25aの開度によって接続状態と切断状態とに切り換わる。第2クラッチ16Bには油路が接続され、当該油路には第2作動弁25bに接続されている。第2クラッチ16Bは、第2作動弁25bの開度によって接続状態と切断状態とに切り換わる。第1作動弁25a及び第2作動弁25bは、例えば、電磁弁付き二位置切換弁であって、電磁弁のソレノイドを励磁又は消磁することにより、接続状態又は切断状態に切り換わる。
【0033】
第1クラッチ16Aが切断状態で且つ第2クラッチ16Bが接続状態である場合、第2クラッチ16Bを通じてシャトル軸12の動力が前輪4Aに伝達される。これにより、前輪4A及び後輪4Bが動力によって駆動する四輪駆動(4WD)で且つ前輪4Aと後輪4Bとの回転速度が略同じとなる(4WD等速状態)。一方、第1クラッチ16Aが接続状態で且つ第2クラッチ16Bが切断状態である場合、四輪駆動になり且つ前輪4Aの回転速度が後輪4Bの回転速度に比べて速くなる(4WD増速状態)。また、第1クラッチ16A及び第2クラッチ16Bが接続状態である場合、シャトル軸12の動力が前輪4Aに伝達されないため、後輪4Bが動力によって駆動する二輪駆動(2WD)となる。
【0034】
図1に示すように、作業機1は、当該作業機1を操作する操作装置20を有している。操作装置20は、運転席7の周囲に設けられており、原動機8、変速装置11、及び走行装置4等を操作可能である。操作装置20は、例えば第1操作レバー21、第2操作レバー22、及び操舵装置23を含んでおり、第1操作レバー21及び第2操作レバー22は、作業者が把持して傾動操作可能である。第1操作レバー21は、連結装置30の昇降を操作可能な装置であり、第2操作レバー22は、連結装置30に連結された作業装置60の操作が可能な装置である。
【0035】
操舵装置23は、作業者の操作によって車体2の操舵を行う手動操舵が可能な装置であり、車体2の直進操作及び旋回操作が可能である。
図22に示すように、操舵装置23は、運転席7の前方に設けられている。操舵装置23は、ステアリングハンドル(ステアリングホイール)23aと、ステアリングハンドル23aを回転可能に支持するステアリングシャフト(回転軸)23bと、を有している。また、操舵装置23は、補助機構(パワーステアリング装置)35を有している。補助機構35は、油圧等によってステアリングシャフト23b(ステアリングハンドル23a)の回転を補助する。補助機構35は、第2油圧ポンプ36aと、第2油圧ポンプ36aから吐出した作動油が供給される補助制御弁36bと、補助制御弁36bにより作動するステアリングシリンダ36cとを含んでいる。補助制御弁36bは、例えば、スプール等の移動によって切り換え可能な3位置切換弁であり、ステアリングシャフト23bの操舵方向(回転方向)に対応して切り換わる。ステアリングシリンダ36cは、前輪4Aの向きを変えるアーム5に接続されている。
【0036】
したがって、作業者がステアリングハンドル23aを把持して操作すれば、当該ステアリングハンドル23aの回転方向に対応して補助制御弁36bの切換位置及び開度が切り換わり、当該補助制御弁36bの切換位置及び開度に応じてステアリングシリンダ36cが左又は右に伸縮することによって、前輪4Aの操舵方向を変更することができる。つまり、車体2は、ステアリングハンドル23aの手動操舵によって、進行方向を左又は右に変更することができる。
【0037】
図2に示すように、連結装置30は、リフトアーム30a、ロアリンク30b、トップリンク30c、及びリフトロッド30dを有している。リフトアーム30aの前端部は、変速装置11を収容するケース(ミッションケース)の後上部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。
【0038】
ロアリンク30bの前端部は、変速装置11の後下部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。トップリンク30cの前端部は、ロアリンク30bよりも上方において、変速装置11の後部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。リフトロッド30dは、リフトアーム30aとロアリンク30bとを連結している。ロアリンク30bの後部及びトップリンク30cの後部には、作業装置60が連結される。
【0039】
図1に示すように、作業機1は、制御装置40と記憶部41とを備えている。制御装置40は、電気・電子回路、CPU等に格納されたプログラム等から構成された装置である。制御装置40は、作業機1が有する様々な機器を制御する。具体的には、制御装置40は、第1油圧機器31の制御、作業装置60、及び第1油圧ポンプ9の出力の変更等の制御が可能である。記憶部41は、不揮発性のメモリ等であり、制御装置40の制御に関する様々な情報等を記憶している。
【0040】
図1に示すように、作業機1は、位置検出装置(測位装置)50を備えている。位置検出装置50は、D-GPS、GPS、GLONASS、北斗、ガリレオ、みちびき等の衛星測位システム(測位衛星)により、自己の位置(緯度、経度を含む測位情報)を検出可能である。即ち、位置検出装置50は、測位衛星から送信された衛星信号(測位衛星の位置、送信時刻、補正情報等)を受信し、衛星信号に基づいて、作業機1の位置(例えば、緯度、経度)、即ち、車体位置VPを検出する。位置検出装置50は、受信装置51と、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)52とを有している。受信装置51は、アンテナ等を有していて測位衛星から送信された衛星信号を受信する装置であり、慣性計測装置52とは別に作業機1に取付けられている。
図22、
図23に示すように、この実施形態では、受信装置51は、車体2に設けられたロプス10の上部に取り付けられている。なお、受信装置51の取り付け位置は、上記位置に限定されず、ボンネットの中央部であってもよく、車体2にキャビン等の保護機構が設けられている場合、保護機構の上部であってもよい。
【0041】
慣性計測装置52は、加速度を検出する加速度センサ、角速度を検出するジャイロセンサ等を有している。作業機1、例えば、運転席7の下方に設けられ、慣性計測装置52によって、作業機1のロール角、ピッチ角、ヨー角等を検出することができる。
【0042】
図1に示すように、作業機1は、表示装置55を備えている。表示装置55は、例えば運転席7の近傍に設けられた走行支援装置である。表示装置55は、表示部56と、表示制御部57と、表示記憶部58と、を備えている。表示部56は、液晶パネル、タッチパネル、その他のパネルのいずれかで構成されており、圃場Gを示すフィールドF等、作業機1の走行を支援するための情報を表示することができる。表示部56は、作業機1の走行を支援するための情報の他に、作業機1、作業装置60に関する様々な情報を表示可能である。
【0043】
表示制御部57は、表示装置55に設けられた電気・電子部品、後述する表示記憶部58に格納されたプログラム等から構成されている。表示制御部57は、表示記憶部58に記憶されている情報を可視化した画面を表示部56に表示させる。
【0044】
表示記憶部58は、不揮発性のメモリ等から構成されており、作業機1、作業装置60に関する様々な情報を格納する。また、表示装置55は、作業機1が有する機器と有線又は無線によって通信可能に接続されており、相互に情報を送受信することができる。具体的には、例えば表示装置55の表示制御部57と、作業機1の制御装置40とが通信可能に接続されている。
【0045】
なお、上述した実施形態において、表示装置55は、運転席7の近傍に設けられた走行支援装置であるが、表示装置55は、表示部56と、表示制御部57と、表示記憶部58と、を備えていればよく、パーソナルコンピュータ(PC)、スマートフォン(多機能携帯電話)、タブレット等のコンピュータであってもよい。
【0046】
図1に示すように、作業機1は、位置取得部57aと、フィールド登録部57bと、フィールド取得部57cと、を備えている。本実施形態においては、位置取得部57a、フィールド登録部57b、及びフィールド取得部57cは、電気・電子部品、表示装置55に組み込まれたプログラム等から構成されており、位置取得部57a、フィールド登録部57b、及びフィールド取得部57cは、表示装置55の表示制御部57が兼用している。なお、本実施形態において、位置取得部57a、フィールド登録部57b、及びフィールド取得部57cは、表示装置55の表示制御部57が兼用しているが、当該位置取得部57a、フィールド登録部57b、及びフィールド取得部57cは、制御装置40等が有していてもよいし、その構成は上記構成に限定されない。
【0047】
位置取得部57aは、作業機1が圃場Gを周回したときの複数の測位点を取得する。具体的には、本実施形態において、位置取得部57aは、位置検出装置50が検出した作業機1の位置(車体位置VP)を複数の測位点VPとして取得する。なお、位置取得部57aは、複数の測位点を取得することができればよく、複数の測位点の位置情報を予め記憶したメモリ等の記憶機器と表示装置55を接続し、当該記憶機器から複数の測位点の位置情報を取得するような構成であってもよく、その取得方法は上述した方法に限定されない。
【0048】
フィールド登録部57bは、表示部56が表示するフィールドFとして所定の圃場Gの輪郭H1、例えば、所定の圃場Gの輪郭H1に対応した位置を登録する。作業者が表示装置55に対して所定の操作を行うと、表示制御部57は、
図3に示すように、表示部56にフィールド登録画面D1を表示させる。フィールド登録画面D1は、圃場Gを含むフィールドF及び作業機1の車体位置VPを示すフィールド表示部100と、圃場Gの名称(圃場名)及び圃場管理番号等の圃場識別情報を示す第1情報表示部101と、を表示する。フィールドFには、圃場Gを示す画像データの他に緯度、経度等の位置情報が対応付けられている。作業者が表示装置55に所定の操作を行うと、表示制御部57は、表示部56にフィールド登録画面D1に表示させる。表示部56がフィールド登録画面D1を表示すると、作業者は、作業機1を操作して、圃場G内で作業機1を周回させる。位置取得部57aは、位置検出装置50により検出された車体位置VPを所定の周期で取得して、当該車体位置VPを表示記憶部58に随時記録するとともに、当該車体位置VPをフィールド表示部100上に随時表示させる(
図3では、便宜上、一部の車体位置VPだけ表示している)。
【0049】
圃場G内での作業機1の周回が終了して、作業者が登録ボタン102を選択すると、フィールド登録部57bが、記録した複数の車体位置VPに基づいて、作業機1の走行軌跡T1を演算する。また、
図4Aに示すように、表示制御部57が、フィールド表示部100のフィールドF上に走行軌跡T1を表示させる。
図4Aの例では、複数の車体位置VPを検出順(取得順)に通った後に、最初に検出された位置VPに戻るラインT1を、作業機1の走行軌跡としている。
【0050】
車体位置VPは、位置検出装置50のGPS位置であり、走行軌跡T1は、GPS位置が移動した軌跡である。このため、フィールド登録部57bは、作業機1におけるGPS位置から、作業装置60の周回外側端(
図4Aでは、作業機1が右回りに圃場Gを周回しているので、作業装置60の左端のこと)までの横幅方向の間隔と同等量、走行軌跡T1を外側にオフセットして、走行軌跡T1とフィールドFの外形ラインとの間にラインH1を形成する。本実施形態では、位置検出装置50のGPS位置は作業機1の中心にあり、作業機1の幅方向の中心と作業装置60の幅方向の中心とが一致しているので、上記のオフセット量を、作業装置60の外形幅(幅方向の長さ)の半分の値又は作業装置60の作業幅W(作業装置60が圃場Gに対して何等かの作用を及ぼす範囲の幅方向の長さ)の半分の値と同値にしている。他の例として、作業機1のGPS位置から作業装置60の周回外側端までの幅方向の間隔より、所定程度小さい値又は所定程度大きい値を上記のオフセット量として、走行軌跡T1とフィールドFの外形ラインとの間にラインH1を形成してもよい。
【0051】
フィールド登録部57bは、上記のように形成したラインH1を圃場Gの輪郭(外形)とし、当該輪郭H1で表されるフィールドFを表示記憶部58に登録(記憶)する。また、この際、フィールド登録部57bは、圃場Gの名称(圃場名)及び圃場管理番号等の圃場識別情報をフィールドFに対応付けて表示記憶部58に登録する。フィールドF等は、表示記憶部58に複数登録可能であり、フィールド登録部57bがフィールドFを登録すると、表示制御部57が当該フィールドF(圃場Gの輪郭H1)を表示する。
【0052】
上述した圃場G(フィールドF)の登録方法は、一例であり、これに限定されない。他の例として、フィールド登録部57bが、
図4Bに示すように、作業機1の走行軌跡T1から変曲点を演算して、当該変曲点を通るラインK1を形成する。そして、前述したオフセット量だけラインK1を外側にオフセットして、走行軌跡T1とフィールドFの外形ラインとの間にラインH2を形成し、当該ラインH2を圃場Gの輪郭K2及びフィールドFとし、当該フィールドFを表示記憶部58に登録してもよい。
【0053】
また、作業機1が周回する際に、作業者が所定のスイッチ等を操作することで、
図4Cに示すように、圃場Gの端部を指定してもよい。また、この場合、フィールド登録部57bは、圃場Gの各端部を指定順に通った後に、最初に指定された端部に戻るラインK2を形成する。そして、前述したオフセット量だけラインK2を外側にオフセットして、走行軌跡T1とフィールドFの外形ラインとの間にラインH3を形成し、当該ラインH3を圃場Gの輪郭K4及びフィールドFとし、当該フィールドFを表示記憶部58に登録してもよい。
【0054】
さらに、圃場Gの輪郭H1,H2,H3及びフィールドFは、例えば位置(緯度、経度)で示されたデータ、座標(X軸、Y軸)系で示されたデータ、又はその他の表現で示されたデータであってもよい。
【0055】
上述したように、表示装置55は、フィールド登録部57bによって複数のフィールドFを登録することができる。フィールド取得部57cは、作業等を行うにあたって複数のフィールドFのうち、所定の圃場Gを示すフィールドFを取得する。
【0056】
図1に示すように、作業機1は、車体2が走行する走行ルートLを作成するルート作成部57dを備えている。本実施形態においては、ルート作成部57dは、電気・電子部品、表示装置55に組み込まれたプログラム等から構成されており、表示装置55の表示制御部57が兼用している。なお、本実施形態において、ルート作成部57dは、表示装置55の表示制御部57が兼用しているが、ルート作成部57dは、制御装置40等が有していてもよいし、その構成は上記構成に限定されない。
【0057】
ルート作成部57dは、第1作成部57d1を有し、当該第1作成部57d1は、例えば表示記憶部58に登録されたフィールドFを参照して、
図5に示すような当該フィールドF上に作業機1の走行ルートLを作成できる。走行ルートLは、作業機1が走行するルートであって、作業機1は、車体位置VPが当該走行ルートLに沿って移動するように走行する。第1作成部57d1は、作業幅W等に基づいて当該走行ルートLをフィールドF上に作成する。
【0058】
具体的には、例えば、第1作成部57d1は、
図6に示すように、フィールドF上の圃場Gを作業幅Wで縦方向又は横方向に区切ることによって、作業装置60で作業を行う複数の単位作業区画EをフィールドF上に作成する。第1作成部57d1は、フィールドF上の圃場Gを作業幅Wで縦方向又は横方向に区切ることによって、作業装置60で作業を行う複数の単位作業区画EをフィールドF上に作成する。即ち、第1作成部57d1は、作業幅Wと同一の幅の単位作業区画EをフィールドF上に複数作成する。単位作業区画Eは、圃場Gの一方端側から他方端側(第1方向B1)に延びている。なお、以下の説明において、第1方向B1と直交する方向を第2方向B2として説明することがある。
【0059】
なお、
図7に示すように、第1作成部57d1は、作業幅Wからオーバラップ幅Wlを除した幅(実作業幅)W2の単位作業区画EをフィールドFに複数作成してもよい。オーバラップ幅Wlは、表示装置55を操作し、表示部56に表示される画面に入力することが可能である。即ち、第1作成部57d1は、作業装置60を連結した作業機1を走行させた場合に、当該作業装置60によって圃場Gに対して作業が行われる領域を、単位作業区画Eとして設定する。
【0060】
図5に示すように、第1作成部57d1は、フィールドFの単位作業区画E毎に、作業機1が直進する区画ラインLaの作成を行う。即ち、第1作成部57d1は、例えば、単位作業区画Eの幅方向中央部に、当該単位作業区画Eの長手方向の両端部を結ぶ略直線状の区画ラインLaを作成する。つまり、区画ラインLaは、第1方向B1に延びている。また、第1作成部57d1は、作業機1が旋回する旋回部Lbを作成する。即ち、第1作成部57d1は、隣接する区画ラインLaの端部同士を円弧状に結ぶことによって旋回部Lbを作成する。
【0061】
なお、上述した実施形態において、単位作業区画Eは、第1方向B1に延びる略長方形状に形成され、単位作業区画Eは、作業幅Wと同一の幅に形成され、且つ第1方向B1に延びていればよく、比較的緩やかに湾曲したりジグザグ形状に形成されていてもよい。即ち、区画ラインLaも、第1方向B1に延びる直線状に形成されているが、単位作業区画Eの幅方向中央部において、当該単位作業区画Eの長手方向の両端部を結ぶラインであればよく、比較的緩やかに湾曲したりジグザグ形状に形成されていてもよい。
【0062】
ここで、上述したように、作業装置60には、作業の種類に応じて様々な種類が存在する。また、作業装置60には、畝と作物との位置は対応するよう、畝成形装置71、肥料散布装置、播種散布装置75、及び移植機のように、圃場Gの畝及び作物の位置に応じて作業を行う作業装置60、並びに耕耘装置90及び農薬散布装置85等のように、畝や作物の個別の位置とは関係なく比較的広範囲の作業を行う作業装置60が存在する。また、同一の作業を行う機種同士であっても作業幅Wが異なる場合もある。
【0063】
以下の説明において、畝成形装置71及び播種散布装置75のように、畝を形成したり、畝ごとに播種作業や植え付け作業等を行ったりして、圃場Gの土壌に対して直接干渉して作業を行う作業装置60のことを「第1種装置61」として説明する。また、農薬散布装置85及び施肥装置等のように、畝成形作業及び移植作業が完了した圃場Gの土壌に対して直接干渉して作業を行わない作業装置60のことを「第2種装置62」という。また、耕耘装置90のように、畝や作物の個別の位置には関係なく、土壌に直接干渉して作業を行う作業装置のことを「第3種装置63」という。
【0064】
図8Aに示すように、第1種装置61は、単一又は複数の作業部61aを有している。作業部61aは、作業機1によって第1種装置61が牽引されることで、圃場Gに対する対地作業を行い、それぞれ当該作業機1の進行方向に延びる作業ラインR1を形成する構造体である。以下の説明において、作業部61aが作業を行う幅を単位作業幅Wcとして説明する。より詳しくは、単位作業幅Wcは、作業部61aが実際に作業を実施した結果を示す幅であってもよいし、作業部61aが実際に作業を実施した結果のうち、目的の作業結果を示す幅であってもよい。例えば、畝成形装置71が畝を形成する場合、単位作業幅Wcは、畝の幅であってもよいし、畝の上面(畝の裾を除いた部分)の幅であってもよい。
【0065】
第1種装置61が複数の作業部61aを有している場合、当該複数の作業部61aは、幅方向に離反して等間隔(第1間隔x毎)に配置されている。なお、第1間隔xは、それぞれの第1種装置61によっては、予め固定されている値であり、圃場Gで行う一連の作業に応じて、作業者が任意に設定する値であってもよく、一の作業装置60の作業部61aの間隔、及び他の作業装置60の作業部61aの間隔が一致するよう設定される。
【0066】
複数の作業部61aは、一の作業部61aの中央部から、当該一の作業部61aに隣接する他の作業部61aの中央部までの長さが第1間隔xになるよう配置されている。また、単一の作業部61aが作業を行う幅(単位作業幅Wc)は、第1間隔xよりも小さい(Wc<x)。
【0067】
つまり、作業機1が
図5に示すような走行ルートLを走行する場合、
図8Aに示すように、作業部61aが形成する作業ラインR1は、圃場Gに対して帯状の領域且つ等間隔に形成される。本実施形態において、作業機1の幅方向の中央部と、作業装置60の幅方向の中央部が一致しており、且つ車体位置VPが作業機1の幅方向の中央部に位置しているため、単位作業区画Eにおいて、作業ラインR1は走行ルートLを基準に幅方向で対称に形成される。
【0068】
第1種装置61が複数の作業部61aを有している場合、作業ラインR1は、単位作業区画E内において長手方向に直交する方向に第1間隔x毎に離反して形成される。言い換えると、第1種装置61は、単位作業区画E内において、作業を行う領域(作業ラインR1)と作業を行わない領域(ラインR2)を形成し、作業ラインR1は、圃場G内に形成される単位作業区画E以下の最小単位の領域である。作業ラインR1の幅(第1幅)Wdは、単位作業幅Wcの大きさと一致している。
【0069】
作業ラインR1は、走行装置4が接触することで損壊する畝或いは畝の上面、又は損傷する作物等である。言い換えると、作業ラインR1は、走行装置4が走行することができない走行不可ラインR1である。即ち、走行不可ラインR1は、圃場Gの一方端側から他方端側(第1方向B1)に延び、第2方向B2に第1間隔x毎に形成され、第1間隔x毎に離反して形成されたラインである。本実施形態においては、走行不可ラインR1は、略直線状に形成されているが、比較的緩やかに湾曲したりジグザグ形状に形成されていてもよい。なお、以下、説明の都合上、作業ラインR1が畝又は作物である場合を中心に説明する。
【0070】
ラインR2は、複数の走行不可ラインR1に隣接して形成されたラインであり、単位作業区画Eにおける作業ラインR1以外の領域である。具体的には、複数のラインR2は、複数の走行不可ラインR1の直交方向(第2方向B2)の両側にそれぞれ隣接して形成される。つまり、
図13A及び
図13Bに示すように、複数のラインR2は、複数の走行不可ラインR1の間に形成されたラインと、複数のラインR2のうち、両端に位置するラインR2のそれぞれ外側に隣接する2つのラインと、を含んでいる。
図8A、
図10に示すように、ラインR2は、圃場Gの一方端側から他方端側(第1方向B1)に延び、第2方向B2に第1間隔x毎に形成されている。なお、本実施形態においては、ラインR2は、略直線状に形成されているが、比較的緩やかに湾曲したりジグザグ形状に形成されていてもよい。
【0071】
また、
図8A、
図10に示すように、複数のラインR2の幅(第2幅)Weは、第1間隔xと単位作業幅Wcの差と一致する(We=x-Wc)。
【0072】
ここで、走行装置4(第1走行部4L,第2走行部4R)の位置、第1間隔x、及び単位作業幅Wcの関係について説明すると、
図10に示すように、走行装置4の接地面の幅方向の長さ(第3幅)Wf、トレッド幅(第4幅)Wgは、第1走行部4Lが一のラインR2に位置している場合に、第2走行部4Rが他のラインR2に位置するように設定されている。言い換えると、ラインR2は、走行装置4が走行する際に第1走行部4L及び第2走行部4RがラインR2に従って走行すれば、第1走行部4L及び第2走行部4Rが畝及び作物等に接触することがないように設定されている走行可能ラインR2である。なお、作業ライン(走行不可ライン)R1が畝の上面である場合、ラインR2は、走行装置4が走行する際に第1走行部4L及び第2走行部4RがラインR2に従って走行すれば、第1走行部4L及び第2走行部4Rが畝の裾を損壊する場合があっても、少なくとも畝の上面に接触することがないように設定されている走行可能ラインR2である。
【0073】
まず、走行装置4の接地面の幅方向の長さ(第3幅)Wf、即ち本実施形態においては、前輪4A及び後輪4Bのタイヤ幅Wfは、走行可能ラインR2の幅方向の長さ(第2幅)We未満に設定されている(Wf<We)。ここで、
図8A、
図10に示すように、第2幅Weは、第1間隔xと単位作業幅Wcとの差に等しいため(We=x-Wc)、言い換えると、前輪4A及び後輪4Bのタイヤ幅Wfは、第1間隔xと単位作業幅Wcとの差未満に設定されている(Wf<We=x-Wc)。
【0074】
つぎに、トレッド幅(第4幅)Wgは、第1走行部4Lの幅方向の中央部から第2走行部4Rの幅方向の中央部までの長さであり、第4幅Wgが適当な長さである場合、第1走行部4L及び第2走行部4Rが畝及び作物等に接触することを回避できる。具体的には、作業機1が走行ルートL(区画ラインLa)を走行する場合に、第1走行部4Lと第2走行部4Rとの間に位置する作業ラインR1の数をkとした場合、第4幅Wgは、第1間隔x及び自然数k-1の積と、第1幅Wd及び第3幅Wfと、の和よりも大きい(Wg>x(k-1)+Wd+Wf)。また、第4幅Wgは、第1間隔x及び自然数k+1の積と第3幅Wfとの差よりも小さい(Wg<x(k+1)-Wf)。
【0075】
このため、第1走行部4Lと第2走行部4Rとの離間幅(Wg-Wf)が、第1走行部4L及び第2走行部4Rの間に位置する作業ラインR1の幅方向の長さ(x(k-1)+Wd)よりも小さくなることがなく、第1走行部4Lの幅方向外端部及び第2走行部4Rの外端部の間の長さ(Wf+Wg)が作業機1の側方に位置する一方の作業ラインR1と他方の作業ラインR1との間の長さ(x(k+1))よりも大きくなることがない。即ち、走行装置4は、第1間隔xに対応する長さだけ離間して配置されている。これにより、走行装置4が走行する際に第1走行部4L及び第2走行部4RがラインR2に従って走行すれば、第1走行部4L及び第2走行部4Rが畝及び作物等に接触することがない。
【0076】
なお、トレッド幅(第4幅)Wgは、第1間隔xの略整数倍であることが好ましい。また、作業者は、上記条件を満たすように第1幅wd、第1間隔x、第3幅Wf、及び第4幅Wgを調整し、例えば作業者は、走行装置(本実施形態においては前輪4A及び後輪4B)を交換して、第2幅We及び第4幅Wgは適宜変更するなどして、第3幅Wf及び第4幅Wgの微調整を行うことができる。
【0077】
このため、ラインR2は、走行装置4が走行する際に第1走行部4L及び第2走行部4RがラインR2に従って走行すれば、第1走行部4L及び第2走行部4Rが畝及び作物等に接触することがないライン、つまり走行装置4が走行することができる走行可能ラインR2である。
【0078】
また、
図10に示すように、作業機1が走行ルートL(区画ラインLa)を走行する場合、第1走行部4L及び第2走行部4Rは、車体1の幅方向の両側であって、当該区画ラインLaから直交方向に第4幅Wgの1/2の位置にある走行可能ラインR2を走行する。言い換えると、区画ラインLaと、第1走行部4L及び第2走行部4Rが走行する走行可能ラインR2は、第4幅Wgに対応している。即ち、走行ルートL(区画ラインLa)、及び走行可能ラインR2は、複数の走行可能ラインR2のうち、一の走行可能ラインR2を選択すると、第4幅Wgに基づいて、第1走行部4L又は第2走行部4Rが当該走行可能ラインR2を走行する際の区画ラインLaを定義できる。一方、複数の区画ラインLaのうち、一の区画ラインLaを選択すると、第4幅Wgに基づいて、作業機1が当該一の区画ラインLaを走行する際に第1走行部4L及び第2走行部4Rが走行する走行可能ラインR2を定義できる。
【0079】
例えば、第1種装置61が畝成形装置71である場合、作業部61aは、圃場Gの土を案内して畝を成形する畝立て器72である。畝成形装置71は、作業ラインR1として畝立て作業された畝ラインRaを形成し、畝ラインRaの幅方向の長さ(畝の幅、又は畝の上面の幅)は、単位作業幅Wcと一致している。また、第1種装置61が播種散布装置75である場合、作業部61aは、容器78内の種子を圃場Gに播種ノズル76及び鎮圧ローラ77である。作業ラインR1は、作物の種子が播種作業された作物ラインRbであり、作物ラインRbの幅方向の長さは、単位作業幅Wcと一致している。また、第1種装置61が移植機である場合、作業部61aは、作物を植え付けるホッパである。作業ラインR1は、ホッパによって作物の植え付け作業がされた作物ラインRbであり、作物ラインRbの幅方向の長さは、単位作業幅Wcと一致している。
【0080】
なお、以下の説明では、説明の都合上、第1種装置61が有する作業部61aの数が偶数である場合を中心に説明する。上述したように、本実施形態においては、説明の都合上、作業装置60の幅方向の中央部が作業機1の幅方向の中央部と一致している場合を例に説明するため、第1種装置61が有する複数の作業部61aのうち、最も内側に配置された2つの作業部61aの中央部と、作業機1の幅方向の中央部が一致する。
【0081】
以下、
図9Aに示す畝成形装置71及び
図9Bに示す播種散布装置75を例に第1種装置61、作業部61a、及び作業ラインR1等について詳しく説明する。畝成形装置71は、作業部61aとして単一又は複数の畝立て器72を有しており、本実施形態において、畝立て器72は、幅方向に一対配置されている。詳しくは、
図9Aに示すように、一方の畝立て器72の幅方向の中央部から他方の畝立て器72の幅方向の中央部までの距離が第1間隔xである。つまり、作業装置60が畝成形装置71である場合において、第1間隔xは、一の畝の中央部と当該一の畝に隣接する他の畝の中央部との「畝間距離」となる。
【0082】
図9Aに示すように、畝立て器72は、それぞれ天板72aと、第1側板72bと、第2側板72cと、を有している。天板72aは、畝立て器72の上部を構成し、前方から後方に向かって下方に傾斜するように配置されている。第1側板72bは天板72aの幅方向の一方端(左端)から下方に延び、第2側板72cは天板72aの幅方向の他端(右端)から下方に延び、畝立て器72は、背面視で略台形状を形成する。
【0083】
図9Aに示す例においては、畝成形装置71は、一対の畝立て器72を有しているため、作業機1に牽引されることで2列の畝ラインRaを成形することができる。なお、畝成形装置71が畝立て器72を3つ有している場合、作業機1に牽引されることで3列の畝ラインRaを成形し、畝成形装置71が畝立て器72を4つ有している場合、作業機1に牽引されることで4列の畝ラインRaを成形する。
【0084】
なお、
図9Aに示す畝成形装置71は、畝立て器72の前部にロータリ耕耘部73を備え、畝立て器72は、ロータリ耕耘部73が後方に放てきした土を畝として成形する。ロータリ耕耘部73は、爪軸73aと、耕耘爪73bと、を有する。爪軸73aは、幅方向に延びる回転軸を有し、PTO軸6から出力された動力によって駆動して耕耘を行う。
【0085】
図9Aに示すような畝成形装置71において、作業幅Wは、ロータリ耕耘部73の幅方向の一方側(左端)から、ロータリ耕耘部73の幅方向の他方側(右端)までの長さである。また、畝成形装置71が、ロータリ耕耘部73を備えていない場合、作業幅Wは、幅方向の一方側(左端)に配置され、畝立て器72に土を案内する部材から、幅方向の他方側(右端)に配置され、畝立て器72に土を案内する部材までの長さである。
【0086】
また、播種散布装置75は、作業部61aとして単一又は複数の播種ノズル76を有しており、本実施形態においては、
図9Bに示すように、播種ノズル76は、幅方向に4つ配置されている。詳しくは、一の播種ノズル76の幅方向の中央部から、当該一の播種ノズル76に隣接する他の播種ノズル76の幅方向の中央部までの距離が第1間隔xであり、播種ノズル76は、幅方向の中央部が第1間隔x毎に位置するように配置される。
【0087】
また、播種散布装置75は、鎮圧ローラ77を有しており、鎮圧ローラ77は、播種ノズル76に対応する位置に配置されている。本実施形態において、鎮圧ローラ77は、播種ノズル76の後方に幅方向に離反して4つ配置されている。詳しくは、一の鎮圧ローラ77の幅方向の中央部から、当該一の鎮圧ローラ77に隣接する他の鎮圧ローラ77の幅方向の中央部までの距離が第1間隔xであり、鎮圧ローラ77は、幅方向の中央部が第1間隔x毎に位置するように配置される。なお、本実施形態において、播種ノズル76を播種散布装置75の作業部61aとして説明しているが、播種ノズル76と鎮圧ローラ77は対応する位置に配置され、且つそれぞれ圃場Gに対する作業を行うため、鎮圧ローラ77を作業部61aとしてもよい。
【0088】
播種散布装置75は、種子を収容する容器78と、容器78と播種ノズル76とを接続するホース(図示略)と、ホースを介して容器78の種子を繰り出す繰出機79と、を有している。このため、繰出機79を駆動することによってホースに繰り出された播種は、ホースを通って播種ノズル76から圃場Gへ播種され、鎮圧ローラ77は、少なくとも播種された部分を鎮圧する。このため、
図9Bに示す例においては、播種散布装置75は、播種ノズル76及び鎮圧ローラ77を4つ有しているため、作業機1に牽引されることで4列の作物ラインRbを成形することができる。なお、播種散布装置75が播種ノズル76及び鎮圧ローラ77を1つ有している場合、作業機1に牽引されることで1列の作物ラインRbを成形し、播種散布装置75が播種ノズル76及び鎮圧ローラ77をそれぞれ一対ずつ有している場合、作業機1に牽引されることで2列の作物ラインRbを成形する。
【0089】
なお、
図9Bに示すような播種散布装置75において、作業幅Wは、幅方向の一方側(左端)に配置された播種ノズル76の散布範囲の左端から、幅方向の他方側(右端)に配置された播種ノズル76の散布範囲の右端までの長さと第2幅Weとの和の長さである。
【0090】
第2種装置62は、圃場Gに畝成形作業及び移植作業が完了した圃場Gの土壌に対して直接干渉して作業を行わない作業装置60であり、
図8Bに示すように、第1種装置61と異なり、単一の作業体62aを有している。作業体62aは、作業機1によって第2種装置62が牽引されることで、圃場Gに対する対地作業を行い、当該作業機1の進行方向に延びる作業領域R3を形成する構造体である。ここで、第2種装置62の作業幅Wと作業領域R3の幅方向の長さは一致し、作業領域R3と単位作業区画Eとは一致している。つまり、第2種装置62は、第1種装置61と異なり、単位作業区画E内において、作業を行う領域(作業ラインR1)と作業を行わない領域を形成せず、単位作業区画E内の全領域において作業を行う。
【0091】
以下、
図9Cに示す農薬散布装置85を例に第2種装置62を説明する。農薬散布装置85は、作業体62aとして複数の農薬ノズル86を有しており、複数の農薬ノズル86は幅方向に複数配置されている。複数の農薬ノズル86は、第1間隔xと同値又はそれ以外の大きさの間隔で配置されており、畝や作物の位置とは関係なく単位作業区画E内の全領域において作業を行う領域(作業ラインR1)と作業を行わない領域を形成せず、比較的広範囲の散布作業を行う。
【0092】
農薬散布装置85は、農薬を貯留するタンク87と、タンク87を保持するフレーム88と、タンク87内の農薬を農薬ノズル86に供給する散布ポンプ89と、を有している。複数の農薬ノズル86は、それぞれフレーム88の後部から左又は右に突出する支持部材に所定の間隔をあけて取付けられている。フレーム88は、縦部材及び横部材を組み合わせることで枠状に形成されている。農薬散布装置85は、散布ポンプ89を駆動することによって、タンク87内の農薬を農薬ノズル86から噴出させて、農薬等の農薬を散布することができる。
【0093】
農薬散布装置85において、作業幅Wは、
図9Cに示すように幅方向の一方側(左端)に配置された農薬ノズル86の散布範囲の左端から、幅方向の他方側(右端)に配置された農薬ノズル86の散布範囲の右端までの長さである。
【0094】
第3種装置63は、耕耘装置90等のように、畝や作物ラインの有無問わず、直接土壌に干渉して作業を行う作業装置60であって、
図8Cに示すように、第2種装置62と同様、第1種装置61と異なり、単一の作業体63aを有している。作業体63aは、作業機1によって第2種装置62が牽引されることで、圃場Gに対する対地作業を行い、当該作業機1の進行方向に延びる作業領域R4を形成する構造体である。ここで、第3種装置63の作業幅Wと作業領域R4の幅方向の長さは一致し、作業領域R3と単位作業区画Eとは一致している。つまり、第3種装置63は、第2種装置62と同様、第1種装置61と異なり、単位作業区画E内において、作業を行う領域(作業ラインR1)と作業を行わない領域を形成せず、単位作業区画E内の全領域において作業を行う。
【0095】
以下、
図9Dに示す耕耘装置90を例に第3種装置63について説明する。耕耘装置90は、爪軸91と、耕耘爪92と、を有する。爪軸91は、幅方向に延びる回転軸を有し、PTO軸6から出力された動力によって駆動して耕耘を行う。耕耘爪92は、爪軸91に取り付けられており、当該爪軸91の軸心廻りに回転して、耕起と砕土を行う。耕耘爪92は、爪軸91の幅方向の一方側(左側)から他方側(右側)に亘って配置されており、爪軸91の軸心から径外方に延びている。
【0096】
図9Dに示すような耕耘装置90において、作業幅Wは、耕耘装置90の幅方向の一方側(左端)から、耕耘装置90の幅方向の他方側(右端)までの長さである。
【0097】
ここで、通常、圃場Gにおいて作物の栽培を行う場合、一定期間内(例えば1年間や数か月等)の作業スケジュールに基づき、複数の異なる作業装置60を用いて作業を行うことがある。以下、一定期間内の任意の時点(n、n=1,2,3・・・n)において、圃場Gで行う作業のことを第1作業Jnとして説明し、当該第1作業Jnを行う際に、作業機1に連結する作業装置60のことを第1作業装置60Aとして説明する。また、第1作業Jnの前に行う作業のことを第2作業Jn-1として説明し、当該第2作業Jn-1を行う際に、作業機1に連結する作業装置60のことを第2作業装置60Bとして説明する。
【0098】
なお、第1作業装置60Aの作業幅Wを第1作業幅Waとして説明し、第2作業装置60Bの作業幅Wを第2作業幅Wbとして説明する。また、第1作業装置60Aが第1種装置61である場合、当該第1作業装置60Aの作業部61aを第1作業部61a1として説明する。第2作業装置60Bが第1種装置61である場合、当該第2作業装置60Bの作業部61aを第2作業部61a2として説明する。
【0099】
圃場Gでバレイショを栽培する場合を例に、第1作業Jn及び第2作業Jn-1等について説明すると、バレイショの栽培の一連のスケジュールは、圃場Gの施肥J1、砕土J2、防除J3、畝立てJ4、植え付けJ5、除草J6、培土J7、芽かきJ8、追肥J9、防除J10、収穫J11の順で行う(なお、上記流れは一例に過ぎず、作業機1に連結する作業装置60に種類や構成、又は生育状態によっても異なる場合がある)。
【0100】
つまり、第1作業Jnを圃場Gの畝立てJ4とした場合、第1作業装置60Aは、畝成形装置71であり、第2作業Jn-1は、当該圃場Gの施肥J1、砕土J2、及び防除J3のいずれか又は全部となる。斯かる場合、第2作業装置60Bは、第2作業Jn-1に対応する作業装置60となる。例えば第2作業Jn-1が施肥J1である場合、第2作業装置60Bは、肥料散布装置となる。また、第1作業Jnを収穫J11とした場合、第1作業装置60Aは、収穫装置であり、第2作業Jn-1は、当該圃場Gで行った施肥J1、砕土J2、防除J3、畝立てJ4、植え付けJ5、除草J6、培土J7、芽かきJ8、追肥J9、及び防除J10のいずれか又は全部となる。つまり、第1作業装置60Aの第1作業Jn、及び第2作業装置60Bの第2作業Jn-1は、直接的、間接的に関連している。
【0101】
上述したように、一般的に畝成形装置71の畝立て器72、肥料散布装置の散布ノズル、播種散布装置75の播種ノズル76、及び移植機のホッパ等の間隔は、予めそれぞれ一致させ、畝と作物との位置が対応するよう任意の間隔(第1間隔x)に設定されており、走行装置4の接地面の幅方向の長さ(第2幅)Weは、走行装置4が作業ラインR1を跨いで走行することができるよう、作業ラインR1の幅(第1幅)Wd及び第1間隔xに対応して設定されている。
【0102】
しかしながら、例えば第2作業装置60Bが
図9Aに示す畝成形装置71であり、第1作業装置60Aが
図9Bに示す播種散布装置75である場合等のように、第1作業装置60Aと第2作業装置60Bとで、幅方向に配置された作業部61aの数が異なる場合、又は作業幅Wが異なる場合において、第2作業装置60Bで第2作業Jn-1を行う際に作業機1が走行する経路(基準ルートL2)と同一の経路で、第1作業装置60Aを連結した作業機1が走行し、第1作業装置60Aが第1作業Jnを行うと、
図11A、
図11B、
図11C、
図11Dに示すように、第1作業Jnを行う際に未作業の領域(未作業領域E1)、又は重複して作業を行う領域(重複作業領域E2)が生じてしまう。なお、
図11A~
図11Dにおいては、説明の都合上、第1作業Jnのみが行われた領域と、第2作業Jn-1のみが行われた領域と、第1作業Jn及び第2作業Jn-1の両方が行われた領域と、で異なるメッシュで表示し、未作業領域E1及び重複作業領域E2の枠線を太く示している。また、重複作業領域E2は、他の領域に比べてメッシュを細かくして表示している。
【0103】
具体的には、例えば、第1作業装置60Aが第1種装置61であって、第1作業部61a1が2つであり、第2作業装置60Bが第1種装置61であって、第2作業部61a2が4つである等、第1作業部61a1のほうが第2作業部61a2よりも少ない場合、
図11Aに示すように、第1作業装置60Aを連結した作業機1が基準ルートL2を走行し、第1作業装置60Aが第1作業Jnを行うと、未作業領域E1が生じてしまう。
【0104】
また、第1作業装置60Aが第1種装置61であって、第1作業部61a1が4つであり、第2作業装置60Bが第1種装置61であって、第2作業部61a2が2つである等、第1作業部61a1のほうが第2作業部61a2よりも多い場合、
図11Bに示すように、第1作業装置60Aを連結した作業機1が基準ルートL2を走行し、第1作業装置60Aが第1作業Jnを行うと、重複作業領域E2が生じてしまう。さらには、第1作業部61a1は、第2作業部61a2が作業を行った作業ラインR1外で作業を行ってしまう。
【0105】
また、第1作業装置60Aが第2種装置62であって、第2作業装置60Bが第1種装置61であって、第1作業幅Waのほうが第2作業幅Wbよりも小さい場合、
図11Cに示すように、第1作業装置60Aを連結した作業機1が基準ルートL2を走行し、第1作業装置60Aが第1作業Jnを行うと、未作業領域E1が生じてしまう。
【0106】
さらに、第1作業装置60Aが第2種装置62であって、第2作業装置60Bが第1種装置61であって、第1作業幅Waのほうが第2作業幅Wbよりも大きい場合、
図11Dに示すように、第1作業装置60Aを連結した作業機1が基準ルートL2を走行し、第1作業装置60Aが第1作業Jnを行うと、重複作業領域E2が生じてしまう。さらには、作業体62aは、第2作業部61a2が作業を行った作業ラインR1外で作業を行ってしまう。
【0107】
そこで、ルート作成部57dは、上述した第1作成部57d1に代えて、或いは加えて、第2作成部57d2を有し、第2作成部57d2は、第2作業Jn-1に基づいて第1作業Jnの走行ルートL(第1ルートL1)を作成することが可能である。具体的には、第2作成部57d2は、第2作業Jn-1における走行ルートL、及び第2作業装置60Bの第2情報に基づいて第1作業Jnの走行ルートLを作成する。以下、説明の都合上、第2作業Jn-1における走行ルートL(基準ルートL2)を第2ルートL2として説明し、第1作業Jnの走行ルートLを第1ルートL1として説明することがある。言い換えると、第2ルートL2は、第2作業装置60Bを連結した車体2が移動するルート、即ち第2作業の経路であり、第1ルートL1は、第1作業装置60Aを連結した車体2が移動するルート、即ち第1作業の経路である。斯かる場合において、第1ルートL1の区画ラインLaを第1部分La1とし、第2ルートL2の区画ラインLaを第2部分La2として説明する。
【0108】
より詳しくは、第2作成部57d2は、圃場Gの一方端側から他方端側(第1方向B1)に延び、第1間隔x毎に形成された複数の走行不可ラインR1に基づいて第1ルートL1を作成可能である。本実施形態において、複数の走行不可ラインR1は、例えば圃場Gの一方端側から他方端側に第1間隔x毎に作業が行われた作業ラインR1である。第2作成部57d2(ルート作成部57d)は、圃場Gの一方端側から他方端側(第1方向B1)に延び、第1間隔x毎に形成された複数の走行不可ラインR1(作業ラインR1)に基づいて第1ルートL1を作成する。言い換えると、第2作成部57d2(ルート作成部57d)は、前工程の作業に基づいて、第1作業Jnを行う走行ルートLとして未作業領域E1及び重複作業領域E2を抑制する第1ルートL1を作成する。
【0109】
本実施形態においては、ルート作成部57dは、圃場Gの状況、即ち一定期間内の作業スケジュール、及び作業計画の作成状況に応じて、第1作成部57d1による走行ルートLの作成と、第2作成部57d2による走行ルートLの作成と、を切り換える。具体的には、作業者が表示装置55の任意の操作を行った場合に、表示制御部57は、
図12に示すように、表示部56に選択画面D2を表示させ、ルート作成部57dは、第1作成部57d1及び第2作成部57d2によって、第1ルートL1及び第2ルートL2をまとめて作成する「第1モード」と、第2作業Jn-1を参照して第2作成モードによって第2ルートL2のみを作成する「第2モード」とに切換可能である。選択画面D2は、選択部105を有し、選択部105を選択操作することで、「第1モード」と、「第2モード」と、の選択操作を受け付ける。
【0110】
以下、第2作成部57d2による第1ルートL1の作成について詳しく説明する。
【0111】
図1に示すように、作業機1は、第1作業取得部57eと、第2作業取得部57fと、ルート取得部57gと、第1取得部57hと、判断部57iと、を備えている。第1作業取得部57e、第2作業取得部57f、ルート取得部57g、及び判断部57iは、表示装置55の表示制御部57が兼用している。なお、本実施形態において、第1作業取得部57e、第2作業取得部57f、ルート取得部57g、及び判断部57iは、表示装置55の表示制御部57が兼用しているが、当該第1作業取得部57e、第2作業取得部57f、ルート取得部57g、及び判断部57iは、制御装置40等が有していてもよいし、その構成は上記構成に限定されない。
【0112】
第1作業取得部57eは、第1作業装置60Aの第1情報を取得する。第1情報は、第1作業装置60Aの固有の情報、及び第1作業装置60Aが行う第1作業Jnに関する情報等である。具体的には、第1作業取得部57eは、第1情報として、例えば第1作業幅(第2間隔)Wa及び第1作業部61a1の数c1を取得する。なお、第1作業取得部57eが取得する第1情報は、第1作業幅Wa及び第1作業部61a1の数c1に限定されず、第1作業幅Wa及び第1作業部61a1の数c1に加え、第1作業装置60Aの種類、個別情報、機種名、第1作業部61a1の単位作業幅Wc、第1間隔x、及び第1作業の日時等の情報を第1情報として取得してもよい。本実施形態において、第1作業取得部57eは、第1作業幅Wa及び第1作業部61a1の数c1に加え、第1作業装置60Aの種類、個別情報、機種名、単位作業幅Wcの大きさ、及び第1間隔xを第1情報として取得する。なお、以下、説明の都合上、第1作業取得部57eのうち、第1作業幅(第2間隔)Waを取得する構成を第2取得部57e1として説明する場合がある。
【0113】
第2作業取得部57fは、第2作業装置60Bの第2情報を取得する。第2情報は、第2作業装置60Bの固有の情報、及び第2作業装置60Bが行う第2作業Jn-1に関する情報等である。具体的には、第2作業取得部57fは、第2情報として、例えば第2作業幅Wb及び第2作業部61a2の数c2を取得する。なお、第2作業取得部57fが取得する第2情報は、第2作業幅Wb及び第2作業部61a2の数c2に限定されず、第2作業幅Wb及び第2作業部61a2の数c2に加え、第2作業装置60Bの種類、個別情報、機種名、単位作業幅Wc、第1間隔x、及び第2作業の日時等の情報を第2情報として取得してもよい。本実施形態において、第2作業取得部57fは、第2作業幅Wb及び第2作業部61a2の数c2に加え、第2作業装置60Bの種類、個別情報、機種名、単位作業幅Wc、及び第1間隔xの情報を第2情報として取得する。
【0114】
ルート取得部57gは、第2ルートL2を取得する。ルート取得部57gは、ルート作成部57dが作成した走行ルートLのうち第2作業Jn-1に対応する走行ルートLを第2ルートL2として取得したり、制御装置40等の記憶領域が第2作業Jn-1に対応する走行ルートLを記憶している場合、当該記憶領域から当該走行ルートLを第2ルートL2として取得したりする。本実施形態において、ルート取得部57gは、第2ルートL2のうち、少なくとも複数の第2部分La2を取得する。本実施形態において、ルート取得部57gが取得する第2ルートL2は、第1作成部57d1が作成した走行ルートLであるが、第2ルートL2は、第2作成部57d2が作成した走行ルートLであってもよい。さらに、ルート取得部57gは、位置取得部57aが取得した車体位置VPに基づいて第2ルートL2を取得してもよい。斯かる場合において、位置検出装置50は、作業機1が第2作業を行った際の作業機1の位置(車体位置VP)を検出し、位置取得部57aは、位置検出装置50が車体位置VPを検出した時間情報と対応づけて当該車体位置VPを取得する。ルート取得部57gは、例えば位置取得部57aが取得した車体位置VPを時間情報に基づいて接続し、第2ルートL2を定義し、定義した第2ルートL2を取得する。
【0115】
第1取得部57hは、走行不可ラインR1を取得する。具体的には、本実施形態において、第1取得部57hは、第2作業取得部57fが取得した第2作業部61a2の数c2、単位作業幅Wc、及び第1間隔x、並びにルート取得部57gが取得した第2ルートL2に基づいて作業ラインR1の位置情報を定義することで、走行不可ラインR1の例えば位置(緯度、経度)で示されたデータ、座標(X軸、Y軸)系で示されたデータを取得する。より詳しくは、第1取得部57hは、ルート取得部57gが取得した第2部分La2、並びに第2作業取得部57fが取得した第2作業部61a2の数c2、単位作業幅Wc、第1間隔x、及び当該第2部分La2に基づいて作業ラインR1の位置(緯度、経度)で示されたデータ、座標(X軸、Y軸)系で示されたデータを取得する。
【0116】
なお、上述した実施形態において、第1取得部57hは、第2作業取得部57fが取得した第2作業部61a2の数c2、単位作業幅Wc、及び第1間隔x、並びにルート取得部57gが取得した第2ルートL2に基づいて作業ラインR1を定義して、走行不可ラインR1を取得するが、その取得方法は上述した方法に限定されず、表示記憶部58乃至は、表示装置55又は制御装置40と直接的、間接的に通信可能な外部のサーバ等の記憶領域が予め走行不可ラインR1(作業ラインR1)を記憶している場合、当該記憶領域から走行不可ラインR1を取得してもよい。
【0117】
判断部57iは、第2作業取得部57fが取得した第2情報に基づいて、第2作業装置60Bが第1種装置61、第2種装置62及び第3種装置のいずれであるかを判断する。判断部57iは第2情報のうち、第2作業装置60Bの種類に基づいて、第2作業装置60Bが第1種装置61、第2種装置62及び第3種装置のいずれであるかを判断する。詳しくは、表示記憶部58乃至は、表示装置55又は制御装置40と直接的、間接的に通信可能な外部のサーバ等の記憶領域が作業装置60の種類と、当該作業装置60が第1種装置61、第2種装置62及び第3種装置のいずれかと、の組み合わせを示すテーブルを記憶しており、判断部57iは、第2情報と当該テーブルに基づいて、第2作業装置60Bが第1種装置61、第2種装置62及び第3種装置のいずれであるかを判断する。また、第2作業取得部57fが第2情報として第2作業装置60Bが第1種装置61、第2種装置62及び第3種装置のいずれかの種別を取得している場合、判断部57iは、当該種別に基づいて、第2作業装置60Bが第1種装置61、第2種装置62及び第3種装置のいずれであるかを判断する。
【0118】
なお、判断部57iは、第2作業装置60Bが第1種装置61、第2種装置62及び第3種装置のいずれであるかを判断できればよく、その判断方法は上述した方法に限定されない。
【0119】
図1に示すように、第2作成部57d2は、ライン定義部157aと、設定部157bと、を有している。言い換えると、ルート作成部57dは、ライン定義部157aと、設定部157bと、を有している。
【0120】
ライン定義部157aは、第1取得部57hが取得した複数の走行不可ラインR1に基づいて、圃場Gのうち、複数の走行不可ラインR1以外の領域である複数の走行可能ラインR2を定義する。第2作業装置60Bが
図9Aに示す畝成形装置71である場合を例に説明すると、
図9Aの第2作業装置60Bは、作業部61aを2つ有しているため、
図13Aに示すように、作業機1が圃場Gの一方端側から他方端側(第1方向B1)へ5往復形成する場合、即ち第2ルートL2が有する区画ラインLaが10本の場合、作業ラインR1が20本形成され、走行可能ラインR2が21本形成される。
【0121】
また、第2作業装置60Bが
図9Bに示す播種散布装置75である場合を例に説明すると、
図9Bの第2作業装置60Bは、作業部61aを4つ有しているため、
図13Bに示すように、作業機1が圃場Gの一方端側から他方端側(第1方向B1)へ2往復半形成する場合、即ち第2ルートL2が有する区画ラインLaが5本の場合、作業ラインR1が20本形成され、走行可能ラインR2が21本形成される。
【0122】
本実施形態においては、第1取得部57hは、複数の走行不可ラインR1として、複数の作業ラインR1の位置情報を取得しており、ライン定義部157aは、表示記憶部58に登録されたフィールドFを参照し、複数の作業ラインR1の位置情報と当該フィールドFとに基づいて、作業ラインR1以外の領域を取得する。このため、ライン定義部157aは、複数の作業ラインR1の位置情報と当該フィールドFとに基づいて、フィールドFにおける複数の作業ラインR1以外の領域の位置情報を演算し、複数の走行可能ラインR2を定義する。
【0123】
設定部157bは、ライン定義部157aが定義した複数の走行可能ラインR2に基づいて、圃場Gの一方端側から他方端側(第1方向B1)に延び、且つ走行装置4が複数の走行可能ラインR2上を走行する経路を第1部分La1として設定する。つまり、設定部157dは、第2部分La2に加え、当該第2部分La2に対応する走行可能ラインR2以外の走行可能ラインR2を走行する経路を第1部分La1の候補とすることができる。設定部157bは、第1部分La1の設定に際して、複数の走行可能ラインR2から走行可能ラインR2を抽出し、当該走行可能ラインR2に対応する第1部分La1を設定する。
【0124】
ここで、上述したように、走行ルートL(区画ラインLa)、及び走行可能ラインR2は、複数の走行可能ラインR2のうち、一の走行可能ラインR2を選択すると、第1走行部4L又は第2走行部4Rが当該走行可能ラインR2を走行する際の走行ルートL(区画ラインLa)を定義でき、走行ルートL(区画ラインLa)を選択すると、作業機1が当該走行ルートL(区画ラインLa)を走行する場合に、第1走行部4L及び第2走行部4Rが走行する走行可能ラインR2を定義できる関係にある。このため、設定部157bは、第1部分La1の設定に際して、ルート取得部57gが取得した第2部分La2を選択し(換言すると当該第2部分La2に対応する走行可能ラインR2を抽出し)、第2部分La2をそれぞれシフトすることで、第1部分La1に対応する走行可能ラインR2を抽出し、第1部分La1を設定する。
【0125】
具体的には、設定部157b(ルート作成部57d)は、第1作業取得部57eが取得した第1情報と、第2作業取得部57fが取得した第2情報と、に基づいて、複数の第2部分La2を当該複数の第2部分La2の直交方向にシフトする。詳しくは、設定部157b(ルート作成部57d)は、第1作業取得部57eが取得した第1作業幅Waと、第2作業取得部57fが取得した第2作業幅Wbと、の差分に基づいて複数の第2部分La2をそれぞれシフトする。さらに詳しくは、設定部157b(ルート作成部57d)は、第1作業取得部57eが取得した第1作業幅Waと、第2作業取得部57fが取得した第2作業幅Wbと、の差分の1/2の略自然数倍だけ複数の第2部分La2をそれぞれシフトする。
【0126】
設定部157bは、複数の第2部分La2のうち、第2方向B2の一端(右端)に位置する第2部分La2から第2方向B2の他端(左端)に位置する第2部分La2へと順(m=1,2,3・・・m)にシフトを行う。本実施形態においては、紙面右側の第2部分La2から順にシフトを行う。具体的には、設定部157bは、下記の式(1)に基づいてシフト量を算出する。
【0127】
【0128】
このため、設定部157bが複数の第2部分La2を上記算出式によって算出したシフト量だけシフトして、複数の第1部分La1を設定すると、複数の第1部分La1のうち、互いに隣接する2つの第1部分La1の間隔が第2間隔Waと実質的に同じになる。即ち、設定部157bは、第2取得部57e1が取得した第1情報のうち、第2間隔Waに基づいて、互いに隣接する2つの第1部分La1の間隔が第2間隔Waと実質的に同じになるよう、複数の第1部分La1を設定する。
【0129】
ここで、第1作業装置60A及び第2作業装置60Bの両方が第1種装置61である場合、第1作業幅Waと第2作業幅Wbは、第1間隔xの略自然数倍と等しいため、設定部157bは、第2作業取得部57fが取得した複数の第2作業部61a2の数c2と第1作業取得部57eが取得した複数の第1作業部61a1の数c1とに基づいて、シフト量を算出できる。具体的には、設定部157b(ルート作成部57d)は、第1作業部61a1の数c1及び第2作業部61a2の数c2の差分と、第1間隔xとに基づいてシフト量を算出する。より具体的には、設定部157b(ルート作成部57d)は、下記の式(2)に基づいて、第1作業部61a1の数c1及び第2作業部61a2の数c2の差分と、第1間隔xと、1/2の自然数倍と、の積によってシフト量を算出する。
【0130】
【0131】
つまり、上記式(2)によれば、第1作業部61a1の数c1及び第2作業部61a2の数c2が偶数、即ち、第1作業部61a1の数c1及び第2作業部61a2の数c2の差分が2の倍数である場合、シフト量は、第1間隔xの整数倍となる。
【0132】
設定部157bは、上記計算式のいずれかに基づいてシフト量を算出し、複数の第2部分La2のシフトを行う。なお、第2作業幅Wbよりも第1作業幅Waのほうが大きい場合(Wb<Wa)、及び第2作業部61a2の数c2よりも第1作業部61a1の数c1のほうが多い場合(c2<c1)、つまり、式(1)、(2)の算出結果のシフト量が正数である場合、設定部157bは、複数の第2部分La2を第2方向B2の一端(右端)から他端(左端)へシフト量だけシフトさせる。本実施形態においては、式(1)、(2)の算出結果のシフト量が正数である場合、設定部157bは、複数の第2部分La2を紙面の左方へシフト量だけシフトさせる。
【0133】
ここで、上記場合において(Wb<Wa)、第2部分La2をすべてシフトすると、当該シフトされた第2部分La2(第1部分La1)は、圃場Gの輪郭からはみ出てしまう。このため、設定部157bは、複数の第2部分La2のうち、圃場Gの第2方向B2の長さに対する第1作業幅Waの最大公約数の数だけ第2部分La2をシフトし、ルート作成部57dは、それぞれの隣接する第1部分La1を結び、第1旋回部Lb1を形成する。
【0134】
一方、第1作業幅Waよりも第2作業幅Wbのほうが大きい場合(Wa<Wb)、及び第1作業部61a1の数c1よりも第2作業部61a2の数c2のほうが多い場合(c1<c2)、つまり、式(1)、(2)の算出結果のシフト量が負数である場合、設定部157bは、複数の第2部分La2を第2方向B2の他端(左端)から一端(右端)へシフト量だけシフトさせる。本実施形態においては、式(1)、(2)の算出結果のシフト量が負数である場合、設定部157bは、複数の第2部分La2を紙面の右方へシフト量だけシフトさせる。
【0135】
ここで、上記場合において(Wa<Wb)、第2部分La2をすべてシフトしても、フィールドFに第1部分La1を設定していない領域が生じてしまう。このため、設定部157bは、第2部分La2をシフトして第1部分La1を設定するのに加えて、それぞれ第1作業幅Waずつ離反した第1部分La1を走行可能ラインR2上に新規作成する。具体的には、設定部157bは、圃場Gの第2方向B2の長さに対する第1作業幅Waの最大公約数の数と第2部分La2の数の差だけ第1部分La1を新規作成し、第2作成部57d2は、それぞれの隣接する第1部分La1を結び、第1旋回部Lb1を形成する。これにより、ルート作成部57d(第2作成部57d2)は、第1ルートL1を作成する。
【0136】
第1作業装置60Aが
図9Aに示す畝成形装置71であり、第2作業装置60Bが
図9Bに示す播種散布装置75である場合を例に説明すると、第1作業装置60A及び第2作業装置60Bが第1種装置61であるため、設定部は、式(2)に基づいてシフト量を算出する。第1作業部61a1の数c1が2つで、第2作業部61a2の数が4つで、第1作業部61a1の数c1よりも第2作業部61a2の数c2のほうが多く、式(2)のシフト量が負数になるため、設定部157bは、複数の第2部分La2を紙面の右方へシフト量だけシフトさせる。
【0137】
まず、設定部157bは、第2ルートL2の複数の第2部分La2のうち、第2方向B2の一端(右端)に位置する第2部分La2(m=1)から順にシフトして第1部分La1の設定を行う。設定部157bは、式(2)によって、第2部分La2(m=1)のシフト量が第1間隔xと同値(負数)であることを算出する。これにより、
図14に示すように、設定部157bは、第2部分La2(m=1)のシフト量が紙面の右方へ第1間隔xだけシフトして第1部分La1(m=1)を設定する。
【0138】
設定部157bは、第2部分La2(m=1)をシフトして第1部分La1(m=1)を設定すると、第2部分La2(m=1)よりも内側の第2部分La2(m=2)をシフトする。設定部157bは、式(2)によって、第2部分La2(m=2)のシフト量が第1間隔xの3倍と同値(負数)であることを算出する。これにより、
図14に示すように、設定部157bは、第2部分La2(m=2)のシフト量が紙面の右方へ第1間隔xの3倍だけシフトして第1部分La1(m=2)を設定する。
【0139】
設定部157bは、第2部分La2(m=5)のシフトを行うと、圃場Gの第2方向B2の長さに対する第1作業幅Waの最大公約数の数10と第2部分La2の数5の差5だけ、第1部分La1を新規作成し、第2作成部57d2は、それぞれの隣接する第1部分La1を結び、第1旋回部Lb1を形成する。
【0140】
これにより、設定部157bは、第1作業取得部57eが取得した第1情報の作業幅Wに基づいて、未作業領域E1及び重複作業領域E2が生じないよう、未作業領域E1及び重複作業領域E2が小さくなる走行可能ラインR2を抽出し、第1部分La1の設定を行う。
【0141】
以下、主に
図15A、
図15Bを用いて、第1モード及び第2モードにおける第2作業取得部57fによる第2情報の取得、第1作業取得部57eによる第1情報の取得等について、一連の流れに従って説明する。
【0142】
図15Aに示すように、表示装置55が選択画面D2を表示している場合(S1)において、選択操作を行い、第1モードが選択操作されると(S2,Yes)、ルート作成部57dは、第1モードに移行する(S3)。
【0143】
ルート作成部57dは、第1モードに移行すると(S3)、表示制御部57は、表示部56に第2作業入力画面D3を表示する(S4)。第2作業入力画面D3は、第2作業装置60Bの情報の入力を受け付ける画面であり、第2情報の入力を受け付ける第1入力部110を有している。
【0144】
図16に示すように、第1入力部110は、第2作業幅Wbの入力を受け付ける第1領域111と、第2作業部61a2の数c2の入力を受け付ける第2領域112と、第2作業装置60Bの種類の入力を受け付ける第3領域113と、第2作業装置60Bの個別情報の入力を受け付ける第4領域114と、第2作業装置60Bの機種名の入力を受け付ける第5領域115と、第2作業部61a2の単位作業幅Wcの入力を受け付ける第6領域116と、第2作業装置60Bの第1間隔xの入力を受け付ける第7領域117と、を含んでいる。第1領域111、第2領域112、第6領域116、及び第7領域117は、例えば表示装置55を操作することによって、それぞれ数値で入力を受け付ける第3領域113、第4領域114、及び第5領域115は、例えば表示装置55を操作することによって、それぞれ文字列での入力を受け付ける。
【0145】
なお、第2作業装置60Bが第2種装置62又は第3種装置63である場合、第2領域112は入力されず、第2作業取得部57fは、第2作業部61a2の数c2を取得しない。また、第2作業取得部57fは、表示部56の画面に入力された情報に基づいて第2作業幅Wb及び第2作業部61a2の数c2を含む第2情報を取得するが、第2情報の入力方法は上述した方法に限定されず、また、その取得元は第2作業入力画面D3に入力された情報に限定されない。例えば、第2作業入力画面D3は、作業装置60の機種の入力を受け付け、第2作業取得部57fは、表示記憶部58に予め記憶されているテーブルから第2情報を取得するような構成であってもよい。斯かる場合、第2情報は作業装置60の機種を含むテーブルとして記憶されており、当該作業装置60の機種を個別情報として第2情報を取得する。また、第2作業取得部57fは、作業機1に設けられた撮像装置が撮像した撮像画像や、センサ等の検出装置で検出した情報に基づいて、第2作業幅Wb及び第2作業部61a2の数c2を含む第2情報を取得するような構成であってもよい。
【0146】
第2作業入力画面D3に第2情報が入力され、第2作業入力画面D3の第1決定ボタン118が選択操作された場合、第2作業取得部57fは、当該第2作業入力画面D3に入力された第2作業幅Wb及び第2作業部61a2の数c2を含む第2情報を取得する(S5)。
【0147】
図15Aに示すように、第2作業取得部57fが第2情報を取得すると(S5)、表示記憶部58が当該取得した第2情報を記憶する(S6)。また、表示記憶部58が第2情報を記憶すると(S6)、第1作成部57d1(ルート作成部57d)は、第2作業取得部57fが取得した第2情報に基づいて、第2ルートL2を作成する(S7)。第1作成部57d1が第2ルートL2を作成すると(S7)、表示記憶部58は、当該第2ルートL2を表示記憶部58に記憶する(S8)。
【0148】
第1作成部57d1(ルート作成部57d)が第2ルートL2を作成し(S7)、表示記憶部58が当該第2ルートL2を記憶すると(S8)、ルート取得部57gは、表示記憶部58から第1作成部57d1が作成した第2ルートL2を取得する(S9)。また、ルート取得部57gが第2ルートL2を取得すると(S9)、表示制御部57は、表示部56に第1作業入力画面D4を表示する(S10)。
【0149】
第1作業入力画面D4は、第1作業装置60Aの情報の入力を受け付ける画面であり、
図17に示すように、第1情報の入力を受け付ける第2入力部120を有している。第2入力部120は、第1作業幅(第2間隔)Waの入力を受け付ける第8領域121と、第1作業部61a1の数c1の入力を受け付ける第9領域122と、第1作業装置60Aの種類の入力を受け付ける第10領域123と、第1作業装置60Aの個別情報の入力を受け付ける第11領域124と、第1作業装置60Aの機種名の入力を受け付ける第12領域125と、第1作業部61a1の単位作業幅Wcの入力を受け付ける第13領域126と、第1作業装置60Aの第1間隔xの入力を受け付ける第14領域127と、を含んでいる。第8領域121、第9領域122、第13領域126、及び第14領域127は、例えば表示装置55を操作することによって、それぞれ数値で入力を受け付ける。第10領域123、第11領域124、及び第12領域125は、例えば表示装置55を操作することによって、それぞれ文字列での入力を受け付ける。
【0150】
なお、第1作業装置60Aが第2種装置62又は第3種装置63である場合、第9領域122は入力されず、第1作業取得部57eは、第1作業部61a1の数c1を取得しない。また、第1作業取得部57eは、表示部56の画面に入力された情報に基づいて第1作業幅Wa及び第1作業部61a1の数c1を含む第1情報を取得するが、第1情報の入力方法は上述した方法に限定されず、また、その取得元は第1作業入力画面D4に入力された情報に限定されない。例えば、第1作業入力画面D4は、作業装置60の機種の入力を受け付け、第1作業取得部57eは、表示記憶部58に予め記憶されているテーブルから第1情報を取得するような構成であってもよい。斯かる場合、第1情報は作業装置60の機種を含むテーブルとして記憶されており、当該作業装置60の機種を個別情報として第1情報を取得する。また、第1作業取得部57eは、作業機1に設けられた撮像装置が撮像した撮像画像や、センサ等の検出装置で検出した情報に基づいて、第1作業幅Wa及び第1作業部61a1の数c1を含む第1情報を取得するような構成であってもよい。
【0151】
第1作業入力画面D4に第1情報が入力され、第1作業入力画面D4の第2決定ボタン128が選択操作された場合、第1作業取得部57eは、当該第1作業入力画面D4に入力された第1作業幅Wa及び第1作業部61a1の数c1を含む第1情報を取得する(S11)。
【0152】
図15Aに示すように、第1作業取得部57eが第1情報を取得すると(S11)、表示記憶部58が当該取得した第1情報を記憶する(S12)。また、表示記憶部58が第1情報を記憶すると(S12)、判断部57iは、第2ルートL2に対応する第2情報に基づいて、第2作業Jn-1に対応する第2作業装置60Bが第3種装置63であるかを判断する(S13)。
【0153】
判断部57iが第2作業装置60Bは第3種装置63ではないと判断した場合、即ち判断部57iが第2作業装置60Bは第1種装置61又は第2種装置62であると判断した場合、(S13,No)、第2作成部57d2(ルート作成部57d)は、第1作業取得部57eが取得した第1情報、第2作業取得部57fが取得した第2情報、及びルート取得部57gが取得した第2ルートL2に基づいて、第1ルートL1を作成する(S14)。言い換えると、第2作成部57d2(ルート作成部57d)は、圃場Gに走行不可ラインR1が形成されている場合に、第1作業取得部57eが取得した第1情報、第2作業取得部57fが取得した第2情報、及びルート取得部57gが取得した第2ルートL2に基づいて、第1ルートL1を作成する。
【0154】
一方、判断部57iが第2作業装置60Bは第3種装置63であると判断した場合(S13,Yes)、第2作業取得部57fは、S12で判断部57iが判断した第2作業Jn-1よりも前の第2作業Jn-2の第2情報が表示記憶部58に記憶されているか否かを確認する(S15)。第2作業取得部57fは、S13で判断部57iが判断した第2作業Jn-1よりも前の第2作業Jn-2の第2情報があることを確認すると(S15,Yes)、第2作業Jn-2の第2情報を表示記憶部58から取得する(S16)。第2作業取得部57fが表示記憶部58から第2作業Jn-2の第2情報を取得すると、S13に戻り、判断部57iは、第2作業Jn-2に対応する第2作業装置60Bが第3種装置63であるかを判断する(S13)。
【0155】
なお、第2作業取得部57fは、S13又はS16で判断部57iが判断した第2作業Jn-1よりも前の第2作業Jn-2の第2情報が表示記憶部58に記憶されていないことを確認すると(S15,No)、第1作成部57d1は、第1作業取得部57eが取得した第1情報に基づいて、第1ルートL1を作成する(S17)。
【0156】
また、
図15A、
図15Bに示すように、S1において第2モードが選択操作されると(S2,No)、ルート作成部57dは、第2モードのフローへ移行する(S18)。
【0157】
ルート作成部57dは、第2モードに移行すると(S18)、表示制御部57は、表示部56に第1作業入力画面D4を表示する(S19)。第1作業入力画面D4に第1情報が入力され、第1作業入力画面D4の第2決定ボタン128が選択操作された場合、第1作業取得部57eは、当該第1作業入力画面D4に入力された第1作業幅Wa及び第1作業部61a1の数c1を含む第1情報を取得する(S20)。
【0158】
図15Bに示すように、第1作業取得部57eが第1情報を取得すると(S20)、表示記憶部58が当該取得した第1情報を記憶する(S21)。また、表示記憶部58が第1情報を記憶すると(S21)、第2作業取得部57fは、S20において取得した第1作業Jnよりも前の第2作業Jn-1の第2情報が表示記憶部58に記憶されているか否かを確認する(S22)。第2作業取得部57fは、S22おいて取得した第1作業Jnよりも前の第2作業Jn-1の第2情報があることを確認すると(S22,Yes)、第2作業Jn-1の第2情報を表示記憶部58から取得する(S23)。第2作業取得部57fが表示記憶部58から第2情報を取得すると(S23)、判断部57iは、第2作業Jn-1に対応する第2作業装置60Bが第3種装置63であるかを判断する(S24)。
【0159】
判断部57iが第2情報に対応する第2作業装置60Bは第3種装置63ではないと判断した場合、即ち判断部57iが第2作業装置60Bは第1種装置61又は第2種装置62であると判断した場合、(S24,No)、第2作成部57d2は、第1取得部57hが取得した第1情報、第2取得部57e1が取得した第2情報、及び第2ルートL2に基づいて、第1ルートL1を作成する(S25)。言い換えると、第2作成部57d2(ルート作成部57d)は、圃場Gに走行不可ラインR1が形成されている場合に、第1作業取得部57eが取得した第1情報、第2作業取得部57fが取得した第2情報、及びルート取得部57gが取得した第2ルートL2に基づいて、第1ルートL1を作成する。
【0160】
一方、判断部57iが第2情報に対応する第2作業装置60Bは第3種装置63であると判断した場合(S24,Yes)、第2作業取得部57fは、S22で判断部57iが判断した第2作業Jn-1よりも前の第2作業Jn-2の第2情報が表示記憶部58に記憶されているか否かを確認する(S26)。第2作業取得部57fは、S24で判断部57iが判断した第2作業Jn-1よりも前の第2作業Jn-2の第2情報があることを確認すると(S26,Yes)、第2作業Jn-2の第2情報を表示記憶部58から取得する(S27)。第2作業取得部57fが表示記憶部58から第2情報を取得すると(S27)、S24に戻り、判断部57iは、第2作業Jn-2に対応する第2作業装置60Bが第3種装置63であるかを判断する(S24)。
【0161】
なお、第2作業取得部57fは、第2作業Jn-1の第2情報が表示記憶部58に記憶されていないことを確認したり(S22,No)、S23又はS27において取得した第2作業Jn-1よりも前の第2作業Jn-2の第2情報が表示記憶部58に記憶されていないことを確認したりすると(S26,No)、第1作成部57d1は、第2取得部57e1が取得した第1情報に基づいて、第1ルートL1を作成する(S28)。
【0162】
図15A、
図15Bに示すように、S14、S17、S25、又はS28で第1ルートL1が作成されると、表示記憶部58は、当該第1ルートL1を表示記憶部58に記憶する(S29)。表示記憶部58が第1ルートL1を表示記憶部58に記憶すると(S29)、又は所定の操作がされると、表示制御部57は、表示部56にルート表示画面D5を表示して、当該表示記憶部58が記憶している第2ルートL2及び第1ルートL1を表示する(S30)。
【0163】
図18に示すように、ルート表示画面D5は、例えば第2ルートL2及び第1ルートL1を選択可能に表示するルート表示部130と、ルート表示部130の表示を切り換える切換ボタン131と、圃場Gの名称(圃場名)及び圃場管理番号等の圃場識別情報を示す第2情報表示部132と、圃場Gで行う作業の詳細情報を表示する第3情報表示部133と、を有している。ルート表示部130は、フィールド登録部57bが登録したフィールドFを表示し、切換ボタン131の操作に応じて、フィールドF上に第2ルートL2及び第1ルートL1のいずれか一方を表示する。
【0164】
また、表示制御部57は、位置検出装置(測位装置)50が検出した車体位置VPを取得し、当該車体位置VPに基づいて、ルート表示部130上に作業機1の現在の位置をアイコン130aで表示する。第3情報表示部は、切換ボタン131の操作に応じて、第1作業取得部57eが取得した第1情報及び第2作業取得部57fが取得した第2情報のいずれか一方を表示する。本実施形態においては、例えば第3情報表示部は、第1情報として、第1作業幅Wa、第1作業部61a1の数c1、第1作業装置60Aの種類、個別情報、機種名、第1作業部61a1の単位作業幅Wc、第1間隔x等の情報を表示し、第2情報として、第2作業幅Wb、第2作業部61a2の数c2、第2作業装置60Bの種類、個別情報、機種名、第2作業部61a2の単位作業幅Wc、第1間隔x等の情報を表示する。
【0165】
なお、上述したルート作成部57dが第1ルートL1を作成する一連の流れは一例に過ぎず、上述した本実施形態においては、第1作成部57d1が第2ルートL2を作成し(S7)、表示記憶部58が当該第2ルートL2を記憶し(S8)、ルート取得部57gが第2ルートL2を取得し(S9)、表示制御部57は、表示部56に第1作業入力画面D4を表示するが(S10)、第2作業取得部57fが第2情報を取得すると(S5)、表示制御部57が表示部56に第1作業入力画面D4を表示し(S10)、第1作業取得部57eが第1情報を取得したあとに(S11)、第1作成部57d1が第2ルートL2する(S7)ような構成であってもよい。
【0166】
また、例えば、本実施形態においては、S13及びS24において、判断部57iが第2情報に対応する第2作業装置60Bは第3種装置63であると判断した場合(S13,S24,Yes)、第2作業取得部57fは、第2情報に対応する第2作業装置60Bが第3種装置63ではないと判断(S13,S24,No)するまでの間、又は第2作業Jn-1よりも前の第2作業Jn-2の第2情報が表示記憶部58に記憶されていないと判断(S15,S26,Yes)するまでの間、S13、S15、S16のステップ、又はS24、S26、S27のステップを繰り返し、第2作業Jn-2よりも前の第2作業の第2情報が表示記憶部58に記憶されているか否かを確認する(S26)が、第1作業取得部57eが取得する第1情報が第1作業の日時を含み、第2作業取得部57fが取得する第2情報が第2作業の日時を含む場合、第2作業と第1作業の間隔が所定日数以上離れている場合、S15においてS17に移行し、S26においてS28に移行するような流れであってもよい。また、判断部57iは、第2作業Jn-2に対応する第2作業装置60Bが第3種装置63であるかを判断し、第2作業Jn-2に対応する第2作業装置60Bが第3種装置63である場合(S13,S24,No)、言い換えると、第1作業Jnより2つ前の作業(第2作業)Jn-2に対応する第2作業装置60Bが第3種装置63である場合、S15においてS17に移行し、S26においてS28に移行するような流れであってもよい。
【0167】
また、上述した実施形態においては、ルート作成部57dが第1ルートL1と第2ルートL2をまとめて作成する場合を例に説明したが、ルート作成部57dは、第1ルートL1及び第2ルートL2に加え、第2作業以降の作業である第3作業で作業機1が走行する走行ルートL(第3ルート)を作成してもよいし、ルート作成部57dがまとめて作成する走行ルートLは、2つに限定されず、3つでも4つでもよい。
【0168】
また、上述した実施形態において、表示装置55は、ルート作成部57dが作成した走行ルートL(第2ルートL2及び第1ルートL1)を表示部56に表示するが、作業機1の制御装置40は、ルート作成部57dが作成した走行ルートLによって、走行装置4を制御してもよい。
【0169】
具体的には、例えば
図19に示すように、第1の変形例において、制御装置40は、自動操舵制御部40aを有している。自動操舵制御部40aは、制御装置40に設けられた電気・電子回路、CPU等に格納されたプログラム等から構成されている。自動操舵制御部40aは、制御装置40から出力された制御信号に基づいて車体2が走行ルートLに沿って走行するように自動操舵機構37のステアリングモータ38を制御する。
【0170】
図20の上図に示すように、車体2の位置と走行ルートLとの偏差が所定未満である場合、自動操舵制御部40aは、ステアリングモータ38の回転軸の回転角を維持する。車体2の位置と走行ルートLとの偏差が所定以上であって、作業機1が走行ルートLに対して左側に位置している場合は、自動操舵制御部40aは、作業機1の操舵方向が右方向となるようにステアリングモータ38の回転軸を回転する。車体2の位置と走行ルートLとの偏差が所定以上であって、作業機1が走行ルートLに対して右側に位置している場合は、自動操舵制御部40aは、作業機1の操舵方向が左方向となるようにステアリングモータ38の回転軸を回転する。
【0171】
なお、上述した実施形態では、車体2の位置と走行ルートLとの偏差に基づいて操舵装置23の操舵角を変更していたが、
図20の下図に示すように、走行ルートLの方位と作業機1(車体2)の進行方向(走行方向)の方位(車体2の方位)とが異なる場合、即ち、走行ルートLに対する車体2の方位の角度θgが所定以上である場合、自動操舵制御部40aは、角度θgが零になるように(車体2の方位が走行ルートLの方位に一致するように)操舵角を設定してもよい。
【0172】
また、自動操舵制御部40aは、偏差(位置偏差)に基づいて求めた操舵角と、方位(方位偏差)に基づいて求めた操舵角とに基づいて、自動操舵における最終の操舵角を設定してもよい。上述した実施形態における自動操舵における操舵角の設定は一例であり、限定されない。
【0173】
上述した実施形態において、作業機1の制御装置40は、作業機1の自動操舵を制御する構成について説明したが、制御装置40は、自動操舵機構37の制御に加えて、作業機1の車速も制御するような構成であってもよい。
【0174】
図21に示すように、第2の変形例において、制御装置40は、作業機1の自動走行を制御する自動走行制御部40bを有している。自動走行制御部40bは、制御装置40に設けられた電気・電子回路、CPU等に格納されたプログラム等から構成されている。自動走行制御部40bは、自動走行を開始すると、作業機1が走行ルートLに沿って走行するように自動操舵機構37のステアリングモータ38を制御する。また、自動走行制御部40bは、自動走行を開始すると、変速装置11の変速段、原動機8の回転数等を自動的に変更することによって、作業機1の車速(走行速度)を制御する。
【0175】
自動走行制御部40bは、自動走行を開始すると、区画ラインLaと旋回部Lbとでそれぞれ異なる走行速度を制御する。例えば、区画ラインLaでは、自動走行制御部40bは、走行速度を速度αに設定する。一方、旋回部Lbでは、自動走行制御部40bは、走行速度を速度αよりも遅い速度β(β<α)に設定する。なお、自動走行制御部40bは、区画ラインLaを複数の区間に分けて、当該区間ごとに異なる走行速度に設定してもよく、走行速度の制御は上記構成に限定されない。
【0176】
自動走行制御部40bは、上述した自動操舵制御部40aと同様の方法によって、作業機1が走行ルートLに沿って走行するように自動操舵機構37のステアリングモータ38を制御する。
【0177】
上述した作業機1は、車体2と、車体2に装着可能な第1作業装置60Aと、車体2に設けられた走行装置4と、圃場Gの一方端側から他方端側に延び、且つ第1間隔x毎に形成された複数の走行不可ラインR1を取得する第1取得部57hと、第1取得部57hが取得した複数の走行不可ラインR1に基づいて、圃場Gの一方端側から他方端側に延び、且つ車体2が走行する複数の第1部分La1を含む第1ルートL1を作成するルート作成部57dと、を備え、走行装置4は、第1間隔xに対応する長さだけ離間して配置され、ルート作成部57dは、第1取得部57hが取得した複数の走行不可ラインR1に基づいて、圃場Gのうち複数の走行不可ラインR1以外の領域を複数の走行可能ラインR2として定義するライン定義部157aと、ライン定義部157aが定義した複数の走行可能ラインR2に基づいて、圃場Gの一方端側から他方端側に延び、且つ走行装置4が複数の走行可能ラインR2上を走行する経路を複数の第1部分La1として設定する設定部157bと、を備えている。上記構成によれば、作業機1は、走行不可ラインR1を跨いで、走行可能ラインR2を走行可能であるため、設定部157bが複数の走行可能ラインR2に基づいて第1部分La1を設定することで、ルート作成部57dは、作業機1が走行不可ラインR1に浸食することがなく走行できる第1部分La1を作成することができる。これにより、作業機1は、走行不可ラインR1を走行することなく、圃場Gにおいて効率的に作業を行うことができる。
【0178】
また、走行装置4は、車体2に設けられた第1走行部4Lと、第1走行部4Lが一の走行可能ラインR2に位置している場合に、他の走行可能ラインR2に位置するよう離反して車体2に設けられた第2走行部4Rと、を含み、設定部157bは、複数の走行可能ラインR2のうち、2つの走行可能ラインR2を抽出し、当該抽出した2つの走行可能ラインR2に基づいて、複数の第1部分La1をそれぞれ設定する。上記構成によれば、設定部157bは、第1走行部4Lが走行する走行可能ラインR2と、第2走行部4Rが走行する走行可能ラインR2と、に対応する第1部分La1を設定することができる。これにより、設定部157bは、第1走行部4L及び第2走行部4Rが走行不可ラインR1を走行することを一層確実に抑止することができる。
【0179】
また、作業機1は、第1作業幅Waである第2間隔Waを取得する第2取得部57e1を備え、設定部157bは、第2取得部57e1が取得した第2間隔Waに基づいて、互いに隣接する2つの区画ラインLaの間隔が第2間隔Waと実質的に同じになるよう、複数の第1部分La1を設定する。上記構成によれば、設定部157bは、作業機1が隣接する2つの区画ラインLaをそれぞれ走行した場合に、第1作業装置60Aが作業を行う領域が離反したり、重複したりすることを抑止できる。このため、作業機1は、第1作業装置60Aが作業を行わなかった未作業領域E1や、第1作業装置60Aがすでに作業を行った領域を再度作業する重複作業領域E2が無駄に生じることを抑止することができる。
【0180】
また、第1取得部57hは、複数の走行不可ラインR1として、圃場Gの一方端側から他方端側、又は他方端側から一方端側へ第1間隔x毎に作業が行われた複数の作業ラインR1を取得する。上記構成によれば、第1部分La1を走行する作業機1は、複数の作業ラインR1に浸食することがなく作業を行うことができる。これにより、作業機1は、すでに作業を行った領域を乱すことなく、より効率よく作業を行うことができる。
【0181】
また、第1取得部57hが複数の走行不可ラインR1として取得する複数の作業ラインR1は、畝立て作業された畝ラインRa、乃至は作物の種子が播種作業された又は作物の植え付け作業がされた作物ラインRbである。上記構成によれば、第1部分La1を走行する作業機1は、畝や畝の上面を破壊したり、播種された種子、生育した作物を損傷させたりすることなく作業を行うことができる。これにより、作業機1は、第1部分La1を走行して作業を行うことで、種子及び作物の生育を邪魔したり、作物の品質を低下させたりすることを抑止させつつ、効率よく作業を行うことができる。
【0182】
また、作業機1は、車体2が圃場Gで作業を行った際の第2ルートL2を取得するルート取得部57gと、車体2に装着可能であり、且つ第1作業装置60Aが行う第1作業より前の第2作業を行う第2作業装置60Bと、第1作業装置60Aと第2作業装置60Bのいずれか一方を車体2に連結する連結装置30と、を備え、連結装置30は、第1作業装置60Aが行う第1作業より前の第2作業を行う第2作業装置60Bを車体2に連結可能であり、第2作業装置60Bは、第1間隔x毎に作業可能であり、ルート取得部57gは、第2ルートL2として、第2作業装置60Bを連結した車体2が走行し、圃場Gの一方端側から他方端側に延びる複数の第2部分La2を取得し、複数の走行不可ラインR1は、車体2が複数の第2部分La2を走行し、第2作業装置60Bが圃場Gの一方端側から他方端側、又は他方端側から一方端側へ第2作業を行い、第1間隔x毎に形成された複数の作業ラインR1であり、設定部157bは、ライン定義部157aが定義した複数の走行可能ラインR2に基づいて、ルート取得部57gが取得した第2ルートL2をシフトすることで複数の第1部分La1を設定する。上記構成によれば、ルート作成部57dは、作業機1が第2作業を行った場合の第2ルートL2を変更して、第1部分La1を含む第1ルートL1を作成するため、第2ルートL2が含む様々な情報の入力を省略でき、第1部分La1を簡単に設定することができる。また、第2作業に対応する作業(第1作業)をより的確に行うことができる。
【0183】
また、作業機1は、車体2の位置を検出する位置検出装置50と、位置検出装置50によって検出した車体2の位置と、ルート作成部57dが作成した第1ルートL1と、を表示する表示装置55を備えている。上記構成によれば、走行不可ラインR1に浸食することがなく走行できる第1ルートL1(第1部分La1)を表示することができる。このため、作業者は、表示装置55に表示された第1部分La1を目視し、車体2の位置と第1ルートL1を確認しながら作業機1を操作し、第1部分La1に沿って作業機1を走行させることで、走行不可ラインR1を走行することなく、圃場Gにおいて効率的に作業を行うことができる。
【0184】
また、作業機1は、車体2の位置を検出する位置検出装置50と、位置検出装置50が検出した車体2の位置とルート作成部57dが作成した第1ルートL1とに基づいて、走行装置4の操舵を制御する自動操舵制御部40aを備えている。上記構成によれば、作業者が作業機1の操舵を行うことなく、自動操舵制御部40aが操舵を制御して、第1ルートL1(第1部分La1)に沿って作業機1を走行させることで、走行不可ラインR1を走行することなく、圃場Gにおいて効率的に作業を行うことができる。このため、作業機1による作業性を一層向上させることができる。
【0185】
また、作業機1は、車体2の位置を検出する位置検出装置50と、位置検出装置50が検出した車体2の位置とルート作成部57dが作成した第1ルートL1とに基づいて、走行装置4の操舵及び車速を制御する自動走行制御部40bを備えている。上記構成によれば、作業者が作業機1の操舵、及び車速の操作を行うことなく、自動走行制御部40bが操舵及び車速を制御して、第1ルートL1(第1部分La1)に沿って作業機1を走行させることで、走行不可ラインR1を走行することなく、圃場Gにおいて効率的に作業を行うことができる。このため、作業機1による作業性を一層向上させることができる。
【0186】
また、上述した作業機1は、車体2と、車体2に装着可能であり、且つ第1作業を行う第1作業装置60Aと、車体2に設けられた走行装置4と、第1作業装置60Aの第1情報を取得する第1作業取得部57eと、第1作業より前の作業である第2作業を行う第2作業装置60Bの第2情報を取得する第2作業取得部57fと、第2作業の経路である第2ルートL2を取得するルート取得部57gと、第1作業の経路であって、圃場Gの一方端側から他方端側に延び、且つそれぞれ離間して配置された複数の第1部分La1を含む第1ルートL1を作成するルート作成部57dと、を備え、ルート取得部57gは、第2ルートL2として、圃場Gの一方端側から他方端側に延び、且つそれぞれ離間して配置された複数の第2部分La2を取得し、ルート作成部57dは、第1作業取得部57eが取得した第1情報と、第2作業取得部57fが取得した第2情報と、に基づいて複数の第2部分La2を当該複数の第2部分La2の直交方向にシフトすることで、複数の第1部分La1を作成する。上記構成によれば、ルート作成部57dは、第2作業を行った場合の経路である第2部分La2をシフト、即ち第2ルートL2を変更して、第1部分La1を含む第1ルートL1を作成することができる。このため、第2ルートL2が含む様々な情報の入力を省略でき、第1ルートL1(第1部分La1)を簡単に作成することができる。また、第2作業に対応する作業(第1作業)をより的確に行うことができる。
【0187】
また、複数の第1部分La1は、等間隔に離間して配置され、複数の第2部分La2は、複数の第1部分の間隔とは別の間隔であって、等間隔に離間して配置されている。上記構成によれば、第1作業及び第2作業の両方の場合において、未作業領域E1及び重複作業領域E2が生じることを抑制することができる。
【0188】
また、第1作業取得部57eは、第1情報として第1作業装置60Aの第1作業幅Waを取得し、第2作業取得部57fは、第2情報として第2作業装置60Bの第2作業幅Wbを取得し、ルート作成部57dは、第1作業取得部57eが取得した第1作業幅Waと第2作業取得部57fが取得した第2作業幅Wbとの差分に基づいて、複数の第2部分La2をそれぞれシフトすることで、第1部分La1を作成する。上記構成によれば、ルート作成部57dは、第2部分La2をシフトして第1部分La1を作成する際に、第1部分La1を第1作業幅Waに応じた位置に配置できる。つまり、作業機1が第1部分La1を走行する際に、第1作業装置60Aが作業を行う領域が離反したり、重複したりすることを回避できる。このため、作業機1は、第1部分La1を走行することで、第1作業装置60Aが作業を行わなかった未作業領域E1や、第1作業装置60Aがすでに作業を行った領域を再度作業する重複作業領域E2が生じることを抑止することができる。
【0189】
また、ルート作成部57dは、第1作業取得部57eが取得した第1作業幅Waと、第2作業取得部57fが取得した第2作業幅Wbとの差分と、1/2の自然数倍と、の積だけ第2部分La2をそれぞれシフトすることで、第1部分La1を作成する。上記構成によれば、作業機1は、第1作業装置60Aの未作業領域E1や、第1作業装置60Aの重複作業領域E2が生じることを確実に且つ簡単な方法により抑止することができる。
【0190】
また、第1作業装置60Aは、単一又は幅方向に第1間隔x毎に配置された複数の第1作業部61a1を有し、第2作業装置60Bは、単一又は幅方向に第1間隔x毎に配置された複数の第2作業部61a2を有し、第1作業取得部57eは、第1情報として第1作業部61a1の数c1を取得し、第2作業取得部57fは、第2情報として第2作業部61a2の数c2を取得し、ルート作成部57dは、第1作業取得部57eが取得した第1作業部61a1の数c1と第2作業取得部57fが取得した第2作業部61a2の数c2との差分と、第1間隔xと、に基づいて、複数の第2部分La2をそれぞれシフトすることで、複数の第1部分La1を作成する。上記構成によれば、ルート作成部57dは、第2部分La2をシフトして第1部分La1を作成する際に、第1部分La1を第1作業部61a1及び第2作業部61a2に応じた位置に配置できる。つまり、作業機1は、第1部分La1を走行することで、第1作業部61a1は、第2作業部61a2が作業を行った位置に対して、確実に作業を行うことができる。これにより、作業機1が第1部分La1を走行した場合、第1作業装置60Aが作業を行う領域が離反したり、重複したりすることを回避できる。
【0191】
また、ルート作成部57dは、第1作業取得部57eが取得した第1作業部61a1の数c1と第2作業取得部57fが取得した第2作業部61a2の数c2との差分と、第1間隔xと、1/2の自然数倍と、の積だけ複数の第2部分La2をそれぞれシフトすることで、複数の第1部分La1を作成する。上記構成によれば、作業機1は、第1作業装置60Aの未作業領域E1や、第1作業装置60Aの重複作業領域E2が生じることを確実に且つ簡単な方法により抑止することができる。
【0192】
また、第1作業取得部57eは、第1情報として第1作業装置60Aの第1作業幅Waを取得し、ルート作成部57dは、第1作業幅Waに基づいて第2ルートL2を作成し、ルート取得部57gは、ルート作成部57dが作成した第2ルートL2を取得する。上記構成によれば、作業機1は、第2ルートL2を走行する際に、第2作業装置60Bが作業を行わなかった未作業領域E1や、第2作業装置60Bがすでに作業を行った領域を再度作業する重複作業領域E2が生じることを抑止でき、ルート作成部57dは、当該作業効率が高い第2ルートL2に基づいて、簡単に作業効率が高い第1ルートL1を作成することができる。
【0193】
また、作業機1は、車体2の位置を検出する位置検出装置50を備え、ルート取得部57gは、第2作業装置60Bを連結した車体2が移動する際に、位置検出装置50が取得した車体2の位置に基づいて第2ルートL2を取得する。上記構成によれば、第2作業を行う際に、第2ルートL2を作成することができ、作業機1は、第2ルートL2を簡単且つ効率よく取得することができる。
【0194】
また、作業機1は、車体2の位置を検出する位置検出装置50と、位置検出装置50によって検出した車体2の位置と、ルート作成部57dが作成した第1ルートL1と、を表示する表示装置55を備えている。上記構成によれば、作業者は、表示装置55に表示された第1部分La1を目視し、車体2の位置と第1ルートL1を確認しながら作業機1を操作し、第1部分La1に沿って作業機1を走行させることで、圃場Gにおいて効率的に作業を行うことができる。
【0195】
また、作業機1は、車体2の位置を検出する位置検出装置50と、位置検出装置50が検出した車体2の位置とルート作成部57dが作成した第1ルートL1とに基づいて、走行装置4の操舵を制御する自動操舵制御部40aを備えている。上記構成によれば、作業者が作業機1の操舵を行うことなく、自動操舵制御部40aが操舵を制御して、第1ルートL1(第1部分La1)に沿って作業機1を走行させることで、圃場Gにおいて効率的に作業を行うことができる。このため、作業機1による作業性を一層向上させることができる。
【0196】
また、作業機1は、車体2の位置を検出する位置検出装置50と、位置検出装置50が検出した車体2の位置とルート作成部57dが作成した第1ルートL1とに基づいて、走行装置4の操舵及び車速を制御する自動走行制御部40bを備えている。上記構成によれば、作業者が作業機1の操舵、及び車速の操作を行うことなく、自動走行制御部40bが操舵及び車速を制御して、第1ルートL1(第1部分La1)に沿って作業機1を走行させることで、圃場Gにおいて効率的に作業を行うことができる。このため、作業機1による作業性を一層向上させることができる。
【0197】
また、作業機は、第1作業装置60A及び第2作業装置60Bを選択して車体2に連結可能な連結装置30を備え、第1ルートL1は、連結装置30を介して第1作業装置60Aを装着した車体2が走行する経路であり、第2ルートL2は、連結装置30を介して第2作業装置60Bを装着した車体2が走行する経路である。上記構成によれば、同一の車体2で第1作業及び第2作業を行う場合に、上述したように第2ルートL2を活用して第1ルートL1を作成し、車体2が第1ルートL1を走行して第1作業を行うことで、より適切に作業を行うことができる。
【0198】
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0199】
例えば、上述した実施形態において、第1種装置61が有する作業部61aの数が偶数である場合について説明したが、本発明は、第1種装置61が有する作業部61aの数が奇数である場合も適用可能である。斯かる場合において、第1作業装置60A及び第2作業装置60Bの両方が第1種装置61であると、第1作業部61a1及び第2作業部61a2の両方が奇数で統一されている場合に適用できる。
【0200】
例えば、上述した実施形態において、作業ラインR1を走行不可ラインR1の例示として説明したが、走行不可ラインR1は、走行装置4(第1走行部4L、第2走行部4R)が侵入することができない領域であって、且つ圃場Gの一方端側から他方端側(第1方向B1)に延び、第1間隔x毎に形成された領域であればよく、例えば溝等であってもよいし作業ラインR1に限定されない。
【符号の説明】
【0201】
1 作業機
2 車体
4 走行装置
4A 前輪
4B 後輪
30 連結装置
40a 自動操舵制御部
40b 自動走行制御部
50 位置検出装置
55 表示装置
57d ルート作成部
57e1 第2取得部
57g ルート取得部
57h 第1取得部
60A 第1作業装置
60B 第2作業装置
157a ライン定義部
157b 設定部
E1 未作業領域
E2 重複作業領域
G 圃場
La 区画ライン
La1 第1部分
La2 第2部分
L1 第1ルート
L2 第2ルート
R1 作業ライン(走行不可ライン)
R2 走行可能ライン
Ra 畝ライン
Rb 作物ライン
Wa 第1作業幅(第2間隔)
x 第1間隔