(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】絶縁電線および車載用ケーブル
(51)【国際特許分類】
H01B 7/02 20060101AFI20241202BHJP
H01B 7/18 20060101ALI20241202BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
H01B7/02 Z
H01B7/18 D
H01B7/18 H
H01B7/00 301
(21)【出願番号】P 2024501344
(86)(22)【出願日】2023-02-10
(86)【国際出願番号】 JP2023004559
(87)【国際公開番号】W WO2023157766
(87)【国際公開日】2023-08-24
【審査請求日】2024-09-18
(31)【優先権主張番号】P 2022024801
(32)【優先日】2022-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002255
【氏名又は名称】SWCC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】光地 伸明
【審査官】中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-40266(JP,A)
【文献】特開2016-105406(JP,A)
【文献】特開2007-161960(JP,A)
【文献】特開2003-226792(JP,A)
【文献】特開昭63-56544(JP,A)
【文献】国際公開第2014/199806(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/02
H01B 7/18
H01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載用ケーブルに使用される絶縁電線において、
軟銅線から構成される導体と、
前記導体を被覆する絶縁体とを備え、
前記絶縁体のベース樹脂がポリプロピレンであり、
前記絶縁体には1次老化防止剤、2次老化防止剤および銅害防止剤が添加されて
おり、
前記1次老化防止剤がフェノール系酸化防止剤であってその前記絶縁体に占める添加量が0.15~0.50重量%であり、
前記2次老化防止剤がリン系酸化防止剤であってその前記絶縁体に占める添加量が0.20~0.66重量%であり、
前記銅害防止剤が重金属不活性化剤であってその前記絶縁体に占める添加量が0.10~0.34重量%であり、
前記2次老化防止剤の添加量が前記1次老化防止剤の添加量より多いことを特徴とする絶縁電線。
【請求項2】
導体を絶縁体で被覆した絶縁電線と、
電磁波を遮蔽する遮蔽層と、
前記絶縁電線および前記遮蔽層を被覆する外被とを備え、
前記導体が軟銅線であり、
前記絶縁体のベース樹脂がポリプロピレンであり、
前記絶縁体には1次老化防止剤、2次老化防止剤および銅害防止剤が添加されて
おり、
前記1次老化防止剤がフェノール系酸化防止剤であってその前記絶縁体に占める添加量が0.15~0.50重量%であり、
前記2次老化防止剤がリン系酸化防止剤であってその前記絶縁体に占める添加量が0.20~0.66重量%であり、
前記銅害防止剤が重金属不活性化剤であってその前記絶縁体に占める添加量が0.10~0.34重量%であり、
前記2次老化防止剤の添加量が前記1次老化防止剤の添加量より多いことを特徴とする車載用ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は絶縁電線および車載用ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
環境保護に対する関心の高まりから、モータを併用したHEV(Hybrid Electric Vehicle)が普及しており、今後は先進運転支援システム(ADAS;Advanced Driver-Assistance Systems)や自動運転などをキーワードに、EV(Electric Vehicle)へのシフト化が加速される。
【0003】
車載用ケーブルは導体を絶縁体で被覆した絶縁電線を含むところ、当該絶縁体(被覆材)には高い耐熱性が要求される。具体的には、自動車用電線規格のISO6722のクラスD以上の要求特性を満たす耐熱性が要求される。従来、このような高い耐熱性が要求される車載用ケーブルの絶縁体には、架橋により耐熱性を高めたポリエチレンが一般に使用されてきた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方で、自動車用電線規格はISO6722からISO19642に移行され、これに適用可能な絶縁体を選定する必要が生じている。クラスBでは-40~100℃に対する耐熱性が要求され、クラスCでは-40~125℃に対する耐熱性が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
当該絶縁体としてポリエチレンなどの誘電率が低い材料が一般的に使用されるが、ポリエチレンは耐熱性を高めるため架橋処理を施す必要があり、架橋設備導入による量産コストの増加につながるという課題がある。耐熱性の高い代替材料としてフッ素樹脂を使用することも想定されるが材料コストが高いという課題がある。
この点、耐熱性が高く安価なポリプロピレンを使用するという選択肢があるものの、ポリプロピレンは導体たる銅と接触すると劣化が促進され(「銅害」という現象が発生する。)、絶縁体への使用が敬遠されてきた。
したがって本発明の主な目的は、車載用ケーブルに好適で少なくともISO19642のクラスBの要求を満たす絶縁電線であって、ポリプロピレンをベース樹脂として使用しても耐熱性を有しかつ銅害の発生を抑制しうる絶縁電線を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明によれば、
車載用ケーブルに使用される絶縁電線において、
軟銅線から構成される導体と、
前記導体を被覆する絶縁体とを備え、
前記絶縁体のベース樹脂がポリプロピレンであり、
前記絶縁体には1次老化防止剤、2次老化防止剤および銅害防止剤が添加されており、
前記1次老化防止剤がフェノール系酸化防止剤であってその前記絶縁体に占める添加量が0.15~0.50重量%であり、
前記2次老化防止剤がリン系酸化防止剤であってその前記絶縁体に占める添加量が0.20~0.66重量%であり、
前記銅害防止剤が重金属不活性化剤であってその前記絶縁体に占める添加量が0.10~0.34重量%であり、
前記2次老化防止剤の添加量が前記1次老化防止剤の添加量より多いことを特徴とする絶縁電線が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ポリプロピレンをベース樹脂として使用しても耐熱性を有しかつ銅害の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】車載用ケーブルの概略構成を示す断面図である。
【
図2】ポリマーの自動酸化機構と老化防止剤との関係を説明する図である。
【
図3】フェノール系酸化防止剤の化学作用を説明する図である。
【
図4】リン系酸化防止剤の化学作用を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態にかかる車載用ケーブルについて説明する。
本明細書において数値範囲を示す「~」は下限値および上限値を当該数値範囲に含む意味を有している。
【0011】
図1は車載用ケーブル1の概略的な構成を示す断面図である。
図1に示すとおり、車載用ケーブル1は、対撚体10、押巻き20、内被30、第1の遮蔽層40、第2の遮蔽層50および外被60を有しており、対撚体10の外周を押巻き20、内被30、第1の遮蔽層40、第2の遮蔽層50および外被60がこの順に巻回し被覆している。
【0012】
対撚体10は2心の(2本の)絶縁電線12から構成され、第1種線心10Aと第2種線心10Bとがペアで使用されている。第2の対撚体として第3種線心と第4種線心とが追加されこれらがペアで使用されてもよいし(4心で構成されてもよいし)、これ以降の線心のペアが追加され使用されてもよい。線心のペアを追加する場合は絶縁電線12をカッド撚りする。
【0013】
絶縁電線12は導体14および絶縁体16から構成され、導体14の外周を絶縁体16で被覆した構成を有している。
導体14は断面円形状を呈しかつ複数本の素線を撚り合わせた撚線である。導体14は断面円形状を呈していれば単線であってもよいし、複数本の素線を撚り合わせ圧縮した圧縮撚線であってもよい。
導体14(素線を含む。)は好ましくは軟銅線であり、スズ、ニッケル、銀のいずれかのメッキ層(図示略)によって外周が被覆されてもよい。
導体14の外径は好ましくは0.4~0.6mmである。
【0014】
絶縁体16は絶縁性樹脂で構成され、当該絶縁性樹脂が押出機のダイスから押し出され形成されている。絶縁体16の厚さは好ましくは0.2~0.4mmである。
絶縁性樹脂はベース樹脂がポリプロピレン(PP;polypropylene)であり、絶縁性樹脂には1次老化防止剤、2次老化防止剤および銅害防止剤が添加されている。
「ベース樹脂」とは絶縁性樹脂における主成分であり、絶縁性樹脂を組成する成分のうち最も多い成分である。
【0015】
1次老化防止剤および2次老化防止剤はいわゆる酸化防止剤であり、ベース樹脂の老化(酸化劣化)を防止する機能を有している。
図2は当該機能を説明するための図である。
図2のサイクルIに示すとおり、ポリマー(RH)は熱エネルギーや機械的エネルギーを受けるとラジカルを発生させ(R・)、自動的に酸化する(ROO・)。1次老化防止剤は酸素ラジカルをもつ物質(ROO・)と反応して当該酸素ラジカルを捕捉し、その物質を準安定な物質に変える(ROOH)。
図2に示すとおり、2次老化防止剤は準安定な物質(ROOH)と反応し、その物質を安定な物質に変える(ROH)。
図2のサイクルIIに示すとおり、準安定な物質(ROOH)は自動的に酸化しラジカルを発生させる(RO・+・OH)。1次老化防止剤は再度、酸素ラジカルをもつ物質(RO・+・OH)と反応して当該酸素ラジカルを捕捉し、その物質を不活性な物質に変える(ROH+H
2O)。
このように1次老化防止剤および2次老化防止剤は、ポリマーの自動酸化機構に対し安定剤として2段階で寄与し、ポリマーの老化を防止するようになっている。
【0016】
本実施形態にかかる1次老化防止剤は好ましくはフェノール系酸化防止剤である。
図3に示すとおり、当該フェノール系酸化防止剤は自動酸化の1段階目で過酸化物ラジカル(ROO・)を捕捉し、準安定な過酸化物(ROOH)とする。
当該フェノール系酸化防止剤としては、たとえば、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(Pentaerythritol tetrakis (3-(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyphenyl)propionate))を使用することができ、BASFジャパン社製Irganox 1010が市販されている。
【0017】
【0018】
本実施形態にかかる2次老化防止剤は好ましくはリン系酸化防止剤である。
図4に示すとおり、リン系酸化防止剤の一例たる3価の亜リン酸エステルは自動酸化の2段階目で準安定な過酸化物(ROOH)を安定なアルコール(ROH)に変換し、自らは5価のリン酸エステルとなり安定化する。
当該リン系酸化防止剤としては、たとえば、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(Tris(2,4-di-tert-butylphenyl)phosphite)を使用することができ、BASFジャパン社製Irgafos 168が市販されている。
【0019】
【0020】
1次老化防止剤の絶縁性樹脂に占める添加量は好ましくは0.15~0.50重量%であり、2次老化防止剤の絶縁性樹脂に占める添加量は好ましくは0.20~0.66重量%である。各添加量を比較した場合、2次老化防止剤の添加量が1次老化防止剤の添加量より多い。これは次の理由による。サイクルIにおいて、1次老化防止剤は過酸化物ラジカル(ROO・)を捕捉し準安定な物質(ROOH)とするが、当該準安定な物質(ROOH)はサイクルIIにおいて自動的に酸化しラジカルを発生させる(RO・+・OH)。2次老化防止剤の添加量を1次老化防止剤の添加量より多くすれば、このサイクルの循環を阻止することができる。
【0021】
銅害防止剤はいわゆる重金属不活性化剤であり、重金属イオンと安定な錯体を形成し酸化還元反応を防止する機能を有している。
図5は当該機能を説明するための図である。
図5に示すとおり、銅害防止剤はOHおよびCOが銅イオンに配位して安定な錯体を形成し、銅イオンをブロックする(
図5では銅害防止剤としてサリチロイルアミノトリアゾールを例示している)。
本実施形態にかかる銅害防止剤としては、たとえば、2’,3-ビス[[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド(2',3-bis[[3-[3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyphenyl]propionyl]]propionohydrazide)を使用することができ、BASFジャパン社製Irganox MD 1024が市販されている。
銅害防止剤の絶縁性樹脂に占める添加量は好ましくは0.10~0.34重量%である。
【0022】
【0023】
本実施形態では導体14が軟銅線から構成されているため、絶縁体16の当該銅害防止剤はその銅イオンと安定な錯体を形成し、銅害を防止するようになっている。
【0024】
押巻き20はテープ状のポリエチレンテレフタレート(PET;Polyethyleneterephthalate)またはポリプロピレン(PP;PolyPlopylen)が重ね巻きされ構成されている。押巻き20はテープ状の不織布から構成されてもよい。
【0025】
内被30は内被用樹脂が押出機のダイスから押し出され形成されている。当該内被用樹脂は好ましくはポリ塩化ビニル(PVC;PolyVinyl Chloride)または熱可塑性エラストマー(TPE;Thermoplastic Elastomers)から構成されている。
内被30は必須ではなく省略されてもよい。
【0026】
第1の遮蔽層40は金属テープが重ね巻きされ構成されている。
当該金属テープは金属箔と樹脂テープとが貼り合わされ構成されたテープであり、好ましくはアルミニウム箔とポリエチレンテレフタレートテープ(PETテープ)とが貼り合わされ形成されている。第1の遮蔽層40では金属箔が外周に露出するように重ね巻きされる。
他方、第2の遮蔽層50は複数本の金属線が編組され構成されている。第2の遮蔽層50は複数本の金属線が一定のピッチ以下で横巻きされ構成されてもよい。当該各金属線は好ましくはスズのメッキ層で軟銅線を被覆した、いわゆるスズメッキ軟銅線(TA;Tinned Annealed copper)である。
本実施形態にかかる遮蔽層はこれら第1の遮蔽層40および第2の遮蔽層50から構成され、電磁波を遮蔽するようになっている。
【0027】
外被60はいわゆるシースであり、外被用樹脂が押出機のダイスから押し出され形成されている。当該外被用樹脂は好ましくはポリ塩化ビニル(PVC;PolyVinyl Chloride)、ポリオレフィン(PO;PolyOlefin)または熱可塑性エラストマー(TPE;Thermoplastic Elastomers)から構成されている。
【0028】
次に、車載用ケーブル1の製造方法について説明する。
【0029】
はじめに、導体14として断面円形状の単線または圧縮撚線を準備し、導体14に対し絶縁性樹脂を押し出し被覆して絶縁体16を形成し、絶縁電線12を製造する。
その後、2本の絶縁電線12を一定のピッチで撚り合わせる(対撚りする)。
【0030】
その後、対撚体10に対しポリエチレンテレフタレートテープ(PETテープ)を重ね巻きし押巻き20を形成する。
その後、押巻き20に対し内被用樹脂を押し出し被覆し内被30を形成する。
その後、内被30に対し金属テープを重ね巻きし第1の遮蔽層40を形成し、複数本の金属線を編組し第2の遮蔽層50を形成する。
【0031】
最後に、第2の遮蔽層50に対し外被用樹脂を押し出し被覆し外被60を形成し、車載用ケーブル1を製造することができる。
【0032】
以上の車載用ケーブル1によれば、絶縁体16においてベース樹脂の自動酸化機構に対し1次老化防止剤と2次老化防止剤とが有効に作用し、導体14の銅害に対し銅害防止剤が有効に作用するため、ポリプロピレンをベース樹脂として使用しても耐熱性を有しかつ銅害の発生を抑制することができる(下記実施例参照)。
【0033】
なお、車載用ケーブル1は好ましくは車載の通信用途に使用され、より好ましくは車載カメラの画像または映像信号の伝送に使用される。すなわち、車載用ケーブル1はISO-6722規格またはISO-19642規格に準拠するケーブルとして好適である。
【実施例】
【0034】
(1)サンプルの作製
(1.1)絶縁電線サンプルの作製
はじめに、直径0.16mmの軟銅線を7本撚り合わせ、外径0.48mmの導体を形成した。当該導体に対し表1に記載の組成を有する絶縁性樹脂をそれぞれ押し出し被覆し、厚さ0.225mmの絶縁体を形成し、外径0.93mmの絶縁電線を形成した。
【0035】
(1.2)車載用ケーブルサンプルの作製
2本の上記絶縁電線を一定のピッチで撚り合わせ(対撚りし)、対撚体を形成した。
その後、対撚体に対し押巻きとして厚さ0.025mmのポリエチレンテレフタレートテープ(PETテープ)を1/4重ね巻きした(PETテープ幅の1/4を重ねながら巻いた)。押巻きに対し熱可塑性エラストマー(TPE)を押し出し被覆し、外径2.76mmの内被を形成した。
【0036】
その後、第1の遮蔽層としてアルミニウム箔とポリエチレンテレフタレートテープ(PETテープ)とを貼り合わせた金属テープを準備し、内被に対し当該金属テープを1/4重ね巻きし、外径2.92mmの第1の遮蔽層を形成した。
その後、第2の遮蔽層として85本の直径0.1mmのスズメッキ軟銅線(TA)を準備し、第1の遮蔽層に対し当該スズメッキ軟銅線を編組し、外径3.42mmの第2の遮蔽層を形成した。
最後に、当該第2の遮蔽層に対しポリ塩化ビニル(PVC)を押し出し被覆し、外径4.12mmの車載用ケーブルを作製した。
【0037】
(2)サンプルの評価
ISO19642のクラスBおよびクラスCに準拠し、105℃での耐熱性および銅害発生の有無、ならびに125℃での耐熱性および銅害発生の有無を評価した。
評価結果を表1に示す。表1中、「〇」は規格を満たすことを示し、「×」は規格を満たさないことを示している。
なお、絶縁電線サンプルと車載用ケーブルサンプルとでは評価結果が同一だったため、表1では同一のサンプル番号を付してその評価結果を記載している。
【0038】
【0039】
(3)まとめ
表1に示すとおり、サンプル1では1次老化防止剤が過剰に添加されたにもかかわらず(2次老化防止剤は添加されていない)、耐熱性がなく銅害現象も発生した。
サンプル2では2次老化防止剤が添加され(その添加量は1次老化防止剤より少ない)、105℃での耐熱性を有し105℃での銅害現象を防止することができた。
これに対しサンプル11-15では105℃および125℃のいずれにおいても、耐熱性を有し銅害現象を防止することができた。この結果から、ベース樹脂としてポリプロピレン樹脂を使用した場合、1次老化防止剤および2次老化防止剤を添加し、好ましくは2次老化防止剤の添加量を1次老化防止剤の添加量より多くすることが、105℃および125℃での耐熱性や銅害発生の防止に有用であることがわかった。
【0040】
本出願は、2022年2月21日出願の特願2022-024801号に基づく優先権を主張する。当該出願明細書および図面に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は絶縁電線および車載用ケーブルにかかり、特にポリプロピレンをベース樹脂として使用しても耐熱性を有しかつ銅害の発生を抑制するのに有用である。
【符号の説明】
【0042】
1 車載用ケーブル
10 対撚体
10A~10B 第1~第2種線心
12 絶縁電線
14 導体
16 絶縁体
20 押巻き
30 内被
40 第1の遮蔽層
50 第2の遮蔽層
60 外被