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特許7596598車両の周辺を検出するためのセンサのデキャリブレーションを検知する方法及び装置並びに車両
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  • 特許-車両の周辺を検出するためのセンサのデキャリブレーションを検知する方法及び装置並びに車両 図1
  • 特許-車両の周辺を検出するためのセンサのデキャリブレーションを検知する方法及び装置並びに車両 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】車両の周辺を検出するためのセンサのデキャリブレーションを検知する方法及び装置並びに車両
(51)【国際特許分類】
   B60W 40/02 20060101AFI20241202BHJP
   B60W 40/11 20120101ALI20241202BHJP
   B60W 40/112 20120101ALI20241202BHJP
   B60W 40/114 20120101ALI20241202BHJP
   B60W 50/04 20060101ALI20241202BHJP
   G01S 7/40 20060101ALI20241202BHJP
   G01S 7/497 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
B60W40/02
B60W40/11
B60W40/112
B60W40/114
B60W50/04
G01S7/40 130
G01S7/40 134
G01S7/497
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024506891
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-03
(86)【国際出願番号】 EP2022067674
(87)【国際公開番号】W WO2023011807
(87)【国際公開日】2023-02-09
【審査請求日】2024-04-18
(31)【優先権主張番号】102021004061.9
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クライドラー アンナ
(72)【発明者】
【氏名】ミュールブラント サーシャ
(72)【発明者】
【氏名】エプラー フローリアン
【審査官】戸田 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-026955(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0081151(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0341007(US,A1)
【文献】国際公開第2006/051603(WO,A1)
【文献】特開2005-329779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 40/02
B60W 40/11
B60W 40/112
B60W 40/114
B60W 50/04
G01S 7/40
G01S 7/497
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)の周辺を検出するための少なくとも1つの周辺センサ(2)のデキャリブレーションを検知する方法であって、前記周辺にある複数の物体(3)が前記周辺センサ(2)によって検知され、
前記検知された複数の物体(3)の角速度(dα/dt)が前記車両(1)の走行中に算出され、前記検知された複数の物体(3)の数(N)の前記角速度(dα/dt)毎の分布を示すヒストグラムに基づいて前記分布のピーク(P)の角速度(dα/dt)がゼロから外れることが確認された場合に、前記車両(1)の車両軸(A)に関する正常位置からの前記周辺センサ(2)のアライメントの誤差によって引き起こされる前記周辺センサ(2)のデキャリブレーションが特定される
ことを特徴とする、センサのデキャリブレーションを検知する方法。
【請求項2】
前記検知された複数の物体(3)のそれぞれの前記角速度(dα/dt)として、ヨー角速度、ピッチ角速度、及びロール角速度のうちの1つ又は複数を算出する
ことを特徴とする、請求項1に記載のセンサのデキャリブレーションを検知する方法。
【請求項3】
前記検知された複数の物体(3)のそれぞれの前記角速度(dα/dt)は、前記車両(1)の運動データと、前記周辺センサ(2)により検出された又はこれから導き出されたデータとに基づいて算出される
ことを特徴とする、請求項1に記載のセンサのデキャリブレーションを検知する方法。
【請求項4】
前記周辺センサ(2)として、ライダ及び/又はレーダ及び/又はカメラ及び/又は超音波センサが使用される
ことを特徴とする、請求項1に記載のセンサのデキャリブレーションを検知する方法。
【請求項5】
前記車両(1)の前記運動データとして、次のリスト:ステアリング角、ヨー角、ロール角、ピッチ角、ヨー加速度、ロール加速度、ピッチ加速度、サスペンション変位信号、車輪速度パルス、位置データ、及び冗長周囲センサ装置が検知するデータ、のうちの1つ又は複数が使用される
ことを特徴とする、請求項3に記載のセンサのデキャリブレーションを検知する方法。
【請求項6】
前記車両(1)の前記運動データとして、前記冗長周囲センサ装置が検知するデータが使用される場合、前記冗長周囲センサ装置として、ライダ及び/又はレーダ及び/又はカメラ及び/又は超音波センサが使用される
ことを特徴とする、請求項5に記載のセンサのデキャリブレーションを検知する方法。
【請求項7】
車両(1)の周辺を検出するための少なくとも1つの周辺センサ(2)のデキャリブレーションを検知する装置であって、
前記少なくとも1つの前記周辺センサ(2)と接続され、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法を実行するデータ処理ユニット(4)を備える、センサのデキャリブレーションを検知する装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置と、車両(1)の周辺を検出するための少なくとも1つの周辺センサ(2)とを備えた車両(1)。
【請求項9】
前記周辺センサ(2)として、ライダ及び/又はレーダ及び/又はカメラ及び/又は超音波センサが設けられる
ことを特徴とする、請求項8に記載の車両(1)。
【請求項10】
前記車両(1)の運動データを検出するために、次のリスト:ステアリング角、ヨー角、ロール角、ピッチ角、ヨー加速度、ロール加速度、ピッチ加速度、サスペンション変位信号、車輪速度パルス、位置データ、及び冗長周囲センサ装置が検知するデータ、のうちの1つ又は複数のデータを検出するための1つ又は複数のセンサが設けられ
前記データ処理ユニット(4)は、前記検知された複数の物体(3)のそれぞれの前記角速度(dα/dt)を、前記車両(1)の運動データと、前記周辺センサ(2)により検出された又はこれから導き出されたデータとに基づいて算出する
ことを特徴とする、請求項8に記載の車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の、車両の周辺を検出するためのセンサのデキャリブレーションを検知する方法に関する。更に本発明は、請求項7に記載の、車両の周辺を検出するためのセンサのデキャリブレーションを検知する装置、並びに、請求項8に記載の車両に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば自動車のための周辺センサは、位置及び/又はアライメントに関する突然の変化を受けることがあり、そのような変化がセンサ性能の低下につながることがある。このことは、特に不正確な認識データにつながりかねない。高度に自動化された、及び/又は自律的な、車両システムの観点からは、検知されなかった突然の変化により、望ましくない車両介入が発生したり、及び/又は必要な車両介入が妨げられたりする可能性がある。
【0003】
したがって、周辺センサの位置及び/又はアライメントの突然の変化が検知されることが望まれる。
【0004】
従来技術では、センサのアライメントは認識データの時間的平均に基づいて判定される。そのために使用される数学的手法は、認識データの更新速度に比較して本質的に低速である。フィルタ定数が高いため、特に車両軸と比較したセンサのアライメントの突然の変化を即座に判定することができない。
【0005】
独国特許出願公開第102021000360(A1)号明細書は、カメラのデキャリブレーションを認識する装置を記載している。その場合、画像センサは少なくとも1つの懸架部によってフレームに取り付けられる。更に、少なくとも1つの電気的なコンデンサがフレーム上に配置され、カメラが作動していないときに完全に充電される。評価ユニットが設けられており、この評価ユニットは、カメラが起動したときにコンデンサの充電を判定し、判定された充電が予期される値に相当しているかさらに検査し、判定された充電と予期される値との間の誤差が確認された場合にカメラのデキャリブレーションが特定されるように、及び/又は誤差が確認された場合に相応の情報を出力するように構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、車両の周辺を検出するためのセンサのデキャリブレーションを検知する方法及び装置、並びに車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、本発明によれば、請求項1の構成を有する方法、請求項7の構成を有する装置、及び請求項8の構成を有する車両によって達成される。
【0008】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0009】
本発明は、車両の周辺を検出するためのセンサのデキャリブレーションを検知する方法に関する。
【0010】
本発明によると、周辺にある複数の物体が周辺センサによって検知される。検知された物体の角速度が車両の走行中に判定され、角速度に基づくヒストグラム評価によって物体の数のクラスタが判定され、角速度がゼロから外れるクラスタが確認された場合に、車両の車両軸に関する正常位置からの周辺センサのアライメントの誤差によって引き起こされる周辺センサのデキャリブレーションが特定される。
【0011】
本発明は、周辺センサの位置及び/又はアライメントの突然の変化を即座に検知することを可能にする。検出時間は、センサのサイクル時間によってのみ制限される。
【0012】
これにより以下の利点が生じる:
-周辺センサの位置及び/又はアライメントに関する変化の検出時間の短縮、
-車両制御部への安全性関連の誤介入の回避、及び、
-周辺センサの位置及び/又はアライメントに関する変化検知の信頼性向上。
【0013】
1つの実施形態では、角速度として、ヨー角速度、ピッチ角速度、及びロール角速度のうちの1つ又は複数を判定し、ヒストグラム評価を行なう。
【0014】
1つの実施形態では、検知された物体の角速度は、車両の運動データと、周辺センサにより検出された又はこれから導き出されたデータとを比較することによって判定される。
【0015】
1つの実施形態では、周辺センサとして、ライダ及び/又はレーダ及び/又はカメラ及び/又は超音波センサが使用される。
【0016】
1つの実施形態では、車両の運動データとして、次のリスト:ステアリング角、ヨー角、ロール角、ピッチ角、ヨー加速度、ロール加速度、ピッチ加速度、サスペンション変位信号、車輪速度パルス、位置データ、及び冗長周囲センサ装置、のうちの1つ又は複数が使用される。
【0017】
1つの実施形態では、冗長周囲センサ装置として、ライダ及び/又はレーダ及び/又はカメラ及び/又は超音波センサが使用される。
【0018】
本発明の1つの態様では、車両の周辺を検出するための少なくとも1つの周辺センサのデキャリブレーションを検知する装置であって、少なくとも一つの周辺センサと接続され、上述した方法のうちのいずれか1つの方法を実行するように構成された、データ処理ユニットを備える装置が提案される。
【0019】
本発明の別の態様では、このような装置と、車両の周辺を検出するための少なくとも1つの周辺センサとを備えた車両が提案される。
【0020】
1つの実施形態では、周辺センサとして、ライダ及び/又はレーダ及び/又はカメラ及び/又は超音波センサが設けられる。
【0021】
1つの実施形態では、車両の運動データを検出するために、次のリスト:ステアリング角、ヨー角、ロール角、ピッチ角、ヨー加速度、ロール加速度、ピッチ加速度、サスペンション変位信号、車輪速度パルス、位置データ、及び冗長周囲センサ装置、のうちの1つ又は複数のデータを検出するための1つ又は複数のセンサが設けられる。
【0022】
劣化を回避するために、本発明は、さまざまなセンサからのデータ、特に利用可能な車両運動データと認識されたセンサデータとの直接的な比較を提案する。正常動作の際、両方のデータ源は、車両及びセンサのアライメントに関して同一の情報を冗長的に、すなわち、2つのアライメント間のミスアライメントなしに提供する。センサのアライメントの変化は、抽出されたアライメントに関する2つのデータ源の間の偏差として現れる。このような変化は、入力データが処理のために利用可能になるとすぐに検知することができる。その感度は、許容される偏差について選択される閾値によって制限される。
【0023】
考えられるセンサデータは、独自の認識データ(たとえばライダからの点群、レーダエコー、カメラ画像、超音波エコー)、及びこれから導き出されるデータである。
【0024】
考えられる車両データ源は次のとおりである:
-車両の自己運動データ:
-ステアリング角、
-ヨー角、ロール角、ピッチ角、これらに対応する加速度、
-サスペンション変位信号、
-車輪速度パルス、
-位置(GPS、GNSS、地図データなど)、
-冗長周囲センサ装置(レーダ、カメラ、ライダ、超音波)。
【0025】
以下では、本発明の実施例を、図面に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】正常動作中の車両の概略図である。
図2】周辺センサのアライメントが突然変化したときの車両の概略図である。
図3】車両の正常動作中のさまざまな角速度に対する、認識された物体の数の分布を示す模式的なヒストグラムである。
図4】周辺センサのアライメントが突然変化したときの、さまざまな角速度に対する、認識された物体の数の分布を示す模式的なヒストグラムである。
【0027】
いずれの図においても、相互に対応する部分には、同一の参照符号を付している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、正常動作中の車両1の概略図である。車両1には、車両軸Aの方向又はこれに関してアライメントされた、少なくとも1つの周辺センサ2が配置されている。周辺センサ2によって検知される、周辺にある物体の位置は正確である。
【0029】
図2は、周辺センサ2のアライメントが突然変化したときの車両1の概略図である。例示として、周辺センサ2のアライメントが、特にヨー角αだけ、車両軸Aからずれている。そのため、物体3は、見かけの位置3′において周辺センサ2の認識においてずれて見える。車両1とともに進む参照系(基準フレーム)において、物体3の位置の変動は、物体3自身の動きの結果であるか、又は、周辺センサ2のアライメントの変化の結果である。アライメントの突然の変化は、周辺センサ2には、物体3の配置全体がそれと同じ方向へ運動するように見える。この変位はr*αであり、ここでrは、周辺センサ2までのそれぞれの物体3の径方向の距離である。すべての物体は、同一の角速度dα/dtで、特に方位角速度で、同時に動く。このような配置全体の運動は、角速度dα/dt又はセンサ位置のアルゴリズムフィルタリングによって検知することができる。これと同じ分析をピッチ角とロール角にも適用することができるため、考えられるすべてのシナリオについて、アライメントの突然の変化を検知できる。
【0030】
図3は、車両1の正常動作中の、すなわち周辺センサ2が車両軸Aの方向で、又はこれに関して、正しくアライメントされている場合の、さまざまな角速度dα/dtに対する認識された物体の数Nの分布を示す模式的なヒストグラムである。
【0031】
角速度dα/dtは、車両1とともに進む参照系(基準フレーム)で定義される。正常動作中、典型的な運転シナリオでは、ゼロ付近に集中した広い分布になる。分布の分散は、車両1の周囲の物体3の運動によって決定される。
【0032】
図4は、アライメントが突然変化したときの、すなわち、周辺センサ2が車両軸Aの方向に、又はこれに関連して、正しくアライメントされなくなった場合の、さまざまな角速度dα/dtに対する、認識された物体の数Nの分布を示す模式的なヒストグラムである。周辺センサ2の視点からは、周辺センサ2のアライメントのずれは、車両1の周辺全体が角度αだけ移動したように見える。その結果、すべての認識データは、車両1の周辺の実際の動きに重畳される角速度dα/dtの強い成分を示す。これにより、分布内にゼロではないピークP又はクラスタPが生成される。角変位の大きさは、ずれが高速で発生するほど大きくなる。角速度dα/dtの分布でこのようなクラスタPを検知することは、周辺センサ2のアライメントの突然の変化を識別するための効果的な方法となる。
【0033】
検知された物体3の角速度dα/dtの判定は、車両1の運動データと、周辺センサ2により検出された又はこれから導き出されたデータとを比較することによって行うことができる。周辺センサ2として、たとえばライダ及び/又はレーダ及び/又はカメラ及び/又は超音波センサを使用することができる。車両1の運動データとして次のリスト:ステアリング角、ヨー角、ロール角、ピッチ角、ヨー加速度、ロール加速度、ピッチ加速度、サスペンション変位信号、車輪速度パルス、位置データ、及び、冗長周囲センサ装置、たとえばライダ及び/又はレーダ及び/又はカメラ及び/又は超音波センサ、のうちの1つ又は複数が使用される。
【0034】
本方法は、たとえば車両1に配置され得るデータ処理ユニット4で実行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0035】
【文献】独国特許出願公開第102021000360号明細書
図1
図2
図3
図4